説明

共沸混合物様組成物および該組成物の使用

25CF(OCH3)CF(CF32(1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチルペンタン)および有機溶媒を含む共沸混合物様組成物、および前記共沸混合物様組成物の使用が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチルペンタンを含む共沸混合物および共沸混合物様組成物、ならびに基材を清浄化し、塗料(例えば化粧品)を沈着させ、熱エネルギーを伝達するとともに加工操作を潤滑化するために共沸混合物および共沸混合物様組成物を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)およびヒドロクロロカーボン(HCC、例えば、1,1,1−トリクロロエタンおよび四塩化炭素)は、乾燥、クリーニング(例えば、印刷回路板からのフラックス残留物の除去)および蒸気脱脂などの多様な溶媒用途において用いられてきた。これらの材料は、冷凍方法および熱伝達方法においても用いられてきた。しかし、塩素含有炭素サイトでの光分解反応性およびホモリシス反応性は、地球のオゾン層の破壊の一因であることが示されてきた。更に、CFCの長い大気寿命は地球温暖化に関連してきた。結果として、CFCを置き換えるために十年にわたって世界的な運動が行われてきた(「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(Montreal Protocol on Substances That Deplete the Ozone Layer」コペンハーゲン改正案、国連環境プログラム、1992年参照)。
【0003】
低いオゾン破壊係数に加えて代替品に求められる特性は、様々な溶媒クリーニング用途、低い燃焼性および低い毒性のために適する沸点範囲を典型的に含んでいた。幾つかの用途に関して、溶媒代替品は炭化水素系固体とフルオロカーボン系固体の両方を溶解させる能力も有するのもよい。幾つかの実施形態において、溶媒代替品は低い毒性も有し、引火点がなく(ASTM D3278−98e−1、SETAFLASHとして別段に知られている「小規模密閉カップ装置による液体の引火点(Flash Point of Liquids by Small Scale Closed−Cup Apparatus)」によって測定した時)、許容できる安定性を有し、短い大気寿命を有し、低い地球温暖化係数を有する。
【0004】
ヒドロフルオロエーテル(HFE)は、CFCおよびHCFCのための代替品として興味を獲得してきた。一般に、HFEは化学的に安定であり、低い毒性を有し、不燃性であり、オゾン破壊性ではない。HFEと他の有機溶媒の混合物は、HFE単独より炭化水素のための良好な溶媒および分散剤である傾向がある。
【0005】
多くの共沸混合物はそれらを有用な溶媒にする特性を有する。例えば、共沸混合物は処理および使用中に沸騰温度ずれを避ける一定沸点を有する。更に、共沸混合物を溶媒として用いる時、溶媒の特性は、溶媒の組成が沸騰または還流中に変化しないので一定のままである。溶媒として用いられる共沸混合物は、蒸留によって便利に回収することも可能である。
【0006】
幾つかの実施形態において、良好な溶解力を有する共沸混合物または共沸混合物様組成物を提供することは望ましい。もう1つの態様において、幾つかの実施形態において、低い燃焼性を有する共沸混合物または共沸混合物様組成物を提供することは望ましい。なおもう1つの態様において、幾つかの実施形態において、オゾン破壊性でなく、および/または比較的短い大気寿命を有し、共沸混合物または共沸混合物様組成物が地球温暖化の大幅な要因でないようにする共沸混合物または共沸混合物様組成物(すなわち、低い地球温暖化係数を有する共沸混合物または共沸混合物様組成物)を提供することは望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡単に言うと、1つの態様において、本発明はC25CF(OCH3)CF(CF32と有機溶媒との混合物を含む共沸混合物様組成物を提供する。本発明の有機溶媒には、1−ブロモプロパン、ヘキサメチルジシラザン、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよびトリフルオロメチルベンゼンが挙げられる。幾つかの実施形態において、本発明の共沸混合物様組成物は潤滑添加剤、オゾンおよび/または弗化水素酸を更に含む。
【0008】
もう1つの態様において、本発明は共沸混合物様組成物を含む塗料組成物であって、少なくとも1種の塗料材料が共沸混合物様組成物に可溶性または分散性である塗料組成物を提供する。
【0009】
なおもう1つの態様において、本発明は、基材の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に共沸混合物様組成物を含む塗料組成物を被着させる工程を含む、前記基材の表面上に塗料を沈着させる方法であって、少なくとも一種の塗料材料が共沸混合物様組成物に可溶性または分散性である方法を提供する。
【0010】
なおもう1つの態様において、本発明は、金属、サーメットまたは複合材のための方法であって、本発明の共沸混合物様組成物を含む作動流体を用いて潤滑化される方法を提供する。
【0011】
なおもう1つの態様において、本発明は、基材の表面から汚染物を除去する方法であって、汚染物が共沸混合物様組成物中に、または共沸混合物様組成物によって溶解されるか、分散されるか、または置き換えられるまで、本発明による共沸混合物様組成物の1種以上と基材を接触させる工程と、溶解された、分散された、または置き換えられた該汚染物を含む共沸混合物様組成物を基材の表面から除去する工程とを含む方法を提供する。
【0012】
なおもう1つの態様において、本発明は、熱伝達の方法であって、本発明による共沸混合物様組成物の1種以上を熱伝達流体として用いる方法を提供する。
【0013】
上の本発明の開示は本発明の各実施形態を記載することを意図していない。本発明の1つ以上の実施形態の詳細は以下の説明においても記載されている。本発明の他の特徴、目的および利点は説明および特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
共沸組成物または共沸混合物は、その沸点で液体の部分蒸発によって生じた蒸気が液体と同じ組成を有するので単一物質のように挙動する2種以上の物質の混合物を含む。共沸組成物は、同じ物質の他の組成物と比べた時、最低沸点または最高沸点のいずれかを示す定沸点混合物である。
【0015】
