説明

内燃機関の2次空気供給装置、ならびにそれを備える車両

【課題】2次空気供給装置4において、その内部に発生する凝縮水を、弁装置23の設置場所に関係なく、簡単に排気通路2b,6側へ排出させることを可能とし、上記従来例の不具合を解消可能とする。
【解決手段】2次空気供給装置4は、内燃機関の排気通路2b,6の触媒10よりも上流側に2次空気を導くための2次空気供給通路21と、2次空気供給通路21の上流に配置されかつ必要に応じて外気を吸引して2次空気供給通路21の下流側へ送出するエアポンプ22と、2次空気供給通路21を開閉するための弁装置23と、2次空気供給通路21において弁装置23と排気通路2b,6との間に配置される凝縮水の貯留部15と、貯留部15内の凝縮水を2次空気と共に排気通路2b,6側へ送る送出手段16とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関(以下、エンジンともいう)の2次空気供給装置、ならびにそれを備える車両に関する。
【0002】
なお、前記車両は、前記2次空気供給装置と、吸気通路の途中に設けられるとともに内燃機関の上部に配置されて衝撃印加時に変形して前記衝撃を吸収する構造のサージタンクとを備える構成である。
【背景技術】
【0003】
車両等に搭載される内燃機関においては、一般的に、排気通路に酸化機能を有する触媒(例えば三元触媒)を配置し、排気ガス中のCO(一酸化炭素)、HC(ハイドロカーボン)、NOx(窒素酸化物)成分を低減して、排気ガスの浄化を行う排気浄化装置が設けられている。
【0004】
また、このような排気浄化装置を備えた内燃機関には、その冷間始動時等のように触媒がまだ活性化されていない期間において排気ガスの浄化機能を促進するために、内燃機関の排気系に2次空気を供給する2次空気供給装置(AI:Air Injection System)が設けられている。
【0005】
詳しくは、内燃機関の2次空気供給装置は、排気通路において触媒より上流側に2次空気を供給して酸素濃度を高くすることによって、排気ガス中のCO、HCを2次燃焼(後燃え)させて排気ガスの浄化を促進させるとともに、2次燃焼により触媒を速やかに昇温させて早期に活性状態とするものである。
【0006】
この2次空気供給装置は、主として、排気通路において触媒より上流側に2次空気を供給するための2次空気供給通路と、この2次空気供給通路を開閉するための弁装置と、外気を吸引して2次空気供給通路に送り込むためのエアポンプとを含む構成である。弁装置は、開閉弁および逆止弁をケース内に組み込んだ構成である。
【0007】
2次空気供給装置の動作は、簡単に言えば、内燃機関の冷間始動時に、エアポンプを駆動するとともに、開閉弁および逆止弁を開弁させて、2次空気を排気通路に送り込むようにしている。
【0008】
ところで、内燃機関の運転停止後には、2次空気供給通路内に残留する2次空気や逆流した排気ガス等が冷却されることにより、2次空気供給通路内で、前記2次空気や排気ガス内に含まれる水分が凝縮された酸性の凝縮水を発生することが知られている。
【0009】
仮に、この凝縮水が、弁装置内部に滞留すると、当該弁装置内部に設けられる非金属製の構成要素(ゴムシール等)を経時的に腐食劣化させてしまうおそれがある。
【0010】
そこで、排気通路に対する2次空気供給通路の連結部分よりも、弁装置を高い場所に設置することにより、凝縮水を弁装置より下流側の2次空気供給通路へ排出させやすくすることが考えられる。
【0011】
その場合、2次空気供給通路内に凝縮水が滞留することになるが、その場合には、2次空気供給通路を構成する金属製または合成樹脂製のパイプが経時的に腐食劣化されるおそれがある。
【0012】
これに対しては、例えば特許文献1に示されているように、2次空気供給通路を耐蝕性の優れたステンレス鋼等で形成することや、2次空気供給通路に防錆処理を施すことが考えられている。
【0013】
この特許文献1に係る従来例は、2次空気供給通路に溜まる凝縮水によって2次空気供給通路が腐食されにくくする技術であり、製造コストの高騰を余儀なくされる。
【0014】
ところで、凝縮水を強制的に排気通路側へ排出させる技術として、特許文献2,3がある。
【0015】
特許文献2は、内燃機関の排気管(エキゾーストマニホールド)にエアポンプから吸入送出される外気を2次空気として供給する2次空気供給装置において、内燃機関の完全暖機後にエアスイッチングバルブを開き、エアポンプを作動させることにより、2次空気供給通路内を強制掃気することにより、当該通路内の凝縮水を排気管へ排出する他、エアポンプを停止した状態のままでエアサクションによる掃気を実行することにより、通路内の凝縮水を排気管へ排出させるようになっている。
【0016】
特許文献3は、内燃機関のシリンダヘッドの排気ポートにエアポンプから吸入送出される外気を2次空気として供給する2次空気供給装置において、シリンダヘッド内部において排気ポートより上方に設けられるデリバリ通路(2次空気供給通路の一部)の底部に凝縮水の貯留部を設け、内燃機関の停止後に前記2次空気供給通路に発生する凝縮水を前記貯留部に貯留させるようにするとともに、内燃機関の始動に伴う温度上昇により前記貯留部内の凝縮水を蒸発させて連通路(2次空気供給通路の一部)から排気ポートに少量ずつ排出させるようになっている。
【特許文献1】特開平8−218858号公報
【特許文献2】特開2003−227331号公報
