説明

光学積層フィルム及びその製造方法

【課題】高温・高湿度下の条件に晒されても、フィルム同士のズレや光漏れなどの問題を生じない、光学積層フィルムを提供すること。
【解決手段】アミン価が3〜50(mgKOH/g)のポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを含有する接着剤から形成される硬化接着剤層(2)を介して、シクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、及びセルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルムと、ポリビニルアルコール系フィルムとが積層されてなる光学積層フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを含有する接着剤から形成される硬化接着剤層を介して、熱可塑性フィルムと、ポリビニルアルコール系フィルムとが積層されてなり、光学用途に用いられる積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(「LCD」と略す)は、薄く、軽く、低消費電力という特徴を有し、ノートパソコンやカーナビゲーションシステム、デジタルカメラ、携帯電話などの用途に使用されてきた。最近では、高画質化、低価格化が進み、大画面のテレビモニターにも使用されている。
LCDには、基本となる液晶セル、偏光板、バックライト以外に、高画質を実現するための機能性フィルムが数多く使用されている。中でもLCDの視野角性能を向上させるための光学補償機能を有する光学補償フィルムは、高画質化のためには重要なフィルムである。
【0003】
従来、各種の光学機能を有するフィルムとして、セルロース(以下、「CEL」とも称す。)系フィルムが用いられて来ており、その中でもトリアセチルセルロース(以下、「TAC」とも称す。)系フィルムが広く用いられて来た。
光学補償機能を有する偏光板は、複数のTAC系フィルム及びポリビニルアルコール(以下、「PVA」とも称す。)系フィルムが接着剤層を介して積層されてなるものであり、その一般的なフィルム構成は「反射防止フィルム(TAC系フィルムを基礎とする。)/偏光膜(PVA系フィルムを基礎とする。)/TAC系フィルム/光学補償フィルム(TAC系フィルムを基礎とする。)」である。この構成からなる偏光板は、光学補償フィルム面が液晶セルのガラス面に貼り付けられて用いられる。
しかしながら近年、CEL系フィルムに代わり、高強度、高透明性、低吸水性を特徴とするシクロオレイフィン(以下、「COP」とも称す。)系フィルムやポリカーボネート(以下、「PC」とも称す。)系フィルムが使用されるようになって来た。
COP系フィルムやPC系フィルムは、それ自身が光学補償機能を有するため、これらのフィルムが用いられる場合には、前記構成の偏光板において、TAC系フィルムを基礎とする光学補償フィルムの積層が省略されることもある。
【0004】
前記したように、これら偏光板を作製する際には、フィルムを積層するために接着剤が用いられる。親水性のPVAからなるフィルムと、比較的親水性のTACからなるフィルムとを接着する接着剤として、従来PVA系の接着剤が用いられてきたが、疎水性のCOP系フィルムやPC系フィルムに対しては接着強度が出にくいという欠点がある。
【0005】
特許文献1には、PVA系の偏光膜とノルボルネン系フィルム、または、PVA系偏光膜とTAC系保護膜とをアクリル酸系接着剤で接着してなる光学積層フィルムが開示されている。
特許文献2では、ウレタン系接着剤で接着してなる光学積層フィルムが開示されている。また、特許文献3では、PVA系の偏光膜とノルボルネン系フィルム、または、PVA系偏光膜とTAC系保護膜とをアクリル系の粘着剤を用いて積層してなる光学積層フィルムが開示されている。
さらに、特許文献4では、PVA系の偏光膜とPC系フィルムとをPVA系接着剤で積層してなる偏光板が開示されている。
しかしながら、上記のような接着剤・粘着剤では、接着強度が不十分で、LCDの画面サイズが大きくなると、特に高温・高湿度下の条件に晒された際に、PVA系フィルムと熱可塑性フィルムとの間でズレが生じたり、パネル周辺部で光漏れが生ずるという問題がある。
【特許文献1】特開2004−20701号公報
【特許文献2】特開2004−219825号公報
【特許文献3】特開2005−43740号公報
【特許文献4】特開2005−275216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特定のポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを含有する接着剤から形成される硬化接着剤層を介して、熱可塑性フィルムとポリビニルアルコール系フィルムとが積層されてなり、高温・高湿度下の条件に晒されても、フィルム同士のズレや光漏れなどの問題を生じない、光学用途に用いられる積層フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は以下の通りである。
第1の発明は、アミン価が3〜50(mgKOH/g)のポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを含有する接着剤から形成される硬化接着剤層(2)を介して、シクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、及びセルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルムと、ポリビニルアルコール系フィルムとが積層されてなる光学積層フィルムであり、
