説明

内燃機関のエグゾーストターボチャージャ

本発明は、タービンホイールを支持するタービンハウジング(28)と、タービンホイール入口部分でのフローパラメータ制御のためのガイドエレメント(44)を有するガイド装置(17)と、このガイド装置(40)に割り当てられている可動調整装置(12)と、タービンホイール出口部分でのフローパラメータ制御のための輪郭スリーブエレメント(14)と、を備える内燃機関のエグゾーストターボチャージャに関し、ガイド装置(17)、輪郭スリーブエレメント(14)及び調整装置(12)が、サブアセンブリ(10´)としてエグゾーストターボチャージャに取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に基づく内燃機関のエグゾーストターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンホイールを支持するタービンハウジングと、タービンホイール入口部分でのフローパラメータ制御のためのガイドエレメントを有するガイド装置と、ガイド装置に割り当てられている可動調整装置と、タービンホイール出口部分でのフローパラメータ制御のための輪郭スリーブエレメントと、を備える、このような種類の内燃機関のエグゾーストターボチャージャはすでに知られている。具体的に、このことは、例えば、タービンハウジング内にあるエグゾーストターボチャージャのベアリングハウジング側に、センタリングされたガイドグリルがあることを意味しており、この場合、ガイドグリルの案内羽根を軸方向スライダの凹部品の中に収納することによって、ガイドグリルの有効な断面積を、軸方向スライダによって変化させることができる。このガイドグリルは、タービンホイール入口部分でのフローパラメータ制御のためのガイドエレメントを備えるガイド装置になる。
【0003】
周知の解決方法の場合、このガイドグリルは、エグゾーストターボチャージャのベアリングハウジングを介してタービンホイールハウジングの中に押し込まれ、それによって、軸方向と半径方向とに固定されなければならない。ガイドグリルの回転も、この方法で防止される。軸方向スライダは、ガイドグリルの案内羽根が、ガイドグリルの有効な断面積を調整する軸方向スライダの凹部品の中に収められ、回らないようにガイドグリルによって固定される。
【0004】
エグゾーストターボチャージャが作動している間に、ガイドグリルと軸方向スライダが挟まって動かなくなるのを防ぐため、機能ギャップは、長い公差連鎖にわたって保証されなければならない。この公差連鎖は、ガイドグリル、タービンハウジング、輪郭スリーブ及び軸方向スライダの公差相手(Toleranzpartner)を有している。高い温度勾配と、外部からタービンハウジングへの力の伝達の結果として、作動中に生じるおそれのある構成部品の変形も、同様に、この機能ギャップの値を選択する際には考慮されなければならない。大きな機能ギャップは、常にエグゾーストターボチャージャの効率低下を引き起こし、このことは、この種のエグゾーストターボチャージャが使用される内燃機関の燃費に悪影響を与え、結果として、CO排出が上昇する。
【0005】
タービンハウジングに固定されているガイドグリルの特徴により、このガイドグリルはベアリングハウジング側からしか取り付けることができない。これに対して、軸方向スライダと輪郭スリーブエレメントとは、タービン出口側からしか、すなわち、ベアリングハウジングとは別の側から軸方向にしか取り付けられない。この両側で必要となる取付けにより作業が複雑化し、エグゾーストターボチャージャの取付け経費が増加し、ひいてはこの種のエグゾーストターボチャージャを搭載する車両の総経費も上昇する。さらに、この複雑性は、エグゾーストターボチャージャの取付けミスを引き起こす原因となることも考えられ、このことによって、一方では、故障リスクが高くなり、他方では、やはり取付け経費を上昇させる追加作業が必要な場合もあり、全てに関連する欠点を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、冒頭に述べた種類のエグゾーストターボチャージャを発展させ、このエグゾーストターボチャージャの取付け複雑性とそれに伴う取付け経費とを軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を備える内燃機関のエグゾーストターボチャージャによって解決される。本発明の適切かつ重要な発展形態を備える有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0008】
