説明

光活性化合物及び感光性樹脂組成物並びにパターン形成方法

【課題】レジスト用途において、短波長の光源に対しても高感度であり、高解像度でパターンを形成するのに有用な光活性化合物を得る。
【解決手段】感光剤と組み合わせて用いられる光活性化合物であって、一般式(1)で表される光活性化合物。
R1-(OCH2CH2)n-O-A-X-Pro (1)
〔式中、R1は炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは1から5の自然数を表しAは下記環状基を表し、Xは-O-あるいは-COO-を表し、Proは光照射にて脱離可能な保護基を表す。〕
【化5】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光剤と組み合わせて用いられ、紫外線や遠紫外線(エキシマレーザーなども含む)などの光線を用いて半導体集積回路などの微細パターンを形成するのに有用な光活性化合物、感光性樹脂組成物とそのパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レジストの分野においては、超LSIの開発に伴い、より高度な微細加工技術が求められており、従来の高圧水銀灯のg線(波長436nm)やi線(波長365nm)に代わって、より短波長の光源、例えば、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)及びF2エキシマレーザー(波長157nm)などが利用されている。
【0003】
また、半導体集積回路の高集積化とともに、レジストに対して解像度の向上(サブミクロンあるいはクオーターミクロン以下のパターン形成)、ドライ現像プロセスにおける耐エッチング特性の向上なども要求されている。
【0004】
しかし、g線やi線を用いる従来のレジスト材料、例えば、ノボラック樹脂/ジアゾナフトキノン型ポジ型レジストは、耐ドライエッチング性は実用レベルであるが、ノボラック樹脂の光吸収に起因して、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーを用いても、感度および解像力が大きく低下する。
【0005】
より短波長の露光源に対して適用可能なレジストとして、I.Sondi and E.Matijective,Resist Technology and Processing XVII,Francis M.Houlihan,Editor,Proceedings of SPIE Vol. 3999(2000)の第627〜637頁には、SiO2ナノ粒子(シリカゾル)を含有するp-ヒドロキシスチレン-t-ブチルアクリレートコポリマーで構成されたフィルムが開示され、このようなSiO2ナノ粒子を含むレジストが高い解像度を示すこと、及び透明なSiO2ナノ粒子を用いたレジストシステムが、157nmなどの波長に対して有用であることなどが記載されている。しかし、このような方法でも、露光部と未露光部との溶解速度の差を大きくできず、解像度を十分に改善できない。(非特許文献1参照)。
また、本発明者らは、上記課題を解決するため下記特許を出願し、溶解度の差を大きくして解像度を改善することを示しているがさらなる解像度の改善が求められている。
【0006】

【非特許文献1】I.Sondi and E.Matijective,Resist Technology and Processing XVII,Francis M.Houlihan,Editor,Proceedings of SPIE Vol. 3999(2000),第627〜637頁
【特許文献1】公開番号:特開2002-363123 発明の名称:光活性化合物および感光性樹脂組成物
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、感光剤との組み合わせにおいて、レジストの感度及び解像度を改善するために有用な光活性化合物、それを用いた感光性樹脂組成物及びパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の他の目的は、短波長の露光源に対しても高感度であり、高解像度の微細パターンを形成するのに有用な光活性化合物、それを用いた感光性樹脂組成物及びパターン形成方法を提供することにある。
【0009】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、光照射に起因した脱保護により親水化可能な光活性化合物を感光剤と組み合わせて用いると、KrFエキシマレーザーなどのより短波長の光源に対してもレジストの感度及び溶解度を簡便に改善できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の光活性化合物は、下記一般式(1)で表され、感光剤と組み合わせて用いられる。
【0011】
R1-(OCH2CH2)n-O-A-X-Pro (1)
〔式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは1から5の自然数を表しAは下記環状基を表し、Xは-O-あるいは-COO-を表し、Proは光照射にて脱離可能な保護基を表す。〕
【0012】
【化2】

【0013】
前記一般式(1)で表される化合物におけるR1は、後述するポリマーの種類やフォトレジストの組成、あるいはその使用方法などにより、前記範囲内において任意に選択すればよい。これにより、添加剤の極性を調整し、添加剤の溶剤溶解性や、後述するポリマーとの親和性を調節することができ、この結果、フォトレジストとしての解像度、感度、基板との密着性などに対しては最適な特性を付与することができる。
【0014】
R1は炭素数1から5のアルキル基であり、直鎖アルキルとしては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基が挙げられ、分岐アルキル基としてはiso-プロピル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。
【0015】
これらのうち、好ましいのは直鎖のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1から3の直鎖アルキル基である。
【0016】
nは1から5の自然数であり、原料入手の点から1または2が好ましい。
【0017】
ここに、Proは(i)アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、オキサシクロアルキル基、架橋環式脂環族基及びアルキルシリル基から選択されたヒドロキシル基に対する保護基、又は(ii)アルキル基、架橋環式脂環族炭化水素基、オキサシクロアルキル基、ラクトン環基、カルバモイル基及びN-置換カルバモイル基から選択されたカルボキシル基に対する保護基であることが好ましい。
