説明

処理物送り出し装置

【課題】ブリッジ障害を防止しながら、処理物を確実に送り出すことができ、ホッパー内の気密機能を備える処理物送り出し装置を提供する。
【解決手段】収納される処理物をホッパー11から送り出すための処理物送り出し装置10において、回転軸14に撹拌棒15とスクリューねじ羽根16を装着するスクリュー軸17と、気密シール保持して支持する上方軸受部18と、スクリュー軸17を回動させる駆動部19と、スクリュー軸17の下方端部を貫通孔部21に挿通させて支持する下方軸受部22と、気密保持して下方軸受部22を支持する下方軸受支持室23を備え、遮断弁24を閉じて処理物を投入した後、開放すると共に、ホッパー11内部の外周部に集合する処理物を攪拌棒15で上方に巻き上げて中央部に寄せ集める機構と、中央部に集合する処理物をスクリューねじ羽根16で圧送しながら送り出す機構を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ状に切断したプラスチック細片や、綿状の繊維体等を処理するための処理装置等に送り出すためのホッパーからなる処理物送り出し装置に関し、より詳細には、比重の軽い処理物であっても、処理物の一部がホッパー内に滞留するようなブリッジ障害を発生させることなく、処理物を確実に送り出すことができると共に、例え、ホッパー内部の圧力や、温度等が高くなった場合であっても、ホッパー内の気密を保持できる気密シール機能を備える処理物送り出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホッパーからなる処理物送り出し装置は、ホッパー内に投入される処理物が比較的比重の重い粉粒体等のような場合には、ホッパー内壁の滑り角度を急峻にして材料自体の重みでホッパー内に発生する粉粒体等の材料のブリッジ障害を防止しながら下方から送り出すようにしているのがある。また、従来から、ホッパーからなる処理物送り出し装置には、ホッパー内壁の滑り角度を急峻にすると共に、ホッパー内に立設させて設けるスクリューねじ羽根を取り付けたスクリュー軸を回転させて強制的に下方から送り出すようにしてブリッジ障害を防止している装置もある。
【0003】
しかしながら、上記のようなホッパーからなる処理物送り出し装置は、ホッパー内壁の滑り角度を急峻にすることで、ポッパー内の容積が小さくなるのをカバーするためにホッパーの高さを高くする必要があるので、このようなホッパーを収容する建屋の高さが高くなり、装置自体が高額なものとなって、これで処理される処理物のコストアップとなっている。また、上記のようなホッパーからなる処理物送り出し装置は、ホッパー内に投入される処理物がチップ状に切断したプラスチック細片や、綿状のプラスチック繊維体のような比重の軽い場合には、ホッパー内壁の滑り角度を急峻にしたり、更にはホッパー内に立設させて設けるスクリューねじ羽根を取り付けたスクリュー軸を回転させて強制的に下方から送り出すようにしたとしても、ホッパー上部に処理物が一部滞留するブリッジ障害を防止することができなくなっている。
【0004】
そこで、処理物送り出し装置には、粉粒体ホッパー送り出し機構という考案の名称のもとに、ホッパー内であって、その垂直軸線位置の上位には撹拌部材を取り付けた撹拌軸と、ホッパー出口円筒部に内挿した送り出しスクリュー軸が一直線上に配備してあって、これら2つの軸はそれぞれホッパー外に設けた別個の電動モータと独立して連結してある装置において、前記ホッパー出口円筒部の下端には、これとほぼ同一内径の短円筒体が、この軸線周りに回転自在に接続されており、前記2つの軸はホッパー内において相互に回転自在のカップリングを介して接続してあり、前記出口円筒部に内挿されているスクリュー軸の下端部は、ホッパー内被送り出し物が通過できるに充分な間隙を有する固定部材を介して前記円筒体に固着してあり、かつ、前記短円筒体と連結してあることを特徴とするのが提案されている。そして、上記の粉粒体ホッパー送り出し機構は、ホッパー内被送り出し物が通過できるに充分な間隙を有する部材とは、スクリュー軸に固定されているスクリュー翼の下端部のほぼ一ピッチのスクリュー翼であることを特徴とするのが提案されている。