タービンホイールを支持するタービンハウジングと、タービンホイール入口部分でのフローパラメータ制御のためのガイドエレメントを有するガイド装置と、ガイド装置に割り当てられている可動調整装置と、タービンホイール出口部分でのフローパラメータ制御のための輪郭スリーブエレメントと、を備える、本発明に基づく内燃機関のエグゾーストターボチャージャでは、ガイド装置、輪郭スリーブエレメント及び調整装置が、サブアセンブリとしてエグゾーストターボチャージャに取り付けられている。ガイド装置、輪郭スリーブエレメント及び調整装置からなる、カセットと呼ばれるこのサブアセンブリにより、取付けの際には、このサブアセンブリをユニットとして、タービンハウジングに挿入することが可能となる。このことにより、一方では、ターボチャージャの取付け複雑性が大きく軽減され、取付け時間を短縮することが可能となる。取付け時間の短縮は、結果的に取付け経費の節約につながり、このことは、エグゾーストターボチャージャ総経費、ひいてはこの種のエグゾーストターボチャージャを搭載する車両の総経費にも反映される。
【0009】
さらに、この取付けのさらなる簡便性によって、取付けミスなどの、考えられるミス原因を排除できるか、又は少なくとも軽減することができるため、複雑かつ経費のかかる追加作業が不要になる。この事実は、取付け経費にポジティブに反映され、ひいては車両の総経費にもポジティブな影響を与える。さらに、従来技術の説明に関連して述べた公差連鎖が、本発明に基づくエグゾーストターボチャージャでは縮小されているため、機能ギャップも小さくすることができる。
【0010】
より小さい機能ギャップは、示唆したように、エグゾーストターボチャージャの効率を高めることにつながり、このことには、本発明に基づくこの種のエグゾーストターボチャージャが使用される内燃機関の燃費を減少させる。内燃機関のエグゾーストターボチャージャの燃費減少は、CO排出の抑制に比例的に働き、このことは、環境保護の意味で、環境にとって意義がある。
【0011】
本発明の有利な実施形態では、ガイド装置、輪郭スリーブエレメント及び調整装置からなるサブアセンブリがタービンホイール出口側から取り付けられている。タービンホイール出口側又はタービンハウジング出口から取付け可能なことは、比較的広い取付けスペースが、この方向から使用可能になるという利点を生み、このことが、取付けの複雑性をさらに軽減する。取付け複雑性の軽減は、本発明に基づくエグゾーストターボチャージャを使用することにより、すでに述べたように、取付け経費の削減を伴うため、エグゾーストターボチャージャの総経費が削減され、ひいては本発明に基づくエグゾーストターボチャージャを備える車両の総経費の削減につながる。
【0012】
取付けに使用可能なスペースが増えることも、取り付けミスの危険を小さくすることから、一方では、追加作業の回避によって取付け経費がさらに削減され、他方では、エグゾーストターボチャージャ作動時におけるエグゾーストターボチャージャの故障リスクが低下する。このことは、修理インターバル又はサービスインターバルを長く設定することができることにつながり、この種のエグゾーストターボチャージャを備える車の運転者にとっては、快適性が得られることを意味する。説明した方法で、エグゾーストターボチャージャをより単純に、従ってより正確に取付けることにより、エグゾーストターボチャージャの機能、すなわち、燃費の上昇と、それに伴うCO排出の上昇につながりかねない機能不良とを防止することも確実なものになる。こうしたことは、本発明によるエグゾーストターボチャージャによって回避されるか、又はかなり縮小される。
【0013】
本発明の実施形態では、調整装置が、タービンホイールの回転軸の方向に調整可能な軸方向スライダとして形成されており、この軸方向スライダを使って、少なくとも部分的にガイド装置を囲むことができる。このことは、調整装置が軸方向スライダであることを意味し、この軸方向スライダは、例えばガイドグリルとして形成されているガイド装置の羽根などを収納できる凹部品を有している。この点については、本発明に基づくエグゾーストターボチャージャと関連して、別の形態の調整装置及び/又はガイド装置も使用可能であることを指摘しておきたい。
【0014】
