光検出装置、光源装置、露光装置及びデバイスの製造方法
【課題】露光光のような光を容易に計測することができる光検出装置、光源装置、露光装置及びデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】光検出装置34は、露光光ELが入射する入射面50aを有する光入射部材50と、光入射部材50の入射面50a上にて互いに電気的に絶縁した状態で形成され、露光光ELが入射した際に光電子を放出する複数の受光部53と、複数の受光部53から放出される光電子に応じた電流が流れる複数の電流計54と、複数の電流計54に流れる電流を検出する制御装置56と、を備えている。
【解決手段】光検出装置34は、露光光ELが入射する入射面50aを有する光入射部材50と、光入射部材50の入射面50a上にて互いに電気的に絶縁した状態で形成され、露光光ELが入射した際に光電子を放出する複数の受光部53と、複数の受光部53から放出される光電子に応じた電流が流れる複数の電流計54と、複数の電流計54に流れる電流を検出する制御装置56と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を検出するための光検出装置、該光検出装置を備える光源装置、光検出装置を備える露光装置、及び該露光装置を用いるデバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路などのマイクロデバイスを製造するための露光装置は、所定のパターンが形成されたレチクルなどのマスクに露光光を照明する照明光学系と、露光光によって照明されたマスクのパターンの像を感光性材料の塗布されたウエハ、ガラスプレートなどの基板に投影する投影光学系とを備えている。このような露光装置では、半導体集積回路の高集積化及び該高集積化に伴うパターンの像の微細化を図るために、投影光学系の更なる高解像度化が要望されている。そのため、露光装置に用いる露光光の短波長化が進み、EUV(Extreme Ultraviolet )光やEB(Electron Beam )を露光光として用いる露光装置の開発が行われている。こうした露光装置は、使用する露光光が非常に短波長であるため、内部が真空雰囲気に設定された装置本体を備え、該装置本体内に、照明光学系や投影光学系などが配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、露光装置では、露光光ELを計測することがある。一例として、露光装置は、露光光ELが入射する反射ミラーの熱分布を計測するための熱分布計測装置を有しており、該熱分布計測装置によって計測された熱分布に基づき露光光ELの形状、面内分布や光量などが推定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−41391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、EUV光を露光光として用いる露光装置は、内部が真空雰囲気に設定される装置本体を備えている。こうした真空雰囲気内に例えば熱分布計測装置を装置本体内に設置することは、非常に困難である。そのため、露光光の形状、面内分布(照度分布ともいう。)や光量などを、容易に計測できる方法の提案が強く望まれていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、露光光のような光を容易に計測することができる光検出装置、光源装置、露光装置及びデバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、実施形態に示す図1〜図11に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の第1の手段である光検出装置は、光源(22)から出力される光(EL)を検出するための光検出装置(27、34)であって、前記光(EL)が入射する入射面(50a、60a)を有する光入射部材(50、60)と、該光入射部材(50、60)の前記入射面(50a、60a)上にて互いに電気的に絶縁した状態で形成され、前記光(EL)が入射した際に光電子(e)を放出する複数の受光部(53)と、該複数の受光部(53)から放出される光電子(e)をそれぞれ検出する検出部(54,56)と、を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の第2の手段である露光装置は、上記第1の手段である光検出装置(27、34)と、前記光(EL)で第1面(37a)を照明可能な照明光学系(15)と、所定のパターンの像を前記第1面(37a)とは異なる第2面(46a)上に投影可能な投影光学系(17)と、を備えることを要旨とする。
【0009】
本発明の第3の手段である光源装置は、上記第1の手段である光検出装置(27、34)と、前記光(EL)を射出する光源部(22)と、該光源部(23)から射出される前記光(EL)を集光する集光光学系(24)と、を備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の第4の手段である露光装置は、上記第3の手段である光源装置(12)と、該光源装置(12)から出力される光(EL)で第1面(37a)を照明可能な照明光学系(15)と、所定のパターンの像を前記第1面(37a)とは異なる第2面(46a)上に投影可能な投影光学系(17)と、を備えることを要旨とする。
【0011】
本発明の第5の手段であるデバイスの製造方法は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、前記リソグラフィ工程は、上記第2及び第4の手段である露光装置(11)を用いることを要旨とする。
【0012】
なお、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明が実施形態に限定されるものではないことは言うまでもない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、露光光のような光を容易に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態における露光装置を示す概略構成図。
【図2】光源装置を示す概略構成図。
【図3】第1光検出装置を示す概略構成図。
【図4】光入射部材を示す概略構成図。
【図5】(a)は受光部に露光光が入射する様子を示す模式図、(b)は露光光の光量に応じて電流計に流れる電流の大きさが異なることを示すグラフ。
【図6】第2の実施形態における光入射部材を示す概略構成図。
【図7】露光光の光路が変化した様子を示す模式図。
【図8】光入射部材をレチクルステージ上に配置した場合を示す模式図。
【図9】光入射部材をウエハステージ上に配置した場合を示す模式図。
【図10】デバイスの製造例のフローチャート。
【図11】半導体デバイスの場合の基板処理に関する詳細なフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の一態様である第1の実施形態について図1〜図5に基づき説明する。
図1に示すように、本実施形態の露光装置11は、光源装置12から射出される、波長が100nm程度以下の軟X線領域である極端紫外光、即ちEUV(Extreme Ultraviolet )光を露光光ELとして用いるEUV露光装置である。こうした露光装置11は、内部が真空雰囲気に設定される第1チャンバ13(図1では二点鎖線で囲まれた部分)を備え、該第1チャンバ13内には、所定のパターンが形成された反射型のレチクルRと、表面にレジストなどの感光性材料が塗布されたウエハWとが第1チャンバ13外から搬送される。そして、第1チャンバ13外に配置される光源装置12から射出された露光光ELは、照明光学系15を介してレチクルステージ16にて保持されるレチクルRを照明する。その後、レチクルRで反射した露光光ELは、投影光学系17を介してウエハステージ18にて保持されるウエハWを照射する。
【0016】
光源装置12は、波長が5〜20nm(例えば13.5nm)のEUV光を露光光ELとして射出する装置である。こうした光源装置12は、図2に示すように、第1チャンバ13に隣接するように配置される第2チャンバ19を備えている。この第2チャンバ19内には、露光光ELを出力する光源部22(レーザ励起プラズマ光源)が設けられている。この光源部22は、プラズマPLを発生させるプラズマ発生部23と、プラズマPLから放射される露光光ELを集光させるための筒状の集光ミラー24とを備えている。プラズマ発生部23は、EUV光発生物質(ターゲット)として高密度のキセノンガス(Xe)を高速で噴出するノズル25と、例えば半導体レーザ励起を利用したYAGレーザやエキシマレーザなどの高出力レーザ26とを備えている。そして、高出力レーザ26から射出されたレーザ光LRがノズル25から高速で噴出される高密度のキセノンガスを照射することによりプラズマPLが発生し、該プラズマPLからは、EUV光が露光光ELとして放射される。こうした露光光ELは、集光ミラー24の入射側(−Z方向側であって、図2では左側)の開口から集光ミラー24内に入射する。
【0017】
集光ミラー24は、Z軸方向(図1では上下方向であって、図2では左右方向)における各部位の断面形状が円環状をなすように形成されており、集光ミラー24の内周面には、露光光ELを反射可能な反射層が形成されている。この反射層は、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)を交互に積層した多層膜から構成されたものである。そして、集光ミラー24で反射した露光光ELは、集光ミラー24の射出側の開口(+Z方向側であって、図2では右側)から第2チャンバ19内の照明光学系15に向けて射出される。また、本実施形態の光源装置12には、集光ミラー24の+Z方向側に配置され、且つ集光ミラー24から射出される露光光ELを検出するための第2光検出装置27が設けられている。この第2光検出装置27の具体的な構成については、後述するものとする。
【0018】
