光通信サブアセンブリへのマルチファイバーインターフェイス
ファイバーアレイ(あるいは単体のファイバー)をシリコン製光通信サブアセンブリに合体させる複合部品アライメントおよびアタッチメント構造であって、漸次小さくなるアライメント誤差を用いて、ファイバーアレイを光通信サブアセンブリ内に形成された同様の導波路アレイ(あるいは他のデバイス)に整列させる。箱型ファイバーホルダーは底部内側面に複数の溝を具え、先ずファイバーアレイを支持するように形成されている。蓋の形をした個別部品は、シリコン製光通信サブアセンブリに合体されてそれに整列されている。この蓋は、下側に、取付時にシリコン製光通信サブアッセンブリの上側面に形成されているアラインメントデテントに合致する位置合わせ構造を具えるように形成されている。この蓋は更に、下側に形成された複数の溝を具えており、この溝が、ファイバーホルダーが蓋の上の所定位置にスライドするときにファイバーの上面を捕獲する。蓋に設けたこれらの溝は、ファイバーアレイのピッチを小さくして、最終的にファイバーアレイとサブアセンブリ間の横方向および縦方向のアライメントを制御するよう機能する。サブアセンブリは更に、ファイバーホルダーと合体する、端面に沿ってエッチングされたチャンネル(このチャンネルは基板内の導波路/デバイスと整列している)を具えるように形成されており、光ファイバーは最終的に、導波路/デバイスと整列するようにチャンネル内で位置決めされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互関係
この出願は2008年10月16日付にて提出された米国仮出願第61/196,286号に基づく利益の享受を求めるものである。
【0002】
技術分野
本発明は、ファイバーアレイを光通信サブアセンブリに機械的に整列させるシステムに関し、より具体的には、ファイバーアレイが最終的に光通信サブアセンブリに至ってこれに整列するまで、アライメント誤差が連続的に厳しくなるようになっている複合部品アラインメント構造に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバーは伝送帯域の広さと、減衰が比較的小さいと云う特性から、とりわけ電気通信分野でのアプリケーションに適している。しかし、電子的かつ光学的ネットワークへの光ファイバーインターフェイスは製造コストが高くなる傾向にあり、これは、光学的に受発信するデバイス類を基板上に実装して、これらの各デバイスを個別に光ファイバーと整列させることが通常難しいためである。このような理由から、光ファイバー技術はインターフェイスが比較的少ない長距離通信システムに広く実装されている。しかし、光ファイバーインターフェイスの製造コストが高いことが障壁となり、例えば地方都市エリア通信ネットワークといったその他の市場への光ファイバー技術の普及を遅らせていた。
【0004】
マルチモードファイバーのコア径が約50ミクロン又は62.5ミクロンであるのに対して、典型的なシングルモードファイバーのコア径は約9ミクロンである。光ファイバーのコア径が小さいために、開口サイズが約2ミクロン乃至10ミクロンの間である光通信デバイスに光ファイバーを整列させることは困難である。明らかに、光学デバイスをシングルモードファイバーに整列させる場合に、この問題がとりわけ重大である。
【0005】
これまでにも、平面光通信サブアセンブリ上で、ファイバーアレイとこれに対応する導波路アレイとの間でのアライメントスキームを具体化する多くの試みがなされてきた。その一つは、1996年1月9日付でOta et al.に付与された米国特許第5,482,585号の“Process for Optically Joining an Optical fiber Array to an Opponent Member”に記載されている。Ota et al.の特許は、V字溝付のベースプレートと、同様にV字溝が付いたトッププレートとの間に光ファイバーを取り付けることによって、光ファイバーアレイを最初に形成する方法を記載している。光ファイバーアレイの光ファイバーは、光ファイバーを固定する固定用ベースプレートの第1の面と当該第1の面に対向する固定用ベースプレートの第2の面のいずれか一方を接合基準面として用いて、基板(すなわち「対向部材」)に光学的連結されている。
【0006】
1994年8月16日付でKakii et al.に付与された米国特許第5,339,876号、“Grooved Optical fiber Connection Incorporating Elastic Guide Pin Pressing Members”において別の試みが記載されている。Kakii et al.の特許は、光ファイバー位置決め用の溝を有するガイド溝付基板及びガイドピンと;ガイド溝付基板のガイド溝に配置したガイドピンをカバーする溝部分を有するアッパープレートと;ガイドピン溝がガイドピンと接触している部分の上方のアッパープレートの溝部分に各々が設けられた弾性ガイドピン押圧部材と;を具える光ファイバー接続用の光学コネクターについて記載している。
【0007】
2009年9月8日付でB.S.Carpenter et al.に付与された米国特許第7,587,108号は、カンチレバータイプのファイバーアレイを平面光波回路に取り付ける構成を開示している。特に、このカンチレバータイプのファイバーアレイは、上にカバーが付いたファイバーアレイを支持するベース部材を具えており、ファイバーアレイの終端がこのカバー又はベース部材の少なくとも一方の端部上に延在して、カンチレバー構造を形成している。ファイバーアレイの終端は、更に平面光波回路に形成されたアライメント溝に配置されて、ファイバーアレイと平面光波回路に形成された光学デバイスとの間に光結合を提供している。
【0008】
これらの試みは、ファイバーアレイと導波路アレイとの間になんらかのアライメント手段を提供するものの、ファイバーアレイを平面光通信サブアッセンブリと相互連結する構成が必要である。この構成によれば、低コストのアラインメント技術を使用できる一方で、様々なコンポーネントの製造誤差を緩和すると共に、この構造体の少なくとも一部に廉価な材料(プラスチックなど)を使用することができる。
【発明の概要】
【0009】
従来技術に残る要求が本発明によって取り組まれている。それはファイバーアレイのアライメントシステムとインターフェイス構造に関するものであり、より具体的には、光通信サブアセンブリに対するファイバーアレイの最終的な接合とインターフェイスがおこなわれるまで、アライメント誤差が連続してより厳しくなるようになっている複合部品アライメント構成に関する。
【0010】
とりわけ本発明は、箱型ファイバーホルダーと、溝付蓋と、そしてシリコン光通信サブアセンブリと、の3つの個別コンポーネントから成る。箱型ファイバーホルダーコンポーネントは、箱底部の内側面に沿って形成された溝付アレイを具えており、これらの溝を用いて中に入ってくるファイバーアレイからの個々のファイバーを支持している。本発明によれば、ファイバーホルダーはおおよそのピッチ(X軸方向におけるファイバーからファイバーへの間隔)を設定しており、このピッチは概ね±15μmの範囲内のばらつき(一の例示的実施例で)に収まっている。ファイバーホルダーはまた、溝付蓋に定置される際のファイバーの上昇(例えば、Z軸方向において約100μm以内)を大まかに位置決めしている。更に、個々のファイバーの端面は、ファイバーホルダの溝終端に対して例えば±10μmのレベルの配置誤差で、Y軸方向に沿って固定されている。