第2の発明は、ポリアミド樹脂とエポキシ化合物との割合が、ポリアミド樹脂/エポキシ化合物=60〜97/40〜3(重量比)である第1の発明の光学積層フィルムである。
第3の発明は、シクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム及びセルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルム、硬化接着剤層(2)、及びポリビニルアルコール系フィルムが順次積層されてなる光学積層フィルムの製造方法であって、
ポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを含有する接着剤を、シクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム及びセルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルムに塗布・乾燥し、硬化性接着剤層(1)を形成した後、該硬化性接着剤層(1)にポリビニルアルコール系フィルムを積層するか、
又は上記接着剤をポリビニルアルコール系フィルムに塗布・乾燥し、硬化性接着剤層(1)を形成した後、該硬化性接着剤層(1)に、シクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム及びセルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルムを積層し、
次いで該硬化性接着剤層(1)を硬化させることを特徴とする光学積層フィルムの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、大画面のLCDに用いた場合にも、高温・高湿度下の条件に晒されても、フィルム同士のズレや光漏れなどの問題を生じることのない、高画質のLCDを形成することの出来る光学積層フィルムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
まず、本発明で用いられるポリアミド樹脂について説明する。本発明で用いられるポリアミド樹脂は、ジアミン成分とジカルボン酸成分とから形成されるポリアミド樹脂であって、そのアミン価が3〜50(mgKOH/g)であることを特徴とするポリアミド樹脂である。
【0010】
ジアミン成分として用いられるジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、オルトフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラジアミノメチルシクロヘキサン、ピペラジン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,10−デカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン等が挙げられる。
【0011】
ジカルボン酸成分として用いられるジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム等が挙げられる。また、ジカルボン酸とアルキルアルコールとのエステル化物等もジカルボン酸成分として用いられる。
【0012】
ジアミン成分とジカルボン酸成分との反応は、通常の反応により行う。
例えば、無溶剤下で、ジアミン成分とジカルボン酸成分とを一括で仕込み、脱水縮合反応により合成することが出来る。この時、これらのモノマーと一緒に予め水を仕込んでおき、この水を留去しながら脱水反応を行うと反応を制御しやすい。この反応は常圧下、減圧下の何れで行ってもよい。得られる樹脂の分子量の調整は、ジアミン成分とジカルボン酸成分との仕込み当量比と、酸価、アミン価の制御により行う。ジアミン成分とジカルボン酸成分とを等モルで仕込んだ場合には比較的高分子量の樹脂が得られ、ジアミン成分もしくはジカルボン酸成分の何れかを過剰になるように仕込んだ場合には比較的低分子量の樹脂が得られる。常圧下で得られた樹脂を更に減圧下で反応させると、高分子量の樹脂が得られる。
【0013】
本発明で用いられるポリアミド樹脂のアミン価は3〜50(mgKOH/g)の範囲にあることが重要である。アミン価が3未満では、エポキシ化合物との反応性が劣り、接着剤を硬化する際に、硬化が不十分となり接着強度の低下を引き起こし、フィルム同士がずれたり、光漏れが生じたりする。
アミン価が50を越えるとポリアミド樹脂の分子量が小さくなり、接着強度が低下したり、光漏れが生じる傾向にある。
また、より好ましいアミン価の範囲は、5〜30(mgKOH/g)である。
【0014】
これらジアミン成分とジカルボン酸成分とは、目的に応じて適宜組み合わせて用いることが出来るが、得られるポリアミド樹脂を接着剤の成分として用いる場合には、有機溶剤に溶解した溶液として用いる場合が多いので、得られる樹脂が有機溶剤に溶解するように両者を組み合わせて用いることが好ましい。一般的に、ジアミン成分とジカルボン酸成分とを夫々一種類ずつの組み合わせで用いてなる、所謂ホモポリマーの場合には有機溶剤に対する溶解性が乏しい。好ましくは、ジアミン成分もしくはジカルボン酸成分のどちらかを2種類以上の組み合わせとするか、もしくはジアミン成分、ジカルボン酸成分のいずれもそれぞれ2種類以上組み合わせた方が、上記有機溶剤に対する溶解性が良好となる。
【0015】
