説明

光走査装置

【課題】 光学部品の組立誤差、製造誤差によるピッチ間隔の変動を抑制することを可能にした光走査装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも主走査方向に離間した複数の発光点を備えた光源と、光源からの複数の光束を偏向させる偏向手段と、偏向手段で偏向された複数の光束を被走査面上に結像させる結像光学系とを有し、結像光学系は、複数の発光点のうち最も主走査方向に離間した2つの発光点からの光束の主光線をA、Bとし、有効走査域全域において、副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面上での主光線AとBの主走査断面内における離間量D(mm)は、D≧0.35を満足し、主走査断面内において、副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面の主光線AとBの中央線Lの射出位置における法線と中央線Lとの成す角をΔθ(rad)とした時、副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面の主走査断面内の形状は、|Δθ|≦0.1/Dを満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光走査装置に関し、特に複数の光束を偏向走査することで潜像を形成し、トナー等により可視化した像を転写部材に転写、定着させることで画像情報の記録を行うレーザビームプリンタやデジタル複写機等の画像形成装置に好適な光走査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の光束を偏向走査することで潜像を形成する光走査装置は、電子写真プロセスを有するレーザビームプリンタやデジタル複写機等に広く利用されている。図14は、従来の光走査装置の主走査(被走査面上をレーザビームが走査する方向)断面図を示している。複数の発光点を有する光源手段10からは画像情報に応じて変調され明滅する複数の光束が射出され、コリメータレンズ20を通過した後、シリンドリカルレンズ30に入射する。シリンドリカルレンズ30は、主走査方向と光軸の双方に直行する副走査方向にのみパワーを有しており、シリンドリカルレンズ30を通過した各光束は開口絞り40により光束幅を制限され、偏向手段であるポリゴンミラー50の反射面51の近傍に主走査方向に長い線像として結像される。ポリゴンミラー50により反射偏向された各光束は、結像光学系60により感光ドラム面等の被走査面70上に光スポットとして結像され、ポリゴンミラー50が回転することにより被走査面70上を光スポットが走査することで潜像を形成する。
【0003】
しかしながら、光源手段10や結像光学系60等の光学部品に製造時や組立時に傾きやシフトといった製造誤差・組立誤差が生じると、複数の光束が被走査面70上で光スポットとして結像される位置に設計値からのズレが発生する。特に副走査方向のズレ量については、主走査方向の走査位置によりズレ量が異なると共に各々の光束毎にそのズレ量が異なるために、主走査方向の走査位置に応じて各光束が被走査面70上に描く走査線の副走査方向の間隔(以下、ピッチ間隔と称す)にムラが生じる。
【0004】
この問題を解決する為に、例えば特許文献1では結像光学系のfθ係数、隣り合う発光点の主走査方向の間隔に応じて、コリメータレンズの焦点距離を長くし、主走査方向の光束幅を制限する主走査絞りを偏向手段であるポリゴンミラーに近づけることで隣接した2光束の主走査方向の間隔を狭めて結像光学系を構成する結像レンズ面での入射角差を低減することで、組立誤差・製造誤差によるピッチ間隔の変動量を抑える方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−147388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、コリメータレンズの焦点距離、及び主走査絞りの位置に制限があり、入射光学系の設計自由度が落ちてしまう。
そこで、本発明の目的は、コリメータレンズの焦点距離や主走査絞りの位置に制限を設けることなく、光学部品の製造誤差・組立誤差によるピッチ間隔の変動を低減した光走査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも主走査方向に離間した複数の発光点を備えた光源手段と、前記光源手段からの複数の光束を偏向させる偏向手段と、前記偏向手段により偏向された複数の光束を被走査面上に結像させる結像光学系と、を有し、前記結像光学系は、前記複数の発光点のうち最も主走査方向に離間している2つの発光点から射出される光束の主光線を各々A、Bとし、前記主光線A、Bの中央を通る線である中央線をLとした時、有効走査域全域において、副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面上での前記主光線AとBの主走査断面内における離間量D(mm)は、
【数1】

を満足し、主走査断面内において、前記副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面の前記中央線Lの射出位置における法線と前記中央線Lとの成す角をΔθ(rad)とした時、前記副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面の主走査断面内の形状は、
【数2】

