説明

光学装置

【課題】電磁駆動式でミラーを揺動させ、光ビームを偏向させる光学装置において、駆動コイルの最外周配線長を長くし、揺動可能に支持された可動部の駆動トルクを大きくする。
【解決手段】電磁駆動式の光学装置において、可動部と離反させて駆動コイル設置部を設置する。ミラーは可動部の上方に固定されており、駆動コイル設置部は、可動部の下方に設置され、接続部によって互いに固定されている。磁界中で駆動コイル設置部に配線された駆動コイルに電流が流れると、駆動コイル設置部にローレンツ力が作用し、接続部によって固定された可動部と駆動コイル設置部とは一体となって揺動する。駆動コイルが設置される駆動コイル設置部は、可動部と別に設置されているため、駆動コイル設置部の外周を可動部の外周より大きくし、駆動コイルの最外周配線長さを大きくすることができる。これによって、可動部の駆動トルクを大きくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁力によってミラーを揺動させることによって光ビームの反射方向を変化させる光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、図27に示す電磁駆動式の光学装置500が開示されている。光学装置500は、基板502、502と、可動部503と、可動部503を基板502、502に対して揺動可能に支持している1対の可撓梁504、504と、可動部503に固定されている駆動コイル521と、駆動コイル521の入出力端子523a、523bと、入出力端子523a、523bの間に接続されている駆動信号生成器540と、1対の磁石550、550を備えている。駆動コイル521は、可動部503の外周に沿って多重巻きに形成されている。可動部503の上面にはミラー(図示しない)が設置されている。
【0003】
1対の磁石550、550によって、矢印Bで示す方向に磁界が発生している。駆動コイル521に矢印Iで示す方向の電流を流すと、駆動コイル521に対して矢印Fで示す方向のローレンツ力が発生する。このローレンツ力によって、可動部503を一対の可撓梁504、504の周りに揺動させるトルクが得られる。このトルクによって一対の可撓梁504、504が捩れ、可動部503が1対の可撓梁504、504を揺動軸として揺動する。
【0004】
また特許文献2には、図28に示すように、可動部603を2軸駆動させることが可能なジンバル形式の梁を備えた電磁駆動式の光学装置600が開示されている。光学装置600は、基板602と、可動部603と、基板602からx方向に伸びている1対の第1可動梁604、604と、各々の第1可動梁604に先端に連接されているとともに枠形状をしている支持梁631と、支持梁631からy方向に伸びている1対の第2可動梁634、634を備えている。可動部603は1対の第2可動梁634、634によって支持されている。可動部603の上面にミラー605が固定されている。可動部603とミラー605は、1対の第1可動梁604、604によってX軸周りに揺動可能であり、1対の第2可動梁634、634によってY軸周りに揺動可能である。
【0005】
支持梁631の外周に沿って第1駆動コイル621が配線されている。可動部603の外周に沿って、第2駆動コイル625が配線されている。
【0006】
光学装置600にy軸方向に伸びる磁界が作られている状態で第1駆動コイル621に通電すると、第1駆動コイル621をx軸周りに揺動させるトルクが得られる。光学装置600にx軸方向に伸びる磁界が作られている状態で第2駆動コイル625に通電すると、第2駆動コイル625をy軸周りに揺動させるトルクが得られる。
【0007】
光学装置600では、光学装置600に加える磁界の方向と、通電する駆動コイルを選択することによって、可動部603をx軸の周りに揺動させることもできれば、y軸の周りに揺動させることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−76695号公報
【特許文献2】特開2003−270555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電磁駆動式の光学装置には、可動部を揺動させるトルクを大きくしたいとする要求がある。大きなトルクが得られれば、駆動電力を小さくすることができる。あるいは、ミラーの揺動角を大きくすることができる。駆動コイルの最外周配線長を長くすれば、大きなトルクを得ることができる。しかしながら、駆動コイルの最外周配線長は、駆動コイルを配線する面の外周によって制限される。
【0010】
特許文献1と特許文献2に記載されているように、駆動コイルが可動部に設置されていると(特許文献2の場合には第2駆動コイルが可動部に設置されている)、駆動コイルの最外周配線長は、ミラーの垂直方向から可動部を見たときの可動部の大きさによって制限される。しかしながら、可動部の大きさは、光学装置に要求される特性や用途等によって制限される。例えば、複数の光学装置を配置して画像を提供するミラーアレイを実現する場合、可動部を大きくすると画素が大きくなってしまう。可動部の大きさには制約がある。従来の技術では、種々の理由によって制約される可動部の大きさによって、得られる駆動トルクの大きさが制約されてしまう。
【0011】
