説明

入力に基づいて電子イメージを自動的に選択するシステム及び方法

本発明は、入力に基づいて、スクリーン上に表示されるイメージを自動的に選択する技術に関する。本発明の一実施形態は、入力に基づいて、電子イメージを自動的に選択するシステム(10)が提供される。本システムは、入力を受信し、受信した入力を主要カラーに関して解析し、そして解析した主要カラーを出力する入力解析手段(12)と、電子イメージを受信し、各電子イメージをそのイメージ内の主要カラーに関して解析し、そして解析した主要カラーを出力するイメージ解析手段(14)と、入力解析手段及びイメージ解析手段から出力された主要カラーを受信し、受信した主要カラーを処理し、その処理に基づいてある電子イメージを選択し、そしてその選択を信号で送るイメージ選択手段(16)とを含む。これにより、家庭、小売商店又はホスピタリティ環境のような環境内の雰囲気に自動的に影響を与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力に基づいて、スクリーン上に表示される電子イメージを自動的に選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ソリッドステート照明はカラー照明及びダイナミックスを含む新しい形状を可能にし、室または建物内にあらゆる種類の雰囲気を作出することを可能にする。家庭、小売商店、またはホスピタリティ環境のような環境における雰囲気は、照明、音響、及びイメージによって影響され得る。今日では、イメージは通常ビデオまたは写真カメラを用いて撮影され、データキャリヤ上に電子的に格納され、コンピュータ、またはTVモニタ、または電子額縁のようなフラットパネルディスプレイ上に表示される。
【0003】
US 2007 / 0133212 A1に記載されている照明デバイスは、照明デバイスが背景壁または周囲に環境光を投射して快適さ及びビューイング体験を改善するように、テレビジョンセット、コンピュータモニタ、またはオーディオ装置に接続することが可能である。デバイスは、少なくとも1つのイメージの一部分、または少なくとも1つのメロディのリズムの一部分から抽出することができるディスプレイ情報を受入れるトランシーバを含むことができる。トランシーバによって集められたディスプレイ情報は、光源を制御して光を時間変化式に分配したり、または空間に広げたりさせるのに使用することができる。このデバイスを用いると、例えばテレビジョンセットまたはコンピュータモニタのディスプレイ情報によって照明雰囲気に影響を与えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、環境内の雰囲気に自動的に影響を与えることができる新しいシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、特許請求の範囲に記載の独立項によって達成される。さらなる実施形態は、従属項に示されている。
【0006】
本発明の基本的なアイディアは、照明雰囲気またはカラー入力のような入力に基づいて、スクリーン上に表示される電子イメージを自動的に選択することである。これによって、家庭、小売商店、またはホスピタリティ環境のような環境における雰囲気に自動的に影響を与えることができる。ユーザは、最早、手動でイメージを選択することにより、特に所望の雰囲気にフィットする適当なイメージを探し出すためのかなり複雑な仕事(この仕事は、熟練した人でも時間と努力を要することが多い)を実行して所望の雰囲気を作出する必要はない。その代わりとして、本発明は、例えば異なる雰囲気を提供する電子イメージを含むデータベースから電子イメージを自動的に選択することによって、例えば所望の照明雰囲気にフィットするイメージを選択する自動的手法を創作する。
【0007】
本発明の実施形態は、入力に基づいて、電子イメージを自動的に選択するシステムを提供する。上記システムは、
−入力を受信し、受信した入力を主要(ドミナント)カラーに関して解析し、そして解析した主要カラーを出力するようになっている入力解析手段と、
−電子イメージを受信し、各電子イメージをイメージ内の主要カラーに関して解析し、そして解析した主要カラーを出力するようになっているイメージ解析手段と、
−出力された主要カラーを入力解析手段及びイメージ解析手段から受信し、受信した主要カラーを処理し、その処理に基づいて電子イメージを選択し、そしてその選択を信号で送るようになっているイメージ選択手段と、