を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コリメータレンズの焦点距離や主走査絞りの位置に制限を設けることなく、光学部品の組立誤差、製造誤差によるピッチ間隔の変動を抑制した光走査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施例の光走査装置の主走査断面図
【図2】第1の実施例の2光束の主光線の光路の主走査断面図
【図3】第1の実施例の2光束の主光線の光路とその中央を通る中央線の主走査断面拡大図
【図4】第1の実施例の最も主走査方向に離間した2光束の離間量を示すグラフ
【図5】第1の実施例の中央線Lと面法線の成す角のグラフ
【図6】第1の実施例のサグ量dXと離間量Dの比を示すグラフ
【図7】第1の実施例の製造・組立誤差によるピッチ間隔の変動量を示すグラフ
【図8】本発明の第2の実施例の光走査装置の主走査断面図
【図9】第2の実施例の最も主走査方向に離間した2光束の離間量を示すグラフ
【図10】第2の実施例の中央線Lと面法線の成す角のグラフ
【図11】第2の実施例のサグ量dXと離間量Dの比を示すグラフ
【図12】第2の実施例の製造・組立誤差によるピッチ間隔の変動量を示すグラフ
【図13】第2の実施例の副走査倍率の一様性を示すグラフ
【図14】従来の光走査装置の主走査断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の第1の実施例の光走査装置の主走査断面図である。複数の発光点を有する光源手段である半導体レーザアレイ10の各々の発光点から射出された複数の光束は、張り合わせレンズからなるコリメータレンズ20により各々が略平行な光束に変換される。コリメータレンズ2から射出された各光束は、副走査方向にのみパワーを有するシリンドリカルレンズ30に入射し、副走査方向にのみ屈折されて主走査断面内では略平行光束のまま、副走査断面内においては収束光として射出される。その後、各光束は開口絞り40により光束幅を制限された後、偏向手段であるポリゴンミラー50の反射面51の近傍に主走査方向に長い線像として結像される。ポリゴンミラー50により偏向反射された各光束は結像光学系60により被走査面である感光ドラム面70上(被走査面上)に光スポットとして結像される。ポリゴンミラー50が図中矢印方向に回転することにより感光ドラム面70上を光スポットが走査し、静電潜像を形成する。
【0012】
本発明の光走査装置は、複数の発光点のうち最も主走査方向に離間している2つの発光点から射出される光束の主光線をA、Bとし、主光線AとBの中央を通る線である中央線をLとした時、有効走査域全域において、副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面上での主光線AとBの主走査断面内における離間量D(mm)が、
【数3】

を満足し、かつ、主走査断面内において、副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面の中央線Lの射出位置における法線と中央線Lとの成す角をΔθ(rad)とした時、副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面の主走査断面内の形状が、
【数4】

を満足するように構成している。
【0013】
このように結像光学系60の光学面を構成することで、製造誤差・組立誤差によるピッチ間隔の変動量に対する結像レンズ62の敏感度を低減することが出来る。表1に、第1の実施例の光走査装置における走査光学系の諸数値を示す。ここで半導体レーザアレイ10は100(μm)間隔で並んだ4つの発光点を有しており、感光ドラム面70上で副走査方向に関して解像度に応じた画素密度となるように光軸周りに3.886(deg)だけ回転されている。この時、最も主走査方向に離間した2つの発光点は、主走査方向に299.310(μm)、副走査方向に20.331(μm)離間している。結像光学系60を構成する結像レンズ61、及び62の各光学面61a〜62bは主走査断面内の形状(母線形状)が表1に示された係数を用いて、
【数5】

により与えられる。ここで光軸と光学面との交点を原点とし、光軸方向をX軸、主走査断面内においてX軸と直行する方向をY軸としている。
【0014】
副走査断面内の形状(子線形状)は円弧で、Y軸に沿ってその曲率半径が変化しており、その曲率半径の変化は次式で与えられる。
【数6】