本発明では、駆動コイルの最外周配線長を可動部の外周よりも大きくすることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の光学装置は、基板と、基板から伸びている梁と、梁によって基板に対して揺動可能に支持されている可動部と、可動部の上方に固定されているミラーと、可動部の下方に固定されている接続部と、接続部に固定されているとともに可動部の下方に位置している駆動コイル設置部と、駆動コイル設置部の外周に沿って固定されている駆動コイルを備えている。
【0013】
この光学装置を磁界中に置いて駆動コイルに通電すると、駆動コイルに駆動トルクが発生する。その結果、駆動コイル設置部と接続部と可動部とミラーが一体となって梁を変形させて基板に対して揺動する。ミラーに入射する光ビームの反射方向を変えることができる。
【0014】
駆動コイルを磁界中に置くために、例えば、光学装置内に1対の磁石を配置してもよい。あるいは、1対の磁石間に光学装置を置いてもよい。ミラーは可動部の上方に固定されていればよく、可動部の上面に直接的に固定されていてもよいし、他の部材を介して固定されていてもよい。可動部の上面が鏡面に仕上げられていてもよい。
【0015】
基板は、平板とその平板から突出している突出部を備えていることが好ましい。この場合、可動部の平板側を下方といい、その反対側を上方という。光ビームはミラーの上方からミラーに入射してミラーの上方に反射する。
【0016】
磁界中で駆動コイルに通電すると、駆動コイルにローレンツ力が発生し、駆動コイル設置部を揺動させるトルクが得られる。駆動コイル設置部と可動部は接続部によって固定されているため、駆動コイル設置部が揺動すれば、可動部とミラーも揺動する。
【0017】
本発明では、駆動コイル設置部が可動部と別に設置されているため、駆動コイル設置部の外周を可動部の外周より大きくすることができる。可動部の大きさに制約されないで、駆動コイルの最外周配線長を長くすることができる。
【0018】
ここで可動部が揺動するとは、可動部が基板に対して所定の軸の周りに所定の角度だけ回転することを意味し、可動部が傾斜して停止すること、および繰り返し揺動することの双方を含むものとする。
【0019】
本発明は、直交する2軸の周りにミラーを独立に揺動させる(X軸周りの揺動角を変えないで、Y軸周りの揺動角を変えることができ、Y軸周りの揺動角を変えないでX軸周りの揺動角を変えることができることを、2軸の周りに独立に揺動させると表現する)光学装置に適用することができる。すなわち、基板から第1方向に伸びている第1可撓梁と、第1可撓梁に連接している支持梁と、支持梁から第2方向(第1方向に直交している)に伸びているとともに可動部に連接している第2可撓梁を備えているジンバル形状の梁を利用する光学装置についても適用できる。
【0020】
この種の2軸駆動の光学装置の場合、支持梁の内側に可動部を配置することから可動部の大きさが小さくなりがちである。その結果、駆動コイル(特許文献2の場合には第2駆動コイル)も小さくなり、駆動トルク(特許文献2の場合にはy軸周りのトルク)も小さくなりがちである。本発明によると、駆動トルクが可動部の大きさに制約されない。可動部の大きさが小さくなりがちな2軸駆動の光学装置に本発明を適用すると顕著な効果が得られる。
【0021】
本発明の光学装置は、複数個を集積化してミラーアレイを構成するのに利用することができる。本発明のミラーアレイでは、ミラーの上面と駆動コイル設置部の上面との距離が異なる光学装置が互いに隣接するように設置されている。
【0022】
この場合、隣接する光学装置の駆動コイル設置部が同一平面上に揃わないようにすることができる。隣接する一方の光学装置の駆動コイル設置部を、隣接する他方の光学装置の駆動コイル設置部の上方または下方の領域にまで延ばすことができる。可動部よりも駆動コイル設置部の面積を大きくすることによって、開口率(基板の単位面積あたりのミラー面積の割合)が小さくなることを防止しつつ、大きな駆動トルクを得ることができる。本発明によると、例えばアレイを構成する個々のミラーを小型化して画素を緻密化し、しかも個々のミラーを小電力で大きく揺動させることができるミラーアレイを実現することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、可動部と離反して設置された駆動コイル設置部に駆動コイルを設置するために、駆動コイルの最外周配線長を、可動部の外周よりも大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1のミラーアレイの平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1に示すミラーアレイを構成する光学装置の斜視図である。
【図4】図3に示す光学装置の駆動コイル設置部の平面図である。
【図5】駆動コイル設置面を模式的に表す図である。
【図6】駆動コイル設置面を模式的に表す図である。
