説明

列車停止位置検出方法及び列車停止位置検出装置

【課題】列車のオーバーランなどを含む状況下で、列車の先端又は後端の位置を検出できる列車停止位置検出方法及び列車停止位置検出装置を提供すること。
【解決手段】
駅のプラットホームに停止した列車2の進行方向前方から前方カメラCFを用いて当該列車2の先頭部分2Fを撮像すると共に、進行方向後方から後方カメラCRを用いて当該列車2の後尾部分2Rを撮像する。列車2の先頭部分2Fが撮像された画像を基にプラットホームに対する当該先頭部分2Fの位置を検出し、又は列車2の後尾部分2Rが撮像された画像を基にプラットホームに対する当該後尾部分2Rの位置を検出する。このように検出した列車の先頭部分2Fの位置、又は後尾部分2Rの位置を基に、列車2のプラットホーム上の停止位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車の停止位置を検出する列車停止位置検出方法、及び列車停止位置検出装置に関し、特に、カメラを用いて撮像した列車の撮像画像を基に当該列車の停止位置を検出する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、駅のプラットホームに入線してきた列車は、プラットホーム上に予め設定された基準停止位置に停止し、その後、乗客が乗り降りするために列車扉の開閉が行われる。
しかしながら、様々な原因により列車が基準停止位置を超えた位置に停止したり(このことをオーバーランと呼ぶ)、基準停止位置に達せずに停止したり(このことを手前停車と呼ぶ)する状況が発生する。斯かるオーバーランなどの状況が発生した場合、乗客がスムーズに乗降できないなどの不都合が発生することは言うまでもない。
【0003】
このオーバーランや手前停車などの異常停止状況は、可及的速やかに列車の運転士、車掌、駅係員に通達する必要があるが、現状では、正常停止、異常停止を問わず列車の停止位置を認識するのは、駅係員などの目視(人手)に頼らざるを得ないのが現状である。
ところで、近年、新幹線及び在来線や地下鉄などにおいては、乗客のプラットホームからの転落や列車との接触事故の防止などを目的とした安全対策の一つとして、プラットホーム上に可動柵やホームドアが設置されるようになってきている。
【0004】
このような可動柵及びホームドアにおいては、基準停止位置に停止した列車の扉の位置にあわせてドアが設けられているので、列車を確実に基準停止位置に停止させるとともに、ホームドアの開閉にあたっては、列車が基準停止位置又はその前後の許容される範囲内に停止しているのか否かの判断が要求される。斯かる判断も、駅係員などの目視(人手)に頼らざるを得ないのが現状である。
【0005】
そこで、本願出願人らは、特許文献1のような技術を既に開発している。
特許文献1は、移動体の位置を検出するための位置検出装置であって、前記移動体の画像を当該移動体の背景の画像とともに撮像可能なように設置された画像センサと、前記画像センサによって撮像された、前記移動体が写っていない画像であるベース画像と、前記移動体が写った画像である検出用画像とを比較することにより、前記移動体の位置(特に、先頭位置)を検出する位置検出部と、を有してなる位置検出装置を開示する。
【0006】
この技術を用いることで、列車の検知位置を知ることができ、ホームドアの開閉の支援や、オーバーランなどの異常停止状況の自動認識を行うことが可能となる。
また、特許文献2には、特許文献1とは別の方法で列車の停止位置を算出する技術が開示されている。
特許文献2は、プラットホームの基準位置に対する列車の停止位置を算出する列車停止位置算出システムであって、駅のプラットホームに到着した列車の列車側機器と駅側に配置された駅側機器との間で通信を行う通信手段と、上記プラットホームの基準位置及び上記列車の基準位置のいずれか一方に配置され、位置算出用信号を発信する信号発信手段と、上記プラットホームの基準位置及び上記列車の基準位置の他方に配置され、上記信号発信手段が発信した位置算出用信号を検出する信号検出手段と、上記通信手段を使用して、上記信号発信手段に位置算出用信号を発信させてから上記信号検出手段で該位置算出用信号が検出されるまでの遅延時間を計測するとともに、該遅延時間に基づいて、上記信号発信手段及び上記信号検出手段間の距離を求めることで上記プラットホームの基準位置に対する上記列車の停止位置を算出する列車停止位置算出手段とを備えていることを特徴とする列車停止位置算出システムを開示する。
【0007】
特許文献2は、この位置算出用信号(超音波)を用いた列車停止位置算出システムよって、列車の停止位置を広い範囲で精度良く算出でき、柔軟に列車停止位置のずれに対応できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−298501号公報
【特許文献2】特開2007−276533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のとおり、列車の停止位置を検出する技術が特許文献1及び特許文献2に開示されているが、特許文献1に記載された技術のように、カメラ(画像センサ)がほぼ真下を向くように配置されていては、カメラ単一の視野を広くとることができず、その視野は狭いものとなる。また、カメラが列車進行方向に対してほぼ真下を向いていると、列車がプラットホーム上の基準停止位置で停止せずカメラの下を通り過ぎた後は、当該列車の先頭部分がカメラの狭い視野から外れてしまい、当該先頭部分の位置を検出できなくなる可能性を否めない。
【0010】
また、特許文献2に記載された技術のように、超音波(位置算出用信号)を用いて列車の停止位置を算出する場合、プラットホームに設置された超音波発信器と列車に備えられた超音波検出器との配置に制約がある。
