説明

処理対象物の処理方法と処理装置

【課題】処理容器外の処理対象物を処理容器内に取り込んでこれを物理的処理および/または化学的処理するための方法や装置について、イニシャルコストやランニングコストを低減させることのできる技術を提供する。
【解決手段】作業ヤード11において、処理対象積層物12Bにおける処理対象物12Aを物給機械2で取り込んで上昇させ、それを物給機械21で処理機械31の処理容器35内へと投入して処理する。この処理で生じた処理済物12Cを処理機械31外に排出して処理済積層物12Dを作業ヤード11に形成する。これらの作業時に物給機械21と処理機械31とを処理対象積層物12Bに沿って移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種の処理対象物を物理的および/または化学的に処理するための技術手段に関し、より詳しくは、処理容器外の処理対象物を処理容器内に取り込んで所要の処理を合理的に行うための方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設をはじめとする各種の技術分野において、種々の原材料を使用目的に沿う形で処理することは周知である。この場合に行われるのは、物理的処理か化学的処理またはその両方である。建設分野での物理的処理の代表例をいくつかあげると、それは破砕・攪拌・混合などである。一方で化学的処理としては、現地発生土に土質改良材を加えてこれを改良したり、汚染土壌に中和剤などを加えてこれを浄化したりすることが行われている。その他、殺菌や乾燥を目的として処理対象物に熱を加えるとか、また、処理対象物を湿潤させるために水分をとかいうことも行われている。建設分野以外で行われている各種の処理もおおむね物理的処理であったり化学的処理であったりその両方であったりする。
【0003】
建設分野とその関連分野における既述の処理については、処理対象物の処理を容器内で行うことが提案されて以来、これが現在も広く実施されている。なかでも上部に入口、下部に出口、入口と出口との間に処理部を有する筒状処理容器を用いるものの場合は、処理対象物の重力落下を有効利用しつつこれの処理が行うことができるので、望ましい処理技術であるといえる。
【0004】
ちなみに処理対象物を容器内処理する技術のうちで、建設技術関連のものとしては、下記特許文献1〜5にみられるものがある。このうちで特許文献1〜4のものには、高速水平回転するインパクタが処理容器内に装備されている。したがって特許文献1〜4に開示されているものの場合は、処理容器内を重力落下する処理対象物が、高速水平回転するインパクタからの打撃エネルギを受けながら処理されることとなる。これに対し特許文献5のものには、処理対象物の落下方向を変換させるための傾斜した邪魔板が処理容器内に多段に装備されている。したがって、特許文献5の技術で処理容器内を重力落下する処理対象物の場合は、各段の邪魔板と衝突するごとに方向変換による攪拌混合を受けて物理的に理されることとなる。これらの文献記載技術は、処理容器を中心にした処理機械に局限するとき、その文献に記載されているところの成果が認められるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−263424号公報
【特許文献2】特開2000−073333号公報
【特許文献3】特開2005−279613号公報
【特許文献4】特開2005−296903号公報
【特許文献5】特開2001−182094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1〜5に開示されたそれぞれの技術には、下記<01>〜<05>のような課題が残されている。
<01> 建設現場やこれに類した場所での実施を想定した場合、主要設備のほとんどを現場に据え付け固定しなければならない。これは組み立て分解や運搬などを含む事前の準備と事後の設備撤去に際して、時間・労力・費用などを大きく裂かねばならないということである。
<02> 処理設備は個々の現場に対応して組み立てられるものであるから汎用性が欠除している。それに互いに類似した二つの現場がごく近接していたとしても、設備の組み立て状態を保持したままこれを一方の現場から他方の現場へ移すことはできず、現場が変わるごとに組み立てと分解を余儀なくされる。したがって、それぞれの現場へ設備を移すことも不合理にならざるを得ない。
<03> 処理容器を主要部とする処理機械については、櫓を構築するなどしてこれを安定に据え付けなければならないから、櫓構築などにかなりの費用を要することとなる。一方において、処理容器の上部から処理容器内へと投入する処理対象物は、そのための手段として昇り勾配型のベルトコンベアが必要になり、かつ、処理容器の下部に堆積する処理済積層物も、ベルトコンベアを介してここから他所へと搬出することが不可欠になるものである。これらの場合、昇り勾配型のベルトコンベアは高価な櫓を構築して据え付けなければならないし、処理済積層物搬出用のベルトコンベアも応分の費用をかけて安定に設置しなければならないから、それがコストアップ要因になる。その結果、処理機械や両ベルトコンベアなどのミニマム設備だけでもイニシャルコストが相当嵩むものとなる。
<04> この種の処理作業では、一種類の処理対象物だけを処理容器内に入れて処理することが少なく、多くのケースでは二種類以上のものが同時処理される。建設分野での具体的一例をあげると、現地発生土とその土質改良材とが混合処理されるというものである。このケースのときは、現地発生土や土質改良材のそれぞれに供給コンベア・計量機などが必要になり、さらに、この両者を合流させて処理容器内に送り込むための昇り勾配型ベルトコンベアが必要になるから、設備コストが一段と増大する。他にも、これに付帯してブルドーザやバックホウなども配備しなければならないから、設備コストは増大する一方となる。もちろんかかる費用は、処理対象物の種類が増えるにしたがいアップする。
<05> 既成の処理技術については上記のとおり、大掛かりで巨額の設備を要するものであり、こうした設備には作業員も多く要することとなる。したがって既成の処理技術では、イニシャルコストの増大を抑制するのが困難である。既成の処理技術は、また、動力を要する機械類が多いためにランニングコストも高額になるものである。さらに、多くの機械類を用いるために連係作業も多くなり、それが合理的な作業の阻害要因になるから処理に要する日数が多くなる。それに大掛かりな設備であれば、これの構築や撤去にも多くの日数を要することとなる。これはイニシャルコストやランニングコストに多くの費やしたしたにもかかわらず、処理日数(工期)の短縮がはかれないという不本意な結果を招来することになりかねない。
【0007】
本発明はこのような技術課題に鑑みなされたものである。すなわち本発明は、処理容器外の処理対象物を処理容器内に取り込んで所要の処理を行うための方法や装置において、処理作業の簡易化・処理作業の合理化・処理作業の安定性・処理作業の安全性・省スペース・システム構成の簡潔性・保守点検の容易性・設備の移動性・処理精度の維持・設備の低価格・低運転費などを満足させることのできる技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る処理対象物の処理方法ならびに本発明に係る処理対象物の処理装置は、所期の目的を達成するための手段として、下記<11>〜<24>のような技術内容を特徴とするものである。
<11> 処理対象物が重力落下する過程でその処理対象物を処理すること、および、
処理対象物に対する処理が物理的処理と化学的処理とのうちから選択される一つ以上であること、および、
処理対象物を処理するための手段として、処理容器の上部の入口を有し、処理容器の下部に出口を有し、かつ、処理容器における入口と出口との間に処理部を有する処理機械を用いること、および、
処理容器外の処理対象物を取り込んで処理容器内に供給するための手段として物給機械を用いること
を前提とする処理対象物の処理方法において、
物給機械と処理機械とのうちのから選択された一つ以上の機械が自走機能をも有する自走式ものであること、および、
処理機械による処理作業を開始する前に、処理対象物の積層物からなる処理対象積層物を作業ヤードに形成しておき、その作業ヤードにおける処理対象積層物の近傍に、処理機械と物給機械とを隣接状態で配置しておくこと、および、
処理機械による処理作業を開始したときには、処理対象積層物における処理対象物を物給機械で取り込んで上昇させ、それを物給機械で処理機械の入口から処理機械の処理容器内へと投入し、かつ、その投入された処理対象物を処理機械の処理部で処理しするとともに、この処理で生じた処理済物を処理機械の出口から処理容器外へと排出して処理済物の積層物である処理済積層物を作業ヤードに形成すること、および、
処理対象物の処理を継続するための作業として、処理対象積層物からの処理対象物の取り込み上昇と処理容器内への処理対象物の投入と処理容器処理部での処理対象物の処理とをそれぞれ繰り返し行うこと、および、
この繰り返し作業にともなって生じる処理対象積層物の減少や処理済積層物の成長に対応たせるための並行作業として、物給機械を処理対象積層物の減少方向へシフトさせて物給機械と処理対象積層物との相対間隔を調整すると同時に処理機械も物給機械と同方向へシフトさせて処理機械と処理済積層物との相対間隔を調整すること
を特徴とする処理対象物の処理方法。
<12> 作業ヤードの処理対象積層物として、二種以上の処理対象物を複数段に積層するとともに、その積層状態のものを直線状に延長して長い隆起状に形成しておく上記<11>に記載された処理対象物の処理方法。
<13> 処理機械として、水平回転式のインパクタが処理容器の処理部に装備されているものを用いる上記<11>または<12>に記載された処理対象物の処理方法。
<14> 処理機械として、処理対象物の落下方向を変換させるための傾斜した邪魔板が処理容器の処理部に多段に装備されているものを用いる上記<11>または<12>に記載された処理対象物の処理方法。
<15> 物給機械と処理機械とのうちのいずれか一方が自走式のものであるとともに、その他方が下部に走行具が取り付けられているものであり、この物給機械と処理機械とを連結状態にしてそれをシフト移動させる上記<11>〜<14>のいずれかに記載された処理対象物の処理方法。
<16> 物給機械として揺動自在なブームやそのブームの先端にバケットを有する自走式のものを用い、その自走式物給機械で処理機械を牽引しながら物給機械と処理機械とをシフト移動させる上記<11>〜<14>のいずれかに記載された処理対象物の処理方法。
<17> 処理機械および物給機械として、この二つの機械が連結手段で連結されて隣接状態にあるものを用いる上記<11>〜<16>のいずれかに記載された処理対象物の処理方法。
<18> 処理機械および物給機械として、この二つの機械が単一の自走式車両に装備されているものを用いる上記<11>〜<16>のいずれかに記載された処理対象物の処理方法。
<19> 上記<11>〜<18>のいずれかに記載された処理対象物の処理方法に用いための処理装置において、
処理対象物の積層物からなる処理対象積層物が形成された作業ヤードで処理対象積層物の近傍に配置されるもの、かつ、その処理対象積層物から取り込んだ処理対象物を重力落下させつつその処理対象物を物理的処理および/または化学的処理するためのものであって、処理容器の上部に入口、処理容器の下部に出口、処理容器における入口と出口との間に処理部をそれぞれ有する処理機械と、同じく、作業ヤードにおいて処理対象積層物の近傍に配置されるもの、かつ、処理対象積層物における処理対象物を取り込み上昇させてそれを処理機械の入口から処理機械の処理容器内に投入するためのものであって、処理対象物の運搬機構を有する物給機械とを備えていること、および、
物給機械と処理機械とのうちの一つ以上が自走式のものであること、および、
