説明

冷凍食品及びその製造方法

【課題】 防腐剤を含まずソフトな食感を有する新規な冷凍練り製品で、高齢者用食品としても好適に利用できる冷凍食品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 動物性蛋白質及び植物性蛋白質からなる群から選択される少なくとも一種を主原料とし、これに加工澱粉と糖類と水を加えて混練加熱形成した練り製品に、高電圧電場ブライン冷凍処置を施した冷凍食品である。冷凍食品は、高い冷凍耐性を有するために、長期保存が可能で、食料資源の有効利用にも貢献できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類、畜肉類等の動物性蛋白質及び/又は大豆蛋白質、小麦蛋白質等の植物性蛋白質を主原料とし、これに所定の加工澱粉と所定の糖類と水を所定量加え、必要であれば調味料を加え、混練加熱形成した練り製品に、高電圧電場ブライン冷凍処置を施した、ソフトな食感を呈する冷凍食品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
魚介類、畜肉類、豆類、穀類の蛋白質を主原料とし、これに加工澱粉と糖類と水を所定量加え、必要であれば調味料を加え、混練加熱形成した練り製品は、かまぼこ、ハム、とうふ、生麩等として知られている。
【0003】
しかし、当該食品類は、腐敗し易いため、防腐剤を入れている。防腐剤を入れない場合は、食品類の日持ちが極端に悪くなるため、消費者の健康を害したり、また廃棄処理量が増加し食品資源の無駄にもなっている。そのため、食品類はレトルト処理されたり、冷凍処理されるが、そのように処理された場合には香味、食感が変質してしまう。
【0004】
一方、高齢化にともない、できるだけソフトな食感が当該食品に求められているため、食品の水分含量が多くなっている。水分含量の多いこのような食品を冷凍すると、冷凍変性を起こし、食品本来の食感を失う。そのため、従来技術では全く対応不可となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題を解決するためになされたものである。その目的とするところは、動物性蛋白質及び/又は植物性蛋白質を主原料としたソフトな食感を呈する冷凍食品及びその製造方法を提供することである。
【0006】
すなわち、本発明は、防腐剤を含まずソフトな食感を有する新規な冷凍練り製品で、高齢者用食品としても好適に利用できる冷凍食品及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、高い冷凍耐性を有するために、長期保存が可能で、食料資源の有効利用にも貢献できる冷凍食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的に、食品は冷凍すると、冷凍変性を起こし、食品本来の食感を失う。特に、多水分系ではその傾向が大きい。本発明は、所定の加工澱粉と糖類の使用と高電圧電場ブライン冷凍処置の組み合わせによって、高含水量の食品であっても全く冷凍変性しない食品ができるという知見を得、上記課題を達成したものである。
【0008】
すなわち、本発明の冷凍食品は、動物性蛋白質及び植物性蛋白質からなる群から選択される少なくとも一種を主原料とし、これに加工澱粉と糖類と水を加えて混練加熱形成した練り製品に、高電圧電場ブライン冷凍処置を施したもので、そのことにより上記目的が達成される。
【0009】
一つの実施形態では、前記加工澱粉が、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉及び酸化澱粉からなる群から選択される少なくとも一種である。
【0010】
一つの実施形態では、前記加工澱粉の含有比率が、該食品の5〜10重量%である。
【0011】
一つの実施形態では、前記糖類が、砂糖、トレハオース、オリゴ糖、糖アルコール、水飴及び還元水飴からなる群から選択される少なくとも一種である。
【0012】
