説明

制御装置、画像形成装置、摩耗検出方法、プログラム、記憶媒体

【課題】モータの回転を伝達するギヤの摩耗をより早期に検出することができる制御装置等を提供すること。
【解決手段】被回転体14の回転速度を制御する制御装置200において、モータと一体に回転するギヤ43Aと、ギヤ43Bとが噛合して、モータ41の回転を被回転体14に伝達する伝達手段43と、被回転体14の回転速度を時間に対応づけて検出する速度検出手段46、72と、回転速度に基づきモータ41を一定速度に制御するモータ制御手段57,58と、時間に対応づけて検出した回転速度を、周波数と回転速度の変動の大きさを示す変動値の関係に変換する変換手段73と、ギア43Aの歯数とモータ41のモータ回転速度に基づき決定された特定周波数における変動値が閾値を超えている場合に、ギア43Aの歯又はギア43Bの歯の少なくとも一方の摩耗の予兆を検出する摩耗検出手段74と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの回転を伝達するギヤの摩耗をより早期に検出することができる制御装置、画像形成装置、摩耗検出方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
より高画質な画像を形成するため、画像形成装置はさまざまな対策を講じているが、対策の1つに中間転写ベルトの表面速度を一定にする制御がある。1枚の用紙に画像を形成中に表面速度が変動すると、画像の変形、単色の印刷では濃淡ムラ、カラー印刷では色ずれ等が生じやすくなる。このため、中間転写ベルトの表面速度をエンコーダ等により検出し、中間転写ベルトの表面速度が一定速度になるように、モータを精密に制御する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、中間転写ベルトの支持回転体のうち回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出して、中間転写ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する該回転角変位又は該回転角速度のベルト交流成分の振幅・位相を抽出し、該交流成分の振幅及び位相に基づいて、駆動支持回転体の回転を制御する、技術が開示されている。こうすることで、フーリエ変換に比べて安価な演算処理装置でベルト周方向の厚さ変動に対応した交流成分の振幅および位相を高精度で抽出し、中間転写ベルトの表面速度を一定に制御できるとする。
【特許文献1】特開2006−023403号公報
【特許文献2】特開2005−221577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、表面速度はモータを精密に駆動する事で一定に制御可能であるが、短時間に生じる表面速度の変動(例えば、数百Hzの帯域)については、制御が困難であることが知られるようになった。
【0004】
数百ヘルツの表面速度の変動は、例えば、モータの回転速度を伝達するギヤのギヤ歯成分によるものと考えられる。例えば、ギヤが極端に摩耗すると他方のギヤの歯との間隔が大きくなり、中間転写ベルトの表面速度に大きな変動を生じさせる。この点について、モータの回転速度をウェーブレット変換して、ギヤの極端な摩耗を検出する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2には、回転速度のウェーブレット変換後、統計処理することで得られた高周波数成分から、突発速度変化を検出する画像形成装置が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献2記載の画像形成装置は、ギヤが極端に摩耗して、しかも一歯が欠けるなどしないと、ギヤの摩耗を検出することができないという問題がある。例えば、ギヤが若干摩耗した程度の表面速度の変動を検出することができない。
【0006】
これまでの画像形成装置では、ギヤが若干摩耗してギヤの一歯の噛合間隔が問題となるほどの高画質は求められていなかったし、また、ギヤの材質を適切に選択することで画質に影響するほどの磨耗には至らなかった。しかし、高画質化の要求は際限がなく、また、さらに高速で大量の印刷が行われることが多くなっている。この結果、高画質化の要求に対してギヤの磨耗による一歯の噛合間隔が影響してくるようになってきている。また、高速化すればギヤの磨耗も起こりやすくなる。
【0007】
