説明

再生可能なイソブタノールをP−キシレンに選択的に変換するための総合プロセス

本発明は、再生可能で、比較的高い純度のp−キシレンをバイオマスから調製する方法を対象としている。例えば、発酵供給原料をもたらすように処理されたバイオマスを、イソブタノールなどのCアルコールを生産し得る微生物で発酵させ、次いで、順次、脱水触媒の存在下で前記イソブタノールを脱水して、イソブチレンなどのCアルケンを得、前記Cアルケンを二量化して、2,4,4−トリメチルペンテンまたは2,5−ジメチルヘキセンなどの1種または複数のCアルケンを形成し、次いで、脱水素環化触媒の存在下で、前記Cアルケンを脱水素環化して、再生可能なp−キシレンを高い全体収率で選択的に形成する。次いで、前記p−キシレンを酸化させて、テレフタル酸またはテレフタル酸エステルを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年10月6日出願の米国特許仮出願第61/249,078号、2010年1月18日出願の同第61/295,886号および2010年6月7日出願の同第61/352,228号の優先権を主張し、これらそれぞれの開示は、その全体があらゆる目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
芳香族化合物は従来、石油原料から精油所において、様々な触媒で軽質炭化水素(C〜C)およびナフサの混合物を高熱および高圧で反応させることによって生産されている。精油所が入手可能な軽質炭化水素の混合物は多様であり、芳香族化合物の混合物(例えばBTEX、即ち、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレン、さらにはキシレンより高い分子量を有する芳香族化合物)をもたらす。キシレン生成物は、3種の異なる芳香族C異性体、即ちp−キシレン、o−キシレンおよびm−キシレンからなり;典型的には、キシレンの約1/3がp−キシレン異性体である。次いでBTEX混合物は、所望の生成物を得るための後続のプロセスに掛けられる。例えば、トルエンを除去し、不均化してベンゼンおよびキシレンを形成することができるか、または個々のキシレン異性体を、分別によって単離することができる(例えば、吸収分離、分別結晶化など)。p−キシレンは、市場的に最も重要なキシレン異性体であり、ほぼ排他的にポリエステル繊維、樹脂およびフィルムを生産する際に使用されている。o−キシレンおよびm−キシレンも、それぞれフタル酸無水物およびイソフタル酸を生産する際に使用されている。
【0003】
別法では、原油から精製されたか、または精油所で合成された単一成分の供給原料を選択的に変換して、より純粋な芳香族生成物にすることができる。例えば、純粋なイソオクテンを数種の触媒で選択的に芳香族化して、主にp−キシレンを形成することができ(例えば、米国特許第3,202,725号、米国特許第4,229,320号、米国特許第4,247,726号、米国特許第6,600,081号および米国特許第7,067,708号を参照されたい)、原油から精製されたn−オクタンは、主にo−キシレンに変換することができる(例えば、米国特許第2,785,209号を参照されたい)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリエステルの生産で使用するために適した純度のテレフタル酸を調製するためには、非常に高いp−キシレン純度が必要であり、典型的には、少なくとも純度約95%または場合によっては99.7%以上の純度のp−キシレンが必要である。高純度p−キシレンを生産するための慣用のプロセスは複雑であり、経費がかかる。慣用のBTEXプロセスは、比較的低いレベルで生じたp−キシレンの単離および大規模精製を必要とし、別のプロセスは、複雑な炭化水素混合物から芳香族化するために、単一成分供給原料の単離および精製を必要とする。さらに、慣用の石油をベースとする供給原料からのp−キシレンの生産は、環境劣化をもたらし(例えば、地球温暖化、大気および水汚染など)、世界における政治的に不安定な地域からの信頼できない石油供給に対する過剰依存を助長する。本発明は、再生可能な炭素源から、テレフタル酸およびポリエステルに変換することができる再生可能で高純度のp−キシレンを調製する簡略な調製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、本発明は、再生可能なp−キシレンを調製する方法を対象としており、この方法は:
(a)バイオマスを処理して、発酵供給原料を形成するステップと;
(b)前記発酵供給原料を1種または複数種の微生物で発酵させて、水性イソブタノールを含む発酵ブロスを形成するステップと;
(c)水性イソブタノールを前記発酵ブロスから除去するステップと;
(d)脱水触媒の存在下で、ステップ(c)の水性イソブタノールの少なくとも一部を脱水し、それによって、1種または複数のCアルケンおよび水を含む脱水生成物を形成するステップと;
(e)オリゴマー化触媒の存在下で、ステップ(d)で形成させた前記Cアルケンの少なくとも一部を含む二量化供給原料を二量化させ、それによって、1種または複数のCアルケンを含む二量化生成物(場合によって、未反応のCアルケンを含有し、場合によって、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンおよび/または2,5−ジメチルヘキサジエンを含む)を形成するステップと;
(f)脱水素環化触媒の存在下で、ステップ(e)の前記Cアルケンの少なくとも一部を含む脱水素環化供給原料を脱水素環化し、それによって、キシレンおよび水素(および場合によって、1種または複数の未反応のCアルケン、未反応の2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチル(dimethly)ヘキセンおよび/または2,5−ジメチルヘキサジエン)を含む脱水素環化生成物を形成し、その際、前記キシレンは、p−キシレン少なくとも約75%を含むステップとを含む。
【0006】
他の実施形態では、本発明はまた、本発明の方法によって調製された再生可能なp−キシレンから再生可能なテレフタル酸を調製する方法を対象としている。
【0007】
さらに他の実施形態では、本発明は、本発明の方法によって調製された再生可能なテレフタル酸から再生可能なポリエステルテレフタレートを調製する方法を対象としている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】イソブタノールからp−キシレンを調製するための本発明の方法の一実施形態の概略図である。
【図2】イソブタノールからp−キシレンを調製するための本発明に従ったシングルパス方法の概略図である。
【図3】方法における様々な中間体および生成物の収量を包含する、イソブタノールからp−キシレンを調製するための本発明に従ったシングルパス方法の概略図である。
【図4】実施例15に記載されているとおりの本発明に従った総合プロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示されている全ての文献(特許、雑誌参照文献、ASTM法などを包含する)はそれぞれ、あらゆる目的のためにその全体が参照によって組み込まれる。
【0010】
「バイオ触媒」という用語は、反応の活性化エネルギーを低下させることによって化学反応を高速化する任意の種類の生体系または細胞を意味し、プロセスにおいて消費されることも変化することもない。バイオ触媒には、これらに限られないが、酵母、真菌、細菌および古細菌などの微生物が包含され得る。
【0011】
本明細書に開示されているバイオ触媒は、様々な炭素源をp−キシレンの前駆体に変換することができる。「炭素源」という用語は一般に、原核細胞または真核細胞が成長するための炭素源として使用するのに適した物質を指す。炭素源には、これらに限られないが、バイオマス加水分解産物、デンプン、スクロース、セルロース、ヘミセルロース、キシロースおよびリグニン、さらに、これらの基質のモノマー成分(例えば、単糖)が包含される。炭素源は、これらに限られないが、ポリマー、炭水化物、酸、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミノ酸、ペプチドなどを包含する様々な有機化合物を様々な形態で含んでよい。これらには例えば、グルコース、デキストロース(D−グルコース)、マルトースなどの様々な単糖、オリゴ糖、多糖、飽和もしくは不飽和脂肪酸、スクシネート、ラクテート、アセテート、エタノールなど、またはこれらの混合物などが包含される。加えて、光合成生物は、光合成の生成物として炭素源を生産することができる。一部の実施形態では、炭素源は、バイオマス加水分解産物およびグルコースから選択することができる。
【0012】
「供給原料」という用語は、中間体または最終生成物への後続の変換プロセスに供給される原料または原料混合物と定義される。例えば、バイオマスまたはバイオマスに由来する炭素化合物(例えば、本明細書に記載のバイオマス加水分解産物)などの炭素源は、発酵プロセスにおけるバイオ触媒(例えば、微生物)のための供給原料であり、発酵によって生産された結果として生じたアルコール(例えば、イソブタノール)は、後続の単位操作(例えば、本明細書に記載の脱水)のための供給原料であり得:例えば、イソブタノールの脱水から生じたイソブチレンは、二量化のための供給原料であり得、生じたジイソブチレン(例えば、2,4,4−トリメチルペンテン(類)、2,5−ジメチルヘキセン(類)、2,5−ジメチルヘキサジエン(類)など)は、脱水素環化のための供給原料であり得る。供給原料は、1種または複数の成分を含んでよい。例えば、発酵プロセスのための供給原料(即ち、発酵供給原料)は典型的には、炭素源以外の栄養素を含有し;脱水単位操作のための供給原料もまた典型的には、水を含み、脱水のための供給原料もまた典型的には、水を含み、二量化のための供給原料もまた典型的には希釈剤および未反応のイソブタノールを含み、脱水素環化のための供給原料もまた典型的には、希釈剤、未反応のイソブタノールおよびイソブチレンなどを含む。「発酵供給原料」という用語は、「再生可能な供給原料」という用語と互換的に使用されている。それというのも、発酵供給原料は、再生可能な物質であるバイオマスまたは従来の炭水化物から生じているためである。
【0013】
「従来の炭水化物」という用語は、サトウキビ、トウモロコシおよびコムギなどの特殊な植物から生じる糖およびデンプンを指す。往々にして、これらの特殊な植物は、穀粒などの植物部分に糖およびデンプンを集中させており、これらが収穫され、糖およびデンプンを抽出するように処理される。トウモロコシに由来するものなどの従来の炭水化物は、穀粒のタンパク質豊富な部分に由来する食品と同時生産され、主に、発酵プロセスのための再生可能な供給原料として、バイオ燃料またはファインケミカルズ(またはその前駆体)を生じさせるために使用される。
【0014】
別法では、再生可能なアルコールは、イソブタノール、イソペンタノールおよび/または他のアルコールを生産するように改変された例えばシアノ細菌または藻類を使用して光合成で調製することができる(例えば、Synechococcus elongatus PCC7942およびSynechocystis PCC6803;Angermayrら、Energy Biotechnology with Cyanobacteria、Current Opinion in Biotechnology 2009、20、257〜263、Atsumi and Liao、Nature Biotechnology、2009、27、1177〜1182);およびDexterら、Energy Environ.Sci.、2009、2、857〜864ならびにこれらそれぞれの参照文献中に挙げられている参照文献を参照されたい)。光合成で生産される場合、結果として生じる再生可能なアルコールを生産するための「供給原料」は光であり、COを光合成生物(例えば、シアノ細菌または藻類)に提供する。
【0015】
「バイオマス」という用語は本明細書で使用される場合、緑色植物の主に幹、葉およびデンプン含有部分を指し、多くはデンプン、リグニン、セルロース、ヘミセルロースおよび/またはペクチンからなる。バイオマスは、化学的または酵素による処置によって分解して、それを構成しているモノマーの糖およびフェノールに分解することができる(Wyman,C.E.、2003 Biotechnological Progress 19:254〜62)。バイオマス加水分解産物と称される、その結果生じた物質を中和し、バイオ触媒に悪影響を及ぼすことがある痕跡量の有機物質を除去するために処理し、次いで、バイオ触媒を使用して発酵のための供給原料として使用する。別法では、バイオマスを熱化学的に処理して、p−キシレンを生産するためにさらに処理することができるアルコール、アルカンおよびアルケンを生産することができる。
【0016】
「デンプン」という用語は本明細書で使用される場合、消化酵素によって容易に加水分解されるグルコースのポリマーを指す。デンプンは通常、バレイショ、トウモロコシ穀粒、米穀、コムギ穀粒およびサトウキビ幹など、植物の特殊な部分に濃縮されている。
【0017】
「リグニン」という用語は本明細書で使用される場合、植物における構造剛性のベースを形成しており、植物の木材部分と称されることが多いp−クマリル(coumaryl)アルコール、コニフェリルアルコールおよびシナピル(sinapyl)アルコールなどの結合フェノール系モノマー化合物から主に構成されるポリマー物質を指す。リグニンはまた、植物の細胞壁の非炭水化物部分であるとも考えられている。
【0018】
「セルロース」という用語は本明細書で使用される場合、通常は植物細胞壁に、リグニンおよび何らかのヘミセルロースと一緒に見いだされる式(C10のβ−グルコースモノマーユニットからなる長鎖ポリマー多糖炭水化物である。
【0019】
「ヘミセルロース」という用語は、いくつかのヘテロポリマーのうちのいずれかであってよい植物細胞壁多糖の群を指す。これらには、キシラン、キシログルカン、アラビノオキシラン、アラビノガラクタン、グルクロンオキシラン、グルコマンナンおよびガラクトマンナンが包含される。ヘミセルロースのモノマー成分には、これらに限られないが:D−ガラクトース、L−ガラクトース、D−マンノース、L−ラムノース、L−フコース、D−キシロース、L−アラビノースおよびD−グルクロン酸が包含される。この群の多糖は、セルロースと共にほぼ全ての細胞壁に見いだされる。ヘミセルロースの分子量は、セルロースにおいてよりも少ない。ヘミセルロースは、水またはキレート化剤で抽出することができないが、アルカリ水溶液によって抽出することができる。ヘミセルロースのポリマー鎖は、架橋繊維のネットワークにおいてペクチンおよびセルロースに結合して、多くの植物細胞の細胞壁を形成している。
【0020】
「ペクチン」という用語は本明細書で使用される場合、酸およびキレート化剤で処理することによって抽出することができる植物細胞壁の不均一な多糖の群を指す。典型的には、ペクチンのうちの70〜80%は、α−(1−4)結合D−ガラクツロン酸モノマーの直鎖として見いだされる。ペクチンのより小さなRG−Iフラクションは、交互の(1−4)−結合ガラクツロン酸および(1−2)−結合L−ラムノースからなり、その際、相当なアラビノガラクタン分岐は、ラムノース残基から出ている。D−フコース、D−キシロース、アピオース、アセリン酸(aceric acid)、Kdo、Dha、2−O−メチル−D−フコースおよび2−O−メチル−D−キシロースなどの他の単糖は、RG−IIペクチンフラクション(<2%)においてか、または、RG−Iフラクション中の少量の成分として見いだされる。D−ガラクツロン酸に対するそれぞれの単糖の割合は、個々の植物および微小環境、種、成長サイクルの時間に応じて変動する。同じ理由によって、ホモガラクツロナンおよびRG−Iフラクションは、GalA残基上のメチルエステルのその含有率およびGalAおよび中性糖のC−2およびC−3部分上のアセチル残基エステルの含有率において、幅広く異なり得る。
【0021】
