説明

光記録用組成物、並びに光記録媒体、光記録方法、及び光記録装置

【課題】高感度であり、かつ高多重記録が可能なホログラム記録用組成物、及び情報光及び参照光により形成する干渉像の高多重記録化を図ることができるホログラム型の光記録媒体、並びに該光記録媒体を用いる光記録方法及び光記録装置を提供すること。
【解決手段】本発明の光記録用組成物は、水素結合形成可能な官能基、及びエチレン性二重結合を有する重合性モノマーと、イソシアネート基を末端に有するプレポリマー、及びポリオールの混合により形成されるマトリックスポリマーとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを利用して情報を記録する光記録媒体に用いられ、高感度であり、高多重記録が可能である光記録用組成物、並びに該光記録組成物を用いた光記録媒体、光記録方法、及び光記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度画像データ等の大容量の情報を書き込み可能な記録媒体の一つとして光記録媒体が挙げられる。この光記録媒体としては、例えば、光磁気ディスク、相変化型光ディスク等の書換型光記録媒体やCD−R等の追記型光記録媒体については既に実用化されているが、光記録媒体の更なる大容量化に対する要求は高まる一方である。しかし、従来より提案されている光記録媒体は全て二次元記録であり、記録容量の増大化には限界があった。そこで、近時、三次元的に情報を記録可能なホログラム型の光記録媒体が注目されている。
【0003】
前記ホログラム型光記録方法は、一般に、二次元的な強度分布が与えられた情報光と、該情報光と強度がほぼ一定な参照光とを感光性の記録層内部で重ね合わせ、それらが形成する干渉像を利用して記録層内部に光学特性の分布を生じさせることにより、情報を記録する。一方、書き込んだ情報の読み出し(再生)は、記録時と同様の配置で参照光のみを記録層に照射し、記録層内部に形成された光学特性分布に対応した強度分布を有する再生光を前記記録層から出射させることにより行われる。
このホログラム型光記録方法では、記録層内に光学特性分布が三次元的に形成されるので、一の情報光により情報が書き込まれた領域と、他の情報光により情報が書き込まれた領域とを部分的に重ね合わせること、即ち、多重記録が可能である。デジタルボリュームホログラフィを利用した場合には、1スポットの信号対雑音比(SN比)は極めて高くなるので、重ね書きによりSN比が多少低くなっても元の情報を忠実に再現できる。その結果、多重記録回数が数百回までに及び、光記録媒体の記録容量を著しく増大させることができる(特許文献1参照)。
このようなホログラム型の光記録媒体に用いられる光記録用組成物としては、例えば、ラジカル重合モノマー、バインダーポリマー、光ラジカル重合開始剤、増感色素を主成分とし、ラジカル重合モノマーとバインダーポリマーの屈折率差を利用したものが知られている(特許文献2参照)。この材料においては、フィルム状に形成された該感光性組成物を干渉露光すると、光が強い部分においてラジカル重合が開始され、それに伴いラジカル重合モノマーの濃度勾配ができ、光が弱い部分から強い部分にラジカル重合モノマーの拡散移動が起こる。結果として干渉光の強弱に応じて、ラジカル重合モノマーの疎密ができ、これが屈折率の差として現れるものである。
また、体積型ホログラム用感光性組成物の他の例として、NCO末端のプレポリマーとポリオール、又は二官能性エポキシドと四官能性メルカプタンなどのポリマーマトリックス前駆体として含むものが知られている。この場合には、これらポリマーマトリックス前駆体を二枚の基材間に所定の厚みで堆積させた後、これら前駆体を反応させポリマーマトリックスとすることにより溶剤塗布を用いないでホログラム記録媒体を作製することができる(特許文献3参照)。このようにして作製されたホログラム記録媒体を干渉露光することにより、ホログラム記録が達成される。
【0004】
ホログラム記録の特徴として、レーザ光などのコヒーレントな光による1つの記録スポットに対し、光の入射角度、入射位置、波長などを変えることにより、2回以上書き込めるという性質を有する。
このようなホログラム記録には、重合性モノマーの重合反応と共に、重合性モノマーの拡散が重要である。そこで、重合性モノマーの効率よく拡散させるために、ポリマーマトリックスのTgを低くする設計がなされている(非特許文献1参照)。しかし、ポリマーマトリックスのTgを下げると、重合性モノマーの重合体が動きやすく、経時でホログラム記録が失われやすいという問題を有していた。
【0005】
一方、スルホンアミド基及びフェノール性水酸基のいずれかを有する低分子化合物が、ウレタン/ウレアマトリックスを可塑化することが知られている(特許文献4)。しかしこの文献においては光記組成物については何ら開示されていない。
したがって、高感度であり、高多重記録が可能でありホログラム記録用組成物、並びに高感度であり、情報光及び参照光により形成する干渉像の高多重記録化を図ることができるホログラム型の光記録媒体、該光記録媒体を用いた光記録方法及び光記録装置は、未だ十分に満足し得るものが提供されていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特開2002−123949号公報
【特許文献2】特開平6−43634号公報
【特許文献3】米国特許第6,482,551号明細書
【特許文献4】特公平6−55546号明細書
【非特許文献1】J.Appl.Phys.81(9)、5913(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高感度であり、高多重記録が可能でありホログラム記録用組成物、並びに高感度であり、情報光及び参照光により形成する干渉像の高多重記録化を図ることができるホログラム型の光記録媒体、該光記録媒体を用いた光記録方法及び光記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。即ち、水素結合形成可能な官能基を有する重合性モノマーを、イソシアネート基を末端に有するプレポリマーとポリオールからなるマトリックスポリマーに導入することで、本来、高いガラス転移温度(Tg)を有するマトリックスを用いても、重合性モノマーの拡散が起こりやすくなり、高感度、高多重記録が可能となるという知見である。
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 水素結合形成可能な官能基、及びエチレン性二重結合を有する重合性モノマーと、イソシアネート基を末端に有するプレポリマー、及びポリオールの混合により形成されるマトリックスポリマーとを含むことを特徴とする光記録用組成物である。
<2> 水素結合形成可能な官能基、及びエチレン性二重結合を有する重合性モノマーが、下記一般式(1)で表される前記<1>に記載の光記録用組成物である。

(P−X)−G−(A) 一般式(1)