ポリアミド樹脂を得るにあたっては、前記ジアミン成分とジカルボン酸成分以外に、ジアミン成分及びジカルボン酸成分と共重合し得る成分、例えばアミノカルボン酸や該アミノカルボン酸の分子内環状アミド化合物等を用いることが出来る。
アミノカルボン酸の例としては、ω−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等を挙げることが出来る。
アミノカルボン酸の分子内環状アミド化合物の例としては、β−ラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン、ε−カプロラクタム、ω−カプリロラクタム、カプリンラクタム、ラウリンラクタム等を挙げることが出来る。
【0016】
さらにまた、ポリアミド樹脂を得るにあたっては、前記ジカルボン酸成分と共に、モノカルボン酸、カルボキシル基を3つ以上有する多塩基酸及び多塩基酸無水物を共重合に供してもよい。カルボキシル基を3つ以上有する多塩基酸及びその無水物としては、三塩基酸、三塩基酸無水物、四塩基酸、四塩基酸無水物等を挙げることができる。
【0017】
次に、本発明に用いられるエポキシ化合物について説明する。
ポリアミド樹脂とともに接着剤を構成するエポキシ化合物は、該ポリアミド樹脂を硬化させる硬化剤の役割を担う。本発明の如く、熱可塑性フィルムを接着させる場合には、フィルムの耐熱性に制限があり、接着剤の硬化にあたって過度の熱を加えることが出来ない。本発明のポリアミド樹脂とエポキシ化合物の硬化は過度の熱をかけることなく、具体的には40℃〜60℃程度の温度で硬化させることが出来る点に特徴がある。
【0018】
エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、及びアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−グリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン等が挙げられる。
【0019】
また、高耐熱性を有するβ−ナフトールをベースとしたアラルキル構造を有する多官能エポキシ樹脂や、ナフタレンジオールをベースとしたアラルキル構造を有する多官能エポキシ樹脂、スルフィド構造を有する結晶性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、さらには、難燃性付与を目的とした臭素やリン含有エポキシ樹脂等も用いられる。
また、フェノールノボラックエポキシ樹脂やクレゾールノボラックエポキシ樹脂等も多官能エポキシ樹脂として好適に用いられる。これらは、それぞれ単独で、または併用して用いることが出来る。
【0020】
本発明で用いられる接着剤は、ポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを、ポリアミド樹脂/エポキシ化合物=60〜97/40〜3(重量比)の範囲内で含有することが好ましい。さらに好ましくは、ポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを、ポリアミド樹脂/エポキシ化合物=70〜95/30〜5(重量比)の範囲内で含有することであり、この場合には特に良好な性能を発揮する。エポキシ化合物の含有割合が3未満ではポリアミド樹脂の硬化が不十分となり、強固な接着強度が得られにくくなる。一方、エポキシ化合物の含有割合が40を超えると、接着剤中に占めるポリアミド樹脂の割合が少なくなり、高温・高湿度下での接着強度が低下する傾向にある。
【0021】
次に、本発明の光学積層フィルムについて説明する。本発明の光学積層フィルムは、LCD、特に大画面のLCDに用いた場合にも、高温・高湿度下の条件に晒されても、積層フィルムを構成するフィルム同士のズレや光漏れなどの問題を生じることのない、高画質のLCDを形成することの出来る光学積層フィルムであり、具体的には、シクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、セルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルムと、ポリビニルアルコール系フィルムとが、硬化接着剤層(2)を介して積層されてなるフィルムである。
光学積層フィルムを構成するフィルムのうち、ポリビニルアルコール系フィルムはLCDにとって重要な偏光膜を形成するものである。偏光膜は、ポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素や二色性染料等よりなる二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適宜な処理を施してなるもので、自然光を入射させると直線偏光を透過する性質を有する。
【0022】
偏光膜の片側又は両側には、透明保護層となる保護フィルム素材を設ける場合がある。中でも、透明性や機械的強度、熱安定性、水分遮断性等に優れるポリマーからなるフィルムが好ましく用いられる。そのポリマーの例としては、トリアセチルセルロースの如きセルロース系樹脂や、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられるが、中でも複屈折が小さい点で、セルロース系樹脂や、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましく、さらには、低吸水性、透明性、寸法安定性、軽量性などの観点から、シクロオレフィン系樹脂とポリカーボネート系樹脂が特に好ましい。
【0023】