共沸混合物を形成する物質の混合物は強い熱力学的非理想性を示す。熱力学的に理想の混合物または熱力学的に非理想の混合物は2つの成分の沸点の間の沸点を有する。本発明の共沸混合物様組成物は、本発明の共沸混合物様組成物が最低沸点成分の沸点より低い温度で沸騰するので強い熱力学的非理想性を示す。物質の特定の混合物のための共沸混合物様組成物の範囲は対応する共沸混合物を含む。図1〜6を参照すること。
【0016】
本発明の共沸混合物様組成物は、有機溶媒および式C25CF(OCH3)CF(CF32によって表現されるヒドロフルオロエーテル(HFE)である1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチルペンタンを含む。特定の共沸混合物様組成物中の有機溶媒およびHFEの濃度は対応する共沸組成物から実質的に異なる場合があり、この許容できる相違の大きさは有機溶媒に応じて異なる。幾つかの実施形態において、共沸混合物様組成物は、周囲圧力で有機溶媒とHFEとの間で形成される共沸混合物を含む時、有機溶媒およびHFEの実質的に同じ濃度を含む。幾つかの実施形態において、共沸混合物様組成物は経時的に組成物の溶解力の大幅な変化を示さない。
【0017】
典型的には、共沸混合物は個々の成分溶媒の特性の多くを保持し、特性の多くは、組み合わせ特性のゆえに個々の成分と比べて性能および有用性を強化することが可能である。
【0018】
本発明の共沸混合物様組成物は、溶媒およびHFEに加えて、共沸混合物の形成において妨げない他の化合物も含んでよい。典型的には、他の化合物は少量で存在する。例えば、幾つかの実施形態において、共溶媒または界面活性剤は、例えば、共沸混合物および共沸混合物様組成物中の水、汚れまたは塗料材料(例えば、パーフルオロポリエーテル潤滑剤およびフルオロポリマー)などの材料の分散性または溶解度を改善するために本発明の共沸混合物様組成物中に存在してもよい。幾つかの実施形態において、少量の潤滑添加剤は、例えば、共沸混合物および共沸混合物様組成物の潤滑特性を強化するために存在してもよい。
【0019】
本発明の有機溶媒には、1−ブロモプロパン、ヘキサメチルジシラザン、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、トランス−1,2−ジクロロエチレンおよびトリフルオロメチルベンゼン(「オキソル(OXSOL)」2000という商品名でニューヨーク州ニューヨークのマナ(MANA(New York,NY))から得られるもの)が挙げられる。
【0020】
本発明のヒドロフルオロエーテル(HFE)は、式C25CF(OCH3)CF(CF32によって表現される1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチルペンタンである。
【0021】
本発明の共沸混合物様組成物は、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチルペンタン(HFE)と有機溶媒との混合物を含み、ここで、混合物は、
(i)約1〜約81重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約99〜約19重量%の1−ブロモプロパンとから本質的になり、約101キロパスカル(kPa)(760トル)で約71.0℃未満で沸騰する混合物、
(ii)約23〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約77〜約1重量%のトリフルオロメチルベンゼンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約98.0℃未満で沸騰する混合物、
(iii)約65〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約35〜約1重量%のヘキサメチルジシラザンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約97.9℃未満で沸騰する混合物、
(iv)約68〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約32〜約1重量%の酢酸イソブチルとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約98.1℃未満で沸騰する混合物、
(v)約70〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約30〜約1重量%のメチルイソブチルケトンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約98.0℃未満で沸騰する混合物および
(vi)約1〜約59重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約99〜約41重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約47.7℃未満で沸騰する混合物、
を含む。
【0022】
技術上知られているように、周囲圧力が上がるにつれて液体の沸点は上昇し、同様に、周囲圧力が下がるにつれて液体の沸点は下降する。
【0023】
幾つかの実施形態において、本発明の共沸混合物様組成物は、最低沸点成分から共沸混合物様組成物の最低沸点への沸点降下である75%未満の沸点を有する。すなわち、最低沸点成分の沸点がXであり、共沸混合物様組成物の最低沸点の沸点がYである場合、これらの共沸混合物様組成物の沸点はX−0.25(X−Y)未満である。
【0024】
本発明のこれらの共沸混合物様組成物は、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチルペンタン(HFE)と有機溶媒との混合物を含み、ここで、混合物は、
(i)約3〜約78重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約97〜約22重量%の1−ブロモプロパンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約70.0℃未満で沸騰する混合物、
(ii)約30〜約97重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約70〜約3重量%のトリフルオロメチルベンゼンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約97.0℃未満で沸騰する混合物、
(iii)約68〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約32〜約1重量%のヘキサメチルジシラザンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約97.4℃未満で沸騰する混合物、
