説明

再生装置、再生方法、送受信方法ならびに送信方法

【課題】
ネットワークにより映像の配信を受けるシステムにおいて、特に、サーバと視聴者の映像再生装置の間のネットワークの回線に負荷が集中することを防止する。
【解決手段】
視聴者に正規に提供される日時が決まっているコンテンツであっても、ユーザから事前にコンテンツをダウンロードできるようにする。そのときに、暗号化されたコンテンツを配信し、視聴可能日時になったときに、映像再生装置から復号化のための鍵を要求して、コンテンツを提供するコンテンツ配信サーバが、映像再生装置に復号化鍵を送信する。映像再生装置では、その復号化鍵により、暗号化されたコンテンツを復号し再生できるようにする。また、ユーザが事前にコンテンツをダウンロードしたときには、割引料金を適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して視聴者からの要求に応じて配信される映像(VOD、Video On Demand)、その映像を再生する装置に関し、特に、システムのネットワークによるコンテンツのダウンロードの負荷の集中を軽減するのに用いて好適なネットワーク配信映像再生方法、および、ネットワーク配信映像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビジョン放送においては、デジタルテレビ放送による動画データの多チャンネル放送化やネットワークの広帯域化により、多くの動画データが取得あるいは視聴することが可能となってきている。その結果、視聴可能な動画データが氾濫するといった状況になってきており、例えば、以下の特許文献1によれば、短時間で内容を理解する仕組みや、本当に視聴したい動画データを探し出せるようにすることを目的として、動画データにおける重要なシーンを表示可能な技術が紹介されている。
【0003】
その一方、近年、ネットワークを利用した通信においては、大容量のブロードバンド回線の普及により、放送とインターネットの融合化が進んでおり、これに伴って、例えば、前記ネットワークを介して、ユーザが視聴したい映像を配信し、即ち、ユーザの要求に応じて視聴することが出来る要求映像配信が注目を集めている。
【0004】
デジタルテレビの高画質化に伴い、要求映像配信においても高解像度映像が望まれることが考えられる。しかし、高解像度映像をストリーミング配信する場合、膨大なデータをリアルタイムに送信しなければならないため、大容量の通信回線が必要となる。そこで、あらかじめコンテンツの全データをネットワーク配信映像再生装置にダウンロードしておき、通信回線に負荷をかけない状態で視聴する方式も検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−153139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のテレビジョン放送の放送波には容量制限という概念は無いが、今後普及が見込まれるインターネットなどのIPネットワークを利用して、映像、音声などのコンテンツを配信するVODサービスは、通信回線を利用者がシェアする形となることが多い。この場合に、HDなどの高画質映像を視聴するためには帯域を事前に確保するなど、利用者がコンテンツの品質を維持して視聴できるための仕組みが考えられている。
【0007】
しかしながら、人気のあるコンテンツに視聴希望が殺到した場合、帯域を確保(取得)できない利用者も出てくるはずである。特に、例えば、コンテンツ配信サーバが提供する新作映画、巷で話題となった映画などは、視聴が一時期に殺到し、回線がパンク状態になる可能性がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ネットワークにより映像の配信を受けるシステムにおいて、特に、サーバと視聴者の映像再生装置の間のネットワークの回線に負荷が集中することを防止することができるようなネットワーク配信映像再生方法、および、ネットワーク配信映像再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のネットワーク配信映像再生方法では、視聴者に正規に提供される日時が決まっているコンテンツであっても、ユーザから事前にコンテンツをダウンロードできるようにする。
【0010】
そのときに、暗号化されたコンテンツを配信し、視聴可能日時になったときに、映像再生装置から復号化のための鍵を要求して、コンテンツを提供するコンテンツ配信サーバが、映像再生装置に復号化鍵を送信する。映像再生装置では、その復号化鍵により、暗号化されたコンテンツを復号し再生できるようにする。
【0011】
また、コンテンツ配信サーバ側で、コンテンツの配信要求を記憶しておき、正規の提供期日になったときに、復号化鍵を送信するようにしてもよい。
【0012】
なお、復号化鍵を送信するのは必ずしもコンテンツ配信サーバである必要はなく、別途復号化鍵配信サーバを設けてもよい。
