説明

光起電力装置及びその製造方法

【課題】本発明の光起電力装置の製造方法は、光起電力装置の劣化率を低下させ、安定化効率を高めるためのものである。
【解決手段】一実施形態は、基板と、前記基板の上部に配置された第1電極と、前記第1電極の上部に受光層を含む少なくとも一つ以上の光電変換層と、前記光電変換層の上部に配置された第2電極とを含み、前記少なくとも一つの光電変換層に含まれた受光層は、水素化された非晶質シリコン系を含む第1副層と、結晶性シリコン粒子を含む第2副層とを含む光起電力装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電力装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、石油や石炭のような既存のエネルギー資源の枯渇が予測され、これらを代替する代替エネルギー源に関する関心が高まっている。その中でも太陽光エネルギーは、エネルギー資源が豊富であり、環境汚染に対する問題点がないため、特に注目されている。
【0003】
太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換させる装置が、光起電力装置、即ち、太陽電池である。光起電力装置は、主に半導体接合の光起電力現象を用いる。即ち、p型とn型の不純物でそれぞれドーピングされた半導体pin接合に光が入射され吸収されると、光のエネルギーが半導体内部で電子とホールとを発生させ、内部電界によって、これらが分離されることでpin接合両端に光起電力が発生される。このとき、接合両端に電極を形成し導線を接続すると、電極及び導線を通して外部に電流が流れるようになる。
【0004】
石油のような既存のエネルギー源を太陽光エネルギー源に代替していくためには、時間が経つに従って現れる光起電力装置の劣化率は低く、安定化効率は高くなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の光起電力装置の製造方法は、光起電力装置の劣化率を低下させ、安定化効率を高めるためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による光起電力装置は、基板と、前記基板の上部に配置された第1電極と、前記第1電極の上部に受光層を含む少なくとも一つ以上の光電変換層と、前記光電変換層の上部に配置された第2電極とを含み、前記少なくとも一つの光電変換層に含まれた受光層は、水素化された非晶質シリコン系を含む第1副層と、結晶性シリコン粒子を含む第2副層とを含む。
【0007】
本発明の一実施形態による光起電力装置の製造方法は、基板上に第1電極を形成するステップと、チャンバ内で前記第1電極上に、受光層を含む一つ以上の光電変換層を形成するステップと、前記光電変換層上に第2電極を形成するステップとを含み、前記受光層が形成される間、前記チャンバに流入される原料ガスの水素希釈比は一定であり、前記受光層が形成される間、前記チャンバ内のノズルが形成された電極に第1周波数を有する第1電圧と、前記第1周波数より高い第2周波数を有する第2電圧とが交互に供給されるか、または前記第1電圧が供給しつづけ前記第2電圧が交互に供給される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光起電力装置の製造方法は、光起電力装置の劣化率を低下させ、安定化効率を高め、受光層の特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態による光起電力装置を示した図である。
【図2】本発明の第2実施形態による他の光起電力装置を示した図である。
【図3a】本発明の実施形態による光起電力装置の製造方法を示した図である。
【図3b】本発明の実施形態による光起電力装置の製造方法を示した図である。
【図3c】本発明の実施形態による光起電力装置の製造方法を示した図である。
【図3d】本発明の実施形態による光起電力装置の製造方法を示した図である。
【図3e】本発明の実施形態による光起電力装置の製造方法を示した図である。
【図3f】本発明の実施形態による光起電力装置の製造方法を示した図である。
【図3g】本発明の実施形態による光起電力装置の製造方法を示した図である。
【図3h】本発明の実施形態による光起電力装置の製造方法を示した図である。
【図4】本発明の実施形態によって、受光層を形成するためのプラズマ化学気相蒸着装置を示した図である。
【図5】本発明の実施形態によって、受光層を形成するためにチャンバに供給される第1電源及び第2電源の周波数変化を示した図である。