説明されている実施形態において、取付けの簡素化とそれに伴うエグゾーストターボチャージャの故障率の低下とは、この種の、説明されている調整装置又はガイド装置において、これらが効率に関してエグゾーストターボチャージャの最適な作動に大いに貢献している点で、有利であることが明らかである。この限りにおいて、例えば、内燃機関の燃費とそれに伴うCO排出を低く保つためには、このガイド装置又はこの調整装置が故障なく正確に作動することが必要である。
【0015】
タービンホイールの回転軸方向に調整可能であり、少なくとも部分的にガイド装置を囲むことができる軸方向スライダの形態における調整装置のメカニズムが正確であるためには、正確で、間違いのない、ほとんど公差のない取付けが不可欠であり、このような取付けは、本発明に基づくエグゾーストターボチャージャによって可能となる。すでに説明したように、これによって、取付けの複雑性とガイド装置又は調整装置の故障リスクとが軽減され、従って、機能ギャップが少なくなることから、取付け経費と内燃機関の燃費との両方が抑制される。
【0016】
本発明の有利な実施形態では、ガイド装置が、センタリング装置、特にカラーを用いてタービンハウジングにセンタリングされる。この半径方向のセンタリングによって、ガイド装置の正確な位置調整が保証されるため、作動中のエグゾーストターボチャージャの機能が最適化され、このことが、ターボチャージャの効率アップにつながり、さらに本発明に基づくエグゾーストターボチャージャを使用する内燃機関の燃費が軽減される。このことは、COの削減と、ひいては環境の保護にも役立つ。
【0017】
ガイド装置が軸方向に動くことを防止するため、本発明の有利な実施形態では、ガイド装置が、固定エレメント、特に固定リングによってタービンハウジングに固定される。これにより、ガイド装置は、その軸方向について固定されることから、ガイドグリルの機能及びエグゾーストターボチャージャ全体の機能が、さらに有利な影響を受ける。このことは、すでに上述したように、結果的にエグゾーストターボチャージャ作動中の効率改善につながり、それにより、内燃機関の燃費が低下する。
【0018】
本発明の特に有利な実施形態では、ガイド装置が、カラーによってタービンハウジングに軸方向に固定される。このことは、カラーが、一方では、ガイド装置を半径方向にセンタリングし、前述したように、これにより最適な位置調整とそれに伴う最適な機能とが結果として生じ、他方で、本発明のこの実施形態の場合には、カラーが、ガイド装置を軸方向に固定する役割を引き受けていることを意味している。従って、例えば固定リングの形態による追加の固定エレメントを省略することができる。この場合、カラーのプラス形状が、タービンハウジングの対応するマイナス形状の中に、例えばスナップ式に嵌め込まれるようになっている。追加の固定エレメントが省略されることにより、部品数が削減されるため、部品コスト及びそれに伴ってエグゾーストターボチャージャの製造コストも下がり、このことは、車両の総経費にも同様に有利な影響を与える。
【0019】
さらに、追加の固定エレメントの省略は、エグゾーストターボチャージャの総重量の削減にもなり、このことが、結果的に車両の全重量を低下させ、車両の燃費の低下も達成される。従って、CO排出の減少が可能となり、車両運転者にとっては作動コストを下げることができるか、又は燃費を同じにして、追加の機能エレメントを車両に取り付けることも可能になる。
【0020】
すでに指摘したように、ガイド装置を軸方向に固定するガイド装置のカラーは、タービンハウジングの対応する輪郭の中にかみ合うか、又はスナップ式に嵌め込まれる。このことは、例えば、ガイド装置を形成している材料がある程度の弾力性を有している結果、ガイド装置が半径方向に押し縮められることにより可能となる。押し縮められた状態で、ガイド装置は、次に、タービンハウジングの中に押し入れられ、ハウジングにかみ合うことができる。このことにより、費用のかかる、複雑な取付け用特殊ツールが省略され、この関連ですでに説明した全ての利点、及び場合によりその他の利点と併せて、取付け経費がさらにポジティブな影響を受ける。同様に、タービンハウジングがプラスのカラー形状を有し、ガイド装置がマイナスの対応輪郭を有することも可能である。このことによっても、これに関連して説明されている利点が生じる。
【0021】
本発明の有利な実施形態では、ガイド装置がガイドグリルとして形成されており、このガイドグリルは、多数の羽根エレメントと羽根エレメントを支持するためのリングエレメントとを有している。