超音波が確実に送受信されるためには、超音波発信器から超音波検出器までの距離は数メートル以内に留めなければならず、さらに、超音波の指向性を考慮すると超音波発信器と超音波検出器は互いにほぼ正面で向かい合わなくてはならない。従って、超音波発信器から超音波検出器までの距離、すなわち有効検出距離は、せいぜい数m程度となる。
【0011】
しかし、列車のオーバーランは10mを超えることが少なからずあり、20m以上にも及ぶオーバーランが実際に報告されている。この逆に、列車が基準停止位置よりも大幅に手前に停止する場合もある。これもオーバーランと同様に数10mに及ぶ実例がある。つまり、特許文献1と同様に、プラットホーム上の基準停止位置前後の数10mを有効な検出距離の範囲としてしていなければならないという問題がある。
【0012】
さらに、特許文献2に記載の列車停止位置算出システムは、停止位置の算出に必要な機器を、駅側だけでなく列車側にも備えなくてはならない。特許文献2の技術を導入するために全ての列車に当該機器を設置すると、非常に多額の設置費用が必要となるだけでなく、駅側の機器と列車側の機器の両方に対する保守管理が必要となり、そのための費用及び手間は無視できないほど大きなものとなる。
【0013】
これに加えて、複数の鉄道事業者が相互に乗り入れする駅では、必要な機器が設置されていない列車が入線する場合も考えられるので、特許文献2の技術を実際に採用するのは非常に困難であると言わざるを得ない。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、プラットホーム上の基準停止位置前後の数10mを有効な停止位置検出範囲とする列車停止位置検出方法及び列車停止位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明の列車停止位置検出方法は、駅のホームに停止した列車の進行方向前方から前方カメラを用いて前記列車の先頭部分を撮像すると共に、進行方向後方から後方カメラを用いて前記列車の後尾部分を撮像し、前記先頭部分が撮像された画像を基に前記ホームに対する当該先頭部分の位置を検出し、又は前記後尾部分が撮像された画像を基に前記ホームに対する当該後尾部分の位置を検出することを特徴とする。
【0015】
ここで、前記検出された先頭部分の位置又は後尾部分の位置を用いて、前記ホーム上の基準停止位置から前記列車が実際に停止した位置までのずれを検出してもよい。
また、前記列車側から当該列車の編成情報を取得し、前記取得した編成情報を基に、複数台設けられた前記前方カメラ及び後方カメラから、前記列車の先頭部分の撮像に用いる前方カメラと前記列車の後尾部分の撮像に用いる後方カメラとを選択し、前記選択された前方カメラ及び後方カメラを用いて前記列車の先頭部分と前記列車の後尾部分を撮像してもよい。
【0016】
さらに、前記前方カメラが撮像した画像を基に列車の先頭部分の位置が検出できなかったときは、後方カメラが撮像した画像を基に列車の後尾部分の位置を検出し、前記後方カメラが撮像した画像を基に列車の後尾部分の位置が検出できなかったときは、前方カメラが撮像した画像を基に列車の先頭部分の位置を検出してもよい。
本発明の列車停止位置検出装置は、駅のホームに停止した列車の進行方向前方から前記列車の先頭部分を撮像する少なくとも1つの前方カメラと、前記列車の進行方向後方から前記列車の後尾部分を撮像する少なくとも1つの後方カメラと、前記前方カメラが撮像した前記列車の先頭部分の画像を基に、前記ホームに対する当該先頭部分の位置を検出し、又は前記後方カメラが撮像した前記列車の後尾部分の画像を基に、前記ホームに対する当該後尾部分の位置を検出する停止位置判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
ここで、前記停止位置判定手段は、前記検出された先頭部分の位置又は後尾部分の位置を用いて、前記ホーム上の基準停止位置から、前記列車が実際に停止した位置までのずれを検出するように構成されていてもよい。
また、列車停止位置検出装置は、前記前方カメラと後方カメラをそれぞれ複数備えると共に、前記列車の編成情報を取得する編成情報取得手段と、前記編成情報取得手段が取得した列車の編成情報を基に、複数台の前記前方カメラ及び後方カメラから、列車の先頭部分の撮像に用いる前方カメラと列車の後尾部分の撮像に用いる後方カメラとを選択するカメラ選択手段と、を備えていてもよい。
【0018】
さらに、前記停止位置判定手段は、前記前方カメラが撮像した画像を基に列車の先頭部分の位置が検出できなかったときは、後方カメラが撮像した画像を基に前記列車の後尾部分の位置を検出し、後方カメラが撮像した画像を基に前記列車の後尾部分の位置が検出できなかったときは、前方カメラが撮像した画像を基に前記列車の先頭部分の位置を検出するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、列車のオーバーランなどを含む状況下で、列車の先端又は後端の位置を検出できる列車停止位置検出方法及び列車停止位置検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態による列車停止位置検出装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態による列車停止位置検出装置における、前方カメラの撮像画像と前方カメラの撮像画像とを示す図であり、(a)は、列車が基準停止位置に停止したときの画像、(b)は、列車が基準停止位置をオーバーランして停止したときの画像、(c)は、列車が基準停止位置の手前で手前停車したときの画像である。