「収率」という用語は、原料の単位重量当たり得られる生成物の量と定義され、生成物g/基質gとして表され得る。収率はまた、理論収率に対するパーセンテージとしても表され得る。「理論収率」は、生成物を製造するために使用される代謝経路の化学量論によって規定される、基質の所定量当たり生じさせることができる生成物の最大量と定義される。例えば、グルコースからイソブタノールへのある典型的な変換率での理論収率が、0.41g/gである場合、0.39g/gのグルコースからのイソブタノールの収率は、理論に対して95%または理論収率95%と表されるであろう。
【0022】
「アルケン」および「オレフィン」という用語は、本明細書では互換的に使用され、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する非芳香族炭化水素を指す。
【0023】
「再生可能ベースの」または「再生可能な」とは、示されている化合物の炭素含分が、ASTM試験方法D 6866−08、即ち「Standard Test Methods for Determining the Bio−Based Content of Solid, Liquid, and Gaseous Samples Using Radiocarbon Analysis」によって測定して「ニューカーボン」源に由来することを表している。この試験方法は、試料中の14C/12C同位体比を測定し、それを、標準的な100%バイオベースの物質における14C/12C同位体比と比較して、試料のパーセントバイオベース含分を得る。大気中の二酸化炭素の炭素原子のうちの少量は、放射性同位体14Cである。大気中の窒素が宇宙線によって生じた中性子と衝突すると、この14C二酸化炭素が生じるが、これは、窒素からプロトンが失われ、原子質量14の炭素(14C)を形成することが原因であり、これは次いで直ちに酸化されて、二酸化炭素になる。少量ではあるが測定することができるフラクションの大気炭素が、14COの形態で存在する。大気二酸化炭素は緑色植物によって処理されて、光合成として知られているプロセスの間に有機分子を作る。成長および再生産を促進する化学的エネルギーを生産するために、地球上の生命の事実上全ての形態が、この有機分子の緑色植物生産に依存している。したがって、大気中で形成する14Cは最終的には、全ての生命形態およびその生物学的産生物の一部となり、バイオマスおよびバイオマスではぐくまれる生物は14Cに富んでいる。対照的に、「化石」石油ベースの炭化水素からの炭素は、大気中の二酸化炭素に由来する再生可能な有機分子の有意な14C:12C比を有さない。それというのも、14Cは最終的に崩壊して、14Nになるためである(5730年のt1/2)。
【0024】
「バイオベースの材料」は、その炭素が、日光エネルギー(光合成)を使用して近年(人間の時間スケールで)定着された大気中に存在するCOに由来する有機物質である。例えば、バイオベースの炭化水素は、0より大きい14C/12C同位体比を有する。逆に、化石由来の炭化水素は、約0の14C/12C同位体比を有する。アルコールまたは炭化水素(例えばアルケン、芳香族など)などの化合物に関しての「再生可能な」という用語は、熱化学的方法(例えば、「合成ガス」を形成するためのバイオマスのガス化であって、その合成ガスは、例えば炭化水素、アルコールなどを形成するためにFischer−Tropsch触媒と後で反応させる)、バイオ触媒(例えば、発酵)または例えば本明細書に記載されているとおりの他の方法を使用してバイオマスから調製された化合物を指す。
【0025】
「バイオベースの含分」を導くためのASTM−D6866−08の適用は、放射性炭素年代測定と同じ考えに基づくが、年齢方程式を使用しない。最新の参照標準のものと比較して未知の試料中の放射性炭素(14C)の量の比を導くことによって、分析を行う。この比は、単位「pMC」(percent modern Carbon)でパーセンテージとして報告される。分析される物質が、現在の放射性炭素および化石炭素の混合物である場合(非常に低いレベルの放射性炭素を含有)、得られるpMC値は、試料中に存在するバイオマス物質の量に直接相関する。
【0026】
本発明の方法によって調製されるp−キシレンは、その間の全ての数値および下位範囲を包含して少なくとも約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100のpMC値を有する。一実施形態では、本発明の方法によって調製されるp−キシレンのpMC値は、約90より高く;他の実施形態では、本発明の方法によって調製されるp−キシレンのpMC値は、約95より高く;さらに他の実施形態では、本発明の方法によって調製されるp−キシレンのpMC値は、約98より高く;なおさらに他の実施形態では、本発明の方法によって調製されるp−キシレンのpMC値は、約99より高く;特別な実施形態では、本発明の方法によって調製されるp−キシレンのpMC値は、約100である。
【0027】
「脱水」という用語は、アルコールをその対応するアルケンに変換する化学反応を指す。例えば、イソブタノールを脱水するとイソブチレンが生じる。
【0028】
「二量化」または「二量化する」という用語は、2個の同一の活性化分子(イソブチレンなど)が、触媒の援助(本明細書に記載されているとおりの二量化触媒またはオリゴマー化触媒)で一緒になって、出発分子のいずれかの2倍の分子量を有するより大きな分子(ジイソブチレンまたは2,4,4−トリメチルペンテンなど)を形成するオリゴマー化プロセスを指す。二量体以外のオリゴマーの形成が明確に、または暗黙のうちに示されていない限り、「オリゴマー化」という用語は、「二量化」反応を指すために使用することができる。
【0029】
「芳香族化」という用語は、炭化水素出発物質、典型的にはアルケンまたはアルカンが適切な触媒の存在下で脱水素環化によって、1種または複数の芳香族化合物(例えばp−キシレン)に変換されるプロセスを指す。
【0030】
「脱水素環化」は、アルカンまたはアルケンが通常は適切な脱水素環化触媒、例えば、本明細書に記載されているもののいずれかの存在下で、芳香族炭化水素および水素に変換される反応を指す。
【0031】
「反応帯域」という用語は、基質および化学的中間体が触媒と接触して最終的に生成物を形成する反応器または一連の反応器の一部を指す。単純な反応のための反応帯域は、単一の触媒を含有する単一の容器であってよい。2種の異なる触媒を必要とする反応では、反応帯域は、2種の触媒の混合物を含有する単一の容器、2つの別々の層で2種の触媒を含有する管状反応器などの単一の容器またはそれぞれ同じか、もしくは異なってよい別々の触媒を有する2つの容器であってよい。
【0032】
「実質的に純粋なp−キシレン」という語句は、方法の脱水素環化ステップによって生産されたキシレンの異性体組成物を指す。「実質的に純粋なp−キシレン」を含むキシレンは、p−キシレン異性体少なくとも約75%を含み、したがって、そのキシレンのうちの約25%未満は、他のキシレン異性体(例えば、o−キシレンおよびm−キシレン)である。したがって、「実質的に純粋なp−キシレン」を含む異性体は、p−キシレンを約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%、約99.9%または約100%含んでよい。
【0033】
「変換率」という用語は、特定の反応(例えば脱水、二量化、脱水素環化など)において反応物が生成物に変換される程度を指す。したがって、変換率100%は、反応物の完全な消費を指し、変換率0%は反応がなかったことを指す。
【0034】
「選択率」という用語は、特定の反応が、他の生成物ではなく特異的な生成物を形成する程度を指す。例えば、イソブタノールの脱水では、イソブチレンに対する選択率50%は、形成されたアルケン生成物のうちの50%がイソブチレンであることを意味し、イソブチレンに対する選択率100%は、形成されたアルケン生成物のうちの100%がイソブチレンであることを意味する。選択率は、形成された生成物に基づくので、選択率は、特定の反応の変換率または収率に左右される。
【0035】
「WHSV」は、単位時間当たりの重量空間速度を指し、触媒質量で割った質量流量(質量単位/時)に等しい。例えば、100gの脱水触媒床を備えた脱水反応器において、500g/hrのイソブタノール流速は、5hr−1のWHSVとなるであろう。
【0036】
別段に示されていない限り、本明細書に記載のパーセンテージは全て、重量による(即ち、重量%)。
【0037】
多くの実施形態において、発酵供給原料は、バイオマスを処理することから得られる炭素源を含む。適切な炭素源には、デンプン、単糖および多糖、前処理されたセルロースおよびヘミセルロース、リグニンならびにペクチンなどの本明細書に記載されたもののいずれかが包含され、これらはバイオマスを、抽出、酸による加水分解、酵素処置などを包含する公知の1種または複数のプロセスに掛けることによって得られる。
【0038】
炭素源を、バイオ触媒の代謝作用によって(または、例えばガス化、それに続くFischer−Tropsch触媒での化学反応を使用する熱化学的方法によって)、p−キシレン(イソブタノールなど)の前駆体に変換する。炭素源は、バイオ触媒(例えば、本明細書に記載の微生物)によって消費されて、p−キシレン前駆体(例えば、イソブタノール)として大きな発酵容器中に排出される。次いで、p−キシレン前駆体を発酵ブロスから分離し、場合によって精製し、次いで、脱水、二量化および芳香族化などのさらなるプロセスに掛けて、実質的に純粋なp−キシレンを含む芳香族を形成する。
【0039】
バイオ触媒に応じて、特定のCアルコールまたはCアルコールの混合物を得ることができる。例えば、バイオ触媒は、発酵の間に1種を超えるCアルコール(例えば1−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどから2種以上)を形成し得る単一の微生物であってよい。しかしながら、多くの実施形態では、主に1種のCアルコールを得ることが最も有利である。特定の実施形態では、Cアルコールはイソブタノールである。したがって、多くの実施形態では、発酵の間にイソブタノールを優先的に形成する特定の微生物を使用する。
【0040】
別法では、適切な光合成生物(本明細書に記載のシアノ細菌または藻類)を使用して、再生可能なブタノール(例えば、イソブタノール)を光合成で調製する。
【0041】
アルコールを生じる任意の適切な生物を、本発明の方法の発酵ステップで使用することができる。例えば、イソブタノールなどのアルコールは、酵母によって、糖を発酵させてエタノールにする間に生じる。そのようなアルコール(ビールおよびワインを生産するための工業的発酵の分野ではフーゼルアルコールと称される)は、これらの製品の味および安定性に対するその作用について詳細に研究されている。最近では、改変微生物を使用してフーゼルアルコールを生産することが報告されている(米国特許出願公開第2007/0092957号およびNature、2008、451、86〜89頁)。イソブタノールは、米国特許仮出願第60/730,290号または米国特許出願公開第2009/0226990号、同第2009/0226991号、同第2009/0215137号、同第2009/0171129号に記載されている組換え微生物によって発酵で生産することができ、2−ブタノールは、米国特許第仮出願第60/796,816号に記載されている組換え微生物によって発酵で生産することができ、1−ブタノールは、米国特許仮出願第60/721,677号に記載されている組換え微生物によって発酵で生産することができる。他の適切な微生物には、例えば米国特許出願公開第2008/0293125号、同第2009/0155869号に記載されているものが包含される。
【0042】
発酵ブロスから、様々な方法、例えば分別蒸留、溶媒抽出(例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載されているとおりに調製された再生可能なオリゴマー化炭化水素、再生可能な水素化炭化水素、再生可能な芳香族炭化水素などの再生可能な溶媒を用いて)、吸着、透析蒸発などによって、またはそのような方法の組み合わせによって、脱水前に、発酵の間に生じたCアルコールを除去することができる。他の実施形態では、発酵の間に生じたアルコールを発酵ブロスから脱水前に単離せずに、希釈水性溶液としてそのまま脱水する。
【0043】
特定の実施形態では、Cアルコールを、米国特許出願公開第2009/0171129A1に記載されている方法によって除去する。特に、Cアルコールの熱力学的活性を高め、かつ/または水の熱力学的活性を低めることによって、例えば、発酵容器のヘッドスペースまたは発酵容器から除去される発酵ブロスの副流(例えば、フラッシュタンクまたは他の装置を使用)を減圧(例えば、大気圧未満)に維持し、かつ/または発酵ブロスの副流を加熱し、それによって水およびCアルコール(例えば、水性イソブタノール)を含む気相を得ることによって、Cアルコールを発酵ブロスから除去することができる。特定の実施形態では、こうして得られた気相は主に、水およびCアルコールからなる。さらに他の特定の実施形態では、気相は、水およびCアルコールの共沸混合物をもたらす。Cアルコールおよび水を含む気相を、脱水反応ステップに直接供給することができるか、または、例えば、冷却して水およびCアルコールに凝縮することによってさらに濃縮して、Cアルコールリッチな相および水リッチな相を含む2相液体組成物を生じさせることができる。次いで、Cアルコールリッチな液相を、当分野で知られている様々な方法、例えば、液液分離器などを使用して、水リッチな相から分離することができる。蒸留、吸収、透析蒸発などの従来の方法を使用して、発酵槽から除去された水性Cアルコールをさらに精製して、発酵プロセスに由来する水および/または他の不純物を除去することができる。
【0044】
本明細書に記載されているとおりの発酵ブロスからのCアルコール除去は、連続的に、または半連続的に行うことができる。本明細書に記載の方法でのCアルコールの除去が有利である。それというのも、これは、蒸留、透析蒸発、吸収などの比較的エネルギー集約的であるか、装置集約的な単位操作を使用することなく、発酵ブロスからのCアルコールの分離をもたらし、発酵の代謝副生成物を除去し、そのことによって、発酵プロセスの生産性を改善するためである。
【0045】
発酵槽からCアルコール(類)を除去した後に、初めにアルコールをCアルケン(類)(イソブチレン、1−ブテンおよび/または2−ブテン)に触媒によって脱水し、次いで、Cアルケン(類)をCアルケン(類)(直鎖または分岐オクテン、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセン、2,5−ジメチルヘキサジエンなど)に触媒によって二量化することによって、Cアルコール(類)をp−キシレンに変換する。Cアルケン(類)を最後に、脱水素環化触媒の存在下で反応させて、p−キシレンを選択的に形成する。本明細書中でさらに詳細に記載されているとおり、特定の実施形態では、脱水、二量化および脱水素環化反応ステップを、特異的な生成物の選択的形成を援助する反応条件下で実施する。例えば、脱水反応を、イソブチレンを選択的に形成する(例えば、形成されたCアルケンのうちの少なくとも約95%がイソブチレンである)特定の脱水触媒(本明細書に記載されているとおりの)の存在下、特定の温度、圧力およびWHSV条件下で実施し;二量化反応を、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンおよび/または2,5−ジメチルヘキサジエンを選択的に形成する(例えば、形成されたCアルケンのうちの少なくとも約50%が2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンおよび/または2,5−ジメチルヘキサジエン)特定の二量化水触媒(本明細書に記載されているとおりの)の存在下、特定の温度、圧力、希釈剤およびWHSV条件下で実施し;脱水素環化反応を、pキシレンを選択的に形成する(例えば、形成されたキシレンのうちの少なくとも約75%がp−キシレンである)特定の二量化触媒(本明細書に記載されているとおりの)の存在下、特定の温度、圧力、希釈剤およびWHSV条件下で実施する。
【0046】
