内燃機関のガスセンサ被水防止構造および被水防止方法
【課題】取入れ吸気量を調整する可動弁を有する副室を吸気通路に設けて、吸気に混入した水滴がガスセンサに直接衝突することを防止して、ガスセンサの被水割れを防止することを目的とする。
【解決手段】ガスセンサ被水防止構造において、吸気aを導入する開口部63aを有して吸気通路62aに配設された副室63と、該副室63内の中心部に配設されたA/Fセンサ58と、副室63に導入された吸気aを副室内壁面63bに沿って旋回させるガイド部材75と、開口部63aに軸支され、流れる吸気量が少ない時は、開口部63aの流路面積Sを拡大し、流れる吸気量が多い時は、開口部の流路面積Sを縮小して、副室63への吸気導入量を、吸気通路を流れる吸気量に対応して調整するベーン部材80とを備えたことを特徴とする。
【解決手段】ガスセンサ被水防止構造において、吸気aを導入する開口部63aを有して吸気通路62aに配設された副室63と、該副室63内の中心部に配設されたA/Fセンサ58と、副室63に導入された吸気aを副室内壁面63bに沿って旋回させるガイド部材75と、開口部63aに軸支され、流れる吸気量が少ない時は、開口部63aの流路面積Sを拡大し、流れる吸気量が多い時は、開口部の流路面積Sを縮小して、副室63への吸気導入量を、吸気通路を流れる吸気量に対応して調整するベーン部材80とを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気通路に取付けられたガスセンサに、吸気中に混入した水滴が付着するのを低減するための、被水防止構造および被水防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の内燃機関は、排ガスの一部を吸気路に再循環するEGR装置や過給機が設けられ、かつ燃料の噴射量や噴射時期を制御することで、出力を向上させると共に、NOxやスモークの発生を最小限に抑える運転が可能になってきた。また、ディーゼルエンジン及びその他の内燃機関では、吸気温度を下げ、単位容積当りの吸気質量を増加させて出力を向上させるため、吸気通路にインタークーラを設けている。しかし、インタークーラで吸気を冷却し過ぎると、インタークーラの出口側で吸気から凝縮水が発生する。
【0003】
この凝縮水が下流側吸気管に設けられたガスセンサなどのセンサ素子に衝突すると、素子割れによりセンサが破損するおそれがある。
また、大量の凝縮水がシリンダに進入すると、蒸気爆発が起こり、シリンダ構成機器が破損するおそれがある。また、排ガス中には燃料の燃焼によって生成される水蒸気が含まれるため、含有水蒸気量は吸気より多い。EGR装置を備えた内燃機関では、排ガスの一部が吸気管に導入されるため、インタークーラで冷却されると凝縮水がさらに発生しやすい。
【0004】
特開2007−321593号公報(特許文献1)には、略水平方向に延びる排気管に取付けられたA/Fセンサに排ガス中の凝縮水が付着するのを低減するために、排気管の内部におけるA/Fセンサの上流側に、排ガスの一部を当該A/Fセンサに対して鋭角に整流するための整流板が備えられている。
整流板により排ガスの一部がA/Fセンサに対して鋭角に整流されるため、凝縮水がA/Fセンサに付着する確率が低減する。また、A/Fセンサに付着した凝縮水は整流板からの気流により落下が促され、A/Fセンサから早期に離脱し易くなる技術が開示されている。
【0005】
また、特開2003−65171号公報(特許文献2)には、サージタンクの内部に向かって陥没し、かつ、内部空間に張出すように形成されたA/Fセンサ取付部にA/Fセンサが組付けられる。
また、A/Fセンサ取付部の底面にサージタンクの壁面を伝わって流れるオイルや水分をせき止めるための環状凸部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−321593号公報
【特許文献2】特開2003−65171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、A/Fセンサの被水を低減するために、該A/Fセンサの上流側に整流板を設けて、排ガス中に混入している凝結水がA/Fセンサに付着する確率を低減させ、更に、排ガスをA/Fセンサに衝突し、付着した凝縮水は整流板の気流により落下が促され、A/Fセンサから早期に離脱させて凝縮水の付着を減少させるが、該A/Fセンサの下部は常に排ガスの主流に直接晒される状態となっているため、排ガス中に混合している凝縮水のA/Fセンサへの付着防止においては十分とは言えないものである。
また、特許文献2では、A/Fセンサ取付部の底面にサージタンクの壁面を伝わって流れるオイルや水分をせき止めるための環状凸部が設けられているが、A/Fセンサの下部は環状凸部よりサージタンクの内部空間側に突出しており、サージタンクの壁面を伝わって流れるオイルや水分が環状凸部より落下し、吸気ガスに乗ってA/Fセンサの下部に付着する可能性があり、更に、該A/Fセンサの下部は常に吸気の主流に直接晒される状態となっているため、これらオイルや水分のA/Fセンサへの付着防止においては十分とは言えないものである。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、取入れ吸気量を調整する可動弁を有する副室を吸気通路に設け、該副室内中心部にガスセンサを配設することで、吸気に混入した水滴がガスセンサに直接衝突することを防止して、ガスセンサの被水割れを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、内燃機関の吸気通路に取付けられたガスセンサに、該吸気通路を流れる吸気に混入した水滴が付着するのを防止するガスセンサ被水防止構造において、
前記吸気通路の吸気を導入する開口部を有して前記吸気通路に配設された副室と、
該副室内の中心部に配設されたガスセンサと、
前記副室内の副室内壁面と、前記ガスセンサとの間に前記副室に導入された吸気を副室内壁面に沿って旋回させるガイド部材と、
前記開口部に回動可能に軸支されて、前記吸気通路を流れる吸気量が少ないときは、前記開口部の流路面積を拡大し、前記吸気通路を流れる吸気量が多いときは、前記開口部の流路面積を縮小し、前記副室への吸気導入量を、吸気通路を流れる吸気量に対応して調整するベーン部材と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このように、ベーン部材によって、吸気通路を流れる吸気量に対応して副室への吸気導入量が調整され、ガスセンサが検知するための必要量の吸気を副室内に導入することができ、ガスセンサの検知信頼性が向上すると共に、ガイド部材によって吸気を副室内壁面に沿って旋回するようにしたので、吸気に含まれている水滴を分離させて、該水滴を副室内壁面に付着させて、ガスセンサの被水防止を図ることによりガスセンサの耐久性向上が図れる。
更に、ガイド部材によって吸気を副室内壁面に沿って旋回するようにしたので、外周部に付着した水滴が再び、副室中心部(ガスセンサ)へもどることを防止できる。
【0011】
また、本発明において好ましくは、前記副室内の前記ガイド部材と前記ガスセンサとの間に、該ガスセンサの外周面と隙間を有して、前記ガスセンサの重力方向上側位置に、該ガスセンサを覆うように延在する第1保護部と、該第1保護部に連続すると共に、前記開口部に対向した位置に配設され、該開口部から導入された吸気を前記副室内壁面側にガイドする第2保護部とを備えたガスセンサ保護部材を配設するとよい。
【0012】
このような構成にすることにより、第2保護部材と回動可能なベーン部材とを対向させることで、吸気通路を流れる吸気量が少ないときは、ベーン部材を開いて副室内ガス流量を増加するとともに、第2保護部と回動可能なベーン部材間の流路面積を狭くして吸気流速を高めて、吸気からの水滴分離効果を向上させる。
【0013】
一方、吸気通路を流れる吸気量が多いときは、ベーン部材を閉じて余分な水滴の侵入を防ぐとともに、第2保護部と回動可能なベーン部材間の流路面積を広くして吸気流速を抑えて、副室内壁面に衝突した水滴が跳ね返り、外周部へ追いやった水滴が再び中心へ戻るのを防止して、ガスセンサの被水を減少させる。
更に、第1保護部は、エンジン停止後に吸気の流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内壁面上側に付着した水滴が落下して、ガスセンサが被水するのを防止する。
【0014】
また、本発明において好ましくは、前記開口部の吸気通路上流側の該吸気通路壁面には、前記副室への吸気導入を容易にするため、前記開口部端縁側を前記副室中心側へ傾斜させた導入傾斜面を設けるとよい。
【0015】
このように、開口部上流側の吸気通路壁面に導入傾斜面を設けたので、吸気が副室内に導入し易くなり、ガスセンサの誤検出及び、応答遅れを回避することができる。
【0016】
また、本発明において好ましくは、前記副室の重力方向下面側は、前記開口部に向け且つ、重力方向下側へ傾斜した排水部を設けるとよい。
【0017】
このような構成にすることにより、エンジン停止後に吸気の流れが停止し,副室内の旋回流が発生しなくなった場合に、副室内壁面上側に付着した水滴が落下して排水部を介して吸気通路に排水されるので、副室内のガスセンサが被水するのを防止できる。
【0018】
また、本発明において好ましくは、前記開口部の吸気通路下流側端縁部には、前記副室の吸気旋回中心軸線方向略全域に亘り前記ベーン部材の吸気通路下流側端縁部が前記副室と反対側に回動するのを防止するストッパ部材を設けるとよい。
【0019】
このような構成にすることにより、ベーン部材の開度を制限すると共に、吸気通路の吸気流量が少ないときに、ベーン部材の吸気通路下流側端縁部から副室内の吸気が吸出されるのを防止する。
【0020】
また、本発明において好ましくは、前記副室は前記開口部が前記吸気通路壁面に設けられ、該吸気通路の壁面から外方へ膨出して形成されるとよい。
【0021】
このような構成にすることにより、副室が吸気通路内から外方へ膨出しているので、副室による吸気抵抗が少なく、内燃機関の出力への影響が小さい。
【0022】
また、本発明において好ましくは、前記副室は中空円筒状で前記吸気通路壁面から、前記吸気通路中央側へ突出し、該中空円筒状の突出の先端部が開放されていると共に、前記開口部と前記ベーン部材は前記吸気通路上流側に配設されているとよい。
【0023】
このような構成にすることにより、副室が吸気通路内に配設されているため、吸気通路の周囲に配置される他の部品との干渉を考慮しなくてよいため、吸気通路のレイアウトが容易となる。
【0024】
また、本発明において好ましくは、前記副室の副室内壁には前記突出の基端部から前記先端部まで螺旋状の排水ガイド部が設けられるとよい。
【0025】
このように、副室内壁に螺旋状のガイド溝が設けられているので、副室内に付着した水滴が吸気の旋回流によってガイド溝に沿って吸気通路内に排出されるため、ガスセンサが被水するのをさらに防止できる。
【0026】
