説明

制御弁

【課題】第1の流体を流通させる第1の流路と第2の流体を流通させる第2の流路とが合流する流路において、第1及び第2の流体のそれぞれの流量を簡易に制御する。
【解決手段】制御弁1は、流体O1,O2の各流速に応じた回転数で回転するようにそれぞれ設けられた羽根車2,3と、羽根車2,3に同軸に固定された軸体4と、ネジ孔8が形成され配管Tに固定された固定体5と、弁座11及び弁体12を有する弁6と、弁座13及び弁体14を有する弁7と、を備え、羽根車2,3は互いに異なる回転方向に回転するように構成され、軸体4にはネジ孔8に螺合するネジ部9が設けられている。よって、流体O1,O2の流速バランスに応じて軸体4が軸線G回りに回転され、軸体4が軸線Gに沿って移動され、各弁6,7の各弁開度が調整され、流体O1,O2の各流量が自動的に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の流体を流通させる第1の流路と、第2の流体を流通させる第2の流路と、が合流する流路において第1及び第2の流体のそれぞれの流量を制御する制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の制御弁としては、第1の流体を流通させる第1の流路と第2の流体を流通させる第2の流路との少なくとも一方にオリフィス等の絞りを設けることで、第1及び第2の流体のそれぞれの流量を制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−120577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、上述したような制御弁では、前述したように、第1及び第2の流路の少なくとも一方にオリフィス等の絞りを設ける必要がある。このオリフィスの設計の際には、実際にオリフィスを流路に取り付け、トライアンドエラーにより設計修正することが一般的である。よって、上述したような制御弁においては、第1及び第2の流体のそれぞれの流量を制御することが煩雑になるおそれがある。
【0004】
そこで、本発明は、第1の流体を流通させる第1の流路と第2の流体を流通させる第2の流路とが合流する流路において、第1及び第2の流体のそれぞれの流量を簡易に制御することができる制御弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る制御弁は、第1の流体を流通させる第1の流路と、第2の流体を流通させる第2の流路と、が合流する流路において第1及び第2の流体のそれぞれの流量を制御する制御弁であって、第1の流体の流速に応じた回転数で回転するように設けられた第1の羽根車と、第2の流体の流速に応じた回転数で回転するように設けられた第2の羽根車と、第1及び第2の羽根車のそれぞれに同軸に固定された軸体と、軸体が挿入される貫通孔が形成され、流路に固定された固定体と、第1の流路に設けられた第1の弁座、及び軸体に設けられた第1の弁体を有する第1の弁と、第2の流路に設けられた第2の弁座、及び軸体に設けられた第2の弁体を有する第2の弁と、を備え、第1及び第2の羽根車は、互いに異なる回転方向に回転するようにそれぞれ構成されており、軸体には、貫通孔の内面に螺合するネジ部が設けられていることを特徴とする。
【0006】
この制御弁では、第1の羽根車が第1の流体の流速に応じた回転数で回転するように設けられると共に、第2の羽根車が第2の流体の流速に応じた回転数で回転するように設けられ、これら第1及び第2の羽根車のそれぞれに軸体が同軸に固定されている。また、第1及び第2の羽根車が、互いに異なる回転方向に回転するようにそれぞれ構成されている。よって、第1の流体と第2の流体との流速バランスに応じて、軸体が軸線回りに回転する。そして、軸体が固定体の貫通孔に挿入されると共に軸体のネジ部が貫通孔の内面に螺合されていることにより、軸体の回転で当該軸体が軸線方向に沿って移動する。このとき、制御弁は、第1の弁座及び第1の弁体を有する第1の弁と、第2の弁座及び第2の弁体を有する第2の弁と、を備えていることから、軸体が軸線方向に沿って移動することで、第1及び第2の弁における弁開度のそれぞれが調整される。すなわち、第1及び第2の流体のそれぞれの流量が、第1及び第2の流体の各流速に応じて自動的に制御されることとなる。従って、本発明によれば、第1及び第2の流体のそれぞれの流量を簡易に制御することが可能となる。
【0007】
