説明

判断システムおよび判断方法

【課題】検出率の向上させ誤検出率を低下させた判断システムを提供する。
【解決手段】検出データについて、各自一の判断をする5つ以上の判断要素を有し、判断要素は、単独で、または直列系または並列系に結合して各自一の判断をする5つの判断モジュール131A〜Eをなし、5つの判断モジュールは、第1判断モジュールと第2判断モジュールとが直列系に結合して一の判断をする第一判断系132、第1判断モジュールと第3判断モジュールと第5判断モジュールとが直列系に結合して一の判断をする第二判断系133、第2判断モジュールと第3判断モジュールと第4判断モジュールとが直列系に結合して一の判断をする第三判断系134、第4判断モジュールと前記第5判断モジュールとが直列系に結合して一の判断をする第四判断系135をなし、判断系は並列系に結合136して一の総合判断をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判断システムおよび判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、事故の事後検証などのためにロボットや自動車などの移動体にセンサを搭載して、移動体の周囲環境のデータを検出し記録しておくことが一般的となっている。
【0003】
従来は、記録した膨大なデータから事故発生前後のデータを高い確実性をもって取り出すために、2つの判断、すなわち、加速度センサによる判断とマイクロフォンによる判断とを冗長化し、双方とも危険と判断したときのみ該データを不揮発性メモリに転記していた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−199204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、車載用の判断システムにおいては、さらに高い確実性が要求される。上記従来技術のように複数のセンサによる危険判断を単に直列系(AND)で結合して冗長化していくと、誤検出率は低下するが検出率も低下するという問題がある。一方、事故判断を単に並列系(OR)で結合して冗長化していくと、検出率は増大するが誤検出率も増大するという問題がある。
【0006】
さらに、判断要素の単なる多重化による冗長化は、コストの増大、システムの重量および体積の増大、システム全体の信頼性の低下、複雑化、ターンアラウンドタイムの増大を招くという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る判断システムは、1つ以上の検出器で取得したデータについて、それぞれ一の判断をする5つ以上の判断要素を有する。判断要素は、単独で、または、直列系および並列系のいずれかもしくは両方に結合することで、それぞれ一の判断をする5つの判断モジュールをなす。5つの判断モジュールは、第1判断モジュールと第2判断モジュールとを直列系に結合して一の判断をする第一判断系と、第1判断モジュールと第3判断モジュールと第5判断モジュールとを直列系に結合して一の判断をする第二判断系と、第2判断モジュールと前記第3判断モジュールと第4判断モジュールとを直列系に結合して一の判断をする第三判断系と、第4判断モジュールと第5判断モジュールとを直列系に結合して一の判断をする第四判断系と、をなす。第一判断系、第二判断系、第三判断系、第四判断系は、並列系に結合して一の総合判断をする。
【0008】
また、本発明に係る判断方法は、1つ以上の検出器で、それぞれデータを取得するデータ取得段階と、データについて、5つ以上の判断要素が、それぞれ一の判断をする第一判断段階と、判断要素が単独で、または、直列系および並列系のいずれかもしくは両方に結合されてなる5つの判断モジュールでそれぞれ一の判断をする第二判断段階と、5つの判断モジュールのうち、第1判断モジュールと第2判断モジュールとを直列系に結合してなる第一判断系、第1判断モジュールと第3判断モジュールと第5判断モジュールとを直列系に結合してなる第二判断系、第2判断モジュールと第3判断モジュールと第4判断モジュールとを直列系に結合してなる第三判断系、第4判断モジュールと第5判断モジュールとを直列系に結合してなる第四判断系、がそれぞれ一の判断をする第三判断段階と、第一判断系、第二判断系、第三判断系、第四判断系、が並列系に結合して一の判断をする総合判断段階と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る判断システムおよび判断方法によれば、5つ以上の判断要素による判断を、直列系および並列系結合の各長所を発揮するように相補的に結合することで、移動体の危険等の検出率を向上させるとともに誤検出率を低下させることができる。
【0010】
また、冗長化のための判断要素を少なくとも5つに低減することで、判断要素の多重化によるコストの増大、システムの重量および体積の増大、システム全体の信頼性の低下、複雑化、ターンアラウンドタイムの増大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一実施形態に係る判断システムを示す機能ブロック図である。
【図2】1つの検出器で検出したデータについてそれぞれ一の判断をする2つの判断要素の機能を示すフローチャートとその具体例を示す図である。
【図3】1つの検出器で検出したデータについて一の判断をする1つの判断要素の機能を示すフローチャートとその具体例を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部を構成する論理演算を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る判断システムの、システム全体検出率の判断要素単体検出率依存性の計算結果を示す図である。
【図6】2つの判断信号を直列冗長系と並列冗長系でそれぞれ結合したときの検出率および誤動作率の判断要素単体検出率依存性を示す図である。
【図7】理想的な判断システムの特性を説明するための説明図である。
【図8】2次元、3次元、5次元、7次元のシステム全体検出率の判断要素単体検出率依存性の計算結果を示す図である。
【図9】本発明の第一実施形態に係る判断方法のフローチャートを示す図である。
【図10】ステレオカメラによる障害物と移動体との距離の計算の原理を説明するための説明図である。
【図11】ステレオカメラによる障害物と移動体との距離のバックマッチングについて説明するための説明図である。
【図12】本発明の第二実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。
【図13】本発明の第三実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。
【図14】本発明の第四実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。
【図15】本発明の第五実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。
【図16】本発明の第六実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。
【図17】本発明の第七実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。
【図18】本発明の第八実施形態に係る判断方法のフローチャートの一部を示す図である。
【図19】各判断モジュールから出力される判断信号の出力速度の相対関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る判断システムおよび判断方法について詳細に説明する。
【0013】
なお、以下の実施形態においては、移動体の危険判断の用途として本発明に係る判断システムおよび判断方法を説明するが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は設備の一つとして設置し、セキュリティに関する異常判断にも適用されうる。また、移動体の緊急停止の判断としても適用しうる。