前記一般式(1)において、Pは、CH2=CH−、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−COO−L−、CH2=C(CH3)−COO−L−、CH2=CH−CONHR−L−、及びCH2=C(CH3)−CONHR−L−のいずれかを表す。Lは、アルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基のいずれかを表す。Rは水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。Xは、単結合、−O−、−COO−、−O−CO−、−CONH−、及び−NHCO−のいずれかを表す。Aは、水素結合を形成する官能基を表す。m及びnは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、1〜3の整数を表す。Gは、m+n価の炭素原子数1〜50の有機基を表す。
<3> 水素結合形成可能な官能基が、水酸基、スルホニルアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アミノカルボニルオキシ基、ウレイド基、アミノ基、カルボキシル基、及びスルホ基のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の光記録用組成物である。
<4> 水素結合形成可能な官能基、及びエチレン性二重結合を有する重合性モノマーの含有量が、光記録用組成物の全固形分に対して、3〜45質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の光記録用組成物である。
【0010】
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の光記録用組成物を含む記録層を有することを特徴とする光記録媒体である。
<6> 第一の基板と、記録層と、フィルタ層と、第二の基板とをこの順に有する前記<5>に記載の光記録媒体である。
<7> フィルタ層が、第一の光を透過し、第二の光を反射する前記<5>から<6>のいずれかに記載の光記録媒体である。
【0011】
<8> 可干渉性を有する情報光及び参照光を前記<5>から<7>のいずれかに記載の光記録媒体に照射し、前記情報光と前記参照光とにより干渉像を形成し、該干渉像を前記光記録媒体に記録することを特徴とする光記録方法である。
<9> 情報光の光軸と参照光の光軸とが同軸となるように、光記録媒体に前記情報光及び前記参照光を照射し、該情報光と該参照光との干渉により生成される干渉像を前記光記録媒体に記録する前記<8>に記載の光記録方法である。
【0012】
<10> 可干渉性を有する情報光及び参照光を前記<5>から<7>のいずれかに記載の光記録媒体に照射し、前記情報光と前記参照光とにより干渉像を形成し、該干渉像を前記光記録媒体に記録することを特徴とする光記録装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、高感度であり、高多重記録が可能であるホログラム記録用組成物、並びに高感度であり、情報光及び参照光により形成する干渉像の高多重記録化を図ることができるホログラム型の光記録媒体、該光記録媒体を用いた光記録方法及び光記録装置を提供することができる。また、本発明の原理は、高多重記録だけでなく、単一型の光記録媒体にも利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(光記録用組成物)
本発明の光記録用組成物は、水素結合形成可能な官能基、及びエチレン性二重結合を有する重合性モノマーと、イソシアネート基を末端に有するプレポリマー、及びポリオールの混合により形成されるマトリックスポリマーとを含むことを特徴とする光記録用組成物である。本発明の光記録用組成物は、必要に応じて、重合性モノマー、光重合開始剤、その他の化合物を含んでもよい。
本発明の光記録とは、多重記録を利用した光記録である。ただし、本発明の原理は、単一記録型の光記録にも使用することができる。
【0015】
<水素結合形成可能な官能基を有し、且つ、エチレン性二重結合を有する重合性モノマー>
水素結合形成可能な官能基は、水素結合供与能を有する官能基、水素結合受容能を有する官能基、及びこれらを併せ持つ官能基のいずれかが好ましい。水素結合形成可能な官能基は、重合性モノマーの分子内に1つであってもよく、2つ以上あってもよい。
水素結合供与能を有する官能基は、主にウレタン結合のカルボニル酸素原子に水素供与することが好ましく、水素結合受容能を有する官能基は、主にウレタン結合のN−Hの水素原子を受容することが好ましい。
前記水素結合供与能は、R.W.Taftらにより決定されたパラメーターα、水素結合受容能はパラメーターβによって表すことが出来る。
前記パラメータαは、0.4〜1.51が好ましく、0.7〜1.2がより好ましい。
前記パラメータβは、0.3〜1.05が好ましく、0.5〜0.9がより好ましい。
【0016】
水素結合形成可能な官能基としては、例えば、水酸基、スルホニルアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アミノカルボニルオキシ基、ウレイド基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基等が挙げられる。これらの中でも、水酸基、スルホニルアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アミノカルボニルオキシ基、ウレイド基が好ましい。
【0017】
前記スルホニルアミド基としては、N−アルキルスルホニルアミド基、N−アリールスルホニルアミド基が挙げられる。
前記N−アルキルスルホニルアミド基のアルキル基は、置換基を有してもよく、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、シアノ基等が挙げられる。
前記N−アリールスルホニルアミド基のアリール基は、置換基を有してもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、シアノ基等が挙げられる。
前記スルホニルアミドとしては、炭素数1〜20のN−アルキルスルホニルアミド基、炭素数6〜30のN−アリールスルホニル基等が好ましい。
前記炭素数1〜20のN−アルキルスルホニルアミド基としては、例えば、メチルスルホニルアミド基、エチルスルホニルアミド基、プロピルスルホニルアミド基、イソプロピルスルホニルアミド基、ブチルスルホニルアミド基、ヘキシルスルホニルアミド基、シクロヘキシルスルホニルアミド基、オクチルスルホニルアミド基、2−エチルヘキシルスルホニルアミド基、デカノイルスルホニルアミド基、ドデカノイルスルホニルアミド基、オクタデカノイルスルホニルアミド基、シアノメチルスルホニルアミド基、トリフルオロメタンスルホニルアミド基等が挙げられる。
前記炭素原子数6〜30のアリールスルホニル基としては、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、3−ブロモフェニルスルホニル基、2,4−ジブロモフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−ブトキシフェニルスルホニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルホニル基、4−オクタデシルフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0018】
前記スルファモイル基としては、例えば、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基等が挙げられる。
置換基を有するスルファモイル基としては、炭素数が1〜30であることが好ましい。
炭素数1〜30の置換基を有するスルファモイル基としては、例えば、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル基、N−デシルスルファモイル基、N−オクタデシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N−(2−メチルフェニル)スルファモイル基、N−(2−クロロフェニル)スルファモイル基、N−(2−メトキシフェニル)スルファモイル基、N−(2−イソプロポキシフェニル)スルファモイル基,N−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)スルファモイル基、N−(3−クロロフェニル)スルファモイル基、N−(3−ニトロフェニル)スルファモイル基、N−(3−シアノフェニル)スルファモイル基、N−(4−メトキシフェニル)スルファモイル基、N−(4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)スルファモイル基、N−(4−シアノフェニル)スルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)スルファモイル基等が挙げられる。
【0019】
前記アシルアミノ基は、分岐又は直鎖のアシルアミノ基であり、置換基により置換されていてもよく、脂肪族であってもよく、芳香族であってもよい。前記アシルアミノ基の炭素数は、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基が好ましい。このようなアシルアミノ基としてはアセチルアミノ、2−エチルヘキサノイルアミノ、ベンゾイルアミノ、トリフルオロアセチルアミノ、4−フルオロベンゾイルアミノ、4−ブロモベンゾイルアミノ、ビフェニルカルボニルアミノ、ブテノイルアミノ、メトキシアセチルアミノ、4−オクチルオキシベンゾイルアミノ、4−メトキシカルボニルベンゾイルアミノ、4−N−ブチルカルバモイルベンゾイルアミノ、N−メチル−N−アセチルアミノ等が挙げられる。
【0020】
前記カルバモイル基としては、例えば、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基等が挙げられる。
置換基を有するカルバモイル基としては、炭素数が2〜30であることが好ましい。
炭素数2〜30の置換基を有するカルバモイル基としては、例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−ヘキシルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−2−エチルヘキシルカルバモイル基、N−デシルカルバモイル基、N−オクタデシルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−(2−メチルフェニル)カルバモイル基、N−(2−クロロフェニル)カルバモイル基、N−(2−メトキシフェニル)カルバモイル基、N−(2−イソプロポキシフェニル)カルバモイル基,N−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)カルバモイル基、N−(3−クロロフェニル)カルバモイル基、N−(3−ニトロフェニル)カルバモイル基、N−(3−シアノフェニル)カルバモイル基、N−(4−メトキシフェニル)カルバモイル基、N−(4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)カルバモイル基、N−(4−シアノフェニル)カルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N,N−ジフェニルカルバモイル基、N−トルエンスルホニルカルバモイル基、N−ヘキシルスルホニルカルバモイル基等が挙げられる。
【0021】
前記アルコキシカルボニルアミノ基は、置換基を有していてもよく、前記置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基等が挙げられる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素数が2〜20であることが好ましい。
炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基としては、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、プロポキシカルボニルアミノ基、ブトキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルアミノ基、オクチルオキシカルボニルアミノ基、デシルオキシカルボニルアミノ基、オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、フェニルオキシエチルオキシカルボニルアミノ基、フェニルオキシプロピルオキシカルボニルアミノ基、2,4−ジ−t−アミルフェニルオキシエチルカルボニルアミノ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基、イソステアリルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0022】
前記アリールオキシカルボニルアミノ基は、置換基を有していてもよく、前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等が挙げられる。また、炭素原子数7〜30のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましく、例えば、2−メチルフェニルオキシカルボニルアミノ基、2−クロロフェニルオキシカルボニルアミノ基、2,6−ジメチルフェニルオキシカルボニルアミノ基、2,4,6−トリメチルフェニルオキシカルボニルアミノ基、2−メトキシフェニルオキシカルボニルアミノ基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニルアミノ基、3−シアノフェニルオキシカルボニルアミノ基、3−ニトロフェニルオキシカルボニルアミノ基、2−(2−エチルヘキシル)フェニルオキシカルボニルアミノ基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルオキシカルボニルアミノ基、4−フルオロフェニルオキシカルボニルアミノ基、4−クロロフェニルオキシカルボニルアミノ基、3,4−ジブロモフェニルオキシカルボニルアミノ基、4−シアノフェニルオキシカルボニルアミノ基、4−ブトキシフェニルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0023】
前記アミノカルボニルオキシ基としては、例えば、アミノカルボニルオキシ基、N−アルキルアミノカルボニルオキシ基、N−アリールアミノカルボニルオキシ基、N,N−ジアルキルアミノカルボニルオキシ基、N,N−ジアリールアミノカルボニルオキシ基、N−アルキル−N−アリールアミノカルボニルオキシ基が挙げられる。
置換基を有するアミノカルボニルオキシ基としては、炭素数が1〜30であることが好ましい。
炭素数1〜30の置換基を有するアミノカルボニルオキシ基としては、例えば、N−プロピルアミノカルボニルオキシ基、N−イソプロピルアミノカルボニルオキシ基、N−ブチルアミノカルボニルオキシ基、N−ヘキシルアミノカルボニルオキシ基、N−シクロヘキシルアミノカルボニルオキシ基、N−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−(2−エチルヘキシル)アミノカルボニルオキシ基、N−ベンジルアミノカルボニルオキシ基、N−フェニルアミノカルボニルオキシ基、N−(2−メチルフェニル)アミノカルボニルオキシ基、N−(2−クロロフェニル)アミノカルボニルオキシ基、N−(2−メトキシフェニル)アミノカルボニルオキシ基、N−(2−イソプロポキシフェニル)アミノカルボニルオキシ基、N−(3−クロロフェニル)アミノカルボニルオキシ基、N−(4−メトキシフェニル)アミノカルボニルオキシ基、N−(4−シアノフェニル)アミノカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0024】
前記ウレイド基としては、例えば、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N,N’−ジアルキルウレイド基、N,N’−ジアリールウレイド基、N−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アリール−N’−アルキルウレイド基が挙げられる。
置換基を有するウレイド基としては、炭素数が1〜30であることが好ましい。
炭素数1〜30の置換基を有するウレイド基としては、例えば、N’−プロピルウレイド基、N’−イソプロピルウレイド基、N’−ブチルウレイド基、N’−シクロヘキシルウレイド基、N’−オクチルウレイド基、N’−(2−エチルヘキシル)ウレイド基、N’−ベンジルウレイド基、N’−プロピルウレイド基、N’−プロピルウレイド基、N’−プロピルウレイド基、N’−プロピルウレイド基、N’−フェニルウレイド基、N’−(2−メチルフェニル)ウレイド基、N’−(2−クロロフェニル)ウレイド基、N’−(3−ブロモフェニル)ウレイド基、N’−(2−メトキシフェニル)ウレイド基、N’−(4−シアノフェニル)ウレイド基、N,N’−ジブチルウレイド基、N−ブチル−N’−メチルウレイド基、N,N’−ジフェニルウレイド基、N−フェニル−N’−(2−ブロモフェニル)ウレイド基、N−シクロヘキシル−N’−フェニルウレイド基、N−フェニル−N’−メチルウレイド基等が挙げられる。
【0025】
前記アミノ基としては、例えば、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基が挙げられる。
置換基を有する前記アミノ基としては、炭素数が1〜30であることが好ましい。
炭素数1〜30の置換基を有するアミノ基としては、例えば、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−tert−ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基、N−オクチルアミノ基、N−(2−エチルヘキシル)アミノ基、N−デシルアミノ基、N−オクタデシルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−(2−メチルフェニル)アミノ基、N−(2−クロロフェニル)アミノ基、N−(2−メトキシフェニル)アミノ基、N−(2−イソプロポキシフェニル)アミノ基、N−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)アミノ基、N−(3−クロロフェニル)アミノ基、N−(3−ニトロフェニル)アミノ基、N−(3−シアノフェニル)アミノ基、N−(4−メトキシフェニル)アミノ基、N−(4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)アミノ基、N−(4−シアノフェニル)アミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
【0026】
前記エチレン性二重結合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単官能であってもよく、多官能であってもよい。該多官能とは、重合性モノマーの分子内に重合性エチレン性ニ重結合を少なくとも2個有するもの意味する。
【0027】
水素結合形成可能な官能基を有し、且つ、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーは、上記のような水素結合可能な官能基と、エチレン性二重結合を有すれば、分子内の他の部分は特に制限を受けないが、例えば、下記一般式(1)に示す構造を有するものが好ましい。

(P−X)−G−(A) 一般式(1)

前記一般式(1)において、Pは、CH2=CH−、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−COO−L−、CH2=C(CH3)−COO−L−、CH2=CH−CONHR−L−、及びCH2=C(CH3)−CONHR−L−のいずれかを表す。Lは、アルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基のいずれかを表す。Rは水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。Xは、単結合、−O−、−COO−、−O−CO−、−CONH−、及び−NHCO−のいずれかを表す。Aは、水素結合を形成する官能基を表す。m及びnは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、1〜3の整数を表す。Gは、m+n価の炭素原子数1〜50の有機基を表す。
【0028】
前記Pは、CH2=CH−、CH2=CH−COO−L−、CH2=C(CH3)−COO−L−、CH2=CH−CONHR−L−が好ましく、これらの中でも、CH2=CH−、CH2=CH−COO−L−、CH2=CH−CONHR−L−がより好ましい。
【0029】
前記Rがアルキル基である場合は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基がより好ましい。これらは置換基で置換されていてもよい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基等が挙げられる。
前記Rがアリール基である場合は、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアルキル基がより好ましい。これらは置換基で置換されていてもよい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等が挙げられれる。
前記Rは、水素原子、及びアルキル基が好ましい。
【0030】
前記Lがアルキレン基である場合は、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基がより好ましい。これらは置換基で置換されていてもよい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基、アルケニル基等が挙げられる。
前記アルキレン基の中の1つの炭素原子又は隣接しない2以上の炭素原子は、酸素原子又は硫黄原子に置き換えられてもよい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、ブチレン基、1−メチル−エチレン基、−(CH22O(CH22−等が挙げられる。
前記Lがアリーレン基である場合は、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、炭素数6〜12のアリーレン基がより好ましい。これらは置換基で置換されていてもよい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等が挙げられる。
前記アリーレン基としては、例えば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、2−ブロモ−1,4−フェニレン基、2,6−ジブロモ−1,4−フェニレン基、4−ブトキシ−1,2−フェニレン基、3−メチルチオ−1,5−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジ−イル基等が挙げられる。
前記Lがアラルキレン基である場合は、炭素数8〜20のアラルキレン基が好ましく、炭素数8〜15のアラルキレン基がより好ましい。これらは置換基で置換されていてもよい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基等が挙げられる。
前記アラルキレン基としては、例えば、下記式(1)で表されるアラルキレン基であることが好ましい。
【化1】