あるいは、上記の粉粒体ホッパー送り出し機構は、ホッパー内被送り出し物が通過できるに充分な間隙を有する部材とは、半径方向の数本のアームであることを特徴とする上記の粉粒体ホッパー送り出し機構であることを特徴とするのが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この考案によれば、小型、大型の装置に関係なく採用でき、スクリュー軸、撹拌軸の芯振れが少なく構造が簡単な粉粒体ホッパー送り出し機構を備えたものを提供することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−7697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したような従来の処理物送り出し装置は、次のような問題がある。
(1)実開昭63−7697号公報で開示されるような処理物送り出し装置は、撹拌軸、及びこれとカップリングを介して連結しているスクリュー軸が上端側の軸受のみで回転自在に固定され、下端側には軸受が存在しないので、処理物の抵抗を受けて、例え、撹拌軸とスクリュー軸の間をカップリングで連結させたとしても撹拌軸、及びスクリュー軸の回動の芯振れを防止することが難しくなっている。
(2)また、実開昭63−7697号公報で開示されるような処理物送り出し装置は、撹拌部材によって処理物のホッパー内でのブリッジを防止することができるとしても、撹拌部材による推力方向がスクリュー翼による推力方向と同じ下方方向であるので、処理物が下方に集中して寄せ集められ、処理物のホッパー出口円筒部からの送り出しが難しくなっている。
(3)更に、実開昭63−7697号公報で開示されるような処理物送り出し装置は、ホッパー内の内部圧力や、温度を保持できる気密機能を有していないので、ホッパー内部の内圧が高くなった場合や、温度が高くなった場合には、これに対応させることができなくなっている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ホッパー内に処理物が滞留するブリッジ障害の発生を防止しながら、処理物を確実に送り出すことができると共に、例え、ホッパー内部の内圧や、温度が高くなった場合であっても、ホッパー内の内部圧力や、温度を保持できる気密機能を備える処理物送り出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う本発明に係る処理物送り出し装置は、ホッパー上部の投入口から投入し気密機能を備える内部に収納される処理物をホッパー下部の排出口部から送り出すための処理物送り出し装置において、処理物送り出し装置は、ホッパー内部の中央で垂直に立設する回転軸に撹拌棒とスクリューねじ羽根を装着して設けるスクリュー軸と、ホッパーの天蓋部から突出して外部に露出するスクリュー軸の上方端部を気密シール保持して回動自在に支持する上方軸受部と、スクリュー軸の上方端部に連結させてスクリュー軸を回動させる駆動部と、スクリュー軸の下方端部をホッパーの下部の排出口部の屈曲する配管途中に設ける貫通孔部に挿通させて支持しながら従動させる下方軸受部と、貫通孔部及び下方軸受部の気密を保持して下方軸受部を支持する下方軸受支持室を備え、排出口部の出口先端部に設ける遮断弁を閉じて投入口から処理物を投入した後、遮断弁を開放すると共に、ホッパー内部に収納されてホッパー内部の外周部に集合する処理物をスクリュー軸の回動による攪拌棒の回動で攪拌しながら上方に巻き上げてホッパー内部の中央部に寄せ集める機構と、ホッパー内部の中央部に集合する処理物を攪拌棒の回動に合わせて回動するスクリューねじ羽根の回動で圧送しながら排出口部に設ける遮断弁を介して送り出す機構を有していることを特徴としている。
【0009】
また、上記の処理物送り出し装置は、スクリュー軸が、回転軸に棒状のアームの一方の端部を支持させ、他方の端部側を軸回転半径方向にホッパー内壁近傍まで突出させ、その先端部から所定のクリアランスを設けてホッパー内壁に沿うように更に延設させて螺旋状に湾曲させる撹拌棒と、回転軸に取り付けるスクリューねじ羽根とで構成され、スクリュー軸の回動で撹拌棒による処理物に作用させる推力方向がスクリューねじ羽根による処理物に作用させる推力方向と逆方向になるように撹拌棒とスクリューねじ羽根を回転軸に取り付けていることを特徴としている。