【図3】本発明の第2実施形態において、プラットホームに停止した異なる車両編成の列車と前方カメラ及び後方カメラとの位置関係を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態による列車停止位置検出装置の構成を示す概略図である。
【図5】本発明の第2実施形態による列車停止位置検出方法の処理フローを示す図である。
【図6】本発明の第1及び第2実施形態によるプラットホームの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
(第1実施形態)
図1を参照しながら、本発明の第1実施形態による列車停止位置検出装置1について説明する。図1は、本実施形態による列車停止位置検出装置1の構成を示す概略図であり、列車を側方から見たときの各構成要素の配置を概略的に示している。
【0022】
図1に示すように、列車停止位置検出装置1は、駅のプラットホーム(ホーム)に停止した列車2の先頭車両2Fを含む先頭部分(前部)を列車進行方向の前方から後方に向かって撮像するための前方カメラCFと、列車2の最後尾車両2Rを含む後尾部分(後部)を列車進行方向の後方から前方に向かって撮像するための後方カメラCRと、前方カメラCF及び後方カメラCRが撮像した画像を取り込んで処理し列車2の停止位置を判定する総合制御盤3と、を含んで構成されている。プラットホーム上には、図6に示すような可動柵20(又はホームドア)が設置されており、乗客は、可動柵20(又はホームドア)のドア21の位置から列車2に乗降する。
【0023】
なお、以下の説明において、可動柵20(又はホームドア)に備えられた開閉可能な扉のことを「ドア21」と表記し、列車2に備えられた乗り降り用の扉のことを「扉22」と表記する。
図1において、列車2は、先頭車両2Fの前端(先頭車両2Fの前面下端)位置F’がプラットホーム上の前方基準停止位置Fと一致するように停止している(以下、この状態を「列車2が基準停止位置に停止した」状態という)。つまり、列車2が基準停止位置に停止すると、先頭車両2Fの前端位置F’がプラットホーム上の前方基準停止位置Fに一致し、最後尾車両2Rの後端位置R’がプラットホーム上の後方基準停止位置Rに一致する。基準停止位置とは、プラットホーム上に予め設定された列車2の停止位置であって、列車2が当該基準停止位置に停止したときに、当該列車2の扉22の位置が、可動柵20(又はホームドア)のドア21の位置に列車進行方向において一致するように設定されている。
【0024】
従って、オーバーランや手前停車などの異常停止によって、列車2の前端位置R’が前方基準停止位置Rからずれているなど、列車2が基準停止位置からずれて停止していると、列車2の扉22の位置が可動柵20(又はホームドア)のドア21の位置からずれてしまい、乗客がスムーズに乗降できないなどの不都合が発生する。
列車停止位置検出装置1の前方カメラCFは、例えばカラーCCD等を搭載したカメラ(カラービデオカメラ等)で構成されており、CCD上に像を結ぶための撮像レンズを有している。
【0025】
この前方カメラCFは、前方基準停止位置Fに対応し、当該前方基準停止位置Fの略上方に設けられている。具体的には、線路(軌道)のほぼ真上、且つ前方基準停止位置Fから列車進行方向に沿って例えば約1m前方の位置で、プラットホームに設けられた屋根23(図6参照)の下面に設置されている。このような位置に設置された前方カメラCFは、図1に示すように、基準停止位置に停止した列車2の先頭車両2Fの前方斜め上方に位置することになる。
【0026】
この前方カメラCFの撮像レンズを、視野内に少なくとも先頭車両2Fを収めることができるように、列車後方に向ける。このとき、図1において破線で示すように、前方カメラCFの視野の上下方向における下限で、前方カメラCFの直下、つまり前方基準停止位置Fより約1m前方位置にある線路を捕らえ、視野の上下方向における上限で、先頭車両2Fの後端(後面下端部)又は当該後端より後方を捕らえるように前方カメラCFの撮像レンズの向きが固定される。
【0027】
このように、前方カメラCFの視野の上下方向における下限で前方基準停止位置Fより約1m前方位置にある線路を捉えると、先頭車両2F前方ほど大きく捉えられるために画像分解能が高くなり、前方基準停止位置Fの近傍での画像分解能を高く維持することができる。
なお、このような前方カメラCFにおいて、時刻や天候に応じて露出量を最適化する自動露出機構が備えられると好ましい。前方カメラCFは、この自動露出機構によって、一日を通して輝度値の変動の小さな安定した撮像を行うことができる。
【0028】
列車停止位置検出装置1の後方カメラCRは、前方カメラCFとほぼ同様の構成を有しているが、その設置位置は前方カメラCFと異なるので、以下に説明する。
後方カメラCRは、後方基準停止位置Rに対応し、当該後方基準停止位置Rの略上方に設けられている。具体的には、線路(軌道)のほぼ真上、且つ後方基準停止位置Rから列車進行方向において例えば約1m後方の位置で、プラットホームに設けられた屋根23(図6参照)の下面に設置されている。このような位置に設置された後方カメラCRは、図1に示すように、基準停止位置に停止した列車2の最後尾車両2Rの後方斜め上方に位置することになる。
【0029】
この後方カメラCRの撮像レンズを、視野内に少なくとも最後尾車両2Rを収めることができるように、列車2に向ける。このとき、図1において破線で示すように、後方カメラCRの視野の上下方向における下限で、後方カメラCRの直下、つまり最後尾車両2Rの後端より約1m後方位置にある線路を捉え、視野の上下方向における上限で、最後尾車両2Rの前端又は当該前端より前方を捉えるように後方カメラCRの撮像レンズの向きが固定される。
