共振スイッチを用いた降圧チョッパおよび電力供給システム
【課題】より簡単な駆動回路で的確に制御が可能な共振スイッチ回路要素およびこれを組み込んだソフトスイッチング降圧チョッパを提供する。
【解決手段】第1端子と第2端子の間に、第1ダイオードと、第2ダイオードと、共振コンデンサと、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスである第1スイッチ及び第2スイッチとを備えた共振スイッチであって、第2ダイオードのアノードが第1端子に接続され、第1ダイオードのカソードが第2端子に接続され、共振コンデンサの一端が第2ダイオードのカソードに接続され、共振コンデンサの他端が第1ダイオードのアノードに接続され、第1スイッチの一端が第1端子に接続され、第1スイッチの他端が第1ダイオードのアノードと共振コンデンサの接続点に接続され、第2スイッチの一端が第2ダイオードのカソードと前記共振コンデンサの接続点に接続され、第2スイッチの他端が第2端子に接続されて構成されるソフトスイッチング用の共振スイッチ、および、これを組み込んだ降圧チョッパ。
【解決手段】第1端子と第2端子の間に、第1ダイオードと、第2ダイオードと、共振コンデンサと、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスである第1スイッチ及び第2スイッチとを備えた共振スイッチであって、第2ダイオードのアノードが第1端子に接続され、第1ダイオードのカソードが第2端子に接続され、共振コンデンサの一端が第2ダイオードのカソードに接続され、共振コンデンサの他端が第1ダイオードのアノードに接続され、第1スイッチの一端が第1端子に接続され、第1スイッチの他端が第1ダイオードのアノードと共振コンデンサの接続点に接続され、第2スイッチの一端が第2ダイオードのカソードと前記共振コンデンサの接続点に接続され、第2スイッチの他端が第2端子に接続されて構成されるソフトスイッチング用の共振スイッチ、および、これを組み込んだ降圧チョッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトスイッチング用の共振スイッチおよびソフトスイッチング方式による降圧チョッパに関し、さらに二次電池などの蓄電装置に適用される電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地方路線など架線のない架線レス区間で運行するディーゼル車は、CO2排出量削減の要請などにより、近い将来、二次電池を搭載して電動機で運転される電池駆動電車に取って代わられる可能性が高いと考えられている。電池駆動電車は、二次電池を搭載し、運行区間の適所に設けた充電ステーションで二次電池を充電して、架線レス区間を二次電池からの電気エネルギーを使って電動機により運行する。架線レス区間と架線区間が混在する路線では、架線区間で走行中に架線から二次電池を充電して、架線レス区間を二次電池に蓄電したエネルギーで運行するようにすることもできる。
このような技術趨勢に応じて、電池駆動電車に適用できるような、大容量で、急速充電が可能な高エネルギー密度の二次電池が開発・実用化されつつある。また、このような電池駆動電車搭載の二次電池に対して効果的な充電管理を行う充電制御装置が求められている。
【0003】
最近の電池駆動電車の電力供給システムでは、充電ステーションにおける地上設置式蓄電装置、及び電車搭載の蓄電装置として、新しい構造を有する大容量のニッケル水素電池が利用されている。
ここに、充電制御装置は、電池駆動電車に搭載され、直流架線電圧を降圧して(たとえば、DC1500Vから電池電圧のDC600V程度まで降圧する)、二次電池の充電を行う装置であり、電池駆動電車の適切な運用を行うために必要とされる。充電制御装置には、直流の入力電圧(架線電圧)を降圧するための降圧チョッパが組み込まれる。
【0004】
図12は、基本的な降圧チョッパの回路図である。直流電源は変電所に設置され、き電線を介して架線に直流電力を供給する。
図12において、直流電源Eに、スイッチSW、リアクトルL、負荷Rが直列接続され、直列接続された直流電源EとスイッチSWに対して環流ダイオードDfが並列に接続されている。また、負荷RにはコンデンサCが並列接続されている。スイッチSWはオン/オフを高速で周期的に繰り返す。
コンデンサCは、負荷Rに印加される直流電圧を平滑化するものである。還流ダイオードDfは、スイッチSWがオフしたときにリアクトルLに蓄えられたエネルギーを負荷に供給するために閉回路を構成するよう設けられたものである。
【0005】
スイッチSWは、高速かつ周期的に動作させる必要があるので、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGCT(Integrated Gate Commutated Thyristor)、IEGT(Injection Enhanced Gate Transistor)、ESBT(Emitter Switched Bipolar Transistor)などのパワー半導体デバイスが用いられる。
パワー半導体デバイスを用いたDC−DCコンバータ等の電力変換装置については、高周波スイッチング技術の進展に伴って、小型・軽量化、高電力密度化、低騒音化、高速応答化、波形の高品質化の要求に向けた技術開発が注目を浴びている。
しかし、高周波スイッチング半導体電力変換装置を応用する分野において、パワー半導体デバイスのスイッチング損失やスナバ回路での損失の増加に伴う電力変換効率の低下、急峻なスイッチ部の電圧変化に伴う対地高周波漏れ電流やスイッチングサージに伴う電磁ノイズの発生などの実用上の問題が顕在化している。
【0006】
電池駆動電車に搭載する二次電池用の充電制御装置は、高周波スイッチングによる電力変換回路を使用する。パワー半導体デバイスのオン/オフ時に発生する電磁ノイズが大きいと、列車検知装置、踏切制御子、自動列車停止装置など、鉄道信号系に悪影響を及ぼすおそれがある。電磁ノイズに対しては、影響を受けるおそれのある装置へのフィルタやシールド材の追加により、信号系への影響を抑制できるが、これらは車両重量を増加させる。
【0007】
図13は、IGBTにおいて、ハードスイッチング・ターンオン時に発生するサージを例示する電圧・電流波形である。対象とした回路は、昇圧チョッパ回路で、スナバ回路を持たないハードスイッチング動作時の波形である。横軸の1目盛が500nsで、縦軸にパワー半導体デバイスの電圧を1目盛100V、電流を1目盛10Aで表示した波形例である。
図13の電圧波形と電流波形から、ハードスイッチング動作時ではスイッチング過渡時に急峻なdv/dt及びdi/dtと、急峻なdi/dtと寄生インダクタンスによる電圧サージと、急峻なdv/dtと寄生キャパシタンスによる電流サージとが発生することが分かる。
【0008】
このように、ハードスイッチングでは、スイッチングサージに起因する伝導性ノイズや放射性ノイズが発生する。伝導性ノイズは一部が出力端子に、他の一部は直流電源側に逆流して、周辺の電子機器に電磁障害を引き起こす。また、放射性ノイズは周辺機器の誤動作などの悪影響を引き起こす。
このように、ハードスイッチングでは、IGBTなどパワー半導体デバイスの電圧/電流のピークストレスの増大と、電磁ノイズの発生が問題になる。
【0009】
また、図14は、一般的なハードスイッチング時の電圧・電流波形である。すなわち、降圧チョッパのデバイス電圧vCEとデバイス電流iCの変化の状況を示す。
図14から分かるように、パワー半導体デバイスは、ターンオン時とターンオフ時の過渡状態において、スイッチの電圧と電流に重なりが生じて、図において斜線で示すスイッチング損失が発生する。このスイッチング損失は熱となるので、パワー半導体デバイスを冷却するための放熱系が大きくかつ重くなるという問題がある。このスイッチング損失は、スイッチング周波数の高周波化とともに増大するため、電力変換装置の変換効率の低下を招くことになり、装置の小型・軽量化に有利な高周波化が困難となる。
【0010】
上記のような、スイッチング周波数の高周波化に伴う問題とスイッチング損失を抑制するための効果的な解決法として、スイッチング電力変換回路をアクティブ補助共振スナバ回路によりLC共振状態で動作させることで、スイッチ端子間がゼロ電圧状態においてスイッチングを行うゼロ電圧スイッチング(ZVS)あるいはゼロ電流状態においてスイッチングを行うゼロ電流スイッチング(ZCS)あるいはこれらのハイブリッドとなるZVZCSといったソフトスイッチング電力変換回路技術が開発されている。
【0011】
特許文献1には、ソフトスイッチング技術によりスイッチング損失を減少させ、スイッチング周波数を高周波化して、直流リアクトルなどの部品を小型化した、低コストで高効率な共振型のDC−DCコンバータが開示されている。
開示されたDC−DCコンバータは、共振回路の機能により、第1の主スイッチのゼロ電圧スイッチング(ZVS)を可能とし、ソフトスイッチングを実現する。ただし、直列に接続された2つの主スイッチを交互に異なるタイミングでオン/オフさせたり、タイミングを計るため直流リアクトルに実際に流れる電流を測定するセンサと共振リアクトルに実際に流れる電流を測定するセンサを必要としたりするため、制御回路が複雑になることが避けられない。
【0012】
特許文献2には、ソフトスイッチングによりスイッチング損失を低減した小型のDC−DCコンバータが開示されている。
開示されたDC−DCコンバータは、主スイッチング素子と補助スイッチング素子の2つのスイッチング素子を高い周波数でオン/オフさせているところ、主スイッチング素子と補助スイッチング素子とは異なるタイミングでオン/オフされており、スイッチング素子のゲート駆動には2つのタイミングパルスを必要としており、回路構成が複雑となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−129393号公報
【特許文献2】特開2010−068619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来でも、共振スイッチ回路要素を用いたソフトスイッチング降圧チョッパを利用することにより、電池駆動電車の電力供給システムにおいて、ハードスイッチング方式と比べて電磁ノイズやスイッチング損失を抑制することができる。しかし、従来のソフトスイッチング降圧チョッパでは、ソフトスイッチングを実現する制御回路が複雑になり、十分な経済性を有するものとならなかった。
【0015】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、より簡単なゲート駆動回路で的確に制御できる共振スイッチ回路要素を組み込んだソフトスイッチング降圧チョッパを提供することである。さらに、より簡単なゲート駆動回路で的確に制御できるソフトスイッチング方式の充電制御装置を備えた、電池駆動電車の二次電池に対する電力供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(請求項1(図1))
上記課題を解決するため、本発明に係るソフトスイッチング用の共振スイッチ回路要素は、第1端子と第2端子の間に、第1ダイオードと、第2ダイオードと、共振コンデンサと、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスである第1スイッチ及び第2スイッチとを備えた共振スイッチである。
本共振スイッチの回路要素は、前記第2ダイオードのアノードが前記第1端子に接続され、前記第1ダイオードのカソードが前記第2端子に接続され、前記共振コンデンサの一端が前記第2ダイオードのカソードに接続され、前記共振コンデンサの他端が前記第1ダイオードのアノードに接続され、前記第1スイッチの一端が前記第1端子に接続され、前記第1スイッチの他端が前記第1ダイオードのアノードと前記共振コンデンサの接続点に接続され、前記第2スイッチの一端が前記第2ダイオードのカソードと前記共振コンデンサの接続点に接続され、前記第2スイッチの他端が前記第2端子に接続されて構成される。
【0017】
本発明の共振スイッチ回路要素の動作は、第1スイッチと第2スイッチを一つのゲート駆動信号により同じタイミングでオンオフすることによって制御することができる。
なお、第1スイッチと第2スイッチは、同等の特性を有するパワー半導体デバイスを用いて、スイッチ回路要素に流れる電流を二分して負担させることにより半導体デバイスに対する作動領域(SOA)に対する要求仕様を緩和させることができる。特に大電流を扱う回路では、パワー半導体デバイスの選択の余地を拡げ、コストの低減に繋がるばかりでなく、負荷電流を二分することにより等価的にオン電圧の低いパワー半導体デバイスを実現することができ、スイッチ損失の低減が可能となり、効率の向上を図ることができる。
【0018】
また、第1スイッチと第2スイッチは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGCT(Integrated Gate Commutated Thyristor)、IEGT(Injection Enhanced Gate Transistor)、ESBT(Emitter Switched Bipolar Transistor)などの、オン・オフの制御が可能なパワー半導体デバイスであってもよい。
第1スイッチと第2スイッチがパワー半導体デバイスである場合は、好ましくは、当該スイッチにスナバ回路を有しない。当該スイッチにスナバ機能を有する場合は、後述するLC直列共振現象に好ましくない影響を与えることがあるからである。
【0019】
本発明の共振スイッチ回路要素を各種の直流チョッパに適用することにより、直流チョッパのスイッチ素子についてソフトスイッチングを実現させることができる。そして、ゼロ電流スイッチング(ZCS)を実現させることができるため、直流チョッパ内の環流ダイオードの逆回復電流を小さくすることができ、スイッチ素子のターンオン損失と環流ダイオードのターンオフ損失を効果的に低減させることができる。
【0020】
(請求項2(図3))
本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、パワー半導体デバイスとダイオードとリアクトルを備え、共振スイッチ回路要素を駆動するゲート駆動信号を生成する回路を備えた降圧チョッパであって、上記本発明の共振スイッチ回路要素を組み込んだことを特徴とする。
すなわち、本発明に係るソフトスイッチング降圧チョッパは、正側入力端子と負側入力端子と正側出力端子と負側出力端子とを備える4端子回路において、前記正側入力端子に第1端子を接続した請求項1に記載の共振スイッチと、カソードを請求項1に記載の共振スイッチの第2端子に接続し、アノードを前記負側入力端子に接続したダイオードと、前記第2端子と前記正側出力端子の間に接続された直流リアクトルと、前記正側出力端子と前記負側出力端子との間に接続された平滑コンデンサと、前記共振スイッチを駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、前記正側入力端子と前記負側入力端子に接続された直流電源の電圧を低減して前記正側出力端子と前記負側出力端子に出力する。
【0021】
第1スイッチと第2スイッチのターンオン時には、第1スイッチと第2スイッチの間に接続された共振コンデンサに蓄えられた電荷が共振初期電流を確保し、直流リアクトルと協動してゼロ電流スイッチング(ZCS)を行う、また、ターンオフ時には第1端子と第2端子の間に接続されている共振コンデンサに充電を開始し、直流リアクトルと協動してゼロ電圧スイッチング(ZVS)を行なうことができ、ソフトスイッチングを実現する。
よって、係る直流リアクトルは共振リアクトルとしても動作することになる。