また、本発明は、前述したガスセンサ被水防止構造に適用されてガスセンサの被水防止を行う内燃機関のガスセンサ被水防止方法であって、吸気通路に設けられたエアーフローセンサにて新気吸気量を検出するステップと、エンジン回転数と負荷から低圧EGR量と、高圧EGR量を予め設定したマップから算出するステップと、吸気通路を流れる前記新気吸気量、低圧EGR量及び、高圧EGR量を加算して総吸気量を求めるステップと、総吸気量とベーン開度との関係を予め設定したマップを用いて、総吸気量からベーン開度を算出するステップと、該ベーン開度の算出値に基づいてベーン部材の駆動装置にベーン開度の信号を出力するステップとを備えたことを特徴とする。
【0027】
このようなガスセンサ被水防止方法によると、ベーン開度を、吸気通路を流れる吸気流量に応じて調整するので、水滴が副室内に侵入するのを防止するとともに、ガスセンサが検知するための必要量の吸気を副室内に導入することができ、ガスセンサの検知信頼性の向上および、ガスセンサの被水防止によるガスセンサの耐久性向上が図れる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、吸気通路を流れる吸気の吸気量に対応してガイド部材の開度を調整することにより、ガスセンサが検知するための必要量の吸気を副室内に導入して、ガスセンサの検知信頼性を向上すると共に、ガイド部材によって吸気を副室内壁面に沿って旋回するようにしたので、吸気に含まれている水滴を分離させて、該水滴を副室内壁面に付着させて、ガスセンサの被水防止を図ることによりガスセンサの耐久性向上を図る。
更に、ガイド部材によって吸気を副室内壁面に沿って旋回するようにしたので、外周部に付着した水滴が再び、副室中心部(ガスセンサ)へもどることを防止できる。
また、ガスセンサ保護部材を配設したので、エンジン停止後に吸気の流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内壁面上側に付着した水滴が落下して、ガスセンサが被水するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】車両に搭載されたディーゼルエンジンに本発明を適用した全体構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態における図1のA−A断面図を示す。
【図3】(A)は図2のY部の部分拡大詳細図で吸気が下方から上方へ流れる場合で、吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示す。
【図4】(A)は図3(A)のD矢視を示し、(B)は図3(A)のF矢視を示す。
【図5】(A)は本発明の第2実施形態における図2のY部の部分拡大詳細図で吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示す。
【図6】図5(A)のE−E断面を示す。
【図7】本発明の第3実施形態における図2のY部相当部の概略斜視図を示す。
【図8】(A)は第3実施形態における吸気が下方から上方へ流れる場合の吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示す。
【図9】(A)は第4実施形態における吸気が上方から下方へ流れる場合の吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示す。
【図10】第4実施形態における副室の変形例の斜視図を示す。
【図11】ベーン駆動の制御フロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0031】
車両に搭載されたディーゼルエンジン10(以後「エンジン10」と略称する)に本発明を適用した全体構成を図1〜図2に基づいて説明する。図1に示す本実施形態のエンジン10において、シリンダブロック12の上部にシリンダヘッド14が設けられている。シリンダヘッド14には、シリンダブロック12内を往復運動するピストン13とシリンダヘッド14とで形成される燃焼室15の中央(各シリンダの中央)に燃料を噴射する燃料噴射装置16が設けられ、シリンダヘッド14の燃料噴射装置16の両側に、吸気導入部及び排ガス排出部が設けられている。該吸気導入部は、吸気マニホールド17を介して第2吸気管18に接続され、該排ガス排出部は、排気マニホールド19を介して第1排気管20に接続されている。
【0032】
第2吸気管18及び第1排気管20の途中に、第2吸気管18に設けられたコンプレッサ及び第1排気管20に設けられた排気タービンからなる過給機22が設けられている。過給機22より下流側の第2排気管21には、ディーゼル・パーティキュレート・フィルタを備えた排ガス浄化装置24が設けられている。過給機22の上流側の第1排気管20と過給機22の下流側の第2吸気管18とを接続する高圧EGR管26と、高圧EGR管26に介設され、EGRガスを浄化する触媒装置28と、高圧EGR管26の出口部に設けられ、高圧EGR管26を流れるEGRガスの流量を調節可能な高圧EGRバルブ30とからなる高圧EGR装置32が設けられている。
【0033】
過給機22の吸気系上流側には、過給機22の下流側の第2排気管21と過給機22の上流側の第1吸気管23とを接続する低圧EGR管34と、低圧EGR管34に介設された低圧EGRクーラ36と、低圧EGR管34の出口部に設けられ、低圧EGR管34を流れるEGRガスの流量を調節可能な低圧EGRバルブ37とからなる低圧EGR装置38が設けられている。
【0034】
過給機22の下流側の第2吸気管18には、吸気を冷却するインタークーラ40が設けられている。上流側の第1吸気管23の入口23aには、フィルタ装置42と、フィルタ装置42の下流側に、吸気流量を検出するエアーフローセンサ44及び、吸気温度センサ46が設けられている。また、これらセンサの下流側の第1吸気管23及びインタークーラ下流側の第2吸気管18に、シリンダ内に吸引される吸気量を調節する吸気スロットル弁50及び52が設けられている。各吸気マニホールド17には、吸気温度センサ54、吸気圧力を検出するブーストセンサ56及び空燃比センサ(以後A/Fセンサと称す)58が設けられている。
【0035】
エンジン10の運転開始で、排ガスeによって過給機22の排気タービンが駆動され、過給機22のコンプレッサによって大気が上流側の第1吸気管23に吸引される。また、前記各センサ類から検出信号がECU60に入力される。ECU60は、これらの検出信号に応じて、吸気スロットル弁50、52、EGRバルブ30、36、燃料噴射装置16、及びインタークーラ40に設けられたシャッタ装置(図示省略)及び電動ファン(図示省略)等を制御する。
【0036】
かかる構成において、中低負荷時には、高圧EGR装置32で多量の排ガスを第2吸気管18に再循環させ、排ガス中NOx量を低減する。高負荷時には、低圧EGR装置38から少量の排ガスを比較的高精度で第2吸気管18に再循環させ、排ガス中のNOx量を低減する。ECU60は、各センサからの検出信号に応じて、過給圧、低圧EGR装置38及び高圧EGR装置32から導入されるEGRガス量、燃料噴射装置16の燃料噴射量、噴射時期を制御する。これによって、排ガス中のNOx量を最小限に抑えることができる。
なお、過給圧は、可変ベーンを備えた過給機の可変ベーンの角度調節、又はウェイストゲートを備えた過給機のウェイストゲートの開度調節等によって調節される。
【0037】
なお、吸気の水蒸気含有可能量は、一般的に吸気aの圧力と温度に影響され、例えば、吸気aの圧力が低減すると増加し、吸気aの圧力が増加すると、減少する。また、吸気aの温度が低いと、減少し、吸気aの温度が高いと、増加する。また、水蒸気含有可能量Wmに対する影響は、圧力より温度のほうが大きい。
【0038】
従って、燃料が燃焼したとき、水が生成されるため、EGRガスの含有水蒸気量は新気より多い。また、EGRガスの温度は高いため、水蒸気含有可能量は新気より多くなる。従って、EGRガスが混合した後の吸気aの水蒸気量は、新気及びEGRガスに含まれる水蒸気量が合計される。過給機22によって過給された後、吸気aの圧力は上昇するが、温度も上昇するため、水蒸気含有可能量は若干多くなる。その後、吸気aがインタークーラ40で冷却されると、水蒸気含有可能量が減少し、吸気aの含有水蒸気量と水蒸気含有可能量との差が凝縮水生成量となる。
このようにして、吸気中に生成された凝縮水は、吸気aと伴に吸気通路62aを形成するサージタンク62を通過して吸気マニホールド17から燃焼室へ吸入される。これらの凝縮水がA/Fセンサ58等に付着する。
【0039】
(第1実施形態)
図3及び図4に基づいて、本発明の第1実施形態について説明する。
図3(A)は図2のY部の部分拡大詳細図で吸気が下方から上方へ流れる場合で、吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示す。
図4(A)は図3(A)のD矢視を示し、(B)は図3(A)のF矢視を示す。
尚、図4(B)は図が複雑になるため、ガイド部材とガスセンサ保護部材を省略して示してある。
吸気aはサージタンク62の吸気通路62aを重力方向下側から上方へ流れ、吸気マニホールド17に入り、該吸気マニホールド17の分岐管17aからエンジン10の各燃焼室15に導入される。
【0040】
副室63は、吸気通路62aを形成する通路壁面62bに開口部63aが配設され、該開口部63aに連続して吸気通路62aの外方に突出した円筒状(環状)の副室内壁面63bによって空間部63sが形成され、該円筒状の空間部63sの中心軸線CLが水平方向になるように形成されている。
そして、円筒状の中心軸線CL近傍に、該中心軸線CLに沿ってガスセンサであるA/Fセンサ58が配設されている。
また、図4(B)は、図3(A)のF矢視図を示し、A/Fセンサ58は副室63の側壁面63eから水平方向へ向けた状態で配置されている。
そして、A/Fセンサ58の先端部58aは反対側の側壁面63fに対し隙間を有して配置されている。
【0041】
開口部63aの吸気通路62aの上流側には、空間部63sに吸気aが導入され易くする導入傾斜面63cが形成されている。
導入傾斜面63cの傾斜角度θ1は、吸気通路62aの通路壁面62bから吸気通路62aの外方(副室63の空間部63s中心方向)へ傾斜させたものである。
傾斜角度θ1は、吸気通路62aから導入する吸気流が後述するガスセンサ保護部材77の第2保護部材77bと、開口部63aに回動可能に軸支される後述するベーン部材80との間を通過するように設定される。
本実施形態では約13°の傾斜面とした。傾斜角度を大きくすると副室63内での旋回流が乱れるし、小さくすると吸気導入効果が少なくなる。
【0042】
空間部63sにおいて、A/Fセンサ58の周囲には、該A/Fセンサ58と間隔を有して、開口部63aから導入された吸気aが副室内壁面63bに衝突するように配設されたガイド部材75がA/Fセンサ58を取囲むように配置されている。
更に、A/Fセンサ58とガイド部材75との間にはA/Fセンサ58及びガイド部材75夫々と隙間を有してガスセンサ保護部材77が配設されている。
【0043】
ガイド部材75及び、ガスセンサ保護部材77は、A/Fセンサ58を副室63に取付ける取付け部に、A/Fセンサ58の取付と共締めにて固定されている。
ガイド部材75及び、ガスセンサ保護部材77の長さはA/Fセンサ58の軸線方向長さの略2/3程度になっている。(ガイド部材75及び、ガスセンサ保護部材77の取付け状況は図6に同じ。)