【0011】
溝付蓋とシリコン製光通信サブアセンブリコンポーネントは、本発明によって、位置合わせ機構と整列デテントをそれぞれ具えるように形成されており、これら2つのコンポーネントを互いに接続する際に位置合わせ機構と整列デテントが合体して、両者間の機械的/光学的アライメントを提供している。位置合わせ機構と整列デテントの合体は、2つのコンポーネント間の3方向の軸線に沿ってアラインメント誤差を約±10μm(例示的実施例で)としている。溝付蓋は、複数の下側溝を具えており、これが光ファイバーを捕捉して、ファイバーホルダーがスライドして溝付蓋の上に位置するときに、Z軸方向の誤差が上述した約100μmから約±10μmになるようその高さを改善する。
【0012】
これらのコンポーネントが合体すると、光ファイバーのX軸における位置は、シリコン製光通信サブアセンブリの端面にエッチングで成形された一連のチャンネルによって更に制約を受ける。このチャンネルは正確にエッチングされており、例えばX軸方向において±1μmのレベルの位置的誤差を達成するようにサブアセンブリ上に形成された導波路に整列している。従って、ファイバーがファイバーホルダーから溝付蓋に沿って適所に案内されると、チャンネル間の明確に規定されたスペースに光ファイバーが入るまでアライメント誤差がどんどん厳しくなり、導波路と整列する。従って、最終的なアライメント誤差は、Y軸方向とZ軸方向で基本的に同じであり(例えば数ミクロン、例えば±10μm)、X軸方向ではこれより小さい(例えば2〜3ミクロン、例えば±2μm)であることが期待される。しかしながら、より厳しい誤差は、本発明における複合部品構造によって、例えば溝付蓋コンポーネントについて求められる誤差を改善することで達成されものであると、理解すべきである。上述の例示的な値は単に例示であって、この技術に関連する現状を考慮すると、コストと機能間の満足できるバランスを提供していると考えられる。
【0013】
本発明によるインターフェイス構造の利点は、ファイバーホルダーと溝付蓋を比較的安価な共通の素材(例えば、ポリマー、セラミックス、金属、その他同様なもの)で製造できることであり、ファイバーアレイとシリコン光通信サブアセンブリとの間に比較的安価なインターフェイスを提供している。
【0014】
本発明の他の更なる利点と態様は、以下の考察と添付図面を参照して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
ここで図面について言及するが、いくつかの図面においては同じ部材に同じ符号が付されている。
【図1】図1は、本発明の例示的なファイバーアレイインターフェイスとアライメント構造を示す斜視図であり、取り付けた蓋付溝とシリコン製光通信サブアッセンブリとは別に示すファイバーホルダーは部分的に分解図として示されている。
【図2】図2は、本発明によって形成された例示的ファイバーホルダー部品を示す平面図である。
【図3】図3は、図2に示すファイバーホルダーとこれに付随するファイバーアレイの分解図であり、ファイバーアレイがファイバーホルダーに挿入される方向を示している。
【図4】図4は、図2に示すファイバーホルダーを、図3に示す矢印で示すように完全に挿入されたファイバーアレイと共に示す。
【図5】図5は、例示的な溝付蓋とシリコン製光通信サブアセンブリの分解斜視図であり、溝付蓋側の位置合わせ構造とサブアセンブリのアラインメントデテントを介して互いに合体させる部品のオリエンテーションと方向を示す。
【図6】図6は、溝付蓋の下側を示す斜視図であり、とりわけ、位置合わせ構造とファイバーを捕捉する複数の溝を示す。
【図7】図7は、溝付蓋とシリコン製光通信サブアセンブリを合体させた組み合わせを示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の完全に組み上げられたファイバーアレイインターフェイスとアライメント構造を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8に示すものと同じ構成を示すが、ファイバーホルダーの下にある溝付蓋の位置を示すために、ファイバーホルダーの一部がカットされている。
【図10】図10は、図8に示す組み上げたファイバーアレイインターフェイスとアライメント構造を一部を切り取った状態で示す図である。
【図11】図11は、結合損失を示すグラフであり、dBで測定したときの、ファイバーアレイとシリコン製光通信サブアセンブリ間の横方向のオフセットの関数としての、様々な径のマルチモードファイバーについて測定したときのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に詳述するとおり、本発明は、ファイバーアレイと平面光通信サブアセンブリ間にアライメントを提供する複合部品アライメント構造に関する。とりわけ図1に示すとおり、本発明は3つの独立したコンポーネントからなる。すなわち、箱型ファイバーホルダー10と、溝付蓋20と、シリコン製光通信サブアセンブリ30であり、図1にはX、Y、Z軸が示されている。使用時には、ファイバーアレイ40がファイバーホルダー10に挿入され、アレイを形成する個々のファイバーは、最終的にシリコン製光通信サブアセンブリ30に形成された導波路(図示せず)に整列するまで、アライメント誤差が順次厳しくなるように、導入されている。Y軸方向/Z軸方向(長手方向/垂直方向)の±10μmのアライメントと共に、X軸方向に±2μmレベルのアライメントが、本発明の構成の例示的実施例において実現されている。
【0017】
このアライメント機能を提供する3つの独立したコンポーネントについて以下に詳細に述べる。光通信サブアセンブリ30のみがシリコンで作る必要があることに留意されたい。このことは、様々な光導波路や、その他の光学デバイス(受光デバイス、伝送デバイス、パッシブ及び/又はアクティブデバイス)をこの材料内に形成するためにも必要である。箱型ファイバーホルダー10と溝付蓋20は両方とも従来の工業用ポリマー、セラミックスあるいは金属組成物など、より安価な材料で形成することができる。代替的に、所望する場合は、これらのコンポーネントのいずれか一方、あるいは両方を製造するのにシリコンを用いてもよい。
【0018】
先ず、ファイバーアレイ40がファイバーホルダー10の開口側に向けられ、そこで個々の光ファイバー42がボックス型ファイバーホルダー10の内側底面13に沿って形成された一連の溝12の上に乗ってゆく。以下で考察するように、溝12は、ファイバーアレイ40用におよそのピッチ(すなわちファイバー間の隙間)を規定して、ファイバーアレイの相対的上昇(Z軸に沿った縦方向の位置決め)を設定するように形成されている。これとは別に、溝付蓋20は、これら2つの部品間に予め決められたアライメントを規定する機械的位置合わせ機構を用いて、シリコン製光通信サブアセンブリ30に取り付けられる。一の実施例では、一対の機械的基準構造22、24が溝付蓋20の下側に形成されており、光通信サブアセンブリ30上面の一対のアラインメントデテント32、34と合体するよう配置されている。この機械的な位置合わせは、溝付蓋20とシリコン製光通信サブアセンブリ30との間に所定のアライメントを作る。以降の図面でより明確になるように、溝付蓋20は更に、図1に示すような領域において、その下側に形成した複数の溝26を具えている。