を含む。
【0008】
本明細書で使用する入力とは、カラー情報を含む何等かの考え得る入力のことである。入力は、例えば出願人の「リビングカラーズ(LivingColorsTM)」灯のリモートコントロールから送出された時に、照明システムを用いてカラーをセットするためのリモートコントロール信号のような直接カラー情報を有する信号であることも、またはある範囲のカラーを含む照明雰囲気のようなより複雑な入力であることもできる。本明細書で使用する入力という語は広い意味を有していることを理解されたい。即ち、ある電子システムのための考え得る各入力であると考えるべきであり、この入力は、その入力に含まれる1つまたはそれ以上のカラーに関して解析することができるものである。例えばこのシステムは、例えば雰囲気に影響を与えるために電子ピクチャを表示するように設けられたフラットパネルディスプレイ、電子額縁、コンピュータモニタ、その他の何等かのスクリーンのようなスクリーンのためのスタンドアロン電子制御デバイスとして実現することができる。制御デバイスは、スクリーンを制御するインタフェースを含むことができ、特定的には、表示するためにシステムによって選択された電子イメージをスクリーンへ伝送し、また電子イメージを受信するインタフェースを含むことができる。システムは、自動イメージ選択メカニズムによってある雰囲気作出システム(例えば照明システム)の機能を拡張するために、その雰囲気作出システムのためのモジュールとして実現することもできる。このシステムの1つの応用例は、家庭に居るユーザの電子ディスプレイの内容の自動制御である。この内容は、例えば家庭用照明システムによって作出することができる現照明雰囲気に基づいて自動的に選択される。この仕事を遂行するために、例えばユーザのスクリーン及び/またはTVセットにシステムを結合し、選択されたイメージを表示させることができる。
【0009】
イメージ解析手段は、本発明の別の実施形態では、ローカルデータベース、ネットワークデータベース、データ記憶装置、ユーザ入力、電子イメージを表示するスクリーン、コンピュータ、電子額縁、デジタル写真またはビデオカメラ、ビデオレコーダまたはプレーヤ、写真またはビデオプレーヤの1つまたはそれ以上から電子イメージを受信するようになっている。例えば、電子イメージは、ハードディスク、またはDVD(デジタルバーサタイルディスク)のような光データキャリヤのようなデータキャリヤ上のローカルデータベース内に格納することができる。イメージは、例えばコンピュータネットワーク内のデータベースサーバ上に設けることができるネットワークデータベース内に格納することもできる。電子イメージは、例えば、ハードディスク、DVD、CD−ROM、またはメモリカードのようなデータ記憶装置上にファイルとして格納することもできる。イメージ解析手段は、例えば、直列または並列コンピュータインタフェースまたはビデオ信号インタフェースのような専用インタフェースを介してシステムに直接接続することができるデジタル写真またはビデオカメラ、ビデオレコーダ、写真またはビデオプレーヤのようなイメージ処理装置から直接電子イメージを受信することができる。
【0010】
入力解析手段は、本発明の一実施形態によれば、更に、ローカルデータベース、ネットワークデータベース、データ記憶装置、照明雰囲気を自動的に作出するようになっている照明システム、光センサ、カラースキャナ、カラーセンサ、カラーホイール、カラー走査及びポインティングデバイスの1つまたはそれ以上からも入力を受信することができる。入力としての照明雰囲気は、例えば、ハードディスク上のようにローカルに、またはウェブサービスインタフェースを介してアクセス可能なインターネット内のようなネットワークデータベース上に、またはメモリカード、光データキャリヤ、ハードディスク上に1つまたはそれ以上のファイルとして格納することができる。また、システムを照明システムに接続し、この接続を介して照明システムから照明雰囲気を入手することができる。カラースキャナ、カラーセンサ、カラーホイール、カラー走査及びポインティングデバイスは、ユーザが好ましいカラーを直接入力するいろいろな機会を与える。例えば、ユーザは、カラースキャナまたはセンサより前に好ましいカラーを単純に保持することができ、好ましいカラーを気楽に選択するためにカラーホイールを使用することも、またはカラー走査及びポインティングデバイスを使用することもできる。