特定の選択的触媒、希釈剤の添加、反応温度の低下、触媒での反応物滞留時間の短縮(即ち、より高いWHSV値)などの使用など、望ましくない副反応(および結果として生じる望ましくない副生成物)を減らす様々な方法によって、選択的脱水、二量化および脱水素環化反応ステップを促進する。そのような反応条件は、特定の反応ステップのパーセント変換率を100%未満に低下させる傾向があり、したがって、連続する反応それぞれでの供給原料は、先行する反応ステップに由来する未反応の出発物質(希釈剤として機能し得る)、さらに追加の希釈剤および先行する反応ステップからの副生成物を包含してよく;例えば、脱水素環化反応ステップのための供給原料は、二量化反応によって生じたCアルケン、さらに、希釈ガス(例えば、窒素、アルゴンおよびメタン)、二量化反応からの未反応のCアルケンなど、脱水素環化反応からの副生成物Cおよび/またはCアルカンなどを包含してよい。未反応の出発物質はまた、適切な反応ステップに逆再循環させて、p−キシレンの全体収率を増大させることができる。例えば、二量化反応からの生成物流中に存在する(または場合によって、脱水素環化反応からの生成物流中にも存在する)未反応のCアルケンは、生成物流から分離して、二量化反応のための供給原料に逆再循環させることができる。加えて、脱水素環化反応の間に形成されるCおよびCアルカン副生成物(例えば、脱水素環化供給原料中に存在する対応するCおよびCアルケンから)は、脱水素環化反応のための供給原料に逆再循環させることができる。Cアルカン(例えば、イソオクタン、2,5−ジメチルヘキセン、2,5−ジメチルヘキサジエンなど)を脱水素環化触媒の存在下に反応させてp−キシレンを形成することができ、Cアルケンは、比較的不活性な希釈剤として機能する。Cアルカンは、オリゴマー化反応の供給原料に逆再循環させることができ、その際、これは、オリゴマー化反応の選択率を高め、それによってp−キシレンへと選択的脱水素環化される生成物をもたらす希釈剤として作用する。
【0047】
アルコールの生産に続く様々な反応ステップ(例えば、脱水、二量化および脱水素環化)を、単一の反応器中で実施することができ、その中で、個々の反応ステップを異なる反応帯域で行うか;または触媒を単一の反応帯域中で混合するか、または一緒に層状にして、そのことによって、Cアルコールを単一の反応帯域中で順次変換させて連続する中間体にする(例えば、単一の反応帯域でCアルコールをCアルケンに、次いでCアルケンに変換;または単一の反応帯域でCアルケンをCアルケンに変換、次いで、Cアルケンをp−キシレンに脱水素環化)。別法では、様々な反応を別々の反応器で実施して、反応器条件(例えば、温度、圧力、触媒、供給原料組成、WHSVなど)を最適化し、各反応ステップの選択率を最大化することができるようにする。別々の反応ステップを別々の反応器中で実施する場合には、様々な反応ステップで形成された中間体を後続の反応ステップに進める前に単離および/または精製することができるか、またはある反応器からの反応生成物を精製することなく、次の反応器に直接入れることができる。
【0048】
本発明の方法の他の実施形態では、1つまたは複数の特定の反応ステップ(例えば、脱水、二量化、脱水素環化)を2個以上の反応器中で実施することができ(直列または並列で接続)、そうして、方法の操作の間に、特定の反応器をバイパスして(または「オフライン」させて)、バイパスされた反応器でメンテナンス(例えば、触媒再生)を実施することを可能にする一方で、残りの操作可能な反応器で、方法をなお継続することができる。例えば、脱水素環化ステップは、直列で接続されている2つの反応器で実施することができるであろう(それによって、二量化ステップの生成物は、第1脱水素環化反応器のための供給原料であり、第1脱水素環化反応器の生成物は、第2の脱水素環化反応器のための供給原料である)。適切な配管およびバルブを使用して、第1脱水素環化反応器をバイパスして、脱水素環化ステップの生成物がここでは第2脱水素環化反応器のための供給原料であるようにすることができる。平行に接続された反応器では、反応器のうちの一方のバイパスは単純に、所望の反応器の供給および生成物ラインを閉じることを必要とし得る。直列または並列で接続された1つまたは複数の反応器をバイパスまた遮断するためのそのような反応器配置および手段は、当分野で公知である。
【0049】
脱水反応のためのCアルコール供給原料は、単一のCアルコール(例えば、イソブタノール)を含んでよいか、またはCアルコールの混合物を含んでよい。多くの実施形態では、脱水供給原料は、単一のCアルコール(例えば、イソブタノール)を含む。
【0050】
脱水反応で、発酵ステップで生産されたCアルコール(例えば、イソブタノール)を対応するCアルケン(例えば、イソブチレン)に触媒によって変換する。使用される脱水触媒に応じて、Cアルコールの脱水はまた、生じたCアルケンの転位を伴って、1種または複数の異性アルケンを形成し得る。異性化が生じる場合には、その異性化は、脱水と同時に、または脱水の後に起こり得る。
【0051】
アルコールを脱水してアルケンにすることは、多くの種々の触媒によって触媒することができる。一般に、酸性不均一系または均一系触媒が、Cアルコールを脱水するために適した条件に維持されている反応器中で使用される。典型的には、Cアルコールを酸性触媒によって活性化させて、水の除去を促進する。水を通常は、生成物を有する脱水反応器から除去する。生じたCアルケンは、反応器中に(例えば、反応器条件に応じて気相または液相で)存在して、下流の精製プロセスによって捕捉されるか、または反応器中で、本明細書に記載されているとおりの他の化合物にさらに変換される。例えば、t−ブチルアルコールを気相で、300〜400℃で、酸処理された酸化アルミニウム触媒上で(米国特許第5,625,109号)、または液相で、120〜200℃でスルホン酸陽イオン交換樹脂触媒(米国特許第4,602,119号)上で反応させることによって、t−ブチルアルコールを脱水して、イソブチレンにする。脱水反応によって生じた水は、反応器中に未反応のCアルコールおよびCアルケン生成物と共に存在し、これを、蒸留または相分離によって分離する。水は、脱水ステップにおいて大量に生じるので、使用される触媒は一般に、水に耐性があり、基質および生成物から水を除去するプロセスは、脱水ステップを含有する任意のプロセスの一部であってよい。この理由で、湿潤な(即ち、水99重量%まで)Cアルコールを、脱水反応のための基質として使用し、その水を、脱水反応によって生じた水と共に除去することが可能である。例えば、エタノールの希釈水溶液(水98重量%まで)をゼオライト触媒で脱水して、脱水ステップを行った後に、全ての水をエチレン生成物流から除去することができる(米国特許第4,698,452号および同第4,873,392号)。加えて、中性アルミナおよびゼオライトは、アルコールをアルケンに脱水するであろう。例えば、中性のクロム処理されたアルミナは、250℃以上でイソブタノールをイソブチレンに脱水するであろう(米国特許第3,836,603号)。
【0052】
約0%から約15%の水レベルは、もしあるとしても、後続の脱水反応のパーセント変換率および選択率にほとんど作用を有さない。多くの実施形態において、脱水反応のための供給原料は、水約0%、水約1%、水約2%、水約3%、水約4%、水約5%、水約6%、水約7%、水約8%、水約9%、水約10%、水約11%、水約12%、水約13%、水約14%または水約15%を包含する、その間の全ての範囲および下位範囲を含めて水約0〜15%を含む水性Cアルコールを含む。特定の実施形態では、脱水反応のための水性Cアルコール供給原料は、水約0〜15%を含有する水性イソブタノールを含む。特定の実施形態では、脱水反応供給原料は主に、水約0〜15%を含有する水性イソブタノール(例えば、イソブタノール約85〜100%および水約0〜15%)および痕跡レベルの不純物(例えば、不純物約5%未満、例えば、不純物約4%未満、約3%未満、約2%未満または約1%未満)からなる。
【0053】
適切な脱水触媒には、均一系または不均一系触媒が包含される。均一系酸性触媒の非限定的リストには、硫酸、フッ化水素、フルオロスルホン酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リン酸、ハロゲン化アルミニウムおよびホウ素などのルイス酸(例えば、AlCl、BFなど)などの無機酸;トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸などの有機スルホン酸;ヘテロポリ酸;フルオロアルキルスルホン酸、金属スルホン酸塩、金属トリフルオロ酢酸塩、それらの化合物およびそれらの組み合わせが包含される。不均一系酸性触媒の非限定的リストには、不均一系ヘテロポリ酸(HPA);固体リン酸;アルミナまたはシリカを含有するものなどの天然粘土鉱物;スルホン化ポリスチレンイオン交換樹脂などのカチオン交換樹脂;含水酸化ジルコニウム、Fe、Mn、γ−アルミナなどの金属酸化物;スルホン化ジルコニア/γ−アルミナ、アルミナ/酸化マグネシウムなどの混合金属酸化物;金属硫化物、金属硫酸塩、金属スルホン酸塩、金属硝酸塩、金属リン酸塩、金属ホスホン酸塩、金属モリブデン酸塩、金属タングステン酸塩、金属ホウ酸塩などの金属塩;NaYゼオライト、H−ZSM−5、NaAゼオライトなどのゼオライト;例えば、米国特許出願公開第2009/0030239号、同第2008/0132741号、同第2008/0132732号、同第2008/0132730号、同第2008/0045754号、同第2008/0015395号に記載されているとおりの当分野で公知の上記のいずれかの改変バージョンおよび上記のいずれかの組み合わせが包含される。
【0054】
本発明の方法の脱水反応を典型的には、本明細書に記載の脱水触媒のいずれかを使用する1個または複数の固定床反応器を使用して実施する。別法では、流動床反応器、バッチ反応器、触媒蒸留反応器などの当分野で公知の他の種類の反応器を使用することができる。特定の実施形態では、脱水触媒は、不均一系酸性γ−アルミナ触媒である。最終的に生じるp−キシレンの純度を最大化し、中間体を精製する必要性を低減または除去するために、イソブチレンの選択的形成を援助する条件下で、脱水反応を実施することが望ましい。比較的低い変換率および比較的穏やかな脱水条件(例えば、比較的低温および低圧)下で、比較的高い選択率が援助される。
【0055】
一部の実施形態では、水(脱水供給原料中に存在するか、または脱水反応の副生成物としての)の除去を促進するために、脱水反応を気相で実施する。多くの実施形態では、脱水反応を0〜30psigの圧力範囲、約350℃以下(例えば、約300〜350℃)の温度で実施する。他の実施形態では、脱水反応圧力は、その間の全ての範囲および下位範囲を含めて約0、約5、約10、約15、約20、約25または約30である。多くの実施形態では、脱水反応温度は、約325℃以下、約300℃以下、約275℃以下または約250℃以下である。特定の実施形態では、脱水温度は約300℃である。他の特定の実施形態では、脱水温度は約275℃である。さらに他の実施形態では、脱水温度は少なくとも約100℃であり、少なくとも約1atmの圧力である。
【0056】
脱水反応の単位時間当たりの重量空間速度(WHSV)は、約1hr−1から約10hr−1の範囲であるか、または約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9もしくは約10hr−1であってよい。特定の実施形態では、WHSVは約5hr−1である。
【0057】
さらに他の実施形態では、脱水反応を、その間の全ての範囲および下位範囲を含めて約60psigから約200psigの範囲の比較的高い圧力で、例えば、約60psig、約70psig、約80psig、約90psig、約100psig、約110psig、約120psig、約130psig、約140psig、約150psig、約160psig、約170psig、約180psig、約190psigまたは約200psigで実施する。脱水反応をそのような圧力で実施する場合、脱水反応生成物のイソブチレンおよび水を液液分離器で分離する。
【0058】
脱水反応生成物または脱水反応生成物の一部が気相で生じた場合、脱水反応生成物のCアルケン(例えばイソブチレン)および水成分を、気液または液液分離法によって分離することができる(即ち、冷却および/または圧縮によって脱水反応生成物を凝縮した後に)。脱水反応生成物が実質的に液体である場合には、生成物は、Cアルケン(例えば、イソブチレン)リッチな相および水リッチな相を形成し、これを、液液分離器を使用して分離することができる。
【0059】
本発明の方法が、最終的に実質的に純粋なp−キシレンをもたらすように、脱水反応を、主にイソブチレンであるCアルケン生成物をもたらす「選択的」プロセス条件(例えば、触媒(類)、温度、圧力、WHSVなどの選択)下で実施することが望ましい。特定の実施形態では、Cアルケン生成物がイソブチレン少なくとも約95%を含むように、温度、圧力、使用される触媒およびWHSVの組み合わせ、例えば、約300℃以下の温度、約0〜80psigの圧力、BASF AL−3996などの触媒および約5hr−1のWHSVを選択する。他の特定の実施形態では、Cアルケン生成物はイソブチレンを、その間の全ての範囲および下位範囲を含めて少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%含む。
【0060】
脱水反応で生じる水を、様々な方法によって、Cアルケン(例えば、イソブチレン)から分離することができる。例えば、脱水反応を約0〜30psigの圧力で実施する場合には、気液分離器を使用して、Cアルケンをガスとして、液体の水から分離することができる。脱水反応を約30〜100psigの圧力で実施する場合には、Cアルケンおよび水の両方を凝縮させ(例えば、生成物流を冷却または圧縮することによって)、液液分離器を使用して、分離を実施することができる。特定の実施形態では、Cアルケン(例えば、イソブチレン)および水を、脱水の後に、気液分離によって分離する。一部の実施形態では、未反応のCアルコールを、Cアルケンから分離した後に、脱水供給原料に逆再循環させる。
【0061】
特定の実施形態では、脱水反応を温度/圧力条件(例えば、約250〜350℃の温度、60〜200psigの圧力、約1〜20hr−1のWHSV)下で行う。次いで、液液分離器を使用して、Cアルケン(例えば、イソブチレン)生成物を水性相から分離する。未反応のイソブタノールの少なくとも一部を、脱水反応供給に逆再循環させることができる;Cアルケン生成物混合物中に残っている未反応のイソブタノールの一部はまた、脱水生成物流中に残して、希釈剤および/または調節剤として二量化供給原料中で作用させて、二量化反応ステップの選択率を改善することができる。
【0062】
他の特定の実施形態では、脱水反応を、直列で接続されている多数の別々の反応器(例えば、2個または3個以上の脱水反応器)中で実施し、その際、反応器の温度は、それぞれ連続する脱水反応器で上昇していく。このように配置すると、プロセス全体をシャットダウンする必要なく、1個または複数の脱水反応器を操作の間にバイパスして、バイパスされた反応器中の「コークス化」触媒の再生を可能にすることができる。
【0063】
他の実施形態では、脱水生成物流からの未反応のイソブタノールを再循環させる代わりに、Cアルケンからの分離(例えば、液液または気液分離によって)の後に得られた未反応のイソブタノールの少なくとも一部を、追加の脱水反応器中でさらに脱水し、生じたCアルケン生成物を、二量化ステップのための供給原料に加えることができる。
【0064】