このような要求に対し、ギヤが極端に摩耗してからでないと摩耗を検出できないと、徐々に低下する画質の印刷物を出力し続けることになり、また、磨耗を検出した時にはすでにはっきりと画質に異常が現れる状態となってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、モータの回転を伝達するギヤの摩耗をより早期に検出することができる制御装置、画像形成装置、摩耗検出方法、プログラム及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、被回転体の回転速度を制御する制御装置において、モータと一体に回転するギヤAと、前記被回転体を駆動する回転ローラと一体に回転するギヤBとが噛合して、前記モータの回転を前記被回転体に伝達する伝達手段と、被回転体又は前記回転ローラの回転速度を時間に対応づけて検出する速度検出手段と、前記回転速度に基づき前記モータを一定速度に制御するモータ制御手段と、時間に対応づけて検出した回転速度を、時間に対する回転速度の変動に含まれる周波数と前記回転速度の変動の大きさを示す変動値の関係に変換する変換手段と、前記ギアAの歯数と該モータのモータ回転速度に基づき決定された特定周波数における、変動値が閾値を超えている場合に、前記ギアAの歯又は前記ギアBの歯の少なくとも一方の摩耗の予兆を検出する摩耗検出手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
モータの回転を伝達するギヤの摩耗をより早期に検出することができる制御装置、画像形成装置、摩耗検出方法、プログラム及び記憶媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0012】
〔摩耗検出の概略〕
図1(a)、図1(b)は、駆動ローラ16の回転速度の速度変動を周波数毎に示す図の一例である。図1(a)はギヤの歯が摩耗していない場合の変動を、図1(b)はギヤの歯が若干摩耗した場合の変動を、それぞれ示す。この図は後述するように中間転写ベルト14を保持する駆動ローラ16の回転速度の信号をフーリエ変換して得たものである。以下、図1(a)(b)に示した周波数毎の速度変動をFFT処理結果という。高画質な画像を形成するためには、全周波数域に渡って速度変動が所定値以下(例えば、0.25以下)に抑えることが望ましい。
【0013】
中間転写ベルト14を支持するローラの偏芯による速度変動はローラ1〜2回転毎に生じるので、駆動ローラ16の偏芯による速度変動はローラの回転速度〔1/s〕付近の周波数に現れる。すなわち、速度変動は現象が生じる周期に対応した周波数に現れる。1秒毎に回転速度が変動するなら周波数1Hz付近の値が大きくなり、0.1秒ごとに回転速度が変動するなら周波数10Hz付近の値が大きくなる。
【0014】
噛合した1対のギヤの摩耗は程度の差はあってもギヤの各歯に生じるとしてよいので、ギヤの一歯の噛合間隔が原因となる変動は、1秒間に「モータ側のギヤの歯数×モータの回転速度〔1/s〕」回程度生じる。このモータについては後述するが、中間転写ベルト14を回転させる一次転写モータ41である。例えば、ギヤの歯数が10でモータが30〔1/s〕で回転している場合、1秒間に「30×10=300」回程度、換言すれば、300Hzの周波数にギヤの一歯の噛合間隔が影響する速度変動が現れる。以下、ギヤの一歯の噛合間隔が速度変動に影響する周波数を「一歯周波数」という。図1(a)(b)では数百ヘルツの周波数が一歯周波数である。
【0015】
図1(a)に示すように、ギヤの歯が摩耗していない状態でも、一歯周波数に速度変動の極大値が現れる。これはギヤには「遊び」が設けられているためである。
【0016】
そして、ギヤの歯が摩耗して遊びが大きくなると、図1(b)に示すように、一歯周波数に現れる速度変動の値が大きくなる。すなわち、駆動ローラ16の回転速度の信号をフーリエ変換し、一歯周波数における速度変動を監視すれば、ギヤの摩耗を早期に検出できる。「早期に」とはギヤの歯が摩耗したが画質には影響を与えない、わずかに摩耗した段階で検出できることをいう。本実施例ではこのわずかに摩耗した状態を検出することを、「摩耗の予兆」を検出する、という。
【0017】
〔画像形成装置100〕
図2は画像形成装置100の概略構成図の一例を示す。本実施形態の画像形成装置100はMFP(Multifunction Peripheral)を例にするが、用紙などの記録部材に印刷する機能を備えた、例えばプリンタ、ファクシミリ装置、スキャナ装置等であってもよい。
【0018】
画像形成装置100は、プリンタ部110、給紙部120、スキャナ部130及びADF(Auto Document Feeder)140を有し、これらは後述する制御装置200により制御される。ADF140は、原稿を1枚ずつコンタクトガラス11上へ給送して、スキャナ部130が原稿を読み取ると、原稿を原稿用の排紙トレイに排紙する。
【0019】
