説明

入力・出力ユニットを可動に保持するための装置

【課題】省スペースの構造を可能にする、入力・出力ユニットを可動に保持するための装置を提供する。
【解決手段】入力・出力ユニット4を可動に保持するための装置であって、前記ユニット4を倒された非使用位置から起こされた使用位置へと、またはその逆方向へと旋回させるための駆動装置6と、非使用位置にある入力・出力ユニットを閉鎖位置でカバーするカバー5と、強制的に作動する多部分から成る平面的な伝動装置12,13,14とが設けられており、該伝動装置はカバーのための運動学的な連鎖とガイドとを形成しており、該ガイドがカバーを閉鎖位置から開放位置へと、またはその逆方向へと動かす形式のものにおいて、装置1が連結部材17を有しており、該連結部材が、入力・出力ユニットの運動とカバーの運動とを同期化させ、連結部材17は入力・出力ユニットの駆動装置6によって駆動され、カバー5の伝動装置を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の、入力・出力ユニットを可動に保持するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は特に、自動車に組み込み、使用するために設けられているが、基本的に別の陸上車両、航空機、船舶においても使用可能である。入力・出力ユニットとは特に、フラットスクリーンもしくはディスプレイを想定している。入力・出力ユニットはボタンもしくはその他の入力エレメントを有していても良い。
【0003】
本発明による装置の入力・出力ユニットは特に水平軸を中心として、倒された非使用位置から起こされた使用位置へと、またはその逆方向で旋回可能である。この場合、「倒された」および「起こされた」の概念は、装置の所定の組み込み位置に関する。起こされた使用位置では入力・出力ユニットは、装置が組み込まれた車両内の乗員から見ることができ、読み取り可能もしくは操作可能である。非使用位置では入力・出力ユニットは、一種のケーシング内で例えば計器盤内に沈められている。入力・出力ユニットの旋回は、有利には電動モータ的な駆動装置によって行われる。
【0004】
さらに本発明による装置は、非使用位置における入力・出力ユニットをカバーするカバーを有している。カバーはこの場合、閉鎖位置にある。カバーは例えば計器盤に設けられた開口を閉じており、この開口を通って入力・出力ユニットが起こされた使用位置へと上方に向かって旋回される。開放位置ではカバーは有利には、使用位置で起こされた入力・出力ユニットの後方に位置している。この場合、「後方」という表現は乗員の視線方向に関するものである。
【0005】
カバーの運動を行うために、本発明による装置は、強制的に運動される多部分から成る平面的な伝動装置を有しており、この伝動装置が運動力学的な連鎖を成している。
【0006】
自動車の計器盤内においてLCDフラットスクリーンを可動に保持するための装置がドイツ連邦共和国特許出願公開第10008887号明細書により公知である。公知の装置は水平軸を中心として旋回可能なディスプレイを有していて、このディスプレイは、斜め下方に向けられた、計器盤の開口内に沈められた非使用位置から、垂直または斜めに起こされた使用位置へと旋回可能である。使用位置では公知の装置のディスプレイは計器盤の開口から上方に向かって突出しており、車両乗員に見えるようになっている。公知の装置のカバーは、ディスプレイが下方に向かって非使用位置へと旋回され、計器盤内に沈められた際に計器盤の開口を閉じ、ディスプレイを遮蔽している。ディスプレイが使用位置へと旋回される際には、カバーは同様に水平の旋回軸を中心として、計器盤に設けられた開口内へと旋回し、ディスプレイの後方に戻し旋回される。公知の装置のディスプレイとカバーとは強制的に互いに一緒に旋回し、これらは滑子案内制御装置によって連結されている。公知の装置は、ディスプレイおよびカバーの旋回運動のために大きな組み込みスペースが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、省スペースの構造を可能にする上記形式の装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明によれば請求項1の特徴により解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明による装置は、入力・出力ユニットの運動とカバーの運動とを同期化させる連結部材を有している。連結部材は入力・出力ユニットの駆動装置によって駆動され、カバーの伝動装置を駆動する。同期化とは、カバーの運動と入力・出力ユニットの運動の同調と解され、開放時のカバーと使用位置へと立てられる際の入力・出力ユニットがカバーと入力・出力ユニットの逆方向の運動の際に衝突することを防止する。同期化とは必ずしもカバーと入力・出力ユニットの同時的な運動や、または常に同じ速度比の運動を意味するものではない。運動の1つの段階ではカバーまたは入力・出力ユニットは、運動の別の段階におけるよりもゆっくりまたは速くて良い。運動の段階でカバー及び/又は入力・出力ユニットが停止して立っていても良い。