【0019】
ファイバーホルダー10は溝付蓋20の上の適所にスライドする(図1において矢印で示す)ので、ファイバーアレイ40の個々の光ファイバー42は、複数の溝26で個別に捕捉される。本発明によれば、複数の溝26は、ファイバーとサブアセンブリ30上に形成された導波路間のZ軸方向のアライメント精度(すなわち光通信サブアセンブリ30に対するファイバーアレイ40の上昇)を上げるように形成されている。溝付蓋20も、シリコン製光通信サブアセンブリ30の端面36に沿ってエッチングで形成された複数のチャンネル38内へファイバーを方向づけるように作用する。チャンネル38は正確にエッチングされたアライメント機構であり、サブアセンブリ30の端面36に沿って形成されており、ファイバーアレイ40とシリコン製光通信サブアセンブリ30内に形成された複数の導波路(あるいは他の光学的な伝送/受光コンポーネント)の間のアラインメントに対して、最終的なX軸−Y軸調整を行う。
【0020】
本発明のアライメント構造を形成している様々な部品の詳細を、残りの図面を参照して以下に述べる。本発明の詳細についての以下の記載は、光ファイバーアレイのシリコン製光通信サブアセンブリとのアライメントに言及するものであるが、本発明の原理は、シリコン製光通信サブアセンブリと整列されてこれに取り付けるのに一本のファイバーのみが必要な場合にも同様に適用できると、理解すべきである。
【0021】
図2は、本発明によって形成した例示的なファイバーホルダー10を示す斜視図である。上述したとおり、ファイバーホルダー10は、ポリマー、セラミックスあるいは金属組成物などの、標準的で比較的安価な材料で製造することができる。複数の溝12はファイバーホルダー10の底面部分に形成されており、予め決められたスペースを空けて分離されている。本発明のアライメント構造においては、ファイバーホルダー10を用いて、隣接する溝12同士の間のスペースで規定されているとおり、ファイバーアレイのおよそのピッチP(すなわち個々のファイバー間の間隔)を規定している。例えば、0.25μmレベルでピッチPを提供する(他の様々な構造には、別の値のピッチを採用できるが)ことができる。以下に述べるように、残りのコンポーネントに連結する場合、ファイバーホルダー10も光ファイバーを位置決めして、溝付蓋20に提示する(例えば、X軸方向で約±15μm、Z軸方向で約±100μmの誤差で位置決めする)。また図2に示すように、ファイバーホルダー10に形成した一対の観察窓14及び16によって、人がファイバーアレイ40のファイバーホルダー10に対する挿入及び配置状態を観察することができる。窓14および16はユーザーの便に供するためのものであり、本発明の構成に必須なものではない。
【0022】
図3は、ファイバーアレイ40をファイバーホルダー10の端部開口18に挿入するステップを示す図である。ここに示すように、ファイバーアレイ40は複数の個別光ファイバー42を具えており、これらのファイバーは全てこの位置で独立して動く。ファイバーアレイ40は、「むき出し」の個別光ファイバー42が先ず端部開口18を通過して、次いで、複数の溝12の上に位置するように、ファイバーホルダー10に挿入される。窓16は人が使用して、個別光ファイバー42が関連する溝12へ配置されるように補助するものである。
【0023】
図4は、アライメントと取り付けプロセスのこの第1ステップの最終部分を、ファイバーホルダー10に位置決めして取り付けたファイバーアレイ40と共に示す図である。ここに示すように、光ファイバー42は個別の溝12内に配置され、従って隣接するファイバー同士間に所望のピッチPができる。しかしながら、このプロセスにおけるこの時点では、光ファイバー42の絶対的な位置決めは、Y軸およびZ軸の両方向において未だコントロールが不充分なままである。次いで、従来の開裂技法を用いて、光ファイバー42の端面終端43を開裂させて、ファイバーホルダー10の側壁終端19に対してファイバーアレイ40のY軸方向の位置決めを所望の値(例えば、±10μm)に規定することができる。その他の様々な技術を用いて、端面終端43を準備し、ファイバーホルダー10に対して端面終端43の相対的に固定された位置決めを提供することができることに留意すべきである。
【0024】
上述したとおり、溝付蓋20とシリコン製光通信サブアセンブリ30は、これらの間に機械的取付と機械的位置合わせの双方を提供する態様で互いに連結するように構成されている。図5、図6及び図7は、本発明のアラインメント構造のこの態様を示す。図5は、溝付蓋20とシリコン製光通信サブアセンブリ30の分解斜視図であり、これら2つのコンポーネントが互いに連結されるときのオリエンテーションを示している。ここでも、溝付蓋20は、例えばポリマーやセラミックスあるいは金属組成物などといった好適な材料で作ることができると解される。最終の光通信システムの操作上の目的で、サブアセンブリ30はシリコンで形成する必要があり、導波路と、そこに集積された様々なその他の光学及び/又は光電子デバイス(特に図示せず)を具えている。
【0025】
上述し、また以下に詳述するように、溝付蓋20は複数の機械的位置合わせ機構を具えるように形成されており、この場合、一対の位置合わせ機構22と24を具えている。図6を参照すると、位置合わせ機構22と24は、溝付蓋20の下面23に形成されている(高さが変わる陰影面で示す)。同様に複数のアラインメントデテントが、シリコン製光通信サブアセンブリ30の上面41に形成されている。機構の数、並びにその位置はユーザーの設計事項に過ぎないと解するべきである。「一対」の位置合わせ機構と、これに対応する「対」のアラインメントデテントの特別な使用は例示的なものに過ぎず、本発明の意図を説明するためのものである。
【0026】
図5に戻ると、この特定の実施例におけるアライメントデテントは、一対のアラインメントデテント32と34で構成されている。溝付蓋20の位置合わせ機構と光通信サブアセンブリ30のアラインメントデテントの関係は、溝付蓋20が光通信サブアセンブリ30に接触すると、位置合わせ機構とアラインメントデテントが合体してこれら2つの部品間の機械的取付を提供し、本発明のインターフェイスコンポーネントの光学アラインメントの度合いを上げるように、よく制御されている。実際に、本発明の構成によって、これらコンポーネント間の機械的位置合わせは、3軸方向全てにおいて±10μmレベルで達成されている。
【0027】
図6に最も良く示すように、溝付蓋20は更に裏面23に形成された複数の溝26を具えている。以下に図8乃至図10を参照して詳細に述べるように、複数の光ファイバー42は、ファイバーホルダー10が、予め連結してある溝付蓋20と光通信サブアセンブリ30に合体するときに、これらの溝26に入る。溝26の深さを調節することによって、光ファイバー42のシリコン製光通信サブアセンブリ30に対するZ軸方向のアライメントは、約±10μmレベルの精度で固定される。図7は、シリコン製光通信サブアセンブリ30への溝付蓋20の最終的な組み付けを示す図である。位置合わせ機構22、24とアラインメントデテント32、34を上述の配置とした結果、溝26に対するチャンネル38の相対位置が十分にコントロールされる。
