説明

光照射装置

【課題】 偏光光をマスクを介して被照射物に照射する光照射装置において、マスクのパターンに忠実で解像度の高いパターンを形成することができ、しかも、十分に高い消光比を得ることのできる光照射装置を提供すること。
【解決手段】 この光照射装置は、ショートアーク型の放電ランプおよびリフレクタよりなる光源素子の複数が、一方向に並んで配置されてなる光源素子列を有する光出射部と、光出射部からの光を、前記一方向に伸びる線状に集光する集光部材と、集光部材からの光が入射される、各々前記一方向に垂直な方向に伸びる線状の多数の遮光部および多数の透光部が前記一方向に交互に並んで配置されてなるマスクと、集光部材とマスクとの間の光路上に配置された偏光素子とを備えてなり、偏光素子は、その法線が前記集光部材から前記マスクに対して入射される光の正反射方向の光軸に対して傾斜する状態で、配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状パターンを形成するために用いられる光照射装置に関し、更に詳しくは、例えばパターン化位相差フィルムの製造工程において、光重合性液晶材料または光配向膜に光を照射するために好適な光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3D映像表示装置は三次元立体映像を現出させるものであり、このような3D映像表示装置としては、従来、劇場用のものやテレビ再生用のものが開発されており,今後において、アミューズメント施設、店舗ディスプレイ、医療などの用途に利用されることが期待されていることから、近年、脚光を浴びている。
【0003】
3D映像表示装置は、偏光の振動方向が異なる右目用映像および左目用映像を、右目用映像のみを透過する偏光板付右目用レンズと、左目用映像のみを透過する偏光板付左目用レンズとからなる偏光メガネを介して捉えることにより、観察者において、左目用映像および右目用映像の合成映像がひとつの立体映像として認識される構成とされており、このような3D映像表示装置は、例えば特許文献1に記載されている。
そして、3D映像表示装置においては、観察者の左目および右目のそれぞれに認識させる左目用映像と右目用映像とを区別するために、パターン化位相差フィルムが用いられている。
【0004】
また、液晶表示装置等においては、その性能を向上させる手段として、液晶ポリマー層を有するパターン化位相差フィルムを用いることが提案されている(特許文献2参照。)。
【0005】
このようなパターン化位相差フィルムは、図16(A)に示すように、フィルム基材90上に配向膜91を介して形成された光重合性液晶材料層92に対して、それぞれ線状の多数の遮光部96および多数の透光部97が交互に並ぶよう配置されてなるマスク95を介して光を照射することにより、図16(B)に示すように、ストライプ状のパターンの液晶ポリマー層93を形成し、その後、残存する光重合性液晶材料層92を除去することによって得られる。
このようなパターン化位相差フィルムの製造において、紫外光などの活性エネルギー線を光重合性液晶材料層92に対して広範囲にわたって照射することによって量産性を高めるために、通常、ロングアーク型の放電ランプを具えた光照射装置が用いられ、マスク95は、遮光部96および透光部97が伸びる方向(図16において紙面に垂直な方向)が、ロングアーク型の放電ランプの長手方向に直交するよう配置される。
【0006】
しかしながら、このような光照射装置においては、以下のような問題がある。
すなわち、ロングアーク型の放電ランプは線光源であるために、光学系によって、放電ランプから放射される光を当該放電ランプの長手方向において互いに平行な平行光とすることができない。このため、図17に示すように、マスク95の透光部97を透過する光の一部が、マスク95にその面方向に対して斜交して入射されることにより、被照射物である光重合性液晶材料層92における遮光部96の縁部の直下に位置する領域に照射される結果、マスク95のパターンに忠実で解像度の高いパターンを有する液晶ポリマー層93を形成することが困難である。
【0007】
また、このような光照射装置においては、被照射物の種類や使用目的如何により高い消光比(所望の偏光成分の光量/不所望の偏光成分の光量)が要求される場合があるが、従来における偏光光を照射する光照射装置では、かかる要求に十分に応えることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−063817号公報
【特許文献2】特開2006−079986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、偏光光をマスクを介して被照射物に照射する光照射装置において、マスクのパターンに忠実で解像度の高いパターンを形成することができ、しかも、十分に高い消光比を得ることのできる光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光照射装置は、ショートアーク型の放電ランプ、および、当該放電ランプを取り囲むよう配置された、当該放電ランプからの光を反射するリフレクタよりなる光源素子の複数が、一方向に並んで配置されてなる光源素子列を有する光出射部と、当該光出射部からの光を、前記一方向に伸びる線状に集光する集光部材と、当該集光部材からの光が入射される、各々前記一方向に垂直な方向に伸びる線状の多数の遮光部および多数の透光部が前記一方向に交互に並んで配置されてなるマスクと、前記集光部材と前記マスクとの間の光路上に配置された偏光素子とを備えてなり、
前記偏光素子は、その法線が前記集光部材から前記マスクに対して入射される光の正反射方向の光軸に対して傾斜する状態で、配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の光照射装置においては、被照射物を前記マスクにおける透光部が伸びる方向に搬送する搬送手段を有し、