【0014】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る判断システムを示す機能ブロック図である。
【0015】
まず、本実施形態に係る判断システムの構成および機能について、図1を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る判断システム10は、ステレオカメラ100、加速度センサ110、ブレーキ動作スイッチセンサ120、計算機およびコンピュータプログラム(以下、「計算機」と称する)130、により構成されうる。
【0017】
これらの構成要素は、移動体に実装することができる。しかし、これらの構成要素の一部は移動体に実装しなくてもよい。ここで、移動体としては車両のほかロボット等のあらゆる移動体が考えられる。
【0018】
ステレオカメラ100は、2つのカメラ、すなわち、基準カメラ101および参照カメラ102を有して構成される。基準カメラ101および参照カメラ102は、それぞれ、CCD素子などの撮像素子とその他の光学系によって構成可能であり、その構成は一般的なステレオカメラと同様である。
【0019】
ステレオカメラ100は、基準カメラ101および参照カメラ102でそれぞれ対象物(例えば、障害物)を含む画像データ(映像データを含む)を取得する機能を有する。ステレオカメラ100が取得した画像データからは、障害物を認識することができ、また、障害物とステレオカメラ100との距離を計算することができる。
【0020】
さらに、ステレオカメラ100は、基準カメラ101と参照カメラ102との役割を逆にして対象物を含む画像データを取得することもできる。これにより、基準カメラ101および参照カメラ102の役割を通常とした場合と、該役割を逆にした場合とで、ステレオカメラ100と障害物との距離が一致するかどうかを判断することができる。すなわち、バックマッチングの判断をすることができる。
【0021】
加速度センサ110は、加速度を計測する装置であり、これを移動体に実装することで、移動体の加速度を計測することができる。加速度センサ110は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた半導体の加速度センサであってもよいし、機械式、光学式の加速度センサであってもよい。
【0022】
ブレーキ動作スイッチセンサ120は、移動体のブレーキが踏まれたことを検出する。ブレーキ動作スイッチセンサ120は、例えば、移動体のブレーキペダルのペダル部分にブレーキペダルの押圧を検出するペダル押圧検出器を設けることにより構成することができる。また、ブレーキ動作スイッチセンサ120は、ブレーキペダルの出力信号をモニタすることでブレーキペダルを踏んだことを検出する構成をとってもよい。
【0023】
計算機130は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、入出力装置といったコンピュータのハードウェアと、ソフトウェア(コンピュータプログラム)からなってもよい。しかし、計算機130は、コンピュータ以外のハードウェア(例えば、ICチップ)でその一部または全部を構成してもよい。
【0024】
計算機130は、第1判断モジュール131A、第2判断モジュール131B、第3判断モジュール131C、第4判断モジュール131D、第5判断モジュール131E、第一判断系132、第二判断系133、第三判断系134、第四判断系135、総合判断系136、といった機能ブロックを構成する。
【0025】
第1判断モジュール131Aは、障害物認識処理部と第1判断部とからなる。障害物認識処理部は、基準カメラ101からの画像データを受信および処理する。第1判断部は、障害物認識処理部が処理した画像データを受信し、これに基づいて障害物の有無を判断し、判断結果を第1判断信号として出力する。本実施形態においては、第1判断モジュール131Aにおける判断は第1判断部の判断のみであるので、第1判断モジュール131Aを構成する判断要素の数は1つ(すなわち、障害認識処理部および第1判断部による判断要素)である。ここで、判断要素とは、1つ以上の検出器で検出したデータについて一の判断をする、判断の最小単位をいう。
【0026】
第2判断モジュール131Bは、障害物との距離計算部と第2判断部とからなる。障害物との距離計算部は、基準カメラ101および参照カメラ102からの画像データを受信および処理し、障害物との距離を計算する。第2判断部は、障害物との距離計算部の計算結果を受信し、これに基づいて障害物の遠近を判断し、判断結果を第2判断信号として出力する。本実施形態においては、第2判断モジュール131Bにおける判断は第2判断部の判断のみであるので、第2判断モジュール131Bを構成する判断要素の数は1つ(すなわち、障害物との距離計算部および第2判断部による判断要素)である。
【0027】
第3判断モジュール131Cは、障害物との距離のバックマッチング計算部と第3判断部とからなる。障害物との距離のバックマッチング計算部は、基準カメラ101および参照カメラ102からの画像データを受信および処理し、障害物との距離のバックマッチングを計算する。第3判断部は、障害物との距離のバックマッチング計算部の計算結果を受信し、これに基づいて、バックマッチングを判断し、判断結果を第3判断信号として出力する。本実施形態においては、第3判断モジュール131Cにおける判断は第3判断部の判断のみであるので、第3判断モジュール131Cを構成する判断要素の数は1つ(すなわち、障害物との距離のバックマッチング計算部および第3判断部による判断要素)である。
【0028】
ここで、判断要素について、さらに詳しく説明する。第1〜第3判断モジュール131A〜131Cは、1つの検出器(ステレオカメラ)で検出したデータについてそれぞれ第1〜第3判断部で一の判断をしている。このように、共通の1つの検出器で検出したデータに基づいていても、互いに独立した判断をしていれば、該独立した判断をするものはそれぞれ判断要素に該当する。
【0029】
図2のAは、1つの検出器で検出したデータについてそれぞれ一の判断をする2つの判断要素の機能を示すフローチャートであり、図2のBはその具体例である。図2のAおよびBに示すように、1つの検出器で検出したデータに基づいていても、独立に判断するものは判断要素に該当する。すなわち、図2のAおよびBにはそれぞれ2つの判断要素が含まれている。図2のBのフローチャートは本実施形態に係る判断方法のフローチャート(図9)に含まれるため、ここでは説明を省略する。
【0030】
図3のAは、1つの検出器で検出したデータについて一の判断をする1つの判断要素の機能を示すフローチャートであり、図3のBはその具体例である。図3のAおよびBに示す判断要素は、検出器の数と判断要素の数が一致しており、判断要素の典型例である。すなわち、図3のAおよびBにはそれぞれ1つの判断要素が含まれている。次に説明する第4および第5判断モジュールを構成する判断要素はこのような典型的な判断要素である。図3のBのフローチャートは本実施形態に係る判断方法のフローチャート(図9)に含まれるため、ここでは説明を省略する。
【0031】
第4判断モジュール131Dは、加速度計算部と第4判断部とからなる。加速度計算部は、加速度センサ110からの加速度データを受信し、加速度を計算する。第4判断部は、加速度計算部の計算結果を受信し、これに基づいて移動体の加速度の大小を判断し、判断結果を第4判断信号として出力する。本実施形態においては、第4判断モジュール131Dにおける判断は第4判断部の判断のみであるので、第4判断モジュール131Dを構成する判断要素の数は1つ(すなわち、加速度計算部および第4判断部による判断要素)である。
【0032】