照明光学系15は、図1に示すように、第1チャンバ13の内部と同様に、内部が真空雰囲気に設定される筐体28(図1では一点鎖線で示す。)を備えている。この筐体28内には、光源装置12から射出された露光光ELを集光するコリメート用ミラー29が設けられており、該コリメート用ミラー29は、入射した露光光ELを略平行に変換して射出する。また、照明光学系15は、コリメート用ミラー29をX軸方向(図1において紙面と直交する方向)に沿って延びる所定軸線S(図3参照)を中心に回転させたり、コリメート用ミラー29をY軸方向に変位させたりするための変位機構30を有している。コリメート用ミラー29から射出された露光光ELは、オプティカルインテグレータの一種であるフライアイ光学系31(図1では破線で囲まれた部分)に入射する。
【0019】
このフライアイ光学系31は、光源装置12側、即ち光源装置12から射出された露光光ELが入射する入射側フライアイミラー32と、入射側フライアイミラー32で反射した露光光ELが入射し、該露光光ELを後述するコンデンサミラー35側に射出する射出側フライアイミラー33とを有している。入射側フライアイミラー32は、レチクルRの被照射面Ra(即ち、図1における下面であって、パターン形成面)とは光学的に共役となる位置に配置されている。なお、入射側フライアイミラー32近傍には、該入射側フライアイミラー32に入射する露光光ELを検出するための後述する第1光検出装置34が設けられている。
【0020】
また、照明光学系15には、射出側フライアイミラー33から射出された露光光ELを筐体28外に射出するコンデンサミラー35が設けられている。そして、コンデンサミラー35から射出された露光光ELは、後述する鏡筒39内に設置された折り返し用の反射ミラー36により、レチクルステージ16に保持されるレチクルRに導かれる。
【0021】
レチクルステージ16は、投影光学系17の物体面側に配置されており、レチクルRを静電吸着する吸着面37aを有する静電チャック37と、レチクルRをY軸方向に所定ストロークで移動させる図示しないレチクルステージ駆動部と、静電チャック37を支持する支持ステージ38とを備えている。レチクルステージ駆動部は、レチクルRをX軸方向及びθz方向(Z軸周りの回転方向)にも移動可能に構成されている。そして、レチクルRにおいて上記パターンが形成された被照射面Raで反射された露光光ELは、投影光学系17に導かれる。なお、レチクルRの被照射面Raに露光光ELが照明される場合、該被照射面Raの一部には、X軸方向に延びる略円弧状の照明領域が形成される。
【0022】
投影光学系17は、露光光ELで照明されたレチクルRのパターンを所定の縮小倍率(例えば1/4倍)に縮小させる光学系であって、チャンバ13の内部と同様に、内部が真空雰囲気に設定される鏡筒39(図1では一点鎖線で示す。)を備えている。この鏡筒39内には、複数枚(本実施形態では6枚)の反射型のミラー40,41,42,43,44,45が収容されている。そして、物体面側であるレチクルR側から導かれた露光光ELは、第1ミラー40、第2ミラー41、第3ミラー42、第4ミラー43、第5ミラー44、第6ミラー45の順に反射され、ウエハステージ18に保持されるウエハWの被照射面Wa(即ち、図1における上面)を照射する。こうした各ミラー40〜45の反射面には、露光光ELを反射する反射層がそれぞれ形成されている。なお、照明光学系15を構成する各ミラー29,32,33,35,36の反射面、及び投影光学系を構成する各ミラー40〜45の反射面には、露光光ELを反射する反射層がそれぞれ形成されており、これら反射層は、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)を交互に積層した多層膜からそれぞれ構成されている。
【0023】
ウエハステージ18は、ウエハWを静電吸着する吸着面46aを有する静電チャック46と、ウエハWをY軸方向に所定ストロークで移動させる図示しないウエハステージ駆動部とを備えている。このウエハステージ駆動部は、ウエハWをX軸方向及びZ軸方向にも移動可能に構成されている。また、ウエハステージ18には、静電チャック46を保持する図示しないウエハホルダと、該ウエハホルダのZ軸方向における位置及びX軸周り、Y軸周りの傾斜角を調整する図示しないZレベリング機構とが組み込まれている。
【0024】
そして、本実施形態の露光装置11を用いてウエハWにパターンの像を投影する場合、レチクルRは、上記レチクルステージ駆動部の駆動によって、−Y方向側から+Y方向側(図1では左側から右側)に所定ストローク毎に移動する。すると、レチクルRのパターンが+Y方向側から−Y方向側(図1では右側から左側)に順にスキャンされる。また、ウエハWは、上記ウエハステージ駆動部の駆動によって、レチクルRのY軸方向に沿った移動に対して投影光学系17の縮小倍率に応じた速度比で+Y方向側から−Y方向側に同期して移動する。その結果、ウエハWの一つのショット領域には、レチクルR及びウエハWの同期移動に伴って、レチクルR上のパターンを所定の縮小倍率に縮小した形状のパターンが形成される。そして、一つのショット領域へのパターンの形成が終了した場合、ウエハWの他のショット領域に対するパターンの形成が連続して行われる。
【0025】
次に、各光検出装置27,34について図3〜図5に基づき説明する。なお、図3には、照明光学系15に搭載される第1光検出装置34が描かれている。ここでは、各光検出装置27,34は略同一構成であることから、第1光検出装置34の構成を中心に説明するものとする。
【0026】
図3に示すように、本実施形態の第1光検出装置34は、入射側フライアイミラー32に入射する露光光ELの光路内において予め設定された計測位置及び露光光ELの光路外の待機位置の間で進退移動可能な矩形板状の光入射部材50を備えている。また、第1光検出装置34には、光入射部材50を計測位置と待機位置との間で進退移動させるべく駆動する移動機構51と、待機位置から移動してきた光入射部材50を計測位置で位置決めするための位置決め部52とが設けられている。この位置決め部52によって光入射部材50が計測位置で位置決めされた場合、移動機構51の駆動が停止される。また、位置決め部52によって計測位置に位置決めされる光入射部材50は、照明光学系15の光軸に対してほぼ直交している。
【0027】
光入射部材50は、低熱膨張ガラスなどの非導体基板で構成されている。また、光入射部材50においてコリメート用ミラー29に対向する入射面50aは、研磨などの加工処理によってほぼ平面になっている。こうした入射面50a上には、図4に示すように、略正方形状をなす受光部53が複数(図4では16個)形成されており、該各受光部53は、入射面50a上で互いに離間した状態でそれぞれ配列されている。各受光部53は、露光光ELが入射した場合に光電変換によって光電子を放出する材料(例えば、金(Au))から構成される金属膜であって、数十nm(例えば、30nm)程度の膜厚をそれぞれ有している。そして、各受光部53は、均一な膜厚をそれぞれ有しており、各受光部53に同程度の光量の露光光ELが入射する場合、該各受光部53からは、同程度の光電子e(図5(a)参照)がそれぞれ放出される。
【0028】
また、第1光検出装置34には、受光部53毎に個別対応する電流計54が設けられている。これら各電流計54の一端は、電気配線55を介して各受光部53にそれぞれ接続されると共に、各電流計54の他端は、それぞれ電気的に接地されている。各受光部53に接続される各電気配線55は、光入射部材50の入射面50a上では各受光部53に入射し得る露光光ELを遮らないように、互いに隣り合う受光部53同士の間の間を通してそれぞれ配線されている。
【0029】
そして、図4にて一点鎖線で示すような光束の露光光ELが各受光部53に入射した場合、図5(a)に示すように、各受光部53からは、それらに入射した露光光ELの光量に応じた光電子eがそれぞれ放出される。この際、各電流計54には、各受光部53から光電変換によって放出する光電子eを補うように微少電流がそれぞれ流れる。もちろん、各電流計54に流れる微少電流の大きさと、該各電流計に個別対応する各受光部53から放出される光電子eの量との間には、図5(b)に示すように、相関関係がある。そして、各電流計54からは、それらに流れる微少電流の大きさに対応した電流信号が制御装置56にそれぞれ出力される。
【0030】
この制御装置56は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを有するデジタルコンピュータから構成されている。こうした制御装置56は、各電流計54から入力される各電流信号に基づき、入射側フライアイミラー32に入射し得る露光光ELの照度分布(面内分布ともいう。)を取得することができる。
【0031】
また、制御装置56のROMには、露光光ELの光路の初期位置を予め記憶されている。そのため、制御装置56は、各電流計54から入力される各電流信号に基づき、入射側フライアイミラー32に入射し得る露光光ELの光路の位置を計測し、該計測した光路の位置と光路の初期位置とを比較することにより、露光光ELの光路のずれ量(変位量ともいう。)を検出することができる。このようにずれ量を検出した場合、制御装置56は、図3に示すように、ずれ量に応じて、光入射部材50よりも光源装置12側に配置されるミラー(この場合、コリメート用ミラー29)を変位させるべく変位機構30を駆動させる。その後、計測位置に配置される光入射部材50を待機位置に移動させてから、露光処理が行なわれる。この際、照明光学系15からレチクルRに射出される露光光ELの特性が調整されているため、ウエハWにパターンの像を好適に投影することが可能となる。
【0032】
第2光検出装置27は、光源装置12内における集光ミラー24の射出側に配置される光入射部材50を備えている(図3参照)。また、第2光検出装置27は、第1光検出装置34と同様に、光入射部材50を露光光ELの光路内である計測位置及び光路外の待機位置との間で進退移動させるための図示しない移動機構と、待機位置から計測位置に移動してきた光入射部材50を計測位置で位置決めするための位置決め部52とが設けられている。そして、光入射部材50が計測位置に配置された状態で露光光ELが露光装置11側に向けて射出されると、光入射部材50の入射面50aに形成された各受光部53からは、受光量に応じた光電子eがそれぞれ放出される。すなわち、受光部53毎に設けられた各電流計(図示略)には、各受光部53から放出された光電子eの量に応じた電流がそれぞれ流れる。こうした電流の大きさを個別に検出することにより、光源装置12から射出される露光光ELの照度分布や露光光ELの光路の位置などが、計測される。