前記被照射物がフィルム状のものであり、前記搬送手段は、前記被照射物に接して搬送するローラーを有し、当該ローラーに接する箇所において光が前記被照射物に照射される構成とされていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の光照射装置においては、前記マスクは、その法線が前記集光部材から当該マスクに対して入射される入射光の光軸に沿って伸びる状態で、配置されており、
光入射開口を有する、前記マスクに入射する光を制限する遮光板をさらに備えており、 前記集光部材から前記マスクに対して入射される入射光の最大入射角度をβ1 、前記集光部材からマスクに対して入射される入射光の光軸上における前記偏光素子と前記遮光板との間の距離をLH1、前記遮光板における光入射開口の、前記一方向に垂直な方向の幅をNとするとき、前記偏光素子の法線の、前記集光部材から前記マスクに対して入射される入射光の正反射方向の光軸に対する傾斜角度α1 が、下記式1を満足する大きさとされていることが好ましい。
【0013】
【数1】

【0014】
さらにまた、本発明の光照射装置においては、前記マスクが、その法線が前記集光部材からの光の光軸に対して傾斜する状態で、前記偏光素子と平行に配置されており、
光入射開口を有する、前記マスクに入射する光を制限するための遮光板をさらに備えており、
前記集光部材によって集光される前記入射光の集光角の半角をδ、前記偏光素子と前記遮光板との間の距離をLH2、前記遮光板における光入射開口の、前記一方向に垂直な方向の幅をNとするとき、前記集光部材から前記マスクに対して入射される入射光の正反射方向の光軸の、前記偏光素子の法線に対する傾斜角γが、下記式2および式3の関係を満足する大きさとされていることが好ましい。
【0015】
【数2】

【発明の効果】
【0016】
本発明の光照射装置によれば、基本的には、光源素子を構成する放電ランプとして、点光源であるショートアーク型のものを用い、このような放電ランプを有する複数の光源素子を一方向に並ぶように配置されてなる光源素子列によって光出射部が構成されているため、光源素子の各々における放電ランプから放射される光を、光源素子における各々のリフレクタおよび集光部材によって、光源素子が並ぶ一方向において互いに平行な平行光とすることが可能となり、これにより、被照射物におけるマスクの遮光部の直下に位置する領域に偏光光が照射されることが防止または抑制される結果、被照射物において、マスクのパターンに忠実で解像度の高いパターンを形成することができる。
しかも、偏光素子が、その法線が集光部材からマスクに対して入射される入射光の正反射方向の光軸に対して傾斜して配置された構成とされていることにより、マスクの表面における散乱により偏光方向が一部解除された反射光が偏光素子によって反射されてマスクに再入射されることが防止または抑制されるので、十分に高い消光比を得ることができて所望の偏光成分の偏光光を被照射物に照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の光照射装置の一例における構成の概略を示す斜視図である。
【図2】図1に示す光照射装置をA−A線で切断して示す側面断面図である。
【図3】図1に示す光照射装置をB−B線で切断して示す平面断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る光照射装置における光出射部の構成の概略を示す正面図である。
【図5】マスクの具体的な構成の一例を示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図6】マスクにおける集光部材からの光が入射される有効照射幅、マスクと被照射物との間のギャップの許容変動値、およびローラーの半径の関係を示す説明図である。
【図7】本発明の光照射装置によって照射される光の向きを概念的に示す説明図である。
【図8】偏光素子の一例における構成を示す説明図であり、(A)は斜視図、(B)は、(A)のA−A線断面図である。
【図9】パターン化位相差フィルムの製造工程の他の例を示す説明図である。
【図10】従来の光照射装置によって照射される光の向きを概念的に示す説明図である。
【図11】本発明の光照射装置の他の構成例における光の向きを概念的に示す説明図である。
【図12】本発明の光照射装置のさらに他の構成例における光の向きを概念的に示す説明図である。
【図13】本発明の光照射装置のさらに他の例における構成の概略を示す側面断面図である。
【図14】本発明の光照射装置のさらに他の例における構成の概略を示す側面断面図である。
【図15】図14に示す光照射装置における複合レンズの構成を示す説明図である。
【図16】パターン化位相差フィルムの製造工程の一例を示す説明図である。
【図17】従来の光照射装置によって照射される光の向きを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の光照射装置の一例における構成の概略を示す斜視図であり、図2は、図1に示す光照射装置をA−A線で切断して示す側面断面図、図3は、図1に示す光照射装置をB−B線で切断して示す平面断面図、図4は、第1の実施の形態に係る光照射装置における光出射部の構成の概略を示す正面図である。
この光照射装置は、例えばパターン化位相差フィルムを製造するために用いられるものであって、複数例えば3つ以上の光源素子12よりなる光源素子列11を有する光出射部10と、この光出射部10からの光を、後述する光源素子12が並ぶ一方向に伸びる線状に集光する集光部材20と、この集光部材20からの光をストライプ状に整形するマスク30と、集光部材20とマスク30との間の光路上に配置された偏光素子45と、例えば位相差フィルム製造用の光重合性液晶材料若しくは配向膜材料よりなる被照射物Wを搬送する搬送手段40とを備えている。
