説明

内燃機関の吸気量制御装置

【課題】オートクルーズ運転中、吸気リフト可変機構を駆動するエネルギを低減するとともに、吸気量を適切に制御することができる内燃機関の吸気量制御装置を提供する。
【解決手段】本発明のエンジン3の吸気量制御装置1は、オートクルーズ運転状態であると判定されているとき(図5のステップ1)に、目標リフトLIFTINTGTを所定リフトLIFTINREFに保持する(図5のステップ5)ことにより、吸気弁8のリフトを所定リフトLIFTINREFに保持する。これにより、吸気リフト可変機構50を駆動する吸気リフトアクチュエータ70のエネルギを低減し、そのモータの発熱を抑制する。また、オートクルーズ運転中、スロットル弁開度ATHを変更することにより、吸気量を適切に制御する(図5のステップ6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートクルーズ装置を有する内燃機関に吸入される吸気量を制御する内燃機関の吸気量制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内燃機関の吸気量制御装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この内燃機関は、車両に搭載されたものであり、吸気量を制御する手段として、吸気通路に設けられたスロットル弁と、吸気通路のスロットル弁よりも下流側に設けられた機械式の過給機と、吸気通路のスロットル弁よりも下流側から分岐し、過給機をバイパスするバイパス通路と、バイパス通路に設けられたエアバイパスバルブを備えている。また、この内燃機関は、車両の車速を目標車速に保持するオートクルーズ装置を備えている。
【0003】
また、この内燃機関の吸気量制御装置では、内燃機関がオートクルーズ装置によるオートクルーズ運転中の場合、設定された目標車速が所定値以上のときには、エアバイパスバルブを閉じるとともに、過給機を駆動することによって、より大きな吸気量を供給する。一方、目標車速が所定値未満のときには、エアバイパスバルブを開くとともに、過給機を停止することによってバイパス通路を介して、より小さな吸気量を供給する。
【0004】
以上のように、この従来の内燃機関の吸気量制御装置では、オートクルーズ運転中、目標車速が所定値以上であるか否かに応じて、エアバイパスバルブと過給機のいずれかが使い分けられ、目標車速が所定値以上のときには、より大きな吸気量を確保するために過給機が常に駆動される。
【0005】
しかし、このような吸気量制御手法を吸気弁のリフトを連続的に変更可能な可変動弁機構と、吸気通路に配置され、開度を変更することによって吸気量を調整可能な吸気量調整弁とを有する吸気量制御装置に用いた場合には、次のような問題が生じる。すなわち、可変動弁機構を駆動するのに必要なエネルギは、その構造の複雑さから、一般に吸気量調整弁を駆動するエネルギよりも大きい。
【0006】
これに対し、このような吸気量制御装置に従来の制御手法を適用した場合には、オートクルーズ運転中、目標車速が所定値以上のときにより大きな吸気量を確保するために、可変動弁機構による制御が選択される。その結果、オートクルーズ運転中に、駆動エネルギがより大きな可変動弁機構が作動し続けることになるため、エネルギが増大する。また、可変動弁機構が電気式のアクチュエータで駆動される場合には、アクチュエータの発熱量が大きくなってしまう。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、オートクルーズ運転中、可変動弁機構を駆動するエネルギを低減するとともに、吸気量を適切に制御することができる内燃機関の吸気量制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【特許文献1】特開平5−222967号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、車両Cに搭載され、吸気弁8のリフト(吸気リフトLIFTIN)を連続的に変更可能な可変動弁機構(吸気リフト可変機構50)と、吸気通路(吸気管4)に配置され、開度を変更することによって吸気量を調整可能な吸気量調整弁(スロットル弁13a)と、車両Cの車速Vを目標車速VTGTに保持するオートクルーズ運転を実行するオートクルーズ機能を有する内燃機関の吸気量制御装置1であって、可変動弁機構を駆動するアクチュエータ(吸気リフトアクチュエータ70)と、オートクルーズ運転状態であるか否かを判定するオートクルーズ判定手段(ECU2、図5のステップ1)と、オートクルーズ運転状態であると判定されているときに、吸気弁8のリフトの目標となる目標リフトLIFTINTGTを所定リフトLIFTINREFに保持する目標リフト保持手段(ECU2、図5のステップ5)と、目標リフト保持手段により目標リフトLIFTINTGTが所定リフトLIFTINREFに保持されているときに、吸気量調整弁の開度(スロットル弁開度ATH)を変更することにより吸気量を制御する吸気量調整弁制御手段(ECU2、図5のステップ6、THアクチュエータ13b)と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この内燃機関の吸気量制御装置では、アクチュエータにより可変動弁機構を駆動することで、吸気弁のリフトを連続的に変更するとともに、吸気量調整弁の開度を変更することによって、吸気量が制御される。