【0033】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)光入射部材50の入射面50aに露光光ELが入射すると、入射面50a上に形成される複数の受光部53からは、該各受光部53に入射する露光光ELの光量に応じた光電子eが放出される。このように各受光部53から放射される光電子eをそれぞれ制御装置56にて検出することにより、露光光ELの形状、露光光ELの照度分布や光路の位置などが計測される。しかも、熱分布計測装置などのように光検出装置を大型化することもない。そのため、露光装置11や該露光装置11に露光光ELを供給する光源装置12のように多数の部品から構成される装置内であって、該装置内の露光光ELを容易に計測できる。
【0034】
(2)また、光入射部材50は、非計測時には露光光ELの光路外の待機位置に配置される。そのため、ウエハWに対してリソグラフィ処理が行なわれている場合に、光入射部材50が露光光ELの光路内に配置されることに起因した光量不足の発生を抑制でき、ウエハWに対して速やかにパターンを形成させることができる。
【0035】
(3)計測位置に配置された光入射部材50は、位置決め部52によって確実に位置決めされる。そのため、露光光ELの計測時に光入射部材50が動いてしまったり、計測を行なう毎に光入射部材50の配置位置が変わってしまったりすることを抑制できる。
【0036】
(4)また、本実施形態の光入射部材50の入射面50aには、複数の受光部53が電気的に絶縁された状態で形成されている。そのため、一つの光入射部材50を露光光ELの光路内に配置することにより、露光光ELの照度分布や露光光ELの光路の位置ずれなど様々な情報を取得することができる。
【0037】
(5)光入射部材を複数設け、光入射部材毎に一つの受光部53を形成する方法も考えられる。しかしながら、複数の光入射部材を露光光ELの光路内にそれぞれ配置したり、光路外にそれぞれ配置したりさせることは、各光入射部材を進退移動させるための移動機構が非常に複雑になってしまい、露光装置11内や光源装置12内に配置することが非常に困難になる。また、計測を行なう毎に、互いに隣り合う受光部53同士の間隔が変化してしまうこともある。その点、本実施形態では、一枚の光入射部材50に複数の受光部53が形成された構成であるため、移動機構の複雑化や大型化を抑制できると共に、互いに隣り合う受光部53同士の間隔が変化してしまうことを防止できる。すなわち、計測精度の向上に貢献できる。
【0038】
(6)本実施形態では、第1光検出装置34を用いた計測結果に基づき、コリメート用ミラー29の位置や向きなどが調整される。その結果、照明光学系15の特性の変化を適切に補正することができる。
【0039】
(7)また、光入射部材50は、露光光ELの入射による熱変形量の少ない材料(低熱膨張ガラス)で構成される。そのため、露光光ELの計測中に、光入射部材50の熱変形に起因した計測誤差の発生を抑制できる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図6及び図7に従って説明する。なお、第2の実施形態は、光入射部材の構成が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0041】
図6に示すように、本実施形態の光検出装置27,34は、露光光ELの光路に配置される矩形板状の光入射部材60を備えている。光入射部材60は、熱膨張ガラスなどの非導体基板で構成されている。また、光入射部材60の中央部分には、口径が略円形状をなす通過孔61が形成されており、該通過孔61内を露光光ELが通過するようになっている。さらに、光入射部材60の入射面60a側には、複数(図6では9つのみ図示)の受光部53が互いに電気的に絶縁した状態で形成されている。これら各受光部53は、入射面60a上において通過孔61を囲むようにそれぞれ配置されている。
【0042】
そのため、ウエハWに対する露光処理時には、通常、光入射部材60が露光光ELの光路に配置されていても、各受光部53に露光光ELが入射することがない。しかしながら、光入射部材60よりも光源装置12側に位置するミラー(例えば、コリメート用ミラー29)の経時変化や位置ずれなどによって、露光光ELの光路がずれてしまうと、図7に示すように、各受光部53のうち一部の受光部53には、露光光ELが入射することになる。すると、露光光ELが入射する受光部53からは、入射した露光光ELの光量に応じた光電子eが放出され、当該受光部53に電気的に接続される電流計54には、微少電流が流れる。こうした微少電流の検出によって、露光光ELの入射する受光部53を特定することにより、露光光ELの光路のずれ量が検出される。
【0043】
そして、この時点で露光光ELが入射する受光部53に露光光ELが入射しなくなるようにコリメート用ミラー29の位置や向きを調整させると、露光光ELは、光入射部材60の通過孔61内を通過するようになる。すなわち、露光特性の変化が速やかに補正される。
【0044】
したがって、本実施形態では、上記第1の実施形態における効果(1)(4)に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(8)本実施形態では、光入射部材60は、露光光ELの光路内に配置されており、各受光部53のうち少なくとも一部の受光部53に微少電流が流れることを検出した場合に、露光光ELの光路がずれてしまったと判定できる。すなわち、本実施形態では、ウエハWへの露光処理中であって、露光装置11や光源装置12の露光特性の変化を検出することができる。
【0045】
(9)また、各電流計54に流れる電流の大きさから、露光光ELの光路のずれ量(即ち、位置の変位量)を推定することができる。
なお、上記各実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
【0046】
・各実施形態において、光入射部材50は、非導体基板上に、電気的に分割するために不導体膜(一例として、二酸化珪素など)を蒸着し、次に各受光部53としての金属膜をそれぞれ蒸着するように形成してもよい。また、例えば、上記不導体膜は、非導体基板上に格子状に蒸着するようにしてもよい。
【0047】
・各実施形態において、光入射部材50,60は、露光光ELの光路内であれば任意の位置に配置してもよい。例えば、光入射部材50,60を、入射側フライアイミラー32と射出側フライアイミラー33との間に配置してもよい。また、光入射部材50,60を、投影光学系17内における露光光ELの光路に配置してもよい。
【0048】
・第1の実施形態において、光入射部材50を、図8に示すように、レチクルステージ16における静電チャック37の吸着面37a上に配置してもよい。この場合、光入射部材50の厚みを、レチクルRの厚みと同程度にしてもよい。このように構成すると、レチクルRに入射する露光光ELの特性を検出することができる。
【0049】
・第1の実施形態において、光入射部材50を、図9に示すように、ウエハステージ18における静電チャック46の吸着面46a上に配置してもよい。この場合、光入射部材50の厚みを、ウエハWの厚みと同程度にしてもよい。このように構成すると、ウエハWに入射する露光光ELの特性を検出することができる。
【0050】
・各実施形態において、受光部53は、露光光ELを入射した際に光電子eを放出する構成であれば任意の構成でもよい。例えば、受光部53は、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)を交互に積層した構成の反射膜でもよい。また、受光部53は、モリブデン(Mo)とベリリウム(Be)を積層した構成の反射膜でもよい。
【0051】
また、受光部53は、酸化亜鉛(ZnO)や酸化チタン(TiO2)から構成される薄膜でもよい。
・各実施形態において、受光部53は、露光光ELを入射した際に光電子eを放出する任意の材料を含んだ構成であれば、金以外の他の材料を含んだ構成でもよい。例えば、受光部53は、白金(Pt)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)及びパラジウム(Pd)のうち何れか一つを含んだ構成でもよい。また、受光部53は、金、白金、ジルコニウム、ルテニウム及びパラジウムのうち少なくとも2つを含んだ構成でもよい。また、受光部53は、チタン(Ti)やアルミニウム(Al)を含んだ構成でもよい。また、受光部53は、金酸化物、白金酸化物、ジルコニウム酸化物、ルテニウム酸化物、パラジウム酸化物、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物を含んだ構成でもよい。
【0052】
・各実施形態において、受光部53の形状は、正方形や矩形以外の他の形状(例えば、円形)でもよい。
・第1実施形態において、光入射部材50の入射面50aには、16個以外の複数(例えば20個)の受光部53を形成してもよい。また、第2の実施形態において、光入射部材60の入射面60aには、9個以外の複数(例えば4個)の受光部53を形成してもよい。
【0053】
・各実施形態において、光入射部材50,60は、その入射面50a,60a上に形成される各受光部53が電気的に絶縁させることが可能な部材であれば、低熱膨張ガラス以外の他の部材から構成されるものでもよい。例えば、光入射部材50,60を、シリコン基板から構成されるものでもよい。ただし、光入射部材50,60を、各受光部53から付与される応力(引っ張り応力など)によって変形しにくい部材で構成することが望ましい。
【0054】
・第1の実施形態において、光学系を構成するミラー(例えばコンデンサミラー35)を、光入射部材としてもよい。すなわち、コンデンサミラー35の反射面には、互いに電気的に絶縁された複数の反射層(受光部)を形成する。そして、コンデンサミラー35に露光光ELが入射した場合に各反射層に電気的に接続された各電流計に流れる電流を個別に検出することにより、コンデンサミラー35に入射する露光光ELの照度分布や露光光ELの光路のずれ量などを計測することができる。このように構成すると、露光光ELの特性を計測する際にミラー以外の他の部材を別途も受ける必要がないため、露光装置11全体として部品点数の増加を抑制できる。
【0055】