このように、本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、ソフトスイッチング動作を行うので、電池駆動電車に適用することにより、列車検知装置、踏切制御子、自動列車停止装置など、電磁ノイズを嫌う鉄道信号系に対する悪影響が減少し、これらの悪影響を抑制するためにとられてきた各種のノイズ対策を簡素化することができる。
【0022】
また、第1スイッチと第2スイッチの2つのスイッチの許容電流は、負荷に供給される電流の半分になるので、低出力のパワー半導体デバイスを選択することができる。
本発明の降圧チョッパにおけるスイッチのゲート駆動回路は同じタイミングであることから簡単になり、小型化かつ軽量化することができる。
なお、本発明に係るソフトスイッチング降圧チョッパは、LC直列共振現象を利用したところにその特徴の一つがあるのであるが、直列共振現象の全区間を利用するものでなく、その一部区間を利用することにより、電流電圧波形を正弦波状に緩やかに変化させて、ゼロ電流スイッチング(ZCS)およびゼロ電圧スイッチング(ZVS)とともにソフトスイッチングを実現する。直列共振現象の全区間を全共振、直列共振の一部区間を部分共振と区別して称することもある。
【0023】
(請求項3(図6))
本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、前記共振スイッチが複数台並列に接続されてなる。
共振スイッチを複数台並列に接続する。そうすれば、小さな容量の共振スイッチで大容量のソフトスイッチング降圧チョッパを構成することができる。ここで、各共振スイッチの特性は揃っていることが好ましい。共振スイッチの特性が揃っていれば、負荷分担が円滑に行なえると共に、部品の共通化を図ることができる。
【0024】
(請求項4(図7))
また、本発明に係るソフトスイッチング降圧チョッパは、正側入力端子と負側入力端子と正側出力端子と負側出力端子とを備える4端子回路において、前記正側入力端子に第1端子を接続した請求項1に記載の共振スイッチと、カソードを請求項1に記載の共振スイッチの第2端子に接続し、アノードを前記負側入力端子に接続したダイオードと、前記第2端子と前記正側出力端子の間に接続された直流リアクトルとを備えた降圧チョッパモジュールを複数並列に接続し、前記降圧チョッパモジュールの前記共振スイッチを時分割制御により駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、前記正側入力端子と前記負側入力端子に接続された直流電源の電圧を降圧して前記正側出力端子と前記負側出力端子に出力する。つまり、時分割制御動作による多相多重(マルチフェーズ)化をすることができる。
また、本発明の時分割制御動作による多相多重化をしたソフトスイッチング降圧チョッパは、回路素子の数は増えても1相当たりの出力電流が小さくなるので、合成して形成される合成出力電流におけるリップル率が激減して直流リアクトルや平滑コンデンサの小型軽量化が達成でき、降圧チョッパの重量軽減にも有効である。なお、多相多重化により回路的には複雑にみえるが、本発明の共振回路ではゲート駆動信号が単純なため、制御回路のコストが大きく増大することはない。
【0025】
(請求項5(図8))
本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、複数並列に接続された前記降圧チョッパモジュールの複数の前記直流リアクトルが共通の磁性体からなるコアを有してなる。
直流リアクトルは、一般に磁性体からなるコアを有する有芯タイプと、コアを有さない空芯タイプとがある。本発明に係る直流リアクトルは、好ましくは、有芯タイプであって、降圧チョッパモジュールが複数台並列に接続された場合、複数台ある直流リアクトルのコアは、共通の一つのコアを有していてもよい。コアが共通であれば、これら複数の直流リアクトルにおいて生じる磁束は、それぞれ互いに結合されることとなる。
これら直流リアクトルは、磁束が結合してなるので、結合リアクトルとも結合インダクタとも称されることがある。
【0026】
(請求項6)
本発明に係るソフトスイッチング降圧チョッパは、前記共振コンデンサのキャパシタンスと前記直流リアクトルのインダクタンスの積が、ある定められた値より小さいことを特徴とする。
ここに「ある定められた値より小さい」とは、好ましくは、共振コンデンサのキャパシタンスと直流リアクトルのインダクタンスの積の平方根に円周率の1/2を乗じて得られた値(Tb)が、第1スイッチと第2スイッチのオン期間より小さいことである。したがって、この場合「ある定められた値」とは、第1スイッチと第2スイッチのオン期間を円周率の1/2で除した値の平方を意味し、この値よりも共振コンデンサのキャパシタンスと直流リアクトルのインダクタンスの積が小さくなるように、共振回路の回路定数を定める必要がある。
【0027】
(請求項7(図9))
さらに、本発明に係る電池駆動電車の電力供給システムは、直流電力を供給する直流電源と、請求項2から請求項5に記載のいずれか1項に記載のソフトスイッチング降圧チョッパを用いて構成したDC−DCコンバータと、電気車両に搭載した電気車両駆動用の二次電池とを備え、前記直流電源から供給される直流電力を、前記DC−DCコンバータに入力して降圧し、前記二次電池を当該降圧した直流電力で充電することができる、
【0028】
(請求項8(図10))
さらに、本発明に係る電池駆動電車の電力供給システムは、前記直流電源と前記DC−DCコンバータは地上に設置される。
【0029】
(請求項9(図11))
また、本発明に係る電池駆動電車の電力供給システムは、前記直流電源は地上に設置され、前記DC−DCコンバータは前記電池駆動電車に搭載される。
【発明の効果】
【0030】
本発明のソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素およびソフトスイッチング降圧チョッパによれば、極めて簡単なゲート駆動回路によりソフトスイッチングを達成するばかりでなく、パワー半導体デバイスや直流リアクトルや平滑コンデンサを小型化して、電池駆動電車の電力供給システムを小型軽量で経済的な装置とすることができる。さらに、本発明のソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素およびソフトスイッチング降圧チョッパを電池駆動電車の二次電池についての充電制御装置に適用することにより、鉄道信号系に悪影響を与えない経済的な地上設置型充電制御装置としても、また車載型充電御装置としても、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素の回路図である。
【図2】本実施形態に係るソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素のスイッチオンオフ状態を説明する等価回路図である。
【図3】本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング降圧チョッパの回路図である。
【図4】本実施形態のソフトスイッチング降圧チョッパの動作波形図である。
【図5】本実施形態のソフトスイッチング降圧チョッパの動作モード遷移等価回路図である。
【図6】図3において共振スイッチ回路要素を並列にした降圧チョッパの回路図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係るソフトスイッチング降圧チョッパの回路図である。
【図8】図7において、直流リアクトルのコアを共通にした実施形態に係るソフトスイッチング降圧チョッパの回路図である。
【図9】電池駆動電車に搭載した二次電池に給電する、本発明に係る電力供給システムの概念図である。
【図10】本発明の1実施形態に係る電力供給システムの回路図である。
【図11】本発明の別の1実施形態に係る電力供給システムの回路図である。
【図12】基本的な降圧チョッパの回路図である。
【図13】IGBTにおけるターンオン時のサージを例示する波形図である。
【図14】基本的なスイッチング波形を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0033】
以下、図面を用い実施形態に基づいて本発明のソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素およびソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素を用いたソフトスイッチング降圧チョッパおよび電力供給システムを詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素の回路図である。図1に示す通り、本実施形態のソフトスイッチング用の共振スイッチ回路要素1は、第1端子T1と第2端子T2の間に、第1ダイオードD1と、第2ダイオードD2と、共振コンデンサCrと、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスである第1スイッチS1および第2スイッチS2とを備えた共振スイッチである。
【0034】
第2ダイオードD2のアノードが第1端子T1に接続され、第1ダイオードD1のカソードが第2端子T2に接続され、共振コンデンサCrの一端が第2ダイオードD2のカソードに接続され、共振コンデンサCrの他端が第1ダイオードD1のアノードに接続されている。
また、第1スイッチS1の一端が第1端子T1に接続され、第1スイッチS1の他端が第1ダイオードD1のアノードと共振コンデンサCrの接続点に接続され、 第2スイッチS2の一端が第2ダイオードD2のカソードと共振コンデンサCrの接続点に接続され、第2スイッチS2の他端が第2端子T2に接続されている。
【0035】
第1スイッチS1と第2スイッチS2は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGCT(Integrated Gate Commutated Thyristor)、IEGT(Injection Enhanced Gate Transistor)、ESBT(Emitter Switched Bipolar Transistor)などの、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスで形成される。これらのパワー半導体デバイスは、同時にゲートがオンになってスイッチがオンの状態の時に電流が第1端子T1から第2端子T2の方向に流れる向きに接続されている。
本実施形態の共振スイッチ回路要素1では、一つのゲート駆動信号により、第1スイッチS1と第2スイッチS2を同じタイミングでオンオフ制御する。
【0036】
図2は、本実施形態の共振スイッチ回路要素1における、第1スイッチS1と第2スイッチS2のオンオフ状態における回路の変化を説明する等価回路図である。なお以下、図2の説明において、共振スイッチ回路要素1の外部には図示していない直流リアクトルLoが共振コンデンサCrと直列に接続されているものとして説明する。図2(a)は、第1スイッチS1と第2スイッチS2がオン状態のとき、図2(b)は、第1スイッチS1と第2スイッチS2がオフ状態のときを示す。
【0037】
図2(a)を参照すると、第1スイッチS1と第2スイッチS2が同時にオンになっているときには、共振コンデンサCrに蓄えられた電荷は、第1スイッチS1と共振コンデンサCrと第2スイッチS2を通って第1端子T1から第2端子T2に電流が流れる回路が形成される。そして、第1スイッチS1と共振コンデンサCrと第2スイッチS2を通って第1端子T1から第2端子T2に向けて流れる電流により共振コンデンサCrと共振スイッチ回路要素1の外部に接続された直流リアクトルLoとに基づいた共振が発生するLC直列共振回路が形成される。
【0038】
共振コンデンサCrに蓄えられた電荷が完全に放電されると、共振コンデンサCrの両端の電圧はゼロとなる。これにより、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2は順バイアス状態となるので、第1スイッチS1と第1ダイオードD1を通って第1端子T1から第2端子T2に流れる回路と、第2スイッチS2と第2ダイオードD2を通って第1端子T1から第2端子T2に流れる回路とが形成される。つまり、第1端子T1から第2端子T2への電流はS1−D1とD2−S2とに2分して流れることになる。
【0039】
図2(b)を参照すると、第1スイッチS1と第2スイッチS2が共にオフになると、第1端子T1から第2端子T2へ流れていた電流は、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2を介して共振コンデンサCrを充電する電流となる。第1端子T1から第2端子T2に向けて流れるこの充電電流により、共振コンデンサCrと共振スイッチ回路要素1の外部に接続された直流リアクトルLoとに基づくLC直列共振回路が形成される。
【0040】
共振コンデンサCrの両端の電圧が電源電圧に等しくなると、共振コンデンサCrを充電していた電流はゼロとなり、等価回路的には第1端子T1と第2端子T2とは遮断状態となる(図2(c)参照)。
【0041】
本実施形態において、共振スイッチ回路要素1は、第1スイッチS1と第2スイッチS2の間に直列に接続された共振コンデンサCrを備え、共振スイッチ回路要素1の外部には、共振コンデンサCrと並列に接続した直流リアクトルLoとを備える。LC直列共振回路を形成する。
【0042】
このため、第1スイッチS1と第2スイッチS2を同時にオン状態に変えるターンオン時においては、共振コンデンサCrと直流リアクトルLoとの共振により、第1スイッチS1および第2スイッチS2を流れる電流はゼロから正弦波状に緩やかに上昇する。これにより、第1スイッチS1および第2スイッチS2のターンオンはゼロ電流スイッチングとなり、ソフトスイッチングが実現される。
【0043】
また、第1スイッチS1と第2スイッチS2を同時にオフ状態に変えるターンオフ時には、それまで第1スイッチS1と第2スイッチS2を流れていた電流は、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2を介して共振コンデンサCrの充電を開始する。共振コンデンサCrの両端の電圧、すなわち第1スイッチS1および第2スイッチS2の端子電圧は、ゼロから緩やかに増加するので、ゼロ電圧スイッチングとなり、ソフトスイッチングが実現される。
【0044】
このように、本実施形態の共振スイッチ回路要素1は、第1スイッチS1と第2スイッチS2において、ターンオン時とターンオフ時のいずれでもソフトスイッチングを実現すると共に、第1スイッチS1と第2スイッチS2を同じゲート駆動信号で駆動することができ、共振スイッチ回路要素1のゲート駆動回路が簡素化する。
本発明の共振スイッチ回路要素1は、パワー半導体デバイスとダイオードと直流リアクトルを備えて構成される各種直流チョッパにおいて、パワー半導体デバイスに代替して組み込むことにより、直流チョッパにおけるスイッチ素子においてソフトスイッチングを実現させることができる。
【0045】
図3は、本発明の共振スイッチ回路要素を組み込んだ、本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング降圧チョッパの回路図である。
降圧チョッパ3は、共振スイッチ回路要素1の高頻度のオンオフ動作により、直流電源Ed(例えばDC1500Vなど所定の直流電圧を供給する直流電力源)からの直流電力をDC600Vなどの低い直流電圧に変換して、負荷Roに供給する直流チョッパである。なお、本実施形態において、直流電源Edは、降圧チョッパ3の外に設けられて、たとえば架線あるいは電線・ケーブルなどのき電線を介して直流電力を降圧チョッパ3に供給する。また、負荷Roとしては、二次電池もしくは鉄道車両に搭載され鉄道車両を駆動するプロパルジョン等がある。
