説明

冷房装置

【課題】 地上にある駅舎プラットホーム等の半屋外、デパート屋上やアミューズメント施設,待合所等の屋外、或いは全館空調がされていない工場等の大空間での好適な簡易スポット冷房装置を提供する。
【解決手段】 一方に外気取入口7a、他方に吹出口7bを形成した縦置き又は横置きの円筒形もしくは角筒形湿空気創成用通路5内に、外気取入口側に向かって噴霧する少なくとも1つの水噴霧ノズル又は複数の水噴霧ノズルを備えたノズル組立体8を配置し、水噴霧ノズルからの噴霧水が蒸発するのに充分な距離を有する所定区間S内を外れた円筒形通路7内に、ノズルの噴霧方向と搬送される空気流れ方向とが対向するように円筒形通路の下流又は上流にファン10を設けると共に、外気取入口7a近くの円筒形通路側壁に乾球温度計又は相対湿度計11のいずれかと湿球温度計12とを配置し、乾球温度計又は相対湿度計のいずれかと前記湿球温度計の検出値に基づきノズル組立体8の噴霧水量を制御して吹出口から冷風を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の蒸発潜熱を利用した冷房装置に関するもので、特に施設待合所や駅のプ
ラットホームなどの半屋外、全館空調がされていない工場等での使用に好適な簡易スポッ
ト冷房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
夏期の多湿時に列車内やコンコースは冷房によって快適に過ごせるが、駅舎内やプラッ
トホームは猛暑にさらされて列車待ちをする人にとっては不快であるばかりか、場合によ
っては、猛暑のため列車待ちをする人の健康に影響を与える。一般的に、駅舎、プラット
ホームなどの半屋外における暑さ対策は、空気を循環させたり、屋根等の日除け手段によ
って行われたりしているが、開放された空間を十分に冷却するのに有効な装置は、その空
間の空気が外気と入れ換わることでその空間体積より非常に大きな体積空気を冷却するこ
ととなり、装置イニシャルが極めて高価であり、また装置を維持管理するのに、莫大な労
力を要し、冷却負荷に伴う熱放出により地球環境に悪影響を与えるおそれがあることとな
る。これらから、デパート屋上やアミューズメント施設待合所等の屋外はもとより、工程
の関係で天井高が高い非密閉構造の工場等の半屋外または大空間屋内でも、人などに直接
冷気を当てる局所冷房を除く、冷水やフロンなどを冷媒とする冷却ユニットによるや冷媒
―空気の熱交換は行われていない。
【0003】
駅舎、プラットホーム等において冷房設備によって暑さ対策を行う場合には、プラット
ホームの一部を囲って環境改善を行う空間を限定し、この中を冷却する方法がよく行われ
ている。また、一般的にこのような冷房設備の設置が困難な屋外空間、半屋外空間や大空
間で冷風を送る場合は、水の蒸発潜熱を利用し、暑い空気を冷気に変えて送風するため冷
風発生装置(例えば、特許文献1)を設置する場合がある。水などの冷媒と空気とを間接
熱交換する冷房装置を用いると設備費及び運転費が著しく大となるところを、鶏舎、豚舎、牛舎その他の畜産用建造物、あるいはビニールハウス等の費用を安く冷房するのに、特許文献1の冷風発生装置は、送風機の前方に若干の間隔をあけて細霧発生装置を取付けた構成となっており、スプレーノズルから前方へ噴出される細霧は、送風機から送られる送風により気化され、この気化熱により、送風は効果的に冷却される。しかしながら、この技術は、霧が気化するのに十分な距離を必要とし、霧が気化しない空間では霧が白濁し、視認性が落ちる、長時間この空間に滞在すると身体が濡れて不快を感じる等の欠点がある。また、扇風機等の扇カバーの前側ほぼ中央位置に霧発生器を取付けた霧風式の屋外用クーラー(例えば、特許文献2)も提案されているが、上記と同様の問題が起きる。
【0004】
この問題を解決するために、ノズル後方にダクトを設け、ダクト内で噴霧水を完全に気
化させて冷風を送る装置(例えば、特許文献3)が提案されている。こらは、吸気口及び
排気口を備えたダクト構造で、エアブロア及び水又はその他の蒸発冷却材を空気中に放出
する複数ノズルを入り口側に備えている。噴霧された水と圧送された空気は互いに混合し
冷却混合気となり、この冷却混合気は排気口より放出され、人がこれを浴びて涼むことが
できる。この技術のように噴霧水が白濁する区間にダクトを設けることで、視認性や作業
性は改善されるが、噴霧余剰水がダクト内にたまって細菌・雑菌が繁殖することがあり、
繁殖した場合には、給気する混合気に細菌・雑菌が混入し極めて不衛生である。このため、エアワッシャのように、エリミネータを設けて、水と空気を完全に分離して送風する混合気内への細菌・雑菌の混入を防いで冷風を搬送する方法も知られている(例えば特許文献4)。しかしながら、この技術は、加湿冷却に必要な水以上を噴霧しており、装置は大掛かりとなり、さらに余剰水を供給する分、余計なエネルギーを消費し不経済である。
【0005】
【特許文献1】特開平8−42870号公報(公報第2頁右欄27行から第3頁左欄15行、図3)
【特許文献2】特開2000−28157号公報(公報第2頁右欄15〜31行、図1)。
【特許文献3】特表平10−501880号公報(公報第11頁12行から第12頁7行、図5)。
【特許文献4】特開平10−192642号公報(公報第3頁左欄34行から同右欄19行、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の装置では、霧が白濁する区間で作業性が落ちるため、空気と水と
を分離するためのエリミネータが必要であるが、噴霧余剰水が装置内に溜り雑菌、細菌が
発生し衛生面で問題がある。この問題に対応するには、潜熱蒸発するのに必要な水量だけ
噴霧し余剰水を発生させないようにすることで、ファンの吹出側にダクト等を設けずとも
霧が発生せずに視認性を改善できると共に、エリミネータ等の水切板を用いずに冷風のみ
を搬送することができる。それができれば、必要な水量だけ噴霧することで、水滴落下の