また、オートクルーズ運転状態であるか否かを判定し、オートクルーズ運転状態であると判定されているときには、吸気弁のリフトの目標となる目標リフトを所定リフトに保持する。この目標リフトに基づいてアクチュエータが駆動されることにより、吸気弁のリフトが所定リフトに保持される。アクチュエータにより吸気弁のリフトを保持するのに必要なエネルギは、吸気弁のリフトを変更するのに必要なエネルギよりもはるかに小さい。したがって、上記のように、オートクルーズ運転中、吸気弁のリフトを所定リフトに保持することにより、可変動弁機構を駆動するエネルギを低減することができる。
【0011】
また、オートクルーズ運転状態であると判定されているときには、吸気量調整弁の開度を変更することにより吸気量を制御する。吸気量調整弁による吸気量の制御の応答性は、可変動弁機構のそれよりも低いものの、オートクルーズ運転中は、ほぼ一定の車速で走行するので、吸気量の高い応答性は要求されない。したがって、オートクルーズ運転中、吸気弁のリフトを保持した状態で、吸気量調整弁によって吸気量を適切に制御することができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の吸気量制御装置1において、所定リフトLIFTINREFを、目標車速VTGTにかかわらず、一定値に設定する所定リフト設定手段(ECU2、図5のステップ4)をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、オートクルーズ運転中、吸気弁のリフトが目標車速にかかわらず一定値に設定されるので、オートクルーズ運転中に目標車速が変更されたときにも、吸気弁のリフトを保持したまま、吸気量の応答性がより低い吸気量調整弁の開度を変更することにより吸気量が制御される。したがって、吸気量の応答性がより高い吸気弁のリフトの変更に伴う吸気量の急激な変化によるショックなどを生じることなく、目標車速の変更に応じて車速を滑らかに変更することができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の吸気量制御装置1において、所定リフトLIFTINREFを目標車速VTGTに応じて設定する所定リフト設定手段(ECU2、図5のステップ4、図6)をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、オートクルーズ運転中、吸気弁のリフトが目標車速に応じた所定リフトに保持される。このため、可変動弁機構によって目標車速にほぼ見合った吸気量を確保できるとともに、吸気量調整弁による微調整によって吸気量を適切に制御することができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関の吸気量制御装置1において、アクチュエータは、電気式であることを特徴とする。
【0017】
アクチュエータが電気式の場合には、その駆動エネルギが大きいほど、例えばアクチュエータのモータの発熱量はより大きくなる。したがって、オートクルーズ運転中、吸気リフトを保持するのに伴い、アクチュエータのエネルギを低減することによって、特にそのモータの発熱を効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本実施形態による吸気量制御装置1(図2参照)を適用した内燃機関3を概略的に示している。この内燃機関(以下「エンジン」という)3は、車両Cに搭載された、例えば直列4気筒タイプのガソリンエンジンである。
【0019】
エンジン3のシリンダヘッド3bには、気筒3aごとに、吸気管4および排気管5が接続されるとともに、一対の吸気弁8、8(1つのみ図示)および一対の排気弁9、9(1つのみ図示)が設けられている。吸気弁8は吸気側動弁機構40によって開閉される。
【0020】
図3に示すように、吸気側動弁機構40は、吸気カムシャフト41、吸気カム42および吸気リフト可変機構50などを備えている。本実施形態では、この吸気リフト可変機構50によって吸気弁8のリフトが無段階に変更される。なお、「吸気弁8のリフト(以下「吸気リフト」という)」は、吸気弁8の最大揚程を表すものとする。
【0021】
吸気カムシャフト41は、吸気スプロケットおよびタイミングチェーン(いずれも図示せず)を介して、クランクシャフト3c(図1参照)に連結されており、クランクシャフト3cが2回転するごとに1回転する。
【0022】
吸気リフト可変機構50は、吸気リフトLIFTINを最小リフトLINMIN(値0)と所定の最大リフトLINMAX(図4参照)との間で無段階に変更するものである。その構成は、本出願人が特開2007−100522号公報ですでに提案したものと同様であるので、以下、その概略を簡単に説明する。
【0023】
図3に示すように、吸気リフト可変機構50は、コントロールシャフト51およびロッカアームシャフト52と、これらのシャフト51、52上に気筒3aごとに設けられたロッカアーム機構53と、これらのロッカアーム機構53を同時に駆動する吸気リフトアクチュエータ70(図2参照)などを備えている。