【図7】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図8】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図9】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図10】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図11】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図12】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図13】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図14】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図15】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図16】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図17】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図18】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図19】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図20】実施例1の光学装置の製造工程を説明する図である。
【図21】実施例2の光学装置の平面図である。
【図22】図21のXXII−XXII線断面図である。
【図23】実施例2の駆動コイル設置部を示す平面図である。
【図24】変形例のミラー設置部の平面図である。
【図25】変形例の可動部の平面図である。
【図26】図24および図25のXXVI−XXVI線断面図である。
【図27】従来例の光学装置を示す図である。
【図28】従来例の光学装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る好ましい実施形態は、例えば、下記に列挙する特徴を備えた実施例によって具現化される。
(特徴1)駆動コイル設置部と接続部と可動部は実質的に剛体であり、全体として一体に揺動する。すなわち、駆動コイル設置部と可動部の相対的変位角は、可撓梁の捩れ角に対して著しく小さい。
(特徴2)基板は、板状の下部基板と、柱状の上部基板によって構成されている。
(特徴3)光学装置内に1対の磁石が配置されている。
(特徴4)1対の磁石間に光学装置が配置されている。
(特徴5)1対の磁石間に複数の光学装置が配置されている。
(特徴6)2対の電磁石間に駆動コイルが配置されている。1対の電磁石は駆動コイルの周囲をX方向に伸びる磁界を生成し、他の1対の電磁石は駆動コイルの周囲をY方向に伸びる磁界を生成する。X方向に伸びる磁界を生成しておいて駆動コイルに通電するとミラーがY軸周りに揺動する。Y方向に伸びる磁界を生成しておいて駆動コイルに通電するとミラーがX軸周りに揺動する。
【実施例1】
【0026】
図1は、実施例1のミラーアレイ10を上面から見た平面図であり、図2は図1のII−II線断面図である。図1および図2に示すように、ミラーアレイ10は、下部基板11上に設置された光学装置200cと光学装置100と光学装置200dを備えている。ミラーアレイ10は、1対の永久磁石12、12を備えている。永久磁石12、12は、光学装置200c、100、200dのX方向の両サイドに配置されている。これによって、図1等のX方向の磁界を作ることができる。
【0027】
図3は、光学装置100の斜視図であり、図4は、駆動コイル設置部107および駆動コイル設置部107に配線された駆動コイル121の平面図である。図1〜図4に示すように、光学装置100は、下部基板11上に形成されており、下部基板11上に固定されている1対の上部基板102、102、可動部103、可動部103を揺動可能に支持する1対の可撓梁104、104を備えている。1対の可撓梁104、104は、1対の上部基板102、102の上端と可動部103を接続しており、可動部103は下部基板11から離反した高さに支持されている。可動部103は、1対の可撓梁104、104によって、下部基板11および上部基板102に対して揺動可能に支持されている。可動部103の上面にはミラー105が形成されている。可動部103の下面から下方に向けて接続部108が伸びている。接続部108の下端に駆動コイル設置部107が固定されている。駆動コイル設置部107は、可動部103とほぼ平行に伸びており、X方向の長さが可動部103よりも長い。可動部103と接続部108と駆動コイル設置部107は実質的に剛体であり、全体として一体に運動する。1対の可撓梁104、104は細長くてしなやかであり、比較的容易に捩れる。駆動コイル設置部107と接続部108と可動部103の各部と、それらが相互に接続する接続箇所は、可撓梁104に対して著しく剛性が高い。駆動コイル設置部107と接続部108と可動部103の相対的変位角は、可撓梁の捩れ角に対して著しく小さい。
【0028】
駆動コイル設置部107の上面に駆動コイル121が形成されている。図4に明瞭に示されているように、駆動コイル121は駆動コイル設置部107の外周に沿って、2周巻かれている。駆動コイル121は駆動コイル設置部107に固定されている。
【0029】