スキャナ部130は、不図示の露光ランプ、原稿の画像を結像する光学系等を有する。露光ランプと光学系は副走査方向に移動するキャリッジに搭載され、露光ランプで原稿を主走査方向に露光した反射光をCCDに結象させる。CCDは反射光を光電変換してアナログデータを生成し、アナログデータはA/D変換によりデジタルの画像データに変換される。さらに画像データにはガンマ補正、シェーディング補正、MTF補正等が施される。なお、カラーの原稿をカラーで読み取る場合、RGB各色のLEDライトを順番に点灯するか、又は、RGB各色のカラーフィルタを介して原稿を読み取る。
【0020】
画像形成装置100は、画像データをHDD(ハードディスクドライブ)に記憶する。スキャナ装置であれば、画像形成装置100は、この画像データを圧縮して電話網を介して相手先に送信したり、ネットワークを介してPC(パーソナルコンピュータ)に送信する。
【0021】
印刷する場合、制御装置200はプリンタ部110を制御して、記憶した画像データに基づいて用紙に画像を形成する。プリンタ部110は、露光装置10と、作像ユニット13k〜13yと、中間転写ベルト14と、感光体27k〜27yと、二次転写ローラ18と、定着ユニット19と、を有する。中間転写ベルト14は、3つのローラ15、16、17が張架された無端ベルトである。3つのローラ15、16、17のうち少なくとも1つは中間転写ベルト14を駆動する駆動ローラ16であり、他の2つのローラは従動ローラとして、中間転写ベルト14の回転に伴い回転する。本実施形態では、紙面右端のローラ16を駆動ローラ16としたが、左端又は中央のローラ15、17を駆動ローラとしてもよい。なお、ローラ15はテンションローラと称され、中間転写ベルト14に適切な張力を負荷することでたるみを防止している。中間転写ベルト14は計回りに回転する。
【0022】
補色関係にある各色の作像ユニット13k(ブラック),13m(マゼンダ),13c(シアン),13y(イエロー)は、中間転写ベルト14の露光装置10側に周回方向に沿って並設されている。このような構成はタンデムタイプとして知られる。各作像ユニット13k〜13yにはそれぞれの色のトナーが充填されている。
【0023】
露光装置10は、露光用の各色の画像データで変調されたレーザ光を、感光体27k〜27yの軸方向に走査しながら感光体27k〜27yに投射する。感光体27k〜27yは帯電ローラで荷電されているため、レーザが照射された部分は荷電が除去され、感光体27k〜27yに各色の画像データに応じた静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体27k〜27yが回転しながら、作像ユニット13k〜13yから各色のトナーが供給されると、感光体27k〜27yにトナー像に顕像化される。
【0024】
各感光体27k〜27yの各トナー画像は、感光体27k〜27yと中間転写ベルト14とが接する位置(以下、一次転写位置という)で、中間転写ベルト14上に転写される。感光体27k〜27yには、中間転写ベルト14を介して中間転写ローラ26k〜26yが作像ユニット13k〜13yと対にそれぞれ対向配置されている。各中間転写ローラ26k〜26yは、それぞれ中間転写ベルト14の内周面に当接され中間転写ベルト14を各感光体の表面に接触させる。中間転写ローラ26k〜26yにそれぞれに電圧が印可されることで、感光体27k〜27yのトナー像が中間転写ベルト14に転写されるための中間転写電界が発生する。
【0025】
中間転写電界の作用により、中間転写ベルト14上にトナー画像が形成される。作蔵ユニット13k〜13yが転写したブラックのトナー画像は中間転写ベルト14と一体に、次の作像ユニット13mに搬送される。作像ユニット13mは、マゼンダのトナー画像を、中間転写ベルト14上に形成されたブラックのトナー画像に重畳して転写する。中間転写ベルト14に転写された2色の重ね合わせトナー画像は、次の作像ユニット13c,13yに搬送され、同様の動作により、作像ユニット13cは、シアンのトナー画像を、中間転写ベルト14上に2色の重ね合わせトナー画像に重畳して転写する。また、作像ユニット13yは、イエローのトナー画像を、中間転写ベルト14上の3色の重ね合わせトナー画像に重畳して転写する。こうすることで、中間転写ベルト14上にフルカラーの重ね合わせトナー画像が形成される。
【0026】
給紙部120は、サイズの異なる複数種の用紙を積載する複数の給紙トレイ22、搬送路23の途中に適宜設けられた複数の搬送ローラ対29等を備えている。各給紙トレイ22は、内部に収容された記録媒体としての用紙Pを一番上のものから順次送り出す給紙ローラ28、給紙ローラ28によって重送されてしまった複数の用紙Pを個々に分離してから搬送路23に送り出す分離ローラ31を有している。