【0022】
この形態により、タービンホイール入口部分でのフローパラメータに、とりわけ有利な方法で影響を与えることができ、特に、フローパラメータは、エグゾーストターボチャージャの作動点又はこの種のエグゾーストターボチャージャが使用される内燃機関の作動点にうまく調整されるようになる。このことによって、効率が最適化されたエグゾーストターボチャージャの作動が可能となり、燃費及びそれに伴うCO排出をかなり低下させることができる。
【0023】
このガイド装置がより正確であればあるほど、また、フローパラメータ制御のために、調整装置によってガイド装置がより正確に調整されればされるほど、エグゾーストターボチャージャの作動点は、より最適に内燃機関の作動点に調整可能となり、これによって、燃料削減という利点をとりわけ有利に実現することができる。ガイド装置及び/又は調整装置の正確な実施について、この場合、機能不良とそれに伴う燃費の上昇又はエグゾーストターボチャージャの故障を防止するために、正確かつミスのない取付けが必要であるという点で、本発明に基づくエグゾーストターボチャージャは有利である。
【0024】
本発明の特に有利な実施形態におけるガイド装置が複数の部品から形成されている場合、ガイド装置のコストを下げることができるという利点が生じる。その理由は、特に、ガイドグリルの形態におけるこうしたガイド装置は、パーツ数が大量にあるライン生産が行なわれる場合、一体型仕様とすると精密鋳造部品としてしか作れないからである。効率を最適化したエグゾーストターボチャージャの作動が実現できるように、ガイド装置と調整装置との間、すなわち具体的には、ガイドグリルと軸方向スライダ間の機能ギャップをできる限り小さくするため、特に、複数の案内羽根を有するガイドグリルの形態におけるガイド装置は、その鋳造公差ができる限り小さくあるべきである。この関連において、ガイド装置のガイドエレメント又は案内羽根の形状及びそれらの相互の位置が重要となる。ガイド装置の正確性に対するこうした高度な要求により、精密鋳造部品として形成されるガイド装置は、嵩張る上に、非常に高い経費が生じる。
【0025】
寸法要求及び公差要求に関して高コストの、調整装置の形態の一体形成部品に代わって、ガイド装置及び特に多数の案内羽根を備える、複数の部品からなるガイドグリルを使用することができる。これによって、調整装置の製造経費及びそれに伴うエグゾーストターボチャージャの総経費がさらに抑制され、このことは、本発明に基づくエグゾーストターボチャージャを使用する車両の総経費の削減にもポジティブに作用する。
【0026】
正確な取付けは複数の部品によっても可能であり、特に、説明したような、ガイド装置、輪郭スリーブエレメント及び調整装置からなるサブアセンブリを取り付けることによって可能となる。この実施形態によって、本発明に基づくエグゾーストターボチャージャのあらゆる利点は、簡単な取付け及びそれに伴う取付け経費の削減に関して、正確な機能性と故障率の低下によるあらゆる利点と結びつけられる。
【0027】
複数の部品によるガイド装置の場合、ガイド装置のガイドエレメントが、それぞれ、カラーによってエグゾーストターボチャージャの軸方向に固定されていることは有利である。カラーによってガイドエレメントを軸方向に固定することにより、同様に、簡単かつ低コストで行う固定が可能となり、従って、すでに指摘したように、取付け複雑性とそれに伴う取付け経費が抑制される。それでもなお、この固定により、ガイドエレメントの正確な位置調整が可能であるため、ガイド装置及びエグゾーストターボチャージャ全体の作動は、効率が最適化された状態で行われる。
【0028】
正確な位置調整と、それに伴って効率の最適化されたエグゾーストターボチャージャの正確な機能とは、本発明の有利な実施形態において、カラーが、一方では、ガイドエレメントを支持しているガイド凹プレートの対応面と接触し、他方では、エグゾーストターボチャージャの熱シールドの対応面と接触することによって、さらに強化される。このことにより、ガイドエレメントを特定の位置に位置決めすることが可能となり、エグゾーストターボチャージャが高負荷である場合も、ガイドエレメントはその位置から動くことはできない。それでもなお、ボルト及び/又はリベットなどの追加の固定エレメントは必要ないため、簡単な取付けが可能である。このガイドエレメントは、例えば、簡単に接続されるか、又はガイド装置のリングエレメントなどの支持エレメントの中に差し込まれ、説明した方法で所定の位置に固定される。この簡単な取付けにより、取付けミスが少なくなるため、間違った取付けの際に発生する、経費のかかる追加作業が回避される。この簡単な取付けによって故障率も低下することから、修理インターバルを長くすることができ、このことは、この種のエグゾーストターボチャージャを備える車両の運転者にとって、快適性の向上に関して利益になる。