原因となる余剰水を発生させないようにすることができる。その結果、霧による視認性低
下の問題をなくし、長時間冷風に晒しても濡れの悪影響を解消でき、同時に雑菌、細菌繁
殖の元となる余剰水の発生を防ぎ、また冷却に必要な水量だけを装置に供給するので省エ
ネが図れる。
本発明は、噴霧ノズルから前方へ噴出される微細な水滴を、加湿空気創成用円筒形通路
にファンの搬送力を用いて取り込まれる風により完全に気化し、この気化熱により、取り
入れた外気を効果的に冷却するように、温湿度センサ等で検出した値から入口空気の状態
値を演算し、入口空気状態により蒸発する分しか噴霧しないように噴霧水量を制御する。
このような技術により適用として特に、地上にある駅舎プラットホーム等の半屋外、デパ
ート屋上やアミューズメント施設待合所等の屋外、全館空調がされていない工場等の大空
間での使用に好適な簡易スポット冷房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明にかかる請求項1は、一方に外気取入口、他方に吹出
口を形成した縦置又は横置きの円筒形もしくは角筒形加湿空気創成用通路(以下円筒形通
路という)内に、前記外気取入口側に向かって噴霧する少なくとも1つの水噴霧ノズル又
は複数の水噴霧ノズルを備えたノズル組立体を配置し、前記ノズルの噴霧方向とファンに
より搬送される空気流れ方向とが対向するように前記円筒形通路の下流又は上流にファン
を設け、前記外気取入口近くの円筒形通路側壁に乾球温度計又は相対湿度計のいずれかと
湿球温度計とを配置して、前記乾球温度計又は相対湿度計のいずれかと前記湿球温度計の
検出値に基づき前記ノズル組立体の噴霧水量を制御して前記吹出口から冷風を供給するよ
うにしたことを特徴とする冷房装置である。
請求項2は、一方に外気取入口、他方に吹出口を形成した縦置又は横置きの円筒形もしくは矩形筒形の加湿空気創成用通路内に前記吹出口側に向かって噴霧する少なくとも1つの水噴霧ノズル又は複数の水噴霧ノズルを備えたノズル組立体を配置し、前記ノズルの噴霧方向とファンにより搬送される空気流れ方向とが並向するよう前記円筒形通路の上流にファンを設け、前記外気取入口近くの円筒形通路側壁に乾球温度計又は相対湿度計のいずれかと湿球温度計とを配置して、前記乾球温度計又は相対温度計のいずれかと前記湿球温度計の検出値に基づき前記ノズル組立体の噴霧水量を制御して前記吹出口から冷風を供給するようにしたことを特徴とする冷蔵装置である。
請求項3は、前記ノズル組立体は、前記円筒形通路の空気流れに直交した断面内の中心位置に1個及び前記断面より小さい同心円上に複数個の水噴霧ノズルを備え、又は同心円上のみ複数個の水噴霧ノズルを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷房装置である。請求項4は、前記ファンは軸流型ファンであり、該ファンが発生しやすい旋回流を防いでファンの持つ静圧を有効に働かせるために、前記円筒形通路内の水噴霧ノズル組立体と前記ファンとの間に整流板を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷房装置である。
【0008】
請求項5は、前記同心円上の設置した各水噴霧ノズルは、前記円筒形通路の壁面にかかった噴霧水が結露してボタ落ちするのを防ぐため、ノズル先端部を円筒形通路の中心軸に対して所定の角度傾けて取付けた、ことを特徴とする請求項3に記載の冷房装置である。請求項6は、前記円筒形通路の外周に、前記吹出口に近づくほどその中心軸直交断面を小さくした逆円錐筒を配置して二重壁構造とし、前記吹出口から吹出される高速空気に接することで前記逆円錐筒内の前記断面積が小さい側端部空気圧が低下することにより、前記逆円錐筒内の空気ひいては前記断面積が大きい側端部近傍の空気を積極的に誘引して断面積が小さい側端部から吸い出すことで、前記吹出口から吹出す中央の空気と前記断面積が小さい側端部から流れる空気とを前記吹出口近傍で混合攪拌し噴霧水の蒸発を促進することで前記円筒形通路の長さを短くして天井高さが低い建屋に設置するのに適するようにした、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つの項に記載の冷房装置である。
【0009】
請求項7は、前記乾球温度計の指示値と湿球温度計の指示値との実際温度差を演算し、所定の第1設定温度差と実際温度差とを比較して実際温度差が大きければ、前記ファンを起動し、前記各水憤霧ノズルに水を供給する高圧ポンプを運転し、別に設定した所定の第2設定温度差と実際温度差とを比較して該第2設定温度差が大きければ前記高圧ポンプを停止し、その後前記ファンを停止することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つの項に記載の冷房装置である。請求項8は、前記相対湿度計の指示値と前記湿球温度計の指示値とから外気の乾球温度を演算したのち、演算乾球温度と湿球温度指示値との実際温度差を演算し、所定の第1設定温度差と実際温度差とを比較して実際温度差が大きければ、前記ファンを起動し、前記各水憤霧ノズルに水を供給する高圧ポンプを運転し、別に設定した所定の第2設定温度差と実際温度差とを比較して該第2設定温度差が大きければ前記高圧ポンプを停止し、その後前記ファンを停止することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つの項に記載の冷房装置である。
請求項9は、前記乾球温度指示値又は前記演算乾球温度が、運転設定温度より高ければ前記実際温度差の比較に進み、運転設定温度より低ければ前記ファン及び高圧ポンプを停止することを特徴とする請求項7または8に記載の冷房装置である。