このカラー走査及びポインティングデバイスは、ある位置から好ましいカラーをコピー(走査)して、別の位置において(典型的には、イメージ選択手段のインタフェースにおいて)そのカラーを再現(ポイント)するために使用することができる。このようにすると、イメージ選択により一層直接的に影響することが可能になる。例えば、ユーザは、彼女または彼が好み、主要カラーとして入力解析手段に解析させるカラーを、彼女または彼が入力することによって自動イメージ選択プロセスに影響を与えることができる。次いで、ユーザのカラー入力は、イメージの選択が入力されたカラーに基づくような手法でイメージ選択手段に処理させることができる。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、入力解析手段は更に、所定の色空間内に表され且つ入力内に使用されている1つのカラー、1組のカラーに基づいて、または入力内に使用されている1つまたはそれ以上のカラーから導出された1つのカラーラベルまたは1組のカラーラベルに基づいて、受信した入力を主要カラーに関して解析することもできる。例えば、入力としての照明雰囲気は、1つの有力なカラーに関して解析することができる。このカラーは、主要カラーとして出力することができ、これをイメージ選択のために使用することができる。しかしながら、照明雰囲気は1組のカラーに関して、特に有力なカラーに関して解析することも可能であり、従って、1つの主要カラーより多くのカラーに基づいてイメージ選択をすることができる。また、照明雰囲気を1つの(1組の)カラー(ラベル)に基づいて解析することはできるが、普通は、カラーラベルは照明雰囲気のカラー組成の解析を必要としないので、雰囲気の解析プロセスがより迅速になる。
【0012】
更に、イメージ解析手段は、本発明の一実施形態では、イメージ解析及び分類技術を適用することもでき、電子イメージを、望ましくないものとして分類された表現、所定のアスペクト比、画質、分解能、所定の審美値の1つまたはそれ以上の特性に関してチェックする。これにより、例えば、幾つかのイメージは、それらの表現が望ましくないと分類されるか、それらの画質が十分ではないか、それらの分解能が十分ではないか、またはそれらが審美値(ユーザが予め定めた値)を達成していない故に選択されないというように、自動イメージ選択を更に洗練させることができる。電子イメージの審美値は、例えばイメージのメタデータ内に決定しておくことができる。
【0013】
本発明の別の実施形態では、イメージ解析手段は、入力解析手段から出力された主要カラーを受信し、受信した出力された主要カラーに基づいて電子イメージを検索することができる。即ち、カラーに基づくイメージ検索をイメージ解析手段によって遂行することができ、特に、所望のカラー組成を有するイメージをイメージ解析手段、方法(内容に基づく検索(CBIR)コミュニティにおいて拡張的に取扱われる)によって検索することができる。この分野における近年の開発及びより広いマルチメディア情報検索の概要に関しては、2006年の「マルチメディア計算、通信、及び応用に関するACMトランザクション」の1〜19頁に所載のM.Lew、N.Sebe、C.Djeraba、R.Jainの論文“内容に基づくマルチメディア情報検索:最新技術及びチャレンジ”を参照されたい。
【0014】
本発明の別の実施形態は、雰囲気作出システムを提供する。このシステムは、
−幾つかの光ユニットを含み、これらの光ユニットを用いて自動的に照明雰囲気を生成する照明システムと、
−電子イメージを表示する幾つかのディスプレイユニット、及び本発明による、そして上述した照明システムによって作出される入力に基づいて電子イメージを自動的に選択するシステムを含むイメージ表示システムと、
を含む。
【0015】
このような雰囲気作出システムは、雰囲気作出システムによって現在作出されているテーマまたはムードにフィットするイメージを用いて環境内に所望の雰囲気を自動的に作出するために、例えば家庭、小売商店、またはホスピタリティ環境内に設置することができる。
【0016】
更に、本発明の一実施形態は、入力に基づいて電子イメージを自動的に選択する方法を提供する。本方法は、
−入力を受信し、その受信した入力を主要カラーに関して解析するステップと、
−解析した主要カラーを出力するステップと、
−電子イメージを受信し、各電子イメージをそのイメージ内の主要カラーに関して解析するステップと、
−解析した主要カラーを出力するステップと、
−出力された主要カラーを受信し、その受信した主要カラーを処理するステップと、