物給機械と処理機械とが互いに隣接して配置されているとともに、物給機械と処理機械とが連結と非連結とのうちのいずれか方式で作業ヤードを走行可能なものであること
を特徴とする処理対象物の処理装置。
<20> 処理機械が、処理容器の処理部に水平回転式のインパクタを装備したものからなる上記<19>に記載された処理対象物の処理装置。
<21> 処理機械が、処理容器の処理部に処理対象物の落下方向を変換させるための傾斜した邪魔板を多段に装備したものからなる上記<19>に記載された処理対象物の処理装置。
<22> 物給機械と処理機械とのうちのいずれか一方が自走式のものであるとともに、その他方が下部に走行具が取り付けられているものであり、この物給機械と処理機械とが連結されている上記<19>〜<21>のいずれかに記載された処理対象物の処理装置。
<23> 物給機械が、揺動自在なブームを有するとともにそのブームの先端にバケットを有する自走式のものからなり、その自走式物給機械により処理機械が牽引されるものである上記<19>〜<21>のいずれかに記載された処理対象物の処理装置。
<24> 物給機械と処理機械と単一の自走式車両に搭載されている上記<19>〜<21>のいずれかに記載された処理対象物の処理装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る処理対象物の処理方法ならびに本発明に係る処理対象物の処理装置は、下記<31>〜<41>のような効果を有する。
<31> 主たる処理作業は、処理対象物による処理対象積層物をあらかじめ作業ヤードに形成した後、処理対象積層物ところから処理対象物を物給機械で取り込んでこれを処理容器内に投入し、この取り込み投入を繰り返すというものである。これに並行する作業としては、物給機械と処理機械とを所定方向へ移動させるだけである。いずれの作業も格別の難度はない。ゆえに処理作業の簡易化が確立している。
<32> 自走式の物給機械は、既成のものでまかなえるので組み立てることを要しないし、適時これのメンテナンスを行うことで、定常的に使用することができるものである。処理機械についても一般的な機械類と同様、組み立ての完成したものをそのまま継続して使用することができる。したがって、使用時の搬入組み立てや使用後の分解運搬撤去など、これまでのような不合理がほぼ全面的に解消する。もちろん長期にわたる主要処理作業の実施・続行・継続なども、それぞれ取り扱いの容易な物給機械や処理機械がありさえすればよく、それも物給機械側に一名の作業員をあてがうことで当該作業の実行が可能であるから、総じて、工期短縮をすることができ、処理作業を大幅に合理化することができる。
<33> 既成のものでまかうことのできる物給機械は、もともと安定仕様でつくられているものである。処理機械にしても自立できないほど不安定なものではない。それに作業ポジションの変更にともなうシフトに際して、双方の機械を連結状態にしてシフトさせることができる。こうして連結したときの双方の機械は他方の機械に依存して安定性を増す。ゆえに処理作業の安定性については、隣接する機械相互を利用することで容易に確保することができる。
<34> 処理作業は上記のように安定して実施することができる。それに従来技術に比して使用する機械の数が圧倒的に少なく、これとともに作業員の数もきわめて少ない。これは機械の数や作業員の数が少ない上に作業の安定実施が行えるのであるから、機械事故や人身事故の潜在的要因(発生原因)が大幅に減少することとなり、これと潜在的的に安全性が向上することとなる。
<35> 主要な処理作業は物給機械や処理機械といった少数の機械で行える。もちろんこれに際して、ベルトコンベアのような長大な架構設備は要しない。したがって設備面での省スペースをはかりながら所要の作業を実施することができる。
<36> 物給機械については処理対象物の取り込み投入機能があればよく、これに自走機能を望む場合でも既成のものでまかなえる。処理機械についても、処理対象物の重力落下が可能な処理容器を主体にしたものでよく、きわめてシンプルである。主要な設備として、この二つを組み合わせたものがあればよいから、システム構成が簡潔になる。
<37> 既成のものでまかなえる物給機械などは、これまでどおりの保守点検でよく、それをこれまでどおりに容易に行うことができるものである。処理機械も処理容器内部の消耗品チェックが主たる点検内容になる。したがって主要設備の保守点検が容易に行える。
<38> 物給機械や処理機械は少なくともその一方に自走機能がある。したがって双方の機械を連結することで一つの作業現場から他の一つの作業現場へと移動することができるものである。このような設備の移動性によるときは、処理作業を要する現場が同一エリアや近隣のエリアで経時的に発生するとき、一組の設備でそれぞれの現場に順次対応できるようになる。したがって一組の設備であっても、それを有効活用して複数の現場に応ずることができるものとなる。
<39> 複数の処理対象物であってその配合割合が定められているものについては、計量機で秤取りした後の各処理対象物を処理容器に投入して処理するのが一般である。とはいえこのような計量方式を採用するときは、高価な計量機を要するとともに計量のための労力や時間を裂かねばならない。これに対し、処理対象物の積層物からなる処理対象積層を作業ヤードに形成するというときは、それぞれ処理対象物を積層状態にし、その積層状態のもの(処理対象積層物)を所定の方向から一定量切り取ることで、当該切り取りによる各処理対象物が一定割合になるものである。このように、複数の処理対象物を積層して積層状態の処理対象積層物をつくり、そこから切り取った複数の処理対象物を処理容器に投入して処理するというときは、各処理対象物の配合割合を所定どおりに維持することができるようになる。すなわちこれは、計量のために設備・労力・時間を費やしていた複数の処理対象物について、その種の計量を省略しながらも処理精度を維持することができるのであるから、この計量工程の省略にともなう時間的メリットや経済的メリットが大きいものになる。
<40> 設備のために必要な装置ないし機器は物給機械や処理機械、それと作業ヤードの処理対象積層物を積層形成するための機械である。これは装置や機器などの面からみた設備数が少ない上に、櫓などの付帯構造物も要しないのである。もちろんこれらの少数設備は反復使用できるものである一方、使用のたびごとに消耗部品が頻発するというものでもない。したがって、大型装置や機器を多く要する従来技術と比較した場合、設備面からみたイニシャルコストを大幅に低減することができる。
<41> 上記のように効率化をするはかることで設備規模を圧縮したので、少数の装置なし機械を運転するだけでよいものとなる。これは省エネルギや省力化に通じるとともに、操業面や運転面からみたランニングコストも大幅に低減することができるものである。
<42> とくに単一の自走式車両に物給機械と処理機械とを搭載装備したものはコスト削減効果がより大きななる。したがって、コスト削減効果を方法や装置に十分反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明方法や本発明装置の一実施形態を略示した一部切り欠き状態の側面図である。
【図2】図1の実施形態における平面図である。
【図3】図1の実施形態おける処理機械の要部を略示した拡大断面図である。
【図4】図1の実施形態おける処理機械の要部を略示した拡大平面図である。
【図5】図1〜図4に示された処理機械に適用できる部品の説明図である。
【図6】本発明方法や本発明装置における処理機械について他の例を示した要部断面図である。
【図7】本発明方法や本発明装置における自走式物給機械について他の例を示した要部断面図である。
【図8】本発明方法や本発明装置について、上記以外の実施形態を略示した側面図である。
【図9】本発明方法や本発明装置における処理機械について、前例と異なるものを略示した縦断面図である。
【図10】図9に略示した処理機械の横断面図である。
【図11】図9・図10に略示した処理機械の変形例を示した要部横断面図である。
【図12】本発明方法や本発明装置における処理機械について、前例と異なるものを略示した要部縦断正面図である。
【図13】図12に略示した処理機械の要部縦断側面図である。
【図14】図12・図13に略示した処理機械の要部横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る処理対象物の処理方法ならびに本発明に係る処理対象物の処理装置について、これらの実施形態を添付の図面に基づき説明する。
【0012】
図1〜図4において、11は処理作業の実施場所である作業ヤード、12Aは処理対象物、12Bは処理対象積層物(処理対象物12Aの積層物)、12Cは処理対象物12Aの処理済物、12Dは処理済積層物(処理済物12Cを積層物)をそれぞれ示し、21は自走式の物給機械、31は処理機械、61は物給機械21と処理機械31とを連結するための連結手段をそれぞれ示す。
【0013】
作業ヤード11の場合、たとえば現地発生土(処理対象物12Aの一種)などの処理を要する建設現場などにあっては、その現場内またはその現場に近接・隣接などして設けられるものである。作業ヤード11については、囲いや覆いのないオープン型式のほか、現場に建て込まれたドーム内に設定されるクローズド型式や、部分的に開放された場所に設定されるセミクローズド型式などがある。建屋のような屋内に設定される作業ヤード11などは、クローズド型式に該当するといえる。クローズド型式の作業ヤード11は、処理対象物12Aに有害な汚染物質が含まれているケースとか、処理の際に薬品その他の化学品を用いるケースとかで採用されることが多い。
【0014】
処理対象物12Aとしては、物理的処理と化学的処理とのうちのいずれか一方または両方を適用するものがこれに該当する。物理的処理については、回転・落下・加圧・変形・打撃・衝突・切断・破壊・破砕・粉砕・攪拌・噴射・混合・分離・分散・分別・集合・合成など、このような概念のうちのいずれか一つ以上に含まれる物理的な仕事内容を指すものである。したがって物理的処理は、これらのうちのいずれか一つ以上の仕事で処理対象物12Aを処理するものが、これに該当する。もちろん物理的な仕事の概念は上記したうちの二つ以上のものが重複するものであってもよい。化学的処理については、処理対象物12Aに対して化学変化を起こさせる処理がこれに該当する。化学的処理には、処理対象物12Aに他の物質を加える場合と処理対象物12Aに他の物質を加えない場合との二通りがあり、また、温度・湿度などの処理雰囲気を調整したりすることもある。処理対象物12Aを加熱および/または冷却する場合は、物理的処理に該当したり、化学的処理に該当したり、または、その両方に該当したりするので、物理的処理と化学的処理との両方に含めてよい。
【0015】
自走式の物給機械21の場合は、主要な機械として走行機械と作業機械とが組み合わされたものである。このうちで走行機械は陸上走行用の車両からなる。かかる走行機械としては、自走手段を有する周知の自動車または周知の電車などがこれに該当する。もちろんこの場合の車両については軌道の有無を問わない。走行機械の代表的一例である自動車のなどは周知のとおりであるが、これについて概略的に説明すると、それはシャシ、エンジンおよび/またはモータなどの走行動力発生装置、その動力を走行部に伝えるための伝動装置、車輪とか無限軌条とかを主体にした走行部、走行用の操縦装置、制動装置、その他の機器や装備品などで構成されているものである。一方で、作業機械の場合は、処理対象物の取り込み・上げ下ろし・方向変換・移動・運搬・投入など多種多様の作業や操作のできるものが望ましく、そのような多機能作業機械が採用されることが多い。この作業機械は後述する実施形態の場合に、作業ヤード11の処理対象物12Aを取り込んでそれを処理機械31内に投入するというもの、すなわち、物給作業を行うものである。それゆえこの作業機械の主たる作業ないし操作の場合は「処理対象物12Aの取り込み」「処理対象物12Aの運搬」「処理対象物12Aの投入」ということになる。かかる走行機能と物給機能とを満たす自走式の物給機械21は既成の機械類にも存在する。その代表的一例は、バックホウである。バックホウは周知のように、油圧ショベルといわれる建設機械のうちで、バケットをオペレータ側向きに取り付けた形態のものである。これについては、無限軌道(あるいは車輪)を備えた走行機械上部においてボディ全体の旋回機能のあることも特徴といえる。バックホウは、後述する本発明の実施形態で採用されることとなる。走行機能と物給作業機能とを兼備した機械の他の一例は、吸引搬送用の真空ポンプが既成車両のシャシ上に装備されているものである。この真空ポンプ利用のものも、後述する本発明の実施形態で採用されることとなる。