【0044】
また、ガスセンサ保護部材77は、A/Fセンサ58の重力方向上側位置に該A/Fセンサ58を覆うように配設された第1保護部77aと、該第1保護部77aに連続すると共に、開口部63aに対向した位置に配設された第2保護部材77bとで構成されている。
【0045】
これは、導入された吸気aに混入されている水滴が副室内壁面63bに衝突し、跳ね返った水滴がA/Fセンサ58に付着しないようにするものである。
そして、第1保護部77aはエンジン停止後に吸気aの流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合、副室内壁面63b上側に付着した水滴が落下して、排水部を介して吸気通路に排水されるので、副室内のガスセンサの被水を防止できる。
更に、第2保護部材77bは吸気通路62aから導入された吸気に含まれる水滴がA/Fセンサ58に付着しないようにすると共に、後述するベーン部材80と協働して吸気aの流速を調整するものである。
【0046】
更に、開口部63aの吸気通路62a上流側は、該吸気通路62aの上流側(重力方向下側)へ傾斜角度θ2を有した排水部である排水傾斜面63dが形成されている。
排水傾斜面63dには、副室内壁面63bに付着した水滴が吸気aの流れに押されて空間部63sの排水傾斜面63dに到達し、再び、水滴は排水傾斜面63dから吸気aと伴に吸気通路62aに戻っていく。
また、エンジン10停止後に吸気の流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内壁面63bの上側に付着した水滴が落下して、排水部を介して吸気通路62aに排水されるので、空間部63s内の水滴がなくなり、A/Fセンサ58の被水防止がより効果的になる。
【0047】
開口部63aには、吸気通路62aを流れる吸気量にともなって副室63の空間部63sに導入する吸気量を一定量確保するため、吸気導入量を調整するベーン部材80が配設されている。
図4(A)に示すように、ベーン部材80は、開口部63aに軸部材80bによって回動可能に軸支されている。ベーン部材80の翼片80aは吸気通路62aの流通方向の中間部に軸部材80bを介して装着されている。
軸部材80bはECU60からの信号に基づいてベーン部材80のベーン開度を制御されるようになっている。
ステッパモータ81は吸気通路62aを流れる吸気量が少ないときは、開口部63aの流路面積を拡大して、空間部63sに導入する吸気量の必要量を確保するように作動する。
【0048】
ステッパモータ81の駆動制御について、図11に基づいて説明する。
エンジン1を稼働させると、ステップS1でスタートし、ステップS2において、エアーフローセンサ44にて新気吸気量L1を検出する。ステップS3において、エンジン回転数(rpm)及び、負荷(エンジン運転状態、即ち、アクセル開度)に基づいて、予め設定されたマップから低圧EGR量L2及び高圧EGR量L3を算出する。ステップS4において吸気通路62aを流れる総吸気量Ls=新気吸気量L1+低圧EGR量L2+高圧EGR量L3が算出される。ステップS5において、ECU60内にて総吸気量Lsとベーン開度との関係マップからベーン開度θtを算出する。ステップS6にてECU60からステッパモータ81にベーン開度θtの信号を出力する。ステップS7において、ステッパモータ81はベーン部材80を信号に基づいた角度だけ開閉操作する。ステップS8にてリターンして、吸気量の変化に基づいて、上記の制御を繰返す。
尚、本実施形態では、ステッパモータを使用したが、ベーン開度θtを検知する開度センサの検知角度が目標開度になるまで、ECU60からDCモータへ駆動電流を発信するようにしてもよい。
【0049】
ベーン部材80は、図3(A)に示すように、吸気通路62aを流れる吸気量が多い時は、開口部63aの流路面積S1を縮小して、空間部63sに導入する吸気量を必要量に抑制する。
即ち、ベーン部材80は開口部63aを閉じる位置に操作されると、ベーン部材80の吸気上流側と開口部63aの上流側との流路面積S1が小さくなり、空間部63sへの吸気導入量は抑制される。
一方、ベーン部材80の下流側と第2保護部材77bとの間の流路面積S2はS2>S1となり、吸気aのガイド部材75への流速を和らげ、副室内壁面63bに付着している水滴を離脱させるのを防止している。すなわち、副室内壁面63bに衝突した水滴が跳ね返り、外周部へ追いやった水滴が再び中心へ戻るのを防止して、ガスセンサの被水を減少させている。
【0050】
また、図3(B)に示すように、吸気通路62aを流れる吸気量が少ない時は、開口部63aの流路面積S1を拡大して、空間部63sに導入する吸気量を必要量確保する。
即ち、ベーン部材80は開口部63aを開く位置に操作されると、ベーン部材80の吸気上流側と開口部63aの上流側との流路面積S1が大きくなり、空間部63sへの吸気導入量は増大される。
一方、ベーン部材80の下流側と第2保護部材77bとの間の流路面積S2はS2<S1となり、吸気aのガイド部材75への流速を増加させて、吸気aに含まれる水滴の分離を促進させて、副室内壁面63bに付着させることによりA/Fセンサ58の被水を防止している。
このようにして、吸気通路62aを流れる吸気量が少ないときは空間部63sに導入する吸気量の必要量を確保することにより、A/Fセンサ58のセンサ精度を確保すると共に、吸気通路62aを流れる吸気量が多いときは、よけいな水滴を空間部63sに導入しないようにしてA/Fセンサ58の被水による破損を効果的に防止することができる。
【0051】
73はストッパ部材で、開口部63aの吸気通路下流側端縁部に副室63の吸気旋回中心軸線方向略全域に亘り配設されている。該ストッパ部材73はベーン部材80の吸気通路下流側端縁部が吸気通路62a側に(副室63と反対側)回動するのを防止すると共に、吸気の低流量時、ベーン部材80の吸気通路下流側から空間部63sに吸気aが侵入するのを防止するものである。
【0052】
このような構造にすることにより、吸気通路62aを流れる吸気量に対応してベーン部材80を駆動して副室63内に流入する吸気量を調整することにより、A/Fセンサ58が検知するための必要量の吸気aを副室63内に導入して、ガスセンサの検知信頼性を向上すると共に、ガイド部材によって吸気aを副室内壁面に沿って旋回するようにしたので、吸気aに含まれている水滴を分離させて、該水滴を副室内壁面63bに付着させて、ガスセンサの被水防止を図ることによりガスセンサの耐久性向上が図れる。
【0053】
更に、副室63内の重力方向下側を吸気通路62a側に向け下方へ傾斜させた排水傾斜面63dを設けたので、エンジン10停止後に吸気aの流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内壁面63bの上側に付着した水滴が落下して、排水傾斜面63dを介して吸気通路62aに排水されるので、空間部63s内の水滴がなくなり、A/Fセンサ58の被水防止がより効果的に得られる。
【0054】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図5及び図6に基づいて説明する。
図6は図が複雑になるためガイド部材とガスセンサ保護部材を省略してある。
尚、第2実施形態は吸気aの流れ方向が、第1実施形態が下方から上方向へ流れるのに対し、水平方向に流れる以外は同じなので、エンジンシステムの説明は省略し、同一部品は同一符号を付し説明は省略する。
【0055】
図5(A)は図2のY部の部分拡大詳細図で吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示し、図6は図5(A)のE−E断面を示す。
吸気aはサージタンク62の吸気通路62aを水平方向から吸気マニホールド17に入り、該吸気マニホールド17の分岐管17aからエンジン10の各燃焼室15に吸入される。
該副室65の中心部にはA/Fセンサ58が配置されている。A/Fセンサ58は図6に示すとおり、副室65内の上側(重力方向)から下側に向け装着されている。
【0056】
図5(A)のE−E断面図である図6に示すように、吸気aは吸気通路62aを略水平方向に流れる場合を示している。
副室65は、吸気通路62aを形成する通路壁面62bに開口部65aが配設され、該開口部65aに連続して吸気通路62aの外方に突出した円筒状(環状)の副室内壁面65bによって空間部65sが形成されている。
従って、該円筒状の空間部65sの中心軸線CLが略重力方向になる副室65が形成される。
【0057】
そして、円筒状の中心軸線CL近傍に、該中心軸線CL(重力方向)に沿ってガスセンサであるA/Fセンサ58が配設されている。
そして、A/Fセンサ58の先端部58aは反対側の排水部である排水傾斜面65dに対し隙間を有して配置されている。
排水傾斜面65dは吸気通路62aが下方(重力方向)に傾斜角度θ3を有して形成されている。
従って、エンジン10停止後に吸気aの流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内壁面63bの上側に付着した水滴が落下して、排水部を介して吸気通路62aに排水されるので、空間部63s内の水滴がなくなり、A/Fセンサ58の被水防止がより効果的になる。
【0058】
空間部65sにおいて、A/Fセンサ58の周囲には、該A/Fセンサ58と間隔を有して、開口部65aから導入された吸気aが副室内壁面65bに衝突するように配設されたガイド部材75がA/Fセンサ58を取囲むように配置されている。
更に、A/Fセンサ58とガイド部材75との間にはA/Fセンサ58及びガイド部材75夫々と隙間を有してガスセンサ保護部材79が配設されている。
ガスセンサ保護部材79は、開口部65aから導入された吸気aをガイド部材75に導くと共に、開口部65aの吸気下流側から進入する吸気aに含まれる水滴からA/Fセンサ58の被水を防止する第1保護部79aと、該第1保護部79aに連続して開口部65aに対向した位置に配設された第1保護部79aとで構成されている。
【0059】
開口部65aにaにはベーン部材80及びストッパ部材73が装着されている。ベーン部材80及びストッパ部材73の構造及び、その作用は第1実施形態と同じなので、説明を省略する。
【0060】
開口部65aの吸気通路上流側には、空間部65sに吸気aが導入され易くする導入傾斜面65cが形成されている。
導入傾斜面65cの傾斜角度θ1は、吸気通路62aの通路壁面62bから吸気通路62aの外方(副室65の空間部65s中心方向)へ傾斜させたものである。
傾斜角度θ1は、吸気通路62aから導入する吸気aがガスセンサ保護部材79と、開口部65aに回動可能に軸支されたベーン部材80との間を通過するように設定される。
【0061】
吸気通路62aを流れる吸気量に対応してベーン部材80を駆動することにより、A/Fセンサ58が検知するための必要量の吸気aを副室65内に導入して、ガスセンサの検知信頼性を向上すると共に、ガイド部材75によって吸気aを副室内壁面65bに沿って旋回するようにしたので、吸気aに含まれている水滴を分離させて、該水滴を排水傾斜面65dに付着させて、A/Fセンサ58の被水防止を図ることによりA/Fセンサ58の耐久性向上を図る。