【0046】
本実施形態のソフトスイッチング降圧チョッパ3は、共振スイッチ回路要素1とダイオードDoと直流リアクトルLoを備えて構成される。ソフトスイッチング降圧チョッパ3は、共振スイッチ回路要素1とダイオードDoと直流リアクトルLoは接続点T3で接続され、共振スイッチ回路要素1を挟んで接続点T3と反対側に位置する接続点T4に直流電源Edが接続され、直流リアクトルLoを挟んで接続点T3と反対側に位置する接続点T5に負荷Roが接続され、ダイオードDoを挟んで接続点T3と反対側に位置する接続点T6が接地されている。
【0047】
直流リアクトルLoは電流を蓄えて平滑化するためのもので、さらに平滑コンデンサCoを接続して電圧を平滑化している。ダイオードDoは、共振スイッチ回路要素1の第1スイッチS1と第2スイッチS2がオフになったときに、直流リアクトルLoに蓄えられたエネルギー(電流)を循環させるための環流ダイオードとして作用する。
直流リアクトルLoは、共振スイッチ回路要素1の共振コンデンサCrと協働してLC直列共振回路構成するので共振リアクトルの作用を兼ね備えている。
本実施形態の降圧チョッパ3は、図1に示した共振スイッチ回路要素1を組み込んだもので、共振スイッチ回路要素1のゲート駆動信号を生成する制御回路2が付属している。
共振スイッチ回路要素1の第1端子T1を直流電源Edに繋がる接続点T4に接続し、第2端子T2を直流リアクトルLoとの接続点T3に接続する。
【0048】
本実施形態の降圧チョッパ3は、直流電源Edの出力端子と接続する接続点T4すなわち正側入力端子T4と負側入力端子と、正側入力端子T4に第1端子T1を接続した図1の共振スイッチ回路要素1と、ダイオードDoのカソードを共振スイッチ回路要素1の第2端子T2に接続し、ダイオードDoのアノードを負側入力端子に接続したダイオードDoと、一端を共振スイッチ回路要素1の第2端子T2に接続した直流リアクトルLoと、直流リアクトルLoの他端を接続する接続点T5すなわち正側出力端子T5と、負側入力端子と接続した負側出力端子と、共振スイッチ回路要素1を駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路2を備えたソフトスイッチング降圧チョッパであって、直流電源Edから入力する直流電力の電圧を降圧して正側出力端子T5と負側出力端子を介して負荷Roに供給する。
【0049】
本実施形態のソフトスイッチング降圧チョッパ3は、共振スイッチ回路要素1の中に設けられた2つのスイッチS1,S2を、制御回路2から供給される1つのゲート駆動信号で同時に駆動するもので、2つのスイッチについてゼロ電流ターンオン動作(ZCS)とゼロ電圧ターンオフ動作(ZVS)を達成して、ソフトスイッチングを実現している。
【0050】
図3に示すように構成された降圧チョッパ3において、共振スイッチ回路要素1の第1スイッチS1と第2スイッチS2を同時にオンにすると、共振コンデンサCrと直流リアクトルLoとの共振により、第1スイッチS1および第2スイッチS2を流れる電流はゼロから正弦波状に緩やかに上昇する。これにより、第1スイッチS1および第2スイッチS2のターンオンはゼロ電流スイッチングとなり、ソフトスイッチングが実現される。これを、ZCS(Zero Current Switching)と称する。
【0051】
一方、電流が流れている状態で、第1スイッチS1と第2スイッチS2を同時にオフにすると、それまで第1スイッチS1と第2スイッチS2を流れていた電流は、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2を介して共振コンデンサCrの充電を開始する。共振コンデンサCrの両端の電圧、すなわち第1スイッチS1および第2スイッチS2の端子電圧は、ゼロから緩やかに増加する。これにより、第1スイッチS1および第2スイッチS2のターンオフはゼロ電圧スイッチングとなり、ソフトスイッチングが実現される。これを、ZVS(Zero Voltage Switching)と称する。
【0052】
以下、本実施形態の降圧チョッパ3のオンオフ動作による動作モード遷移と等価回路を表した図面により詳しく説明する。
図4は、図3に示した本実施形態の降圧チョッパ3がオンオフ動作する間における各回路素子の電圧あるいは電流の時間的変化を説明する動作原理波形図である。図4は、横軸を時間軸として、オンオフ動作1周期にわたり降圧チョッパ3の主要な回路素子における電圧および電流の波形変化を表している。
【0053】
図4(a)は第1スイッチS1及び第2スイッチS2に与えるゲート駆動信号p(S1)(およびp(S2))の波形図、図4(b)は第1スイッチS1及び第2スイッチS2のスイッチ電流i(S1)(およびi(S2))の波形図、図4(c)は第1スイッチS1及び第2スイッチS2のスイッチ電圧v(S1)(およびv(S2))の波形図、図4(d)は第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2の電流i(D1)(およびi(D2))の波形図、図4(e)は第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2の電圧v(D1)(およびv(D2))の波形図、図4(f)は、共振コンデンサCrの電圧v(Cr)の波形図、図4(g)は共振コンデンサCrの電流i(Cr)の波形図、図4(h)は直流リアクトルLoの電流i(Lo)の波形図である。また、図4(i)に各動作モードの区分を記載している。
【0054】
また、図5は、降圧チョッパ3のオンオフ動作1周期内の各動作モードにおける等価回路を示す動作モード遷移等価回路図である。降圧チョッパ3は、リアクトル電流断続モード(モード0)からゼロ電流ターンオンモード(モード1)、ダイオード順バイアスモード(モード2)、ゼロ電圧ターンオフモード(モード3)、負荷電流環流モード(モード4)と遷移して、再びリアクトル電流断続モード(モード0)に戻る動作を繰り返す。
【0055】
図5(a)はモード0におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(b)はモード1におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(c)はモード2におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(d)はモード3におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(e)はモード4におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路である。
【0056】
以下、図4と図5を参照してモードの遷移を説明する。
リアクトル電流断続モード(モード0)では、図5(a)に示すように、共振スイッチ回路要素1の第1スイッチS1と第2スイッチS2がオフになっていて、直流電源Edからの電力供給がなく、負荷Roには平滑コンデンサCoに蓄えられた電荷エネルギーが供給される。
【0057】
時刻t1において、ゲート駆動信号p(S1)およびp(S2)を第1スイッチS1、第2スイッチS2のゲートに印加して第1スイッチS1、第2スイッチS2を同時にオンにすると、図5(b)に示すゼロ電流ターンオンモード(モード1)に遷移して、第1スイッチS1と第2スイッチS2にスイッチ電流i(S1)およびi(S2)が流れ始める。これにより、降圧チョッパ3はゼロ電流スイッチング(ZCS)のターンオンを行うことができる。ただし、スイッチ電流i(S1)およびi(S2)は直流リアクトルLoの作用で緩やかに増加する。
【0058】
また、共振コンデンサCrは徐々に放電されることになるので、共振コンデンサCrの電圧(端子間の電位差)v(Cr)は、正弦波状に緩やかに下降する。同時に、直流リアクトルLoに流れる電流i(Lo)もゼロから緩やかに上昇する。
なお、第1スイッチS1と第2スイッチS2は、同じ特性を有するパワー半導体デバイスであって、同じゲート駆動信号で駆動され、両者はほぼ同じ電圧波形と電流波形を呈する。そして、直流電源Edから負荷Roに電流が流れるようになると、平滑コンデンサCoは充電を開始する。
【0059】
時刻t2にて、共振コンデンサCrに蓄積された電荷が放電して、共振コンデンサCrの電圧v(Cr)がゼロになると、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2は順方向にバイアスされ、導通状態となる。すなわち、図5(c)の等価回路で示すような、ダイオード順バイアスモード(モード2)になって、直流電源Edからの直流電力は第1スイッチS1−第1ダイオードD1と第2ダイオードD2−第2スイッチS2の直列素子に2分して流れる。
このため、第1スイッチS1の電流i(S1)および第2スイッチS2の電流i(S2)はほぼ半減する。なお、第1ダイオード電流i(D1)および第2ダイオード電流i(D2)は、第1スイッチS1の電流i(S1)および第2スイッチS2の電流i(S2)とそれぞれ同一の電流値となる。この間、直流リアクトルに流れる電流i(Lo)は増加を続ける。
【0060】
時刻t3にて第1スイッチS1と第2スイッチS2を同時にオフにすると、それまで第1スイッチS1と第2スイッチS2とに流れていた電流は、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2を介して、共振コンデンサCrを充電する電流となり、共振コンデンサCrの端子電圧v(Cr)は徐々に上昇する。これにより、第1スイッチS1と第2スイッチS2の端子電圧v(S1)およびv(S2)は緩やかに上昇する。すなわち、第1スイッチS1と第2スイッチのゼロ電圧スイッチング(ZVS)によるターンオフが実現する。 このとき図5(d)の等価回路で示すような、ゼロ電圧ターンオフモード(モード3)となる。直流電源Edから負荷Roに電力の供給が行なわれる。
【0061】
時刻t4において、共振コンデンサCrの充電が進み、共振コンデンサCrの端子電圧v(Cr)が直流電源Edの電圧と等しくなると、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の導通はなくなり、直流電源Edから負荷Roへの電力の供給は行なわれなくなる。代わりに、直流リアクトルLoに蓄えられた電気エネルギーが負荷Roに供給される。このとき、環流ダイオードDoは順バイアス状態となって、図5(e)の等価回路で示すような、負荷電流を環流する負荷電流環流モード(モード4)となる。
この区間では、直流リアクトルLoに流れる電流i(Lo)は次第に減少して、モード1からモード3の間で直流リアクトルLoに蓄積された電気エネルギーを放出して、時刻t5にてゼロとなる。これ以降、リアクトル電流断続モード(モード0)となる。
【0062】
なお、第1スイッチS1と第2スイッチS2をゼロ電流スイッチング(ZCS)のターンオンを行うと、共振コンデンサCrと直流リアクトルLoとによる共振が始まり、第1スイッチS1のスイッチ電流i(S1),第2スイッチS2のスイッチ電流i(S2)が緩やかに上昇する。
また、第1スイッチS1と第2スイッチS2をゼロ電圧スイッチング(ZVS)のターンオフを行うと、共振コンデンサCrと直流リアクトルLoとによる共振が始まり、第1スイッチS1のスイッチ電圧v(S1),第2スイッチS2のスイッチ電圧v(S2)が緩やかに上昇する。
【0063】
上記説明から明らかな通り、本実施形態の降圧チョッパ3は、第1スイッチS1と第2スイッチS2の2つのスイッチに対して、それぞれ別個ではなく、同一のゲート駆動信号で駆動することができる。また、降圧チョッパ3の動作はモード0からモード4まで遷移するが、スイッチ素子S1、S2のターンオンとターンオフ以外は降圧チョッパ3自体の状態の変遷に基づいて自動的にモードが切り替わる。
【0064】
本実施形態の降圧チョッパ3は、第1スイッチS1と第2スイッチS2の2つのスイッチについて、ゼロ電流ターンオン(ZCSターンオン)、ゼロ電圧ターンオフ(ZVSターンオフ)のいわゆるソフトスイッチング転流を実現している。スイッチング損失の小さいDC−DCコンバータを提供することができる。また、本実施形態の降圧チョッパ3を適用することにより、電磁ノイズの少ない環境を提供することができる。
【0065】
なお、本実施形態の降圧チョッパ3の出力電圧は、入力電圧より低く、それゆえに降圧チョッパと称されている。ここに、本実施形態の降圧チョッパ3の出力電圧をVoとし、入力電圧をVinとすると、出力電圧Voは複雑な数値解析により求められるが、概ね次式で定まる。
【0066】
【数1】
ここに、Dは第1スイッチS1と第2スイッチS2のオン時比率であり、Rは負荷抵抗Roの抵抗値、Lは直流リアクトルLoのインダクタンス、Tは第1スイッチS1と第2スイッチS2のパルスのオン時間である。
【0067】
また、モード1の期間を確保するためには、オン時間TはLC直列共振の共振期間Tb(共振周期の1/4)以下に下げることはできない。すなわち、共振コンデンサCrのキャパシタンスCとすると、第1スイッチS1と第2スイッチS2のオン時間Tは、次式で求められるTbより小さくなるように共振コンデンサCrのキャパシタンスCと直列リアクトルLoのインダクタンスLは選択される必要がある。
【0068】
【数2】
【0069】
ここで、図3に示すソフトスイッチング降圧チョッパの回路において、図6に示すように、共振スイッチ回路要素1を2台並列に接続したものであってもよい。共振スイッチ回路要素1を2台並列に接続すれば、スイッチング周波数は低くても良く、降圧チョッパの大容量化を図ることができる。
あるいは、一方の共振スイッチ回路要素1が故障しても運転の継続を図ることができるので、装置の信頼性が向上する。
【0070】
本実施形態の降圧チョッパは、直流電源と負荷の間に複数の降圧チョッパを並列接続して、多相多重化することができる。図7は、時分割制御による多相多重方式を採用した降圧チョッパの代表例を示す回路図である。図7(a)には、いわゆる分割コンデンサ方式の降圧チョッパの例、図7(b)には、いわゆる一括コンデンサ方式の降圧チョッパの例を示す回路図が示されている。
【0071】
図7(a)は、3個の降圧チョッパ3a,3b,3cを直流電源Eと負荷Rの間に並列接続した三相多重方式降圧チョッパ5を示している。降圧チョッパ3a、3b、3cは、それぞれ、図1に示した本実施形態に係る共振スイッチ回路要素1と環流ダイオードDと平滑コンデンサCと直流リアクトルLで構成され、図3に説明した本実施形態に係る単位降圧チョッパ3である。なお、三相多重方式降圧チョッパ5には、降圧チョッパ3a,3b,3cの共振スイッチ回路要素1のパワー半導体デバイスにゲート駆動信号を供給する制御回路4が付属されている。
【0072】
本実施形態の三相多重方式降圧チョッパ5は、各々独立の直流リアクトルLo1,Lo2,Lo3を持った三相の単位降圧チョッパ3からなり、出力は各直流リアクトルLo1,Lo2,Lo3の出力側で合成されて負荷Rに供給される。したがって、個々の直流リアクトルの電流は相数分の1に減少する。
各単位降圧チョッパ3a,3b,3cは、1サイクルを3等分した位相関係でオンオフされる。出力電流は各相の和となるので、平均値は相数の3倍となり、リップル周波数は3倍となるが、リップルの絶対値は互いに打ち消す効果を生じて極めて小さくなる。また最大リップル率は、相数の2乗に逆比例して急速に減少し、三相では1/9になる。リップルが小さくなることにより高調波が減少して電力の品質が向上する。