ヒドロキシル基に対する保護基(Pro)としては、親水性のヒドロキシル基に疎水性を付与する疎水性保護基が好ましい。例えば、アシル基(特にt-ブチルカルボニル基、2,2-ジメチルプロピオニル基などのC1-6アルキルカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(t-BOC基などのC1-6アルコキシカルボニル基)、5又は6員環オキサシクロアルキル基(テトラヒドロピラニル基など)、置換基を有していても良いビ又はトリシクロアルキル基(架橋環式脂環族炭化水素基、例えば、2-ノルボニル基、2-メチル-2-ノルボニル基などの置換基を有していてもよいノルボニル基、2-アダマンチル基、2-メチル-2-アダマンチル基などの置換基を有していてもよいアダマンチル基など)、アルコキシアルキル基(1-メトキシエチル基、1-エトキシエチル基、1-メトキシイソプロピル基などのC1-6アルコキシ-C1-6アルキル基(特にC1-4アルコキシ-C1-4アルキル基など)、C1-4アルキルシリル基などが好ましい。
【0018】
カルボキシル基に対する保護基(Pro)としては、親水性のカルボキシル基に疎水性を付与する疎水性保護基が好ましい。例えば、アルキル基(特にt-ブチル基などのC1-4アルキル基)、置換基を有していても良いビ又はトリシクロアルキル基(架橋環式脂環族炭化水素基、例えば、2-ノルボニル基、2-メチル-2-ノルボニル基などの置換基を有していてもよいノルボニル基、2-アダマンチル基、2-メチル-2-アダマンチル基などの置換基を有していてもよいアダマンチル基など)、置換基を有していてもよい5又は6員環オキサシクロアルキル基、置換基を有していてもよいラクトン環基、カルバモイル基またはN-置換カルバモイル基などが好ましい。
【0019】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記光活性化合物とベース樹脂と感光剤とを含んでなる。前記感光性樹脂組成物は、水又はアルカリ現像可能であってもよく、ポジ型感光性樹脂組成物であってもよい。ベース樹脂は、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂で構成してもよく、感光剤は光酸発生剤で構成してもよい。前記ベース樹脂は、例えば、ヒドロキシル基及びカルボキシル基から選択され、かつ酸の作用により脱離可能な保護基で保護可能な親水性基を有する単量体の単独または共重合体で構成してもよい。前記組成物において、光活性化合物と感光剤との割合(重量比)は、例えば、前者/後者=0.01/1〜100/1程度の範囲から選択できる。また、感光剤の使用量は、ベース樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部程度であってもよく、光活性化合物の使用量は、ベース樹脂100重量部に対して1〜1000重量部程度であってもよい。
【0020】
また、本発明のパターン形成方法は、前記感光性樹脂組成物(特にポジ型感光性樹脂組成物)を基板に塗布し、露光した後、加熱処理し、さらに現像してパターンを形成する方法である。
【0021】
本発明の光活性化合物は、以下の工程を経て製造することができる。
(1)Aが1,4-ビフェニレン基、2,6-ナフチレン基、1,5-ナフチレンでXが-O-である場合
【0022】
【化3】

【0023】
(2)Aが1,4-ビフェニレン基、2,6-ナフチレン基、1,5-ナフチレンでXが-COO-である場合
【0024】
【化4】

【0025】
このような光活性化合物の用途は特に制限されないが、特にレジスト用途に好適である。すなわち、前記光活性化合物は、疎水性である(又はアルカリとの相互作用により疎水化可能である)ものの、感光剤(光酸発生剤など)と組み合わせて用いることにより、保護基が光照射に起因して(特に、光照射により感光剤と関連して)脱離(脱保護)し、親水性基を生成し、親水化可能である。従って、レジスト(特にポジ型レジスト)などに適用すると、露光部では、親水性ドメインを形成し、レジスト膜の溶解が促進され、未露光部では、保護基の作用によりベース樹脂との親和性を高めて溶解を抑止でき、露光部と未露光部とで溶解速度の差を大きくすることができる。特に、前記保護基として、疎水性保護基を用いることにより、未露光部での溶解性を大幅に抑制できるとともに、現像に伴うレジストの膨潤を抑制することもでき、解像度を改善することも可能である。前記保護基の脱離は、感光剤と関連して、特に、酸の触媒作用により生じる場合が多い。このような酸としては、光照射に伴って発生する酸(特に感光性樹脂組成物を構成する光酸発生剤から生成する酸)を利用するのが有利である。
【0026】
光活性化合物と組み合わせる感光剤としては、ポジ型レジストに用いられる慣用の感光剤又は光増感剤、例えば、ジアゾニウム塩(ジアゾニウム塩、テトラゾニウム塩、ポリアゾニウム塩など)、キノンジアジド類(ジアゾベンゾキノン誘導体、ジアゾナフトキノン誘導体など)、光酸発生剤、溶解抑制剤などが選択できる。
【0027】
前記光酸発生剤としては、次のような化合物が例示できる。なお、参考までに、括弧内にはミドリ化学(株)製の商品名を記載する。スルホニウム塩誘導体[スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリ(メチルスルホニルオキシ)ベンゼンなどのアリールアルカンスルホネート(特にC6−10アリールC1−2アルカンスルホネート);
2,6−ジニトロベンジルトルエンスルホネート、ベンゾイントシレートなどのアリールベンゼンホスホネート(特にベンゾイル基を有していてもよいC6-10アリールトルエンホスホネート);
2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルトルエンスルホネートなどのアラルキルベンゼンスルホネート類(特にベンゾイル基を有していてもよいC6−10アリール−C1−4アルキルトルエンスルホネート);
ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類;