接続部108の内部を1対の配線124a、124bが縦方向に貫通している。配線124aの下端は駆動コイル121の一方の端部121aに導通し、配線124bの下端は駆動コイル121の他方の端部121bに導通している。一方の上部基板の102の上面に端子123aが固定されており、他方の上部基板の102の上面に端子123bが固定されている。端子123aと配線124aの間は配線122aで接続されており、端子123bと配線124bの間は配線122bで接続されている。入出力端子123a、123bの間に駆動信号生成器(図示しない)を接続し、例えば、駆動信号生成器によって電圧信号を出力することによって、駆動コイル121に電流を流すことができる。
【0030】
以下の記載において、共通事象を説明する場合には、添え字を省略することがある。例えば、1対の配線124a、124bはともに接続部108を貫通しているので、1対の配線124、124は接続部108を貫通していると説明することがある。さらに簡略化し、1対の配線124は接続部108を貫通していると説明することもある。
【0031】
図3に示すように、可撓梁104、104と垂直な方向(X方向)に伸びる磁界Bのなかで駆動コイル121に矢印Iで示す方向の電流を流すと、駆動コイル121のうちでY方向に伸びる部分において、矢印Fで示す方向にローレンツ力が発生する。この結果、駆動コイル設置部107をY軸周りに揺動させるトルクが発生する。
【0032】
駆動コイル設置部107と接続部108と可動部103は実質的に剛体であって相対変位しないことから、駆動コイル設置部107にY軸周りのトルクが作用すると、駆動コイル設置部107と接続部108と可動部103とミラー105の全体が一体となって、1対の可撓梁104、104を捩りながらY軸の周りに揺動する。
【0033】
図1に示すように、可動部103のY方向(磁界Bに垂直な方向)の幅はWである。図2に示すように、可動部103のX方向(磁界Bに平行な方向)の長さはLである。それに対して、駆動コイル設置部107のY方向の幅はWであり、駆動コイル設置部107のX方向の長さは2Lである。また、図2に示すように、ミラー105の上面と駆動コイル設置部107の上面との間の距離はH1である。接続部108に対して、可動部103と駆動コイル設置部107は左右対称である。
【0034】
ミラーアレイ10において、2つの光学装置200c、200dの各部は、同様の構成を備えている。光学装置200c、200dでは、接続部208の高さが、光学装置100の接続部108の高さよりも高い。この結果、ミラー205の上面と駆動コイル設置部207の上面との間の距離H2は、ミラー105の上面と駆動コイル設置部107の上面との間の距離H1に対して、H2>H1となっている。その他の構成については光学装置200c、200dと光学装置100の構成は同様であり、同一部材に付した符号の100番台を200番台に読み換えることにより、その説明を省略する。例えば、駆動コイル設置部207は駆動コイル設置部107と同一の構成であり、駆動コイル221は駆動コイル121と同様に配線されている。下部基板11の上面からミラー105の上面までの距離と、下部基板11の上面からミラー205までの距離は同じである。光学装置100と同様に、光学装置200を磁界中に配置して駆動コイル221に電流を流すことによって、可動部203を1対の可撓梁204、204の周りに揺動させることができる。
【0035】
図1と図2に示すように、ミラーアレイ10では、光学装置200cと光学装置100と光学装置200dがこの順序でX方向に配置されている。光学装置100のミラー105の上面と、光学装置200c、200dのミラー205の上面とは、同じ高さに揃っている。
【0036】
図1と図2に示すように、本実施例では、可動部103、203の上面から駆動コイル設置部107、207の上面までの距離H1、H2が互いに異なる光学装置100と光学装置200c、200dとを隣接させている。光学装置100の可動部103の上面から駆動コイル設置部107の上面までの距離H1と、光学装置200c、200dの可動部203の上面から駆動コイル設置部207の上面までの距離H2とは、H2>H1の関係にある。従って、光学装置100の駆動コイル設置部107と、光学装置200c、200dの駆動コイル設置部207とは、同一平面上には存在していない。これによって、光学装置200c、200dの可動部203と駆動コイル設置部207との間の空間に、光学装置100の駆動コイル設置部107を延長させることができる。また、光学装置200c、200dの駆動コイル設置部207は、光学装置100の駆動コイル設置部107と下部基板11との間の空間に延長させることができる。そのため、図1、図2に示すように、可動部103、203の間に大きな間隔を設けなくても、可動部103、203よりも面積の大きい駆動コイル設置部107、207を配置することができる。大きな駆動コイルを利用しながら、小さなミラーを隙間なく並べることができる。
【0037】
図1、図2に示すように、可撓梁104、204、204の長手方向と垂直な方向(X方向)に伸びる磁界B中で駆動コイル121、221、221に電流を流すことによって、光学装置100、200c、200dの可動部103、203、203を揺動させることができる。磁界を発生させる手段としては、上記において説明したように永久磁石を用いて常に磁界を発生させるようにしてもよい。あるいは電磁石を用いて必要に応じて磁界を発生させるようにしてもよい。また、ミラーアレイ10を構成するそれぞれの光学装置に対して磁界発生装置を設置してもよい。この場合、光学装置内に磁石を組み込んでもよい。あるいは1対の磁石の間に光学装置を配置してもよい。あるいはミラーアレイ10を構成する複数個の光学装置に共通する磁界を発生させる1つの磁界発生手段を複数個の光学装置によって共用してもよい。