【0073】
また、1つの相のチョッパが故障しても、残りの相によって運転を継続することができるので、動作信頼性が向上する。
なお、本実施形態の三相多重方式降圧チョッパ5に使用される単位降圧チョッパ3は、共振スイッチ回路要素1に用いられる2つのパワー半導体デバイスを1つのゲート駆動信号で同時に制御すればよく、しかも、モード遷移にも余分なセンサを必要としないので、降圧チョッパを多相多重化しても、制御回路は位相シフト制御によりシンプルで経済的である。
【0074】
図7(a)に示した三相多重方式降圧チョッパ5では、平滑コンデンサCoを各相の単位降圧チョッパ3a,3b,3cに分割して配置し、負荷を分担するので、個々の平滑コンデンサCo1,Co2,Co3の容量は比較的小さくて済むが、単位降圧チョッパ毎に設ける必要がある。
これに対して、図7(b)に示した三相多重方式降圧チョッパ5'は、一括コンデンサ方式を採用して、各単位降圧チョッパ3a',3b',3c'に平滑コンデンサを配置する代わりに、単位降圧チョッパ3a',3b',3c'を並列接続した出力端子に相応の容量を持つ平滑コンデンサCo'を配置するようにしたものである。平滑コンデンサCo'は、一括したものを1個設ければシンプルで済み、製作および保全管理が容易である。
【0075】
図7(a)および図7(b)において、直流リアクトルLo1,Lo2,Lo3は各々独立であるところ、図8(a)および図8(b)に示すように、直流リアクトルのコアを共通にする結合リアクトル構造としてもよい。
結合リアクトル構造を採用すれば、リアクトルの小型・軽量化を図ることができる。また、リアクトル部の損失低減にも効果がある。
【0076】
なお、図7には、降圧チョッパを3個使って三相化したDC−DCコンバータを示したが、相数を任意に選択することができることは言うまでもない。また、単位降圧チョッパ3を1つのモジュールとして標準化して、必要な容量にしたがって相数を決めて多相多重化したDC−DCコンバータを構成するようにすることもできる。このように標準部品を使う場合は、設計および製造の標準化が容易で、信頼性の高い部品を利用した信頼性が高く保守性の高いDC−DCコンバータを得ることができる。
【0077】
図9は、電池駆動電車に搭載した二次電池に給電する本発明の1実施形態に係る電力供給システムの概念図である。電池駆動電車6は、二次電池に蓄電した電力を使って電動機を駆動して非電化区間のレール32上を走行する。したがって、非電化区間である架線レス区間を走行するときには、適宜設けられた充電ステーションで車載の二次電池(蓄電デバイス)を充電する必要がある。
【0078】
図9に示すように、充電ステーションは,充電設備がある車両基地A及び駅B1,B2であり、駅C1,C2,C3は充電設備がなく充電ステーションではない。例えば、ニッケル水素電池など小型で高容量の二次電池を用いると、走行距離を長くすることができ、全ての駅に充電設備を設ける必要がない。
【0079】
充電ステーションには、電力供給装置本体36aと充電ポスト31とを備えた電力供給装置36が設けられている。電力供給装置本体36aには、DC−DCコンバータが設けられ、たとえばDC1500Vの直流電力Pwを受電して、車載の二次電池に適合した、たとえばDC600Vに降圧した直流電力を充電ポスト31に供給する。DC−DCコンバータの負側出力端子はレールに電気的に接続されている。
【0080】
なお、二次電池電圧の状態に応じて、DC−DCコンバータの出力電圧を適宜に調整することができる。
電力供給装置本体36aに設けられるDC−DCコンバータは、図3に示した本発明に係るソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いたDC−DCコンバータや、図7に示したソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いた多相多重方式のDC−DCコンバータである。
【0081】
電池駆動電車6は、小型で高容量の二次電池を搭載し、二次電池の直流をインバータで三相交流に変換して車輪と連結された電動機を駆動することにより、架線レス区間を走行することができる。
電池駆動電車6は、充電ステーション以外の場所では,パンタグラフを降ろして走行し、充電ステーションでパンタグラフを上昇させて充電ポスト31に接触させ、電池駆動電車6に搭載した二次電池の充電を行う。
なお、充電ポスト31は、架線に限らず、軌条あるいはソケットなどを介して電力供給するものであっても良い。
【0082】
図10は、電池駆動電車が本実施形態の電力供給システムの充電ステーションで二次電池に充電している状態を示す回路図である。
本実施形態の電力供給システムの充電ステーションには、本発明に係るソフトスイッチング降圧チョッパを用いて構成されたDC−DCコンバータ35が設備されている。DC−DCコンバータ35は、地上変電設備など、直流電源からたとえばDC1500Vなど所定の直流電源電圧を入力して、車載の二次電池に適合するたとえばDC600Vなど低い異なる直流電圧に変換して、充電ポスト31に供給する。
【0083】
電池駆動電車6は、充電ステーションに停車し、パンタグラフ14を上昇させて充電ポスト31に接触させ、搭載された二次電池11の充電を行う。
電池駆動電車6は、ニッケル水素電池などを使った二次電池11、可変電圧可変周波数制御を行うVVVFインバータ12、車両走行用の誘導電動機13などをそれぞれ搭載している。
【0084】
二次電池11の正極側端子には、高速度遮断器7と電磁接触器8とフィルタリアクトル9を介して、VVVFインバータ12の正側入力端子が接続され、二次電池11の負極側端子にVVVFインバータ12の負側入力端子が接続されている。
フィルタコンデンサ17がVVVFインバータ12と並列に接続されて、フィルタリアクトル9と共にローパスフィルタを構成している。VVVFインバータ12の出力端子には、車輪15を駆動するための誘導電動機13が接続されている。
【0085】
さらに、二次電池11の正極側端子には、高速度遮断器7aと電磁接触器8aとフィルタリアクトル9aを介して、定電圧定周波数制御をするCVCFインバータ(SIV)18の正側入力端子が接続され、二次電池11の負極側端子にCVCFインバータ(SIV)18の負側入力端子が接続されている。フィルタコンデンサ17aがCVCFインバータ(SIV)18と並列に接続されて、フィルタリアクトル9aと共にローパスフィルタを構成している。
CVCFインバータ(SIV)18の出力端子には、空調装置、車内照明装置、ブレーキ用コンプレッサなど、補機の負荷19が接続されている。
【0086】
二次電池11の正極側端子はパンタグラフ14に接続され、負極側端子は車輪15に接続されており、充電ステーションにおいて、パンタグラフ14を介し充電ポスト31から直流電力の供給を受けて二次電池11の充電が行われる。
電池駆動電車6の力行時は、二次電池11からの直流電力がVVVFインバータ12に供給され、運転指令台からの指令速度に応じた周波数、電圧の三相交流電力に変換して、誘導電動機13を駆動する。
【0087】
また、電池駆動電車6の制動時には、誘導電動機13を発電機として使用し発生する交流電力をVVVFインバータ12で直流電力に変換して二次電池11に充電することができる。
電池駆動電車6が駅に停車している間でも補機の運転が必要である場合には、CVCFインバータ(SIV)18が二次電池11から必要な電力を受けて補機に供給する。
電池駆動電車6は、充電ステーションに停車中に二次電池11に充電して、つぎの充電ステーションまで走行できる電力を蓄電する。
【0088】
本実施形態の電池駆動電車の電力供給システムでは、充電ステーションにおいて地上に設置されたDC−DCコンバータ35にソフトスイッチング降圧チョッパを用いているため、スイッチング動作時でのスイッチング損失が抑えられると共に、電磁ノイズの発生が抑制される。
したがって、軌道に沿って敷設される信号線やレールを伝播する鉄道信号系に及ぼす悪影響が抑制され、電磁ノイズに対する対策を簡易なものとすることができる。
【0089】
図11は、本発明の別の実施形態に係る電力供給システムについて、電池駆動電車が充電ステーションで二次電池に充電している状態を示す回路図である。本実施形態では、電池駆動電車に二次電池用のDC−DCコンバータを搭載するようにしたところが、図10で説明した実施形態に係る電力供給システムと異なる点であり、その他に異なるところはない。
【0090】
本実施形態も、図10で説明した実施形態も、直流電源装置から供給される高圧直流電力を、本発明に係る降圧チョッパを用いたDC−DCコンバータで降圧して、電池駆動電車に搭載した二次電池を降圧した直流電力で充電する点において差異はない。
そこで、図11においては、図10に記載の要素と同じ機能を有する要素については同じ参照番号を付すことで説明を簡約化している。
【0091】
本実施形態の電力供給システムの充電ステーションでは、充電ポスト31には既設の架線に供給する、たとえばDC1500Vの高い直流電圧が印加されている。なお、充電ポスト31は、電化区間における通常の架線であっても良い。
【0092】
本実施形態の電池駆動電車6aは、充電ステーションに停車し、パンタグラフ14を上昇させて充電ポスト31に接触させ、充電ポスト31の直流電力を取り込み、LCフィルタを介してDC−DCコンバータ21の入力端子に供給する。
【0093】
DC−DCコンバータ21は、図3に示した本発明に係るソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いたDC−DCコンバータや、図7に示したソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いた多相多重方式のDC−DCコンバータである。
したがって、DC−DCコンバータ21自体が小型軽量であるばかりでなく、コンバータが稼働する際のスイッチング損失が少なく高効率であり、冷却が簡単である。また、電磁ノイズが少ないので、ノイズの遮蔽が容易である。このため、電池駆動電車6に、DC−DCコンバータ21を搭載しても、車両重量が過大にならず、走行負荷に対応する二次電池容量も過大にならない。
【0094】
特に、降圧チョッパ3を複数設けて多相多重化した場合は、チョッパの部品も軽量になると共に、電磁ノイズが激減して保護に必要な部材の重量やコストが低減する。また、多相多重化により駆動周波数が相数に比例して大きくなることから、スイッチング周波数を可聴周波数より高くして乗客の感じる音響ノイズを抑制することができる。
【0095】
このように、電池駆動電車6aに二次電池11を充電するDC−DCコンバータ21を搭載した場合は、充電ステーションには、単にたとえばDC1500Vを供給する充電ポストが設置されていればよく、地上施設の設備が簡単になる。また、電車の架線を充電ポストとして使用することにより、電化区間と非電化区間が混在する運転区間では、充電ステーションで充電する代わりに電化区間を走行中に二次電池11を充電することができる。走行中に充電するシステムによれば、設備装置のコストを低減すると共に充電時間を節減することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の降圧チョッパは、ソフトスイッチングを実現した上に、パワー半導体デバイスなどの部品の要求特性を緩和した上、単純な駆動回路で制御できるようになったので、DC−DCコンバータなどに適用することにより、各種の産業分野に利用することができる。特に、電池駆動電車の二次電池の充電制御装置に適用すると、鉄道信号系に対する悪影響の少ない経済的な充電システムを形成することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 共振スイッチ回路要素
2 制御回路
3,3a,3b,3c,3a',3b',3c' 降圧チョッパ
4 制御回路
5,5' 三相多重方式降圧チョッパ
6,6a 電池駆動電車
7,7a 高速度遮断器
8,8a 電磁接触器
9,9a フィルタリアクトル
11 二次電池
12 VVVFインバータ
13 誘導電動機
14 パンタグラフ
15 車輪
17,17a フィルタコンデンサ
18 CVCFインバータ(SIV)
19 負荷
21 DC−DCコンバータ(車載)
31 充電ポスト
32 レール
35 DC−DCコンバータ(地上設置)
36 電力供給装置
36a 電力供給装置本体
Cr 共振コンデンサ
S1,S2 第1スイッチ、第2スイッチ
D1,D2 第1ダイオード、第2ダイオード
Lo 直流リアクトル
Do 環流ダイオード
Co 平滑コンデンサ
Ed 直流電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトスイッチング用の共振スイッチおよびソフトスイッチング方式による降圧チョッパに関し、さらに二次電池などの蓄電装置に適用される電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地方路線など架線のない架線レス区間で運行するディーゼル車は、CO2排出量削減の要請などにより、近い将来、二次電池を搭載して電動機で運転される電池駆動電車に取って代わられる可能性が高いと考えられている。電池駆動電車は、二次電池を搭載し、運行区間の適所に設けた充電ステーションで二次電池を充電して、架線レス区間を二次電池からの電気エネルギーを使って電動機により運行する。架線レス区間と架線区間が混在する路線では、架線区間で走行中に架線から二次電池を充電して、架線レス区間を二次電池に蓄電したエネルギーで運行するようにすることもできる。
このような技術趨勢に応じて、電池駆動電車に適用できるような、大容量で、急速充電が可能な高エネルギー密度の二次電池が開発・実用化されつつある。また、このような電池駆動電車搭載の二次電池に対して効果的な充電管理を行う充電制御装置が求められている。
【0003】
最近の電池駆動電車の電力供給システムでは、充電ステーションにおける地上設置式蓄電装置、及び電車搭載の蓄電装置として、新しい構造を有する大容量のニッケル水素電池が利用されている。
ここに、充電制御装置は、電池駆動電車に搭載され、直流架線電圧を降圧して(たとえば、DC1500Vから電池電圧のDC600V程度まで降圧する)、二次電池の充電を行う装置であり、電池駆動電車の適切な運用を行うために必要とされる。充電制御装置には、直流の入力電圧(架線電圧)を降圧するための降圧チョッパが組み込まれる。
【0004】
図12は、基本的な降圧チョッパの回路図である。直流電源は変電所に設置され、き電線を介して架線に直流電力を供給する。
図12において、直流電源Eに、スイッチSW、リアクトルL、負荷Rが直列接続され、直列接続された直流電源EとスイッチSWに対して環流ダイオードDfが並列に接続されている。また、負荷RにはコンデンサCが並列接続されている。スイッチSWはオン/オフを高速で周期的に繰り返す。
コンデンサCは、負荷Rに印加される直流電圧を平滑化するものである。還流ダイオードDfは、スイッチSWがオフしたときにリアクトルLに蓄えられたエネルギーを負荷に供給するために閉回路を構成するよう設けられたものである。
【0005】
スイッチSWは、高速かつ周期的に動作させる必要があるので、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGCT(Integrated Gate Commutated Thyristor)、IEGT(Injection Enhanced Gate Transistor)、ESBT(Emitter Switched Bipolar Transistor)などのパワー半導体デバイスが用いられる。