【0010】
更に、上記の処理物送り出し装置は、ホッパー内壁に棒状体の一方の端部を支持させ、他方の端部側を撹拌棒の回転に対して干渉しない上方位置のホッパーの中央部に水平に延設させると共に、その先端部を回転軸に平行になるようにして上方、又は下方に直角に折り曲げて設ける固定棒を備えていることを特徴としている。
【0011】
また、更に、上記の処理物送り出し装置は、ホッパーの下部の排出口部の屈曲する配管が、ホッパーの底中央部から下方に延設し、延設途中から略S字状の屈曲部を設けてなり、ホッパー内部の中央で垂直に立設する回転軸の下端が当接できる位置の屈曲部に貫通孔部を設けていることを特徴としている。
【0012】
更には、上記の処理物送り出し装置を上下に連結する2連結処理物送り出し装置であって、2連結処理物送り出し装置は、それぞれ上方の第1の処理物送り出し装置の排出口部の出口先端部にボールバブルからなる第1の遮断弁と、下方の第2の処理物送り出し装置の排出口部の出口先端部にボールバブルからなる第2の遮断弁を備え、第1の遮断弁と第2の処理物送り出し装置の投入口との間を連結してなり、第2の処理物送り出し装置の作動時は、第1の遮断弁のボールバブルを閉じ、第2の遮断弁のボールバブルを開放して、第2の処理物送り出し装置内の内部圧力を確保しながら処理物を送り出すと共に、第1の処理物送り出し装置のホッパー内に処理物を投入させる機構と、第2の処理物送り出し装置の停止時は、第2の遮断弁のボールバブルを閉じ、第1の遮断弁のボールバブルを開放して、第1の処理物送り出し装置を作動させて第2の処理物送り出し装置のホッパー内に処理物を送り出す機構を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
上記の処理物送り出し装置は、ホッパー内部の中央で垂直に立設する回転軸に撹拌棒とスクリューねじ羽根を装着して設けるスクリュー軸と、ホッパーの天蓋部から突出して外部に露出するスクリュー軸の上方端部を気密シール保持して回動自在に支持する上方軸受部と、スクリュー軸の上方端部に連結させてスクリュー軸を回動させる駆動部と、スクリュー軸の下方端部をホッパーの下部の排出口部の屈曲する配管途中に設ける貫通孔部に挿通させて支持しながら従動させる下方軸受部と、貫通孔部及び下方軸受部の気密を保持して下方軸受部を支持する下方軸受支持室を備え、排出口部の出口先端部に設ける遮断弁を閉じて投入口から処理物を投入した後、遮断弁を開放すると共に、ホッパー内部に収納されてホッパー内部の外周部に集合する処理物をスクリュー軸の回動による攪拌棒の回動で攪拌しながら上方に巻き上げてホッパー内部の中央部に寄せ集める機構と、ホッパー内部の中央部に集合する処理物を攪拌棒の回動に合わせて回動するスクリューねじ羽根の回動で圧送しながら排出口部に設ける遮断弁を介して送り出す機構を有しているので、スクリュー軸を上方軸受部と下方軸受部で軸受し、スクリュー軸が処理物の抵抗を受けたとしても、スクリュー軸の芯振れを防止して効率的、且つ確実に処理物を送り出すことができる。また、この処理物送り出し装置は、ホッパー内部の外周部に集合する処理物をスクリュー軸の回動による攪拌棒の回動で攪拌しながら上方に巻き上げてホッパー内部の中央部に寄せ集めることができると共に、ホッパー内部の中央部に集合する処理物を攪拌棒の回動に合わせて回動するスクリューねじ羽根の回動で排出口部に設ける遮断弁を介して送り出すことができるので、例え、処理物が比重の軽いものであっても、ホッパー上方に処理物が一部滞留するブリッジ障害を確実に防止できると共に、排出口部に処理物を集中させることなく、効率的に処理物を送り出すことができる。更に、この処理物送り出し装置は、ホッパー内の内部圧力や、温度を保持できる構造を備えているので、ホッパー内の内圧が高くなった場合や、温度が高くなった場合であっても、気密機能を損なうことなく容易に対応させることができる。
【0014】