本発明の光学積層フィルムにおいて、上記セルロース系樹脂フィルム上にディスコティック層を設けてなるフィルムや、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂からなるフィルムは、積層する偏光膜の透明保護フィルムとしての役割を担うとともに、光学補償フィルムとしての役割を担い、LCDの視野角性能を向上させる。
本発明の光学積層フィルムは、上記複数の性質の異なるフィルムを特定の硬化接着剤層(2)を介して積層したものである。硬化接着剤層の接着強度が弱いと、高温・高湿度下に晒された場合、積層したフィルム同士がズレたり、光漏れが生じたりして、画質の低下を生じる。
【0024】
従来用いられてきた、アクリル酸系接着剤や、ウレタン系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて積層してなる光学積層フィルムでは、最近の大画面のLCDに用いた場合には高温・高湿度下での接着強度が不十分である。
偏光膜に用いられるポリビニルアルコール系フィルムは水に溶解するほどに親水性であり、トリアセチルセルロース系フィルムは、本来水溶性のセルロースをアセチル化して疎水性を付与したものであるが、どちらかと言えば親水性である。一方、シクロオレフィン系フィルムやポリカーボネート系フィルムは疎水性フィルムとして知られている。これら、親水性・疎水性の異なるフィルムを積層するための接着剤としては、適度な疎水性と適度な親水性とを併せ持った接着剤が必要である。
【0025】
本発明で用いられるポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂の構成成分として、親水性成分と疎水性成分とをバランスよく導入したものである。
ジアミン成分の内、親水性成分としてはピペラジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられ、疎水性成分としてはトリメチルヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン等が挙げられる。
ジカルボン酸成分の内、親水性成分としてはアジピン酸、アゼライン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム等が挙げられ、疎水性成分としてはセバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
アミノカルボン酸の内、11−アミノウンデカン酸や12−アミノドデカン酸は疎水性成分として好適であり、アミノカルボン酸の分子内環状アミド化合物の内、β−ラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン、ε−カプロラクタム等は親水性成分として好適である。
【0026】
熱可塑性フィルムとしてのシクロオレフィン系フィルムやポリカーボネート系フィルムをポリビニルアルコール系フィルムと積層する場合には、比較的疎水性成分を多く用いてなるポリアミド樹脂が有効であり、熱可塑性フィルムとしてのセルロース系フィルムをポリビニルアルコール系フィルムと積層する場合には、比較的親水性成分を多く用いてなるポリアミド樹脂が有効である。
【0027】
次に、本発明の光学積層フィルムの製造方法について説明する。
(I)ポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを含有する接着剤を、シクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム及びセルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルムの片面に塗布・乾燥し、硬化性接着剤層(1)を形成した後、該硬化性接着剤層(1)にポリビニルアルコール系フィルムを積層し、40℃〜60℃の温度で4日〜6日間エージングして該硬化性接着剤層(1)を硬化させて、「熱可塑性フィルム/硬化接着剤層(2)/ポリビニルアルコール系フィルム」の光学積層フィルムを作製する方法;
【0028】
(II)ポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを含有する接着剤を、ポリビニルアルコール系フィルムの片面に塗布・乾燥し、硬化性接着剤層(1)を形成した後、該硬化性接着剤層(1)にシクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム及びセルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルムを積層し、40℃〜60℃の温度で4日〜6日間エージングして該硬化性接着剤層(1)硬化させて、「熱可塑性フィルム/硬化接着剤層(2)/ポリビニルアルコール系フィルム」の光学積層フィルムを作製する方法;
【0029】
(III)ポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを含有する接着剤をシクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム及びセルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルムの片面に塗布・乾燥し、硬化性接着剤層(1)を形成し、別途、ポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを含有する接着剤を、ポリビニルアルコール系フィルムの片面に塗布・乾燥し、硬化性接着剤層(1’)を形成した後、硬化性接着剤層(1)と(1’)とを貼り合せて、40℃〜60℃の温度で4日〜6日間エージングして該硬化性接着剤層(1)及び(1’)を硬化させて、「熱可塑性フィルム/硬化接着剤層(2)/ポリビニルアルコール系フィルム」の光学積層フィルムを作製する方法;