【0019】
光出射部10を構成する光源素子列11においては、光源素子12の各々が、一方向(図2において紙面に垂直な方向。以下、この一方向を「x方向」ともいう。)に並ぶよう配置されている。光源素子列11における光源素子12の各々は、発光管14内にその管軸に沿って互いに対向するよう一対の電極(図示省略)が配置されてなるショートアーク型の放電ランプ13と、この放電ランプ13を取り囲むよう配置された、当該放電ランプ13からの光をその光軸と平行方向に反射するリフレクタ15とを有する。
【0020】
放電ランプ13としては、発光管14内に水銀、希ガスおよびハロゲンが封入された、例えば波長270〜450nmの紫外光を高い効率で放射する超高圧水銀ランプを用いることができる。このような放電ランプ13において、一対の電極間の電極間距離が例えば0.5〜2.0mm、水銀の封入量が例えば0.08〜0.30mg/mm3 である。
【0021】
この光照射装置において、リフレクタ15は、その光軸Cを中心とする回転放物面状の光反射面16を有するパラボラミラーにより構成されている。当該リフレクタ15は、その光軸Cが放電ランプ13における発光管14の管軸上に位置され、かつ、その焦点Fが放電ランプ13における電極間の輝点に位置されるよう配置され、この状態で、固定部材18によって放電ランプ13に固定されている。
【0022】
また、この光照射装置において、集光部材20は、x方向に垂直な断面が放物線状の光反射面21を有する、x方向に沿って伸びるシリンドリカルパラボラミラーにより構成されている。当該集光部材20は、光出射部10における各リフレクタ15の光軸Cに垂直な光出射面17の前方において、その焦点fが被照射物Wの表面上に位置するよう配置されている。
この集光部材20は、目的とする波長の紫外光のみを反射させ、不要な可視光および赤外光を透過させるコールドミラーコーティングが施されてなるものであってもよい。
【0023】
マスク30は、x方向に長尺な矩形の板状のものであって、集光部材20の下方において、その法線H1 が当該集光部材20からマスク30に入射される入射光(集光部材20による反射光)の光軸L1 に沿って伸びる状態で、配置されている。このマスク30は、それぞれx方向に垂直な方向(図2および図3において左右方向。以下、この方向を「y方向」ともいう。)に伸びる線状の多数の遮光部および多数の透光部がx方向に交互に並ぶよう配置されてなるものである。
図5は、マスク30の具体的な構成の一例を示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。このマスク30においては、例えば石英ガラスよりなる透光性基板31の一面31Aに、例えばクロムよりなる多数の線状の遮光膜32が所要の間隔で離間して並ぶよう配置されており、遮光膜32が形成された領域によって線状の遮光部35が形成され、隣接する遮光膜32間の領域によって透光部36が形成されている。このマスク30は、遮光部35および透光部36が形成された透光性基板31の一面31Aが被照射物Wと対向するよう配置され、図5(A)において破線Lbで示すように、遮光部35および透光部36が並ぶx方向に伸びる帯状の光が透光性基板31の他面(以下、「マスクの光入射面」ともいう。)31B側から入射される。
【0024】
被照射物Wは、後述する搬送手段40によってy方向に搬送されるため、マスク30は、被照射物Wに対して離間して配置される。マスク30と被照射物Wとの間の最小ギャップGは、例えば50〜1000μmである。
また、被照射物Wは、後述するローラー41に接した状態で搬送されることにより、マスク30と被照射物Wとの間のギャップは、当該被照射物Wがy方向に搬送されるにつれて変動するため、マスク30における集光部材20からの光が入射される有効照射幅dは、マスク30と被照射物Wとの間のギャップの許容変動値や、ローラー41の半径を考慮して可能な範囲で小さく設定することが好ましい。これは、以下の理由による。すなわち、被照射物Wが搬送されてマスク30の直下領域を通過する際には、被照射物Wとマスク30との間のギャップは、先ず、被照射物Wがy方向に移動するにつれて小さくなり、マスク30の中央位置の直下に到達した後には、被照射物Wがy方向に移動するにつれて大きくなるが、最小有効照射幅が大きい程、ギャップの変動幅も大きくなるため、後述するマスク30のパターンに忠実で高解像度のパターンを形成することができないからである。
具体的には、図6に示すように、マスク30と被照射物Wとの間のギャップの許容変動値をa、ローラー41の半径をrとしたとき、有効照射幅dは、d=√{r2 −(r−a)2 }×2により求めることができる。この式において、理論上は、被照射物Wを厚みを勘案することが必要であるが、被照射物Wの厚みは、ローラー41の半径に比較して極めて小さいため、無視することができる。具体的な例を挙げると、マスク30と被照射物Wとの間のギャップの許容変動値が50μm、ローラー41の半径rが300mmである場合には、有効照射幅dは約11mm以下であることが好ましい。従って、上記した光出射部10におけるショートアーク型の各放電ランプ13からの放射光を、各リフレクタ15および集光部材20によりx方向に伸びる線状に集光することが、かかる有効照射幅dの範囲内に光を集光させるために有効であり、ひいては、マスク30のパターンに忠実で高解像度のパターンを形成することに繋がる。
【0025】
搬送手段40は、被照射物Wに接して当該被照射物Wを搬送するローラー41を有する。具体的には、ローラー41は、被照射物Wに接する箇所がマスク30の直下位置に位置されるよう、当該ローラー41の回転中心軸Oがx方向に伸びる姿勢で配置されており、当該ローラー41が回転することにより、被照射物Wがy方向に搬送される。