(iv)約71〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約29〜約1重量%の酢酸イソブチルとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約97.8℃未満で沸騰する混合物、
(v)約73〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約27〜約1重量%のメチルイソブチルケトンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約97.6℃未満で沸騰する混合物および
(vi)約2〜約55重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約98〜約45重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約47.6℃未満で沸騰する混合物、
を含む。
【0025】
幾つかの実施形態において、本発明の共沸混合物様組成物は、最低沸点成分から共沸混合物様組成物の最低沸点への沸点降下である50%未満の沸点を有する。すなわち、最低沸点成分の沸点がXであり、共沸混合物様組成物の最低沸点の沸点はYである場合、これらの共沸混合物様組成物の沸点はX−0.5(X−Y)未満である。
【0026】
本発明のこれらの共沸混合物様組成物は、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチルペンタン(HFE)と有機溶媒との混合物を含み、ここで、混合物は、
(i)約7〜約74重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約93〜約26重量%の1−ブロモプロパンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約68.9℃未満で沸騰する混合物、
(ii)約39〜約94重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約61〜約6重量%のトリフルオロメチルベンゼンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約96.1℃未満で沸騰する混合物、
(iii)約73〜約98重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約27〜約2重量%のヘキサメチルジシラザンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約96.9℃未満で沸騰する混合物、
(iv)約76〜約97重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約24〜約3重量%の酢酸イソブチルとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約97.5℃未満で沸騰する混合物、
(v)約77〜約98重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約23〜約2重量%のメチルイソブチルケトンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約97.2℃未満で沸騰する混合物および
(vi)約5〜約50重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約95〜約50重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンとから本質的になり、約101kPa(760トル)で約47.4℃未満で沸騰する混合物、
を含む。
【0027】
本発明の共沸混合物は、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチルペンタン(HFE)と有機溶媒との混合物を含み、ここで、混合物は、
(i)約55.4重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約44.6重量%の1−ブロモプロパンとから本質的になり、約97.8kPa(734トル)で約65.4℃で沸騰する混合物、
(ii)約71.3重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約28.7重量%のトリフルオロメチルベンゼンとから本質的になり、約97.7kPa(733トル)で約92.3℃で沸騰する混合物、
(iii)約90.0重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約10.0重量%のヘキサメチルジシラザンとから本質的になり、約97.3kPa(730トル)で約93.6℃で沸騰する混合物、
(iv)約91.8重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約8.2重量%の酢酸イソブチルとから本質的になり、約96.8kPa(726トル)で約94.5℃で沸騰する混合物、
(v)約90.5重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約9.5重量%のメチルイソブチルケトンとから本質的になり、約96.6kPa(725トル)で約94.0℃で沸騰する混合物および
(vi)約22.7重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約77.3重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンとから本質的になり、約98.6kPa(740トル)で約45.7℃で沸騰する混合物、
を含む。
【0028】
幾つかの実施形態において、本発明の共沸混合物様組成物は均質である。すなわち、本発明の共沸混合物様組成物は周囲条件(すなわち、室温および大気圧)下で単相を形成する。
【0029】
本発明の共沸混合物様組成物は、従来の混合手段を用いてC25CF(OCH3)CF(CF32、有機溶媒および他のあらゆる僅少成分(例えば、界面活性剤または潤滑添加剤)の所望の量を合わせて混合することにより調製することが可能である。
【0030】
幾つかの実施形態において、本発明の共沸混合物様組成物は、クリーニング方法において、熱伝達方法において、冷媒として、作動流体として、および塗料液体(例えば化粧品)などとして用いてもよい。
【0031】