【0016】
その他、本発明においては、自走可能な牽引車両に自走機能のない被牽引車両がカプラで連結され、その被牽引車両に作業機械(物旧機械)が搭載されているものも自走式物給機械21の範疇に含まれるものである。
【0017】
処理対象物12Aを物理的および/または化学的に処理するための処理機械31については、つぎのとおりである。この処理機械31を介して行われる物理的処理とは、処理対象物12Aに対して行われる前述の処理、すなわち、回転・落下・加圧・変形・打撃・衝突・切断・破壊・破砕・粉砕・攪拌・噴射・混合・分離・分散・分別・集合・合成などのうちから選択されるいずれか一つ以上のものをいう。また、この処理機械31を介して行われる化学的処理とは、添加物ありの状態または添加物なしの状態において、処理対象物12Aを化学変化させるものをいう。このような処理機械31によるときは、必然的に処理容器35内で所要の処理を行うこととなる。この処理機械31の処理容器35内で所要の処理をすることは、後述する本発明の実施形態で採用される。その際の処理機械31の種類(処理機能)は自明のとおり処理目的に応じて異なるものであり、処理機械31の処理容器35を中心にした構成要素も自明のとおり異なるものとなる。処理容器35には自走機能はないが、これに走行性を付与するための手段を必要に応じて装備させることがある。そのような場合の処理容器35の底部側には、後述のとおり、橇のような滑走式の走行具34が取り付けられたり車輪からなる走行具34が取り付けられたりする。この際の走行具34としては、常設式のもの・脱着式のものなどが適宜選択されて採用される。その他について、周知のアウトリガーが処理容器35に設けられてよいものである。また、走行具とアウトリガーとが処理容器35に併設されてもよいものである。後述の本発明実施形態では、滑走式の走行具が処理容器35の下部(底部)に取り付けられる。
【0018】
物給機械21と処理機械31とを連結するための連結手段61には、二通りのものがある。その一つは、物給機械21と処理機械31とを常時連結状態にしておく固定式連結手段である。他の一つは、物給機械21と処理機械31とを脱着自在にするための脱着式連結手段である。このような脱着式連結手段(連結器)の一例は、たとえば周知品である雌雄一対のカプラであり、その雌カプラ・雄カプラが、物給機械21や処理機械31に分けてそれぞれ取り付けられる。後述の本発明実施形態では、処理機械31とを連結するために固定式連結手段が採用される。
【0019】
つぎに図1〜図3に例示された本発明の実施形態について、これを具体的かつ詳細に説明する。
【0020】
図1・図2において、作業ヤード11は建設現場に設定されているものである。この作業ヤード11に形成されている処理対象積層物12Bは、たとえば現地発生土を主体にしたものであり、その現地発生土を埋め戻し土などに利用するものである。ちなみに現地発生土については、埋め戻し土として利用する上で堅さ・粒度・その他が適さない場合にそれが改良されたりするものである。そのような場合の現地発生土は、破砕混合処理を受けながら土質改良材と均一に混合されたりする。この現地発生土から埋め戻し土を得るときの処理対象物12Aとしては、現地発生土12A1のほか、セメント・石灰などの土質改良材12A2からなる。
【0021】
図1・図2を参照して、作業ヤード11の処理対象積層物12Bが現地発生土12A1と土質改良材12A2とで形成されるときの一例としては、現地発生土12A1と土質改良材12A2とが図示のごとき二層またはそれ以上に積層されて処理対象積層物12Bが形成される。このときの現地発生土12A1・土質改良材12A2は、それぞれ一定の厚さや一定の幅を保持して処理対象積層物12Bの長さ方向に長く積層される。建設現場での作業ヤード11の場合、この種の処理対象積層物12Bはブルドーザ・バックホウ・スクレーパ・その他の建設機械を用いて形成されることが多い。具体的一例として、下位にある現地発生土12A1の[幅×厚さ]が[1m×0.4m]で、上位にある土質改良材12A2の[幅×厚さ]が[0.5m×0.4m]とする。この場合に、処理対象積層物12Bを長さ0.5cmで切り取ったとすると、両者(12A1・12A2)の体積比は[0.2m:0.1m]=[2:1]となる。これは処理対象積層物12Bを所要の長さで切り取った際の両者(12A1・12A2)の比率が許容誤差の範囲内で常に一定になるということである。したがって、処理対象積層物12Bを所要の長さ分で切り取るというときは、計量をせずとも、両者(12A1・12A2)の配合割合を一定に保つことができるようになる。これは、処理対象積層物12Bを三つ以上の材で三層以上の積層物として形成した場合にもいえることである。図1・図2の例では、積層物からなる処理対象積層物12Bが断面台形をしていて突堤のように長く形成されている。これは一例にすぎないものであり、処理対象積層物12Bとしては、直方体形状・立方体形状・ループ型突堤形状(ドーナツ形状のように中心部がない)・円柱形状などであっても構わない。このような形状の場合も、処理対象積層物12Bを切り取るときの向きや切り取り道具いかんで、既述の配合割合を一定に保つことができる。ちなみに建設分野でにおいては、作業ヤード11に形成されるこの種の処理対象積層物12Bをストックパイル(原材料などの貯蔵場所を意味する語)と称している。
【0022】
図1・図2を参照して、自走式の物給機械21と処理機械31とが連結手段61を介して相互に連結されている。この連結状態の「自走式物給機械21と処理機械31」は、作業ヤード11において、処理対象積層物12Bにおける長さ方向の一端部あり、その処理対象積層物12Bの片側(一側面)に配置されている。
【0023】
図1・図2に例示された自走式の物給機械21は周知のバックホウからなる。バックホウからなる自走式の物給機械21は、無限軌条(クローラ)式の走行部22を有する走行機台23に、旋回台24が旋回自在に設けられているものである。この場合の旋回台24はボディの基礎部分に該当するものである。旋回台24の一部には運転室25で囲われた運転席26が設けられている。旋回台24の他の一部には、俯仰自在かつ多段式に屈伸自在なブーム27が設けられているとともに、そのブーム27の先端部には、脱着交換自在なアタッチメントとしてバケット28が取り付けられている。このブーム27は周知のとおり、これに設けられた油圧系機械などを介して操作することができるものである。このほか運転室25は、旋回台24上において、エンジンなどの走行動力発生装置などを内蔵した機関室29と一体に形成されている。
【0024】
図1・図2に例示された処理機械31は図3でも明らかなように、支持脚体32・処理容器35・回転軸40・インパクタ49・電動機55・伝動系59・搬出系60・その他を主体にして構成されているものである。
【0025】
図1〜図3とくに図3を参照して、支持脚体32は縦材(柱)や横材(梁)などで立方体形または直方体形のフレーム構造物として組み立てられたものであり、その構造物で脚に該当する部分の下部たとえば下面には、走行性を付与するための橇状部材からなる滑走式の走具33が取り付けられている。
【0026】
本発明方法や本発明装置の一実施形態について、その全体や部分が図1〜図5に示されている。この図示例のものは自走式の物給機械を介して処理対象物を処理機械31に送り込み、そこで処理された被処理物を搬出系60で所定の場所まで運搬するという内容のものである。以下、これらの手段について具体的に説明する。
【0027】
図1〜図5を参照して明らかなように、処理機械31の主な構成要素は、既述の支持脚体32・処理容器35・回転軸40・回転式のインパクタ49・電動機(モータ)55・伝動系59・搬出系60などである。
【0028】
支持脚体32は、後述する処理容器35の基礎構造物になるものである。かかる支持脚体32は、全体として、垂直材と水平材または垂直材と水平材と傾斜材とで組み立てられた骨格構造をしているものである。具体的一例において支持脚体32は、四角形をなす枠組部を上部に有し、その枠組部の四隅から下向きに伸びるなど合計四本程度(左右一対+前後一対)か、それ以上の数の脚33を有するものである。支持脚体32における脚33の下部(下面)には、橇状部材からなる滑走式の走行具34が取り付けられている。一例として走行具34が細幅の橇状部材からなる場合は、それらが左側・右側の各脚33に分離して取り付けられる。他の一例として、走行具34が広幅面上の橇状部材からなる場合は、一つの当該走行具34が全部の脚33を利用して取り付けられる。このような走行具34の場合、取り外しを前提としない取り付けもあるが、通常は必要に応じて取り付けたり取り外したりするため、ボルトナットその他周知の金具で脱着自在に取り付けられるものである。支持脚体32の構成材料は代表的一例としてほとんどのものが鋼のような金属製である。もちろん支持脚体32の構成材料については、木製の材料や合成樹脂(FRPを含む)製の材料を利用するものであってもよいし、その全部が木製・合成樹脂製のような非金属製であっても構わない。
【0029】
図1〜図4に示された処理機械31において、処理容器35は複数(または単一)の円筒部材など筒状の部材で構成されたものである。処理容器35の上面にある入口36は、筒状部材の上部開口面を利用したものであり、その入口36にホッパ37が取り付けられている。処理容器35の下面にある出口38も筒状部材の上部開口面を利用したもので、ほぼ全面的な開放状態を呈している。この処理容器35においては、入口36と出口38との間すなわち処理容器35の内部が処理部35aということになる。処理容器35の内周面には、また、図3・図4で明らかなとおり、立面状の板材からなる複数の固定破砕部材39が取り付けられて周方向に等間隔で分布している。処理容器35内周面における各固定破砕部材39の取付部位は、水平高速回転状態において上下に隣接する後述の両インパクタ49間と対応する箇所である。この部位に取り付けられた各固定破砕部材39は、処理対象物を衝突させるための垂直な衝突面を有している。とはいえ各固定破砕部材39は、水平高速回転時のインパクタ49と衝突しない範囲内で処理容器35の内周面から突出しているから、その種の衝突トラブルは発生しない。処理容器35は図1や図3のごとく、支持脚体32の上部に組み付けられて所定の高さを維持している。
【0030】
後述する処理のとき、処理対象物12Aは処理容器35内において高速回転するインパクタ49で強力にヒッティングされる。その際、その処理対象物12Aがインパクタ49の回転方向に追随して周回する現象(共回り現象)を生じたりすることがある。上記固定破砕部材39は、これに衝突してくる処理対象物12Aを破砕することのほか、処理対象物12Aの共回り現象を抑制する機能も有するものである。
【0031】
