説明

光熱変換測定装置及びその方法

【課題】 試料中における光熱効果による特性変化の測定を,試料の吸収分光特性の測定も含めて簡易な構成により高感度かつ低ノイズで測定できること。
【解決手段】 相互に波長帯が異なる2つの励起光B3a,B3bに対しチョッパ2により試料5への照射前に相互に逆位相の強度変調を施し,試料5を透過した測定光B1を検出するとともに,その検出信号から信号処理装置21により励起光の強度変調周期と同周期成分を抽出する。2つの励起光の強度バランスを,いずれの励起光の照射中でもセル15や溶媒の温度に変化が生じないように設定しておく。測定光B1の検出は,例えば,試料5を透過した測定光B1に所定の参照光B2を干渉させその干渉光の強度を検出する光干渉法に基づき行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,試料の含有物質等を分析する際に用いられ,励起光を試料に照射したときの光熱効果により試料に生じる屈折率変化に基づく特性変化を測定する光熱変換測定装置及びその測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種試料の含有物質等の分析において,分析感度の向上は,試薬の量の低減や試料の濃縮処理の簡素化,分析の効率化及び低コスト化を図る上で重要である。一方,試料に励起光を照射すると,その照射部は励起光を吸収することにより発熱し,これを光熱効果という。この発熱を測定することを光熱変換測定という。
従来,この光熱変換測定による試料の高感度分析法として,光熱効果により試料に形成される熱レンズ効果を用いた手法(以下,熱レンズ法という)が知られている。
熱レンズ法による分析装置(光熱変換分光分析装置)は,例えば,特許文献1に示されている。この熱レンズ法による分析装置では,試料に照射した検出光(測定光)を集光するとともにピンホールに通過させ,そのピンホールを通過後の検出光の光強度を検出することにより,励起光が照射された試料の発熱による屈折率変化を検出光の集光状態の変化として検出するものである。
【0003】
一方,特許文献2には,試料の光熱効果による屈折率変化を,試料を通過(透過)させた測定光における位相変化として捉え,これを光干渉法を用いて測定する技術が示されている。
これにより,例えば装置ごとに光検出器(光電変換手段)の位置や測定光の強度及びその強度分布等が異なっても,測定中に変化さえしなければ,これらに依存することなく安定的に,しかも光学的に高精度かつ高感度で試料の屈折率変化を測定することが可能となる。
さらに,特許文献1及び特許文献2には,周期的に強度変調した励起光を用い,測定光(検出光)を励起光の強度変調周期と同周期成分について測定することにより,S/N比向上を図ることが示されている。
【特許文献1】特開平10−232210号公報
【特許文献2】特開2004−301520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで,試料の吸収分光特性を評価する場合,励起光の光源として白色光源が用いられるが,一般的に,白色光源は発光部分が広いため,その光を高精度で集光して試料に照射させることが難しい。
しかしながら,特許文献1に示される前記熱レンズ法による測定では,熱レンズ効果を発生させるために励起光を高精度で集光して試料に照射させる必要があり,白色光源を用いることができない。このため,波長帯が特定されるレーザ発振器を光源として用いざるを得ず,試料の吸収分光特性を評価できないという問題点があった。
さらに,特許文献1に示される前記熱レンズ法による測定では,測定感度を高めるためには,励起光の強度を増大させる,或いは試料通過後の測定光を通過させるピンホールの径を小さくする必要があるが,励起光強度の増大化は消費電力の増加,高コスト化を招き,ピンホールの小口径化は検出器での受光光量が減少によるS/N比の低下や測定時間の長時間化を招くという問題点があった。
また,特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても,測定光及び励起光の光路中に,試料を収容するセルやそのセルに試料とともに収容される溶媒等,励起光によって加熱されて屈折率変化が生じる物質(以下,外乱物質という)が存在する場合,これが外乱となってS/N比を悪化させるという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,試料中における光熱効果による特性変化の測定を,試料の吸収分光特性の測定も含めて簡易な構成により高感度かつ低ノイズで測定できる光熱変換測定装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は,励起光が照射された試料の光熱効果により生じる前記試料の特性変化を,前記試料に照射されこれを透過した測定光に基づいて測定するために用いる光熱変換測定装置或いはその測定方法に適用されるものであり,相互に波長帯が異なる2つの前記励起光に対し(例えば,前記試料への照射前に)相互に逆位相の強度変調を施し,前記試料を透過した前記測定光を検出するとともに,その検出信号から前記励起光の強度変調周期と同周期成分を抽出するものである。