パワー半導体デバイスを用いたDC−DCコンバータ等の電力変換装置については、高周波スイッチング技術の進展に伴って、小型・軽量化、高電力密度化、低騒音化、高速応答化、波形の高品質化の要求に向けた技術開発が注目を浴びている。
しかし、高周波スイッチング半導体電力変換装置を応用する分野において、パワー半導体デバイスのスイッチング損失やスナバ回路での損失の増加に伴う電力変換効率の低下、急峻なスイッチ部の電圧変化に伴う対地高周波漏れ電流やスイッチングサージに伴う電磁ノイズの発生などの実用上の問題が顕在化している。
【0006】
電池駆動電車に搭載する二次電池用の充電制御装置は、高周波スイッチングによる電力変換回路を使用する。パワー半導体デバイスのオン/オフ時に発生する電磁ノイズが大きいと、列車検知装置、踏切制御子、自動列車停止装置など、鉄道信号系に悪影響を及ぼすおそれがある。電磁ノイズに対しては、影響を受けるおそれのある装置へのフィルタやシールド材の追加により、信号系への影響を抑制できるが、これらは車両重量を増加させる。
【0007】
図13は、IGBTにおいて、ハードスイッチング・ターンオン時に発生するサージを例示する電圧・電流波形である。対象とした回路は、昇圧チョッパ回路で、スナバ回路を持たないハードスイッチング動作時の波形である。横軸の1目盛が500nsで、縦軸にパワー半導体デバイスの電圧を1目盛100V、電流を1目盛10Aで表示した波形例である。
図13の電圧波形と電流波形から、ハードスイッチング動作時ではスイッチング過渡時に急峻なdv/dt及びdi/dtと、急峻なdi/dtと寄生インダクタンスによる電圧サージと、急峻なdv/dtと寄生キャパシタンスによる電流サージとが発生することが分かる。
【0008】
このように、ハードスイッチングでは、スイッチングサージに起因する伝導性ノイズや放射性ノイズが発生する。伝導性ノイズは一部が出力端子に、他の一部は直流電源側に逆流して、周辺の電子機器に電磁障害を引き起こす。また、放射性ノイズは周辺機器の誤動作などの悪影響を引き起こす。
このように、ハードスイッチングでは、IGBTなどパワー半導体デバイスの電圧/電流のピークストレスの増大と、電磁ノイズの発生が問題になる。
【0009】
また、図14は、一般的なハードスイッチング時の電圧・電流波形である。すなわち、降圧チョッパのデバイス電圧vCEとデバイス電流iCの変化の状況を示す。
図14から分かるように、パワー半導体デバイスは、ターンオン時とターンオフ時の過渡状態において、スイッチの電圧と電流に重なりが生じて、図において斜線で示すスイッチング損失が発生する。このスイッチング損失は熱となるので、パワー半導体デバイスを冷却するための放熱系が大きくかつ重くなるという問題がある。このスイッチング損失は、スイッチング周波数の高周波化とともに増大するため、電力変換装置の変換効率の低下を招くことになり、装置の小型・軽量化に有利な高周波化が困難となる。
【0010】
上記のような、スイッチング周波数の高周波化に伴う問題とスイッチング損失を抑制するための効果的な解決法として、スイッチング電力変換回路をアクティブ補助共振スナバ回路によりLC共振状態で動作させることで、スイッチ端子間がゼロ電圧状態においてスイッチングを行うゼロ電圧スイッチング(ZVS)あるいはゼロ電流状態においてスイッチングを行うゼロ電流スイッチング(ZCS)あるいはこれらのハイブリッドとなるZVZCSといったソフトスイッチング電力変換回路技術が開発されている。
【0011】
特許文献1には、ソフトスイッチング技術によりスイッチング損失を減少させ、スイッチング周波数を高周波化して、直流リアクトルなどの部品を小型化した、低コストで高効率な共振型のDC−DCコンバータが開示されている。
開示されたDC−DCコンバータは、共振回路の機能により、第1の主スイッチのゼロ電圧スイッチング(ZVS)を可能とし、ソフトスイッチングを実現する。ただし、直列に接続された2つの主スイッチを交互に異なるタイミングでオン/オフさせたり、タイミングを計るため直流リアクトルに実際に流れる電流を測定するセンサと共振リアクトルに実際に流れる電流を測定するセンサを必要としたりするため、制御回路が複雑になることが避けられない。
【0012】
特許文献2には、ソフトスイッチングによりスイッチング損失を低減した小型のDC−DCコンバータが開示されている。
開示されたDC−DCコンバータは、主スイッチング素子と補助スイッチング素子の2つのスイッチング素子を高い周波数でオン/オフさせているところ、主スイッチング素子と補助スイッチング素子とは異なるタイミングでオン/オフされており、スイッチング素子のゲート駆動には2つのタイミングパルスを必要としており、回路構成が複雑となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−129393号公報
【特許文献2】特開2010−068619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来でも、共振スイッチ回路要素を用いたソフトスイッチング降圧チョッパを利用することにより、電池駆動電車の電力供給システムにおいて、ハードスイッチング方式と比べて電磁ノイズやスイッチング損失を抑制することができる。しかし、従来のソフトスイッチング降圧チョッパでは、ソフトスイッチングを実現する制御回路が複雑になり、十分な経済性を有するものとならなかった。
【0015】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、より簡単なゲート駆動回路で的確に制御できる共振スイッチ回路要素を組み込んだソフトスイッチング降圧チョッパを提供することである。さらに、より簡単なゲート駆動回路で的確に制御できるソフトスイッチング方式の充電制御装置を備えた、電池駆動電車の二次電池に対する電力供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(請求項1(図1))
上記課題を解決するため、本発明に係るソフトスイッチング用の共振スイッチ回路要素は、第1端子と第2端子の間に、第1ダイオードと、第2ダイオードと、共振コンデンサと、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスである第1スイッチ及び第2スイッチとを備えた共振スイッチである。
本共振スイッチの回路要素は、前記第2ダイオードのアノードが前記第1端子に接続され、前記第1ダイオードのカソードが前記第2端子に接続され、前記共振コンデンサの一端が前記第2ダイオードのカソードに接続され、前記共振コンデンサの他端が前記第1ダイオードのアノードに接続され、前記第1スイッチの一端が前記第1端子に接続され、前記第1スイッチの他端が前記第1ダイオードのアノードと前記共振コンデンサの接続点に接続され、前記第2スイッチの一端が前記第2ダイオードのカソードと前記共振コンデンサの接続点に接続され、前記第2スイッチの他端が前記第2端子に接続されて構成される。
【0017】
本発明の共振スイッチ回路要素の動作は、第1スイッチと第2スイッチを一つのゲート駆動信号により同じタイミングでオンオフすることによって制御することができる。
なお、第1スイッチと第2スイッチは、同等の特性を有するパワー半導体デバイスを用いて、スイッチ回路要素に流れる電流を二分して負担させることにより半導体デバイスに対する作動領域(SOA)に対する要求仕様を緩和させることができる。特に大電流を扱う回路では、パワー半導体デバイスの選択の余地を拡げ、コストの低減に繋がるばかりでなく、負荷電流を二分することにより等価的にオン電圧の低いパワー半導体デバイスを実現することができ、スイッチ損失の低減が可能となり、効率の向上を図ることができる。
【0018】
また、第1スイッチと第2スイッチは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGCT(Integrated Gate Commutated Thyristor)、IEGT(Injection Enhanced Gate Transistor)、ESBT(Emitter Switched Bipolar Transistor)などの、オン・オフの制御が可能なパワー半導体デバイスであってもよい。
第1スイッチと第2スイッチがパワー半導体デバイスである場合は、好ましくは、当該スイッチにスナバ回路を有しない。当該スイッチにスナバ機能を有する場合は、後述するLC直列共振現象に好ましくない影響を与えることがあるからである。
【0019】
本発明の共振スイッチ回路要素を各種の直流チョッパに適用することにより、直流チョッパのスイッチ素子についてソフトスイッチングを実現させることができる。そして、ゼロ電流スイッチング(ZCS)を実現させることができるため、直流チョッパ内の環流ダイオードの逆回復電流を小さくすることができ、スイッチ素子のターンオン損失と環流ダイオードのターンオフ損失を効果的に低減させることができる。
【0020】
(請求項2(図3))
本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、パワー半導体デバイスとダイオードとリアクトルを備え、共振スイッチ回路要素を駆動するゲート駆動信号を生成する回路を備えた降圧チョッパであって、上記本発明の共振スイッチ回路要素を組み込んだことを特徴とする。
すなわち、本発明に係るソフトスイッチング降圧チョッパは、正側入力端子と負側入力端子と正側出力端子と負側出力端子とを備える4端子回路において、前記正側入力端子に第1端子を接続した請求項1に記載の共振スイッチと、カソードを請求項1に記載の共振スイッチの第2端子に接続し、アノードを前記負側入力端子に接続したダイオードと、前記第2端子と前記正側出力端子の間に接続された直流リアクトルと、前記正側出力端子と前記負側出力端子との間に接続された平滑コンデンサと、前記共振スイッチを駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、前記正側入力端子と前記負側入力端子に接続された直流電源の電圧を低減して前記正側出力端子と前記負側出力端子に出力する。
【0021】
第1スイッチと第2スイッチのターンオン時には、第1スイッチと第2スイッチの間に接続された共振コンデンサに蓄えられた電荷が共振初期電流を確保し、直流リアクトルと協動してゼロ電流スイッチング(ZCS)を行う、また、ターンオフ時には第1端子と第2端子の間に接続されている共振コンデンサに充電を開始し、直流リアクトルと協動してゼロ電圧スイッチング(ZVS)を行なうことができ、ソフトスイッチングを実現する。
よって、係る直流リアクトルは共振リアクトルとしても動作することになる。
このように、本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、ソフトスイッチング動作を行うので、電池駆動電車に適用することにより、列車検知装置、踏切制御子、自動列車停止装置など、電磁ノイズを嫌う鉄道信号系に対する悪影響が減少し、これらの悪影響を抑制するためにとられてきた各種のノイズ対策を簡素化することができる。
【0022】
また、第1スイッチと第2スイッチの2つのスイッチの許容電流は、負荷に供給される電流の半分になるので、低出力のパワー半導体デバイスを選択することができる。
本発明の降圧チョッパにおけるスイッチのゲート駆動回路は同じタイミングであることから簡単になり、小型化かつ軽量化することができる。
なお、本発明に係るソフトスイッチング降圧チョッパは、LC直列共振現象を利用したところにその特徴の一つがあるのであるが、直列共振現象の全区間を利用するものでなく、その一部区間を利用することにより、電流電圧波形を正弦波状に緩やかに変化させて、ゼロ電流スイッチング(ZCS)およびゼロ電圧スイッチング(ZVS)とともにソフトスイッチングを実現する。直列共振現象の全区間を全共振、直列共振の一部区間を部分共振と区別して称することもある。
【0023】
(請求項3(図6))
本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、前記共振スイッチが複数台並列に接続されてなる。
共振スイッチを複数台並列に接続する。そうすれば、小さな容量の共振スイッチで大容量のソフトスイッチング降圧チョッパを構成することができる。ここで、各共振スイッチの特性は揃っていることが好ましい。共振スイッチの特性が揃っていれば、負荷分担が円滑に行なえると共に、部品の共通化を図ることができる。
【0024】
(請求項4(図7))
また、本発明に係るソフトスイッチング降圧チョッパは、正側入力端子と負側入力端子と正側出力端子と負側出力端子とを備える4端子回路において、前記正側入力端子に第1端子を接続した請求項1に記載の共振スイッチと、カソードを請求項1に記載の共振スイッチの第2端子に接続し、アノードを前記負側入力端子に接続したダイオードと、前記第2端子と前記正側出力端子の間に接続された直流リアクトルとを備えた降圧チョッパモジュールを複数並列に接続し、前記降圧チョッパモジュールの前記共振スイッチを時分割制御により駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、前記正側入力端子と前記負側入力端子に接続された直流電源の電圧を降圧して前記正側出力端子と前記負側出力端子に出力する。つまり、時分割制御動作による多相多重(マルチフェーズ)化をすることができる。
また、本発明の時分割制御動作による多相多重化をしたソフトスイッチング降圧チョッパは、回路素子の数は増えても1相当たりの出力電流が小さくなるので、合成して形成される合成出力電流におけるリップル率が激減して直流リアクトルや平滑コンデンサの小型軽量化が達成でき、降圧チョッパの重量軽減にも有効である。なお、多相多重化により回路的には複雑にみえるが、本発明の共振回路ではゲート駆動信号が単純なため、制御回路のコストが大きく増大することはない。
【0025】
(請求項5(図8))
本発明のソフトスイッチング降圧チョッパは、複数並列に接続された前記降圧チョッパモジュールの複数の前記直流リアクトルが共通の磁性体からなるコアを有してなる。
直流リアクトルは、一般に磁性体からなるコアを有する有芯タイプと、コアを有さない空芯タイプとがある。本発明に係る直流リアクトルは、好ましくは、有芯タイプであって、降圧チョッパモジュールが複数台並列に接続された場合、複数台ある直流リアクトルのコアは、共通の一つのコアを有していてもよい。コアが共通であれば、これら複数の直流リアクトルにおいて生じる磁束は、それぞれ互いに結合されることとなる。
これら直流リアクトルは、磁束が結合してなるので、結合リアクトルとも結合インダクタとも称されることがある。
【0026】
(請求項6)
本発明に係るソフトスイッチング降圧チョッパは、前記共振コンデンサのキャパシタンスと前記直流リアクトルのインダクタンスの積が、ある定められた値より小さいことを特徴とする。
ここに「ある定められた値より小さい」とは、好ましくは、共振コンデンサのキャパシタンスと直流リアクトルのインダクタンスの積の平方根に円周率の1/2を乗じて得られた値(Tb)が、第1スイッチと第2スイッチのオン期間より小さいことである。したがって、この場合「ある定められた値」とは、第1スイッチと第2スイッチのオン期間を円周率の1/2で除した値の平方を意味し、この値よりも共振コンデンサのキャパシタンスと直流リアクトルのインダクタンスの積が小さくなるように、共振回路の回路定数を定める必要がある。
【0027】
(請求項7(図9))