【0013】
さらに、視聴者に正規に提供される期日以前には、ユーザの映像再生装置に不完全な状態のコンテンツデータ(コマ飛びのデータなど)を送信しておき、視聴者に正規に提供される期日以降に、完全な状態のコンテンツを再生できるような仕組みを設けてもよい。
【0014】
事前にコンテンツをダウンロードしたユーザには、料金割引やクーポンなどの特典を与えることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ネットワークにより映像の配信を受けるシステムにおいて、特に、サーバと視聴者の映像再生装置の間のネットワークの回線に負荷が集中することを防止することができるようなネットワーク配信映像再生方法、および、ネットワーク配信映像再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生装置に関するシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生装置1のハードウェア構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生装置1の機能を表すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生方法の各処理形態を示すフローチャートである(その一)。
【図5】本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生方法の各処理形態を示すフローチャートである(その二)。
【図6】本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生方法の各処理形態を示すフローチャートである(その三)。
【図7】視聴者がコンテンツの視聴の選択をするためのコンテンツ一覧画面の一例を示す図である。
【図8】視聴者がコンテンツのダウンロードをしたときに表示されるお知らせ画面の一例を示す図である。
【図9】視聴者にコンテンツの視聴ができるようになったことを知らせるためのお知らせ画面の一例を示す図である。
【図10】コンテンツ管理情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1ないし図7を用いて説明する。
【0018】
先ず、図1を用いて本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生装置に関するシステム構成について説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生装置に関するシステム構成図である。
【0020】
本実施形態のネットワーク配信映像再生装置は、インターネットなどのネットワークによりVODによる映像を受信し、再生するものである。
【0021】
VODによる映像を再生する場合には、図1に示されるように、本実施形態のネットワーク配信映像再生装置1のコンテンツ配信サーバ2とポータルサーバ3より、インターネットなどのIPネットワーク4を介して、映像のストリーミングを受信する。VODによる映像は、大容量なストリーミングを流す必要があるので、使われる回線は、光ファイバー回線やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線などのブロードバンド回線が望ましい。このときに、使われるプロトコルの一例としては、例えば、RTP(Real-time Transport Protocol)である。
【0022】
次に、図2および図3を用いて本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生装置1の機能と構成について詳細に説明する。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生装置1のハードウェア構成図である。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生装置1の機能を表すブロック図である。
【0025】
図2に示されるように、ネットワーク配信映像再生装置1は、中央処理装置101、表示装置102、主記憶装置103、入力装置105、音声出力装置106、ネットワークインタフェース部107、補助記憶装置インタフェース部19が、バス10を介して結合された形態であり、各部は、バス100により、相互にデータの送受信が可能なように構成されている。
【0026】
中央処理装置101は、通常、マイクロプロセッサにより構成されており、主記憶装置103にロードされたデータを読み込み、プログラムを実行して、各部に対して、制御の指示を与える。
【0027】
表示装置102は、ディスプレイアダプタと、それに接続する液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)により実現される。