特に、上記の処理物送り出し装置は、スクリュー軸が、回転軸に棒状のアームの一方の端部を支持させ、他方の端部側を軸回転半径方向にホッパー内壁近傍まで突出させ、その先端部から所定のクリアランスを設けてホッパー内壁に沿うように更に延設させて螺旋状に湾曲させる撹拌棒と、回転軸に取り付けるスクリューねじ羽根とで構成され、スクリュー軸の回動で撹拌棒による処理物に作用させる推力方向がスクリューねじ羽根による処理物に作用させる推力方向と逆方向になるように撹拌棒とスクリューねじ羽根を回転軸に取り付けているので、攪拌棒の回動で攪拌しながら上方への推力を得ることができ、ホッパー内部の外周部に集合する処理物を効率的、且つ確実に上方へ巻き上げてホッパー内部の中央部に寄せ集めることができると共に、スクリューねじ羽根の回動で下方への推力を得ることができ、処理物を排出口部に設ける遮断弁を介して、例え、処理物が比重の軽いものであっても、ホッパー上部に処理物が一部滞留するブリッジ障害を確実に防止しながら、効率的に処理物を送り出すことができる。
【0015】
また、特に、上記の処理物送り出し装置は、ホッパー内壁に棒状体の一方の端部を支持させ、他方の端部側を撹拌棒の回転に対して干渉しない上方位置のホッパーの中央部に水平に延設させると共に、その先端部を回転軸に平行になるようにして上方、又は下方に直角に折り曲げて設ける固定棒を備えているので、処理物が綿状の繊維体のような場合には、処理物が撹拌棒にまとわりついて絡みつく、所謂、処理物の絡み付きを防止することができ、チップ状に切断したプラスチック細片のような場合には、処理物をそのまま通過させることができ、効率的に処理物を送り出すことができる。
【0016】
更に、特に、上記の処理物送り出し装置は、ホッパーの下部の排出口部の屈曲する配管が、ホッパーの底中央部から下方に延設し、延設途中から略S字状の屈曲部を設けてなり、ホッパー内部の中央で垂直に立設する回転軸の下端が当接できる位置の屈曲部に貫通孔部を設けているので、処理物の排出口部からの送り出しに障害を与えることなく下方軸受部を設けることができ、スクリュー軸が処理物の抵抗を受けたとしても、スクリュー軸の芯振れを防止して効率的、且つ確実に処理物を送り出すことができる。
【0017】
更には、上記の処理物送り出し装置を上下に連結する2連結処理物送り出し装置であって、2連結処理物送り出し装置は、それぞれ上方の第1の処理物送り出し装置の排出口部の出口先端部にボールバブルからなる第1の遮断弁と、下方の第2の処理物送り出し装置の排出口部の出口先端部にボールバブルからなる第2の遮断弁を備え、第1の遮断弁と第2の処理物送り出し装置の投入口との間を連結してなり、第2の処理物送り出し装置の作動時は、第1の遮断弁のボールバブルを閉じ、第2の遮断弁のボールバブルを開放して、第2の処理物送り出し装置内の内部圧力を確保しながら処理物を送り出すと共に、第1の処理物送り出し装置のホッパー内に処理物を投入させる機構と、第2の処理物送り出し装置の停止時は、第2の遮断弁のボールバブルを閉じ、第1の遮断弁のボールバブルを開放して、第1の処理物送り出し装置を作動させて第2の処理物送り出し装置のホッパー内に処理物を送り出す機構を有しているので、例えば、処理物を送り出す先の処理物処理装置内に高圧や、高温が発生する装置であっても、第2の処理物送り出し装置の内部を所望レベルの高圧や、高温に維持させながら処理物を送り出すことができ、処理物を送り出す先の処理物処理装置の機能低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係る処理物送り出し装置の説明図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ同処理物送り出し装置のスクリュー軸の説明図である。