請求項10は、前記円筒形通路の空気流れに直交した断面内の中心に位置する1個の水噴霧ノズルを備える第1配管系統と、前記断面より小さい同心円上に備えられた複数個の水噴霧ノズルとを受け持つ第2配管系統というような別な配管系とし、各配管系統に第1オンオフ弁及び第2オンオフ弁を設け、前記第1設定温度差と実際温度差とを比較して第1設定温度差が大きくなれば前記第1オンオフ弁を開け、前記第2設定温度差と実際温度差とを比較して第2設定温度差が大きければ該第1オンオフ弁を閉止し、別に設定した所定の第3設定温度差と実際温度差とを比較して実際温度差が大きければ第2オンオフ弁を開け、第3設定温度差と実際温度差が大きくなれば該第2オンオフ弁を閉止することを特徴とする請求項7または8に記載の冷房装置である。
請求項11は、前記断面より小さい同心円上に備えられた複数個の水噴霧ノズルを受け
持つ第2配管系統を、さらに水噴霧ノズルの組毎に分割し分割数+2の数の配管系統を設
け、各配管系統に第(分割数+2)オンオフ弁をそれぞれ設け、別に設定した所定の第(
分割数+3)設定温度差と実際温度差とを比較して実際温度差が大きければ第(分割数+2)オンオフ弁を開け、第(分割数+3)設定温度差が大きくなれば前記第(分割数+2)オンオフ弁を閉止することを特徴とする請求項9に記載の冷房装置である。

【発明の効果】
【0010】
この発明では、円筒形通路の外気取入口近くの側壁に配置した乾球温度計又は相対湿度
計と湿球温度計との検出値に基づく演算によって水噴霧量をコントロールすることで、円
筒形通路内から吹出す空気において完全に噴霧水を気化させ、白霧による視認性低下を解
消できる。また、必要な水分量しか噴霧されないのでエリミネータの必要無しに、冷風は
水が完全に蒸発した状態で搬送されると共に、無駄な水を噴霧する必要がなく省エネが図
れ、簡易スポット冷房が可能になる。さらに、円筒形通路を空気が通る間に水噴霧ノズル
から噴霧された水滴が完全に蒸発するため、余剰水による円筒形通路内での雑菌・細菌の
繁殖、ひいては吹出口から流れる空気への雑菌・細菌の同伴を心配する必要がない。さら
に、温湿度センサによる自動制御を備えており、夏季の雨天時など外気が湿潤な空気の場
合は、局所冷房装置として水の潜熱冷房は期待できず、その空気を人に当てるとかえって
不快になる場合があるが、その外気の空気状態を監視し自動的に発停することで、快適化
と省エネと水の垂れの防止などの手間を掛けずに達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、噴霧水が蒸発するのに充分な距離がある区間、該区間内に配置した少なくと
も1つあるいは複数の水噴霧ノズルからなるノズル組立体、該水噴霧ノズルに噴霧水を供
給する高圧ポンプ、前記区間内に配置したファン、乾球温度計又は相対湿度計と湿球温度
計などから構成される。噴霧水が蒸発するのに充分な距離がある区間は、両端が開いた加
湿空気創成用円筒形もしくは矩形筒形の通路(以下、円筒形通路という)で、該円筒形通
路の一方が外気取入口で、他方に吹出口が形成され、前記円筒形通路内にファンの搬送力
によって導入される外気もしくは未温調空気(以下、まとめて外気という)に対し、水噴
霧ノズルから対向して噴霧される水滴の気化熱(潜熱蒸発)により該外気が冷却されて、
前記円筒形通路の吹出口から冷風が供給される。水噴霧ノズルは、基本的にファンで送ら
れる前記円筒形通路画内の風の方向と噴霧水の噴霧方向とが対向するように配置し、ノズ
ル個数は、最少1個、最大5個またはそれ以上配置する。
また、ファンとノズル組立体との間に設けた整流板により円筒形通路内の噴霧水滴が盛
んに蒸発する区域が層流となる場合に、複数の水噴霧ノズルを設置するときには、円筒形
通路内の空気流れ直交断面の中心に最低限設ける1つのノズルを設置し、そのノズルを囲
むように他の水噴霧ノズルを前記断面積より小さい同心円上に配置する。該同心円上に設
置したノズルは、噴霧水が円筒形筒の壁面にかかり壁面にかかった噴霧水の結露水がボタ
落ちしないように、ノズル噴霧水の拡散中心軸を円筒形通路(装置本体)の中心軸に対し
て所定角度を為すように配置する(図2)。ファンの旋回により円筒形通路内の噴霧水滴
が盛んに蒸発する区域の撹拌が充分に期待され、区域が乱流になる場合も、複数の水噴霧
ノズルを、前記断面より小さい同心円上にノズルを配置する。この同心円上のノズルは特
に装置本体中心軸に対してノズル噴霧水の拡散中心軸に角度を持たせて配置する。
スプレーノズルから前方へ噴出される微細な水滴は、ファンにより円筒形通路内を搬送
される風により完全に気化され、この気化熱により、円筒形通路に取り入れた外気は効果
的に冷却される。噴霧水は、温湿度センサ等で検出した値によって、蒸発する分しか噴霧
しないように噴霧ノズルの個数により水量が制御されるため、円筒形通路内壁に水滴が付
着されることなく、加湿空気が正しく噴霧される。
【0012】
図1は本発明冷房装置の第1実施形態の配置図である。この冷房装置1は、上方に外気
取入口7a、下方に吹出口7bを形成して両端が開口され、かつ噴霧水が完全に蒸発し、
空気中に白濁した霧のない状態となるのに十分な距離(空気の流れと噴霧水の流れとを対
向させる場合は、加湿空気創成用円筒形通路の外気取入口からも水滴が見えない状態とな
る十分な距離)Sを有する縦置形の加湿空気創成用円筒形通路7(以下円筒形通路と略称
する)内に少なくとも1つの水噴霧ノズルからなるノズル組立体8を配置する。
ノズル組立体8より上流で、前記外気取入口7aの側方に計器取付部18を設けて乾球
温度計又は相対温度計11を取付け、また前記外気取入口7aの側方概則の別な箇所に計
器取付部19を設けて湿球温度計12を取付ける。これにより外気取入口7aの近傍で、
かつ円筒形通路内空気の影響を受けない取り込み外気の湿球温度を測るようにする。また、ノズル組立体8より下流の円筒形通路7内に、軸流ファンのごとき吹出用ファン10を設けて外気取入口7aから導入した外気を円筒形通路7内に搬送し、ノズル組立体8から噴霧する噴霧水滴を蒸発気化させるよう外気がノズル組立体周囲に供給されるようにしてある。吹出用ファン10とノズル組立体8の間には複数のブレード9aを並べた整流板9を近接配置して円筒形通路内の気流を整流することによって、ノズル組立体8から噴霧された水滴の蒸発潜熱により、吹出口から冷却された層流冷風の吹出を実現する。