第5判断モジュール131Eは、ブレーキ動作認識処理部と第5判断部とからなる。ブレーキ動作認識処理部は、ブレーキ動作スイッチセンサ120からのブレーキ動作のデータを受信および処理する。第5判断部は、ブレーキ動作認識処理部が処理したデータを受信し、これに基づいて移動体のブレーキ動作の有無を判断し、判断結果を第5判断信号として出力する。本実施形態においては、第5判断モジュール131Eにおける判断は第5判断部の判断のみであるので、第5判断モジュール131Eを構成する判断要素の数は1つ(すなわち、ブレーキ動作認識処理部および第5判断部による判断要素)である。
【0033】
第一判断系132は、第1判断モジュール131Aと第2判断モジュール131Bとを直列系に結合(すなわち、ANDで結合)して、一の判断(すなわち、AND演算による判断)をし、判断結果を第一信号として出力する。
【0034】
第二判断系133は、第1判断モジュール131Aと第3判断モジュール131Cと第5モジュール131Eとを直列系に結合(すなわち、ANDで結合)して、一の判断(すなわち、AND演算による判断)をし、判断結果を第二信号として出力する。
【0035】
第三判断系134は、第2判断モジュール131Bと第3判断モジュール131Cと第4判断モジュール131Dとを直列系に結合(すなわち、ANDで結合)して、一の判断(すなわち、AND演算による判断)をし、判断結果を第三信号として出力する。
【0036】
第四判断系135は、第4判断モジュール131Dと第5判断モジュール131Eとを直列系に結合(すなわち、ANDで結合)して、一の判断(すなわち、AND演算による判断)をし、判断結果を第四信号として出力する。
【0037】
総合判断部136は、第一〜第四判断系132〜135から受信した第一〜第四信号を並列系に結合(すなわち、ORで結合)して、一の判断(すなわち、OR演算による判断)をし、判断結果をトリガ信号136Aとして出力する。トリガ信号136Aは、移動体の危険等の判断としての総合判断である。また、トリガ信号136Aは、これを契機として、計算機130の記憶装置に常時記録していたステレオカメラ100からの画像データから事故発生前後のデータを取り出すことに利用することができる。
【0038】
本実施形態に係る判断システムは、5つの判断モジュール(すなわち、第1〜第5判断モジュール)を構成要素とし、それぞれの判断モジュールを構成する判断要素(第1〜第5判断部)の数を1としている。したがって、システムに含まれる判断要素の数は5であり、この構成は、本発明に係る判断システムの実施形態の基本形であって、判断要素の数が最も少ない場合に該当する。本実施形態のように判断要素の数が5である判断システムを5次元の判断システムと称する。
【0039】
図4は、本実施形態に係る判断システムの4つの判断系(すなわち、第一〜第四判断系)および総合判断部を構成する論理演算を説明するための説明図である。
【0040】
図4のAは、本実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。図4のBは、図4のAと等価の論理演算回路図である。図4において、R〜Rは、それぞれ第1〜第5判断信号を示す。すなわち、R〜Rは、それぞれ第1〜第5判断モジュール131A〜131Eの出力信号を示す。
【0041】
図4のAの論理演算概念図は、次の内容を意味する。すなわち、第1判断信号Rと第2判断信号Rとが直列系に結合されて一の判断系(第一判断系)をなす。第1判断信号Rと第3判断信号Rと第5判断信号Rとが直列系に結合されて一の判断系(第二判断系)をなす。第2判断信号Rと第3判断信号Rと第4判断信号Rとが直列系に結合されて一の判断系(第三判断系)をなす。第4判断信号Rと第5判断信号Rとが直列系に結合されて一の判断系(第四判断系)をなす。これら4つの判断系(第一〜第四判断系)は並列系に接続されて一の総合判断をする。
【0042】
図4のBの論理演算回路図は、Aの論理演算観念図に対応し、等価の内容を有する。すなわち、第1判断信号Rと第2判断信号RとがAND回路200で結合(すなわち、直列系に結合)されて、一の判断系(第一判断系)をなす。第1判断信号Rと第3判断信号Rと第5判断信号RとがAND回路201で結合(すなわち、直列系に結合)されて、一の判断系(第二判断系)をなす。第2判断信号Rと第3判断信号Rと第4判断信号RとがAND回路202で結合すなわち、直列系に結合)されて、一の判断系(第三判断系)をなす。第4判断信号Rと第5判断信号RとがAND回路203で結合すなわち、直列系に結合)されて、一の判断系(第四判断系)をなす。これら4つの判断系(第一〜第四判断系)はOR回路204で結合(すなわち、並列系に結合)されて、一の総合判断をする。
【0043】
図5は、本実施形態に係る判断システムの、システム全体検出率の判断要素単体検出率依存性の計算結果を示す図である。図5に示すように、本実施形態に係る判断システムの特性は、判断要素単体検出率が50%を上回るとシステム全体の検出率がより高くなる。また、後述するように、判断要素単体検出率が50%を下回るとシステム全体の誤検出率がより低くなる。このような特性は、判断システムとして理想的である。なぜなら、判断要素単体検出率が50%を上回る場合は移動体が危険等の状態にある可能性が高いため、システム全体としての検出率が高いことが望ましいからである。また、判断要素単体検出率が50%を下回る場合は移動体が危険等の状態にない可能性が高いため、システム全体としての誤検出率が低いことが望ましいからである。
【0044】
このような特性、すなわち、判断要素単体検出率が50%を上回るとシステム全体検出率がより高くなり、50%を下回るとシステム全体検出率がより低くなるという特性は、5つの判断信号を、図4のAおよびBに示す論理演算することで達成することができる。すなわち、図4に示すように、5つの判断信号をそれぞれ4つの直列系に結合して4つの信号とし、さらに1つの並列系に結合して1つの総合判断としての信号(以下、「トリガ信号」と称する。)とすることで達成することができる。
【0045】
ここで、図5に示すような理想的な判断システムの特性が、図4に示す論理演算で5つの判断信号を演算することで達成できることを示す。
【0046】
図6は、2つの判断信号を直列冗長系と並列冗長系でそれぞれ結合したときの検出率および誤動作率の判断要素単体検出率依存性を示す図である。
【0047】
図6に示すように、2つの判断信号を単に直列系に結合して冗長化した場合は、判断要素単体検出率が50%以下では比較的誤検出率は小さいので理想的であるが、判断要素単体検出率が50%以上で比較的検出率が小さいという問題がある。一方、2つの判断信号を単に並列系に結合して冗長化した場合は、判断要素単体検出率が50%以上では比較的検出率が大きいので理想的であるが、判断要素単体検出率が50%以下で比較的誤検出率が大きいという問題がある。
【0048】
図7は、理想的な判断システムの特性を説明するための説明図である。
【0049】
図7のAは、判断信号を直列系に結合して冗長化した場合(a)、判断信号を並列系に結合して冗長化した場合(b)、冗長化しない場合(c)、についてのシステム全体検出率の判断要素単体検出率依存性の計算結果を示す図である。理想的な判断システムの特性は図7のAの点線で囲んだ二箇所の部分の特性をあわせもつ特性である。すなわち、判断要素単体検出率が50%を上回るとシステム全体の検出率がより高くなる。そして、判断要素単体検出率が50%を下回るとシステム全体の誤検出率がより低くなる(このとき、システム全体の検出率がより低くなる(図6参照))という特性である。
【0050】
図7のBは、このような理想的なシステムの特性を示す図である。図7のBの特性は、その曲率から、システム全体の検出率が判断要素単体検出率の5次の式で表すことができると推定される。
【0051】
ここで、本実施形態に係る判断システムは5次元の判断システムであり、5つの判断モジュールはそれぞれ1つの判断要素で構成されている。そうすると、図4に示す論理演算における各判断信号は判断要素単体検出率Rに、総合判断信号はシステム全体の検出率Rsysに、置き代えることができる。