【0028】
主記憶装置103は、揮発性、あるいは、不揮発性の半導体装置が用いられ、中央処理装置101により扱われるデータ、プログラムは、補助記憶装置30からここにロードされる
入力装置105は、例えば、制御のためのフロントボタン、キーボード、マウス、あるいは、リモコン装置などのデータを入力するための装置である。
【0029】
音声出力装置106は、例えば、サウンドカードとスピーカで構成され、放送、映像の音声を出力する。
【0030】
ネットワークインタフェース部107は、IPネットワークとのインタフェースをつかさどる部分である。
【0031】
補助記憶装置インタフェース部109は、補助記憶装置とのインタフェースをつかさどる部分である。
【0032】
補助記憶装置30は、通常、大容量のハードディスクドライブであり、映像データなどを一時的、または、録画として長期間にわたって保存することができる。また、中央処理装置11により実行するプログラムもここに格納する。
【0033】
図3に示されるように、ネットワーク配信映像再生装置1の機能として、VOD映像を再生するために、IPネットワーク制御部100により、IPネットワークにより送信されてくるパケットの制御をおこなう。そして、VOD受信部101により、映像を受信し、ストリーミング再生部102によりストリーミングの再生をおこなう。
【0034】
そして、TS Buffer/Switch部300で、映像を選択し、DeMux部301で、MPEGを分離して、MPEGデゴーダ部302により、デコードして表示装置に出力する。
【0035】
上記の説明では、MPEGの場合を説明したが、例えば、H.264の規格によるデコーダを用いてもよい。
【0036】
また、本実施形態のネットワーク配信映像再生装置1は、Webブラウザ400により、VODを提供するポータルサイトも表示することができる。
【0037】
次に、図4ないし図10を用いて本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生方法の処理について説明する。
【0038】
図4ないし図6は、本発明の一実施形態に係るネットワーク配信映像再生方法の各処理形態を示すフローチャートである。
【0039】
図7は、視聴者がコンテンツの視聴の選択をするためのコンテンツ一覧画面の一例を示す図である。
【0040】
図8は、視聴者がコンテンツのダウンロードをしたときに表示されるお知らせ画面の一例を示す図である。
【0041】
図9は、視聴者にコンテンツの視聴ができるようになったことを知らせるためのお知らせ画面の一例を示す図である。
【0042】
図10は、コンテンツ管理情報の一例を示す図である。
【0043】
本実施形態のネットワーク配信映像再生方法の処理は、視聴可能日時が定められたコンテンツに対して、事前に視聴者からのダウンロードを可能にするものである。
【0044】
視聴者がコンテンツの配信を受けるときには、例えば、図7に示されるようなコンテンツ一覧画面がWebブラウザにより表示される。
【0045】
コンテンツ一覧画面には、コンテンツのタイトル、料金、配信開始日時、視聴可能日時、コンテンツの状態、配信指示ボタンが表示される。
【0046】
コンテンツのタイトルは、例えば、視聴する映画の題名(邦訳名)などのコンテンツの内容を表す題名である。料金は、コンテンツを視聴するときの視聴者が負担するときの料金であり、無償のときもありうる。また、図のように割引料金を併記してもよい。この図の例では、視聴者が封切り前に、コンテンツをダウンロードしたときには、割引料金が適用されることを示している。
【0047】
配信開始日時は、視聴しようとするユーザがコンテンツをダウンロードできるようになる日時である。図では、日にちのみを表示して、例えば、午前0時が基準の日時になるようにしているが、コンテンツごとに時刻を表示するようにしてもよい。
【0048】
視聴可能日時は、視聴者が正規にコンテンツを視聴できるようにする日時である。すなわち、映画の封切りにあたるものである。
【0049】
視聴しようとするユーザは、配信開始日時を過ぎるとコンテンツをダウンロードすることはできるが、正規にコンテンツを視聴することはできない。ただし、視聴者の選択肢に応じて、広告入りのコンテンツを視聴する、特別料金の割増料金を支払って視聴できるようにするなどのオプションを設けることは可能である。
【0050】
コンテンツの状態は、「配信待ち」、「配信可能」、「視聴可能」の各状態を表す。「配信待ち」の状態は、配信開始日時より前のときであって、コンテンツが未だにダウンロードできない状態である。「配信可能」は、配信開始日時より以降、視聴可能日時より前のときであって、コンテンツの配信を受けることはできるが、視聴者が正規に視聴できない状態である。「視聴可能」は、視聴可能日時より以降であって、視聴者がコンテンツを正規に視聴できる状態である。
