説明

共鳴型非接触給電システム

【課題】給電側と受電側との間に送電に悪影響を与える異物の存在を、専用のセンサを設けずに検出することができる共鳴型非接触給電システムを提供する。
【解決手段】共鳴型非接触給電システムは、高周波電源11から電力の供給を受ける1次側共鳴コイル13bを備えた給電側設備10と、1次側共鳴コイル13bからの電力を受電する2次側共鳴コイル21bを備えた移動体側設備20とを備えている。車両側コントローラ26は、2次電池25の電圧を検出する電圧センサ27の検出信号に基づいて充電状態を検知し、充電状態から2次電池25のインピーダンス値を推定する。また、車両側コントローラ26は、インピーダンス推定値と、現在の2次電池25のインピーダンス値との差の絶対値が閾値より大きい場合に異物が1次側共鳴コイル13bと2次側共鳴コイル21bとの間に存在すると判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共鳴型非接触給電システムに係り、詳しくは受電側に2次電池を備えた共鳴型非接触給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
共鳴型非接触給電システムにおいて、交流電源の電力を受電側に効率良く給電(供給)するには、交流電源から電力を効率良く共鳴系に給電することが必要になる。共鳴型非接触電力給電システムでは、予め設定された共鳴系の共鳴周波数において、共鳴系の入力インピーダンスと交流電源(高周波電源)の出力インピーダンスとが整合(マッチング)している必要がある。しかし、両インピーダンスの整合が行われた後に、給電側(送電側)と受電側との間に異物が存在する状態になると、インピーダンス不整合となり給電が効率良く行われない。
【0003】
従来、1次側の高周波発振回路を内蔵した電源装置と、蓄電池を有して、前記電源装置に電磁的に結合し高周波発振回路の高周波出力による電磁誘導で得られる2次出力により蓄電池を充電する本体機器とからなる非接触型充電装置において、本体機器が電源装置に正常に装着されているか否かを判断する手段が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、本体機器が電源装置に正常に装着されている場合には、設計通りのインピーダンス整合によって1次コイルに所定の電力が流れる。一方、位置ずれ等により装着状態が不良である場合、脱落によって本体機器が装着されていない場合、あるいは電源装置の本体機器装着部の凹所に導電性異物が誤って置かれた場合等には、インピーダンスダンス不整合によって1次コイルに流れる電流が減少することで異常の有無を判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−115592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には本体機器と電源装置の間に誤って異物が置かれた場合に1次コイルに流れる電流が減少することで異常と判断する。しかし、特許文献1の非接触型充電装置においては、電源装置の本体機器装着部に正しく本体機器が装着された後に、電源装置(給電側)と本体機器(受電側)との間に異物が存在する状態になる事態に関しては何ら配慮がなされていない。
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、給電側と受電側との間に送電に悪影響を与える異物の存在を、専用のセンサを設けずに検出することができる共鳴型非接触給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、交流電源、前記交流電源から電力の供給を受ける1次側共鳴コイルを備えた給電側設備と、前記1次側共鳴コイルからの電力を受電する2次側共鳴コイル、前記2次側共鳴コイルが受電した電力を整流する整流器、前記整流器により整流された電力が供給される充電器及び前記充電器に接続された2次電池を備えた移動体側設備とを備えた共鳴型非接触給電システムである。そして、前記2次電池の充電状態を検知する充電状態検知手段と、前記充電状態検知手段の検知信号に基づいて2次電池のインピーダンス値を推定するインピーダンス推定手段と、前記インピーダンス推定手段により推定されたインピーダンス推定値と、現在の2次電池のインピーダンス値との差の絶対値が閾値より大きい場合に異物が1次側共鳴コイルと2次側共鳴コイルとの間に存在すると判断する判断手段とを備えている。