【0030】
このように、後方カメラCRの視野の上下方向における下限で最後尾車両2Rの後端より約1m後方位置にある線路を捉えると、最後尾車両2R後方ほど大きく捉えられるために画像分解能が高くなり、基準停止位置で列車2が停止したときの最後尾車両2Rの後端(後方基準停止位置R)近傍での画像分解能を高く維持することができる。
なお、このような後方カメラCRにおいても、前方カメラCFと同様に自動露出機構が備えられると好ましいことは言うまでもない。
【0031】
上記のように前方カメラCF及び後方カメラCRを設置すると、列車2が基準停止位置に停止したときに、前方カメラCFは先頭車両2Fの1両分を視野に収め、後方カメラCRは最後尾車両2Rの1両分を視野に収めることができる。このようにすれば、列車2が、車両1両分(約20m)基準停止位置を超えて(オーバーランして)停止しても、最後尾車両2Rの後端が後方カメラCRの視野外に出ることはない。また、列車2が、車両1両分基準停止位置の手前で停止(手前停車)しても、先頭車両2Fの前端が前方カメラCFの視野外に出ることはない。
【0032】
つまり、基準停止位置の前後それぞれ約20mの範囲において、少なくとも先頭車両2Fの前端又は最後尾車両2Rの後端を、前方カメラCF又は後方カメラCRで捉えることができる。このように、例えば前方基準停止位置Fを約20m超えてオーバーランした場合と前方基準停止位置Fの約20m手前で停止した場合とを含んで40m程度の視野を確保することのできる列車停止位置検出装置1は、背景技術の章で紹介した特許文献1及び特許文献2に開示の技術では実現困難である。
【0033】
次に、前方カメラCF及び後方カメラCRを制御すると共に、前方カメラCF及び後方カメラCRが撮像した画像を取り込んで処理し列車2の停止位置を判定する総合制御盤3について説明する。
総合制御盤3は、前方カメラCF及び後方カメラCRが撮像した画像を取り込む画像取込装置4と、取り込んだ画像に対して画像処理を施す画像処理装置5と、画像処理装置5によって処理された画像に基づいて列車2の停止位置を判定する停止位置判定装置6(停止位置判定手段)と、を備えている。
【0034】
画像取込装置4は、フレームメモリを備え、前方カメラCF及び後方カメラCRが撮像した2次元のフレーム画像(例えば、640ピクセル×480ピクセル)を蓄積する。
画像処理装置5は、画像取込装置4に取り込まれたフレーム画像に対して画像処理を施して、前方カメラCFが撮像したフレーム画像から列車2の先頭車両2Fの前端を検出し、後方カメラCRが撮像したフレーム画像から列車2の最後尾車両2Rの後端を検出する。
【0035】
このときに施される画像処理には、周知の画像処理手法を用いればよい。例えば、フレーム画像の各ピクセルの輝度値に対してある閾値を用いて二値化処理を施すことで列車2の前端及び後端を検出してもよいし、フレーム画像のカラー情報(RGB輝度値)を基に列車2の色を抽出し、列車2の色と背景色の境界線を識別することで列車2の前端及び後端を検出してもよい。
【0036】
なお、上述の画像処理によって先頭車両2Fの前面下端(前端)及び最後尾車両2Rの後面下端(後端)を検出したが、これに限らず、先頭車両2Fの前面及び最後尾車両2Rの後面に設けられた前照灯や標識灯を検出してもよい。
停止位置判定装置6は、画像処理装置5によって検出された列車2の前端及び後端の画像上の座標値、又は先頭車両2Fの前面及び最後尾車両2Rの後面に設けられた前照灯や標識灯の画像上の座標値に対応するプラットホーム上での位置を検出し、列車2の停止位置の前方基準停止位置F又は後方基準停止位置Rに対するずれ(距離)を算出する。
【0037】
例えば、列車前端の画像上での座標値に対応するプラットホーム上での位置を検出すると、検出した位置と前方基準停止位置Fとを比較して、検出した位置から前方基準停止位置Fまでの距離を算出する。また、列車後端の画像上での座標値に対応するプラットホーム上での位置を検出すると、検出した位置と後方基準停止位置Rとを比較して、検出した位置から後方基準停止位置Rまでの距離を算出する。このように算出した距離を基準停止位置からのずれとして判定する。
【0038】
図2を参照して、上述した列車停止位置検出装置1の動作(列車停止位置検出方法)について説明する。
図2は、本実施形態による列車停止位置検出装置1における、前方カメラCFの撮像画像(前方カメラ画像)と後方カメラCRの撮像画像(後方カメラ画像)とを示す図であり、(a)は、列車2が基準停止位置に停止したときの画像、(b)は、列車2がオーバーランし基準停止位置を超えて停止したときの画像、(c)は、列車2が基準停止位置の手前で手前停車したときの画像である。図2において「F’」で示す位置が、先頭車両2Fの前端位置であり、後方カメラ画像において「R’」で示す位置が、最後尾車両2Rの後端位置である。
【0039】
まず、列車2がプラットホームに停止すると、総合制御盤3の画像取込装置4は、前方カメラCF及び後方カメラCRを用いて列車2を撮像し、前方カメラ画像及び後方カメラ画像を取り込む。画像処理装置5は、画像取込装置4が取り込んだ前方カメラ画像及び後方カメラ画像に対して上述の画像処理を施し、先頭車両2Fの前端及び最後尾車両2Rの後端を検出する。
【0040】
(i)画像取込装置4が取り込んだ前方カメラ画像及び後方カメラ画像が、図2(a)に示す画像であれば、先頭車両2Fの前端及び最後尾車両2Rの後端が撮像されているので、画像処理装置5によって、先頭車両2Fの前端及び最後尾車両2Rの後端をともに検出することができる。