そして,前記測定光の検出信号からの強度変調周期分の抽出信号に基づいて前記試料の光熱効果により生じる特性変化を測定する。
これにより,波長帯の異なる2種類の前記励起光が照射されたときに,その各状態において光の吸収量に変化が生じないように,前記励起光各々の強度バランスを予め設定しておけば,2つの前記励起光の強度変調が逆位相であるので,いずれの励起光の照射中でも前記外乱物質の温度に変化が生じない一方,試料の光熱効果は波長帯が異なる前記励起光が照射されるごとに変化する。このため,前記外乱物質の温度変化に起因する励起光測定信号のダイナミックレンジ(測定範囲)の飽和をほとんど考慮せずに,信号処理系の測定感度(検出感度)を上げることができるので(増幅ゲインを上げる等),前記測定光の検出の際に,前記外乱物質の温度変化(屈折率変化)によるS/N比の悪化を招くことを防止できる。
【0006】
ここで,前記測定光の検出手段としては,特許文献2に示されるように,前記試料を透過した前記測定光に所定の参照光を干渉させその干渉光の強度を検出する光干渉法によるもの(以下,第1の測定光検出手段という)が考えられる。
このように,試料の光熱効果による屈折率変化を,前記測定光の位相変化として捉えて光干渉法(相対的な光学手法)により検出することにより,例えば装置ごとに光検出器(光電変換手段)の位置や測定光の強度及びその強度分布等が異なっても,測定中に変化さえしなければ,これらに依存することなく再現性高く(安定的に),しかも光学的に高精度かつ高感度で試料を分析することが可能となる。
この第1の測定光検出手段を用いる場合,前記試料の前記測定光の照射面の反対面側に裏面側光反射手段を設け,これに反射して前記試料を往復通過した後の前記測定光に前記参照光を干渉させること,或いは前記裏面側光反射手段とその反対側の表面側光反射手段とを設け,それらに多重反射して前記試料を透過した後の前記測定光に前記参照光を干渉させること等により,検出感度をより向上させることができる。
【0007】
また,前記測定光の検出の他の手段としては,前記試料の両側に対向配置され入射された光を反射するとともに少なくとも一方は入射光の一部を透過させる2つの光反射手段により,前記試料に照射された所定の測定光を前記試料に透過させつつ光反射手段相互間で一の軸に沿って多重反射させ,入射光の一部を透過させる側の光反射手段を透過した前記測定光の光強度を光強度検出手段により検出するもの(以下,第2の測定光検出手段という)も考えられる。
これにより,前記光強度検出手段に到達する前記測定光は,2つの光反射手段の間での往復回数が各々異なる測定光が重畳されたものとなるが,試料中における光熱効果(屈折率変化)により前記測定光の光反射手段相互間における光路長が変化すると,前記往復回数が多い測定光ほど位相が大きくずれることになる結果,わずかな屈折率変化(光路長変化)でも前記光強度検出手段の検出信号(光強度検出信号)が大きく変化することになる。その結果,前記試料の光熱効果により生じる特性変化(屈折率変化)を,前述の熱レンズ法や光干渉法を用いた場合よりもより高感度で測定することが可能となる。しかも,そのような高感度の測定を,対向配置された2つの光反射手段及び光強度検出手段というごく簡易な構成により実現できる。
この第2の測定光検出手段において,前記測定光の光路長変化に対する光強度検出信号の変化が大きいということは,振動等の外乱ノイズの影響も大きいことになる一方,前記試料の励起状態が安定すれば,本来検出されるべき光強度検出信号は変動しないはずのものである。
そこで,前記光強度検出手段の検出信号の変動を抑える方向に前記2つの光反射手段の間隔を調節するミラー間隔調節手段を設ければ,振動等の外乱ノイズの影響を抑えて高精度で試料の特性変化を測定できる。
また,前記第1の測定光検出手段及び前記第2の測定光検出手段のいずれにおいても,白色光源等の所定の光源からの光を分光して2つの前記励起光として出力するとともにそれらの波長帯を可変とする可変分光手段を設ければ,その可変分光手段により前記励起光の波長帯を変更するごとに,前記第1若しくは第2の測定光検出手段等による前記測定光の検出を行うことによって試料の吸収分光特性の測定も簡易に行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば,相互に波長帯が異なる2つの前記励起光に対し前記試料への照射前に相互に逆位相の強度変調を施し,前記試料を透過した前記測定光を検出するとともに,その検出信号から前記励起光の強度変調周期と同周期成分を抽出するので,2つの前記励起光の強度バランスを予め調整しておくことにより,いずれの励起光の照射中でも前記外乱物質の温度に変化が生じないようにできる一方,試料の光熱効果は波長帯が異なる前記励起光が照射されるごとに変化するので,前記測定光の検出の際に,前記外乱物質の温度変化(屈折率変化)によるS/N比の悪化を招くことを防止できる。