の3通りの方法がある。偏光膜の保護という面からは、(I)の方法が好ましい。
【0030】
上記の方法により得られた光学積層フィルムのポリビニルアルコール系フィルム面に、さらに上記と同様の方法により熱可塑性フィルムが積層され、「熱可塑性フィルム/硬化接着剤層(2)/ポリビニルアルコール系フィルム/硬化接着剤層(2)/熱可塑性フィルム」なる構成の偏光板が得られる。
【0031】
本発明の光学積層フィルムに用いられる熱可塑性フィルムについて説明する。
本発明で用いられる熱可塑性フィルムは、シクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、もしくはセルロース系フィルムのいずれかである。
シクロオレフィン系フィルム(COP系フィルム)とは、脂環構造を含有する非晶質ポリオレフィン樹脂を成型してなるフィルムである。この樹脂は、優れた耐熱性、透明性、低吸湿性、耐加水分解性を有する材料である上に、光弾性係数の小さい樹脂なので、分子配向レターデーションの生じにくい光学用フィルムが得られる。脂環構造を含有する樹脂とは、主鎖に脂環構造を含有する重合体で、脂環式構造としては、炭素原子数4〜30個程度のシクロアルカン構造である。このような脂環構造を含有した重合体としては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
【0032】
ポリカーボネート系フィルム(PC系フィルム)とは、炭酸とグリコール又は2価フェノールとからなるポリカーボネート系ポリマーをフィルム状にしたものである。
ポリカーボネート系ポリマーの具体例としては、炭酸と2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(通称:ビスフェノールA)とを構成単位とする芳香族ポリカーボネートはもちろんのこと、本発明ではこれに限定されるわけではなく、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、1,1−ビス(3−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、1,1−ビス(3,5−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類からなる群から選択される少なくとも1種の2価フェノールをモノマー成分とするホモまたは共重合ポリカーボネート、ビスフェノールAをモノマー成分としてなるポリカーボネートとビスフェノールA以外の2価フェノールをモノマー成分としてなるポリカーボネートとの混合物、ビスフェノールA以外の2価フェノールとビスフェノールAとをモノマー成分としてなる共重合ポリカーボネート等が挙げられる。
ポリカーボネート系ポリマーの粘度平均分子量は、7000〜50000が好ましい。
【0033】
セルロース系フィルム(CEL系フィルム)は、セルロース系ポリマーをフィルム状にしたものである。セルロース系ポリマーの内、セルロースを無水酢酸などによりアセチル化して耐水性を持たせたものが好適に用いられる。中でもセルロースの3つの水酸基をアセチル化したトリアセチルセルロースポリマーを用いることが好ましい。セルロース系ポリマーの数平均分子量は30000〜100000が好ましい。
【0034】
本発明の光学積層フィルムに用いられるポリビニルアルコール系フィルム(PVA系フィルム)は、LCDにとって重要な偏光膜を形成するものであり、ポリビニルアルコール系ポリマーをフィルム状にしたもので、ポリビニルアルコールポリマーの重合度は300〜5000のものが好ましく、ケン化度は40〜95%のものが好適に用いられる。また、部分ホルマール化してなるポリビニルホルマールなども用いられる。
これらのポリビニルアルコール系ポリマーよりなるフィルムに、ヨウ素や二色性染料などで染色処理を施し、延伸処理、架橋処理等の適宜な処理を施して偏光膜とする。偏光膜の厚さは5〜80μmが一般的である。
【0035】
前記、光学補償フィルムとしての機能と保護フィルムとしての機能とを兼ねる熱可塑性フィルムの厚さは任意であるが、一般的には偏光板の薄型化などを目的に5〜150μmである。ポリビニルアルコール系フィルムと、熱可塑性フィルムとを含んでなる本発明の光学積層フィルムの厚さは50〜300μmであることが好ましい。
【0036】
接着剤を、熱可塑性フィルム及び/またはポリビニルアルコール系フィルム上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビアロールコート法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
接着剤を塗布した後、必要に応じて接着剤中に含まれる有機溶剤を乾燥させる。乾燥方法としては、通常、80℃程度のオーブン中で1〜2分間保持して有機溶剤を揮発させる方法が用いられる。有機溶剤が揮発することにより、硬化性接着剤層(1)が形成される。
硬化性接着剤層(1)を介して、熱可塑性フィルムとポリビニルアルコール系フィルムとを張り合わせる方法としては、通常、熱ラミネート法が用いられる。80℃程度に加熱されたロールの間を、1kgf/cm程度の圧力下で、150cm/min程度の速度で通過させてフィルム同士を張り合わせる。
【0037】