ルイス酸塩(トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート(TPS−102)、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモン(TPS−103)、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモン(DTS−103)、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモン(MDS−103)、トリフェニルスルホニウム メタンスルホニル、トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホニル(TPS−105)、トリフェニルスルホニウム ノナフルオロブタンスルホニル(TPS−109)などのトリアリールスルホニウム塩(特にトリフェニルスルホニウム塩)など)など]、ホスホニウム塩誘導体、ジアリールハロニウム塩誘導体[ジアリールヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート(BBI−102)、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート(BBI−103)、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート(BBI−101)、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート(BBI−105)、4,4’−ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム カンファスルホネート(BBI−106)、ジフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート(DPI−105)、4−メトキシフェニル フェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート(DPI−105)など)などのルイス酸塩など]、ジアゾニウム塩誘導体(p−ニトロフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのルイス酸塩など)、ジアゾメタン誘導体、トリアジン誘導体[1−メトキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ベンゼン(TAZ−104)、1−メトキシ−4−(3,5−ジ(トリクロロメチル)トリアジニル)ナフタレン(TAZ−106)などのハロアルキルトリアジニルアリール、1−メトキシ−4−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン(TAZ−110)、1,2−ジメトキシ−4−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン(TAZ−113)、1−メトキシ−2−[2−(3,5−ジトリクロロメチルトリアジニル)エテニル]ベンゼン(TAZ−118)などのハロアルキルトリアジニルアルケニルアリールなど]、イミジルスルホネート誘導体[スクシンイミジル カンファスルホネート(SI−106)、スクシンイミジル フェニルスルホネート(SI−100)、スクシンイミジル トルイルスルホネート(SI−101)、スクシンイミジル トリフルオロメチルスルホネート(SI−105)、フタルイミジル トリフルオロスルホネート(PI−105)、ナフタルイミジル カンファスルホネート(NAI−106)、ナフタルイミジル メタンスルホネート(NAI−100)、ナフタルイミジル トリフルオロメタンスルホネート(NAI−105)、ナフタルイミジル トルイルスルホネート(NAI−101)、ノルボルネンイミジル トリフルオロメタンスルホネート(NDI−105)など]などが例示できる。
また、スルホン誘導体[例えば、商品名「DAM−101」「DAM−102」「DAM−105」「DAM−201」などの−SO2−C(=N)−単位を有する化合物;
「DSM−301」などの−CH−SO−単位を有する化合物;
「PAI−101」などの=N−O−SO−単位を有する化合物など]も含まれる。特に、ルイス酸塩(ホスホニウム塩などのルイス酸塩)が好ましい。
【0028】
特に、前記光酸発生剤と、この光酸発生剤から光照射により発生した酸により、脱保護され、親水性基を生成する前記光活性化合物と、ベース樹脂(特に、前記酸により保護基が脱離してアルカリ可溶性となるベース樹脂)を組み合わせた感光性樹脂組成物は、化学増幅系レジストとして有用である。
【0029】
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物(又はレジスト組成物)は、前記光活性化合物と前記感光剤とベース樹脂(オリゴマー又はポリマー)とを含んでなる。感光性樹脂組成物は、有機溶媒(アルコール類など)により現像可能であってもよいが、通常、水又はアルカリ現像可能であることが好ましい。
【0030】
(ベース樹脂)
本発明の感光性樹脂組成物に含まれるベース樹脂としては、例えば、ヒドロキシル基含有ポリマー[ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ヒドロキシル基含有セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロースなど)、ポリビニルフェノール系樹脂、ノボラック樹脂(フェノールノボラック樹脂)など]、カルボキシル基含有ポリマー[重合性不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸など)を含む単独又は共重合体、カルボキシル基含有セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース又はその塩など)など]、エステル基含有ポリマー[カルボン酸ビニルエステル(酢酸ビニルなど)、(メタ)アクリル酸エステル(メタクリル酸メチルなど)などの単量体の単独または共重合体(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル系樹脂など)、ポリエステル、セルロースエステル類など]、エーテル基を有するポリマー[ポリアルキレンオキシド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリビニルエーテル系樹脂、ケイ素樹脂、セルロースエーテル類など]、カーボネート基含有ポリマー、アミド基又は置換アミド基を有するポリマー[ポリビニルピロリドン、ポリウレタン系重合体、ポリ尿素、ナイロン又はポリアミド系重合体(ラクタム成分、ジカルボン酸成分やジアミン成分を用いたポリアミドなど);ポリ(メタ)アクリルアミド系重合体;ポリアミノ酸;ビュレット結合を有するポリマー;アロハネート結合を有するポリマー;ゼラチンなどの蛋白類など]、ニトリル基を有するポリマー(アクリロニトリル系重合体など)、グリシジル基を有するポリマー(エポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体など)、ハロゲン含有ポリマー(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン系ポリマー、塩素化ポリプロピレンなど)、非芳香族性環基を有するポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのC5−8シクロアルキル基を有するポリマー;(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチルなどの架橋環式C7−20炭化水素環基を有するポリマーなど)、重合性オリゴマー又はポリマー((メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、シンナモイル基などの重合性基を有するオリゴマー又はポリマーなど)などが例示できる。これらのベース樹脂は単独で又は2種以上組合わせて使用してもよい。ベース樹脂としては、ネガ型感光性樹脂組成物を構成するベース樹脂でもよいが、ポジ型感光性樹脂組成物(ポジ型レジスト)を構成するためのベース樹脂が好ましい。