【0028】
シリコン製光通信サブアセンブリ30は更に、その端面36に沿って形成された複数のチャンネル38を具えている。チャンネル38は、公知のCMOS製造技術を用いて端面36をエッチング処理して形成され、ここでは光通信サブアセンブリ30のベース材料にシリコンを使うことによって、チャンネル38の寸法と間隔が十分に制御され、量産が可能である。図8乃至図10に関連して以下に述べるように、チャンネル38は光ファイバー42の端面終端43を受け、最終のピッチと位置決め精度にこれらを方向づけるよう機能する。実際、チャンネル38は、最終的なインターフェイス構造におけるX軸およびY軸の両方向に沿って、±2μmレベルの精度を提供することができる。しかしながら、ある実装例では、シリコン製光通信サブアセンブリ30の端面36に沿って配置した傷付き易い光学部材に対するダメージを避けるために、Y軸方向におけるアライメント誤差は幾分緩和してもよい(すなわち、光ファイバーの端面終端43とサブアセンブリ30との間で直接物理的接触が生じないように緩和する)ことに留意すべきである。
【0029】
本発明によれば更に、ファイバーホルダー10(ファイバーアレイ40を含む)は溝付蓋20に接触しており、溝付蓋20自体はシリコン製光通信サブアセンブリ30と合体し整列している。上述した通り、図1は、蓋20/サブアセンブリ30に対するファイバーホルダー10のオリエンテーションを示すと共に、溝付蓋20とサブアセンブリ30の組み合わせの上にファイバーホルダー10を適所に挿入する移動方向を示している。連結の際には、ファイバーホルダー10の位置合わせ機構17が溝付蓋20の上面に形成されたアラインメントデテント28に係合する(「ボールソケット」機械的アライメント機構という)。その他の様々なタイプの機械的な位置合わせ及び取付構成を用いてファイバーホルダー10を溝付蓋20に連結できることは明らかである。更に、個別部品を連結する順序は様々である。すなわち、まずファイバーホルダー10を溝付蓋20に合体させて、次いで、ホルダー10/蓋20の組み合わせをサブアセンブリ30を取り付けるようにしてもよい。
【0030】
図8は、ファイバーアレイ40とシリコン製光通信サブアセンブリ30間にアライメント構造を提供することができる、本発明による複合部品アラインメント構造の最終構成を示す。図8の構成の一部を切り取ったものが図9に示されており、合体時にファイバーホルダー10に入った溝付蓋20の位置を示す。
【0031】
図10は、本発明の複合部品アライメント構造の形成に用いる各種の溝、位置合わせ機構、アラインメントデテント、及びチャネルを示す、一部を切り取った斜視図である。要約すると、ファイバーホルダー10は、ファイバーアレイ40を構成している個別光ファイバー42を支持する複数の溝12を具えている。溝12は、当初のピッチP(ファイバー間の間隔)を規定するようにスペースをあけて配置されている。溝付蓋20もその下側23に形成された複数の溝26を具えており、ファイバーホルダー10がスライドして溝付蓋20の上にくると光ファイバー42を捕捉する。この結果、個別光ファイバー42は、溝12(ファイバーの下側)と溝26(ファイバーの上側)の間に入る。ボールソケット構成17、28は、ファイバーホルダー10と溝付蓋20と間の機械的な取付とアライメントを提供している。溝付蓋20の位置合わせ構造22、24とシリコン製光通信サブアセンブリ30のアラインメントデテント32、34間の機械的アラインメントは、サブアセンブリ30に対するファイバーアレイ40のZ軸の位置決めを決定するように機能する。溝付蓋20は、光ファイバー42の位置を、シリコン製光通信サブアセンブリ30の約20μmの誤差に制限する。
【0032】
図11は、本発明による複合部品アライメント構造におけるアライメント精度と結合損失の関係を示すグラフである。結合損失(dBで測定)は、マルチモードの光ファイバー42とシリコン製光通信サブアセンブリ30に形成された光導波路間の横方向のずれ(X軸)の関数としてY軸上にプロットされている。このオフセットはミクロンレベルで測定され、様々なプロットは、コア径が様々である(この場合は、30μm、50μm、及び62.5μm)マルチモードファイバーに関連している。結合損失は径が小さいファイバーほど問題であり、62.5μmのファイバーでは横方向のずれに対する依存度が最小であることを示している。
【0033】
上述した例示的実施例は本発明の代表例であって、本発明の本旨と範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されると解するべきである。
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互関係
この出願は2008年10月16日付にて提出された米国仮出願第61/196,286号に基づく利益の享受を求めるものである。
【0002】
技術分野
本発明は、ファイバーアレイを光通信サブアセンブリに機械的に整列させるシステムに関し、より具体的には、ファイバーアレイが最終的に光通信サブアセンブリに至ってこれに整列するまで、アライメント誤差が連続的に厳しくなるようになっている複合部品アラインメント構造に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバーは伝送帯域の広さと、減衰が比較的小さいと云う特性から、とりわけ電気通信分野でのアプリケーションに適している。しかし、電子的かつ光学的ネットワークへの光ファイバーインターフェイスは製造コストが高くなる傾向にあり、これは、光学的に受発信するデバイス類を基板上に実装して、これらの各デバイスを個別に光ファイバーと整列させることが通常難しいためである。このような理由から、光ファイバー技術はインターフェイスが比較的少ない長距離通信システムに広く実装されている。しかし、光ファイバーインターフェイスの製造コストが高いことが障壁となり、例えば地方都市エリア通信ネットワークといったその他の市場への光ファイバー技術の普及を遅らせていた。
【0004】
マルチモードファイバーのコア径が約50ミクロン又は62.5ミクロンであるのに対して、典型的なシングルモードファイバーのコア径は約9ミクロンである。光ファイバーのコア径が小さいために、開口サイズが約2ミクロン乃至10ミクロンの間である光通信デバイスに光ファイバーを整列させることは困難である。明らかに、光学デバイスをシングルモードファイバーに整列させる場合に、この問題がとりわけ重大である。
【0005】