−処理に基づいて電子イメージを選択し、その選択を信号で送るステップと、
を含む。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータによって実行された時に本発明による上記方法を遂行させることを可能にするコンピュータプログラムが提供される。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、本発明によるコンピュータプログラムを格納する、例えば、CD−ROM、DVD、メモリカード、ディスケットのような記録媒体、または電子アクセスのためのコンピュータプログラムを格納するのに適する類似のデータキャリヤが提供される。
【0019】
最後に、本発明の実施形態は、本発明による方法を遂行するようにプログラムされ、電子イメージを表示するために1つまたはそれ以上の電子ディスプレイと通信するためのインタフェースを含むコンピュータを提供する。
【0020】
本発明のこれらの、及び他の面は、以下に説明する諸実施形態を参照すれば明白になり、理解することができよう。
【0021】
以下に、例示実施形態を参照して本発明を詳述する。しかしながら、本発明はこれらの例示実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】入力としての照明雰囲気に基づいて、電子イメージを自動的に選択する本発明によるシステムの実施形態のブロック図である。
【図2】照明雰囲気作出灯に結合された電子イメージ自動選択システムの実施形態を示す図である。
【図3】入力としての照明雰囲気に基づいて、電子イメージを自動的に選択する本発明による方法の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面及び以下の説明では、機能的に類似または同一の要素には、同一の番号を付してある。
【0024】
将来の雰囲気作出システムは、照明に限定されるものではなく、作出される雰囲気にフィットする雰囲気イメージを表すために使用可能な電子ディスプレイ上の内容を制御することができるようになる。本発明は、照明雰囲気のような所与の入力にフィットする1つまたは複数の雰囲気イメージを、自動的にデータベース内で探し出すことができるシステムを提唱する。これは、例えば照明雰囲気のような所与の入力内の主要な又は優勢な1つまたはそれ以上のカラーを使用し、これらのカラーが有力又は目立つ雰囲気イメージを探し出すことによって達成される。
【0025】
本発明の一実施形態では、図2に示すように、消費者は、カラー光要素(例えば「リビングカラーズTM」灯)のような照明システム28を家庭に持つことができ、これは、幾つかのカラーLED(発光ダイオード)を光ユニットとして含み、所望の照明カラーを選択するためのカラーホイールを有しているリモートコントロールユニット30によって制御できる。所望の照明カラーをユーザが選択すると、それがリモートコントロールユニット30から照明システム28へ伝えられ、照明システム28はカラーLEDを適切に制御することによって所望の照明カラーを用いて照明雰囲気32を自動的に作出する。照明システム28は、自動イメージ選択システム10と通信するインタフェースを含む。更に、自動イメージ選択システム10は、ユーザが選択した所望の照明をリモートコントロールユニット30から直接受信し、処理することもできる。システム10は、異なる照明雰囲気のために設けられた異なる電子イメージを含むローカルデータベース18へのアクセスを有している。システム10は、システム10を例えばTVまたはデジタル額縁のようなスクリーン20に結合するための別のインタフェースを含む。システム10のインタフェースは、ワイヤレス、ワイヤード、またはワイヤレス/ワイヤード複合通信リンクによって、照明システム28及びスクリーン20と通信することができる。例えば、システムは、WLAN(ワイヤレスローカルエリアネットワーク)、ブルートゥース(登録商標)、ジグビー(登録商標)、または別の無線通信インタフェース及び/またはLAN、USB(ユニバーサルシリアルバス)、IEEE 1394通信インタフェースを含むことができる。照明システム28のためのカラーを選択することによって、システム10は、選択されたカラーが優勢に又は顕著に存在するような雰囲気イメージを自動的に探し出して1つまたは複数のスクリーン20上に表示することができる。また、小売商店またはホスピタリティ環境のようなプロフェッショナルな環境では、進歩した照明レンダリング要素に加えて、複数の電子ディスプレイが存在し得る。これらの電子ディスプレイは、情報または商業内容を提示することができるだけではなく、雰囲気作出システムによって現在作出されているテーマまたはムードにフィットする、特に、電子ディスプレイ上の内容を照明雰囲気内で有力な又は目立つ特定のカラーにマッチしたイメージを表示するためにも使用される。