【0024】
このロッカアーム機構53は、リンク54a、ローラ軸54b、ローラ54cおよびロッカアーム55などを備えている。また、吸気リフトアクチュエータ70は、モータおよび減速ギヤ機構(いずれも図示せず)などを組み合わせたものであり、ECU2からの制御入力によって駆動されたときに、コントロールシャフト51を回動させ、それにより、リンク54aをローラ軸54bを中心として回動させる。
【0025】
このリンク54aが図3に実線で示すゼロリフト位置にある場合、吸気カムシャフト41の回転に伴い、吸気カム42によりローラ54cがロッカアームシャフト52側に押圧されると、リンク54aは、コントロールシャフト51を中心として、図3の反時計回りに回動する。その際、ロッカアーム55の案内面55aがコントロールシャフト51を中心とする円弧と一致するような形状を有しているので、バルブスプリングの付勢力により、ロッカアーム55は図3に示す閉弁位置に保持される。それにより、吸気リフトLIFTINは値0に保持され、吸気弁8は閉弁状態に保持される。
【0026】
一方、リンク54aがゼロリフト位置から最大リフト位置(図3の2点鎖線位置)側の位置に回動し、保持されている状態では、吸気カム42の回転により、リンク54aがコントロールシャフト51を中心として図3の反時計回りに回動すると、ロッカアーム55は、バルブスプリングの付勢力に抗しながら、図3に示す閉弁位置から下方に回動し、吸気弁8を開弁する。その際、ロッカアーム55の回動量すなわち吸気リフトLIFTINは、リンク54aが最大リフト位置側に近い位置にあるほど、より大きくなる。
【0027】
以上の構成により、吸気弁8は、リンク54aが最大リフト位置側に近い位置にあるほど、より大きなリフトで開弁する。より具体的には、吸気カム52の回転中、吸気弁8はリンク54aが最大リフト位置にあるときには、図4に実線で示すバルブリフト曲線に従って開弁し、吸気リフトLIFTINは最大リフトLINMAXになる。したがって、この吸気リフト可変機構50では、吸気リフトアクチュエータ70を介して、リンク54aをゼロリフト位置と最大リフト位置との間で回動させることにより、吸気リフトLIFTINを最小リフトLINMIN(値0)と所定の最大リフトLINMAXとの間で無段階に変化させることができる。このように、このエンジン3では、吸気側動弁機構40により、吸気リフトLIFTINが無段階に変更される。
【0028】
エンジン3には、クランク角センサ24が設けられている。クランク角センサ24は、マグネットロータおよびMREピックアップ(いずれも図示せず)で構成されており、クランクシャフト3cの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号およびTDC信号を、ECU2に出力する。
【0029】
このCRK信号は、所定のクランク角ごとに出力される。ECU2は、CRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、TDC信号は、気筒3aのピストン3dが吸気行程開始時のTDC(上死点)付近の所定のクランク角度位置にあることを表す信号であり、本実施形態のような4気筒タイプの場合には、クランク角180°ごとに出力される。
【0030】
また、吸気管4には、スロットル弁機構13が設けられている。スロットル弁機構13は、吸気管4内に回動自在に設けられたスロットル弁13aと、これを駆動するTHアクチュエータ13bを有している。THアクチュエータ13bは、モータとギヤ機構(いずれも図示せず)を組み合わせたものであり、ECU2からの駆動信号で駆動される。それにより、スロットル弁13aの開度(以下「スロットル弁開度」という)ATHが変化することによって、気筒3aに吸入される新気の量(以下「吸気量」という)が制御される。また、スロットル弁開度ATHは、スロットル弁開度センサ23(図2参照)により検出され、その検出信号はECU2に出力される。
【0031】
また、吸気管4のスロットル弁13aよりも下流側には、吸気圧センサ28が設けられている。吸気圧センサ28は、吸気の圧力(以下「吸気圧」という)PBAを検出し、その検出信号はECU2に出力される。
【0032】
また、ECU2には、アクセル開度センサ25、車速センサ26および大気圧センサ27が接続されている。アクセル開度センサ25は、図示しないアクセルペダルの操作量(以下「アクセル開度」という)APを検出し、車速センサ26は、車両Cの車速Vを検出し、大気圧センサ27は大気圧PAを検出し、それらの検出信号はECU2に出力される。
【0033】
また、ECU2には、オートクルーズスイッチ(SW)21と、目標車速VTGTを設定するための目標車速設定スイッチ(SW)22が接続されており、オートクルーズスイッチ21がオンされたときに、検出された車速Vを設定された目標車速VTGTになるように保持するオートクルーズ運転が実行される。
【0034】
ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されている。前述した各種のセンサ23〜28からの検出信号は、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。ECU2は、これらの入力信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムに従って、エンジン3の運転状態を判別するとともに、判別した運転状態に応じて、吸気量制御装置1を含むエンジン3の動作を制御する。