式(1)
【0031】
前記Lは、アルキレン基、及びアリーレン基のいずれかが好ましく、アルキレン基がより好ましい。
【0032】
前記Xは、単結合、−O−、−COO−、−CONH−が好ましく、単結合、−O−がより好ましい。
【0033】
前記Aは、水酸基、スルホンアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基が好ましく、水酸基、スルホンアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、カルバモイル基がより好ましい。これらの置換基の説明は前述の水素結合形成可能な官能基の説明と同様の内容である。
【0034】
前記mの値は、1であることが好ましい。前記mの値が2以上である場合は、P−L−Xは、それぞれ異なる基を表してもよい。
前記nの値は、1であることが好ましい。前記nの値が2以上である場合は、Aは、それぞれ異なる基を表してもよい。
前記m+nの値は、4以下であることが好ましく、2であることがより好ましい。
【0035】
前記Gの炭素原子数1〜50の有機基としては、例えば、2価の有機基、3価の有機基、4価の有機基が挙げられる。これらの中で、炭素原子数1〜30の2価の有機基、3価の有機基、4価の有機基が好ましい。
前記2価の有機基としては、アルキレン基、アリーレン基が好ましく、アリーレン基がより好ましい。
前記3価の有機基としては、アルカントリイル基、アレーントリイル基が好ましく、アレーントリイル基がより好ましい。
前記4価の有機基としては、アルカンテトライル基、アレーンテトライル基が好ましく、アレーンテトライル基がより好ましい。
前記アルキレン基は、直鎖又は分岐のアルキレン基であり、置換基で置換されていてもよい。前記置換基としてはハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、これらの中でも、ハロゲン原子、アリール基がより好ましい。
前記アルキレン基は、炭素数が1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
前記アルキレン基のアルキレン鎖中において、2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有してもよい。前記2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−が好ましく、−O−がより好ましい。
前記アルキル基のアルキレン鎖中、及びアルキレン鎖の片末端のいずれかに、アリーレン基、及びアルケニレン基のいずれかを有していてもよく、これらの中でもアリーレン基を有することが好ましい。
前記アルキレン基としては、例えば、下記式(2)のアルキレン基が挙げられる。
【化2】


式(2)

【0036】
前記アリーレン基は、炭素数が6〜30であることが好ましく、炭素数が6〜20であることがより好ましい。これらは置換基で置換されていてもよい。前記置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、これらの中でも、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基がより好ましい。
前記アリーレン基のアリーレン鎖中において、2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有してもよい。前記2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−が好ましく、−O−がより好ましい。
前記アリーレン基としては、例えば、下記式(3)のアリーレン基が挙げられる。
【化3】


式(3)

【0037】
前記アルカントリイル基は、直鎖又は分岐のアルカントリイル基であり、置換基で置換されていてもよい。前記置換基としてはハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、これらの中でも、ハロゲン原子、アリール基がより好ましい。
前記アルカントリイル基は、炭素数が1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。
前記アルカントリイル基のアルカントリイル鎖中において、2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有してもよい。前記2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−が好ましく、−O−がより好ましい。
前記アルカントリイル基のアルカントリイル鎖中及びアルカントリイル鎖の片末端のいずれかに、アリーレン基及びアルケニレン基のいずれかを有していてもよく、これらの中でも、アリーレン基を有することが好ましい。
前記アルカントリイル基としては、例えば、下記式(4)で表されるアルカントリイル基が挙げられる。
【化4】


式(4)

【0038】
前記アレーントリイル基は、置換基で置換されていてもよい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、これらの中でもハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基がより好ましい。
前記アレーントリイル基は、炭素数が6〜30が好ましく、6〜20がより好ましい。
前記アレーントリイル基のアレーントリイル鎖中において、2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有してもよい。前記2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−が好ましく、−O−がより好ましい。
前記アレーントリイル基としては、例えば、下記式(5)で表されるアレーントリイル基が挙げられる。
【化5】


式(5)

【0039】
前記アルカンテトライル基は、直鎖又は分岐のアルカンテトライル基であり、置換基で置換されていてもよい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、これらの中でも、ハロゲン原子、アリール基がより好ましい。
前記アルカンテトライル基は、炭素数が1〜20が好ましい。
前記アルカンテトライル基のアルカンテトライル鎖中において、2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有してもよい。前記2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−が好ましく、−O−がより好ましい。
前記アルカンテトライル基のアルカンテトライル鎖中及びアルカンテトライル鎖の片末端のいずれかに、アリーレン基及びアルケニレン基のいずれかを有していてもよく、これらの中でも、アリーレン基を有すること好ましい。
前記アルカンテトライル基としては、例えば、下記式(6)で表されるアルカンテトライル基が挙げられる。
【化6】


式(6)

【0040】
前記アレーンテトライル基は、置換基で置換されていてもよい。前記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好ましく、これらの中でも、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基がより好ましい。
前記アレーンテトライル基は、炭素数が6〜30であることが好ましく、6〜20であることがより好ましい。
前記アレーンテトライル基のアレーンテトライル鎖中において、2価の官能基を互いに隣り合わないようにして有してもよい。前記2価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−が好ましく、−O−がより好ましい。
前記アレーンテトライル基としては、例えば、下記式(7)で表されるアレーンテトライル基が挙げられる。
【化7】


式(7)

【0041】
前記水素結合形成可能な官能基を有し、且つ、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーとしては、例えば、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸エステルビニルフェネチルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−アクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−アクリロイルオキシヘキシル)エステル、β−アクリロキシエトキシフェノール、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホニルアミド、アクリルアミドプロパンスルホニルアミド等が挙げられる。また、以下の式(8)〜(10)(No.1−1〜1−22、No.2−1〜2−6、No.3−1〜3−4)に示すものも挙げられる。
【化8】


式(8)
【化9】




式(9)
【化10】


式(10)
【0042】
前記水素結合形成可能な官能基、及びエチレン性二重結合を有する重合性モノマーの光記録用組成物中における含有量は、全記録用組成物の固形分中、3〜45質量%が好ましく、4〜25質量%がより好ましい。該重合性モノマーの含有量が3質量%未満であると、十分な感度が得られないことがあり、45質量%を超えると、マトリックスのTgが低下しすぎて十分な記録像が得られないことがある。
【0043】
〈イソシアネート基を末端に有するプレポリマー、及びポリオールの混合により形成されるマトリックスポリマー〉
−イソシアネート基を末端に有するプレポリマー−
イソシアネート基を末端に有するプレポリマーは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートである。
前記イソシアネート基を末端に有するプレポリマーとしては、例えば、プレポリマーの分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。
前記2個のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン及び1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
また、前記イソシアネート基を末端に有するプレポリマーとしては、前記2個のイソシアネート基を有する化合物と、エチレングリコール類、ビスフェノール類等の2官能アルコール、及びフェノール類のいずれかとの付加反応物が挙げられる。
また、前記イソシアネート基を末端に有するプレポリマーとしては、例えば、3以上の多官能のイソシアネート基を有する化合物を挙げられる。
また、前記イソシアネート基を末端に有するプレポリマーとしては、前記2個のイソシアネート基を有する化合物以外に、多官能のイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。
前記多官能のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、前記2個のイソシアネート基を有する化合物を主原料とした3量体(ビューレット又はイソシアヌレート)、トリメチロールプロパン等のポリオールと、前記2官能イソシアネート化合物との付加体、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の重合性基を有するイソシアネート化合物の重合体、リジントリイソシアネート等が挙げられる。具体的には、キシレンジイソシアネート及びその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びその水添物をそれぞれを主原料とした3量体化合物(ビューレット又はイソシヌレート)、又はトリメチロールプロパンと前記2官能イソシアネート化合物との付加体であり多官能である化合物が好ましい。これらの化合物については、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社発行(1987))に記載されている。
【0044】
−ポリオール−
ポリオールは、アルキレン鎖、アリーレン鎖、ポリエーテル鎖、ポリエステル鎖、ポリシロキサン鎖の少なくとも1種を有する二官能以上の水酸基を有する化合物である。
前記ポリオールとしては、分子量が60〜10,000である、ジオール、トリオール、テトラオールが好ましく、分子量が100〜5,000である、ジオール、トリオールがより好ましい。
前記アルキレン鎖としては、例えば、エチレン、ヘキサメチレン、デカメチレン、などが挙げられる。
前記ポリエーテル鎖としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリスチレンオキシド、ポリシクロヘキシレンオキシド、ポリ(エチレンチオグリコール)、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
前記ポリエステル鎖としては、例えば、末端に水酸基を有するポリエステルが挙げられる。前記末端に水酸基を有するポリエステルとしては、例えば、下記一般式(3)、又は(4)で表される化合物が挙げられる。

H−(O−R6−OCO−R7−CO)n−R6−OH 一般式(3)

前記一般式(3)において、R6は、ジオール残基を表す。R7は、ジカルボン酸残基を表す。nは、正の整数を表す。

HO−(R8−CO−O)m−R9−(O−CO−R8)l−OH 一般式(4)

