説明

光走査装置及び画像形成装置

【課題】フォトダイオードの少ない低コストな光走査装置を提供する。
【解決手段】レーザーダイオードと、前記レーザーダイオードから発せられたレーザ光を反射し走査するために回転するポリゴンミラーと、前記ポリゴンミラーにより反射されたレーザ光を受光する受光素子と、を有し、前記レーザーダイオードに内蔵されている内蔵受光素子と、前記受光素子とにより前記レーザ光を受光し、前記像坦持体に照射される前記レーザ光による色ずれ量の補正を行うため前記内蔵受光素子と前記受光素子の受光時間の時間差を計測することを特徴とする光走査装置を提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真技術を用いたカラー画像形成装置においては、像担持体としての感光体ドラムを帯電手段により帯電し、帯電された感光体ドラムに画像情報に応じたレーザ光照射を行って潜像を形成し、この潜像を現像手段によって現像し、現像されたトナー像をシート材等に転写して画像を形成することが行われている。
【0003】
また、このような一連の画像形成プロセスが実行される画像ステーションを複数備え、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、BK(ブラック)の各色の画像をそれぞれ像担持体に形成し、各像担持体の転写位置にて無端ベルト状の転写ベルト上に重ね合わせて形成した転写用カラー画像を記録紙に転写することによりカラー画像を形成するダンデム方式のカラー画像形成装置が普及しており、このような技術も開示されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
このようなダンデム方式のレーザーブームプリンタに代表される画像形成装置では、4色全てで異なる作像手段を用い、紙面上に直接又は中間転写ベルト上にトナー画像を重ね合わせることによって、カラー画像を形成している。
【0005】
このような、いわゆるダンデム方式の画像形成装置では、各色の画像を重ねる位置が微妙にずれることにより、安定したカラー画像を得ることができない。そのため各色ごとに位置ずれ補正用パターンを形成し、TMセンサ等の検出手段によって各色の画像位置を検出し、4色全てを同一位置に重ね合わせるための位置ずれ補正が行われている。
【0006】
この他、画像書き込み位置を揃えるためフォトダイオードを2個用意し、1つは照射光の光路に対して垂直に設置し、他の1つは、一つめのフォトダイオードに対して副走査方向(主走査方向を軸とした方向)に傾けて設置することで、この2個のフォトダイオードを通過するレーザ光の時間差を検出し、書き出し位置調整だけではなく、副走査方向のずれ量の検出、および補正が行われている(例えば、特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したように副走査方向のずれ量と主走査倍率の補正を実行することで主走査方向、および副走査方向の両走査方向の色ずれ量を補正することが可能であるが、フォトダイオードが少なくとも2個必要となり、コスト上昇の要因となっていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、低コストで画像書き込み位置の精度を向上させることができる光走査装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、レーザーダイオードと、前記レーザーダイオードから発せられたレーザ光を反射し走査するために回転するポリゴンミラーと、前記ポリゴンミラーにより反射されたレーザ光を受光する受光素子と、を有し、前記レーザーダイオードに内蔵されている内蔵受光素子と、前記受光素子とにより前記レーザ光を受光し、前記像坦持体に照射される前記レーザ光による色ずれ量の補正を行うため前記内蔵受光素子と前記受光素子の受光時間の時間差を計測することを特徴とする。
【0010】
また、前記受光素子は、前記受光素子に入射するレーザ光に対し傾いて設置されており、前記受光時間の時間差に基づき、前記像担持体における副走査方向の位置ズレの検出及び補正を行うことを特徴としてもよい。
【0011】
また、本発明は、前記受光素子は、前記受光素子に入射するレーザ光に対し垂直に設置されており、前記受光時間の時間差に基づき、前記像担持体における主走査倍率補正を行うことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記受光素子は、前記像担持体の走査方向の延長線上に設けられていることを特徴としてもよい。
【0013】
また、前記レーザーダイオードは複数設けられており、第1のレーザーダイオードにより発せられたレーザ光を、第2のレーザーダイオードに内蔵されている内蔵受光素子により受光することを特徴としてもよい。
【0014】