【0035】
なお、本実施形態では、ECU2は、オートクルーズ判定手段、目標リフト保持手段、および吸気量調整弁制御手段に相当する。以下、ECU2で実行される処理について、図面を参照しながら説明する。
【0036】
図5は、ECU2で実行される吸気量制御処理を示す。本処理は、所定時間(例えば10msec)ごとに実行される。まず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、オートクルーズスイッチ21がオンであるか否かを判別する。この答がNOのときには、オートクルーズ運転状態でなく、通常運転状態と判定する。そのときには、ステップ2において、目標吸気量GAIRCMD、エンジン回転数NEおよび大気圧PAに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、目標リフトLIFTINTGTを算出する。このように目標リフトLIFTINTGTが算出されると、それに基づき、吸気リフト可変機構50の吸気リフトアクチュエータ70が駆動されることによって、吸気リフトLIFTINが目標リフトLIFTINTGTに制御される。なお、上記の目標吸気量GAIRCMDは、要求トルクPMCMDに応じて算出される。また、この要求トルクPMCMDは、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって算出される。
【0037】
次に、スロットル弁13aに対して、通常運転用のスロットル弁制御を行い(ステップ3)、本処理を終了する。この通常モード用のスロットル弁制御では、吸気圧PBAと大気圧PAとの差(PBA−PA)である吸気負圧PBが、目標負圧PBCMDになるように、スロットル弁13aの開度を制御する。この目標負圧PBCMDは、エンジン回転数NEに応じて算出される。以上のように、通常運転中には、主として、吸気リフト可変機構50によって吸気量が制御されるとともに、スロットル弁13aによって吸気負圧PBが制御される。
【0038】
一方、上記ステップ1の答がYESで、オートクルーズ運転状態であると判定されているときには、目標車速VTGTに応じ、図6に示す所定リフトマップを検索することによって、所定リフトLIFTINREFを算出する(ステップ4)。次に、算出した所定リフトLIFTINREFを目標リフトLIFTINTGTとして設定する(ステップ5)。そして、設定された目標リフトLIFTINTGTに基づき、吸気リフト可変機構50の吸気リフトアクチュエータ70が駆動されることによって、吸気リフトLIFTINが所定リフトLIFTINREFに保持される。
【0039】
この所定リフトマップでは、所定リフトLIFTINREFは、目標車速VTGTが高いときには、より大きな第1所定値L1に設定され、目標車速VTGTが低いときには、より小さな第2所定値L2に設定されている。また、この所定リフトマップでは、目標車速VTGTに対してヒステリシスが設定されている。具体的には、目標車速VTGTが増加するときには、目標車速VTGTが所定の第1車速VHを上回ったときに、所定リフトLIFTINREFが第1所定値L1に設定され、目標車速VTGTが減少するときには、目標車速VTGTが第1車速VHよりも低い所定の第2車速VLを下回ったときに、所定リフトLIFTINREFが第2所定値L2に設定される。
【0040】
次に、スロットル弁13aに対して、オートクルーズ運転用のスロットル弁制御を行う(ステップ6)ことによって、吸気量を制御するようにし、本処理を終了する。このオートクルーズ運転用のスロットル弁制御では、目標吸気量GAIRCMD、エンジン回転数NEおよび大気圧PAに応じて、スロットル弁開度ATHを制御する。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、オートクルーズ運転状態であると判定されたときに、目標リフトLIFTINTGT、すなわち吸気リフトLIFTINを所定リフトLIFTINREFに保持する(図5のステップ5)ので、吸気リフト可変機構50を駆動する吸気リフトアクチュエータ70のエネルギを低減できるとともに、吸気リフトアクチュエータ70のモータの発熱を効果的に抑制することができる。また、スロットル弁開度ATHを変更することにより吸気量を制御する(図5のステップ6)ので、吸気量を適切に制御することができる。
【0042】
また、所定リフトLIFTINREFを目標車速VTGTに応じて設定する(図5のステップ4)ので、吸気リフト可変機構50によって目標車速VTGTにほぼ見合った吸気量を確保するとともに、スロットル弁13aによる微調整によって吸気量を適切に制御することができる。
【0043】