処理機械31の回転軸40については、代表的一例において、その関連部材なども含めて金属製である。この回転軸40は図3で明らかなとおり、処理容器35内の中心部に垂直に配置されて上下一対の軸受41・44により回転自在に支持されるものである。二つある軸受のうちで、上部の軸受41は中心部材42の上に配置かつ固定されているものである。この場合の中心部材42は、その外周部と処理容器35の内周部とにわたって架設された複数本のスポーク(またはステー)43により、処理容器35内の上部中心領域に保持されている。ちなみに複数本のスポーク43は三本以上であって中心部材42の外周部からみて等間隔かつ放射状に分布しているものである。上部の軸受41と対をなす下部の軸受44についても、中心部材42と同様、処理容器35内の下部に配置された複数本のスポーク(またはステー)45で処理容器35内の上部中心領域に架空支持されているものである。これらのスポーク45は、その内側端部が下部軸受44の外周面に取り付けられるとともに、該各スポーク45が処理容器35の胴体壁を内外に気密に貫通して支持脚体32に固定される。かくて回転軸40は、この上下両軸受41・44による周知の手段で上下両端が支持される。処理容器35内に配置される両軸受41・44としては、防塵キャップを被された防塵タイプのものが望ましい。
【0032】
回転軸40の外周部には、後述するインパクタ49を装着するための上下一対かつ複数組のフランジ46・47が上下間隔をおいて設けられている。この場合のフランジ46・47にはそれぞれ上下一対かつ複数組のロック孔(図示せず)が周方向に等間隔で開けられている。これらのロック孔には、頭部(抜け止め部)付きのロックピン48を自在に差し込むことができる。両フランジ46・47は回転軸40に対して一体に取り付けられることもあるが、代表的な実施態様では、部品交換を行うため回転軸40に対して脱着自在に取り付けられる。その際の脱着自在な取付手段はネジ固定式とか嵌め込み式とか、これらの併用式などである。
【0033】
回転軸40については、これを利用して処理容器35内に流体(液体・気体)や粉流体を供給することもできる。そのような場合の回転軸40は、単一管または二重以上の重管など中空パイプ材からなり、その回転軸40の内部が流路になっている。この場合は、さらに、中空の回転軸40の周壁に噴射孔が形成されたり噴射ノズルが設けられたりするほか、中空とした回転軸40の上端部に、スイベルジョイント33を介して流体供給系または粉流体供給系の端末部(配管)が接続される。
【0034】
図1〜図5に例示された回転式のインパクタ49はインパクト部材50とフレキシブル部材52とを主体にして構成されている。一例にすぎない図5の実施形態において、インパクト部材50は直方体や厚い板のような扁平なブロック形状をしているものである。インパクト部材50の後端部には連結孔51が形成されている。このようなブロック形状をしたインパクト部材50の場合、上段配置用のものの前面に下向きの傾斜面が形成されたり、下段配置用のものの前面に上向きの傾斜面が形成されたりすることもある。フレキシブル部材52は屈伸自在なものであり、その典型例は図示のようなチェーンである。フレキシブル部材52を構成しているチェーンのうちで、先端にある連結環53はインパクト部材50との連結を行うためのものである。それゆえ連結環53は脱着自在なロックピン54を備えている。このようなインパクト部材50とフレキシブル部材52については、インパクト部材50の後端部を連結環53内に介在させて連結環53の連結孔とインパクト部材50の連結孔51とを上下に一致させ、これらの孔にロックピン54を差し込み、かつ、ロックピン54を抜け止め状態にすることで連結される。図3その他で明らかなように、インパクタ49は回転軸40の周囲に複数段で取り付けられて放射状に分布するものである。そのようなインパクタ49の取り付けについては、フレキシブル部材52の基端部側にあるチェーン環を上下一対のフランジ46・47間に介在させ、それらフランジ46・47のロック孔とフレキシブル部材52のチェーン環とを上下に一致させた後、これらの孔にロックピン48を差し込むことで行われる。このロックピン48については単に差し込むだけでよく、とくに抜け止め措置は講じなくてもよい。
【0035】
インパクタ49の他の例としては、図5に例示するような各種のものがある。これらのうちで、図5(A)のインパクタ49は金属製のチェーンを主体にして構成されているものである。図5(B)のインパクタ49は金属製のブレードを主体にして構成されているものである。図5(C)のインパクタ49は可撓性のある金属製のワイヤからなるものである。図5(D)のインパクタ49は多角形の金属製のワッシャをボルト・ナットで集結した構造のものからなる。このほか金属製ロッド・金属製ブレード・金属製チェーン・金属製ワイヤなどの先端に球形・キューブ形・円柱形など適当形状のハンマを取り付けたハンマ型インパクタなどもあり、これもインパクタ49として採用することができる。
【0036】
図1〜図3を参照して、回転軸40の動力源たる電動機55の場合は、処理容器35の胴部外面に取り付けられた取付部材55aやサポートブラケット55bなどを介してその処理容器35の胴部外面に取り付けられている。電動機55の出力軸の上端部には、これに取り付けられた原動プーリ56がある。この原動プーリ56と対応する従動プーリ57は回転軸40の上端部に付けられている。したがって、両プーリ56・57にわたり、エンドレスなベルト(例:Vベルト)58が掛け回される。この場合において、原動プーリ56・従動プーリ57・ベルト58などが電動機55から回転軸40にわたる伝動系59を構成していることになる。
【0037】
上記における処理容器35・固定破砕部材39・回転軸40・スポーク43・45・フランジ46・47・ロックピン48・インパクタ49・ロックピン54・その他は主に金属製のものからなる。これらのうちには金属製以外でもよいものがあるが、処理容器35とその内部に装備されるものについては、高度の機械的強度や耐久性を確保するために鋼製のものが採用される。高速回転式の電動機55は周知のもの、電動機55と回転軸40とにわたるベルト伝動式の伝動系59も周知のものである。
【0038】
図1〜図5の実施形態において、処理済物(処理を終えた処理対象物)12Cの搬出系60は一例として周知のベルトコンベア、他の一例として周知の振動フィーダからなる。この搬出系60は処理容器35の下部すわわち処理容器35の出口38下に配置されて支持脚体32で支持される。すなわち支持脚体32には、搬出系60を載置して固定するための内部骨格として、複数本の水平材・水平格子材・水平板材など、適当な部材による受座(図示せず)が所定高さのところに設けられており、搬出系60をこれを利用して出口15下に備え付けられる。上記以外の搬出系60の例としては、図3に示すような傾斜滑落式のシュートが処理容器35の出口38または支持脚体32の上部に設けられることもある。
【0039】
図1・図2において、自走式の物給機械21と非自走式の処理機械31とを連結するための連結手段61は、非伸縮式のアーム62と伸縮式のアーム63・64との組み合わせからなる。一本のみの非伸縮式アーム62は鋼製である。二本の伸縮式アーム63・64は周知の油圧シリンダまたは空気圧シリンダからなる。これらのうちで、非伸縮式アーム62の基端部は、物給機械21における走行機台23の後端部に周知の軸ピンで俯仰回動自在に結合されており、非伸縮式アーム62の先端部は、処理機械31における支持脚体32の前面上部に周知の軸ピンで回動自在に結合されている。一方、伸縮式アーム63の基端部も、物給機械21における走行機台23の後端部に周知の軸ピンで回動自在に結合されているが、この伸縮式アーム63の先端部は、非伸縮式アーム62の中間部(先端部側に近い中間部)に周知の軸ピンで回動自在に結合されている。他方、伸縮式アーム64の基端部は、物給機械21における走行機台23の後端部に周知の軸ピンで俯仰回動自在に結合されており、伸縮式アーム64の先端部は、処理機械31における支持脚体32の前面上部に周知の軸ピンで回動自在に結合されている。この場合における各アーム62〜64の上下関係については、非伸縮式アーム62が上位・伸縮式アーム63が中間位・伸縮式アーム64が下位というものである。その他に関して、この連結手段61は、物給機械21の運転席26運転席において操縦(操作)できるものである。
【0040】
本発明における処理対象物12A、とくに建設分野において各種材料の主組成物(主成分)を得るために処理されるものはつぎのとおりである。それは、泥・土・砂・礫・石・岩などのうちから選ばれた一以上のものであったり、泥を含む二種以上の混合物・土を含む二種以上の混合物・砂を含む二種以上の混合物・礫を含む二種以上の混合物・石を含む二種以上の混合物・岩を含む二種以上の混合物などのうちから選択された一以上のものであったりするものである。これらについては天然(自然)のものであるか人造のものであるかを問わない。主組成物の具体例としては、ヘドロ・泥土・粘性土・砂質土・礫質土・粘性土塊(ロームや浚渫土)・風化した珊瑚礫混じり土・風化岩(泥岩・凝灰岩・花崗岩など)・風化岩塊混じり土・玉石(河川・湖沼・海岸などでみられるもの)・砕石(市販品)・下水汚泥スラッジ・有機質土・弱溶結堆積物・火砕流堆積土・崖錐土・建設発生土などをあげることができる。弱溶結堆積物の一つとして、降雨により斜面崩壊しやすい特殊土「しらす」(俗称)がある。これは主として南九州に広く分布する火砕流堆積物・降下火砕堆積物・それらの二次堆積物などであって軽石質ないし火山灰質の白色を帯びたものである。このほか、骨材資源に再利用することのできるコンクリート廃棄物も主組成物の一つである。
【0041】
本発明においては、また、汚染土壌や、その他の汚染固形物・汚染廃棄物なども被処理物の主組成物になることがある。
【0042】
建設分野における上記の主組成物に対しては、通常、副組成物(副成分)が添加されたりする。それは固体・液体・気体などのうちから選択される一以上の添加物(添加材・添加剤)である。この副組成物は無機物であったり有機物であったりする。副組成物の具体例として、生石灰(粉状・塊状)・消石灰(粉状・塊状)・セメント系固化材(粉状・塊状・液状)・石灰系固化材(粉状・塊状・液状)・高分子系安定剤(粉状・液状)・土質安定用ポリマ(粉状・液状)・増粘剤(粉状・液状)・ピート・藁・チップ状生木・農業用肥料(粉状・液状)・貝殻類(牡蛎殻・帆立貝殻・アコヤ貝殻)・廃棄石炭灰(粉状・液状)・ベントナイトその他の止水材(粉状・液状)・廃棄コンクリート塊・短繊維(金属系のもの・炭素系のもの・石油材料系のもの)・一般廃棄物焼却灰スラグ・土工用軽量発砲ビーズ・土工用水砕スラグ・分離防止剤(粉状・液状)・水・海水・空気・酸素・中和剤・アルカリ性ガス・酸性ガスなどをあげることができる。このうちで固体系添加物の場合は、処理対象物12Aの一部として作業ヤード11に積層される。具体的一例でいうと、現地発生土12A1が主組成物に該当し、セメント・石灰などの土質改良材12A2が副組成物に該当するものとなる。液体系添加物や気体系添加物の場合は、たとえば現地発生土12A1にあらかじめ含浸や捕捉させておくこともできるが、通常は供給用配管系などを介して処理容器35内に注入される。
【0043】
被処理物の主組成物や副組成物については、段落「0041」に記載されているものが副組成物になったり、段落「0043」に記載されているものの一部が主組成物になったりすることもある。ちなみに副組成物については、貝殻類・廃棄コンクリート塊・廃棄石炭灰・一般廃棄物焼却灰スラグ・止水材などが主組成物にもなったりする。
【0044】
処理の際の処理雰囲気すなわち処理容器35内の温度については、たとえば20℃を常温とした場合、常温または常温未満または常温超過のいずれかである。処理容器35内に外気が入る場合は処理雰囲気温度が外気温と同等になったり近似したりすることもある。処理容器35内の温度を人為的な低温域にしたり高温域にしたりするときには、処理容器35内への冷気(冷風)の吹き込み、処理容器35内への暖気ないし熱気(温風ないし熱風)の吹き込み、シーズヒータまたはその他の電気ヒータによる処理容器35の加熱、気体冷媒や液体冷媒による処理容器35の冷却など、これらのうちのいずれかが選択採用される。