【0010】
連結部材により、入力・出力ユニットとカバーの駆動は、1つの共通の駆動装置によって行うことができる。連結部材のさらなる利点は、入力・出力ユニットとカバーの運動の同期化および両部分の衝突の防止である。
【0011】
連結部材は例えばカムディスクまたはこれに類するものであって良い。本発明の構成では、連結部材は旋回可能に支承されている。連結部材は例えば定置に、装置のケーシングの側壁に旋回可能に支承されている。本発明の構成では、連結部材はカムを有していて、このカムに沿って入力・出力ユニットの旋回の際に駆動装置が運動する。これにより駆動装置が連結部材を動かし、連結部材はカバーの伝動装置を駆動する。カムは例えば滑子案内軌道であって良く、連結部材は、カムディスクまたは滑子案内ディスクであって良い。カムの形状により、入力・出力ユニットとカバーとは所望の形式で同期化されて、入力・出力ユニットとカバーの運動の速度比は、入力・出力ユニットの旋回中に所望のように変化する。
【0012】
本発明の構成では、連結部材とカバーの伝動装置とに互いに噛み合う歯列が、伝動装置の駆動、ひいては連結部材によるカバーの駆動のために設けられている。歯列は複数の歯車の形式で円形のものであっても、ラックに噛み合う1つの歯車の形式で構成されていても良い。少なくとも互いに噛み合う両歯列の一方はまっすぐ、または、円形とは異なる湾曲もしくはカム状の延在を有して形成されていて良い。歯列は、連結部材およびカバーの同期運動を保証し、連結部材の位置がカバーの位置を一義的に規定するという利点を有する。
【0013】
本発明の構成では、駆動軌道が設けられており、この駆動軌道に沿って装置の駆動装置が入力・出力ユニットの旋回の際に運動する。駆動軌道は、ラックの形式の、ケーシングに固定された、もしくは定置の歯列であって良く、この歯列に、電動モータによって駆動可能な駆動装置の歯車が噛み合う。ラックはまっすぐである必要はなく、湾曲されていても、円弧状に延びていても良い。
【0014】
本発明の構成では、装置のカバーの伝動装置およびガイドとしての4リンク機構が設けられている。4リンク機構が平行四辺形として形成されているならば、カバーは開閉時に平行に、円弧状の軌道に沿って摺動される。4リンク機構から離れることにより、カバーは並進運動に加えて付加的に円弧状軌道に沿って旋回されることができる。4リンク機構により簡単に、安価で安定的で確実なカバーのガイドが得られる。4リンク機構のジオメトリによりカバーの所望の運動が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に図面につき本発明の実施例を詳しく説明する。図1〜図3には本発明による装置が種々異なる位置で側方図により示されている。
【0016】
図示した本発明による装置1はボックス状のケーシング2を有している。このケーシング2の開口3は、所定の組み込み位置では、ケーシング2の上面に位置していて、ケーシング2の上面の半分以上を占めている。この装置1は、自動車の計器盤(図示せず)内に組み込むように設けられている。ケーシング2は組み込まれた部分が見えるように透視図で示されている。ケーシング2にはディスプレイ4、例えばLCDフラットスクリーンが取り付けられており、これは出力ユニットを成しており、ドライバ情報のためのマルチ機能ディスプレイとして設けられている。原則的にはディスプレイ4はボタンおよびその他の操作エレメントを有しているか、またはいわゆるタッチパネルであっても良く、これにより入力・出力ユニットを形成することができる。図1に示した閉鎖位置では、ディスプレイ4は倒されて、その画面側を下方に向けてケーシング2内に沈められている。カバー5はケーシング2の開口3を閉じている。図3に示した開放位置では、カバー5はほぼ開口3を越えて持ち上げられていて、後方へと動かされている。ディスプレイ4はケーシング2の開口3から上方に向かって突出するように持ち上げられ、後方に僅かに傾斜している。ディスプレイ4は車両乗員、特にドライバ及び/又は助手席のために見やすくかつ良好に読み取り可能である。カバー5はドライバ及び/又は助手席の視線方向で見てディスプレイ4の後方に位置している。
【0017】