一つの実施形態では、前記糖類の含有比率が、該食品の5〜15重量%である。
【0013】
一つの実施形態では、前記水の加水量が、該食品の40〜70重量%である。
【0014】
一つの実施形態では、前記練り製品が、さらに調味料を含有する。
【0015】
本発明の冷凍食品の製造方法は、動物性蛋白質及び植物性蛋白質からなる群から選択される少なくとも一種を主原料とし、これに加工澱粉と糖類と水を加えて混練する工程、該混練物を加熱形成して練り製品を得る工程、該練り製品に高電圧電場ブライン冷凍処置を施す工程、を包含し、そのことにより上記目的が達成される。
【0016】
一つの実施形態では、前記高電圧電場プライン冷凍処理が、0℃から−5℃の温度域を15分以内に通過し、−20℃から−50℃の温度範囲に至るまで冷凍する処理である。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、高電圧電場を与えて練り製品をブライン冷凍することにより、冷凍の際に低下する冷凍食品の温度が、最大氷結晶生成帯である0〜−5℃をより速く通過させることができる。このため、食品素材に含まれる水分によって形成された氷結晶の成長を抑制し、これにより組織破壊を防止し、解凍したとき、食品素材の冷凍前の状態を保つことができる。
【0018】
特に、高齢者用にソフトな食感を呈するためには加水量を増やす必要があるが、加水量の多い食品であっても、本発明によれば、上記の通り、食品素材に含まれる水分によって形成された氷結晶の成長を抑制し、これにより組織破壊を防止できるので、解凍したとき食品素材の冷凍前の状態を保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0020】
本発明の冷凍食品は、動物性蛋白質及び/又は植物性蛋白質を主原料とし、これに所定の加工澱粉と所定の糖類と水を所定量加え、必要であれば、調味料を加えて、混練加熱形成した練り製品に、高電圧電場ブライン冷凍処置を施すことによって得られたものである。
【0021】
動物性蛋白質としては、スケソウ、タラ、ホッケ、グチ、エソ、イワシ、ホタテ等の魚介類のすり身又は落し身、豚、牛、鳥、ウサギ等の畜肉、ゼラチン、コラーゲン等の分離蛋白質が好適に使用でき、植物性蛋白質としては、大豆、小麦、大豆分離蛋白質、小麦グルテンが好適に使用できる。また、これらの原料は混合して使用することも可能である。
【0022】
本発明の冷凍食品では、冷凍耐性を付与するため及び食品の食感を改良するために、加工澱粉と糖類が併用される。
【0023】
加工澱粉としては、澱粉構成糖のグルコースのフリーな水酸基をエステル化したエステル化澱粉、水酸基の水素原子をアルキル基と置換したエーテル化澱粉、澱粉の水酸基同士が結合した架橋澱粉及び澱粉糖の還元末端を酸化剤で酸化した酸化澱粉等がある。
【0024】
エステル化澱粉としては、松谷化学工業(株)製の松谷ゆり8、フードスターチNE1、グリコ栄養食品(株)製のケミスター210、エーテル化澱粉としては松谷化学工業(株)製の松谷ゆり2、グリコ栄養食品(株)製のケミスター200、架橋澱粉としては松谷化学工業(株)製のパーフェクトオアミールAC75、グリコ栄養食品(株)製のケミスター420、酸化澱粉としてはグリコ栄養食品(株)製のケミスター10T、ケミスター50H等が好適に用いられる。
【0025】
該加工澱粉は単独又は併用して用いられ、その使用量は冷凍食品に対して5〜10重量%が好ましい。さらに好ましくは6〜9重量%である。加工澱粉の使用量が5重量%未満の場合、および10重量%を超える場合には、冷凍変性を起こし易い。
【0026】
なお、添加加工澱粉の種類と添加量の品質に対する影響は次の通りである。
【0027】
スケソウすり身17kgに食塩0.5kgを入れて、フードカッターでらいかい後トレハオース5.7kg、本みりん0.5kg、練りアーモンド9.5kg、水58kgを混合、91.2kgの混合物を調製した。
【0028】