被照射物がフィルム状のものである場合には、搬送手段40が被照射物Wに接して当該被照射物Wを搬送するローラー41を有するので、ローラー41の偏芯を少なくすることにより、マスク30と、ローラー41に接したフィルム状の被照射物Wとの間のギャップを一定に保つことができる。
かかるローラー41よりなる搬送手段40を用いることにより、被照射物Wがフィルム状である場合に、被照射物Wがローラー41に接した状態で搬送されるため、偏芯の少ないローラーを使用すれば、マスク30とローラー41とに接したフィルム状の被照射物Wとの間のギャップを一定且つ小さく保つことができる。なお、ローラー41に冷却手段を設けることにより、被照射物Wに高照度の紫外光が照射された場合でも、被照射物Wに接したローラー41によって被照射物Wを冷却することができるので、被照射物Wが高温化することによりシュリンクなどの熱変形を防止することができる。
【0026】
また、この光照射装置においては、図7に示すように、マスク30における光入射面31Bおよび被照射物Wの表面によって反射された光がマスク30に再入射されることを防止する遮光板50が、マスク30における透光性基板31の他面31Bに当接して設けられている。
遮光板50は、例えば、紫外線吸収性を有する材料により構成されており、このような遮光板50を構成する材料としては、例えば、エンジニアリングプラスチック、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの樹脂材料、セラミック材料、あるいは、ステンレス鋼などの金属材料などを例示することができる。ここに、遮光板50がCFRPよりなる場合には、耐紫外線用クリア塗装が表面に施されたものが用いられ、また、ステンレス鋼よりなる場合には、表面が黒色化処理された厚み1mm程度であるものが用いられる。
遮光板50は、x方向に伸びる光入射開口501を有しており、光入射開口501のy方向の幅Nは、有効照射幅dと概ね等しい大きさとされている。このような構成とされていることにより、マスク30に対して入射される光は、有効照射幅dの範囲内に制限され、有効照射幅dの範囲外に照射される光は、光入射開口501に入射することなく、遮光板50によって吸収されて遮光される。なお、光入射開口501のy方向の幅Nは、有効照射幅dより小さくしてもよい。
【0027】
偏光素子45は、例えばワイヤーグリッド偏光素子であり、図8に示すように、例えばガラス若しくは石英ガラスよりなる矩形の透明基板46の一面に、多数の金属ワイヤー47が当該透明基板46の一辺に平行な方向に沿って一定の間隔で配置されて構成されている。金属ワイヤー47を構成する金属材料としては、光反射率が高いものを用いるが好ましく、具体的には、アルミニウム、銀などを用いることが好ましい。
このような偏光素子(ワイヤーグリッド偏光素子)45においては、金属ワイヤー47の配置ピッチの約2倍以上の波長の光が照射されたときに、当該光を構成する振動成分のうち、金属ワイヤー47が伸びる方向に振動する成分を反射若しくは吸収すると共に、金属ワイヤー47が伸びる方向と垂直な方向に振動する成分を透過することによって、直線偏光光とされる。
【0028】
而して、この光照射装置においては、図7に示すように、偏光素子45は、その法線H2 が集光部材20によって集光されながらマスク30に入射される入射光の正反射方向の光軸L2 に対して傾斜した状態、具体的には、マスク30に入射される入射光の光軸L1 に沿って進行する光成分の正反射方向に伸びる軸(この例では入射光の光軸L1 と一致)に対して傾斜した状態で、配置されている。
偏光素子45の法線H2 の、入射光の正反射方向の光軸L2 に対する傾斜角度α1 は、下記式1の関係を満足する大きさとされていることが好ましい。偏光素子45が特定の傾斜角度α1 で配置された構成とされていることにより、十分に高い消光比を確実に得ることができる。
以下では、偏光素子45がP偏光光を透過し、S偏光光を反射するものであり、マスク30に対してP偏光光を入射させ、S偏光は偏光素子45によって反射させる場合について、説明する。また散乱反射した光は正反射方向のみでは無いが、その方向に強い指向性を持っている為以下では正反射方向にて説明する。
【0029】
【数3】

【0030】
上記式1において、α1 は、偏光素子45の法線H2 の、マスク30に入射される入射光の正反射方向の光軸L2 に対する傾斜角度〔°〕、β1 は、マスク30に対する入射光の最大入射角度〔°〕、LH1は、マスク30に対する入射光の光軸L1 上における、偏光素子45の他面452と遮光板50の一面50Aとの間の距離〔mm〕、Nは、遮光板50における光入射開口501の一方向に垂直な方向(y方向)の幅〔mm〕である。
【0031】
上記式1は次のようにして得られるものである。すなわち、図7(A)に示すように、マスク30に対する入射光のうち、最大入射角(β1 )で入射される入射光線I11は、マスク30の光入射面31Bによって、正反射方向、すなわち、偏光素子45の他面452上において、偏光素子45の他面452とマスクの法線H1 との交差位置より概略J=LH1tanβ1 の距離だけマスク30の法線H1 より図7(A)において左方に離間する位置に向かって反射される。
マスク30の光入射面31Bによって反射された反射光線I21は、該光入射面31Bにおける散乱によって、その偏光方向が一部解除され、P偏光光とS偏光光とが混在した状態になる。そして、反射光線I21のうち、P偏光光は偏光素子45を透過するのに対し、S偏光光は偏光素子45によって、正反射方向、すなわち、マスク30の法線H1 を中心として、K=LH1tan2(α1 −β1 )だけマスク30の法線H1 より図7(A)において右方に離間する位置に向かって反射される。