また,前記測定光の検出を,前記試料を透過した前記測定光に所定の参照光を干渉させその干渉光の強度を検出する光干渉法に基づき行えば,相対的な光学手法により測定光が検出されるので,安定的に,高精度かつ高感度で試料を分析することが可能となる。
一方,試料の両側に対向配置された2つの光反射手段(少なくとも一方は,入射光の一部を透過させるもの)により,前記試料に照射された所定の測定光を前記試料に透過させつつその光反射手段相互間で一の軸に沿って多重反射させ,その2つの光反射手段の少なくとも一方を透過した前記測定光の光強度を検出すれば,前記試料のわずかな屈折率変化でも光強度検出信号が大きく変化することになり,前記試料の光熱効果により生じる特性変化(屈折率変化)を,高精度かつ高感度で測定することが可能となる。しかも,そのような高感度の測定をごく簡易な構成により実現できる。
また,所定の光源(白色光源等)からの光を分光して2つの前記励起光として出力するとともにそれらの波長帯を可変とし,前記励起光の波長帯を変更するごとに前記測定光の検出を行えば,試料の吸収分光特性の測定も簡易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の第1実施形態に係る光熱変換測定装置X1の概略構成図,図2は光熱変換測定装置X1の構成の一部の応用例を表す概略図,図3は本発明の第2実施形態に係る光熱変換測定装置X2の概略構成図,図4は本発明の第3実施形態に係る光熱変換測定装置X3の概略構成図,図5は光熱変換測定装置X3における2つの高反射ミラー間を進行する測定光の光路長と高反射ミラーに反射及び透過した測定光の強度との関係を表す図である。
【0010】
本発明の実施形態に係る光熱変換測定装置X1〜X3は,励起光が照射された試料の光熱効果により生じる前記試料の特性変化を,前記試料に照射されこれを透過した測定光に基づいて測定するために用いるものであり,相互に波長帯が異なる2つの励起光に対し,試料への照射前に相互に逆位相の強度変調を施し,前記試料に照射されこれを透過した測定光を検出するとともに,その検出信号から前記励起光の強度変調周期と同周期成分を抽出するものである。
<第1実施形態>
まず,図1に示す概略構成図を用いて,本発明の第1実施形態に係る光熱変換測定装置X1について説明する。
光熱変換測定装置X1は,励起光源1,反射ミラー3a,2つの可変分光器1a,1b及びチョッパ2を備えた分光励起光源部Zを具備し,これから出力されるパルス状の2つの励起光B3a,B3bが試料5に照射される。
前記分光励起光源部Zにおいて,白色光を出射する所定の励起光源1(例えば,ハロゲンランプ等の白色光源)から出力された励起光(白色光)は,反射ミラー3aにより反射されて2分岐され,各分岐光が2つの可変分光器1a,1b各々により分光されることにより,相互に波長帯が異なる2つの励起光B3a,B3bとして出力される。
前記可変分光器1a,1b各々は,前記励起光源1からの白色光を回析格子等で分光した光を2つの前記励起光B3a,B3bとして出力するとともに,それら励起光B3a,B3bの波長帯を任意に調節して或いは複数の波長帯の候補から選択して可変とするものである(可変分光手段)。
前記可変分光器1a,1b各々から出力される波長帯が異なる2つの励起光B3a,B3bは,反射ミラー18及びレンズ4を経由して試料5に照射されるが,その試料5への照射前に,チョッパ2(逆位相強度変調手段の一例)によって所定周期の断続光(断続周波数:f)に変換(周期的に強度変調)される。その際,2つの励起光B3a,B3bは相互に逆位相の強度変調が施される。即ち,一方の励起光B3aが試料5に照射されている最中は,他方の励起光B3bの試料5への照射は遮断され,一方の励起光B3aの試料5への照射が遮断されている最中は,他方の励起光B3bが試料5へ照射されるという処理が一定周期でなされる。
これにより,試料5が励起光を吸収して発熱し(光熱効果),その温度変化(上昇)によって試料5の屈折率が変化する。
一方,試料5の屈折率変化を測定するための測定光とこれに干渉させる参照光との両方の光源として兼用されるレーザ光源7(例えば,出力1mWのHe−Neレーザ))から出力されたレーザ光は,1/2波長板8で偏波面が調節され,さらに偏光ビームスプリッタ(以下,PBSという)9によって互いに直交する2偏波(B1,B2)に分光される。以降,その一方B1が測定光として,他方B2が参照光として機能する。