【0027】
搬送ローラ対29は、給紙トレイ22から搬送された用紙Pを後段の搬送ローラ対29、プリンタ部110の給紙路32に向けて送り出す。給紙路32に送り込まれた用紙Pは、給紙路32の途中に設けられたレジストローラ対33に挟まれる。このレジストローラ対33は、挟み込んだ用紙を所定のタイミングで二次転写ローラ18の位置まで送り込む。所定のタイミングは、中間転写ベルト14の回転によりフルカラーの重ね合わせトナー画像が二次転写ローラ18の位置まで搬送されたタイミングである。
【0028】
二次転写ローラ18は、ローラ17と対向配置される。制御装置200は、印刷時に二次転写ローラ18を中間転写ベルト14に当接させる。また、二次転写ローラ18に電圧が印可されることで二次転写電界が発生する。二次転写ローラ18に到達した用紙Pには二次転写電界の作用により、中間転写ベルト14に形成された重ね合わせトナー画像が転写される。二次転写ローラ18は後述する二次転写モータ42により二次転写モータ42の円周の速度(以下、円周速度という)が中間転写ベルト14の表面速度と同じになるよう制御されている。二次転写モータ42の駆動力により、用紙Pという負荷により中間転写ベルト14の表面速度の変動を抑制している。
【0029】
フルカラー画像が形成された用紙Pは、時計回りに回転する無端ベルト24に載置され定着ユニット19内に送られる。そして、定着ユニット19内に設けられた加熱ローラ12と加圧ローラ25との間に挟まれて熱と圧力の作用によりフルカラー画像が用紙Pに定着される。フルカラー画像が定着した用紙Pは機外の排紙トレイ21上に排出される。なお、二次転写後に中間転写ベルト14上に残留する転写残トナーは、不図示のベルトクリーニング装置によってベルト表面から強制的に除去される。
【0030】
〔中間転写ベルト14を駆動する一次転写モータ41と減速機構43〕
図3は、図2の中間転写ベルト14、駆動ローラ16及び二次転写ローラ18を模式的に説明する図の一例を示す。なお、ローラ15、17を結ぶ直線より内側に配置されたテンションローラ34は中間転写ベルト14に対してテンションを与えるローラである。テンションローラ34を設けることで、中間転写ベルト14と駆動ローラ16の間のスリップを少なくし、中間転写ベルト14と駆動ローラ16、テンションローラとの摩擦力を大きくすることができる。
【0031】
上記のとおり中間転写ベルト14は駆動ローラ16によって時計方向に回転するが、この駆動ローラ16は一次転写モータ41によって回転駆動される。一次転写モータ41は回転軸を回転中心とする平歯歯車のギヤ43aを備え、駆動ローラ16は回転軸を回転中心とする平歯歯車43bを備える。2つのギヤ43a、43bが噛合することで減速機構43を構成する。一次転写モータ41の回転速度は減速機構43のギヤ比に応じて減速して駆動ローラ16に伝達されるので、駆動ローラ16は一次転写モータ41よりも遅い回転速度で回転する。なお、ハス歯歯車を減速機構43に用いてもよい。
【0032】
また、駆動ローラ16の回転軸と同軸にエンコーダ46が配置されており、後述するモータ駆動回路54はエンコーダ46が検出する回転速度に基づき駆動ローラ16の回転速度が一定になるよう、一次転写モータ41を例えばフィードバック制御する。なお、中間転写ベルト14に等間隔で設けられたベルトスケールセンサにより検出した中間転写ベルト14の表面速度に基づき、表面速度が一定になるよう一次転写モータ41を制御してもよい。
【0033】
二次転写ローラ18は二次転写モータ42により駆動される。二次転写モータ42は回転軸を回転中心とする平歯歯車のギヤ44aを備え、二次転写ローラ18は回転軸を回転中心とする平歯歯車44bを備える。2つのギヤ44a、44bが噛合することで減速機構44を構成する。二次転写モータ42の回転速度は減速機構44のギヤ比に応じて減速して二次転写ローラ18に伝達されるので、二次転写ローラ18は二次転写モータ42よりも遅い回転速度で回転する。二次転写モータ42には、回転速度を検出するためのエンコーダ47が配置されている。モータ駆動回路54は、二次転写モータ42の回転速度に基づき、二次転写ローラ18の円周速度が中間転写ベルト14の表面速度と同じになるよう、二次転写モータ42を制御する。
【0034】
図4は、ギヤ43a、43bの噛合を模式的に説明する図の一例である。図4(a)は摩耗前のギヤ43a、43bを、図4(b)は予兆が検出可能な程度に摩耗したギヤ43a、43bをそれぞれ示す。摩耗前でも若干の遊びがあるためギヤ43aと43bには若干の噛合間隔が存在する。そして、摩耗がわずかに進行すると噛合間隔が大きくなる。噛合間隔が大きくなると、ギヤ43bがギヤ43aに対し相対的に不規則にふらつきやすくなる。このため、摩耗と共に一歯周波数における変動速度が徐々に増大する。