停止位置判定装置6は、検出された先頭車両2Fの前端及び最後尾車両2Rの後端のいずれか一方、本実施形態においては先頭車両2Fの前端の画像上の座標値に対応するプラットホーム上での前端位置F’を検出し、検出した先頭車両2Fの前端位置F’の前方基準停止位置Fに対するずれ(F〜F’)を算出し、列車2のプラットホーム上の位置を得る。
【0041】
図2(a)において、列車2は基準停止位置にほぼ一致して停止しているので、列車2の停止位置の前方基準停止位置Fに対するずれ量(距離)は略0mと算出される。最後尾車両2Rの後端位置R’を用いて列車2の停止位置の後方基準停止位置Rに対するずれを求めても、同様に後方基準停止位置Rに対するずれ量(距離)は略0mと算出される。
(ii)画像取込装置4が取り込んだ前方カメラ画像及び後方カメラ画像が、図2(b)に示す画像であれば、先頭車両2Fの前端は前方カメラ画像のフレーム外にあるものの、最後尾車両2Rの後端が後方カメラ画像の左端に撮像されているので、画像処理装置5によって、最後尾車両2Rの後端を検出することができる。
【0042】
停止位置判定装置6は、検出された最後尾車両2Rの後端の画像上の座標値に対応するプラットホーム上での後端位置R’を検出し、上述の方法で最後尾車両2Rの後端位置R’から後方基準停止位置Rまでのずれ(R〜R’)を算出する。図2(b)において、算出されたずれ量(距離)が20mであった場合、列車2のオーバーランの距離を、例えば正の値で+20mと表示することができる。
【0043】
(iii)画像取込装置4が取り込んだ前方カメラ画像及び後方カメラ画像が、図2(c)に示す画像であれば、最後尾車両2Rの後端は後方カメラ画像のフレーム外にあるものの、先頭車両2Fの前端が前方カメラ画像の右端に撮像されているので、画像処理装置5によって、先頭車両2Fの前端を検出することができる。
停止位置判定装置6は、検出された先頭車両2Fの前端の画像上の座標値に対応するプラットホーム上での前端位置F’を検出し、上述の方法で先頭車両2Fの前端位置F’から前方基準停止位置Fまでのずれ(F〜F’)を算出する。図2(c)において、算出されたずれ量(距離)が20mであった場合、列車2の手前停車の距離を、例えば負の値で−20mと表示することができる。
【0044】
以上に述べたような本発明の第1実施形態による列車停止位置検出装置1及び列車停止位置検出方法によって、基準停止位置の前後それぞれ約20mの範囲において、常に列車2の端部を捉えて列車2の停止位置を検出することができる。
(第2実施形態)
図3及び図4を参照しながら、本発明の第2実施形態による列車停止位置検出装置7について説明する。
【0045】
図3は、本実施形態において、プラットホームに停止した異なる車両編成の列車と前方カメラ及び後方カメラとの位置関係を示す図である。図4は、本実施形態による列車停止位置検出装置7の構成を示す概略図である。
まず図3を参照しながら、本実施形態の列車停止位置検出装置7が適用される環境について説明する。本実施形態では、ある一つのプラットホームに異なる車両編成の列車が停止する場合を想定している。
【0046】
図3に示すように、7両編成、5両編成、4両編成の3つの異なる編成の列車が、同一のプラットホームに停止する。プラットホーム上には、各編成の列車に対して前方基準停止位置及び後方基準停止位置がそれぞれ2つずつ設けられている。7両編成の列車8に対する7両編成前方基準停止位置F1はプラットホームの最も左側(列車進行方向における最も前方側)に設けられており、右側に向かって順に、5両編成の列車9と4両編成の列車10とに共通の5両/4両編成前方基準停止位置F2、4両編成の列車10に対する4両編成後方基準停止位置R1、7両編成の列車8と5両編成の列車9とに共通の7両/5両編成後方基準停止位置R2が設けられている。
【0047】
図3に示す通り、上述の基準停止位置に従って、7両編成の列車8は、長さ方向の中央位置をプラットホームの長さ方向の中央位置にほぼ一致させて停止する。5両編成の列車9は、7両編成の列車8と、最後尾車両の後端を共通の後方基準停止位置で一致させて停止する。また、4両編成の列車10は、5両編成の列車9と、先頭車両の前端を共通の前方基準停止位置で一致させてプラットホームのほぼ中央位置に停止する。
【0048】
このように設けられた各基準停止位置に対して、各列車を撮像する前方カメラ及び後方カメラが設置される。後述する第1前方カメラCF1は、7両編成前方基準停止位置F1の上方に設置され、7両編成の列車の先頭車両を撮像する。後述する第2前方カメラCF2は、5両/4両編成前方基準停止位置F2の上方に設置され、5両編成又は4両編成の列車の先頭車両を撮像する。後述する第1後方カメラCR1は、4両編成後方基準停止位置R1の上方に設置され、4両編成の列車の最後尾車両を撮像する。また、後述する第2後方カメラCR2は、7両/5両編成後方基準停止位置R2の上方に設置され、7両編成又は5両編成の列車の最後尾車両を撮像する。
【0049】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、前方カメラ、後方カメラ、及び総合制御盤によって列車停止位置検出装置7が構成される。しかし、上述のように、異なる車両編成の列車がプラットホームに停止する場合においても列車の停止位置を正確に検出できるように、一部の構成が第1実施形態による列車停止位置検出装置3とは異なっている。
図4を参照しながら、その異なる点について以下説明する。
【0050】
本実施形態による列車停止位置検出装置7は、第1実施形態における前方カメラCFと同様の構成を有する第1前方カメラCF1及び第2前方カメラCF2を有している。