また、本発明は、前記第1のレーザーダイオードにより発せられたレーザ光は、分光器を介しポリゴンミラーを照射し、前記ポリゴンミラーからの反射光を前記分光器により分光され、前記分光された反射光は、前記他のレーザーダイオードに内蔵されている内蔵受光素子に入射することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記他のレーザーダイオードの光路上に設けられたレーザ光用光学素子であって、前記レーザ光用光学素子は、前記他のレーザーダイオードより発せられたレーザ光を収束させ、前記ポリゴンミラーに照射するとともに、前記第1のレーザーダイオードより発せられた後、前記分光器により分光されたレーザ光を収束させ、前記他のレーザーダイオードにおける内蔵受光素子に入射させるものであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記第1のレーザーダイオードにより発せられたレーザ光は、ポリゴンミラーを照射し、この際にレーザ光とポリゴンミラーの面とをなす角が90度となったときに、反射した前記レーザ光が前記レーザーダイオードに内蔵されている内蔵受光素子により受光することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記内蔵受光素子は、受光信号出力が所定の閾値レベルを超えた第1の時間と、前記閾値レベルを超えた後、前記所定の閾値レベル満たなくなる第2の時間とに基づき、前記第1の時間と前記第2の時間の中間の時間を同期検知信号とし、前記同期検知信号に基づき書き込み開始位置を算出することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記ポリゴンミラーにより反射されたレーザ光を円筒状の像担持体に照射し走査することにより潜像を形成するための光学素子を有するものであって、前記光学素子及び前記ポリゴンミラーにおける異常を検知するため前記内蔵受光素子の受光信号に対し2以上の閾値レベルを設け、前記内蔵受光素子が受光する受光信号のピークの値が、前記2以上の閾値レベルのうち一方の閾値レベル以下である場合、または、前記内蔵受光素子が受光する受光信号のピークの値が、前記一方の閾値レベルよりも高い他の閾値レベル以上である場合には、前記光学素子及び前記ポリゴンミラーの異常を検出することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記光走査装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、低コストで画像書き込み位置の精度を向上させることができる光走査装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態に係るカラー画像形成装置の構成図
【図2】第1の実施の形態における露光器の構成図
【図3】第1の実施の形態におけるフォトダイオードの説明図
【図4】レーザーダイオードの斜視図
【図5】第1の実施の形態における副走査方向の位置ズレ検出の説明図
【図6】第1の実施の形態における光学系の異常検出の説明図
【図7】第2の実施の形態に係るカラー画像形成装置の構成図
【図8】第3の実施の形態における露光器の構成図
【図9】第3の実施の形態におけるフォトダイオードの説明図
【図10】第3の実施の形態における露光器の側面図
【図11】第4の実施の形態における副走査方向の位置ズレ検出のフローチャート
【図12】第5の実施の形態における主走査倍率補正のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。
【0023】
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態について説明する。図1は本実施形態のカラー画像形成装置の作像原理を説明するための画像プロセス部及び転写ベルトの正面図である。
【0024】
このカラー画像形成装置は、搬送ベルト(無端状搬送手段)に沿って各色の画像形成部が並べられた構成を備えるものであり、所謂、タンデムタイプといわれるものである。即ち、給紙トレイ1から給紙ローラ2と分離ローラ3とにより分離給紙される用紙(記録紙)4を搬送する搬送ベルト5に沿って、この搬送ベルト5の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)6Y、6M、6C、6BKが配列されている。
【0025】
これら複数の画像形成部6Y、6M、6C、6BKは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部6Yはイエローのトナー画像を、画像形成部6Mはマゼンタのトナー画像を、画像形成部6Cはシアンのトナー画像を、画像形成部6BKはブラックのトナー画像をそれぞれ形成する。よって、以下の説明では、画像形成部6Yについて具体的に説明するが、他の画像形成部6M、6C、6BKは画像形成部6Yと同様であるので、その画像形成部6M、6C、6BKの各構成要素については、画像形成装置6Yの各構成要素に付したYに替えて、M、C、BKによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0026】
搬送ベルト5は、回転駆動される駆動ローラ7と従動ローラ8とに巻回されたエンドレス(無端状)のベルトである。この駆動ローラ7は、駆動モータ(図示せず)により回転駆動され、この駆動モータと、駆動ローラ7と、従動ローラ8とが、無端状搬送手段である搬送ベルト5を回転させる駆動手段として機能する。