また、第1の羽根車は、第1の流路において第1のポンプの下流に配置されており、第2の羽根車は、第2の流路において第2のポンプの下流に配置されていることが好ましい。この場合、例えば経年劣化等により、第1又は第2のポンプの何れか一方のポンプの吐出流量が低下しても、第1及び第2の流体の各流量が自動的に制御されることから、一方のポンプが焼き付いてしまうのを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1の流体を流通させる第1の流路と第2の流体を流通させる第2の流路とが合流する流路において、第1及び第2の流体のそれぞれの流量を簡易に制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
図1は本発明の一実施形態に係る制御弁を含む配管系の構成図、図2は図1の制御弁の断面図である。図1に示すように、本実施形態の制御弁1は、配管(第1の流路)T1と配管(第2の流路)T2とが合流する配管系Tの合流部に設けられている。
【0011】
配管系Tは、流体Oを流通させるものである。この配管系Tの合流部では、図2に示すように、配管T1,T2が同一直線に沿って配置され、これらの下流端が互いに連結され、配管T3が配管T1,T2に直交するように当該配管T1,T2の下流端に連結されている。なお、以下の説明において、流通する流体Oのうち、配管T1を流通するものを第1の流体O1と称し、配管T2を流通するものを第2の流体O2と称し、配管T3を流通する流体を第3の流体O3と称する。
【0012】
図1に示すように、配管T1の制御弁1の上流には、ポンプP1が設置されている。配管T2の制御弁1の上流には、ポンプP2が設置されている。これらのポンプP1,P2は、流体Oを下流側(図中の矢印方向)にそれぞれ圧送するものであり、互いに同程度のポンプ性能を有している。また、配管T3には、制御弁50が設けられている。制御弁50は、第3の流体O3の流量を制御することで、流体Oの全体流量を制御する。
【0013】
図2に示すように、制御弁1は、流体O1,O2のそれぞれを制御するものであり、第1の羽根車2、第2の羽根車3、軸体4、固定体5、第1の弁6及び第2の弁7を備えている。
【0014】
第1の羽根車2は、その軸線G1が配管T1に沿うように、配管T1内に配置されている。この第1の羽根車2は、第1の流体O1の流速に比例する(応じた)回転数で回転するように設けられている。第2の羽根車3は、その軸線G2が配管T2に沿うように、配管T2内に配置されている。この第2の羽根車3は、第2の流体O2の流速に比例する(応じた)回転数で回転するように設けられている。これらの羽根車2,3としては、例えば、スパイラル形状の羽根を有するインデューサが用いられている。
【0015】
また、羽根車2,3は、同じ流速に対し、互いに等しい回転数で回転するように構成されており、ここでは、その大きさが互い等しくなっている。これらの羽根車2,3は、その向きが互いに異なるように配置されている。つまり、羽根車2,3は、互いに異なる回転方向に回転するようにそれぞれ構成されている。なお、羽根車2,3における「流速に比例する回転数」とは、「流量に比例する回転数」と実質的に同義である。
【0016】
軸体4は、その軸線Gが配管T1,T2に沿うように、配管T1,T2内に配置されている。この軸体4の両端には、羽根車2,3のそれぞれが同軸に連結され固定されている。また、軸体4の外周面における軸線G方向の中央には、円柱形状を呈するネジ部9が設けられている。ネジ部9は、固定体5のネジ孔8(後述)に螺合するものであり、その外周面に雄ネジ10が形成されている。ここでの雄ネジ10の螺進方向は、第1の羽根車2の回転方向に対しては図示右側とされ、第2の羽根車3の回転方向に対しては図示左側とされている。
【0017】
固定体5は、円筒形状を呈している。この固定体5の内周面には、雄ネジ10に対応する雌ネジを形成してなるネジ孔(貫通孔)8が設けられている。固定体5は、その軸線G3が配管T1,T2に沿うように、配管T1,T2内に配置されている。また、固定体5は、その外周面の両端部に設けられた連結部5aにより、配管T1,T2に固定されている。
【0018】
図3は図2のIII−III線に沿う一部断面図である。図3に示すように、連結部5aは、固定体5の外周面において周方向に等間隔で配置(ここでは、四等配)されている。
【0019】