・各実施形態において、露光装置11は、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクルまたはマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウエハなどへ回路パターンを転写する露光装置でもよい。また、露光装置11は、液晶表示素子(LCD)などを含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッド等の製造に用いられて、デバイスパターンをセラミックウエハ等へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置などでもよい。
【0056】
・各実施形態において、露光装置11を、レチクルRとウエハWとが相対移動した状態でレチクルRのパターンをウエハWへ転写し、ウエハWを順次ステップ移動させるスキャニング・ステッパに搭載してもよい。
【0057】
・各実施形態において、露光装置11は、EB(Electron Beam )を露光光ELとして用いる露光装置でもよい。
・各実施形態において、EUV光を出力可能な光源装置12として、放電型プラズマ光源を有する光源装置でもよい。
【0058】
・各実施形態において、光源装置12は、例えばg線(436nm)、i線(365nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、F2レーザ(157nm)、Kr2レーザ(146nm)、Ar2レーザ(126nm)等を供給可能な光源でもよい。また、光源装置12は、DFB半導体レーザまたはファイバレーザから発振される赤外域、または可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(またはエルビウムとイッテルビウムの双方)がドープされたファイバアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を供給可能な光源でもよい。こうした光源を利用する場合には、該光源から供給される露光光ELによって光電子を放出するような材料で受光部53を形成することが望ましい。
【0059】
・各実施形態において、ターゲットは、キセノンに限定されずに、例えば、気体状、固体状又は液体状の錫、或いは、その錫を含む化合物、などを用いてもよい。
次に、本発明の実施形態の露光装置11によるデバイスの製造方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図10は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。
【0060】
まず、ステップS101(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS102(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクルRなど)を製作する。一方、ステップS103(基板製造ステップ)において、シリコン、ガラス、セラミックス等の材料を用いて基板(シリコン材料を用いた場合にはウエハWとなる。)を製造する。
【0061】
次に、ステップS104(基板処理ステップ)において、ステップS101〜ステップS104で用意したマスクと基板を使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によって基板上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS105(デバイス組立ステップ)において、ステップS104で処理された基板を用いてデバイス組立を行う。このステップS105には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS106(検査ステップ)において、ステップS105で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0062】
図11は、半導体デバイスの場合におけるステップS104の詳細工程の一例を示す図である。
ステップS111(酸化ステップ)おいては、基板の表面を酸化させる。ステップS112(CVDステップ)においては、基板表面に絶縁膜を形成する。ステップS113(電極形成ステップ)においては、基板上に電極を蒸着によって形成する。ステップS114(イオン打込みステップ)においては、基板にイオンを打ち込む。以上のステップS111〜ステップS114のそれぞれは、基板処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0063】
基板プロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS115(レジスト形成ステップ)において、基板に感光性材料を塗布する。引き続き、ステップS116(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置11)によってマスクの回路パターンを基板に転写する。次に、ステップS117(現像ステップ)において、ステップS116にて露光された基板を現像して、基板の表面に回路パターンからなるマスク層を形成する。さらに続いて、ステップS118(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS119(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となった感光性材料を取り除く。すなわち、ステップS118及びステップS119において、マスク層を介して基板の表面を加工する。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、基板上に多重に回路パターンが形成される。
【符号の説明】
【0064】
11…露光装置、12…光源装置、15…照明光学系、17…投影光学系、22…光源としての光源部、23…光源部としてのプラズマ発生部、24…集光光学系としての集光ミラー、37a…第1面としての吸着面、27,34…光検出装置、29,32,33,35,36,40〜45…光学素子としてのミラー、30…光学素子調整部としての変位機構、46a…第2面としての吸着面、50,60…光入射部材、50a,60a…入射面、51…移動機構、52…位置決め部、53…受光部、54…検出部としての電流計、56…検出部としての制御装置、61…通過孔、e…光電子、EL…露光光。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を検出するための光検出装置、該光検出装置を備える光源装置、光検出装置を備える露光装置、及び該露光装置を用いるデバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路などのマイクロデバイスを製造するための露光装置は、所定のパターンが形成されたレチクルなどのマスクに露光光を照明する照明光学系と、露光光によって照明されたマスクのパターンの像を感光性材料の塗布されたウエハ、ガラスプレートなどの基板に投影する投影光学系とを備えている。このような露光装置では、半導体集積回路の高集積化及び該高集積化に伴うパターンの像の微細化を図るために、投影光学系の更なる高解像度化が要望されている。そのため、露光装置に用いる露光光の短波長化が進み、EUV(Extreme Ultraviolet )光やEB(Electron Beam )を露光光として用いる露光装置の開発が行われている。こうした露光装置は、使用する露光光が非常に短波長であるため、内部が真空雰囲気に設定された装置本体を備え、該装置本体内に、照明光学系や投影光学系などが配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、露光装置では、露光光ELを計測することがある。一例として、露光装置は、露光光ELが入射する反射ミラーの熱分布を計測するための熱分布計測装置を有しており、該熱分布計測装置によって計測された熱分布に基づき露光光ELの形状、面内分布や光量などが推定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−41391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、EUV光を露光光として用いる露光装置は、内部が真空雰囲気に設定される装置本体を備えている。こうした真空雰囲気内に例えば熱分布計測装置を装置本体内に設置することは、非常に困難である。そのため、露光光の形状、面内分布(照度分布ともいう。)や光量などを、容易に計測できる方法の提案が強く望まれていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、露光光のような光を容易に計測することができる光検出装置、光源装置、露光装置及びデバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、実施形態に示す図1〜図11に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の第1の手段である光検出装置は、光源(22)から出力される光(EL)を検出するための光検出装置(27、34)であって、前記光(EL)が入射する入射面(50a、60a)を有する光入射部材(50、60)と、該光入射部材(50、60)の前記入射面(50a、60a)上にて互いに電気的に絶縁した状態で形成され、前記光(EL)が入射した際に光電子(e)を放出する複数の受光部(53)と、該複数の受光部(53)から放出される光電子(e)をそれぞれ検出する検出部(54,56)と、を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の第2の手段である露光装置は、上記第1の手段である光検出装置(27、34)と、前記光(EL)で第1面(37a)を照明可能な照明光学系(15)と、所定のパターンの像を前記第1面(37a)とは異なる第2面(46a)上に投影可能な投影光学系(17)と、を備えることを要旨とする。
【0009】
本発明の第3の手段である光源装置は、上記第1の手段である光検出装置(27、34)と、前記光(EL)を射出する光源部(22)と、該光源部(23)から射出される前記光(EL)を集光する集光光学系(24)と、を備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の第4の手段である露光装置は、上記第3の手段である光源装置(12)と、該光源装置(12)から出力される光(EL)で第1面(37a)を照明可能な照明光学系(15)と、所定のパターンの像を前記第1面(37a)とは異なる第2面(46a)上に投影可能な投影光学系(17)と、を備えることを要旨とする。
