説明

冷却配管用治具及び冷却装置の製造方法

【課題】往復冷却管を含む冷却回路を備えた金型冷却装置の製造工程において、冷却回路の配管作業を行うために設置板と冷却管継手とを保持する治具であって、金型の多様性に対する汎用性を備えるものを提案する。
【解決手段】治具10は、支軸11が立設された基台12と、前記支軸11にその基部13aが支承され或平面内で可動である複数のフレキシブルアーム13・13・・・と、前記フレキシブルアーム13・13・・・の先端部に固定され前記或平面と略直交方向に伸びる支持柱14・14・・・とを、含んで構成され、支持柱14には、前記設置板31を支持する支持部19と、前記冷却管継手30に内挿されて該冷却管継手30の前記或平面と略平行な方向への振れを防止する芯部17とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復冷却管を含む冷却回路を備えた金型冷却装置の製造技術に関し、詳細には、冷却回路の配管作業を行う際に用いる治具に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカスト鋳造や射出成形等に用いられる金型には、金型温度を制御するために金型冷却装置が備えられる。前記金型冷却装置の一形態として、例えば、特許文献1又は特許文献2に示すように、金型内に往復冷却管を内挿し、前記往復冷却管に冷却水を導通させるものがある。前記往復冷却管とは、同心に配置された内筒と外筒とを具備し、一本の冷却管に冷却水の往路と復路とが形成されたものである。
【0003】
図1及び図2に示す金型冷却装置20には、金型27に穿設された冷却穴28に挿設される、往復冷却管35が備えられる。前記往復冷却管35の頭部にO−リング等のシール部材38を介在させて外装された冷却管継手30には、冷却水を供給するための給水用マニホールド36がパイプ40を介して接続される。また、前記冷却管継手30には、冷却水を排水するための排水用マニホールド37がパイプ40を介して接続される。これらの給水用マニホールド36、パイプ40、冷却管継手30、往復冷却管35、パイプ40、排水用マニホールド37等により、金型冷却装置20の冷却回路が形成される。
【0004】
上記構成の金型冷却装置20の冷却回路は、設置板31上に配管される。前記設置板31には、予め、その周縁部に給水用マニホールド36や排水用マニホールド37が固定されるとともに、金型27の冷却穴28と重複する位置に継手装着孔32が穿設される。そして、前記設置板31の継手装着孔32に冷却管継手30が挿設されたのち、前記冷却管継手30と給水用マニホールド36を連通させるパイプ40が接続され、同じく冷却管継手30と排水用マニホールド37とを連通させるパイプ40が接続される。このようにして、設置板31に、冷却管継手30、給水用マニホールド36、排水用マニホールド37、及びこれらを連通させるパイプ等が配管されたうえで、前記冷却管継手30に往復冷却管35が挿設され、冷却回路が組み上げられる。
【0005】
上述の冷却管継手には、一本につき給水側と排水側との二本のパイプが接続される。このため、設置板と冷却管継手とを略垂直となるように拘束した状態で、冷却管継手とパイプとの接続作業を行わなければ、冷却管継手とパイプとが傾いて接続されたり、設置板に対して冷却管継手が傾いたりすることがある。設置板に対して冷却管継手が傾くと、該冷却管継手に挿設される往復冷却管と冷却管継手の間に、拗れが生じたり、冷却水の洩れが生じたり、介在しているシール部材が損傷したり、というような不具合が生じる。特に、前記パイプは鋼管にて構成されていて伸縮性がないため、このような不具合の発生が顕著である。
【0006】
そこで、冷却回路の配管作業を行うために、設置板と冷却管継手とを保持する治具が用いられる。従来の治具は、図6に示すように、板材45と、前記板材45と略垂直に立設された軸状部材46とで構成される。前記軸状部材46は、板材45上に保持される設置板の継手装着孔と、対応する位置にそれぞれ配設される。
前記治具を用いた冷却回路の配管作業では、まず、治具の軸状部材に設置板の継手装着孔が挿入され、前記治具に設置板が配置される。続いて、前記軸状部材が冷却管継手に挿入され、さらに、前記設置板に前記冷却管継手が固定される。このようにして、設置板に冷却管継手が固定されて前記冷却管継手が前記軸状部材に拘束された状態で、前記冷却管継手にパイプが接続される。
【0007】
しかしながら、上記構成の治具では、金型の多様性に対する汎用性を備えることができない。つまり、金型ごとに冷却穴の位置が異なることから、設置板に設けられる継手装着孔(冷却管継手・往復冷却管)の位置も金型ごとに異なり、このため、冷却回路の配管作業を行うための治具を金型ごとに製作する必要があったのである。