【0051】
視聴しようとするユーザは、配信指示ボタンをマウスなどポインティングデバイスなどに指示して、配信を受ける。コンテンツの状態が「配信可能」であるときには、未だに正規の視聴はできないが、コンテンツの状態が「視聴可能」のときには、配信を受けると、ユーザは、即、正規に視聴可能である。
【0052】
図7では、「オススメ」のタイトルやジャンル別のコンテンツを表示している。オススメのタイトルである「コンテンツA」は、一回の視聴料金が200円、事前に(すなわち、視聴可能日時より前、コンテンツの状態が「配信可能」のときに)ダウンロードしたときの割引料金が150円、配信開始日時が2006年9月2日(午前0時より)、視聴可能日時が2006年11月3日(午前0時より)、コンテンツの状態が2006年10月31日現在では、「配信可能」であることを示している。
【0053】
なお、ジャンルが「ドラマ・ラブストーリ」である「コンテンツC」は、2006年10月31日現在では、配信可能日時の2006年11月15日(午前0時より)より前であり、コンテンツの状態が「配信待ち」であるために、配信指示ボタンは表示されていない。
【0054】
また、「コンテンツD」は、2006年10月31日現在では、視聴可能日時の2006年10月30日を過ぎているため、コンテンツの状態が「視聴可能」であるために、割引料金は表示されていない。
【0055】
図4に示される時間軸Tにおいて、tは、配信可能日時であり、tは、視聴可能日時であり、tは、コンテンツが実際に再生可能となっている日時である。
【0056】
配信可能日時tより前のときに、ネットワーク配信映像再生装置1(以下、単に「再生装置1」という)からコンテンツ配信要求がされたときには(S100)、コンテンツ配信サーバ2は、要求を拒否する(S101)。
【0057】
配信可能日時tを過ぎて、再生装置1からコンテンツ配信要求がされたときで、しかも視聴可能日時tを過ぎていないときには(S102)、コンテンツ配信サーバ2は、再生装置1に、IPネットワーク4を介して、コンテンツの暗号化されたストリームを送信する(S103)。このコンテンツ配信要求は、視聴しようとするユーザが、図7に示したコンテンツ一覧画面から配信指示ボタンを選択することによりなされる。
【0058】
コンテンツ管理情報は、例えば、図10に示されるように、タイトル501、ジャンル502、配信開始日時503、視聴可能日時504、再生時間505、料金506、封切前割引料金507、プレミアム料金508、広告付き映像の有無509などの各フィールドからなるテーブルに格納される。
【0059】
ここで、料金506は、コンテンツの正規の提供料金である。封切前割引料金507は、視聴可能日時より前のときのコンテンツが「配信可能」状態のときに、コンテンツをダウンロードして、視聴するときの割引き料金である。プレミアム料金508は、視聴可能日時より前のときのコンテンツが「配信可能」状態のときであって、視聴可能日時より前のときに、ユーザが支払ったときに、特別に視聴できるようになるためのプレミアムをつけた料金である。また、広告付き映像の有無509は、視聴可能日時より前のときのコンテンツが「配信可能」状態のときであって、視聴可能日時より前のときに、視聴が許される広告付きの映像が提供されているか否かを示している。プレミアム料金と広告付きの映像は、コンテンツによって設定されるものとされないものは、まちまちであってもよい。
【0060】
例えば、図10に示す例では、コンテンツAでは、広告付き映像が提供されていて、プレミアム料金は設定されていない。一方、コンテンツBでは、正規の料金が、250円であるところ、封切前割引料金が、200円であり、プレミアム料金が、300円(50円の割高)であり、広告付き映像が提供されていない。
【0061】
そして、再生装置1側で、コンテンツのストリームとコンテンツ管理情報を受信すると、通常は、図2に示した補助記憶装置30に保存される(S110)。
【0062】
そのとき、再生装置1側の表示装置には、図8に示したようなお知らせ画面が表示される。この画面の例では、コンテンツAが、11月3日より正規に視聴できることを示している。また、その日時の前でも広告入りの映像なら、ユーザか選択して視聴することもできる。すなわち、広告入りの映像は、視聴可能日時でも視聴できる暫定的な映像であるということができる。
【0063】
また、上記の例では、コンテンツ管理情報は、そのコンテンツのストリームと共にダウンロードされて蓄えられるように記載したが、必要なときに、再生装置1からコンテンツ提供者のポータルサイトにとりに行くようにしてもよい。
【0064】