【図3】同処理物送り出し装置を上下に連結する2連結処理物送り出し装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る処理物送り出し装置10は、ホッパー11上部に設ける投入口12から投入して内部に収納されるチップ状に切断したプラスチック細片や、綿状の繊維体等の処理物(図示せず)をホッパー11下部の排出口部13から送り出すためのものである。また、この処理物送り出し装置10は、ホッパー11内の内圧が高くなった場合であっても、気密機能を備える構造となっている。この処理物送り出し装置10で用いられるホッパー11は、特に、その大きさを限定するものではなく送り出すに必要な処理物の量で決められている。また、この処理物送り出し装置10で用いられるホッパー11は、特に、その形状を限定するものではないが、通常、天蓋部から1/2程度の上方部が円筒状体からなり、そこから下方部が下方に15〜25°程度の傾斜角を備える漏斗状体となっている。なお、上記の処理物送り出し装置10には、通常、投入口12に気密機能を備える開閉自在からなる蓋体が設けることができる。
【0020】
この処理物送り出し装置10は、ホッパー11内部の中央の中心線上で垂直に立設する回転軸14に撹拌棒15と、スクリューねじ羽根16を装着して設けるスクリュー軸17を備えている。この撹拌棒15は、回転軸14に支持された棒状のアームがホッパー11内壁近傍まで延設され、更に、内壁に沿って螺旋状に延設されているもので、ホッパー11内の外周部の処理物を撹拌して上方に巻き上げることができるようになっている。この撹拌棒15は、ホッパー11の円筒状体と漏斗状体の境界辺りから下方の漏斗状体部に、1、又は所定の間隔を設けて連続する複数個が設けられている。なお、この撹拌棒15は、所定の間隔を設けて連続する複数個が設けられる場合には、ホッパー11の漏斗状体の直径が下方に行くほど小さくなるので、それぞれの大きさが下方に行くほど小さくなっている。一方、スクリューねじ羽根16は、回転軸14の外周部に螺旋状に取り付けられているもので、ホッパー11内の中心部の処理物を巻き込むようにして圧送しながら下方へ送り込むことができるようになっている。このスクリューねじ羽根16は、上記の撹拌棒15と同様に、ホッパー11の円筒状体と漏斗状体の境界線辺りから下方の漏斗状体部に、同一外形寸法の所定のねじピッチで回転軸14の外周を螺旋状に周回するように設けられている。また、スクリューねじ羽根16は、下端部をホッパー11下部の排出口部13の入口開口部分に差し込むようにして設けられている。
【0021】
この処理物送り出し装置10は、ホッパー11の天蓋部から突出して外部に露出するスクリュー軸17の上方端部を保持して回動自在に支持する上方軸受部18を備えている。この上方軸受部18は、気密にシールできる機能を有してスクリュー軸17を保持できるようになっている。また、上記の処理物送り出し装置10は、スクリュー軸17の上方端部に連結させてスクリュー軸17を回動させる駆動部19を備えている。この駆動部19は、例えば、モーター20を駆動力とし、モーター20とスクリュー軸17の間を連結させてモーター20の回動でスクリュー軸17を回動させることができるようになっている。
【0022】
この処理物送り出し装置10は、スクリュー軸17の下方端部をホッパー11の下部の排出口部13の屈曲する配管途中に設ける貫通孔部21に挿通させて支持しながら従動させるスクリュー軸17の下方軸受部22を備えている。この下方軸受部22には、通常、略メンテナンスフリーとなるドライベアリングが用いられている。また、上記の処理物送り出し装置10は、この下方軸受部22及び貫通孔部21の気密を保持して下方軸受部22を支持する下方軸受支持室23を備えている。そして、この処理物送り出し装置10は、スクリュー軸17を上方軸受部18と、下方軸受部22で支持して、スクリュー軸17に芯振れを発生させることなく回動させることができて効率的に処理物を送り出すことができると共に、芯振れによるシール機能の低下も防止することができる。
【0023】
上記の処理物送り出し装置10では、排出口部13の出口先端部に設ける気密シール性の高いボールバブル等からなる遮断弁24を閉じて、投入口12から処理物を投入した後、遮断弁24を開放している。この遮断弁24の開放と共に、処理物送り出し装置10は、ホッパー11内部に収納されてホッパー11内部の外周部に集合する処理物を、スクリュー軸17の回動による撹拌棒15の回動で撹拌しながら上方に巻き上げてホッパー11内部の中央部に寄せ集める機構を有している。処理物送り出し装置10は、この機構によって、例え、処理物が比重の軽いものであっても、ホッパー11上方に処理物が一部滞留するブリッジ障害を確実に防止することができる。