本発明のクリーニング方法は、基材上の汚染物が共沸混合物様組成物中に、または共沸混合物様組成物によって実質的に溶解されるか、分散されるか、または置き換えられるまで、本発明の共沸混合物様組成物の1種と汚染された基材を接触させ、溶解された、分散された、または置き換えられた該汚染物を含む共沸混合物様組成物を基材から除去(例えば、新鮮な汚染されていない共沸混合物様組成物で基材をリンスすることによるか、または共沸混合物様組成物に浸漬された基材を浴から取り出し、汚染された共沸混合物様組成物が基材から流れ出ることを可能にすることにより)することにより行うことが可能である。共沸混合物様組成物は、蒸気状態または液体状態のいずれか(または両方)で用いることが可能であり、基材に「接触させる」ための既知技術のどれも用いることが可能である。例えば、液体共沸混合物様組成物は基材上に吹付けるか、またはブラシ掛けすることが可能であり、蒸気共沸混合物様組成物は、基材を横切って吹き飛ばすことが可能であるか、または基材は蒸気共沸混合物様組成物または液体共沸混合物様組成物のいずれかに浸漬させることが可能である。幾つかの実施形態において、高温、超音波エネルギーおよび/または攪拌を用いて、クリーニングを促進することが可能である。種々の異なる溶媒クリーニング技術は、「エレクトロニックスの部品およびアセンブリーのクリーニングおよび汚染(Cleaning and Contamination of Electronics Components and Assemblies)」、スコットランドのAyrのエレクトロケミカル パブリケーションズ(Electrochemical Pubulications,Limited(Ayr,Scotland))、頁182〜94(1986)においてエリス(B.N.Ellis)によって記載されている。
【0032】
幾つかの実施形態において、有機基材および/または無機基材を清浄化するために本発明の例証的方法を用いることが可能である。基材の代表的な例には、金属、セラミック、ガラス、シリコンウェハ、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーなどのポリマー、例えば、コットン、シルク、リネン、ウール、ちょ麻、毛皮、皮革およびスエードなどの天然繊維(天然繊維から誘導された布地)、例えば、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロン、ポリオレフィン、アセテート、トリアセテートおよびそれらの混合物などの合成繊維(合成繊維から誘導された布地)、天然繊維と合成繊維の混合物を含む布地、ならびに前述した材料の複合材が挙げられる。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、電子部品(例えば回路板)、光学媒体または磁気媒体ならびに例えばシリンジ、外科装置、植込型器具、人工器官などの医療器具および医療物品の精密なクリーニングにおいて特に有用である。幾つかの実施形態において、本発明の例証的方法は、ネイルポリッシュを除去するために用いることが可能である。
【0033】
幾つかの実施形態において、本発明の例証的なクリーニング方法は、基材の表面から殆どの汚染物を溶解させるか、または除去するために用いることが可能である。例えば、軽炭化水素汚染物などの材料、鉱油、グリース、切削油、スタンピング油およびワックスなどのより高分子量の炭化水素汚染物、パーフルオロポリエーテル、ブロモトリフルオロエチレンオリゴマー(ジャイロスコープ流体)およびクロロトリフルオロエチレンオリゴマー(作動液、潤滑剤)などのフルオロカーボン汚染物、シリコーン油およびグリース、ソールダーフラックス、微粒子、ならびに精密クリーニング、電子クリーニング、金属クリーニングおよび医療器具クリーニングで発生する他の汚染物を除去することが可能である。幾つかの実施形態において、本発明の方法は、炭化水素汚染物(特に軽炭化水素油)、フルオロカーボン汚染物および微粒子の除去のために特に有用である。
【0034】
幾つかの実施形態において、本発明の共沸混合物様組成物は抽出のためにも有用である。ここで、クリーニングは、基材(例えば、天然材料、食品、化粧品、薬物)からこれらの材料の溶解または置き換えによって汚染物(例えば、脂肪、ワックス、油または他の溶媒)を除去することを含む。
【0035】
幾つかの実施形態において、本発明の例証的な共沸混合物様組成物は、共沸混合物様組成物が基材の表面上に材料の沈着を可能にするために塗料材料のためのキャリアとして機能する塗料沈着用途においても用いることが可能である。従って、本発明は、共沸混合物様組成物を含む塗料組成物および共沸混合物様組成物を用いて基材表面上に塗料を沈着させるための方法も提供する。本方法は、(a)共沸混合物様組成物、および(b)共沸混合物様組成物に可溶性または分散性である少なくとも1種の塗料材料を含む液体塗料組成物の塗料を基材の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に被着させる工程を含む。塗料組成物は、1種以上の添加剤(例えば、界面活性剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤および難燃剤など)を更に含むことが可能である。好ましくは、本方法は、例えば、蒸発(例えば熱または真空の利用によって助けることが可能である)を可能にすることによって、沈着した塗料から共沸混合物様組成物を除去する工程を更に含む。
【0036】
本方法によって沈着させることができる塗料材料には、顔料、シリコーン潤滑添加剤、安定剤、接着剤、酸化防止剤、染料、ポリマー、薬物、化粧品、剥離剤および無機酸化物など、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい材料には、パーフルオロポリエーテル、炭化水素およびシリコーン潤滑添加剤、テトラフルオロエチレンの非晶質コポリマー、ポリテトラフルオロエチレンおよびそれらの組み合わせが挙げられる。本方法において用いるために適する材料の代表的な例には、二酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、パーフルオロポリエーテル、ポリシロキサン、ステアリン酸、アクリル接着剤、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンの非晶質コポリマーおよびそれらの組み合わせが挙げられる。上で記載した基材(クリーニング用途のための)のどれも本発明の方法を経由して被覆することが可能である。本方法は、磁気ハードディスクまたは電気コネクタをパーフルオロポリエーテル潤滑剤で、または医療器具をシリコーン潤滑添加剤で被覆するために特に有用であることが可能である。
【0037】
幾つかの実施形態において、基材は皮膚であってもよい。幾つかの実施形態において、液体塗料組成物は、例えば、化粧品、ローションまたはネイルポリッシュとして用いてもよい。
【0038】