【0029】
このガイド装置は、必ずしも、ガイドエレメント又は案内羽根を備えるガイドグリルの形態を有していなくてもよい。その他のガイド装置や軸方向スライダとは別の調整装置も、本発明に基づくエグゾーストターボチャージャとの関連においては可能である。重要なことは、ガイド装置、調整装置及び輪郭スリーブエレメントからなるサブアセンブリが、構成部品モジュール又はカセットとして、本発明に基づくエグゾーストターボチャージャの中に簡単に取り付けられることであり、このことにより、一方では、エグゾーストターボチャージャの取付け費用及びそれに伴って総経費が削減され、他方では、簡単な取付けの結果として故障率が低下する。
【0030】
本発明の有利な実施形態では、輪郭スリーブエレメントが縮径部と拡径部とを有しており、調整装置は、この縮径部のみによって、必要に応じてピンによってガイドされる。この方法で、一方では、確実かつ正確な調整装置のガイドを実現することができ、他方では、輪郭スリーブエレメントが、2つの異なるサイズの直径で調整装置と直接接触していないため、二重の嵌め合いが回避される。このことは、結果として、製造の複雑性を防ぎ、それに伴って高い製造費も回避される。
【0031】
有利であるのは、拡径部によってシール機能が実現されていることであり、このことによって、サブアセンブリはタービンハウジングに対して密閉される。従って、排気ガスのタービンハウジング内への漏出が防止され、その結果、周辺への漏出も防止される。
【0032】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細は、複数の実施形態及び図に基づく以下の説明に示されている。ここまでの説明で述べた特徴及び特徴の組合せ、並びに以下の図の説明で述べられている、及び/又は図の中にのみ示されている特徴及び特徴の組合せは、それぞれに示された特徴の組合せだけではなく、本発明の範囲から出ることなく、その他の組合せ又は単独でも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】エグゾーストターボチャージャの、軸方向スライダ及び輪郭スリーブからなるサブアセンブリの斜視図並びに長手方向断面図である。
【図2】エグゾーストターボチャージャの、軸方向スライダ及び輪郭スリーブからなる、図1によるサブアセンブリの斜視図(このサブアセンブリはガイドグリルが拡張されている)、及びこのサブアセンブリ(エグゾーストターボチャージャのタービンハウジングに取り付けられる)の長手方向の部分断面図である。
【図3】案内羽根嵌め込みプレートと複数の案内羽根とを備える、複数の部品からなるガイドグリルの斜視図である。
【図4】図2によるサブアセンブリが取り付けられているエグゾーストターボチャージャのタービンハウジングの異なる平面による、2つの長手方向の部分断面図であり、図2による一体型ガイドグリルの代わりに、図3による複数の部品によるガイドグリルが使用されており、図4にあるこのガイドグリルは、図2の代替の実施形態において、タービンハウジング内に固定されている。
【図5】図2によるサブアセンブリの斜視図であり、図5においては図4と同様に、図2による一体型のガイドグリルの代わりに、図3による複数の部品によるガイドグリルが使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図の説明では、同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0035】