【0011】
本発明の第5の手段であるデバイスの製造方法は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、前記リソグラフィ工程は、上記第2及び第4の手段である露光装置(11)を用いることを要旨とする。
【0012】
なお、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明が実施形態に限定されるものではないことは言うまでもない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、露光光のような光を容易に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態における露光装置を示す概略構成図。
【図2】光源装置を示す概略構成図。
【図3】第1光検出装置を示す概略構成図。
【図4】光入射部材を示す概略構成図。
【図5】(a)は受光部に露光光が入射する様子を示す模式図、(b)は露光光の光量に応じて電流計に流れる電流の大きさが異なることを示すグラフ。
【図6】第2の実施形態における光入射部材を示す概略構成図。
【図7】露光光の光路が変化した様子を示す模式図。
【図8】光入射部材をレチクルステージ上に配置した場合を示す模式図。
【図9】光入射部材をウエハステージ上に配置した場合を示す模式図。
【図10】デバイスの製造例のフローチャート。
【図11】半導体デバイスの場合の基板処理に関する詳細なフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の一態様である第1の実施形態について図1〜図5に基づき説明する。
図1に示すように、本実施形態の露光装置11は、光源装置12から射出される、波長が100nm程度以下の軟X線領域である極端紫外光、即ちEUV(Extreme Ultraviolet )光を露光光ELとして用いるEUV露光装置である。こうした露光装置11は、内部が真空雰囲気に設定される第1チャンバ13(図1では二点鎖線で囲まれた部分)を備え、該第1チャンバ13内には、所定のパターンが形成された反射型のレチクルRと、表面にレジストなどの感光性材料が塗布されたウエハWとが第1チャンバ13外から搬送される。そして、第1チャンバ13外に配置される光源装置12から射出された露光光ELは、照明光学系15を介してレチクルステージ16にて保持されるレチクルRを照明する。その後、レチクルRで反射した露光光ELは、投影光学系17を介してウエハステージ18にて保持されるウエハWを照射する。
【0016】
光源装置12は、波長が5〜20nm(例えば13.5nm)のEUV光を露光光ELとして射出する装置である。こうした光源装置12は、図2に示すように、第1チャンバ13に隣接するように配置される第2チャンバ19を備えている。この第2チャンバ19内には、露光光ELを出力する光源部22(レーザ励起プラズマ光源)が設けられている。この光源部22は、プラズマPLを発生させるプラズマ発生部23と、プラズマPLから放射される露光光ELを集光させるための筒状の集光ミラー24とを備えている。プラズマ発生部23は、EUV光発生物質(ターゲット)として高密度のキセノンガス(Xe)を高速で噴出するノズル25と、例えば半導体レーザ励起を利用したYAGレーザやエキシマレーザなどの高出力レーザ26とを備えている。そして、高出力レーザ26から射出されたレーザ光LRがノズル25から高速で噴出される高密度のキセノンガスを照射することによりプラズマPLが発生し、該プラズマPLからは、EUV光が露光光ELとして放射される。こうした露光光ELは、集光ミラー24の入射側(−Z方向側であって、図2では左側)の開口から集光ミラー24内に入射する。
【0017】
集光ミラー24は、Z軸方向(図1では上下方向であって、図2では左右方向)における各部位の断面形状が円環状をなすように形成されており、集光ミラー24の内周面には、露光光ELを反射可能な反射層が形成されている。この反射層は、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)を交互に積層した多層膜から構成されたものである。そして、集光ミラー24で反射した露光光ELは、集光ミラー24の射出側の開口(+Z方向側であって、図2では右側)から第2チャンバ19内の照明光学系15に向けて射出される。また、本実施形態の光源装置12には、集光ミラー24の+Z方向側に配置され、且つ集光ミラー24から射出される露光光ELを検出するための第2光検出装置27が設けられている。この第2光検出装置27の具体的な構成については、後述するものとする。
【0018】
照明光学系15は、図1に示すように、第1チャンバ13の内部と同様に、内部が真空雰囲気に設定される筐体28(図1では一点鎖線で示す。)を備えている。この筐体28内には、光源装置12から射出された露光光ELを集光するコリメート用ミラー29が設けられており、該コリメート用ミラー29は、入射した露光光ELを略平行に変換して射出する。また、照明光学系15は、コリメート用ミラー29をX軸方向(図1において紙面と直交する方向)に沿って延びる所定軸線S(図3参照)を中心に回転させたり、コリメート用ミラー29をY軸方向に変位させたりするための変位機構30を有している。コリメート用ミラー29から射出された露光光ELは、オプティカルインテグレータの一種であるフライアイ光学系31(図1では破線で囲まれた部分)に入射する。
【0019】
このフライアイ光学系31は、光源装置12側、即ち光源装置12から射出された露光光ELが入射する入射側フライアイミラー32と、入射側フライアイミラー32で反射した露光光ELが入射し、該露光光ELを後述するコンデンサミラー35側に射出する射出側フライアイミラー33とを有している。入射側フライアイミラー32は、レチクルRの被照射面Ra(即ち、図1における下面であって、パターン形成面)とは光学的に共役となる位置に配置されている。なお、入射側フライアイミラー32近傍には、該入射側フライアイミラー32に入射する露光光ELを検出するための後述する第1光検出装置34が設けられている。
【0020】
また、照明光学系15には、射出側フライアイミラー33から射出された露光光ELを筐体28外に射出するコンデンサミラー35が設けられている。そして、コンデンサミラー35から射出された露光光ELは、後述する鏡筒39内に設置された折り返し用の反射ミラー36により、レチクルステージ16に保持されるレチクルRに導かれる。
【0021】
レチクルステージ16は、投影光学系17の物体面側に配置されており、レチクルRを静電吸着する吸着面37aを有する静電チャック37と、レチクルRをY軸方向に所定ストロークで移動させる図示しないレチクルステージ駆動部と、静電チャック37を支持する支持ステージ38とを備えている。レチクルステージ駆動部は、レチクルRをX軸方向及びθz方向(Z軸周りの回転方向)にも移動可能に構成されている。そして、レチクルRにおいて上記パターンが形成された被照射面Raで反射された露光光ELは、投影光学系17に導かれる。なお、レチクルRの被照射面Raに露光光ELが照明される場合、該被照射面Raの一部には、X軸方向に延びる略円弧状の照明領域が形成される。
【0022】
投影光学系17は、露光光ELで照明されたレチクルRのパターンを所定の縮小倍率(例えば1/4倍)に縮小させる光学系であって、チャンバ13の内部と同様に、内部が真空雰囲気に設定される鏡筒39(図1では一点鎖線で示す。)を備えている。この鏡筒39内には、複数枚(本実施形態では6枚)の反射型のミラー40,41,42,43,44,45が収容されている。そして、物体面側であるレチクルR側から導かれた露光光ELは、第1ミラー40、第2ミラー41、第3ミラー42、第4ミラー43、第5ミラー44、第6ミラー45の順に反射され、ウエハステージ18に保持されるウエハWの被照射面Wa(即ち、図1における上面)を照射する。こうした各ミラー40〜45の反射面には、露光光ELを反射する反射層がそれぞれ形成されている。なお、照明光学系15を構成する各ミラー29,32,33,35,36の反射面、及び投影光学系を構成する各ミラー40〜45の反射面には、露光光ELを反射する反射層がそれぞれ形成されており、これら反射層は、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)を交互に積層した多層膜からそれぞれ構成されている。
【0023】
ウエハステージ18は、ウエハWを静電吸着する吸着面46aを有する静電チャック46と、ウエハWをY軸方向に所定ストロークで移動させる図示しないウエハステージ駆動部とを備えている。このウエハステージ駆動部は、ウエハWをX軸方向及びZ軸方向にも移動可能に構成されている。また、ウエハステージ18には、静電チャック46を保持する図示しないウエハホルダと、該ウエハホルダのZ軸方向における位置及びX軸周り、Y軸周りの傾斜角を調整する図示しないZレベリング機構とが組み込まれている。
【0024】
そして、本実施形態の露光装置11を用いてウエハWにパターンの像を投影する場合、レチクルRは、上記レチクルステージ駆動部の駆動によって、−Y方向側から+Y方向側(図1では左側から右側)に所定ストローク毎に移動する。すると、レチクルRのパターンが+Y方向側から−Y方向側(図1では右側から左側)に順にスキャンされる。また、ウエハWは、上記ウエハステージ駆動部の駆動によって、レチクルRのY軸方向に沿った移動に対して投影光学系17の縮小倍率に応じた速度比で+Y方向側から−Y方向側に同期して移動する。その結果、ウエハWの一つのショット領域には、レチクルR及びウエハWの同期移動に伴って、レチクルR上のパターンを所定の縮小倍率に縮小した形状のパターンが形成される。そして、一つのショット領域へのパターンの形成が終了した場合、ウエハWの他のショット領域に対するパターンの形成が連続して行われる。
【0025】
次に、各光検出装置27,34について図3〜図5に基づき説明する。なお、図3には、照明光学系15に搭載される第1光検出装置34が描かれている。ここでは、各光検出装置27,34は略同一構成であることから、第1光検出装置34の構成を中心に説明するものとする。
【0026】