【特許文献1】特開平9−327760号公報
【特許文献2】特開2006−198656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に鑑み、本発明では、往復冷却管を含む冷却回路を備えた金型冷却装置の製造工程において、冷却回路の配管作業を行うために設置板と冷却管継手とを保持する治具であって、金型の多様性に対する汎用性を備えるものを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、往復冷却管を含む冷却回路を備えた金型冷却装置の製造工程において、冷却回路の配管作業を行うために、前記冷却回路が配管される設置板と、該設置板に穿設された継手装着孔に装着された冷却管継手とを保持する冷却配管用治具であって、支軸が立設された基台と、前記支軸にその基部が支承され或平面内で可動であるフレキシブルアームと、前記フレキシブルアームに固定され前記或平面と略直交方向に伸びる支持柱とを、含んで構成され、前記支持柱に、前記設置板を支持する支持部と、前記冷却管継手に内挿されて該冷却管継手の前記或平面と略平行な方向への振れを防止する芯部とを、設けたものである。
【0011】
請求項2においては、前記支持柱は、冷却管継手に内挿可能な小径部と、前記継手装着孔よりも大径であって前記小径部の下部に位置する大径部とを有し、前記小径部が前記芯部として、前記小径部と大径部との段差面が前記支持部として、それぞれ機能するものである。
【0012】
請求項3においては、設置板に略垂直に挿設された冷却管継手と、前記冷却管継手に接続された冷却管と、前記冷却管継手に接続されて前記冷却管に冷媒を供給する給水管と、前記冷却管継手に接続されて前記冷却管より冷媒を排水する排水管とを含んで成る冷却装置の製造方法であって、或平面内で可動であるフレキシブルアームと、該フレキシブルアームに設けられて前記或平面と略直交方向に伸びる支持柱とを具備する支持アームを、複数備えて成る冷却配管用治具を用いて、設置板に冷却管継手を略垂直に挿設するステップと、前記冷却管継手を前記支持アームの前記支持柱に外装するステップと、前記冷却管継手に前記給水管又は前記排水管を接続するステップとを、含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
本発明によれば、往復冷却管を含む冷却回路を備えた冷却装置の製造工程において、冷却回路の配管作業を行うために設置板と冷却管継手とを保持する治具は、支持柱に冷却管継手が外嵌されることによって、設置板を支持するとともに、前記冷却管継手の前記設置板と略平行な方向への動きを拘束することができる。従って、冷却管継手と設置板との略垂直な相互姿勢が保持され、前記冷却管継手を傾けることなく前記冷却管継手にパイプを接続することができる。よって、冷却回路の配管において、冷却管継手にパイプを所定の角度に正確に接続することができ、接続不良に起因する部品の摩耗や水漏れ等の不具合を防止することができる。
さらに、前記支持柱はフレキシブルアームにて自在に動くことができるので、個々の金型による冷却穴位置、つまり、往復冷却管継手の配置の多様に対応することができ、治具に汎用性を備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は一実施例に係る金型冷却装置の構造を示す図、図2は同じく金型冷却装置の構造を示す断面図、図3は本発明に係る冷却配管用治具を示す図、図4は冷却配管用治具を用いた配管手順を説明する図、図5は冷却配管用治具を用いた配管手順を説明する図である。
図6は従来の冷却配管用治具を示す図である。
【0016】
まず、図1及び図2を用いて、本発明の実施例に係る冷却配管用治具10(以下、単に「治具10」と記載する。)を用いて組み付ける金型冷却装置20の構成について説明する。但し、本発明に係る治具10の適用範囲は、本実施例に係る金型冷却装置20に限定されるものではない。
【0017】
前記金型冷却装置20には、往復冷却管35を含む冷却回路が構成される。前記往復冷却管35は、金型27に穿設された冷却穴28に挿設され、前記往復冷却管35に冷却水が導通されることにより前記金型27が冷却される。
【0018】
前記往復冷却管35には、略同心に配置された外筒35aと内筒35bとが備えられ、前記内筒35bの内周に冷却水の往路部が形成され、外筒35aの内周と内筒35bの外周との間に冷却水の復路部が形成される。