【0013】
円筒形通路7の側方または離れた位置に、送水管2からの給水をフィルタ2aに通して
水タンク3に蓄える。水タンク3の一端から引き出した配管4の本流端部に高圧ポンプ5
及び高圧ホース6を接続し、高圧ホース6の他端に分岐配管6sを接続する。分岐管6s
の2つの分岐部から分かれた第1配管系統6a、第2配管系統6b及び、第1オンオフ弁
34a、第2オンオフ弁34bを介して複数の水噴霧ノズルを備えたノズル組立体8に接
続する。配管4の枝管に接続した枝ホース4aにポンプ5aを設けて湿球部分が乾燥しな
いように湿球への補給水路として湿球温度計12につなげる。
乾球温度計又は相対湿度計11及び湿球温度計12の測定値は、信号線11a、12a
を通じて検出部13に入力されたのち温度差信号に変換され、信号線13aを通じて温度
調節計TIC14に入力され、演算処理されてオンオフ信号に変換し、信号線14a、1
4bを介して水噴霧ノズルの出力を調節する。
乾球温度計又は相対湿度計11及び湿球温度計12の測定値は、信号線11a、12a
を通じて検出部13に入力されたのち温度差信号に変換され、信号線13aを通じて温度
調節計TIC14に入力され、演算処理されてオンオフ信号に変換し、信号線14a、1
4bを介して、水噴霧ノズルのノズル組立体8へ繋がる第1配管系統6a、第2配管系統
6bの途中に設けた第1オンオフ弁34a、第2オンオフ弁34bへ出力する。又、調節
計TIC14の出力端子(ハ)から信号線13bを引き出してファン10の発停信号を出
力する。水噴霧ノズルの噴霧水滴粒径の良好な分布を保つため、ポンプ5の出口圧力を圧
力計Pで検出し、圧力調節計PICで演算した信号にて、ポンプ5のモータに接続される
インバータINVの周波数出力を制御してポンプ5の出口圧力を一定に制御する。
【0014】
図2(a)はノズル組立体の拡大側面図、(b)は同上側面図のA―A線における平面
図を示す。この水噴霧ノズル組立体8は、円筒形通路7の断面中心に配置したノズル8a
とノズル8aを中心とする同心円上に配置した複数個のノズル8b(図では4個)とから
なっている。中心に配置したノズル8aは、図3(a)に示すようにエルボ形汎用継手1
5の末端にノズルピース17を設けたもの、(b)はT形汎用継手の中央に屈曲継手16
を接続し、その先端にノズルピース17を設けたものである。上記のように、実施形態1
は、円筒形通路7、該円筒形通路内に配置した少なくとも1つあるいは複数の水噴霧ノズ
ルからなるノズル組立体8、ファン10、乾球温度計又は相対湿度計11と湿球温度計1
2などから構成され、前記円筒形通路7の一方が外気取入口7aで、他方に吹出口7bが
形成され、前記円筒形通路内にファン10の搬送力によって導入される外気もしくは未温
調空気(以降まとめて外気という)に水噴霧ノズル組立体8から対向して噴霧される水滴
の気化熱(蒸発潜熱)により導入される外気が冷却され、円筒形通路の吹出口から冷風が
供給される。この実施形態は、図8以下に後記するように天井高さが比較的高い建屋内に
設置するのに適している。
【0015】
[運転条件の決め方]
(i)円筒形通路7の外気取入口7aの側面に各々設置した、乾球温度計11と湿球温度
計12とで計測した温度値を用い、検出した乾球温度計指示値T2と、湿球温度計指示値
T1の指示値同士の差の絶対値:実際温度差を演算し、この差がある値以上の場合に噴霧
前の取入外気の湿度がある基準以下で充分噴霧水滴を気化させることができると判断して、水噴霧の量を制御する方法(図4)、もしくは
(ii)円筒形通路7の外気取入口7aの側面に各々設置した、相対湿度計11と湿球温度
計12とで計測した湿度値と温度値とを用いて乾球温度と湿球温度の差に置き換えて演算
する方法(図5)をとる。この置き換えて演算する場合には、噴霧前後の湿り空気線図上
の変化を等エンタルピー変化であると仮定し、測定した湿球温度計指示値を飽和線上にプ
ロットした点から等エンタルピー線上に伸ばした延長線と、測定した相対湿度計指示値の
等相対湿度線との交点から演算して求める。すなわち、図5(a)に示すように湿球温度
計12での検出指示値の飽和線上へのプロットを行い、(b)相対湿度計11の検出指示
値による等相対湿度線のプロットをしたのち、(c)前記飽和線上湿球温度から等エンタ
ルピー線を湿り空気線上にプロットして等相対湿度線との交点を求め、その乾球湿度値を
演算する。実際には公知の演算式を、演算部13に収納して演算する。
【0016】
次に、制御方式の大要を説明する。取り入れた空気を相対湿度100%まで加湿するこ
とを考えると、水噴霧ノズルから噴霧される水は気化しきれずに結露して、本装置の円筒
形通路などから結露水が垂れる等の悪影響があるので、装置から排出される冷風の相対湿
度が80%程度となるように加湿する。
本装置で、必要水量のみを噴霧する制御方法は次の2通りである。
その1は、ポンプのON−OFFによるもので、これによりノズル組立体8に設置され
ている全ての噴霧ノズルに対し噴霧水を供給する時間、供給しない時間を作る制御で、演
算処理した温度差が所定の温度差に満たないか否かにより、噴霧水を供給する高圧ポンプ
の運転を発停制御する(図6、図7)。
その2は、ノズル組立体の各ノズルを複数の集合体に分けて、それぞれの集合体に接続
する配管をそれぞれ独立にし、独立した各々の配管に電磁弁を設ける(図14)。運転開
始時は、例えば、全て閉じている電磁弁のうち中央に設けた水噴霧ノズルの系統に備えら
れた電磁弁のみをあけて運転をする。そして、演算処理した温度差が所定の温度差に満た
ないか否かにより、制御条件を満たす場合は閉じている電磁弁をひとつずつ開けて運転を