図3に示すように、本実施形態の第1光検出装置34は、入射側フライアイミラー32に入射する露光光ELの光路内において予め設定された計測位置及び露光光ELの光路外の待機位置の間で進退移動可能な矩形板状の光入射部材50を備えている。また、第1光検出装置34には、光入射部材50を計測位置と待機位置との間で進退移動させるべく駆動する移動機構51と、待機位置から移動してきた光入射部材50を計測位置で位置決めするための位置決め部52とが設けられている。この位置決め部52によって光入射部材50が計測位置で位置決めされた場合、移動機構51の駆動が停止される。また、位置決め部52によって計測位置に位置決めされる光入射部材50は、照明光学系15の光軸に対してほぼ直交している。
【0027】
光入射部材50は、低熱膨張ガラスなどの非導体基板で構成されている。また、光入射部材50においてコリメート用ミラー29に対向する入射面50aは、研磨などの加工処理によってほぼ平面になっている。こうした入射面50a上には、図4に示すように、略正方形状をなす受光部53が複数(図4では16個)形成されており、該各受光部53は、入射面50a上で互いに離間した状態でそれぞれ配列されている。各受光部53は、露光光ELが入射した場合に光電変換によって光電子を放出する材料(例えば、金(Au))から構成される金属膜であって、数十nm(例えば、30nm)程度の膜厚をそれぞれ有している。そして、各受光部53は、均一な膜厚をそれぞれ有しており、各受光部53に同程度の光量の露光光ELが入射する場合、該各受光部53からは、同程度の光電子e(図5(a)参照)がそれぞれ放出される。
【0028】
また、第1光検出装置34には、受光部53毎に個別対応する電流計54が設けられている。これら各電流計54の一端は、電気配線55を介して各受光部53にそれぞれ接続されると共に、各電流計54の他端は、それぞれ電気的に接地されている。各受光部53に接続される各電気配線55は、光入射部材50の入射面50a上では各受光部53に入射し得る露光光ELを遮らないように、互いに隣り合う受光部53同士の間の間を通してそれぞれ配線されている。
【0029】
そして、図4にて一点鎖線で示すような光束の露光光ELが各受光部53に入射した場合、図5(a)に示すように、各受光部53からは、それらに入射した露光光ELの光量に応じた光電子eがそれぞれ放出される。この際、各電流計54には、各受光部53から光電変換によって放出する光電子eを補うように微少電流がそれぞれ流れる。もちろん、各電流計54に流れる微少電流の大きさと、該各電流計に個別対応する各受光部53から放出される光電子eの量との間には、図5(b)に示すように、相関関係がある。そして、各電流計54からは、それらに流れる微少電流の大きさに対応した電流信号が制御装置56にそれぞれ出力される。
【0030】
この制御装置56は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを有するデジタルコンピュータから構成されている。こうした制御装置56は、各電流計54から入力される各電流信号に基づき、入射側フライアイミラー32に入射し得る露光光ELの照度分布(面内分布ともいう。)を取得することができる。
【0031】
また、制御装置56のROMには、露光光ELの光路の初期位置を予め記憶されている。そのため、制御装置56は、各電流計54から入力される各電流信号に基づき、入射側フライアイミラー32に入射し得る露光光ELの光路の位置を計測し、該計測した光路の位置と光路の初期位置とを比較することにより、露光光ELの光路のずれ量(変位量ともいう。)を検出することができる。このようにずれ量を検出した場合、制御装置56は、図3に示すように、ずれ量に応じて、光入射部材50よりも光源装置12側に配置されるミラー(この場合、コリメート用ミラー29)を変位させるべく変位機構30を駆動させる。その後、計測位置に配置される光入射部材50を待機位置に移動させてから、露光処理が行なわれる。この際、照明光学系15からレチクルRに射出される露光光ELの特性が調整されているため、ウエハWにパターンの像を好適に投影することが可能となる。
【0032】
第2光検出装置27は、光源装置12内における集光ミラー24の射出側に配置される光入射部材50を備えている(図3参照)。また、第2光検出装置27は、第1光検出装置34と同様に、光入射部材50を露光光ELの光路内である計測位置及び光路外の待機位置との間で進退移動させるための図示しない移動機構と、待機位置から計測位置に移動してきた光入射部材50を計測位置で位置決めするための位置決め部52とが設けられている。そして、光入射部材50が計測位置に配置された状態で露光光ELが露光装置11側に向けて射出されると、光入射部材50の入射面50aに形成された各受光部53からは、受光量に応じた光電子eがそれぞれ放出される。すなわち、受光部53毎に設けられた各電流計(図示略)には、各受光部53から放出された光電子eの量に応じた電流がそれぞれ流れる。こうした電流の大きさを個別に検出することにより、光源装置12から射出される露光光ELの照度分布や露光光ELの光路の位置などが、計測される。
【0033】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)光入射部材50の入射面50aに露光光ELが入射すると、入射面50a上に形成される複数の受光部53からは、該各受光部53に入射する露光光ELの光量に応じた光電子eが放出される。このように各受光部53から放射される光電子eをそれぞれ制御装置56にて検出することにより、露光光ELの形状、露光光ELの照度分布や光路の位置などが計測される。しかも、熱分布計測装置などのように光検出装置を大型化することもない。そのため、露光装置11や該露光装置11に露光光ELを供給する光源装置12のように多数の部品から構成される装置内であって、該装置内の露光光ELを容易に計測できる。
【0034】
(2)また、光入射部材50は、非計測時には露光光ELの光路外の待機位置に配置される。そのため、ウエハWに対してリソグラフィ処理が行なわれている場合に、光入射部材50が露光光ELの光路内に配置されることに起因した光量不足の発生を抑制でき、ウエハWに対して速やかにパターンを形成させることができる。
【0035】
(3)計測位置に配置された光入射部材50は、位置決め部52によって確実に位置決めされる。そのため、露光光ELの計測時に光入射部材50が動いてしまったり、計測を行なう毎に光入射部材50の配置位置が変わってしまったりすることを抑制できる。
【0036】
(4)また、本実施形態の光入射部材50の入射面50aには、複数の受光部53が電気的に絶縁された状態で形成されている。そのため、一つの光入射部材50を露光光ELの光路内に配置することにより、露光光ELの照度分布や露光光ELの光路の位置ずれなど様々な情報を取得することができる。
【0037】
(5)光入射部材を複数設け、光入射部材毎に一つの受光部53を形成する方法も考えられる。しかしながら、複数の光入射部材を露光光ELの光路内にそれぞれ配置したり、光路外にそれぞれ配置したりさせることは、各光入射部材を進退移動させるための移動機構が非常に複雑になってしまい、露光装置11内や光源装置12内に配置することが非常に困難になる。また、計測を行なう毎に、互いに隣り合う受光部53同士の間隔が変化してしまうこともある。その点、本実施形態では、一枚の光入射部材50に複数の受光部53が形成された構成であるため、移動機構の複雑化や大型化を抑制できると共に、互いに隣り合う受光部53同士の間隔が変化してしまうことを防止できる。すなわち、計測精度の向上に貢献できる。
【0038】
(6)本実施形態では、第1光検出装置34を用いた計測結果に基づき、コリメート用ミラー29の位置や向きなどが調整される。その結果、照明光学系15の特性の変化を適切に補正することができる。
【0039】
(7)また、光入射部材50は、露光光ELの入射による熱変形量の少ない材料(低熱膨張ガラス)で構成される。そのため、露光光ELの計測中に、光入射部材50の熱変形に起因した計測誤差の発生を抑制できる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図6及び図7に従って説明する。なお、第2の実施形態は、光入射部材の構成が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0041】
図6に示すように、本実施形態の光検出装置27,34は、露光光ELの光路に配置される矩形板状の光入射部材60を備えている。光入射部材60は、熱膨張ガラスなどの非導体基板で構成されている。また、光入射部材60の中央部分には、口径が略円形状をなす通過孔61が形成されており、該通過孔61内を露光光ELが通過するようになっている。さらに、光入射部材60の入射面60a側には、複数(図6では9つのみ図示)の受光部53が互いに電気的に絶縁した状態で形成されている。これら各受光部53は、入射面60a上において通過孔61を囲むようにそれぞれ配置されている。
【0042】
そのため、ウエハWに対する露光処理時には、通常、光入射部材60が露光光ELの光路に配置されていても、各受光部53に露光光ELが入射することがない。しかしながら、光入射部材60よりも光源装置12側に位置するミラー(例えば、コリメート用ミラー29)の経時変化や位置ずれなどによって、露光光ELの光路がずれてしまうと、図7に示すように、各受光部53のうち一部の受光部53には、露光光ELが入射することになる。すると、露光光ELが入射する受光部53からは、入射した露光光ELの光量に応じた光電子eが放出され、当該受光部53に電気的に接続される電流計54には、微少電流が流れる。こうした微少電流の検出によって、露光光ELの入射する受光部53を特定することにより、露光光ELの光路のずれ量が検出される。
【0043】
そして、この時点で露光光ELが入射する受光部53に露光光ELが入射しなくなるようにコリメート用ミラー29の位置や向きを調整させると、露光光ELは、光入射部材60の通過孔61内を通過するようになる。すなわち、露光特性の変化が速やかに補正される。
【0044】