【0052】
したがって、本実施形態に係る判断システムのシステム全体検出率Rsysは、判断要素単体検出率Rにより、下記式(1)で表現される。ここで、計算においては、以下の点を考慮している。すなわち、判断要素の3つが危険を検出した場合は、該検出した判断要素が、図4のR、R、Rの場合と、R、R、Rの場合は、システム全体として危険と判断しない。判断要素の2つが危険を検出した場合は、システム全体として危険と判断するのは、該検出した判断要素が、図4のRおよびRの場合とRおよびRの場合とに限られる。また、判断要素の1つのみが危険を検出した場合は、システム全体として危険と判断することはない。
【0053】
【数1】

【0054】
式(1)に示すように、本実施形態に係る判断システムは、システム全体の検出率を判断要素単体検出率の5次の式で表すことができる。
【0055】
式(1)をグラフ化すると、図5のグラフとなる。すなわち、本実施形態に係る判断システムは理想的な判断システムの特性を有する。
【0056】
したがって、本実施形態に係る判断システムによれば、5つの判断要素による判断を、直列系および並列系結合の各長所を発揮するように相補的に結合することで、移動体の危険等の検出率を向上させるとともに誤検出率を低下させることができる。
【0057】
図8は、2次元、3次元、5次元、7次元のシステム全体検出率の判断要素単体検出率依存性の計算結果を示す図である。図8に示すように、理想的な判断システムの特性を得るためには、システムを構成する判断要素の数を5つ以上(すなわち、5次元以上)とする必要がある。また、より理想的な判断システムの特性とするために、システムを構成する判断要素の数は奇数とすることが望ましい。
【0058】
したがって、本実施形態に係る判断システムによれば、冗長化のための判断要素を5つにまで低減することができる。これにより、判断要素の多重化によるコストの増大、システムの重量および体積の増大、システム全体の信頼性の低下、複雑化、ターンアラウンドタイムの増大を防止することができる。
【0059】
次に、本実施形態に係る判断方法について、図1および図9を参照して説明する。
【0060】
図9は、本実施形態に係る判断方法のフローチャートを示す図である。以下、ステップ番号を示し、ステップ番号ごとに説明する。
【0061】
[S900]
ステレオカメラから画像データを受信する。
【0062】
第1判断モジュール131Aの障害物認識処理部、第2判断モジュール131Bの障害物との距離計算部、第3判断モジュール131Cの障害物との距離のバックマッチング計算部は、ステレオカメラ100から画像データを受信する。
【0063】
[S901]
障害物認識処理をする。
【0064】
第1判断モジュール131Aの障害物認識処理部は、ステレオカメラ100から受信した画像データを、第1判断部が障害物の有無を判断できるように処理し、第1判断部に送信する。
【0065】
[S902]
障害物を認識できたか判断する。
【0066】
第1判断モジュール131Aの第1判断部は、障害物認識処理部が処理した画像データを受信し、これに基づき障害物の有無を判断する。障害物を認めた場合は、ステップS904に移行し、障害物を認めない場合はS905に移行する。
【0067】
[S903]
第1判断信号として「ON」を出力する。
【0068】
第1判断部は、前ステップS902で障害物を認めた場合は、第1判断信号として「ON」を出力する。ここで、「ON」とは、「OFF」の反対の概念であり、例えば、論理データであれば、「ON」は「1」または「Hi」で、「OFF」は「0」または「Lo」を意味する。
【0069】
[S904]
第1判断信号として「OFF」を出力する。
【0070】
第1判断部は、前ステップS902で障害物を認めない場合は、第1判断信号として「OFF」を出力する。
【0071】
[S906]
障害物と移動体との距離を計算する。
【0072】
ステップS901と並行して、第2判断モジュール131Bの障害物との距離計算部は、ステレオカメラ100からの画像データを受信および処理し、障害物と移動体(詳しくは、障害物とステレオカメラ)との距離Aを計算する。該計算値は、第2判断部に送信する。
【0073】
[S907]
障害物と移動体との距離Aが10[m]より小さいかどうかを判断する。
【0074】
第2判断モジュール131Bの第2判断部は、障害物との距離計算部が計算した結果を受信し、これに基づき障害物と移動体との距離Aが10[m]より小さいかどうかを判断する。該距離Aが10[m]より小さいと判断した場合は、ステップS908に移行し、第2判断部は第2判断信号として「ON」を出力する。該距離Aが10[m]以上と判断した場合は、ステップS909に移行し、第2判断部は第2判断信号として「OFF」を出力する。
【0075】
[S910]
障害物と移動体との距離のバックマッチングを判断する。
【0076】
ステップS901およびS906と並行して、第3判断モジュール131Cの障害物との距離のバックマッチング計算部は、ステレオカメラ100からの画像データを受信および処理し、障害物と移動体(詳しくは、障害物とステレオカメラ)との距離Aを計算する。ここで、距離Aの計算は、障害物との距離計算部による計算で代えてもよい。
【0077】
さらに、ステレオカメラ100は、基準カメラ101と参照カメラ102との役割を逆にして対象物を含む画像データを取得する。障害物との距離のバックマッチング計算部は、このときのステレオカメラ100からの画像データを受信および処理し、障害物と移動体(詳しくは、障害物とステレオカメラ)との距離Bを計算する。
【0078】
障害物との距離のバックマッチング計算部は、距離Aと距離Bとの差を計算し、計算値を第3判断部に送信する。
【0079】
[S911]
障害物と移動体との距離のバックマッチングを判断する。
【0080】
第3判断モジュール131Cの第3判断部は、障害物との距離のバックマッチング計算部が計算した距離Aと距離Bとの差の計算結果を受信し、該差があらかじめ定めた閾値範囲を超えたかどうかを判断する。該差が閾値範囲を超えたときは、バックマッチングが不一致であるとして、ステップS912に移行し、第3判断部は第3判断信号として「ON」を出力する。該差が閾値範囲を超えないときは、バックマッチングが一致したものとして、ステップS913に移行し、第3判断部は第3判断信号として「OFF」を出力する。
【0081】
ここで、ステレオカメラによる障害物と移動体との距離の計算の原理と、障害物と移動体との距離のバックマッチングについて簡単に説明する。
【0082】
図10は、ステレオカメラによる障害物と移動体との距離の計算の原理を説明するための説明図である。
【0083】
図10に示すように、ステレオカメラ100を構成する基準カメラ101と参照カメラ102は、移動体の進行方向に向けて設置されることにより、路面上の障害物1000を含む画像を撮影する。障害物1000の画像は、それぞれ座標x、xとして仮想スクリーン101A、102A上に表示される。ステレオカメラから障害物までの距離zは、三角測量の原理に基づき、下記式(2)により求めることができる。
【0084】
【数2】

【0085】
ここで、Bはステレオカメラ100の基線長、Fはステレオカメラ100の基準カメラ101および参照カメラ102の仮想スクリーンまでの距離を示す。これらのパラメータはステレオカメラの設計値を用いることができる。
【0086】
図11は、ステレオカメラによる障害物と移動体との距離のバックマッチングについて説明するための説明図である。
【0087】