図4に示すように、第1前方カメラCF1は、7両編成前方基準停止位置F1に対応して、当該停止位置の略上方に設置されている。具体的には、線路(軌道)のほぼ真上、且つ7両編成前方基準停止位置F1から列車進行方向に沿って例えば約1m前方の位置で、プラットホームに設けられた屋根23(図6参照)の下に設置されている。このような位置に設置された第1前方カメラCF1は、7両編成前方基準停止位置F1に停止した7両編成の列車8の先頭車両の前方斜め上方に位置することになる。
【0051】
第1実施形態と同様に、この第1前方カメラCF1の撮像レンズを、視野内に少なくとも先頭車両を収めることができるように7両編成の列車8に向け、第1前方カメラCF1を固定する。
第2前方カメラCF2は、5両/4両編成前方基準停止位置F2に対応して、当該停止位置の略上方に設置されている。具体的には、線路のほぼ真上、且つ5両/4両編成前方基準停止位置F2から列車進行方向に沿って例えば約1m前方の位置で、プラットホームに設けられた屋根23の下に設置されている。このような位置に設置された第2前方カメラCF2は、5両/4両編成前方基準停止位置F2に停止した5両編成又は4両編成の列車の先頭車両の前方斜め上方に位置することになる。
【0052】
第1前方カメラCF1と同様に、この第2前方カメラCF2の撮像レンズを、視野内に少なくとも先頭車両を収めることができるように5両編成又は4両編成の列車に向け、第2前方カメラCF2を固定する。
なお、このような前方カメラにおいて、時刻や天候に応じて露出量を最適化する自動露出機構が備えられると好ましい。前方カメラは、この自動露出機構によって、一日を通して輝度値の変動の小さな安定した撮像を行うことができる。
【0053】
また、列車停止位置検出装置7は、第1実施形態における後方カメラCRと同様の構成を有する第1後方カメラCR1及び第2後方カメラCR2を有している。
図4に示すように、第1後方カメラCR1は、4両編成後方基準停止位置R1に対応して、当該停止位置の略上方に設置されている。具体的には、線路のほぼ真上、且つ4両編成後方基準停止位置R1から列車進行方向において例えば約1m後方の位置で、プラットホームに設けられた屋根23の下に設置されている。このような位置に設置された第1後方カメラCR1は、4両編成前方基準停止位置に停止した4両編成の列車10の最後尾車両の後方斜め上方に位置することになる。
【0054】
第1実施形態と同様に、この第1後方カメラCR1の撮像レンズを、視野内に少なくとも最後尾車両を収めることができるように4両編成の列車10に向け、第1後方カメラCR1を固定する。
第2後方カメラCR2は、7両/5両編成後方基準停止位置R2に対応して、当該停止位置の略上方に設置されている。具体的には、線路のほぼ真上、且つ7両/5両編成後方基準停止位置R2から列車進行方向において例えば約1m程度後方の位置で、プラットホームに設けられた屋根23の下に設置されている。このような位置に設置された第2後方カメラCR2は、7両/5両編成前方基準停止位置に停止した7両編成又は5両編成の列車の最後尾車両の後方斜め上方に位置することになる。
【0055】
第1後方カメラCR1と同様に、この第2後方カメラCR2の撮像レンズを、視野内に少なくとも最後尾車両を収めることができるように7両編成又は5両編成の列車に向け、第2後方カメラCR2を固定する。
なお、このような後方カメラにおいても、前方カメラと同様に自動露出機構が備えられると好ましいことは言うまでもない。
【0056】
図4に示すとおり、列車進行方向においてプラットホーム後方には、先頭車両の側面に取り付けられたRFID(Radio Frequency IDentification)タグ11と通信するためのRFIDアンテナ12が設けられている。RFIDタグ11は、ICチップ及びアンテナで構成される無線タグと、ICチップに書き込まれたIDを非接触で読み書き可能な無線タグリーダ・ライタとから構成され、列車の車両数や編成番号などの列車編成情報を保持すると共に、当該列車編成情報を含む信号を送信するものである。このRFIDタグ11は、無線通信に例えばUHF帯無線を用いるものであり、通信に指向性を有するものである。
【0057】
上述のRFIDタグ11から送信された信号を受信するRFIDアンテナ12が、プラットホームの後端側、つまり、列車進行方向において第1後方カメラCR1及び第2カメラの近傍、又は第2カメラよりもプラットホームの後端側に配置される。このような位置において、RFIDアンテナ12は、先頭車両に取り付けられたRFIDタグ11とほぼ同じ高さとなる位置に設置される。
【0058】
次に、図4を参照しながら、第1,第2前方カメラCF1,CF2及び第1,第2後方カメラCR1,CR2を制御すると共に、第1,第2前方カメラCF1,CF2及び第1,第2後方カメラCR1,CR2が撮像した画像を取り込んで処理し列車の停止位置を判定する総合制御盤13について説明する。
総合制御盤13は、RFIDアンテナ12が受信した列車編成情報を含む信号を読み取る(取得する)RFID読取装置14と、RFID読取装置14が取得した列車編成情報を解析する列車編成データ解析装置15と、列車編成データ解析装置15が解析した列車編成情報を基に、使用する前方カメラ及び後方カメラを選択して切り換えるカメラ切替装置16と、カメラ切替装置16によって選択された第1,第2前方カメラCF1,CF2及び第1,第2後方カメラCR1,CR2が撮像した画像を取り込む画像取込装置17と、取り込んだ画像に対して画像処理を施す画像処理装置18と、画像処理装置18によって処理された画像に基づいて列車の停止位置を判定する停止位置判定装置19(停止位置判定手段)と、を備えている。
【0059】
RFID読取装置14は、列車の先頭車両に取り付けられたRFIDタグ11が有する列車編成情報を含む信号をRFIDアンテナ12によって受信し、読み取る(取得する)。