従って、マスク30に対する入射光線I11がマスク30の光入射面31Bおよび偏光素子45によって反射される過程における、当該入射光線I11の光路のy方向の領域の大きさ(K−J)が、遮光板50の光入射開口501のy方向の幅Nよりも大きい状態〔N<(K−J)〕となるよう、偏光素子45の傾斜角度α1 を設定すれば、不所望なS偏光光の反射光線I31が光入射開口501を介してマスク30に再入射されることを防止することができる。そして、N<〔LH1tan2(α1 −β1 )〕−LH1tanβ1 の式をα1 について展開することにより、上記式(1)を得ることができる。
なお、偏光素子45が上記の特定の関係を満足するよう構成されていれば、図7(B)に示すように、マスク30に対する入射光のうち、最大入射角β1 で入射される入射光線I12についても、当該入射光線I12がマスク30の光入射面31Bおよび偏光素子45によって反射された、不所望なS偏光光の反射光線I32が光入射開口501を介してマスク30に再入射されることを防止することができる。
【0032】
上記の光照射装置においては、光出射部10から出射された光が、集光部材20、偏光素子45およびマスク30を介して、搬送手段40によってy方向に搬送される被照射物Wに照射される。具体的に説明すると、光出射部10においては、光源素子列11における各光源素子12の放電ランプ13から放射された光が、当該光源素子12におけるリフレクタ15の光反射面16によって反射されることにより、当該リフレクタ15の光軸Cに沿った平行光とされて光出射面17から集光部材20に向かって出射される。その後、光出射部10から出射された平行光とされた光は、集光部材20における光反射面21により下方に向かって反射されることにより、x方向に伸びる線状に集光されながら、法線H2 が当該光の正反射方向の光軸L2 に対して傾斜する状態で配置された偏光素子45に入射されて、偏光素子45によって直線偏光光とされて、マスク30に入射される。このとき、マスク30に入射される光は、x方向において互いに平行な平行光である。そして、マスク30に入射された光が当該マスク30における遮光部35および透光部36によってストライプ状に整形されて被照射物Wに照射されることにより、被照射物Wにおけるローラー41が接する箇所の表面には、マスク30における遮光部35および透光部36のパターンに対応するストライプ状の光照射領域が形成されると共に、被照射物Wが搬送手段40によってy方向に搬送されることにより、当該被照射物Wに対して、所要の光照射処理が達成される。
【0033】
このような光照射装置においては、光重合性液晶材料を用い、以下のようにしてパターン化位相差フィルムを製造することができる。
先ず、図9(A)に示すように、フィルム基材51上に、液状の光配向膜用材料を塗布して乾燥または硬化することによって光配向膜用材料層55Aを形成する。
次いで、光配向膜用材料層55Aに対して、上記の光照射装置によって直線偏光光による選択的露光処理をマスク30を介して行うことにより、図9(B)に示すように、フィルム基材51上にストライプ状にパターニングされた第1の光配向膜55を形成する。
更に、適宜の光照射装置によって、上記図9(B)で照射した偏光光と90°偏光方向が異なる直線偏光光により全面露光処理を行うことにより、図9(C)に示すように、隣接する第1の光配向膜55間に第2の光配向膜56を形成する。
次いで、図9(D)に示すように、第1の光配向膜55および第2の光配向膜56の表面上に、光重合性液晶材料層57Aを形成し、その後、光重合性液晶材料層57Aに対し、適宜の光照射装置によって全面露光処理を行って、当該光重合性液晶材料層57Aを硬化させることにより、図9(E)に示すように、第1の光配向膜55上に形成された第1の液晶ポリマー層部分57およびこの第1の液晶ポリマー層部分57とは液晶の配向状態が異なる第2の液晶ポリマー層部分58がストライプ状にパターン化されてなる液晶ポリマー層59を形成し、以て、パターン化位相差フィルムを得ることができる。
【0034】
而して、上記の光照射装置によれば、偏光素子45がその法線H2 がマスク30に対する入射光の正反射方向の光軸L2 に対して特定の傾斜角度α1 で傾斜する状態で配置された構成とされていることにより、十分に高い消光比を得ることができて所望の偏光光を被照射物に照射することができる。このような効果が得られる理由は、以下に示す通りである。
【0035】
光源よりの光が偏光素子によって偏光されてマスクを介して被照射物に照射される光照射装置において、図10に示すように、偏光素子45が当該偏光素子45に対する入射光の正反射方向の光軸L2 に沿って配置された構成とされている場合には、マスク30に対して最大入射角度(β0 )で入射される入射光線I11の一部がマスク30の光入射面31Bによって正反射方向に反射され、この反射光線I21は、マスク30の光入射面31Bにおける散乱によってその偏光方向が一部解除されてP偏光光とS偏光光とが混在した状態のものとなる。そして、偏光素子45に再入射されるP偏光光が偏光素子45を透過する一方で、S偏光光は偏光素子45によってマスク30の方向(正反射方向)に反射され、マスク30に対して所望の偏光光(上記の例ではP偏光光)だけでなく不所望な偏光光(上記の例ではS偏光光I31)が入射されるので、消光比が低下することとなる。
然るに、偏光素子45がその法線H2 がマスク30に対する入射光の正反射方向の光軸L2 に対して特定の傾斜角度α1 で傾斜する状態で配置された構成とされていることにより、本発明に係る上記の光照射装置によれば、図7(A)に示すように、マスク30に対して最大入射角度(β1 )で入射される入射光線I11がマスク30の光入射面31Bによって反射された、P偏光光とS偏光光とが混在した反射光線I21が、偏光素子45によって反射されてS偏光光の反射光線I31となり、かかるS偏光光の反射光線I31が、遮光板50における光入射開口501の、被照射物Wの搬送方向(y方向)前方側に位置される開口端縁より外方に(図7(A)において右方)に向かって進行してマスク30に再入射することがなく、遮光板50によって吸収されて遮光される。