【0008】
この発明では、充電状態検知手段により2次電池の充電状態が検知され、インピーダンス推定手段により充電状態検知手段の検知信号に基づいて2次電池のインピーダンス値が推定される。そして、判断手段は、インピーダンス推定手段により推定されたインピーダンス推定値と、現在の2次電池のインピーダンス値との差の絶対値が閾値より大きい場合に異物が1次側共鳴コイルと2次側共鳴コイルとの間に存在すると判断する。したがって、給電側と受電側との間に送電に悪影響を与える異物の存在を、専用のセンサを設けずに検出することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、給電側と受電側との間に送電に悪影響を与える異物の存在を、専用のセンサを設けずに検出することができる共鳴型非接触給電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態の共鳴型非接触給電システムの構成図。
【図2】異物の有無判断の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を車載バッテリを充電するための共鳴型非接触給電システムに具体化した一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
図1に示すように、共鳴型非接触給電システムは、地上側に設けられる給電側設備(送電側設備)10と、移動体としての車両(自動車)に搭載された受電側設備としての移動体側設備20とで構成されている。
【0012】
給電側設備10は、交流電源としての高周波電源11、1次側整合器12、1次側コイル13及び電源側コントローラ14を備えている。高周波電源11には、電源側コントローラ14から電源オン/オフ信号が送られ、この信号により高周波電源11がオン/オフされる。高周波電源11は、共鳴系の予め設定された共鳴周波数に等しい周波数の交流電力、例えば数MHz程度の高周波電力を出力する。
【0013】
1次側コイル13は、1次コイル13aと1次側共鳴コイル13bで構成されている。1次コイル13aは、1次側整合器12を介して高周波電源11に接続されている。1次コイル13aと1次側共鳴コイル13bとは同軸上に位置するように配設され、1次側共鳴コイル13bにはコンデンサCが並列に接続されている。1次コイル13aは、1次側共鳴コイル13bに電磁誘導で結合され、高周波電源11から1次コイル13aに供給された交流電力が電磁誘導で1次側共鳴コイル13bに供給される。
【0014】
1次側整合器12は、可変リアクタンスとしての2つの可変コンデンサ15,16とインダクタ17とから構成されている。一方の可変コンデンサ15は高周波電源11に並列に接続され、他方の可変コンデンサ16は1次コイル13aに並列に接続されている。インダクタ17は両可変コンデンサ15,16間に接続されている。1次側整合器12は、可変コンデンサ15,16の容量が変更されることでそのインピーダンスが変更される。可変コンデンサ15,16は、例えば、図示しない回転軸がモータにより駆動される公知の構成で、モータが電源側コントローラ14からの駆動信号により駆動されるようになっている。
【0015】
移動体側設備20は、2次側コイル21、2次側整合器22、整流器23、充電器24、充電器24に接続された2次電池(バッテリ)25及び車両側コントローラ26を備えている。また、移動体側設備20は、2次電池25の電圧を検出する電圧センサ27と、整流器23から充電器24に流れる電流を検出する電流センサ28を備えている。車両側コントローラ26は、電圧センサ27及び電流センサ28の検出信号に基づいて2次電池25の充電電力を演算する。充電器24は、整流器23で整流された直流を2次電池25に充電するのに適した電圧に変換するDC/DCコンバータ(図示せず)を備えている。車両側コントローラ26は、充電時に充電器24のDC/DCコンバータのスイッチング素子を制御する。
【0016】
2次側コイル21は、2次コイル21aと2次側共鳴コイル21bで構成されている。2次コイル21aと2次側共鳴コイル21bとは同軸上に位置するように配設され、2次側共鳴コイル21bにはコンデンサCが接続されている。2次コイル21aは、2次側共鳴コイル21bに電磁誘導で結合され、共鳴により1次側共鳴コイル13bから2次側共鳴コイル21bに供給された交流電力が電磁誘導で2次コイル21aに供給される。2次コイル21aは、2次側整合器22に接続されている。