【0045】
図1〜図4に例示された処理機械31を用いて処理対象物12Aを処理するときは一例は以下のようなものである。
【0046】
地盤の掘削などをともなう建設現場では、その現場で発生した現地発生土を埋め戻しに利用したりする。かかる現地発生土に対して、既述の物理的処理および/または化学的処理を施すことがある。それでこの種の処理を受けることになる現地発生土は一定の場所に集積される。これに該当する図1・図2の例では、建設現場に隣接する作業ヤード11において、処理対象物12Aとなる現地発生土12A1と土質改良材12A2とが建設作業機械を用いて積層され、この二層によって処理対象積層物12Bが形成されている。より具体的にいうと、処理対象積層物12Bは、図示のように断面台形をしていて突堤のように長く形成されているのである。
【0047】
図1・図2の作業ヤード11において、連結手段61で相互に連結された自走式の物給機械21と非自走式の処理機械31とは、作業開始位置である処理対象積層物12Bの一端部と対応するように、その一端部の片側に接近しているものである。もちろんこの場合両機21・31の関係は、物給機械21が牽引機械で処理機械31が被牽引機械ということである。このスタンバイの状態から作業を開始するときは、両機21・31の走行停止状態において処理機械31の電動機55をオンにしたり搬出系60のベルトコンベアをオンにしたりする。このとき処理機械31の処理容器35内では、伝動系59を介して電動機55の回転を伝達された回転軸40が高速回転するために、自重で垂れ下がっていた各インパクタ49が遠心力により水平浮揚して高速回転する。
【0048】
このように処理機械31を運転状態にした後は、作業ヤード11上の物給機械21が処理機械31に対して処理対象物12Aを供給する。すなわち物給機械21は、運転席26において旋回台24・ブーム27・バケット28を操縦操作して処理対象積層物12Bにある処理対象物12A(現地発生土12A1と土質改良材12A2)をバケット28で掬い取り、かつ、それを処理機械31の処理容器35内へと投入する。より具体的には、作業ヤード11の処理対象積層物12Bから所定量の処理対象物12Aを掬い取った後のバケット28を処理容器35の上部側へと移動させて、その掬い取った処理対象物12Aをホッパ37へと投入するのである。この投入された処理対象物12Aは入口36を経由して処理容器35内へと自重落下する。
【0049】
処理容器35内に投入されて自重落下する処理対象物12Aは、これが入口36から処理部35aを経由して出口38に至るまでの間、放射配列状態で高速回転する上下多段のインパクト部材50によりヒッティングされて破砕(粉砕)・撹拌・混合などの物理的処理を受ける。とくにこの際のインパクト部材50が50〜1000km/時(先端部の周速)という超高速で回転する場合は、処理対象物12Aに対する粉砕処理・撹拌処理・混合処理などの能力がきわめて高いものになる。また、この場合の現地発生土12A1と土質改良材12A2とに化学反応性がみられるときは、高速撹拌などによって、処理対象物12Aの化学的処理も促進されることとなる。
【0050】
処理機械31で処理されて処理容器35の出口38に至った処理対象物12Aの処理済物12Cはその出口38で構えている搬出系60のベルトコンベア上に乗り、これで搬送されて作業ヤード11の所定部に堆積される。搬出系60が傾斜滑落式のシュートからなる場合もこれと同様に、処理済物12Cは作業ヤード11の所定部に堆積(積層)されることとなる。
【0051】
以下は、物給機械21による処理対象物12Aの取り込み・物給機械21による処理機械31への処理対象物12Aの供給・処理機械31による処理対象物12Aの処理・搬出系60による処理済物12Cの搬出積層などを続行することとなるが、これに際しては物給機械21と処理機械31とを連続的または間欠的に所定方向へシフトさせる。それは以下のようなものである。
【0052】
図1・図2において、作業ヤード11にある処理対象積層物12Bから物給機械21で処理対象物12Aを取り込んでこれを処理機械31へと供給するというときは、この取り込み作業を繰り返すにしたがい処理対象積層物12Bが減少するものである。一方、処理機械31で処理されて搬出系60により作業ヤード11まで運び出される処理済物12Cは、処理対象物12Aの処理量が増すにしたがい増加するものである。これは処理対象物12Aの上記処理にともない、処理対象積層物12Bの漸減や処理済物12Cの漸増が同時進行するということである。
【0053】
図1・図2の例において、物給機械21による処理対象物12Aの取り込み作業は処理対象積層物12Bの右端から左端へと進行するものである。それで自走式の物給機械21は、処理対象物12Aの減少程度を見きわめ、かつ、その減少状況と対応させながら作業ヤード11上を右から左へとシフト移動する。このときの自走式の物給機械21には、連結手段61を介して非自走式の処理機械31が連結されている。したがって自走式の物給機械21が所定方向にシフト移動するときは、これに牽引される非自走式の処理機械31もその移動に追随して移動することとなる。このときの処理機械31はしかも、処理済物12Cを作業ヤード11へと搬出しながら上記のごとく移動するから、その通過跡には、処理済物12Cの積層物すなわち処理済積層物12Dが自然に形成されることとなる。それで処理対象積層物12Bの処理対象物12Aをすべて取り込んで処理機械31に掛け、その処理を終えたときが、一応の作業の区切りとなる。この時点で作業ヤード11には処理対象積層物12Bがなくなり、これに代わり、長い畝状ないし突堤状に形成された処理済積層物12Dが作業ヤード11に存在することとなる。その後の逆方向(図1の左から右)への返し作業において、処理済積層物12Dを処理済物12Cを物給機械21で取り込み、それを処理機械31に掛けて上記と同様の再処理を行ってもよい。
【0054】
上記において所定方向に移動する物給機械21と処理機械31について、これを連続移動させるか、または、間欠移動させるかは機械の処理能力などに応じて決定すればよい。ちなみに機械処理能力が高いときは連続移動、逆に機械処理能力が低いときは間欠移動となることが多い。機械の移動方向に沿って長く突堤状に形成される処理済物12Cについては、処理機械31の移動にともなって形成されるままでもよいし、それをブルドーザなどの建設機械で所望の形状に成形してもよい。
【0055】
上記処理対象物12Aの処理はおおむねルーチンワークである。それは個々の作業が画一的で単純な作業の繰り返しにほかならないからである。ちなみに物給機械21の場合、これは処理対象積層物12Bの処理対象物12Aを取り込んでそれを処理機械31の処理容器35内に投入する作業の繰り返しである。処理機械31の場合は投入された処理対象物12Aを処理容器35内で処理して搬出系60の上に落とすだけであり、搬出系60は処理済物12Dを作業ヤード11へと搬出するだけである。そして連結状態にある物給機械21と処理容器35も、これらを処理対象積層物12Bに沿ってその一端部側から他端部側へと直線走行させるだけの単純なシフトでよいのである。このような場合、物給機械21の運転操縦制御部に旋回台24・ブーム27・バケット28などを制御するためのソフトウエア・制御回路・その他、自動化システムを組み込んで当該物給機械21を作業ロボット化すれば、それによる自動化が確立して自動作業が行えるようになるし、また、遠隔操作システムを組み込むことで遠隔操作も可能になる。とくに作業ロボットによる自動化の場合は無人化作業が可能になる。
【0056】
本発明方法や本発明装置の他の一実施形態について、処理機械31が前例と異なるものを図6に基づき説明する。
【0057】
図5などに示された前例の処理機械31は、回転するタイプのインパクタ49を処理容器35内に備えたダイナミック方式のものである。それに対し図6に例示された処理機械31の場合は、静止したタイプのインパクタ49を処理容器35の内部(処理部35a)に備えたスタティック方式のものである。
【0058】
図6(A)(B)の処理機械31において、処理容器35は短い角形の筒(複数)を上下方向に連結した縦長の角筒形状をしており、複数のインパクタ49の主要部材であるインパクト部材50はそれぞれ四角形の板状しているものである。このインパクト部材50の先端部(下端部)は、水平または上向きなど屈曲している。図6(A)を参照して各インパクト部材50は、右傾と左傾または前傾と後傾というように、傾斜方向が交互に異なる態様で処理容器35の内面に上下多段に取り付けられているものである。より具体的には、周知のヒンジ71を介して各インパクト部材50の上端部が処理容器35の内面に取り付けられているとともに、インパクト部材50の裏面と処理容器35の内面とにわたるタンパー式の支持部材72を介して該各インパクタ49の下部が支持されている。この場合の支持部材72は図6(B)のごとく、処理容器35の壁面を摺動自在に貫通しているほか、その中間部に設けられたバネ座73から処理容器35の面に至る部分には圧縮型のスプリング74が介在されているものである。したがって傾斜状態にある各インパクト部材50の下端部側は、その上端部側のヒンジ71を支点にして、かつ、スプリング74に抗して揺動することができる。このほか支持部材72の端末には、二重のナットからなる抜け止め用のストッパ75が施されている。インパクト部材50の裏面と処理容器35の内面とにわたるタンパー式の支持部材72としては、伸縮性のあるロッド型のガススプリング・エアーダンパ・オイルダンパなども採用することができる。このほかインパクト部材50と支持部材72との結合も、周知のとおり、支点部のある回動自在な連結手段で行われる。
【0059】
図6(A)を参照して、処理機械31の上部側すなわち処理容器35の入口36側には前例と同様にホッパ37が取り付けられており、処理機械31の下部側すなわち処理容器35の底部側(支持脚体32の下端)には、前例と同様に走行具34が設けられるものである。さらに図6(A)に例示された処理機械31の場合、処理容器35の出口38下に装備される搬出系60は傾斜滑落式のシュートからなる。
【0060】
図6の実施形態において説明を省略された自走式の物給機械21は、図1〜図5を参照して述べた事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。図6の実施形態における物給機械21以外の事項も、図1〜図5を参照して述べたすべての事項が、技術的互換性の範囲内において採用できるものである。
【0061】
図6の実施形態も、図1・図2のような作業ヤード11にある処理対象積層物12Bから処理対象物12Aを取り込んでこれを処理するというときは、おおむね図1〜図5の前例で述べたと同様になる。すなわち物給機械21は、前例と同じく処理対象積層物12Bにある処理対象物12Aをバケット28で掬い取ってそれを処理機械31の処理容器35内へと投入する。投入された処理対象物12Aは入口36を経由して処理容器35の内部すなわち処理部35aへと自重落下する。
【0062】
図6の実施形態において、処理容器35内に投入されて自重落下する処理対象物12Aは、これが入口36から処理部35aを経由して出口38へと至るまでの間、各段のインパクタ49で左右(または前後)に捏ね返されて攪拌混合処理されることとなる。これについて、図6(A)を参照して詳述すると、処理対象物12Aは、最上段にある左傾インパクタ49(インパクト部材50)→上二段目の右傾インパクタ49→上三段目の左傾インパクタ49→上四段目(最下段)の右傾インパクタ49へと順次滑落していく間、左・右、左・右のように捏ね返されて攪拌混合処理されるのである。この場合において、処理対象物12Aの落下衝突を受ける各段のインパクト部材50は、処理容器35の内面側へ揺動することでその落下衝突時の衝撃を緩和する。こうした攪拌混合処理で得られる処理済物12Cが出口38に至った後は、前例と同様、搬出系60を介して作業ヤード11上へ運ばれる。