したがって、本実施形態では、上記第1の実施形態における効果(1)(4)に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(8)本実施形態では、光入射部材60は、露光光ELの光路内に配置されており、各受光部53のうち少なくとも一部の受光部53に微少電流が流れることを検出した場合に、露光光ELの光路がずれてしまったと判定できる。すなわち、本実施形態では、ウエハWへの露光処理中であって、露光装置11や光源装置12の露光特性の変化を検出することができる。
【0045】
(9)また、各電流計54に流れる電流の大きさから、露光光ELの光路のずれ量(即ち、位置の変位量)を推定することができる。
なお、上記各実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
【0046】
・各実施形態において、光入射部材50は、非導体基板上に、電気的に分割するために不導体膜(一例として、二酸化珪素など)を蒸着し、次に各受光部53としての金属膜をそれぞれ蒸着するように形成してもよい。また、例えば、上記不導体膜は、非導体基板上に格子状に蒸着するようにしてもよい。
【0047】
・各実施形態において、光入射部材50,60は、露光光ELの光路内であれば任意の位置に配置してもよい。例えば、光入射部材50,60を、入射側フライアイミラー32と射出側フライアイミラー33との間に配置してもよい。また、光入射部材50,60を、投影光学系17内における露光光ELの光路に配置してもよい。
【0048】
・第1の実施形態において、光入射部材50を、図8に示すように、レチクルステージ16における静電チャック37の吸着面37a上に配置してもよい。この場合、光入射部材50の厚みを、レチクルRの厚みと同程度にしてもよい。このように構成すると、レチクルRに入射する露光光ELの特性を検出することができる。
【0049】
・第1の実施形態において、光入射部材50を、図9に示すように、ウエハステージ18における静電チャック46の吸着面46a上に配置してもよい。この場合、光入射部材50の厚みを、ウエハWの厚みと同程度にしてもよい。このように構成すると、ウエハWに入射する露光光ELの特性を検出することができる。
【0050】
・各実施形態において、受光部53は、露光光ELを入射した際に光電子eを放出する構成であれば任意の構成でもよい。例えば、受光部53は、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)を交互に積層した構成の反射膜でもよい。また、受光部53は、モリブデン(Mo)とベリリウム(Be)を積層した構成の反射膜でもよい。
【0051】
また、受光部53は、酸化亜鉛(ZnO)や酸化チタン(TiO2)から構成される薄膜でもよい。
・各実施形態において、受光部53は、露光光ELを入射した際に光電子eを放出する任意の材料を含んだ構成であれば、金以外の他の材料を含んだ構成でもよい。例えば、受光部53は、白金(Pt)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)及びパラジウム(Pd)のうち何れか一つを含んだ構成でもよい。また、受光部53は、金、白金、ジルコニウム、ルテニウム及びパラジウムのうち少なくとも2つを含んだ構成でもよい。また、受光部53は、チタン(Ti)やアルミニウム(Al)を含んだ構成でもよい。また、受光部53は、金酸化物、白金酸化物、ジルコニウム酸化物、ルテニウム酸化物、パラジウム酸化物、チタン酸化物及びアルミニウム酸化物を含んだ構成でもよい。
【0052】
・各実施形態において、受光部53の形状は、正方形や矩形以外の他の形状(例えば、円形)でもよい。
・第1実施形態において、光入射部材50の入射面50aには、16個以外の複数(例えば20個)の受光部53を形成してもよい。また、第2の実施形態において、光入射部材60の入射面60aには、9個以外の複数(例えば4個)の受光部53を形成してもよい。
【0053】
・各実施形態において、光入射部材50,60は、その入射面50a,60a上に形成される各受光部53が電気的に絶縁させることが可能な部材であれば、低熱膨張ガラス以外の他の部材から構成されるものでもよい。例えば、光入射部材50,60を、シリコン基板から構成されるものでもよい。ただし、光入射部材50,60を、各受光部53から付与される応力(引っ張り応力など)によって変形しにくい部材で構成することが望ましい。
【0054】
・第1の実施形態において、光学系を構成するミラー(例えばコンデンサミラー35)を、光入射部材としてもよい。すなわち、コンデンサミラー35の反射面には、互いに電気的に絶縁された複数の反射層(受光部)を形成する。そして、コンデンサミラー35に露光光ELが入射した場合に各反射層に電気的に接続された各電流計に流れる電流を個別に検出することにより、コンデンサミラー35に入射する露光光ELの照度分布や露光光ELの光路のずれ量などを計測することができる。このように構成すると、露光光ELの特性を計測する際にミラー以外の他の部材を別途も受ける必要がないため、露光装置11全体として部品点数の増加を抑制できる。
【0055】
・各実施形態において、露光装置11は、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクルまたはマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウエハなどへ回路パターンを転写する露光装置でもよい。また、露光装置11は、液晶表示素子(LCD)などを含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッド等の製造に用いられて、デバイスパターンをセラミックウエハ等へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置などでもよい。
【0056】
・各実施形態において、露光装置11を、レチクルRとウエハWとが相対移動した状態でレチクルRのパターンをウエハWへ転写し、ウエハWを順次ステップ移動させるスキャニング・ステッパに搭載してもよい。
【0057】
・各実施形態において、露光装置11は、EB(Electron Beam )を露光光ELとして用いる露光装置でもよい。
・各実施形態において、EUV光を出力可能な光源装置12として、放電型プラズマ光源を有する光源装置でもよい。
【0058】
・各実施形態において、光源装置12は、例えばg線(436nm)、i線(365nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、F2レーザ(157nm)、Kr2レーザ(146nm)、Ar2レーザ(126nm)等を供給可能な光源でもよい。また、光源装置12は、DFB半導体レーザまたはファイバレーザから発振される赤外域、または可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(またはエルビウムとイッテルビウムの双方)がドープされたファイバアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を供給可能な光源でもよい。こうした光源を利用する場合には、該光源から供給される露光光ELによって光電子を放出するような材料で受光部53を形成することが望ましい。
【0059】
・各実施形態において、ターゲットは、キセノンに限定されずに、例えば、気体状、固体状又は液体状の錫、或いは、その錫を含む化合物、などを用いてもよい。
次に、本発明の実施形態の露光装置11によるデバイスの製造方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図10は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。
【0060】
まず、ステップS101(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS102(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクルRなど)を製作する。一方、ステップS103(基板製造ステップ)において、シリコン、ガラス、セラミックス等の材料を用いて基板(シリコン材料を用いた場合にはウエハWとなる。)を製造する。
【0061】
次に、ステップS104(基板処理ステップ)において、ステップS101〜ステップS104で用意したマスクと基板を使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によって基板上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS105(デバイス組立ステップ)において、ステップS104で処理された基板を用いてデバイス組立を行う。このステップS105には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS106(検査ステップ)において、ステップS105で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0062】
図11は、半導体デバイスの場合におけるステップS104の詳細工程の一例を示す図である。
ステップS111(酸化ステップ)おいては、基板の表面を酸化させる。ステップS112(CVDステップ)においては、基板表面に絶縁膜を形成する。ステップS113(電極形成ステップ)においては、基板上に電極を蒸着によって形成する。ステップS114(イオン打込みステップ)においては、基板にイオンを打ち込む。以上のステップS111〜ステップS114のそれぞれは、基板処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0063】
基板プロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS115(レジスト形成ステップ)において、基板に感光性材料を塗布する。引き続き、ステップS116(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置11)によってマスクの回路パターンを基板に転写する。次に、ステップS117(現像ステップ)において、ステップS116にて露光された基板を現像して、基板の表面に回路パターンからなるマスク層を形成する。さらに続いて、ステップS118(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS119(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となった感光性材料を取り除く。すなわち、ステップS118及びステップS119において、マスク層を介して基板の表面を加工する。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、基板上に多重に回路パターンが形成される。