図11に示すように、障害物1100とステレオカメラ100との相対位置関係によっては、基準カメラ101および参照カメラ102のいずれかが隠れてしまうオクルージョン現象が生じることがある。このときステレオカメラ100は障害物1100の位置を誤った位置1100Eにあるものと認識しうる。このような場合は、移動体の危険判断に重大な影響を与える可能性がある。そこで、本実施形態においては、基準カメラ101と参照カメラ102との役割を通常とした場合と逆にした場合との両方について対象物を含む画像データを取得する。そして、基準カメラ101および参照カメラ102の役割を通常とした場合と逆にした場合とで、ステレオカメラ100と障害物との距離が一致するかどうか、すなわち、バックマッチングを判断する。そして、このバックマッチングの判断を単独の判断要素とみなして判断システムを構成する。
【0088】
[S914]
加速度センサから加速度データを受信する。
【0089】
ステップS900と並行して、第4判断モジュール131Dの加速度計算部は、加速度センサ110から加速度データを受信する。
【0090】
[S915]
加速度Cを計算する。
【0091】
加速度計算部は、加速度センサ110から受信した加速度データに基づき加速度Cを計算し、第4判断部に送信する。
【0092】
[S916]
加速度Cが0.4[G]を超えたかどうか判断する。
【0093】
第4判断モジュール131Dの第4判断部は、加速度Cが0.4[G]を超えたかどうか判断する。加速度Cが0.4[G]を超えたときは、加速度が基準を超えたものとして、ステップS917に移行し、第4判断部は第4判断信号として「ON」を出力する。加速度Cが0.4[G]を超えていないときは、加速度が基準を超えていないものとして、ステップS918に移行し、第4判断部は第4判断信号として「OFF」を出力する。
【0094】
[S919]
ブレーキ動作スイッチセンサからブレーキ動作データを受信する。
【0095】
ステップS900、S914と並行して、第5判断モジュール131Eのブレーキ動作認識処理部は、ブレーキ動作スイッチセンサ120からブレーキ動作データを受信する。
【0096】
[S920]
ブレーキ動作認識処理をする。
【0097】
ブレーキ動作認識処理部は、ブレーキ動作スイッチセンサ120から受信したブレーキ動作データを第5判断部がその有無を判断できるように処理し、第5判断部に送信する。
【0098】
[S921]
ブレーキ動作が認識されたかどうかを判断する。
【0099】
第5判断モジュール131Eの第5判断部は、ブレーキ動作が認識されたかどうかを判断する。ブレーキ動作が認識されたときは、ステップS922に移行し、第5判断部は第5判断信号として「ON」を出力する。ブレーキ動作が認識されなかったときは、ステップS923に移行し、第5判断部は第5判断信号として「OFF」を出力する。
【0100】
[S924]
第1判断信号および第2判断信号が「ON」であるかどうかを判断する。
【0101】
第一判断系132は、第1判断信号と第2判断信号とを直列系に結合することで、第1判断信号および第2判断信号が「ON」であるかどうか判断する。第1判断信号および第2判断信号が「ON」であると判断したときは、ステップS925に移行し、第一判断系は第一信号として「ON」を出力する。第1判断信号および第2判断信号が「ON」ではないと判断したときは、ステップS925に移行し、第一判断系は第一信号として「OFF」を出力する。
【0102】
[S927]
第1判断信号および第3判断信号および第5判断信号が「ON」であるかどうかを判断する。
【0103】
第二判断系133は、第1判断信号と第3判断信号と第5判断信号とを直列系に結合することで、第1判断信号および第3判断信号および第5判断信号が「ON」であるかどうか判断する。第1判断信号および第3判断信号および第5判断信号が「ON」であると判断したときは、ステップS928に移行し、第二判断系は第二信号として「ON」を出力する。第1判断信号および第3判断信号および第5判断信号が「ON」ではないと判断したときは、ステップS929に移行し、第一判断系は第一信号として「OFF」を出力する。
【0104】
[S930]
第2判断信号および第3判断信号および第4判断信号が「ON」であるかどうかを判断する。
【0105】
第三判断系134は、第1判断信号と第3判断信号と第5判断信号とを直列系に結合することで、第2判断信号および第3判断信号および第4判断信号が「ON」であるかどうか判断する。第2判断信号および第3判断信号および第4判断信号が「ON」であると判断したときは、ステップS931に移行し、第三判断系は第三信号として「ON」を出力する。第2判断信号および第3判断信号および第4判断信号が「ON」ではないと判断したときは、ステップS932に移行し、第三判断系は第三信号として「OFF」を出力する。
【0106】
[S933]
第4判断信号および第5判断信号が「ON」であるかどうかを判断する。
【0107】
第四判断系135は、第4判断信号と第5判断信号とを直列系に結合することで、第4判断信号および第5判断信号が「ON」であるかどうか判断する。第4判断信号および第5判断信号が「ON」であると判断したときは、ステップS934に移行し、第四判断系は第四信号として「ON」を出力する。第4判断信号および第5判断信号が「ON」ではないと判断したときは、ステップS935に移行し、第四判断系は第四信号として「OFF」を出力する。
【0108】
[S936]
第一〜第四信号のいずれかが「ON」であるかどうかを判断する。
【0109】
総合判断部136は、第一信号と第二信号と第三信号と第四信号とを並列系に結合することで、第一〜第四信号のいずれかが「ON」であるかどうかを判断する。第一〜第四信号のいずれかが「ON」であると判断したときは、ステップS937に移行し、総合判断部136はトリガ信号として「ON」を出力する。第一〜第四信号のいずれも「ON」でないと判断したときは、ステップS938に移行し、総合判断部136はトリガ信号として「OFF」を出力する。
【0110】
以上、本発明の第一実施形態に係る判断システムおよび判断方法について説明したが、本実施形態に係る判断システムおよび判断方法によれば、5つの判断要素による判断を、直列系および並列系結合の各長所を発揮するように相補的に結合することで、移動体の危険等の検出率を向上させるとともに誤検出率を低下させることができる。また、冗長化のための判断要素を低減することができるので、判断要素の多重化によるコストの増大、システムの重量および体積の増大、システム全体の信頼性の低下、複雑化、ターンアラウンドタイムの増大を防止することができる。
【0111】
[第二実施形態]
図12のAおよびBは、本発明の第二実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。第一実施形態と異なる点は、第一実施形態に係る判断システムを構成する判断要素の数は5つであるのに対し、本実施形態に係る判断システムを構成する判断要素の数は7つである点である。すなわち、本実施形態は7次元の判断システムである。その他の点については、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0112】
本実施形態としては、例えば、図12のAと図12のBに示す2つの実施形態が考えられる。
【0113】
図12のAにおいて、RとRとを直列系に結合した部分は、第1判断信号、すなわち、第1判断モジュール131Aの出力信号を示す。すなわち、RおよびRは、それぞれ第1判断モジュール131Aを構成する判断要素の出力信号であり、RとRとを直列系に結合して第1判断モジュール131Aの出力信号(第1判断信号)をなす。したがって、第1判断モジュール131Aは2つの判断要素を有する。
【0114】
同様に、RとRとを直列系に結合した部分は、第4判断信号、すなわち、第4判断モジュール131Dの出力信号を示す。すなわち、RおよびRは、それぞれ第4判断モジュール131Dを構成する判断要素の出力信号であり、RとRとを直列系に結合して第4判断モジュール131Dの出力信号(第4判断信号)をなす。したがって、第4判断モジュール131Dは2つの判断要素を有する。
【0115】