【0024】
また、上記の処理物送り出し装置10は、ホッパー11内部に収納されてホッパー11内部の中央部に集合する処理物を、撹拌棒15の回動に合わせて回動するスクリューねじ羽根16の回動で圧送しながら、排出口部13に設ける遮断弁24を介して送り出す機構を有している。処理物送り出し装置10は、この機構によって、排出口部13に処理物を集中させることなく、効率的に処理物を送り出すことができる。
【0025】
次いで、図2(A)、(B)を参照しながら上記の処理物送り出し装置10に用いられるスクリュー軸17を説明する。ここで、図2(A)は、処理物送り出し装置10に用いられるスクリュー軸17の正面図であり、図2(B)は、図2(A)に示すスクリュー軸17を90°回動させたときの正面図である。
図2(A)に示すように、上記の処理物送り出し装置10に用いられるスクリュー軸17は、撹拌棒15を構成するための金属製の棒状のアームの一方の端部を回転軸14に固定し支持させ、他方の端部側を軸回転半径方向にホッパー11内壁近傍まで突出させ、更に、その先端部からホッパー11内壁との間に所定のクリアランスを設けてホッパー内壁に沿うように延設させて螺旋状に湾曲させる撹拌棒15と、回転軸14に取り付けるスクリューねじ羽根16とで構成されているのがよい。そして、上記の処理物送り出し装置10に用いられるスクリュー軸17は、スクリュー軸17の回動で撹拌棒15による処理物に作用させる推力方向が、スクリューねじ羽根16による処理物に作用させる推力方向と逆方向になるように撹拌棒15とスクリューねじ羽根16を回転軸14に取り付けているのがよい。
【0026】
図2(B)に示すように、上記の処理物送り出し装置10は、通常のスクリュー軸17の回転方向に対して撹拌棒15が棒状のアームの螺旋状に湾曲させた他方の端部側の先端が最後になるようにして回転することで、上方向推力を発生させている。これと同時に、上記の処理物送り出し装置10は、スクリュー軸17の回転方向に対してスクリューねじ羽根16が回転することで、下方向推力を発生させている。これによって、上記の処理物送り出し装置10は、スクリュー軸17の回動による撹拌棒15と、スクリューねじ羽根16の回動で、ホッパー11内部に収納された処理物の中で、ホッパー11内部の外周部に収納された処理物を攪拌棒15で攪拌しながら上方へ巻き上げて、ホッパー11内部の中央部に寄せ集めることができると共に、ホッパー11内部の中央部に収納及び寄せ集められる処理物をスクリューねじ羽根16で下方に圧送させながら、送り出すことができるようになっている。
【0027】
上記の処理物送り出し装置10は、ホッパー11内壁に金属製の棒状体の一方の端部を固定して支持させ、この棒状体の他方の端部側を撹拌棒15に近接する上方で撹拌棒15の回転に対して干渉しない位置のホッパー11の中央部に水平に延設させると共に、その先端部を回転軸14に平行になるようにして上方、又は下方に直角に折り曲げて設ける固定棒25を備えているのがよい。この固定棒25は、撹拌棒15を複数個設ける場合には、それぞれの撹拌棒15に対して近接する上方位置になるような位置にそれぞれ設けるのがよい。これによって、上記の処理物送り出し装置10は、処理物が綿状の繊維体のような場合には、固定棒25で処理物が撹拌棒15にまとわりついて絡みつくのを防いで、撹拌棒15が処理物で団子状態となるのを防止することができるので、例え、処理物が綿状の繊維体のような場合であっても、効率的に処理物を送り出すことができるようになっている。
【0028】
上記の処理物送り出し装置10は、ホッパー11の下部の排出口部13の屈曲する配管が、ホッパー11の底中央部から下方に延設し、延設途中から略S字状の屈曲部を設けてなり、ホッパー11内部の中央で垂直に立設する回転軸14の下端が当接できる位置の屈曲部に貫通孔部21を設けているのがよい。これによって、上記の処理物送り出し装置10は、略S字状の屈曲部を設ける配管に貫通孔部21を設けて、そこに回転軸14を挿通させて下方軸受部22、及び下方軸受支持室23を配管の外部に設けることができ、スクリュー軸17の回動で撹拌棒15や、スクリューねじ羽根16に処理物の抵抗を受けたとしても、スクリュー軸17の芯振れを防止できると共に、処理物の排出口部13からの送り出しに障害を与えることなく効率的、且つ確実に処理物を送り出すことができるようになっている。