列車編成データ解析装置(編成情報取得手段)15は、RFID読取装置14が取得した列車編成情報を解析し、列車の車両数などを検出する。
【0060】
カメラ切替装置(カメラ選択手段)16は、列車編成データ解析装置15が検出した列車の車両数を基に、使用する前方カメラ及び後方カメラを選択して切り換える。
図3を参照しながら説明すると、例えば、列車編成データ解析装置15が検出した車両数が5両であった場合、入線する5両編成の列車9に対する基準停止位置の両端は、5両/4両編成前方基準停止位置F2と7両/5両編成後方基準停止位置R2であるので、カメラ切替装置16は、それぞれの基準停止位置に対応した第2前方カメラCF2と第2後方カメラCR2を用いることを選択する。
【0061】
画像取込装置17は、フレームメモリを備え、カメラ切替装置16により選択された第2前方カメラCF2及び第2後方カメラCR2が撮像した5両編成の列車9の2次元フレーム画像(例えば、640ピクセル×480ピクセル)を蓄積する。
画像処理装置18は、画像取込装置17に取り込まれたフレーム画像に対して画像処理を施して、第2前方カメラCF2が撮像したフレーム画像から当該5両編成の列車9の先頭車両の前端を検出し、第2後方カメラCR2が撮像したフレーム画像から当該5両編成の列車9の最後尾車両の後端を検出する。
【0062】
このときに施される画像処理は、第1実施形態と同様に、周知の画像処理手法を用いればよい。
停止位置判定装置19は、画像処理装置18によって検出された5両編成の列車9の前端及び後端の画像上の座標値、又は先頭車両の前面及び最後尾車両の後面に設けられた前照灯や標識灯の画像上の座標値に対応するプラットホーム上での位置を検出し、列車の停止位置の5両/4両編成前方基準停止位置F2又は7両/5両編成後方基準停止位置R2に対するずれ(距離)を算出する。
【0063】
例えば、5両編成の列車9前端の座標値に対応するプラットホーム上での前端位置を検出すると、検出した前端位置と前方基準停止位置F2とを比較して、検出した前端位置から前方基準停止位置F2までの距離を算出する。また、5両編成の列車の後端の座標値に対応するプラットホーム上での後端位置を検出すると、検出した後端位置と後方基準停止位置R2とを比較して、検出した後端位置から後方基準停止位置R2までの距離を算出する。
【0064】
図5を参照して、様々な車両編成の列車に対する列車停止位置検出装置7の動作(列車停止位置検出方法)について説明する。図5は、本実施形態による列車停止位置検出方法の処理フローを示す図である。
まず、ステップS1において、プラットホームへの列車の進入を検知する。
ステップS1でプラットホームへの列車の進入が検知されたとき、ステップS2において、RFID読取装置14は、列車の先頭車両に取り付けられたRFIDタグ11が有する列車編成情報を含む信号をRFIDアンテナ12によって受信し、読み取る(取得する)。
【0065】
ステップS3において列車編成データ解析装置15は、RFID読取装置14が取得した列車編成情報を解析し、進入した列車の車両数などを検出する。
ステップS3で検出した車両数が7両であった場合、ステップS4に進んで、カメラ切替装置16は、第1前方カメラCF1と第2後方カメラCR2を列車を撮像するカメラとして選択する。
【0066】
ステップS3で検出した車両数が5両であった場合、ステップS5に進んで、カメラ切替装置16は、第2前方カメラCF2と第2後方カメラCR2を列車を撮像するカメラとして選択する。
ステップS3で検出した車両数が4両であった場合、ステップS6に進んで、カメラ切替装置16は、第2前方カメラCF2と第1後方カメラCR1を列車を撮像するカメラとして選択する。
【0067】
ステップS4〜ステップS6のいずれかのステップで前方カメラと後方カメラを選択した後、列車が停止すると、ステップS7に進んで、画像取込装置17は、カメラ切替装置16により選択された前方カメラ及び後方カメラが撮像した2次元のフレーム画像を撮像し蓄積する。
ステップS7の後、ステップS8において、画像処理装置18は、画像取込装置17に取り込まれたフレーム画像に対して画像処理を施して、前方カメラが撮像したフレーム画像(前方カメラ画像)から列車の先頭車両の前端を検出し、後方カメラが撮像したフレーム画像(後方カメラ画像)から列車の最後尾車両の後端を検出する。
【0068】
ステップS8の後、停止位置判定装置19は、ステップS9において、列車がオーバーランしているか否かを判定する。前方カメラ画像から先頭車両の前端を検出できず後方カメラ画像から最後尾車両の後端を検出した場合、停止位置判定装置19は、列車がオーバーランして停止したと判断し、処理をステップS10に進める。
ステップS10において、停止位置判定装置19は、最後尾車両の後端を検出した後方カメラ画像から、最後尾車両の後端の位置を検出し、列車の停止位置を検出する。
【0069】
ステップS9において、前方カメラ画像から先頭車両の前端を検出した場合、停止位置判定装置19は、列車がオーバーランせずに停止したと判断し、処理をステップS11に進める。
ステップS11において、停止位置判定装置19は、先頭車両の前端を検出した前方カメラ画像から、先頭車両の前端の位置を検出し、列車の停止位置を算出する。
【0070】
このようにステップS10又はステップS11で列車の停止位置を検出して、本実施形態による列車停止位置検出方法である上記一連の処理を終了する。
以上に述べた第2実施形態によれば、
複数のカメラを用いてそれぞれ列車編成に対応した異なる視野で撮像することにより、停止位置の検出に必要な画像分解能を確保しながら、停止した列車を広い視野内に捉える事が出来る。また、列車の方向に向けてカメラを設置し撮像しているので、常に列車端部を捉える事が出来る。