また、図7(B)に示すように、マスク30に対して最大入射角度(β1 )で入射される入射光線I12についても同様に、マスク30に対して最大入射角度(β1 )で入射される入射光線I12がマスク30の光入射面31Bによって反射された、P偏光光とS偏光光とが混在した反射光線I22が、偏光素子45によって反射されてS偏光光の反射光線I32となり、かかるS偏光光の反射光線I32が、遮光板50における光入射開口501の、被照射物Wの搬送方向(y方向)前方側に位置される開口端縁より外方に(図7(B)において右方)に向かって進行してマスク30に再入射することがなく、遮光板50によって吸収されて遮光される。
従って、不所望なS偏光光の反射光線が、遮光板50の光入射開口501を介してマスク30に再入射されることを確実に防止または低減することができ、所望のP偏光光を被照射物Wに対して確実に照射することができるため、十分に高い消光比を得ることができる。
【0036】
なお、上記では、偏光素子45がP偏光光を透過しS偏光光を反射する例について説明しているが、偏光素子45としてS偏光光を透過しP偏光光を反射するものを使用することもできる。この場合も、不所望なP偏光光の反射光線が、遮光板50の光入射開口501を介してマスク30に再入射されることを確実に防止または低減することができ、所望のS偏光光を被照射物Wに対して確実に照射することができるため、十分に高い消光比を得ることができる。
【0037】
さらにまた、上記の光照射装置によれば、次のような効果が得られる。
(イ)光源素子12を構成する放電ランプ13として、点光源であるショートアーク型のものを用い、このような放電ランプ13を有する複数の光源素子12を一方向に沿って並ぶよう配置されてなる光源素子列11によって光出射部10が構成されていることにより、当該光源素子列11を構成する光源素子12の各々における放電ランプ13から放射される光を、当該光源素子12の各々におけるリフレクタ15および集光部材20によって、光源素子12が並ぶ一方向(x方向)において互いに平行な平行光とすることが可能となり、これにより、被照射物Wにおけるマスク30の遮光部35の直下に位置する領域に偏光光が照射されることが防止または抑制される結果、マスク30のパターンに忠実で解像度の高いパターンを形成することができる。
(ロ)被照射物Wをマスク30における透光部36が伸びる方向に搬送する搬送手段を備えた構成とされていることにより、例えば一の被照射物Wに対して光照射処理を行う毎に被照射物Wを交換する、いわゆるバッチ処理方式の構成のものであれば、被照射物Wを交換する毎にマスク30および被照射物Wを所要の位置に精度良くアライメントするといった煩わしい作業が必要とされるが、上記の光照射装置によれば、このような作業が不要となるので、光照射処理を迅速に行うことが可能となり、生産効率を高いものとすることができる。
【0038】
以上においては、偏光素子が前記集光部材からの入射光の光軸に垂直に配置された前記マスクに対して傾斜して配置された構成のものについて説明したが、本発明においては、偏光素子がその法線がマスクに対する入射光の正反射方向の光軸に対して傾斜するよう配置されていればよく、例えば以下のような構成とすることもできる。
【0039】
図11は、本発明の光照射装置の他の例における光の向きを概念的に示す説明図である。
この光照射装置においては、集光部材からの光が、その正反射方向の光軸L2 がマスク30の法線H1 に対して傾斜する状態で、マスク30に対して入射される構成とされている。ここに、マスク30に対する入射光線は、所定の集光角を有して、x方向に伸びる線状に集光されるものである。
偏光素子45はマスク30と平行に配置されており、従って、偏光素子45はその法線H2 が集光部材からマスク30に対して入射される入射光の正反射方向の光軸L2 に傾斜する状態とされている。
【0040】
この光照射装置においては、集光部材からマスク30に対して入射される入射光の正反射方向の光軸L2 の、偏光素子45の法線H2 に対する傾斜角γが、下記式2および式3を満足する大きさとされた状態とされていることが好ましい。以下では、偏光素子45がP偏光光を透過し、S偏光光を反射するものであり、マスク30に対してP偏光光を入射させ、S偏光は偏光素子45によって反射させる場合について、説明する。
【0041】
【数4】

【0042】
上記式2および式3において、γは、集光部材からマスク30に対して入射される入射光の正反射方向の光軸L2 の、偏光素子45の法線H2 に対する傾斜角度〔°〕、δは、集光部材によって集光される入射光の集光角の半角〔°〕、LH2は、偏光素子45の他面452と遮光板50の一面50Aとの間の距離〔mm〕、Nは、遮光板50における光入射開口501の、一方向に垂直な方向(y方向)の幅〔mm〕である。
【0043】
上記式2は次のようにして得られるものである。すなわち、集光部材からマスク30に対して入射される入射光のうち、最小入射角度β2 (=γ−δ)で入射される入射光線I13は、マスク30の光入射面31Bによって正反射方向、具体的には、偏光素子45の他面452上において、入射光線I13と偏光素子45の他面452との交差位置(−M)の、マスクの法線H1 に対して対称な位置(+M)に向かって進行するよう、反射される。マスク30の光入射面31Bによって反射された反射光線I23は、P偏光光とS偏光光とが混在した状態である。
そして、かかる反射光線I23のうち、P偏光光は偏光素子45を透過するのに対し、S偏光光は偏光素子45によって、正反射方向に反射される。マスク30に対する入射光線I13がマスク30の光入射面31Bおよび偏光素子45によって反射される過程における、当該入射光線I13の光路のy方向の領域の大きさ2M(=2LH2tanβ2 )が、遮光板50の光入射開口501のy方向の幅Nよりも大きい状態(N<2M)となるよう、マスク30に対する入射光の正反射方向の光軸L2 の、偏光素子45の法線H2 に対する傾斜角γを設定すれば、S偏光光の反射光線I33が光入射開口501を介してマスク30に再入射されることを防止することができることとなり、N<2LH2tan(γ−δ)の式をγについて展開することにより、上記式(2)を得ることができる。