これまでにも、平面光通信サブアセンブリ上で、ファイバーアレイとこれに対応する導波路アレイとの間でのアライメントスキームを具体化する多くの試みがなされてきた。その一つは、1996年1月9日付でOta et al.に付与された米国特許第5,482,585号の“Process for Optically Joining an Optical fiber Array to an Opponent Member”に記載されている。Ota et al.の特許は、V字溝付のベースプレートと、同様にV字溝が付いたトッププレートとの間に光ファイバーを取り付けることによって、光ファイバーアレイを最初に形成する方法を記載している。光ファイバーアレイの光ファイバーは、光ファイバーを固定する固定用ベースプレートの第1の面と当該第1の面に対向する固定用ベースプレートの第2の面のいずれか一方を接合基準面として用いて、基板(すなわち「対向部材」)に光学的連結されている。
【0006】
1994年8月16日付でKakii et al.に付与された米国特許第5,339,876号、“Grooved Optical fiber Connection Incorporating Elastic Guide Pin Pressing Members”において別の試みが記載されている。Kakii et al.の特許は、光ファイバー位置決め用の溝を有するガイド溝付基板及びガイドピンと;ガイド溝付基板のガイド溝に配置したガイドピンをカバーする溝部分を有するアッパープレートと;ガイドピン溝がガイドピンと接触している部分の上方のアッパープレートの溝部分に各々が設けられた弾性ガイドピン押圧部材と;を具える光ファイバー接続用の光学コネクターについて記載している。
【0007】
2009年9月8日付でB.S.Carpenter et al.に付与された米国特許第7,587,108号は、カンチレバータイプのファイバーアレイを平面光波回路に取り付ける構成を開示している。特に、このカンチレバータイプのファイバーアレイは、上にカバーが付いたファイバーアレイを支持するベース部材を具えており、ファイバーアレイの終端がこのカバー又はベース部材の少なくとも一方の端部上に延在して、カンチレバー構造を形成している。ファイバーアレイの終端は、更に平面光波回路に形成されたアライメント溝に配置されて、ファイバーアレイと平面光波回路に形成された光学デバイスとの間に光結合を提供している。
【0008】
これらの試みは、ファイバーアレイと導波路アレイとの間になんらかのアライメント手段を提供するものの、ファイバーアレイを平面光通信サブアッセンブリと相互連結する構成が必要である。この構成によれば、低コストのアラインメント技術を使用できる一方で、様々なコンポーネントの製造誤差を緩和すると共に、この構造体の少なくとも一部に廉価な材料(プラスチックなど)を使用することができる。
【発明の概要】
【0009】
従来技術に残る要求が本発明によって取り組まれている。それはファイバーアレイのアライメントシステムとインターフェイス構造に関するものであり、より具体的には、光通信サブアセンブリに対するファイバーアレイの最終的な接合とインターフェイスがおこなわれるまで、アライメント誤差が連続してより厳しくなるようになっている複合部品アライメント構成に関する。
【0010】
とりわけ本発明は、箱型ファイバーホルダーと、溝付蓋と、そしてシリコン光通信サブアセンブリと、の3つの個別コンポーネントから成る。箱型ファイバーホルダーコンポーネントは、箱底部の内側面に沿って形成された溝付アレイを具えており、これらの溝を用いて中に入ってくるファイバーアレイからの個々のファイバーを支持している。本発明によれば、ファイバーホルダーはおおよそのピッチ(X軸方向におけるファイバーからファイバーへの間隔)を設定しており、このピッチは概ね±15μmの範囲内のばらつき(一の例示的実施例で)に収まっている。ファイバーホルダーはまた、溝付蓋に定置される際のファイバーの上昇(例えば、Z軸方向において約100μm以内)を大まかに位置決めしている。更に、個々のファイバーの端面は、ファイバーホルダの溝終端に対して例えば±10μmのレベルの配置誤差で、Y軸方向に沿って固定されている。
【0011】
溝付蓋とシリコン製光通信サブアセンブリコンポーネントは、本発明によって、位置合わせ機構と整列デテントをそれぞれ具えるように形成されており、これら2つのコンポーネントを互いに接続する際に位置合わせ機構と整列デテントが合体して、両者間の機械的/光学的アライメントを提供している。位置合わせ機構と整列デテントの合体は、2つのコンポーネント間の3方向の軸線に沿ってアラインメント誤差を約±10μm(例示的実施例で)としている。溝付蓋は、複数の下側溝を具えており、これが光ファイバーを捕捉して、ファイバーホルダーがスライドして溝付蓋の上に位置するときに、Z軸方向の誤差が上述した約100μmから約±10μmになるようその高さを改善する。
【0012】
これらのコンポーネントが合体すると、光ファイバーのX軸における位置は、シリコン製光通信サブアセンブリの端面にエッチングで成形された一連のチャンネルによって更に制約を受ける。このチャンネルは正確にエッチングされており、例えばX軸方向において±1μmのレベルの位置的誤差を達成するようにサブアセンブリ上に形成された導波路に整列している。従って、ファイバーがファイバーホルダーから溝付蓋に沿って適所に案内されると、チャンネル間の明確に規定されたスペースに光ファイバーが入るまでアライメント誤差がどんどん厳しくなり、導波路と整列する。従って、最終的なアライメント誤差は、Y軸方向とZ軸方向で基本的に同じであり(例えば数ミクロン、例えば±10μm)、X軸方向ではこれより小さい(例えば2〜3ミクロン、例えば±2μm)であることが期待される。しかしながら、より厳しい誤差は、本発明における複合部品構造によって、例えば溝付蓋コンポーネントについて求められる誤差を改善することで達成されものであると、理解すべきである。上述の例示的な値は単に例示であって、この技術に関連する現状を考慮すると、コストと機能間の満足できるバランスを提供していると考えられる。
【0013】
本発明によるインターフェイス構造の利点は、ファイバーホルダーと溝付蓋を比較的安価な共通の素材(例えば、ポリマー、セラミックス、金属、その他同様なもの)で製造できることであり、ファイバーアレイとシリコン光通信サブアセンブリとの間に比較的安価なインターフェイスを提供している。
【0014】
本発明の他の更なる利点と態様は、以下の考察と添付図面を参照して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
ここで図面について言及するが、いくつかの図面においては同じ部材に同じ符号が付されている。
【図1】図1は、本発明の例示的なファイバーアレイインターフェイスとアライメント構造を示す斜視図であり、取り付けた蓋付溝とシリコン製光通信サブアッセンブリとは別に示すファイバーホルダーは部分的に分解図として示されている。
【図2】図2は、本発明によって形成された例示的ファイバーホルダー部品を示す平面図である。
【図3】図3は、図2に示すファイバーホルダーとこれに付随するファイバーアレイの分解図であり、ファイバーアレイがファイバーホルダーに挿入される方向を示している。
【図4】図4は、図2に示すファイバーホルダーを、図3に示す矢印で示すように完全に挿入されたファイバーアレイと共に示す。
【図5】図5は、例示的な溝付蓋とシリコン製光通信サブアセンブリの分解斜視図であり、溝付蓋側の位置合わせ構造とサブアセンブリのアラインメントデテントを介して互いに合体させる部品のオリエンテーションと方向を示す。