【0027】
画像形成に際して、給紙トレイ1に収納された用紙4は最も上に載置されているものから順に送り出され、静電吸着作用により搬送ベルト5に吸着されて最初の画像形成部6Yに搬送され、ここで、イエローのトナー画像を転写される。
【0028】
画像形成部6Yは、像坦持体である感光体ドラム9Y、この感光体ドラム9Yの周囲に配置された帯電器10Y、露光器11、現像器12Y、感光体クリーナ(図示せず)、除電器13Y等から構成されている。露光器11は、各画像形成部6Y、6M、6C、6BKが形成するトナー画像の色に対応する露光光であるレーザ光14Y、14M、14C、14BKを照射するように構成されている。
【0029】
画像形成に際し、感光体ドラム9Yの外周面は、暗中にて帯電器10Yにより一様に帯電された後、露光器11からのイエロー画像に対応したレーザ光14Yにより露光され、静電潜像を形成される。現像器12Yは、この静電潜像をイエローのトナーにより可視像化(現像)し、このことにより感光体ドラム9Y上にイエローのトナー画像が形成される。
【0030】
このトナー画像は、感光体ドラム9Yと搬送ベルト5上の用紙4とが接する位置(転写位置)で、転写器15Yの働きにより用紙4上に転写される。この転写により、用紙4上にイエローのトナー画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム9Yは、外周面に残留した不要なトナーが感光体クリーナにより払拭された後、除電器13Yにより除電され、次の画像形成のために待機する。
【0031】
以上のようにして、画像形成部6Yでイエローのトナー画像を転写された用紙4は、搬送ベルト5によって次の画像形成部6Mに搬送される。画像形成部6Mでは、画像形成部6Yでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム9M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が用紙4上に形成されたイエローの画像に重畳されて転写される。
【0032】
用紙4は、さらに次の画像形成部6C、6BKに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム9C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム9BK上に形成された黒のトナー画像とが、用紙4上に重畳されて転写される。こうして、用紙4上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された用紙4は、搬送ベルト5から剥離されて定着器16にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
【0033】
以上のような構成のカラー画像形成装置では、感光体ドラム9Y、9M、9C、9BKの軸間距離の誤差、感光体ドラム9Y、9M、9C、9BKの平行度誤差、露光器11内でレーザ光を偏向する偏向ミラー(図示せず)の設置誤差、感光体ドラム9Y、9M、9C、9BKへの静電潜像の書込みタイミング誤差等により、本来重ならなければならない位置に各色のトナー画像が重ならず、各色間で位置ずれが生ずることがある。こうした各色の位置ずれの成分としては、主にスキュー、副走査方向のレジストずれ、主走査方向の倍率誤差、主走査方向のレジストずれなどが知られている。
【0034】
本実施形態では、搬送ベルト5上の副走査方向(搬送方向)に複数セットの位置ずれ補正用パターンを規則的に並べて作像し、画像形成部6BKの下流側に、搬送ベルト5に対向するセンサ17、18、19を配置して、位置ずれ補正用パターンを検出し、その理想位置からのずれにより、スキュー、副走査方向のレジストずれ、主走査方向の倍率誤差、主走査方向のレジストずれ量を各々求める。そして、このずれ量を基に補正を行う。スキューに関しては、例えば露光器11内の偏向ミラー若しくは露光器11自体をアクチュエーターによって傾きを加えることなどによって、副走査方向のレジストずれに対しては、例えばラインの書き出しタイミング及び偏向ミラーの面位相制御によってずれ量の補正を行う。また、主走査方向の倍率誤差に関しては例えば書き込み画周波数の変更することによって補正を行う。さらに、主走査方向のレジストずれに関しては、主走査ラインの書き出しタイミングを変更することによってレジストずれの補正を行うことができる。
【0035】
(露光器)
次に、本実施の形態におけるカラー画像形成装置の露光器について説明する。図2に、上述した露光器11の内部構造を示す。各画像色の露光ビームであるレーザ光14は、光源となるレーザーダイオード24から出射される。出射されたレーザ光14は、反射鏡であるポリゴンミラー23により反射され、光学素子である光学系25を介し光路調整等された後、感光体ドラム9の表面に照射される。反射鏡であるポリゴンミラー23は6面体のミラーであり回転することにより、ポリゴンミラー23の一面で反射したレーザ光14が、光学系25を介し感光体ドラム9の主走査方向に走査されるように構成されている。