塗料組成物を形成するために、組成物の成分(すなわち、共沸混合物様組成物、塗料材料および用いられる一切の添加剤)は、例えば機械的攪拌、超音波攪拌および手動攪拌などによって塗料材料を溶解、分散または乳化させるために用いられる従来のあらゆる混合技術によって組み合わせことが可能である。共沸混合物様組成物および塗料材料は、塗料の所望の厚さに応じたいかなる比でも組み合わせることが可能である。幾つかの実施形態において、塗料材料は塗料組成物の約0.1〜約10重量%を構成する。
【0039】
本発明の例証的な沈着方法は、従来のいずれかの技術によって基材に塗料組成物を被着させることにより行うことが可能である。例えば、組成物は、基材上にブラシ掛けすることが可能であるか、または(例えばエーロゾルとして)吹付けることが可能であるか、あるいは回転被覆することが可能である。幾つかの実施形態において、基材は組成物中に浸漬することにより被覆される。浸漬は適するいずれかの温度によって行うことが可能であり、便利ないずれかの時間長さにわたって維持することが可能である。基材がカテーテルなどの管であり、組成物が内腔壁を確実に被覆することが望ましい場合、減圧の利用によって組成物を内腔に引き入れることが有利な場合がある。
【0040】
幾つかの実施形態において、塗料を基材に被着させた後、共沸混合物様組成物を沈着した塗料から蒸発によって除去することが可能である。幾つかの実施形態において、蒸発の速度は減圧または軽度の熱の利用によって加速することが可能である。塗料は従来のいかなる厚さの塗料であることも可能である。一般に、厚さは、例えば、塗料材料の粘度、塗料を被着させる温度、引き上げる速度(浸漬を用いる場合)のような要素によって決定される。
【0041】
幾つかの実施形態において、本発明の共沸混合物様組成物は、熱伝達流体が直接的にまたは間接的に熱エネルギー(すなわち熱)を伝達することができる熱伝達方法において熱伝達流体として用いることが可能である。直接熱伝達(「直接接触熱伝達」と時には呼ばれる)は、熱だめまたは熱源に流体を直接接触させることにより熱だめまたは熱源に、および/または熱だめまたは熱源から流体に熱伝達流体が直接(すなわち、伝導および/または対流を通して)熱を伝達する熱伝達方法を意味する。直接熱伝達の例には、電気部品の浸漬冷却および内燃機関の冷却が挙げられる。
【0042】
間接熱伝達は、熱だめまたは熱源に流体を直接接触させずに熱だめまたは熱源に、および/または熱だめまたは熱源から熱伝達流体が熱を伝達する熱伝達方法を意味する。直接熱伝達の例には、建物、車両および静止機械において用いられるような冷凍、空調および/または加熱(例えばヒートポンプを用いる)方法が挙げられる。一実施形態において、本発明は熱を伝達するための方法であって、第二ループ冷媒として本発明の共沸組成物を用いることを含む方法を提供する。この実施形態において、第二ループ冷媒(すなわち、広い温度範囲の液体)は、熱源(すなわち、冷却されるべき物体)と第一ループ冷媒(すなわち、気体に膨張することにより熱を奪い、典型的にはコンプレッサーを用いることにより液体に凝縮されることにより熱を放出する低温沸騰流体)との間で熱を伝達するための手段を提供する。本発明の共沸組成物が有用でありうる装置の例には、遠心チラー、家庭用冷蔵庫および/または冷凍庫、自動車空調機、冷凍輸送車、ヒートポンプ、スーパーマーケット食品クーラーおよび陳列ケースならびに冷貯蔵倉庫が挙げられるが、それらに限定されない。
【0043】
間接熱伝達方法において、可動部品(例えば、ポンプおよびバルブ)が長い期間にわたって作動し続けることを確実にするために、熱伝達のための潤滑添加剤は可動部品を含む熱伝達流体に導入することが可能である。一般に、これらの潤滑添加剤は良好な熱安定性および加水分解安定性を有するべきであり、熱伝達流体中で少なくとも部分的な溶解度を示すべきである。適する潤滑添加剤の例には、鉱油、脂肪エステル、クロロトリフルオロエチレン含有ポリマーなどの高度にハロゲン化された油およびアルキレンオキシドポリマーなどの合成潤滑添加剤が挙げられる。
【0044】
幾つかの実施形態において、本発明の共沸混合物様組成物は、本発明の共沸混合物様組成物および少なくとも1種の完全に揮発性の潤滑添加剤を含む作動流体または潤滑剤を配合するために用いることが可能である。加工操作のための潤滑添加剤は、製作品と工具との間の摩擦係数を修正する添加剤として本明細書で定義される。幾つかの実施形態において、潤滑添加剤入りの本発明の共沸混合物様組成物は加工操作のための作動流体を形成する。
【0045】
加工操作における例証的な基材には、金属、サーメットおよび複合製作品が挙げられる。例証的な金属には、耐火性金属(例えば、タンタル、ニオブ、モリブデン、バナジウム、タングステン、ハフニウム、レニウムおよびチタン)、貴金属(例えば、銀、金および白金)、高温金属(例えば、ニッケル、チタン合金およびニッケルクロム)、例えばマグネシウム、銅、アルミニウム、スチール(例えばステンレススチール)を含む他の金属、合金(例えば、真鍮および青銅)およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
典型的には、作動流体は機械加工表面を潤滑し、よって平滑で実質的に残留物のない機械加工製作品表面をもたらす。幾つかの実施形態において、これらの操作で用いられる本発明の例証的な作動流体は、例えば熱および/または粒子状物質を機械加工環境(すなわち、製作品と工具との間の表面界面)から除去することにより機械加工環境も冷却する。
【0047】
サーメットは、いずれか1つ単独のみでは見られなかった物理的特性を有するセラミック成分と金属成分の混合物からなる半合成製品として定義される。例には、金属炭化物、酸化物および珪化物が挙げられるが、それらに限定されない。ハーレー(Hawley)のCondensed Chemical Dictionary,第12版、ファン・ノストランド・レインホールド・カンパニー(Nostrand Reinhold Company),1993を参照すること。
【0048】
複合材は、ポリマーマトリックス中の高温繊維、例えばエポキシ樹脂中のガラス繊維または炭素繊維の積層物として本明細書で表現される。
【0049】
幾つかの実施形態において、本発明の作動流体は、摩擦を減らし、工具または製作品の熱蓄積を減らし、および/または製作品から工具への材料移行を防ぐために、切削方法および成形方法を潤滑するように配合される。幾つかの実施形態において、本発明の作動流体は加工工具を完全に濡らす。幾つかの実施形態において、作動液に含まれる共沸混合物様組成物は加工工具および製作品から蒸発する。幾つかの実施形態において、潤滑添加剤は、工具および製作品の表面上の熱蓄積および摩擦を減らす、および/または製作品から工具への材料移行を防ぐ薄膜として存在する。一般に、潤滑添加剤は、早期に蒸発しないで加工方法を潤滑するために沸点が十分高く、且つ殆どまたは全く残留物が残らないように加工方法から完全に蒸発するために沸点がなお十分に低いように選択される。加工操作のための潤滑添加剤の例には、C8〜C14脂肪酸のエステル、アルキレングリコールエーテル、炭化水素留出液および乳酸のエステルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0050】