【図6】本発明の実施形態に含まれた複数の副層を含む受光層を示した図である。
【図7】プロト結晶質シリコン層からなった受光層を示した図である。
【図8】本発明の実施形態によって、受光層を形成するために、チャンバに供給される第1電源及び第2電源のさらに他の周波数変化を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態による光起電力装置を示した図である。
【0011】
図示されるように、光起電力装置は、基板100と第1及び第2電極210、250と光電変換層230と保護層300とを含む。
【0012】
具体的に、基板100上に第1電極210が配置される。第1電極210は、隣接した第1電極間に電気的に短絡されないように、一定間隔で離隔される。光電変換層230は、第1電極間の一定間隔で離隔された領域を覆うように、第1電極210の上部に配置される。第2電極250は、光電変換層230の上部に配置され、第2電極250は隣接した第2電極間に電気的に短絡されないように、一定間隔で離隔される。このとき、第2電極250は、第1電極210と直列接続されるように、光電変換層230を貫通して電気的に接続される。保護層300は、第2電極間に離隔された領域と光電変換層間に離隔された領域とを覆うように、第2電極の上部に配置される。
【0013】
光電変換層230は、pタイプ半導体層231と受光層233とnタイプ半導体層235とを含む。受光層233は、第1副層233aと第1副層233a上に積層された第2副層233bとを含み、第1副層233aは、水素化された非晶質シリコン系を含み、第2副層233bは、結晶性シリコン粒子を含む。
【0014】
図2は、本発明の第2実施形態による他の光起電力装置を示した図である。
【0015】
図2の光起電力装置については、図1に示された光起電力装置とほとんど類似しているため、同一の構造に対しては省略することにする。図2で、光電変換層230は、第1光電変換層230−1と第1光電変換層の上部に配置された第2光電変換層230−2とを含み、第1光電変換層及び第2光電変換層は、pタイプ半導体層231−1、231−2と受光層233−1、233−2とnタイプ半導体層235−1、235−2とを含む。
【0016】
受光層233−1、233−2は、第1副層233−1a、233−2aと第1副層の上部に積層された第2副層233−1b、233−2bからなる。このとき、第1光電変換層230−1に含まれた受光層233−1は、水素化された非晶質シリコン系を含む第1副層233−1aと、結晶質シリコン粒子を含む第2副層233−1bとを含む。第2光電変換層230−2に含まれた受光層233−2は、水素化されたマイクロ結晶質シリコンゲルマニウムを含む第1副層233−2aと、水素化されたマイクロ結晶質シリコンを含む第2副層233−2bとを含む。
【0017】
本実施形態では、光電変換層を2つに限定したが、3つ以上を含むことができ、3つの光電変換層のうち、光が入射される側面から遠く離れた2番目、或いは3番目の光電変換層は、水素化されたマイクロ結晶質シリコンゲルマニウムを含む第1副層と、水素化されたマイクロ結晶質シリコンを含む第2副層とを有する受光層を含むことができる。
【0018】
このような第1及び第2実施形態による光起電力装置については、以下に説明する光起電力装置の製造方法でさらに詳しく説明することにする。
【0019】
図3a乃至図3hは、本発明の実施形態による光起電力装置の製造方法を示す。
【0020】
図3aに示されるように、まず、基板100が用意される。基板100は、絶縁性透明基板100であることができる。
【0021】
図3bに示されたように、基板100上に第1電極210が形成される。本発明の実施形態で、第1電極210は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成されることができ、酸化錫(SnO)や酸化亜鉛(ZnO)のような透明伝導性酸化物(TCO:Transparent Conductive Oxide)からなることができる。
【0022】
図3cに示されるように、レーザーが第1電極210側や基板100側に照射され第1電極210がスクライブ(scribe)される。これによって、第1電極210に第1分離溝220が形成される。即ち、第1分離溝220は、第1電極210を貫通するため、隣接した第1電極210の間の短絡が防止される。
【0023】