【0036】
尚、カラー印刷を行う場合には、各色、即ち、Y、M、C、BKに対応した4つのレーザーダイオードを用い、各々のレーザーダイオードから出射される光を2色ずつの露光ビームに分けてポリゴンミラー23の対向する反射面を用いることにより、各々の色に対応した異なる4つの感光体ドラムにおいて同時にレーザ光を照射し、露光することにより可能となる。
【0037】
また、光学系25は、通常ポリゴンミラー23において反射したレーザ光14を等間隔に揃える、f−θレンズと、レーザ光を偏向する偏向ミラーにより構成されている。受光素子であるフォトダイオード26は感光体ドラム9の主走査方向の開始端に設置されており、図3に示すようにレーザ光14の光路に対し、θが45°となるように設置されている。
【0038】
次に、図4に基づきレーザーダイオード24について説明する。図に示されるように、レーザーダイオード24の内部には、レーザ光を発振するレーザーチップ28と
レーザーダイオード24に内蔵されている内蔵受光素子であるフォトダイオード29を有している。レーザーチップ28は、ポリゴンミラー23にレーザ光を照射する一方で、ポリゴンミラー23に対するレーザ光の照射方向とは逆方向にもレーザ光を出射する。そこで、ポリゴンミラー23に照射するレーザ光の光量をモニターするために、フォトダイオード29は、逆方向に出射されるレーザ光を受光し、受光したレーザ光の光量に応じた信号を出力する。そして、レーザーダイオード24を制御する制御部は、フォトダイオード29から得られた信号出力によりレーザーチップ28から出射するレーザ光の光量を制御する。
【0039】
ここで、図2に示すようにレーザーダイオード24から出射されたレーザ光14は、レーザ光14の進行方向と、ポリゴンミラー23の鏡面の一面とのなす角が90°となったとき、鏡面により反射したレーザ光14は、出射したレーザーダイオード24に戻ってくる。この戻ってくる光を戻り光と呼び、この戻り光をレーザーダイオード24内部のフォトダイオード29で受光する。
【0040】
図5に、戻り光を受光する前後におけるフォトダイオード29の信号出力を示す。横軸が時間であり、縦軸が信号出力である。戻り光を受光する前後においては、レーザーチップ28から出射されるレーザ光を受光することにより、一定の出力信号を得ている。しかし、フォトダイオード29において受光した光の信号出力を示す。横軸が時間であり、縦軸が信号出力である。フォトダイオード29では、一定の光を受光することにより、フォトダイオード29における出力も一定であるが、戻り光がフォトダイオード29に入射するとフォトダイオード29からの信号出力が重畳され一時的に高くなる。ここで、閾値Sを設け、フォトダイオード29からの出力が閾値Sを超えた時間T1と、その後に、閾値Sを下回った時間T2とを計測し、時間T1と時間T2との間の中間の時間Tpを算出し同期検出信号として信号生成する。この同期検知信号を書き込み開始位置の基準信号として作像を行う。
【0041】
フォトダイオード29にて検出した同期検知信号の基準信号が検出されてからフォトダイオード26でレーザ光14を検出されるまでの時間の時間差を測定し、この時間差に基づき副走査方向の位置ズレ補正を行う。図3に示すように、副走査方向の位置ズレのない場合のレーザ光14aに対し、副走査方向の位置ズレが生じている場合のレーザ光14bにおいては、フォトダイオード26における検出時間に時間Tabだけズレが生じ、この時間Tabにより副走査方向の位置ズレを検出することができ、この時間Tabに基づき副走査方向の位置ズレを補正ずることが可能となる。また、副走査方向の位置ズレのない場合のレーザ光14aに対し、副走査方向の位置ズレが生じている場合のレーザ光14cにおいては、フォトダイオード26における検出時間に時間Tacだけズレが生じ、この時間Tacにより副走査方向の位置ズレを検出することができ、この時間Tacに基づき副走査方向の位置ズレを補正ずることが可能となる。
【0042】
また、本実施の形態では、ポリゴンミラー23の曇り等による光学系の異常を検知することも可能である。異常検知には、レーザーダイオード24に内蔵されているフォトダイオード29を用いる。
【0043】
図6に、同期検知を行った際のフォトダイオード29のアナログ出力信号を示す。図に示されるように、閾値S1、S2、S3、S4、S5と複数設け、同期検知信号の出力値のピークが、どの閾値の間にあるかにより、正常であるか異常であるか判断することが可能である。例えば、正常な場合における同期検知信号の出力値のピークはS2とS3の間であるとすると、これ以外、即ち、S2以上、又はS3以下の場合は異常であるものと判断され、光学系の異常を検知することができる。
【0044】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。図7は本実施の形態のカラー画像形成装置の作像原理を説明するための画像プロセス部及び転写ベルトの正面図である。この図のカラー画像形成装置において、図1と同一の部分には図1と同一の符号を付した。
【0045】