【0063】
図6の実施形態において処理対象物12Aを処理するときも、連結状態にある自走式の物給機械21と処理機械31は、前例と同様に移動しながら物給機械21による処理対象物12Aの取り込み・物給機械21による処理機械31への処理対象物12Aの供給・処理機械31による処理対象物12Aの処理・搬出系60による処理済物12Cの搬出積層などを行う。したがって図6の実施形態においても、当該処理作業にともなって処理対象積層物12Bの漸減や処理済物12Cの漸増が同時進行する。その他に関しても前例と実質的に同じようになるか、または、そうなるような作業が行われるものである。
【0064】
本発明方法や本発明装置の他の一実施形態について、自走式の物給機械21が前例と異なるものを図7に基づき説明する。
【0065】
図7に例示された自走式の物給機械21は、車輪を有する周知の自動車をベースにして構成されているものである。図7の物給機械21についてより具体的いうと、車輪式の走行部22を有する走行機台23の後方部(荷台)側には旋回台24が設けられているとともに、走行機台23の前方部側には運転室25で囲われた運転席26が設けられている。走行機台23の後方部において旋回台24上に装備されたブーム27は、前例と同様、これに設けられた油圧系機械などを介して操作することができるものである。さらに、走行機台23の後方部には、処理対象物12Aを供給するための物給ポンプ81が搭載されている。
【0066】
図7の物給ポンプ81については、周知のモーノポンプ・周知のスクリューポンプ・周知の圧送ポンプなどのうちから適当なものが採用される。ちなみに物給ポンプ81が圧送ポンプからなり、それで処理対象物12Aを供給するというときは、とくに土砂圧送ポンプが用いられる。
【0067】
図7に例示された物給ポンプ81には、自明のとおり、吸引口部(図示せず)と吐出口部(図示せず)とがあり、その吸引口部には吸引管82が接続されているとともに、その吐出口部には吐出管85が接続されている。この場合の吸引管82や吐出管85にはフレキシブル性のあるものが望ましく、これに該当するものとしてコルゲート管や蛇腹管のようなフレキシブル管が用いられる。吸引管82の吸引端部(先端部)には広口の吸引口具83が取り付けられている。吸引管82や吐出管85の構成材料は一例として金属、他の一例として合成樹脂(FRPを含む)、さらに他の一例として金属と合成樹脂とによる複合材または金属とゴムとによる複合材である。
【0068】
図7の例において、物給ポンプ81の吸引力や吐出力に不足を生じるときには、吸引管82の途中に吸引力増強用のポンプが装備されたり吐出管85の途中に吐出力増強用のポンプが装備されたりすることもある。
【0069】
図7の例において、物給ポンプ81の吸引管82の先端部には、走行機台23の後方部側に装備された操作ハンド(マニュピレータ)84が連結されている。吸引管82の先端部を三次元的操作するための当該操作ハンド(マニュピレータ)84は、上下・左右・前後に屈伸自在なものである。操作ハンド(マニュピレータ)84の一例としては、その関節部を屈伸させるための油圧系機械が設けられたり、または、関節部を屈伸させるための操作ワイヤとそれを巻き取ったり巻き戻したりするためのアクチュエータ(モータ)とが設けられたりする。
【0070】
図7の例において、物給ポンプ81の吐出管85は、ブーム27にあてがわれてそこに配管取り付けされている。したがって吐出管85はブーム27に沿うものであるほか、その先端部がブーム27の先端から突出しているものである。
【0071】
図7に例示された自走式物給機械21の場合、走行機台23を自走させたりその走行を停止(制動)させたりせるための走行運転操縦系や、物給ポンプ81の運転や操作を行うための物給運転操作系は、運転席26において操縦操作できるように装備されているものである。したがって自走式物給機械21の全操縦操作を運転席26において行うことができる。もちろん図7の自走式物給機械21の場合も、ソフトウエア・制御回路・その他、自動化システムを組み込んで当該物給機械21を作業ロボット化すれば、それによる自動化が確立して自動作業が行えるようになるし、また、遠隔操作システムを組み込むことで遠隔操作も可能になる。
【0072】
図7の実施形態において説明を省略された処理機械31は、図1〜図5を参照して述べた事項または図6を参照して述べた事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。図7の実施形態におけるその他の事項も、図1〜図6を参照して述べたすべての事項が、技術的互換性の範囲内において採用できるものである。
【0073】
図7の実施形態で処理対象物12Aを処理するときも、相互に連結されている自走式の物給機械21と処理機械31は、前例と同様に移動しながら物給機械21による処理対象物12Aの取り込み・物給機械21による処理機械31への処理対象物12Aの供給・処理機械31による処理対象物12Aの処理・搬出系60による処理済物12Cの搬出積層などを行う。ゆえに図7の実施形態においても、当該処理作業にともなって処理対象積層物12Bの漸減や処理済物12Cの漸増が同時進行する。その他に関しても前例と実質的に同じようになるか、または、そうなるような作業が行われるものである。ただし物給機械21による処理対象物12Aの取り込みや、物給機械21による処理機械31への処理対象物12Aの供給については、つぎのようになる。すなわち図7の実施形態において、図1・図2のような作業ヤード11にある処理対象積層物12Bから処理対象物12Aを取り込んでこれを処理するというときには、物給機械21の物給ポンプ81が吸引管82の先端部で処理対象物12Aを吸引し、それを吐出管85の先端部から吐出して処理機械31の処理容器35内へと供給する。したがって処理容器35内に投入された処理対象物12Aは前例と同様に処理されるのである。
【0074】
本発明方法や本発明装置の他の一実施形態について、処理機械31が前例と異なるものを図8に基づき説明する。
【0075】
図8に例示された処理装置は自走式のものである。これは車輪を有する周知の自動車をベースにし、それに既述の処理機械31が搭載されているものである。図8の処理装置についてより具体的いうと、周知の自動車からなる自走式車両91は車輪などの走行部92を有する走行機台93の後方部を機械設置部94とし、その機械設置部94上に図3のタイプの処理機械31が搭載されているものである。この場合において、処理容器35を支持している支持脚体32が機械設置部94上に立設固定されている。さらに処理容器35の出口38にはシュート型の搬出系60が装備されて、その先端部側が機械設置部94から地上側へとせり出している。
【0076】
図8に例示された自走式処理装置は、自明のとおり、自走式車両91を自走させたりその走行を停止(制動)させたりせるための走行運転操縦系や処理機械31を稼働させたりそれを停止させたりするための処理運転操作系などを具備し、当該両系が運転室95内の運転席96で操作操縦できるように装備されているものである。さらに処理機械用の動力源(図示しない電源)も走行機台93の適当部位に搭載されている。図8の自走式処理装置も前述したと同様、ソフトウエア・制御回路・その他、自動化システムを組み込んで当該処理装置を作業ロボット化すれば、それによる自動化が確立して自動作業が行えるようになるし、また、遠隔操作システムを組み込むことで遠隔操作も可能になる。
【0077】
図8に例示された自走式処理装置は、一例として図1・図2のような作業ヤード11で既述の処理作業を行うというときに、前記自走式物給機械21と組み合わされて以下の使用されるものである。
【0078】
自走式物給機械21と自走式処理装置(図8)とは非連結状態で前後に隣接する関係を保持する。そして自走式物給機械21が作業ヤード11の処理対象積層物12Bから処理対象物12Aを取り込んでこれを自走式処理装置(図8)の処理機械31の内部(処理容器35内)に投入し、そこで処理対象物12Aを既述と同様に処理する。そして自走式物給機械21や自走式処理装置(図8)は、作業処理状況に応じ、作業ヤード11を処理対象積層物12Bの一端部側から他端部側へと連続的にシフト移動したり、または、間欠的にシフト移動したりするものである。したがって、かかる実施形態で処理対象物12Aを処理するときも、非連結状態で物給機械21と処理機械31は、前例と同様に移動しながら物給機械21による処理対象物12Aの取り込み・物給機械21による処理機械31への処理対象物12Aの供給・処理機械31による処理対象物12Aの処理・搬出系60による処理済物12Cの搬出積層などを行う。ゆえに既述の自走式物給機械21と図8の自走式処理装置とを組み合わせて行う当該実施形態でも、当該処理作業にともなって処理対象積層物12Bの漸減や処理済物12Cの漸増が同時進行する。その他に関しても前例と実質的に同じようになるか、または、そうなるような作業が行われるものである。
【0079】
図8に例示する自走式処理装置の場合、自走式車両91の機械設置部94に搭載される処理機械31としては、図3・図4に示すようなタイプのものであってもよいし、また、図6(A)(B)に示すタイプのものであってもよい。さらに、処理機械31の出口38側に設けられる搬出系60も、ベルトコンベア・振動フィーダ・シュートなどが任意に選択採用される。
【0080】
図8に例示する自走式処理装置と組み合わされる物給機械21も、図1・図2のような自走式建設機械(例:バックホウ)とか、図7に例示するような物給ポンプ81を有するものとかが任意に選択採用される。
【0081】
このほか図示しない実施形態としてつぎのようなものがある。その一つは、図8に例示するような自走式処理装置において、図1・図2に例示した「バケット型の物給手段」または「図7に例示した物給ポンプ式の物給手段」を自走式車両91の機械設置部94に搭載するというものである。他の一つは、図1・図2に例示した物給機械21まはた図7に例示した物給機械21が非自走式のものであるとき、それを図8に例示する自走式処理装置のフロント側またはリア側に連結して、当該自走式処理装置とともに連続シフト移動させたり間欠シフト移動させたりするものである。
【0082】
本発明方法や本発明装置に関する上記以外の実施形態について、処理機械31が各前例と異なるものを図9・図10に基づき説明する。
【0083】
処理対象物のうちには含水比や粘性の高いものがある。土質材料の原材料になる現地発生土とか建設発生土(残土)とかにも、そのようなものがある。かかる原材料を処理対象物とし、これを処理機械にかけた場合、その処理対象物の一部が処理容器の内周面に付着堆積するという現象が生じる。さらにいうと、この付着堆積物が強固な壁状を呈して処理容器の内周面に強密着することもよくある。これをそのまま放置した場合には、インパクト部材の早期損耗や電動機の過負荷、その他いろいろと不具合が生じる。ゆえに処理容器の内周面に付着した堆積物については、この種の不具合を回避する上で適時取り除くことことなる。ちなみに特開2002−282723号公報には、この種の堆積物を機械的に取り除くための手段が開示されている。もちろんこの公知技術は、付着堆積物の対策として有効なものである。
【0084】
上記公知文献に開示された先行技術の場合、処理容器と掻取部材とのうちの少なくとも一方が、縦型処理容器の軸線を中心にして回転自在なるように設けられるものである。この回転掻取方式の場合、処理容器と掻取部材とを相対回転させるものであるため、少なくともその一方の要素を回転自在に支持しなければならないほか、これに回転のための動力源や回転伝動機構を装備して全体を組み立てなければならない。回転掻取方式について概していうと、これは処理機械31における一部構造を複雑化させ、また、その組み立ても難しいものにしている。
【0085】