【0017】
なお、1次コイル13a、1次側共鳴コイル13b、2次側共鳴コイル21b及び2次コイル21aの巻数、巻径は給電側設備10から移動体側設備20へ給電(伝送)しようとする電力の大きさ等に対応して適宜設定される。
【0018】
この実施形態では、1次側整合器12、1次コイル13a、1次側共鳴コイル13b、2次側共鳴コイル21b、2次コイル21a、2次側整合器22、整流器23、充電器24及び2次電池25が共鳴系を構成する。
【0019】
2次側整合器22は、可変リアクタンスとしての2つの可変コンデンサ29,30とインダクタ31とから構成されている。インダクタ31は両可変コンデンサ29,30間に接続されている。一方の可変コンデンサ29は2次コイル21aに並列に接続され、他方の可変コンデンサ30は整流器23に接続されている。2次側整合器22は、可変コンデンサ29,30の容量が変更されることでそのインピーダンスが変更される。可変コンデンサ29,30は、例えば、図示しない回転軸がモータにより駆動される公知の構成で、モータが車両側コントローラ26からの駆動信号により駆動されるようになっている。
【0020】
車両側コントローラ26は、CPU32及び記憶装置(メモリ)33を備えている。記憶装置33には、正常状態における2次電池25のインピーダンス値が記憶されている。このインピーダンス値は、予め試験により求められ、1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21b間の距離が予め設定された状態における2次電池25の充電状態(SOC)と、2次電池25のインピーダンスとの関係を示すデータがマップ又は関係式として記憶されている。車両側コントローラ26は、電圧センサ27の検出信号から2次電池25の充電状態を確認する。車両側コントローラ26及び電圧センサ27は、2次電池25の充電状態を検知する充電状態検知手段を構成する。また、車両側コントローラ26は、2次電池25の充電状態と、2次電池25のインピーダンスとの関係を示すデータから2次電池25のインピーダンス値を推定する。即ち車両側コントローラ26は、充電状態検知手段の検知信号に基づいて2次電池25のインピーダンス値を推定するインピーダンス推定手段としても機能する。
【0021】
また、記憶装置33には、予め試験により求めた2次電池25のインピーダンスと、充電電力との関係を示すデータがマップ又は関係式として記憶されている。車両側コントローラ26は、このデータを用いて充電時における充電電力から2次電池25の現在のインピーダンス値を求める。そして、車両側コントローラ26は、インピーダンス推定手段により推定されたインピーダンス推定値と、現在の2次電池25のインピーダンス値との差の絶対値が閾値より大きい場合に、異物が1次側共鳴コイル13bと2次側共鳴コイル21bとの間に存在すると判断する。即ち、車両側コントローラ26は、異物が1次側共鳴コイル13bと2次側共鳴コイル21bとの間に存在するか否かを判断する判断手段としても機能する。閾値は、車両が所定の充電停止位置に停止した状態で給電側設備10から非接触で給電が行われるときに、充電停止位置の誤差や充電状態の検出誤差等に起因するインピーダンス推定値の変動幅より大きな値に設定される。
【0022】
次に前記のように構成された共鳴型非接触給電システムの作用を説明する。
車両に搭載された2次電池25を充電する場合、車両は給電側設備10の所定の充電停止位置に停止する。車両が給電側設備10の所定の充電位置に停止した後、車両側コントローラ26は、電源側コントローラ14に給電要求信号を送信する。電源側コントローラ14は、給電要求信号を受信すると、給電を開始する。そして、給電側設備10の高周波電源11から1次コイル13aに共鳴周波数の交流電圧が印加され、1次側共鳴コイル13bから電力が非接触共鳴で2次側共鳴コイル21bへ供給される。2次側共鳴コイル21bが受電した電力は、2次側整合器22及び整流器23を介して充電器24に供給され、充電器24に接続された2次電池25が充電される。
【0023】