多くの実施形態では、脱水および二量化ステップを別々に実施する。他の実施形態では、脱水および二量化反応を、単一の反応帯域中、両方の反応を触媒する触媒(または触媒混合物)を使用して実施する。脱水ステップで形成されたCアルケン(類)をそのまま、オリゴマー化触媒(例えば、他の反応帯域または他の反応器中)に移すことができるか、二量化の前に単離することができる。一実施形態では、Cアルケンを液体として単離し、場合によって、二量化の前に精製する(例えば、蒸留によって)。脱水プロセスが気相条件下で最適に実施される一方で、二量化が液相条件下で最適に実施される場合には、Cアルケンの単離が有利であり得る。したがって、Cアルケンの単離は、脱水および二量化反応を、最適の条件下でそれぞれ実施することを可能にする。Cアルケンの単離は、バイオ触媒(または熱化学的プロセス)によって生じたCアルコールを連続的に発酵槽(本明細書に記載されているとおりの)から除去し、連続的に脱水してCアルケンを得るプロセスを指し得る。次いで、Cアルケンを貯蔵し、後でさらに反応させるか(例えば、オリゴマー化および/または芳香族化および/または水素化および/または酸化)、または単離されたCアルケンを、オリゴマー化の前に集合タンクに一時的に貯蔵して、各単位操作(例えば、発酵、脱水、オリゴマー化、脱水素環化など)を同時に、かつ多かれ少なかれ連続的に行い、Cアルケン「緩衝剤」の単離プロセスが後になる統合された連続プロセスをもたらすことができる。
【0065】
オリゴマー化触媒は、Cアルケンの二量化、三量化などを触媒する。本発明の方法では、オリゴマー化触媒および方法条件を適切に選択することによって、主にCアルケンからCアルケン(類)(例えば、2,4,4−トリメチルペンテンなど)への二量化を援助する。多くの実施形態では、二量化反応ステップを、実質的に専ら二量体生成物(即ち、形成されるロゴマーのうちの少なくとも約90%がCアルケンであるか、形成されるオリゴマーのうちの少なくとも約95%がCアルケンであるか、形成されるオリゴマーのうちの少なくとも約98%がCアルケンであるか、オリゴマーのうちの少なくとも約99%がCアルケンであるか、または形成されるオリゴマーのうちの約100%がCアルケンである)を援助する条件下で実施する。次いで、未反応のCアルケンを再循環させる。
【0066】
さらに、二量化プロセスを、形成されるCアルケンが主に2,4,4−トリメチルペンテンを含む、即ち、Cアルケン二量体が、2,4,4−トリメチルペンテン少なくとも約50%または2,4,4−トリメチルペンテン少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%もしくは約100%を含む選択的条件下で実施する。
【0067】
他の実施形態では、二量化プロセスを、形成されるCアルケンが主に2,5−ジメチルヘキセンを含む、即ち、Cアルケン二量体が2,5−ジメチルヘキセン少なくとも約50%または2,5−ジメチルヘキセン少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%もしくは約100%を含む選択的条件下で実施する。
【0068】
さらに他の実施形態では、二量化プロセスを、形成されるCアルケンが主に2,5−ジメチルヘキサジエンを含む、即ち、Cアルケン二量体が2,5−ジメチルヘキサジエン少なくとも約50%または2,5−ジメチルヘキサジエン少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%もしくは約100%を含む選択的条件下で実施する。
【0069】
さらなる実施形態では、二量化プロセスを、形成されるCアルケンが主に2,5−ジメチルヘキセンおよび2,5−ジメチルヘキサジエンを含む、即ち、Cアルケン二量体が2,5−ジメチルヘキセンおよび2,5−ジメチルヘキサジエン少なくとも約50%または2,5−ジメチルヘキセンおよび2,5−ジメチルヘキサジエン少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%もしくは約100%を含む選択的条件下で実施する。
【0070】
石油化学処理において典型的な高い変換率条件では(例えば、変換率≧95%)、オリゴマー化生成物は典型的には、イソオクテンおよびイソドデセンの混合物を含み、これは、十分に純粋なp−キシレンを得るために、脱水素環化の前にイソオクテン成分を単離および精製することを必要とするであろう。本明細書に記載されているとおりの選択的二量化条件は、高レベルのジイソブチレン、例えば2,4,4,−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンまたは2,5−ジメチルヘキサジエンをもたらし、これは続いて、本明細書に記載されているとおりの脱水素環化によって、実質的に純粋なp−キシレンに変換することができる。2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンまたは2,5−ジメチルヘキサジエンを少なくとも約50%(または他の実施形態では、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンまたは2,5−ジメチルヘキサジエンを、その間の全ての範囲および下位範囲を含めて、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約95%、少なくとも約95%または約100%)含む本質的に専ら二量体アルケン生成物をもたらす選択的二量化条件は、様々な手段、例えば、触媒の選択、温度および/または圧力の選択、WHSV、希釈剤および調節剤の存在ならびにそれらの組み合わせによって得られる。適切な選択的二量化条件には、例えば、Amberlyst強酸性イオン交換樹脂触媒を用いて、約100〜120℃の温度、ほぼ大気圧、約10〜50hr−1のWHSVおよび希釈剤約50〜90%を含む供給原料での二量化が包含され;ZSM−5触媒(例えば、CBV2314)では、適切な二量化条件には、約150〜180℃の反応温度、約750psigの圧力、約10〜100hr−1のWHSVおよび希釈剤約30〜90%を含む供給原料が包含され;固体リン酸触媒では、適切な条件には、約160〜190℃の反応温度、約500〜1000psigの圧力、約10〜100hr−1のWHSVおよび希釈剤約25〜75%を含む供給原料が包含される。
【0071】
適切な酸性オリゴマー化触媒の非限定的なリストには、無機酸、有機スルホン酸、ヘテロポリ酸、ペルフルオロアルキルスルホン酸、それらの金属塩、金属塩の混合物およびそれらの組み合わせが包含される。酸性触媒はまた、CBV−3020、ZSM−5、βゼオライトCP 814C、ZSM−5 CBV 8014、ZSM−5 CBV 5524 GおよびYCBV 870などのゼオライト;フッ素化アルミナ;酸処理されたシリカ;酸処理されたシリカ−アルミナ;酸処理されたチタニア;酸処理されたジルコニア;ジルコニア、チタニア、アルミナ、シリカに担持されたヘテロポリ酸;ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。酸性触媒はまた、金属スルホン酸塩、金属硫酸塩、金属トリフルオロ酢酸塩、金属トリフルオロメタンスルホン酸塩およびそれらの混合物;それらの共役酸との塩の混合物、テトラフルオロホウ酸亜鉛ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択することもできる。
【0072】
本発明の二量化ステップで使用することができる他の酸性触媒には、硫酸、リン酸(例えば、固体リン酸)、塩酸および硝酸などの無機酸、さらにそれらの混合物が包含される。p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸およびメタンスルホン酸などの有機酸も使用することができる。さらに、酸の形態のイオン交換樹脂も使用することができる。したがって、当分野で知られている任意の種類の適切な酸性触媒を使用することができる。
【0073】
フッ素化スルホン酸ポリマーもまた、本発明の方法の二量化ステップのための酸性オリゴマー化触媒として使用することができる。これらの酸は、塩の形態に一部または全部変換されていてもよい懸垂スルホン酸基を含有する一部または全部フッ素化された炭化水素ポリマーである。一種の適切なフッ素化スルホン酸ポリマーは、Nafion(登録商標)過フッ素化スルホン酸ポリマー(E.I.du Pont de Nemours and Company、Wilmington、DE)である。他の適切なフッ素化スルホン酸ポリマーは、Nafion(登録商標)Super Acid Catalyst、即ち、プロトン(H+)または金属塩形態に変換されているテトラフルオロエチレンおよびペルフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニルフルオリドのコポリマーであるビーズ状の強酸性樹脂である。
【0074】
溶解性酸性オリゴマー化触媒も、本発明の方法で使用することができる。適切な溶解性の酸には、約4未満のpKa、好ましくは約2未満のpKaを有する酸性触媒が包含され、その際、無機酸、有機スルホン酸、ヘテロポリ酸、ペルフルオロアルキルスルホン酸およびそれらの混合物が包含される。また、約4未満のpKaを有する酸の金属塩も適しており、その際、金属スルホン酸塩、金属硫酸塩、金属トリフルオロ酢酸塩、金属トリフルオロメタンスルホン酸塩および、それらの共役酸との塩の混合物を包含するそれらの混合物が包含される。適切な酸の具体的な例には、硫酸、フルオロスルホン酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ホスホタングステン酸、ホスホモリブデン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸ビスマス、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム、トリフルオロメタンスルホン酸ネオジム、トリフルオロメタンスルホン酸ランタン、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジルコニウムおよびテトラフルオロホウ酸亜鉛が包含される。
【0075】
バッチ反応では、酸性オリゴマー化触媒を好ましくは、反応物の重量に対して約0.01%から約50%の量で使用する(但し、充填床反応器を使用する連続方式で行われる反応では、酸性触媒の濃度が50%を超えることもある)。特定の実施形態では、その範囲は、反応が充填床反応器を使用する連続方式で行われるのではない限り、反応物に対して0.25重量%から5重量%である。フロー反応器では、酸性触媒は、約0.1hr−1から500hr−1の範囲のWHSV値(例えば、約0.1、約0.5、約1.0、約2.0、約5.0、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450または約500hr−1)をもたらす量で存在するであろう。
【0076】
他の適切な不均一系酸性触媒には例えば、酸処理された粘土、不均一系ヘテロポリ酸および硫酸化ジルコニアが包含される。酸性触媒はまた、硫酸処理されたシリカ、硫酸処理されたシリカ−アルミナ、酸処理されたチタニア、酸処理されたジルコニア、ジルコニアに担持されたヘテロポリ酸、チタニアに担持されたヘテロポリ酸、アルミナに担持されたヘテロポリ酸、シリカに担持されたヘテロポリ酸およびこれらの組合せからなる群から選択することもできる。適切な不均一系酸性触媒には、2以下のHを有するものが包含される。
【0077】
本発明の多くの実施形態では、二量化反応ステップを典型的には、本明細書に記載の任意のオリゴマー化触媒を使用する固定床反応器を使用して実施する。別法では、流動床反応器、バッチ反応器、触媒蒸留反応器などの当分野で公知の他の種類の反応器を使用することができる。特定の実施形態では、オリゴマー化触媒は、HZSM−5、固体リン酸またはスルホン酸樹脂などの酸性触媒である。
【0078】
上記の通り、二量化反応ステップのための供給原料を、脱水反応ステップの生成物(例えば、多少の未反応のイソブタノールからCアルケン生成物を分離した後に得られる)から得る。脱水反応を約30psig未満の圧力で実施する場合には、気液分離後に得られるCアルケン生成物を圧縮して、二量化反応のためのCアルケンリッチな供給原料を形成することができる。別法では、脱水反応を、より高い圧力で実施する場合(例えば、約60psig以上)および/または脱水生成物を、液液分離を使用して分離する場合には、液体のCアルケンリッチな相を、二量化反応のための供給原料としてそのまま使用するか(例えば、二量化反応器にそのままポンプ導入して)、または本明細書に記載されているとおりの適切な希釈剤で希釈することができる。特定の実施形態では、液体のCアルケンリッチな供給原料は、脱水反応からの未反応のイソブタノールを含有し、かつ/または追加の希釈剤を添加して、二量化反応ステップの選択率を改善する。多くの実施形態では、Cアルケンは、イソブチレンを含む。典型的な実施形態では、供給原料のCアルケン部分は、イソブチレン少なくとも約95%またはイソブチレン少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または約100%を含むことが望ましい。
【0079】
本明細書で検討されているとおり、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンおよび2,5−ジメチルヘキサジエンなどの二量体の形成に対するより高い選択性は、比較的低い変換率およびより穏やかなオリゴマー化条件(例えば、より低い温度および圧力)で援助される。多くの実施形態では、反応を液相で、0〜1500psigの範囲の圧力、約250℃以下の温度で実施する。一部の実施形態では、オリゴマー化反応圧力は、その間の全ての範囲および下位範囲を含めて約0、約15、約30、約45、約60、約75、約90、約105、約120、約135、約150、約165、約180、約195、約210、約225、約240、約255、約270、約285、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400または約1500psigである。
【0080】
他の実施形態では、二量化反応温度は、その間の全ての範囲および下位範囲を含めて約250℃以下、約225℃以下、約200℃以下、約175℃以下、約150℃以下、約125℃以下、約100℃以下、約75℃以下または約50℃以下である。特定の実施形態では、オリゴマー化温度は、約170℃である。
【0081】
オリゴマー化反応の単位時間当たりの重量空間速度(WHSV)は、約1hr−1から約500hr−1の範囲、または約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約175、約200、約225、約250、約275、約300、約350、約400、約450もしくは約500hr−1であってよい。特定の実施形態では、WHSVは、約5hr−1である。
【0082】
本発明の方法のオリゴマー化ステップの後に調製される再生可能なCアルケンは、3個、2個または少なくとも1個の二重結合を有する。平均では、本発明の方法のオリゴマー化ステップの生成物は、分子1個当たり約2個未満の二重結合を有し、特定の実施形態では、分子1個当たり約1.5個未満の二重結合を有する。多くの実施形態では、Cアルケンは、平均で1個の二重結合を有する。
【0083】
二量化反応ステップの間のCアルケンの選択的二量化はまた、t−ブタノールなどのアルコールおよびパラフィンなどの希釈剤(ケロシン、イソオクタンまたはイソブタンなど)をオリゴマー化供給原料に加えることによって得ることもできる。他の実施形態では、二量化反応の選択率を、水およびイソブタノールを加えることによって、例えば、水性イソブタノールを加えることによって、または脱水反応ステップから得られたCアルケン(イソブチレン)生成物(未反応のイソブタノールを含有)を完全には乾燥させないことによって増大させることができる。
【0084】