また、上記式(3)については、マスク30に対する入射光の正反射方向の光軸L2 の、偏光素子45の法線H2 に対する傾斜角γが、集光部材によって集光される入射光の集光角の半角δより大きいことにより、反射光線I33が光入射開口501を介してマスク30に再入射されることを一層確実に防止することができる。
【0044】
そして、マスク30に対する入射光の正反射方向の光軸L2 の、偏光素子45の法線H2 に対する傾斜角γが、上式2および式3を満足する大きさとされた状態とされていれば、マスク30に対する入射光(P偏光光)のうち、図11(B)に示す最大入射角β3 で入射される入射光線I14についても、当該入射光線I14がマスク30の光入射面31Bおよび偏光素子45によって反射された、不所望なS偏光光の反射光線I34が光入射開口501を介してマスク30に再入射されることを防止することができる。
【0045】
以上のように、集光部材からの入射光の、その正反射方向の光軸L2 が偏光素子45の法線H2 に対して傾斜する状態で、偏光素子45および当該偏光素子と平行に配置されたマスク30に対して入射される構成の光照射装置においても、マスク30に対する入射光の正反射方向の光軸L2 の、偏光素子45の法線H2 に対する傾斜角γが、上記式2および式3を満足する大きさとされた状態とされていることにより、集光部材からマスク30に対して入射される入射光が、マスク30の光入射面31Bによって反射された、P偏光光とS偏光光とが混在した反射光のうちの不所望名S偏光光が、光入射開口501を介してマスク30に再入射されることを確実に防止または低減することができるので、十分に高い消光比を得ることができて所望の偏光光を被照射物に照射することができる。
【0046】
さらにまた、図12に示すように、偏光素子45がその法線H2 がマスク30に対する入射光の正反射方向の光軸L2 に対して傾斜する状態で配置されると共に、集光部材からの光が、その正反射方向の光軸L2 がマスク30の法線H1 に対して傾斜する状態で、マスク30に対して入射される構成とされている。ここに、マスク30に対する入射光線は、所定の集光角を有して、x方向に伸びる線状に集光されるものである。
【0047】
このような構成の光照射装置においても、マスク30に対する入射光の正反射方向の光軸L2 の、偏光素子45の法線H2 に対する傾斜角θが、マスク30に対する入射光の最大入射角度β4 〔°〕、集光部材によって集光される入射光の集光角の半角δ〔°〕、マスク30の法線H1 上における、偏光素子45の他面452と遮光板50の一面50Aとの間の距離LH3〔mm〕、遮光板50における光入射開口501の一方向に垂直な方向(y方向)の幅N〔mm〕との関係おいて設定される特定の大きさとされていることにより、不所望なS偏光光の反射光線が、遮光板50の光入射開口501を介してマスク30に再入射されることを確実に防止または低減することができ、所望のP偏光光を被照射物Wに対して確実に照射することができるため、十分に高い消光比を得ることができる。
すなわち、図12(A)に示すように、マスク30に対して最小入射角度(β4 °)で入射される入射光線I15がマスク30の光入射面31Bによって反射された、P偏光光とS偏光光とが混在した反射光線I25が、偏光素子45によって反射されてS偏光光の反射光線I35となり、かかるS偏光光の反射光線I35が、遮光板50における光入射開口501の、被照射物Wの搬送方向(y方向)前方側に位置される開口端縁より外方に(図12(A)において右方)に向かって進行するため、マスク30に再入射することがなく、遮光板50によって吸収されて遮光される。
そして、マスク30に対する入射光(P偏光光)のうち、図12(B)に示す最大入射角(β5 )で入射される入射光線I16についても、当該入射光線I16がマスク30の光入射面31Bおよび偏光素子45によって反射された、不所望なS偏光光の反射光線I36が光入射開口501を介してマスク30に再入射されることを防止することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、図13に示すように、集光部材20は、x方向に沿って伸びるよう配置された、光照射機構10からの光を一方向に伸びる線状に集光するシリンドリカル凸レンズ22と、このシリンドリカル凸レンズ22からの光をマスク30に向かって反射する平面ミラー23とにより構成されていてもよい。光出射部10、マスク30、偏光素子45、搬送手段40は、図1に示す光照射装置を構成するものと同様の構成を有する。
集光部材20におけるシリンドリカル凸レンズ22は、光出射部10における各リフレクタ15の光軸Cに垂直な光出射面17の前方において、その凸面が光出射面となる向きに、その焦点fが平面ミラー23によって投影される被照射物Wの表面上に位置されるよう配置されている。
集光部材20における平面ミラー23は、マスク30の上方において、当該平面ミラーの光反射面24が、リフレクタ15の光軸Cに対して例えば45°の角度で傾いた状態で配置されている。
【0049】
また、図14に示すように、リフレクタ15Bが、その光軸Cを中心とする回転楕円面状の光反射面16を有する楕円集光鏡により構成されており、集光部材20が、x方向に垂直な断面が楕円状の光反射面26を有する、x方向に沿って伸びるシリンドリカル楕円ミラー25と、このシリンドリカル楕円ミラー25によって反射された光が入射される複合レンズ27とにより構成されていてもよい。放電ランプ13、マスク30、偏光素子45、搬送手段40は、図1に示す光照射装置を構成するものと同様の構成を有する。