さらに、本発明に係る電池駆動電車の電力供給システムは、直流電力を供給する直流電源と、請求項2から請求項5に記載のいずれか1項に記載のソフトスイッチング降圧チョッパを用いて構成したDC−DCコンバータと、電気車両に搭載した電気車両駆動用の二次電池とを備え、前記直流電源から供給される直流電力を、前記DC−DCコンバータに入力して降圧し、前記二次電池を当該降圧した直流電力で充電することができる、
【0028】
(請求項8(図10))
さらに、本発明に係る電池駆動電車の電力供給システムは、前記直流電源と前記DC−DCコンバータは地上に設置される。
【0029】
(請求項9(図11))
また、本発明に係る電池駆動電車の電力供給システムは、前記直流電源は地上に設置され、前記DC−DCコンバータは前記電池駆動電車に搭載される。
【発明の効果】
【0030】
本発明のソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素およびソフトスイッチング降圧チョッパによれば、極めて簡単なゲート駆動回路によりソフトスイッチングを達成するばかりでなく、パワー半導体デバイスや直流リアクトルや平滑コンデンサを小型化して、電池駆動電車の電力供給システムを小型軽量で経済的な装置とすることができる。さらに、本発明のソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素およびソフトスイッチング降圧チョッパを電池駆動電車の二次電池についての充電制御装置に適用することにより、鉄道信号系に悪影響を与えない経済的な地上設置型充電制御装置としても、また車載型充電御装置としても、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素の回路図である。
【図2】本実施形態に係るソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素のスイッチオンオフ状態を説明する等価回路図である。
【図3】本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング降圧チョッパの回路図である。
【図4】本実施形態のソフトスイッチング降圧チョッパの動作波形図である。
【図5】本実施形態のソフトスイッチング降圧チョッパの動作モード遷移等価回路図である。
【図6】図3において共振スイッチ回路要素を並列にした降圧チョッパの回路図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係るソフトスイッチング降圧チョッパの回路図である。
【図8】図7において、直流リアクトルのコアを共通にした実施形態に係るソフトスイッチング降圧チョッパの回路図である。
【図9】電池駆動電車に搭載した二次電池に給電する、本発明に係る電力供給システムの概念図である。
【図10】本発明の1実施形態に係る電力供給システムの回路図である。
【図11】本発明の別の1実施形態に係る電力供給システムの回路図である。
【図12】基本的な降圧チョッパの回路図である。
【図13】IGBTにおけるターンオン時のサージを例示する波形図である。
【図14】基本的なスイッチング波形を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0033】
以下、図面を用い実施形態に基づいて本発明のソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素およびソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素を用いたソフトスイッチング降圧チョッパおよび電力供給システムを詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング用共振スイッチ回路要素の回路図である。図1に示す通り、本実施形態のソフトスイッチング用の共振スイッチ回路要素1は、第1端子T1と第2端子T2の間に、第1ダイオードD1と、第2ダイオードD2と、共振コンデンサCrと、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスである第1スイッチS1および第2スイッチS2とを備えた共振スイッチである。
【0034】
第2ダイオードD2のアノードが第1端子T1に接続され、第1ダイオードD1のカソードが第2端子T2に接続され、共振コンデンサCrの一端が第2ダイオードD2のカソードに接続され、共振コンデンサCrの他端が第1ダイオードD1のアノードに接続されている。
また、第1スイッチS1の一端が第1端子T1に接続され、第1スイッチS1の他端が第1ダイオードD1のアノードと共振コンデンサCrの接続点に接続され、 第2スイッチS2の一端が第2ダイオードD2のカソードと共振コンデンサCrの接続点に接続され、第2スイッチS2の他端が第2端子T2に接続されている。
【0035】
第1スイッチS1と第2スイッチS2は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGCT(Integrated Gate Commutated Thyristor)、IEGT(Injection Enhanced Gate Transistor)、ESBT(Emitter Switched Bipolar Transistor)などの、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスで形成される。これらのパワー半導体デバイスは、同時にゲートがオンになってスイッチがオンの状態の時に電流が第1端子T1から第2端子T2の方向に流れる向きに接続されている。
本実施形態の共振スイッチ回路要素1では、一つのゲート駆動信号により、第1スイッチS1と第2スイッチS2を同じタイミングでオンオフ制御する。
【0036】
図2は、本実施形態の共振スイッチ回路要素1における、第1スイッチS1と第2スイッチS2のオンオフ状態における回路の変化を説明する等価回路図である。なお以下、図2の説明において、共振スイッチ回路要素1の外部には図示していない直流リアクトルLoが共振コンデンサCrと直列に接続されているものとして説明する。図2(a)は、第1スイッチS1と第2スイッチS2がオン状態のとき、図2(b)は、第1スイッチS1と第2スイッチS2がオフ状態のときを示す。
【0037】
図2(a)を参照すると、第1スイッチS1と第2スイッチS2が同時にオンになっているときには、共振コンデンサCrに蓄えられた電荷は、第1スイッチS1と共振コンデンサCrと第2スイッチS2を通って第1端子T1から第2端子T2に電流が流れる回路が形成される。そして、第1スイッチS1と共振コンデンサCrと第2スイッチS2を通って第1端子T1から第2端子T2に向けて流れる電流により共振コンデンサCrと共振スイッチ回路要素1の外部に接続された直流リアクトルLoとに基づいた共振が発生するLC直列共振回路が形成される。
【0038】
共振コンデンサCrに蓄えられた電荷が完全に放電されると、共振コンデンサCrの両端の電圧はゼロとなる。これにより、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2は順バイアス状態となるので、第1スイッチS1と第1ダイオードD1を通って第1端子T1から第2端子T2に流れる回路と、第2スイッチS2と第2ダイオードD2を通って第1端子T1から第2端子T2に流れる回路とが形成される。つまり、第1端子T1から第2端子T2への電流はS1−D1とD2−S2とに2分して流れることになる。
【0039】
図2(b)を参照すると、第1スイッチS1と第2スイッチS2が共にオフになると、第1端子T1から第2端子T2へ流れていた電流は、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2を介して共振コンデンサCrを充電する電流となる。第1端子T1から第2端子T2に向けて流れるこの充電電流により、共振コンデンサCrと共振スイッチ回路要素1の外部に接続された直流リアクトルLoとに基づくLC直列共振回路が形成される。
【0040】
共振コンデンサCrの両端の電圧が電源電圧に等しくなると、共振コンデンサCrを充電していた電流はゼロとなり、等価回路的には第1端子T1と第2端子T2とは遮断状態となる(図2(c)参照)。
【0041】
本実施形態において、共振スイッチ回路要素1は、第1スイッチS1と第2スイッチS2の間に直列に接続された共振コンデンサCrを備え、共振スイッチ回路要素1の外部には、共振コンデンサCrと並列に接続した直流リアクトルLoとを備える。LC直列共振回路を形成する。
【0042】
このため、第1スイッチS1と第2スイッチS2を同時にオン状態に変えるターンオン時においては、共振コンデンサCrと直流リアクトルLoとの共振により、第1スイッチS1および第2スイッチS2を流れる電流はゼロから正弦波状に緩やかに上昇する。これにより、第1スイッチS1および第2スイッチS2のターンオンはゼロ電流スイッチングとなり、ソフトスイッチングが実現される。
【0043】
また、第1スイッチS1と第2スイッチS2を同時にオフ状態に変えるターンオフ時には、それまで第1スイッチS1と第2スイッチS2を流れていた電流は、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2を介して共振コンデンサCrの充電を開始する。共振コンデンサCrの両端の電圧、すなわち第1スイッチS1および第2スイッチS2の端子電圧は、ゼロから緩やかに増加するので、ゼロ電圧スイッチングとなり、ソフトスイッチングが実現される。
【0044】
このように、本実施形態の共振スイッチ回路要素1は、第1スイッチS1と第2スイッチS2において、ターンオン時とターンオフ時のいずれでもソフトスイッチングを実現すると共に、第1スイッチS1と第2スイッチS2を同じゲート駆動信号で駆動することができ、共振スイッチ回路要素1のゲート駆動回路が簡素化する。
本発明の共振スイッチ回路要素1は、パワー半導体デバイスとダイオードと直流リアクトルを備えて構成される各種直流チョッパにおいて、パワー半導体デバイスに代替して組み込むことにより、直流チョッパにおけるスイッチ素子においてソフトスイッチングを実現させることができる。
【0045】
図3は、本発明の共振スイッチ回路要素を組み込んだ、本発明の1実施形態に係るソフトスイッチング降圧チョッパの回路図である。
降圧チョッパ3は、共振スイッチ回路要素1の高頻度のオンオフ動作により、直流電源Ed(例えばDC1500Vなど所定の直流電圧を供給する直流電力源)からの直流電力をDC600Vなどの低い直流電圧に変換して、負荷Roに供給する直流チョッパである。なお、本実施形態において、直流電源Edは、降圧チョッパ3の外に設けられて、たとえば架線あるいは電線・ケーブルなどのき電線を介して直流電力を降圧チョッパ3に供給する。また、負荷Roとしては、二次電池もしくは鉄道車両に搭載され鉄道車両を駆動するプロパルジョン等がある。
【0046】
本実施形態のソフトスイッチング降圧チョッパ3は、共振スイッチ回路要素1とダイオードDoと直流リアクトルLoを備えて構成される。ソフトスイッチング降圧チョッパ3は、共振スイッチ回路要素1とダイオードDoと直流リアクトルLoは接続点T3で接続され、共振スイッチ回路要素1を挟んで接続点T3と反対側に位置する接続点T4に直流電源Edが接続され、直流リアクトルLoを挟んで接続点T3と反対側に位置する接続点T5に負荷Roが接続され、ダイオードDoを挟んで接続点T3と反対側に位置する接続点T6が接地されている。
【0047】
直流リアクトルLoは電流を蓄えて平滑化するためのもので、さらに平滑コンデンサCoを接続して電圧を平滑化している。ダイオードDoは、共振スイッチ回路要素1の第1スイッチS1と第2スイッチS2がオフになったときに、直流リアクトルLoに蓄えられたエネルギー(電流)を循環させるための環流ダイオードとして作用する。
直流リアクトルLoは、共振スイッチ回路要素1の共振コンデンサCrと協働してLC直列共振回路構成するので共振リアクトルの作用を兼ね備えている。
本実施形態の降圧チョッパ3は、図1に示した共振スイッチ回路要素1を組み込んだもので、共振スイッチ回路要素1のゲート駆動信号を生成する制御回路2が付属している。
共振スイッチ回路要素1の第1端子T1を直流電源Edに繋がる接続点T4に接続し、第2端子T2を直流リアクトルLoとの接続点T3に接続する。
【0048】
本実施形態の降圧チョッパ3は、直流電源Edの出力端子と接続する接続点T4すなわち正側入力端子T4と負側入力端子と、正側入力端子T4に第1端子T1を接続した図1の共振スイッチ回路要素1と、ダイオードDoのカソードを共振スイッチ回路要素1の第2端子T2に接続し、ダイオードDoのアノードを負側入力端子に接続したダイオードDoと、一端を共振スイッチ回路要素1の第2端子T2に接続した直流リアクトルLoと、直流リアクトルLoの他端を接続する接続点T5すなわち正側出力端子T5と、負側入力端子と接続した負側出力端子と、共振スイッチ回路要素1を駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路2を備えたソフトスイッチング降圧チョッパであって、直流電源Edから入力する直流電力の電圧を降圧して正側出力端子T5と負側出力端子を介して負荷Roに供給する。
【0049】
本実施形態のソフトスイッチング降圧チョッパ3は、共振スイッチ回路要素1の中に設けられた2つのスイッチS1,S2を、制御回路2から供給される1つのゲート駆動信号で同時に駆動するもので、2つのスイッチについてゼロ電流ターンオン動作(ZCS)とゼロ電圧ターンオフ動作(ZVS)を達成して、ソフトスイッチングを実現している。
【0050】
図3に示すように構成された降圧チョッパ3において、共振スイッチ回路要素1の第1スイッチS1と第2スイッチS2を同時にオンにすると、共振コンデンサCrと直流リアクトルLoとの共振により、第1スイッチS1および第2スイッチS2を流れる電流はゼロから正弦波状に緩やかに上昇する。これにより、第1スイッチS1および第2スイッチS2のターンオンはゼロ電流スイッチングとなり、ソフトスイッチングが実現される。これを、ZCS(Zero Current Switching)と称する。
【0051】
一方、電流が流れている状態で、第1スイッチS1と第2スイッチS2を同時にオフにすると、それまで第1スイッチS1と第2スイッチS2を流れていた電流は、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2を介して共振コンデンサCrの充電を開始する。共振コンデンサCrの両端の電圧、すなわち第1スイッチS1および第2スイッチS2の端子電圧は、ゼロから緩やかに増加する。これにより、第1スイッチS1および第2スイッチS2のターンオフはゼロ電圧スイッチングとなり、ソフトスイッチングが実現される。これを、ZVS(Zero Voltage Switching)と称する。
【0052】
以下、本実施形態の降圧チョッパ3のオンオフ動作による動作モード遷移と等価回路を表した図面により詳しく説明する。
図4は、図3に示した本実施形態の降圧チョッパ3がオンオフ動作する間における各回路素子の電圧あるいは電流の時間的変化を説明する動作原理波形図である。図4は、横軸を時間軸として、オンオフ動作1周期にわたり降圧チョッパ3の主要な回路素子における電圧および電流の波形変化を表している。
【0053】