ディスプレイ4は駆動のために電動モータ6を有しており、この電動モータ6には減速歯車伝動装置がフランジ結合されている。電動モータ6は駆動軸7を駆動する。この駆動軸7は、ケーシング2を横方向に貫通し、その両端部に相対回動不能に固定された歯車8を有している。歯車8はケーシング2の側壁に設けられたスリット9内に位置している。スリット9のそれぞれ一方の縁部は歯列を有しており、即ちこの歯列が、歯車8に噛み合うラック10を成している。本発明の図示の実施例では、スリット9とラック10とはまっすぐであるが、原則的にはスリット9とラック10とがまっすぐな延在を有していなくても良い。駆動軸7およびこの駆動軸7に相対回動不能に固定された、電動モータ6を有する歯車8の回転駆動により、電動モータ6が取り付けられている、ディスプレイ4の後方下端部はケーシング2内で前方・後方運動可能であり、これによりディスプレイ4は図1に示したような画面側が下方に向けられた倒された位置から、図2に示した中間位置を経由して、図3に示したような画面側が前方に向けられた、即ちドライバ及び/又は助手席またはその他の乗員全般に向けられた起こされた位置へと旋回することができる。
【0018】
前方とは、装置1が組み込まれている車両の内室もしくは車両乗員に面した側を意味している。相応して後方とは、車両内室もしくは乗員とは反対の側を意味している。
【0019】
ディスプレイ4は、ほぼその中間の高さでレバー11によってケーシング2に結合されている。レバー11は旋回レバーを成しており、その一方の端部はディスプレイ4に、他方の端部はケーシング2の側壁に枢着的に結合されている。
【0020】
カバー5は4リンク機構によってケーシング2の各側壁でガイドされている。両4リンク機構は、強制的に作動する、多部分からなる平面的な伝動装置を成しており、ケーシング2の側壁の外面に位置している。各4リンク機構はそれぞれ2つの旋回レバー12,13を有しており、これらのレバーのそれぞれ一方の端部は旋回可能にケーシング2の各側壁に支承されている。旋回レバー12,13の他方の端部は第3のレバー14に旋回可能に結合されていて、この第3のレバー14には、カバー5から下方に向かって突出した湾曲アーム15が堅固に結合されている。カバー5の該アーム15はケーシング2の開口3を貫通し、ケーシング2の側壁に設けられた円弧状のスリット24に係合する。旋回レバー12,13の前方・後方旋回によりカバー5は、図1に示したケーシング2の開口3の閉鎖位置から上方に向かって持ち上げられ、図2に示した位置を経由して後方へと動かされる。両旋回レバー12,13は厳密には互いに平行ではなく、レバー14と共にほぼ平行四辺形を形成している。従ってカバー5の運動は、仮想の円弧軌道に沿った並進運動のみではなく、カバー5は運動中に幾分旋回する。
【0021】
カバー5の駆動は電動モータ6によって行われる。この電動モータ6はディスプレイ4の背面に取り付けられていて、ディスプレイ4を駆動する。歯車8の外面では駆動軸7がピンを有していて、このピンはカムディスク17の溝16に係合する。カムディスク17は連結部材を有していて、この連結部材はカバー5の運動をディスプレイ4の運動に連結する。カムディスク17の溝16は、曲線、または滑子案内、もしくは滑子案内軌道と言うこともできて、カムディスク17は滑子案内ディスクと言うこともできる。カムディスク17は、ジャーナル軸受18によって旋回可能にケーシング2の側壁の外面に支承されている。カム16は屈曲されていて、短脚19と長脚20とを有していて、互いに所定の角度を成して延びており、頂部23で出会っている。カム16は各旋回位置で、ケーシング2の側壁に設けられたスリット9との交点を有しているか、またはスリット9と合同に延びている。
【0022】
駆動軸7が電動モータ6による回転駆動によってスリット9内で後方から前方に、即ち、図1に示した閉鎖位置から図3に示した開放位置へと運動すると、駆動軸7のピンは、溝16の短脚19の端部から頂部23へ、次いで溝16の長脚20に沿って運動する。短脚19における運動中、駆動軸7のピンがカムディスク17を図1に示した位置から図2に示した位置へと旋回させる。カバー5とディスプレイ4の図2に示した位置では、駆動軸7のピンは、屈曲された溝16のほぼ頂部23に位置している。カムディスク17は、溝16の長脚20がケーシング2の側壁におけるスリット9と合同であるように旋回される。駆動軸7がさらに運動すると、カム16の長脚20において駆動軸7のピンが運動する。長脚20は、そこで駆動軸7が運動するスリット9に対して平行に延びているので、カムディスク17はもはや旋回しない。これによりカバー5ももはや運動せず、カバー5は開放位置に、即ち既に図2に到りもはや動かないが、ディスプレイ4は初めて幾分上方に向かって旋回され、さらに図3に示した起こされた位置へと上方に向かって旋回される。駆動軸7のピンは、このピンが、溝16の頂部23に対して間隔をおいて、スリット9と合同の長脚20内に位置している場合にカムディスク17をロックする。ケーシング2の側壁に設けられたスリット9、歯車8を有する駆動軸7、カムディスク17の溝16内に係合するピンと協働して、カムディスク17はカバー5のためのロック装置を成しており、このロック装置はカバー5を、図2及び図3に示した起こされた開放位置に達した場合にロックする。