【0031】
ポジ型レジストを構成する代表的なベース樹脂には、ノボラック樹脂(フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂など)、親水性基(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基など)が脱離可能な保護基で保護された樹脂などが含まれる。ベース樹脂は単独で又は2種以上組合わせて使用してもよい。
【0032】
ノボラック樹脂としては、通常、アルカリ可溶性ノボラック樹脂が使用され、半導体製造用レジストとして利用する場合、レジスト分野で使用されている慣用のノボラック樹脂が使用できる。ノボラック樹脂は、分子内に少なくとも1つのフェノール性ヒドロキシル基を有するフェノール類とアルデヒド類とを、酸触媒の存在下、縮合することにより得ることができる。フェノール類としては、例えば、フェノール、o−,m−又はp−クレゾール、2,5−,3,5−または3,4−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノールのC1−4アルキルフェノール類、ジヒドロキシベンゼン、ナフトール類などが挙げられる。アルデヒド類には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキサールなどの脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。
【0033】
フェノール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、アルデヒド類も単独で又は二種以上組
み合わせて使用できる。酸触媒としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸など)、有機酸(シュウ酸、
酢酸、p−トルエンスルホン酸など)、有機酸塩(酢酸亜鉛などの二価金属塩など)などが挙げられ
る。縮合反応は常法、例えば、温度60〜120℃程度で2〜30時間程度行なうことができる。反
応はバルクで行ってもよく、適当な溶媒中で行ってもよい。
【0034】
ベース樹脂は、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂で構成することが好ましい。このようなベース樹脂は、親水性基(特に、ヒドロキシル基及びカルボキシル基から選択された親水性基)であって、酸の作用により脱離可能な保護基で保護可能な親水性基を有する単量体の単独又は共重合体で構成できる。前記親水性基(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基など)が脱離可能な保護基で保護された樹脂(又は保護基で保護可能な樹脂)としては、例えば、フェノール性ヒドロキシル基が脱離可能な保護基で保護されたポリビニルフェノール系樹脂(ビニルフェノールの単独重合体、又は共重合性単量体との共重合体など)、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基含有(メタ)アクリル系樹脂[例えば、(メタ)アクリレートの単独又は共重合体、又は(メタ)アクリレートと共重合性単量体との共重合体など]、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基含有ノルボルネン系樹脂(ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基含有ノルボルネン誘導体と共重合性単量体との共重合体など)などが例示できる。前記ベース樹脂として露光波長に対して透明性の高い樹脂((メタ)アクリル系樹脂やノルボルネン系樹脂などの非芳香族性樹脂)を使用すると、短波長の露光光線に対しても感度を高めることができる。また、非芳香族性の感光性樹脂組成物を用いると、より短波長の露光源を利用できるとともに、より微細なパターンを形成可能である。
【0035】
なお、親水性基が脱離可能な保護基で保護された樹脂は、親水性基が予め保護基(前記光活性化合物の項で例示の保護基など)で保護された単量体を重合することにより得てもよく、親水性基を有する単量体を重合し、得られた樹脂の親水性基を前記保護基で保護することにより得てもよい。
【0036】
前記親水性基を有する単量体のうち、ヒドロキシル基を有する単量体としては、ビニルフェノール系単量体(ビニルフェノールなど);
アリルアルコール;
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどヒドロキシC2−6(メタ)アクリレートなど);
ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレート(ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC3-8シクロアルキル(メタ)アクリレート)、ヒドロキシオキサシクロアルキル(メタ)アクリレートなどの単環式脂環族基を有する(メタ)アクリレート;
ヒドロキシデカリニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシノルボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレートなどの架橋環式脂環族基を有する(メタ)アクリレート(ヒドロキシビ乃至テトラC3−8シクロアルキル(メタ)アクリレートなど);ヒドロキシノルボルネン、ヒドロキシアルキル−ノルボルネン(ヒドロキシメチル−ノルボルネン、ヒドロキシエチル−ノルボルネンなどのヒドロキシC1−4アルキル−ノルボルネンなど)などのヒドロキシル基を有するノルボルネン誘導体などが挙げられる。カルボキシル基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル安息香酸などの不飽和カルボン酸;
カルボキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのカルボキシC5-8シクロアルキル(メタ)アクリレート;