図3dに示されるように、第1電極210と第1分離溝220とを覆うように、受光層を含む一つ以上の光電変換層230がCVD法で積層される。このとき、各光電変換層230は、pタイプ半導体層と受光層とnタイプ半導体層とを含む。pタイプ半導体層の形成のために、モノシラン(SiH)のようにシリコンを含む原料ガスと、Bのように3族元素を含む原料ガスとが反応室に混入されると、CVD法によってpタイプ半導体層が積層される。その後、シリコンを含む原料ガスが反応室に流入されると、CVD法によって受光層がpタイプ半導体層上に形成される。受光層の形成方法については、以下に詳しく説明される。最後に、PHのように5族元素を含む反応ガスとシリコンを含む原料ガスとが混入されると、CVD法によってnタイプ半導体層が真性半導体層上に積層される。これによって、第1電極210上にpタイプ半導体層と受光層とnタイプ半導体層とが順次に積層される。
【0024】
本発明の実施形態による受光層は、一つの光電変換層230を含む単一接合の光起電力装置に含まれるか、複数の光電変換層を含む多重接合の光起電力装置に含まれることができる。
【0025】
図3eに示されるように、大気中でレーザーが基板100側や光電変換層230側に照射され光電変換層230がスクライブされる。これによって、光電変換層230に第2分離溝240が形成される。
【0026】
図3fに示されるように、CVDやスパッタリング方法で光電変換層230及び第2分離溝240を覆う第2電極250が形成される。第2電極250は、AlやAgのような金属電極であることができる。
【0027】
図3gに示されるように、大気中でレーザーが照射され光電変換層230及び第2電極250がスクライブされる。これによって、光電変換層230及び第2電極250に対して第3分離溝270が形成される。
【0028】
図3hに示されるように、光電変換層230と第1電極210と第2電極250とを含む光起電力セル200を保護するために、保護層300がラミネーション工法によって光起電力セル200の一部、または全部を覆う。保護層300は、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)を含むことができる。
【0029】
このような工程を通して保護層300が形成された光起電力セル200が用意され、保護層上にはバックシート(図示しない)が形成されることができる。
【0030】
次に、図面を参照して受光層の製造方法が詳しく説明される。
【0031】
図4は、本発明の実施形態によって、受光層を形成するためのプラズマ化学気相蒸着装置を示す。図4に示されたように、第1電極210及びpタイプ半導体層231が形成された基板100が、電極の役割を果たすプレート300上に位置する。
【0032】
また、受光層の形成工程以前にチャンバ310内部の不純物を除去するために、真空ポンプ320が動作し、これによって、アングルバルブ330を通してチャンバ310内部の不純物が除去され、チャンバ310内部は、実質的に真空状態になる。
【0033】
チャンバ310内部が実質的に真空状態になると、水素(H)及びシランのような原料ガスが、流量調節機MFC1、MFC2、及びノズルが形成された電極340を通してチャンバ310内に流入される。例えば、第1流量調節機MFC1を通して水素が流入され、第2流量調節機(MFC2)を通してシランが流入されることができる。水素は、シランの希釈のために流入され、ステーブラーロンスキー効果(Staebler-Wronski effect)を減少させる。
【0034】
このとき、第1流量調節機MFC1及び第2流量調節機MFC2は、水素及びシランの流量が一定に維持されるように制御され、アングルバルブ330もチャンバ310の圧力が一定に維持されるように制御される。
【0035】
一方、原料ガスが流入され、第1電源E及び第2電源Eがそれぞれ第1周波数f及び第2周波数fを有した電圧を供給すると、電極340とプレート300との間に電位差が発生する。これによって、原料ガスはプラズマ状態になり受光層がpタイプ半導体層231上に蒸着される。
【0036】
図5は、本発明の実施形態によって受光層を形成するために、チャンバ310に供給される第1電源E及び第2電源Eの周波数の変化を示す。第1電源Eは、第1周波数fを有した第1電圧を供給し、第2電源Eは、第2周波数fを有した第2電圧を供給する。このとき、図5に示されるように、第1周波数fを有した第1電圧と第2周波数fを有した第2電圧とが交互に供給される。また、第1電圧が供給される時間t1と第2電圧が供給される時間t2との比は、一定に維持される。
【0037】