これを5.7kgずつ16区分に分け、区分1〜6にはエーテル化澱粉松谷ゆり8を0〜12.5重量%、区分7,8には無処理の馬鈴薯澱粉を5、10重量%、区分9、10にはエステル化澱粉ケミスター210を5,10重量%、区分11、12には架橋澱粉パーフェクトアミールAC75を5,10重量%、区分13,14には酸化澱粉ケミスター10Hを5,10重量%、区分15、16には松谷ゆり8とケミスター210の50%混合物を5,10重量%添加し、混練後、100gずつカップ容器に充填し、90℃で20分間加熱した。
【0029】
室温で冷却後、高電圧電場アルコール冷凍機で20分間冷凍し、−25℃の冷凍アーモンドとうふ様練り物を得た。
【0030】
この16区分の練り物を1週間後に解凍後、物性検査及び官能検査をしたところ、表1の通りの結果となった。
【0031】
【表1】

【0032】
すなわち、加工澱粉を5.0〜10.0重量%添加しない区分1、2、6は冷凍変性をおこし、物性及び官能検査が、区分1の冷凍処理を施さなかった物に比べ劣る結果となった。
【0033】
また加工澱粉でない馬鈴薯澱粉を添加した場合も、区分7,8の通り劣る結果となった。
【0034】
なお、物性の判定は、区分1の冷凍処理を施さない物を対照として、10名のパネルで、優:食感が対照に比べ優れている、良:食感が対照に比べ若干優れている、可:食感が対照に比べほぼ同じ、不可:食感が対照に比べ劣る、で実施、最も多い評価で示した。
【0035】
官能検査の判定は、区分1の冷凍処理を施さない物を対照として、10名のパネルで、+1:優れている、0:変わらない、−1:劣っている、で評価し、その平均点で示した。
【0036】
冷凍耐性を付与する糖類としては、砂糖、トレハオース、オリゴ糖、糖アルコール、水飴、還元水飴が好適に使用できる。その使用量は5〜15重量%が好ましい。特に好ましい糖類の使用量は5〜12重量%である。糖類の使用量が5重量%未満である場合、および15重量%を超える場合は、水が分離したり、食感が低下する傾向になる。
【0037】
なお、添加糖類と添加量の食品の品質に対する影響は次の通りである。
【0038】
スケソウすり身15kgに食塩0.4kgを入れて、フードカッターでらいかい後、加工澱粉(商品名:ケミスター200)6.2kg、本みりん0.6kg、練りゴマ9kg、水50kgを混合、81.2kgの混合物を調製した。
【0039】
これを5.8kgずつ14区分に分け、区分1〜6にはトレハオースを0〜20重量%、区分7,8には砂糖を5、10重量%、区分9、10にはオリゴ糖を5,10重量%、区分11、12には水飴を5,10重量%、区分13,14には還元水飴を5,10重量%添加し、混練後、カップ容器に100gずつ充填し、90℃で20分間加熱した。
【0040】
室温で冷却後、高電圧電場アルコール冷凍機で20分間冷凍し、−25℃の冷凍ゴマとうふ様練り物を得た。この14区分の練り物を解凍後、物性検査及び官能検査をしたところ、表2の通りの結果となった。
【0041】
【表2】

【0042】
すなわち、糖類を全く添加しない区分1の試作品は冷凍変性をおこし、水が分離し、ソフト感を有する食感を全く呈していなかった。また、官能検査でも劣る結果となった。
【0043】
トレハオースを添加した区分2〜6においては、区分2は水の分離は観察されなかったが、軟弱な食感を呈し、官能検査では劣る結果となった。区分3〜5は物性も優れており、官能検査でも良好な結果となった。区分6は物性は水の分離は発生していなかったが糊状を呈し、また官能検査でも劣る結果となった。
【0044】
このことより、添加する糖の量は、食品に対して5〜15重量%が適していると判断された。
【0045】
トレハオース以外のその他の糖類でも5〜10重量%添加した区分7〜14では、物性、官能検査でもいずれも良好な結果となった。
【0046】
なお、物性の判定は、区分1の冷凍処理を施さない物を対照として、10名のパネルで、優:食感が対照に比べ優れている、良:食感が対照に比べ若干優れている、可:食感が対照に比べほぼ同じ、不可:食感が対照に比べ劣る、で実施、最も多い評価で示した。
【0047】