【特許文献3】特開2006−312909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記特許文献2に係る従来例では、まず、内燃機関の完全暖機後に、2次空気供給装置を構成する各要素(エアスイッチングバルブや2次空気供給通路)の内部を掃気することにより、当該内部に凝縮水を発生させないようにするものであって、次のような懸念事項が挙げられる。
【0018】
つまり、この特許文献2に係る従来例の場合、掃気によって2次空気供給装置内の凝縮水が排気管へ一気に排出されるようになるために、排気管に設置される空燃比センサや触媒に凝縮水が直接かかることになる等、当該空燃比センサや触媒に悪影響を及ぼすことが懸念される。
【0019】
一方、特許文献3に係る従来例では、2次空気をシリンダヘッドの排気ポートに供給する形態であって、シリンダヘッド内部に形成されるデリバリ通路の下方の貯留部内に発生した凝縮水を、内燃機関の運転中の熱で蒸発させて排気ポートへ排出させるようにしているので、先の特許文献2に係る従来例のような懸念は解消されるものの、次のような懸念事項が挙げられる。
【0020】
まず、シリンダヘッド内部に、デリバリ通路と、凝縮水の貯留部とを形成する必要があるために、シリンダヘッドの形状大型化や重量増加が懸念される。
【0021】
また、凝縮水は、本来、内燃機関の停止中の冷間時に発生しやすいが、内燃機関の停止中は、温度低下するので、前記貯留部内の凝縮水が蒸発しにくくなり、この貯留部を形成するシリンダヘッドの空間内壁が凝縮水で腐食されやすくなることが懸念される。
【0022】
その場合、腐食進展を抑制するために、仮に、シリンダヘッドにおいて前記貯留部近傍を厚肉に設定する等の対策を講じる必要があると考えられるが、その場合には内燃機関の重量増加につながり、改良の余地がある。
【0023】
このような事情に鑑み、本発明は、2次空気供給装置において、その内部に発生する凝縮水を、弁装置の設置場所に関係なく、簡単に排気通路側へ排出させることを可能とし、上記従来例の不具合を解消可能とすることを目的としている。
【0024】
また、本発明は、例えば特開2007−71154号公報に示されるような衝撃吸収構造のサージタンクと、2次空気供給装置とが付設された内燃機関を搭載する車両において、2次空気供給装置の構成要素の耐久性を向上したうえで、運転者の視認性や内燃機関の整備作業性を良好としながら衝突安全性能を高めるようにすることを目的としている。
【0025】
なお、前記特開2007−71154号公報には、例えば車両と歩行者等の被衝突体との衝突時において、被衝突体に付与される衝撃を可及的に低減するために、衝撃印加時に、例えば車両のフード部材(ボンネットと呼ばれる)およびサージタンク等を変形しやすくすることにより衝撃を吸収可能とする技術が記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、内燃機関の排気通路において触媒より上流側に2次空気を供給するための2次空気供給装置であって、排気通路の触媒よりも上流側に2次空気を導くための2次空気供給通路と、この2次空気供給通路の上流に配置されかつ必要に応じて外気を吸引して前記2次空気供給通路の下流側へ送出するエアポンプと、前記2次空気供給通路を開閉するための弁装置と、前記2次空気供給通路において前記弁装置と排気通路との間に配置される凝縮水の貯留部と、この貯留部内の凝縮水を2次空気と共に排気通路側へ送る送出手段とを含む、ことを特徴としている。
【0027】
この構成によれば、内燃機関の冷間時に2次空気供給装置内に凝縮水が発生しても、その凝縮水が貯留部内に回収されて貯留されることになり、しかも、貯留部内に貯留される凝縮水は、送出手段により必要に応じて排気通路へ排出されるようになっている。これにより、2次空気供給装置の構成要素が凝縮水で腐食することを防止することが可能になる。
【0028】
そして、前記凝縮水の貯留部を、2次空気供給通路の途中に設けているので、従来例のように内燃機関のシリンダヘッド内部に設ける場合に比べて、シリンダヘッドの大型化や重量増加を防止できるようになる。
【0029】
また、貯留部のみを耐蝕性材料で形成するか、あるいは貯留部のみに防錆処理を施せばよいから、従来例のように2次空気供給通路全体を耐蝕性材料で形成するか、あるいは防錆処理を施す場合に比べて、コスト増を抑制することが可能になる。
【0030】
さらに、弁装置を高い場所に設置する必要がなくなるので、内燃機関上部から離れた場所に配置することが可能になる。そのため、内燃機関上部に弁装置配置用スペースを確保する必要がなくなり、その結果、例えば内燃機関の全高を可及的に低く設定することが可能になるとともに、内燃機関の点火プラグの交換作業性が良好となる。
【0031】
好ましくは、前記送出手段は、前記貯留部内の凝縮水を吸い出して2次空気と共に排気通路側へ送出させるものとされる。
【0032】
好ましくは、前記弁装置は、前記排気通路に対する2次空気供給通路の連結位置の近傍またはその位置より鉛直方向下側に配置され、前記2次空気供給通路において前記弁装置から排気通路までの区間は、前記弁装置の下流側から下降した後で上昇して前記排気通路へ向かうようU字形に屈曲した形状とされ、前記貯留部は、前記2次空気供給通路の下降部分を囲むように設けられる容器とされる。
【0033】
この構成によれば、弁装置を内燃機関上部から離れた場所に配置しているから、内燃機関上部に弁装置配置用のスペースを確保する必要がなくなり、例えば内燃機関の全高を可及的に低く設定することが可能になるとともに、内燃機関の点火プラグの交換作業性が良好となる。
【0034】