次に、視聴可能日時tになると、再生装置1は、コンテンツ配信サーバ2に対して、そのコンテンツの復号化鍵を要求する。この復号化鍵の要求は、映像再生監視プログラムをバックグラウンドで立ち上げておき、常時、時間をモニタし管理情報の中に記憶されるコンテンツの視聴可能日時tになったときに、自動的におこなうようにする。なお、視聴可能日時tに再生装置1の電源がOFFになっている恐れがある場合には、あらかじめタイマを設定しておき、視聴可能日時tに電源をONにして復号化鍵を要求すればよい。この方法により、次回電源ON時に直ちにコンテンツを視聴することができる。
【0065】
また、視聴可能日時tに再生装置1の電源がOFFになっている恐れがある場合、次回電源ON時に視聴可能日時tを過ぎていることを認識し、サーバに復号化鍵を要求してもよい。この方法によりサーバに対する復号化鍵の要求が分散し、視聴可能日時tに負荷が集中することを避けられる。
【0066】
さらに、より正確に視聴可能日時tを把握するために、例えばデジタル放送のSI(Service Information)から取得した時刻情報や、NTP(Network Time Protocol)によりネットワーク経由で取得した時刻情報を利用してもよい。
【0067】
コンテンツ配信サーバ2では、そのコンテンツの視聴可能日時に達していると判断したときには、復号化鍵を配信する(S210)。そして、再生装置1で、その復号化鍵により、コンテンツのストリームを復号化する。
【0068】
また、図には示さなかったが、コンテンツサーバ2では、そのコンテンツの視聴可能日時に達していないと判断したときには、復号化鍵の配信を拒否する。
【0069】
そして、コンテンツが実際に再生可能となっている日時t以降は、視聴者は、そのコンテンツを再生して、正規のコンテンツが視聴できるようになる(S300)。
【0070】
復号化に成功したときには、図9に示すようなお知らせ画面を表示し、ユーザに注意を促す。
【0071】
このように事前にコンテンツをダウンロードすれば、コンテンツの視聴可能日時の直後に、大量のコンテンツのストリームが要求されることはなく、ネットワークの負荷が軽減されることになる。復号化鍵は、コンテンツのストリームに比べるとごく小さなデータであり、ネットワークの負荷ということではほとんど問題とならない。
【0072】
また、コンテンツの視聴可能日時前にコンテンツをダウンロードしたユーザには、コンテンツの割引き料金による提供、クーポンなどの特典を与えることにすれば、システムの提供者とユーザの双方にとってメリットがある。
【0073】
図4に示す実施形態では、復号鍵は再生装置4から要求した。他の実施形態では、図5に示されるように、再生装置4がコンテンツ配信サーバ2に接続に行ったときに、コンテンツ配信サーバ2でユーザ毎に配信済みのコンテンツの管理情報を記憶しておき、視聴可能時間が過ぎたコンテンツについて、復号化鍵をコンテンツ配信サーバ2から配信するようにしてもよい(S202)。
【0074】
また、上記で説明した例は、視聴可能日時の前に、暗号化したストリームをダウンロードして、視聴可能日時になったときに、復号化によりストリームを復号化するであったが、このような例に限らず、図6に示されるように、視聴可能日時tの前に、コンテンツの不完全なストリーム情報を配信するようにしてもよい(S104)。
【0075】
不完全なストリーム情報は、例えば、コンテンツの映像の一部情報であり、再生したときに、コマ飛びとなるようなデータである。
【0076】
そして、視聴可能日時tになったときに、再生装置1側からストリームを完全にすることを要求する(S203)。
【0077】
コンテンツ配信サーバ3側では、ストリームを完全にするための情報、すなわち、上記の例では、コンテンツの映像の残りの情報を配信する(S204)。
【0078】
再生装置1側では、この配信を受けて、ストリームを完全なものにして、再生できる状態にする(S220)。
【0079】
この例では、視聴可能日時t後のコンテンツの配信についても、ある程度のネットワークの負荷はかかるもののコンテンツの一部の情報であるため、すべてのコンテンツ情報をダウンロードするときに比べるとネットワークの負荷は軽減される。
【0080】
また、図4、図5の例では、悪意の者に復号鍵を盗聴されると、コンテンツを再生されてしまう恐れがあるが、この例では、ダウンロードされているコンテンツの情報が元々不完全なためにその恐れはない。
【符号の説明】
【0081】
1…配信映像再生装置、2…コンテンツ配信サーバ、3…ポータルサーバ、4…IPネットワーク、30…補助記憶装置、100…バス、101…中央処理装置、102…表示装置、103…主記憶装置、105…入力装置、106…音声出力装置、107…ネットワークインタフェース部、109…補助記憶装置インタフェース部、300…TS Buffer/Switch部、301…DeMux部、302…MPEGデゴーダ部、303…IPネットワーク制御部、304…VOD受信部、305…ストリーミング再生部、400…Webブラウザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して、コンテンツ配信サーバにネットワーク配信映像再生装置が、配信可能日時と視聴可能日時とが決められたコンテンツを要求し、そのコンテンツを再生するネットワーク配信映像再生方法において、