図2に戻り、第1の弁6は、第1の弁座11及び第1の弁体12を有している。第1の弁座11は、配管T1中に設けられており、具体的には、その弁口11aに軸体4が挿通された状態で、第1の羽根車2と固定体5との間に位置するように配管T1に固定されている。第1の弁体12は、軸体4に設けられており、具体的には、第1の羽根車2と第1の弁座11との間に位置するように軸体4に固定されている。そして、この第1の弁6では、軸体4の移動で第1の弁座11の弁口11aと第1の弁体12の底面12aとの間隔が調整されて弁開度が調整され、第1の流体O1の流量が制御される。
【0020】
第2の弁7は、第2の弁座13及び第2の弁体14を有している。第2の弁座13は、配管T2中に設けられており、具体的には、その弁口13aに軸体4が挿通された状態で、第2の羽根車3と固定体5との間に位置するように配管T2に固定されている。第2の弁体14は、軸体4に設けられており、具体的には、第2の羽根車3と第2の弁座13との間に位置するように軸体4に固定されている。そして、この第2の弁7では、軸体4の移動で第2の弁座13の弁口13aと第2の弁体14の底面14aとの間隔が調整されて弁開度が調整され、第2の流体O2の流量が制御される。
【0021】
なお、制御弁1では、ネジ部9及びネジ孔8が設けられていることから、ネジ構造の目詰まりを防止するため、流体Oとしては固形物(スラッジ)が少ないものが特に好ましい。よって、配管T1,T2のそれぞれにおいて制御弁1よりも上流側の位置に、流体O中の固形物を除去するためのフィルタを設ける場合がある。
【0022】
次に、配管系Tにおいて制御弁1で流体O1,O2の各流量を制御する場合の一例について説明する。
【0023】
配管系Tでは、各配管T1,T2の各ポンプP1,P2により流体O1,O2をそれぞれ圧送することで、制御弁1によって流体O1,O2の各流量が制御されつつ流体O1,O2が合流されると共に、配管T3の制御弁50によって流体Oの全体流量が制御される。
【0024】
ここで、制御弁1では、第1の流体O1の流速に比例した回転数で回転するように第1の羽根車2が作動すると共に、第2の流体O2の流速に比例した回転数で回転するように第2の羽根車3が作動する。よって、例えば、第1の流体O1の流速が第2の流体O2の流速よりも大きい場合、第1の羽根車2の回転力が第2の羽根車3の回転力よりも大きくなり、第1の羽根車2の回転方向に軸体4が回転され、軸体4が図2の右方向に並進移動される。
【0025】
このように軸体4が右方向に並進移動されると、第1の弁6の弁開度が狭まると共に第2の弁7の弁開度が拡がり、第1の流体O1の流量が低下すると共に第2の流体O2の流量が増加する。第1の流体O1の流量が低下してその流速が遅くなることで、第1の羽根車2の回転力が低下する。一方、第2の流体O2の流量が増加してその流速が速くなることで、第2の羽根車3の回転力が上昇する。よって、各流体O1,O2の流速バランスが互いに釣り合うまで、軸体4の並進移動による弁6,7の弁開度の調整が自動的に行なわれる。
【0026】
そして、流体O1,O2の流速が互いに等しいとき、羽根車2,3の回転力が互いに等しくなって軸体4に回転が停止され、軸体4の並進移動が停止される。その結果、流体O1,O2の各流量が互いに等しくなるように制御されることとなる。
【0027】
なお、第2の流体O2の流速が第1の流体O1の流速よりも大きい場合にも、上記と同様な作用が実行されて、流体O1,O2の各流量が互いに等しくなるように制御される。ちなみに、流体O1,O2の各流量の制御により、弁6,7のそれぞれを通過した各流体O1,O2の圧力は、互いに等しくなっている。
【0028】
以上、制御弁1では、流体O1,O2の各流速に比例した回転数で回転するように羽根車2,3がそれぞれ作動することから、流体O1,O2の流速バランスに応じて、軸体4が軸線G回りに回転される。さらに、軸体4のネジ部9が固定体5のネジ孔8に螺合されていることから、軸体4の回転に応じて、軸体4が軸線G方向に沿って並進移動され、弁6,7における各弁開度が調整される。ここでは、羽根車2,3が同じ流速に対して互いに等しい回転数で回転するように設定されているため、流体O1,O2の各流速(流量)が互いに等しい状態となるように弁6,7の各弁開度が調整される。従って、制御弁1によれば、流体O1,O2の各流量を互いに等しくなるように自動的に制御することができ、流体O1,O2のそれぞれの流量を簡易に制御することが可能となる。
【0029】