【0026】
図1は、照明システム24によって作出された入力としての照明雰囲気に基づいて、電子イメージを自動的に選択するシステム10の別の実施形態を詳細に示している。システム10は、入力解析手段12、イメージ解析手段14、及びイメージ選択手段16を含み、これらは例えば処理要素によって実現することができる。システム10は、入力解析手段12によって照明雰囲気を受信するために、照明システム24に結合されている。システム10は、照明雰囲気の記述を含むことができるデータ記憶装置22にも結合されている。最後に、システム10は、電子イメージを表示するために設けられているスクリーン20に結合されている。
【0027】
入力解析手段12は、照明システム24から照明雰囲気を受信してそれを解析するか、またはデータ記憶装置22から照明雰囲気記述を読み出す。入力解析手段12は、受信した照明雰囲気を主要カラーに関して解析し、解析した主要カラーをイメージ選択手段16及びイメージ解析手段14へ出力する。
【0028】
イメージ解析手段14は、特にイメージを次々に検索するために、ローカルデータベース18から電子イメージを受信する。受信したイメージは、そのイメージ内の主要カラーに関して解析される。イメージ解析手段14は、主要カラーをイメージ選択手段16へ出力する。
【0029】
イメージ選択手段16は、入力解析手段12及びイメージ解析手段14から出力された主要カラーを受信し、受信した主要カラーを処理し、そして例えば、電子イメージ内に含まれる主要カラーが、解析された照明雰囲気内に含まれる主要カラーによって規定される色空間内にあるか否かを決定する。この処理に基づいて、スクリーン20上に表示するために1つの電子イメージを選択することができ、イメージ選択手段16はこの選択を信号化又は信号で送る。特定的には、表示させるためにスクリーン20へ選択された電子イメージを送る。もし処理の結果として1つの電子イメージが選択されなければ、イメージ選択手段16はイメージ解析手段から主要カラーを受信する。これらの主要カラーは、ローカルデータベース18からイメージ解析手段14によって読出された別の電子イメージの解析から得られたものである。このようにして、ローカルデータベース18内に格納されている電子イメージは、照明システム24によって作出された照明雰囲気に適する、従って1つまたはそれ以上のスクリーン20上に適当なイメージを表示することを可能にする1つのイメージを得るために次々に検索される。
【0030】
イメージ検索は、照明雰囲気内に使用されている1つのカラー、または1組のカラー(例えば、RGBのような適当な色空間内に表される)に基づいて、またはこれらのカラーから導出された1つの(1組の)カラーラベルに基づいて行うことができる。1組のカラー及びそれらの対応ラベルの例を以下の表に示す。
【0031】
カラー(sRGB) ラベル
(255, 0, 0) 赤
(100, 20, 200) 紺青、青
(250, 150, 0) 橙
【0032】
望ましいカラー組成を有するイメージを検索する際の問題は、「内容に基づく検索(CBIR)コミュニティ」において拡張的に取扱われる。当分野における最新の開発の概要、及びより広い「マルチメディア情報検索」に関する概要が、2006年の「マルチメディア計算、通信、及び応用に関するACMトランザクション」の1〜19頁にM.Lew、N.Sebe、C.Djeraba、R.Jainの論文“内容に基づくマルチメディア情報検索:最新技術及びチャレンジ”に記述されているので参照されたい。
【0033】
検索カラーからラベルへの変換は、最近になって同一CBIRコミュニティからある対応措置が得られた重要な仕事である。例えば、イメージ検索を改善するために人間の知覚及びカラー命名からの知識を使用する最新のシステムに関して、2005年5月の「イメージ処理に関するIEEEトランザクション14」の690〜699頁に所載のA.Mojsilovicの論文「イメージのカラーに命名し、カラー組成を記述するための計算モデル」を参照されたい。
【0034】
