光導波路デバイスおよびその製造方法
【課題】比較的簡単な構成および工程によって、基板上に並列して形成された2つの光導波路のうち一方の光導波路のみを切断する溝を有する光導波路デバイスの生産性を向上させる。
【解決手段】光導波路デバイスは、基板の上面に並列して形成された2つの光導波路のうち、一方の光導波路のみを切断する溝を有し、該溝は、基板の上面から底面まで貫通している。このような溝は、基板1の上面に並列して形成された2つの光導波路2,3のうち、切断しようとする一方の光導波路2が上側に、切断しない他方の光導波路3が下側に位置するように基板1の一方の側面を支持台4に固定し、ダイシングブレード5を基板1の底面側から上面側へと進行させることによって形成される。
【解決手段】光導波路デバイスは、基板の上面に並列して形成された2つの光導波路のうち、一方の光導波路のみを切断する溝を有し、該溝は、基板の上面から底面まで貫通している。このような溝は、基板1の上面に並列して形成された2つの光導波路2,3のうち、切断しようとする一方の光導波路2が上側に、切断しない他方の光導波路3が下側に位置するように基板1の一方の側面を支持台4に固定し、ダイシングブレード5を基板1の底面側から上面側へと進行させることによって形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信で用いられる光導波路デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニオブ酸リチウム(LiNbO3)やタンタル酸リチウム(LiTaO2)などの電気光学結晶を用いた光導波路デバイスは、結晶基板上の一部にチタン(Ti)等の金属膜を形成して熱拡散させるか、或いは、パターニング後に安息香酸中でプロトン交換するなどして光導波路を形成した後、その光導波路の近傍に電極を設けることで形成される。このような電気光学結晶を用いた光導波路デバイスとして、例えば、図14に示すような光変調器が知られている。
【0003】
図14において、基板100上に形成された光導波路は、入力導波路101、一対の分岐導波路102,103および出力導波路104からなり、一対の分岐導波路102,103上に信号電極105、接地電極106が設けられてコプレーナ電極を形成する。Zカット基板を用いる場合には、Z方向の電界による屈折率変化を利用するため、光導波路の真上に信号電極105、接地電極106を配置する。具体的には、分岐導波路102上に信号電極105を、分岐導波路103の上に接地電極106をパターニングする。ここで、分岐導波路102,103中を伝搬する光が、信号電極105および接地電極106によって吸収されるのを防ぐために、基板100と信号電極105および接地電極106との間には図示しないバッファ層が設けられる。バッファ層としては、厚さ0.2〜2(μm)の酸化シリコン(SiO2)等が用いられる。
【0004】
このような光変調器を高速で駆動する場合には、信号電極105の出力端105OUTを図示しない抵抗を介して接地電極106に接続することで進行波電極とし、信号電極105の入力端105INからマイクロ波電気信号を印加する。このとき、信号電極105と接地電極106との間で発生する電界によって、分岐導波路102,103の屈折率がそれぞれ+na,−nbのように変化し、分岐導波路102,103を伝搬する光の位相差が変化するため、マッハツェンダ干渉によって、強度変調された信号光が出力導波路104から出力される。
【0005】
なお、信号電極105の断面形状を変化させることでマイクロ波電気信号の実効屈折率を制御し、光とマイクロ波電気信号との速度を整合させることによって高速の光応答特性を得ることができる。
【0006】
こうした光変調器を2台用いて、図15に示すように、それぞれの出力光の偏波面が直交するように偏波ビームコンバイナ(PBC)に入力させて偏波多重通信用の送信器として構成することが提案されている。これを更に進め、2台の光変調器とPBCとを1つの基板上に形成してチップ化すれば、各光変調器とPBCとを光ファイバで接続させる必要がなくなり、また、送信機の小型化を図ることができる。
【0007】
但し、上記光変調器は、通常、変調効率のよいTMモードの光を変調するため、2台の光変調器の出力光の偏波面を直交するようにPBCに入力させるには、一方の光変調器の出力光の偏波面を90°回転させる必要がある。そのため、一方の光変調器の出力導波路を切断する溝を形成し、形成した溝に波長板を挿入することが考えられる。
【0008】
光導波路を切断する溝を形成する技術としては、従来からダイシング加工を用いるものが知られている(特許文献1、2等参照)。
【特許文献1】特開平7−56199号公報
【特許文献2】特開2000−121850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のダイシング加工による溝の形成は、図16に示すように、上面に光導波路(101〜104)が形成された基板100の底面をカッティングテーブル等の支持台4に固定し、ダイシングブレード5を基板100の側面から進行させるようにしていた。
【0010】
しかし、このような方法では次のような問題がある。
すなわち、上記のように、2台の光変調器を1チップ化した場合には、2台の光変調器の出力導波路が互いに近接することになる。そのため、従来のダイシング加工による溝の形成では、一方の光変調器の出力導波路のみを切断する溝を形成しようとする場合に、あやまって他方の光変調器の出力導波路を切ってしまうおそれがある。したがって、ダイシング工程(溝形成工程)の歩留まりが悪化したり、ダイシング加工に高い精度が要求されたりするなど光導波路デバイスの生産性の面で課題が残る。
【0011】
なお、このような問題は、上記のように2台の光変調器等を1チップ化する場合に限るものではなく、基板上に並列して形成された2つの光導波路のうち一方の光導波路のみを切断する溝を形成する場合に共通して生じるものであると言える。
【0012】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、比較的簡単な構成および工程によって、基板上に並列して形成された2つの光導波路のうち一方の光導波路のみを切断する溝を有する光導波路デバイスの生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明はその一態様として光導波路デバイスを提供する。この光導波路デバイスは、電気光学効果を有する基板と、該基板の上面に並列して形成された第1光導波路および第2光導波路とを備えると共に、前記第1光導波路および前記第2光導波路のうち前記第1光導波路のみを切断する溝を有し、該溝が前記基板の前記第1光導波路側の側面に形成されて前記基板の上面から底面まで貫通している。
【0014】
また、本発明は他の態様として偏波多重対応の光変調器として機能する光導波路デバイスを提供する。この光導波路デバイスは、電気光学効果を有する基板と、前記基板の上面に形成され、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第1光変調部と、前記基板の上面に前記第1光変調部と並列して形成され、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第2光変調部と、前記第1光変調部の出力導波路の途中に配置され、該出力導波路を伝搬する光のTM/TEモードを変換するモード変換素子と、前記基板の上面に形成され、前記モード変換素子を経た前記第1光変調部の出力光と前記第2光変調部の出力光とを偏波合成して偏波多重光を生成する合波部と、を備える。そして、前記モード変換素子は、前記基板の上面に形成された光導波路のうち前記第1光変調部の出力導波路のみを切断する溝に挿入され、該溝が前記基板の前記第1光変調部側の側面に形成されて前記基板の上面から底面まで貫通している。
【0015】
また、本発明は更に他の態様として光導波路デバイスの製造方法を提供する。この光導波路デバイスの製造方法は、電気光学効果を有する基板の上面に第1光導波路および第2光導波路を並列して形成する工程と、前記第1光導波路が上側に、前記第2光導波路が下側に位置するように前記基板の一方の側面を固定し、ダイシングソーを前記基板の上面側から底面側へと或いは前記基板の底面側から上面側へと進行させることにより、前記基板の他方の側面に、前記第1光導波路および前記第2光導波路のうちの前記第1光導波路のみを切断すると共に前記基板の上面から底面まで貫通する溝を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0016】
上記光導波路デバイスおよび光導波路デバイスの製造方法によれば、基板上に近接する2つの光導波路が形成されている場合においても、一方の光導波路のみを切断する溝を比較的容易に形成することができる。そのため、このような溝を有する光導波路デバイスの生産性を大幅に向上できる。
【0017】
また、1つの基板上に第1光変調部、第2光変調部および合波部を形成すると共に、第1光変調部の出力導波路のみを切断する溝を形成し該溝にモード変換素子を挿入することも比較的容易に行える。これにより、偏波多重対応の光変調器として機能する光導波路デバイス(チップ)を提供することが可能となり、従来に比べて、偏波多重通信用の送信機を大幅に小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず、基本的な考え方について説明する。
例えば、基板の上面に2つの光導波路を並列配置し、その一方の光導波路に波長板等の光学部品を配置して光導波路デバイスを構成する場合、該一方の光導波路のみを切断する溝を形成し、この形成した溝に光学部品を挿入することが考えられる。
【0019】
このような溝の形成は、ダイシング加工によって行われるのが一般的であるが、2つの光導波路が近接していることから、既述したように、従来のダイシング加工による溝の形成(図16参照)では、一方の光導波路を切断する溝を形成する際に、他方の光導波路をあやまって切ってしまうおそれがある。
【0020】
このような事態を防止するため、本発明では、従来のように、基板の底面をダイシングマシンの支持台に固定してダイシング加工を行うのではなく、90°回転させて基板の側面をダイシングマシンの支持台に固定してダイシング加工を行う。
【0021】
具体的には、図1に示すように、基板1の上面に並列して形成された2つの光導波路2,3のうち、切断しようとする一方の光導波路2が上側に、切断しない他方の光導波路3が下側に位置するように基板1の一方の側面をダイシングマシンの支持台4に固定する。そして、この状態でダイシングブレード5の上下方向の位置(高さ)を、上側に位置する光導波路2に合わせて調整し、その後、矢印Aで示すように、ダイシングブレード5を基板1の底面側から上面側へと進行させる。なお、ダイシングブレード5は基板1の底面側から上面側へと進行させるのが好ましいが、上面側から底面側へと進行させるようにしてもよい。これにより、基板1の他方の側面には、並列する2つの光導波路2,3のうち一方の光導波路2のみを切断し、かつ基板1の上面から底面まで貫通する溝が形成される。
【0022】
一般にダイシングブレード5の進行方向の制御を厳密に行うのは難しいが、上下方向(高さ)については比較的高い精度で設定することができる。そのため、上記した溝の形成方法および溝の形状を採用することにより、一方の光導波路2を切断しつつ、他方の光導波路3に損傷を与えることを効果的に防止することができる。この結果、ダイシング工程(溝形成工程)の歩留まりが向上し、並列する2つの光導波路の一方の光導波路のみを切断する溝を有する光導波路デバイスの生産性を大幅に向上させることができる。
【0023】
以下、本発明を適用した好ましい実施形態について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態による光導波路デバイスの構成を示す平面図である。この光導波路デバイスは、偏波多重対応の光変調器として構成されたものであり、入力光を2つの光変調部で変調すると共に、各光変調部の出力光の偏波面を直交させて合波部に入力し、該合波部で偏波合成を行って偏波多重光を出力する。
【0024】
図2において、本実施形態による光導波路デバイスは、電気光学効果を有する基板10と、基板10上に形成された第1光変調部20および第2光変調部30と、基板10上に形成された合波部40とを備える。
【0025】
基板10は、例えば、Zカットのニオブ酸リチウム(LiNbO3:LN)からなるLN基板である。なお、LN基板に代えてタンタル酸リチウム(LiTaO2:LT)からなるLT基板とすることも可能である。また、Zカットの基板に代えてXカットの基板を用いることもできる。
【0026】
第1光変調部20および第2光変調部30は実質的に同一の構成を有するものであり、基板10上に並列して形成されている。
第1光変調部20は、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極51および接地電極52とを含む。また、第2光変調部30は、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極53および接地電極52とを含む。ここで、本実施形態では、第1光変調部20の接地電極および第2光変調部30の接地電極として共通の接地電極52を用いているが、別々に設けるようにしてもよい。
【0027】
第1光変調部20の光導波路は、入力導波路21と、該入力導波路21から分岐した一対の分岐導波路22,23と、該一対の分岐導波路22,23が合流した出力導波路24とを有し、マッハツェンダ干渉計を構成している。同様に、第2光変調部30の光導波路は、入力導波路31と、該入力導波路31から分岐した一対の分岐導波路32,33と、該一対の分岐導波路32,33が合流した出力導波路34とを有し、マッハツェンダ干渉計を構成している。
【0028】