官能検査の判定は、区分1の冷凍処理を施さない物を対照として、10名のパネルで、+1:優れている、0:変わらない、−1:劣っている、で評価し、その平均点で示した。
【0048】
次に、冷凍方法の評価を実施した。
【0049】
スケソウすり身5kgに食塩0.15kgを入れて、フードカッターでらいかい後、トレハオース2kg、加工澱粉(商品名:ファリネックス)1.5kg、本みりん0.15kg、練りピーナッツ3kg、水16kgを混合、27.8kgの混合物を調製した。これを5.56kgずつ5等分し、各々100gのカップ容器に充填した後、シールをして90℃で20分間加熱した。
【0050】
区分1は、5℃の冷蔵庫中で冷却したもの、区分2は、高電圧電場アルコール冷凍機の温度を制御することによって、0℃〜−5℃間の冷凍時間を20分に調節して−25℃まで冷凍したもの、区分3は0℃〜−5℃間の冷凍時間を15分に調節して−25℃まで冷凍したもの、区分4は0℃〜−5℃間の冷凍時間を10分に調節して−25℃まで冷凍したもの、区分5は業務用の大型冷凍庫の温度制御をすることによって0℃〜−5℃間の冷凍時間を15分に調節して−25℃まで冷凍したもの、を各々用意し、24時間解凍し区分1を対照として官能検査を実施した。
【0051】
なお、0℃から−5℃への冷凍所要時間は温度センサーで測定した。官能検査は10名のパネルにて、0:対照に比べて差はなし、+1:対照に比べて優れている、−1:対照に比べて劣っている、にて評点し、その平均値を示した。その結果は、表3の通りとなった。
【0052】
【表3】

【0053】
高電圧電場アルコール冷凍機にて、0℃から−5℃までの冷凍所要時間を15分以下(さらに好ましくは10分以下)にすれば高い評価を得ることがわかった。また単なる大型冷凍庫では当該所要時間を15分にしても初期の効果は得られなかった。
【0054】
なお、本発明において、高電圧電場ブラインとは、電極の1本をブライン内に挿入したブライン冷凍装置及び高電圧電場発生手段を用いて、ブラインに高電圧電場を与えながら調理食品を冷凍する方法をいう。ブラインの温度は、−20℃〜−50℃の範囲で、高電圧電場発生手段の電位は5〜50kVを発生させるものが好ましい。このとき用いる冷凍装置の概略は以下のようなものである。
【0055】
すなわち、ブライン冷凍装置のブライン内に高電圧電場発生手段の2本ある電極の一方を挿入する。電極の他方は、ブライン冷凍装置のブラインに挿入せず、絶縁処理を行い、2本の電極間に電流が流れないようにする。これらの電極は、特公昭38−6106号公報に示されているような高周波電位発生装置の2次側に接続されている。
【0056】
ブラインは冷凍装置に接続した冷凍機を用いて冷却し、駆動モータを使用した循環装置を用いてブラインを循環させることにより、ブラインの入っている槽内の温度を一定に保持する。
【0057】
冷却装置、高電圧電場発生手段、及び循環装置の駆動モータはそれらの設置に際し、床面と各装置との間は絶縁硝子を支持体として用いる。
【0058】
ブラインに用いる不凍剤は、目的の温度で凍結しないものであれば、特に限定はなく、例えば、塩化カルシウム、エチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール等、及びこれらの混合物又はこれらと水との混合物があげられる。例えば、水とエタノールの混合液があげられる。
【0059】
食品の密封装置は、ブライン冷凍するためと、調味液を共に包装することにより、後の解凍及び調理を同時に行うことができるためである。
【0060】
高電圧電場を与えて食品を冷凍することにより、冷凍の際に低下する冷凍食品の温度が、最大氷結晶生成帯である0〜−5℃をより速く通過させることができる。このため、食品素材に含まれる水分によって形成された氷結晶の成長を抑制し、これにより組織破壊を防止し、解凍したとき、食品素材の冷凍前の状態を保つことができる。
【0061】
次に、高齢者用に好ましいソフトな食感を呈する食品を提供するためには加水量を増やす必要がある。そこで加水量と品質の関係を調べた。