【0038】
次に、駆動コイルを配線する面の面積を大きくした場合に、駆動トルクがどのように変化するかについて説明する。図5は長さが2L、幅がWの面の外周に沿って駆動コイルを1周だけ配線する場合を示している。図6は長さがL、幅がWの面の外周に沿って駆動コイルを配線する場合を示している。図5と図6に示すように、駆動コイルを配線する面の長さ方向の中央部の上方に、可動部の揺動軸が位置している。図5は、本実施例の駆動コイル設置部107に駆動コイルを1周だけ配線する場合を模式的に表しており、図6は、本実施例の可動部103に駆動コイルを1周だけ配線する場合を模式的に表している。
【0039】
同一材料、同一断面積の駆動コイルを図5と図6に示す面の外周に沿って配線すると、駆動コイルの配線長さは、配線する面の外周長さとほぼ同じとなる。駆動コイルの配線長さが、配線する面の外周長さに等しいと近似すると、駆動コイルの長さは、図5の場合には4L+2Wとなり、図6の場合には2L+2Wとなる。これに基づいて、図5に示す面に駆動コイルを設置した場合の駆動トルクTaと、図6に示す面に駆動コイルを設置した場合の駆動トルクTbとを比較する。
【0040】
図5の場合の駆動トルクTと、図6の場合の駆動トルクTはそれぞれ下式によって表すことができる。ここで、Iは図5に示す駆動コイルに流れる電流であり、Iは図6に示す駆動コイルに流れる電流である。尚、駆動トルクTは、可動部と駆動コイル設置部との距離には依存しない。
【0041】
【数1】

【0042】
駆動コイルの比抵抗をρ、配線長さをl、電流が流れる方向に垂直な断面積をsとすると、駆動コイルの抵抗Rは、R=ρ(l/s)によって求めることができる。従って、図5に示す駆動コイルの駆動電圧をV、図6に示す駆動コイルの駆動電圧をVとすると、オームの法則より、駆動電圧V、Vは、下式のように表すことができる。
【0043】
【数2】

【0044】
式(3)(4)から電流I、Iを求め、式(1)(2)に用いると、駆動電圧をV=V=Vとしたときに得られる駆動トルクT、Tは、それぞれ下記の式(5)(6)のとおりとなり、トルク比T/Tは式(7)によって求めることができる。
【0045】
【数3】

【0046】
式(7)に示すように、駆動コイルを配線する面の1辺の長さを可動部のそれの2倍にすることで、駆動トルクを大きくすることができる。例えば、上記の式(7)において、L=Wとすれば、T/T=4/3となり、同じ駆動電圧を与えた場合に、駆動トルクを30%以上大きくすることができる。さらに、同じ駆動電圧を与えた場合(V=V=V)に、図5に示す駆動コイルでの発熱量であるWと、図6に示す駆動コイルでの発熱量であるWを求めると、下式のようになる。
【0047】
【数4】

【0048】
式(10)に示すように、駆動コイルを配線する面の1辺の長さを可動部のそれの2倍にすることで、発熱量を小さくすることができる。例えば、上記の式(10)において、L=Wとすれば、発熱量比はW/W=2/3となり、同じ駆動電圧を与えた場合に、発熱量を30%以上小さくすることができる。
【0049】
上記のとおり、本実施例の光学装置によれば、駆動コイル設置部が可動部と別に設置されているため、駆動コイルの最外周配線長を可動部の外周より大きくすることができる。これによって、可動部を揺動させるトルクを大きくするとともに、駆動コイルの発熱量を小さくすることができる。
【0050】
本実施例では、駆動コイルの最外周配線長が可動部よりも大きい光学装置の複数個を集積化し、ミラーアレイとして用いている。本実施例のミラーアレイでは、ミラーの上面と駆動コイル設置部の上面との距離が互いに異なる光学装置を隣接させており、隣接する駆動コイル設置部が同一平面上に位置していない。これによって、可動部よりも面積の大きい駆動コイルを用いても隣接する可動部同士を近接して配置することができる。基板の単位面積あたりのミラーの面積(開口率)が小さくなり過ぎることがない。本実施例に係るミラーアレイを用いて、例えば、プロジェクタを構成すると、画素数を大きくすることと、消費電力を低減することと、ある程度の明るさを確保することを同時に実現することができる。
【0051】
次に、ミラーアレイ10の製造方法について、図7〜図20を用いて説明する。なお、ミラーアレイ10のその他の構成については、従来用いられている一般的なMEMS技術を用いた光学装置の製造方法を適用することができる。
【0052】
まず、材料基板301として、例えば単結晶シリコンから成る基板を準備する。次に、熱酸化等を行い、材料基板301の表面に酸化膜から成る絶縁層302を形成する。次に絶縁層302の表面に、例えば多結晶シリコンを用いて第1犠牲層303を形成し、さらに熱酸化を行い、第1犠牲層303の表面に絶縁層304を形成する。これによって、図7に示す積層体を得ることができる。
【0053】