なお、車両に搭載された2次電池25を充電する場合、車両は給電側設備10と移動体側設備20との間で効率良く非接触給電が行われる充電位置に正確に停止するとは限らない。そのため、充電に先立って、1次側整合器12及び2次側整合器22の調整が行われる場合もある。
【0024】
2次電池25への充電時には、2次電池25の充電状態(SOC)が変化することにより共鳴系の共鳴周波数における共鳴系の入力インピーダンスが変化する。そのため、高周波電源11と共鳴系の入力インピーダンスとの整合が取れなくなり、高周波電源11への反射電力が増えて、給電側設備10から移動体側設備20へ電力を効率良く供給(給電)することができなくなる。充電時に2次電池25の充電状態が変化しても給電側設備10から移動体側設備20へ電力が効率良く供給され、充電が効率良く行われるように、車両側コントローラ26は、充電中、2次電池25の充電状態に対応して2次側整合器22のインピーダンスを適切な値に調整する。
【0025】
車両側コントローラ26は、図2のフローチャートにしたがって異物の有無判断の処理を所定周期で実行する。車両側コントローラ26は、ステップS1で電圧センサ27及び電流センサ28の検出信号を入力する。車両側コントローラ26は、ステップS2で電圧センサ27の検出信号から2次電池25の充電状態を検知し、ステップS3で2次電池25の充電状態と、2次電池25のインピーダンスとの関係を示すデータから2次電池25のインピーダンス値Zsを推定(演算)する。車両側コントローラ26は、ステップS4で電圧センサ27及び電流センサ28の検出信号から充電電力を演算し、ステップS5で2次電池25のインピーダンスと、充電電力との関係を示すデータを用いて現在の2次電池25のインピーダンス値Zrを演算する。
【0026】
次にステップS6で、車両側コントローラ26は、ステップS3において充電状態から推定した推定インピーダンス値Zsと、ステップS5において充電電力から求めた現在のインピーダンス値Zrとの差の絶対値( |Zs−Zr| )が閾値より大きいか否かを判断する。車両側コントローラ26は、差の絶対値が閾値以下であれば異物が存在しないと判断して処理を終了し、差の絶対値が閾値より大きければ異物が1次側共鳴コイル13bと2次側共鳴コイル21bとの間に存在すると判断してステップS7に進む。車両側コントローラ26は、ステップS7で図示しない報知装置に異物存在を示す異常報知指令信号を出力し、報知装置により異物存在の報知を行った後、処理を終了する。報知装置は、目視による確認可能な表示装置が好ましいが、聴覚により確認可能な音声による報知装置等であってもよい。
【0027】
1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21bとの間に異物が存在する場合、2次電池25のインピーダンスに限らず、共鳴系の他の箇所、例えば、1次コイル13aの両端で測定した共鳴系(1次コイル13a、1次側共鳴コイル13b、2次側共鳴コイル21b、2次コイル21a)全体の入力インピーダンスも変化する。しかし、2次電池25のインピーダンスは同じ充電状態であれば、異物以外の影響を受け難いので、他の箇所のインピーダンスを基に判断するより異物の有無判断の信頼性が高くなる。
【0028】
車両側コントローラ26は、例えば、2次電池25の電圧が所定電圧になった時点からの経過時間により充電完了を判断し、充電が完了すると、電源側コントローラ14に充電完了信号を送信する。電源側コントローラ14は、充電完了信号を受信すると電力伝送を終了する。
【0029】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)共鳴型非接触給電システムは、交流電源(高周波電源11)、交流電源から電力の供給を受ける1次側共鳴コイル13bを備えた給電側設備10と、1次側共鳴コイル13bからの電力を受電する2次側共鳴コイル21bを備えた移動体側設備20とを備えている。移動体側設備20は、2次側共鳴コイル21bが受電した電力を整流する整流器23、整流器23により整流された電力が供給される充電器24及び充電器24に接続された2次電池25、2次電池25の充電状態を検知する充電状態検知手段、充電状態から2次電池25のインピーダンス値を推定するインピーダンス推定手段をさらに備えている。また、インピーダンス推定手段により推定されたインピーダンス推定値と、現在の2次電池25のインピーダンス値との差の絶対値が閾値より大きい場合に異物が1次側共鳴コイル13bと2次側共鳴コイル21bとの間に存在すると判断する判断手段(車両側コントローラ26)を備えている。したがって、給電側(給電側設備10)と受電側(移動体側設備20)との間に送電に悪影響を与える異物の存在を、専用のセンサを設けずに検出することができる。