カルボキシル基含有架橋環式脂環族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(例えば、カルボキシデカリニル(メタ)アクリレート、カルボキシノルボルニル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル−ノルボルニル(メタ)アクリレート、カルボキシボルニル(メタ)アクリレート、カルボキシアダマンチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシビ乃至テトラC3−8シクロアルキル(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。これらの親水性基を有する単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0037】
前記共重合性単量体としては、慣用の共重合性単量体、例えば、(メタ)アクリル系単量体[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート(C1-10アルキル(メタ)アクリレート);
シクロへキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート(シクロC3−8アルキル(メタ)アクリレート);
オキサシクロアルキル(メタ)アクリレートなどの単環式複素環基を有する(メタ)アクリレート;
デカリニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの架橋環式脂環族基を有する(メタ)アクリレート(ビ乃至テトラシクロC3−8アルキル(メタ)アクリレート);
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロニトリルなど];
イミド系単量体[例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミドなどのN−C1-4アルキルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのN−C6-10アリールマレイミドなど];
不飽和カルボン酸[例えば、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸など]、スチレン、α-メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル系単量体(スチレン系単量体);
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエスエル系単量体などが挙げられる。
【0038】
これらの共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。共重合性単量体との共重合体において、前記親水性基を有する単量体の割合は、単量体の総量に対して、10〜100重量%、好ましくは25〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%程度である。
【0039】
前記脱保護により親水性基を生成する樹脂において、親水性基の保護基としては、前記光活性化合物の項で例示の保護基、例えば、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキル基、オキサシクロアルキル基、架橋環式脂環族基、アルキルシリル基などのヒドロキシル基に対する保護基;アルキル基などのカルボキシル基に対する保護基などが挙げられる。
【0040】
代表的な樹脂としては、例えば、ヒドロキシル基が、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基(t−BOC基など)などの保護基で保護されたポリ脂環族アルコール系樹脂(ヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有脂環族(メタ)アクリレートの単独又は共重合体など)、ヒドロキシル基が、シクロアルキル基(オキサシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基などのビ又はトリシクロアルキル基なども含む)などの脂環族基で保護された(メタ)アクリル系樹脂(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体など)、カルボキシル基が、アルキル基(t−ブチル基など)などの保護基で保護された(メタ)アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸の単独又は共重合体など)などが挙げられる。
【0041】
ベース樹脂の重量平均分子量は、6,000〜50,000、好ましくは7,000〜30,000、さらに好ましくは7,000〜20,000程度である。
【0042】
好ましいポジ型レジストには、脱保護(特に酸発生剤から生成した酸の触媒作用による脱保護)により親水性基を生成する樹脂と感光剤(光酸発生剤)との組み合わせなどが含まれる。
【0043】
(各成分の割合)
前記光活性化合物と感光剤との割合(重量比)は、前者/後者=0.01/1〜100/1程度の広い範囲から選択でき、通常、0.1/1〜75/1、好ましくは1/1〜50/1程度であってもよい。
【0044】
前記ポジ型感光性樹脂組成物(ポジ型レジスト)において、感光剤の使用量は、例えば、ベース樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部(特に、1〜10重量部)程度の範囲から選択できる。
【0045】
また、前記感光性樹脂組成物において、前記光活性化合物の割合は、レジストの固形分全体に対して、50重量%以下(例えば、1〜50重量%程度)、好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%程度である。また、前記光活性化合物の割合は、固形分換算で、ベース樹脂100重量部に対して、1〜1000重量部(例えば、5〜1000重量部)、好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは10〜300重量部、特に10〜100重量部程度である。
【0046】
感光性樹脂組成物は、必要により、酸化防止剤などの安定剤、可塑剤、界面活性剤、溶解促進剤、染料や顔料などの着色剤などの種々の添加剤を添加してもよい。さらに、感光性樹脂組成物は、塗布性などの作業性を改善するため、溶媒[炭化水素類,ハロゲン化炭化水素類,アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、ケトン類(アセトン、シクロヘキサノンなど)、エステル(酢酸エチル、乳酸エチルなど)、エーテル類,セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど),カルビトール類,グリコールエーテルエステル類(セロソルブアセテート,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAなど)などの(ポリ)オキシアルキレングリコールアルキルエーテルアセテートなど)など]を含んでいてもよい。