上述した方法のグループは共に、例示イメージまたは所望の結果のスケッチに類似するイメージを検索するために使用することができる。これに対して、本発明は、照明雰囲気を検索への入力とする定義を使用する。
【0035】
イメージのデータベースは、コレル(Corel)(登録商標)イメージデータベースまたはユーザのローカルイメージデータベースのようなピクチャの(ローカル)の所与のデータベースであることも、またはグーグル(登録商標)イメージ検索エンジンまたはFlickr.comイメージデータベースのようなウェブサービスを通して利用可能にされるイメージであることもできる。ローカルデータベースの場合には、両アプローチを使用することができる。データベースの型に基づいて、イメージ毎にラベルの品質が異なり得る。ラベルは自動的に作出することも、またはユーザがFlickr.comにおけるものに似たイメージをアップロードすることによって手動で注釈付けすることもできる。
【0036】
特に、もしそれ程制御されていないイメージのデータベースを使用するのであれば、イメージをその適否に関して選別することが望ましいであろう。例えば、暴力、裸体、大惨事等を含むイメージは望ましくないかも知れない。更に、アスペクト比、画質、分解能のような特性は、チェックする必要があるだろう。最終的に、あるイメージの審美値はどの程度か、またはそれが「雰囲気的」なイメージであるか否かをチェックすることが望ましいであろう。このために、イメージ解析及び分類技術を適用することができる。
【0037】
カラースキャナ、カラーセンサ、カラーホイール、及びカラー走査及びポインティングデバイスのような種々のカラー制御ユーザ対話ソリューションを、ユーザによるカラー入力のためのインタフェース26として、システム内に適用することができる。従って、ユーザは、電子イメージの選択に、より直接的に影響を与えることができる。
【0038】
カラー走査及びポインティングデバイスは、ユーザが「光によるペイント」、及び所望のカラーを気楽に入力することを可能にする。この所望のカラーは、その所望のカラーを含むある位置からユーザがコピーしたものである。このデバイスは、ユーザが別のルミナリ又は発光体をポイントすることによって、またはその環境内の色付き表面にタッチすることによって、あるカラーを選び、目標ルミナリをポイントすることによって、このカラーを“ペイント”することを可能にする。カラー走査及びポインティングデバイスで電子ディスプレイにポイントする時に、それを、コピーされたカラーが有力な又は目立つ雰囲気イメージをディスプレイ上に自動的に作出するために使用することができる。ユーザがカラー走査及びポインティングデバイスの“ペースト”ボタンを複数回押圧することによって、複数の適当なイメージを簡単に次々に“トグル”させることができ、それによって最も望ましいイメージを選択できることが理解できよう。カラー走査及びポインティングデバイスは、ワイヤレスまたはワイヤード通信リンクによってシステム10と通信することができる。
【0039】
家庭環境では、ユーザは、「リビングカラーズTM」灯のカラーを制御するためのカラーを入力する入力デバイスとしてカラーホイールを使用することができ、同時に、1つまたはそれ以上のディスプレイ(TV、デジタル額縁、PCスクリーン)上のイメージは、選択されたカラーに対応するイメージを表示するように更新される。ユーザのデータベースからのピクチャを使用できるようにすると、ユーザの雰囲気を更に個別化する機会をユーザに与える。
【0040】
小売商店、またはホスピタリティ環境には、ウォールウォッシング効果のためのLEDパネル及びカラー照明を含む進歩した照明システムが存在し得る。選択された雰囲気プリセットに基づいて、本発明によるシステムは、現照明プリセット内で有力な1つまたはそれ以上のカラーを導出し、この情報を使用して相応する着色イメージを検索して利用可能なスクリーン上に表示することができる。
【0041】
電子イメージは、静的(写真)または動的(ビデオ)であることができる。ユーザ入力インタフェース(図1の番号26)を介してのように、ユーザが選択に参加することによって、例えば幾つかの見出されたイメージから選択するオプションがユーザに与えられ、性能の向上を援助することが可能になる。複数のイメージを必要とすることができる。例えば、複数のイメージを1つのスクリーン上に表示することができ、使用可能な複数のスクリーンが存在することができ、または、有力な照明カラーが変わらない状態でスクリーン上のイメージをしばしば更新することが望ましいかも知れない。これらの場合、全てのピクチャを通して一貫したテーマを有していることが望ましいであろう。この一貫性は、システムによって、またはユーザによって作出することができる。本発明によるシステムは、特定のカラーに関して見出されたイメージに共通のラベル(例えば、花、景色、自動車)を検出することができ、一方、例えばテキストエントリ、またはリストからの選択のような所望のテーマラベルを付加する可能性をユーザに与えることができる。