【0030】
(2)現在の2次電池25のインピーダンス値は、予め試験により求めた2次電池25のインピーダンスと、充電電力との関係を示すデータから求められる。充電電力は、充電時に2次側整合器22の調整を行う場合に用いられるため、その値を使用することにより2次電池25のインピーダンスを求めるためにのみ充電電力を検出する必要はない。
【0031】
(3)車両側コントローラ26の異物存在の判断により、報知装置が異物存在を報知する。したがって、車両の乗員が異物の存在を認識して、必要な対処(例えば、異物の除去)を行い易くなる。
【0032】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 2次電池25の充電状態を電圧センサ27の検出信号に基づいて検知する代わりに、車両側コントローラ26が2次電池25の充電及び放電経過から演算してもよい。この場合の方が充電状態を精度良く検出することが可能になる。
【0033】
○ 2次電池25の現在のインピーダンスは、予め試験により求めた2次電池25のインピーダンスと、充電電力との関係を示すデータから求める代わりに他の方法で求めてもよい。例えば、充電時に2次側整合器22の整合調整が行われた状態の高周波電源11の出力と、2次電池25のインピーダンスとの関係を示すデータを記憶装置33に記憶しておき、高周波電源11の出力を検出して2次電池25のインピーダンスを求めてもよい。
【0034】
○ 車両側コントローラ26は、異物が存在するか否かの閾値として第1閾値及び第1閾値より大きな第2閾値を備え、インピーダンス推定値と、現在の2次電池25のインピーダンス値との差の絶対値が第2閾値より大きい場合に、給電側設備10からの給電が停止されるようにしてもよい。例えば、第2閾値としてその状態で充電を継続すると反射電力が大き過ぎて充電効率の低下が著しい場合の値が設定される。この場合、車両側コントローラ26は、前記絶対値が第2閾値より大きいと判断すると、電源側コントローラ14に無線でその結果を送信し、電源側コントローラ14は、それを受信すると充電を中止する。また、異常発生報知手段を駆動させる。
【0035】
○ インピーダンス推定手段により推定されたインピーダンス推定値と、現在の2次電池25のインピーダンス値との差の絶対値が閾値より大きい場合に異物が1次側共鳴コイル13bと2次側共鳴コイル21bとの間に存在すると判断する判断手段を、給電側設備10(例えば、電源側コントローラ14)に設け、異物の存在を報知する報知装置も給電側設備10に設けてもよい。報知装置は車両の乗員が確認し易い位置に設けられる。この場合、各車両に異物の存在を報知する報知装置を設けるのに比べて、報知装置の設置が少なくてよい。
【0036】
○ 共鳴型非接触給電システムが、給電側設備10と移動体側設備20との間で非接触給電を行うためには、1次コイル13a、1次側共鳴コイル13b、2次コイル21a及び2次側共鳴コイル21bの全てが必須ではなく、少なくとも1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21bを備えていればよい。即ち、1次側コイル13を1次コイル13a及び1次側共鳴コイル13bで構成する代わりに、1次側共鳴コイル13bを1次側整合器12を介して高周波電源11に接続し、2次側コイル21を2次コイル21a及び2次側共鳴コイル21bで構成する代わりに、2次側共鳴コイル21bを2次側整合器22を介して整流器23に接続してもよい。しかし、1次コイル13a、1次側共鳴コイル13b、2次コイル21a及び2次側共鳴コイル21bの全てを備えた構成の方が、共鳴状態に調整するのが容易で、1次側共鳴コイル13bと2次側共鳴コイル21bとの距離が大きくなった場合でも共鳴状態を維持し易い。
【0037】
○ 移動体としての車両は、走行駆動力を発生する電動機を備えた車両を意味し、電気自動車や、電動機とともに内燃機関をさらに動力源として搭載したハイブリッド車あるいは車両駆動用の直流電源として2次電池25とともに燃料電池をさらに搭載した車両等が挙げられる。また、運転者を必要とする車両に限らず無人搬送車でもよい。