以下に述べる図9・図10の処理機械31には、処理容器35の内周面を掻取清掃するための掻取手段として、公知文献のタイプとは異なる非回転掻取方式もの、すなわち、上下動掻取方式のものが装備されている。この上下動掻取方式の掻取手段は、後述で明らかなとおり、構成の簡潔化・組立容易性・高度の掻取性能などを満足させるものである。
【0086】
図9・図10に例示された処理機械31において、円筒状をなす処理容器35にはその上下方向に沿う複数のスリット35Xが円筒壁に形成されている。より具体的には、縦長とした複数(四つ)のスリット35Xが、処理容器35の円周を等分(四等分)する各円筒壁部にそれぞれ形成されている。
【0087】
図9・図10において、処理容器35内に装備される掻取部材111はリング状のものである。掻取部材111は金属製・合成樹脂製・複合材製などのいずれかからなり、とくに機械的特性の優れた材質のものが採用される。具体的一例でいうと、掻取部材111は帯状材をリング状に成型加工したものからなり、円筒状処理容器35の内周面に密接して上下動することのできる外径を有している。このリング状の掻取部材111については、また、上端部側および/または下端部側がナイフエッジのような先鋭形状を有するものである。この先鋭形状は後述するとおり、掻取機能を高度に発揮させるためのものである。代表的一例として先鋭形状は、掻取部材111の垂直な外周面と掻取部材111の傾斜した上部内周面および/または掻取部材111の傾斜した下部内周面とで形成される。リング状をなす掻取部材111の外周面には、上記スリット35Xと対応する数(四つ)の連結片112が設けられている。この複数(四つ)の連結片112は、掻取部材111の外周面においてその円周を等分(四等分)する位置にそれぞれあり、かつ、掻取部材111の外周面から放射状に突出しているものである。連結片112は掻取部材111と同材質のもので、ネジ止め手段・溶接手段・その他周知の一体化手段など、適当な手段で掻取部材111と一体化されているものである。
【0088】
図9・図10を参照して明らかなように、リング状の掻取部材111は処理容器35内に嵌め込まれているものである。さらにいうと、この嵌め込み態様では、掻取部材111の外周面と処理容器35の内周面とが実質的に相対接触しており、かつ、各連結片112がこれと対応する処理容器35の各スリット35Xを貫通して処理容器35外に突出しているものである。かくて処理容器35内に装備された掻取部材111は、処理容器35の内周面に内接した状態で上下動することができるものである。
【0089】
図9・図10に例示された掻取部材111には、これを処理容器35の内周面沿いに上下動させるための動力系が組み合わされている。かかる動力系は、掻取部材111の連結片112を利用して当該掻取部材111に組み付けられるものである。その具体的一例としては、油圧シリンダ(油圧ジャッキ)とかエアシリンダとかの流体圧シリンダ、望ましくは油圧シリンダからなる複数(四つ)の流体圧シリンダ121が動力系として用いられる。各流体圧シリンダ121については周知のとおり、シリンダ部122とそのシリンダ部122内外に出没するロッド部(ピストンロッドまたはラム)123とを主要部として備えているものである。
【0090】
図9・図10に例示された四つの流体圧シリンダ121は、前述した支持脚体32を利用してその所定部に取り付けられるものである。より具体的には、支持脚体32の上部側にある四角形の枠組部32Xを利用して各流体圧シリンダ121が取り付けられる。そのため、支持脚体32における枠組部32Xの四隅内側(コーナ部分)には、それぞれ取付座32Yが設けられている。これに対する各流体圧シリンダ121は、シリンダ部122が下側かつロッド部123が上側となる縦長姿勢においてそれぞれの取付座32Yにあてがわれているとともに、ボルト・ナットあるいはその他の金具を利用した周知の取付手段でそこに取り付けられている。
【0091】
図9・図10に例示された掻取部材111の各連結片112と各流体圧シリンダ121のロッド部123とはそれぞれ1:1で対応している。しかもこれらは、一例として以下のような態様で互いに連結されている。すなわち、各流体圧シリンダ121におけるロッド部123の上端部が二股形状になっていて、処理容器35外に突出した掻取部材111の各連結片112が各ロッド部123の二股形状部内に嵌り込んでいる。これで互いに重なり合ったロッド部123と連結片112との双方にわたり、周知のロックピン124が嵌め込まれている。かくて掻取部材111の各連結片112と各流体圧シリンダ121のロッド部123とが1:1で連結されているのである。
【0092】
図9・図10の実施形態において説明を省略された処理機械31は、図1〜図5を参照して述べた事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。図9・図10の実施形態におけるその他の事項も、図1〜図5を参照して述べたすべての事項が、技術的互換性の範囲内において採用できるものである。
【0093】
図9・図10に例示された処理機械31については、既述の処理対象物12Aが処理容器35の内周面に付着堆積したとき、以下のようにしてこれを掻取清掃することができるものである。すなわち図9・図10において、図示しない圧力媒体の制御系統を介して四つの各流体圧シリンダ121を同時かつ同調させて稼働させる。このようにすると、各流体圧シリンダ121のロッド部123は、同期同調した速度で各シリンダ部122内から突出したり各シリンダ部122内に没入したりするなど、上下方向にストローク運動することとなる。これにともない、各ロッド部123と連結状態にある掻取部材111も、処理容器35の内周面に沿って上下動するようになる。そして処理容器35の内周面沿いに上下動する掻取部材111が、その上面および/または下面にあるナイフエッジを介して処理容器内周面の付着堆積物を掻き落とす(削ぎ落とす)のである。この掻取清掃はメイン処理が停止状態(回転軸40が停止状態)のときに行うものである。掻取清掃に際して掻取部材111を上下動させる回数すなわちストローク回数は、もちろん最低1回であるが、ストローク回数の上限についてはとくに制限がない。通常は3〜5回のごとき10未満の回数で掻取部材111をストローク運動させることにより、処理容器内周面の付着堆積物をほぼ全部掻き落とすことができる。
【0094】
上述した付着堆積物対策は、リング状掻取部材111の上下動を主体にした掻取清掃機能によるものであるから、円筒形をなす処理容器35の内周面全体を合理的かつ高度に清掃することができる。また、このリング状掻取部材111を上下動させる方式の場合は、既述の回転掻取方式に比して、所定部材の回転支持構成や回転伝導系などが不要になるので、構成が簡潔で処理機械31の構造複雑化が回避できるようになり、その組み立ても容易なる。
【0095】
図3・図4のように固定破砕部材39が内周面に設けられた処理容器35について、これに上記の掻取清掃手段を設けるというときは、たとえば図11のごとく、リング状掻取部材111の所定部にU字状(溝状)に屈曲された衝突回避部113が設けられる。
【0096】
図9・図10に例示された掻取清掃手段については、図1〜図5で説明した移動式処理機械31のほか、非移動式処理機械31やその他の処理機械31にも広く適用できるものである。ちなみに非移動式処理機械31の一例についていうと、それは図1〜図5で説明した移動式処理機械31の走行具34が省略されているもので、支持脚体32における脚33の下端が設置するタイプのものである。
【0097】
図9・図10に例示された掻取清掃手段を装備する実施形態の場合、処理容器35の外側に円筒形の外套(外部円筒)がスリット35Xの部分のカバー用として設けられることもある。あるいは、縦長板状のカバー部材が、処理容器35の各スリット35Xに対応してそれぞれ処理容器35の外側部に取り付けられることがある。この場合の縦長板状のカバー部材は、たとえば円弧形をした縦長板状のものであることが多い。
【0098】
本発明方法や本発明装置に関する上記以外の実施形態として、処理機械31が処理対象物12Aの供給制御手段(供給制御機)が装備されたものを図12〜図14に基づき説明する。
【0099】
既述のとおり、処理機械31で処理対象物12Aを処理するときには、その処理対象物12Aを処理容器35の上部(入口36)から処理容器35内に投入することとなる。これついて、たとえばバックホウのような物給機械21で繰り返し処理対象物12Aを処理容器35内に投入するときは、処理対象物12Aの間欠投入にならざるを得ない。これは定常運転状態にある処理機械31を基準にした場合、処理対象物12Aが投入されるまでの間は実働状態にないので、連続投入処理に比し、処理効率ないし処理能率が低くなりがちである。その一方、処理対象物12Aが処理容器35内に投入されたときは、処理対象物12Aが処理容器35内に一時的に集中するので、処理の際の量的負荷(量的負担)が大きくなる。このような場合には、処理時の量的負荷が大きいときは処理対象物12Aの一部について処理不十分をきたすことがある。
【0100】
このほか、物給機械として周知のベルトコンベアを採用して処理対象物12Aを処理容器35内に連続投入する場合でも、ベルトコンベアによる処理対象物12Aの投入量(供給量)にバラツキが生じたりすると、処理機械31による連続定量処理に困難をきたしたりする。
【0101】
かかる解題を解決するため、図12〜図14に例示された本発明の実施形態では、処理対象物12Aの供給制御機211が処理機械31に設けられているのである。
【0102】
図12〜図14に例示された処理機械31において、供給制御機211は処理容器35の上部すなわち入口36側に装備されている。供給制御機211とこれに関連する構成について以下説明する
【0103】
図12〜図14に例示された供給制御機211は、ケーシング213・一対の供給制御ローラ214A・214B・動力源218・伝導系221などを主体にして構成されているものである。
【0104】
図12・図13を参照して明らかなように、処理機械31における処理容器35の上面には、処理容器35と同様の材料で作られた蓋体212が施されている。この蓋体212の一部、たとえば、ほぼ中央部から外周部にわたる部分(図12の例において左側部)には、ここを一定幅で開口する開口部が形成されており、その開口部分が処理容器35の入口36になっている。蓋体212には、また、上部の軸受41が取り付けられてこの蓋体212により支持されている。
【0105】
図12・図13を参照して明らかなように、処理容器35の入口36上には、四角形で縦型の筒状をなすケーシング213が取り付けられている。これは蓋体212と同材質のケーシング213が溶接・金具止めなど周知の固定手段で蓋体212に組み付けられているものである。ケーシング213は、その内部に並列して配置された一対の供給制御ローラ214A・214Bを回転自在に支持している。より具体的にいうと、両供給制御ローラ214A・214Bの両端面から突出したそれぞれの回転軸215A・215Bがケーシング213の一部を貫通するという態様において、ケーシング213が両供給制御ローラ214A・214Bを両端支持しているのである。
【0106】
上記の両供給制御ローラ214A・214Bは、たとえば鋼製の金属など機械的特性の優れた材質のものからなり、そのローラ周面には破砕用の突起216が形成されているものである。さらに両供給制御ローラ214A・214Bは、平行状態で隣接する周面間に一定した幅の間隔を介在させている。すなわち当該両供給制御ローラ214A・214Bは、これらの周面間に細幅でローラ軸方向沿いに長い供給制御通路217を介在させているのである。かかる供給制御通路217は、水平高速回転状態にある最上段のインパクタ49上に位置して当該インパクタ49の長さ方向に沿うものである。
【0107】