【図6】図6は、溝付蓋の下側を示す斜視図であり、とりわけ、位置合わせ構造とファイバーを捕捉する複数の溝を示す。
【図7】図7は、溝付蓋とシリコン製光通信サブアセンブリを合体させた組み合わせを示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の完全に組み上げられたファイバーアレイインターフェイスとアライメント構造を示す斜視図である。
【図9】図9は、図8に示すものと同じ構成を示すが、ファイバーホルダーの下にある溝付蓋の位置を示すために、ファイバーホルダーの一部がカットされている。
【図10】図10は、図8に示す組み上げたファイバーアレイインターフェイスとアライメント構造を一部を切り取った状態で示す図である。
【図11】図11は、結合損失を示すグラフであり、dBで測定したときの、ファイバーアレイとシリコン製光通信サブアセンブリ間の横方向のオフセットの関数としての、様々な径のマルチモードファイバーについて測定したときのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に詳述するとおり、本発明は、ファイバーアレイと平面光通信サブアセンブリ間にアライメントを提供する複合部品アライメント構造に関する。とりわけ図1に示すとおり、本発明は3つの独立したコンポーネントからなる。すなわち、箱型ファイバーホルダー10と、溝付蓋20と、シリコン製光通信サブアセンブリ30であり、図1にはX、Y、Z軸が示されている。使用時には、ファイバーアレイ40がファイバーホルダー10に挿入され、アレイを形成する個々のファイバーは、最終的にシリコン製光通信サブアセンブリ30に形成された導波路(図示せず)に整列するまで、アライメント誤差が順次厳しくなるように、導入されている。Y軸方向/Z軸方向(長手方向/垂直方向)の±10μmのアライメントと共に、X軸方向に±2μmレベルのアライメントが、本発明の構成の例示的実施例において実現されている。
【0017】
このアライメント機能を提供する3つの独立したコンポーネントについて以下に詳細に述べる。光通信サブアセンブリ30のみがシリコンで作る必要があることに留意されたい。このことは、様々な光導波路や、その他の光学デバイス(受光デバイス、伝送デバイス、パッシブ及び/又はアクティブデバイス)をこの材料内に形成するためにも必要である。箱型ファイバーホルダー10と溝付蓋20は両方とも従来の工業用ポリマー、セラミックスあるいは金属組成物など、より安価な材料で形成することができる。代替的に、所望する場合は、これらのコンポーネントのいずれか一方、あるいは両方を製造するのにシリコンを用いてもよい。
【0018】
先ず、ファイバーアレイ40がファイバーホルダー10の開口側に向けられ、そこで個々の光ファイバー42がボックス型ファイバーホルダー10の内側底面13に沿って形成された一連の溝12の上に乗ってゆく。以下で考察するように、溝12は、ファイバーアレイ40用におよそのピッチ(すなわちファイバー間の隙間)を規定して、ファイバーアレイの相対的上昇(Z軸に沿った縦方向の位置決め)を設定するように形成されている。これとは別に、溝付蓋20は、これら2つの部品間に予め決められたアライメントを規定する機械的位置合わせ機構を用いて、シリコン製光通信サブアセンブリ30に取り付けられる。一の実施例では、一対の機械的基準構造22、24が溝付蓋20の下側に形成されており、光通信サブアセンブリ30上面の一対のアラインメントデテント32、34と合体するよう配置されている。この機械的な位置合わせは、溝付蓋20とシリコン製光通信サブアセンブリ30との間に所定のアライメントを作る。以降の図面でより明確になるように、溝付蓋20は更に、図1に示すような領域において、その下側に形成した複数の溝26を具えている。
【0019】
ファイバーホルダー10は溝付蓋20の上の適所にスライドする(図1において矢印で示す)ので、ファイバーアレイ40の個々の光ファイバー42は、複数の溝26で個別に捕捉される。本発明によれば、複数の溝26は、ファイバーとサブアセンブリ30上に形成された導波路間のZ軸方向のアライメント精度(すなわち光通信サブアセンブリ30に対するファイバーアレイ40の上昇)を上げるように形成されている。溝付蓋20も、シリコン製光通信サブアセンブリ30の端面36に沿ってエッチングで形成された複数のチャンネル38内へファイバーを方向づけるように作用する。チャンネル38は正確にエッチングされたアライメント機構であり、サブアセンブリ30の端面36に沿って形成されており、ファイバーアレイ40とシリコン製光通信サブアセンブリ30内に形成された複数の導波路(あるいは他の光学的な伝送/受光コンポーネント)の間のアラインメントに対して、最終的なX軸−Y軸調整を行う。
【0020】
本発明のアライメント構造を形成している様々な部品の詳細を、残りの図面を参照して以下に述べる。本発明の詳細についての以下の記載は、光ファイバーアレイのシリコン製光通信サブアセンブリとのアライメントに言及するものであるが、本発明の原理は、シリコン製光通信サブアセンブリと整列されてこれに取り付けるのに一本のファイバーのみが必要な場合にも同様に適用できると、理解すべきである。
【0021】
図2は、本発明によって形成した例示的なファイバーホルダー10を示す斜視図である。上述したとおり、ファイバーホルダー10は、ポリマー、セラミックスあるいは金属組成物などの、標準的で比較的安価な材料で製造することができる。複数の溝12はファイバーホルダー10の底面部分に形成されており、予め決められたスペースを空けて分離されている。本発明のアライメント構造においては、ファイバーホルダー10を用いて、隣接する溝12同士の間のスペースで規定されているとおり、ファイバーアレイのおよそのピッチP(すなわち個々のファイバー間の間隔)を規定している。例えば、0.25μmレベルでピッチPを提供する(他の様々な構造には、別の値のピッチを採用できるが)ことができる。以下に述べるように、残りのコンポーネントに連結する場合、ファイバーホルダー10も光ファイバーを位置決めして、溝付蓋20に提示する(例えば、X軸方向で約±15μm、Z軸方向で約±100μmの誤差で位置決めする)。また図2に示すように、ファイバーホルダー10に形成した一対の観察窓14及び16によって、人がファイバーアレイ40のファイバーホルダー10に対する挿入及び配置状態を観察することができる。窓14および16はユーザーの便に供するためのものであり、本発明の構成に必須なものではない。
【0022】
図3は、ファイバーアレイ40をファイバーホルダー10の端部開口18に挿入するステップを示す図である。ここに示すように、ファイバーアレイ40は複数の個別光ファイバー42を具えており、これらのファイバーは全てこの位置で独立して動く。ファイバーアレイ40は、「むき出し」の個別光ファイバー42が先ず端部開口18を通過して、次いで、複数の溝12の上に位置するように、ファイバーホルダー10に挿入される。窓16は人が使用して、個別光ファイバー42が関連する溝12へ配置されるように補助するものである。
【0023】