【0050】
この光照射装置におけるリフレクタ15Bは、その光軸Cが放電ランプ13における発光管14の管軸上に位置され、かつ、その第1焦点F1 が放電ランプ13における電極間の輝点に位置されると共に、その第2焦点F2 が光出射部10と集光部材20との間の位置に位置されるよう配置され、この状態で、固定部材18によって放電ランプ13に固定されている。
【0051】
集光部材20におけるシリンドリカル楕円ミラー25は、光出射部10における各リフレクタ15Bの光軸Cに垂直な光出射面17の前方において、その第1焦点f1 がリフレクタ15Bの第2焦点F2 上に位置され、その第2焦点f2 が被照射物Wの表面上に位置されるよう配置されている。
集光部材20における複合レンズ27は、図15に示すように、光出射部10における光源素子12の各々に対応する複数のシリンドリカル凸レンズ28が、x方向(図15において左右方向)に並ぶよう配置されて構成されている。また、複合レンズ27におけるシリンドリカル凸レンズ28の各々は、その凸面が光入射面となる向きに、その焦点がシリンドリカル楕円ミラー25によって投影されるリフレクタ15Bの第2焦点F2 上に位置されるよう配置されている。
【符号の説明】
【0052】
10 光出射部
11 光源素子列
12 光源素子
13 放電ランプ
14 発光管
15,15B リフレクタ
16 光反射面
17 光出射面
18 固定部材
C リフレクタの光軸
20 集光部材
21 光反射面
22 シリンドリカル凸レンズ
23 平面ミラー
24 光反射面
25 シリンドリカル楕円ミラー
26 光反射面
27 複合レンズ
28 シリンドリカル凸レンズ
30 マスク
31 透光性基板
31A 一面
31B 他面(光入射面)
32 遮光膜
35 遮光部
36 透光部
W 被照射物
G 最小ギャップ
40 搬送手段
41 ローラー
O ローラーの回転中心軸
45 偏光素子
452 他面
46 透明基板
47 金属ワイヤー
50 遮光板
50A 一面
501 光入射開口
51 フィルム基材
55 第1の光配向膜
55A 光配向膜用材料層
56 第2の光配向膜
57A 光重合性液晶材料層
57 第1の液晶ポリマー層部分
58 第2の液晶ポリマー層部分
59 液晶ポリマー層
90 フィルム基材
91 配向膜
92 光重合性液晶材料層
93 液晶ポリマー層
95 マスク
96 遮光部
97 透光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショートアーク型の放電ランプ、および、当該放電ランプを取り囲むよう配置された、当該放電ランプからの光を反射するリフレクタよりなる光源素子の複数が、一方向に並んで配置されてなる光源素子列を有する光出射部と、当該光出射部からの光を、前記一方向に伸びる線状に集光する集光部材と、当該集光部材からの光が入射される、各々前記一方向に垂直な方向に伸びる線状の多数の遮光部および多数の透光部が前記一方向に交互に並んで配置されてなるマスクと、前記集光部材と前記マスクとの間の光路上に配置された偏光素子とを備えてなり、
前記偏光素子は、その法線が前記集光部材から前記マスクに対して入射される光の正反射方向の光軸に対して傾斜する状態で、配置されていることを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
被照射物を前記マスクにおける透光部が伸びる方向に搬送する搬送手段を有し、
前記被照射物がフィルム状のものであり、前記搬送手段は、前記被照射物に接して搬送するローラーを有し、当該ローラーに接する箇所において光が前記被照射物に照射されることを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記マスクは、その法線が前記集光部材から当該マスクに対して入射される入射光の光軸に沿って伸びる状態で、配置されており、
光入射開口を有する、前記マスクに入射する光を制限する遮光板をさらに備えており、 前記集光部材から前記マスクに対して入射される入射光の最大入射角度をβ1 、前記集光部材からマスクに対して入射される入射光の光軸上における前記偏光素子と前記遮光板との間の距離をLH1、前記遮光板における光入射開口の、前記一方向に垂直な方向の幅をNとするとき、前記偏光素子の法線の、前記集光部材から前記マスクに対して入射される入射光の正反射方向の光軸に対する傾斜角度α1 が、下記式1を満足する大きさとされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光照射装置。
【数1】

【請求項4】
前記マスクが、その法線が前記集光部材からの光の光軸に対して傾斜する状態で、前記偏光素子と平行に配置されており、
光入射開口を有する、前記マスクに入射する光を制限するための遮光板をさらに備えており、
前記集光部材によって集光される前記入射光の集光角の半角をδ、前記偏光素子と前記遮光板との間の距離をLH2、前記遮光板における光入射開口の、前記一方向に垂直な方向の幅をNとするとき、前記集光部材から前記マスクに対して入射される入射光の正反射方向の光軸の、前記偏光素子の法線に対する傾斜角γが、下記式2および式3の関係を満足する大きさとされていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光照射装置。
【数2】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−88425(P2012−88425A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233437(P2010−233437)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】