本実施の形態のカラー画像形成装置では、各色のトナー画像は、感光体ドラム9Y、9M、9C、9BKと中間転写ベルト5とが接する位置(1次転写位置)で、転写器15Y、15M、15C、15BKの働きにより中間転写ベルト5上に転写される。この転写により、中間転写ベルト5上に各色のトナーによる画像が重ね合わされたフルカラー画像が形成される。画像形成に際して、給紙トレイ1に収納された用紙4は最も上のものから順に送り出され、中間転写ベルト5上に搬送され、中間転写ベルト5と用紙4とが接する位置(2次転写位置21)にて、フルカラーのトナー画像が転写される。2次転写位置21には2次転写ローラ22が配置されており、用紙4を中間転写ベルト5に押し当てることで転写効率を高めている。このフルカラーの重ね画像が形成された用紙4は、中間転写ベルト5から剥離されて定着器16にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
【0046】
中間転写ベルト5は、回転駆動される駆動ローラ7と従動ローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトであり、本実施形態によれば、中間転写ベルト5上に位置ずれ補正用パターンが形成され、それがセンサ17、18、19にて読み取られる。位置ずれ補正用パターンの具体的構成、並びにそれの作成及び検出を行うと共に位置ずれ量を求めるための構成は第1の実施の形態と同じである。
【0047】
また、光学系の異常検知の方法についても第1の実施の形態と同様である。
【0048】
なお、図7を用いて中間転写方式のカラー画像形成装置の作像原理を説明したが、中間転写方式に限らず、直接転写方式のカラー画像形成装置であってもよい。
【0049】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるカラー画像形成装置は、第2の実施の形態におけるカラー画像形成装置と同様の構成もののである。
【0050】
図8に、本実施の形態におけるカラー画像形成装置の露光器11の内部構造を示す。本実施の形態における露光器11は、第1の実施の形態と異なる構成のものである。
【0051】
この露光器11は、各画像色の露光ビームであるレーザ光14は、光源となるレーザーダイオード24から出射される。出射されたレーザ光14は、反射鏡であるポリゴンミラー23により反射され、光学系25を介し光路調整等された後、感光体ドラム9の表面に照射される。反射鏡であるポリゴンミラー23は6面体のミラーであり、回転することにより、ポリゴンミラー23の一面で反射したレーザ光14が、感光体ドラム9の主走査方向に走査されるように構成されている。
【0052】
尚、カラー印刷を行う場合には、各色、即ち、Y、M、C、BKに対応した4つのレーザーダイオードを用い、各々のレーザーダイオードから出射される光を2色ずつの露光ビームに分けてポリゴンミラー23の対向する反射面を用いることにより、各々の色に対応した異なる4つの感光体ドラムにレーザ光を照射し、露光することにより可能となる。
【0053】
また、光学系25は、通常ポリゴンミラー23において反射したレーザ光14を等間隔に揃える、f−θレンズと、レーザ光を偏向する偏向ミラーにより構成されている。フォトダイオード33は感光体ドラム9の主走査方向の終端に設置されており、図9に示すようにレーザ光14の光路に対し、θが90°となるように設置されている。
【0054】
図10に露光器11を水平方向からみた図を示す。反射鏡であるポリゴンミラー23は6面体のミラーが2段により構成されており、上段のポリゴンミラー23aはBK(ブラック)に対応する光を走査するためのものであり、下段のポリゴンミラー23bはY(イエロー)に対応する光を走査するためのものである。同期検知を実施する場合、BKとYは同じ方向の面を用いているため、上段又は下段のポリゴンミラーのうち一方のみ同期検知を実施すれば、その結果はもう一方のポリゴンミラーにおいても用いることができる。
【0055】
このような構成の露光器11において、レーザーダイオード24BKより出射したレーザ光はコリメートレンズ34BKにより光収束され、ハーフミラー又はビームスプリッタ等の分光器35により分光され、分光された光のうち一方のレーザ光は直進しポリゴンミラー23aを照射し、他方の光はコリメートレンズ34Yにより光収束され、レーザーダイオード24Yの内部におけるフォトダイオード29Yに入射する。この際、レーザーダイオード24Yは発光していないため、レーザ光同士が干渉することなくフォトダイオード29Yにおいてレーザ光の光信号を検出することができる。
【0056】
このようにして検出した信号を第1の実施の形態において説明した方法と同様の方法により同期検知信号を生成する。尚、本実施の形態におけるコリメートレンズ34Yはレーザーダイオード24Yから分光器35により分光されたレーザ光についても光収束させる特性を有している。
【0057】
このような構成のカラー画像形成装置において、開始端となる位置に設けられるフォトダイオードとしてフォトダイオード29Yを用い、終端となる位置に設けられているフォトダイオード33とにより、フォトダイオード29Yにより受光検出した時間からフォトダイオード33により受光検出した時間の時間差を算出し、この時間差に基づき主走査倍率補正を行う。