前記往復冷却管35の頭部には、O−リング等のシール部材38を介在させて冷却管継手30が外装される。前記シール部材38は、冷却管継手30と往復冷却管35とを密着させるとともに、往復冷却管35と冷却管継手30との間に形成される冷却水の往路部と復路部とを仕切っている。
【0019】
前記冷却管継手30には、往復冷却管35の冷却水の往路部と連通する給水管30aと、同じく往復冷却管35の冷却水の復路部と連通する排水管30bとが、設けられる。
前記冷却管継手30の給水管30aには、パイプ40を介して給水用マニホールド36が接続される。また、前記冷却管継手30の排水管30bには、パイプ40を介して排水用マニホールド37が接続される。給水管30a又は排水管30bと、パイプ40とは、ナット41にて締結される。
【0020】
これらの給水用マニホールド36、パイプ40、冷却管継手30、往復冷却管35、パイプ40、排水用マニホールド37等により、一系統の冷却回路が形成される。前記冷却回路では、冷却水が前記給水用マニホールド36からパイプ40を介して往復冷却管35内に導入され、前記冷却水が該往復冷却管35を通過するうちに金型27が冷却され、前記冷却水が前記往復冷却管35からパイプ40を介して前記排水用マニホールド37へ至り外部へ排出される。
【0021】
前記金型冷却装置20では、往復冷却管35、給水用マニホールド36、排水用マニホールド37、及びパイプ40・40・・・等の冷却回路を形成する部材は、一つの設置板31に組み付けられる。そして、前記設置板31と略平行に押さえ板39が設けられ、前記冷却回路を形成する部材は往復冷却管35を除いて前記設置板31と前記押さえ板39との間に配置される。
【0022】
前記設置板31には、その周縁に給水用マニホールド36や排水用マニホールド37が固定される。
また、前記設置板31には、金型冷却装置20を金型27に取り付けた状態で、前記金型27の冷却穴28と重複する位置に継手装着孔32が穿設され、前記設置板31の継手装着孔32には、冷却管継手30が挿設される。本実施例においては、冷却管継手30の一側端部が継手装着孔32に挿入され、フランジ状の固定部材が前記冷却管継手30の一側端部に挿入されることにより、設置板31に冷却管継手30が固定される。
【0023】
なお、通常、金型冷却装置20には複数系統の冷却回路が備えられ、また、一系統の冷却回路において複数の往復冷却管35・35・・・を直列に経由することがある。
本実施例では、一つの冷却回路に5組の往復冷却管35が経由される。つまり、給水用マニホールド36から供給される冷却水は、パイプ40及び5組の往復冷却管35・35・・・を通じたのち、排水用マニホールド37まで至る。
【0024】
次に、上記構成の金型冷却装置20において、冷却回路を形成する各部材を配管するために用いる冷却配管用治具10の構成について説明する。
【0025】
図3に示すように、治具10は、支軸11が立設された基台12と、前記支軸11にその基部13aが支承され或平面内で可動である複数の支持アームとで構成される。前記支持アームは、或平面内で可動であるフレキシブルアーム13と、前記フレキシブルアーム13の先端部に固定され前記或平面と略直交方向に伸びる支持柱14とを、含んで構成される。
【0026】
前記フレキシブルアーム13は、複数の棒状部材が相互に回動可能に接続されて成るものであって、少なくとも複数の関節を有し、或平面(以下、「可動平面」とする。)上で自在に動くことができる。つまり、フレキシブルアーム13に備えられる関節は前記可動平面と略平行に曲がることとなる。前記可動平面は、例えば前記支軸11と略直交する方向に広がる平面に設定されている。
なお、治具10に具備されるフレキシブルアーム13・13・・・の各可動平面は、それぞれ平行であって重複しないように決定される。このことによれば、治具10に具備される各支持アーム同士が干渉しないのである。
【0027】
前記支持柱14には、前記設置板31を支持する支持部19と、前記冷却管継手30に内挿されて該冷却管継手30の前記或平面(可動平面)と略平行な方向への振れを防止する芯部17とが設けられる。
前記治具10には、望ましくは3以上の支持柱14が備えられる。これにより、設置板31は治具10に3点以上で接して、安定して支持される。
【0028】
前記支持柱14には、冷却管継手30に内挿可能な芯部17と、前記継手装着孔32よりも大径であって前記芯部17の下部に位置する支持高調整部18が、一体的に形成され、前記芯部17と支持高調整部18との段差面が設置板31の支持部19とされる。