図4(a)は第1スイッチS1及び第2スイッチS2に与えるゲート駆動信号p(S1)(およびp(S2))の波形図、図4(b)は第1スイッチS1及び第2スイッチS2のスイッチ電流i(S1)(およびi(S2))の波形図、図4(c)は第1スイッチS1及び第2スイッチS2のスイッチ電圧v(S1)(およびv(S2))の波形図、図4(d)は第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2の電流i(D1)(およびi(D2))の波形図、図4(e)は第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2の電圧v(D1)(およびv(D2))の波形図、図4(f)は、共振コンデンサCrの電圧v(Cr)の波形図、図4(g)は共振コンデンサCrの電流i(Cr)の波形図、図4(h)は直流リアクトルLoの電流i(Lo)の波形図である。また、図4(i)に各動作モードの区分を記載している。
【0054】
また、図5は、降圧チョッパ3のオンオフ動作1周期内の各動作モードにおける等価回路を示す動作モード遷移等価回路図である。降圧チョッパ3は、リアクトル電流断続モード(モード0)からゼロ電流ターンオンモード(モード1)、ダイオード順バイアスモード(モード2)、ゼロ電圧ターンオフモード(モード3)、負荷電流環流モード(モード4)と遷移して、再びリアクトル電流断続モード(モード0)に戻る動作を繰り返す。
【0055】
図5(a)はモード0におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(b)はモード1におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(c)はモード2におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(d)はモード3におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路、図5(e)はモード4におけるソフトスイッチング降圧チョッパ3の等価回路である。
【0056】
以下、図4と図5を参照してモードの遷移を説明する。
リアクトル電流断続モード(モード0)では、図5(a)に示すように、共振スイッチ回路要素1の第1スイッチS1と第2スイッチS2がオフになっていて、直流電源Edからの電力供給がなく、負荷Roには平滑コンデンサCoに蓄えられた電荷エネルギーが供給される。
【0057】
時刻t1において、ゲート駆動信号p(S1)およびp(S2)を第1スイッチS1、第2スイッチS2のゲートに印加して第1スイッチS1、第2スイッチS2を同時にオンにすると、図5(b)に示すゼロ電流ターンオンモード(モード1)に遷移して、第1スイッチS1と第2スイッチS2にスイッチ電流i(S1)およびi(S2)が流れ始める。これにより、降圧チョッパ3はゼロ電流スイッチング(ZCS)のターンオンを行うことができる。ただし、スイッチ電流i(S1)およびi(S2)は直流リアクトルLoの作用で緩やかに増加する。
【0058】
また、共振コンデンサCrは徐々に放電されることになるので、共振コンデンサCrの電圧(端子間の電位差)v(Cr)は、正弦波状に緩やかに下降する。同時に、直流リアクトルLoに流れる電流i(Lo)もゼロから緩やかに上昇する。
なお、第1スイッチS1と第2スイッチS2は、同じ特性を有するパワー半導体デバイスであって、同じゲート駆動信号で駆動され、両者はほぼ同じ電圧波形と電流波形を呈する。そして、直流電源Edから負荷Roに電流が流れるようになると、平滑コンデンサCoは充電を開始する。
【0059】
時刻t2にて、共振コンデンサCrに蓄積された電荷が放電して、共振コンデンサCrの電圧v(Cr)がゼロになると、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2は順方向にバイアスされ、導通状態となる。すなわち、図5(c)の等価回路で示すような、ダイオード順バイアスモード(モード2)になって、直流電源Edからの直流電力は第1スイッチS1−第1ダイオードD1と第2ダイオードD2−第2スイッチS2の直列素子に2分して流れる。
このため、第1スイッチS1の電流i(S1)および第2スイッチS2の電流i(S2)はほぼ半減する。なお、第1ダイオード電流i(D1)および第2ダイオード電流i(D2)は、第1スイッチS1の電流i(S1)および第2スイッチS2の電流i(S2)とそれぞれ同一の電流値となる。この間、直流リアクトルに流れる電流i(Lo)は増加を続ける。
【0060】
時刻t3にて第1スイッチS1と第2スイッチS2を同時にオフにすると、それまで第1スイッチS1と第2スイッチS2とに流れていた電流は、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2を介して、共振コンデンサCrを充電する電流となり、共振コンデンサCrの端子電圧v(Cr)は徐々に上昇する。これにより、第1スイッチS1と第2スイッチS2の端子電圧v(S1)およびv(S2)は緩やかに上昇する。すなわち、第1スイッチS1と第2スイッチのゼロ電圧スイッチング(ZVS)によるターンオフが実現する。 このとき図5(d)の等価回路で示すような、ゼロ電圧ターンオフモード(モード3)となる。直流電源Edから負荷Roに電力の供給が行なわれる。
【0061】
時刻t4において、共振コンデンサCrの充電が進み、共振コンデンサCrの端子電圧v(Cr)が直流電源Edの電圧と等しくなると、第1ダイオードD1と第2ダイオードD2の導通はなくなり、直流電源Edから負荷Roへの電力の供給は行なわれなくなる。代わりに、直流リアクトルLoに蓄えられた電気エネルギーが負荷Roに供給される。このとき、環流ダイオードDoは順バイアス状態となって、図5(e)の等価回路で示すような、負荷電流を環流する負荷電流環流モード(モード4)となる。
この区間では、直流リアクトルLoに流れる電流i(Lo)は次第に減少して、モード1からモード3の間で直流リアクトルLoに蓄積された電気エネルギーを放出して、時刻t5にてゼロとなる。これ以降、リアクトル電流断続モード(モード0)となる。
【0062】
なお、第1スイッチS1と第2スイッチS2をゼロ電流スイッチング(ZCS)のターンオンを行うと、共振コンデンサCrと直流リアクトルLoとによる共振が始まり、第1スイッチS1のスイッチ電流i(S1),第2スイッチS2のスイッチ電流i(S2)が緩やかに上昇する。
また、第1スイッチS1と第2スイッチS2をゼロ電圧スイッチング(ZVS)のターンオフを行うと、共振コンデンサCrと直流リアクトルLoとによる共振が始まり、第1スイッチS1のスイッチ電圧v(S1),第2スイッチS2のスイッチ電圧v(S2)が緩やかに上昇する。
【0063】
上記説明から明らかな通り、本実施形態の降圧チョッパ3は、第1スイッチS1と第2スイッチS2の2つのスイッチに対して、それぞれ別個ではなく、同一のゲート駆動信号で駆動することができる。また、降圧チョッパ3の動作はモード0からモード4まで遷移するが、スイッチ素子S1、S2のターンオンとターンオフ以外は降圧チョッパ3自体の状態の変遷に基づいて自動的にモードが切り替わる。
【0064】
本実施形態の降圧チョッパ3は、第1スイッチS1と第2スイッチS2の2つのスイッチについて、ゼロ電流ターンオン(ZCSターンオン)、ゼロ電圧ターンオフ(ZVSターンオフ)のいわゆるソフトスイッチング転流を実現している。スイッチング損失の小さいDC−DCコンバータを提供することができる。また、本実施形態の降圧チョッパ3を適用することにより、電磁ノイズの少ない環境を提供することができる。
【0065】
なお、本実施形態の降圧チョッパ3の出力電圧は、入力電圧より低く、それゆえに降圧チョッパと称されている。ここに、本実施形態の降圧チョッパ3の出力電圧をVoとし、入力電圧をVinとすると、出力電圧Voは複雑な数値解析により求められるが、概ね次式で定まる。
【0066】
【数1】
ここに、Dは第1スイッチS1と第2スイッチS2のオン時比率であり、Rは負荷抵抗Roの抵抗値、Lは直流リアクトルLoのインダクタンス、Tは第1スイッチS1と第2スイッチS2のパルスのオン時間である。
【0067】
また、モード1の期間を確保するためには、オン時間TはLC直列共振の共振期間Tb(共振周期の1/4)以下に下げることはできない。すなわち、共振コンデンサCrのキャパシタンスCとすると、第1スイッチS1と第2スイッチS2のオン時間Tは、次式で求められるTbより小さくなるように共振コンデンサCrのキャパシタンスCと直列リアクトルLoのインダクタンスLは選択される必要がある。
【0068】
【数2】
【0069】
ここで、図3に示すソフトスイッチング降圧チョッパの回路において、図6に示すように、共振スイッチ回路要素1を2台並列に接続したものであってもよい。共振スイッチ回路要素1を2台並列に接続すれば、スイッチング周波数は低くても良く、降圧チョッパの大容量化を図ることができる。
あるいは、一方の共振スイッチ回路要素1が故障しても運転の継続を図ることができるので、装置の信頼性が向上する。
【0070】
本実施形態の降圧チョッパは、直流電源と負荷の間に複数の降圧チョッパを並列接続して、多相多重化することができる。図7は、時分割制御による多相多重方式を採用した降圧チョッパの代表例を示す回路図である。図7(a)には、いわゆる分割コンデンサ方式の降圧チョッパの例、図7(b)には、いわゆる一括コンデンサ方式の降圧チョッパの例を示す回路図が示されている。
【0071】
図7(a)は、3個の降圧チョッパ3a,3b,3cを直流電源Eと負荷Rの間に並列接続した三相多重方式降圧チョッパ5を示している。降圧チョッパ3a、3b、3cは、それぞれ、図1に示した本実施形態に係る共振スイッチ回路要素1と環流ダイオードDと平滑コンデンサCと直流リアクトルLで構成され、図3に説明した本実施形態に係る単位降圧チョッパ3である。なお、三相多重方式降圧チョッパ5には、降圧チョッパ3a,3b,3cの共振スイッチ回路要素1のパワー半導体デバイスにゲート駆動信号を供給する制御回路4が付属されている。
【0072】
本実施形態の三相多重方式降圧チョッパ5は、各々独立の直流リアクトルLo1,Lo2,Lo3を持った三相の単位降圧チョッパ3からなり、出力は各直流リアクトルLo1,Lo2,Lo3の出力側で合成されて負荷Rに供給される。したがって、個々の直流リアクトルの電流は相数分の1に減少する。
各単位降圧チョッパ3a,3b,3cは、1サイクルを3等分した位相関係でオンオフされる。出力電流は各相の和となるので、平均値は相数の3倍となり、リップル周波数は3倍となるが、リップルの絶対値は互いに打ち消す効果を生じて極めて小さくなる。また最大リップル率は、相数の2乗に逆比例して急速に減少し、三相では1/9になる。リップルが小さくなることにより高調波が減少して電力の品質が向上する。
【0073】
また、1つの相のチョッパが故障しても、残りの相によって運転を継続することができるので、動作信頼性が向上する。
なお、本実施形態の三相多重方式降圧チョッパ5に使用される単位降圧チョッパ3は、共振スイッチ回路要素1に用いられる2つのパワー半導体デバイスを1つのゲート駆動信号で同時に制御すればよく、しかも、モード遷移にも余分なセンサを必要としないので、降圧チョッパを多相多重化しても、制御回路は位相シフト制御によりシンプルで経済的である。
【0074】
図7(a)に示した三相多重方式降圧チョッパ5では、平滑コンデンサCoを各相の単位降圧チョッパ3a,3b,3cに分割して配置し、負荷を分担するので、個々の平滑コンデンサCo1,Co2,Co3の容量は比較的小さくて済むが、単位降圧チョッパ毎に設ける必要がある。
これに対して、図7(b)に示した三相多重方式降圧チョッパ5'は、一括コンデンサ方式を採用して、各単位降圧チョッパ3a',3b',3c'に平滑コンデンサを配置する代わりに、単位降圧チョッパ3a',3b',3c'を並列接続した出力端子に相応の容量を持つ平滑コンデンサCo'を配置するようにしたものである。平滑コンデンサCo'は、一括したものを1個設ければシンプルで済み、製作および保全管理が容易である。
【0075】
図7(a)および図7(b)において、直流リアクトルLo1,Lo2,Lo3は各々独立であるところ、図8(a)および図8(b)に示すように、直流リアクトルのコアを共通にする結合リアクトル構造としてもよい。
結合リアクトル構造を採用すれば、リアクトルの小型・軽量化を図ることができる。また、リアクトル部の損失低減にも効果がある。
【0076】
なお、図7には、降圧チョッパを3個使って三相化したDC−DCコンバータを示したが、相数を任意に選択することができることは言うまでもない。また、単位降圧チョッパ3を1つのモジュールとして標準化して、必要な容量にしたがって相数を決めて多相多重化したDC−DCコンバータを構成するようにすることもできる。このように標準部品を使う場合は、設計および製造の標準化が容易で、信頼性の高い部品を利用した信頼性が高く保守性の高いDC−DCコンバータを得ることができる。
【0077】
図9は、電池駆動電車に搭載した二次電池に給電する本発明の1実施形態に係る電力供給システムの概念図である。電池駆動電車6は、二次電池に蓄電した電力を使って電動機を駆動して非電化区間のレール32上を走行する。したがって、非電化区間である架線レス区間を走行するときには、適宜設けられた充電ステーションで車載の二次電池(蓄電デバイス)を充電する必要がある。
【0078】
図9に示すように、充電ステーションは,充電設備がある車両基地A及び駅B1,B2であり、駅C1,C2,C3は充電設備がなく充電ステーションではない。例えば、ニッケル水素電池など小型で高容量の二次電池を用いると、走行距離を長くすることができ、全ての駅に充電設備を設ける必要がない。
【0079】
充電ステーションには、電力供給装置本体36aと充電ポスト31とを備えた電力供給装置36が設けられている。電力供給装置本体36aには、DC−DCコンバータが設けられ、たとえばDC1500Vの直流電力Pwを受電して、車載の二次電池に適合した、たとえばDC600Vに降圧した直流電力を充電ポスト31に供給する。DC−DCコンバータの負側出力端子はレールに電気的に接続されている。
【0080】
なお、二次電池電圧の状態に応じて、DC−DCコンバータの出力電圧を適宜に調整することができる。
電力供給装置本体36aに設けられるDC−DCコンバータは、図3に示した本発明に係るソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いたDC−DCコンバータや、図7に示したソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いた多相多重方式のDC−DCコンバータである。
【0081】
電池駆動電車6は、小型で高容量の二次電池を搭載し、二次電池の直流をインバータで三相交流に変換して車輪と連結された電動機を駆動することにより、架線レス区間を走行することができる。
電池駆動電車6は、充電ステーション以外の場所では,パンタグラフを降ろして走行し、充電ステーションでパンタグラフを上昇させて充電ポスト31に接触させ、電池駆動電車6に搭載した二次電池の充電を行う。
なお、充電ポスト31は、架線に限らず、軌条あるいはソケットなどを介して電力供給するものであっても良い。
【0082】
図10は、電池駆動電車が本実施形態の電力供給システムの充電ステーションで二次電池に充電している状態を示す回路図である。
本実施形態の電力供給システムの充電ステーションには、本発明に係るソフトスイッチング降圧チョッパを用いて構成されたDC−DCコンバータ35が設備されている。DC−DCコンバータ35は、地上変電設備など、直流電源からたとえばDC1500Vなど所定の直流電源電圧を入力して、車載の二次電池に適合するたとえばDC600Vなど低い異なる直流電圧に変換して、充電ポスト31に供給する。
【0083】
電池駆動電車6は、充電ステーションに停車し、パンタグラフ14を上昇させて充電ポスト31に接触させ、搭載された二次電池11の充電を行う。