アルケン供給原料またはCアルケン生成物の一部の転位が二量化の間に生じ、それによって、新規または不所望な分岐パターンがCアルケン生成物に組み込まれることがある。多くの実施形態では、特にオリゴマー化供給原料がイソブチレンであり、かつ/またはオリゴマー化生成物が2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンまたは2,5−ジメチルヘキサジエンである場合には、Cアルケン供給原料および/またはCアルケン生成物の転位は望ましくない。このような実施形態では、反応条件および触媒を、転位を最小限にするか、除去するように選択する(例えば、少なくとも約200℃未満または約180℃未満の温度および特定の実施形態では、約170℃)。他の実施形態では、Cアルケン供給原料が多少の量の非分岐Cアルケン(即ち、1−ブテンまたは2−ブテン)を包含する場合には、二量化反応を、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンまたは2,5−ジメチルヘキサジエンなどの分岐二量体への二量化および転位を援助する条件下で、または直鎖ブテンが二量化せず(またはイソブチレンよりもかなり遅い速度で二量化する)、それによって、2,4,4−トリメチルペンテンへの二量化の選択率が最大化する条件下で実施することができるであろう。別法では、直鎖ブテンを別の異性体化反応器に再循環させることによって、直鎖ブテンを異性体化し、その後、その異性体化生成物(例えば、イソブチレン)を次いで二量化供給原料に戻し加えることができるであろう。直鎖ブテン異性体はまた、他のプロセス(例えばオリゴマー化して、例えばディーゼル燃料として使用するのに適した主に非分岐高分子量の炭化水素にする)のための供給原料として使用するために回収することもできる。
【0085】
同様に、Cアルケン二量化生成物が非分岐であるか、またはp−キシレンに選択的に脱水素環化されないC異性体を包含する場合、イソブチレンへの二量化供給原料の転位および/または2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンまたは2,5−ジメチルヘキサジエンへの二量化生成物の転位を促進することが望ましいことがある。より望ましい分岐異性体(例えば、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンまたは2,5−ジメチルヘキサジエン)への転位は、より低い温度および/またはより高いWHSV値での二量化によって促進することができるか、またはあまり望ましくないCアルケン異性体を二量化反応器に逆再循環させるか、または別の異性体化反応器に再循環させることによって、異性体化することができ、その後、その異性体化生成物(例えば、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンまたは2,5−ジメチルヘキサジエン)を次いで脱水素環化供給原料に加える。
【0086】
上記で検討したとおり、p−キシレン(および他の芳香族)は現在、石油由来供給原料を接触分解および接触改質することによって生産されている。詳細には、接触改質プロセスは、液化石油ガス(CおよびC)または軽質ナフサ(特にCおよびC)などの軽質炭化水素「留分」を使用し、次いでこれらを、典型的にはM−2 Forming(Mobil)、Cyclar(UOP)およびAroforming(IFP−Salutec)などの3つの主要な石油化学的プロセスのいずれかによってC〜C芳香族に変換する。これらのプロセスは、石油化学グレードのベンゼン、トルエンおよびキシレン(BTX)を低分子量アルカンから単一ステップで生産するために開発された新規な触媒を使用する。プロセスは、1種の触媒および単一の反応帯域での「脱水素および脱水素シクロオリゴマー化」と記載され得る(置換芳香族を調製するためには、C炭化水素の使用は、二量化よりもオリゴマー化を必要とする)。
【0087】
様々なアルミナおよびシリカベースの触媒および反応器配置が、低分子量の炭化水素から芳香族を調製するために使用されている。例えば、液化石油ガスを芳香族化合物に変換するためにUOPおよびBPによって開発されたCyclarプロセスは、ガリウムドーピングされたゼオライトを使用する(Appl.Catal.A、1992、89、1〜30頁)。他の報告されている触媒には、酸化ビスマス、鉛またはアンチモン(米国特許第3,644,550号および米国特許第3,830,866号)、クロム処理されたアルミナ(米国特許第3,836,603号および米国特許第6,600,081号)、レニウム処理されたアルミナ(米国特許第4,229,320号)および白金処理されたゼオライト(WO 2005/065393 A2)が包含される。そのような触媒の非限定的なリストには、クロミア−アルミナおよび酸化ビスマスの混合物(例えば、硝酸ビスマス、炭酸ビスマス、水酸化ビスマス、酢酸ビスマスなどのビスマス化合物を熱分解することによって調製された酸化ビスマスおよび例えば、アルミナ粒子にクロム組成物を含浸させて、クロミア約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45または約50mol%を含有し、場合によってカリウム、ナトリウムまたはケイ素などの助触媒を包含し、場合によって、炭化ケイ素、α−アルミナ、酸化ジルコニウムなどの希釈剤を包含する粒子を得ることによって調製されたクロミア−アルミナ);担持白金、担持パラジウム、担持コバルトまたはクロミア−アルミナ、モリブデン酸コバルト、酸化スズもしくは酸化亜鉛などのそれらの金属酸化物もしくは混合物と組み合わせた酸化ビスマス、酸化鉛または酸化アンチモン;場合によって、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、SrおよびBaなどのI族またはII族の金属と組み合われている、鉄、スズ、タングステンなどの金属に促進されるアルミナまたはジルコニアなどの耐火無機酸化物に担持されたクロム);アルカリ金属水酸化物またはスズ酸塩に追加的に含浸されていて、その後、高温で水素で還元されている、中性または弱酸性担持体の上に堆積されている酸化物または金属形態のレニウム;ならびにアルミノシリケートMFIゼオライトに担持されている白金が包含される。これらの公知の触媒のいずれも、本発明の方法で使用することができる。本発明の方法の特定の実施形態では、脱水素環化触媒には例えば、酸化クロム処理されたアルミナ、白金およびスズ含有ゼオライトおよびアルミナ、コバルト−およびモリブデン−含有アルミナなどが包含される。特定の実施形態では、脱水素環化触媒は、アルミナ担持体上の酸化クロムをベースとする市販の触媒である。
【0088】
脱水素環化反応におけるp−キシレンに対する高い選択率を、主に2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンおよび/または2,5−ジメチルヘキサジエンを含む脱水素環化供給原料を提供し、脱水素環化触媒(本明細書に記載されているとおりの)を適切に選択し、脱水素環化プロセス条件(例えば、プロセス温度、圧力、WHSVなど)を適切に選択することによって援助する。多くの実施形態では、脱水素環化反応を、大気圧未満か、またはややその上で、例えば、その間の全ての範囲および下位範囲を含めて約1psiaから約20psiaの範囲、または約1psia、約2psia、約3psia、約4psia、約5psia、約6psia、約7psia、約8psia、約9psia、約10psia、約11psia、約12psia、約13psia、約14psia、約15psia、約16psia、約17psia、約18psia、約19psiaおよび約20psiaの圧力で実施する。多くの実施形態では、脱水素環化を、その間の全ての範囲および下位範囲を含めて約400℃から約600℃の範囲の温度で、または約400℃、約425℃、約450℃、約475℃、約500℃、約525℃、約550℃、約575℃および約600℃の温度で実施する。多くの実施形態では、脱水素環化を、その間の全ての範囲および下位範囲を含めて約1hr−1、例えば、約0.5hr−1、約1hr−1、約1.5hr−1または約2hr−1のWHSV値で実施する。多くの実施形態では、脱水素環化反応を、約20〜50%の範囲の変換率で操作し、約75%を超えるp−キシレン選択率(即ち、p−キシレンであるキシレン生成物のパーセンテージ)を得る。他の実施形態では、p−キシレン選択率は、≧約75%、≧約80%、≧約85%、≧約90%、≧約95%、≧約96%、≧約97%、≧約98%または≧約99%である。
【0089】
加えて、p−キシレンへの脱水素環化反応の変換率および選択率を、水素、窒素、アルゴンおよびメタンなどの希釈剤を供給原料に加えることによって、上昇させることができる。未反応のCアルケン(例えばオリゴマー化反応からのイソブチレン)を、脱水素環化反応のp−キシレン選択率を改善し、分解を抑制する助けとするのに有効な希釈剤として使用することもできる。したがって、一部の実施形態では、二量化反応ステップの選択率を、二量化を上記の通りの低い変換率条件下で実施することによって改善するが、その際、二量化反応からの生成物は、相当な量の未反応のCアルケン(例えば、イソブチレン)を含有し、そのうちの一部は、二量化反応供給原料に逆再循環させることができ、そのうちの一部は、脱水素環化反応供給原料中に存在するようにする。次いで、脱水素環化反応の生成物中に残っているCアルケン(またはCアルカン)はいずれも、二量化供給原料および/または脱水素環化供給原料に逆再循環させることができる。一部の実施形態では、脱水素環化供給原料は、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンおよび/または2,5−ジメチルヘキサジエン1〜100%と、残分の希釈剤とを含む。特定の実施形態では、脱水素環化触媒の「コークス化」を低減するために、脱水素環化供給原料は、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンおよび/または2,5−ジメチルヘキサジエン約50%未満を含む。例えば、脱水素環化供給原料は、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンおよび/または2,5−ジメチルヘキサジエンをその間の全ての範囲および下位範囲を含めて約1%、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%または約50%含む。
【0090】
芳香族化合物へのアルケンおよびアルカンの変換は、脂肪族炭化水素から水素を放出する実質的な酸化反応である。酸素が存在しない場合、水素ガスが同時生成物であり、メタンおよびエタンなどの軽質アルカンが副生成物である。酸素が存在する場合には、水素は水に変換される。本発明の脱水素環化反応ステップを典型的には、比較的酸素の不在下で実施する(但し、反応器系の漏れによって、痕跡レベルの酸素が存在することはあり、かつ/または脱水素環化反応ステップの供給原料が、酸素を含む痕跡量の不純物を有することはある)。芳香族を生産し、これらの軽質化合物を回収し、精油所全体で使用する従来の石油化学精油所における実施と同様に、脱水素環化反応の副生成物として生じる水素および軽質炭化水素自体も、価値のある化合物であり、これらを除去し、他の化学的プロセス(例えば、アルケン副生成物、例えば、2,4,4−トリメチルペンテンなどのCアルケンの水素化)のために使用して、再生可能な燃料または再生可能な燃料添加剤(例えば、イソオクタンなど)として使用するために適したアルカンを生産することができる。この水素をまた、イソブチレンおよびジイソブチレンと反応させて、イソブタンおよびイソオクタンを生産し、これをオリゴマー化のための希釈剤(イソブタンおよびイソオクタン)として、またはイソブタンの脱水素によってイソブチレンを、およびイソオクタンの脱水素環化によってp−キシレンを形成するための脱水素環化のための供給原料として使用するために再循環させることができる。脱水素環化反応から生産された水素および軽質炭化水素の混合物は、さらに精製することなく水素化のために使用することができるか、または軽質炭化水素を除去して(本質的に完全に、またはその一部)、比較的純粋であるか、高純度の水素を、水素化反応の前に得ることができる。
【0091】
水素化を、適切な活性金属水素化触媒の存在下で実施する。水素化に関して許容できる溶媒、触媒、装置および手順は一般に、Augustine、Heterogeneous Catalysis for the Synthetic Chemist、Marcel Decker、New York、N.Y.(1996)に見いだすことができる。
【0092】
イリジウム、パラジウム、ロジウム、ニッケル、ルテニウム、白金、レニウム、それらの化合物、それらの組み合わせおよびそれらの担持されているバージョンを主成分として含有するもの(限定ではない)を包含する、当分野で公知の多くの水素化触媒が有効である。
【0093】
典型的には、これらの脱水素環化反応を実施する高温は、触媒をコークス化および失活化させる傾向を有する。触媒を再使用するために、通常は、空気の存在下で燃え尽きさせることによって、コークスを15分毎に頻繁に除去しなければならない。したがって、本発明の多くの実施形態において、脱水素環化反応自体は酸素の不在下で実施されるとしても、酸素(および場合によっては水素)を定期的に導入して、触媒を再活性化させることができる。触媒中のニッケル、白金およびパラジウムなどの水素化金属の存在が、コークス堆積物の水素化を触媒し、触媒の寿命を延長させるであろう。連続的なプロセスにおいて触媒の再活性化に対応するために、2個以上の脱水素環化反応器を使用することで、少なくとも1個の脱水素環化反応器は操作可能であるが、他の脱水素環化反応器を、触媒を再活性化するために「オフライン」とすることができる。多数の脱水素環化反応器を使用する場合、それらを、並列または直列で接続することができる。
【0094】
上記で検討されているとおり、従来の石油精油所において芳香族化合物を形成するために使用されている炭化水素供給原料は典型的には、炭化水素の混合物である。結果として、石油精油所によって生産されるp−キシレンは、他のキシレン異性体および他の芳香族(例えば、ベンゼンおよびトルエンなどの軽質芳香族、さらにエチルベンゼンなど)と混合されており、ポリエステル生産に適したテレフタル酸またはテレフタル酸エステルへと後で変換するために適した純粋なp−キシレンを得るためにはさらなる分離および精製ステップを必要とする。大規模精油所では、p−キシレンの純粋な流の生産は、経費がかかり、困難であり得る。対照的に、本発明の方法は、比較的純粋で再生可能なp−キシレンを、従来の精油所からの石油由来のp−キシレンの経費に匹敵する経費で容易に得ることができる。
【0095】
例えば、バイオマス由来のCアルコール(例えば、発酵に由来する水性イソブタノール)を気相で、酸性脱水触媒(例えば、γアルミナ)で脱水すると、未反応のCアルコールおよびイソブチレン99%(オレフィン生成物の全量に対して)を含有する生成物が形成される。イソブチレンを脱水生成物流から気相で、例えば気/液分離器を使用して凝縮された水/Cアルコール相から除去する。未反応のCアルコールを、脱水反応供給原料へと逆再循環させる。次いで、凝縮されたイソブチレンをオリゴマー化して、ジイソブチレン(例えば、2,4,4−トリメチルペンテン≧約95%)を変換率約50%で、金属ドーピングされたゼオライト触媒(例えば、HZSM−5)を含有するオリゴマー化反応器中で形成する。一部の未反応のイソブチレンは、オリゴマー化供給原料に逆再循環させるが、残りの部分のイソブチレンは生成物流中に残して、後続の脱水素環化反応ステップにおいて希釈剤として役立てる。次いで、生じたジイソブチレンおよびイソブチレンならびに場合によって追加的な希釈剤(例えば、水素、窒素、アルゴンおよびメタン)からなる混合物を脱水素環化反応器に供給し、脱水素環化触媒の存在下で反応させて、p−キシレンを選択的に形成する(例えば、キシレンのうちの>95%がp−キシレンである)。脱水素環化の同時生成物として生じる水素は、脱水素環化供給原料に希釈剤として逆再循環させることができるか、または別法では、他の化合物を生じさせるための反応物として使用することができる(例えば、燃料または燃料添加剤として使用するために、アルケンまたはアルケン副生成物を水素化するために、例えば、イソオクテンなどのCオレフィンを水素化して、輸送燃料用のイソオクタンを製造するために)。水素中の軽質アルカンを分離することができ、その後、精製水素を利用するか、または不純な軽質アルカン/水素混合物をそのまま、水素化反応で使用することができる。未反応のイソブチレンは、オリゴマー化供給原料に逆再循環させることができ、かつ/または脱水素環化供給原料に希釈剤として供給することができる。
【0096】