各偏波B1,B2は,音響光学変調機(AOM)10,11によって光周波数がシフト(周波数変換)され,ミラー12,13で反射されてPBS14に導かれる。これら直交する2偏波B1,B2の周波数差fbは,例えば,30MHz等とする。
【0011】
参照光となる前記偏波B1は,PBS14を通過(透過)して偏光板19に向かう。
これに対し,測定光となる他方の前記偏波B1は,PBS14を透過し,1/4波長板17,ミラー18及び前記レンズ4を通過して,試料5における前記励起光B3a,B3bの照射部(即ち,励起部)に,その励起光B3a,B3bとほぼ同方向から照射されるよう構成されている。
さらに,試料5に入射した測定光B1は,試料5を通過し,試料5の裏面側(測定光B1の照射面の反対面側)に設けられた反射ミラー6で反射し,再び試料5を通過(即ち,往復通過)して,前記レンズ4,前記ミラー18,前記1/4波長板17を通過して前記PBS14へ戻る。
ここで,測定光B1は,前記1/4波長板17を往復通過することによってその偏波面が90°回転しているため,今度はPBS14に反射して前記偏波B2(参照光)とともに前記偏光板19に向かう。
前記偏光板19では,測定光B1と,これと光周波数が異なる参照光B2とが干渉し,その干渉光B1+B2の光強度が光検出器20(光電変換手段)によって電気信号(以下,この電気信号の信号値を干渉光強度という)に変換される。この電気信号(即ち,干渉光強度)は,計算機等の信号処理装置21に入力及び記憶され,この信号処理装置21において測定光B1の位相変化の演算処理(光干渉法による位相変化の測定)がなされる。
このように,光熱変換測定装置X1は,試料5に照射されこれを透過した測定光B1と,参照光B2とを前記偏光板19の方向へ光学系機器により導き,前記偏光板19により測定光B1と参照光B2の干渉光を形成させ,その干渉光強度を前記光検出器20で検出することによって光干渉法により測定光B1を検出する各機器を備える(測定光検出手段及び光干渉手段の一例)。
ここで,試料5は,石英ガラス等の透明容器であるセル15に収容されており,場合によっては,セル15内に所定の溶媒とともに収容されている。従って,測定光B1及び励起光B3a,B3bは,試料5に照射されるとともに,セル15や場合によっては溶媒も通過(透過)することになる。
【0012】
本光熱変換測定装置X1を用いた測定では,前記チョッパ2により,試料5に照射される相互に波長帯が異なる2つの励起光B3a,B3bに対し相互に逆位相の強度変調を施し(逆位相強度変調工程の一例),そのような強度変調を実行中に試料5を透過した測定光B1を前記光検出器20及び前記信号処理装置21により検出し(測定光検出工程の一例),その検出信号から前記信号処理装置21により励起光B3a,B3bの強度変調周期と同じ周期成分を抽出し(同周期成分抽出工程の一例),その抽出信号に基づいて試料5の光熱効果により生じる特性変化(屈折率変化)を測定する(特性変化測定工程の一例)。
また,前記分光励起光源部Zにより,励起光B3a,B3bの波長帯を変更し(波長帯変更工程の一例),その変更ごとに測定光B1の検出を行うことにより,試料の吸収分光特性の測定も簡易に行うことができる。
ここで,前記信号処理装置21で取得される干渉光強度S1は,次の(1)式で表される。
S1=C1+C2・cos(2π・fb・t+φ) …(1)
C1,C2はPBS等の光学系や試料5の透過率により定まる定数,φは測定光B1と参照光B2との光路長差による位相差,fbは測定光B1と参照光B2との間の周波数差である。(1)式より,前記干渉光強度S1の変化(前記励起光を照射しない或いはその光強度が小さいときとその光強度が大きいときとの差)から,前記位相差φの変化が求まることがわかる。前記信号処理装置21は,(1)式に基づいて前記位相差φの変化を算出する。
ところで,励起光B3a及びB3b各々を照射時の干渉光の振幅(強度変化)を各々Ka,Kbとすると,測定光B1と参照光B2との光路長差による位相差φは,励起光B3aによる状態変化と,励起光B3bによる状態変化との重ね合わせを表す次の(2)式で表される。
φ=Ka・sin(ωt)−Kb・sin(ωt) …(2)
また,試料5が存在しない状態において,Ka≒Kbとなるように予め励起光B3a,B3b各々の強度や波長を調整しておけば,φ≒0とすることができる。これにより,試料5が存在する状態においては,Ka>Kb若しくはKa<Kbとなるため,試料5の励起状態の変化に起因する位相差信号が検出されることになる。