【0035】
なお、ギヤ43a、43bのいずれか一方が摩耗しても両方が摩耗しても、制御装置200は摩耗の予兆を検出できる。例えば、軽量化のためギヤ43bが樹脂で形成されている場合、金属で形成されたギヤ43aよりも摩耗しやすくなる。
【0036】
また、本実施例では減速機構43のギヤ43a、43bの摩耗について説明するが、二次転写ローラ18の回転速度をフーリエ変換すれば、減速機構44のギヤ44a、44bの摩耗を検出することができる。
【0037】
〔制御装置200の構成〕
図5(a)は制御装置200のブロック図の一例を示す。モータ駆動回路54には、一次転写モータ41、エンコーダ46、二次転写モータ42、エンコーダ47及び、メイン制御部52が接続されている。なお、エンコーダ47は、二次転写モータ42の回転速度に応じた周波数のパルス信号を出力するFG(Frequency Generator)でもよい。
【0038】
メイン制御部52には、操作部51が接続されている。操作部51は、例えば、液晶表示部とタッチパネルが一体に実装され、メニュー表示とその選択の入力を兼ねたユーザインターフェイスとなる。また、操作部51は、スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能をそれぞれ切り替える選択キー、テンキー、スタートキー、リセットキー、電源のスイッチ、等の各種のハードキーを有する。
【0039】
なお、メイン制御部52とモータ駆動回路54は、いずれもCPU、RAM、ROM、EEPROM、入出力インターフェイス、フラッシュメモリ及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備えたコンピュータを実体とする。このうち、モータ駆動回路54は、制御CPU55を有し、制御CPU55が不図示のプログラムを実行するか又はASIC等のICにより実現される、一次転写モータ制御コントローラ58、モータ駆動信号生成部57、インバータ56、A/Dコンバータ59、二次転写モータ制御コントローラ61、モータ駆動信号生成部62及びA/Dコンバータ64を有する。
【0040】
一次転写モータ制御コントローラ58はモータ駆動信号生成部57に回転速度を指示する。本実施例では一次転写モータ41の回転速度は一定であるとするが、メイン制御部52は厚紙の用紙Pの印刷時には回転速度を下げるよう一次転写モータ制御コントローラ58に要求する等、回転速度を可変に制御することもできる。一次転写モータ制御コントローラ58は、エンコーダ46の検出した回転速度と目標の回転速度(以下、目標速度という)から、例えばPID制御に準じた演算を行いモータ駆動信号生成部57に指示する速度を決定する。なお、この目標速度は中間転写ベルト14の表面速度が一定の所定値となるように定められている。
【0041】
モータ駆動信号生成部57は6つのFETと接続されている。モータ駆動信号生成部57は速度指示に基づき決定した定電圧と例えば所定の周波数の三角波(キャリア波)と比較して、両者のクロス点からPWM信号のデューティ比を決定する。モータ駆動信号生成部57は、このデューティ比のPWM信号を生成し6つのFETに出力する。これにより、各FETによりU相、V相及びW相の電流がそれぞれ形成される。
【0042】
A/Dコンバータ59は、抵抗RL1側に流れる駆動電流をA/D変換して一次転写モータ制御コントローラ58及び二次転写モータ制御コントローラ61にそれぞれ出力する。駆動電流が二次転写モータ制御コントローラ61に出力される点が、実施例2の特徴の1つとなる。なお、一次転写モータ制御コントローラ58は、駆動電流と基準値を比較して駆動電流が過大な場合、モータ駆動信号生成部57にPWM信号の出力を抑制するよう指示する。こうすることで、インバータ56を構成するFETが加熱等により損傷することを防止できる。なお、ギヤ44a、44bの摩耗を検出する際には、A/Dコンバータ64の検出した駆動電流を一次転写モータ制御コントローラ58に出力する。
【0043】
二次転写モータ制御コントローラ61による二次転写モータ42の制御は一次転写モータ41と同じであるが、二次転写モータ42が制御される一定の回転速度は一次転写モータ41の回転速度と異なる。二次転写モータ42の回転速度は、二次転写ローラ18の円周速度が中間転写ベルト14の表面速度と同じになるよう制御される。こうすることで、二次転写位置において用紙Pの表裏に同じ速度が作用する。
【0044】
〔摩耗検出モード〕