生じた高純度p−キシレンを脱水素環化反応の生成物流から凝縮し、さらに精製することなく、テレフタル酸(TPA)またはテレフタル酸エステル(TPAエステル)に変換することができる。しかしながら、PETを調製する際にモノマーとして使用されるTPAまたはTPAエステルでの純度要求条件は、かなり高い(例えば、典型的には純度>約99.5%)ので、本発明の方法によって調製された再生可能なp−キシレンを、例えば擬似移動床式クロマトグラフィー、分別結晶化または分別蒸留などの公知の方法によってさらに精製することが望ましいことがある。そのような方法は、高純度p−キシレンを調製するために従来の石油化学的プロセスで使用されているが、従来のプロセスから生産された「粗製」p−キシレンは、かなりの量の不純物および望ましくないキシレン異性体(不純物約10〜30%)を含有し、典型的には、必要とされる純度レベルを得るためには多数の精製ステップを必要とする。対照的に、本発明の方法によって調製された「粗製」p−キシレンは、従来の石油化学的に生産されたp−キシレンよりもかなり純粋であり、ポリエステル生産用のTPAまたはTPAエステルモノマーを調製するのに適した純度を得るためには、必要だとしても最小限の精製のみを必要とする。
【0097】
p−キシレンを、遷移金属含有触媒で酸化させることによってTPAまたはTPAエステルに変換する(Ind.Eng.Chem.Res.2000、39、3958〜3997頁が特許文献を概説している)。ジメチルテレフタレート(DMT)は従来、TPAよりも高い純度で生産されており、PETを製造するためにも使用することができる。TPAおよびDMTを生産するための方法は、米国特許第2,813,119号;同第3,513,193号;同第3,887,612号;同第3,850,981号;同第4,096,340号;同第4,241,220号;同第4,329,493号;同第4,342,876号;同第4,642,369号;および同第4,908,471号において教示されている。TPAは、p−キシレンを空気または酸素(または他のガスで希釈された空気または酸素)中、マンガンおよびコバルトを含有する触媒で酸化させることによって生産することができるが、ニッケル触媒も、多少の成功を伴って使用されている。酢酸をこれらの酸化反応のための溶媒として使用し、臭化水素、臭素またはテトラブロモエタンなどの臭化物源を加えて、キシレン分子の両方のメチル基の酸化を、副生成物を最小限にしながら促進する。反応温度を一般には、数時間の滞留時間で、80〜270℃に維持する。TPAは、比較的低い温度(即ち100℃未満)では酢酸には不溶性であり、これは、TPAを分離および精製する方法となる。DMTは、上記のTPA反応の「粗製」生成物をメタノールでエステル化し、蒸留によって精製することによって生産することができる。メタノールの存在下でp−キシレンを酸化させることによってDMTを生産する単一ステッププロセスが、DuPontによって開発されたが、これは、低収率のために多くは使用されない。これらのプロセスは全て、TPAのモノメチルエステルももたらし、これを加水分解して、TPAを形成するか、またはさらにエステル化して、ジエステル、例えばDMTを形成することができる。
【0098】
PET(ポリエチレンテレフタレート)などのポリエステルは、エチレングリコールをTPAまたはTPAエステルと重合することによって調製されるので、PETの炭素含分の80%は、ポリマーのテレフタレート部分にある。したがって、本明細書に記載されているとおりに調製された再生可能なTPAまたはTPAエステルから調製されたPETは、再生可能な炭素少なくとも80%を含むであろう。本発明の方法に従って調製されたTPAまたはTPAエステルを、例えばMazloomら、Iranian Polymer Journal、16(9)、2007、587〜596;またはSchonnagleら、欧州特許第1447506 A1号明細書の方法によって調製された再生可能なエチレングリコールと重合させることによって、完全に再生可能なPETを調製することができる。
【0099】
他の再生可能なポリマー、例えば、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)またはPBT(ポリブチレンテレフタレート)などのポリエステルも、本明細書に記載されているとおりの再生可能なTPAまたはTPAエステルから、再生可能なTPAまたはTPAエステルを任意の適切なコモノマー(例えば、1,3−プロピレングリコール、ブチレングリコールなど)またはTPAもしくはTPAエステルと反応する他のコモノマー(ポリオール、ポリアミンなど)と反応させることによって、調製することもできる。
【0100】
本発明の方法によって、石油化学的供給原料からp−キシレンを調製するための従来の方法と比較して環境的に有利である再生可能なp−キシレンが得られる。加えて、本発明の方法は、p−キシレンの形成において高度に選択的であるが、p−キシレンを調製するための従来の石油化学的方法は、全体として比較的非選択的である。高純度のp−キシレンを調製するための従来の石油化学的方法は、比較的非選択的であり、芳香族化合物の混合物をもたらし、そこから、例えばテレフタル酸を生産するのに適したレベルまでp−キシレンを単離および精製しなければならない。加えて、p−キシレンを調製するための従来の石油化学的方法は多くの場合に、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどの副生成物からp−キシレンを分離し、かつ/またはそのような副生成物をキシレン(p−キシレンを包含)に変換し、かつ/またはo−およびm−キシレンをp−キシレンに異性体化するための単位操作を包含する。対照的に、様々な実施形態において、本発明は、そのような精製、変換および異性体化ステップが一般に必要ではない十分な純度のp−キシレンを直接もたらし得る。即ち、多くの実施形態では、本発明の方法は、p−キシレンを他のキシレン異性体から分離するか、またはp−キシレンを他の芳香族副生成物(本明細書に記載されているものなど)から分離するか、または副生成物であるC芳香族をp−キシレンに異性体化するステップを包含しない。他の実施形態では、p−キシレンの最小限のみの精製が必要である(例えば、p−キシレンを他のキシレン異性体または芳香族副生成物から分離することによって)。
【0101】
イソオクテンからp−キシレンへの変換は、2,4,4−トリメチルペンテンなどの典型的な多分岐異性体を、2,5−ジメチルヘキサジエンに変換し、その後、続いて環化および脱水素してp−キシレンにすることを必要とする。2,5−ジメチルヘキサジエンを、2,4,4−トリメチルペンテンをp−キシレンに変換するために使用される脱水素環化触媒で反応させると、2,5−ジメチルヘキサジエンはp−キシレンに定量的に変換される一方で、2,4,4−トリメチルペンテンは、最良でもp−キシレンに収率50%でしか変換されない。この事実を説明するために、Andersら(Chemische Technik 1986、38、116〜119)は、2,4,4−トリメチルペンテンの熱によって触媒されるラジカル分解機構を提案しており、これは、2当量の2,4,4−トリメチルペンテンを1当量の2,5−ジメチルヘキサジエンおよび2当量のイソブタン/イソブチレンに変換し、その後、p−キシレンへの変換が、脱水素環化条件下で生じる。この反応から生じたイソブタン/イソブチレンを再循環させると、追加のイソオクテンを生じさせることができる。しかしながら、イソブチレン二量体からの高いシングルパス収率を得るためには、初めに、イソブチレンをそのまま、2,5−ジメチルヘキサジエンまたは2,5−ジメチルヘキセンに変換し、次いで、ジメチルヘキサジエンまたはジメチルヘキセンを脱水素環化触媒に通して、p−キシレンを収率>50%で生産することが望ましい。酸素の不在下で、塩化パラジウム(III)または塩化ロジウム(III)(例えばフランス特許第1499833A号)、アセチルアセトナトコバルト(II)およびトリエチルアルミニウム(例えば米国特許第5320993号)またはリンおよび窒素キレート化リガンドを有するニッケル(例えばJournal of Catalysis 2004、226、235〜239)などの遷移金属触媒で、イソブチレンを二量化して、2,5−ジメチルヘキセンにする。別法では、イソブチレンを二量化/脱水素して2,5−ジメチルヘキサジエンにすることは、酸素および金属酸化物触媒の存在下で行うが、但し、非酸素化プロセスよりもかなり低い収率においてである。ビスマス、スズ、インジウム、タリウム、アンチモン、カドミウム、銅、鉄、パラジウム、タングステン、ニオブ、ヒ素およびニオブの酸化物、リン化物および合金を包含する多数の種類の金属酸化物および他の金属触媒が、オレフィンを脱水二量化するために使用されている(例えば Catalysis Today 1992、14、343〜393)。2,4,4−トリメチルペンテンに関して記載された脱水素環化条件下で、2,5−ジメチルヘキサジエンおよび2,5−ジメチルヘキセンの両方がp−キシレンに変換されるが、その際、2,5−ジメチルヘキセンは、等量のジエンよりも少ない水素を生じる。加えて、酸化脱水素二量化触媒は、環化触媒(例えば、酸化アルミニウムに担持されている白金、酸化アルミニウムに担持されているクロムなど)と組み合わせると、p−キシレンへと環化するための選択率を高め得る。ジメチルヘキサジエンまたはジメチルヘキセンに変換されるイソブチレンが、再生可能なイソブタノールに由来する場合に、再生可能なp−キシレンが高い収率で得られる。
【化1】

【0102】
本明細書中で検討されているとおり、CアルケンをCアルケンに二量化し、続いて、p−キシレンに脱水環化することは、ステップ様式で実施することができ、その際、二量化生成物(例えば、2,4,4−トリメチルペンテン、2,5−ジメチルヘキセンおよび/または2,5−ジメチルヘキサジエンを含む)を単離し、場合によって、p−キシレンに脱水環化する前に精製するか、またはそのまま、単離または精製することなく、脱水環化反応器(または反応帯域)に通す。別法では、反応条件(即ち、触媒(類)、反応温度および圧力、反応器設計など)を適切に選択することによって、二量化および脱水環化反応を本質的に同時に実施して、Cアルケンがそのまま、p−キシレンに有効に変更されるようにすることができる。このことに関連して、「本質的に同時の」反応ステップは、Cアルケン(例えば、イソブチレン)をp−キシレンに単一反応ステップでそのまま変換するステップか、またはCアルケンを中間体(例えば、Cアルケンまたは他の中間体)に変換し、これを反応条件下で、中間体を単離せずに(または単離する必要なく)迅速にp−キシレンに変換する迅速で連続的な変換を包含し得るであろう。
【0103】
例えば、上記の通りの酸化条件下で酸化ビスマス触媒を使用するか、または別法では、M−2 Forming法(Mobil)、Cyclar法(UOP)およびAroforming法(IFP−Salutec)などの石油化学的方法で使用される条件および触媒を使用して、本明細書に記載されているとおりに調製されたイソブチレンを反応させて、イソブチレンをそのままp−キシレンに変換することを実施して、p−キシレンを含む芳香族生成物を形成することができる。
【実施例】
【0104】
実施例1
一晩培養を、250mLのエルレンマイヤーフラスコ中、フリーザーストックからの微生物(例えば、イソブタノールを生ずるように改変された大腸菌、例えば、米国特許第12/263,436号に記載の生物)を用いて、85g/Lのグルコース、20g/Lの酵母エキス、20μMのクエン酸酸化鉄、5.72mg/LのHBO、3.62mg/LのMnCl・4HO、0.444mg/LのZnSO・7HO、0.78mg/LのNaMnO・2HO、0.158mg/LのCuSO・5HO、0.0988mg/LのCoCl・6HO、6.0g/LのNaHPO、3.0g/LのKHPO、0.5g/LのNaCl、2.0g/LのNHCl、0.0444g/LのMgSOおよび0.00481g/LのCaClからなる40mL体積の改変M9培地で、0.02から0.05の培養OD600で開始した。スターター培養を、30℃振盪機中、250rpmで約14時間増殖させた。次いで、一部のスターター培養を、改変M9培地約200mLを含有する400mLのDasGip発酵槽容器に移して、約0.1の当初培養OD600を達成した。容器にコンピューター制御システムを取り付けて、発酵を6.5のpH(塩基を適切に加えることによって)、30℃の温度、溶存酸素レベルおよび撹拌を監視および制御した。200rpmの最小撹拌で容器を撹拌したが、その際、OD600が約1.0になるまで、12sl/hの空気散布を使用して、飽和に対して約50%の溶存酸素含有率を維持するように撹拌を変化させた。次いで、容器を、0.1mMのIPTGで誘導した。約8〜10時間増殖を続けた後に、200rpmの最小撹拌および2.5sl/hの空気流で、溶存酸素含有率を、飽和に対して5%まで低下させた。実験を通して、GC−MS分析による発酵槽容器排ガスの連続的測定を、酸素、イソブタノール、エタノール、二酸化炭素および窒素に関して行った。発酵を通して、試料を無菌で発酵槽容器から除去して、OD600、ブロス中のグルコース濃度およびイソブタノール濃度を測定するために使用した。イソブタノール生産は21.5時間付近で、18g/Lの滴定量および最大理論に対して約70%の収率で最大に達した。ブロスを真空蒸留に掛けて、84:16のイソブタノール/水混合物を得、これを必要であれば再蒸留して、無水イソブタノールを得た。
【0105】
実施例2
GEVO1780は、改変細菌バイオ触媒(米国特許出願公開第2009/0226990号に記載)であり、これは、2つのプラスミド上に、ピルベートをイソブタノールに変換する酵素経路をコードする遺伝子を含有する。バイオ触媒GEVO1780をバイオ触媒の増殖に適した培地中、約30℃でグルコースと接触させると、バイオ触媒は、イソブタノールをグルコールから生産した。一晩のスターター培養を、250mLのエルレンマイヤーフラスコ中、フリーザーストックからのGEVO1780細胞を用いて、85g/Lのグルコース、20g/Lの酵母エキス、20μMのクエン酸酸化鉄、5.72mg/LのHBO、3.62mg/LのMnCl・4HO、0.444mg/LのZnSO・7HO、0.78mg/LのNaMnO・2HO、0.158mg/LのCuSO・5HO、0.0988mg/LのCoCl・6HO、6.0g/LのNaHPO、3.0g/LのKHPO、0.5g/LのNaCl、2.0g/LのNHCl、0.0444g/LのMgSOおよび0.00481g/LのCaClからなる40mL体積の改変M9培地で、0.02から0.05の培養OD600で開始した。スターター培養を、30℃振盪機中、250rpmで約14時間増殖させた。次いで、一部のスターター培養を、改変M9培地約1500mLを含有する2000mLのDasGip発酵槽容器に移して、約0.1の当初培養OD600を達成した。容器にコンピューター制御システムを取り付けて、塩基を加えることで6.5のpH、約30℃の温度、溶存酸素および撹拌を監視および制御した。400rpmの最小撹拌で、容器を撹拌し、OD600が約1.0になるまで、25sl/hの空気散布を使用して、飽和に対して約50%の溶存酸素含有率を維持するように撹拌を変化させた。次いで、容器を、0.1mMのIPTGで誘導した。約8〜10時間増殖を続けた後に、400rpmの最小撹拌および10sl/hの空気流で、溶存酸素含有率を、5%まで低下させた。実験を通して、GC−MS分析による発酵槽容器排ガスの連続的測定を、酸素、イソブタノール、エタノールおよび二酸化炭素に関して行った。発酵を通して、試料を無菌で発酵槽容器から除去して、OD600、ブロス中のグルコース濃度およびイソブタノール濃度を測定するために使用した。実験を通して、実験の開始後40時間および75時間目の2回、前増殖および前誘導させたバイオ触媒の補足を濃縮物として加えた。これらの細胞は同じ株であり、上記で示されたプラスミドであり、発酵槽で使用された。補足された細胞は、1Lの培養として、2.8Lのフェルンバッハフラスコ中で増殖させ、30℃、250RPM、85g/Lのグルコースを有する改変M9培地中でインキュベーションした。培養を0.1mMのIPTGを接種して誘導した。細胞が約4.0〜5.0のOD600に達したら、遠心分離によって培養を濃縮し、次いで、培養槽に加えた。12時間を超えた時点の実験の生産相の間に、DI水中約500g/Lのグルコースのグルコース供給を間欠的に使用して、発酵槽中のグルコース濃度を約30g/L以上に維持した。