【符号の説明】
【0064】
11…露光装置、12…光源装置、15…照明光学系、17…投影光学系、22…光源としての光源部、23…光源部としてのプラズマ発生部、24…集光光学系としての集光ミラー、37a…第1面としての吸着面、27,34…光検出装置、29,32,33,35,36,40〜45…光学素子としてのミラー、30…光学素子調整部としての変位機構、46a…第2面としての吸着面、50,60…光入射部材、50a,60a…入射面、51…移動機構、52…位置決め部、53…受光部、54…検出部としての電流計、56…検出部としての制御装置、61…通過孔、e…光電子、EL…露光光。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出力される光を検出するための光検出装置であって、
前記光が入射する入射面を有する光入射部材と、
該光入射部材の前記入射面上にて互いに電気的に絶縁した状態で形成され、前記光が入射した際に光電子を放出する複数の受光部と、
該複数の受光部から放出される光電子をそれぞれ検出する検出部と、を備えることを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
前記光入射部材を、前記光の光路内と前記光の光路外との間で進退移動させるための移動機構をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記光入射部材を、前記光の光路内において予め設定される計測位置で位置決めするための位置決め部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記光入射部材は、前記光を通過させるための通過孔を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記複数の受光部は、前記入射面上において前記通過孔の周囲にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項4に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記複数の受光部は、金、白金、ジルコニウム、ルテニウム、パラジウム、チタン、アルミニウム及びそれらの酸化物のうち少なくとも一つを含んでそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記複数の受光部は、前記光を反射させる反射膜でそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記反射膜は、シリコンとモリブデンとから構成される多層膜であることを特徴とする請求項7に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記光は、EUV光であることを特徴とする請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載の光検出装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のうち何れか一項に記載の光検出装置と、
前記光で第1面を照明可能な照明光学系と、
所定のパターンの像を前記第1面とは異なる第2面上に投影可能な投影光学系と、を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項11】
前記光入射部材よりも前記光源側に配置される光学素子の配置位置及び向きのうち少なくとも一方を、前記検出部による検出結果に基づき調整する光学素子調整部をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の露光装置。
【請求項12】
前記光入射部材は、前記第1面上における前記光の光路に対して進退可能に配置されることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の露光装置。
【請求項13】
前記光入射部材は、前記第2面上における前記光の光路に対して進退可能に配置されることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の露光装置。
【請求項14】
請求項1〜請求項9のうち何れか一項に記載の光検出装置と、
前記光を射出する光源部と、
該光源部から射出される前記光を集光する集光光学系と、を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項15】
請求項14に記載の光源装置と、
該光源装置から出力される光で第1面を照明可能な照明光学系と、
所定のパターンの像を前記第1面とは異なる第2面上に投影可能な投影光学系と、を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項16】
リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、
前記リソグラフィ工程は、請求項10〜請求項13及び請求項15のうち何れか一項に記載の露光装置を用いることを特徴とするデバイスの製造方法。
【請求項1】
光源から出力される光を検出するための光検出装置であって、
前記光が入射する入射面を有する光入射部材と、
該光入射部材の前記入射面上にて互いに電気的に絶縁した状態で形成され、前記光が入射した際に光電子を放出する複数の受光部と、
該複数の受光部から放出される光電子をそれぞれ検出する検出部と、を備えることを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
前記光入射部材を、前記光の光路内と前記光の光路外との間で進退移動させるための移動機構をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記光入射部材を、前記光の光路内において予め設定される計測位置で位置決めするための位置決め部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記光入射部材は、前記光を通過させるための通過孔を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記複数の受光部は、前記入射面上において前記通過孔の周囲にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項4に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記複数の受光部は、金、白金、ジルコニウム、ルテニウム、パラジウム、チタン、アルミニウム及びそれらの酸化物のうち少なくとも一つを含んでそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記複数の受光部は、前記光を反射させる反射膜でそれぞれ構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記反射膜は、シリコンとモリブデンとから構成される多層膜であることを特徴とする請求項7に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記光は、EUV光であることを特徴とする請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載の光検出装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のうち何れか一項に記載の光検出装置と、
前記光で第1面を照明可能な照明光学系と、
所定のパターンの像を前記第1面とは異なる第2面上に投影可能な投影光学系と、を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項11】
前記光入射部材よりも前記光源側に配置される光学素子の配置位置及び向きのうち少なくとも一方を、前記検出部による検出結果に基づき調整する光学素子調整部をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の露光装置。
【請求項12】
前記光入射部材は、前記第1面上における前記光の光路に対して進退可能に配置されることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の露光装置。
【請求項13】
前記光入射部材は、前記第2面上における前記光の光路に対して進退可能に配置されることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の露光装置。
【請求項14】
請求項1〜請求項9のうち何れか一項に記載の光検出装置と、
前記光を射出する光源部と、
該光源部から射出される前記光を集光する集光光学系と、を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項15】
請求項14に記載の光源装置と、
該光源装置から出力される光で第1面を照明可能な照明光学系と、
所定のパターンの像を前記第1面とは異なる第2面上に投影可能な投影光学系と、を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項16】
リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、
前記リソグラフィ工程は、請求項10〜請求項13及び請求項15のうち何れか一項に記載の露光装置を用いることを特徴とするデバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−190736(P2010−190736A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35484(P2009−35484)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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