図6は、本実施形態の制御装置200に特徴的な機能ブロック図の一例を示す。図6の各機能は、制御CPU55及びメイン制御部52のCPUが摩耗検出プログラム60を実行することで実現される。制御CPU55のみ、又は、メイン制御部52のみが、摩耗検出プログラム60を実行してもよい。
【0045】
摩耗検出プログラム60は、モータ駆動回路54のフラッシュメモリに記憶された状態で出荷されてもよく、記憶媒体65に記憶された状態で配布されてもよい。記憶媒体65は、例えば、USBメモリ、SDメモリカード、マルチメディアメモリカード等の半導体メモリ、CD−ROM等の光記憶メディア等である。メイン制御部52が記憶媒体65からプログラムを読み出すため、メイン制御部52にはメモリ装着部53が接続されている。また、記憶媒体65でなく、ネットワークを介して接続されたサーバから摩耗検出プログラム60をダウンロードしてもよい。この場合、メイン制御部52は、Webアプリを実行してTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルに従いフレームを生成し、LANカード等を介してネットワークに接続してサーバと通信する。
【0046】
摩耗検出実行部71は、摩耗の予兆を検出する一連の処理を実行する。この一連の処理を実行するモードを以下「摩耗検出モード」という。摩耗検出実行部71は、所定のタイミングとなったことを検出し、例えば用紙Pに画像を形成する印刷実行モードから摩耗検出モードに画像形成装置100のモードを切り替える。印刷実行モードの方が優先されるため、印刷中に所定のタイミングとなった場合、摩耗検出実行部71は印刷終了後に印刷実行モードから摩耗検出モードに切り替える。
所定のタイミングは、例えば、前回の実行から所定期間(例えば1ヶ月程度)経過したタイミング、前回の実行から所定ページ数(例えば、1000ページ)印刷したタイミング、その日の最初に印刷するタイミング、等である。前回の実行から所定期間が経過すると摩耗検出モードを実行する場合、ほぼ定期的に摩耗の予兆を検出することができる。所定のタイミングであることを検出するため、摩耗検出実行部71は、前回の実行時の日時をメイン制御部52の時計から取得し、前回の実行時のページ数をページカウンタから取得し、それぞれフラッシュメモリ等に記憶しておく。
また、所定のタイミングの他、ユーザやメンテナンスサービスのサービスマンが所望のタイミングで摩耗検出モードを実行できることが好ましい。例えば、操作部51から摩耗の予兆を検出する操作が入力されると、摩耗検出実行部71は摩耗検出モードに切り替える。また、サーバから摩耗検出モードに切り替える操作信号が入力されてもよい。
【0047】
ところで、本実施例の摩耗の予兆の検出では、実施例2と異なり、用紙Pへの画像を形成する際も検出可能であるが、印刷時にFFTなどの演算を実行するとモータ駆動回路54の資源を圧迫する可能性がある。そこで、本実施例でも用紙Pに画像を形成していない状態で、摩耗検出実行部71は摩耗の予兆を検出するものとする。なお、用紙Pに画像を形成しながら摩耗の予兆を検出してもよい。
【0048】
速度信号生成部72は、エンコーダ46が出力するパルス信号から駆動ローラ16の回転速度の信号を生成する。図7(a)は回転速度の信号の一例を模式的に説明する図である。摩耗実行制御部が摩耗検出モードに切り替えると、一次転写モータ制御コントローラ58は一次転写モータ41を駆動する。これにより駆動ローラ16は回転速度がゼロの状態から短時間で目標速度に到達する。駆動ローラ16が目標速度に到達しても、上述したように回転速度が目標速度に対し若干の変動を繰り返す。この変動に、一歯周波数の速度変動を含め種々の周波数の速度変動が含まれる。
【0049】
FFT処理部73は、回転速度の信号にFFT(Fast Fourier Transform)処理を施し図1(a)(b)に示したFFT処理結果を算出する。よく知られているようにフーリエ変換は、フーリエ積分を利用して信号に含まれる周波数を抽出する一連の計算をいう。周期的に生じる速度変動があれば、その周期の逆数の周波数にピークを示す計算結果が得られる。フーリエ変換が無限に連続する信号を前提にするのに対し、回転速度の計測時間は有限なので信号を離散的に処理する離散フーリエ変換を用いられる。離散フーリエ変換は、周期T の信号を一定の間隔 ΔT でサンプリングされたM 個の離散的サンプリング列{xn}から、1/T = 1/ΔT・M 毎に離散的にフーリエ変換する。FFTは離散フーリエ変換のうち計算量が低減されたアルゴリズムを言う。
【0050】
なお、FFTにより得られた図1(a)(b)の縦軸(速度変動)は目標速度に対する速度変動を比率(パーセンテージ)を示す。速度変動が大きい周期があるとFFT処理結果はその周波数で極大値を示す。
【0051】