図12のBにおいて、RとRとを直列系に結合した部分は、第2判断信号、すなわち、第2判断モジュール131Bの出力信号を示す。すなわち、RおよびRは、それぞれ第2判断モジュール131Bを構成する判断要素の出力信号であり、RとRとを直列系に結合して第2判断モジュール131Bの出力信号(第2判断信号)をなす。したがって、第2判断モジュール131Bは2つの判断要素を有する。
【0116】
同様に、RとRとを直列系に結合した部分は、第5判断信号、すなわち、第5判断モジュール131Eの出力信号を示す。すなわち、RおよびRは、それぞれ第5判断モジュール131Eを構成する判断要素の出力信号であり、RとRとを直列系に結合して第5判断モジュール131Eの出力信号(第5判断信号)をなす。したがって、第5判断モジュール131Eは2つの判断要素を有する。
【0117】
図12のCは、第一実施形態と本実施形態の、システム全体検出率の判断要素単体検出率依存性を示す図である。ここで、第一実施形態の特性をaで、本実施形態の特性をbで示した。なお、図12のAを実施した場合の特性は、図12のBを実施した場合の特性と同様である。
【0118】
図12のCに示すように、本実施形態は、第一実施形態と比較すると、誤検出率をさらに低下させることができるが、検出率も低下する。しかし、基本的には、第一実施形態と同様に判断システムとして理想的な特性を有する。すなわち、判断要素単体検出率が50%を上回るとシステム全体の検出率がより高くなり、判断要素単体検出率が50%を下回るとシステム全体の誤検出率がより低くなる。
【0119】
また、本実施形態は、検出器の数を増加させる必要がある場合にも対応できる。
【0120】
[第三実施形態]
図13のAおよびBは、本発明の第三実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。第二実施形態と異なる点は、次の点である。すなわち、第二実施形態に係る判断システムを構成する第1判断モジュールおよび第4判断モジュール(または、第2判断モジュールおよび第5判断モジュール)をそれぞれ構成する2つの判断要素は直列系に結合させている。これに対し、本実施形態に係る判断システムを構成する第1判断モジュールおよび第4判断モジュール(または、第2判断モジュールおよび第5判断モジュール)をそれぞれ構成する2つの判断要素は並列系に結合させている。その他の点については、第二実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0121】
本実施形態としては、例えば、図13のAと図13のBに示す2つの実施形態が考えられる。
【0122】
図13のAにおいて、RとRとを並列系に結合した部分は、第1判断信号、すなわち、第1判断モジュール131Aの出力信号を示す。すなわち、RおよびRは、それぞれ第1判断モジュール131Aを構成する判断要素の出力信号であり、RとRとを並列系に結合して第1判断モジュール131Aの出力信号(第1判断信号)をなす。したがって、第1判断モジュール131Aは2つの判断要素を有する。
【0123】
同様に、RとRとを並列系に結合した部分は、第4判断信号、すなわち、第4判断モジュール131Dの出力信号を示す。すなわち、RおよびRは、それぞれ第4判断モジュール131Dを構成する判断要素の出力信号であり、RとRとを並列系に結合して第4判断モジュール131Dの出力信号(第4判断信号)をなす。したがって、第4判断モジュール131Dは2つの判断要素を有する。
【0124】
図13のBにおいて、RとRとを並列系に結合した部分は、第2判断信号、すなわち、第2判断モジュール131Bの出力信号を示す。すなわち、RおよびRは、それぞれ第2判断モジュール131Bを構成する判断要素の出力信号であり、RとRとを並列系に結合して第2判断モジュール131Bの出力信号(第2判断信号)をなす。したがって、第2判断モジュール131Bは2つの判断要素を有する。
【0125】
同様に、RとRとを並列系に結合した部分は、第5判断信号、すなわち、第5判断モジュール131Eの出力信号を示す。すなわち、RおよびRは、それぞれ第5判断モジュール131Eを構成する判断要素の出力信号であり、RとRとを並列系に結合して第5判断モジュール131Eの出力信号(第5判断信号)をなす。したがって、第5判断モジュール131Eは2つの判断要素を有する。
【0126】
図13のCは、第一実施形態と本実施形態の、システム全体検出率の判断要素単体検出率依存性を示す図である。ここで、第一実施形態の特性をaで、本実施形態の特性をbで示した。なお、図13のAを実施した場合の特性は、図13のBを実施した場合の特性と同様である。
【0127】
図13のCに示すように、本実施形態は、第一実施形態と比較すると、検出率をさらに上昇させることができるが、誤検出率も上昇する。しかし、基本的には、第一実施形態と同様に判断システムとして理想的な特性を有する。すなわち、判断要素単体検出率が50%を上回るとシステム全体の検出率がより高くなり、判断要素単体検出率が50%を下回るとシステム全体の誤検出率がより低くなる。
【0128】
また、本実施形態は、検出器の数を増加させる必要がある場合にも対応できる。 [第四実施形態]
図14のAおよびBは、本発明の第四実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。第一実施形態と異なる点は、次の点である。すなわち、第一実施形態に係る判断システムを構成する5つの判断モジュールをそれぞれ構成する判断要素は1つである。これに対し、本実施形態に係る判断システムを構成する5つの判断モジュールのうち2つは2つの判断要素から構成され、該2つの判断モジュールのうち一方は該2つの判断要素を直列系に結合し他方は並列系に結合している。その他の点については、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0129】
本実施形態としては、例えば、図14のAと図14のBに示す2つの実施形態が考えられる。
【0130】
図14のAにおいて、RとRとを並列系に結合した部分は、第1判断信号、すなわち、第1判断モジュール131Aの出力信号を示す。すなわち、RおよびRは、それぞれ第1判断モジュール131Aを構成する判断要素の出力信号であり、RとRとを並列系に結合して第1判断モジュール131Aの出力信号(第1判断信号)をなす。したがって、第1判断モジュール131Aは2つの判断要素を有する。
【0131】
同様に、RとRとを並列系に結合した部分は、第5判断信号、すなわち、第5判断モジュール131Eの出力信号を示す。すなわち、RおよびRは、それぞれ第5判断モジュール131Eを構成する判断要素の出力信号であり、RとRとを並列系に結合して第5判断モジュール131Eの出力信号(第5判断信号)をなす。したがって、第5判断モジュール131Eは2つの判断要素を有する。
【0132】
図14のBにおいて、RとRとを直列系に結合した部分は、第4判断信号、すなわち、第4判断モジュール131Dの出力信号を示す。すなわち、RおよびRは、それぞれ第4判断モジュール131Dを構成する判断要素の出力信号であり、RとRとを直列系に結合して第4判断モジュール131Dの出力信号(第4判断信号)をなす。したがって、第4判断モジュール131Dは2つの判断要素を有する。
【0133】
同様に、RとRとを並列系に結合した部分は、第5判断信号、すなわち、第5判断モジュール131Eの出力信号を示す。すなわち、RおよびRは、それぞれ第5判断モジュール131Eを構成する判断要素の出力信号であり、RとRとを並列系に結合して第5判断モジュール131Eの出力信号(第5判断信号)をなす。したがって、第5判断モジュール131Eは2つの判断要素を有する。
【0134】
図14のCは、第一実施形態と本実施形態の、システム全体検出率の判断要素単体検出率依存性を示す図である。ここで、第一実施形態の特性をaで、本実施形態の特性をbで示した。なお、図14のAを実施した場合の特性は、図14のBを実施した場合の特性と同様である。
【0135】