第1光変調部20の信号電極51は、第1光変調部20の一方の分岐導波路22の真上に沿って形成され、第2光変調部30の信号電極53は、第2光変調部30の一方の分岐導波路32の真上に沿って形成されている。また、第1光変調部20および第2光変調部30に共通して用いられる接地電極52は、第1光変調部20の信号電極51および第2光変調部30の信号電極53から隔離されると共に、第1光変調部20の他方の分岐導波路23および第2光変調部30の他方の分岐導波路33の真上に沿う部分を含んで形成されている。
【0029】
ここで、第1光変調部20の信号電極51は、その出力端51OUTが図示しない抵抗を介して接地電極52に接続されて第1光変調部20の進行波電極を構成し、入力端51INからマイクロ波電気信号が印加されるようになっている。また、第2光変調部30の信号電極53は、その出力端53OUTが図示しない抵抗を介して接地電極52に接続されて第2光変調部30の進行波電極を構成し、入力端53INからマイクロ波電気信号が印加されるようになっている。
【0030】
なお、図には示していないが、本実施形態による光導波路デバイスにおいても、第1光変調部20の信号電極51、接地電極52および第2光変調部30の信号電極53は、酸化シリコン(SiO2)等を用いたバッファ層を介して基板1(光導波路)の上に形成されている。
【0031】
合波部40は、偏波面が直交する2つの光を入力し、各光の偏波方向を保持しながら合波(偏波合成)して偏波多重光を生成する偏波ビームコンバイナ(PBC)として構成される。本実施形態おける合波部40は、X交差型の光導波路構造によって偏波ビームコンバイナ(PBC)としての機能を実現している。
【0032】
上記したように、本実施形態ではZカットのLN基板を用いており、第1光変調部20および第2光変調部30は変調効率のよいTMモードの光を変調する。そのため、合波部40に偏波面を直交する光を入力させるためには、第1光変調部20からの出力光または第2光変調部30からの出力光の偏波面を90°回転させる必要がある。
【0033】
この点、本実施形態による光導波路デバイスでは、第1光変調部20の出力導波路24の途中に、TEモードの光をTMモードに変換するモード変換素子として、光の偏波面を90°回転させる1/2波長板60が配置されている。具体的には、第1光変調部20の出力導波路24を切断する溝61を形成し、この形成した溝61に1/2波長板60を挿入して接着剤によって固定している。
【0034】
ここで、上記第1実施形態による光導波路デバイスの製造方法を簡単に説明する。
まず、光学研磨したLN基板1の上面に、チタン(Ti)等の金属膜を形成して熱拡散させるか、或いは、パターニング後に安息香酸中でプロトン交換するなどして光導波路、すなわち、第1光変調部20の光導波路(入力導波路21、分岐導波路22,23、出力導波路24)、第2光変調部30の光導波路(入力導波路31、分岐導波路32,33、出力導波路34)および合波部40を形成する。
【0035】
LN基板1への光導波路の形成が完了すると、LN基板1の上面に、例えばCVD法を用いてバッファ層を形成し、その後、バッファ層の上に第1光変調部20の信号電極51、接地電極52および第2光変調部30の信号電極53をパターニングによって形成する。これにより、LN基板1の上面には、2つの光変調部(第1光変調部20、第2光変調部30)と合波部40とが形成される。
【0036】
次いで、1/2波長板60を第1光変調部20の出力導波路24の途中に配置するため、該出力導波路24のみを切断する溝61を形成する。第1光変調部20の出力導波路24と第2光変調部30の出力導波路34とが近接しているため、本実施形態においても、図1で説明した方法で溝61を形成する。
【0037】
すなわち、第1光変調部20の出力導波路24が上側に、第2光変調部30の出力導波路34が下側に位置するように、基板10の一方の側面(基板10の第2光変調部30側の側面)をダイシングマシンの支持台に固定する。そして、ダイシングブレードの上下方向の位置(高さ)を、上側に位置する第1光変調部20の出力導波路24に合わせて調整し、その後、ダイシングマシンを動作させて、ダイシングブレードを基板10の底面側から上面側へ、或いは、基板10の上面側から底面側へと進行させる。
【0038】
これにより、基板10の他方の側面(基板10の第1光変調部20側の側面)には、第1光変調部20の出力導波路24のみを切断し、かつ、基板10の上面から底面まで貫通する溝61が形成される。ここで、反射戻り光を防止するため、溝61は、図3示すように、第1光変調部20の出力導波路24に対して垂直から所定角度θ(例えば、5°)だけ傾けて形成されるのが好ましい。
【0039】
そして、形成された溝61に、1/2波長板60を挿入し接着剤で固定して光導波路デバイスの製造を完了する。接着剤としては、光の損失を増加させないように、挿入される1/2波長板60の屈折率と実質的に等しい屈折率を有するものを用いる。
【0040】
次に、上記第1実施形態による光導波路デバイスの動作について図4を参照して説明する。まず、外部から第1光変調部20の入力導波路21および第2光変調部30の入力導波路31にそれぞれTMモードの光(CW光)が入力される。なお、第1光変調部20の入力導波路21および第2光変調部30の入力導波路31に入力される光は、例えば1つの光源からの出力光が図示しない分波器等によって分波されたものである。
【0041】
第1光変調部20の入力導波路21に入力された光は2つに分波されて分岐導波路22,23にそれぞれ送られる。ここで、第1光変調部20の信号電極51の入力端51INからマイクロ波電気信号としてデータ信号が印加されることにより、該データ信号に応じて強度変調された信号光(TMモード)が出力導波路24から出力される。この強度変調された信号光(TMモード)は、出力導波路24の途中に配置された1/2波長板60を通過する際にモード変換されてTEモードの信号光となる。
【0042】
同様に、第2光変調部30の入力導波路31に入力された光は2つに分波されて分岐導波路32,33にそれぞれ送られる。ここで、第1光変調部20と同様、第2光変調部30の信号電極53の入力端53INからマイクロ波電気信号としてデータ信号が印加されると、該データ信号に応じて強度変調された信号光(TMモード)が出力導波路34から出力される。
【0043】
そして、合波部40は、1/2波長板60を経た第1光変調部20からの出力光(TEモード)と、第2光変調部30からの出力光(TMモード)とを入力し、それぞれの偏波方向を保持しながら合波して偏波多重光を出力する。
【0044】
以上説明した本実施形態による光導波路デバイスは、1つの基板10上に第1光変調部20、第2光変調部30および合波部40が形成されると共に、第1光変調部20の出力導波路24のみを切断する溝61が形成され、この形成された溝61に1/2波長板60が挿入される。これにより、偏波多重通信用の送信機として用いることができ、従来に比べて、該送信機を大幅に小型化することができる。
【0045】
ここで、1/2波長板60が挿入される溝61は、第1光変調部20の出力導波路24が上側に、第2光変調部30の出力導波路34が下側に位置するように、基板10の一方の側面をダイシングマシンの支持台に固定し、ダイシングブレードを基板10の底面側から上面側へ或いは上面側から底面側へと進行させることによって形成される。このようにして形成された溝61は、第1光変調部20の出力導波路24のみを切断すると共に、基板10の第1光変調部20側の側面に形成されて基板10の上面から底面まで貫通するものとなる。このような溝61の形成方法および形状を採用することにより、ダイシング加工によって、第2光変調部30の出力導波路34を切り込むことなく、第1光変調部20の出力導波路24のみを切断する溝61の形成を容易に行うことができる。これにより、偏波多重通信に対応できる光導波路デバイスの生産性を大幅に向上できる。
【0046】
なお、上述した光導波路デバイスでは、TEモードの光をTMモードに変換するモード変換素子として1/2波長板60を用いている。但し、これに限るものではなく、例えば、光学的厚みが(N+1/2)波長(N=1,2,3,・・・)の波長板としたり、1/4波長板を2枚組み合わせたり、ファラデー回転子としたりしてもよい。
【0047】
次に、上記第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を図5〜図10に示す。
(第1変形例)上記第1実施形態による光導波路デバイスでは、2つの光が入力されるようになっているが、図5に示すように、入力光を2つに分波して第1光変調部20および第2光変調部30に供給する分波部70を基板10の上面にさらに形成してもよい。分波部70は、例えば導波路型の1×2カプラとして構成することができる。
【0048】
この場合において、分波部70は、第1光変調部20の光導波路、第2光変調部30の光導波路および合波部40と共に、LN基板10の上面に、チタン(Ti)等の金属膜を形成して熱拡散させるか、或いは、パターニング後に安息香酸中でプロトン交換するなどして形成される。
【0049】
このようにすると、1つの光源からの光を第1光変調部20および第2光変調部30に入力してそれぞれで強度変調することができる。ここで、分波部70の分波比は、1:1(3dB)としてもよいが、1/2波長板60や溝61による損失を考慮し、1/2波長板60を経た第1光変調部20からの出力光のパワーと、第2光変調部30からの出力光のパワーとが等しくなるように調整されているのが好ましい。この場合、分波部70の分波比は、第1光変調部20側が上記損失相当分だけ第2光変調部30側よりも大きくなる。
【0050】
(第2変形例)上述した溝の形成方法および溝の形状を採用した場合であっても、光導波路デバイスのより良好な生産性を確保するためには、第1光変調部20の出力導波路24と、第2光変調部30の出力導波路34との間隔が100(μm)以上あることが好ましい。そこで、必要に応じて、図6に示すように、第1光変調部20の出力導波路24および第2光変調部30の出力導波路34の少なくとも一方(図6では両方)を湾曲させて、両者の間隔を広げるようにしてもよい。この場合、溝61は、両出力導波路24,34の間隔が広がった位置(より好ましくは最も広がった位置)で第1光変調部20の出力導波路24を切断する。
【0051】
(第3変形例)上述した溝形成方法では、基板10の側面を上向きにしてダイシング加工を行うため、溝61を形成すべき位置(すなわち、ダイシングブレードの左右方向の位置)を定めるのが難しい。そこで、図7に示すように、基板10の上面の第1光変調部20側の縁部に、ダイシング加工を行う際の目印となる一対の切欠部12,12を予め形成しておくようにしてもよい。このように基板10の上面の縁部に形成された切欠部12,12は、基板10の側面側にも現れるため、ダイシング加工を行う際に、ダイシングブレードをこの切欠部12,12の間に位置するようにすれば、適切な位置に溝61を形成すること容易になる。このようにして形成された光導波路デバイスは、基板10の上面の第1光変調部20側に縁部に、溝61を挟む一対の切欠部12,12を有することになる。
【0052】
なお、切欠部12,12は、切削加工やドライエッチング等によって容易に形成することができ、その形成時期は問わない。すなわち、基板10上に光導波路を形成する前に切欠部12,12を形成してもよいし、基板10上に光導波路を形成した後または電極を形成した後に切欠部12,12を形成してもよい。
【0053】
ここで、第1光変調部20の出力導波路24および第2光変調部30の出力導波路34の少なくとも一方を湾曲させて互いの間隔を広げた場合には、両出力導波路24,34の間隔が最も広がった位置を挟むように切欠部12,12が形成される。これにより、ダイシング加工時に第2光変調部30の出力導波路34を損傷してしまう事態をより確実に回避することができる。
【0054】
(第4変形例)ダイシング加工によって溝61を形成する際に、第1光変調部20の出力導波路24にチッピングが生じたり、溝61の表面が荒れたりして、光の損失が増加する場合がある。これを防止するため、図8に示すように、光導波路が形成された基板10の上面に加工補助板(ヤトイ等)14を設けるようにしてもよい。このような加工補助板14は、通常、接着剤を用いて基板10の上面に取り付けられる。この場合には、図8に示すように、加工補助板12の上面(表面)から基板10の底面まで貫通する溝61が形成される。ここで、加工補助板14は、溝61を形成する直前に基板10の上面に取り付けられるのではなく、光導波路デバイスの導波路が露出する端面10aを形成する前に取り付けられるのが好ましい。このようにすると、1つの加工補助板14を、光導波路デバイスの端面形成時と溝形成時とに利用することができ、効率的である。
【0055】
(第5変形例)図9(a)に示すように、基板10の上面の、第1光変調部20の出力導波路24と、第2光変調部30の出力導波路34との間に位置する電極54を形成しておき、この電極54を溝61形成時に利用するようにしてもよい。好ましくは、該電極54が接地電極52を介して外部と導通するように、または、該電極54を接地電極52と一体に形成する。
【0056】
そして、溝61を形成するときには、例えば図9(b)に示すように、基板10の姿勢を保持する導電性(例えば、金属性)の保持部材7を介して電極54または接地電極52を外部(例えば、支持台4)と導通させ、ダイシングブレード5が外部(例えば、支持台4)と導通した時点で溝61の形成を終了するようにダイシングマシンをプログラミングしておく。このようにすると、第2光変調部30の出力導波路34を傷付けることをより確実に防止できる。このようにして形成された溝61は、図9(a)に示すように、電極54に達する深さを有することになる。
【0057】
(第6変形例)図10に示すように、第1光変調部20の信号電極51の入力端(信号入力端)51INと、第2光変調部30の信号電極53の入力端(信号入力端)53INとを、基板10の同一側面側(図では下側)に配置するようにしてもよい。このようにすると、2のコネクタをパッケージの同じ側に配置でき、よりコンパクトな実装が可能となる。
【0058】
なお、以上の各変形例は適宜組み合わせて実施することができる。
次に、本発明の他の実施形態による光導波路デバイスについて説明する。