上記で説明されたように、水素とシランの流量、チャンバ310の圧力及び互いに異なる周波数を有した電圧が供給される時間の比が一定に維持されることによって、チャンバ310内の水素希釈比、即ち、シランの流量に対する水素の流量の比も一定に維持される。
【0038】
このように、水素希釈比が一定に維持されるため、水素とシランとの流量の変化によるチャンバ310内の渦流形成が防止される。特に、大面積の光起電力装置が製造されるチャンバ310の場合、原料ガスによる渦流が形成される可能性が大きくなるため、水素とシランとの流量及びチャンバ310の圧力の維持は、大面積の光起電力装置の製造をより容易にする。
【0039】
一方、図6に示されるように、複数の副層(sub-layers)233a、233bを含む受光層233が、pタイプ半導体層231上に形成される。即ち、第2周波数fより低い第1周波数fの第1電圧が供給される場合、相対的に速度が遅く蒸着される非晶質シリコンを含む第1副層233aが形成される。また、第1周波数fより高い第2周波数fの第2電圧が供給される場合、相対的に速度が早く蒸着される結晶性シリコン粒子(crystalline silicon grain)を含む第2副層233bが形成される。
【0040】
周波数が高くなるほど、プラズマの密度が高くなって蒸着速度が増加し、電子温度(electron temperature)が低くなって薄膜表面や界面のイオン損傷が減り、結晶成長が容易になる。
【0041】
第1副層233aは、非晶質シリコンを含む水素化された非晶質シリコン副層(hydrogenated amorphous silicon sub-layer)(a-Si:H)であり、第2副層233bは、結晶質シリコン粒子(crystalline silicon grain)を含む水素化されたプロト結晶質シリコン副層(hydrogenated proto-crystalline silicon sub-layer)(pc-Si:H)である。水素化されたプロト結晶質シリコンは、非晶質シリコンがマイクロ結晶質シリコンに相変化する過程で生成される。
【0042】
このように、複数の副層233a、233bを含む受光層233が形成される場合、初期効率及び安定化効率の差異である劣化率が減少するため、発明の実施形態による光起電力装置は高い安定化効率を有することができる。
【0043】
即ち、非晶質シリコンからなった第1副層233aは、第2副層233bの結晶質シリコン粒子が柱状成長(columnar growth)することを妨げる。図7に示されるように、本発明の実施形態と異なり、プロト結晶質シリコン層のみから受光層がなる場合、蒸着が進行されるにしたがって、結晶質シリコン粒子Gの大きさが増加する結晶質シリコン粒子の柱状成長が生じる。
【0044】
このような結晶質シリコン粒子の柱状成長は、正孔や電子のようなキャリア(carrier)の再結合率を増加させるだけでなく、不均一な大きさの結晶質シリコン粒子によって、光起電力装置の効率が安定化効率に到達する時間が増え、安定化効率も低くなる。
【0045】
しかし、本発明の実施形態のように、複数の副層233a、233bを含む受光層233の場合、SRO(Short-Range-Order)及びMRO(Medium-Range-Order)が向上されるため、受光層233の初期劣化が早くなり、安定化効率に到達するための時間が短くなる。従って、安定化効率が高くなる。
【0046】
第1副層233aの非晶質シリコンは、結晶質シリコン粒子の柱状成長を妨げて第2副層233bの結晶質シリコン粒子の大きさを均一にするため、光起電力装置の効率が安定化効率に到逹する時間が減るだけでなく、高い安定化効率を有することができる。さらに、蒸着期間の間に、実質的に一定に維持されるチャンバ310内の水素希釈比も第2副層233bの結晶性シリコン粒子の大きさを一定にするため、安定化効率に到逹する時間が減り、高い安定化効率を有することができる。
【0047】
また、第2副層233bの結晶質シリコン粒子は、非晶質シリコンによって覆われているため、互いに分離されている。分離された結晶質シリコン粒子は、捕獲されたキャリアの一部の放射性再結合の中心の役割を果たすため、未結合手の光生成を妨げ、これは結晶質シリコン粒子を囲む第2副層233bの非晶質シリコンの非放射性の再結合を減少させる。
【0048】
一方、上記で説明されたように、本発明の実施形態では、photo-CVDの代りにプラズマ化学気相蒸着方法が用いられる。photo-CVDの場合、大面積の光起電力装置の製造に適合しないだけでなく、蒸着が進行されるほど、photo-CVDの装置の石英窓に薄膜が蒸着されて透過されるUV光が減る。
【0049】