図1には、タービンホイール入口部分におけるフローパラメータ制御のための軸方向スライダと、タービンホイール出口部分におけるフローパラメータ制御のための輪郭スリーブとからなるサブアセンブリが示され、図2では、図1によるこのサブアセンブリに、多数の案内羽根を有する一体型ガイドグリルが拡張されており、これらの案内羽根は、軸方向スライダの案内羽根嵌め込みプレートに収納され、また、図2では、エグゾーストターボチャージャのタービンハウジング内におけるこのサブアセンブリの取付けが示されている。図3は、案内羽根嵌め込みプレートと複数の案内羽根とを備える、複数の部品からなるガイドグリルの可能な実施形態を示している。図4は、図2によるサブアセンブリの取付けを示し、図4においては、一体型ガイドグリルの代わりに、図3による複数の部品によるガイドグリルが使用されており、複数の部品からなるガイドグリルをタービンハウジングに固定する方法は、図2による一体型ガイドグリルとは別の方法で行われる。図5は、軸方向スライダ、輪郭スリーブ及び複数の部品からなるガイドグリルからなるサブアセンブリの斜視図を示している。
【0036】
図1は、軸方向スライダ12と輪郭スリーブ14とを有するサブアセンブリ10を示している。軸方向スライダ12を用いて、このようなサブアセンブリ10を使用したエグゾーストターボチャージャのタービンの保持特性を変化させることができる。
【0037】
この軸方向スライダ12は、輪郭スリーブ14の縮径部22及びピン16上でガイドされる。輪郭スリーブ14の拡径部24は、シール機能を持つだけであり、輪郭スリーブ14と直接接触することはできない。調整力18は、調整介在部20を介して、軸方向スライダ12に直接導入される。この場合、図示されていない装置が調整介在部20の中に係合する。この装置は、例えば、アクチュエータのコントロールによって調整することができる。図1に示されているサブアセンブリの場合、軸方向スライダ12は、軸方向26にしか動くことができない。軸方向スライダ12は、輪郭スリーブ14に対して回転することはできない。サブアセンブリ10を取り付けた状態では、輪郭スリーブ14が、エグゾーストターボチャージャのタービンハウジングに固定されて取り付けられるようになっている。
【0038】
図2は、サブアセンブリ10に対して、一体型ガイドグリル17を拡張したサブアセンブリ10´を示している。従って、図2のサブアセンブリ10´は、軸方向スライダ12、輪郭スリーブ14及び一体型ガイドグリル17を有している。軸方向スライダ12のガイドには、図1との関連ですでに説明されている方法と同様の方法が当てはまる。
【0039】
輪郭スリーブ14によって回らないように固定されている軸方向スライダ12により、ガイドグリル17をタービンハウジング28に固定接続することが省略できる。このガイドグリル17は、タービンハウジング28において、軸方向と半径方向にだけ固定すればよい。ガイドグリル17の回転は、軸方向スライダ12によって防止される。
【0040】
この場合、ガイドグリル17は、タービンハウジング28によって、特にカラー32によって半径方向に位置決めされる。ガイドグリル17が軸方向に動くのを防ぐために、固定リング30が用いられる。この固定リング30は、この場合、タービンハウジング28の溝31内に配置されている。取り付けられた状態では、固定リング30が、同様に、一体型ガイドグリル17の対応する溝33の中にも嵌合する。この一体型ガイドグリル17は、従って、軸方向の位置にも固定されている。
【0041】
この実施形態の場合、サブアセンブリ10´が、軸方向スライダ12、輪郭スリーブ14及び一体型ガイドグリル17からなり、ピン16を含めたユニットとして、タービンハウジング出口側34からタービンハウジング28の中に押し込まれるようにすることが可能である。この方法により、カセットとも呼ばれるサブアセンブリ10´は、このサブアセンブリ10´を使用するエグゾーストターボチャージャの最終組立てを行う前に、あらかじめ組み立てておくことができる。このモジュール方式は、取付け時間を短縮し、さらに取付け経費を軽減する。また、取付けミスの危険も低下することから、高コストの追加作業が回避され、作動中のエグゾーストターボチャージャの故障率も低下する。
【0042】
図3は、多数の案内羽根44を配置できる案内羽根嵌め込みプレート42を有する、複数の部品からなるガイドグリル14を示している。このような複数の部品からなるガイドグリル40は、構成部品サイズ及び公差要求に関して、極めてコストの高い図2の一体型ガイドグリル17に代わって使用することができる。このようなガイドグリルは、通常、言及した高い公差要求を満たすために、精密鋳造法を用いて製造される。
【0043】