更に、副室65内の下側面を吸気通路62a側に向け下方へ傾斜させた排水傾斜面65dとしたので、エンジン10停止後に吸気aの流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合、副室内壁面65bの上側に付着した水滴が落下して、排水傾斜面65dを介して吸気通路62aに排水されるので、空間部65s内の水滴がなくなり、A/Fセンサ58の被水防止がより効果的に得られる。
【0062】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図7及び図8に基づいて説明する。
尚、第3実施形態は副室が吸気通路内に突出した以外は、第1実施形態と同じなので、エンジンシステムの説明は省略し、同一部品は同一符号を付し説明は省略する。
【0063】
図7は本発明の第3実施形態における図2のY部相当部の概略斜視図を示し、図8(A)は第3実施形態における吸気aが下方(重力方向)から上方へ流れる場合の吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示す。
尚、図7は図が複雑になるため、ガイド部材とガスセンサ保護部材を省略してある。
副室67は吸気管の通路壁面62bから吸気通路62aの中央に向け中空円筒状に突出した形状になっている。
該突出した形状の先端部67dは吸気通路62aに開放された状態となっている。
副室67は、中空円筒状の基部が通路壁面62bに固定され、中空円筒状の中心軸線CL近傍に、ガスセンサであるA/Fセンサ58が該軸線CLに沿って配設されている。副室67を形成する殻部材67eには吸気通路62aから吸気aを導入する開口部67aが形成されている。
【0064】
開口部67aには、該開口部67aから副室67内に導入する吸気量を調整するベーン部材82が開口部67aを閉塞するように配置されている。ベーン部材82は軸部材82bに固着され、該軸部材82bはステッパモータ81に連結している。ステッパモータ81はECU60からの信号に基づいてベーン部材82の翼片82aを操作して、開口部67aの吸気導入の流路面積を調整するようになっている。
【0065】
なお、開口部67aとベーン部材82との隙間は、吸気通路62aを流れる吸気aが高流量時に、ベーン部材82が全閉位置に操作された状態において、A/Fセンサ58が誤検出しない程度の吸気量が副室67内に取入れられるような寸法関係になっている。
【0066】
図8において、吸気aが重力方向下側から上方へ流れる場合、開口部67aは殻部材67eの吸気通路上流側(図8において下側)に配置されている。
空間部67sにおいて、A/Fセンサ58の周囲には、ガイド部材75がA/Fセンサ58を取囲むように配置されている。
更に、A/Fセンサ58とガイド部材75との間にはA/Fセンサ58及びガイド部材75夫々と隙間を有してガスセンサ保護部材77が配設されている。
ガスセンサ保護部材77は、A/Fセンサ58の重力方向上側位置に該A/Fセンサ58を覆うように配設された第1保護部77aと、該第1保護部77aに連続すると共に、開口部67aから導入した吸気aがA/Fセンサ58側に直接流れない位置(開口部68aに近接)まで延在させた第2保護部材77bとで構成されている。
第1保護部77aはエンジン1の停止に伴い、副室内壁面67b及び、ガイド部材75に付着した水滴が落下してA/Fセンサ58が被水するのを防止するものである。
【0067】
吸気aが高流量時には図8(A)に示すとおり、ベーン部材82を閉塞し、吸気aは開口部67aとベーン部材82の隙間から副室67内に導入され、副室67内を旋回しながら副室67の先端部67dから吸気通路62aにもどる。
また、吸気aが低流量時には図8(B)に示すとおり、ベーン部材82を開放し、吸気aは開口部67aから副室67内に導入され、ガイド部材75によって副室67内を旋回しながら副室67の先端部67dから吸気通路62aにもどる。
また、図10に示すように、副室69の副室内壁面69bには、断面が山形形状で螺旋状突起69cの排水ガイド部を設けて、副室内壁面69bに付着した水滴を吸気aの旋回流によって積極的に排出するようにするとよい。
尚、本実施形態では、排水ガイド部断面形状を凸状の山形形状の螺旋条としたが、凹状の螺旋溝状としてもよい。
【0068】
このような構成にすることにより、導入された吸気aに混入されている水滴が副室内壁面63bに衝突し、跳ね返った水滴が第1保護部77aによってA/Fセンサ58が被水するのを確実に防止するものである。
そして、第1保護部77aはエンジン停止後に吸気aの流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内壁面上側に付着した水滴が落下して、排水部を介して吸気通路に排水されるので、副室内のガスセンサが被水するのを防止できる。
更に、第2保護部材77bは吸気通路62aから導入された吸気aに含まれる水滴がA/Fセンサ58に付着しないようにするものである。
【0069】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、図9に基づいて説明する。
尚、第4実施形態は第3実施形態に対し、吸気aの流れが重力方向上側から下側に変わる以外同じなので、同一部品は同一符号を付し説明は省略する。
図9において、副室68は中空円筒状の基部が通路壁面62bに固定され、中空円筒状の中心軸線CL近傍に、ガスセンサであるA/Fセンサ58が該軸線CLに沿って配設されている。副室68を形成する殻部材68eには吸気通路62aから吸気aを導入する開口部68aが形成されている。
開口部68aには、開口部68aを閉塞するようにベーン部材82が配置されている。ベーン部材82は軸部材82bを介してステッパモータ81に連結している。ステッパモータ81はECU60からの信号に基づいてベーン部材82の翼部材を操作して、開口部67aの吸気a導入の流路面積を調整するようになっている。
【0070】
吸気aが重力方向上側から下方へ流れる場合、開口部68aは殻部材67eの吸気通路上流側(図9において上側)に配置されている。
更に、A/Fセンサ58とガイド部材75との間にはA/Fセンサ58及びガイド部材75夫々と隙間を有してガスセンサ保護部材78が配設されている。
ガスセンサ保護部材78は、A/Fセンサ58の重力方向上側位置に該A/Fセンサ58を覆うように配設され、A/Fセンサ58の重力方向上側位置を覆い、エンジン1の停止に伴い、副室内壁面68b及び、ガイド部材75に付着した水滴が落下してA/Fセンサ58が被水するのを防止する第1保護部78aと、該第1保護部78aに連続すると共に、開口部68aから導入した吸気aがA/Fセンサ58側に直接流れない位置(開口部68aに近接)まで延在させた第2保護部材78bと、副室内壁面68b及び、ガイド部材75に付着した水滴が落下して、第1保護部78aと第2保護部材78bとの接続部にできる凹部を覆う第3保護部材68cとで構成されている。
吸気通路62aを流れる吸気aが高流量時及び、低流量時のベーン部材82の操作及び吸気aの流れと、その効果は第3実施形態と同じなので、省略する。
【産業上の利用可能性】
【0071】
内燃機関の吸気又は排気通路に装着されるガスセンサが被水して破損するのを防止する被水防止構造として利用できる。
【符号の説明】
【0072】
10 エンジン
24 排ガス浄化装置
38 低圧EGR装置
58 A/Fセンサ(ガスセンサ)
62 サージタンク
62a 吸気通路
62b 通路壁面
63、65、67,68,69 副室
63a、65a、67a,69a 開口部
63b、65b、67b、69b 副室内壁面
63c、65c 導入傾斜面
63d、65d 排水傾斜面(排水部)
69c 螺旋状突起(排水ガイド部)
73 ストッパ部材
75 ガイド部材
77,79 ガスセンサ保護部材
80、82 ベーン部材
a 吸気
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気通路に取付けられたガスセンサに、吸気中に混入した水滴が付着するのを低減するための、被水防止構造および被水防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の内燃機関は、排ガスの一部を吸気路に再循環するEGR装置や過給機が設けられ、かつ燃料の噴射量や噴射時期を制御することで、出力を向上させると共に、NOxやスモークの発生を最小限に抑える運転が可能になってきた。また、ディーゼルエンジン及びその他の内燃機関では、吸気温度を下げ、単位容積当りの吸気質量を増加させて出力を向上させるため、吸気通路にインタークーラを設けている。しかし、インタークーラで吸気を冷却し過ぎると、インタークーラの出口側で吸気から凝縮水が発生する。
【0003】
この凝縮水が下流側吸気管に設けられたガスセンサなどのセンサ素子に衝突すると、素子割れによりセンサが破損するおそれがある。
また、大量の凝縮水がシリンダに進入すると、蒸気爆発が起こり、シリンダ構成機器が破損するおそれがある。また、排ガス中には燃料の燃焼によって生成される水蒸気が含まれるため、含有水蒸気量は吸気より多い。EGR装置を備えた内燃機関では、排ガスの一部が吸気管に導入されるため、インタークーラで冷却されると凝縮水がさらに発生しやすい。
【0004】
特開2007−321593号公報(特許文献1)には、略水平方向に延びる排気管に取付けられたA/Fセンサに排ガス中の凝縮水が付着するのを低減するために、排気管の内部におけるA/Fセンサの上流側に、排ガスの一部を当該A/Fセンサに対して鋭角に整流するための整流板が備えられている。
整流板により排ガスの一部がA/Fセンサに対して鋭角に整流されるため、凝縮水がA/Fセンサに付着する確率が低減する。また、A/Fセンサに付着した凝縮水は整流板からの気流により落下が促され、A/Fセンサから早期に離脱し易くなる技術が開示されている。
【0005】
また、特開2003−65171号公報(特許文献2)には、サージタンクの内部に向かって陥没し、かつ、内部空間に張出すように形成されたA/Fセンサ取付部にA/Fセンサが組付けられる。
また、A/Fセンサ取付部の底面にサージタンクの壁面を伝わって流れるオイルや水分をせき止めるための環状凸部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−321593号公報
【特許文献2】特開2003−65171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、A/Fセンサの被水を低減するために、該A/Fセンサの上流側に整流板を設けて、排ガス中に混入している凝結水がA/Fセンサに付着する確率を低減させ、更に、排ガスをA/Fセンサに衝突し、付着した凝縮水は整流板の気流により落下が促され、A/Fセンサから早期に離脱させて凝縮水の付着を減少させるが、該A/Fセンサの下部は常に排ガスの主流に直接晒される状態となっているため、排ガス中に混合している凝縮水のA/Fセンサへの付着防止においては十分とは言えないものである。