し、条件を満たさない場合は開いている電磁弁をひとつずつ閉じて運転する(図15A、
図15Bのフローチャート参照)。
【0017】
本発明の第1実施形態の制御作用を図6A(制御の前半)と図6B(制御の後半)のフローチャートに基づいて説明する。
前述したように、取り入れた空気を相対湿度100%まで加湿することを考えると、水
噴射ノズルから噴霧される水は気化しきれずに結露して、円筒形通路7の内壁などから結
露水が垂れて悪影響があるので、装置から排出される冷風の相対湿度が80%程度となる
ように加湿する。乾球温度計又は相対湿度計11及び湿球温度計12の測定値の処理とし
て、湿球温度、相対湿度を検出した場合は、空気線図上の湿球温度の等エンタルピー変化
延長線と等相対湿度線との交点(図5参照)から噴霧前の乾球温度を演算し、乾球温度と
の温度差、つまり実際温度差を求める過程が余分に発生する。
例えば、1日の始業時間であるスタートにおいて、本装置の電源が入れられると、まず
、乾球温度計又は相対湿度計11及び湿球温度計12による、乾球温度・湿球温度の検出
、又は湿球温度・相対湿度の検出が行われる(ステップST1)。その後、演算部13に
おいて実際温度差の演算が行われ(ステップST2)、まず、乾球温度測定値が例えば2
5℃のような運転設定温度を超えるか否か(ST3)を判別し、NOの場合にはそのまま
ファン停止状態(ST4)で再びステップST1に戻る。ステップST3でYESの場合
には、演算した実際温度差が、温度調節計TICに設定されている第1設定温度が例えば
5℃以上か否か(ST5)を判別し、YESの場合には、ファン10の運転し(ST6)、続いてポンプ5も運転する(ST7)。ステップST5でNOの場合には、再びステップST1に戻る(図6A)。
次に、図6Bに示すように、乾球温度・湿球温度の検出、又は湿球温度・相対湿度の検
出(ST8)、演算部13において実際温度差の演算(ST9)し、乾球温度測定値が例
えば25℃のような運転設定温度より高いか否か(ST10)を判別する。NOの場合に
はポンプ停止(ST11)、ファン停止(ST12)でステップST1に戻り、YESの
場合には、実際温度差が温度調節計TICに設定されている第2設定温度差が、例えば3
℃より大きいか否か(ST13)を判別する。ST13でNOの場合には、ポンプ停止(
ST14)を経てステップST1に戻り、YESの場合には設定時間到達かどうかを判別(ST15)する。ステップST15はタイマ設定で行い、又スタートも場合によってタ
イマの設定で行ってもよいが、例えば、ディリータイマにて運転時間を9:00〜17:
00とし、この時間内であれば運転し、それ以外であれば停止とする。ステップST15
でYESの場合には、ポンプ停止(ST16)、ファン停止(ST17)を経て終了し、
NOの場合には、再びステップST1(図6A)に戻る。
【0018】
図7は、本発明冷房装置の第2実施形態を示すもので、(a)は各部の配置図、(b)は同上配置図のB−B線における断面図である。
この冷房装置1は、図8に示すように、上方に外気取入口7a、下方に吹出口7bを形
成して両端が開口された縦置形の円筒形通路7内に水噴霧ノズル組立体8を配置し、ノズ
ル組立体8より上流で、噴霧ノズルからの噴霧水が蒸発するのに十分な距離を有する円筒
形通路7内の外気取入口7a近くに前同様計器取付部18に乾球温度計又は相対湿度計1
1を取付け、計器取付部18より下流の円筒形通路7内に計器取付部19に湿球温度計1
2を挿設する。また、ノズル組立体8より下流の円筒形通路7内に、吹出用ファン10を
設けて吹出口7aから冷風が供給されるようにしてある。この例では、中心に噴霧ノズル
1つと同心円上のみ複数個の噴霧ノズル8bを設置した(図7(b))。噴霧ノズル8b
の配置位置より下方の吹出気流を層流とする場合には、円筒形通路7内の水噴霧ノズル組
立体8と吹出用ファン10との間に整流板9を設けるが、図示のように水噴霧ノズル組立
体8より下方の吹出気流を層流とする必要のないときには、整流板の取付けを省略する。
【0019】
図8は図1又は図8に示す冷房装置1を、暖気の溜りやすい大空間(建屋)20内の上
部に設置した場合の正面図であって、建屋の天井近くに複数台の冷房装置1を吊設して各
円筒形通路7の上部開口から外気を取入れ、円筒7内での水噴霧により湿度調整された冷
気をファン10により送出して大空間内のスポット冷房を行うことができる。この場合も
外気取入口近くの円筒形通路側壁に乾球温度計又は相対湿度計を配置すると共に、外気取
入口近くの別な円形通路側壁に湿球温度計を取付けてある。なお、図8及び後記図9〜1
2の実施態様では、乾球温度計又は相対湿度計11及び湿球温度計12等の検出器の図示
を省略してある。
【0020】
図9は、第3実施態様を示すもので、縦形円筒形通路の上部に小屋根を設けた冷房装置を駅ホーム21の屋根22に設置した状態の正面図である。屋根22の上に冷房装置を
設置するには、数個の開口を設けた屋根22にそれぞれ縦形円筒形通路7を縦置きする。
各各円筒形通路7の上端に雨除け用の小屋根29を設けると共に、円筒形通路7の上縁を
切り欠いて外気取入口30を形成させる。各円筒形通路7の内部には図1と同じ構成のノ
ズル組立体8、ファン10を配置してあるので、装置の運転により外気取入口30からの
空気は縦形円筒形通路7内の水噴霧により加湿調整された空気の吹出によって駅ホーム2
1領域のスポット冷房を行うことができる。
【0021】
図10は本発明の実施形態4を示すもので、横置き式冷房ユニット(装置)を鉄道駅ホ
ームに設置した場合の正面図である。この装置は、一端が開口され、かつ噴霧水が蒸発す
るに十分な距離を有する円筒形通路28の他端近くに下向きに開口された吹出口28aを
形成させる。円筒形通路28の内部には図1と同じ構成の噴霧ノズル8、ファン10が横
方向に配置してあるので、装置の運転により外気取入口からの空気は円筒形通路28内の
水噴霧により加湿調整された空気の吹出によって駅ホーム21領域のスポット冷房を行う