これによって、蒸着率が漸次低くなって第1副層233a及び第2副層233bの厚さが漸次減少する。反面に、プラズマ化学気相蒸着方法は、このようなphoto-CVD方法の短所を克服することができる。
【0050】
図8は、本発明の実施形態によって受光層を形成するために、チャンバに供給される第1電源及び第2電源のさらに他の周波数変化を示す。
【0051】
図8に示されたように、第1周波数fを有した電圧は、蒸着期間の間に供給しつづけ、第1周波数fより高い第2周波数fを有した電圧は、交互に供給される。これによって、蒸着期間は、第1周波数fを有した電圧が供給される時間t1と、第1周波数f及び第2周波数fを有した電圧が供給される時間t2とを含む。
【0052】
図8の周波数変化によって、電圧が供給されることで第2周波数fより低い第1周波数fの第1電圧が供給される場合、相対的に速度が遅く蒸着される非晶質シリコンを含む第1副層233aが形成される。また、第1周波数fより高い第2周波数fの第2電圧が第1電圧とともに供給される場合、相対的に速度が早く蒸着される結晶性シリコン粒子(crystalline silicon grain)を含む第2副層233bが形成される。
【0053】
このような第1副層233a及び第2副層233bを含む受光層が形成されるため、初期効率及び安定化効率の差異である劣化率が減少するため、本発明の実施形態による光起電力装置は、高い安定化効率を有することができる。
【0054】
図5の周波数変化にしたがって電圧が供給される場合、第1周波数fを有した第1電圧の供給開始時点と第2周波数fを有した第2電圧の供給終了時点とが適切にマッチングされなければならない。また、第1電圧の供給終了時点と第2電圧の供給開始時点も適切にマッチングされなければならない。
【0055】
これに比べて、図8の周波数変化にしたがって電圧が供給される場合、相対的に低い第1周波数fを有した第1電圧が蒸着期間の間に供給され、第2周波数fを有した第2電圧の供給及び供給中止が、繰り返される。これによって、図5のように第1電圧及び第2電圧の供給開始時点及び供給終了時点のマッチングによる負担が軽減される。
【0056】
本発明の実施形態で、第1周波数fは13.56MHz以上であることができる。第2周波数fは、第1周波数f1より高い。
【0057】
一方、本発明の実施形態で、非晶質シリコンからなった第1副層233aの厚さは、10nm以上とすることができる。また、1回の周期Pの間に形成される第1副層233a及び第2副層233bの厚さの総和は、50nm以下とすることができ、30nm以下の場合よりさらに望ましい。
【0058】
このとき、3回以上の周期Pの間に第1副層233aと第2副層233bとを含む受光層233の厚さ、150nm以上350nm以下とすることができる。
【0059】
例えば、1回の周期Pの間に形成される第1副層233a及び第2副層233bの厚さの総和は50nmの場合、3周期の間に150nmの厚さを有し、3つの第1副層233aと3つの第2副層233bとを含む受光層233が形成されることができる。
【0060】
3周期未満の間に150nm以上350nm以下の厚さである受光層233が形成され、非晶質シリコン層からなった第1副層233aの厚さが増加しすぎる。これによって、非晶質シリコン層での再結合が増大されることで安定化効率が悪化される。
【0061】
結晶性シリコン粒子の直径は、3nm以上10nm以下であることができる。直径が3nmより小さい結晶性シリコン粒子は、形成が困難であるだけでなく、太陽電池の劣化率減少の効果が落ちる。また、結晶性シリコン粒子の直径が10nmより大きい場合、結晶性シリコン粒子のまわりの結晶粒界(grain boundary)の体積が過度に増加することによって、再結合も増加して効率が低下することがある。
【0062】
このような受光層は、単一接合の光起電力装置や多重接合タンデム光起電力装置のトップセルに含まれる場合、光学的バンドギャップが1.85eV以上2.0eV以下とすることができる。トップセルは、光起電力装置が複数の光電変化層を含む場合、光が最初に入射される光電変化層である。
【0063】
結晶質シリコン粒子の形成によって、量子ドット(Quantum Dots)による陽子効果が発生し、これによって、本発明の実施形態による受光層233は、1.85eV以上2.0eV以下の大きい光学的バンドギャップを有する。光学的バンドギャップが1.85eV以上であれば、エネルギー密度が高い短波長領域の光を多く吸収することができる。光学的バンドギャップが2.0eVより大きいと、複数の副層233a、233bを含む受光層233が形成されにくく、光の吸収が減って短絡電流の減少によって効率が低下することがある。