摩耗検出部74は、FFT処理結果における一歯周波数の速度変動の値と閾値Aを比較して閾値Aを超えると摩耗の予兆を検出する。図7(b)は、一歯周波数の速度変動の値と閾値Aの関係の一例を示す図である。ギヤ43a、43bの摩耗により一歯周波数における速度変動の値が閾値Aを超えている。このようなFFT処理結果が得られると、摩耗検出部74は摩耗の予兆を検出する。
【0052】
閾値Aについて説明する。閾値Aは、全ての画像形成装置100に共通である必要はなく、画像形成装置100のグレード毎、同じ画像形成装置100の印刷品質等に応じて異なる値とすることができる。印刷品質は、例えば「一般文書」「イメージデータ」「DTP(DeskTop Publishing)「CAD(Computer Assisted Drawing)」等、印刷対象を指定することで選択される。例えば「一般文書」と「CAD」では要求される画質が異なるので、摩耗の予兆を検出するための閾値Aも異なることが好ましい。
【0053】
閾値Aの決定方法には、予め画像形成装置100に登録しておく方法と、画像形成装置100が設定する方法がある。前者の場合、画像形成装置100のメーカは、使用年数や累積の印刷ページ数が異なる画像形成装置100をいくつか選定し、このギヤ43a、43bの摩耗量が異なる複数の画像形成装置100のFFT処理結果を算出する。そして、画像形成装置100のメーカは、実際に用紙Pに印刷された文書等の画質を検証し、画質に影響が現れている画像形成装置100の一歯周波数における速度変動の値を第1グループに、画質に影響が現れていない画像形成装置100の一歯周波数における速度変動の値を第2グループに、分類する。
【0054】
第1グループの速度変動の値のうち最も小さい値では画質に影響が生じることがあり、第2グループの速度変動の値のうち最も大きい値では、画質に影響が生じないことになる。したがって、閾値Aは、第1グループの速度変動の値のうち最も小さい値未満、かつ、第2グループの速度変動の値のうち最も大きい値以上とすればよい。画像形成装置100のメーカは、例えば、第1グループの速度変動の値のうち最も小さい値未満と、第2グループの速度変動の値のうち最も大きい値の中点、第1グループの速度変動の値のうち最も小さい値から10%小さい値、第2グループの速度変動の値のうち最も大きい値、等を閾値Aに決定する。画像形成装置100のメーカは、このような作業を画像形成装置100のグレード毎、同じ画像形成装置100の印刷品質毎に行う。
【0055】
後者の、画像形成装置100が設定する方法では、例えば、画像形成装置100の出荷時は一歯周波数における速度変動の値は十分に小さいという前提の元、制御装置200が出荷後の所定期間(例えば、1ヶ月程度)に、一歯周波数における速度変動の値の平均値を求め記憶しておく。そして、制御装置200は例えば平均値に係数を乗じた値を閾値Aに決定する。係数は1より大きい値であり、例えば1.2〜2程度のように小さい値とすれば十分に摩耗の予兆を検出できると考えられる。この方法では、画像形成装置100の初期の一歯周波数における速度変動の個体差を考慮する必要がなく、閾値Aを画像形成装置100が決定するので、コスト増を抑制できる。また、係数を変えれば摩耗の予兆を検出すべき画質の基準を調整できるので、画像形成装置100のグレード毎、同じ画像形成装置100の印刷品質毎等の、閾値Aを容易に決定できる。
【0056】
摩耗検出部74が摩耗の予兆を検出すると、予兆通知部75はギヤ43a、43bの摩耗の予兆が検出されたことをユーザに通知する。通知の態様は、例えば、操作部51と一体の液晶表示部に「若干ですがギヤの摩耗が検出されました。メンテナンスサービスにご連絡下さい」というメッセージを表示する態様、警告ランプを点灯する態様、メンテナンスサービスのサーバに摩耗の予兆が検出された情報を送信する態様、等がある。メンテナンスサービスのサーバに情報を送信する場合は、メンテナンスサービスのサービスマンからユーザに電話やファクシミリで連絡する。
【0057】
〔動作手順〕
図8は、本実施例の画像形成装置100が摩耗の予兆を検出する手順を示すフローチャート図の一例である。図8のフローチャート図は例えば画像形成装置100の電源がオンになりメイン制御部52及びモータ駆動回路54の起動が完了するとスタートする。
【0058】
まず、摩耗検出実行部71は所定のタイミングになったか否かを判定する(S10)。所定のタイミングになると(S10のYes)、例えば、前回の実行時から所定時間が経過すると摩耗検出実行部71は画像形成装置100を摩耗検出モードに切り替える(S20)。摩耗検出モードとなることで、モータ駆動回路54は一時転写モータを目標速度一定で回転させる。
【0059】