図11は、本発明の第2実施形態による光導波路デバイスの構成を示す平面図である。この光導波路デバイスは、偏波多重RZ(Return to Zero)信号を生成できる光変調器として構成されている。
【0059】
上記第1実施形態による光導波路デバイスとの構成上の主な相違は、基板10の上面に、分波部80、第3光変調部90および合波/分波部95がさらに形成されていることである。それ以外の構成については上記第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、上記第1実施形態の各種変形例は、本実施形態について適用できるものとする。
【0060】
図11において、分波部80、第3光変調部90および合波/分波部95は、基板10の上面に並列配置された第1光変調部20および第2光変調部30よりも光の伝搬方向の上流側に配置される。
【0061】
分波部80は、入力光を2つに分波して第3光変調部90に供給するものであり、例えば導波路型の1×2カプラやY分岐導波路を用いることができ、また、導波路型の2×2カプラを利用することも可能である。
【0062】
第3光変調部90は、一対の分岐導波路92,93と、該一対の分岐導波路92,93を伝搬する光を変調するための信号電極55および接地電極52とを含んで構成される。第3光変調部90本実施形態おいても、第1光変調部20、第2光変調部30および第3光変調部90とで共通の接地電極52を用いているが、それぞれの接地電極を別々に設けるようにしてもよい。
【0063】
第3光変調部90の信号電極55は、第3光変調部90の一方の分岐導波路92の真上に沿って形成されている。接地電極52は、第1光変調部20の信号電極51、第2光変調部30の信号電極53および第3光変調部90の信号電極55から隔離されると共に、第1光変調部20の他方の分岐導波路23、第2光変調部30の他方の分岐導波路33および第3光変調部90の他方の分岐導波路93の真上に沿う部分を含んで形成されている。なお、第1光変調部30の信号電極51および第2光変調部50の信号電極53と同様、第3光変調部90の信号電極55の出力端55OUTも図示しない抵抗を介して接地電極52に接続されて第3光変調部90の進行波電極を構成しており、入力端55INからマイクロ波電気信号が印加されるようになっている。
【0064】
合波/分波部95は、例えば導波路型の2×2カプラであり、入力側が第3光変調部90の出力部、すなわち、一対の分岐導波路92,93の終端にそれぞれ接続され、出力側が第1光変調部20の入力導波路21、第2光変調部30の入力導波路31にそれぞれ接続されている。
【0065】
分波部80,第3光変調部90の一対の分岐導波路92,93および合波/分波部95は、第1光変調部20の光導波路、第2光変調部30の光導波路および合波部40と同様の方法で、第3光変調部90の信号電極55は、第1光変調部20の信号電極51、接地電極52および第2光変調部30に信号電極53と同様の方法で形成される。
【0066】
そして、本実施形態においては、TMモードの光(CW光)が入力されると、分波部80で2つに分波されて第3光変調部90の分岐導波路92,93にそれぞれ送られる。
第3光変調部90の信号電極55にはマイクロ波電気信号としてクロック信号が印加され、第1光変調部20の信号電極51および第2光変調部30の信号電極53にはマイクロ波電気信号としてNRZ(Non Return to Zero)データ信号が印加される。すなわち、第3光変調部90は、入力光をクロック信号で変調して光クロック信号を出力するクロック変調器として動作し、第1光変調部20および第2光変調部30は、それぞれ入力光(すなわち、第3光変調部90から出力された光クロック信号)をNRZデータ信号で変調して光RZ信号を出力するデータ変調器として動作する。
【0067】
合波部40は、1/2波長板60を経た第1光変調部20からの信号光(TEモード)と、第2光変調部50からの信号光(TMモード)とを入力し、それぞれの偏波方向を保持しながら合波して偏波多重RZ信号を生成し、これを出力する。
【0068】
ここで、合波/分波部(2×2カプラ)95は、第3光変調部90の一対の分岐導波路92,93をそれぞれ伝搬した光が入力されると、これらの光を合波して光クロック信号を生成し、さらに、該光クロック信号を分波して互いに位相が反転した光相補信号を出力する。このため、第1光変調部20、第2光変調部30には、それぞれクロック信号の半周期分だけタイミングのずれた光クロック信号が入力されることになる。
【0069】
この場合、例えば、第1光変調部20の信号電極51へのNRZデータ信号の入力タイミングと、第2光変調部30の信号電極53へのNRZデータ信号の入力タイミングとを、クロック信号の半周期分だけずらせばよいが、制御性の面などから、両信号電極51,53へのNRZデータ信号の入力タイミングを同じとするのが好ましい。
【0070】
そこで、本実施形態では、合波/分波部95の出力部(或いは、第3光変調部90の出力部)から第1光変調部20の相互作用部までの光導波路長(光の伝搬距離)と、合波/分波部95の出力部(或いは、第3光変調部90の出力部)から第2光変調部30の相互作用部までの光導波路長(光の伝搬距離)とが、クロック信号の半波長分だけ異なるようにしている。具体的には、本実施形態において、第1光変調部20と第2光変調部30とは、基板10上に並列配置されて実質的に同じ構成を有している(基板10上に対称配置されている)ことから、図11に示すように、第1光変調部20の信号電極51と、第2光変調部30の信号電極53とを、光の伝搬方向において、クロック信号の半波長分Dxだけずらして配置している。
【0071】
なお、光相互作用部とは、各光変調部においてマイクロ波電気信号と光とが相互作用する部分のことである。
以上説明した本実施形態による光導波路デバイスは、1つの基板10上に、第3光変調部90、合波/分波部95、第1光変調部20、第2光変調部30および合波部40が形成されると共に、第1光変調部20の出力導波路24のみを切断する溝61が形成され、この形成された溝61に1/2波長板60が挿入される。ここで、第3光変調部90はクロック信号によって駆動されるクロック変調器、第1光変調部20および第2光変調部30はNRZデータ信号によって駆動されるデータ変調器として構成されており、これにより、偏波多重RZ信号を生成できる光変調器を大幅に小型化できる。
【0072】
次に、上記第2実施形態による光導波路デバイスの変形例を図12、図13に示す。
(第1変形例)上記第2実施形態による光導波路デバイスにおいても、上記第1実施形態による光導波路デバイスにおける第6変形例(図10)と同様、第1光変調部20の信号電極51の入力端(信号入力端)51INと、第2光変調部30の信号電極53の入力端(信号入力端)53INとを、基板10の同一側面側に配置するようにしてもよい。
【0073】
この場合は、第3光変調部90の出力部から第1光変調部20および第2光変調部30のそれぞれの相互作用部にいたるまでの光学長の差と、電気信号の入力部(信号入力端)と相互作用部まで(すなわち、信号電極のフィーダ部)のマイクロ波電気信号の光学長の差を考慮して、次のようにして各部の長さを設定する。
【0074】
すなわち、まず、図12に示すように、第1光変調部20の信号電極51のフィーダ部の長さ(入力端51INから相互作用部までの長さ)をLf1、第2光変調部30の信号電極53のフィーダ部の長さ(入力端53INから相互作用部までの長さ)をLf2、第1光変調部20の信号電極51および第2光変調部30の信号電極53を伝搬するマイクロ波電気信号の実効屈折率をNeとする。また、第3光変調部90の出力部から第1光変調部20の相互作用部の始点(信号電極51の始点)までの長さをLo1、第3光変調部90の出力部から第2光変調部30の相互作用部の始点(信号電極53の始点)までの長さをLo2、第1光変調部20および第2光変調部30の光導波路を伝搬する光の実効屈折率をNoとする。
【0075】
第1変調部20の信号電極51のフィーダ部の光学長は(Ne×Lf1)、第2光変調部30の信号電極53のフィーダ部の光学長は(Ne×Lf2)、第3光変調部90から第1光変調部20までの光導波路の光学長は(No×Lo1)、第3光変調部90から第2光変調部30までの光導波路の光学長は(No×Lo2)となる。
【0076】
したがって、{No(Lo1−Lo2)−Ne(Lf1−Lf2)}がクロック信号の半波長c/(2f){c:光速、f:クロック周波数}の奇数倍になるとき、第1光変調部20の相互作用部の始点および第2光変調部30の相互作用部の始点におけるクロックのタイミングが一致する。
【0077】
よって、Nを整数として、次式を満たすように光導波路および電極の長さを設定する。
No(Lo1−Lo2)−Ne(Lf1−Lf2)=(2N+1)・c/(2f)
これにより、2のコネクタをパッケージの同じ側に配置でき、よりコンパクトな実装を可能としつつ、第1光変調器20および第2光変調器30へと同じタイミングでNRZデータを入力できる。
【0078】
(第2変形例)上記第2実施形態による光導波路デバイスでは、クロック変調器として動作する第3光変調部90と、データ変調器として動作する第1光変調部20および第2光変調部30とが直列に配置されているため、例えば光導波路デバイスの大きさ(チップサイズ)が限られている場合には、各光変調部の相互作用部(電極)の長さが短くなり、その結果、駆動電圧が大きくなってしまうおそれがある。
【0079】
そこで、図13に示すように、基板10の上面に第1光変調部20、第2光変調部30および第3光変調部90を並列して配置すると共に、第3光変調部90の出力部に接続された合波/分波部95の一方の出力部と第1光変調部20とを接続する光導波路、および、第3光変調部90の出力部に接続された合波/分波部95の他方の出力部と第2光変調部30とを接続する光導波路を、光の伝搬方向を折り返すように円弧状に形成された曲がり導波路96,97として構成してもよい。これにより、チップサイズに制限がある場合であっても、各光変調部の相互作用部の長さを確保して駆動電圧の増大を抑制できる。
【0080】
ここで、曲がり導波路96,97は、曲がり度合がきつくなる(曲率が大きくなる)と、伝搬する光の放射損失が増加する。そのため、本変形例では、曲がり導波路96,97のそれぞれの外周側に沿って円弧状の溝(円弧状溝)98,99が形成されている。これにより、曲がり導波路96,97内への光の閉じ込め効果が向上し、光の損失を抑制できる。なお、円弧状溝98,99の深さと、ダイシング加工を行う際の目印とする一対の切欠部12,12の深さとをほぼ等しくしておけば、両者を例えばエッチング処理によって一括して形成することができ、効率的である。
【0081】
さらに、上記第2実施形態による光導波路デバイスでは、データ変調器として動作する第1光変調部20および第2光変調部30をマッハツェンダ型の強度変調器としているが、これに限るものではない。第1光変調部20および第2光変調部30を位相変調器としたり、DQPSK(Differential Quandrature Phase Shift Keying)変調器としたりしてもよい。
【0082】
ここで、以上説明した実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0083】
(付記1)電気光学効果を有する基板と、該基板の上面に並列して形成された第1光導波路および第2光導波路と、を備えた光導波路デバイスにおいて、
前記第1光導波路および前記第2光導波路のうち、前記第1光導波路のみを切断する溝を有し、
前記溝は、前記基板の前記第1光導波路側の側面に形成されて前記基板の上面から底面まで貫通していることを特徴とする光導波路デバイス。
【0084】
(付記2)付記1記載の光導波路デバイスであって、
前記溝に光学部品が挿入されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0085】
(付記3)電気光学効果を有する基板と、
前記基板の上面に形成され、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第1光変調部と、
前記基板の上面に前記第1光変調部と並列して形成され、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第2光変調部と、
前記第1光変調部の出力導波路の途中に配置され、該出力導波路を伝搬する光のTM/TEモードを変換するモード変換素子と、
前記基板の上面に形成され、前記モード変換素子を経た前記第1光変調部の出力光と、前記第2光変調部の出力光とを偏波合成して偏波多重光を生成する合波部と、を備え、
前記モード変換素子は、前記基板の上面に形成された光導波路のうち、前記第1光変調部の出力導波路のみを切断する溝に挿入され、
前記溝は、前記基板の前記第1光変調部側の側面に形成されて前記基板の上面から底面まで貫通していることを特徴とする光導波路デバイス。
【0086】
(付記4)付記3記載の光導波路デバイスであって、
前記モード変換素子は、該モード変換素子の屈折率と実質的に等しい屈折率を有する接着剤によって固定されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0087】
(付記5)付記3または付記4記載の光導波路デバイスであって、
前記モード変換素子は、光の偏波面を90°回転させる1/2波長板であることを特徴とする導波路型光デバイス。
【0088】
(付記6)付記3〜5のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記溝は、前記第1光変調部の出力導波路に対して垂直から所定角度だけ傾斜していることを特徴とする光導波路デバイス。
【0089】
(付記7)付記3〜6のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に形成され、入力光を2つに分波して一方の光を前記第1光変調部に供給し、他方の光を前記第2光変調部に供給する分波部を備えることを特徴とする光導波路デバイス。
【0090】
(付記8)付記7記載の光導波路デバイスであって、