前記一般式(4)において、R8は、環状エステル残基、ヒドロキシカルボン酸残基、及びヒドロキシエステル残基のいずれかを表す。R9は、ジオール残基を表す。m及びlの値は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、正の整数を表す。
前記ポリシロキサンとしては、例えば、末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサン誘導体等が挙げられる。
前記ポリオールとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシドのジオール、トリオール、テトラオール、前記一般式(3)においてR6がアルキレン、R7がアルキレンであるポリエステル、前述の一般式(4)においてR8がアルキレン(例えばポリカプロラクトン)であるポリエステル等が好ましい。
前記ポリオールは、水分を含まないことが好ましい。高温の真空蒸留処理又は水分除去剤等の添加物を用いて、使用前にポリオール中に水分が残存しないようにすることもできる。
【0045】
マトリックスポリマーは、前記イソシアネート末端のプレポリマーと、前記ポリオールとを含む材料の重合反応により形成される。
前記重合反応に触媒を用いる場合は、触媒として、例えば、スズ触媒、含窒素ヘテロ環、アミン等が挙げられる。
前記スズ触媒としては、例えば、ジメチルジラウレートスズ、ジブチルジラクテートスズ、オクタン酸第一スズ等が挙げられる。
前記含窒素ヘテロ環としては、例えば、イミダゾール、ピリジン、ピラゾール等が挙げられる。
前記アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、N-メチルモルフォリン等が挙げられる。
【0046】
前記マトリックスポリマーは、前記イソシアネート末端のプレポリマーと、前記ポリオールとを含む材料の重合反応により形成されるポリマー以外に、目的に応じて適当な化合物を適宜選択し、混合して用いることができ、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸などの不飽和酸と、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、α−メチルスチレンなどとの共重合体;ポリメチルメタクリルレートに代表されるメタクリル酸アルキルやアクリル酸アルキルの重合体;(メタ)アクリル酸アルキルとアクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレンなどとの共重合体;アクリロニトリルと塩化ビニルや塩化ビニリデンとの共重合体:側鎖にカルボキシル基を有するセルロース変化物;ポリエチレンオキシド;ポリビニルピロリドン;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール及びキシレノールから選択されるいずれか1種と、アルデヒド及びアセトンなどのいずれかとの縮合反応で得られるノボラック樹脂;エピクロロヒドロリンとビスフェノールAとのポリエーテル;可溶性ナイロン;ポリ塩化ビニリデン;塩素化ポリオレフィン;塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体;酢酸ビニルの重合体;アクリロニトリルとスチレンとの共重合体;アクリロニトリルとブタジエン及びスチレンとの共重合体;ポリビニルアルキルエーテル;ポリビニルアルキルケトン;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレートイソフタレート;アセチルセルロース;アセチルプロピオキシセルロース;アセチルブトキシセルロース;ニトロセルロース;セルロイド;ポリビニルブチラール;エポキシ樹脂;メラミン樹脂;フォルマリン樹脂;有機シロキサンポリマー等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記マトリックスポリマーの光記録用組成物中における含有量は、全記録用組成物の固形分中、50〜97質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。
【0048】
−分析−
前記水素結合形成可能な官能基を有し、且つ、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーと、前記ポリマーマトリックスの分析方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種ガスクロマトグラフィー(GC)による質量分析、液体クロマトグラフィーによる質量分析、ゲルパーミッションクロマトグラフィーによる質量分析、フーリェ変換赤外線分光分析、顕微ラマン分光分析、有機微量元素分析(C、H、N)、顕微赤外分光分析、核磁気共鳴スペクトル、ガスクロマトグラフィー、紫外可視分光スペクトルなどが挙げられる。これらの中でも、水素結合形成可能な官能基を有し、且つ、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーの分析は、核磁気共鳴スペクトル、ガスクロマトグラフィーで行うのが好ましく、ポリマーマトリックスの分析は、フーリェ変換赤外線分光分析で行うのが好ましい。
【0049】
<重合性モノマー>
前記重合性モノマーとしては、前記水素結合を形成可能な官能基、及びエチレン性ニ重結合を有する重合性ポリマー以外に、目的に応じて適当な水素結合を形成可能な官能基を有さない重合性ポリマーを適宜選択することができ、例えば、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジアクリレート、1,9−ノナンジオールアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート,EO変性グリセロールトリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ナフト−1−オキシエチルアクリレート、(トリメチルシリルオキシ)ジメチルシリルプロピルアクリレート、ビニル−1−ナフトエート、N−ビニルカルバゾール、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、スチレン等が挙げられる。これらのモノマーは、単官能であっても多官能であってもよい。また、光架橋反応を利用したものであってもよい。
前記水素結合を形成可能な官能基を有さない重合性モノマーを用いる場合の記録用組成物中における含有量は、全重合性モノマーの固形分中、3〜40質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
【0050】
<光重合開始剤>
前記光重合開始剤としては、記録光に対して感度を有し、光照射によりラジカル重合反応を引き起こすものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、ベンゾイン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−2−オン、ベンゾフェノン、チオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルアシルホスフィンオキシド、トリフェニルブチルボレートテトラチルアンモニウム、ビス(η−5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)〕フェニルチタニウム、特開2005−49608号公報記載の光吸収部と遊離基を発生する活性部を分子内に有する化合物などが挙げられる。これらの中でも、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、トリフェニルブチルボレートテトラチルアンモニウム、ビス(η−5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)〕フェニルチタニウムが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、照射する光の波長に合わせて増感剤として増感色素を併用してもよい。前記光重合開始剤の記録用組成物中における含有量は、全記録用組成物の固形分中、0.3〜4質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
【0051】
前記増感色素としては、「Research Disclosure,Vol.200,1980年12月、Item 20036」や「増感剤」(p.160〜p.163、講談社;徳丸克己、大河原信/編、1987年)等に記載された公知の化合物を使用することができる。
上記分光増感色素として、具体的には、特開昭58−15603号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号公報に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号公報、同60−53300号公報に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号公報、同62−3842号公報、特開昭59−89303号公報、同60−60104号公報に記載のメロシアニン化合物が挙げられる。
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載された色素も挙げることができ、具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素が挙げられる。
更に、クマリン(ケトクマリンまたはスルホノクマリンも含まれる。)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等のケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素等の非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等の非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等のキノンイミン色素等も分光増感色素に含まれる。上記分光増感色素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記増感色素の記録用組成物中における含有量は、全記録用組成物の固形分中、0.3〜4質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
【0052】
増感色素としては、「Research Disclosure,Vol.200,1980年12月、Item 20036」や「増感剤」(p.160〜p.163、講談社;徳丸克己・大河原信/編、1987年)等に記載された公知の化合物を使用することができる。
上記分光増感色素として、具体的には、特開昭58−15603号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号公報に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号公報、同60−53300号公報に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号公報、同62−3842号公報、特開昭59−89303号公報、同60−60104号公報に記載のメロシアニン化合物が挙げられる。
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載された色素も挙げることができ、具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素が挙げられる。
さらに、クマリン(ケトクマリンまたはスルホノクマリンも含まれる。)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等のケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素等の非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等の非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等のキノンイミン色素等も分光増感色素に含まれる。上記分光増感色素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの増感剤もバインダーの一部に結合していてもよい。
前記増感色素の記録用組成物中における含有量は、全記録用組成物の固形分中、0.3〜4質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
【0053】
<その他の化合物>
前記その他の化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、貯蔵安定性を改良するため、フォトポリマーの重合禁止剤及び酸化防止剤などを添加してもよい。
前記重合禁止剤及び酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジターシヤリ−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシヤリ−ブチルフェノール)、トリフェルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、フェノチアジン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。これらの中でも、2,6−ジターシヤリ−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシヤリ−ブチルフェノール)が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記重合禁止剤及び酸化防止剤の使用量としては、組成物に使用するモノマーの全量に対して3質量%以内が好ましい。前記使用量が、3質量%を超えると重合反応が遅くなることがあり、著しい場合には重合しなくなることがある。
また前記光記録用組成物の感度を向上させる目的で光熱変換材料を含有させることも出来る。光熱変換材料としては、特願2005−84780号明細書の記載を参考にすることが出来る。
更に、重合時の体積変化を緩和するため、重合成分とは逆方向へ拡散する成分を添加してもよく、あるいは、酸開裂構造を有する化合物を重合体のほかに別途添加してもよい。
【0054】
(光記録媒体、光記録方法及び光記録装置)
本発明の光記録媒体は、支持体上に、ホログラフィを利用して情報を記録する本発明の記録層及び必要に応じて適宜選択したその他の層を有する光記録媒体である。
本発明の光記録媒体は、2次元などの情報を記録する比較的薄型の平面ホログラムや立体像など多量の情報を記録する体積ホログラムであってもよく、透過型及び反射型のいずれであってもよい。また、ホログラムの記録方式もいずれであってもよく、例えば、振幅ホログラム、位相ホログラム、ブレーズドホログラム、複素振幅ホログラムなどでもよい。
本発明の光記録方法及び光記録装置は、本発明の光記録媒体を記録及び再生する方法、装置である。
本発明の光記録方法及び光記録装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、米国特許第5,719,691号明細書、同第5,838,467号明細書、同第6,163,391号明細書、同第6,414,296号明細書、米国特許出願公開第2002−136143号明細書、特開2000−98862号公報、同2000−298837号公報、同2001−23169号公報、同2002−83431号公報、同2002−123949号公報、同2002−123948号公報、同2003−43904号公報、同2004−171611号公報、国際公開第99/57719号パンフレット、同第02/05270号パンフレット、第02/75727号パンフレットなどに記載された光記録方法、光記録装置などが挙げられる。
【0055】
本発明の光記録媒体は、少なくとも一の支持体上に記録層を積層し、情報光と参照光とが異なる方向から照射される一般的なホログラムの記録に用いられる第一の形態と、情報光及び参照光の照射が、該情報光の光軸と該参照光の光軸とが同軸になるようにして行われるコリニア方式に用いられ、第一の基板と、第二の基板と、該第二の基板上に記録層と、前記第二の基板と該記録層との間にフィルタ層とを有する第二の形態などが挙げられる。以下第一の形態及び第二の形態について順に説明する。
【0056】
≪第一の形態≫
前記第一の形態は、一般のホログラム記録方法に用いられるもので、層構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体上に記録層を単層又は2以上の層を積層した構成であり、図1に示すように、支持体42及び43により記録層41を挟み込み、支持体42及び43の最外層にそれぞれ反射防止層44及び45を形成した層構成などが挙げられる。
更に、記録層41及び支持体42との間、記録層41と支持体43との間にガスバリア層などを形成してもよい。また、反射防止層44及び45の表面に保護層などを設けてもよい。
【0057】
−情報光及び参照光−
前記情報光及び前記参照光の光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光源から出射される可干渉性のあるレーザ光などが好ましい。
前記レーザ光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、波長が、360〜850nmから選択される1種以上の波長からなるレーザ光などが挙げられる。該波長は、380〜800nmが好ましく、400〜750nmがより好ましく、可視領域の中心が最も見え易い500〜600nmが最も好ましい。
前記波長が、360nm未満であると、鮮明な立体画像が得られないことがあり、850nmを超えると、前記干渉縞が微細となり、それに対応する感光材料が得られないことがある。
【0058】
前記レーザ光の光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固体レーザ光発振器、青色領域の半導体レーザ光発振器、液体レーザ光発振器、アルゴンなどの気体レーザ光発振器、He−Cdレーザ発振器、周波数2倍YAGレーザ発振器、He−Neレーザ発振器、Krレーザ発振器などが挙げられる。これらの中でも、気体レーザ光発振器、青色領域の半導体レーザ光発振器などが好ましい。
【0059】
前記情報光及び前記参照光の照射方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、同一の光源から出射される一のレーザ光などを分割して、該情報光及び該参照光として照射してもよく、異なる光源から出射される二つのレーザ光などを照射してもよい。
前記情報光と前記参照光の照射方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記情報光と前記参照光が異なった方向から照射されてもよく、同一方向で照射されもよい。また、前記情報光の光軸と前記参照光の光軸と同軸となるようにして照射されるものでもよい。
【0060】
−定着光−
前記定着光の照射領域としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記記録層の任意の箇所における前記情報光及び前記参照光による記録対象部分と同じ領域か、該記録対象部分の外延よりも広くかつ該外延から少なくとも1μm外側まで延設された領域であることが好ましい。前記記録対象部分の外延から1μmを超えた領域まで定着光を照射すると、隣接する記録領域にも照射され、過剰な照射エネルギーとなり非効率的である。
【0061】
前記定着光の照射時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記記録層の任意の箇所において、1ns〜100msが好ましく、1ns〜80msがより好ましい。前記照射時間が、1ns未満であると、定着が不十分なことがあり、100msを超えると過剰なエネルギーの照射となる。
前記定着光の照射方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記記録層の任意の箇所における前記情報光及び前記参照光と同じ方向でもよく、異なった方向でもよい。また、照射角度としては、記録層の層面に対して0〜60°が好ましく、0〜40°がより好ましい。前記照射角度が、上記以外の角度であると、定着が非効率となることがある。
前記定着光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記記録層の任意の箇所において、350〜850nmであることが好ましく、400〜600nmであることがより好ましい。
前記波長が、350nm未満であると、材料が分解してしまうことがあり、850nmを超えると、温度が上がり材料が劣化することがある。
【0062】
前記定着光の光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インコヒーレントな光を照射することが好ましく、蛍光灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、発光ダイオード、コヒーレント光に位相をランダムに変える操作(例えば、すりガラスを光路に入れる。)をした光などが挙げられる。これらの中でも、発光ダイオード、コヒーレント光に位相をランダムに変える操作(例えば、すりガラスを光路に入れる。)をした光などが好ましい。
前記定着光の照射量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記記録層の任意の箇所において、0.001〜1J/cmであることが好ましく、0.01〜300mJ/cmであることがより好ましい。
【0063】
前記定着光の照射方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記記録層の任意の箇所における前記情報光及び前記参照光と同一の光源から出射される光を照射してもよく、異なる光源から出射される光などを照射してもよい。
【0064】
<記録層>
前記記録層は、本発明の記録用組成物が含まれる。
【0065】
前記記録層は、前記マトリックス前駆体と光反応性モノマーとを混合する工程と、系内で混合物を硬化させてマトリックスを形成する工程とを少なくとも含み、さらに必要に応じてその他の工程を含む製造方法により製造される。
前記記録層の形成方法は、材料に応じて公知の方法に従って形成することができ、例えば、蒸着法、湿式成膜法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などにより好適に形成することができる。また、米国特許6,743,552号に記載されている2成分ウレタンマトリックス形成方法でもよい。
【0066】
前記湿式成膜法による前記記録層の形成は、例えば、前記記録層材料を溶剤に溶解乃至分散させた溶液(塗布液)を用いる(塗布し乾燥する)ことにより、好適に行うことができる。該湿式成膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、インクジェット法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法などが挙げられる。
【0067】
前記記録層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜1,500μmが好ましく、100〜700μmがより好ましい。
前記記録層の厚みが、前記好ましい数値範囲であると、10〜300多重のシフト多重記録を行っても十分なS/N比を得ることができ、前記より好ましい数値範囲であるとそれが顕著である点で有利である。
【0068】
<支持体>