ことができるため、天井高さが低いところに設置するのに適している。
【0022】
次に、第5実施形態について説明する。図11は二重壁構造とした冷房ユニット(装置)の拡大断面図。図12は図11の装置を鉄道駅ホームに設置した場合の正面図である。
ファン10で送られる風の方向と噴霧方向とは対向しており、円筒形通路25は、上端
より外気取入口7a、ファン10、ノズル組立体8、吹出口7bの順に配置される。ノズ
ル組立体8は、円筒形通路25内の中心位置のノズル8aと、同心円上に配置した複数個
のノズル8bとで構成される。円筒形通路25である円筒通路の外周に、前記円筒形通路
の吹出口7bに近づくほどその断面を小さくした逆円錐筒形の誘引カバー26を配置して
二重壁構造とし、円筒形通路25から吹出される高速空気に接して逆円錐形誘引カバー2
6の前記逆円錐筒の断面積が小さい側端部である吹出口側の空気圧低下により、前記逆円
錐筒内の空気、ひいては前記断面積が大きい側端部近傍の空気を積極的に誘引し、これに
より水滴を含んだ中央の空気を効果的に撹拌しながら加湿空気を噴出す。このように噴霧
助走距離を短くしてあるため、図13に示すように駅ホーム22など天井高さが低い建屋
に設置するのに適している。なお図中、24は冷房装置、27はノズル組立体8の支持金
物である。
【0023】
図13は、本発明の第1から第5の実施形態の制御・計装を示す図である。冷房装置1
は、図1と同じく上方に外気取入口7a、下方に吹出口7bを形成して両端が開口された
縦置き形の円筒形通路7内にノズル組立体8を配置し、円筒形通路7の外気取入口近くの
側壁に乾球温度計又は相対湿度計11と湿球温度計12とを配置すると共に、所定区間S
より下流の円筒形通路7内に整流板9と吹出用ファン10を設けて吹出口7aから冷風が
供給されるようにしてある。他の構成は図1と同様である。
乾球温度計又は相対湿度計11及び湿球温度計12の測定値は、信号線11a、12a
を通じ演算部13に入力し図1の例と同じく、演算処理した後、温度調節計TIC14を
経て、信号線14a、14bを介してイーイ、ローロを各々接続し、オンオフ信号にてオ
ンオフ弁34a、34bを制御する。
一方、温度調節計TIC14から取り出した信号線14cをコントローラ33に挿入し、ライン33a、スイッチSW2を介してファン10の発停を行う。また、ライン33bにてスイッチSW1を制御し高圧ポンプ5を発停する。高圧ホース6の先端に分岐配管6sを接続し、分岐配管6sから2つに分かれた第1配管系統6a、第2配管系統6bにそれぞれ設けたオンオフ弁34a、34bに、前記温度調節計TIC14の出力線を接続して中心ノズルと複数の周囲ノズルの水噴射量を制御する。
【0024】
図14は、本発明の第6実施形態の配置図を示すもので、ノズル組立体8のノズル組を
多く設けたてものである。図13における高圧ホース6の先端近くに枝管32を設けて、
ノズル組立体8の中心ノズルと、2群に分けた周囲のノズルとをそれぞれ接続すると共に、各枝管32にそれぞれオンオフ弁34a、34b、34cを配置する一方、温度調節計TIC14からの信号線14aにセレクタ31を設け、ライン31a、31b、31cを介して前記オンオフ弁34a、34b、34cのオンオフを制御してオンオフ弁に接続するセレクタ31からの複数のライン(信号線)31aにより各電磁弁(オンオフ弁)からの信号線31d、スイッチSW1を介してポンプ5のオンオフを制御すると共に、信号線31a、31b、31cにより各オンオフ弁34a、34b、34cの開閉を制御して、中心ノズルと、2群に分けた周囲のノズルとで3群に分けたノズル組立体8の水噴射量を調整して最適な水噴射を制御する。このように、温度調節計TIC14によって演算処理された出力はセレクタ31によって各オンオフ弁に選択的に出力されるので、水噴射ノズル組立体8の中心ノズルと、2群に分けた周囲のノズルとの水噴射量を調整して最適な水噴霧を制御することが可能となった。
【0025】
本発明の第6実施形態の制御作用を図15A(制御の前半)と図15B(同制御の後半)で示したフローチャートに基づいて説明する。
前述したように、取り入れた空気を相対湿度100%まで加湿することを考えると、水
噴霧ノズルから噴霧される水は気化しきれずに結露して、円筒形通路7の内壁などから結
露水が垂れて悪影響があるので、装置から排出される冷風の相対湿度が80%程度となる
ように加湿する。
例えば、1日の始業時間であるスタートにおいて、本装置の電源が入れられると、図1
5Aに示すように、まず、乾球温度・湿球温度の検出、又は湿球温度・相対湿度の検出が
行なわれる(ステップST1)。その後、(演算部13において湿球温度と相対湿度とか
ら演算乾球温度を演算)演算部で乾球・湿球温度差(実際温度差)を演算(ステップST2)し、乾球温度が運転設定温度より高いか否かを判別(ステップST3)し、NOの場
合にはファンを停止(ステップST4)してステップST1にもどる。ステップST3で
測定値が例えば25℃のような運転設定温度を超えるか否か(ST3)を判別し、NOの
場合にはそのままファンを停止(ステップST4)してステップST1に戻る。ステップ
ST3でYESの場合には、実際温度差が第1設定温度差(例えば5℃)より大きいか否
か(ST5)を判別し、NOの場合にはステップST1に戻り、YESの場合には、フア
ン10を運転し(ST6)、ポンプ5を運転し(ST7)、第1オンオフ弁を開き(ST
7a )、乾球温度・湿球温度の検出、又は湿球温度・相対湿度の検出(ステップST8)
の後、(演算部13において湿球温度と相対湿度とから演算乾球温度を演算)演算部で乾球・湿球温度差(実際温度差)を演算(ステップST9)して図15Bに移行する。
【0026】
続いて図15Bに示すように、乾球温度が運転設定温度より高いか否か(ST10)を