【0058】
本実施の形態では、二つのフォトダイオードのうち一方のフォトダイオードをレーザーダイオードに内蔵されているフォトダイオードを用いることにより、使用するフォトダイオードの数を1つ減らすことができ、カラー画像形成装置のコストを低下させることができる。
【0059】
尚、光学系の異常検知の方法は第1の実施の形態と同様の方法により行う。
【0060】
また、第1から第3の実施の形態におけるカラー画像形成装置において、各々の形態における方法を組み合わせることが可能である。
【0061】
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1及び第2の実施の形態におけるカラー画像形成装置における副走査方向の位置ズレ及び補正を行うための方法に関するものである。
【0062】
本実施の形態について、図11に基づき説明する。
【0063】
最初に、ステップ102(S102)において、ポリゴンミラー23を回転させるためのポリゴンモーターを回転させる。
【0064】
次に、ステップ104(S104)において、レーザーダイオード24を点灯させる。
【0065】
次に、ステップ106(S106)において、レーザーダイオード24に内蔵されているフォトダイオード29にレーザ光が入射したか否かが判断される。フォトダイオード29にレーザ光が入射した場合にはステップ108に移行する。一方、フォトダイオード29にレーザ光が入射していない場合にはステップ106に移行する。
【0066】
次に、ステップ108(S108)において、フォトダイオード29にレーザ光が入射してからフォトダイオード26に光が入射するまでの時間がカウントされる。これにより、フォトダイオード29にレーザ光が入射してからフォトダイオード26に光が入射するまでの時間差を計測する。
【0067】
次に、ステップ110(S110)において、画像書き込み位置の算出が行われる。
【0068】
次に、ステップ112(S112)において、画像書き込み位置の設定が行われる。
【0069】
次に、ステップ114(S114)において、フォトダイオード26にレーザ光が入射したか否かが判断される。フォトダイオード26にレーザ光が入射した場合にはステップ116に移行する。一方、フォトダイオード26にレーザ光が入射していない場合にはステップ114に移行する。
【0070】
次に、ステップ116(S116)において、副走査方向の位置ズレ補正量の算出が行われる。
【0071】
次に、ステップ118(S118)において、副走査方向の位置ズレ補正が行われる。
【0072】
以上により副走査方向の位置ズレ検出及び補正が終了する。
【0073】
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は第3の実施の形態におけるカラー画像形成装置において、主走査倍率補正量の算出と補正を行うための方法に関するものである。
【0074】
本実施の形態について、図12に基づき説明する。
【0075】
最初に、ステップ202(S202)において、ポリゴンミラー23を回転させるためのポリゴンモーターを回転させる。
【0076】
次に、ステップ204(S204)において、レーザーダイオード24BKを点灯させる。
【0077】
次に、ステップ206(S206)において、レーザーダイオード24Yに内蔵されているフォトダイオード29Yにレーザ光が入射したか否かが判断される。フォトダイオード29Yにレーザ光が入射した場合にはステップ208に移行する。一方、フォトダイオード29Yにレーザ光が入射していない場合にはステップ206に移行する。
【0078】
次に、ステップ208(S208)において、フォトダイオード29Yにレーザ光が入射してからフォトダイオード33に光が入射するまでの時間がカウントされる。これにより、フォトダイオード29Yにレーザ光が入射してからフォトダイオード33に光が入射するまでの時間差を計測する。
【0079】
次に、ステップ210(S210)において、画像書き込み位置の算出が行われる。
【0080】
次に、ステップ212(S212)において、画像書き込み位置の設定が行われる。
【0081】
次に、ステップ214(S214)において、フォトダイオード33にレーザ光が入射したか否かが判断される。フォトダイオード33にレーザ光が入射した場合にはステップ216に移行する。一方、フォトダイオード33にレーザ光が入射していない場合にはステップ214に移行する。
【0082】
次に、ステップ216(S216)において、副走査方向の位置ズレ補正量の算出が行われる。
【0083】
次に、ステップ218(S218)において、副走査方向の位置ズレ補正が行われる。
【0084】
以上により、主走査倍率補正量の算出と補正が終了する。
【0085】
尚、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0086】
1 用紙トレイ
2 給紙ローラ
3 分離ローラ