【0038】
○ 移動体は、車両に限らず、充電時以外は給電側設備から離れて移動するもの、例えば、ロボットであってもよい。
○ 1次側整合器12及び2次側整合器22は、二つの可変コンデンサとインダクタを備えた構成に限らず、インダクタとして可変インダクタを備えた構成や、可変インダクタと二つの非可変コンデンサとからなる構成としてもよい。
【0039】
○ 1次側整合器12及び2次側整合器22はπ型に限らず、T型やL型の整合器であってもよい。
○ 高周波電源11は、出力交流電圧の周波数が変更可能でも変更不能でもよい。
【0040】
○ 給電側設備10の1次側整合器12を省略してもよい。しかし、1次側整合器12を省略した場合は、給電側から電力を効率良く受電側に供給するためには、1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21b間の距離が予め設定された値となるように、移動体を所定の充電停止位置に停止させる必要がある。
【0041】
○ 1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21bに接続されたコンデンサCを省略してもよい。しかし、コンデンサCを接続した構成の方が、コンデンサCを省略した場合に比べて、共鳴周波数を下げることができる。また、共鳴周波数が同じであれば、コンデンサCを省略した場合に比べて、1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21bの小型化が可能になる。
【0042】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1に記載の発明において、前記移動体側設備は、電動車両に搭載されて使用される。
【0043】
(2)請求項1又は前記技術的思想(1)に記載の発明において、現在の2次電池のインピーダンス値は、予め試験により求めた2次電池のインピーダンスと、充電電力との関係を示すデータから求められる。
【0044】
(3)請求項1、前記技術的思想(1)及び(2)のいずれか一項に記載の発明において、前記判断手段による異物の存在判断に基づいて駆動される報知装置がさらに設けられている。
【0045】
(4)請求項1、前記技術的思想(1)〜(3)のいずれか一項に記載の発明において、前記判断手段は閾値として第1閾値及び第1閾値より大きな第2閾値を備え、前記インピーダンス推定値と、現在の2次電池のインピーダンス値との差の絶対値が第2閾値より大きい場合に、給電側設備からの給電が停止される。
【符号の説明】
【0046】
10…給電側設備、13b…1次側共鳴コイル、20…移動体側設備、21b…2次側共鳴コイル、23…整流器、24…充電器、25…2次電池、26…充電状態検知手段、インピーダンス推定手段及び判断手段を構成する車両側コントローラ、27…充電状態検知手段を構成する電圧センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源、前記交流電源から電力の供給を受ける1次側共鳴コイルを備えた給電側設備と、
前記1次側共鳴コイルからの電力を受電する2次側共鳴コイル、前記2次側共鳴コイルが受電した電力を整流する整流器、前記整流器により整流された電力が供給される充電器及び前記充電器に接続された2次電池を備えた移動体側設備と
を備えた共鳴型非接触給電システムであって、
前記2次電池の充電状態を検知する充電状態検知手段と、
前記充電状態検知手段の検知信号に基づいて2次電池のインピーダンス値を推定するインピーダンス推定手段と、
前記インピーダンス推定手段により推定されたインピーダンス推定値と、現在の2次電池のインピーダンス値との差の絶対値が閾値より大きい場合に異物が1次側共鳴コイルと2次側共鳴コイルとの間に存在すると判断する判断手段と
を備えていることを特徴とする共鳴型非接触給電システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−244531(P2011−244531A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112097(P2010−112097)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】