硬化性接着剤層(1)を介して張り合わせた積層フィルムに熱を加えて、硬化性接着剤層(1)を硬化させ、硬化接着剤層(2)とする。熱は前記熱可塑性フィルムにダメージを与えない程度の熱であることが好ましい。前記したように、具体的には40〜60℃程度の温度が好ましい。40℃〜60℃程度の温度下で、4〜6日間程度エージングする方法が好適に用いられる。あるいは、80〜160℃程度のオーブン中で数分間保持させる方法は、比較的短時間で硬化接着剤層(2)を形成することが出来る。
【0038】
硬化接着剤層(2)の厚さとしては、通常0.01〜50μm、好ましくは0.02〜30μm、より好ましくは0.05〜10μmである。
接着剤には、所望の目的に応じて、例えば本発明で特定されるアミド樹脂以外の樹脂や、界面活性剤、消泡剤、硬化促進剤、フィラーなどを適宜混合することが出来る。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。例中、単に部とあるものは、重量部を示す。
【0040】
(合成例1) ポリアミド樹脂(A−1)の合成
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流脱水装置及び蒸留管を備えたフラスコに、イオン交換水180部、アジピン酸81.76部、ヘキサメチレンジアミン68.24部、ε−カプロラクタム150部を仕込んだ。発熱の温度が一定になるまで撹拌し、温度が安定したら110℃まで昇温した。水の留出を確認してから30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分毎に10℃づつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が220℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、目標アミン価になったことを確認してポリアミド樹脂(A−1)を得た。その特性値を表1に示す。
【0041】
(合成例2〜8) ポリアミド樹脂(A−2〜A−8)の合成
合成例1と同様の方法で、表1の組成に従ってポリアミド樹脂を合成した。その特性値を表1に示す。
【0042】
(比較合成例1、2) ポリアミド樹脂(A−9、A−10)の合成
合成例1と同様の方法で、表1の組成に従ってポリアミド樹脂を合成した。その特性値を表1に示す。
【0043】
《アミン価の測定》
ポリアミド樹脂1gをオルソジクロロベンゼン50mlとメタノール70mlとの混合溶剤に溶解し、電位差滴定装置にて0.1mol/Lの塩酸水溶液で滴定して、樹脂1g当りの塩酸と当量のKOHのmg数を求めた。
【0044】
《酸価の測定》
ポリアミド樹脂1gをエタノール/トルエン=70/30(重量比)の混合溶剤30mlに溶解し、0.1mol/LのKOHエタノール溶液で滴定して、樹脂1g当りのKOHのmg数を求めた。
【0045】
(実施例1)
合成例1で得られたポリアミド樹脂(A−1)を、エタノール/トルエン=70/30(重量比)の混合溶剤で固形分30%になる様に溶解した。この溶液を樹脂分換算で(以下樹脂分換算で示す)100部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピコート828」(ジャパンエポキシレジン社製)を20部取り、エタノール/トルエン=70/30(重量比)の混合溶剤で固形分濃度が15%となる様に混合溶解して接着剤を得た。
次いで、富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロース系フィルムに、上記接着剤を乾燥膜厚が2μmとなる様に塗布し、80℃のオーブンで1分間乾燥させた。
次いで、クラレ社製ポリビニルアルコール系フィルム「VF−PS」を重ね合わせ、80℃の熱ラミネート(1kgf/cm、150cm/min)で貼り合せた後、40℃の温度で5日間エージングを行った。かかる方法により光学積層フィルムを作製し、以下に示す方法により各種試験を行った。その結果を表2に示す。
【0046】
(実施例2〜8)
実施例1と同様の方法で、ポリアミド樹脂(A−2)〜(A−8)をそれぞれ溶解し、実施例1と同様の方法で、表2の組成に従って接着剤を得た。次いで、実施例1と同様の方法により光学積層フィルムを作製し、実施例1と同様の方法により各種試験を行った。
その結果を表2に示す。
実施例2:接着剤を富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロース系フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
実施例3:接着剤をクラレ社製「VF−PS」フィルムに塗工し、富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロース系フィルムを貼り合せた。
実施例4:接着剤を帝人社製「ピュアエースWR」フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
実施例5:接着剤を帝人社製「ピュアエースWR」フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
実施例6:接着剤をクラレ社製「VF−PS」フィルムに塗工し、帝人社製「ピュアエースWR」フィルムを貼り合せた。
実施例7:接着剤をクラレ社製「VF−PS」フィルムに塗工し、帝人社製「ピュアエースWR」フィルムを貼り合せた。
実施例8:接着剤を日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