次に、絶縁層304の表面に多結晶シリコン層305を形成した後、フォトエッチング(フォトリソグラフィーからエッチングまでの一連の処理を意味する)を行い、多結晶シリコン層305をパターニングする。多結晶シリコン層305は、光学装置200c、200dの駆動コイル設置部207、207の形状および大きさに応じてパターニングされる。次に、熱酸化等によって、多結晶シリコン層305の表面に絶縁層306を形成する。次に、Pt、Cu、Au等の金属を材料として第1金属層307を形成する。さらに、フォトエッチングにより、第1金属層307を駆動コイル221、221の形状および大きさにパターニングする。これによって、図8に示す積層体を得ることができる。
【0054】
次に、絶縁層304、306に対してフォトエッチングを行い、図9に示すように、第1犠牲層303を一部露出させる。絶縁層304、306は、多結晶シリコン層305の周囲を残して除去され、絶縁層304、306によって囲まれた多結晶シリコン層305が、光学装置200c、200dの駆動コイル設置部207、207となる。図9の状態の積層体の表面に、さらに、多結晶シリコンによって第2犠牲層309を形成し、さらに、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等によって第2犠牲層309の表面を平坦化する。その後、熱酸化等を行い、第2犠牲層309の表面に、酸化膜から成る絶縁層310を形成する。これによって、図10に示す積層体を得ることができる。
【0055】
次に、絶縁層310の表面に多結晶シリコン層311を形成し、フォトエッチングを行い、多結晶シリコン層311をパターニングする。多結晶シリコン層311は、光学装置100の駆動コイル設置部107の形状および大きさに応じてパターニングされる。次に、熱酸化等によって、多結晶シリコン層311の表面に絶縁層312を形成する。さらに、Pt、Cu、Au等の金属を材料として第2金属層313を形成し、フォトエッチングにより、第2金属層313を駆動コイル121の形状および大きさにパターニングする。これによって、図11に示す積層体を得ることができる。
【0056】
次に、絶縁層310、312に対してフォトエッチングを行い、図12に示すように、第2犠牲層309を一部露出させる。絶縁層310、312は、多結晶シリコン層311の周囲を残して除去され、絶縁層310、312によって囲まれた多結晶シリコン層311が、光学装置100の駆動コイル設置部107となる。図12の状態の積層体の表面に、さらに、多結晶シリコンによって第3犠牲層314を形成し、さらに、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等によって第3犠牲層314の表面を平坦化する。これによって、図13に示す積層体を得ることができる。
【0057】
次に、第2犠牲層309、第3犠牲層314に対してフォトエッチングを行い、光学装置100の接続部108、光学装置200c、200dの接続部208、208となる部分を取り除く。さらに、熱酸化等によって第2犠牲層309、第3犠牲層314の表面に絶縁層315を形成する。これによって、図14に示す積層体を得ることができる。図14に示すように、絶縁層306、312の一部と、その上面に設置された第1金属層307および第2金属層313の一部が露出した状態となる。
【0058】
図14の状態の積層体の表面に、多結晶シリコン層316を形成し、多結晶シリコン層316をCMPによって平坦化する。この工程において、第3犠牲層314の表面に形成された絶縁層315もCMPによって除去される。さらに、熱酸化等によって、積層体の表面に絶縁層317を形成する。これによって、図15に示す積層体を得ることができる。図15に示すように、接続部108、208、208となる部分の側面に形成された絶縁層315は残存している。
【0059】
次に、接続部108、208、208となる部分の一部に、配線124a、124b、224a、224b、224a、224bとなる部分を形成する。フォトエッチングによって多結晶シリコン層316、絶縁層317の一部を取り除き、第1金属層307、第2金属層313まで到達する孔部を形成する。孔部は、配線124a、124b、224a、224b、224a、224bを形成する部分に設置されている。さらに、形成した孔部にPt、Cu、Au等の金属によって第3金属層318を形成する。これによって、図16に示す積層体を得ることができる。
【0060】
図16に示す積層体の表面に、多結晶シリコン層319を形成し、さらに、フォトエッチングを行い、多結晶シリコン層319をパターニングする。多結晶シリコン層319は、光学装置100、200c、200dの可動部103、203、203の形状および大きさに応じてパターニングされる。その後、熱酸化等によって、積層体の表面を絶縁層320によって被覆すると、図17に示す積層体を得ることができる。
【0061】