【0015】
【表1】

【0016】
副走査断面内の曲率半径の変化の仕方はレーザ側(図1における上側)と反レーザ側(図1における下側)で異なっており、レーザ側の係数には添え字uを附し、反レーザ側の係数には添え字lを附している。結像レンズ62の光学面62bに副走査方向のパワーが集中しており、副走査方向のパワーの絶対値を光学面62bが大きくすることで製造誤差・組立誤差によるピッチ間隔の変動量に対する他の光学面61a、61b、62aの敏感度を低減させることが出来る。より好ましくは、結像光学系の結像光学素子のうち副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面の副走査方向のパワーφs、結像光学系のすべての光学面のパワーを合成した副走査方向のパワーφtは、
【数7】

を満足するのが良い。本実施例においては、
【数8】

である。
【0017】
図2は、半導体レーザアレイ10の4つの発光点のうち最も主走査方向に離間した2つの発光点からの各光束の任意の走査位置での主光線AとBの主走査断面内における光路図である。2つの発光点は主走査方向に離間しているため、コリメータレンズ2から射出される主光線AとBは各々光軸に対してある角度を有している。シリンドリカルレンズ30を通過後、主光線AとBは開口絞り40の中央で交差して、ポリゴンミラー50の反射面51にある間隔をもって到達する。ポリゴンミラー50により反射偏向された主光線AとBは、結像光学系60を介して感光ドラム面70に到達する。この際、感光ドラム面70上の同一走査位置に到達するよう書き出しタイミングを微小時間ずらし、主光線AとBに対するポリゴンミラー50の回転角を微小角異ならせている。主光線AとBはポリゴンミラー50の反射面51上で主走査方向に離間しているため、結像光学系60を構成する結像レンズ61、62の各光学面61a〜62b上においても主走査方向に離間している。
【0018】
図3は、任意の走査位置における結像レンズ62に入射してから感光ドラム面70に至るまでの主光線AとBの光路及び、主光線AとBの中央を通る線である中央線Lの主走査断面拡大図である。主光線AとBは、結像光学系60の副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面である光学面62b上において主走査方向に離間している。その離間量D(mm)は走査位置ごとに異なっており、有効走査域全域において[数3]を満たしている。この時、主走査断面内において、走査位置ごとに中央線Lと、結像光学系60の副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面である光学面62bの交点における光学面62bの法線Nと、中央線Lとの成す角Δθ(rad)が、有効走査域全域において[数4]を満たすように光学面62bの母線形状を構成している。このように結像光学系60を構成することで、製造誤差・組立誤差によるピッチ間隔の変動量に対する結像レンズ62の敏感度を低減することが出来る。
【0019】
好ましくは、主光線AとBのうち光軸に近い側を通過する主光線(図3では主光線B)と他方の主光線(図3では主光線A)の光軸方向に沿った面のサグ量(通過位置の差)dXと、離間量Dとの比dX/Dが軸上から周辺部へ向かって減少するように、副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面である光学面62bの母線形状を構成することが望ましい。光学面62bへの入射光線の角度が周辺部ほど大きくなるため、出射光線の角度も周辺部ほど大きくなる。従ってΔθを小さくするためには、光学面62bの母線形状を軸上から周辺部へ向かってポリゴンミラー50へ近づく形状とし、面法線の角度を大きくする必要がある。このためdX/Dを軸上から周辺部に向かって減少するように光学面62bの母線形状を構成するのが良い。但し、dXは被走査面に向かう方向を正とする。さらに好ましくは、本実施例のように軸上(走査位置0mm)以外の少なくとも1つの点でΔθが0となっていることが望ましい。
【0020】
図4に、従来の光走査装置と実施例1の光装置の最も主走査方向に離間した2つの発光点から射出された光束の主光線AとBの光学面62b上における走査位置ごとの主走査方向の離間量Dを示す。最小値は0.373(mm)であり式(1)を満足している。
【0021】
図5は、従来の光走査装置と実施例1の光装置の主走査断面内において主光線AとBの中央を通る中央線Lと光学面62bの交点における光学面62bの法線と、中央線Lとの成す角Δθ(rad)の走査位置ごとでのグラフである。Δθの値は、従来例よりも小さく抑えられており有効走査域全域で式(2)を満たしている。また、図4から分かるように離間量Dは軸外へいくほど大きくなっているため、軸上以外にΔθが0となる点があるように構成することで軸外でのピッチ間隔の変動量をより抑えることが可能である。
【0022】
図6は、実施例1の光走査装置の主光線A、B間の面のサグ量dXと離間量Dとの比を示すグラフである。dX/Dが周辺部に向かって減少していることが分かる。従って、光学面62bの各主走査位置における面法線の角度は、周辺部に向かって大きくなっている。
【0023】
図7は、従来の光走査装置と実施例1の光走査装置の、結像レンズ61が−0.1(mm)、結像レンズ62が+0.1(mm)それぞれ副走査方向にシフトした時のピッチ間隔の設計値からの変動量を走査位置ごとに描いたグラフである。図4から分かるように離間量Dは従来例と実施例1とでほぼ同等であるが、図5から分かるように従来例ではΔθが大きく有効走査域全域では式(2)を満たしていないためピッチ間隔の変動量が大きくなってしまっている。しかし、実施例1では副走査方向のパワーを光学面62bに集中させることでピッチ間隔の変動量に対する光学面61a、61bおよび62aによる敏感度を低減し、主走査断面内において光学面62bの法線と中央線Lの成す角Δθを有効走査域全域で式(2)を満たすように抑えてピッチ間隔の変動量に対する光学面62bによる敏感度を低減したことで、製造誤差・組立誤差によるピッチ間隔の変動量を低減出来ていることが分かる。
【実施例2】
【0024】
図8は、本発明の第2の実施例の光走査装置の主走査断面図である。実施例1と異なる点は、結像レンズ61の主走査方向のパワーを小さくし、結像レンズ62の主走査方向のパワーを大きくすることで、レンズ面62bの曲率を実施例1のように大きくせずにピッチ間隔の変動量を低減させている。
【0025】
表2は、第2の実施例の光走査装置における走査光学系の諸数値を示す表である。半導体レーザアレイ10は、100(μm)間隔で並んだ4つの発光点を有しており、光軸周りに4.124(deg)回転され、最も主走査方向に離間した2つの発光点は主走査方向に299.223(μm)、副走査方向に21.575(μm)離間している。
【0026】
【表2】