【0071】
前方カメラは、手前停止した列車の先頭車両を撮像可能であり、かつ基準停止位置付近での停止に対して近距離で撮像できるため、撮像画像における高い画像分解能を確保できる。また、後方カメラは、前方カメラとは逆にオーバーランした列車の最後尾車両を撮像可能であり、かつ基準停止位置付近での停止に対して近距離で撮像できるため、撮像画像における高い画像分解能を確保できる。
【0072】
同一プラットホームに車両数の異なる編成の列車が入線する場合、プラットホーム上での停止位置が、列車の編成によって大きく異なるため、各編成における停止位置に合わせて前方カメラまたは後方カメラを複数台配置した。これによって、入線する全ての編成の列車に対して停止位置を正確に検出することができる。
最後に、列車の先頭車両に取り付けられたRFIDタグ11とRFID読取装置14との間の列車編成情報の送受信手段をRFID方式としたので、当該タグや読取装置の設置及び保守管理を極めて簡便かつ低コストで運用することができる。
【0073】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【符号の説明】
【0074】
1,7 列車停止位置検出装置
2,8,9,10 列車
F 先頭車両
R 最後尾車両
3,13 総合制御盤
4,17 画像取込装置
5,18画像処理装置
6,19 停止位置判定装置
11 RFIDタグ
12 RFIDアンテナ
14 RFID読取装置
15 列車編成データ解析装置
16 カメラ切替装置
20 可動柵
21 ドア
22 扉
23 屋根
CF 前方カメラ
CR 後方カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅のホームに停止した列車の進行方向前方から前方カメラを用いて前記列車の先頭部分を撮像すると共に、進行方向後方から後方カメラを用いて前記列車の後尾部分を撮像し、
前記先頭部分が撮像された画像を基に前記ホームに対する当該先頭部分の位置を検出し、又は前記後尾部分が撮像された画像を基に前記ホームに対する当該後尾部分の位置を検出することを特徴とする列車停止位置検出方法。
【請求項2】
前記検出された先頭部分の位置又は後尾部分の位置を用いて、前記ホーム上の基準停止位置から前記列車が実際に停止した位置までのずれを検出することを特徴とする請求項1に記載の列車停止位置検出方法。
【請求項3】
前記列車側から当該列車の編成情報を取得し、
前記取得した編成情報を基に、複数台設けられた前記前方カメラ及び後方カメラから、前記列車の先頭部分の撮像に用いる前方カメラと前記列車の後尾部分の撮像に用いる後方カメラとを選択し、
前記選択された前方カメラ及び後方カメラを用いて前記列車の先頭部分と前記列車の後尾部分を撮像することを特徴とする請求項1又は2に記載の列車停止位置検出方法。
【請求項4】
前記前方カメラが撮像した画像を基に列車の先頭部分の位置が検出できなかったときは、後方カメラが撮像した画像を基に列車の後尾部分の位置を検出し、
前記後方カメラが撮像した画像を基に列車の後尾部分の位置が検出できなかったときは、前方カメラが撮像した画像を基に列車の先頭部分の位置を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の列車停止位置検出方法。
【請求項5】
駅のホームに停止した列車の進行方向前方から前記列車の先頭部分を撮像する少なくとも1つの前方カメラと、
前記列車の進行方向後方から前記列車の後尾部分を撮像する少なくとも1つの後方カメラと、
前記前方カメラが撮像した前記列車の先頭部分の画像を基に、前記ホームに対する当該先頭部分の位置を検出し、又は前記後方カメラが撮像した前記列車の後尾部分の画像を基に、前記ホームに対する当該後尾部分の位置を検出する停止位置判定手段と、を備えることを特徴とする列車停止位置検出装置。
【請求項6】
前記停止位置判定手段は、
前記検出された先頭部分の位置又は後尾部分の位置を用いて、前記ホーム上の基準停止位置から、前記列車が実際に停止した位置までのずれを検出するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の列車停止位置検出装置。
【請求項7】
前記前方カメラと後方カメラをそれぞれ複数備えると共に、
前記列車の編成情報を取得する編成情報取得手段と、
前記編成情報取得手段が取得した列車の編成情報を基に、複数台の前記前方カメラ及び後方カメラから、列車の先頭部分の撮像に用いる前方カメラと列車の後尾部分の撮像に用いる後方カメラとを選択するカメラ選択手段と、を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の列車停止位置検出装置。
【請求項8】
前記停止位置判定手段は、
前記前方カメラが撮像した画像を基に列車の先頭部分の位置が検出できなかったときは、後方カメラが撮像した画像を基に前記列車の後尾部分の位置を検出し、
後方カメラが撮像した画像を基に前記列車の後尾部分の位置が検出できなかったときは、前方カメラが撮像した画像を基に前記列車の先頭部分の位置を検出するように構成されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の列車停止位置検出装置。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−66617(P2012−66617A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210937(P2010−210937)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】