【0106】
管を入れることによって、発酵槽容器に、より小さな400mLの発酵槽容器を取り付けて、これを、フラッシュタンクとして役立て、発酵槽との再循環ループで操作した。発酵槽容器内のバイオ触媒細胞を、発酵槽/フラッシュタンク再循環ループにインラインで設置されたクロスフローフィルターによって、フラッシュタンクから単離した。フィルターのみで、細胞不含の発酵ブロスを発酵槽容器からフラッシュタンクへと流すことができる。フラッシュタンク内の体積は、約100mLであり、水理学的滞留時間は約10分であった。熱および真空をフラッシュタンクに適用した。フラッシュタンクに適用される真空レベルを初めは、約50mBarに設定し、フラッシュタンクを約45℃に設定した。これらのパラメーターを調節して、実験を通して、発酵槽中で約6〜13g/Lのイソブタノールを維持した。一般に、実験を通して、真空は45〜100mBarの範囲であり、フラッシュタンク温度は43℃から45℃の範囲であった。加熱フラッシュタンクからの蒸気を、回収容器中に留出液として凝縮した。細胞不含の発酵ブロスをフラッシュタンクから発酵容器へと連続的に戻した。
【0107】
実験で回収された留出液は、イソブタノールで著しく富化されていた。イソブタノールは、水と共沸混合物を形成し、通常、2相留出液をもたらした。即ち、イソブタノールリッチな上部相およびイソブタノールリーンな下部相。留出液試料を、GCによってイソブタノール濃度に関して分析した。イソブタノール生産は118時間付近で、約87g/Lの全滴定量で最大に達した。イソブタノール生産速度は、実験経過にわたって平均すると、約0.74g/L/時であった。イソブタノールのパーセント理論収率は、実験の終了時点で約90.4%であった。ブロスを真空蒸留に掛けて、84:16のイソブタノール/水混合物を得、これを必要であれば再蒸留して、無水イソブタノールを得た。
【0108】
実施例3:無水イソブタノールの脱水
実施例2で得られた無水イソブタノール(水<1重量%)を、予熱器を介して、市販のγ−アルミナ脱水触媒(BASF AL−3996)を充填された固定床管形反応器に供給した。内部反応器温度は325℃に維持し、反応器圧力は、大気圧であった。イソブタノールのWHSVは5hr−1であった。主にイソブチレンおよび水が反応器中で生じ、これらを、気液分離器中、20℃で分離したが;水は<1%の未反応のイソブタノールを含有し、変換率は、>99.8%であった。気相流出物のGC−FID分析によって、これは、イソブチレン95%、2−ブテン(シスおよびトランス)3.5%および1−ブテン1.5%であったことが示された。
【0109】
実施例4:湿潤イソブタノールの脱水
実施例2で得られた湿潤イソブタノール(水15%含有)を、予熱器を介して、市販の脱水触媒(BASF AL−3996)を充填された固定床管形反応器に供給した。内部反応器温度は275℃に維持し、反応器圧力は、大気圧であった。イソブタノールのWHSVは10hr−1であった。主にイソブチレンおよび水が反応器中で生じ、これらを、気液分離器中、20℃で分離したが;2種の液相が回収され:一方の相は、イソブタノールで飽和した水を含み、他方のイソブタノールリッチな相は、水で飽和したイソブタノールを含んだ。イソブタノールリッチな相は、液体流出物の約70%であって、反応器中のイソブタノール変換率は、約40%であることを示した。気相流出物のGC−FID分析によって、これは、イソブチレン約99%、2−ブテン(シスおよびトランス)約0.6%および1−ブテン約0.4%であることが示された。
【0110】
実施例5:60psigでの無水イソブタノールの脱水
実施例2で得られた無水イソブタノール(水<1重量%)を、予熱器を介して、市販のγ−アルミナ脱水触媒(BASF AL−3996)を充填された固定床管形反応器に供給した。内部反応器温度は325℃に維持し、反応器圧力は、60psigに維持した。イソブタノールのWHSVは5hr−1であった。主にイソブチレンおよび水が反応器中で生じ、これらを、液液分離器中、20℃で分離したが;水は未反応のイソブタノール<1%を有し、変換率は、>99.8%であった。気相流出物のGC−FID分析によって、これは、イソブチレン95%、2−ブテン(シスおよびトランス)3.5%および1−ブテン1.5%であることが示された。
【0111】
実施例6:60psigでの無水n−ブタノールの脱水
無水n−ブタノール(水<1重量%)を、予熱器を介して、市販のγ−アルミナ脱水触媒(BASF AL−3996)を充填された固定床管形反応器に供給する。内部反応器温度は450℃に維持し、反応器圧力は、60psigに維持する。イソブタノールのWHSVは3hr−1である。Cオレフィンおよび水の平衡混合物が反応器中で生じ、これらを、液液分離器中、20℃で分離するが;水は未反応のイソブタノール<1%を含有し、変換率は、>99.8%である。気相流出物のGC−FID分析によって、これは、イソブチレン47%、2−ブテン(シスおよびトランス)約41%および1−ブテン約12%であることが示される。
【0112】
実施例7:イソブチレンのオリゴマー化
実施例3からの生成物流を分子ふるいで乾燥させ、60psigまで圧縮し、20℃に冷却して、イソブチレンが凝縮されて液体になるようにし、容量型ポンプを用いて、市販のZSM−5触媒(CBV 2314)を充填された固定床オリゴマー化反応器にポンプ導入した。反応器を175℃および750psigの圧力に維持した。イソブチレンリッチな流のWHSVは15hr−1であった。反応器流出物流は、未反応のブテン10%、イソオクテン(主に2,4,4−トリメチルペンテン)60%、三量体28%および四量体2%であった。
【0113】
実施例8:イソブチレンのオリゴマー化
実施例5からの生成物流(水で飽和していた)を、容量型ポンプを用いて、市販のZSM−5触媒(CBV 2314)を充填された固定床オリゴマー化反応器にポンプ導入した。反応器を170℃および750psigの圧力に維持した。イソブチレンリッチな流のWHSVは50hr−1であった。反応器流出物流は、未反応のブテン20%、イソオクテン(主に2,4,4−トリメチルペンテン)64%、三量体15%および四量体1%であった。
【0114】
実施例9:調節剤を用いてのイソブチレンのオリゴマー化
実施例5からの生成物流を湿潤イソブタノール(重量で)2%と共に同時供給し、容量型ポンプを用いて、市販のZSM−5触媒(CBV 2314)を充填された固定床オリゴマー化反応器にポンプ導入する。反応器を160℃および750psigの圧力に維持する。イソブチレンリッチな流のWHSVは200hr−1である。生成物流は、未反応のブテン約30%、イソオクテン(主に2,4,4−トリメチルペンテン)約69%および三量体1%である。
【0115】
実施例10:希釈剤を用いてのイソブチレンのオリゴマー化
実施例3からの生成物流をイソブタン50%と共に圧縮機に同時供給して凝縮し、Amberlyst 35(Rohm & Haasから入手可能な強酸イオン交換樹脂)を充填された固定床オリゴマー化反応器にポンプ導入する。反応器を120℃および500psigの圧力に維持する。イソブチレンリッチな流のWHSVは100hr−1である。生成物流は、イソブタン(希釈剤)約50%、未反応ブテン約3%、イソオクテン(主に2,4,4−トリメチルペンテン)約44%および三量体3%である。
【0116】
実施例11:混合ブテンのオリゴマー化
実施例6からの生成物流を、容量型ポンプを用いて、市販のZSM−5触媒(CBV 2314)を充填された固定床オリゴマー化反応器にポンプ導入する。反応器を170℃および750psigの圧力に維持する。混合ブテン流のWHSVは20hr−1である。反応器流出物流は、未反応のブテン(主に直鎖ブテン)約60%、イソオクテン(主に2,4,4−トリメチルペンテン)約36%および三量体4%である。
【0117】
実施例12:未反応の直鎖ブテンの再循環
実施例11からの生成物流を蒸留して、未反応のブテン(主に直鎖ブテン)を回収する。直鎖ブテンリッチな流を凝縮し、容量型ポンプを用いて、450℃の異性化反応器にポンプ導入するが、その際、混合ブテンの平衡組成物が再確立される。混合ブテン流を逆再循環させ、実施例10で使用されるオリゴマー化反応器供給物と合わせる。再循環流を使用して、全体の系変換率は>99%であり、イソオクテンの収率は、>89%であり、約10%のトリマーを伴う。
【0118】
実施例13:イソオクテンの脱水素環化
実施例7からのイソオクテンを蒸留して、三量体および四量体を除去し、次いで、1.3:1モルのモル比で窒素希釈ガスと共に、市販の酸化クロムドーピングされたアルミナ触媒(BASF D−1145E 1/8”)を含有する固定床反応器に供給した。反応を、大気圧および550℃の温度、1.1hr−1のWHSVで実施した。反応器生成物を凝縮し、GC−MSによって分析した。キシレンフラクションのうち、p−キシレンが80%を超える選択率で生じた。ASTM D6866−08の方法による分析によって、p−キシレンはバイオベースの物質96%を含有することが示された。
【0119】
実施例14:希釈剤を用いるイソオクテンの脱水素環化
イソブタン50%、ブテン3%、イソオクテン44%および三量体3%を含有する実施例10からの生成物を、市販の酸化クロムドーピングされたアルミナ触媒(BASF D−1145E 1/8”)を含有する固定床反応器に供給する。反応を、大気圧および525℃の温度、1.1hr−1のWHSVで実施する。反応器生成物を凝縮し、GC−MSによって分析する。キシレンフラクションのうち、p−キシレンが85%を超える選択率で生じる。水素も生じ、他のプロセスで使用するために捕捉する。
【0120】
実施例15:希釈剤を用いるイソオクテンの脱水素環化
実施例8からのイソオクテンおよび実施例5からの希釈イソブチレンを1:1のモル比で、市販の酸化クロムドーピングされたアルミナ触媒(BASF D−1145E 1/8”)を含有する固定床反応器に供給する。反応を、大気圧および550℃の温度、1.1hr−1のWHSVで実施する。反応器生成物を凝縮し、GC−MSによって分析する。キシレンフラクションのうち、p−キシレンが75%を超える選択率で生じる。水素も生じ、他のプロセスで使用するために捕捉する。
【0121】
実施例16:イソブタノールを再生可能なp−キシレンに変換するための統合システム
図4に図解されている方法を使用して、再生可能なイソブタノールを再生可能なp−キシレンに変換する。実施例1または2からのイソブタノール(流1)を湿潤な状態(水15重量%)で、予熱器を介して、市販のγ−アルミナ脱水触媒(BASF AL−3996)を充填された固定床触媒反応器に10hr−1のWHSVで供給した。脱水反応器を290℃、60psigの圧力に維持する。脱水反応器からの流出物(3)を液液分離器に供給し、そこで、水を除去する。有機相(4)の分析によって、これは、イソブチレン95%、直鎖ブテン3%および未反応のイソブタノール2%であることが示される。有機相を、イソブタン、イソオクタンおよび未反応のブテンを含有する再循環流(11)と合わせ、容量型ポンプ(P2)に供給し、ここで、HZSM−5触媒(CBV 2314)を充填されているオリゴマー化反応器に100hr−1のWHSVでポンプ導入する。反応器を170℃、750psigの圧力に維持する。オリゴマー化反応器からの流出物(6)を分析すると、未反応の供給物(イソブタン、イソオクタンおよびブテン)60%、イソオクテン39%および三量体1%を含有することが示される。オリゴマー化反応器からの流出物を再循環イソオクテン(15)と合わせ、予熱器を介して、市販の酸化クロムドーピングされたアルミナ触媒(BASF D−1145E 1/8”)を含有する固定床反応器に1hr−1のWHSVで供給した。脱水素環化反応器を550℃および5psiaに維持する。供給物中のCアルケンに対する、反応器からのキシレンの収率は、90%のp−キシレンへの選択率で、42%である。流出物(8)を、気液分離器で分離する。気相(C1)を60psigに圧縮して、イソブタンおよびブテンを凝縮させる。第2気液分離器を使用して、水素(および少量のメタンまたは他の軽質炭化水素)を回収する。C液体を再循環させ(11)、脱水反応器(4)からの有機相と合わせる。脱水素環化反応器からの液体生成物(12)を一連の蒸留カラムに、やや大気圧より上で、ポンプ(P3)によって供給する。副生成物である軽質芳香族(ベンゼンおよびトルエン)および重質化合物(C+芳香族またはイソオレフィン)をいずれも除去する。キシレンおよびイソ−C化合物のリッチな副流(14)を第2の蒸留カラムに供給する。C化合物(イソオクテンおよびイソオクタン)を脱水素環化反応器の供給に再循環させる(15)。キシレンフラクション(16)を精製プロセスに供給すると、99.99%純粋なp−キシレン生成物およびo−キシレンのリッチな少量の副生成物流が生じる。
【0122】
実施例17:テレフタル酸への再生可能なp−キシレンの酸化
300mLのParr反応器に、氷酢酸、ブロモ酢酸、酢酸コバルト四水和物および実施例13から得られたp−キシレンを、1:0.01:0.025:0.03モル比の氷酢酸:ブロモ酢酸:酢酸コバルト四水和物:p−キシレンで投入した。反応器に、熱電対、機械攪拌機、酸素注入口、凝縮器、圧力計および圧力リリーフ弁を備え付けた。反応器を密閉し、150℃に加熱した。含有率を撹拌し、溶液に酸素を気泡導通させた。50〜60psiの圧力を系において維持し、これらの反応条件を4時間維持した。4時間後に、反応器を室温に冷却した。テレフタル酸を溶液から濾過し、新鮮な氷酢酸で洗浄した。
【0123】
実施例18:再生可能なテレフタル酸の精製
実施例17からのテレフタル酸を、炭素に担持された10%Pd触媒を備えた300mLのParr反応器に、4.5:1モル比のテレフタル酸:炭素上10%のPdで投入した。脱イオン水を反応器に投入して、テレフタル酸13.5重量%を含有するスラリーにした。反応器に、熱電対、機械攪拌機、窒素注入口、水素注入口、圧力計および圧力リリーフ弁を備え付けた。Parr反応器を密閉し、窒素でフラッシュした。次いで、反応器内部の圧力が600psiに達するまで、Parr反応器に水素を充填した。反応器を285℃に加熱し、容器内部の圧力を1000psiにした。含有物をこれらの条件下で6時間撹拌した。6時間後に、内容物を室温に冷却し、濾過した。残渣をバイアルに移し、N,N−ジメチルアセトアミドをバイアルに、5:1モル比のN,N−ジメチルアセトアミド:テレフタル酸で加えた。バイアルを80℃に30分間加温して、テレフタル酸を溶かした。含有物を直接濾過し;炭素に担持されているPdをテレフタル酸から有効に除去した。結晶化したテレフタル酸濾液を回収フラスコから除去し、清潔なフィルターに移し、ここで、新鮮なN、N−ジメチルアセトアミドで洗浄し、乾燥させた。精製されたテレフタル酸60%の収量が得られた。
【0124】
実施例19:再生可能なPETを製造するためのテレフタル酸の重合
実施例18から得られた精製テレフタル酸(PTA)およびエチレングリコールを、300mLのParr反応器に、1:0.9mol比のPTA:エチレングリコールで投入する。酸化アンチモン(III)を反応器に、1:0.00015モル比のPTA:酸化アンチモン(III)で投入する。反応器に、熱電対、機械攪拌機、窒素注入口、真空注入口、凝縮器、圧力計および圧力リリーフ弁を備え付ける。Parr反応器を密閉し、窒素でフラッシュし、240℃の温度に加熱し、窒素で4.5バールまで加圧する。含有物をこれらの条件下で3時間撹拌する。3時間の後に、温度を280℃まで上昇させ、反応器を真空ポンプに接続することによって、系の圧力を20〜30mmまで低下させる。含有物をこれらの条件下で3時間撹拌する。3時間後に、真空バルブを閉じ、反応器の内容物を窒素でフラッシュする。反応器を開け、内容物を直ちに、冷水に注いで、PETペレットを形成する。
【0125】
実施例20:2,5−ジメチルヘキセンへのイソブチレンの二量化
実施例3からの生成物流を分子ふるいで乾燥させ、60psigまで圧縮し、20℃に冷却して、イソブチレンが凝縮されて液体になるようにし、100gを回収する。この物質を、脱ガスニトロベンゼン200mLに、アルゴン雰囲気下で溶かし、錯体[(η−イソブチレン)PdCl(μ−Cl)]10g(Kharaschら、1938、60、882〜884およびフランス特許第1499833A号)を投入する。2日間撹拌した後に、イソブチレンの75%が、2,5−ジメチルヘキサ−2−エンおよび2,5−ジメチルヘキサ−1−エンの1:1混合物に変換される。