また,当該光熱変換測定装置X1を用いて,予め所定の含有物質の量(濃度)が既知である複数種類のサンプル試料について前記位相差φの変化を測定し,その結果とその含有物質の量との対応づけを前記信号処理装置21にデータテーブルとして記憶しておく。そして,測定対象とする試料についての前記位相差φの測定結果を前記データテーブルに基づいて補間処理等を行う等によりその含有物質の量を特定する処理を前記信号処理装置21により実行すればよい。
このように,試料5の光熱効果による屈折率変化を,試料5を通過(透過)させた測定光B1における励起光の照射による位相変化を光干渉法を用いて測定することによって,即ち,測定光B1と参照光B2との位相の相対評価(位相差)によって測定するので,例えば装置ごとに光検出器20の位置や測定光の強度及びその強度分布等が異なっても,測定中に変化さえしなければ,これらに依存することなく安定的に,しかも光学的に高精度で試料の屈折率変化を測定することが可能となる。
【0013】
ここで,両励起光B3a,B3bは,前記チョッパ2により一定周期の強度変調が施されているので,これに同期して前記干渉光強度S1も変動する。そこで,前記信号処理装置21は,試料5を透過した測定光B1を検出する前記光検出器20の検出信号から,励起光B3a,B3b各々の強度変調周期と同じ周期成分を抽出し,その抽出信号に基づいて測定光B1の位相変化(試料5の光熱効果により生じる特性変化)を測定する(同周期成分抽出手段の一例)。
その際,励起光B3a,B3bにより,試料5だけでなくその周囲のセル15や溶媒等も吸熱して温度が上昇し,その屈折率が変化する。
しかし,試料5が存在しない状態で,波長帯の異なる2種類の励起光B3a,B3bが照射されたときに,その各状態においてセル15等による光の吸収量に変化が生じないように,励起光B3a,B3b各々の強度バランスを予め設定しておけば,2つの励起光B3a,B3bの強度変調が逆位相であるので,いずれの励起光の照射中でも試料5以外の物質(セル15や溶媒等)の温度に変化が生じないようにできる。
一方,試料5の光熱効果は波長帯が異なる励起光B3a,B3b各々が切り替わって照射されるごとに変化するので,測定光B1の検出の際に,セル15等の温度変化(屈折率変化)によるS/N比の悪化を招くことを防止できる。
さらに,周波数fの成分を有しないノイズの影響が除去されるため,S/N比が向上する。
【0014】
また,本光熱変換測定装置X1では,裏面側の前記反射ミラー6(前記裏面側光反射手段の一例)に測定光B1を反射させることにより,試料5に往復通過させた後の測定光B1に参照光B2を干渉させて光干渉測定を行うため,片道通過の場合の2倍の感度で前記位相差φの変化を測定できる。しかも,励起光の出力増大やS/N比の低下を伴わない。
ここで,図2に示す概略図を用いて,光熱変換測定装置X1において,より感度を向上させる応用例の構成について説明する。
図2に示す構成は,試料5の表面側(前記測定光の照射面側)とその裏面側とのそれぞれに高反射ミラー6a,6b(前記表面側光反射手段と前記裏面側光反射手段の一例)を配置し,測定光B1をそれら高反射ミラー6a,6bの間で多重反射させるものである。
これにより,測定光B1は,高反射ミラー6a,6b相互間で多重反射しながら,その一部が試料5の表面側の高反射ミラー6aを透過して前記光検出器20の方向へ向かう。従って,前記検出器20には,参照光B2と試料5を多重通過した光が重畳された測定光B1との干渉光が入力されるため,より高感度での位相差測定,即ち,屈折率変化の測定が可能となる。
この場合,多重反射した測定光の位相を同期させるように2つの高反射ミラー6a,6bの間隔を微調整するため,一方の反射ミラーの位置制御を行う駆動機構を設けることが望ましい。
【0015】
<第2実施形態>
次に,図3に示す概略構成図を用いて,本発明の第2実施形態に係る光熱変換測定装置X2について説明する。
この光熱変換測定装置X2は,前記光熱変換測定装置X1の応用例であり,測定光B1を光干渉法により検出する部分については,前記光熱変換測定装置X1と同じであるので図示は省略している(図中,「測定系」と表した部分)。
前述した第1実施形態では,2つの励起光B3a,B3bの強度を,前記セル15や溶媒等の吸熱特性に応じて予め設定する例について示した。
一方,図3に示す光熱変換測定装置X2においては,前記セル15に試料が流し込まれる試料流路15aが設けられている。
そしてこの光熱変換測定装置X2を用いた測定では,試料5を前記試料流路15aに注入する前に,強度変調された2つの励起光B3a,B3bが前記セル15に照射された状態で,前記光検出器20(図1参照)で検出される信号値が一定となる(変動しない)ように,前記励起光源1の出力強度調節機能により,励起光B3a,B3bの強度を調節する。
次に,試料5を前記試料流路15aに注入し,その状態で前記光検出器20及び前記信号処理装置21により測定光の検出を行う。