図7は、図5のステップ4で用いられる所定リフトマップの変形例を示す。この所定リフトマップでは、所定リフトLIFTINREFは、目標車速VTGTにかかわらず、一定の第3所定値L3に設定されている。この変形例によれば、オートクルーズ運転中に目標車速VTGTが変更されたときにも、吸気リフトLIFTINを保持したまま、吸気量の応答性がより低いスロットル弁13aの開度を変更することによって、吸気量が制御される。したがって、吸気量の応答性がより高い吸気リフトLIFTINの変更に伴う吸気量の急激な変化によるショックなどを生じることなく、目標車速VTGTの変更に応じて車速Vを滑らかに変更することができる。
【0044】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、可変動弁機構として、カムとロッカーアームなどの組み合わせによって構成された吸気リフト可変機構50を用いたが、これに限らず、吸気リフトを変更できるものであれば、他の任意の構成のものを用いてもよい。
【0045】
また、実施形態では、吸気リフトアクチュエータ70が電気式であるが、油圧式の吸気リフトアクチュエータを用いてもよい。この場合、例えば吸気リフトアクチュエータを駆動する油圧を発生させる油圧ポンプが、エンジン3によって駆動される場合には、オートクルーズ運転中、吸気リフトLIFTINを保持することによって、エンジン3への負荷を低減することができ、燃費を向上させることができる。
【0046】
また、図6の所定リフトマップでは、所定リフトLIFTINREFは、目標車速VTGTの増大に応じてステップ状に増大するように設定されているが、連続的に増大するように設定してもよい。
【0047】
また、実施形態は、本発明を車両に搭載されたガソリンエンジンに適用した例であるが、本発明は、これに限らず、ガソリンエンジン以外のディーゼルエンジンなどの各種のエンジンに適用してもよく、また、車両用以外のエンジン、例えば、クランク軸を鉛直に配置した船外機などのような船舶推進機用エンジンにも適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態による吸気量制御装置を適用した内燃機関を概略的に示す図である。
【図2】吸気系の制御装置のブロック図である。
【図3】吸気側動弁機構の概略構成を示す模式図である。
【図4】吸気リフト可変機構による吸気リフトの変更に応じた吸気弁のバルブリフト曲線を示す図である。
【図5】吸気量制御処理を示すフローチャートである。
【図6】所定リフトマップの一例を示す図である。
【図7】所定リフトマップの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 吸気量制御装置
2 ECU(オートクルーズ判定手段、目標リフト保持手段、
吸気量調整弁制御手段)
4 吸気管(吸気通路)
3 エンジン(内燃機関)
8 吸気弁
13a スロットル弁(吸気量調整弁)
13b THアクチュエータ(吸気量調整弁制御手段)
50 吸気リフト可変機構(可変動弁機構)
70 吸気リフトアクチュエータ(アクチュエータ)
C 車両
V 車速
VTGT 目標車速
LIFTIN 吸気リフト(吸気弁のリフト)
LIFTINTGT 目標リフト
LIFTINREF 所定リフト
ATH スロットル弁開度(吸気量調整弁の開度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、吸気弁のリフトを連続的に変更可能な可変動弁機構と、吸気通路に配置され、開度を変更することによって吸気量を調整可能な吸気量調整弁と、前記車両の車速を目標車速に保持するオートクルーズ運転を実行するオートクルーズ機能を有する内燃機関の吸気量制御装置であって、
前記可変動弁機構を駆動するアクチュエータと、
前記オートクルーズ運転状態であるか否かを判定するオートクルーズ判定手段と、
前記オートクルーズ運転状態であると判定されているときに、前記吸気弁のリフトの目標となる目標リフトを所定リフトに保持する目標リフト保持手段と、
当該目標リフト保持手段により前記目標リフトが前記所定リフトに保持されているときに、前記吸気量調整弁の開度を変更することにより吸気量を制御する吸気量調整弁制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の吸気量制御装置。
【請求項2】
前記所定リフトを、前記目標車速にかかわらず、一定値に設定する所定リフト設定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の吸気量制御装置。
【請求項3】
前記所定リフトを前記目標車速に応じて設定する所定リフト設定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の吸気量制御装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは電気式であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関の吸気量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−144671(P2010−144671A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324952(P2008−324952)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】