しかも、弁装置より低くした2次空気供給通路の途中に貯留部を設けているから、弁装置内で凝縮水が発生しても、この凝縮水が自然落下して貯留部に回収されるようになる。
【0035】
好ましくは、前記送出手段は、前記2次空気供給通路において前記貯留部で外囲された下降部分に設けられて流通する2次空気の流速を上昇させることにより前記貯留部内の凝縮水を吸い出して2次空気と共に下流側へ送出させるベンチュリとされる。
【0036】
この構成では、送出手段を一般的に公知のベンチュリに特定している。この特定によれば、エアポンプから2次空気が2次空気供給通路に供給されると、この2次空気がベンチュリ効果によって流速が上昇され、その下流側で発生するバキューム効果によって貯留部内の凝縮水が吸い出されて排気通路側へ送出されるようになる。
【0037】
このように、特別な駆動源を用いることなく、貯留部内の凝縮水を排気通路側へ排出させることが可能になるから、無駄がない。
【0038】
好ましくは、前記弁装置は、2次空気供給通路の上流側に配置されてアクチュエータにより開閉作動される開閉弁と、2次空気供給通路の下流側に配置される逆止弁とをケース内に組み込んでユニット化した構成とされ、前記アクチュエータおよび前記エアポンプを制御する制御手段をさらに含み、この制御手段は、内燃機関の始動時に、エアポンプを駆動するとともにアクチュエータにより開閉弁を開弁させることにより、前記ベンチュリによる凝縮水の排出機能を発生させる、ものとすることができる。
【0039】
この構成では、弁装置や2次空気供給装置の構成を特定している。この弁装置では、逆止弁を備えるので、排気通路から弁装置より上流側への排気ガスの逆流が防止されるようになる。また、内燃機関の始動時に、排気通路へ2次空気を供給させる過程において、貯留部内の凝縮水を排出させることが可能になり、凝縮水を排出させるためだけの特別な処理を行う必要がない。
【0040】
好ましくは、前記制御手段は、内燃機関の停止時に、エアポンプを駆動するとともにアクチュエータにより開閉弁を開弁させることにより、2次空気供給通路および弁装置内部を掃気させる、ものとすることができる。
【0041】
この構成では、要するに、掃気処理を行うことにより、2次空気供給通路および弁装置内部に、外気や排気ガス等を残存させないようにしており、それによって、内燃機関の停止後において2次空気供給装置内部に凝縮水が発生しにくくなる。
【0042】
このように、凝縮水が発生しにくくなれば、次の内燃機関の始動時に、排気通路側へ排出する凝縮水の量が減るので、貯留部の容量ならびに外形サイズを小さくすることが可能になるとともに、貯留部の設置スペースを削減するうえで有利となる。
【0043】
好ましくは、前記2次空気供給通路は、前記エアポンプと弁装置とを連通連結する上流側外部配管と、内燃機関のシリンダヘッド内に気筒配列方向に沿って設けられるデリバリ通路と、このデリバリ通路とシリンダヘッドの排気ポートとを連通連結する連通路と、前記デリバリ通路と弁装置とを連通連結する下流側外部配管とを含む、ものとすることができる。
【0044】
この構成では、2次空気供給通路の構成を特定することによって、2次空気の供給先をシリンダヘッドの排気ポートと明確にしているとともに、貯留部の配置場所を明確にしている。
【0045】
この場合、例えば内燃機関の始動に伴い2次空気を供給させると、貯留部内の凝縮水がデリバリ通路へ排出されるようになる。このデリバリ通路は、燃焼室に近くて高温となる関係より、凝縮水が蒸発しやすくなるので、デリバリ通路から排気ポートへ徐々に排出されやすくなる。
【0046】
このように、貯留部内の凝縮水を排出させる場所を、排気管とせずにデリバリ通路に特定すれば、従来例のように排気管に凝縮水を一気に排出させていた場合に懸念される空燃比センサや触媒への悪影響をなくすことが可能になる。
【0047】
また、本発明に係る車両は、内燃機関の排気通路において触媒より上流側に2次空気を供給するための2次空気供給装置と、吸気通路の途中に設けられるとともに内燃機関の上部に配置されて衝撃印加時に変形して前記衝撃を吸収する構造のサージタンクとを備え、前記2次空気供給装置が、上述した構成とされている、ことを特徴としている。
【0048】
この構成では、2次空気供給装置の弁装置を内燃機関上部より低い場所に設置しても、弁装置内に凝縮水が滞留しない構成になっている関係より、この弁装置をサージタンクから離れた場所に設置することが可能になる。そのために、サージタンクが衝撃吸収のために変形する際、サージタンクの変形が弁装置で阻害されずに済むようになる。
【0049】
これにより、サージタンクとフード部材との間のクリアランスを可及的に小さく設定することが可能になる。それに伴いフード部材の高さ位置を可及的に低く設定することが可能になるので、運転者による視認性向上を図るうえで有利となる。
【0050】
この他、内燃機関上部に2次空気供給装置の弁装置を配置しないので、内燃機関上部とサージタンクとのクリアランスを比較的大きく確保できると言え、例えば内燃機関上部に弁装置を取り付けるような場合に比べて、例えば内燃機関の全高を可及的に低く設定することが可能になるとともに、内燃機関のシリンダヘッドに対する点火プラグの着脱作業性が良好になると言える。
【0051】
好ましくは、前記内燃機関は、V型多気筒エンジンとされ、前記2次空気供給装置に備える2次空気供給通路および弁装置は、左右バンク毎の排気通路に対応して2組設けられ、前記サージタンクは、左右のシリンダヘッドカバーを覆うような大きさでかつ上下方向に扁平な容器とされ、かつ、その左右両側部分が内燃機関を覆うフード部材からの衝撃印加時においてシリンダヘッドカバー側へ倒れ込むように変形または脱落することにより衝撃を吸収する構造とされ、前記各弁装置は、前記左右のシリンダヘッドカバーのそれぞれ側方に前記サージタンクと離隔する状態で振り分けて配置される。