【0029】
図3に示すように、上記の処理物送り出し装置10を上下に連結する2連結処理物送り出し装置30は、上下に連結する上方の第1の処理物送り出し装置10aが、前記した処理物送り出し装置10と同様の装置からなり、第1の処理物送り出し装置10aの排出口部13aの出口先端部にはボールバブルからなる第1の遮断弁24aを備えている。また、2連結処理物送り出し装置30は、上下に連結する下方の第2の処理物送り出し装置10bが、前記した処理物送り出し装置10と同様の装置からなり、第2の処理物送り出し装置10bの排出口部13bの出口先端部にボールバブルからなる第2の遮断弁24bを備えている。そして、2連結処理物送り出し装置30は、第1の処理物送り出し装置10aの第1の遮断弁24aと、第2の処理物送り出し装置10bの投入口12bとを連結して構成されている。
【0030】
そして、この2連結処理物送り出し装置30は、第2の処理物送り出し装置10bの作動時は、第1の処理物送り出し装置10aの第1の遮断弁24aのボールバブルを閉じ、第2の遮断弁24bのボールバブルを開放して、第2の処理物送り出し装置10bのホッパー11b内の内部圧力を確保しながら第2の処理物送り出し装置10bのホッパー11b内に収納された処理物をスクリュー軸17bの回動による撹拌棒15bや、スクリューねじ羽根16bの回動で送り出すと共に、第1の処理物送り出し装置10aの投入口12aからホッパー11a内に処理物を投入させる機構を有している。また、この2連結処理物送り出し装置30は、第2の処理物送り出し装置10bの停止時は、第2の遮断弁24bのボールバブルを閉じ、第1の処理物送り出し装置10aの第1の遮断弁24aのボールバブルを開放して、第1の処理物送り出し装置10aを作動させて第2の処理物送り出し装置10bのホッパー11b内に処理物を送り出す機構を有している。この2連結処理物送り出し装置30は、処理物を送り出す先の処理物処理装置に高圧や、高温が発生し、その影響が2連結処理物送り出し装置30内におよんだとしても、内部を所望レベルの高圧や、高温に維持させながら処理物を送り出すことができるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、チップ状に切断したプラスチック細片や、綿状の繊維体等を再生処理するための処理装置に送り出すことができる気密シール機能を備えた処理物送り出し装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
10:処理物送り出し装置、10a:第1の処理物送り出し装置、10b:第2の処理物送り出し装置、11、11a、11b:ホッパー、12、12a、12b:投入口、13、13a、13b:排出口部、14:回転軸、15、15b:撹拌棒、16、16b:スクリューねじ羽根、17、17b:スクリュー軸、18:上方軸受部、19:駆動部、20:モーター、21:貫通孔部、22:下方軸受部、23:下方軸受支持室、24:遮断弁、25:固定棒、30:2連結処理物送り出し装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパー上部の投入口から投入し気密機能を備える内部に収納される処理物を前記ホッパー下部の排出口部から送り出すための処理物送り出し装置において、
前記処理物送り出し装置は、前記ホッパー内部の中央で垂直に立設する回転軸に撹拌棒とスクリューねじ羽根を装着して設けるスクリュー軸と、前記ホッパーの天蓋部から突出して外部に露出する前記スクリュー軸の上方端部を気密シール保持して回動自在に支持する上方軸受部と、前記スクリュー軸の前記上方端部に連結させて前記スクリュー軸を回動させる駆動部と、前記スクリュー軸の下方端部を前記ホッパーの下部の排出口部の屈曲する配管途中に設ける貫通孔部に挿通させて支持しながら従動させる下方軸受部と、前記貫通孔部及び前記下方軸受部の気密を保持して前記下方軸受部を支持する下方軸受支持室を備え、