次に、絶縁層317、320に対してフォトエッチングを行い、図18に示すように、第3犠牲層314を一部露出させる。絶縁層317、320によって囲まれた多結晶シリコン層319が、光学装置100、200c、200dの可動部103、203、203の一部となる。さらに、図18に示すように、絶縁層317、320、および多結晶シリコン層319に孔部を設置し、第3金属層318を積層体の上面側に露出させる。次に、図18に示す積層体の表面にAl、Au等の金属によって第4金属層321を形成する。第4金属層321に対してフォトエッチングを行い、ミラー105、205、205および入出力端子123a、123b、223a、223b、223a、223b、および配線122a、122b、222a、222b、222a、222bの形状および大きさに応じて第4金属層321をパターニングする。これによって、図19に示す状態の積層体を得ることができる。図19の状態の積層体に対して、XeFガスによる気相等方性エッチング等を行い、第1犠牲層303、第2犠牲層309、第3犠牲層314を除去する。これによって、図20に示すように、ミラーアレイ10を製造することができる。
【0062】
上記の製造方法によれば、一般的なMEMS製造技術を応用して本実施例に係るミラーアレイ10を製造することができる。従来の製造工程を大幅に変更する必要がないため、製造工程での手間やコスト、時間を大幅に増大させることなく、ミラーアレイ10を製造することが可能である。
【実施例2】
【0063】
図21は、本実施例に係る光学装置400の平面図であり、図22は、図21のXXII−XXII線断面図である。図21および図22に示すように、光学装置400は、下部基板41、1対の上部基板402、402、可動部403、可動部403を揺動可能に支持する梁432を備えている。梁432は、1対の上部基板402、402の上端からX方向に伸びる1対の第1可撓梁404、404と、1対の第1可撓梁404、404によって支持されている枠状の支持梁431と、枠状の支持梁431から支持梁431の内側にY方向に伸びる1対の第2可撓梁434、434とを備えている。1対の第2可撓梁434、434によって可動部403が支持されている。梁432はジンバル状であり、可動部403は下部基板41に対して、X軸周りに揺動することもできれば(第1可撓梁404が捩れる)、Y軸周りに揺動することもできる(第2可撓梁434が捩れる)。
【0064】
可動部403の上面にはミラー405が形成されている。可動部403の下面側には、駆動コイル設置部407が設置されており、可動部403の下面と駆動コイル設置部407の上面とは剛性の接続部408によって接続されている。
【0065】
図23は、駆動コイル設置部407の平面図である。図21〜図23に示すように、駆動コイル設置部407の上面には駆動コイル421が設置されている。上部基板402、402の上面には、駆動コイル421の入出力端子423a、423bが設置されており配線422a、422bによって、それぞれ接続部408を貫通する配線424a、424bに接続している。配線424aの下端は駆動コイル421aの一方の端部421aに導通しており、配線424bの下端は駆動コイル421bの一方の端部421bに導通している。駆動コイル421は、駆動コイル設置部407の外周に沿って2周巻かれている。実施例1と同様に、入出力端子423a、423bの間に駆動信号生成器(図示しない)を接続し、例えば、電圧信号を出力することによって、駆動コイル421に電流を流すことができる。図21等に示すように、可動部403の外周は1辺がL1の正方形の外周にほぼ等しく、駆動コイル設置部407の外周は1辺がL2の正方形の外周にほぼ等しい。図22から明らかに、駆動コイル421の最外周配線長は可動部403の外形形状の外周の長さよりも大きい。
【0066】
本実施例では、駆動コイル421に図23において矢印Iで示す方向の電流を流し、駆動コイル421の周囲に矢印B1で示す方向の磁界を作ると、駆動コイル421に矢印Fで示すローレンツ力が作用し、可動部403を1対の第2可撓梁434、434を揺動軸として揺動させることができる。また、駆動コイル421の周囲に矢印B2で示す方向の磁界を作ると、駆動コイル421に矢印Fとして示すローレンツ力が作用し、可動部403を1対の第1可撓梁404、404を揺動軸として揺動させることができる。駆動コイル421に電流を流し、磁界B1、B2の強さと向きを制御することによって、第2可撓梁434、434を揺動軸とした場合の可動部403の駆動トルクT、第1可撓梁404、404を揺動軸とした場合の可動部403の駆動トルクTを制御することができる。尚、本実施例においては、磁界を発生させる手段として、電磁石等の磁界の強さと向きを制御可能な手段を用いることが好ましい。
【0067】
なお、実施例1と同様に、駆動コイル設置部407と接続部408と可動部403の全体の剛性が高くて一体となって揺動するため、駆動コイル設置部407にローレンツ力が作用すると、可動部403と駆動コイル設置部407とが一体となって揺動する。接続部408は、駆動コイル設置部407にローレンツ力が作用した時に撓まない程度の剛性を備えている。
【0068】
本実施例の梁432は、X方向に伸びている第1可撓梁404、404と、Y方向に伸びている第2可撓梁434、434とを備えており、可動部403が互いに直交する2方向の揺動軸の周りに独立に揺動できる。この種の2軸揺動型の光学装置においても、駆動コイル設置部407と可動部403とを別に設置することによって、駆動コイル421の外周を可動部403の外周より大きくすることができる。駆動コイル421の外周を大きくすることができるため、可動部403を揺動させる駆動トルクを大きくすることができる。また、駆動コイル421における発熱量を小さくすることも可能である。
【0069】