また、特許文献2では、A/Fセンサ取付部の底面にサージタンクの壁面を伝わって流れるオイルや水分をせき止めるための環状凸部が設けられているが、A/Fセンサの下部は環状凸部よりサージタンクの内部空間側に突出しており、サージタンクの壁面を伝わって流れるオイルや水分が環状凸部より落下し、吸気ガスに乗ってA/Fセンサの下部に付着する可能性があり、更に、該A/Fセンサの下部は常に吸気の主流に直接晒される状態となっているため、これらオイルや水分のA/Fセンサへの付着防止においては十分とは言えないものである。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、取入れ吸気量を調整する可動弁を有する副室を吸気通路に設け、該副室内中心部にガスセンサを配設することで、吸気に混入した水滴がガスセンサに直接衝突することを防止して、ガスセンサの被水割れを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、内燃機関の吸気通路に取付けられたガスセンサに、該吸気通路を流れる吸気に混入した水滴が付着するのを防止するガスセンサ被水防止構造において、
前記吸気通路の吸気を導入する開口部を有して前記吸気通路に配設された副室と、
該副室内の中心部に配設されたガスセンサと、
前記副室内の副室内壁面と、前記ガスセンサとの間に前記副室に導入された吸気を副室内壁面に沿って旋回させるガイド部材と、
前記開口部に回動可能に軸支されて、前記吸気通路を流れる吸気量が少ないときは、前記開口部の流路面積を拡大し、前記吸気通路を流れる吸気量が多いときは、前記開口部の流路面積を縮小し、前記副室への吸気導入量を、吸気通路を流れる吸気量に対応して調整するベーン部材と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このように、ベーン部材によって、吸気通路を流れる吸気量に対応して副室への吸気導入量が調整され、ガスセンサが検知するための必要量の吸気を副室内に導入することができ、ガスセンサの検知信頼性が向上すると共に、ガイド部材によって吸気を副室内壁面に沿って旋回するようにしたので、吸気に含まれている水滴を分離させて、該水滴を副室内壁面に付着させて、ガスセンサの被水防止を図ることによりガスセンサの耐久性向上が図れる。
更に、ガイド部材によって吸気を副室内壁面に沿って旋回するようにしたので、外周部に付着した水滴が再び、副室中心部(ガスセンサ)へもどることを防止できる。
【0011】
また、本発明において好ましくは、前記副室内の前記ガイド部材と前記ガスセンサとの間に、該ガスセンサの外周面と隙間を有して、前記ガスセンサの重力方向上側位置に、該ガスセンサを覆うように延在する第1保護部と、該第1保護部に連続すると共に、前記開口部に対向した位置に配設され、該開口部から導入された吸気を前記副室内壁面側にガイドする第2保護部とを備えたガスセンサ保護部材を配設するとよい。
【0012】
このような構成にすることにより、第2保護部材と回動可能なベーン部材とを対向させることで、吸気通路を流れる吸気量が少ないときは、ベーン部材を開いて副室内ガス流量を増加するとともに、第2保護部と回動可能なベーン部材間の流路面積を狭くして吸気流速を高めて、吸気からの水滴分離効果を向上させる。
【0013】
一方、吸気通路を流れる吸気量が多いときは、ベーン部材を閉じて余分な水滴の侵入を防ぐとともに、第2保護部と回動可能なベーン部材間の流路面積を広くして吸気流速を抑えて、副室内壁面に衝突した水滴が跳ね返り、外周部へ追いやった水滴が再び中心へ戻るのを防止して、ガスセンサの被水を減少させる。
更に、第1保護部は、エンジン停止後に吸気の流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内壁面上側に付着した水滴が落下して、ガスセンサが被水するのを防止する。
【0014】
また、本発明において好ましくは、前記開口部の吸気通路上流側の該吸気通路壁面には、前記副室への吸気導入を容易にするため、前記開口部端縁側を前記副室中心側へ傾斜させた導入傾斜面を設けるとよい。
【0015】
このように、開口部上流側の吸気通路壁面に導入傾斜面を設けたので、吸気が副室内に導入し易くなり、ガスセンサの誤検出及び、応答遅れを回避することができる。
【0016】
また、本発明において好ましくは、前記副室の重力方向下面側は、前記開口部に向け且つ、重力方向下側へ傾斜した排水部を設けるとよい。
【0017】
このような構成にすることにより、エンジン停止後に吸気の流れが停止し,副室内の旋回流が発生しなくなった場合に、副室内壁面上側に付着した水滴が落下して排水部を介して吸気通路に排水されるので、副室内のガスセンサが被水するのを防止できる。
【0018】
また、本発明において好ましくは、前記開口部の吸気通路下流側端縁部には、前記副室の吸気旋回中心軸線方向略全域に亘り前記ベーン部材の吸気通路下流側端縁部が前記副室と反対側に回動するのを防止するストッパ部材を設けるとよい。
【0019】
このような構成にすることにより、ベーン部材の開度を制限すると共に、吸気通路の吸気流量が少ないときに、ベーン部材の吸気通路下流側端縁部から副室内の吸気が吸出されるのを防止する。
【0020】
また、本発明において好ましくは、前記副室は前記開口部が前記吸気通路壁面に設けられ、該吸気通路の壁面から外方へ膨出して形成されるとよい。
【0021】
このような構成にすることにより、副室が吸気通路内から外方へ膨出しているので、副室による吸気抵抗が少なく、内燃機関の出力への影響が小さい。
【0022】
また、本発明において好ましくは、前記副室は中空円筒状で前記吸気通路壁面から、前記吸気通路中央側へ突出し、該中空円筒状の突出の先端部が開放されていると共に、前記開口部と前記ベーン部材は前記吸気通路上流側に配設されているとよい。
【0023】
このような構成にすることにより、副室が吸気通路内に配設されているため、吸気通路の周囲に配置される他の部品との干渉を考慮しなくてよいため、吸気通路のレイアウトが容易となる。
【0024】
また、本発明において好ましくは、前記副室の副室内壁には前記突出の基端部から前記先端部まで螺旋状の排水ガイド部が設けられるとよい。
【0025】
このように、副室内壁に螺旋状のガイド溝が設けられているので、副室内に付着した水滴が吸気の旋回流によってガイド溝に沿って吸気通路内に排出されるため、ガスセンサが被水するのをさらに防止できる。
【0026】
また、本発明は、前述したガスセンサ被水防止構造に適用されてガスセンサの被水防止を行う内燃機関のガスセンサ被水防止方法であって、吸気通路に設けられたエアーフローセンサにて新気吸気量を検出するステップと、エンジン回転数と負荷から低圧EGR量と、高圧EGR量を予め設定したマップから算出するステップと、吸気通路を流れる前記新気吸気量、低圧EGR量及び、高圧EGR量を加算して総吸気量を求めるステップと、総吸気量とベーン開度との関係を予め設定したマップを用いて、総吸気量からベーン開度を算出するステップと、該ベーン開度の算出値に基づいてベーン部材の駆動装置にベーン開度の信号を出力するステップとを備えたことを特徴とする。
【0027】
このようなガスセンサ被水防止方法によると、ベーン開度を、吸気通路を流れる吸気流量に応じて調整するので、水滴が副室内に侵入するのを防止するとともに、ガスセンサが検知するための必要量の吸気を副室内に導入することができ、ガスセンサの検知信頼性の向上および、ガスセンサの被水防止によるガスセンサの耐久性向上が図れる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、吸気通路を流れる吸気の吸気量に対応してガイド部材の開度を調整することにより、ガスセンサが検知するための必要量の吸気を副室内に導入して、ガスセンサの検知信頼性を向上すると共に、ガイド部材によって吸気を副室内壁面に沿って旋回するようにしたので、吸気に含まれている水滴を分離させて、該水滴を副室内壁面に付着させて、ガスセンサの被水防止を図ることによりガスセンサの耐久性向上を図る。
更に、ガイド部材によって吸気を副室内壁面に沿って旋回するようにしたので、外周部に付着した水滴が再び、副室中心部(ガスセンサ)へもどることを防止できる。
また、ガスセンサ保護部材を配設したので、エンジン停止後に吸気の流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内壁面上側に付着した水滴が落下して、ガスセンサが被水するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】車両に搭載されたディーゼルエンジンに本発明を適用した全体構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態における図1のA−A断面図を示す。
【図3】(A)は図2のY部の部分拡大詳細図で吸気が下方から上方へ流れる場合で、吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示す。
【図4】(A)は図3(A)のD矢視を示し、(B)は図3(A)のF矢視を示す。
【図5】(A)は本発明の第2実施形態における図2のY部の部分拡大詳細図で吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示す。
【図6】図5(A)のE−E断面を示す。
【図7】本発明の第3実施形態における図2のY部相当部の概略斜視図を示す。
【図8】(A)は第3実施形態における吸気が下方から上方へ流れる場合の吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示す。
【図9】(A)は第4実施形態における吸気が上方から下方へ流れる場合の吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示す。
【図10】第4実施形態における副室の変形例の斜視図を示す。
【図11】ベーン駆動の制御フロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0031】
車両に搭載されたディーゼルエンジン10(以後「エンジン10」と略称する)に本発明を適用した全体構成を図1〜図2に基づいて説明する。図1に示す本実施形態のエンジン10において、シリンダブロック12の上部にシリンダヘッド14が設けられている。シリンダヘッド14には、シリンダブロック12内を往復運動するピストン13とシリンダヘッド14とで形成される燃焼室15の中央(各シリンダの中央)に燃料を噴射する燃料噴射装置16が設けられ、シリンダヘッド14の燃料噴射装置16の両側に、吸気導入部及び排ガス排出部が設けられている。該吸気導入部は、吸気マニホールド17を介して第2吸気管18に接続され、該排ガス排出部は、排気マニホールド19を介して第1排気管20に接続されている。
【0032】
第2吸気管18及び第1排気管20の途中に、第2吸気管18に設けられたコンプレッサ及び第1排気管20に設けられた排気タービンからなる過給機22が設けられている。過給機22より下流側の第2排気管21には、ディーゼル・パーティキュレート・フィルタを備えた排ガス浄化装置24が設けられている。過給機22の上流側の第1排気管20と過給機22の下流側の第2吸気管18とを接続する高圧EGR管26と、高圧EGR管26に介設され、EGRガスを浄化する触媒装置28と、高圧EGR管26の出口部に設けられ、高圧EGR管26を流れるEGRガスの流量を調節可能な高圧EGRバルブ30とからなる高圧EGR装置32が設けられている。