図14のCに示すように、本実施形態は第一実施形態と同様に判断システムとして理想的な特性を有する。すなわち、判断要素単体検出率が50%を上回るとシステム全体の検出率がより高くなり、判断要素単体検出率が50%を下回るとシステム全体の誤検出率がより低くなる。
【0136】
本実施形態は、検出器の数を増加させる必要がある場合にも対応できる。
【0137】
[第五実施形態]
図15のAは、本発明の第五実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。第一実施形態と異なる点は、次の点である。すなわち、第一実施形態に係る判断システムを構成する5つの判断モジュールをそれぞれ構成する判断要素は1つである。これに対し、本実施形態に係る判断システムを構成する5つの判断モジュールのうち第3判断モジュールを3つの判断要素で構成し、該3つの判断要素を直列系に結合している。その他の点については、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0138】
本実施形態としては、例えば、図15のAに示す実施形態が考えられる。
【0139】
図15のAにおいて、Rと2つのRとを直列系に結合した部分は、第3判断信号、すなわち、第3判断モジュール131Cの出力信号を示す。すなわち、Rおよび2つのRは、それぞれ第3判断モジュール131Cを構成する判断要素の出力信号であり、Rと2つのRとを直列系に結合して第3判断モジュール131Cの出力信号(第3判断信号)をなす。したがって、第3判断モジュール131Cは3つの判断要素を有する。
【0140】
図15のBは、第一実施形態と本実施形態の、システム全体検出率の判断要素単体検出率依存性を示す図である。ここで、第一実施形態の特性をaで、本実施形態の特性をbで示した。
【0141】
図15のBに示すように、本実施形態は第一実施形態と同様に判断システムとして理想的な特性を有する。すなわち、判断要素単体検出率が50%を上回るとシステム全体の検出率がより高くなり、判断要素単体検出率が50%を下回るとシステム全体の誤検出率がより低くなる。
【0142】
本実施形態は、検出器の数を増加させる必要がある場合にも対応できる。
【0143】
[第六実施形態]
図16のAは、本発明の第六実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。第一実施形態と異なる点は、次の点である。すなわち、第一実施形態に係る判断システムを構成する5つの判断モジュールをそれぞれ構成する判断要素は1つである。これに対し、本実施形態に係る判断システムを構成する5つの判断モジュールのうち第3判断モジュールを3つの判断要素で構成し、該3つの判断要素を並列系に結合している。その他の点については、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0144】
本実施形態としては、例えば、図16のAに示す実施形態が考えられる。
【0145】
図16のAにおいて、Rと2つのRとを並列系に結合した部分は、第3判断信号、すなわち、第3判断モジュール131Cの出力信号を示す。すなわち、Rおよび2つのRは、それぞれ第3判断モジュール131Cを構成する判断要素の出力信号であり、Rと2つのRとを並列系に結合して第3判断モジュール131Cの出力信号(第3判断信号)をなす。したがって、第3判断モジュール131Cは3つの判断要素を有する。
【0146】
図16のBは、第一実施形態と本実施形態の、システム全体検出率の判断要素単体検出率依存性を示す図である。ここで、第一実施形態の特性をaで、本実施形態の特性をbで示した。
【0147】
図16のBに示すように、本実施形態は第一実施形態と同様に判断システムとして理想的な特性を有する。すなわち、判断要素単体検出率が50%を上回るとシステム全体の検出率がより高くなり、判断要素単体検出率が50%を下回るとシステム全体の誤検出率がより低くなる。
【0148】
本実施形態は、検出器の数を増加させる必要がある場合にも対応できる。
【0149】
[第七実施形態]
図17のAは、本発明の第七実施形態に係る判断システムの4つの判断系および総合判断部の論理演算概念図である。第一実施形態と異なる点は、次の点である。すなわち、第一実施形態に係る判断システムを構成する5つの判断モジュールをそれぞれ構成する判断要素は1つである。これに対し、本実施形態に係る判断システムを構成する5つの判断モジュールのうち第3判断モジュールを3つの判断要素で構成し、該3つの判断要素のうち2つを直列系に結合し、直列系に結合した2つの判断要素と残りの1つの判断要素とを並列系に結合している。その他の点については、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0150】
本実施形態としては、例えば、図17のAに示す実施形態が考えられる。
【0151】
図17のAにおいて、Rと1つのRとを直列系に結合し、該直列系に結合した2つの判断要素と他の判断要素Rとをさらに並列系に結合した部分は、第3判断信号、すなわち、第3判断モジュール131Cの出力信号を示す。すなわち、Rおよび2つのRは、それぞれ第3判断モジュール131Cを構成する判断要素の出力信号であり、Rと1つのRとを直列系に結合し、該直列系に結合した2つの判断要素と他の判断要素Rとをさらに並列系に結合して第3判断モジュール131Cの出力信号(第3判断信号)をなす。したがって、第3判断モジュール131Cは3つの判断要素を有する。
【0152】
図17のBは、第一実施形態と本実施形態の、システム全体検出率の判断要素単体検出率依存性を示す図である。ここで、第一実施形態の特性をaで、本実施形態の特性をbで示した。
【0153】
図17のBに示すように、本実施形態は第一実施形態と同様に判断システムとして理想的な特性を有する。すなわち、判断要素単体検出率が50%を上回るとシステム全体の検出率がより高くなり、判断要素単体検出率が50%を下回るとシステム全体の誤検出率がより低くなる。
【0154】
本実施形態は、検出器の数を増加させる必要がある場合にも対応できる。
【0155】
[第八実施形態]
図18は、本発明の第八実施形態に係る判断方法のフローチャートの一部を示す図である。図18に示すフローチャートは、第一実施形態に係る判断方法のフローチャート(図9参照)のステップS900〜S923に続いて実施する。ステップS900〜S923についての説明は第一実施形態の説明においてなされているので、ここでは省略する。
【0156】
本実施形態と第一実施形態とで異なる点は次の点である。すなわち、第一実施形態においては、第一〜第四判断系の全ての判断系による判断結果が出力されるまで、総合判断部は総合判断としてのトリガ信号を出力しない。これに対し、本実施形態においては、比較的検出速度が早い物理センサ(加速度センサとブレーキ動作スイッチセンサが相当する)からのデータに基づく判断を優先する。そして、該物理センサからのデータに基づいて危険を判断したときは、他のセンサからのデータに基づく判断を待たずにトリガ信号を出力させる。
【0157】
以下、図18に示すフローチャートを、ステップ番号を示して説明する。なお、図1に示した判断システムは、本実施形態を実施するためのシステムを兼ねることができる。
【0158】
[S1800]
第4判断信号および第5判断信号が「ON」であるかどうかを判断する。
【0159】
第四判断系135は、第1〜第3判断信号よりも早く出力される第4判断信号および第5判断信号が「ON」であるかどうかを判断する。
【0160】
第四判断系135は、第4判断信号と第5判断信号とを直列系に結合することで、第4判断信号および第5判断信号が「ON」であるかどうか判断する。第4判断信号および第5判断信号が「ON」であると判断したときは、ステップS1613に移行し、総合判断部136は、直ちに、トリガ信号として「ON」を出力する。また、ステップS1801に移行し、第1〜第3判断信号処理を中止する。
【0161】