また本実施例によれば、直交する2方向の揺動軸の周りに揺動する光学装置において、X軸周りに揺動させる場合にも、Y軸周りに揺動させる場合にも、同一の駆動コイルに電流を流す。磁界の強さを制御することで、X軸周りに揺動させたりY軸周りに揺動させたりできる。X方向に伸びる磁界B1の強さと、Y方向に伸びる磁界B2の強さを同一とすれば、駆動コイルに流す電流の大きさを変えないでも、X軸周りの駆動トルクの大きさとY軸周りの駆動トルクの大きさとを同等にすることができる。
【0070】
なお本実施例では、同一の駆動コイルに同一の電流を流し、磁界の強さと向きを制御することによって可動部の駆動トルクの方向と強さを制御する。これに代えて、磁界の大きさを一定とし、磁界の向きのみを変えて揺動方向を変えることもできる。この場合、X方向の磁界が作用する状態で駆動コイルに通電する電流量と、Y方向の磁界が作用する状態で駆動コイルに通電する電流量を変えることで、X軸周りのトルクとY軸周りのトルクを変えることができる。あるいは、駆動コイル設置部に2系列の駆動コイルを配線してもよい。可動部をX軸の周りの揺動させるための第1駆動コイルと、Y軸の周りの揺動させるための第2駆動コイルとがそれぞれ別に設けられていてもよい。このようにすれば、第1駆動コイルと第2駆動コイルの電流の向きや大きさを制御することによっても、可動部の駆動トルクを制御することが可能である。
【0071】
また、上記に説明した実施例1および2では、ミラーが可動部の上面に直接的に設置されていたが、ミラーが設置されているミラー設置面と、梁によって揺動可能に支持されている可動部とが別に設置されていてもよい。例えば、図24〜図26に示すように、光学装置400の可動部403の上面に、可動部403と離反してミラー設置部435が設置され、可動部403とミラー設置部435が剛性のミラー接続部448によって固定されていてもよい。可動部403とミラー設置部435が剛性のミラー接続部448によって固定されており、可動部403と駆動コイル設置部407が剛性の接続部408によって固定されていれば、駆動コイル設置部407と可動部403とミラー設置部435は一体となって揺動する。図24〜図26に示すように、ミラー405の面積を可動部403の面積よりも大きくすることができ、開口率をさらに高くすることができる。
【0072】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0073】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0074】
10 ミラーアレイ
11、41 下部基板
100、200c、200d、400 光学装置
102、202、402 上部基板
103、203、403 可動部
104、204 可撓梁
105、205、405 ミラー
107、207、407 駆動コイル設置部
108、208、408 接続部
121、221、421 駆動コイル
121a、121b、421a、421b 端部
123a、123b、223a、223b、423a、423b 入出力端子
124a、124b、224a、224b、424a、424b 配線
301 材料基板
302、304、306、310、312、315、317、320 絶縁層
303 第1犠牲層
305、311、316、319 多結晶シリコン層
306 絶縁層
307 第1金属層
309 第2犠牲層
313 第2金属層
314 第3犠牲層
318 第3金属層
321 第4金属層
404 第1可撓梁
431 支持梁
432 梁
434 第2可撓梁
435 ミラー設置部
448 ミラー接続部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板から伸びている梁と、
前記梁によって前記基板に対して揺動可能に支持されている可動部と、
前記可動部の上方に固定されているミラーと、
前記可動部の下方に固定されている接続部と、
前記接続部に固定されており、前記可動部の下方に位置している駆動コイル設置部と、
前記駆動コイル設置部の外周に沿って固定されている駆動コイルを備えており、
磁界中で前記駆動コイルに通電すると、前記の駆動コイル設置部と接続部と可動部とミラーが前記梁を変形させて前記基板に対して揺動することを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記梁が、
前記基板から第1方向に伸びている第1可撓梁と、
前記第1可撓梁に連接している支持梁と、
前記支持梁から前記第1方向に直交する第2方向に伸びているとともに、前記可動部に連接している第2可撓梁を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学装置を複数集積したミラーアレイであって、
前記複数の光学装置が、前記ミラーの上面と前記駆動コイル設置部の上面との距離が異なる光学装置が互いに隣接するように設置されていることを特徴とするミラーアレイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2010−181586(P2010−181586A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24531(P2009−24531)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】