【0033】
過給機22の吸気系上流側には、過給機22の下流側の第2排気管21と過給機22の上流側の第1吸気管23とを接続する低圧EGR管34と、低圧EGR管34に介設された低圧EGRクーラ36と、低圧EGR管34の出口部に設けられ、低圧EGR管34を流れるEGRガスの流量を調節可能な低圧EGRバルブ37とからなる低圧EGR装置38が設けられている。
【0034】
過給機22の下流側の第2吸気管18には、吸気を冷却するインタークーラ40が設けられている。上流側の第1吸気管23の入口23aには、フィルタ装置42と、フィルタ装置42の下流側に、吸気流量を検出するエアーフローセンサ44及び、吸気温度センサ46が設けられている。また、これらセンサの下流側の第1吸気管23及びインタークーラ下流側の第2吸気管18に、シリンダ内に吸引される吸気量を調節する吸気スロットル弁50及び52が設けられている。各吸気マニホールド17には、吸気温度センサ54、吸気圧力を検出するブーストセンサ56及び空燃比センサ(以後A/Fセンサと称す)58が設けられている。
【0035】
エンジン10の運転開始で、排ガスeによって過給機22の排気タービンが駆動され、過給機22のコンプレッサによって大気が上流側の第1吸気管23に吸引される。また、前記各センサ類から検出信号がECU60に入力される。ECU60は、これらの検出信号に応じて、吸気スロットル弁50、52、EGRバルブ30、36、燃料噴射装置16、及びインタークーラ40に設けられたシャッタ装置(図示省略)及び電動ファン(図示省略)等を制御する。
【0036】
かかる構成において、中低負荷時には、高圧EGR装置32で多量の排ガスを第2吸気管18に再循環させ、排ガス中NOx量を低減する。高負荷時には、低圧EGR装置38から少量の排ガスを比較的高精度で第2吸気管18に再循環させ、排ガス中のNOx量を低減する。ECU60は、各センサからの検出信号に応じて、過給圧、低圧EGR装置38及び高圧EGR装置32から導入されるEGRガス量、燃料噴射装置16の燃料噴射量、噴射時期を制御する。これによって、排ガス中のNOx量を最小限に抑えることができる。
なお、過給圧は、可変ベーンを備えた過給機の可変ベーンの角度調節、又はウェイストゲートを備えた過給機のウェイストゲートの開度調節等によって調節される。
【0037】
なお、吸気の水蒸気含有可能量は、一般的に吸気aの圧力と温度に影響され、例えば、吸気aの圧力が低減すると増加し、吸気aの圧力が増加すると、減少する。また、吸気aの温度が低いと、減少し、吸気aの温度が高いと、増加する。また、水蒸気含有可能量Wmに対する影響は、圧力より温度のほうが大きい。
【0038】
従って、燃料が燃焼したとき、水が生成されるため、EGRガスの含有水蒸気量は新気より多い。また、EGRガスの温度は高いため、水蒸気含有可能量は新気より多くなる。従って、EGRガスが混合した後の吸気aの水蒸気量は、新気及びEGRガスに含まれる水蒸気量が合計される。過給機22によって過給された後、吸気aの圧力は上昇するが、温度も上昇するため、水蒸気含有可能量は若干多くなる。その後、吸気aがインタークーラ40で冷却されると、水蒸気含有可能量が減少し、吸気aの含有水蒸気量と水蒸気含有可能量との差が凝縮水生成量となる。
このようにして、吸気中に生成された凝縮水は、吸気aと伴に吸気通路62aを形成するサージタンク62を通過して吸気マニホールド17から燃焼室へ吸入される。これらの凝縮水がA/Fセンサ58等に付着する。
【0039】
(第1実施形態)
図3及び図4に基づいて、本発明の第1実施形態について説明する。
図3(A)は図2のY部の部分拡大詳細図で吸気が下方から上方へ流れる場合で、吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示す。
図4(A)は図3(A)のD矢視を示し、(B)は図3(A)のF矢視を示す。
尚、図4(B)は図が複雑になるため、ガイド部材とガスセンサ保護部材を省略して示してある。
吸気aはサージタンク62の吸気通路62aを重力方向下側から上方へ流れ、吸気マニホールド17に入り、該吸気マニホールド17の分岐管17aからエンジン10の各燃焼室15に導入される。
【0040】
副室63は、吸気通路62aを形成する通路壁面62bに開口部63aが配設され、該開口部63aに連続して吸気通路62aの外方に突出した円筒状(環状)の副室内壁面63bによって空間部63sが形成され、該円筒状の空間部63sの中心軸線CLが水平方向になるように形成されている。
そして、円筒状の中心軸線CL近傍に、該中心軸線CLに沿ってガスセンサであるA/Fセンサ58が配設されている。
また、図4(B)は、図3(A)のF矢視図を示し、A/Fセンサ58は副室63の側壁面63eから水平方向へ向けた状態で配置されている。
そして、A/Fセンサ58の先端部58aは反対側の側壁面63fに対し隙間を有して配置されている。
【0041】
開口部63aの吸気通路62aの上流側には、空間部63sに吸気aが導入され易くする導入傾斜面63cが形成されている。
導入傾斜面63cの傾斜角度θ1は、吸気通路62aの通路壁面62bから吸気通路62aの外方(副室63の空間部63s中心方向)へ傾斜させたものである。
傾斜角度θ1は、吸気通路62aから導入する吸気流が後述するガスセンサ保護部材77の第2保護部材77bと、開口部63aに回動可能に軸支される後述するベーン部材80との間を通過するように設定される。
本実施形態では約13°の傾斜面とした。傾斜角度を大きくすると副室63内での旋回流が乱れるし、小さくすると吸気導入効果が少なくなる。
【0042】
空間部63sにおいて、A/Fセンサ58の周囲には、該A/Fセンサ58と間隔を有して、開口部63aから導入された吸気aが副室内壁面63bに衝突するように配設されたガイド部材75がA/Fセンサ58を取囲むように配置されている。
更に、A/Fセンサ58とガイド部材75との間にはA/Fセンサ58及びガイド部材75夫々と隙間を有してガスセンサ保護部材77が配設されている。
【0043】
ガイド部材75及び、ガスセンサ保護部材77は、A/Fセンサ58を副室63に取付ける取付け部に、A/Fセンサ58の取付と共締めにて固定されている。
ガイド部材75及び、ガスセンサ保護部材77の長さはA/Fセンサ58の軸線方向長さの略2/3程度になっている。(ガイド部材75及び、ガスセンサ保護部材77の取付け状況は図6に同じ。)
【0044】
また、ガスセンサ保護部材77は、A/Fセンサ58の重力方向上側位置に該A/Fセンサ58を覆うように配設された第1保護部77aと、該第1保護部77aに連続すると共に、開口部63aに対向した位置に配設された第2保護部材77bとで構成されている。
【0045】
これは、導入された吸気aに混入されている水滴が副室内壁面63bに衝突し、跳ね返った水滴がA/Fセンサ58に付着しないようにするものである。
そして、第1保護部77aはエンジン停止後に吸気aの流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合、副室内壁面63b上側に付着した水滴が落下して、排水部を介して吸気通路に排水されるので、副室内のガスセンサの被水を防止できる。
更に、第2保護部材77bは吸気通路62aから導入された吸気に含まれる水滴がA/Fセンサ58に付着しないようにすると共に、後述するベーン部材80と協働して吸気aの流速を調整するものである。
【0046】
更に、開口部63aの吸気通路62a上流側は、該吸気通路62aの上流側(重力方向下側)へ傾斜角度θ2を有した排水部である排水傾斜面63dが形成されている。
排水傾斜面63dには、副室内壁面63bに付着した水滴が吸気aの流れに押されて空間部63sの排水傾斜面63dに到達し、再び、水滴は排水傾斜面63dから吸気aと伴に吸気通路62aに戻っていく。
また、エンジン10停止後に吸気の流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内壁面63bの上側に付着した水滴が落下して、排水部を介して吸気通路62aに排水されるので、空間部63s内の水滴がなくなり、A/Fセンサ58の被水防止がより効果的になる。
【0047】
開口部63aには、吸気通路62aを流れる吸気量にともなって副室63の空間部63sに導入する吸気量を一定量確保するため、吸気導入量を調整するベーン部材80が配設されている。
図4(A)に示すように、ベーン部材80は、開口部63aに軸部材80bによって回動可能に軸支されている。ベーン部材80の翼片80aは吸気通路62aの流通方向の中間部に軸部材80bを介して装着されている。
軸部材80bはECU60からの信号に基づいてベーン部材80のベーン開度を制御されるようになっている。
ステッパモータ81は吸気通路62aを流れる吸気量が少ないときは、開口部63aの流路面積を拡大して、空間部63sに導入する吸気量の必要量を確保するように作動する。
【0048】
ステッパモータ81の駆動制御について、図11に基づいて説明する。
エンジン1を稼働させると、ステップS1でスタートし、ステップS2において、エアーフローセンサ44にて新気吸気量L1を検出する。ステップS3において、エンジン回転数(rpm)及び、負荷(エンジン運転状態、即ち、アクセル開度)に基づいて、予め設定されたマップから低圧EGR量L2及び高圧EGR量L3を算出する。ステップS4において吸気通路62aを流れる総吸気量Ls=新気吸気量L1+低圧EGR量L2+高圧EGR量L3が算出される。ステップS5において、ECU60内にて総吸気量Lsとベーン開度との関係マップからベーン開度θtを算出する。ステップS6にてECU60からステッパモータ81にベーン開度θtの信号を出力する。ステップS7において、ステッパモータ81はベーン部材80を信号に基づいた角度だけ開閉操作する。ステップS8にてリターンして、吸気量の変化に基づいて、上記の制御を繰返す。
尚、本実施形態では、ステッパモータを使用したが、ベーン開度θtを検知する開度センサの検知角度が目標開度になるまで、ECU60からDCモータへ駆動電流を発信するようにしてもよい。
【0049】
ベーン部材80は、図3(A)に示すように、吸気通路62aを流れる吸気量が多い時は、開口部63aの流路面積S1を縮小して、空間部63sに導入する吸気量を必要量に抑制する。
即ち、ベーン部材80は開口部63aを閉じる位置に操作されると、ベーン部材80の吸気上流側と開口部63aの上流側との流路面積S1が小さくなり、空間部63sへの吸気導入量は抑制される。
一方、ベーン部材80の下流側と第2保護部材77bとの間の流路面積S2はS2>S1となり、吸気aのガイド部材75への流速を和らげ、副室内壁面63bに付着している水滴を離脱させるのを防止している。すなわち、副室内壁面63bに衝突した水滴が跳ね返り、外周部へ追いやった水滴が再び中心へ戻るのを防止して、ガスセンサの被水を減少させている。
【0050】
また、図3(B)に示すように、吸気通路62aを流れる吸気量が少ない時は、開口部63aの流路面積S1を拡大して、空間部63sに導入する吸気量を必要量確保する。