また、制御弁1では、上述したように、第1の羽根車2が配管T1において第1のポンプP1の下流に配置されており、第2の羽根車3が配管T2において第2のポンプP2の下流に配置されている。よって、例えば経年劣化等により、ポンプP1,P2の何れか一方のポンプの吐出流量が低下した場合でも、流体O1,O2の各流量が自動的に制御されるため、一方のポンプが焼き付いてしまうのを抑制することが可能となる。
【0030】
また、制御弁1は、上述したように、流体O1,O2のそれぞれの流量を簡易に制御できるものであることから、例えば、配管T1の汚れ等により配管T1の圧力損失が上昇し、流体O1の供給流量が不足したとき、弁6の開度を大とすることで流体O1の流量を増加させることができる。つまり、配管T1,T2の何れかの流路に圧力損失が生じても、トータル流量(流体O1,O2の流量の合計)が変化しないように簡易に調整することができる。
【0031】
なお、制御弁1では、羽根車2,3のそれぞれが、同じ流速に対して互いに等しい回転数で回転するように設定されていることから、流体O1,O2の各流量が互いに等しくなるように自動的に制御されるが、羽根車2,3の各仕様を所望に設定することで、流体O1,O2のそれぞれの流量を自動的且つ所望に制御することも可能である。例えば、羽根車2,3の大きさを、n:m(n及びmは実数)とすることで、流体O1,O2の各流量をn:mとなるように自動的に制御することが可能となる。
【0032】
次に、図1の制御弁を含む配管系の他の例を説明する。図4は、図1の制御弁を含む配管系の他の例を示す構成図である。図4に示すように、配管系T10が上記の配管系T(図1参照)と異なる点は、配管T4,T5,T6をさらに有し、第2の流体の流量が略半分ずつに分かれるように配管T2が2分岐されている点である。
【0033】
具体的には、配管T10における配管T2,T4の合流部では、配管T1,T2の合流部と同様に、配管T2,T4が同一直線に沿って配置され、これらの下流端が互いに連結されていると共に、配管T5が配管T2,T4に直交するように当該配管T2,T4の下流端に連結されている。配管T4の制御弁1の上流には、流体を下流側に圧送するものとして、ポンプP1,P2と同程度のポンプ性能を有するポンプP3が設置されている。配管T6は、配管T3,T5が合流されてなり、この配管T6には、制御弁50が設けられている。なお、以下の説明において、流通する流体のうち、配管T4を流通するものを第4の流体と称し、配管T5を流通するものを第5の流体と称する。
【0034】
また、配管系T10では、制御弁1が配管T3,T5の合流部に設けられ、制御弁1と同様な制御弁1Aが配管T1,T2の合流部に設けられ、制御弁1と同様な制御弁1Bが配管T2,T4の合流部に設けられている。制御弁1Aでは、第1の流体の流量と第2の流体の流量とが2:1となるように流量制御されている。制御弁1Bでは、第2の流体の流量と第4の流体の流量とが1:2となるように流量制御されている。
【0035】
この配管系T10においては、ポンプP1,P2,P3を稼動して第1、第2及び第4の流体をそれぞれ圧送することで、配管T1,T2の合流部の制御弁1Aによって第1及び第2の流体の各流量が制御されつつこれらが合流され、合流された第1及び第2の流体が配管T3を流通する。これと共に、配管T2,T4の合流部の制御弁1Bによって第2及び第4の流体の各流量が制御されつつこれらが合流され、合流された第2及び第4の流体が配管T5を流通する。そして、配管T3,T5の合流部の制御弁1によって、配管T3,T5を流通する流体の各流量が制御されつつこれらが合流され、配管T6にて制御弁50で流体の全体流量が制御される(図中の実線矢印参照)。
【0036】
なお、本実施形態では、3つの配管T1,T2,T4が合流される配管系T10の各合流部に制御弁1を設けたが、4つ以上の配管が合流される配管系の各合流部に制御弁1を設けても勿論よい。
【0037】
次に、図1の制御弁を含む配管系の別の他の例について説明する。図5は、図1の制御弁を含む配管系の別の他の例を示す構成図である。図5に示すように、配管系T20が上記の配管系T(図1参照)と異なる点は、バイパス配管T21,T22と、弁23,24と、逆止め弁25,26と、をさらに有する点である。なお、逆止め弁は、一般的にポンプ下流に設けられるものであるが、上記の配管系T,T10(図1,4参照)においては、その説明を省略している。
【0038】