記載した用途の各々において、共沸混合物様組成物または共沸混合物組成物はそれ自体で用いることが可能であるか、または共沸混合物様組成物の混合物を用いてもよい。但し、混合物が共沸混合物様であることを条件とする。同様に、僅少量の共溶媒を共沸混合物様組成物に添加することが可能である。但し、添加が共沸挙動を妨げないか、添加が三元共沸混合物をもたらすことを条件とする。有用な共溶媒は、例えば、CFC、HCFC、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、炭化水素、ヒドロクロロカーボン(HCC)または水を含んでもよい。適する共溶媒の代表的な例には、二酸化炭素、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1−ヒドロペンタデカフルオロヘプタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、クロロフルオロメタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、トランス−1,2−ジクロロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、2−クロロプロパン、クロロフルオロカーボン(例えば、フルオロトリクロロメタン)、水、飽和パーフルオロケミカル(例えば、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサンおよびパーフルオロ(N−メチルモルホリン))およびそれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態において、共沸混合物様組成物はオゾンおよび/または弗化水素酸(HF)を更に含んでもよい。
【実施例】
【0051】
本発明の共沸混合物様組成物の調製、特定および試験を以下の実施例において更に記載する。これらの実施例で挙げた特定の材料および材料の量、ならびに他の条件および詳細は、本発明を不当に限定すると解釈されるべきではない。これらの実施例において、すべての百分率、割合および比は特に指示がない限り重量による。
【0052】
1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチルペンタン(C25CF(OCH3)CF(CF32)を米国特許第5,925,611号明細書に記載された方法により調製した。以下の実施例において用いた材料はNMR分析によって決定して99.96%の純度であった。
【0053】
実施例1〜6
25CF(OCH3)CF(CF32と有機溶媒の種々の混合物を周囲圧力(725〜740トル)で蒸留して、混合物が二元共沸混合物を形成したか否かを特定し、ならびに形成したのであれば、以下の手順を用いて共沸混合物の組成(重量%)および沸点(b.p℃)を特定した。混合物を調製し、同心円筒蒸留カラム(ニュージャージー州ビンランドのエースガラス(Ace Glass(Vinland,NJ))から得られたModel933)内で実験室周囲圧力(725〜740トル)で蒸留した。各場合、蒸留を放置して全面的還流状態で少なくとも60分にわたり平衡させた。各蒸留に関して、カラムを20対1の液体還流比で運転しつつ各々が全液体投入量の約5体積%である6連続留出物サンプルを採取した。その後、RTX−200キャピラリーカラム(ペンシルバニア州ベルフォンテのレステック・コーポレーション(Restek Corporation(Bellefonte,PA))から得られたもの)および「ヌコル(Nukol)」キャピラリーカラム(ペンシルバニア州ベルフォンテのスペルコ(Supelco(Bellefonte,PA))から得られたもの)または「クオドレックス(Quadrex)007シリーズメチルシリコーンキャピラリーカラム(コネチカット州ニューハーベンのクオドレックス・コーポレーション(Quadrex Corporation(New Haven,CT))から得たもの)および熱伝導率検出器付きのHP−5890シリーズIIプラスガスクロマトグラフを用いて留出物サンプルの組成を分析した。熱電対を用いて各留出物の沸点を測定した。この試験手順後、C25CF(OCH3)CF(CF32の共沸混合物を1−ブロモプロパン(ミズーリ州セントルイスのアルドリッチ(Aldrich(St.Louis,MO))から得られたもの)、トリフルオロメチルベンゼン(ニューヨーク州ニューヨークのマナ(MANA(New York,NY))から得られたもの)、ヘキサメチルジシラザン(ミズーリ州セントルイスのアルドリッチ(Aldrich(St.Louis,MO))から得られたもの)、酢酸イソブチル(アルドリッチ(Aldrich)から得られたもの)、メチルイソブチルケトン(アルドリッチ(Aldrich)から得られたもの)およびトランス−1,2−ジクロロエチレン(ペンシルバニア州ピッツバーグのPPGインダストリーズ(PPG Industries(Pittsburgh,PA))から得られたもの)と合わせて特定した。
【0054】
以下で示した表1において、6つの共沸混合物の組成(重量%)および沸点(指示した圧力で)を実施例1〜6として提示した。
【0055】
【表1】

【0056】
実施例7〜12
沸点測定装置または沸点装置(カリフォルニア州コスタメサのカル・ガラス・フォー・リサーチ(Cal−Glass for Research,Inc.(Costa Mesa,CA))から得られたModel MBP−100)を用いて、C25CF(OCH3)CF(CF32と1−ブロモプロパン、トリフルオロメチルベンゼン、ヘキサメチルジシラザン、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトンおよびトランス−1,2−ジクロロエチレンとの試験混合物の沸点を決定することにより、本発明の共沸混合物様組成物に関する%範囲を特定した。試験組成物のより低い沸点成分のアリコート(25〜30ミリリットル(mL))を沸点装置に添加した。液体を加熱し、放置してその沸点に平衡(典型的には約30分)させた。平衡後、沸点を記録し、より高い沸点成分の約1.0mLアリコートを装置に添加し、得られた新しい組成物を放置して約10分にわたり平衡させた。この時点で沸点を記録した。25〜30mLのより高い沸点成分が添加されるまで約1.0mLのより高い沸点成分の試験混合物への添加を10分ごとに行って、試験を上述したように基本的に続けた。装置中へのより高い沸点成分の25〜30mLで出発し、より低い沸点成分の約1.0mLアリコートを添加することにより、この試験手順を繰り返した。試験混合物がより低い沸点成分の沸点より低い沸点を示した時、共沸混合物様組成物の存在を認めた。