前記モード変換素子を経た前記第1光変調部の出力光のパワーと、前記第2光変調部の出力光のパワーとが等しくなるように、前記分波部の分波比が設定されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0091】
(付記9)付記3〜8のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記第1光変調部の出力導波路および前記第2光変調部の出力導波路の少なくとも一方が、互いの間隔を広げるように湾曲して形成され、
前記溝は、前記第1光変調部の出力導波路と前記第2光導波路の出力導波路との間隔が広がった位置で前記第1光変調部の出力導波路を切断していることを特徴とする光導波路デバイス。
【0092】
(付記10)付記3〜9のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面の前記第1光変調部側の縁部に、前記溝を挟む一対の切欠部を有することを特徴とする光導波路デバイス。
【0093】
(付記11)付記3〜10のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に加工補助板が取り付けられ、
前記溝は、前記加工補助板の上面から前記基板の底面まで貫通していることを特徴とする光導波路デバイス。
【0094】
(付記12)付記3〜11のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に形成され、前記第1光変調部の出力導波路と、前記第2光変調部の出力導波路との間の位置する電極を備え、
前記溝は、前記電極に達する深さを有して形成されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0095】
(付記13)付記12記載の光導波路デバイスであって、
前記電極は、前記第1光変調部の接地電極および前記第2光変調部の接地電極の少なくとも一方に導通していることを特徴とする光導波路デバイス。
【0096】
(付記14)付記3〜13のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記第1光変調部の信号電極の信号入力端と、前記第2光変調部の信号電極の信号入力端とが前記基板の同一側面側に配置されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0097】
(付記15)付記3〜14のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に形成され、一対の分岐導波路と、該一対の分岐導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第3光変調部と、
前記基板の上面に形成され、前記第3光変調部の一対の分岐導波路を伝搬した光を合波および分波して一方の光を前記第1光変調部に供給し、他方の光を前記第2光変調部に供給する合波/分波部と、
をさらに備えることを特徴とする光導波路デバイス。
【0098】
(付記16)付記15記載の光導波路デバイスであって、
前記第1光変調部および前記第2光変調部は、NRZデータ信号によって駆動されるデータ変調器として構成され、
前記第3光変調部は、クロック信号によって駆動されるクロック変調器として構成されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0099】
(付記17)付記16記載の光導波路デバイスであって、
前記合波/分波部は、互いに位相が反転した相補的な信号光を出力し、
前記第3光変調部の出力部から前記第1光変調部の相互作用部までの光導波路長と、前記第3光変調部の出力部から前記第2光変調部の相互作用部までの光導波路長とが、前記クロック信号の半周期分だけ異なることを特徴とする光導波路デバイス。
【0100】
(付記18)付記17記載の光導波路デバイスであって、
前記第3光変調部の出力部から前記第1光変調部までの光導波路長と、前記第3光変調部の出力部から前記第2光変調部までの光導波路長とが等しく形成され、
前記第1光変調部の信号電極と、前記第2光変調部の信号電極とが、光の伝搬方向において、前記クロック信号の半波長分だけずれて配置されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0101】
(付記19)付記16〜18のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記合波/分波部は、互いに位相が反転した相補的な信号光を出力し、
前記第1光変調部の信号電極のフィーダ部の長さをLf1、前記第2光変調部の信号電極のフィーダ部の長さをLf2、両フィーダ部を伝搬する前記マイクロ波電気信号の実効屈折率をNe、前記第3光変調部の出力部から前記第1光変調部の相互作用部までの光導波路の長さをLo1、前記第3光変調部の出力部から前記第2光変調部の相互作用部までの光導波路の長さをLo2、光導波路を伝搬する光の実効屈折率をNo、光速をc、前記クロック信号の周波数をfとしたときに、下記式を満たすことを特徴とする光導波路デバイス。
【0102】
No(Lo1−Lo2)−Ne(Lf1−Lf2)=(2N+1)・c/(2f)
但し、Nは整数
【0103】
(付記20)付記15〜19のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記第1光変調部、前記第2光変調部および前記第3光変調部が並列して配置されると共に、前記合波/分波部の一方の出力部と前記第1光変調部および前記合波/分波部の他方の出力部と第2光変調部とを、光の伝搬方向を折り返すように円弧状に形成された曲がり導波路によってそれぞれ接続したことを特徴とする光導波路デバイス。
【0104】
(付記21)付記20記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に、前記曲がり導波路のそれぞれの外側に沿って円弧状溝が形成されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0105】
(付記22)付記21記載の光導波路デバイスであって、
前記円弧状溝の深さと、前記一対の切欠部の深さとがほぼ等しいことを特徴とする光導波路デバイス。
【0106】
(付記23)電気光学効果を有する基板の上面に、並列する第1光導波路および第2光導波路を形成する工程と、
前記第1光導波路が上側に、前記第2光導波路が下側に位置するように前記基板の一方の側面を固定し、ダイシングソーを前記基板の上面側から底面側へ或いは前記基板の底面側から上面側へと進行させることにより、前記基板の他方の側面に、前記第1光導波路および前記第2光導波路のうちの前記第1光導波路のみを切断すると共に前記基板の上面から底面まで貫通する溝を形成する工程と、
を含む光導波路デバイスの製造方法。
【0107】
(付記24)付記23記載の光導波路デバイスの製造方法であって、
前記基板の上面の前記第1光導波路側の縁部に、一対の切欠部を形成する工程をさらに含み、
前記溝を形成する工程は、前記一対の切欠部の間に前記ダイシングソーを進行させて前記溝を形成することを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の基本的な考え方を説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施形態による光導波路デバイスの構成を示す平面図である。
【図3】第1実施形態による光導波路デバイスにおいて、第1光変調部の出力導波路を切断する溝を説明するための図である。
【図4】第1実施形態による光導波路デバイスの動作を説明するための図である。
【図5】第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図6】第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図7】第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図8】第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図9】第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図10】第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態による光導波路デバイスの構成を示す平面図である。
【図12】第2実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図13】第2実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図14】従来の光導波路デバイスの一例を示す図である。
【図15】従来の光変調器を2台用いて偏波多重通信用の送信機として構成した図である。
【図16】従来のダイシング加工による溝の形成方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0109】
4…支持台、5…ダイシングソー、10…基板、12…切欠部、14…加工補助板(ヤトイ)、20…第1光変調部、21…入力導波路、22,23…分岐導波路、24…出力導波路、30…第2光変調部、31…入力導波路、32,33…分岐導波路、34…出力導波路、40…合波部、51,53、55…信号電極、52…接地電極、54…電極、60…1/2波長板、61…溝、70…分波部、80…分波部、90…第3光変調部、92,93…分岐導波路、95…合波/分波部、96,97…曲がり導波路、98,99…円弧状溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信で用いられる光導波路デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニオブ酸リチウム(LiNbO3)やタンタル酸リチウム(LiTaO2)などの電気光学結晶を用いた光導波路デバイスは、結晶基板上の一部にチタン(Ti)等の金属膜を形成して熱拡散させるか、或いは、パターニング後に安息香酸中でプロトン交換するなどして光導波路を形成した後、その光導波路の近傍に電極を設けることで形成される。このような電気光学結晶を用いた光導波路デバイスとして、例えば、図14に示すような光変調器が知られている。
【0003】
図14において、基板100上に形成された光導波路は、入力導波路101、一対の分岐導波路102,103および出力導波路104からなり、一対の分岐導波路102,103上に信号電極105、接地電極106が設けられてコプレーナ電極を形成する。Zカット基板を用いる場合には、Z方向の電界による屈折率変化を利用するため、光導波路の真上に信号電極105、接地電極106を配置する。具体的には、分岐導波路102上に信号電極105を、分岐導波路103の上に接地電極106をパターニングする。ここで、分岐導波路102,103中を伝搬する光が、信号電極105および接地電極106によって吸収されるのを防ぐために、基板100と信号電極105および接地電極106との間には図示しないバッファ層が設けられる。バッファ層としては、厚さ0.2〜2(μm)の酸化シリコン(SiO2)等が用いられる。
【0004】
このような光変調器を高速で駆動する場合には、信号電極105の出力端105OUTを図示しない抵抗を介して接地電極106に接続することで進行波電極とし、信号電極105の入力端105INからマイクロ波電気信号を印加する。このとき、信号電極105と接地電極106との間で発生する電界によって、分岐導波路102,103の屈折率がそれぞれ+na,−nbのように変化し、分岐導波路102,103を伝搬する光の位相差が変化するため、マッハツェンダ干渉によって、強度変調された信号光が出力導波路104から出力される。
【0005】
なお、信号電極105の断面形状を変化させることでマイクロ波電気信号の実効屈折率を制御し、光とマイクロ波電気信号との速度を整合させることによって高速の光応答特性を得ることができる。
【0006】
こうした光変調器を2台用いて、図15に示すように、それぞれの出力光の偏波面が直交するように偏波ビームコンバイナ(PBC)に入力させて偏波多重通信用の送信器として構成することが提案されている。これを更に進め、2台の光変調器とPBCとを1つの基板上に形成してチップ化すれば、各光変調器とPBCとを光ファイバで接続させる必要がなくなり、また、送信機の小型化を図ることができる。
【0007】
但し、上記光変調器は、通常、変調効率のよいTMモードの光を変調するため、2台の光変調器の出力光の偏波面を直交するようにPBCに入力させるには、一方の光変調器の出力光の偏波面を90°回転させる必要がある。そのため、一方の光変調器の出力導波路を切断する溝を形成し、形成した溝に波長板を挿入することが考えられる。
【0008】
光導波路を切断する溝を形成する技術としては、従来からダイシング加工を用いるものが知られている(特許文献1、2等参照)。
【特許文献1】特開平7−56199号公報
【特許文献2】特開2000−121850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のダイシング加工による溝の形成は、図16に示すように、上面に光導波路(101〜104)が形成された基板100の底面をカッティングテーブル等の支持台4に固定し、ダイシングブレード5を基板100の側面から進行させるようにしていた。
【0010】
しかし、このような方法では次のような問題がある。
すなわち、上記のように、2台の光変調器を1チップ化した場合には、2台の光変調器の出力導波路が互いに近接することになる。そのため、従来のダイシング加工による溝の形成では、一方の光変調器の出力導波路のみを切断する溝を形成しようとする場合に、あやまって他方の光変調器の出力導波路を切ってしまうおそれがある。したがって、ダイシング工程(溝形成工程)の歩留まりが悪化したり、ダイシング加工に高い精度が要求されたりするなど光導波路デバイスの生産性の面で課題が残る。
【0011】