判別する。ステップST10でYESの場合には、実際温度差が第2設定温度差(例えば3℃)より大きいか否か(ST14)を判別し、ステップ10でNOの場合には、第1オ
ンオフ弁閉止(ST11)、ポンプ停止(、ファン停止(ST13)を経てステップST
1に戻る。また、ステップST14でYESの場合にST12)は、実際温度差が第3設
定温度差(例えば6℃)より大きいか否か(ST17)を判別して第2オンオフ弁を開き(ステップST19)、NOの場合には、第2オンオフ弁を閉止(ST18)してステッ
プST1に戻る。
第2オンオフ弁開き(ステップST19)の後、タイマ設定時間到達かどうかを判別(
ST20)し、ステップST20でNOの場合にはステップST1に戻り、YESの場合
には第2オンオフ弁を閉止(ST21)、第1オンオフ弁閉止(ST22)を行ってポン
プ停止(ST23)、ファン停止(ST24)でエンドとなる。なお、ステップST15
はタイマ設定で行い、又スタートも場合によってタイマの設定で行ってもよいが、図6B
と同様、例えば、ディリータイマにて運転時間を9:00〜17:00とし、この時間内
であれば運転し、それ以外であれば停止とする。
【0027】
次に、第7実施形態について説明する。図16は冷房ユニットの拡大断面図である。
この実施形態は、一方に外気取入口7a、他方に吹出口7bを形成した横置きの加湿空気創成用の円筒形通路7内に、吹出口側に向かって吹出口近傍に噴霧する水噴射ノズル組立体を配置し、ノズルの噴霧方向とファンにより搬送される空気流れとが並向するように円筒形通路内の外気取入口側にファン10と整流板9とを設け、外気取入口近くの通路側壁に乾球温度計又は相対湿度計11の何れか、及び湿球温度計12を配置し、乾球温度計又は相対湿度計11の何れか、及び湿球温度計12の検出値に基づき、ノズル組立体8の噴霧水量を制御して吹出口7bから冷風を供給するようにした冷房装置である。この装置によれば、下向きのノズル噴霧により、送風にうまく水滴が乗りやすく、空気流れに同伴中に水滴が気化しやすく、円筒形通路7の内面に水滴が付着し難いので、水滴落下を起こすことがない。
【0028】
以上のように、従来の装置では、霧が白濁する区間で作業性が落ちる。空気と水とを
分離するためのエリミネータが必要であり、また噴霧余剰水が装置内に溜り雑菌、細菌
が発生し衛生面で問題があったが、本発明ではファンの吹出側にダクト等を設けずに視
認性を改善すると共に、エリミネータ等の水切板を用いずに冷風のみを搬送することで
必要な水量だけ噴霧し余剰水を発生させない。その結果、霧により視認性をなくし、長
時間冷風に晒されても濡れや吸湿などの悪影響を解消できる。また、エリミネータ等を
用いずに雑菌、細菌の元となる余剰水の発生を防ぐばかりか、冷却に必要な水量だけを
装置に供給するので省エネ化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明冷房装置の第1実施形態の配置図。
【図2】図1におけるノズル組立体の配置を示すもので、(a)は縦断側面図、(b) は同上側面図のA―A線における平面図。
【図3】図2のノズルの拡大斜視図であって、(a)はT形汎用継手の中央にノズルピースを設けたもの、(b)はT形汎用継手の中央に屈曲継手を介してノズルピースを設けたものを示す。
【図4】本発明において湿球温度計と乾球温度計で検出し湿り空気線上にプロットして噴霧前の取入れ外気の湿度を測定する模様を示す線図。
【図5】本発明において湿球温度と相対温度から取入れ外気の湿度を検出する様子を示すもので、(a)は湿球温度の検出、(b)は相対温度の検出(c)は前記湿球温度と相対温度とを湿り空気線上にプロットして湿度を測定する模様を示す線図。
【図6A】本発明の第1実施形態のフローチャートで制御の前半を示す。
【図6B】図6Aに続くフローチャートで制御の後半を示す。
【図7】本発明冷房装置の第2実施形態を示すもので、(a)は各部の配置図、(b)は同上配置図のB−B線における断面図。
【図8】図7に示す装置を大空間の天井部に設置した状態の正面図。
【図9】縦形円筒形通路を備えた冷房装置の円筒形通路上部に小屋根を設けてなる冷房装置を鉄道駅ホーム屋根に設置した状態を示す正面図。
【図10】本発明の第3実施形態である横置き式冷房装置を鉄道駅ホーム天井近くに設置した場合の正面図。
【図11】本発明の第4実施形態である二重壁式冷房ユニットの拡大断面図。
【図12】図11の冷房ユニットを鉄道駅ホームに設置した状態の正面図。
【図13】本発明の第5実施形態の配置図。
【図14】本発明の第6実施形態の配置図。
【図15A】本発明の第6実施形態のフローチャートで制御の前半を示す。
【図15B】図15Aに続くフローチャートで制御の後半を示す。
【図16】本発明の第7実施形態の配置図。
【符号の説明】
【0030】
1 冷房装置 2 給水管
2a 水フィルタ 3 水タンク
4 送水管 4a 枝管
5 高圧ポンプ 6 高圧ホース
7 円筒形通路(加湿空気創成通路) 7a 外気取入口
7b 吹出口 8 ノズル組立体
9 整流板 9a ブレード
10 ファン 11 乾球温度計又は相対湿度計
12 湿球温度計 11a、12a 信号ライン
13 検出部 14 調節部
15 継手(T形汎用継手) 15a 枝管
16 特殊継手 17 ノズルヘッド
18、19 検出器取付部 20、22 駅ホーム屋根
21 駅ホーム 23 取付孔
24 冷房装置 25 円筒
26 誘引カバー 27 支持金物
28 横置き円筒 29 小屋根
30 空気取入口 31 スイッチ
31 セレクタ 32 分岐管
34a,34b,34c オンオフ弁 40 インバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方に外気取入口、他方に吹出口を形成した縦置又は横置きの円筒形もしくは矩形筒形
の加湿空気創成用通路(以下円筒形通路という)内に前記外気取入口側に向かって噴霧す
る少なくとも1つの水噴霧ノズル又は複数の水噴霧ノズルを備えたノズル組立体を配置し、