バイパス配管T21は、制御弁1を介さずに第1の流体を配管T3に流通させるためのものであり、配管T1,T3に連結されている。バイパス配管T22は、制御弁1を介さずに第2の流体を配管T3に流通させるためのものであり、配管T2,T3に連結されている。
【0039】
弁23は、バイパス配管T21の流路を開閉するものであり、当該バイパス配管T21に設けられている。弁24は、バイパス配管T22の流路を開閉するものであり、当該バイパス配管T22に設けられている。なお、ここでの弁23,24としては、開閉弁が用いられている。
【0040】
逆止め弁25は、第1の流体の逆流を防止するものであり、配管T1においてバイパス配管T21との連結部よりも上流、且つポンプP1の下流に設けられている。逆止め弁26は、第2の流体の逆流を防止するものであり、配管T2においてバイパス配管T22との連結部よりも上流、且つポンプP2の下流に設けられている。
【0041】
この配管系T20によれば、上記の配管TのようにポンプP1,P2を共に稼動して運転することができる。すなわち、バイパス配管T21,T22の弁23,24を閉状態とし、ポンプP1,P2で第1及び第2の流体を圧送する。これにより、制御弁1によって第1及び第2の流体が流量制御されつつ合流され、配管T3の制御弁50により流体の全体流量が制御される。なお、ここでは、上記のように弁23,24が閉状態としているため、流体がバイパス配管T21,T22により制御弁1をバイパスすることが防止される。
【0042】
さらに、配管系T20においては、ポンプP1,P2の何れかを単独で稼動して運転することができる。すなわち、例えばポンプP1を単独で稼動する場合(図中の実線矢印参照)、弁23を開状態とすると共に弁24を閉状態とし、ポンプP1を稼動して第1の流体を圧送する。ここで、制御弁1では、第2の流体の流速が0(ゼロ)であることから、第1の羽根車2の作動により第1の弁6(図2参照)が閉状態となるため、第1の流体がバイパス配管T21のみを通じて配管T3に流通することとなる。そして、配管T3を流通する流体が制御弁50で制御される。なお、ここでは、上記のように逆止め弁26を設けているため、バイパス配管T21で配管T3に流通した流体が、制御弁1を介してポンプP2に逆流することが防止される。
【0043】
また、ポンプP2を単独で稼動する場合(図中の破線矢印参照)にも、上記と同様な作用が実行されて、第2の流体がバイパス配管T22を通じて配管T3に流通することとなる。
【0044】
次に、図1の制御弁を含む配管系のさらに別の他の例について説明する。図6は、図1の制御弁を含む配管系のさらに別の他の例を示す構成図である。図6に示すように、配管系T30が上記の配管系T10(図4参照)と異なる点は、バイパス配管T31〜T35と、弁34〜37,41と、逆止め弁38〜40と、をさらに有する点である。
【0045】
バイパス配管T31は、制御弁1Aを介さずに第1の流体を配管T3に流通させるためのものであり、配管T1,T3に連結されている。バイパス配管T32は、制御弁1Aを介さずに第2の流体を配管T3に流通させるためのものであり、配管T2,T3に連結されている。バイパス配管T33は、制御弁1Bを介さずに第4の流体を配管T5に流通させるためのものであり、配管T4,T5に連結されている。バイパス配管T34は、制御弁1を介さずに第3の流体を配管T6に流通させるためのものであり、配管T3,T6に連結されている。バイパス配管T35は、制御弁1を介さずに第5の流体を配管T6に流通させるためのものであり、配管T5,T6に連結されている。なお、バイパス配管T32が配管T2,T5に連結される場合もある。
【0046】
弁34は、バイパス配管T31の流路を開閉するものであり、当該バイパス配管T31に設けられている。弁35は、バイパス配管T32の流路を開閉するものであり、当該バイパス配管T32に設けられている。弁36は、バイパス配管T33の流路を開閉するものであり、当該バイパス配管T33に設けられている。弁37は、バイパス配管T34の流路を開閉するものであり、当該バイパス配管T34に設けられている。弁41は、バイパス配管T35の流路を開閉するものであり、当該バイパス配管T35に設けられている。なお、ここでの弁34〜37,41としては、開閉弁が用いられている。
【0047】