【0126】
実施例21:2,5−ジメチルヘキサ−2,4−ジエンの脱水素環化
2,5−ジメチルヘキサ−2,4−ジエンをそのまま、市販の酸化クロムドーピングされたアルミナ触媒(BASF D−1145E 1/8”)を含有する固定床反応器に通した。反応を大気圧および500℃の温度で、1.0hr−1のWHSVで実施した。反応器生成物を凝縮し、GC−MSによって分析した。反応器流出物流は、キシレン60%であり、キシレンフラクションのうち、p−キシレンが、99%を超える選択率で生じた。
【0127】
実施例22
実施例4からの生成物流を分子ふるい上で乾燥させ、60psigに圧縮し、20℃に冷却して、イソブチレンが凝縮して液体になるようにする。イソブチレンを予熱し、4部対1部で分子の酸素と混合し、次いで、特開昭47−15327号に記載されているとおりの酸化ナトリウム、銅およびジルコニウムでドーピングされた1:1のビスマス:アンチモンの粒子を充填された1/2インチ直径のステンレス鋼製のフロー反応器にポンプ導入し、420℃の温度で維持する。反応器中の触媒上でのイソブチレンの流速は、約0.45秒の触媒接触時間をもたらした。イソブチレンの変換率は32%であり、2,5−ジメチルヘキサジエンのジオレフィン異性体への選択率は65%である。
【0128】
実施例23
実施例22からの2,5−ジメチルヘキサジエン生成物を蒸留によって精製し、そのまま、市販の酸化クロムドーピングされたアルミナ触媒(BASF D−1145E 1/8”)を含有する固定床反応器に通した。反応を大気圧および500℃の温度で、1.0hr−1のWHSVで実施した。反応器生成物を凝縮し、GC−MSによって分析した。反応器流出物流は、キシレン60%であり、キシレンフラクションのうち、p−キシレンが99%を超える選択率で生じた。
【0129】
実施例24
実施例21からの2,5−ジメチルヘキセン生成物を蒸留によって精製し、そのまま、市販の酸化クロムドーピングされたアルミナ触媒(BASF D−1145E 1/8”)を含有する固定床反応器に通した。反応を大気圧および500℃の温度で、1.0hr−1のWHSVで実施した。反応器生成物を凝縮し、GC−MSによって分析した。反応器流出物流は、キシレン60%であり、キシレンフラクションのうち、p−キシレンが、99%を超える選択率で生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能なp−キシレンを調製する方法であって、
(a)バイオマスを処理して、発酵供給原料を形成するステップと;
(b)前記発酵供給原料を1種または複数種の微生物で発酵させて、水性イソブタノールを含む発酵ブロスを形成するステップと;
(c)水性イソブタノールを前記発酵ブロスから除去するステップと;
(d)脱水触媒の存在下で、ステップ(c)の前記水性イソブタノールの少なくとも一部を脱水し、それによって、1種または複数のCアルケンおよび水を含む脱水生成物を形成するステップと;
(e)オリゴマー化触媒の存在下で、ステップ(d)で形成させた前記Cアルケンの少なくとも一部を含む二量化供給原料を二量化させ、それによって、1種または複数のCアルケンを含む二量化生成物を形成するステップと;
(f)脱水素環化触媒の存在下で、ステップ(e)の前記Cアルケンの少なくとも一部を含む脱水素環化供給原料を脱水素環化し、それによって、キシレンおよび水素を含む脱水素環化生成物を形成し、その際、前記キシレンは、p−キシレン少なくとも約75%を含むステップとを含む方法。
【請求項2】
ステップ(e)の前記二量化生成物が、1種または複数の未反応のCアルケンをさらに含み、前記脱水素環化生成物が、1種または複数の未反応のCアルケンをさらに含み、前記方法が、
(i)前記二量化生成物のうちの前記未反応のCアルケン(類)および/または前記脱水素環化生成物のうちの前記未反応のCアルケン(類)の少なくとも一部を、ステップ(e)の前記二量化供給原料に再循環させるステップと;
(ii)前記脱水素環化生成物のうちの前記未反応のCアルケン(類)の少なくとも一部を、ステップ(f)の前記脱水素環化供給原料に再循環させるステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脱水生成物の前記1種または複数のCアルケンのうちの少なくとも約95%がイソブチレンからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(d)の前記脱水を気相で実施し、それによって、イソブチレン蒸気および水を生じさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(d)の前記脱水を液相で実施し、それによって、液体のイソブチレンおよび水を生じさせる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(d)の前記脱水の後に、それによって生じた水の少なくとも一部を、気液分離器を使用して前記イソブチレン蒸気から除去する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(d)の前記脱水の後に、液液分離器を使用して、水リッチな相をイソブチレンリッチな相から分離する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(e)の前記二量化の前に、前記イソブチレン蒸気を凝縮させる、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(d)の前記脱水の後に、前記イソブチレン蒸気および水を凝縮し、ステップ(e)の前記二量化の前に、液液分離器を使用して水リッチな相をイソブチレンリッチな相から分離し、前記二量化供給原料が、前記イソブチレンリッチな相の少なくとも一部を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(e)の前記二量化供給原料に、t−ブタノール、イソブタノール、水、少なくとも1種の炭化水素およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の希釈剤を加えるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の希釈剤が少なくとも1種の炭化水素を含み、前記少なくとも1種の炭化水素が、ステップ(e)の前記二量化生成物またはステップ(f)の前記脱水素環化生成物から再循環された少なくとも1種のCアルケン、ステップ(f)の前記脱水素環化生成物から再循環された少なくとも1種のCアルカンおよび/またはCアルカンまたはこれらの組合せを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記希釈剤が水およびイソブタノールを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(e)の前記二量化供給原料に、t−ブタノール、イソブタノール、水、少なくとも1種の炭化水素およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の希釈剤を加えるステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1種の希釈剤が少なくとも1種の炭化水素を含み、前記少なくとも1種の炭化水素が、ステップ(e)もしくはステップ(f)から再循環された少なくとも1種のCアルケン、ステップ(f)から再循環された少なくとも1種のCアルカンおよび/もしくはCアルカンまたはそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記二量化生成物の前記少なくとも1種または複数のCアルケンが、2,4,4−トリメチルペンテン約50〜100%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記二量化生成物の前記少なくとも1種または複数のCアルケンが、2,4,4−トリメチルペンテン少なくとも約75%を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記二量化生成物の前記少なくとも1種または複数のCアルケンが、2,4,4−トリメチルペンテン少なくとも約90%を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記二量化生成物の前記少なくとも1種または複数のCアルケンが2,5−ジメチルヘキセン少なくとも約50〜100%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記二量化生成物の前記少なくとも1種または複数のCアルケンが、2,5−ジメチルヘキセン少なくとも約75%を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記二量化生成物の前記少なくとも1種または複数のCアルケンが、2,5−ジメチルヘキセン少なくとも約90%を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記二量化生成物の前記少なくとも1種または複数のCアルケンが、2,5−ジメチルヘキサジエン少なくとも約50〜100%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記二量化生成物の前記少なくとも1種または複数のCアルケンが、2,5−ジメチルヘキサジエン少なくとも約75%を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記二量化生成物の前記少なくとも1種または複数のCアルケンが、2,5−ジメチルヘキサジエン少なくとも約90%を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(f)の前記脱水素環化供給原料に、窒素、アルゴン、メタン、イソブチレン、イソブタン、イソオクタン、軽質芳香族およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の希釈剤を加えるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1種の希釈剤が、ステップ(e)および/もしくは(f)からの未反応のイソブチレンまたはステップ(f)からの副生成物であるイソブチレンを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(f)の前記脱水素環化を約100%未満の変換率で実施し;かつ未反応のCアルケンをステップ(f)の前記脱水素環化供給原料に逆再循環させる、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
ステップ(e)および(f)を同時に実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(e)および(f)を順次実施する、請求項1に記載の方法
【請求項29】
前記脱水素環化生成物の前記キシレンがp−キシレン少なくとも約90%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記脱水を、少なくとも約100℃の温度および少なくとも約1atmの圧力で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記脱水触媒が有機もしくは無機の酸またはそれらの金属塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記脱水触媒が、不均一系酸性γ−アルミナ触媒である、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記オリゴマー化触媒が不均一系酸性触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記オリゴマー化触媒が、酸性ゼオライト、固体リン酸またはスルホン酸樹脂である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記脱水素環化触媒が、不均一系金属含有脱水素触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記脱水素環化触媒が、担持されたクロム含有化合物である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記脱水素環化触媒が、酸化クロム処理されたアルミナ;白金およびスズ含有ゼオライト;ならびにアルミナ、コバルト−およびモリブデン−含有アルミナからなる群から選択されている、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
ステップ(c)で除去された前記水性イソブタノールが、主にイソブタノールと、水0〜15%とからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
脱水素触媒の存在下、ステップ(f)からの前記水素を用いて、アルケンを水素化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記ステップ(e)および(f)を同時に、酸化条件下で実施する、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
ステップ(e)および(f)を、酸化ビスマスを含む単一の触媒の存在下で実施する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記Cアルケンがイソブチレンを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
再生可能なテレフタル酸を調製する方法であって、
請求項1に記載の方法によって、再生可能なp−キシレンを調製するステップと、次いで、酸化剤の存在下で前記p−キシレンを酸化させ、それによって再生可能なテレフタル酸を形成するステップとを含む方法。
【請求項44】
前記酸化剤が、酸化触媒および酸素を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
再生可能なポリエステルを調製する方法であって、
請求項40に記載の方法によって調製された再生可能なテレフタル酸をエチレングリコールまたはブチレングリコールと、酸性重合触媒の存在下で反応させる方法。
【請求項46】
前記酸性重合触媒が、酸化アンチモン(III)である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであり、前記エチレングリコールが再生可能なエチレングリコールである、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ポリエステルが、ポリプロピレンテレフタレートであり、前記プロピレングリコールが、再生可能なプロピレングリコールである、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記二量化生成物の一部を、前記脱水素環化生成物の前記水素の少なくとも一部で水素化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−506717(P2013−506717A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533280(P2012−533280)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/051641
【国際公開番号】WO2011/044243
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(510153973)ジーヴォ,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】