これにより,熱吸収特性が未知の前記セル15等についても,2つの励起光B3a,B3bの強度を適切に調節できる。
また,図3に示すように,励起光B3a,B3bを試料5に導く導光手段としては,反射ミラー等に限らず,光ファイバ60等によって励起光B3a,B3bを導光し,試料5に照射させる構成であってもかまわない。
【0016】
<第3実施形態>
次に,図2に示す概略構成図を用いて,本発明の第2実施形態に係る光熱変換測定装置X3について説明する。
光熱変換測定装置X3は,相互に波長帯が異なる2つの励起光B3a,B3bを,相互に逆位相となる強度変調を施して試料5に照射し,その試料5に照射されこれを透過した測定光を検出する点において,前記光熱変換測定装置X1と同様の構成を有するものである。
しかし,当該光熱変換測定装置X3は,測定光B1を照射及び検出する手段の構成において,前記光熱変換測定装置X1と異なる。
図4に示すように,光熱変換測定装置X3も,前記分光励起光源部Zを備え,これにより,相互に波長帯が異なる2つの励起光B3a,B3bが,相互に逆位相となる強度変調が施されて試料5に照射される。
さらに,光熱変換測定装置X3は,前記分光励起光源Zに加え,測定光用の前記レーザ光源7,レンズ20,ビームスプリッタ54,高反射ミラー52,53,光検出器20a,20b,ミラー変位機構50,変位制御装置51,信号処理装置21’等を具備している。
前記分光励起光源部Zからの励起光B3a,B3bが照射されることにより,試料5は励起光を吸収して発熱し(光熱効果),その温度変化(上昇)によって試料5の屈折率が変化する。
【0017】
一方,試料5に照射してその屈折率変化を測定するための測定光を出力する前記レーザ光源7から出力された測定光B1は,ビームスプリッタ54を通過し,試料5の両側(おもて面側とうら面側)に平行に対向配置された2つの高反射ミラー52,53(光反射手段の一例)のうちのおもて側の一方(以下,第1高反射ミラー52という)によってその大部分が反射されるが,ごく一部の測定光は前記第1高反射ミラー52を透過し,試料5に照射される。この試料5に照射された測定光は,試料5を挟んで対向配置されたうら側の高反射ミラー53(以下,第2高反射ミラーという)と前記第1高反射ミラー52との間で,試料5に透過しつつ一の軸に沿って多重反射する。そして,試料5に透過しつつ2つの高反射ミラー52,53相互間で多重反射する測定光B1は,前記高反射ミラー52,53各々に到達するごとに,そのごく一部が透過する。
これにより,前記第1高反射ミラー52を試料5が存在する側と反対側(図1中の上側)に反射する測定光(以下,反射側測定光という)には,高反射ミラー52,53相互間での往復回数が各々異なる測定光が,試料5が存在する側から透過して重畳される。また,前記第2高反射ミラー53を試料が存在する側と反対側(図1中の下側)に透過する測定光(以下,透過側測定光という)にも,高反射ミラー52,53相互間での往復回数が各々異なる測定光が,試料5が存在する側から透過して重畳される。
【0018】
前記第1高反射ミラー52を試料5が存在する側と反対側に反射する前記反射側測定光は,前記ビームスプリッタ54で偏向されて一方の光検出器20a(以下,第1光検出器という,光強度検出手段の一例)で受光され,これによって検出された前記反射側測定光の光強度を表す信号(光強度信号)が計算機等からなる前記信号処理装置21’に取り込まれる。
前記信号処理装置21’は,前記第1光検出器20aで検出される光強度信号の入力インターフェースを備えた計算機等であり,その光強度信号について前記チョッパ2による励起光B3a,B3bの強度変調周期と同じ周期成分を抽出し,光熱変換信号として他の測定処理装置へ出力するものである(同周期成分抽出手段の一例)。
これにより,前記光熱変換測定装置X1の場合と同様に,2つの励起光B3a,B3bのいずれの照射中でもセル15等の温度に変化が生じないようにできる一方,試料5の光熱効果は波長帯が異なる励起光B3a,B3b各々が切り替わって照射されるごとに変化するので,測定光B1の検出の際に,セル15等の温度変化(屈折率変化)によるS/N比の悪化を招くことを防止できる。
さらに,周波数fの成分を有しないノイズの影響が除去されるため,S/N比が向上する。
一方,前記第2高反射ミラー53を試料5が存在する側と反対側に透過する前記透過側測定光は,他方の光検出器20b(以下,第2光検出器という,光強度検出手段の一例)で受光され,これによって検出された光強度信号が変位制御装置51に取り込まれる。