逆止め弁38は、第1の流体の逆流を防止するものであり、配管T1においてバイパス配管T31との連結部よりも上流、且つポンプP1の下流に設けられている。逆止め弁39は、第2の流体の逆流を防止するものであり、配管T2においてバイパス配管T32との連結部よりも上流、且つポンプP2の下流に設けられている。逆止め弁40は、第4の流体の逆流を防止するものであり、配管T4においてバイパス配管T33との連結部よりも上流、且つポンプP3の下流に設けられている。
【0048】
この配管系T30によれば、上記の配管T系10のようにポンプP1,P2,P3を共に稼動して運転することができる。すなわち、バイパス配管T31〜T35の弁34〜7,41を閉状態とし、ポンプP1,P2,P3で第1、第2及び第4の流体をそれぞれ圧送する。これにより、配管T1,T2の合流部の制御弁1Aで第1及び第2の流体が流量制御されつつ合流されると共に、配管T2,T4の合流部の制御弁1Bで第2及び第4の流体が流量制御されつつ合流される。そして、配管T3,T5の合流部の制御弁1で配管T3,5を流通する流体が流量制御されつつ合流され、配管T6にて制御弁50で流体の全体流量が制御される。なお、ここでは、上記のように弁34〜37,41を閉状態としているため、流体がバイパス配管T31〜T35により制御弁1をバイパスすることが防止される。
【0049】
さらに、配管T30においては、ポンプP1,P3を稼動して運転することができる(図中の実線矢印参照)。すなわち、弁34,36を開状態とすると共に弁35,37,41を閉状態とし、各配管T1,T3の各ポンプP1,P3により第1及び第3の流体をそれぞれ圧送する。ここで、制御弁1A,1Bでは、第2の流体の流速が0(ゼロ)であることから、制御弁1Aにおいて第1の羽根車2の作動で第1の弁6が閉状態となり、制御弁1Bにおいて第2の羽根車3の作動で第2の弁7が閉状態となる。そのため、第1の流体がバイパス配管T31のみを通じて配管T3に流通すると共に、第4の流体がバイパス配管T33のみを通じて配管T5に流通する。そして、配管T3,T5の合流部の制御弁1によって、配管T3,T5を流通する流体の各流量が制御されつつこれらが合流され、配管T6にて制御弁50で流体の全体流量が制御される。
【0050】
さらにまた、配管T30においては、ポンプP1,P2を稼動して運転することができる。すなわち、弁37を開状態とすると共に弁34,35を閉状態とし、各配管T1,T2の各ポンプP1,P2により第1及び第2の流体をそれぞれ圧送する。ここで、制御弁1B,1では、第4及び第5の流体の流速が0(ゼロ)であることから、第1の羽根車2の作動で第1の弁6がそれぞれ閉状態となる。そのため、配管T1,T2の合流部の制御弁1Aによって、第1及び第2の流体の各流量が制御されつつこれらが合流され、配管T3を流通する。そして、第3の流体がバイパス配管T37のみを通じて配管T6に流通し、配管T6にて制御弁50で流体の全体流量が制御される。
【0051】
さらにまた、配管T30においては、ポンプP2,P3を稼動して運転することができる。すなわち、弁41を開状態とすると共に弁35,36を閉状態とし、各配管T2,T3の各ポンプP2,P3により第2及び第4の流体をそれぞれ圧送する。ここで、制御弁1A,1では、第1及び第3の流体の流速が0(ゼロ)であることから、第2の羽根車3の作動で第2の弁7がそれぞれ閉状態となる。そのため、配管T2,T4の合流部の制御弁1Bによって、第2及び第4の流体の各流量が制御されつつこれらが合流され、配管T5を流通する。そして、第5の流体がバイパス配管T38のみを通じて配管T6に流通し、配管T6にて制御弁50で流体の全体流量が制御される。
【0052】
そして、この配管T30では、ポンプP1〜P3の何れかを単独で稼動して運転することもできる。すなわち、例えばポンプP2を単独で稼動する場合(図中の破線矢印参照)、弁35,37を開状態とすると共に弁41を閉状態とし、ポンプP2を稼動して第2の流体を圧送する。ここで、制御弁1A,1Bでは、第1の流体の流速及び第4の流体の流速が0(ゼロ)であることから、制御弁1Aにおいて第2の羽根車3の作動で第2の弁7が閉状態となり、制御弁1Bにおいて第1の羽根車2の作動で第1の弁6が閉状態となる。そのため、第2の流体がバイパス配管T32のみを通じて配管T3に流通する。さらに、制御弁1では、配管T5を流通する流体の流速が0(ゼロ)であることから、制御弁1において第1の羽根車2の作動で第1の弁6が閉状態となるため、第3の流体がバイパス配管T34のみを通じて配管T6に流通する。そして、配管T6にて制御弁50で流体の流量が制御される。なお、ここでは、上記のように逆止め弁38,40を設けているため、制御弁1A,1Bを介して流体がポンプP1,P3に逆流することが防止される。