【0064】
複数の副層233a、233bを含む受光層233の平均水素含量は、15atomic%以上25atomic%以下とすることができる。受光層233の平均水素含量は15atomic%より小さいと、量子点の大きさと密度とが小さくて受光層233のバンドギャップも小さく、劣化率が大きくなることがある。また、受光層233の平均水素含量は25atomic%より大きいと、結晶質シリコン粒子の大きさが過度に大きくなって、結晶質シリコン粒子を囲んでいる不安定な非晶質シリコンの体積も大きくなるため、劣化率が高くなることがある。
【0065】
一方、受光層233の形成時、水素とシランだけでなく、酸素、炭素、またはゲルマニウムのような原料ガスがチャンバ310に流入されることができる。このとき、酸素、炭素、またはゲルマニウムのような原料ガスの流量は、蒸着期間の間に一定に維持されることができる。酸素、炭素、またはゲルマニウムのような原料ガスの流量が一定に維持されることによって、第1副層233a及び第2副層233bの膜質が一定に維持されることができる。
【0066】
酸素がチャンバ310に流入される場合、第1副層230a及び第2副層230bは、水素化された非晶質酸化シリコン(i-a-SiO:H)を含む。このとき、第2副層230bの結晶質シリコン粒子は、水素化された非晶質酸化シリコンによって囲まれる。酸素の流入によって複数の副層233a、233bを含む受光層233が形成される場合、受光層233の厚さは、150nm以上300nm以下であり、受光層233の平均酸素含量は0atomic%より大きく、3atomic%以下であることができ、受光層233の光学的バンドギャップは1.85eV以上2.1eV以下であることができる。
【0067】
炭素がチャンバ310に流入される場合、第1副層230a及び第2副層230bは、水素化された非晶質シリコンカーバイド(i-a-SiC:H)を含み、第2副層230bの結晶質シリコン粒子は、水素化された非晶質シリコンカーバイドによって囲まれる。炭素の流入によって複数の副層233a、233bを含む受光層233が形成される場合、受光層233の厚さは150nm以上300nm以下であり、受光層233の平均炭素含量は0atomic%より大きく、3atomic%以下であることができ、受光層233の光学的バンドギャップは1.85eV以上2.1eV以下であることができる。
【0068】
酸素、または炭素の流入によって形成される受光層233の光学的バンドギャップが1.85eV以上であれば、エネルギー密度が高い短波長領域の光を多く吸収することができる。また、光学的バンドギャップが2.1eVより大きいと、複数の副層233a、233bを含む受光層233が形成されにくく、光の吸収が減って短絡電流の減少によって効率が低下することがある。
【0069】
酸素、または炭素の流入によって形成される受光層233の平均酸素含量、または平均炭素含量が3atomic%より大きい場合、受光層233の光学的バンドギャップが急激に大きくなるだけでなく、未結合手(dangling bond)の密度が急激に増加して短絡電流及びFF(Fill Factor)が減少することにより、効率が低下される。
【0070】
このように酸素、または炭素の流入によって形成される受光層233は、多重接合の光起電力装置のトップセルに含まれることができる。
【0071】
ゲルマニウムがチャンバ310に流入される場合、第1副層230a及び第2副層230bは、水素化された非晶質シリコンゲルマニウム(i-a-SiGe:H)を含み、第2副層230bの結晶質シリコン粒子は、水素化された非晶質シリコンゲルマニウムによって囲まれる。ゲルマニウムの流入によって、複数の副層233a、233bを含む受光層233が形成される場合、受光層233の厚さは300nm 以上1000nm以下であり、受光層233の平均ゲルマニウム含量は0atomic%より大きく、20atomic%以下であることができ、受光層233の光学的バンドギャップは1.3eV以上1.7eV以下であることができる。ゲルマニウムの流入によって形成される受光層233の光学的バンドギャップが1.3eV以上1.7eV以下であれば、受光層233の蒸着率が急速に減少することが防止され、未結合手の密度及び再結合が減少することによって、効率低下が防止される。
【0072】
ゲルマニウムの流入によって形成される受光層233のゲルマニウム含量が、20atomic%より大きいと、受光層233の蒸着率が急速に減少し、未結合手の密度の増加による再結合が増加して短絡電流、FF及び効率が低下される。