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ディスク形状、カード形状平板状、シート状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記光記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
【0069】
前記支持体の材料としては、特に制限はなく、無機材料及び有機材料のいずれをも好適に用いることができるが、光記録媒体の機械的強度を確保できるものであり、記録及び再生に用いる光が基板を通して入射する透過型の場合は、用いる光の波長領域で十分に透明であることが必要である。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点から、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
【0070】
前記支持体としては、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜5mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。前記基板の厚みが、0.1mm未満であると、ディスク保存時の形状の歪みを抑えられなくなることがあり、5mmを超えると、ディスク全体の重量が大きくなってドライブモーターなどにより回転して用いる場合には、過剰な負荷をかけることがある。
【0071】
≪第二の形態≫
前記第二の形態は、情報光及び参照光の照射が、該情報光の光軸と該参照光の光軸とが同軸となるようにして行われるコリニア方式に用いられる光記録媒体の形態で、第一の基板と、第二の基板と、該第二の基板上に本発明の記録層と、前記第二の基板と該記録層との間にフィルタ層とを有する光記録媒体などが挙げられる。
【0072】
−第二の形態における光記録方法及び再生方法−
前記第二の形態における光記録方法は、前記光記録媒体に情報光及び参照光を同軸光束として照射し、該情報光と参照光との干渉による干渉パターンによって情報を記録層に記録するいわゆるコリニア方式による光記録方法である。
【0073】
前記再生方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光記録方法により記録層に形成された前記干渉像に参照光と同じ光を照射して該干渉像に対応した記録情報を再生することができる。
【0074】
前記第二の形態の光記録方法及び再生方法では、二次元的な強度分布が与えられた情報光と、該情報光と強度がほぼ一定な参照光とを感光性の記録層内部で重ね合わせ、それらが形成する干渉パターンを利用して記録層内部に光学特性の分布を生じさせることにより、情報を記録する。一方、書き込んだ情報を読み出す(再生する)際には、記録時と同様の配置で参照光のみを記録層に照射し、記録層内部に形成された光学特性分布に対応した強度分布を有する再生光として記録層から出射される。
ここで、前記第二の形態の光記録方法及び再生方法は、以下に説明する光記録再生装置を用いて行われる。
【0075】
前記光記録方法及び再生方法に使用される光記録再生装置について図6を参照して説明する。
図6は、前記第二の形態に係る光記録再生装置の全体構成図である。なお、光記録再生装置は、光記録装置と再生装置を含んでなる。
この光記録再生装置100は、光記録媒体22が取り付けられるスピンドル81と、このスピンドル81を回転させるスピンドルモータ82と、光記録媒体22の回転数を所定の値に保つようにスピンドルモータ82を制御するスピンドルサーボ回路83とを備えている。
また、光記録再生装置100は、光記録媒体22に対して情報光と記録用参照光とを照射して情報を記録すると共に、光記録媒体22に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、光記録媒体22に記録されている情報を再生するためのピックアップ31と、このピックアップ31を光記録媒体22の半径方向に移動可能とする駆動装置84とを備えている。
【0076】
光記録再生装置100は、ピックアップ31の出力信号よりフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、及び再生信号RFを検出するための検出回路85と、この検出回路85によって検出されるフォーカスエラー信号FEに基づいて、ピックアップ31内のアクチュエータを駆動して対物レンズ(不図示)を光記録媒体20の厚み方向に移動させてフォーカスサーボを行うフォーカスサーボ回路86と、検出回路85によって検出されるトラッキングエラー信号TEに基づいてピックアップ31内のアクチュエータを駆動して対物レンズを光記録媒体22の半径方向に移動させてトラッキングサーボを行うトラッキングサーボ回路87と、トラッキングエラー信号TE及び後述するコントローラからの指令に基づいて駆動装置84を制御してピックアップ31を光記録媒体22の半径方向に移動させてスライドサーボを行うスライドサーボ回路88とを備えている。
【0077】
光記録再生装置100は、更に、ピックアップ31内の後述するCMOS又はCCDアレイの出力データをデコードして、光記録媒体22のデータエリアに記録されたデータを再生したり、検出回路85からの再生信号RFより基本クロックを再生したりアドレスを判別したりする信号処理回路89と、光記録再生装置100の全体を制御するコントローラ90と、このコントローラ90に対して種々の指示を与える操作部91とを備えている。
コントローラ90は、信号処理回路89より出力される基本クロックやアドレス情報を入力すると共に、ピックアップ31、スピンドルサーボ回路83、及びスライドサーボ回路88等を制御するようになっている。スピンドルサーボ回路83は、信号処理回路89より出力される基本クロックを入力するようになっている。コントローラ90は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード オンリ メモリ)、及びRAM(ランダム アクセス メモリ)を有し、CPUが、RAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、コントローラ90の機能を実現するようになっている。
【0078】
前記第二の形態の光記録方法及び再生方法に使用される光記録再生装置は、本発明の前記光記録媒体を用い、情報光及び参照光による干渉縞の記録後、前記記録層の任意の箇所において、定着露光がなされ、必要に応じて適宜選択したその他の手段かつ十分な定着がなされ、かつ未記録部分の感度に影響を与えず、高密度の回折効率の高い光記録媒体が得られる。
【0079】
<記録層>
前記記録層は、本発明の記録用組成物が含まれる。
【0080】
<フィルタ層>
前記フィルタ層は、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることなく、情報光及び参照光による光記録媒体の反射膜からの乱反射を防止し、ノイズの発生を防止する機能がある。前記光記録媒体に前記フィルタ層を積層することにより、高解像度、回折効率の優れた光記録が得られる。
前記フィルタ層の機能は、第一の波長の光を透過し、該第一の波長の光と異なる第二の波長の光を反射することが好ましく、前記第一の波長の光が350〜600nmであり、かつ第二の波長の光が600〜900nmであることが好ましい。そのためには、光学系側から見て、記録層、フィルタ層、及びサーボビットパターンの順に積層されている構造の光記録媒体であることが好ましい。
また、前記フィルタ層は、入射角度±40°における、655nmでの光透過率が50%以上であり、80%以上が好ましく、かつ532nmでの光反射率が30%以上であり、40%以上が好ましい。
前記フィルタ層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、誘電体蒸着層、単層又は2層以上のコレステリック液晶層、更に必要に応じてその他の層の積層体により形成される。また色材含有層を有していても良い。色材含有層については特願2004−352084号明細書を参考にできる。
前記フィルタ層は、直接記録層など共に、前記支持体上に塗布などにより積層してもよく、フィルムなどの基材上に積層して光記録媒体用フィルタを作製し、該光記録媒体用フィルタを、支持体上に積層してもよい。
【0081】
−誘電体蒸着層−
前記誘電体蒸着層は、互いに屈折率の異なる誘電体薄膜を複数層積層してなり、波長選択反射膜とするためには、高屈折率の誘電体薄膜と低屈折率の誘電体薄膜とを交互に複数層積層することが好ましいが、2種以上に限定されず、それ以上の種類であってもよい。また色材含有層を設ける場合は、誘電体蒸着層の下に形成する。
前記積層数は、2〜20層が好ましく、2〜12層がより好ましく、4〜10層が更に好ましく、6〜8層が特に好ましい。前記積層数が、20層を超えると、多層蒸着により生産効率性が低下し、本発明の目的及び効果を達成できなくなることがある。
【0082】
前記誘電体薄膜の積層順については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、隣接する膜の屈折率が高い場合にはそれより低い屈折率の膜を最初に積層する。その逆に隣接する層の屈折率が低い場合にはそれより高い屈折率の膜を最初に積層する。前記屈折率が高いか低いかを決めるしきい値としては1.8が好ましい。なお、屈折率が高いか低いかは絶対的なものではなく、高屈折率の材料の中でも、相対的に屈折率の大きいものと小さいものとが存在してもよく、これらを交互に使用してもよい。
【0083】
前記高屈折率の誘電体薄膜の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Sb、Sb、Bi、CeO、CeF、HfO、La、Nd、Pr11、Sc、SiO、Ta、TiO、TlCl、Y、ZnSe、ZnS、ZrOなどが挙げられる。これらの中でも、Bi、CeO、CeF、HfO、SiO、Ta、TiO、Y、ZnSe、ZnS、ZrOが好ましく、これらの中でも、SiO、Ta、TiO、Y、ZnSe、ZnS、ZrOがより好ましい。
【0084】
前記低屈折率の誘電体薄膜の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Al、BiF、CaF、LaF、PbCl、PbF、LiF、MgF、MgO、NdF、SiO、Si、NaF、ThO、ThFなどが挙げられる。これらの中でも、Al、BiF、CaF、MgF、MgO、SiO、Siが好ましく、これらの中でも、Al、CaF、MgF、MgO、SiO、Siがより好ましい。
なお、前記誘電体薄膜の材料においては、原子比についても特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、成膜時に雰囲気ガス濃度を変えることにより、原子比を調整することができる。
【0085】
前記誘電体薄膜の成膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオンプレーティング、イオンビーム等の真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)などが挙げられる。これらの中でも、真空蒸着法、スパッタリングが好ましく、スパッタリングがより好ましい。
前記スパッタリングとしては、成膜レートの高いDCスパッタリング法が好ましい。なお、DCスパッタリング法においては、導電性が高い材料を用いることが好ましい。
また、前記スパッタリングにより多層成膜する方法としては、例えば、(1)1つのチャンバで複数のターゲットから交互又は順番に成膜する1チャンバ法、(2)複数のチャンバで連続的に成膜するマルチチャンバ法とがある。これらの中でも、生産性及び材料コンタミネーションを防ぐ観点から、マルチチャンバ法が特に好ましい。
前記誘電体薄膜の膜厚としては、光学波長オーダーで、λ/16〜λの膜厚が好ましく、λ/8〜3λ/4がより好ましく、λ/6〜3λ/8がより好ましい。
【0086】
−コレステリック液晶層−
前記コレステリック液晶層は、少なくとも、コレステロール誘導体、又はネマチック液晶化合物及びカイラル化合物を含有してなり、重合性モノマー、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記コレステリック液晶層は、単層コレステリック液晶層及び2層以上の複数層コレステリック液晶層のいずれであってもよい。
【0087】
前記コレステリック液晶層としては、円偏光分離機能を有するものが好ましい。前記円偏光分離機能を有するコレステリック液晶層は、液晶の螺旋の回転方向(右回り又は左回り)と円偏光方向とが一致し、波長が液晶の螺旋ピッチであるような円偏光成分の光だけを反射する選択反射特性を有する。このコレステリック液晶層の選択反射特性を利用して、一定の波長帯域の自然光から特定波長の円偏光のみを透過分離し、その残りを反射する。
【0088】
前記光記録媒体用フィルタは、垂直入射を0°とし±20°の範囲であるλ〜λ/cos20°(ただし、λは照射光波長を表す)における光反射率が40%以上であることが好ましく、垂直入射を0°とし±40°の範囲であるλ〜λ/cos40°(ただし、λは照射光波長を表す)における光反射率が40%以上であることが特に好ましい。前記λ〜λ/cos20°、特にλ〜λ/cos40°(ただし、λは照射光波長を表す)における光反射率が40%以上であれば、照射光反射の角度依存性を解消でき、通常の光記録媒体に用いられているレンズ光学系を採用することができる。このためにはコレステリック液晶層の選択反射波長幅が大きいことが好ましい。
具体的には、単層コレステリック液晶層の場合には、コレステリック液晶層の選択反射波長領域幅Δλは、下記数式1で表されることから、(ne−no)の大きな液晶を用いることが好ましい。
<数式1>
Δλ=2λ(ne−no)/(ne+no)
ただし、前記数式1中、noは、コレステリック液晶層に含有されるネマチック液晶分子の正常光に対する屈折率を表す。neは、該ネマチック液晶分子の異常光に対する屈折率を表す。λは、選択反射の中心波長を表す。
また、特願2004−352081号明細書記載のように、カイラル化合物として感光性を有し、光によって液晶の螺旋ピッチを大きく変化させることができる光反応型カイラル化合物を用い、該光反応型カイラル化合物の含有量やUV照射時間を調整することにより、螺旋ピッチを液晶層の厚み方向に連続的に変化した光記録媒体用フィルタを用いることが好ましい。
【0089】
また、(2)複数層コレステリック液晶層の場合には、選択反射中心波長が互いに異なり、前記各コレステリック液晶層の螺旋の回転方向が互いに同じであるコレステリック液晶層を積層することが好ましい。
前記コレステリック液晶層は、上記特性を満たせば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上述したように、ネマチック液晶化合物、及びカイラル化合物を含有してなり、重合性モノマー、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0090】
−ネマチック液晶化合物−
前記ネマチック液晶化合物は、液晶転移温度以下ではその液晶相が固定化することを特徴とし、その屈折率異方性Δnが、0.10〜0.40の液晶化合物、高分子液晶化合物、及び重合性液晶化合物の中から目的に応じて適宜選択することができる。溶融時の液晶状態にある間に、例えば、ラビング処理等の配向処理を施した配向基板を用いる等により配向させ、そのまま冷却等して固定化させることにより固相として使用することができる。
【0091】
前記ネマチック液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、十分な硬化性を確保する観点から、分子内に重合性基を有するネマチック液晶化合物が好ましく、これらの中でも、紫外線(UV)重合性液晶が好適である。該UV重合性液晶としては、市販品を用いることができ、例えば、BASF社製の商品名PALIOCOLOR LC242;Merck社製の商品名E7;Wacker−Chem社製の商品名LC−Sllicon−CC3767;高砂香料株式会社製の商品名L35、L42、L55、L59、L63、L79、L83などが挙げられる。
【0092】
前記ネマチック液晶化合物の含有量としては、前記各コレステリック液晶層の全固形分質量に対し30〜99質量%が好ましく、50〜99質量%がより好ましい。前記含有量が30質量%未満であると、ネマチック液晶化合物の配向が不十分となることがある。
【0093】
−カイラル化合物−
前記カイラル化合物としては、複数層コレステリック液晶層の場合には、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、液晶化合物の色相、色純度改良の観点から、例えば、イソマンニド化合物、カテキン化合物、イソソルビド化合物、フェンコン化合物、カルボン化合物、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記カイラル化合物としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、Merck社製の商品名S101、R811、CB15;BASF社製の商品名PALIOCOLOR LC756などが挙げられる。
【0094】
前記複数層コレステリック液晶層の各液晶層におけるカイラル化合物の含有量としては、前記各コレステリック液晶層の全固形分質量に対し0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましい。前記含有量が30質量%を超えると、コレステリック液晶層の配向が不十分となることがある。
【0095】
−重合性モノマー−
前記コレステリック液晶層には、例えば、膜強度等の硬化の程度を向上させる目的で重合性モノマーを併用することができる。該重合性モノマーを併用すると、光照射による液晶の捻れ力を変化(パターンニング)させた後(例えば、選択反射波長の分布を形成した後)、その螺旋構造(選択反射性)を固定化し、固定化後のコレステリック液晶層の強度をより向上させることができる。ただし、前記液晶化合物が同一分子内に重合性基を有する場合には、必ずしも添加する必要はない。
前記重合性モノマーとしては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン性不飽和結合を持つモノマーなどが挙げられ、具体的には、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性モノマーの添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し0〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。前記添加量が50質量%を超えると、コレステリック液晶層の配向を阻害することがある。
【0096】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合開始剤、増感剤、バインダー樹脂、重合禁止剤、溶媒、界面活性剤、増粘剤、色素、顔料、紫外線吸収剤、ゲル化剤などが挙げられる。
【0097】
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、アシルホスフィン誘導体、チオキサントン/アミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア784、イルガキュア814;BASF社製の商品名ルシリンTPOなどが挙げられる。
【0098】
前記光重合開始剤の添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。前記添加量が0.1質量%未満であると、光照射時の硬化効率が低いため長時間を要することがあり、20質量%を超えると、紫外線領域から可視光領域での光透過率が劣ることがある。
【0099】
前記増感剤は、必要に応じてコレステリック液晶層の硬化度を上げるために添加される。
前記増感剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
前記増感剤の添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し0.001〜1.0質量%が好ましい。
【0100】
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール;ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン化合物;メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロース樹脂;側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体;ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂;メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体;アクリル酸アルキルエステルのホモポリマー又はメタアクリル酸アルキルエステルのホモポリマー;その他の水酸基を有するポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アクリル酸アルキルエステルのホモポリマー又はメタアクリル酸アルキルエステルのホモポリマーにおけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
前記その他の水酸基を有するポリマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタアクリル酸のホモポリマー)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーの多元共重合体などが挙げられる。
【0101】
前記バインダー樹脂の添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形質量に対し0〜80質量%が好ましく、0〜50質量%がより好ましい。前記添加量が80質量%を超えると、コレステリック液晶層の配向が不十分となることがある。
【0102】
前記重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ベンゾキノン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
前記重合禁止剤の添加量としては、前記重合性モノマーの固形分に対し0〜10質量%が好ましく、100ppm〜1質量%がより好ましい。
【0103】
前記溶媒としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチルエステル、3−メトキシプロピオン酸エチルエステル、3−メトキシプロピオン酸プロピルエステル、3−エトキシプロピオン酸メチルエステル、3−エトキシプロピオン酸エチルエステル、3−エトキシプロピオン酸プロピルエステル等のアルコキシプロピオン酸エステル類;2−メトキシプロピルアセテート、2−エトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のアルコキシアルコールのエステル類;乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸エステル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0104】
前記コレステリック液晶層の形成方法としては、例えば、前記溶媒を用いて調製したコレステリック液晶層用塗布液(複数層の場合には各コレステリック液晶層用塗布液)を前記基材上に塗布し、乾燥させて、例えば紫外線照射することにより、コレステリック液晶層を形成することができる。
最も量産適性のよい手法としては、前記基材をロール状に巻いた形で準備しておき、該基材上にコレステリック液晶層用塗布液をバーコート、ダイコート、ブレードコート、カーテンコートのような長尺連続コーターにて塗布する形式が好ましい。
【0105】