【0052】
この構成では、内燃機関の型式、2次空気供給装置の構成、ならびにサージタンクの衝撃吸収の形態を特定したうえで、弁装置の配置を特定している。
【0053】
特に、内燃機関上方に配置されるサージタンクと内燃機関上部との間に弁装置を配置していないことが明確になるから、サージタンクが衝撃吸収のために変形する際に、当該サージタンクの変形が弁装置で阻害されずに済む。
【発明の効果】
【0054】
本発明は、エアポンプを用いる2次空気供給装置において、その内部に発生する凝縮水を、弁装置の設置場所に関係なく、簡単に排気通路側へ排出させることが可能になるから、従来例の不具合を解消するうえで有利になる。
【0055】
また、本発明は、エアポンプを用いる2次空気供給装置および衝撃吸収構造のサージタンクが付設された内燃機関を搭載する車両において、2次空気供給装置の構成要素の耐久性を向上させることが可能になるとともに、運転者の視認性や内燃機関の整備作業性を良好としながら衝突安全性能を高めることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、本発明の最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0057】
まず、図1および図2に、本発明の一実施形態を示している。これらの図において、1はシリンダブロック、2はシリンダヘッド、3はシリンダヘッドカバー、4は2次空気供給装置である。
【0058】
シリンダブロック1には、適宜数の気筒(図示省略)が設けられており、この各気筒には、ピストン(符号省略)が摺動自在に収納されている。この各気筒の内周面と各ピストンの頂面とシリンダヘッド2の各凹部とにより燃焼室が区画形成される。
【0059】
このシリンダブロック1に搭載されるシリンダヘッド2には、それぞれ燃焼室毎の吸気ポート2aおよび排気ポート2bが設けられている。
【0060】
シリンダヘッド2の吸気ポート2aには、吸気管5が連通連結されている。この吸気管5には、サージタンク7と、吸入空気量を調整するための電子制御式のスロットルバルブ8と、エアクリーナ9とが設けられている。吸気ポート2aと吸気管5とサージタンク7とで吸気通路が構成されている。
【0061】
また、シリンダヘッド2の排気ポート2bには、排気管6が連通連結されている。排気ポート2bと排気管6とで排気通路が構成されている。排気管6には、排気浄化装置としての触媒10が設けられている。この触媒10としては、例えば、HC及びCOを酸化し、NOxを還元する三元触媒が挙げられる。
【0062】
なお、図示していないが、吸気ポート2aには吸気バルブが、排気ポート2bには排気バルブがそれぞれ開閉可能に配置され、また、シリンダヘッド2には点火プラグが設けられ、さらに、吸気管5には、燃料噴射弁が設けられる。
【0063】
2次空気供給装置4は、内燃機関の排気通路(排気ポート2bおよび排気管6を含む)において触媒10より上流側に2次空気を供給して酸素濃度を高くすることによって、排気ガス中のCO、HCを2次燃焼(後燃え)させて排気ガスの浄化を促進させるとともに、前記2次燃焼により触媒を速やかに昇温させて早期に活性状態とするものである。
【0064】
具体的に、2次空気供給装置4は、主として、2次空気供給通路21と、エアポンプ22と、弁装置としてのエアスイッチングバルブ(ASV)23と、コントローラ24とを含んで構成されている。
【0065】
2次空気供給通路21は、内燃機関の排気通路において触媒10よりも上流側に2次空気を導くものである。この実施形態では、2次空気供給通路21の下流端が、シリンダヘッド2の排気ポート2bに接続されていて、2次空気を排気ポート2bに供給するようになっている。
【0066】
この2次空気供給通路21は、エアポンプ22とエアスイッチングバルブ23とを連通連結する上流側外部配管21aと、エアスイッチングバルブ23とシリンダヘッド2の下記デリバリ通路21cとを連通連結する下流側外部配管21bと、シリンダヘッド2内に気筒配列方向に沿って設けられるデリバリ通路21cと、このデリバリ通路21cとシリンダヘッド2の各排気ポート2bとを個別に連通連結する連通路21dとを含んで構成されている。
【0067】
なお、デリバリ通路21cの上流端は、シリンダヘッド2の端面に開放されており、このデリバリ通路21cの開放端に、下流側外部配管21bが接続されている。デリバリ通路21cの下流端は、シリンダヘッド2の外面に開放されずに閉塞されている。
【0068】
エアポンプ22は、2次空気供給通路21の上流側に設けられており、例えば電動式とされる。このエアポンプ22は、エアフィルタ25を介して外気を吸引し、2次空気供給通路21の下流側へ放出する。
【0069】
エアスイッチングバルブ23は、2次空気供給通路21の途中に設けられて2次空気供給通路21を開閉するものであり、一般的に公知のものであるので詳細に図示していないが、開閉弁26と、アクチュエータ27と、逆止弁28とをケースに組み込んでユニット化した構成になっている。
【0070】
開閉弁26は、2次空気供給通路21の上流側に配置されて、アクチュエータ27により開閉作動されるようになっている。
【0071】
アクチュエータ27は、例えば電動モータ等により発生する回転動力を図示していない減速機構(遊星機構や送りねじ機構等)で直線運動に変換して、開閉弁26の弁体を開弁または閉弁状態に作動させるものである。このアクチュエータ27は、非通電時に開閉弁26を閉状態とし、通電時に開閉弁26を開状態とする。