なお、このような問題は、上記のように2台の光変調器等を1チップ化する場合に限るものではなく、基板上に並列して形成された2つの光導波路のうち一方の光導波路のみを切断する溝を形成する場合に共通して生じるものであると言える。
【0012】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、比較的簡単な構成および工程によって、基板上に並列して形成された2つの光導波路のうち一方の光導波路のみを切断する溝を有する光導波路デバイスの生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明はその一態様として光導波路デバイスを提供する。この光導波路デバイスは、電気光学効果を有する基板と、該基板の上面に並列して形成された第1光導波路および第2光導波路とを備えると共に、前記第1光導波路および前記第2光導波路のうち前記第1光導波路のみを切断する溝を有し、該溝が前記基板の前記第1光導波路側の側面に形成されて前記基板の上面から底面まで貫通している。
【0014】
また、本発明は他の態様として偏波多重対応の光変調器として機能する光導波路デバイスを提供する。この光導波路デバイスは、電気光学効果を有する基板と、前記基板の上面に形成され、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第1光変調部と、前記基板の上面に前記第1光変調部と並列して形成され、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第2光変調部と、前記第1光変調部の出力導波路の途中に配置され、該出力導波路を伝搬する光のTM/TEモードを変換するモード変換素子と、前記基板の上面に形成され、前記モード変換素子を経た前記第1光変調部の出力光と前記第2光変調部の出力光とを偏波合成して偏波多重光を生成する合波部と、を備える。そして、前記モード変換素子は、前記基板の上面に形成された光導波路のうち前記第1光変調部の出力導波路のみを切断する溝に挿入され、該溝が前記基板の前記第1光変調部側の側面に形成されて前記基板の上面から底面まで貫通している。
【0015】
また、本発明は更に他の態様として光導波路デバイスの製造方法を提供する。この光導波路デバイスの製造方法は、電気光学効果を有する基板の上面に第1光導波路および第2光導波路を並列して形成する工程と、前記第1光導波路が上側に、前記第2光導波路が下側に位置するように前記基板の一方の側面を固定し、ダイシングソーを前記基板の上面側から底面側へと或いは前記基板の底面側から上面側へと進行させることにより、前記基板の他方の側面に、前記第1光導波路および前記第2光導波路のうちの前記第1光導波路のみを切断すると共に前記基板の上面から底面まで貫通する溝を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0016】
上記光導波路デバイスおよび光導波路デバイスの製造方法によれば、基板上に近接する2つの光導波路が形成されている場合においても、一方の光導波路のみを切断する溝を比較的容易に形成することができる。そのため、このような溝を有する光導波路デバイスの生産性を大幅に向上できる。
【0017】
また、1つの基板上に第1光変調部、第2光変調部および合波部を形成すると共に、第1光変調部の出力導波路のみを切断する溝を形成し該溝にモード変換素子を挿入することも比較的容易に行える。これにより、偏波多重対応の光変調器として機能する光導波路デバイス(チップ)を提供することが可能となり、従来に比べて、偏波多重通信用の送信機を大幅に小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
まず、基本的な考え方について説明する。
例えば、基板の上面に2つの光導波路を並列配置し、その一方の光導波路に波長板等の光学部品を配置して光導波路デバイスを構成する場合、該一方の光導波路のみを切断する溝を形成し、この形成した溝に光学部品を挿入することが考えられる。
【0019】
このような溝の形成は、ダイシング加工によって行われるのが一般的であるが、2つの光導波路が近接していることから、既述したように、従来のダイシング加工による溝の形成(図16参照)では、一方の光導波路を切断する溝を形成する際に、他方の光導波路をあやまって切ってしまうおそれがある。
【0020】
このような事態を防止するため、本発明では、従来のように、基板の底面をダイシングマシンの支持台に固定してダイシング加工を行うのではなく、90°回転させて基板の側面をダイシングマシンの支持台に固定してダイシング加工を行う。
【0021】
具体的には、図1に示すように、基板1の上面に並列して形成された2つの光導波路2,3のうち、切断しようとする一方の光導波路2が上側に、切断しない他方の光導波路3が下側に位置するように基板1の一方の側面をダイシングマシンの支持台4に固定する。そして、この状態でダイシングブレード5の上下方向の位置(高さ)を、上側に位置する光導波路2に合わせて調整し、その後、矢印Aで示すように、ダイシングブレード5を基板1の底面側から上面側へと進行させる。なお、ダイシングブレード5は基板1の底面側から上面側へと進行させるのが好ましいが、上面側から底面側へと進行させるようにしてもよい。これにより、基板1の他方の側面には、並列する2つの光導波路2,3のうち一方の光導波路2のみを切断し、かつ基板1の上面から底面まで貫通する溝が形成される。
【0022】
一般にダイシングブレード5の進行方向の制御を厳密に行うのは難しいが、上下方向(高さ)については比較的高い精度で設定することができる。そのため、上記した溝の形成方法および溝の形状を採用することにより、一方の光導波路2を切断しつつ、他方の光導波路3に損傷を与えることを効果的に防止することができる。この結果、ダイシング工程(溝形成工程)の歩留まりが向上し、並列する2つの光導波路の一方の光導波路のみを切断する溝を有する光導波路デバイスの生産性を大幅に向上させることができる。
【0023】
以下、本発明を適用した好ましい実施形態について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態による光導波路デバイスの構成を示す平面図である。この光導波路デバイスは、偏波多重対応の光変調器として構成されたものであり、入力光を2つの光変調部で変調すると共に、各光変調部の出力光の偏波面を直交させて合波部に入力し、該合波部で偏波合成を行って偏波多重光を出力する。
【0024】
図2において、本実施形態による光導波路デバイスは、電気光学効果を有する基板10と、基板10上に形成された第1光変調部20および第2光変調部30と、基板10上に形成された合波部40とを備える。
【0025】
基板10は、例えば、Zカットのニオブ酸リチウム(LiNbO3:LN)からなるLN基板である。なお、LN基板に代えてタンタル酸リチウム(LiTaO2:LT)からなるLT基板とすることも可能である。また、Zカットの基板に代えてXカットの基板を用いることもできる。
【0026】
第1光変調部20および第2光変調部30は実質的に同一の構成を有するものであり、基板10上に並列して形成されている。
第1光変調部20は、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極51および接地電極52とを含む。また、第2光変調部30は、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極53および接地電極52とを含む。ここで、本実施形態では、第1光変調部20の接地電極および第2光変調部30の接地電極として共通の接地電極52を用いているが、別々に設けるようにしてもよい。
【0027】
第1光変調部20の光導波路は、入力導波路21と、該入力導波路21から分岐した一対の分岐導波路22,23と、該一対の分岐導波路22,23が合流した出力導波路24とを有し、マッハツェンダ干渉計を構成している。同様に、第2光変調部30の光導波路は、入力導波路31と、該入力導波路31から分岐した一対の分岐導波路32,33と、該一対の分岐導波路32,33が合流した出力導波路34とを有し、マッハツェンダ干渉計を構成している。
【0028】
第1光変調部20の信号電極51は、第1光変調部20の一方の分岐導波路22の真上に沿って形成され、第2光変調部30の信号電極53は、第2光変調部30の一方の分岐導波路32の真上に沿って形成されている。また、第1光変調部20および第2光変調部30に共通して用いられる接地電極52は、第1光変調部20の信号電極51および第2光変調部30の信号電極53から隔離されると共に、第1光変調部20の他方の分岐導波路23および第2光変調部30の他方の分岐導波路33の真上に沿う部分を含んで形成されている。
【0029】
ここで、第1光変調部20の信号電極51は、その出力端51OUTが図示しない抵抗を介して接地電極52に接続されて第1光変調部20の進行波電極を構成し、入力端51INからマイクロ波電気信号が印加されるようになっている。また、第2光変調部30の信号電極53は、その出力端53OUTが図示しない抵抗を介して接地電極52に接続されて第2光変調部30の進行波電極を構成し、入力端53INからマイクロ波電気信号が印加されるようになっている。
【0030】
なお、図には示していないが、本実施形態による光導波路デバイスにおいても、第1光変調部20の信号電極51、接地電極52および第2光変調部30の信号電極53は、酸化シリコン(SiO2)等を用いたバッファ層を介して基板1(光導波路)の上に形成されている。
【0031】
合波部40は、偏波面が直交する2つの光を入力し、各光の偏波方向を保持しながら合波(偏波合成)して偏波多重光を生成する偏波ビームコンバイナ(PBC)として構成される。本実施形態おける合波部40は、X交差型の光導波路構造によって偏波ビームコンバイナ(PBC)としての機能を実現している。
【0032】
上記したように、本実施形態ではZカットのLN基板を用いており、第1光変調部20および第2光変調部30は変調効率のよいTMモードの光を変調する。そのため、合波部40に偏波面を直交する光を入力させるためには、第1光変調部20からの出力光または第2光変調部30からの出力光の偏波面を90°回転させる必要がある。
【0033】
この点、本実施形態による光導波路デバイスでは、第1光変調部20の出力導波路24の途中に、TEモードの光をTMモードに変換するモード変換素子として、光の偏波面を90°回転させる1/2波長板60が配置されている。具体的には、第1光変調部20の出力導波路24を切断する溝61を形成し、この形成した溝61に1/2波長板60を挿入して接着剤によって固定している。
【0034】
ここで、上記第1実施形態による光導波路デバイスの製造方法を簡単に説明する。
まず、光学研磨したLN基板1の上面に、チタン(Ti)等の金属膜を形成して熱拡散させるか、或いは、パターニング後に安息香酸中でプロトン交換するなどして光導波路、すなわち、第1光変調部20の光導波路(入力導波路21、分岐導波路22,23、出力導波路24)、第2光変調部30の光導波路(入力導波路31、分岐導波路32,33、出力導波路34)および合波部40を形成する。
【0035】
LN基板1への光導波路の形成が完了すると、LN基板1の上面に、例えばCVD法を用いてバッファ層を形成し、その後、バッファ層の上に第1光変調部20の信号電極51、接地電極52および第2光変調部30の信号電極53をパターニングによって形成する。これにより、LN基板1の上面には、2つの光変調部(第1光変調部20、第2光変調部30)と合波部40とが形成される。
【0036】
次いで、1/2波長板60を第1光変調部20の出力導波路24の途中に配置するため、該出力導波路24のみを切断する溝61を形成する。第1光変調部20の出力導波路24と第2光変調部30の出力導波路34とが近接しているため、本実施形態においても、図1で説明した方法で溝61を形成する。
【0037】
すなわち、第1光変調部20の出力導波路24が上側に、第2光変調部30の出力導波路34が下側に位置するように、基板10の一方の側面(基板10の第2光変調部30側の側面)をダイシングマシンの支持台に固定する。そして、ダイシングブレードの上下方向の位置(高さ)を、上側に位置する第1光変調部20の出力導波路24に合わせて調整し、その後、ダイシングマシンを動作させて、ダイシングブレードを基板10の底面側から上面側へ、或いは、基板10の上面側から底面側へと進行させる。
【0038】
これにより、基板10の他方の側面(基板10の第1光変調部20側の側面)には、第1光変調部20の出力導波路24のみを切断し、かつ、基板10の上面から底面まで貫通する溝61が形成される。ここで、反射戻り光を防止するため、溝61は、図3示すように、第1光変調部20の出力導波路24に対して垂直から所定角度θ(例えば、5°)だけ傾けて形成されるのが好ましい。
【0039】
そして、形成された溝61に、1/2波長板60を挿入し接着剤で固定して光導波路デバイスの製造を完了する。接着剤としては、光の損失を増加させないように、挿入される1/2波長板60の屈折率と実質的に等しい屈折率を有するものを用いる。
【0040】
次に、上記第1実施形態による光導波路デバイスの動作について図4を参照して説明する。まず、外部から第1光変調部20の入力導波路21および第2光変調部30の入力導波路31にそれぞれTMモードの光(CW光)が入力される。なお、第1光変調部20の入力導波路21および第2光変調部30の入力導波路31に入力される光は、例えば1つの光源からの出力光が図示しない分波器等によって分波されたものである。
【0041】
第1光変調部20の入力導波路21に入力された光は2つに分波されて分岐導波路22,23にそれぞれ送られる。ここで、第1光変調部20の信号電極51の入力端51INからマイクロ波電気信号としてデータ信号が印加されることにより、該データ信号に応じて強度変調された信号光(TMモード)が出力導波路24から出力される。この強度変調された信号光(TMモード)は、出力導波路24の途中に配置された1/2波長板60を通過する際にモード変換されてTEモードの信号光となる。
【0042】