4 用紙(記録紙)
5 搬送ベルト
6Y、6M、6C、6BK 画像形成部
7 駆動ローラ
8 従動ローラ
9Y、9M、9C、9BK 感光体ドラム
10Y、10M、10C、10BK 帯電器
11 露光器
12Y、12M、12C、12BK 現像器
13Y、13M、13C、13BK 除電器
14Y、14M、14C、14BK レーザ光
15Y、15M、15C、15BK 転写器
16 定着器
17、18、19 センサ
21 2次転写位置
22 2次転写ローラ
23 ポリゴンミラー
24 レーザーダイオード
25 光学系
26 フォトダイオード
28 レーザーチップ
29 フォトダイオード
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開2008−40238号公報
【特許文献2】特開2002−277774号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーダイオードと、
前記レーザーダイオードから発せられたレーザ光を反射し走査するために回転するポリゴンミラーと、
前記ポリゴンミラーにより反射されたレーザ光を受光する受光素子と、
を有し、
前記レーザーダイオードに内蔵されている内蔵受光素子と、前記受光素子とにより前記レーザ光を受光し、
前記像坦持体に照射されるレーザ光による色ずれ量の補正を行うため前記内蔵受光素子と前記受光素子の受光時間の時間差を計測することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記受光素子は、前記受光素子に入射するレーザ光に対し傾いて設置されており、
前記受光時間の時間差に基づき、前記像担持体における副走査方向の位置ズレの検出及び補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記受光素子は、前記受光素子に入射するレーザ光に対し垂直に設置されており、
前記受光時間の時間差に基づき、前記像担持体における主走査倍率補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記受光素子は、前記像担持体の走査方向の延長線上に設けられていることを特徴とする請求項1から3に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記レーザーダイオードは複数設けられており、
第1のレーザーダイオードにより発せられたレーザ光を、第2のレーザーダイオードに内蔵されている内蔵受光素子により受光することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項6】
前記第1のレーザーダイオードにより発せられたレーザ光は、分光器を介しポリゴンミラーを照射し、前記ポリゴンミラーからの反射光を前記分光器により分光され、前記分光された反射光は、前記他のレーザーダイオードに内蔵されている内蔵受光素子に入射することを特徴とする請求項5に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記他のレーザーダイオードの光路上に設けられたレーザ光用光学素子であって、
前記レーザ光用光学素子は、前記他のレーザーダイオードより発せられたレーザ光を収束させ、前記ポリゴンミラーに照射するとともに、前記第1のレーザーダイオードより発せられた後、前記分光器により分光されたレーザ光を収束させ、前記他のレーザーダイオードにおける内蔵受光素子に入射させるものであることを特徴とする請求項6に記載の光走査装置。
【請求項8】
前記内蔵受光素子は、受光信号出力が所定の閾値レベルを超えた第1の時間と、前記閾値レベルを超えた後、前記所定の閾値レベル満たなくなる第2の時間とに基づき、前記第1の時間と前記第2の時間の中間の時間を同期検知信号とし、前記同期検知信号に基づき書き込み開始位置を算出することを特徴とする請求項1から7に記載の光走査装置。
【請求項9】
前記ポリゴンミラーにより反射されたレーザ光を円筒状の像担持体に照射し走査することにより潜像を形成するための光学素子を有するものであって、
前記光学素子及び前記ポリゴンミラーにおける異常を検知するため前記内蔵受光素子の受光信号に対し2以上の閾値レベルを設け、
前記内蔵受光素子が受光する受光信号のピークの値が、前記2以上の閾値レベルのうち一方の閾値レベル以下である場合、または、前記内蔵受光素子が受光する受光信号のピークの値が、前記一方の閾値レベルよりも高い他の閾値レベル以上である場合には、前記光学素子及び前記ポリゴンミラーの異常を検出することを特徴とする請求項1から8に記載の光走査装置。
【請求項10】
請求項1から9に記載された光走査装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−217728(P2010−217728A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66451(P2009−66451)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】