【0042】
また、1つのイメージを、隣接する複数のディスプレイ上に広げることが望ましい。このためには、これらのディスプレイの相対的な位置取り、得られるアスペクト比、及び必要な分解能に関する知識が必要である。
【0043】
図3は、入力としての照明雰囲気に基づいて、電子イメージを自動的に選択する方法のフローチャートである。ステップS10において、照明雰囲気が受信され、この受信された照明雰囲気が主要カラーに関して解析される。S12において、解析された主要カラーが出力される。次に、ステップS14において、電子イメージが受信され、各電子イメージはそのイメージ内で主要カラーに関して解析される。ステップS16において、解析された主要カラーが出力される。ステップS18において、出力された主要カラーが受信され、これらの受信された主要カラーが処理される。最後に、ステップS20において、処理に基づいてある電子イメージが選択され、その選択が信号化又は信号で送られる。この方法は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)によって実行させることができるコンピュータプログラムとして実現することができる。従って、PCモニタ上に表示されるイメージを、コンピュータプログラムを用いて自動的に選択することができる。上述した方法は、特に照明雰囲気が動的である場合に、(単一のスタート・ストップシーケンスではなく)連続ループで実行させることもできる。これは、1つまたは複数の電子ディスプレイ上に表示されたイメージを自動的に更新する場合に有用であろう。
【0044】
以上に説明した本発明を、照明システムに、または照明に制約されない雰囲気作出システムに適用することにより、これらのシステムは、作出された雰囲気にフィットする雰囲気イメージを表すのに使用できる電子ディスプレイ上の内容を制御できるようになる。本発明のさらなる応用は、家庭環境である。家庭環境においては、消費者がカラー光要素を家庭に有することができ、この要素を本発明の実施形態に従ってスクリーン、TV、または電子額縁に結合して満足できる雰囲気を作出することができる。本発明は、また、進歩した照明レンダリング要素をも備えている小売商店またはホスピタリティ環境にも適用することができる。このような環境では、複数の電子ディスプレイが情報または商用内容を提示することができるだけではなく、本発明の実施形態によれば、雰囲気作出システムによって現在作出されているテーマまたはムードにフィットするイメージを表示するためにも使用することができる。
【0045】
本発明の機能の少なくとも幾つかは、ハードウェアまたはソフトウェアによって遂行させることができる。ソフトウェアで実現する場合には、本発明を実現する単一の、または複数のアルゴリズムを処理するために、単一のまたは複数の標準マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを使用することができる。
【0046】
“を備えている”または“を含む”という語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、また“ある”または“1つの”という語は複数のものを排除するものではないことに留意されたい。更に、特許請求の範囲に記載されている参照符号が、本発明の範囲を限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力に基づいて、電子イメージを自動的に選択するシステムであって、
入力を受信し、上記受信した入力を主要カラーに関して解析し、そして上記解析した主要カラーを出力するようになっている入力解析手段と、
電子イメージを受信し、各電子イメージをそのイメージ内の主要カラーに関して解析し、そして上記解析した主要カラーを出力するようになっているイメージ解析手段と、