同様に、第2光変調部30の入力導波路31に入力された光は2つに分波されて分岐導波路32,33にそれぞれ送られる。ここで、第1光変調部20と同様、第2光変調部30の信号電極53の入力端53INからマイクロ波電気信号としてデータ信号が印加されると、該データ信号に応じて強度変調された信号光(TMモード)が出力導波路34から出力される。
【0043】
そして、合波部40は、1/2波長板60を経た第1光変調部20からの出力光(TEモード)と、第2光変調部30からの出力光(TMモード)とを入力し、それぞれの偏波方向を保持しながら合波して偏波多重光を出力する。
【0044】
以上説明した本実施形態による光導波路デバイスは、1つの基板10上に第1光変調部20、第2光変調部30および合波部40が形成されると共に、第1光変調部20の出力導波路24のみを切断する溝61が形成され、この形成された溝61に1/2波長板60が挿入される。これにより、偏波多重通信用の送信機として用いることができ、従来に比べて、該送信機を大幅に小型化することができる。
【0045】
ここで、1/2波長板60が挿入される溝61は、第1光変調部20の出力導波路24が上側に、第2光変調部30の出力導波路34が下側に位置するように、基板10の一方の側面をダイシングマシンの支持台に固定し、ダイシングブレードを基板10の底面側から上面側へ或いは上面側から底面側へと進行させることによって形成される。このようにして形成された溝61は、第1光変調部20の出力導波路24のみを切断すると共に、基板10の第1光変調部20側の側面に形成されて基板10の上面から底面まで貫通するものとなる。このような溝61の形成方法および形状を採用することにより、ダイシング加工によって、第2光変調部30の出力導波路34を切り込むことなく、第1光変調部20の出力導波路24のみを切断する溝61の形成を容易に行うことができる。これにより、偏波多重通信に対応できる光導波路デバイスの生産性を大幅に向上できる。
【0046】
なお、上述した光導波路デバイスでは、TEモードの光をTMモードに変換するモード変換素子として1/2波長板60を用いている。但し、これに限るものではなく、例えば、光学的厚みが(N+1/2)波長(N=1,2,3,・・・)の波長板としたり、1/4波長板を2枚組み合わせたり、ファラデー回転子としたりしてもよい。
【0047】
次に、上記第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を図5〜図10に示す。
(第1変形例)上記第1実施形態による光導波路デバイスでは、2つの光が入力されるようになっているが、図5に示すように、入力光を2つに分波して第1光変調部20および第2光変調部30に供給する分波部70を基板10の上面にさらに形成してもよい。分波部70は、例えば導波路型の1×2カプラとして構成することができる。
【0048】
この場合において、分波部70は、第1光変調部20の光導波路、第2光変調部30の光導波路および合波部40と共に、LN基板10の上面に、チタン(Ti)等の金属膜を形成して熱拡散させるか、或いは、パターニング後に安息香酸中でプロトン交換するなどして形成される。
【0049】
このようにすると、1つの光源からの光を第1光変調部20および第2光変調部30に入力してそれぞれで強度変調することができる。ここで、分波部70の分波比は、1:1(3dB)としてもよいが、1/2波長板60や溝61による損失を考慮し、1/2波長板60を経た第1光変調部20からの出力光のパワーと、第2光変調部30からの出力光のパワーとが等しくなるように調整されているのが好ましい。この場合、分波部70の分波比は、第1光変調部20側が上記損失相当分だけ第2光変調部30側よりも大きくなる。
【0050】
(第2変形例)上述した溝の形成方法および溝の形状を採用した場合であっても、光導波路デバイスのより良好な生産性を確保するためには、第1光変調部20の出力導波路24と、第2光変調部30の出力導波路34との間隔が100(μm)以上あることが好ましい。そこで、必要に応じて、図6に示すように、第1光変調部20の出力導波路24および第2光変調部30の出力導波路34の少なくとも一方(図6では両方)を湾曲させて、両者の間隔を広げるようにしてもよい。この場合、溝61は、両出力導波路24,34の間隔が広がった位置(より好ましくは最も広がった位置)で第1光変調部20の出力導波路24を切断する。
【0051】
(第3変形例)上述した溝形成方法では、基板10の側面を上向きにしてダイシング加工を行うため、溝61を形成すべき位置(すなわち、ダイシングブレードの左右方向の位置)を定めるのが難しい。そこで、図7に示すように、基板10の上面の第1光変調部20側の縁部に、ダイシング加工を行う際の目印となる一対の切欠部12,12を予め形成しておくようにしてもよい。このように基板10の上面の縁部に形成された切欠部12,12は、基板10の側面側にも現れるため、ダイシング加工を行う際に、ダイシングブレードをこの切欠部12,12の間に位置するようにすれば、適切な位置に溝61を形成すること容易になる。このようにして形成された光導波路デバイスは、基板10の上面の第1光変調部20側に縁部に、溝61を挟む一対の切欠部12,12を有することになる。
【0052】
なお、切欠部12,12は、切削加工やドライエッチング等によって容易に形成することができ、その形成時期は問わない。すなわち、基板10上に光導波路を形成する前に切欠部12,12を形成してもよいし、基板10上に光導波路を形成した後または電極を形成した後に切欠部12,12を形成してもよい。
【0053】
ここで、第1光変調部20の出力導波路24および第2光変調部30の出力導波路34の少なくとも一方を湾曲させて互いの間隔を広げた場合には、両出力導波路24,34の間隔が最も広がった位置を挟むように切欠部12,12が形成される。これにより、ダイシング加工時に第2光変調部30の出力導波路34を損傷してしまう事態をより確実に回避することができる。
【0054】
(第4変形例)ダイシング加工によって溝61を形成する際に、第1光変調部20の出力導波路24にチッピングが生じたり、溝61の表面が荒れたりして、光の損失が増加する場合がある。これを防止するため、図8に示すように、光導波路が形成された基板10の上面に加工補助板(ヤトイ等)14を設けるようにしてもよい。このような加工補助板14は、通常、接着剤を用いて基板10の上面に取り付けられる。この場合には、図8に示すように、加工補助板12の上面(表面)から基板10の底面まで貫通する溝61が形成される。ここで、加工補助板14は、溝61を形成する直前に基板10の上面に取り付けられるのではなく、光導波路デバイスの導波路が露出する端面10aを形成する前に取り付けられるのが好ましい。このようにすると、1つの加工補助板14を、光導波路デバイスの端面形成時と溝形成時とに利用することができ、効率的である。
【0055】
(第5変形例)図9(a)に示すように、基板10の上面の、第1光変調部20の出力導波路24と、第2光変調部30の出力導波路34との間に位置する電極54を形成しておき、この電極54を溝61形成時に利用するようにしてもよい。好ましくは、該電極54が接地電極52を介して外部と導通するように、または、該電極54を接地電極52と一体に形成する。
【0056】
そして、溝61を形成するときには、例えば図9(b)に示すように、基板10の姿勢を保持する導電性(例えば、金属性)の保持部材7を介して電極54または接地電極52を外部(例えば、支持台4)と導通させ、ダイシングブレード5が外部(例えば、支持台4)と導通した時点で溝61の形成を終了するようにダイシングマシンをプログラミングしておく。このようにすると、第2光変調部30の出力導波路34を傷付けることをより確実に防止できる。このようにして形成された溝61は、図9(a)に示すように、電極54に達する深さを有することになる。
【0057】
(第6変形例)図10に示すように、第1光変調部20の信号電極51の入力端(信号入力端)51INと、第2光変調部30の信号電極53の入力端(信号入力端)53INとを、基板10の同一側面側(図では下側)に配置するようにしてもよい。このようにすると、2のコネクタをパッケージの同じ側に配置でき、よりコンパクトな実装が可能となる。
【0058】
なお、以上の各変形例は適宜組み合わせて実施することができる。
次に、本発明の他の実施形態による光導波路デバイスについて説明する。
図11は、本発明の第2実施形態による光導波路デバイスの構成を示す平面図である。この光導波路デバイスは、偏波多重RZ(Return to Zero)信号を生成できる光変調器として構成されている。
【0059】
上記第1実施形態による光導波路デバイスとの構成上の主な相違は、基板10の上面に、分波部80、第3光変調部90および合波/分波部95がさらに形成されていることである。それ以外の構成については上記第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、上記第1実施形態の各種変形例は、本実施形態について適用できるものとする。
【0060】
図11において、分波部80、第3光変調部90および合波/分波部95は、基板10の上面に並列配置された第1光変調部20および第2光変調部30よりも光の伝搬方向の上流側に配置される。
【0061】
分波部80は、入力光を2つに分波して第3光変調部90に供給するものであり、例えば導波路型の1×2カプラやY分岐導波路を用いることができ、また、導波路型の2×2カプラを利用することも可能である。
【0062】
第3光変調部90は、一対の分岐導波路92,93と、該一対の分岐導波路92,93を伝搬する光を変調するための信号電極55および接地電極52とを含んで構成される。第3光変調部90本実施形態おいても、第1光変調部20、第2光変調部30および第3光変調部90とで共通の接地電極52を用いているが、それぞれの接地電極を別々に設けるようにしてもよい。
【0063】
第3光変調部90の信号電極55は、第3光変調部90の一方の分岐導波路92の真上に沿って形成されている。接地電極52は、第1光変調部20の信号電極51、第2光変調部30の信号電極53および第3光変調部90の信号電極55から隔離されると共に、第1光変調部20の他方の分岐導波路23、第2光変調部30の他方の分岐導波路33および第3光変調部90の他方の分岐導波路93の真上に沿う部分を含んで形成されている。なお、第1光変調部30の信号電極51および第2光変調部50の信号電極53と同様、第3光変調部90の信号電極55の出力端55OUTも図示しない抵抗を介して接地電極52に接続されて第3光変調部90の進行波電極を構成しており、入力端55INからマイクロ波電気信号が印加されるようになっている。
【0064】
合波/分波部95は、例えば導波路型の2×2カプラであり、入力側が第3光変調部90の出力部、すなわち、一対の分岐導波路92,93の終端にそれぞれ接続され、出力側が第1光変調部20の入力導波路21、第2光変調部30の入力導波路31にそれぞれ接続されている。
【0065】
分波部80,第3光変調部90の一対の分岐導波路92,93および合波/分波部95は、第1光変調部20の光導波路、第2光変調部30の光導波路および合波部40と同様の方法で、第3光変調部90の信号電極55は、第1光変調部20の信号電極51、接地電極52および第2光変調部30に信号電極53と同様の方法で形成される。
【0066】
そして、本実施形態においては、TMモードの光(CW光)が入力されると、分波部80で2つに分波されて第3光変調部90の分岐導波路92,93にそれぞれ送られる。
第3光変調部90の信号電極55にはマイクロ波電気信号としてクロック信号が印加され、第1光変調部20の信号電極51および第2光変調部30の信号電極53にはマイクロ波電気信号としてNRZ(Non Return to Zero)データ信号が印加される。すなわち、第3光変調部90は、入力光をクロック信号で変調して光クロック信号を出力するクロック変調器として動作し、第1光変調部20および第2光変調部30は、それぞれ入力光(すなわち、第3光変調部90から出力された光クロック信号)をNRZデータ信号で変調して光RZ信号を出力するデータ変調器として動作する。
【0067】
合波部40は、1/2波長板60を経た第1光変調部20からの信号光(TEモード)と、第2光変調部50からの信号光(TMモード)とを入力し、それぞれの偏波方向を保持しながら合波して偏波多重RZ信号を生成し、これを出力する。
【0068】
ここで、合波/分波部(2×2カプラ)95は、第3光変調部90の一対の分岐導波路92,93をそれぞれ伝搬した光が入力されると、これらの光を合波して光クロック信号を生成し、さらに、該光クロック信号を分波して互いに位相が反転した光相補信号を出力する。このため、第1光変調部20、第2光変調部30には、それぞれクロック信号の半周期分だけタイミングのずれた光クロック信号が入力されることになる。
【0069】
この場合、例えば、第1光変調部20の信号電極51へのNRZデータ信号の入力タイミングと、第2光変調部30の信号電極53へのNRZデータ信号の入力タイミングとを、クロック信号の半周期分だけずらせばよいが、制御性の面などから、両信号電極51,53へのNRZデータ信号の入力タイミングを同じとするのが好ましい。
【0070】
そこで、本実施形態では、合波/分波部95の出力部(或いは、第3光変調部90の出力部)から第1光変調部20の相互作用部までの光導波路長(光の伝搬距離)と、合波/分波部95の出力部(或いは、第3光変調部90の出力部)から第2光変調部30の相互作用部までの光導波路長(光の伝搬距離)とが、クロック信号の半波長分だけ異なるようにしている。具体的には、本実施形態において、第1光変調部20と第2光変調部30とは、基板10上に並列配置されて実質的に同じ構成を有している(基板10上に対称配置されている)ことから、図11に示すように、第1光変調部20の信号電極51と、第2光変調部30の信号電極53とを、光の伝搬方向において、クロック信号の半波長分Dxだけずらして配置している。
【0071】
なお、光相互作用部とは、各光変調部においてマイクロ波電気信号と光とが相互作用する部分のことである。