【0047】
感光性樹脂組成物は、慣用の方法、例えば、感光性樹脂[ベース樹脂(ポリマー又はオリゴマー)及び感光剤で構成された感光性樹脂組成物]と、光活性化合物とを混合することにより調製できる。感光性樹脂組成物は、通常、溶媒[例えば、乳酸エチルなどの乳酸エステル;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEAなど)などの(ポリ)オキシアルキレングリコールアルキルエーテルアセテートなど)など]を含有している。溶媒の使用量は、特に制限されず、例えば、感光性樹脂1重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部程度である。
【0048】
[感光層]
前記感光性樹脂組成物を基体(基板)に適用(塗布又は被覆)することにより感光層を形成できる。基体(基板)としては、パターンの特性や用途に応じて、金属(アルミニウム),ガラス,セラミックス(アルミナ,銅ドープアルミナ,タングステンシリケートなど),プラスチックなどから適当に選択でき、シリコンウェハーなどの半導体基板であってもよい。
【0049】
基板は、用途に応じて、感光層との密着性を向上させるため、予め、表面処理してもよい。表面処理には、例えば、前記シランカップリング剤(重合性基を有する加水分解重合性シランカップリング剤など)などによる表面処理、アンカーコート剤又は下地剤(ポリビニルアセタール,アクリル系樹脂,酢酸ビニル系樹脂,エポキシ樹脂,ウレタン樹脂など)、又はこれらの下地剤と無機微粒子との混合物によるコーティング処理などが含まれる。
【0050】
なお、感光性樹脂組成物を基板に塗布した後、乾燥により溶媒を蒸発させてもよい。溶媒の除去は、例えば、ホットプレートなどの加熱手段を利用して、ソフトベーク(プリベーク)などにより行ってもよい。
【0051】
本発明の感光性樹脂組成物による感光層は、レジスト層の少なくとも表面に形成してもよい。感光層の構造は、パターン形成プロセスや回路構造などに応じて選択でき、単層構造や多層構造(又は積層、複合構造)であってもよい。
【0052】
感光層の厚みは、特に制限されず、例えば、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μm、好ましくは0.08〜2μm程度の範囲から選択でき、通常、0.05〜1μm(例えば、0.1〜0.7μm)程度である。
【0053】
前記感光層は、慣用のコーティング方法、例えば、スピンコーティング法、ディッピング法、キャスト法などにより行うことができ、必要により、乾燥して溶媒を除去して感光層を形成できる。
【0054】
[パターン形成方法]
パターン(特に微細なパターン)は、露光,現像やエッチングなどを組み合わせた慣用のリソグラフィー技術を利用して行うことができる。
【0055】
例えば、前記感光性樹脂組成物を基板に塗布して感光層を形成し、露光し、現像することによりパターンを形成できる。特に、化学増幅系の感光性樹脂を用いる場合、露光により発生した酸を効率よく拡散させるため、露光後、加熱処理(露光後ベーク(ポストエクスポージャーベーク,PEB))するのが好ましい。また、現像によりパターンニングした後、プラズマ処理(酸素プラズマなど)によりエッチング処理をしてもよい。
【0056】
感光層に対する露光は、慣用の方法、例えば、所定のマスクを介して光線をパターン照射又は露光することにより行うことができる。光線としては、感光性樹脂組成物の感光特性,パターンの微細度、ベース樹脂の種類などに応じて種々の光線(活性光線)、例えば、ハロゲンランプ,高圧水銀灯,UVランプなどの光線;g線(436nm)、i線(365nm)、エキシマーレーザー(例えば、XeCl(308nm),KrF(248nm),KrCl(222nm),ArF(193nm),ArCl(172nm),F(157nm)など),電子線,EB線、EUV線(13nm)、X線などの放射線などが利用でき、単一波長であっても、複合波長であってもよい。特に、KrF(248nm),ArF(193nm),F(157nm)などのエキシマーレーザー、X線、EB線、EUV線(13nm)などの10〜300nm程度の波長の光線が有利に利用できる。
【0057】
また、非芳香族系のベース樹脂で構成されたレジストを用いることにより、短波長の光線に対する透明性を向上でき、感度を向上させることができる。例えば、KrFエキシマーレーザー(248nm)を露光源として利用する場合には、化学増幅系の感光性樹脂組成物、例えば、脱保護により親水性基を生成する樹脂[ヒドロキシル基が保護基で保護されたポリビニルフェノール系樹脂や、ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂など]と感光剤(酸発生剤)とで構成されたポジ型感光性樹脂組成物などが利用できる。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂としては、例えば、カルボキシル基が保護基で保護された(メタ)アクリル系樹脂;保護基で保護されたカルボキシル基やヒドロキシル基を有する脂環族樹脂[例えば、脂環族単量体(カルボキシノルボルネン、ヒドロキシノルボルネン、ヒドロキシエチルノルボルネンなどのノルボルネン誘導体など)と無水マレイン酸などの共重合性単量体との共重合体において、ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護されている樹脂など]などが例示できる。
また、非芳香族系のベース樹脂で構成されたレジストを用いることにより、短波長の光線に対する透明性を向上でき、感度を向上させることができる。例えば、KrFエキシマーレーザー(248nm)を露光源として利用する場合には、化学増幅系の感光性樹脂組成物、例えば、脱保護により親水性基を生成する樹脂[ヒドロキシル基が保護基で保護されたポリビニルフェノール系樹脂や、ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂など]と感光剤(酸発生剤)とで構成されたポジ型感光性樹脂組成物などが利用できる。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂としては、例えば、カルボキシル基が保護基で保護された(メタ)アクリル系樹脂;保護基で保護されたカルボキシル基やヒドロキシル基を有する脂環族樹脂[例えば、脂環族単量体(カルボキシノルボルネン、ヒドロキシノルボルネン、ヒドロキシエチルノルボルネンなどのノルボルネン誘導体など)と無水マレイン酸などの共重合性単量体との共重合体において、ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護されている樹脂など]などが例示できる。