上記入力解析手段及び上記イメージ解析手段から出力された主要カラーを受信し、上記受信した主要カラーを処理し、その処理に基づいてある電子イメージを選択し、そしてその選択を信号で送るようになっているイメージ選択手段と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
上記イメージ解析手段は更に、ローカルデータベース、ネットワークデータベース、データ記憶装置、ユーザ入力、電子イメージを表示するスクリーン、コンピュータ、電子額縁、デジタル写真またはビデオカメラ、ビデオレコーダまたはプレーヤ、写真またはビデオプレーヤの1つまたはそれ以上から電子イメージを受信するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記入力解析手段は更に、ローカルデータベース、ネットワークデータベース、データ記憶装置、照明雰囲気を自動的に作出する照明システム、光センサ、カラースキャナ、カラーセンサ、カラーホイール、カラー走査及びポインティングデバイスの1つまたはそれ以上から入力を受信するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
上記入力解析手段は更に、上記受信した入力を、所定の色空間内に表され且つ入力に使用されている1つのカラー、1組のカラーに基づいて、または、上記入力内に使用されている1つまたはそれ以上のカラーから導出された1つのカラーラベルまたは1組のカラーラベルに基づいて、主要カラーに関して解析するようになっていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のシステム。
【請求項5】
上記イメージ解析手段は更に、電子イメージを、望ましくないと分類される表現、所定のアスペクト比、画質、分解能、所定の審美値のような特性の1つまたはそれ以上に関してチェックするようになっていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のシステム。
【請求項6】
上記イメージ解析手段は更に、上記出力された主要カラーを上記入力解析手段から受信し、受信した上記出力された主要カラーに基づいて電子イメージを検索するようになっていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のシステム。
【請求項7】
雰囲気作出システムであって、
幾つかの光ユニットを含み、上記光ユニットを用いて照明雰囲気を自動的に生成するようになっている照明システムと、
電子イメージを表示する幾つかのディスプレイユニット、及び入力に基づいて、電子イメージを自動的に選択するための請求項1乃至6の何れか1項に記載のシステムを含むイメージ表示システムと、
を含むことを特徴とする雰囲気作出システム。
【請求項8】
入力に基づいて、電子イメージを自動的に選択する方法であって、
入力を受信し、上記受信した入力を主要カラーに関して解析するステップと、
上記解析した主要カラーを出力するステップと、
電子イメージを受信し、各電子イメージをそのイメージ内の主要カラーに関して解析するステップと、
上記解析した主要カラーを出力するステップと、
上記出力された主要カラーを受信し、上記受信した主要カラーを処理するステップと、
上記処理に基づいてある電子イメージを選択し、その選択を信号で送るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
コンピュータに請求項8に記載の方法を遂行させることを可能にするコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のコンピュータプログラムを格納する記録媒体。
【請求項11】
請求項8に記載の方法を遂行するようにプログラムされ、電子イメージを表示させるために1つまたはそれ以上の電子ディスプレイと通信するためのインタフェースを含むコンピュータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−510530(P2011−510530A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539005(P2010−539005)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/IB2008/055334
【国際公開番号】WO2009/081330
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】