換言すれば、前記支持柱14は、冷却管継手30に内挿可能な小径部と、前記継手装着孔32よりも大径であって前記小径部の下部に位置する大径部とを有し、前記小径部が前記芯部17として、前記小径部と大径部との段差面が前記支持部19として、それぞれ機能する。
【0029】
また、治具10に具備される支持柱14・14・・・において、全ての支持部19・19・・・が支持柱14と略直交する略同一平面に存在するように、各支持高調整部18・18・・・の長さが定められる。つまり、支持柱14の支持部19にて支持される設置板31と、前記支持柱14とは略直交することとなる。
これに加え、前記支持柱14の芯部17は、外嵌された冷却管継手30が振れない程度の大きさの外径を有し、支持柱14の芯部17に外嵌された冷却管継手30の軸方向と、前記支持柱14とは略平行となる。
以上の構成により、支持柱14・14・・・の支持部19・19・・・に支持された設置板31と、該設置板31に装着されて前記支持柱14に外装された冷却管継手30とが略直交した状態で、治具10に保持される。
【0030】
続いて、設置板31に略垂直に挿設された冷却管継手30と、前記冷却管継手30に接続された冷却管継手30と、前記冷却管継手30に接続されて前記冷却管継手30に冷媒を供給する給水管30aと、前記冷却管継手30に接続されて前記冷却管継手30より冷媒を排水する排水管30bとを含んで成る金型冷却装置20の製造方法について説明する。
【0031】
前記金型冷却装置20の製造においては、或平面内で可動であるフレキシブルアーム13と、該フレキシブルアーム13に設けられて前記或平面と略直交方向に伸びる支持柱14とを具備する支持アームを、複数備えて成る冷却配管用治具10が用いられる。
【0032】
まず、複数系統備えられる冷却回路のうちの、一つの冷却回路について配管作業が行われる。
始めに、治具10の基台12が安定した位置に設置される。そして、治具10のフレキシブルアーム13が適宜動かされて、前記冷却管継手30を挿設する対象となる設置板31の継手装着孔32に、支持柱14が挿入される。
上述のように、設置板31の継手装着孔32に支持柱14が挿入されると、図4に示すように、該支持柱14の芯部17と支持高調整部18との間の支持部19に設置板31が当接することにて、前記設置板31がフレキシブルアーム13の可動平面と略平行に治具10に支持される。
【0033】
なお、一系統の冷却回路(同一冷媒が連続して流れる一連の冷却回路)に含まれる往復冷却管35が複数であるとき、これらの往復冷却管を設置する継手装着孔32の全てに、同一の治具10に含まれる支持柱14・14・・・が挿入される。また、一系統に含まれる往復冷却管35の数が2以下であるとき、設置板31をより安定して支持するために、その系統に含まれない継手装着孔32にも支持柱14が挿入される。
【0034】
そして、治具10に固定された設置板31の継手装着孔32のうち、支持柱14が挿入されたものに、冷却管継手30が嵌入され、固定される。
前述の通り、設置板31と支持柱14とは略垂直であるため、設置板31に対して冷却管継手30が略垂直に固定される。さらに、冷却管継手30は貫通している支持柱14により、該冷却管継手30は設置板31に対して略垂直である姿勢が維持される。
【0035】
上述のように設置板31に対して冷却管継手30が略垂直に固定された状態で、前記冷却管継手30にパイプ40がナット41にて固定され接続される。図5に示すように、給水用マニホールド36とパイプ40、パイプ40と冷却管継手30の給水管30a、冷却管継手30の排水管30bとパイプ40、パイプ40と排水用マニホールド37が、それぞれ接続される。
【0036】
続いて、設置板31との間に給水用マニホールド36、排水用マニホールド37、冷却管継手30、パイプ40を挟み込むように、押さえ板39が取り付けられ、最後に、前記冷却管継手30に往復冷却管35が挿設されて、金型冷却装置20の冷却回路が組み上げられる。
【0037】
このように、一つの系統の冷却回路が組み上げられると、次に他の系統の冷却回路が同様に組み上げられ、全ての系統の冷却回路が組み上げられて、金型冷却装置20における冷却回路の配管作業が終了する。
【0038】
上述の金型冷却装置20の製造方法には、設置板31に冷却管継手30を略垂直に挿設するステップと、前記冷却管継手30を前記支持アームの前記支持柱14に外装するステップと、前記冷却管継手30に前記給水管30a又は前記排水管30bを接続するステップとが、含まれる。
なお、設置板31に冷却管継手30を略垂直に挿設するステップと、前記冷却管継手30を前記支持アームの前記支持柱14に外装するステップとは、前述の通り、略同時に行われることもある。