【0027】
図9に、従来の光走査装置と実施例1の光装置の最も主走査方向に離間した2つの発光点から射出された光束の主光線AとBの光学面62b上における走査位置ごとの主走査方向の離間量Dを示す。最小値は0.425(mm)であり式(1)を満足しており、従来例の離間量Dよりも大きくなっている。
【0028】
図10は、従来の光走査装置と実施例2の光装置の主走査断面内において、主光線AとBの中央を通る中央線Lと光学面62bの交点における光学面62bの法線と、中央線Lとの成す角Δθ(rad)を主走査位置に対してプロットしたグラフである。Δθの値は従来例よりも小さくなっており有効走査域全域で式(2)を満たしている。また、軸上以外にΔθが0となる点を有する。
【0029】
図11は、実施例2の光装置の主光線A、B間の面のサグ量dXと離間量Dとの比を示すグラフである。dX/Dが周辺部に向かって減少していることが分かる。従って、光学面62bの各主走査位置における面法線の角度は、周辺部に向かって大きくなっている。
【0030】
図12は、従来の光走査装置と実施例2の光装置の、結像レンズ61が−0.1(mm)、結像レンズ62が+0.1(mm)それぞれ副走査方向にシフトした時のピッチ間隔の設計値からの変動量を走査位置ごとに描いたグラフである。副走査方向のパワーを光学面62bに集中させ、主走査断面内において光学面62bの法線と中央線Lの成す角Δθを式(2)を満たすように抑えたことでピッチ間隔の変動量を低減出来ていることが分かる。光学面62bの副走査方向のパワーφsと結像レンズ61および62の4つの光学面の副走査方向のパワーを合成した副走査方向のパワーφtは、式(5)を満たしており、
【数9】