以上説明した本実施形態による光導波路デバイスは、1つの基板10上に、第3光変調部90、合波/分波部95、第1光変調部20、第2光変調部30および合波部40が形成されると共に、第1光変調部20の出力導波路24のみを切断する溝61が形成され、この形成された溝61に1/2波長板60が挿入される。ここで、第3光変調部90はクロック信号によって駆動されるクロック変調器、第1光変調部20および第2光変調部30はNRZデータ信号によって駆動されるデータ変調器として構成されており、これにより、偏波多重RZ信号を生成できる光変調器を大幅に小型化できる。
【0072】
次に、上記第2実施形態による光導波路デバイスの変形例を図12、図13に示す。
(第1変形例)上記第2実施形態による光導波路デバイスにおいても、上記第1実施形態による光導波路デバイスにおける第6変形例(図10)と同様、第1光変調部20の信号電極51の入力端(信号入力端)51INと、第2光変調部30の信号電極53の入力端(信号入力端)53INとを、基板10の同一側面側に配置するようにしてもよい。
【0073】
この場合は、第3光変調部90の出力部から第1光変調部20および第2光変調部30のそれぞれの相互作用部にいたるまでの光学長の差と、電気信号の入力部(信号入力端)と相互作用部まで(すなわち、信号電極のフィーダ部)のマイクロ波電気信号の光学長の差を考慮して、次のようにして各部の長さを設定する。
【0074】
すなわち、まず、図12に示すように、第1光変調部20の信号電極51のフィーダ部の長さ(入力端51INから相互作用部までの長さ)をLf1、第2光変調部30の信号電極53のフィーダ部の長さ(入力端53INから相互作用部までの長さ)をLf2、第1光変調部20の信号電極51および第2光変調部30の信号電極53を伝搬するマイクロ波電気信号の実効屈折率をNeとする。また、第3光変調部90の出力部から第1光変調部20の相互作用部の始点(信号電極51の始点)までの長さをLo1、第3光変調部90の出力部から第2光変調部30の相互作用部の始点(信号電極53の始点)までの長さをLo2、第1光変調部20および第2光変調部30の光導波路を伝搬する光の実効屈折率をNoとする。
【0075】
第1変調部20の信号電極51のフィーダ部の光学長は(Ne×Lf1)、第2光変調部30の信号電極53のフィーダ部の光学長は(Ne×Lf2)、第3光変調部90から第1光変調部20までの光導波路の光学長は(No×Lo1)、第3光変調部90から第2光変調部30までの光導波路の光学長は(No×Lo2)となる。
【0076】
したがって、{No(Lo1−Lo2)−Ne(Lf1−Lf2)}がクロック信号の半波長c/(2f){c:光速、f:クロック周波数}の奇数倍になるとき、第1光変調部20の相互作用部の始点および第2光変調部30の相互作用部の始点におけるクロックのタイミングが一致する。
【0077】
よって、Nを整数として、次式を満たすように光導波路および電極の長さを設定する。
No(Lo1−Lo2)−Ne(Lf1−Lf2)=(2N+1)・c/(2f)
これにより、2のコネクタをパッケージの同じ側に配置でき、よりコンパクトな実装を可能としつつ、第1光変調器20および第2光変調器30へと同じタイミングでNRZデータを入力できる。
【0078】
(第2変形例)上記第2実施形態による光導波路デバイスでは、クロック変調器として動作する第3光変調部90と、データ変調器として動作する第1光変調部20および第2光変調部30とが直列に配置されているため、例えば光導波路デバイスの大きさ(チップサイズ)が限られている場合には、各光変調部の相互作用部(電極)の長さが短くなり、その結果、駆動電圧が大きくなってしまうおそれがある。
【0079】
そこで、図13に示すように、基板10の上面に第1光変調部20、第2光変調部30および第3光変調部90を並列して配置すると共に、第3光変調部90の出力部に接続された合波/分波部95の一方の出力部と第1光変調部20とを接続する光導波路、および、第3光変調部90の出力部に接続された合波/分波部95の他方の出力部と第2光変調部30とを接続する光導波路を、光の伝搬方向を折り返すように円弧状に形成された曲がり導波路96,97として構成してもよい。これにより、チップサイズに制限がある場合であっても、各光変調部の相互作用部の長さを確保して駆動電圧の増大を抑制できる。
【0080】
ここで、曲がり導波路96,97は、曲がり度合がきつくなる(曲率が大きくなる)と、伝搬する光の放射損失が増加する。そのため、本変形例では、曲がり導波路96,97のそれぞれの外周側に沿って円弧状の溝(円弧状溝)98,99が形成されている。これにより、曲がり導波路96,97内への光の閉じ込め効果が向上し、光の損失を抑制できる。なお、円弧状溝98,99の深さと、ダイシング加工を行う際の目印とする一対の切欠部12,12の深さとをほぼ等しくしておけば、両者を例えばエッチング処理によって一括して形成することができ、効率的である。
【0081】
さらに、上記第2実施形態による光導波路デバイスでは、データ変調器として動作する第1光変調部20および第2光変調部30をマッハツェンダ型の強度変調器としているが、これに限るものではない。第1光変調部20および第2光変調部30を位相変調器としたり、DQPSK(Differential Quandrature Phase Shift Keying)変調器としたりしてもよい。
【0082】
ここで、以上説明した実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0083】
(付記1)電気光学効果を有する基板と、該基板の上面に並列して形成された第1光導波路および第2光導波路と、を備えた光導波路デバイスにおいて、
前記第1光導波路および前記第2光導波路のうち、前記第1光導波路のみを切断する溝を有し、
前記溝は、前記基板の前記第1光導波路側の側面に形成されて前記基板の上面から底面まで貫通していることを特徴とする光導波路デバイス。
【0084】
(付記2)付記1記載の光導波路デバイスであって、
前記溝に光学部品が挿入されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0085】
(付記3)電気光学効果を有する基板と、
前記基板の上面に形成され、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第1光変調部と、
前記基板の上面に前記第1光変調部と並列して形成され、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第2光変調部と、
前記第1光変調部の出力導波路の途中に配置され、該出力導波路を伝搬する光のTM/TEモードを変換するモード変換素子と、
前記基板の上面に形成され、前記モード変換素子を経た前記第1光変調部の出力光と、前記第2光変調部の出力光とを偏波合成して偏波多重光を生成する合波部と、を備え、
前記モード変換素子は、前記基板の上面に形成された光導波路のうち、前記第1光変調部の出力導波路のみを切断する溝に挿入され、
前記溝は、前記基板の前記第1光変調部側の側面に形成されて前記基板の上面から底面まで貫通していることを特徴とする光導波路デバイス。
【0086】
(付記4)付記3記載の光導波路デバイスであって、
前記モード変換素子は、該モード変換素子の屈折率と実質的に等しい屈折率を有する接着剤によって固定されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0087】
(付記5)付記3または付記4記載の光導波路デバイスであって、
前記モード変換素子は、光の偏波面を90°回転させる1/2波長板であることを特徴とする導波路型光デバイス。
【0088】
(付記6)付記3〜5のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記溝は、前記第1光変調部の出力導波路に対して垂直から所定角度だけ傾斜していることを特徴とする光導波路デバイス。
【0089】
(付記7)付記3〜6のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に形成され、入力光を2つに分波して一方の光を前記第1光変調部に供給し、他方の光を前記第2光変調部に供給する分波部を備えることを特徴とする光導波路デバイス。
【0090】
(付記8)付記7記載の光導波路デバイスであって、
前記モード変換素子を経た前記第1光変調部の出力光のパワーと、前記第2光変調部の出力光のパワーとが等しくなるように、前記分波部の分波比が設定されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0091】
(付記9)付記3〜8のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記第1光変調部の出力導波路および前記第2光変調部の出力導波路の少なくとも一方が、互いの間隔を広げるように湾曲して形成され、
前記溝は、前記第1光変調部の出力導波路と前記第2光導波路の出力導波路との間隔が広がった位置で前記第1光変調部の出力導波路を切断していることを特徴とする光導波路デバイス。
【0092】
(付記10)付記3〜9のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面の前記第1光変調部側の縁部に、前記溝を挟む一対の切欠部を有することを特徴とする光導波路デバイス。
【0093】
(付記11)付記3〜10のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に加工補助板が取り付けられ、
前記溝は、前記加工補助板の上面から前記基板の底面まで貫通していることを特徴とする光導波路デバイス。
【0094】
(付記12)付記3〜11のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に形成され、前記第1光変調部の出力導波路と、前記第2光変調部の出力導波路との間の位置する電極を備え、
前記溝は、前記電極に達する深さを有して形成されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0095】
(付記13)付記12記載の光導波路デバイスであって、
前記電極は、前記第1光変調部の接地電極および前記第2光変調部の接地電極の少なくとも一方に導通していることを特徴とする光導波路デバイス。
【0096】
(付記14)付記3〜13のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記第1光変調部の信号電極の信号入力端と、前記第2光変調部の信号電極の信号入力端とが前記基板の同一側面側に配置されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0097】
(付記15)付記3〜14のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に形成され、一対の分岐導波路と、該一対の分岐導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第3光変調部と、
前記基板の上面に形成され、前記第3光変調部の一対の分岐導波路を伝搬した光を合波および分波して一方の光を前記第1光変調部に供給し、他方の光を前記第2光変調部に供給する合波/分波部と、
をさらに備えることを特徴とする光導波路デバイス。
【0098】
(付記16)付記15記載の光導波路デバイスであって、
前記第1光変調部および前記第2光変調部は、NRZデータ信号によって駆動されるデータ変調器として構成され、
前記第3光変調部は、クロック信号によって駆動されるクロック変調器として構成されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0099】
(付記17)付記16記載の光導波路デバイスであって、
前記合波/分波部は、互いに位相が反転した相補的な信号光を出力し、
前記第3光変調部の出力部から前記第1光変調部の相互作用部までの光導波路長と、前記第3光変調部の出力部から前記第2光変調部の相互作用部までの光導波路長とが、前記クロック信号の半周期分だけ異なることを特徴とする光導波路デバイス。
【0100】
(付記18)付記17記載の光導波路デバイスであって、
前記第3光変調部の出力部から前記第1光変調部までの光導波路長と、前記第3光変調部の出力部から前記第2光変調部までの光導波路長とが等しく形成され、
前記第1光変調部の信号電極と、前記第2光変調部の信号電極とが、光の伝搬方向において、前記クロック信号の半波長分だけずれて配置されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0101】
(付記19)付記16〜18のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記合波/分波部は、互いに位相が反転した相補的な信号光を出力し、
前記第1光変調部の信号電極のフィーダ部の長さをLf1、前記第2光変調部の信号電極のフィーダ部の長さをLf2、両フィーダ部を伝搬する前記マイクロ波電気信号の実効屈折率をNe、前記第3光変調部の出力部から前記第1光変調部の相互作用部までの光導波路の長さをLo1、前記第3光変調部の出力部から前記第2光変調部の相互作用部までの光導波路の長さをLo2、光導波路を伝搬する光の実効屈折率をNo、光速をc、前記クロック信号の周波数をfとしたときに、下記式を満たすことを特徴とする光導波路デバイス。
【0102】
No(Lo1−Lo2)−Ne(Lf1−Lf2)=(2N+1)・c/(2f)
但し、Nは整数
【0103】
(付記20)付記15〜19のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記第1光変調部、前記第2光変調部および前記第3光変調部が並列して配置されると共に、前記合波/分波部の一方の出力部と前記第1光変調部および前記合波/分波部の他方の出力部と第2光変調部とを、光の伝搬方向を折り返すように円弧状に形成された曲がり導波路によってそれぞれ接続したことを特徴とする光導波路デバイス。
【0104】