電池駆動電車6は、ニッケル水素電池などを使った二次電池11、可変電圧可変周波数制御を行うVVVFインバータ12、車両走行用の誘導電動機13などをそれぞれ搭載している。
【0084】
二次電池11の正極側端子には、高速度遮断器7と電磁接触器8とフィルタリアクトル9を介して、VVVFインバータ12の正側入力端子が接続され、二次電池11の負極側端子にVVVFインバータ12の負側入力端子が接続されている。
フィルタコンデンサ17がVVVFインバータ12と並列に接続されて、フィルタリアクトル9と共にローパスフィルタを構成している。VVVFインバータ12の出力端子には、車輪15を駆動するための誘導電動機13が接続されている。
【0085】
さらに、二次電池11の正極側端子には、高速度遮断器7aと電磁接触器8aとフィルタリアクトル9aを介して、定電圧定周波数制御をするCVCFインバータ(SIV)18の正側入力端子が接続され、二次電池11の負極側端子にCVCFインバータ(SIV)18の負側入力端子が接続されている。フィルタコンデンサ17aがCVCFインバータ(SIV)18と並列に接続されて、フィルタリアクトル9aと共にローパスフィルタを構成している。
CVCFインバータ(SIV)18の出力端子には、空調装置、車内照明装置、ブレーキ用コンプレッサなど、補機の負荷19が接続されている。
【0086】
二次電池11の正極側端子はパンタグラフ14に接続され、負極側端子は車輪15に接続されており、充電ステーションにおいて、パンタグラフ14を介し充電ポスト31から直流電力の供給を受けて二次電池11の充電が行われる。
電池駆動電車6の力行時は、二次電池11からの直流電力がVVVFインバータ12に供給され、運転指令台からの指令速度に応じた周波数、電圧の三相交流電力に変換して、誘導電動機13を駆動する。
【0087】
また、電池駆動電車6の制動時には、誘導電動機13を発電機として使用し発生する交流電力をVVVFインバータ12で直流電力に変換して二次電池11に充電することができる。
電池駆動電車6が駅に停車している間でも補機の運転が必要である場合には、CVCFインバータ(SIV)18が二次電池11から必要な電力を受けて補機に供給する。
電池駆動電車6は、充電ステーションに停車中に二次電池11に充電して、つぎの充電ステーションまで走行できる電力を蓄電する。
【0088】
本実施形態の電池駆動電車の電力供給システムでは、充電ステーションにおいて地上に設置されたDC−DCコンバータ35にソフトスイッチング降圧チョッパを用いているため、スイッチング動作時でのスイッチング損失が抑えられると共に、電磁ノイズの発生が抑制される。
したがって、軌道に沿って敷設される信号線やレールを伝播する鉄道信号系に及ぼす悪影響が抑制され、電磁ノイズに対する対策を簡易なものとすることができる。
【0089】
図11は、本発明の別の実施形態に係る電力供給システムについて、電池駆動電車が充電ステーションで二次電池に充電している状態を示す回路図である。本実施形態では、電池駆動電車に二次電池用のDC−DCコンバータを搭載するようにしたところが、図10で説明した実施形態に係る電力供給システムと異なる点であり、その他に異なるところはない。
【0090】
本実施形態も、図10で説明した実施形態も、直流電源装置から供給される高圧直流電力を、本発明に係る降圧チョッパを用いたDC−DCコンバータで降圧して、電池駆動電車に搭載した二次電池を降圧した直流電力で充電する点において差異はない。
そこで、図11においては、図10に記載の要素と同じ機能を有する要素については同じ参照番号を付すことで説明を簡約化している。
【0091】
本実施形態の電力供給システムの充電ステーションでは、充電ポスト31には既設の架線に供給する、たとえばDC1500Vの高い直流電圧が印加されている。なお、充電ポスト31は、電化区間における通常の架線であっても良い。
【0092】
本実施形態の電池駆動電車6aは、充電ステーションに停車し、パンタグラフ14を上昇させて充電ポスト31に接触させ、充電ポスト31の直流電力を取り込み、LCフィルタを介してDC−DCコンバータ21の入力端子に供給する。
【0093】
DC−DCコンバータ21は、図3に示した本発明に係るソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いたDC−DCコンバータや、図7に示したソフトスイッチング式の降圧チョッパ3を用いた多相多重方式のDC−DCコンバータである。
したがって、DC−DCコンバータ21自体が小型軽量であるばかりでなく、コンバータが稼働する際のスイッチング損失が少なく高効率であり、冷却が簡単である。また、電磁ノイズが少ないので、ノイズの遮蔽が容易である。このため、電池駆動電車6に、DC−DCコンバータ21を搭載しても、車両重量が過大にならず、走行負荷に対応する二次電池容量も過大にならない。
【0094】
特に、降圧チョッパ3を複数設けて多相多重化した場合は、チョッパの部品も軽量になると共に、電磁ノイズが激減して保護に必要な部材の重量やコストが低減する。また、多相多重化により駆動周波数が相数に比例して大きくなることから、スイッチング周波数を可聴周波数より高くして乗客の感じる音響ノイズを抑制することができる。
【0095】
このように、電池駆動電車6aに二次電池11を充電するDC−DCコンバータ21を搭載した場合は、充電ステーションには、単にたとえばDC1500Vを供給する充電ポストが設置されていればよく、地上施設の設備が簡単になる。また、電車の架線を充電ポストとして使用することにより、電化区間と非電化区間が混在する運転区間では、充電ステーションで充電する代わりに電化区間を走行中に二次電池11を充電することができる。走行中に充電するシステムによれば、設備装置のコストを低減すると共に充電時間を節減することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の降圧チョッパは、ソフトスイッチングを実現した上に、パワー半導体デバイスなどの部品の要求特性を緩和した上、単純な駆動回路で制御できるようになったので、DC−DCコンバータなどに適用することにより、各種の産業分野に利用することができる。特に、電池駆動電車の二次電池の充電制御装置に適用すると、鉄道信号系に対する悪影響の少ない経済的な充電システムを形成することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 共振スイッチ回路要素
2 制御回路
3,3a,3b,3c,3a',3b',3c' 降圧チョッパ
4 制御回路
5,5' 三相多重方式降圧チョッパ
6,6a 電池駆動電車
7,7a 高速度遮断器
8,8a 電磁接触器
9,9a フィルタリアクトル
11 二次電池
12 VVVFインバータ
13 誘導電動機
14 パンタグラフ
15 車輪
17,17a フィルタコンデンサ
18 CVCFインバータ(SIV)
19 負荷
21 DC−DCコンバータ(車載)
31 充電ポスト
32 レール
35 DC−DCコンバータ(地上設置)
36 電力供給装置
36a 電力供給装置本体
Cr 共振コンデンサ
S1,S2 第1スイッチ、第2スイッチ
D1,D2 第1ダイオード、第2ダイオード
Lo 直流リアクトル
Do 環流ダイオード
Co 平滑コンデンサ
Ed 直流電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と第2端子の間に、第1ダイオードと、第2ダイオードと、共振コンデンサと、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスである第1スイッチ及び第2スイッチとを備えた共振スイッチであって、
前記第2ダイオードのアノードが前記第1端子に接続され、前記第1ダイオードのカソードが前記第2端子に接続され、前記共振コンデンサの一端が前記第2ダイオードのカソードに接続され、前記共振コンデンサの他端が前記第1ダイオードのアノードに接続され、
前記第1スイッチの一端が前記第1端子に接続され、前記第1スイッチの他端が前記第1ダイオードのアノードと前記共振コンデンサの接続点に接続され、
前記第2スイッチの一端が前記第2ダイオードのカソードと前記共振コンデンサの接続点に接続され、前記第2スイッチの他端が前記第2端子に接続されて構成される、
ソフトスイッチング用の共振スイッチ。
【請求項2】
正側入力端子と負側入力端子と正側出力端子と負側出力端子とを備える4端子回路において、
前記正側入力端子に第1端子を接続した請求項1に記載の共振スイッチと、
カソードを請求項1に記載の共振スイッチの第2端子に接続し、アノードを前記負側入力端子に接続したダイオードと、
前記第2端子と前記正側出力端子の間に接続された直流リアクトルと、
前記正側出力端子と前記負側出力端子との間に接続された平滑コンデンサと、
前記共振スイッチを駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、前記正側入力端子と前記負側入力端子に接続された直流電源の電圧を低減して前記正側出力端子と前記負側出力端子に出力する、
ソフトスイッチング降圧チョッパ。
【請求項3】
前記共振スイッチが複数台並列に接続されてなる、請求項2に記載のソフトスイッチング降圧チョッパ。
【請求項4】
正側入力端子と負側入力端子と正側出力端子と負側出力端子とを備える4端子回路において、
前記正側入力端子に第1端子を接続した請求項1に記載の共振スイッチと、
カソードを請求項1に記載の共振スイッチの第2端子に接続し、アノードを前記負側入力端子に接続したダイオードと、
前記第2端子と前記正側出力端子の間に接続された直流リアクトルとを備えた降圧チョッパモジュールを複数並列に接続し、
前記降圧チョッパモジュールの前記共振スイッチを時分割制御により駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、前記正側入力端子と前記負側入力端子に接続された直流電源の電圧を低減して前記正側出力端子と前記負側出力端子に出力する、
ソフトスイッチング降圧チョッパ。
【請求項5】
複数並列に接続された前記降圧チョッパモジュールの複数の前記直流リアクトルが共通の磁性体からなるコアを有してなる請求項4に記載のソフトスイッチング降圧チョッパ。
【請求項6】
前記共振コンデンサのキャパシタンスと前記直流リアクトルのインダクタンスの積が、ある定められた値より小さいことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のソフトスイッチング降圧チョッパ。
【請求項7】
直流電力を供給する直流電源と、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のソフトスイッチング降圧チョッパを用いて構成したDC−DCコンバータと、
電気車両に搭載した電気車両駆動用の二次電池とを備え、
前記直流電源から供給される直流電力を、前記DC−DCコンバータに入力して降圧し、前記二次電池を当該降圧した直流電力で充電する、
電池駆動電車の電力供給システム。
【請求項8】
前記直流電源と前記DC−DCコンバータが地上に設置される、請求項7記載の電池駆動電車の電力供給システム。
【請求項9】
前記直流電源は地上に設置され、前記DC−DCコンバータが前記電気車両に搭載される、請求項7記載の電池駆動電車の電力供給システム。
【請求項1】
第1端子と第2端子の間に、第1ダイオードと、第2ダイオードと、共振コンデンサと、オンオフ制御が可能なパワー半導体デバイスである第1スイッチ及び第2スイッチとを備えた共振スイッチであって、
前記第2ダイオードのアノードが前記第1端子に接続され、前記第1ダイオードのカソードが前記第2端子に接続され、前記共振コンデンサの一端が前記第2ダイオードのカソードに接続され、前記共振コンデンサの他端が前記第1ダイオードのアノードに接続され、
前記第1スイッチの一端が前記第1端子に接続され、前記第1スイッチの他端が前記第1ダイオードのアノードと前記共振コンデンサの接続点に接続され、
前記第2スイッチの一端が前記第2ダイオードのカソードと前記共振コンデンサの接続点に接続され、前記第2スイッチの他端が前記第2端子に接続されて構成される、
ソフトスイッチング用の共振スイッチ。
【請求項2】
正側入力端子と負側入力端子と正側出力端子と負側出力端子とを備える4端子回路において、
前記正側入力端子に第1端子を接続した請求項1に記載の共振スイッチと、
カソードを請求項1に記載の共振スイッチの第2端子に接続し、アノードを前記負側入力端子に接続したダイオードと、
前記第2端子と前記正側出力端子の間に接続された直流リアクトルと、
前記正側出力端子と前記負側出力端子との間に接続された平滑コンデンサと、
前記共振スイッチを駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、前記正側入力端子と前記負側入力端子に接続された直流電源の電圧を低減して前記正側出力端子と前記負側出力端子に出力する、
ソフトスイッチング降圧チョッパ。
【請求項3】
前記共振スイッチが複数台並列に接続されてなる、請求項2に記載のソフトスイッチング降圧チョッパ。
【請求項4】
正側入力端子と負側入力端子と正側出力端子と負側出力端子とを備える4端子回路において、
前記正側入力端子に第1端子を接続した請求項1に記載の共振スイッチと、
カソードを請求項1に記載の共振スイッチの第2端子に接続し、アノードを前記負側入力端子に接続したダイオードと、
前記第2端子と前記正側出力端子の間に接続された直流リアクトルとを備えた降圧チョッパモジュールを複数並列に接続し、
前記降圧チョッパモジュールの前記共振スイッチを時分割制御により駆動するゲート駆動信号を生成する制御回路を備えて、前記正側入力端子と前記負側入力端子に接続された直流電源の電圧を低減して前記正側出力端子と前記負側出力端子に出力する、
ソフトスイッチング降圧チョッパ。
【請求項5】
複数並列に接続された前記降圧チョッパモジュールの複数の前記直流リアクトルが共通の磁性体からなるコアを有してなる請求項4に記載のソフトスイッチング降圧チョッパ。
【請求項6】
前記共振コンデンサのキャパシタンスと前記直流リアクトルのインダクタンスの積が、ある定められた値より小さいことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のソフトスイッチング降圧チョッパ。
【請求項7】
直流電力を供給する直流電源と、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載のソフトスイッチング降圧チョッパを用いて構成したDC−DCコンバータと、
電気車両に搭載した電気車両駆動用の二次電池とを備え、
前記直流電源から供給される直流電力を、前記DC−DCコンバータに入力して降圧し、前記二次電池を当該降圧した直流電力で充電する、
電池駆動電車の電力供給システム。
【請求項8】
前記直流電源と前記DC−DCコンバータが地上に設置される、請求項7記載の電池駆動電車の電力供給システム。
【請求項9】
前記直流電源は地上に設置され、前記DC−DCコンバータが前記電気車両に搭載される、請求項7記載の電池駆動電車の電力供給システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−100490(P2012−100490A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247829(P2010−247829)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
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