【0053】
また、ポンプP1を単独で稼動する場合(図中の一点鎖線矢印参照)、弁34,37を開状態とすると共に弁41を閉状態とし、ポンプP1を稼動して第1の流体を圧送することで、上記と同様な作用が実行され、第1の流体がバイパス配管T31を通じて配管T3に流通し、第3の流体がバイパス配管T34を通じて配管T6に流通する。さらにまた、ポンプP3を単独で稼動する場合、弁36,41を開状態とすると共に弁37を閉状態とし、ポンプP3を稼動して第4の流体を圧送することで、上記と同様な作用が実行され、第4の流体がバイパス配管T33を通じて配管T5に流通し、第5の流体がバイパス配管T35を通じて配管T6に流通することとなる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0055】
例えば、上記実施形態では、流路を配管Tとしたが、流路は、例えばU字溝等の溝でもよく、閉鎖系のものでもよく、開放系のものでもよい。要は、流路は、流体を流通させるものであればよい。
【0056】
また、上記実施形態では、ネジ部として、外周面に雄ネジ10が形成されたネジ部9を設けたが、軸体4の外周面に雄ネジ10を直接形成してもよい。また、羽根車としては、流速に応じた回転数で回転するように設けられていれば、軸流型や射流型等の種々のものを採用してもよい。また、上記実施形態では、弁34〜37として開閉弁を用いたが、例えば逆止め弁等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御弁を含む配管系を示す構成図である。
【図2】図1の制御弁の断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1の制御弁を含む配管系の他の例を示す構成図である。
【図5】図1の制御弁を含む配管系の別の他の例を示す構成図である。
【図6】図1の制御弁を含む配管系のさらに別の他の例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1…制御弁、2…第1の羽根車、3…第2の羽根車、4…軸体、5…固定体、6…第1の弁、7…第2の弁、8…ネジ孔(貫通孔)、9…ネジ部、11…第1の弁座、12…第1の弁体、13…第2の弁座、14…第2の弁体、O1…第1の流体、O2…第2の流体、P1…第1のポンプ、P2…第2のポンプ、T,T10,T20,T30…配管系(流路)、T1…配管(第1の流路)、T2…配管(第2の流路)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体を流通させる第1の流路と、第2の流体を流通させる第2の流路と、が合流する流路において前記第1及び第2の流体のそれぞれの流量を制御する制御弁であって、
前記第1の流体の流速に応じた回転数で回転するように設けられた第1の羽根車と、
前記第2の流体の流速に応じた回転数で回転するように設けられた第2の羽根車と、
前記第1及び第2の羽根車のそれぞれに同軸に固定された軸体と、
前記軸体が挿入される貫通孔が形成され、前記流路に固定された固定体と、
前記第1の流路に設けられた第1の弁座、及び前記軸体に設けられた第1の弁体を有する第1の弁と、
前記第2の流路に設けられた第2の弁座、及び前記軸体に設けられた第2の弁体を有する第2の弁と、を備え、
前記第1及び第2の羽根車は、互いに異なる回転方向に回転するようにそれぞれ構成されており、
前記軸体には、前記貫通孔の内面に螺合するネジ部が設けられていることを特徴とする制御弁。
【請求項2】
前記第1の羽根車は、前記第1の流路において第1のポンプの下流に配置されており、
前記第2の羽根車は、前記第2の流路において第2のポンプの下流に配置されていることを特徴とする請求項1記載の制御弁。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−236181(P2009−236181A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81223(P2008−81223)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000231707)新日本石油精製株式会社 (33)
【Fターム(参考)】