図4は、アライメントと取り付けプロセスのこの第1ステップの最終部分を、ファイバーホルダー10に位置決めして取り付けたファイバーアレイ40と共に示す図である。ここに示すように、光ファイバー42は個別の溝12内に配置され、従って隣接するファイバー同士間に所望のピッチPができる。しかしながら、このプロセスにおけるこの時点では、光ファイバー42の絶対的な位置決めは、Y軸およびZ軸の両方向において未だコントロールが不充分なままである。次いで、従来の開裂技法を用いて、光ファイバー42の端面終端43を開裂させて、ファイバーホルダー10の側壁終端19に対してファイバーアレイ40のY軸方向の位置決めを所望の値(例えば、±10μm)に規定することができる。その他の様々な技術を用いて、端面終端43を準備し、ファイバーホルダー10に対して端面終端43の相対的に固定された位置決めを提供することができることに留意すべきである。
【0024】
上述したとおり、溝付蓋20とシリコン製光通信サブアセンブリ30は、これらの間に機械的取付と機械的位置合わせの双方を提供する態様で互いに連結するように構成されている。図5、図6及び図7は、本発明のアラインメント構造のこの態様を示す。図5は、溝付蓋20とシリコン製光通信サブアセンブリ30の分解斜視図であり、これら2つのコンポーネントが互いに連結されるときのオリエンテーションを示している。ここでも、溝付蓋20は、例えばポリマーやセラミックスあるいは金属組成物などといった好適な材料で作ることができると解される。最終の光通信システムの操作上の目的で、サブアセンブリ30はシリコンで形成する必要があり、導波路と、そこに集積された様々なその他の光学及び/又は光電子デバイス(特に図示せず)を具えている。
【0025】
上述し、また以下に詳述するように、溝付蓋20は複数の機械的位置合わせ機構を具えるように形成されており、この場合、一対の位置合わせ機構22と24を具えている。図6を参照すると、位置合わせ機構22と24は、溝付蓋20の下面23に形成されている(高さが変わる陰影面で示す)。同様に複数のアラインメントデテントが、シリコン製光通信サブアセンブリ30の上面41に形成されている。機構の数、並びにその位置はユーザーの設計事項に過ぎないと解するべきである。「一対」の位置合わせ機構と、これに対応する「対」のアラインメントデテントの特別な使用は例示的なものに過ぎず、本発明の意図を説明するためのものである。
【0026】
図5に戻ると、この特定の実施例におけるアライメントデテントは、一対のアラインメントデテント32と34で構成されている。溝付蓋20の位置合わせ機構と光通信サブアセンブリ30のアラインメントデテントの関係は、溝付蓋20が光通信サブアセンブリ30に接触すると、位置合わせ機構とアラインメントデテントが合体してこれら2つの部品間の機械的取付を提供し、本発明のインターフェイスコンポーネントの光学アラインメントの度合いを上げるように、よく制御されている。実際に、本発明の構成によって、これらコンポーネント間の機械的位置合わせは、3軸方向全てにおいて±10μmレベルで達成されている。
【0027】
図6に最も良く示すように、溝付蓋20は更に裏面23に形成された複数の溝26を具えている。以下に図8乃至図10を参照して詳細に述べるように、複数の光ファイバー42は、ファイバーホルダー10が、予め連結してある溝付蓋20と光通信サブアセンブリ30に合体するときに、これらの溝26に入る。溝26の深さを調節することによって、光ファイバー42のシリコン製光通信サブアセンブリ30に対するZ軸方向のアライメントは、約±10μmレベルの精度で固定される。図7は、シリコン製光通信サブアセンブリ30への溝付蓋20の最終的な組み付けを示す図である。位置合わせ機構22、24とアラインメントデテント32、34を上述の配置とした結果、溝26に対するチャンネル38の相対位置が十分にコントロールされる。
【0028】
シリコン製光通信サブアセンブリ30は更に、その端面36に沿って形成された複数のチャンネル38を具えている。チャンネル38は、公知のCMOS製造技術を用いて端面36をエッチング処理して形成され、ここでは光通信サブアセンブリ30のベース材料にシリコンを使うことによって、チャンネル38の寸法と間隔が十分に制御され、量産が可能である。図8乃至図10に関連して以下に述べるように、チャンネル38は光ファイバー42の端面終端43を受け、最終のピッチと位置決め精度にこれらを方向づけるよう機能する。実際、チャンネル38は、最終的なインターフェイス構造におけるX軸およびY軸の両方向に沿って、±2μmレベルの精度を提供することができる。しかしながら、ある実装例では、シリコン製光通信サブアセンブリ30の端面36に沿って配置した傷付き易い光学部材に対するダメージを避けるために、Y軸方向におけるアライメント誤差は幾分緩和してもよい(すなわち、光ファイバーの端面終端43とサブアセンブリ30との間で直接物理的接触が生じないように緩和する)ことに留意すべきである。
【0029】
本発明によれば更に、ファイバーホルダー10(ファイバーアレイ40を含む)は溝付蓋20に接触しており、溝付蓋20自体はシリコン製光通信サブアセンブリ30と合体し整列している。上述した通り、図1は、蓋20/サブアセンブリ30に対するファイバーホルダー10のオリエンテーションを示すと共に、溝付蓋20とサブアセンブリ30の組み合わせの上にファイバーホルダー10を適所に挿入する移動方向を示している。連結の際には、ファイバーホルダー10の位置合わせ機構17が溝付蓋20の上面に形成されたアラインメントデテント28に係合する(「ボールソケット」機械的アライメント機構という)。その他の様々なタイプの機械的な位置合わせ及び取付構成を用いてファイバーホルダー10を溝付蓋20に連結できることは明らかである。更に、個別部品を連結する順序は様々である。すなわち、まずファイバーホルダー10を溝付蓋20に合体させて、次いで、ホルダー10/蓋20の組み合わせをサブアセンブリ30を取り付けるようにしてもよい。
【0030】
図8は、ファイバーアレイ40とシリコン製光通信サブアセンブリ30間にアライメント構造を提供することができる、本発明による複合部品アラインメント構造の最終構成を示す。図8の構成の一部を切り取ったものが図9に示されており、合体時にファイバーホルダー10に入った溝付蓋20の位置を示す。
【0031】
図10は、本発明の複合部品アライメント構造の形成に用いる各種の溝、位置合わせ機構、アラインメントデテント、及びチャネルを示す、一部を切り取った斜視図である。要約すると、ファイバーホルダー10は、ファイバーアレイ40を構成している個別光ファイバー42を支持する複数の溝12を具えている。溝12は、当初のピッチP(ファイバー間の間隔)を規定するようにスペースをあけて配置されている。溝付蓋20もその下側23に形成された複数の溝26を具えており、ファイバーホルダー10がスライドして溝付蓋20の上にくると光ファイバー42を捕捉する。この結果、個別光ファイバー42は、溝12(ファイバーの下側)と溝26(ファイバーの上側)の間に入る。ボールソケット構成17、28は、ファイバーホルダー10と溝付蓋20と間の機械的な取付とアライメントを提供している。溝付蓋20の位置合わせ構造22、24とシリコン製光通信サブアセンブリ30のアラインメントデテント32、34間の機械的アラインメントは、サブアセンブリ30に対するファイバーアレイ40のZ軸の位置決めを決定するように機能する。溝付蓋20は、光ファイバー42の位置を、シリコン製光通信サブアセンブリ30の約20μmの誤差に制限する。