である。
【0031】
軸上における副走査方向の結像倍率βs、有効走査域における軸上以外の任意の走査位置での副走査方向の結像倍率βaは、
【数10】

を満足することが好ましい。図13は、第2の実施例の光走査装置における、(βa-βs)/βsの値を主走査位置に対してプロットしたグラフであり、式(6)を満足させるようにしている。(βa-βs)/βsは、有効走査域における副走査方向の結像倍率の一様性を表したものであり、式(6)を満足させることで製造誤差・組立誤差がない状態での走査位置ごとのピッチ間隔のムラを抑えることができる。製造誤差・組立誤差がない状態でのピッチ間隔のムラを小さく抑え、製造誤差・組立誤差によるピッチ間隔の変動量を低減させることで全体としてピッチ間隔のムラを小さく抑えている。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明した。光源手段として100(μm)間隔で並んだ4つの発光点を有する半導体レーザアレイを用いたが、これに限定するものではなく発光点の配列は1次元に配列されていても2次元に配列されていてもよく、発光点同士の間隔や発光点の数も変更可能である。その際には、全ての発光点のうち最も主走査方向に離間した2つの発光点について、上述した各条件を満足させれば良い。
【0033】
また、上記の実施例においては、最も被走査面側の結像レンズの光学面は、副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面であって主走査断面内の形状が非球面形状である場合を例示したように、副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面を有する結像光学素子の少なくとも1つの面は、主走査断面内の形状が非球面形状であってもよい。しかし、本発明はこれに限定されることはなく、副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面を有する結像光学素子の主走査断面内の形状は非球面に限らず式(2)を満足すれば球面でも良い。
【0034】
結像光学系は2つの結像レンズにより構成したが、たとえば1つの結像レンズでも良い。その場合は、その1つの結像レンズの入射面と出射面の一方について副走査方向のパワーを大きくし、上述した各条件を満足させれば良い。あるいは3つ以上の結像レンズでも良く、その場合は最も副走査方向のパワーの絶対値が大きい光学面について各条件を満足させれば良い。
【符号の説明】
【0035】
10 半導体レーザアレイ
20 コリメータレンズ
30 シリンドリカルレンズ
40 開口絞り
50 ポリゴンミラー
51 ポリゴンミラーの反射面
60 結像光学系
61 1つめの結像レンズ(61a:入射面、61b:射出面)
62 2つめの結像レンズ(62a:入射面、62b:射出面)
70 感光ドラム面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも主走査方向に離間した複数の発光点を備えた光源手段と、
前記光源手段からの複数の光束を偏向させる偏向手段と、
前記偏向手段により偏向された複数の光束を被走査面上に結像させる結像光学系と、
を有し、
前記結像光学系は、
前記複数の発光点のうち最も主走査方向に離間している2つの発光点から射出される光束の主光線をA、Bとし、前記主光線AとBの中央を通る線である中央線をLとした時、
有効走査域全域において、副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面上での前記主光線AとBの主走査断面内における離間量D(mm)は、
【数1】

を満足し、
主走査断面内において、前記副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面の前記中央線Lの射出位置における法線と前記中央線Lとの成す角をΔθ(rad)とした時、
前記副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面の主走査断面内の形状は、
【数2】

を満足する、
ことを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面は、主走査断面内において前記離間量Dだけ離れた前記主光線AとBの通過位置における光軸方向に沿った面のサグ量を、該主光線AとBのうち光軸に近い側を通過する主光線に対する他方の主光線の光軸方向に沿った通過位置の差、dX(mm)とした時に、dX/Dは軸上から周辺部に向かって減少する、ことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
有効走査域において、軸上以外でΔθが0となる点が少なくとも1つあることを特徴とする請求項1又は2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面を有する結像光学素子の少なくとも1つの面は、主走査断面内の形状が非球面形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光装置。
【請求項5】
前記結像光学系の結像光学素子のうち、前記副走査方向のパワーの絶対値が最も大きい光学面の副走査方向のパワーをφs、前記結像光学系のすべての光学面の副走査方向のパワーを合成した副走査方向のパワーをφtとした時、
【数3】

を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項6】
軸上における副走査方向の結像倍率をβs、有効走査域における軸上以外の任意の走査位置での副走査方向の結像倍率をβaとした時、
【数4】

を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光走査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−114095(P2013−114095A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261148(P2011−261148)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】