実施例9:接着剤を日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
実施例10:接着剤をクラレ社製「VF−PS」フィルムに塗工し、日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルムを貼り合せた。
実施例11:接着剤をクラレ社製「VF−PS」フィルムに塗工し、日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルムを貼り合せた。
【0047】
(比較例1、2、5、6、9、10、)
比較合成例1及び2で得られたポリアミド樹脂(A−9、A−10)を、実施例1と同様にしてそれぞれ溶解し、実施例1と同様の方法で、表3の組成に従って接着剤を得た。
次いで、実施例1と同様の方法により光学積層フィルムを作製し、実施例1と同様の方法により各種試験を行った。その結果を表3に示す。
比較例1:接着剤を日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルムに塗工し、クラレ
社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例2:接着剤を日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルムに塗工し、クラレ
社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例5:接着剤を帝人社製「ピュアエースWR」フィルムに塗工し、クラレ社製「V
F−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例6:接着剤を帝人社製「ピュアエースWR」フィルムに塗工し、クラレ社製「V
F−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例9:接着剤を富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロース系フィルムに塗工
し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例10:接着剤を富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロース系フィルムに塗
工し、クラレ社製[VF-PS]フィルムを貼り合せた。
【0048】
(比較例3、7、11、13、15、17、19)
市販の二液型ウレタン系接着剤〔主剤:日本ポリウレタン社製「WWA−608S」(ポリエステル系ポリウレタン樹脂の酢酸エチル溶液)、硬化剤:日本ポリウレタン社製「HARDENER110」(ポリイソシアネートの酢酸エチル溶液)〕を、主剤/硬化剤=100/10の重量比で混合し、これに酢酸ブチル及びシクロヘキサンを、いずれも固形分に対して2%となるようにそれぞれ添加し、次いで、全固形分濃度が20%となるように酢酸エチルで希釈した。
この接着剤を用いて、実施例1と同様の方法により光学積層フィルムを作製し、実施例1と同様の方法により各種試験を行った。その結果を表3、4に示す。
比較例3:接着剤を日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例7:接着剤を帝人社製「ピュアエースWR」フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例11:接着剤を富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロース系フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例13:接着剤をクラレ社製「VF−PS」フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例15:接着剤を富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロース系フィルムに塗工し、富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロース系フィルムを貼り合せた。
比較例17:接着剤を日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルムに塗工し、日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルムを貼り合せた。
比較例19:接着剤を帝人社製「ピュアエースWR」フィルムに塗工し、帝人社製「ピュアエースWR」フィルムを貼り合せた。
【0049】
(比較例4、8、12、14、16、18、20)
市販のポリビニルアルコール樹脂〔主剤:クラレ社製「クラレPVA217」、重合度1700、ケン化度88%〕の5%水溶液と、オキサゾリン基含有水溶性ポリマー〔日本触媒社製「WS700」〕の25%水溶液を重量比で7:3の割合にて混合して得られた接着剤を用いて、実施例1と同様の方法により光学積層フィルムを作製し、実施例1と同様の方法により各種試験を行った。その結果を表3、4に示す。