(付記21)付記20記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に、前記曲がり導波路のそれぞれの外側に沿って円弧状溝が形成されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【0105】
(付記22)付記21記載の光導波路デバイスであって、
前記円弧状溝の深さと、前記一対の切欠部の深さとがほぼ等しいことを特徴とする光導波路デバイス。
【0106】
(付記23)電気光学効果を有する基板の上面に、並列する第1光導波路および第2光導波路を形成する工程と、
前記第1光導波路が上側に、前記第2光導波路が下側に位置するように前記基板の一方の側面を固定し、ダイシングソーを前記基板の上面側から底面側へ或いは前記基板の底面側から上面側へと進行させることにより、前記基板の他方の側面に、前記第1光導波路および前記第2光導波路のうちの前記第1光導波路のみを切断すると共に前記基板の上面から底面まで貫通する溝を形成する工程と、
を含む光導波路デバイスの製造方法。
【0107】
(付記24)付記23記載の光導波路デバイスの製造方法であって、
前記基板の上面の前記第1光導波路側の縁部に、一対の切欠部を形成する工程をさらに含み、
前記溝を形成する工程は、前記一対の切欠部の間に前記ダイシングソーを進行させて前記溝を形成することを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の基本的な考え方を説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施形態による光導波路デバイスの構成を示す平面図である。
【図3】第1実施形態による光導波路デバイスにおいて、第1光変調部の出力導波路を切断する溝を説明するための図である。
【図4】第1実施形態による光導波路デバイスの動作を説明するための図である。
【図5】第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図6】第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図7】第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図8】第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図9】第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図10】第1実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態による光導波路デバイスの構成を示す平面図である。
【図12】第2実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図13】第2実施形態による光導波路デバイスの変形例を示す図である。
【図14】従来の光導波路デバイスの一例を示す図である。
【図15】従来の光変調器を2台用いて偏波多重通信用の送信機として構成した図である。
【図16】従来のダイシング加工による溝の形成方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0109】
4…支持台、5…ダイシングソー、10…基板、12…切欠部、14…加工補助板(ヤトイ)、20…第1光変調部、21…入力導波路、22,23…分岐導波路、24…出力導波路、30…第2光変調部、31…入力導波路、32,33…分岐導波路、34…出力導波路、40…合波部、51,53、55…信号電極、52…接地電極、54…電極、60…1/2波長板、61…溝、70…分波部、80…分波部、90…第3光変調部、92,93…分岐導波路、95…合波/分波部、96,97…曲がり導波路、98,99…円弧状溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果を有する基板と、該基板の上面に並列して形成された第1光導波路および第2光導波路と、を備えた光導波路デバイスにおいて、
前記第1光導波路および前記第2光導波路のうち、前記第1光導波路のみを切断する溝を有し、
前記溝は、前記基板の前記第1光導波路側の側面に形成されて前記基板の上面から底面まで貫通していることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の光導波路デバイスであって、
前記溝に光学部品が挿入されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項3】
電気光学効果を有する基板と、
前記基板の上面に形成され、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第1光変調部と、
前記基板の上面に前記第1光変調部と並列して形成され、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第2光変調部と、
前記第1光変調部の出力導波路の途中に配置され、該出力導波路を伝搬する光のTM/TEモードを変換するモード変換素子と、
前記基板の上面に形成され、前記モード変換素子を経た前記第1光変調部の出力光と、前記第2光変調部の出力光とを偏波合成して偏波多重光を生成する合波部と、を備え、
前記モード変換素子は、前記基板の上面に形成された光導波路のうち、前記第1光変調部の出力導波路のみを切断する溝に挿入され、
前記溝は、前記基板の前記第1光変調部側の側面に形成されて前記基板の上面から底面まで貫通していることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項4】
請求項3記載の光導波路デバイスであって、
前記第1光変調部の出力導波路および前記第2光変調部の出力導波路の少なくとも一方が互いの間隔を広げるように湾曲して形成され、
前記溝は、前記第1光変調部の出力導波路と前記第2光導波路の出力導波路との間隔が広がった位置で前記第1光変調部の出力導波路を切断していることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面の前記第1光変調部側の縁部に、前記溝を挟む一対の切欠部を有することを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1つの記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に形成され、前記第1光変調部の出力導波路と、前記第2光変調部の出力導波路との間の位置する電極を備え、
前記溝は、前記電極に達する深さを有して形成されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に形成され、一対の分岐導波路と、該一対の分岐導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第3光変調部と、
前記基板の上面に形成され、前記第3光変調部の一対の分岐導波路を伝搬した光を合波し分波して一方の光を前記第1光変調部に供給し、他方の光を前記第2光変調部に供給する合波/分波部と、
をさらに備えることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項8】
請求項7記載の光導波路デバイスであって、
前記第1光変調部および前記第2光変調部は、NRZデータ信号によって駆動されるデータ変調器として構成され、
前記第3光変調部は、クロック信号によって駆動されるクロック変調器として構成されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項9】
電気光学効果を有する基板の上面に、並列する第1光導波路および第2光導波路を形成する工程と、
前記第1光導波路が上側に、前記第2光導波路が下側に位置するように前記基板の一方の側面を固定し、ダイシングソーを前記基板の上面側から底面側へと或いは前記基板の底面側から上面側へと進行させることにより、前記基板の他方の側面に、前記第1光導波路および前記第2光導波路のうちの前記第1光導波路のみを切断すると共に前記基板の上面から底面まで貫通する溝を形成する工程と、
を含む光導波路デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の光導波路デバイスの製造方法であって、
前記基板の上面の前記第1光導波路側の縁部に、一対の切欠部を形成する工程をさらに含み、
前記溝を形成する工程は、前記一対の切欠部の間に前記ダイシングソーを進行させて前記溝を形成することを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
【請求項1】
電気光学効果を有する基板と、該基板の上面に並列して形成された第1光導波路および第2光導波路と、を備えた光導波路デバイスにおいて、
前記第1光導波路および前記第2光導波路のうち、前記第1光導波路のみを切断する溝を有し、
前記溝は、前記基板の前記第1光導波路側の側面に形成されて前記基板の上面から底面まで貫通していることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の光導波路デバイスであって、
前記溝に光学部品が挿入されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項3】
電気光学効果を有する基板と、
前記基板の上面に形成され、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第1光変調部と、
前記基板の上面に前記第1光変調部と並列して形成され、光導波路と、該光導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第2光変調部と、
前記第1光変調部の出力導波路の途中に配置され、該出力導波路を伝搬する光のTM/TEモードを変換するモード変換素子と、
前記基板の上面に形成され、前記モード変換素子を経た前記第1光変調部の出力光と、前記第2光変調部の出力光とを偏波合成して偏波多重光を生成する合波部と、を備え、
前記モード変換素子は、前記基板の上面に形成された光導波路のうち、前記第1光変調部の出力導波路のみを切断する溝に挿入され、
前記溝は、前記基板の前記第1光変調部側の側面に形成されて前記基板の上面から底面まで貫通していることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項4】
請求項3記載の光導波路デバイスであって、
前記第1光変調部の出力導波路および前記第2光変調部の出力導波路の少なくとも一方が互いの間隔を広げるように湾曲して形成され、
前記溝は、前記第1光変調部の出力導波路と前記第2光導波路の出力導波路との間隔が広がった位置で前記第1光変調部の出力導波路を切断していることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面の前記第1光変調部側の縁部に、前記溝を挟む一対の切欠部を有することを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1つの記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に形成され、前記第1光変調部の出力導波路と、前記第2光変調部の出力導波路との間の位置する電極を備え、
前記溝は、前記電極に達する深さを有して形成されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1つに記載の光導波路デバイスであって、
前記基板の上面に形成され、一対の分岐導波路と、該一対の分岐導波路を伝搬する光を変調するための信号電極および接地電極とを有する第3光変調部と、
前記基板の上面に形成され、前記第3光変調部の一対の分岐導波路を伝搬した光を合波し分波して一方の光を前記第1光変調部に供給し、他方の光を前記第2光変調部に供給する合波/分波部と、
をさらに備えることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項8】
請求項7記載の光導波路デバイスであって、
前記第1光変調部および前記第2光変調部は、NRZデータ信号によって駆動されるデータ変調器として構成され、
前記第3光変調部は、クロック信号によって駆動されるクロック変調器として構成されていることを特徴とする光導波路デバイス。
【請求項9】
電気光学効果を有する基板の上面に、並列する第1光導波路および第2光導波路を形成する工程と、
前記第1光導波路が上側に、前記第2光導波路が下側に位置するように前記基板の一方の側面を固定し、ダイシングソーを前記基板の上面側から底面側へと或いは前記基板の底面側から上面側へと進行させることにより、前記基板の他方の側面に、前記第1光導波路および前記第2光導波路のうちの前記第1光導波路のみを切断すると共に前記基板の上面から底面まで貫通する溝を形成する工程と、
を含む光導波路デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の光導波路デバイスの製造方法であって、
前記基板の上面の前記第1光導波路側の縁部に、一対の切欠部を形成する工程をさらに含み、
前記溝を形成する工程は、前記一対の切欠部の間に前記ダイシングソーを進行させて前記溝を形成することを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−8751(P2010−8751A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168395(P2008−168395)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人情報通信研究機構、「λユーティリティ技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人情報通信研究機構、「λユーティリティ技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]