前記ノズルの噴霧方向とファンにより搬送される空気流れ方向とが対向するよう前記円
筒形通路の下流にファンを設け、
前記外気取入口近くの円筒形通路側壁に乾球温度計又は相対湿度計のいずれかと湿球温
度計とを配置して、
前記乾球温度計又は相対湿度計のいずれかと前記湿球温度計の検出値に基づき前記ノズ
ル組立体の噴霧水量を制御して前記吹出口から冷風を供給するようにしたことを特徴とす
る冷房装置。
【請求項2】
一方に外気取入口、他方に吹出口を形成した縦置又は横置きの円筒形もしくは矩形筒形の加湿空気創成用通路内に前記吹出口側に向かって噴霧する少なくとも1つの水噴霧ノズル又は複数の水噴霧ノズルを備えたノズル組立体を配置し、
前記ノズルの噴霧方向とファンにより搬送される空気流れ方向とが並向するよう前記円筒形通路の上流にファンを設け、
前記外気取入口近くの円筒形通路側壁に乾球温度計又は相対湿度計のいずれかと湿球温度計とを配置して、
前記乾球温度計又は相対温度計のいずれかと前記湿球温度計の検出値に基づき前記ノズル組立体の噴霧水量を制御して前記吹出口から冷風を供給するようにしたことを特徴とする冷房装置。
【請求項3】
前記ノズル組立体は、前記円筒形通路の空気流れに直交した断面内の中心位置に1個及
び前記断面より小さい同心円上に複数個の水噴霧ノズルを備え、又は同心円上のみ複数個
の水噴霧ノズルを備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷房装置。
【請求項4】
前記ファンは軸流型ファンであり、該ファンが発生しやすい旋回流を防いでファンの持
つ静圧を有効に働かせるために、前記円筒形通路内の水噴霧ノズル組立体と前記ファンと
の間に整流板を設けたことを特徴とする請求項1又は3に記載の冷房装置。
【請求項5】
前記同心円上に設置した各水噴霧ノズルは、前記円筒形通路の壁面にかかった噴霧水が
結露してボタ落ちするのを防ぐために、ノズル先端部を円筒形通路の中心軸に対し所定の
角度傾けて取付けた、ことを特徴とする請求項3に記載の冷房装置。
【請求項6】
前記円筒形通路の外周に、前記吹出口に近づくほどその中心軸直交断面を小さくした逆
円錐筒を配置して二重壁構造とし、
前記吹出口から吹出される高速空気に接することで前記逆円錐筒の前記断面積が小さい
側端部の空気圧が低下することにより、前記逆円錐筒内の空気ひいては前記断面積が大き
い側端部近傍の空気を積極的に誘引して断面積が小さい側端部から吸い出すことで、
前記吹出口から吹出す中央の空気と前記断面積が小さい側端部から流れる空気とを前記
吹出口近傍で混合攪拌し噴霧水の蒸発を促進することにより前記円筒形通路の長さを短く
して天井高さが低い建屋に設置するのに適するようにした、ことを特徴とする請求項1乃
至5のいずれか1つの項に記載の冷房装置。
【請求項7】
前記ノズル組立体は高圧ポンプに接続され、前記乾球温度計の指示値と前記湿球温度計
の指示値との実際温度差を演算し、所定の第1設定温度差と実際温度差とを比較して実際
温度差が大きければ、前記ファンを起動し、前記各水憤霧ノズルに水を供給する高圧ポン
プを運転し、
別に設定した所定の第2設定温度差と実際温度差とを比較して該第2設定温度差が大き
ければ前記高圧ポンプを停止し、その後前記ファンを停止することを特徴とする請求項1
乃至6のいずれか1つの項に記載の冷房装置。
【請求項8】
前記相対湿度計の指示値と前記湿球温度計の指示値とから外気の乾球温度を演算したの
ち、演算乾球温度と湿球温度指示値との実際温度差を演算し、所定の第1設定温度差と実
際温度差とを比較して実際温度差が大きければ、前記ファンを起動し、前記各水憤霧ノズ
ルに水を供給する高圧ポンプを運転し、
別に設定した所定の第2設定温度差と実際温度差とを比較して該第2設定温度差が大き
ければ前記高圧ポンプを停止し、その後前記ファンを停止することを特徴とする請求項1
乃至6のいずれか1つの項に記載の冷房装置。
【請求項9】
前記乾球温度指示値又は前記演算乾球温度が、運転設定温度より高ければ前記実際温度
差の比較に進み、運転設定温度より低ければ前記ファン及び高圧ポンプを停止することを
特徴とする請求項6または7に記載の冷房装置。
【請求項10】
前記円筒形通路の空気流れに直交した断面内の中心に位置する1個の水噴霧ノズルを備
える第1配管系統と、前記断面より小さい同心円上に備えられた複数個の水噴霧ノズルと
を受け持つ第2配管系統とを有し、各配管系統に第1オンオフ弁及び第2オンオフ弁を設
け、前記第1設定温度差と実際温度差とを比較して第1設定温度差が大きくなれば前記第
1オンオフ弁を開け、前記第2設定温度差と実際温度差とを比較して第2設定温度差が大
きければ該第1オンオフ弁を閉止し、別に設定した所定の第3設定温度差と実際温度差と
を比較して実際温度差が大きければ第2オンオフ弁を開け、第3設定温度差と実際温度差
が大きくなれば該第2オンオフ弁を閉止することを特徴とする請求項7または8に記載の
冷房装置。
【請求項11】
前記断面より小さい同心円上に備えられた複数個の水噴霧ノズルを受け持つ第2配管系
統を、さらに水噴霧ノズルの組毎に分割して分割数+2の数の配管系統を設け、各配管系
統に第(分割数+2)オンオフ弁をそれぞれ設け、別に設定した所定の第(分割数+3)
設定温度差と実際温度差とを比較して実際温度差が大きければ第(分割数+2)オンオフ
弁を開け、第(分割数+3)設定温度差が大きくなれば前記第(分割数+2)オンオフ弁
を閉止することを特徴とする請求項9に記載の冷房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−175520(P2008−175520A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327535(P2007−327535)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】