比較例4:接着剤を日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例8:接着剤を帝人社製「ピュアエースWR」フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例12:接着剤を富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロース系フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例14:接着剤をクラレ社製「VF−PS」フィルムに塗工し、クラレ社製「VF−PS」フィルムを貼り合せた。
比較例16:接着剤を富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロース系フィルムに塗工し、富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロース系フィルムを貼り合せた。
比較例18:接着剤を日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルムに塗工し、日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルムを貼り合せた。
比較例20:接着剤を帝人社製「ピュアエースWR」フィルムに塗工し、帝人社製「ピュアエースWR」フィルムを貼り合せた。
【0050】
《熱可塑性フィルム》
〔シクロオレフィン系フィルム(COP系フィルム)〕
日本ゼオン社製「ゼオノア1020R」フィルム(厚さ100μm)を用い、常法によりコロナ処理を施したものを使用した。
〔ポリカーボネート系フィルム(PC系フィルム)〕
帝人社製「ピュアエースWR」フィルム(厚さ100μm)を用い、常法によりコロナ処理を施したものを使用した。
〔セルロース系フィルム(CEL系フィルム)〕
富士写真フィルム社製のトリアセチルセルロース系フィルム(厚さ100μm)をそのまま使用した。
〔ポリビニルアルコール系フィルム(PVA系フィルム)〕
ポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸し、ヨウ素を吸着・配向させてなる偏光膜である、クラレ社製「VF−PS」フィルム(厚さ75μm)をそのまま使用した。
【0051】
《常態の接着強度》
前記方法で作製した光学積層フィルムを15mmの幅にカットして、24℃−50%RHの環境下で、引っ張り速度50mm/minで180度剥離試験を行った。
《湿熱経時後の接着強度》
前記方法で作製した光学積層フィルムを、60℃−95%RHの高温高湿条件下で200時間経時させた後、前記常態の接着強度と同様の方法で接着強度を測定した。
【0052】
《常態の全光透過率》
光学積層フィルムについて、JIS K 7361により、全光透過率を測定した。
《湿熱経時後の全光透過率》
前記、湿熱経時後の光学積層フィルムについて、JIS K 7361により、全光透過率を測定した。
《常態のヘイズ》
光学積層フィルムについて、JIS K 7136により、ヘイズを測定した。
《湿熱経時後のヘイズ》
前記、湿熱経時後の光学積層フィルムについて、JIS K 7136により、ヘイズを測定した。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミン価が3〜50(mgKOH/g)のポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを含有する接着剤から形成される硬化接着剤層(2)を介して、シクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、及びセルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルムと、ポリビニルアルコール系フィルムとが積層されてなる光学積層フィルム。
【請求項2】
ポリアミド樹脂とエポキシ化合物との割合が、ポリアミド樹脂/エポキシ化合物=60〜97/40〜3(重量比)であることを特徴とする請求項1記載の光学積層フィルム。
【請求項3】
シクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム及びセルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルム、硬化接着剤層(2)、及びポリビニルアルコール系フィルムが順次積層されてなる光学積層フィルムの製造方法であって、
ポリアミド樹脂とエポキシ化合物とを含有する接着剤を、シクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、及びセルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルムに塗布・乾燥し、硬化性接着剤層(1)を形成した後、該硬化性接着剤層(1)にポリビニルアルコール系フィルムを積層するか、
又は上記接着剤をポリビニルアルコール系フィルムに塗布・乾燥し、硬化性接着剤層(1)を形成した後、該硬化性接着剤層(1)に、シクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム及びセルロース系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性フィルムを積層し、
次いで該硬化性接着剤層(1)を硬化させることを特徴とする光学積層フィルムの製造方法。

【公開番号】特開2008−201111(P2008−201111A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43105(P2007−43105)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】