前記変位制御装置51は,前記第2光検出器20b(光強度検出手段)の検出信号に基づいて,前記第2高反射ミラー53を支持してその支持位置を前記測定光の光軸方向に自動変位させる前記ミラー変位機構50を制御することにより,前記第2光検出器20b(光強度検出手段)の検出信号の変動を抑える方向に2つの前記高反射ミラー52,53の間隔を自動調節するものである(ミラー間隔調節手段の一例)。
【0019】
次に,図5を用いて,2つの前記高反射ミラー52,53間を進行する測定光の片道分(往路又は復路)の光路長L(以下,ミラー間光路長Lという)と前記第1高反射ミラー52に反射した前記反射側測定光の強度P1及び前記第2高反射ミラー53に透過した前記透過側測定光の強度P2各々との関係について説明する。
前述したように,前記透過側測定光には,前記高反射ミラー52,53相互間での往復回数が各々異なる測定光(以下,多重反射測定光という)が重畳される。このため,図5に示すように,前記ミラー間光路長Lが,L=n・λ/2(nは正の整数,λは2つのミラー間における測定光の波長)を満たしている状態では,前記多重反射測定光各々の位相が同期して強調し合い(共振する),その光強度P2が最大強度P2maxとなる。そして,前記ミラー間光路長Lが,L=n・λ/2関係から少しでも外れると,ミラー間の往復回数が多い前記多重反射測定光ほど位相が大きくずれることになる結果,わずかな光路長Lの変化でも前記透過側測定光の強度が大きく低下する。ここで,前記高反射ミラー52,53各々の反射率をR(0〜1),L=n・λ/2の関係を満たす前記ミラー間光路長をLn(=n・λ/2)とすると,前記ミラー間光路長L=Lnとしたときに,その光路長Lnを中心として前記透過側測定光の強度P2にP2max〜P2max/2の範囲での変化を生じさせる光路長の範囲ΔL(以下,光路長レンジという)は,次の(3)式で表される。
ΔL=Ln・π・R1/2/(1−R) …(3)
即ち,前記高反射ミラー52,53の反射率Rが大きいほど,また,前記ミラー間光路長Lnが短いほど,前記光路長レンジΔLを小さくでき,わずかな光路長変化を高感度で測定できる。
一方,前記反射側測定光の強度P1は,エネルギー保存則に従って,前記測定光の元々の強度にほぼ等しい強度P1maxから前記透過側測定光の強度P2を差し引いた強度或いはそれに近い強度(P1≒P1max−P2)となる。
この光熱変換測定装置X3は,図5に示す特性を利用するものである。
このような光熱変換測定装置X3により,励起光B3a,B3bの試料5への照射状態を変化させるごとに,前記信号処理装置21’により,前記第1光検出器20aを通じて検出すれば,励起光B3a,B3bの照射により,光熱効果によって試料5の屈折率が変化するため,前記ミラー間光路長Lが変化する結果,前記反射側測定光の強度は,励起光の照射状態の変化による試料5のわずかな屈折率変化でも比較的大きく変化する。
従って,そのようにして検出された前記反射側測定光の強度に基づいて,試料5の光熱効果により生じる屈折率変化(特性変化)を,高感度で測定することが可能となる。しかも,そのような高感度の測定を,図4に示すようなごく簡易な構成により実現できる。
また,前記分光励起光源部Zにより,励起光B3a,B3bの波長帯を変更し,その変更ごとに光強度の検出を行うことにより,試料の吸収分光特性の測定も簡易に行うことができる。
【0020】
なお,以上示した測定は,前記第1高反射ミラー52で反射される前記反射側測定光の光強度P1に基づいて試料5の光熱変換特性を測定する例について示したが,前記反射側測定光の強度P1と前記透過側測定光の強度P2とは,それらの和が一定(≒P1max)となる関係を有することから,それを考慮して前記第2高反射ミラー53を透過する前記透過側測定光の光強度P2に基づいて試料5の光熱変換特性を測定する構成としてもよい。即ち,2つの前記高反射ミラー52,53の少なくとも一方を試料5が存在する側と反対側に反射若しくは透過した前記測定光についてその光強度を検出し,その検出強度に基づいて試料5の特性評価を行えばよい。
また,2つの前記高反射ミラー52,53のうちの一方の側でのみ光強度の検出を行う場合,その光強度が検出される側と反対側の反射ミラーについては,理論上は完全反射(反射率=100%)するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は,光熱変換測定に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光熱変換測定装置X1の概略構成図。
【図2】光熱変換測定装置X1の構成の一部の応用例を表す概略図。
【図3】本発明の第2実施形態に係る光熱変換測定装置X2の概略構成図。
【図4】本発明の第3実施形態に係る光熱変換測定装置X3の概略構成図。
【図5】光熱変換測定装置X3における2つの高反射ミラー間を進行する測定光の光路長と高反射ミラーに反射及び透過した測定光の強度との関係を表す図。
【符号の説明】