【0057】
得られた共沸混合物様組成物範囲を表2に提示する。すべての沸点の決定を標準圧力(760±1トル)で行った。
【0058】
【表2】

【0059】
図1において、線11は1−ブロモプロパンによる溶液中のC25CF(OCH3)CF(CF32の重量%に対する沸点のプロットである。水平線12は、より低い沸点成分の沸点を示している。線11および水平線12が交差する所を示す点AおよびBは、共沸混合物様組成物に関する終点を示している。
【0060】
図2において、線21はトリフルオロメチルベンゼンによる溶液中のC25CF(OCH3)CF(CF32の重量%に対する沸点のプロットである。水平線22は、より低い沸点成分の沸点を示している。線21および水平線22が交差する所を示す点AおよびBは、共沸混合物様組成物に関する終点を示している。
【0061】
図3において、線31はヘキサメチルジシラザンによる溶液中のC25CF(OCH3)CF(CF32の重量%に対する沸点のプロットである。水平線32は、より低い沸点成分の沸点を示している。線31および水平線32が交差する所を示す点AおよびBは、共沸混合物様組成物に関する終点を示している。
【0062】
図4において、線41は酢酸イソブチルによる溶液中のC25CF(OCH3)CF(CF32の重量%に対する沸点のプロットである。線41および水平線42が交差する所を示す点AおよびBは、共沸混合物様組成物に関する終点を示している。
【0063】
図5において、線51はメチルイソブチルケトンによる溶液中のC25CF(OCH3)CF(CF32の重量%に対する沸点のプロットである。線51および水平線52が交差する所を示す点AおよびBは、共沸混合物様組成物に関する終点を示している。
【0064】
図6において、線61はトランス−1,2−ジクロロエチレンによる溶液中のC25CF(OCH3)CF(CF32の重量%に対する沸点のプロットである。線61および水平線62が交差する所を示す点AおよびBは、共沸混合物様組成物に関する終点を示している。
【0065】
本発明の種々の修正および変更は本発明の範囲および精神を逸脱せずに当業者に対して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】1−ブロモプロパンとともに溶液中にあるC25CF(OCH3)CF(CF32の重量%に対する沸点のグラフである。点Aおよび点Bは共沸混合物様組成物のための終点を示す。
【図2】トリフルオロメチルベンゼンとともに溶液中にあるC25CF(OCH3)CF(CF32の重量%に対する沸点のグラフである。点Aおよび点Bは共沸混合物様組成物のための終点を示す。
【図3】ヘキサメチルジシラザンとともに溶液中にあるC25CF(OCH3)CF(CF32の重量%に対する沸点のグラフである。点Aおよび点Bは共沸混合物様組成物のための終点を示す。
【図4】酢酸イソブチルとともに溶液中にあるC25CF(OCH3)CF(CF32の重量%に対する沸点のグラフである。点Aおよび点Bは共沸混合物様組成物のための終点を示す。
【図5】メチルイソブチルケトンとともに溶液中にあるC25CF(OCH3)CF(CF32の重量%に対する沸点のグラフである。点Aおよび点Bは共沸混合物様組成物のための終点を示す。
【図6】トランス−1,2−ジクロロエチレンとともに溶液中にあるC25CF(OCH3)CF(CF32の重量%に対する沸点のグラフである。点Aおよび点Bは共沸混合物様組成物のための終点を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)C25CF(OCH3)CF(CF32と、
(b)有機溶媒と、
の混合物を含む共沸混合物様組成物であって、前記混合物が、
(i)約1〜約81重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約99〜約19重量%の1−ブロモプロパンとから本質的になり、約101キロパスカル(kPa)で約71.0℃未満で沸騰する混合物、
(ii)約23〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約77〜約1重量%のトリフルオロメチルベンゼンとから本質的になり、約101kPaで約98.0℃未満で沸騰する混合物、
(iii)約65〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約35〜約1重量%のヘキサメチルジシラザンとから本質的になり、約101kPaで約97.9℃未満で沸騰する混合物、
(iv)約68〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約32〜約1重量%の酢酸イソブチルとから本質的になり、約101kPaで約98.1℃未満で沸騰する混合物、
(v)約70〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約30〜約1重量%のメチルイソブチルケトンとから本質的になり、約101kPaで約98.0℃未満で沸騰する混合物、および
(vi)約1〜約59重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約99〜約41重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンとから本質的になり、約101kPaで約47.7℃未満で沸騰する混合物、
からなる群から選択される、前記共沸混合物様組成物。
【請求項2】
前記混合物が、
(i)約3〜約78重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約97〜約22重量%の1−ブロモプロパンとから本質的になり、約101kPaで約70.0℃未満で沸騰する混合物、
(ii)約30〜約97重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約70〜約3重量%のトリフルオロメチルベンゼンとから本質的になり、約101kPaで約97.0℃未満で沸騰する混合物、
(iii)約68〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約32〜約1重量%のヘキサメチルジシラザンとから本質的になり、約101kPaで約97.4℃未満で沸騰する混合物、
(iv)約71〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約29〜約1重量%の酢酸イソブチルとから本質的になり、約101kPaで約97.8℃未満で沸騰する混合物、