上記の両供給制御ローラ214A・214Bは、また、電動機(モータ)からなる動力源218からの動力を受けて同時かつ等速回転するものである。そのための一部構成として、いずれか一方の供給制御ローラ214A(または214B)における回転軸215A(または215B)が、ケーシング213に取り付けられた動力源218の出力軸219と周知のカップリングで連結されている。両供給制御ローラ214A・214Bの回転軸215A・215Bについては、さらに、複数の歯車220A〜220Dからなる伝導系221が設けられている。すなわちこれは、各歯車220A〜220Dがそれぞれの回転軸215A・215Bや中間軸(符号なし)に取り付けられて互いに噛み合っているのである。もちろんこの伝導系221については、ベルト(Vベルト)伝導系やチェーン伝導系などが採用されてもよい。このようなベルト伝導系やチェーン伝導系の場合は、一例としてたすき掛けにすることが多い。
【0108】
ケーシング213の上部には、図12・図13で明らかなように、既述のホッパ37が取り付けられている。このほかに、処理容器35の外側には、処理容器35と同材質の円筒形の外套(外部円筒)222が設けられている。さらに、図12〜図14における実施形態の処理機械31は、図9・図10で説明した掻取清掃手段をも装備するものである。それで図12・図13の処理機械31(とくに処理容器35を参照)には、リング状の掻取部材111が略示されている。もちろん処理機械31において、図9・図10の掻取清掃手段と図12〜図14の供給制御機構とを併設するか否かについては、自由に選択してよいものである。
【0109】
処理機械31やその他について、図12〜図14の実施形態において説明を省略されたは図1〜図5や図9・図10を参照して述べた事項と実質的に同じか、それに準ずるものである。したがって、図12〜図14の実施形態におけるその他の事項も、図1〜図5や図9・図10を参照して述べたすべての事項が、技術的互換性の範囲内において採用できるものである。
【0110】
図12〜図14に例示された処理機械31は、たとえばバックホウからなる既述の物給機械21で処理対象物12Aを処理容器35内に間欠供給するときに、以下のようにして間断のない連続処理を可能にするものである。すなわち図12・図13例示された処理機械31の場合、電動機55をオンの状態にしてインパクタ49を回転させるだけでなく、動力源218をもオンの状態にして両供給制御ローラ214A・214Bを回転駆動させるものである。
【0111】
処理機械31をかかる運転状態にした後は、たとえば前記と同じく、作業ヤード11の処理対象物12Aを物給機械21のバケット28で掬い取ってこれを処理機械31の処理容器35内へと投入するのである。すなわちバケット28で掬い取った処理対象物12Aを処理容器上部側のホッパ37へと投入するのである。ここでホッパ37内に投入された処理対象物12Aは、これ全部が直ちに処理容器35内へと落下するのでなく、供給制御機211の両供給制御ローラ214A・214B間の供給制御通路217で落下量の量的制限を受けながら、当該制御通路216により許容される量的範囲で落下していくのである。
【0112】
上記においては、第1回目にホッパ37内に投入された処理対象物12Aがすべて供給制御通路217を通過するまでの間に、第2回目の処理対象物12Aがホッパ37内に投入され、第3回目以降も、ホッパ37内の処理対象物途切れが生じない間隔で処理対象物12Aがホッパ37内に順次供給されることとなる。したがって、ホッパ37→供給制御通路217→入口36→処理容器35内のように落下する処理対象物12Aは、処理容器35内において間断のない連続的な落下状態を呈するものとなる。しかもこの際、供給制御通路217を通過する処理対象物12Aは、広くて薄いカーテン状に拡散するので、高速水平回転しているインパクタ49のインパクト力を実質的に阻害することもない。ちなみにバケット28で掬い取った一回量を一挙に処理容器35内に投入する場合についていうと、高速水平回転中のインパクタ49が処理対象物12Aの集中落下荷重を受けて押し下げられてしまうため、十分な打撃処理機能を力を発揮できない事態が起こり得る。一方で処理対象物12Aも、不十分な処理のままショートパスして処理容器35の出口38に至るという不具合が起こり得るのである。これに対し、供給制御通路217を通過することで上記のカーテン状に拡散落下する処理対象物12Aの場合は、高速水平回転中のインパクタ49に大きな負荷(下向きの力)を与えることがなく、かつ、当該インパクタ49により十分にヒッティングされて所定どおりの処理を受けるから、十分に処理されることとなる。
【0113】
上記以外の実施形態としてベルトコンベアを物給機械として用い、これを介して処理対象物12Aを処理容器35内に連続的に投入(供給)することがある。この場合においてベルトコンベアによる処理容器35内への投入量にバラツキの生じたりすると、それに起因して上記インパクタ49に対する負荷が変動し、処理対象物12Aの処理を高度に安定させることが困難になる。このような実施形態の場合も、供給制御機211を経由して処理容器35内に処理対象物12Aを投入するようにすれば、処理容器35に対する処理対象物12Aの投入が安定化し、上記と同様の結果が得られることとなる。
【0114】
図12〜図14の実施形態については上記のとおり、供給制御機211を具備するものであるため、処理機械31による処理対象物12Aの処理を安定させ、十分に処理された処理済物12Cを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明処理方法および本発明処理装置は、処理容器外の処理対象物を処理容器内に取り込んでこれを物理的処理および/または学的処理するというときに、処理作業の簡易化・処理作業の合理化・処理作業の安定性・処理作業の安全性・省スペース・システム構成の簡潔性・保守点検の容易性・設備の移動性・処理精度の維持・設備の低価格・低運転費などを満足させることができる。したがって産業上の利用可能性が高いものである。
【符号の説明】
【0116】
11 作業ヤード
12A 処理対象物
12A1 現地発生土
12A2 土質改良材
12B 処理対象積層物
12C 処理済物
12D 処理済積層物
21 自走式の物給機械
22 走行部
23 走行機台
27 ブーム
28 バケット
31 処理機械
35 処理容器
35a 処理部
36 入口
38 出口
49 インパクタ
50 インパクト部材
61 連結手段
81 物給ポンプ
82 吸引管
85 吐出管
91 自走式車両
93 走行機台
94 機械設置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物が重力落下する過程でその処理対象物を処理すること、および、
処理対象物に対する処理が物理的処理と化学的処理とのうちから選択される一つ以上であること、および、
処理対象物を処理するための手段として、処理容器の上部の入口を有し、処理容器の下部に出口を有し、かつ、処理容器における入口と出口との間に処理部を有する処理機械を用いること、および、
処理容器外の処理対象物を取り込んで処理容器内に供給するための手段として物給機械を用いること
を前提とする処理対象物の処理方法において、
物給機械と処理機械とのうちのから選択された一つ以上の機械が自走機能をも有する自走式ものであること、および、
処理機械による処理作業を開始する前に、処理対象物の積層物からなる処理対象積層物を作業ヤードに形成しておき、その作業ヤードにおける処理対象積層物の近傍に、処理機械と物給機械とを隣接状態で配置しておくこと、および、
処理機械による処理作業を開始したときには、処理対象積層物における処理対象物を物給機械で取り込んで上昇させ、それを物給機械で処理機械の入口から処理機械の処理容器内へと投入し、かつ、その投入された処理対象物を処理機械の処理部で処理しするとともに、この処理で生じた処理済物を処理機械の出口から処理容器外へと排出して処理済物の積層物である処理済積層物を作業ヤードに形成すること、および、
処理対象物の処理を継続するための作業として、処理対象積層物からの処理対象物の取り込み上昇と処理容器内への処理対象物の投入と処理容器処理部での処理対象物の処理とをそれぞれ繰り返し行うこと、および、
この繰り返し作業にともなって生じる処理対象積層物の減少や処理済積層物の成長に対応たせるための並行作業として、物給機械を処理対象積層物の減少方向へシフトさせて物給機械と処理対象積層物との相対間隔を調整すると同時に処理機械も物給機械と同方向へシフトさせて処理機械と処理済積層物との相対間隔を調整すること
を特徴とする処理対象物の処理方法。
【請求項2】
作業ヤードの処理対象積層物として、二種以上の処理対象物を複数段に積層するとともに、その積層状態のものを直線状に延長して長い隆起状に形成しておく請求項1に記載された処理対象物の処理方法。
【請求項3】
処理機械として、水平回転式のインパクタが処理容器の処理部に装備されているものを用いる請求項1または2に記載された処理対象物の処理方法。
【請求項4】
物給機械と処理機械とのうちのいずれか一方が自走式のものであるとともに、その他方が下部に走行具が取り付けられているものであり、この物給機械と処理機械とを連結状態にしてそれをシフト移動させる請求項1〜3のいずれかに記載された処理対象物の処理方法。
【請求項5】
物給機械として揺動自在なブームやそのブームの先端にバケットを有する自走式のものを用い、その自走式物給機械で処理機械を牽引しながら物給機械と処理機械とをシフト移動させる請求項1〜4のいずれかに記載された処理対象物の処理方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載された処理対象物の処理方法に用いための処理装置において、
処理対象物の積層物からなる処理対象積層物が形成された作業ヤードで処理対象積層物の近傍に配置されるもの、かつ、その処理対象積層物から取り込んだ処理対象物を重力落下させつつその処理対象物を物理的処理および/または化学的処理するためのものであって、処理容器の上部に入口、処理容器の下部に出口、処理容器における入口と出口との間に処理部をそれぞれ有する処理機械と、同じく、作業ヤードにおいて処理対象積層物の近傍に配置されるもの、かつ、処理対象積層物における処理対象物を取り込み上昇させてそれを処理機械の入口から処理機械の処理容器内に投入するためのものであって、処理対象物の運搬機構を有する物給機械とを備えていること、および、
物給機械と処理機械とのうちの一つ以上が自走式のものであること、および、
物給機械と処理機械とが互いに隣接して配置されているとともに、物給機械と処理機械とが連結と非連結とのうちのいずれか方式で作業ヤードを走行可能なものであること
を特徴とする処理対象物の処理装置。
【請求項7】
処理機械が、処理容器の処理部に水平回転式のインパクタを装備したものからなる請求項6に記載された処理対象物の処理装置。
【請求項8】
物給機械と処理機械とのうちのいずれか一方が自走式のものであるとともに、その他方が下部に走行具が取り付けられているものであり、この物給機械と処理機械とが連結されている請求項6または7に記載された処理対象物の処理装置。
【請求項9】
物給機械が、揺動自在なブームを有するとともにそのブームの先端にバケットを有する自走式のものからなり、その自走式物給機械により処理機械が牽引されるものである請求項6〜8のいずれかに記載された処理対象物の処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−120956(P2012−120956A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272139(P2010−272139)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000231198)日本国土開発株式会社 (51)
【Fターム(参考)】