【0073】
一方、酸素、炭素、またはゲルマニウムの流入によって受光層233が形成される場合、受光層233の平均水素含量は、15atomic%以上25atomic%以下であることができる。
【0074】
このように、ゲルマニウムの流入によって形成される受光層233は、2つの光電変換層230を含む二重接合の光起電力装置のボトムセル(bottom cell)、または3つの光電変換層230を含む三重接合の光起電力装置のミドルセル(middle cell)に含まれることができる。
【0075】
即ち、ゲルマニウムの流入によって形成される受光層233の光学的バンドギャップが1.3eV以上、1.7eV以下であるため、トップセルに使われる受光層の光学的バンドギャップは1.85eV以上2.0eV以下より小さい。従って、トップセルで吸収することができなかった短波長以外の光を吸収するために、二重接合の光起電力装置のボトムセル(bottom cell)、または3つの光電変換層230を含む三重接合の光起電力装置のミドルセル(middle cell)に使われることができる。
【0076】
一方、平均ゲルマニウム含量は、0atomic%より大きく20atomic%以下であり、炭素、または酸素の平均含量より大きいことがあるため、蒸着速度が落ちることがある。これによって、第1周波数fは13.56MHzより大きい27.12MHz以上であることがあり、第1周波数fが大きいと、蒸着率が向上して量子ドットの形成が円滑になることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上部に配置された第1電極と、
前記第1電極の上部に受光層を含む少なくとも一つ以上の光電変換層と、
前記光電変換層の上部に配置された第2電極と、を含み、
前記少なくとも一つの光電変換層に含まれた受光層は、水素化された非晶質シリコン系を含む第1副層と、結晶性シリコン粒子を含む第2副層と、を含む光起電力装置。
【請求項2】
前記結晶性シリコン粒子の直径は、3nm以上10nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光起電力装置。
【請求項3】
前記受光層の平均水素含量は、15atomic%以上25atomic%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光起電力装置。
【請求項4】
基板上に第1電極を形成するステップと、
チャンバ内で前記第1電極上に、受光層を含む一つ以上の光電変換層を形成するステップと、
前記光電変換層上に第2電極を形成するステップと、を含み、
前記受光層が形成される間、前記チャンバに流入される原料ガスの水素希釈比は一定であり、
前記受光層が形成される間、前記チャンバ内のノズルが形成された電極に第1周波数を有した第1電圧と、前記第1周波数より高い第2周波数を有した第2電圧とが交互に供給されることを特徴とする、光起電力装置の製造方法。
【請求項5】
基板上に第1電極を形成するステップと、
チャンバ内で前記第1電極上に、受光層を含む一つ以上の光電変換層を形成するステップと、
前記光電変換層上に第2電極を形成するステップと、を含み、
前記受光層が形成される間、前記チャンバに流入される水素及びシランの流量は一定であり、
前記受光層が形成される間、前記チャンバ内のノズルが形成された電極に第1周波数を有した第1電圧が供給されつづけ、前記第1周波数より高い第2周波数を有した第2電圧が交互に供給されることを特徴とする、光起電力装置の製造方法。
【請求項6】
前記受光層が形成される間に、前記チャンバの圧力は一定であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1電圧及び前記第2電圧が供給される時間の比が、一定に維持されることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1電圧が供給される場合、非晶質シリコンを含む第1副層が形成され、
前記第2電圧が供給される場合、結晶性シリコン粒子を含む第2副層が形成されることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1周波数は、13.56MHz以上であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項10】
前記受光層の厚さは、150nm以上350nm以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項11】