【0072】
逆止弁28は、例えば排気ポート2b側から2次空気供給通路21への排気ガスの流入を防止するためのもので、例えばリード弁等とされる。
【0073】
コントローラ24は、少なくとも2次空気供給装置4の動作を制御するものであり、電子制御ユニット(ECU)31と、ドライバユニット(EDU)32とを含んで構成されている。このコントローラ24が請求項に記載の制御手段に相当している。
【0074】
ECU31は、詳細に図示していないが、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびデータを保存する記憶装置(ROM、RAM、SRAM、EEPROM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路等を含んで構成される周知構造のコンピュータとされる。EDU32は、ECU31のケース内に内蔵されるものであっても良い。
【0075】
このECU31は、読み込まれた各種のセンサ類の信号(運転パラメータ:車両の走行状態、内燃機関の運転状態に応じた信号)に基づいて、2次空気供給装置4の動作を制御する。つまり、ECU31は、必要に応じて、2次空気供給装置4における電動式のエアポンプ22の作動制御信号やアクチュエータ27の作動制御信号をEDU32に与える。EDU32は、ECU31から入力される前記制御信号に基づいて、少なくとも電動式のエアポンプ22やアクチュエータ27に駆動電圧を印加する。
【0076】
なお、前記の運転パラメータを検出する各種のセンサ類としては、図示していないが、アクセル開度を検出するアクセルセンサ、機関回転数やクランク角を検出する回転数センサ、内燃機関の冷却水温度を検出する水温センサ、排気管6において触媒10の上流側に配置されるA/F(空燃比)センサ、排気管6において触媒10の下流側に配置されるO2センサ等が少なくとも挙げられる。
【0077】
次に、2次空気供給装置4の基本的な動作について簡単に説明する。
【0078】
そもそも、排気管6に配置されている触媒10は、触媒温度が活性温度よりも低いときに排気浄化機能を十分に発揮することができない。そこで、触媒10の温度が活性温度よりも低くなる条件、例えば内燃機関の冷間始動時においては、触媒10の温度を早期に活性温度にまで上昇させるようにする。
【0079】
この実施形態では、コントローラ24は、内燃機関の冷間始動直後に、2次空気供給装置4のエアポンプ22を駆動すると同時に、エアスイッチングバルブ23のアクチュエータ27を駆動することにより開閉弁26を開放し、エアポンプ22で吸引した外気(2次空気)を2次空気供給通路21から排気ポート2bに供給させるようにする。
【0080】
このような2次空気の供給により、排気ガス中のHCやCOが2次空気中の酸素と反応して燃焼(酸化)して排気エミッション特性を改善することができる。
【0081】
しかも、排気ポート2bへの2次空気の供給により、排気ガス中のHCやCOが燃焼するので、2次空気が供給されない場合に比べて排気ガスの温度を高めることができ、触媒10を速やかに活性状態とすることができる。これによって内燃機関の始動直後の排気エミッションを改善することができる。
【0082】
その一方で、内燃機関が一定温度以上となっている通常運転時、あるいは触媒10が活性温度に到達している状態のときには、コントローラ24はエアポンプ22を非駆動、開閉弁26を閉状態にさせることにより、2次空気を排気ポート2bへ供給しないようになっている。
【0083】
ここで、本発明の特徴を適用した部分について、詳細に説明する。
【0084】
この実施形態では、要するに、内燃機関の停止中に2次空気供給装置4内部に発生する凝縮水を、エアスイッチングバルブ23内に滞留させずに、2次空気供給通路21の途中に設けた貯留部15内に回収、貯留させるようにしたうえで、内燃機関の始動時に貯留部15内の凝縮水を2次空気供給通路21のデリバリ通路21cへ強制的に送出させるように工夫している。
【0085】
具体的には、まず、図1に示すように、2次空気供給装置4のエアスイッチングバルブ23を、デリバリ通路21cに対する下流側外部配管21bの連結位置の近傍またはその位置より鉛直方向下側に配置するように、内燃機関の側方に設置するとともに、このエアスイッチングバルブ23とシリンダヘッド2のデリバリ通路21cとを連通連結するための下流側外部配管21bを、横から見て略U字形に屈曲した形状に形成している。
【0086】
このU字形の下流側外部配管21bの最下位置となる領域には、凝縮水の貯留部15が付設されている。
【0087】
この貯留部15は、図2に示すように、下流側外部配管21bの最下位置となる領域を覆い囲むように設けられる容器とされている。この容器からなる貯留部15は、2次空気供給装置4内部で発生する酸性の凝縮水を貯留するものであるために、腐食防止のために、耐蝕性の優れたステンレス鋼等で形成するか、あるいは防錆処理を施すのが好ましい。
【0088】
また、下流側外部配管21bにおいて貯留部15で外囲される領域の円周数ヶ所には、径方向に貫通する貫通孔21eが設けられている。この貫通孔21eは、下流側外部配管21bやエアスイッチングバルブ23内で発生する凝縮水を貯留部15に落とし込むために設けられているとともに、貯留部15内に貯留される凝縮水を排出する際に凝縮水を吸い出すために設けられている。
【0089】