図4では、タービンハウジング28´に図2のサブアセンブリ10´と同様のサブアセンブリが取り付けられており、図4のサブアセンブリは、一体型ガイドグリル17の代わりに、図3の複数の部品からなるガイドグリル40が使用されている点が、図2のサブアセンブリ10´と異なっている。従って、図4のサブアセンブリは、ガイドスライダ12、輪郭スリーブ14及び複数の部品によるガイドグリル40からなり、このガイドグリルは、説明したように、案内羽根嵌め込みプレート42と多数の羽根エレメント44とを有している。
【0044】
この案内羽根嵌め込みプレート42は、タービンハウジング28´の中でセンタリングされる。この案内羽根嵌め込みプレート42を軸方向に固定するために、案内羽根嵌め込みプレート42に取り付けるカラー46が使用され、このカラー46は、タービンハウジング28´の対応する輪郭の中にかみ合っている。この点で、図4のタービンハウジング28´は図2のタービンハウジング28とは異なっており、それは、図2においては、一体型ガイドグリル17の固定がカラー32と固定リング30とによって実施されているからである。
【0045】
これに対して、図4のサブアセンブリの案内羽根嵌め込みプレート42は、半径方向と軸方向とがカラー46によって固定されている。この取付けは、例えば、案内羽根嵌め込みプレート42が僅かに半径方向に押し縮められて、タービンハウジング28´の中に押し込まれることによって行われる。ガイドグリル40の個々の案内羽根44は、カラー52によって軸方向に固定されている。案内羽根44をタービン出口方向(方向矢印54で示されている)に固定するために、カラー52の面と、案内羽根嵌め込みプレート42の対応する面とが接触している。このことは、案内羽根44がタービン出口方向54へ軸方向に動くのを防止する。方向矢印56で示されている反対方向、すなわち、ベアリングハウジング10の方向には、カラー52のもう一方の面と、熱シールド50の対応する面とが接触していることによって、案内羽根44の軸方向への動きを防いでいる。
【0046】
説明したように、一方の案内羽根嵌め込みプレート42と他方の熱シールド50との両側でカラー52が接触することにより、ガイドグリル40の案内羽根44は、その軸方向に固定されている。半径方向では、案内羽根44が案内羽根嵌め込みプレート42の輪郭によって固定され、説明したように、案内羽根44は、複数の部品からなるガイドグリル40を組み立てる際に、この案内羽根嵌め込みプレートの中に取り付けられる。
【0047】
図4に示されている配置によっても、サブアセンブリ10が、軸方向スライダ12、輪郭スリーブ14及び一体型ガイドグリルからなり、さらに必要に応じてピン16を含めたユニットとして、タービンハウジング出口側34´からタービンハウジング28´の中に押し込まれるか、又は取り付けられるようにすることが可能である。従って、このようなサブアセンブリが使用されるターボチャージャの最終組立て前に、あらかじめサブアセンブリを組み立てておくことができる。そしてこのことは、すでに図2との関連で説明したように、取付け複雑性と取付け経費とを軽減し、さらにエグゾーストターボチャージャの故障率も低下する。
【0048】
図5は、図4によるタービンハウジング28´に取り付けられているサブアセンブリ10´´を示す。図2と比較して分かるように、このサブアセンブリ10´´では、案内羽根44を支持している案内羽根嵌め込みプレート42を有する、複数の部品からなるガイドグリル40が配置されている。カラー46による案内羽根44の軸方向への固定は、特に図5においてより明らかであるが、カラー46の面と案内羽根嵌め込みプレート42の対応する面とが接触している。さらに、サブアセンブリ10´´は、すでに図2によって周知である軸方向スライダ12としてのエレメント、輪郭スリーブ14及びピン16を有している。すでに述べたように、このサブアセンブリ10´´も、ユニット又はカセットとしてエグゾーストターボチャージャのタービンハウジングに取付け可能であり、このことにより、取付け複雑性と取付け経費とが軽減され、さらにエグゾーストターボチャージャの故障率も低下する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンホイールを支持するタービンハウジング(28)と、タービンホイール入口部分でのフローパラメータ制御のためのガイドエレメント(44)を有するガイド装置(17)と、前記ガイド装置(40)とは無関係に製造可能な構成部品として形成され、前記ガイド装置(40)に割り当てられている可動調整装置(12)と、該調整装置(12)とは無関係に製造可能な構成部品として形成されている、タービンホイール出口部分でのフローパラメータ制御のための輪郭スリーブエレメント(14)と、を備える内燃機関のエグゾーストターボチャージャであって、