また、非芳香族系のベース樹脂で構成されたレジストを用いることにより、短波長の光線に対する透明性を向上でき、感度を向上させることができる。例えば、KrFエキシマーレーザー(248nm)を露光源として利用する場合には、化学増幅系の感光性樹脂組成物、例えば、脱保護により親水性基を生成する樹脂[ヒドロキシル基が保護基で保護されたポリビニルフェノール系樹脂や、ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂など]と感光剤(酸発生剤)とで構成されたポジ型感光性樹脂組成物などが利用できる。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂としては、例えば、カルボキシル基が保護基で保護された(メタ)アクリル系樹脂;保護基で保護されたカルボキシル基やヒドロキシル基を有する脂環族樹脂[例えば、脂環族単量体(カルボキシノルボルネン、ヒドロキシノルボルネン、ヒドロキシエチルノルボルネンなどのノルボルネン誘導体など)と無水マレイン酸などの共重合性単量体との共重合体において、ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護されている樹脂など]などが例示できる。
また、非芳香族系のベース樹脂で構成されたレジストを用いることにより、短波長の光線に対する透明性を向上でき、感度を向上させることができる。例えば、KrFエキシマーレーザー(248nm)を露光源として利用する場合には、化学増幅系の感光性樹脂組成物、例えば、脱保護により親水性基を生成する樹脂[ヒドロキシル基が保護基で保護されたポリビニルフェノール系樹脂や、ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂など]と感光剤(酸発生剤)とで構成されたポジ型感光性樹脂組成物などが利用できる。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂としては、例えば、カルボキシル基が保護基で保護された(メタ)アクリル系樹脂;保護基で保護されたカルボキシル基やヒドロキシル基を有する脂環族樹脂[例えば、脂環族単量体(カルボキシノルボルネン、ヒドロキシノルボルネン、ヒドロキシエチルノルボルネンなどのノルボルネン誘導体など)と無水マレイン酸などの共重合性単量体との共重合体において、ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護されている樹脂など]などが例示できる。
【0058】
また、ArFエキシマーレーザー(193nm)を露光源として利用する場合には、例えば、前記ヒドロキシル基やカルボキシル基が保護基で保護された非芳香族性樹脂などが利用できる。
なお、露光エネルギーは感光性樹脂組成物の感光特性(溶解性など)などに応じて選択でき、露光時間は、通常、0.005秒〜10分、好ましくは0.01秒〜1分程度の範囲から選択できる。
【0059】
加熱(プリベーク及びPEB)の温度は、50〜150℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜150℃程度であり、加熱の時間は、30秒〜5分、好ましくは1〜2分程度である。
【0060】
パターン露光の後、慣用の方法で現像することにより解像度の高いパターンを形成できる。現像には、感光性樹脂組成物の種類に応じて種々の現像液(水,アルカリ水溶液など)が使用できる。好ましい現像液は水又はアルカリ現像液であり、必要であれば、少量の有機溶媒(例えば、メタノール,エタノール,イソプロパノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル類、セロソルブ類、セロソルブアセテート類などの親水性又は水溶性溶媒)や界面活性剤などを含んでいてもよい。現像法も特に制限されず、例えば、パドル(メニスカス)法,ディップ法,スプレー法などが採用できる。
【0061】
なお、前記プリベーク及びPEBのみに限らず、感光性樹脂組成物の塗布から現像に至る工程のうち適当な工程で、塗膜(感光層)を適当な温度で加熱又は硬化処理してもよい。例えば、現像後などにおいて、必要により加熱処理してもよい。
【0062】
本発明の光活性化合物は、光照射に起因した脱保護により親水化可能であるため、感光剤(感光剤及びベース樹脂)と組み合わせて用いると、レジスト(前記感光性樹脂組成物で形成されたレジストなど)用途において、感光層を形成しても、露光部と未露光部とで溶解度差を生じさせることができる。特に、未露光部では、感光層が保護(特に疎水化)されて表面が疎水化された状態になるとともに、露光部において、親水化された部分が親水性ドメインを形成するため、露光部では溶解が促進される。そのため、未露光部と露光部とにおける溶解速度の差を大きくすることができる。
【0063】
そのため、本発明の光活性化合物は、レジスト組成物などに適用するのに有用であり、前記光活性化合物で構成された感光性樹脂組成物は、種々の用途、例えば、回路形成材料(半導体製造用レジスト、プリント配線板など)、画像形成材料(印刷版材,レリーフ像など)などに利用できる。特に、高い感度と解像度を得ることも可能であるので、半導体製造用レジストに有利に利用できる。
【発明の効果】
【0064】
本発明の光活性化合物は、光照射に起因した脱保護により親水化可能であるので、感光剤と組み合わせることにより、特にレジスト(前記光活性化合物を含む感光性樹脂組成物で形成されたレジストなど)の感度及び解像度を改善するために有用である。また、短波長の露光源に対する感度を向上させ、微細パターンの解像度を向上できる。さらに、レジストの露光部と未露光部とにおいて、現像液に対する溶解度差を大きくでき、微細パターンを高感度及び高解像度で形成できる。
【実施例】
【0065】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0066】
〔実施例1〕(光活性化合物の合成)
実施例1:4-(2-エトキシエトキシ)-4’-tert-ブトキシカルボニルオキシビフェニルの合成ジメチルスルホキシド250ml 中に4,4’-ジヒドロキシビフェニル55.0gを溶かし、水酸化ナトリウム11.8gを溶かした水溶液100mlを加え1時間攪拌した。次に2-ブロモエチルエチルエーテル(純度90%)を加え、室温で3日間攪拌した。反応終了後、反応溶液を氷水の中へ投入し、得られた固体を濾過、乾燥した。得られた固体をトルエン/濃塩酸で再結晶することにより4-(2-エトキシエトキシ)-4’-ヒドロキシビフェニル21.5gを得た。
【0067】