前記排出口部の出口先端部に設ける遮断弁を閉じて前記投入口から前記処理物を投入した後、前記遮断弁を開放すると共に、前記ホッパー内部に収納されて前記ホッパー内部の外周部に集合する前記処理物を前記スクリュー軸の回動による前記攪拌棒の回動で攪拌しながら上方に巻き上げて前記ホッパー内部の中央部に寄せ集める機構と、前記ホッパー内部の中央部に集合する前記処理物を前記攪拌棒の回動に合わせて回動する前記スクリューねじ羽根の回動で圧送しながら前記排出口部に設ける前記遮断弁を介して送り出す機構を有していることを特徴とする処理物送り出し装置。
【請求項2】
請求項1記載の処理物送り出し装置は、前記スクリュー軸が、前記回転軸に棒状のアームの一方の端部を支持させ、他方の端部側を軸回転半径方向に前記ホッパー内壁近傍まで突出させ、その先端部から所定のクリアランスを設けて前記ホッパー内壁に沿うように更に延設させて螺旋状に湾曲させる前記撹拌棒と、前記回転軸に取り付ける前記スクリューねじ羽根とで構成され、前記スクリュー軸の回動で前記撹拌棒による前記処理物に作用させる推力方向が前記スクリューねじ羽根による前記処理物に作用させる前記推力方向と逆方向になるように前記撹拌棒と前記スクリューねじ羽根を前記回転軸に取り付けていることを特徴とする処理物送り出し装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の処理物送り出し装置は、前記ホッパー内壁に棒状体の一方の端部を支持させ、他方の端部側を前記撹拌棒の回転に対して干渉しない上方位置の前記ホッパーの中央部に水平に延設させると共に、その先端部を前記回転軸に平行になるようにして上方、又は下方に直角に折り曲げて設ける固定棒を備えていることを特徴とする処理物送り出し装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載の処理物送り出し装置は、前記ホッパーの下部の前記排出口部の屈曲する前記配管が、前記ホッパーの底中央部から下方に延設し、延設途中から略S字状の屈曲部を設けてなり、前記ホッパー内部の中央で垂直に立設する前記回転軸の下端が当接できる位置の前記屈曲部に前記貫通孔部を設けていることを特徴とする処理物送り出し装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の処理物送り出し装置を上下に連結する2連結処理物送り出し装置であって、
前記2連結処理物送り出し装置は、それぞれ上方の第1の処理物送り出し装置の前記排出口部の出口先端部にボールバブルからなる第1の遮断弁と、下方の第2の処理物送り出し装置の前記排出口部の出口先端部に前記ボールバブルからなる第2の遮断弁を備え、前記第1の遮断弁と前記第2の処理物送り出し装置の前記投入口との間を連結してなり、前記第2の処理物送り出し装置の作動時は、前記第1の遮断弁の前記ボールバブルを閉じ、前記第2の遮断弁の前記ボールバブルを開放して、前記第2の処理物送り出し装置内の内部圧力を確保しながら前記処理物を送り出すと共に、前記第1の処理物送り出し装置の前記ホッパー内に前記処理物を投入させる機構と、前記第2の処理物送り出し装置の停止時は、前記第2の遮断弁の前記ボールバブルを閉じ、前記第1の遮断弁の前記ボールバブルを開放して、前記第1の処理物送り出し装置を作動させて前記第2の処理物送り出し装置の前記ホッパー内に前記処理物を送り出す機構を有していることを特徴とする2連結処理物送り出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−100166(P2013−100166A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244995(P2011−244995)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【特許番号】特許第5033274号(P5033274)
【特許公報発行日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(306017047)株式会社サンテック (2)
【Fターム(参考)】