(v)約73〜約99重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約27〜約1重量%のメチルイソブチルケトンとから本質的になり、約101kPaで約97.6℃未満で沸騰する混合物、および、
(vi)約2〜約55重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約98〜約45重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンとから本質的になり、約101kPaで約47.6℃未満で沸騰する混合物、
からなる群から選択される、請求項1に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項3】
前記混合物が、
(i)約7〜約74重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約93〜約26重量%の1−ブロモプロパンとから本質的になり、約101kPaで約68.9℃未満で沸騰する混合物、
(ii)約39〜約94重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約61〜約6重量%のトリフルオロメチルベンゼンとから本質的になり、約101kPaで約96.1℃未満で沸騰する混合物、
(iii)約73〜約98重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約27〜約2重量%のヘキサメチルジシラザンとから本質的になり、約101kPaで約96.9℃未満で沸騰する混合物、
(iv)約76〜約97重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約24〜約3重量%の酢酸イソブチルとから本質的になり、約101kPaで約97.5℃未満で沸騰する混合物、
(v)約77〜約98重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約23〜約2重量%のメチルイソブチルケトンとから本質的になり、約101kPaで約97.2℃未満で沸騰する混合物、および、
(vi)約5〜約50重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約95〜約50重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンとから本質的になり、約101kPaで約47.4℃未満で沸騰する混合物、
からなる群から選択される、請求項1に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項4】
前記組成物は共沸混合物であり、前記混合物が、
(i)約55.4重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約44.6重量%の1−ブロモプロパンとから本質的になり、約97.8kPaで約65.4℃で沸騰する混合物、
(ii)約71.3重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約28.7重量%のトリフルオロメチルベンゼンとから本質的になり、約97.7kPaで約92.3℃で沸騰する混合物、
(iii)約90.0重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約10.0重量%のヘキサメチルジシラザンとから本質的になり、約97.3kPaで約93.6℃で沸騰する混合物、
(iv)約91.8重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約8.2重量%の酢酸イソブチルとから本質的になり、約96.8kPaで約94.5℃で沸騰する混合物、
(v)約90.5重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約9.5重量%のメチルイソブチルケトンとから本質的になり、約96.6kPaで約94.0℃で沸騰する混合物、および、
(vi)約22.7重量%のC25CF(OCH3)CF(CF32と約77.3重量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンとから本質的になり、約98.6kPaで約45.7℃で沸騰する混合物、
からなる群から選択される、請求項1に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の共沸混合物様組成物および少なくとも1種の塗料材料を含む塗料組成物。
【請求項6】
第1の表面を有する基材を含む被覆物品であって、請求項5に記載の塗料組成物が前記第1の表面の少なくとも一部と接触する、前記被覆物品。
【請求項7】
基材の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に請求項5に記載の塗料組成物を被着させる工程を含む、基材の表面上に塗料を沈着させる方法であって、少なくとも一種の塗料材料が前記共沸混合物様組成物に可溶性または分散性である、前記方法。
【請求項8】
請求項1に記載の共沸混合物様組成物および潤滑添加剤を含む、作動流体。
【請求項9】
前記潤滑添加剤が揮発性である、請求項8に記載の作動流体。
【請求項10】
オゾンを更に含む、請求項1に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項11】
弗化水素酸を更に含む、請求項1に記載の共沸混合物様組成物。
【請求項12】
金属、サーメットまたは複合作動流体のための方法であって、請求項8に記載の作動流体を用いて潤滑化される、前記方法。
【請求項13】
基材の表面から汚染物を除去する方法であって、前記汚染物が共沸混合物様組成物中にまたは共沸混合物様組成物によって、溶解されるか、分散されるか、または置き換えられるまで、請求項1に記載の共沸混合物様組成物の1種以上と前記基材を接触させる工程と、溶解された、分散された、または置き換えられた前記汚染物を含む前記共沸混合物様組成物を前記基材の表面から除去する工程とを含む、前記方法。
【請求項14】
請求項1に記載の共沸混合物様組成物の1種以上を熱伝達流体として用いる、熱伝達方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−514855(P2007−514855A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545662(P2006−545662)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/038770
【国際公開番号】WO2005/066105
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】