【0062】
ホッケすり身6kgに食塩0.2kgを入れて、フードカッターでらいかい後、ソルビトール3.6kg、加工澱粉(商品名:ケミスター200)3.5kg、練りアーモンド3.5kgを混合、16.8kgの混合物を調製した。
【0063】
これを2.8kgずつ等分し、区分1は当該混合物2.8kgに水を1.51kg加え(加水量35%)、再度混合し、よく練りこんだ後、100gのカップ容器に充填した後、90℃で25分間加熱した。
【0064】
区分2は当該混合物2.8kgに水1.87kgを加え(加水量40%)、区分3は当該混合物2.8kgに水2.80kg加え(加水量50%)、区分4は当該混合物2.8kgに水4.20kgを加え(加水量60%)、区分5は当該混合物2.8kgに水6.53kgを加え(加水量70%)、区分6は当該混合物2.8kgに水8.40kgを加え(加水量75%)、区分1と同じく再度混合し、よく練りこんだ後100gのカップ容器に充填、シールした後、90℃で25分間加熱した。
【0065】
これらのカップ容器を室温で冷却後、高電圧電場アルコール冷凍機で20分間冷凍し、−25℃の冷凍アーモンドとうふ様練り物を得た。
【0066】
この6区分の練り物を解凍後、物性、官能検査をしたところ、表4の通りとなった。
【0067】
【表4】

【0068】
なお、物性の判定は10名のパネルにて、優:保形性及びソフトな食感が優れている、良:保形性及びソフトな食感が良い、可:保形性及びソフトな食感がある、不可:保形性及びソフトな食感がない、で実施、最も多い評価で示した。
【0069】
官能検査の判定は10名のパネルで、+1:食感、香味が優れている、0:食感、香味の判定が不可、−1:食感、香味で劣る、で評価し、その平均点で示した。
【0070】
この結果より加水率は40〜70重量%が好ましいことがわかった。
【0071】
本発明の冷凍食品は、酒類、だし等の調味料を含有し得る。さらに、本発明の冷凍食品は、上記材料に加えて、ごま、ピーナッツ、くるみ、アーモンド、アカデミア、ピーカンナッツ、ヘーゼルナッツ、くり、ぎんなん、ピスタチオ、松の実、クコの実、パンプキンシード、サンフラワーシード、エンドウ、空豆、いんげんまめ、黒豆、小豆、さつまいも、チーズ、コーヒー、緑茶、紅茶、果汁及び魚介類のエキス、畜肉類のエキス等を含有し得る。
【0072】
これらは、これらから選択される1又は2以上の材料の組み合わせで含有し得る。これらの材料は、予備加熱され、及び/又は乾燥状態のまま、固形状態、粉粒状態又はペースト状態又は液状態として含有し得る。果実の例としては、柿、林檎、梨、葡萄、梅が挙げられるが、これらに限定されない。果汁はこれら等の果実から得られる。
【0073】
さらに、本発明の冷凍食品は、水分として、豆乳、牛乳、練乳、粉乳、ココナッツミルク、だし汁や、にんじん、あしたば、林檎、葡萄、梅等の果汁等を含有し得る。
【実施例】
【0074】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
鶏肉15kgに食塩0.3kg、加工澱粉(商品名:ケミスター200、グリコ栄養食品(株)製)5kg、本みりん0.5kg、アーモンドペースト9kg、水50kg、オリゴ糖(商品名:乳果オリゴ、(株)林原社製)7kgを混合、サイレントカッターで練った。
【0075】
これを100gのカップ容器に100gずつ充填し、シールした後、90℃で30分間加熱した。放冷後、−40℃に設定された高電圧電場アルコール冷凍機(商品名:クイックフリーザー RQF−50型、アルファシステム社製)で20分間冷凍し(0℃〜ー5℃の経過時間5分)、−35℃の冷凍練り製品850ヶを製造した。
【0076】
冷凍練り製品を−35℃に3ヶ月間、6ヶ月間保存後、解凍し、試食したところ、冷凍変性は全く認められずソフトな食感を有する新規な食品となっていた。
(実施例2)
大豆分離蛋白質10kgに大豆油0.1kg、加工澱粉(商品名:パーフェクトアミールAC75、松谷化学工業(株)製)4.0kg、ゴマペースト8kg、水40kg、還元水飴(商品名:アマミールHS−60、(株)林原社製)6kgを混合、ニーダにて練った。