前記塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法などが挙げられる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、照射紫外線は、160〜380nmが好ましく、250〜380nmがより好ましい。照射時間としては、例えば、0.1〜600秒が好ましく、0.3〜300秒がより好ましい。紫外線照射の条件を調整することによって前記反応性カイラル剤を用いた光コレステリック液晶層における螺旋ピッチを液晶層の厚み方向に沿って連続的に変化させることができる。
【0106】
前記紫外線照射の条件を調整するために、前記コレステリック液晶層に紫外線吸収剤を添加することもできる。該紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤などが好適に挙げられる。これらの紫外線吸収剤の具体例としては、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同第3,707,375号明細書、同第3,754,919号明細書、同第4,220,711号明細書などに記載されている。
【0107】
前記複数層の場合には各コレステリック液晶層の厚みは、例えば、1〜10μmが好ましく、2〜7μmがより好ましい。前記厚みが1μm未満であると、選択反射率が十分でなくなり、10μmを超えると、液晶層の均一配向が乱れてしまうことがある。
また、各コレステリック液晶層の合計厚み(単層の場合にはコレステリック液晶層の厚み)は、例えば、1〜30μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。
【0108】
<コレステリック層を有する光記録媒体用フィルタの製造方法>
前記光記録媒体用フィルタの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光記録媒体用フィルタは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、基材ごとディスク形状に加工(例えば打ち抜き加工)されて、光記録媒体の第二の基板上に配置されるのが好ましい。また、光記録媒体のフィルタ層に用いる場合には、基材を介さず直接第二の基板上に設けることもできる。
【0109】
−基材−
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第一の形態に用いられた支持体と同じ材料を用いることができる。
【0110】
前記基材としては、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。前記基材の厚みが、10μm未満であると、基板の撓みにより密着性が低下することがある。一方、500μmを超えると、情報光と参照光の焦点位置を大きくずらさなければならなくなり、光学系サイズが大きくなってしまう。
波長選択膜の貼り合わせには、それぞれ公知の接着剤を任意に組み合わせて使用することができる。
前記粘着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などが挙げられる。
前記接着剤又は前記粘着剤の塗布厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、光学特性や薄型化の観点から、接着剤の場合、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましい。また、粘着剤の場合、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。
【0111】
なお、場合によっては、基板上に直接フィルタ層を形成することもできる。
【0112】
−反射膜、第一及び第二ギャップ層を有する光記録媒体−
前記光記録媒体は、第一の基板と、第二の基板と、該第二の基板上に前記記録層と、前記第二の基板と前記記録層との間に前記フィルタ層とを有してなり、反射膜、第一ギャップ層、第二ギャップ層、更に必要に応じてその他の層を有してなる構成でもよい。
【0113】
−基板−
前記基板は、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ディスク形状、カード形状などが挙げられ、光記録媒体の機械的強度を確保できる材料のものを選定する必要がある。また、記録及び再生に用いる光が基板を通して入射する場合は、用いる光の波長領域で十分に透明であることが必要である。
前記基板材料としては、通常、ガラス、セラミックス、樹脂、などが用いられるが、成形性、コストの点から、樹脂が特に好適である。
前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点から、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂が特に好ましい。
前記基板としては、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
【0114】
前記基板には、半径方向に線状に延びる複数の位置決め領域としてのアドレス−サーボエリアが所定の角度間隔で設けられ、隣り合うアドレス−サーボエリア間の扇形の区間がデータエリアになっている。アドレス−サーボエリアには、サンプルドサーボ方式によってフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行うための情報とアドレス情報とが、予めエンボスピット(サーボピット)等によって記録されている(プリフォーマット)。なお、フォーカスサーボは、反射膜の反射面を用いて行うことができる。トラッキングサーボを行うための情報としては、例えば、ウォブルピットを用いることができる。なお、光記録媒体がカード形状の場合には、サーボピットパターンは無くてもよい。
【0115】
前記基板の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜5mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。前記基板の厚みが、0.1mm未満であると、ディスク保存時の形状の歪みを抑えられなくなることがあり、5mmを超えると、ディスク全体の重量が大きくなってドライブモーターに過剰な負荷をかけることがある。
【0116】
−反射膜−
前記反射膜は、前記基板のサーボピットパターン表面に形成される。
前記反射膜の材料としては、記録光や参照光に対して高い反射率を有する材料を用いることが好ましい。使用する光の波長が400〜780nmである場合には、例えば、Al、Al合金、Ag、Ag合金、などを使用することが好ましい。使用する光の波長が650nm以上である場合には、Al、Al合金、Ag、Ag合金、Au、Cu合金、TiN、などを使用することが好ましい。
なお、前記反射膜として、光を反射すると共に、追記及び消去のいずれかが可能な光記録媒体、例えば、DVD(ディジタル ビデオ ディスク)などを用い、ホログラムをどのエリアまで記録したかとか、いつ書き換えたかとか、どの部分にエラーが存在し交替処理をどのように行ったかなどのディレクトリ情報などをホログラムに影響を与えずに追記及び書き換えすることも可能となる。
【0117】
前記反射膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などが用いられる。これらの中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等の点で優れている。
前記反射膜の厚みとしては、十分な反射率を実現し得るように、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。
【0118】
−第一ギャップ層−
前記第一ギャップ層は、必要に応じて前記フィルタ層と前記反射膜との間に設けられ、第二の基板表面を平滑化する目的で形成される。また、記録層内に生成されるホログラムの大きさを調整するのにも有効である。即ち、前記記録層は、記録用参照光及び情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要があるので、前記記録層とサーボピットパターンとの間にギャップを設けることが有効となる。
前記第一ギャップ層は、例えば、サーボピットパターンの上から紫外線硬化樹脂等の材料をスピンコート等で塗布し、硬化させることにより形成することができる。また、フィルタ層として透明基材の上に塗布形成したものを使用する場合には、該透明基材が第一ギャップ層としても働くことになる。
前記第一ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
【0119】
−第二ギャップ層−
前記第二ギャップ層は、必要に応じて記録層とフィルタ層との間に設けられる。
前記第二ギャップ層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸メチル−ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のような透明樹脂フィルム、又は、JSR社製商品名ARTONフィルムや日本ゼオン社製商品名ゼオノアのような、ノルボルネン系樹脂フィルム、などが挙げられる。これらの中でも、等方性の高いものが好ましく、TAC、PC、商品名ARTON、及び商品名ゼオノアが特に好ましい。
前記第二ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
【0120】
ここで、本発明の前記反射膜、前記第一及び前記第二ギャップ層を有する光記録媒体の具体例について、図面を参照して更に詳しく説明する。
【0121】
<光記録媒体の具体例>
図4は、本発明の具体例における光記録媒体の構造を示す概略断面図である。この具体例1に係る光記録媒体22では、ポリカーボネート樹脂又はガラスの第二の基板1にサーボピットパターン3が形成され、該サーボピットパターン3上にアルミニウム、金、白金等でコーティングして反射膜2が設けられている。なお、図4では第二の基板1全面にサーボピットパターン3が形成されているが、図3に示すように周期的に形成されていてもよい。また、このサーボピットパターン3の高さは、通常1750Å(175nm)であり、基板を始め他の層の厚さに比べて充分に小さいものである。
【0122】
第一ギャップ層8は、紫外線硬化樹脂等の材料を第二の基板1の反射膜2上にスピンコート等により塗布して形成される。第一ギャップ層8は、反射膜2を保護すると共に、記録層4内に生成されるホログラムの大きさを調整するためにも有効である。つまり、記録層4において記録用参照光と情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要があるため、記録層4とサーボピットパターン3との間にギャップを設けると有効である。
第一ギャップ層8上にはフィルタ層6が設けられ、該フィルタ層6と第一の基板5(ポリカーボネート樹脂基板やガラス基板)の間に第二ギャップ層7を設け、記録層4を挟むことによって光記録媒体22が構成される。
【0123】
図4において、フィルタ層6は、赤色光のみを透過し、それ以外の色の光を通さないものである。従って、情報光、記録及び再生用参照光は緑色又は青色の光であるので、フィルタ層6を透過せず、反射膜2まで達することなく、戻り光となり、入出射面Aから出射することになる。
【0124】
具体例における光記録媒体22は、ディスク形状でもいいし、カード形状であってもよい。カード形状の場合にはサーボピットパターンは無くてもよい。また、この光記録媒体21では、第二の基板1は0.6mm、第一ギャップ層8は100μm、フィルタ層6は2〜3μm、第二ギャップ層7は50μm、記録層4は0.6mm、第一の基板5は0.6mmの厚みであって、合計厚みは約1.9mmとなっている。
【0125】
次に、図5を参照して、光記録媒体22周辺での光学的動作を説明する。まず、サーボ用レーザから出射した光(赤色光)は、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、対物レンズ12を通過する。対物レンズ12によってサーボ用光は反射膜2上で焦点を結ぶように光記録媒体22に対して照射される。つまり、ダイクロイックミラー13は緑色や青色の波長の光を透過し、赤色の波長の光をほぼ100%反射させるようになっている。光記録媒体22の光の入出射面Aから入射したサーボ用光は、第一の基板5、記録層4、第二ギャップ層7、フィルタ層6、及び第一ギャップ層8を通過し、反射膜2で反射され、再度、第一ギャップ層8、フィルタ層6、第二ギャップ層7、記録層4、及び第一の基板5を透過して入出射面Aから出射する。出射した戻り光は、対物レンズ12を通過し、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、サーボ情報検出器(不図示)でサーボ情報が検出される。検出されたサーボ情報は、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スライドサーボ等に用いられる。記録層4を構成するホログラム材料は、赤色の光では感光しないようになっているので、サーボ用光が記録層4を通過したり、サーボ用光が反射膜2で乱反射したとしても、記録層4には影響を与えない。また、サーボ用光の反射膜2による戻り光は、ダイクロイックミラー13によってほぼ100%反射するようになっているので、サーボ用光が再生像検出のためのCMOSセンサ又はCCD14で検出されることはなく、再生光に対してノイズとなることもない。
【0126】
また、記録用/再生用レーザから生成された情報光及び記録用参照光は、偏光板16を通過して線偏光となりハーフミラー17を通過して1/4波長板15を通った時点で円偏光になる。ダイクロイックミラー13を透過し、対物レンズ12によって情報光と記録用参照光が記録層4内で干渉パターンを生成するように光記録媒体22に照射される。情報光及び記録用参照光は入出射面Aから入射し、記録層4で干渉し合って干渉パターンをそこに生成し、該干渉パターンを記録する。その後、情報光及び記録用参照光は記録層4を通過し、フィルタ層6に入射するが、該フィルタ層6の底面までの間に反射されて戻り光となる。つまり、情報光と記録用参照光は反射膜2までは到達しない。フィルタ層6は赤色光のみを透過する性質を有するからである。あるいは、フィルタ層を漏れて通過する光を入射光強度の20%以下に抑えていれば、たとえその漏れ光が底面に到達して戻り光となっても、再度フィルタ層で反射されるので再生光へ混じる光強度は20%×20%=4%以下となり、実質的に問題とはならない。
【0127】
(光記録媒体の製造方法)
本発明の光記録媒体の製造方法は、記録層形成工程、を少なくとも含んでなり、フィルタ層形成工程、反射膜形成工程、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0128】
前記記録層形成工程としては、マトリックス前駆体と光反応性モノマーとを混合して混合物を調整する工程と、前記混合物を硬化させてマトリックスを形成する工程とを少なくとも含み、さらに必要に応じてその他の工程を含む製造方法である。
前記マトリックス前駆体と光反応性モノマーとを混合する工程は、マトリックス前駆体と、光反応性モノマー、光重合開始剤、その他の成分を混合する工程である。
前記マトリックス前駆体としては、前記マトリックスポリマーの材料のことであり、イソシアネート基を末端に有するプレポリマー、ポリオール、及び必要に応じてその他の化合物が挙げられる。
前記光反応性モノマーとしては、前記水素結合形成可能な官能基及びエチレン性二重結合を有する重合性モノマー、及び必要に応じてその他の前記重合性モノマーが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、前記光記録組成物に含まれる光重合開始剤と同様のものが挙げられる。
前記その他の成分としては、前記光記録組成物に含まれるその他の化合物と同様のものが挙げられる。
前記混合は、特に制限はなく、例えば、攪拌によって行われる。
【0129】
前記混合物を硬化させてマトリックスを形成する工程は、前記マトリックス前駆体と光反応性モノマー等とを混合する工程で得られた混合物を、硬化させてマトリックスを形成する工程である。前記硬化の反応は、室温または加熱することにより行われる。
【0130】
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば記録層の塗布及び乾燥等が挙げられる。前記記録層の塗布及び乾燥は、前記記録層の形成方法に記載の示した通りである。
【0131】
前記フィルタ層形成工程は、本発明の前記光記録媒体用フィルタを光記録媒体形状に加工し、該加工したフィルタを前記第二の基板に貼り合わせてフィルタ層を形成する工程である。
ここで、本発明の前記光記録媒体用フィルタの製造方法については、上述した通りである。
前記光記録媒体形状としては、ディスク形状、カード形状、などが挙げられる。
前記加工としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プレスカッターによる切り出し加工、打ち抜きカッターによる打ち抜き加工、などが挙げられる。
前記貼り合わせでは、例えば、接着剤、粘着剤、などを用いて気泡が入らないようにフィルタを基板に貼り付ける。
前記接着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、UV硬化型、エマルジョン型、一液硬化型、二液硬化型等の各種接着剤が挙げられ、それぞれ公知の接着剤を任意に組み合わせて使用することができる。
前記粘着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、などが挙げられる。
前記接着剤又は前記粘着剤の塗布厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、光学特性や薄型化の観点から、接着剤の場合、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましい。また、粘着剤の場合、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。
【0132】
なお、場合によっては、基板上に直接フィルタ層を形成することもできる。例えば、基板上に色材含有層用塗布液を塗布して色材含有層を形成し、該色材含有層上にスパッタリング法により誘電体蒸着膜を形成する方法などが挙げられる。
【0133】
<光記録再生方法>
前記光記録再生方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の光記録方法により記録された光記録媒体に対して、記録時の参照光の照射と、同一の方向から同じ光を照射することにより再生する方法などが挙げられる。前記光を前記光記録媒体の記録層に形成された干渉像に照射すると、該干渉像に対応した記録情報としての回折光が生成され、該回折光を受光することにより再生することができる。
【実施例】
【0134】
(実施例1)
本発明の光記録用組成物を調製し、該光記録用組成物を含む記録層を積層した光記録媒体を作製し、該光記録媒体に以下のように記録し、評価した。
【0135】
<光記録用組成物の調製>
以下の組成物を窒素気流下で混合し、光記録用組成物を調製した。下記組成物のそれぞれの成分の含有量(質量%)は、固形成分の量である。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・ビスシクロヘキシルメタンジイソシアネート 31.5質量%
・ポリプロピレンオキサイドトリオール(分子量1000) 61.2質量%
・テトラメチレングリコール 2.5質量%
・具体的化合物例 No.1−9 3.1質量%
・光重合開始剤
[チバ・スペシャルケミカル社製、イルガキュア784] 0.69質量%
・ジブチルジラウレートスズ 1.01質量%
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【0136】
<光記録媒体の作製>
厚み0.5mmのガラスの片面を532nmの波長に対して垂直な入射光による反射率が0.1%となるように反射防止処理を施すことにより第一の基板を作製し、厚み0.5mmのガラスの片面を532nmの波長に対して垂直な入射光による反射率が90%となるようにアルミ蒸着を施し、第二の基板を作製した。
次いで、前記第一の基板の反射防止処理していない面上に厚み500μmの透明ポリエチレンテレフタレートシートをスぺーサとし、前記光記録用組成物を第一の基板に付与した。次いで、第二の基板のアルミ蒸着を施した面を、第一の基板における前記光記録用組成物側に当接させ、空気層を巻き込まないように貼り合わせ、スぺーサを介して第一の基板と第二の基板を貼り合わせた。最後に、45℃で24時間放置させ光記録媒体を作製した。
【0137】
<光記録媒体への記録及び評価>
上述のようにして作製した光記録媒体を、パルステック工業(株)製、コリニアホログラム記録再生試験機SHOT−1000を用いて、記録ホログラムの焦点位置における記録スポットの大きさ直径200μmで一連の多重ホログラムを書き込み、感度(記録エネルギー)、多重数について測定し、評価した。
【0138】
(感度の測定)
記録時の照射光エネルギー(mJ/cm)を変化させ、再生信号のエラー確率(BER:Bit Error Rate)の変化を測定した。通常、照射光エネルギーの増加にともない再生信号の輝度が増加し、再生信号のBERが徐々に低下する傾向にある。ここでは、ほぼ良好な再生像(BER<10−3)が得られる最低の照射光エネルギーを光記録媒体の記録感度とした。結果を表1に示す。
【0139】
(多重数の評価)
得られた光記録媒体の多重数の評価手法として、ISOM’04、Th−J-06、pp.184−185、Oct.2004に記載されている、記録スポットをスパイラル状にシフトさせ評価する手法により行った。ここで、記録ホログラム数13×13=169ホログラム、記録ピッチは28.5μmとした。最終169個目のホログラム記録時の多重度は49多重となる。前記記録ホログラム数の増加に従い多重度が増加するため、光記録媒体の多重特性が不十分であると記録数の増加に従い前記BERが増加する。ここではBER>10−3となる記録ホログラム数を光記録媒体の多重特性Mとした。結果を表1に示す。
【0140】
(実施例2)
実施例1において、具体的化合物例 No.1−9の代わりに、具体的化合物例 No.1−6を3.1質量%添加した以外は、実施例1と同様に、実施例2の光記録媒体を作製し、感度、多重数を評価した。結果を表1に示す。
【0141】
(実施例3)
実施例1において、具体的化合物例 No.1−9の代わりに、具体的化合物例 No.1−14を3.1質量%添加した以外は、実施例1と同様に、実施例3の光記録媒体を作製し、感度、多重数を評価した。結果を表1に示す。
【0142】
(実施例4)
実施例1において、具体的化合物例 No.1−9の代わりに、具体的化合物例 No.1−12を3.1質量%添加した以外は、実施例1と同様に、実施例4の光記録媒体を作製し、感度、多重数を評価した。結果を表1に示す。
【0143】
(実施例5)
実施例1において、具体的化合物例 No.1−9の代わりに、具体的化合物例 No.2−3を3.1質量%添加した以外は、実施例1と同様に、実施例5の光記録媒体を作製し、感度、多重数を評価した。結果を表1に示す。
【0144】
(実施例6)
実施例1において、具体的化合物例 No.1−9の代わりに、具体的化合物例 No.3−1を3.1質量%添加した以外は、実施例1と同様に、実施例6の光記録媒体を作製し、感度、多重数を評価した。結果を表1に示す。
【0145】
(比較例1)
実施例1において、具体的化合物例 No.1−9の代わりに、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレートを3.1質量%添加した以外は、実施例1と同様に、比較例1の光記録媒体を作製し、感度、多重数評価した。結果を表1に示す。
【0146】
【表1】