【0023】
X1,X2,X3…光熱変換測定装置
Z…分光励起光源部
1…励起光源
1a,1b…可変分光器
2…チョッパ
4…レンズ
5…試料
6…反射ミラー
6a,6b…高反射ミラー
7…レーザ光源
8…1/2波長板
9,14…偏光ビームスプリッタ
10,11…音響光学変調機
15…セル
15a…試料流路
17…1/4波長板
19…偏光板
20,20a,20b…光検出器(光強度検出手段)
21,21’…信号処理装置
50…ミラー変位機構
51…変位制御装置
52,53…高反射ミラー
54…ビームスプリッタ
60…光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光が照射された試料の光熱効果により生じる前記試料の特性変化を,前記試料に照射されこれを透過した測定光に基づいて測定するために用いる光熱変換測定装置であって,
相互に波長帯が異なる2つの前記励起光に対し相互に逆位相の強度変調を施す逆位相強度変調手段と,
前記試料を透過した前記測定光を検出する測定光検出手段と,
前記測定光検出手段の検出信号から前記励起光の強度変調周期と同周期成分を抽出する同周期成分抽出手段と,
を具備してなることを特徴とする光熱変換測定装置。
【請求項2】
前記測定光検出手段が,
前記試料を透過した前記測定光に所定の参照光を干渉させその干渉光の強度を検出する光干渉手段を具備してなる請求項1に記載の光熱変換測定装置。
【請求項3】
前記測定光検出手段が,
前記試料の前記測定光の照射面の反対面側に設けられた裏面側光反射手段を具備し,前記測定光が前記裏面側光反射手段に反射して前記試料を往復通過した後の前記測定光に前記参照光を干渉させてなる請求項2に記載の光熱変換測定装置。
【請求項4】
前記測定光検出手段が,
前記試料の前記測定光の照射面の反対面側に設けられた裏面側光反射手段と,
前記試料の前記励起光の照射面側に設けられた表面側光反射手段と,を備え,前記測定光が前記裏面側光反射手段と前記表面側光反射手段との間で多重反射して前記試料を透過した後の前記測定光に前記参照光を干渉させてなる請求項2に記載の光熱変換測定装置。
【請求項5】
前記測定光検出手段が,
前記試料の両側に対向配置され,前記試料に照射された所定の測定光を前記試料に透過させつつ相互間で一の軸に沿って多重反射させるとともに少なくとも一方は前記測定光の一部を透過させる2つの光反射手段と,
前記測定光の一部を透過させる前記光反射手段を前記試料が存在する側と反対側に反射若しくは透過した前記測定光の光強度を検出する光強度検出手段と,
を具備してなる請求項1に記載の光熱変換測定装置。
【請求項6】
前記光強度検出手段の検出信号の変動を抑える方向に前記2つの光反射手段の間隔を調節するミラー間隔調節手段を具備してなる請求項5に記載の光熱変換測定装置。
【請求項7】
所定の光源からの光を分光して2つの前記励起光として出力するとともにそれらの波長帯を可変とする可変分光手段を具備してなる請求項1〜6のいずれかに記載の光熱変換測定装置。
【請求項8】
励起光が照射された試料の光熱効果により生じる前記試料の特性変化を,前記試料に照射されこれを透過した測定光に基づいて測定する光熱変換測定方法であって,
前記試料に照射される相互に波長帯が異なる2つの前記励起光に対し相互に逆位相の強度変調を施す逆位相強度変調工程と,
逆位相強度変調工程の実行中に前記試料を透過した前記測定光を検出する測定光検出工程と,
前記測定光検出工程による検出信号から前記励起光の強度変調周期と同周期成分を抽出する同周期成分抽出工程と,
前記同周期成分抽出工程による抽出信号に基づいて前記試料の光熱効果により生じる特性変化を測定する特性変化測定工程と,
を有してなることを特徴とする光熱変換測定方法。
【請求項9】
所定の光源からの光を分光して2つの前記励起光として出力するとともにその波長帯を可変とする可変分光手段により前記励起光の波長帯を変更する波長帯変更工程を有し,
前記測定光度検出工程が,前記波長帯変更工程により前記励起光の波長帯が変更されるごとに実行されてなる請求項8に記載の光熱変換測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−317325(P2006−317325A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141122(P2005−141122)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15,16年度,経済産業省,新エネルギー・産業技術総合開発機構「先進ナノバイオデバイスプロジェクト」委託研究,産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】