即ち、ベーン部材80は開口部63aを開く位置に操作されると、ベーン部材80の吸気上流側と開口部63aの上流側との流路面積S1が大きくなり、空間部63sへの吸気導入量は増大される。
一方、ベーン部材80の下流側と第2保護部材77bとの間の流路面積S2はS2<S1となり、吸気aのガイド部材75への流速を増加させて、吸気aに含まれる水滴の分離を促進させて、副室内壁面63bに付着させることによりA/Fセンサ58の被水を防止している。
このようにして、吸気通路62aを流れる吸気量が少ないときは空間部63sに導入する吸気量の必要量を確保することにより、A/Fセンサ58のセンサ精度を確保すると共に、吸気通路62aを流れる吸気量が多いときは、よけいな水滴を空間部63sに導入しないようにしてA/Fセンサ58の被水による破損を効果的に防止することができる。
【0051】
73はストッパ部材で、開口部63aの吸気通路下流側端縁部に副室63の吸気旋回中心軸線方向略全域に亘り配設されている。該ストッパ部材73はベーン部材80の吸気通路下流側端縁部が吸気通路62a側に(副室63と反対側)回動するのを防止すると共に、吸気の低流量時、ベーン部材80の吸気通路下流側から空間部63sに吸気aが侵入するのを防止するものである。
【0052】
このような構造にすることにより、吸気通路62aを流れる吸気量に対応してベーン部材80を駆動して副室63内に流入する吸気量を調整することにより、A/Fセンサ58が検知するための必要量の吸気aを副室63内に導入して、ガスセンサの検知信頼性を向上すると共に、ガイド部材によって吸気aを副室内壁面に沿って旋回するようにしたので、吸気aに含まれている水滴を分離させて、該水滴を副室内壁面63bに付着させて、ガスセンサの被水防止を図ることによりガスセンサの耐久性向上が図れる。
【0053】
更に、副室63内の重力方向下側を吸気通路62a側に向け下方へ傾斜させた排水傾斜面63dを設けたので、エンジン10停止後に吸気aの流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内壁面63bの上側に付着した水滴が落下して、排水傾斜面63dを介して吸気通路62aに排水されるので、空間部63s内の水滴がなくなり、A/Fセンサ58の被水防止がより効果的に得られる。
【0054】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図5及び図6に基づいて説明する。
図6は図が複雑になるためガイド部材とガスセンサ保護部材を省略してある。
尚、第2実施形態は吸気aの流れ方向が、第1実施形態が下方から上方向へ流れるのに対し、水平方向に流れる以外は同じなので、エンジンシステムの説明は省略し、同一部品は同一符号を付し説明は省略する。
【0055】
図5(A)は図2のY部の部分拡大詳細図で吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示し、図6は図5(A)のE−E断面を示す。
吸気aはサージタンク62の吸気通路62aを水平方向から吸気マニホールド17に入り、該吸気マニホールド17の分岐管17aからエンジン10の各燃焼室15に吸入される。
該副室65の中心部にはA/Fセンサ58が配置されている。A/Fセンサ58は図6に示すとおり、副室65内の上側(重力方向)から下側に向け装着されている。
【0056】
図5(A)のE−E断面図である図6に示すように、吸気aは吸気通路62aを略水平方向に流れる場合を示している。
副室65は、吸気通路62aを形成する通路壁面62bに開口部65aが配設され、該開口部65aに連続して吸気通路62aの外方に突出した円筒状(環状)の副室内壁面65bによって空間部65sが形成されている。
従って、該円筒状の空間部65sの中心軸線CLが略重力方向になる副室65が形成される。
【0057】
そして、円筒状の中心軸線CL近傍に、該中心軸線CL(重力方向)に沿ってガスセンサであるA/Fセンサ58が配設されている。
そして、A/Fセンサ58の先端部58aは反対側の排水部である排水傾斜面65dに対し隙間を有して配置されている。
排水傾斜面65dは吸気通路62aが下方(重力方向)に傾斜角度θ3を有して形成されている。
従って、エンジン10停止後に吸気aの流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内壁面63bの上側に付着した水滴が落下して、排水部を介して吸気通路62aに排水されるので、空間部63s内の水滴がなくなり、A/Fセンサ58の被水防止がより効果的になる。
【0058】
空間部65sにおいて、A/Fセンサ58の周囲には、該A/Fセンサ58と間隔を有して、開口部65aから導入された吸気aが副室内壁面65bに衝突するように配設されたガイド部材75がA/Fセンサ58を取囲むように配置されている。
更に、A/Fセンサ58とガイド部材75との間にはA/Fセンサ58及びガイド部材75夫々と隙間を有してガスセンサ保護部材79が配設されている。
ガスセンサ保護部材79は、開口部65aから導入された吸気aをガイド部材75に導くと共に、開口部65aの吸気下流側から進入する吸気aに含まれる水滴からA/Fセンサ58の被水を防止する第1保護部79aと、該第1保護部79aに連続して開口部65aに対向した位置に配設された第1保護部79aとで構成されている。
【0059】
開口部65aにaにはベーン部材80及びストッパ部材73が装着されている。ベーン部材80及びストッパ部材73の構造及び、その作用は第1実施形態と同じなので、説明を省略する。
【0060】
開口部65aの吸気通路上流側には、空間部65sに吸気aが導入され易くする導入傾斜面65cが形成されている。
導入傾斜面65cの傾斜角度θ1は、吸気通路62aの通路壁面62bから吸気通路62aの外方(副室65の空間部65s中心方向)へ傾斜させたものである。
傾斜角度θ1は、吸気通路62aから導入する吸気aがガスセンサ保護部材79と、開口部65aに回動可能に軸支されたベーン部材80との間を通過するように設定される。
【0061】
吸気通路62aを流れる吸気量に対応してベーン部材80を駆動することにより、A/Fセンサ58が検知するための必要量の吸気aを副室65内に導入して、ガスセンサの検知信頼性を向上すると共に、ガイド部材75によって吸気aを副室内壁面65bに沿って旋回するようにしたので、吸気aに含まれている水滴を分離させて、該水滴を排水傾斜面65dに付着させて、A/Fセンサ58の被水防止を図ることによりA/Fセンサ58の耐久性向上を図る。
更に、副室65内の下側面を吸気通路62a側に向け下方へ傾斜させた排水傾斜面65dとしたので、エンジン10停止後に吸気aの流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合、副室内壁面65bの上側に付着した水滴が落下して、排水傾斜面65dを介して吸気通路62aに排水されるので、空間部65s内の水滴がなくなり、A/Fセンサ58の被水防止がより効果的に得られる。
【0062】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図7及び図8に基づいて説明する。
尚、第3実施形態は副室が吸気通路内に突出した以外は、第1実施形態と同じなので、エンジンシステムの説明は省略し、同一部品は同一符号を付し説明は省略する。
【0063】
図7は本発明の第3実施形態における図2のY部相当部の概略斜視図を示し、図8(A)は第3実施形態における吸気aが下方(重力方向)から上方へ流れる場合の吸気流量が高流量時を示し、(B)は吸気流量が低流量時を示す。
尚、図7は図が複雑になるため、ガイド部材とガスセンサ保護部材を省略してある。
副室67は吸気管の通路壁面62bから吸気通路62aの中央に向け中空円筒状に突出した形状になっている。
該突出した形状の先端部67dは吸気通路62aに開放された状態となっている。
副室67は、中空円筒状の基部が通路壁面62bに固定され、中空円筒状の中心軸線CL近傍に、ガスセンサであるA/Fセンサ58が該軸線CLに沿って配設されている。副室67を形成する殻部材67eには吸気通路62aから吸気aを導入する開口部67aが形成されている。
【0064】
開口部67aには、該開口部67aから副室67内に導入する吸気量を調整するベーン部材82が開口部67aを閉塞するように配置されている。ベーン部材82は軸部材82bに固着され、該軸部材82bはステッパモータ81に連結している。ステッパモータ81はECU60からの信号に基づいてベーン部材82の翼片82aを操作して、開口部67aの吸気導入の流路面積を調整するようになっている。
【0065】
なお、開口部67aとベーン部材82との隙間は、吸気通路62aを流れる吸気aが高流量時に、ベーン部材82が全閉位置に操作された状態において、A/Fセンサ58が誤検出しない程度の吸気量が副室67内に取入れられるような寸法関係になっている。
【0066】
図8において、吸気aが重力方向下側から上方へ流れる場合、開口部67aは殻部材67eの吸気通路上流側(図8において下側)に配置されている。
空間部67sにおいて、A/Fセンサ58の周囲には、ガイド部材75がA/Fセンサ58を取囲むように配置されている。
更に、A/Fセンサ58とガイド部材75との間にはA/Fセンサ58及びガイド部材75夫々と隙間を有してガスセンサ保護部材77が配設されている。
ガスセンサ保護部材77は、A/Fセンサ58の重力方向上側位置に該A/Fセンサ58を覆うように配設された第1保護部77aと、該第1保護部77aに連続すると共に、開口部67aから導入した吸気aがA/Fセンサ58側に直接流れない位置(開口部68aに近接)まで延在させた第2保護部材77bとで構成されている。
第1保護部77aはエンジン1の停止に伴い、副室内壁面67b及び、ガイド部材75に付着した水滴が落下してA/Fセンサ58が被水するのを防止するものである。
【0067】
吸気aが高流量時には図8(A)に示すとおり、ベーン部材82を閉塞し、吸気aは開口部67aとベーン部材82の隙間から副室67内に導入され、副室67内を旋回しながら副室67の先端部67dから吸気通路62aにもどる。
また、吸気aが低流量時には図8(B)に示すとおり、ベーン部材82を開放し、吸気aは開口部67aから副室67内に導入され、ガイド部材75によって副室67内を旋回しながら副室67の先端部67dから吸気通路62aにもどる。
また、図10に示すように、副室69の副室内壁面69bには、断面が山形形状で螺旋状突起69cの排水ガイド部を設けて、副室内壁面69bに付着した水滴を吸気aの旋回流によって積極的に排出するようにするとよい。
尚、本実施形態では、排水ガイド部断面形状を凸状の山形形状の螺旋条としたが、凹状の螺旋溝状としてもよい。
【0068】
このような構成にすることにより、導入された吸気aに混入されている水滴が副室内壁面63bに衝突し、跳ね返った水滴が第1保護部77aによってA/Fセンサ58が被水するのを確実に防止するものである。
そして、第1保護部77aはエンジン停止後に吸気aの流れが停止し,副室内旋回流が発生しなくなった場合は、副室内壁面上側に付着した水滴が落下して、排水部を介して吸気通路に排水されるので、副室内のガスセンサが被水するのを防止できる。