【0023】
カムディスク17は円弧状の歯列21を有しており、この歯列は、両旋回レバー13の一方に設けられた歯車状の歯列22に噛み合っている。従ってカムディスク17の旋回駆動により、一方の旋回レバー13は旋回駆動され、全体として、4リンク機構として形成された、旋回レバー12,13およびレバー14を有する、カバー5をガイドし、運動させる伝動装置が駆動される。
【0024】
ディスプレイ4とカバー5とを動かす記載した構成部分は、ケーシング2の両側において合同に設けられており、同期的に運動する。同期化は、ケーシング2を横方向に貫通し、ケーシング2の各側壁でラック10と噛み合うは駆動軸7を介して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による装置を閉鎖位置で示した図である。
【図2】本発明による装置を中間位置で示した図である。
【図3】本発明による装置を開放位置で示した図である。
【符号の説明】
【0026】
1 装置、 2 ケーシング、 3 開口、 4 ディスプレイ、 5 カバー、 6 電動モータ、 7 駆動軸、 8 歯車、 9 スリット、 10 ラック、 11 レバー、 12,13 旋回レバー、 14 レバー、 15 湾曲アーム、 16 溝、 17 カムディスク、 18 ジャーナル軸受、 19 短脚、 20 長脚、 21,22 歯列、 23 頂部、 24 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力・出力ユニットを可動に保持するための装置であって、入力・出力ユニット(4)を倒された非使用位置から起こされた使用位置へと、および該使用位置から前記非使用位置へと旋回させるための駆動装置(6)と、非使用位置にある入力・出力ユニット(4)を閉鎖位置でカバーするカバー(5)と、強制的に作動する多部分から成る平面的な伝動装置(12,13,14)とが設けられており、該伝動装置はカバー(5)のための運動学的な連鎖とガイドとを形成しており、該ガイドがカバー(5)を閉鎖位置から開放位置へと、および開放位置から閉鎖位置へと動かす形式のものにおいて、
装置(1)が連結部材(17)を有しており、該連結部材が、入力・出力ユニット(4)の運動とカバー(5)の運動とを同期化させ、連結部材(17)は入力・出力ユニット(4)の駆動装置(6)によって駆動され、カバー(5)の伝動装置(12,13,14)を駆動することを特徴とする、入力・出力ユニットを可動に保持するための装置。
【請求項2】
連結部材(17)が旋回可能に支承されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
連結部材(17)がカム(16)を有しており、該カムを、入力・出力ユニット(4)の旋回の際に駆動装置(6)が走行し、この際に駆動装置(6)が連結部材(17)を動かす、請求項1記載の装置。
【請求項4】
連結部材(17)がカバー(5)を開放位置でロックする、請求項1記載の装置。
【請求項5】
連結部材(17)が、カバー(5)の伝動装置(12,13,14)の対応する歯列(22)に噛み合う歯列(21)を有している、請求項1記載の装置。
【請求項6】
駆動軌道(9,10)が設けられており、該駆動軌道に沿って駆動装置(6)が、入力・出力ユニット(4)の旋回の際に運動する、請求項1記載の装置。
【請求項7】
カバー(5)の伝動装置(12,13,14)が4リンク機構を有している、請求項1記載の装置。
【請求項8】
入力・出力ユニット(4)が使用位置に達する前に、カバー(5)が開放位置に到る、請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−176482(P2007−176482A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343014(P2006−343014)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(502279962)フィッシャー オートモーティヴ システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【氏名又は名称原語表記】fischer automotive systems GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 103, D−72160 Horb, Germany
【Fターム(参考)】