前記受光層は、前記第1電圧が供給される間に形成される第1副層と、前記第2電圧が供給される間に形成される第2副層と、を含み、
前記第1副層の厚さは、10nm以上であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項12】
前記受光層は、前記第1電圧が供給される間に形成される第1副層と、前記第2電圧が供給される間に形成される結晶性シリコン粒子を含む第2副層と、を含み、
前記結晶性シリコン粒子の直径は、3nm以上10nm以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項13】
前記受光層は、前記第1電圧が供給される間に形成される第1副層と、前記第2電圧が供給される間に形成される第2副層と、を含み、
1回の周期の間に形成される前記第1副層及び前記第2副層の厚さは、50nm 以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項14】
前記受光層は、光学的バンドギャップが1.85eV以上2.0eV以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項15】
前記受光層の形成時、酸素、炭素、またはゲルマニウムが前記チャンバに流入されることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項16】
前記受光層の形成時、酸素、炭素、またはゲルマニウムが前記チャンバに流入され、
前記酸素、炭素、またはゲルマニウムの流量は、蒸着期間の間に一定に維持されることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項17】
前記受光層の形成時、酸素、炭素、またはゲルマニウムが前記チャンバに流入され、
前記受光層は、前記複数の光電変換層のうち、光が最初に入射される光電変換層に含まれることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項18】
前記受光層の平均水素含量は、15atomic%以上25atomic%以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項19】
前記受光層の形成時、酸素、炭素、またはゲルマニウムが前記チャンバに流入され、
前記受光層の平均水素含量は、15atomic%以上、25atomic%以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項20】
前記受光層の形成時、酸素、または炭素が前記チャンバに流入され、
前記受光層の平均酸素含量、または平均炭素含量は、0atomic%より大きく、3atomic%以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項21】
前記受光層の形成時、酸素、または炭素が前記チャンバに流入され、
前記受光層の光学的バンドギャップは、1.85eV以上2.1eV以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項22】
前記受光層の形成時、ゲルマニウムが前記チャンバに流入され、
前記受光層の平均ゲルマニウム含量は、0atomic%より大きく、20atomic%以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項23】
前記受光層の形成時、ゲルマニウムが前記チャンバに流入され、
前記受光層の光学的バンドギャップが、1.3eV以上1.7eV以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項24】
前記受光層の形成時、ゲルマニウムが前記チャンバに流入され、
前記第1周波数は、27.12MHz以上であることを特徴とする、請求項4または5に記載の光起電力装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図3h】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−287880(P2010−287880A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99643(P2010−99643)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(510114789)韓国鉄鋼株式会社 (6)
【Fターム(参考)】