【0032】
図11は、本発明による複合部品アライメント構造におけるアライメント精度と結合損失の関係を示すグラフである。結合損失(dBで測定)は、マルチモードの光ファイバー42とシリコン製光通信サブアセンブリ30に形成された光導波路間の横方向のずれ(X軸)の関数としてY軸上にプロットされている。このオフセットはミクロンレベルで測定され、様々なプロットは、コア径が様々である(この場合は、30μm、50μm、及び62.5μm)マルチモードファイバーに関連している。結合損失は径が小さいファイバーほど問題であり、62.5μmのファイバーでは横方向のずれに対する依存度が最小であることを示している。
【0033】
上述した例示的実施例は本発明の代表例であって、本発明の本旨と範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されると解するべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一本の光ファイバーを複数の導波路を具えるシリコン製光通信サブアセンブリに合体させる複合部品アライメント構造において、当該複合部品アライメント構造が:
箱形ファイバーホルダーであって、当該箱形ファイバーホルダーの底部分の内側面に沿って形成された複数の溝を具えており、各溝が当該箱形ファイバーホルダーの側面開口への挿入時に少なくとも一の光ファイバーの個別光ファイバーを支持している箱型ファイバーホルダーと;
溝付蓋コンポーネントであって、当該蓋付溝の下側の第1の領域に形成された複数の機械的位置合わせ構造と、前記蓋付溝の下側の第2の領域に形成された複数の溝とを具え、前記複数の溝が前記箱型ファイバーホルダー内に配置された少なくとも一の光ファイバーの上にスライドし、このファイバーを中に入れる、溝付蓋コンポーネントと;
複数の光導波路を具えるシリコン製光通信サブアッセンブリであって、更に、前記溝付蓋の下側に形成した前記複数の機械的位置合わせ構造にサイズと位置が対応している複数のアラインメントデテントを具え、前記溝付蓋が前記シリコン製光通信サブアッセンブリの上に配置されると、前記複数の機械的位置合わせ構造が前記複数のアラインメントデテントに入り、両者の間にアラインメントと機械的取付を提供し、前記シリコン製光通信サブアッセンブリが更に、前記箱型のファイバーホルダーに隣接する端面に沿って形成された複数のチャンネルを具えており、当該複数のチャンネルが、前記シリコン製光通信サブアッセンブリ内に形成された前記複数の光導波路に整合して前記少なくとも一の整列した光ファイバの端面終端を支持している;
ことを特徴とする複合部品アライメント構造。
【請求項2】
請求項1に記載の複合部品アライメント構造において、前記少なくとも一の光ファイバーが、複数の個別光ファイバーからなる光ファイバーアレイを具えることを特徴とする複合部品アライメント構造。
【請求項3】
請求項1に記載の複合部品アライメント構造において、前記箱型のファイバーホルダーが更に、その上面を通って形成された少なくとも一の窓を具えることを特徴とする複合部品アライメント構造。
【請求項4】
請求項1に記載の複合部品アライメント構造において、前記シリコン製光通信サブアセンブリのチャンネルが、その端面に沿って前記シリコン製光通信サブアッセンブリの上面にエッチングした構造を具えることを特徴とする複合部品アラインメント構造。
【請求項1】
少なくとも一本の光ファイバーを複数の導波路を具えるシリコン製光通信サブアセンブリに合体させる複合部品アライメント構造において、当該複合部品アライメント構造が:
箱形ファイバーホルダーであって、当該箱形ファイバーホルダーの底部分の内側面に沿って形成された複数の溝を具えており、各溝が当該箱形ファイバーホルダーの側面開口への挿入時に少なくとも一の光ファイバーの個別光ファイバーを支持している箱型ファイバーホルダーと;
溝付蓋コンポーネントであって、当該蓋付溝の下側の第1の領域に形成された複数の機械的位置合わせ構造と、前記蓋付溝の下側の第2の領域に形成された複数の溝とを具え、前記複数の溝が前記箱型ファイバーホルダー内に配置された少なくとも一の光ファイバーの上にスライドし、このファイバーを中に入れる、溝付蓋コンポーネントと;
複数の光導波路を具えるシリコン製光通信サブアッセンブリであって、更に、前記溝付蓋の下側に形成した前記複数の機械的位置合わせ構造にサイズと位置が対応している複数のアラインメントデテントを具え、前記溝付蓋が前記シリコン製光通信サブアッセンブリの上に配置されると、前記複数の機械的位置合わせ構造が前記複数のアラインメントデテントに入り、両者の間にアラインメントと機械的取付を提供し、前記シリコン製光通信サブアッセンブリが更に、前記箱型のファイバーホルダーに隣接する端面に沿って形成された複数のチャンネルを具えており、当該複数のチャンネルが、前記シリコン製光通信サブアッセンブリ内に形成された前記複数の光導波路に整合して前記少なくとも一の整列した光ファイバの端面終端を支持している;
ことを特徴とする複合部品アライメント構造。
【請求項2】
請求項1に記載の複合部品アライメント構造において、前記少なくとも一の光ファイバーが、複数の個別光ファイバーからなる光ファイバーアレイを具えることを特徴とする複合部品アライメント構造。
【請求項3】
請求項1に記載の複合部品アライメント構造において、前記箱型のファイバーホルダーが更に、その上面を通って形成された少なくとも一の窓を具えることを特徴とする複合部品アライメント構造。
【請求項4】
請求項1に記載の複合部品アライメント構造において、前記シリコン製光通信サブアセンブリのチャンネルが、その端面に沿って前記シリコン製光通信サブアッセンブリの上面にエッチングした構造を具えることを特徴とする複合部品アラインメント構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−506071(P2012−506071A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532199(P2011−532199)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/060611
【国際公開番号】WO2010/045304
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(509170693)ライトワイヤー,インク. (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/060611
【国際公開番号】WO2010/045304
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(509170693)ライトワイヤー,インク. (6)
【Fターム(参考)】
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