これにより、レスポンスタイムの長い第1〜第3判断信号に依存せずに、総合判断たるトリガ信号として「ON」を出力することができるため、判断システムおよび判断方法全体としての処理時間を短くすることができる。また、第4判断信号および第5判断信号が「ON」となった場合は、第1〜第3判断信号処理を中止するため判断システムの省電力化が可能となる。
【0162】
ここで、5つの判断信号の出力速度の相対関係について説明する。
【0163】
図19は、各判断モジュールから出力される判断信号の出力速度の相対関係を示す図である。
【0164】
図19に示すように、加速度センサ110からの検出データに基づいて判断する第4判断信号、および、ブレーキ動作スイッチセンサ120からの検出データに基づいて判断する第5判断信号の出力速度が他の判断信号の出力速度よりも速い。これは、第1〜第3判断信号は、ステレオカメラ100で検出した画像を処理するために時間を要するのに対し、第4判断信号および第5判断信号は、このような画像処理のための時間が不要であるためである。
【0165】
第4判断信号および第5判断信号が「ON」ではないと判断したときは、ステップS1802、S1805、S1808に移行し、それぞれ第一判断系、第二判断系、第三判断系で第一信号、第二信号、第三信号の「ON」または「OFF」の出力を判断する。これらのステップおよびこれら以降のステップについての説明は、第一実施形態と同様であるので省略する。
【0166】
以上、本発明の第八実施形態に係る判断システムおよび判断方法について説明したが、本実施形態は第一〜第七実施形態が奏する効果に加えて、次の効果を奏する。すなわち、レスポンスタイムの長い判断信号に依存せずに、レスポンスタイムの短い判断信号を優先して総合判断たるトリガ信号を出力することができるため、判断システムおよび判断方法全体としての処理時間を短くすることができる。レスポンスタイムの短い判断信号に基づき危険等を判断したときは、レスポンスタイムの長い判断信号の処理を中止するため判断システムの省電力化が可能となる。
【0167】
以上、本願発明を実施形態に基づき説明してきたが、本発明の範囲は実施形態に限定されるものではない。
【0168】
例えば、上述の実施形態では、複眼画像システムとしてステレオカメラを用いているが、2つの単体のカメラで複眼画像システムを構成してもよい。また、検出器として、ステレオカメラ、加速度センサ、ブレーキ動作スイッチセンサを用いているがこれら以外の検出器を用いてもよい。
【符号の説明】
【0169】
10 判断システム、
100 ステレオカメラ、
101 基準カメラ、
102 参照カメラ、
110 加速度センサ、
120 ブレーキ動作スイッチセンサ、
130 計算機、
131A 第1判断モジュール、
131B 第2判断モジュール、
131C 第3判断モジュール、
131D 第4判断モジュール、
131E 第5判断モジュール、
132 第一判断系、
133 第二判断系、
134 第三判断系、
135 第四判断系、
136 総合判断部、
136A トリガ信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の検出器で取得したデータについて、それぞれ一の判断をする5つ以上の判断要素を有し、
前記判断要素は、単体で、または、直列系および並列系のいずれかもしくは両方に結合することで、それぞれ一の判断をする5つの判断モジュールをなし、
前記5つの判断モジュールは、第1判断モジュールと第2判断モジュールとが直列系に結合して一の判断をする第一判断系と、前記第1判断モジュールと第3判断モジュールと第5判断モジュールとが直列系に結合して一の判断をする第二判断系と、前記第2判断モジュールと前記第3判断モジュールと第4判断モジュールとが直列系に結合して一の判断をする第三判断系と、前記第4判断モジュールと前記第5判断モジュールとが直列系に結合して一の判断をする第四判断系と、をなし、
前記第一判断系、前記第二判断系、前記第三判断系、前記第四判断系は、並列系に結合して一の総合判断をすることを特徴とする判断システム。
【請求項2】
前記取得したデータを記憶する記憶手段をさらに有し、
前記判断要素は、記憶した前記データについて前記判断をすることを特徴とする請求項1に記載の判断システム。
【請求項3】
前記判断要素は5つであり、前記5つの判断モジュールはそれぞれ単体の前記判断要素からなることを特徴とする請求項1または2に記載の判断システム。
【請求項4】
前記5つの判断モジュールのうち少なくとも3つの前記判断モジュールに含まれる前記判断要素は、複眼画像システムが取得したデータをそれぞれ判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の判断システム。
【請求項5】
前記5つの判断モジュールは、少なくとも一の判断系が他の判断系よりも早く一の判断をするように前記判断要素を構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の判断システム。
【請求項6】
前記判断システムは、移動体の緊急停止の判断または危険認知の判断をすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの記載の判断システム。
【請求項7】
1つ以上の検出器で、それぞれデータを取得するデータ取得段階と、
前記データについて、5つ以上の判断要素が、それぞれ一の判断をする第一判断段階と、
前記判断要素が単体で、または、直列系および並列系のいずれかもしくは両方に結合されてなる5つの判断モジュールでそれぞれ一の判断をする第二判断段階と、
前記5つの判断モジュールのうち、第1判断モジュールと第2判断モジュールとが直列系に結合してなる第一判断系、前記第1判断モジュールと第3判断モジュールと第5判断モジュールとが直列系に結合してなる第二判断系、前記第2判断モジュールと前記第3判断モジュールと第4判断モジュールとが直列系に結合してなる第三判断系、前記第4判断モジュールと前記第5判断モジュールとが直列系に結合してなる第四判断系、がそれぞれ一の判断をする第三判断段階と、
前記第一判断系、前記第二判断系、前記第三判断系、前記第四判断系、が並列系に結合して一の判断をする総合判断段階と、
を有することを特徴とする判断方法。
【請求項8】
データ取得段階で取得した前記データを記憶する記憶段階をさらに有し、
前記第一判断段階は、記憶した前記データについて前記判断をすることを特徴とする請求項7に記載の判断方法。
【請求項9】
前記判断要素は5つであり、前記5つの判断モジュールはそれぞれ単体の前記判断要素からなることを特徴とする請求項7または8に記載の判断方法。
【請求項10】
前記5つの判断モジュールのうち少なくとも3つの前記判断モジュールに含まれる前記判断要素は、複眼画像システムが取得したデータをそれぞれ判断することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の判断方法。
【請求項11】
前記5つの判断モジュールは、少なくとも一の判断系が他の判断系よりも早く一の判断をするように前記判断要素を構成したことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の判断方法。
【請求項12】
前記判断方法は、移動体の緊急停止の判断または危険認知の判断をすることを特徴とする請求項7〜11のいずれかの記載の判断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図18】
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【図19】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−218329(P2010−218329A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65387(P2009−65387)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】