【0147】
表1の結果から、実施例1〜6の光記録用組成物では、本発明に用いられる化合物を使用した場合には、記録感度、及び多重特性が良好となることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明のホログラム記録用組成物は、高感度、高多重記録が可能なホログラム記録用組成物を得ることができ、情報光及び参照光により形成する干渉像の高多重記録化を図ることができる感光性材料として好適に用いられる。
本発明の光記録媒体は、高多重記録が可能なホログラム記録用組成物を得ることができ、情報光及び参照光により形成する干渉像の高多重記録化を図ることができるホログラム型の各種光記録媒体として幅広く用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1は、光記録媒体の部分断面図である。
【図2】図2は、ディスク型の光記録媒体の部分断面図である。
【図3】図3は、光記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【図4】図4は、本発明による実施形態に係る光記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【図5】図5は、光記録媒体周辺の光学系の一例を示す説明図である。
【図6】図6は、第二の形態の光記録再生装置の全体構成の一例を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0150】
1 第二の基板
2 反射膜
3 サーボピットパターン
4 記録層
5 第一の基板
6 フィルタ層
7 第二ギャップ層
8 第一ギャップ層
12 対物レンズ
13 ダイクロイックミラー
14 検出器
15 1/4波長板
16 偏光素子
17 ハーフミラー
22 光記録媒体
31 ピックアップ
41 記録層
42 支持体
43 支持体
44 反射防止層
45 反射防止層
81 スピンドル
82 スピンドルモータ
83 スピンドルサーボ回路
84 駆動装置
85 検出回路
86 フォーカスサーボ回路
87 トラッキングサーボ回路
88 スライドサーボ回路
89 信号処理回路
90 コントローラ
91 操作部
100 光記録再生装置
A 入出射面
FE フォーカスエラー信号
TE トラッキングエラー信号
RF 再生信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素結合形成可能な官能基、及びエチレン性二重結合を有する重合性モノマーと、イソシアネート基を末端に有するプレポリマー、及びポリオールの混合により形成されるマトリックスポリマーとを含むことを特徴とする光記録用組成物。
【請求項2】
水素結合形成可能な官能基、及びエチレン性二重結合を有する重合性モノマーが、下記一般式(1)で表される請求項1に記載の光記録用組成物。