前記ガイド装置(17)、前記輪郭スリーブエレメント(14)及び前記調整装置(12)が、サブアセンブリ(10´)として前記エグゾーストターボチャージャに取り付けられていることを特徴とする、エグゾーストターボチャージャ。
【請求項2】
前記サブアセンブリ(10´)が、タービン出口側(34)から取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項3】
前記調整装置(12)が、前記タービンホイールの回転軸の方向に調整可能な軸方向スライダ(12)として形成されており、該軸方向スライダを使って、少なくとも部分的に前記ガイド装置(17)を囲むことができることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項4】
前記ガイド装置(17)が、センタリング装置(32)、特にカラー(32)を用いて前記タービンハウジング(28)にセンタリングされることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項5】
前記ガイド装置(17)が、固定エレメント(30)、特に固定リング(30)を用いて前記タービンハウジング(28)に固定されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項6】
前記ガイド装置(40)が、カラー(46)を用いて前記タービンハウジング(28´)に軸方向に固定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項7】
前記カラー(46)が、対応する輪郭にかみ合っていることを特徴とする、請求項6に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項8】
前記ガイド装置(17)が、ガイドグリル(17)として形成されており、前記ガイドグリルは、多数の羽根エレメント(44)と、前記羽根エレメント(44)を支持するためのリングエレメント(42)と、を有していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項9】
前記ガイド装置(40)が、複数の部品から形成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項10】
前記ガイド装置(40)の前記ガイドエレメント(44)が、それぞれ、カラー(52)によって前記エグゾーストターボチャージャの軸方向に固定されていることを特徴とする、請求項9に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項11】
前記カラー(52)が、一方では、前記ガイドエレメント(44)を支持しているガイド凹プレート(42)の対応面と接触し、他方では、前記エグゾーストターボチャージャの熱シールド(50)の対応面と接触していることを特徴とする、請求項10に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項12】
前記輪郭スリーブエレメント(14)が、縮径部(22)と拡径部(24)とを有しており、前記調整装置(12)は、前記縮径部(22)のみによって、及び必要に応じてピン(16)によってガイドされることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のエグゾーストターボチャージャ。
【請求項13】
前記サブアセンブリ(10´)が、前記拡径部(24)によって密閉されていることを特徴とする、請求項12に記載のエグゾーストターボチャージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−515872(P2012−515872A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546609(P2011−546609)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/009083
【国際公開番号】WO2010/086005
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】