【0077】
これを80gのカップ容器に80gずつ充填し、シールした後、90℃で25分間加熱した。冷却後、−40℃に設定された高電圧電場アルコール冷凍機(商品名:クイックフリーザー RQF−50型、アルファシステム社製)で20分間冷凍し(0℃〜ー5℃の経過時間4分)、−35℃の冷凍練り製品830ヶを製造した。
【0078】
冷凍練り製品を−35℃に3ヶ月間、6ヶ月間保存後、解凍し、試食したところ、冷凍変性は全く認められずソフトな食感を有する新規な食品となっていた。
(実施例3)
スケソウすり身12kg、グルテン粉末3kg、食塩0.4kg、トレハオース8kg、加工澱粉(商品名:ケミスター300S、グリコ栄養食品(株)製)5kg、本みりん0.6kg、ゴマペースト15kg、水50kgを混合、ステファンカッターで練った。
【0079】
これを100gのカップ容器に100gずつ充填し、シールした後、95℃で20分間加熱した。
【0080】
冷却後、−45℃に設定された高電圧電場アルコール冷凍機(商品名:クイックフリーザー RQF−50型、アルファシステム社製)で20分間冷凍し(0℃〜ー5℃の経過時間4分)、−40℃の冷凍練り製品925ヶを製造した。
【0081】
この冷凍練り製品を−40℃に6ヶ月間保存後、解凍し、試食したところ、冷凍変性は全く認められずソフトな食感を有する新規な食品となっていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物性蛋白質及び植物性蛋白質からなる群から選択される少なくとも一種を主原料とし、これに加工澱粉と糖類と水を加えて混練加熱形成した練り製品に、高電圧電場ブライン冷凍処置を施した冷凍食品。
【請求項2】
前記加工澱粉が、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉及び酸化澱粉からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1に記載の冷凍食品。
【請求項3】
前記加工澱粉の含有比率が、該食品の5〜10重量%である請求項1又は2に記載の冷凍食品。
【請求項4】
前記糖類が、砂糖、トレハオース、オリゴ糖、糖アルコール、水飴及び還元水飴からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の冷凍食品。
【請求項5】
前記糖類の含有比率が、該食品の5〜15重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の冷凍食品。
【請求項6】
前記水の加水量が、該食品の40〜70重量%である請求項1〜5のいずれかに記載の冷凍食品。
【請求項7】
前記練り製品が、さらに調味料を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の冷凍食品。
【請求項8】
動物性蛋白質及び植物性蛋白質からなる群から選択される少なくとも一種を主原料とし、これに加工澱粉と糖類と水を加えて混練する工程、
該混練物を加熱形成して練り製品を得る工程、
該練り製品に高電圧電場ブライン冷凍処置を施す工程、を包含する冷凍食品の製造方法。
【請求項9】
前記高電圧電場プライン冷凍処理が、0℃から−5℃の温度域を15分以内に通過し、−20℃から−50℃の温度範囲に至るまで冷凍する処理である請求項8に記載の冷凍食品の製造方法。

【公開番号】特開2006−262793(P2006−262793A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86388(P2005−86388)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(501376741)有限会社モリタフードテクノ (2)
【出願人】(000132172)株式会社スギヨ (23)
【Fターム(参考)】