(P−X)−G−(A) 一般式(1)

前記一般式(1)において、Pは、CH2=CH−、CH2=C(CH3)−、CH2=CH−COO−L−、CH2=C(CH3)−COO−L−、CH2=CH−CONHR−L−、及びCH2=C(CH3)−CONHR−L−のいずれかを表す。Lは、アルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基のいずれかを表す。Rは水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。Xは、単結合、−O−、−COO−、−O−CO−、−CONH−、及び−NHCO−のいずれかを表す。Aは、水素結合を形成する官能基を表す。m及びnは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、1〜3の整数を表す。Gは、m+n価の炭素原子数1〜50の有機基を表す。
【請求項3】
水素結合形成可能な官能基が、水酸基、スルホニルアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アミノカルボニルオキシ基、ウレイド基、アミノ基、カルボキシル基、及びスルホ基のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の光記録用組成物。
【請求項4】
水素結合形成可能な官能基、及びエチレン性二重結合を有する重合性モノマーの含有量が、光記録用組成物の全固形分に対して、3〜45質量%である請求項1から3のいずれかに記載の光記録用組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の光記録用組成物を含む記録層を有することを特徴とする光記録媒体。
【請求項6】
第一の基板と、記録層と、フィルタ層と、第二の基板とをこの順に有する請求項5に記載の光記録媒体。
【請求項7】
フィルタ層が、第一の光を透過し、第二の光を反射する請求項5から6のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項8】
可干渉性を有する情報光及び参照光を請求項5から7のいずれかに記載の光記録媒体に照射し、前記情報光と前記参照光とにより干渉像を形成し、該干渉像を前記光記録媒体に記録することを特徴とする光記録方法。
【請求項9】
情報光の光軸と参照光の光軸とが同軸となるように、光記録媒体に前記情報光及び前記参照光を照射し、該情報光と該参照光との干渉により生成される干渉像を前記光記録媒体に記録する請求項8に記載の光記録方法。
【請求項10】
可干渉性を有する情報光及び参照光を請求項5から7のいずれかに記載の光記録媒体に照射し、前記情報光と前記参照光とにより干渉像を形成し、該干渉像を前記光記録媒体に記録することを特徴とする光記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−101743(P2007−101743A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289310(P2005−289310)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】