前記ネットワークを介して、前記ネットワーク配信映像再生装置が前記コンテンツ配信サーバにコンテンツの配信要求をするステップと、
前記コンテンツ配信サーバは、前記コンテンツの配信可能日時を過ぎたときには、前記ネットワーク配信映像再生装置に暗号化されたコンテンツのストリームを配信するステップと、
前記視聴可能日時を過ぎたときには、前記ネットワーク配信映像再生装置により、前記暗号化されたコンテンツのストリームを復号化鍵により、復号化するステップと、
前記ネットワーク配信映像再生装置により、復号化されたコンテンツのストリームを再生することを特徴とするネットワーク配信映像再生方法。
【請求項2】
前記復号化鍵は、前記視聴可能日時を過ぎたときに、前記ネットワーク配信映像再生装置から、前記コンテンツ配信サーバに要求されて、前記コンテンツ配信サーバは、前記ネットワーク配信映像再生装置に、要求された復号化鍵を配信することを特徴とする請求項1記載のネットワーク配信映像再生方法。
【請求項3】
前記復号化鍵は、前記視聴可能日時を過ぎたときに、ダウンロードされたコンテンツの復号化鍵を特定し、前記コンテンツ配信サーバから、そのコンテンツを復号化するための復号化鍵を配信することを特徴とする請求項1記載のネットワーク配信映像再生方法。
【請求項4】
前記コンテンツは、正規の提供料金と、視聴可能日時前にダウンロードしたときの割引料金とを有し、
前記視聴者が視聴可能日時前にダウンロードしたときには、前記割引料金を課金することを特徴とする請求項1記載のネットワーク映像再生方法。
【請求項5】
前記コンテンツは、正規の提供料金と、視聴可能日時前に視聴するときの割増料金とを有し、
前記視聴者が視聴可能日時前に視聴するときには、前記割増料金を課金することを特徴とする請求項1記載のネットワーク映像再生方法。
【請求項6】
前記コンテンツは、正規の提供映像と、視聴可能日時前に視聴するときの暫定映像とを有し、
前記視聴者が視聴可能日時前に視聴するときには、前記暫定映像のみを視聴できるようにすることを特徴とする請求項1記載のネットワーク映像再生方法。
【請求項7】
ネットワークを介して、コンテンツ配信サーバにネットワーク配信映像再生装置が、配信可能日時と視聴可能日時とが決められたコンテンツを要求し、そのコンテンツを再生するネットワーク配信映像再生方法において、
前記ネットワークを介して、前記ネットワーク配信映像再生装置が前記コンテンツ配信サーバにコンテンツの配信要求をするステップと、
前記コンテンツ配信サーバは、前記コンテンツの配信可能日時を過ぎたときには、前記ネットワーク配信映像再生装置にコンテンツの不完全なストリームを配信するステップと、
前記視聴可能日時を過ぎたときには、前記コンテンツ配信サーバにより、前記不完全なストリームを完全にするための情報を配信して、前記ネットワーク配信映像再生装置は、その不完全なストリームを完全にするステップと、
前記ネットワーク配信映像再生装置により、完全にされたコンテンツのストリームを再生することを特徴とするネットワーク配信映像再生方法。
【請求項8】
ネットワークを介して、コンテンツ配信サーバに、配信可能日時と視聴可能日時とが決められたコンテンツを要求し、そのコンテンツを再生するネットワーク配信映像再生装置において、
前記ネットワークを介して、前記コンテンツ配信サーバにコンテンツの配信要求をする手段と、
前記コンテンツ配信サーバから、前記コンテンツの配信可能日時を過ぎたときに、前記ネットワーク配信映像再生装置に暗号化されたコンテンツのストリームを受信する手段と、
前記視聴可能日時を監視し、前記視聴可能日時を過ぎたときに、前記コンテンツ配信サーバに、前記暗号化されたコンテンツのストリームを復号化する復号化鍵を要求する手段と、
前記コンテンツ配信サーバから前記復号化鍵を受信する手段と、
前記復号化鍵により、前記暗号化されたコンテンツのストリームを復号化する手段と、
前記復号化されたコンテンツのストリームを再生する手段とを有することを特徴とするネットワーク配信映像再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−120246(P2011−120246A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275234(P2010−275234)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【分割の表示】特願2010−38094(P2010−38094)の分割
【原出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】