【0039】
前記金型冷却装置20の製造方法によれば、治具10の支持柱14に冷却管継手30が外装されることによって、設置板31が3点以上で安定して支持されるとともに、前記冷却管継手30の前記設置板31と略平行な方向への動きが拘束される。従って、配管作業中に冷却管継手30と設置板31との略垂直な相互姿勢が保持されるので、前記冷却管継手30を傾けることなく前記冷却管継手30にパイプ40を接続することができる。
つまり、治具10を用いることにより、設置板31に対する冷却管継手30の垂直度が確保され、冷却管継手30の倒れや傾きが強制的に修正されることにより、組み付け不具合による水漏れ、ガスケットの破損による水漏れ、ジョイント破損による水漏れを、防止することができる。治具10を用いることにより、冷却回路の配管組み付け精度が向上し、組み付け不良に起因する部品の摩耗や水漏れ等の不具合を防止することができるのである。
【0040】
さらに、前記治具10のフレキシブルアーム13・13・・・は、可動平面において自在に動くので、接続しようとする冷却管継手30とパイプ40とを作業者の所望の位置に移動させることが可能となり、作業性の向上を図ることができる。
さらに、前記治具10のフレキシブルアーム13・13・・・は、可動平面において自在に動くので、支持柱14と冷却管継手30の間に拗れを生じさせることなく、冷却管継手30とパイプ40との接続作業を行うことができる。
【0041】
さらに、前記治具10では、前記支持柱14はフレキシブルアーム13にて自在に動くので、設置板31に穿設される継手装着孔32の位置の変化・変更に応じて支持柱14を移動させることができ、治具10は金型の多様に対応する汎用性を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】一実施例に係る金型冷却装置の構造を示す図。
【図2】同じく金型冷却装置の構造を示す断面図。
【図3】本発明に係る冷却配管用治具を示す図。
【図4】冷却配管用治具を用いた配管手順を説明する図。
【図5】冷却配管用治具を用いた配管手順を説明する図。
【図6】従来の冷却配管用治具を示す図。
【符号の説明】
【0043】
10 冷却配管用治具
11 支軸
12 基台
13 フレキシブルアーム
14 支持柱
17 芯部
18 支持部
19 支持面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復冷却管を含む冷却回路を備えた金型冷却装置の製造工程において、冷却回路の配管作業を行うために、前記冷却回路が配管される設置板と、該設置板に穿設された継手装着孔に装着された冷却管継手とを保持する冷却配管用治具であって、
支軸が立設された基台と、
前記支軸にその基部が支承され或平面内で可動であるフレキシブルアームと、
前記フレキシブルアームに固定され前記或平面と略直交方向に伸びる支持柱とを、含んで構成され、
前記支持柱に、前記設置板を支持する支持部と、前記冷却管継手に内挿されて該冷却管継手の前記或平面と略平行な方向への振れを防止する芯部とを、設けたことを特徴とする冷却配管用治具。
【請求項2】
前記支持柱は、
冷却管継手に内挿可能な小径部と、前記継手装着孔よりも大径であって前記小径部の下部に位置する大径部とを有し、
前記小径部が前記芯部として、前記小径部と大径部との段差面が前記支持部として、それぞれ機能することを特徴とする、
請求項1に記載の冷却配管用治具。
【請求項3】
設置板に略垂直に挿設された冷却管継手と、前記冷却管継手に接続された冷却管と、前記冷却管継手に接続されて前記冷却管に冷媒を供給する給水管と、前記冷却管継手に接続されて前記冷却管より冷媒を排水する排水管とを含んで成る冷却装置の製造方法であって、
或平面内で可動であるフレキシブルアームと、該フレキシブルアームに設けられて前記或平面と略直交方向に伸びる支持柱とを具備する支持アームを、複数備えて成る冷却配管用治具を用いて、
設置板に冷却管継手を略垂直に挿設するステップと、
前記冷却管継手を前記支持アームの前記支持柱に外装するステップと、
前記冷却管継手に前記給水管又は前記排水管を接続するステップとを、
含むことを特徴とする冷却装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−302499(P2008−302499A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148791(P2007−148791)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】