4-(2-エトキシエトキシ)-4’-ヒドロキシビフェニル9.89gを無水アセトン100mlに溶かし、触媒の4-ジメチルアミノピリジン4.68mgを加えた。40℃でジ-tert-ブチルジカーボネート8.37gを滴下し、一晩反応させた。反応終了後、氷水の中へ投入し、得られた固体を濾過乾燥後、メタノールで再結晶することにより、4-(2-エトキシエトキシ)-4’-tert-ブトキシカルボニルオキシビフェニル11.0gを得た。
【0068】
得られた化合物の1H-NMRを図1に示す。
【0069】
〔実施例2〜3〕
1.感光性樹脂組成物の調整
(1)感光性樹脂の調整
ヒト゛ロキシル基のうち35モル%を1-エトキシエトキシ基で保護した平均分子量9,000のポリビニルフェノール樹脂0.5重量部に、ヒドロキシル基のうち37モル%をt-BOC(tert-フ゛トキシカルホ゛ニルオキシ)基で置換した平均分子量8,500のホ゜リヒ゛ニルフェノール樹脂0.5重量部に、光酸発生剤としてトリフェニルスルフォニウムトリフレート0.02重量部を添加し、溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6重量部を混合することによりホ゜シ゛型フォトレシ゛ストを調整した。
(2)感光性樹脂組成物の調整
前記ステップ(1)の感光性樹脂と光活性化合物、4-(2-エトキシエトキシ)-4’-tert-ブトキシカルボニルオキシビフェニルをそれぞれ表1に示す割合(溶剤を除く固形分の割合で表示)で混合し感光性樹脂組成物を調整した。
2.ハ゜ターン形成及び特性(感度、解像度、酸素フ゜ラス゛マ耐性)の評価
(1)ハ゜ターン形成
洗浄したシリコンウエハーをヘキサメチルシ゛シラサ゛ンで処理した後、スピンコーターを用いて上記感光性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、ホットフ゜レートにて90℃で1分間加熱した。次いで、248nm(KrFエキシマーレーサ゛ー)の露光波長を有する縮小投影露光機(キャノン(株)製、FPA-3000EX5,NA=0.63)を用いて、線幅の異なるラインアント゛スヘ゜ースハ゜ターンを有するテストマスクを介して、露光量を段階的に変えて露光した。このウエハーをホットフ゜レートにて100℃で1分間加熱した後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウムハイト゛ロオキサイト゛水溶液で1分間ハ゜ト゛ル現像してホ゜シ゛型ハ゜ターンを得た。
(2)特性の評価
前記ホ゜シ゛型ハ゜ターンにつき、以下のようにして各特性を評価した。
・ 感度:ライン幅0.25μmのライン:スヘ゜ース=1:1がマスク寸法どおりになる露光量で表示した。(値が小さいほど高感度で良好)
(ii)解像度:ライン幅0.25μmのライン:スヘ゜ース=1:1がマスク寸法どおりになる露光量でラインが分
離する最小寸法で表示した。 (値が小さいほど高解像度で良好)
結果を表1に示す。なお表1には比較例として光活性化合物を含有しない感光性樹脂組成物および光活性化合物として4-(2-エトキシエトキシ)-4’-tert-ブトキシカルボニルオキシビフェニル(化合物1)の代わりに、4-(ペンチルオキシ)-4’-tert-ブトキシカルボニルオキシビフェニル(化合物2)を添加した感光性樹脂組成物の感度および解像度も示した。
【0070】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は実施例1で得られた、4-(2-エトキシエトキシ)-4’-tert-ブトキシカルボニルオキシビフェニル)の1H-NMRである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光剤と組み合わせて用いられる光活性化合物であって、一般式(1)で表される光活性化合物。
R1-(OCH2CH2)n-O-A-X-Pro (1)
〔式中、R1は炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは1から5の自然数を表しAは下記のいずれか1種の環状基を表し、Xは-O-あるいは-COO-を表し、Proは光照射にて脱離可能な保護基を表す。〕
【化1】

【請求項2】
保護基Proが(i)アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、オキサシクロアルキル基、架橋環式脂環族基及びアルキルシリル基から選択されたヒドロキシル基に対する保護基、又は(ii)アルキル基、架橋環式脂環族炭化水素基、オキサシクロアルキル基、ラクトン環基、カルバモイル基及びN-置換カルバモイル基から選択されたカルボキシル基に対する保護基である請求項1記載の光活性化合物。
【請求項3】
ベース樹脂と感光剤と請求項1または2記載の光活性化合物とを含む感光性樹脂組成物。
【請求項4】
水又はアルカリ現像可能である請求項3記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
ポジ型感光性樹脂組成物である請求項3または4記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
ベース樹脂が、酸の作用により親水性基を生成可能な樹脂で構成され、感光剤が光酸発生剤で構成されている請求項3〜5のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
ベース樹脂の親水基がヒドロキシル基及びカルボキシル基から選択されかつ酸の作用により脱離可能な保護基で保護可能な親水性基、を有する単量体の単独重合体又は共重合体で構成されている請求項3〜6のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
光活性化合物と感光剤との割合(重量比)が前者/後者=0.01/1〜100/1である請求項3〜7のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
感光剤の含有量が、ベース樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部であり、光活性化合物の含有量が、ベース樹脂100重量部に対して1〜1000重量部である請求項3〜8のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項3〜9のいずれか1項記載の感光性樹脂組成物を基板に塗布し、露光した後、加熱処理し、さらに現像してパターンを形成するパターン形成方法。



【図1】
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【公開番号】特開2006−28089(P2006−28089A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209193(P2004−209193)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(591167430)株式会社KRI (211)
【Fターム(参考)】