また、下流側外部配管21bにおいて貯留部15で外囲される領域には、貯留部15内の凝縮水を吸い出して2次空気と共にデリバリ通路21cへ送出させるための送出手段としてのベンチュリ16が設けられている。
【0090】
このベンチュリ16は、下流側外部配管21b内を流通する2次空気の流速を上昇させるための絞り管16aを有し、この絞り管16aを通過する2次空気により絞り管16aの外径側の圧力を低下させて、その圧力低下に伴うバキューム効果でもって貯留部15内の凝縮水を吸引して2次空気と共に下流側へ送出させるようになっている。
【0091】
このような貯留部15やベンチュリ16を備えた場合、例えば内燃機関を始動させるときに、コントローラ24でエアポンプ22を駆動するとともにアクチュエータ27により開閉弁26を開弁させることにより、2次空気を排気ポート2bへ供給させる処理を行えば、この2次空気の供給処理過程において、ベンチュリ16による凝縮水の排出機能を発生させることができる。
【0092】
つまり、内燃機関の始動時に、2次空気供給装置4による2次空気の供給処理を行うことによって、貯留部15に回収、貯留されている凝縮水を排気ポート2b側へ排出させることが可能になるのである。このように、凝縮水を排出させるためだけの特別な処理を行う必要がない。
【0093】
以上説明したように本発明の特徴を適用した実施形態によれば、以下のような作用、効果を奏する。
【0094】
要するに、内燃機関の冷間時に2次空気供給装置4内に凝縮水が発生しても、この凝縮水を2次空気供給装置4のエアスイッチングバルブ23内および下流側外部配管21b内に滞留させずに、貯留部15に回収して貯留させるようにしている。
【0095】
これにより、エアスイッチングバルブ23に備える非金属部材(ゴムシール等)や2次空気供給通路21が酸性の凝縮水によって経時的に腐食してしまうという不具合が発生せずに済む結果となる。したがって、貯留部15のみを腐食対策を施せばよく、下流側外部配管21bについては耐蝕性に優れた材料(例えばステンレス鋼等)で形成する必要がなくなって、任意の材料で形成することが可能になるので、コスト低減を図るうえで有利になる。
【0096】
また、凝縮水の貯留部15を、2次空気供給通路21の途中に設けているので、従来例のように内燃機関のシリンダヘッド内部に設ける場合に比べて、シリンダヘッド2の大型化や重量増加を防止できるようになる。
【0097】
しかも、貯留部15に貯留された凝縮水は、2次空気供給過程においてベンチュリ16によりデリバリ通路21cへ強制的に送ることができるので、水滴のまま排気管6へ一気に排出されることはない。つまり、デリバリ通路21cに導入される凝縮水は、シリンダヘッド2の熱によって蒸発し、排気ポート2bを介して排気管6へと排出されるからである。したがって、従来例のように排気管6に凝縮水を一気に排出させていた場合に懸念される空燃比センサや触媒10への悪影響をなくすことが可能になる。このように、特別な駆動源を用いることなく、貯留部15内の凝縮水を排気ポート2b側へ排出させることが可能になるから、無駄がない。
【0098】
これらのことによって、2次空気供給通路21やエアスイッチングバルブ23を可及的に高い場所に設置する必要がなくなるので、内燃機関上部から離れた場所に配置することが可能になる。そのため、内燃機関上部にエアスイッチングバルブ23配置用のスペースを確保する必要がなくなり、その結果、例えば内燃機関の全高を可及的に低く設定することが可能になるとともに、内燃機関の点火プラグの交換作業性が良好となる。
【0099】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。以下で例を挙げる。
【0100】
(1)上記実施形態では、エアスイッチングバルブ23の開閉弁26を作動させるためのアクチュエータ27を電動モータおよび減速機とする例を挙げているが、本発明はこれに限られることなく、アクチュエータ27については、例えば特開2007−285142号公報に示されているように電磁ソレノイドを用いる構成とすることが可能である。
【0101】
(2)上記実施形態では、送出手段としてベンチュリ16を用いた例を挙げているが、本発明はこれに限られることなく、例えば適宜のジェットポンプを用いることも可能である。また、内燃機関については、ポート噴射タイプや筒内直接噴射タイプ等、特に限定されない。
【0102】
(3)上記実施形態において、例えばコントローラ24でもって、内燃機関を停止させるときに、エアポンプ22を駆動するとともにアクチュエータ27により開閉弁26を開弁させることにより、2次空気供給通路21およびエアスイッチングバルブ23の内部を掃気させる処理を行うようにしてもよい。
【0103】
このような掃気処理を行う場合、2次空気供給装置4の構成要素、例えば2次空気供給通路21およびエアスイッチングバルブ23内部に、外気や排気ガス等を残存させないようにすることができる。それによって、内燃機関の停止後において2次空気供給装置4内部に凝縮水を発生させにくくすることができる。
【0104】
このように、凝縮水が発生しにくくなれば、次の内燃機関の始動時に、排気ポート2b側へ排出する凝縮水の量が減るので、貯留部15の容量ならびに外形サイズを小さくすることが可能になるとともに、貯留部15の設置スペースを削減するうえで有利となる。
【0105】
(4)図3から図5に、本発明の他の実施形態を示している。この実施形態では、2次空気供給装置の使用対象となる内燃機関をV型多気筒エンジンとするとともに、吸気系に設けられているサージタンク7について、V型多気筒エンジンの真上に配置して、フード部材11からの衝撃印加時に意図的に変形または脱落して衝撃を吸収する構造にしたものを用いるようにしている。