更に、第2保護部材77bは吸気通路62aから導入された吸気aに含まれる水滴がA/Fセンサ58に付着しないようにするものである。
【0069】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、図9に基づいて説明する。
尚、第4実施形態は第3実施形態に対し、吸気aの流れが重力方向上側から下側に変わる以外同じなので、同一部品は同一符号を付し説明は省略する。
図9において、副室68は中空円筒状の基部が通路壁面62bに固定され、中空円筒状の中心軸線CL近傍に、ガスセンサであるA/Fセンサ58が該軸線CLに沿って配設されている。副室68を形成する殻部材68eには吸気通路62aから吸気aを導入する開口部68aが形成されている。
開口部68aには、開口部68aを閉塞するようにベーン部材82が配置されている。ベーン部材82は軸部材82bを介してステッパモータ81に連結している。ステッパモータ81はECU60からの信号に基づいてベーン部材82の翼部材を操作して、開口部67aの吸気a導入の流路面積を調整するようになっている。
【0070】
吸気aが重力方向上側から下方へ流れる場合、開口部68aは殻部材67eの吸気通路上流側(図9において上側)に配置されている。
更に、A/Fセンサ58とガイド部材75との間にはA/Fセンサ58及びガイド部材75夫々と隙間を有してガスセンサ保護部材78が配設されている。
ガスセンサ保護部材78は、A/Fセンサ58の重力方向上側位置に該A/Fセンサ58を覆うように配設され、A/Fセンサ58の重力方向上側位置を覆い、エンジン1の停止に伴い、副室内壁面68b及び、ガイド部材75に付着した水滴が落下してA/Fセンサ58が被水するのを防止する第1保護部78aと、該第1保護部78aに連続すると共に、開口部68aから導入した吸気aがA/Fセンサ58側に直接流れない位置(開口部68aに近接)まで延在させた第2保護部材78bと、副室内壁面68b及び、ガイド部材75に付着した水滴が落下して、第1保護部78aと第2保護部材78bとの接続部にできる凹部を覆う第3保護部材68cとで構成されている。
吸気通路62aを流れる吸気aが高流量時及び、低流量時のベーン部材82の操作及び吸気aの流れと、その効果は第3実施形態と同じなので、省略する。
【産業上の利用可能性】
【0071】
内燃機関の吸気又は排気通路に装着されるガスセンサが被水して破損するのを防止する被水防止構造として利用できる。
【符号の説明】
【0072】
10 エンジン
24 排ガス浄化装置
38 低圧EGR装置
58 A/Fセンサ(ガスセンサ)
62 サージタンク
62a 吸気通路
62b 通路壁面
63、65、67,68,69 副室
63a、65a、67a,69a 開口部
63b、65b、67b、69b 副室内壁面
63c、65c 導入傾斜面
63d、65d 排水傾斜面(排水部)
69c 螺旋状突起(排水ガイド部)
73 ストッパ部材
75 ガイド部材
77,79 ガスセンサ保護部材
80、82 ベーン部材
a 吸気
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気通路に取付けられたガスセンサに、該吸気通路を流れる吸気に混入した水滴が付着するのを防止するガスセンサ被水防止構造において、
前記吸気通路の吸気を導入する開口部を有して前記吸気通路に配設された副室と、
該副室内の中心部に配設されたガスセンサと、
前記副室内の副室内壁面と、前記ガスセンサとの間に前記副室に導入された吸気を副室内壁面に沿って旋回させるガイド部材と、
前記開口部に回動可能に軸支されて、前記吸気通路を流れる吸気量が少ないときは、前記開口部の流路面積を拡大し、前記吸気通路を流れる吸気量が多いときは、前記開口部の流路面積を縮小し、前記副室への吸気導入量を、吸気通路を流れる吸気量に対応して調整するベーン部材と、を備えたことを特徴とする内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項2】
前記副室内の前記ガイド部材と前記ガスセンサとの間に、該ガスセンサの外周面と隙間を有して、前記ガスセンサの重力方向上側位置に、該ガスセンサを覆うように延在する第1保護部と、該第1保護部に連続すると共に、前記開口部に対向した位置に配設され、該開口部から導入された吸気を前記副室内壁面側にガイドする第2保護部とを備えたガスセンサ保護部材を配設したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項3】
前記開口部の吸気通路上流側の該吸気通路壁面には、前記副室への吸気導入を容易にするため、前記開口部端縁側を前記副室中心側へ傾斜させた導入傾斜面を設けたことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項4】
前記副室の重力方向下面側は、前記開口部に向け且つ、重力方向下側へ傾斜した排水部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項5】
前記開口部の吸気通路下流側端縁部には、前記副室の吸気旋回中心軸線方向略全域に亘り前記ベーン部材の吸気通路下流側端縁部が前記副室と反対側に回動するのを防止するストッパ部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項6】
前記副室は前記開口部が前記吸気通路壁面に設けられ、該吸気通路の壁面から外方へ膨出して形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項7】
前記副室は中空円筒状で前記吸気通路壁面から、前記吸気通路中央側へ突出し、該中空円筒状の突出の先端部が開放されていると共に、前記開口部と前記ベーン部材は前記吸気通路上流側に配設されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項8】
前記副室の副室内壁には前記突出の基端部から前記先端部まで螺旋状の排水ガイド部が設けられていることを特徴とする請求項7記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のガスセンサ被水防止構造に適用されてガスセンサの被水防止を行う内燃機関のガスセンサ被水防止方法であって、
吸気通路に設けられたエアーフローセンサにて新気吸気量を検出するステップと、エンジン回転数と負荷から低圧EGR量と、高圧EGR量を予め設定したマップから算出するステップと、吸気通路を流れる前記新気吸気量、低圧EGR量及び、高圧EGR量を加算して総吸気量を求めるステップと、総吸気量とベーン開度との関係を予め設定したマップを用いて、総吸気量からベーン開度を算出するステップと、該ベーン開度の算出値に基づいてベーン部材の駆動装置にベーン開度の信号を出力するステップと、を備えたことを特徴とする内燃機関のガスセンサ被水防止方法。
【請求項1】
内燃機関の吸気通路に取付けられたガスセンサに、該吸気通路を流れる吸気に混入した水滴が付着するのを防止するガスセンサ被水防止構造において、
前記吸気通路の吸気を導入する開口部を有して前記吸気通路に配設された副室と、
該副室内の中心部に配設されたガスセンサと、
前記副室内の副室内壁面と、前記ガスセンサとの間に前記副室に導入された吸気を副室内壁面に沿って旋回させるガイド部材と、
前記開口部に回動可能に軸支されて、前記吸気通路を流れる吸気量が少ないときは、前記開口部の流路面積を拡大し、前記吸気通路を流れる吸気量が多いときは、前記開口部の流路面積を縮小し、前記副室への吸気導入量を、吸気通路を流れる吸気量に対応して調整するベーン部材と、を備えたことを特徴とする内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項2】
前記副室内の前記ガイド部材と前記ガスセンサとの間に、該ガスセンサの外周面と隙間を有して、前記ガスセンサの重力方向上側位置に、該ガスセンサを覆うように延在する第1保護部と、該第1保護部に連続すると共に、前記開口部に対向した位置に配設され、該開口部から導入された吸気を前記副室内壁面側にガイドする第2保護部とを備えたガスセンサ保護部材を配設したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項3】
前記開口部の吸気通路上流側の該吸気通路壁面には、前記副室への吸気導入を容易にするため、前記開口部端縁側を前記副室中心側へ傾斜させた導入傾斜面を設けたことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項4】
前記副室の重力方向下面側は、前記開口部に向け且つ、重力方向下側へ傾斜した排水部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項5】
前記開口部の吸気通路下流側端縁部には、前記副室の吸気旋回中心軸線方向略全域に亘り前記ベーン部材の吸気通路下流側端縁部が前記副室と反対側に回動するのを防止するストッパ部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項6】
前記副室は前記開口部が前記吸気通路壁面に設けられ、該吸気通路の壁面から外方へ膨出して形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項7】
前記副室は中空円筒状で前記吸気通路壁面から、前記吸気通路中央側へ突出し、該中空円筒状の突出の先端部が開放されていると共に、前記開口部と前記ベーン部材は前記吸気通路上流側に配設されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項8】
前記副室の副室内壁には前記突出の基端部から前記先端部まで螺旋状の排水ガイド部が設けられていることを特徴とする請求項7記載の内燃機関のガスセンサ被水防止構造。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のガスセンサ被水防止構造に適用されてガスセンサの被水防止を行う内燃機関のガスセンサ被水防止方法であって、
吸気通路に設けられたエアーフローセンサにて新気吸気量を検出するステップと、エンジン回転数と負荷から低圧EGR量と、高圧EGR量を予め設定したマップから算出するステップと、吸気通路を流れる前記新気吸気量、低圧EGR量及び、高圧EGR量を加算して総吸気量を求めるステップと、総吸気量とベーン開度との関係を予め設定したマップを用いて、総吸気量からベーン開度を算出するステップと、該ベーン開度の算出値に基づいてベーン部材の駆動装置にベーン開度の信号を出力するステップと、を備えたことを特徴とする内燃機関のガスセンサ被水防止方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−60934(P2013−60934A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201650(P2011−201650)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】
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