【0106】
具体的に、図3を参照して、本発明に係る2次空気供給装置の使用対象となる内燃機関およびその周辺部分の構成を説明する。ここでは、図1との相違点についてのみ説明し、同一部分についての説明を割愛している。
【0107】
シリンダブロック1は、例えばV型多気筒エンジンのシリンダブロックとされ、その二つのバンク1L,1Rには、適宜数の気筒(図示省略)が設けられている。各気筒には、ピストン(符号省略)が摺動自在に収納されている。この各気筒の内周面と各ピストンの頂面とシリンダヘッド2,2の各凹部とにより燃焼室が区画形成される。このシリンダブロック1の両バンク1L,1Rにシリンダヘッド2,2がそれぞれ搭載されている。
【0108】
2次空気供給装置4は、両バンク1L,1Rの排気ポート2b,2bに対応して、2組設けられている。この2次空気供給装置4の構成は、基本的に上記実施形態と同様であり、2次空気供給通路21,21やエアスイッチングバルブ23,23は、シリンダヘッドカバー3,3の上方ではなく、シリンダヘッド2,2の側方に配置されるようになっている。
【0109】
そして、サージタンク7は、図3に示すように、内燃機関のシリンダヘッドカバー3,3の直上で、かつ内燃機関を覆うフード部材11の直下に適宜のクリアランスを介して非接触に配置されている。
【0110】
このサージタンク7は、左右のシリンダヘッドカバー3,3を覆うように左右方向(幅方向)に大きく、かつ、上下方向(例えば鉛直方向)に扁平となるような形状の容器とされている。
【0111】
サージタンク7の内部には、所定容量の空間が確保されているが、この内部空間は、中央壁7aによって左右に仕切られている。図4に示すように、サージタンク7の左右両側壁には、前記左右に仕切られた内部空間に個別に外気を導入するための吸気ダクト7b,7cが車両前方へ向けて突出するように設けられている。サージタンク7の底壁7dには、各吸気管5がサージタンク7の左右の内部空間に連通するように取り付けられている。
【0112】
なお、図示していないが、吸気ダクト7b,7cの途中にスロットルバルブ8が設けられ、吸気ダクト7b,7cの突出端に2in1構造のパイプを介して単一のエアクリーナ9が取り付けられるようになっている。
【0113】
このようなサージタンク7についての衝撃吸収構造を説明する。具体的に、サージタンク7は、図5に示すように、フード部材11から衝撃Gが印加されたときに、サージタンク7の左右両側部分が、図5の矢印および仮想線で示すように、シリンダヘッドカバー3,3側へ倒れ込むように変形または脱落することにより衝撃を吸収するような構造とされている。
【0114】
具体的に、サージタンク7は、合成樹脂等の可撓性を有する材料で成形されていて、その底壁7dにおいて吸気管5,5が連結される位置より外側の領域には、脆弱部7e,7fが設けられている。
【0115】
この脆弱部7e,7fは、底壁7dを部分的に薄肉とされることによって形成されており、フード部材11を通じて衝撃Gが印加されたときに、脆弱部7e,7fが破損して、この脆弱部7e,7fを支点として、図5の矢印および仮想線で示すように、サージタンク7の左右両側部分をシリンダヘッドカバー3側へ倒れ込ませるように誘導するようになっている。
【0116】
以上説明したように、2次空気供給装置4は、上記実施形態と同様に、エアスイッチングバルブ23,23を内燃機関上部より低い場所に設置しても、2次空気供給通路21,21やエアスイッチングバルブ23,23内に凝縮水を滞留させない構成であって、エアスイッチングバルブ23,23をサージタンク7とシリンダヘッドカバー3,3との間ではなく、シリンダヘッド2,2の側方に設置している。
【0117】
これにより、例えば内燃機関上部に弁装置(エアスイッチングバルブ)を取り付けるような場合のように、サージタンク7が衝撃吸収のために変形する際に、当該サージタンク7の変形が弁装置(エアスイッチングバルブ)で阻害されるといった心配がなくなる。
【0118】
そのため、サージタンク7とフード部材11との間のクリアランスを可及的に小さくしながらも、サージタンク7が衝撃吸収のために変形するスペースを容易に確保することができる。したがって、例えば内燃機関上部に弁装置(エアスイッチングバルブ)を取り付けるような場合に比べて、内燃機関の全高を可及的に低く設定することが可能になるとともに、内燃機関のシリンダヘッド2に対する点火プラグの着脱作業性が良好になる。さらに、フード部材11の高さ位置を可及的に低く設定することが可能になるので、運転者による視認性向上を図るうえで有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の一実施形態に係る2次空気供給装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の要部を拡大して断面で示す図である。
【図3】図1に示す2次空気供給装置の使用対象となる内燃機関の一例を示す図で、内燃機関を後ろ側から見た状態を示している。
【図4】図3のサージタンクを平面で示す図である。
【図5】図3において、フード部材に衝撃が印加されたときにサージタンクが衝撃吸収のために変形する様子を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
1 シリンダブロック
2 シリンダヘッド
2a 吸気ポート
2b 排気ポート
3 シリンダヘッドカバー
4 2次空気供給装置
5 吸気管
6 排気管
7 サージタンク
10 触媒
11 フード部材
15 貯留部
16 ベンチュリ(送出手段)
21 2次空気供給通路
21a 上流側外部配管
21b 下流側外部配管
21c デリバリ通路
21d 連通路
21e 下流側外部配管の貫通孔
22 エアポンプ
23 エアスイッチングバルブ(弁装置)
24 コントローラ(制御手段)
26 開閉弁
27 アクチュエータ
28 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路において触媒より上流側に2次空気を供給するための2次空気供給装置であって、
排気通路の触媒よりも上流側に2次空気を導くための2次空気供給通路と、
この2次空気供給通路の上流に配置されかつ必要に応じて外気を吸引して前記2次空気供給通路の下流側へ送出するエアポンプと、
前記2次空気供給通路を開閉するための弁装置と、
前記2次空気供給通路において前記弁装置と排気通路との間に配置される凝縮水の貯留部と、
この貯留部内の凝縮水を2次空気と共に排気通路側へ送る送出手段とを含む、ことを特徴とする内燃機関の2次空気供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の2次空気供給装置において、
前記送出手段は、前記貯留部内の凝縮水を吸い出して2次空気と共に排気通路側へ送出させるものとされる、ことを特徴とする内燃機関の2次空気供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の内燃機関の2次空気供給装置において、
前記弁装置は、前記排気通路に対する2次空気供給通路の連結位置の近傍またはその位置より鉛直方向下側に配置され、
前記2次空気供給通路において前記弁装置から排気通路までの区間は、前記弁装置の下流側から下降した後で上昇して前記排気通路へ向かうようU字形に屈曲した形状とされ、
前記貯留部は、前記2次空気供給通路の下降部分を囲むように設けられる容器とされる、ことを特徴とする内燃機関の2次空気供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の内燃機関の2次空気供給装置において、
前記送出手段は、前記2次空気供給通路において前記貯留部で外囲された下降部分に設けられて流通する2次空気の流速を上昇させることにより前記貯留部内の凝縮水を吸い出して2次空気と共に下流側へ送出させるベンチュリとされる、ことを特徴とする内燃機関の2次空気供給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の内燃機関の2次空気供給装置において、
前記弁装置は、2次空気供給通路の上流側に配置されてアクチュエータにより開閉作動される開閉弁と、2次空気供給通路の下流側に配置される逆止弁とをケース内に組み込んでユニット化した構成とされ、
前記アクチュエータおよび前記エアポンプを制御する制御手段をさらに含み、
この制御手段は、内燃機関の始動時に、エアポンプを駆動するとともにアクチュエータにより開閉弁を開弁させることにより、前記ベンチュリによる凝縮水の排出機能を発生させる、ことを特徴とする内燃機関の2次空気供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の内燃機関の2次空気供給装置において、
前記制御手段は、内燃機関の停止時に、エアポンプを駆動するとともにアクチュエータにより開閉弁を開弁させることにより、2次空気供給通路および弁装置内部を掃気させる、ことを特徴とする内燃機関の2次空気供給装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の内燃機関の2次空気供給装置において、
前記2次空気供給通路は、前記エアポンプと弁装置とを連通連結する上流側外部配管と、内燃機関のシリンダヘッド内に気筒配列方向に沿って設けられるデリバリ通路と、このデリバリ通路とシリンダヘッドの排気ポートとを連通連結する連通路と、前記デリバリ通路と弁装置とを連通連結する下流側外部配管とを含む、ことを特徴とする内燃機関の2次空気供給装置。
【請求項8】
内燃機関の排気通路において触媒より上流側に2次空気を供給するための2次空気供給装置と、吸気通路の途中に設けられるとともに内燃機関の上部に配置されて衝撃印加時に変形して前記衝撃を吸収する構造のサージタンクとを備え、
前記2次空気供給装置が、請求項1から7のいずれか1つに記載の構成とされている、ことを特徴とする車両。
【請求項9】
請求項8に記載の車両において、
前記内燃機関は、V型多気筒エンジンとされ、前記2次空気供給装置に備える2次空気供給通路および弁装置は、左右バンク毎の排気通路に対応して2組設けられ、
前記サージタンクは、左右のシリンダヘッドカバーを覆うような大きさでかつ上下方向に扁平な容器とされ、かつ、その左右両側部分が内燃機関を覆うフード部材からの衝撃印加時においてシリンダヘッドカバー側へ倒れ込むように変形または脱落することにより衝撃を吸収する構造とされ、
前記各弁装置は、前記左右のシリンダヘッドカバーのそれぞれ側方に前記サージタンクと離隔する状態で振り分けて配置される、ことを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−1758(P2010−1758A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159275(P2008−159275)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】