速度信号生成部72はエンコーダ46が出力するパルス信号から駆動ローラ16の回転速度の信号を生成する(S30)。回転速度の信号を生成する時間は例えば中間転写ベルト14が一回転する程度の時間である。こうすることで中間転写ベルト14の回転位置の影響を少なくして速度変動を検出できる。
【0060】
FFT処理部73は回転速度の信号にFFT処理を施しFFT処理結果を算出する(S40)。摩耗検出部74は、一歯周波数の速度変動の値が閾値Aより大きいか否かを判定する(S50)。
【0061】
一歯周波数の速度変動の値が閾値Aより大きくない場合(S50No)、摩耗検出実行部71は摩耗検出モードを終了する。これにより、画像形成装置100は印刷実行モードに戻るので、摩耗検出実行部71は次回の所定のタイミングまで待機する(S10)。
一歯周波数の速度変動の値が閾値Aより大きい場合(S50Yes)、予兆通知部75はメイン制御部52にギヤ43a、43bの摩耗の予兆を通知する(S60)。この通知を受けてメイン制御部52は例えば操作部51にメッセージを表示する(S70)。したがって、一歯周波数における速度変動の値と適切な閾値Aと比較することで、摩耗の予兆を検出できる。
<動作手順の変形例>
図9は、画像形成装置100が摩耗の予兆を検出する手順を示すフローチャート図の変形例の一例である。図9において図8と同一ステップには同一の符号を付しその説明は省略する。
【0062】
図9の摩耗検出実行部71は、所定のタイミングでなく、ユーザ又はメンテナンスサービスのサービスマンが操作部51を操作することで摩耗検出モードに切り替える。すなわち、操作により摩耗検出モードが開始される(S11、S20)。
【0063】
以降の処理は図8と同様であるが、図9では所定のタイミングとなるまで待機する必要がないので、一歯周波数の速度変動の値が閾値Aより大きくない場合(S50No)、摩耗検出実行部71は処理そのものを終了する。
したがって、ユーザやサービスマンの所望のタイミングで、一歯周波数における速度変動の値と適切な閾値Aと比較することで、摩耗の予兆を検出できる。
【0064】
〔摩耗の予兆の予測〕
また、本実施例の画像形成装置100は、閾値Aと一歯周波数における速度変動の値を直接比較するだけでなく、速度変動の値の推移から摩耗の予兆が検出されることを予測することができる。
【0065】
図6に戻り、図6(b)は摩耗の予兆の予測を検出する際の制御装置200のブロック図の一例を示す。図6(b)において図6(a)と同一部に同一の符号を付しその説明は省略する。
【0066】
図6(b)のブロック図は、変動値記録部76、記録テーブル77及び予測部78を新たに有する。変動値記録部76は、FFT処理結果が得られるたびに記録テーブル77に「日付」「変動の値」を対応づけて記録する。この「変動の値」は、一歯周波数における速度変動の値である。記録テーブル77は、メイン制御部52又はモータ駆動回路54の例えばフラッシュメモリに記録される。速度変動の値は、所定のタイミング、又は、操作部51からの操作のいずれをトリガーとしたものかに関係なく、記録される。こうすることで、記録テーブル77には、摩耗検出モードになりFFT処理結果が得られるたびに、「日付」「速度変動の値」が追加して記録される。なお、日付はメイン制御部52の時計から取得される。日付の代わりに日時を記録してもよい。
【0067】
予測部78は、新たにFFT処理結果が得られると、記録テーブル77を参照して、摩耗の予兆が検出される日付(以下、予測日付という)を予測する。
図10は、散布図と予測日付を模式的に説明する図の一例である。予測部78は、日付に対する速度変動の値の散布図から、最小二乗法などにより回帰直線(曲線でもよい)を算出する。予測部78は、回帰直線が閾値Aの交点から得られる日付を予測日付とする。こうすることで、予測部78は、現在の日付から予測日付までどの程度の期間的な余裕があるかを算出できる。
【0068】
予兆通知部75は、例えば、「現在の日付」から「予測日付」までの期間的な余裕が短くなると(例えば1ヶ月等)、ユーザにその旨を通知する。また、予兆通知部75は、「現在の日付」から「予測日付」までの残日数をユーザに通知することもできる。こうすることで、摩耗の予兆を検出するよりもより早期に摩耗の予兆が検出されることを予測することができる。
【0069】
図11は、本実施例の画像形成装置100が摩耗の予兆を検出する手順を示すフローチャート図の一例である。図11のフローチャート図は例えば画像形成装置100の電源がオンになりメイン制御部52及びモータ駆動回路54の起動が完了するとスタートする。
【0070】
まず、摩耗検出実行部71は所定のタイミングになったか否かを判定する(S10)。所定のタイミングになると(S10のYes)、例えば、前回の実行時から所定時間が経過すると摩耗検出実行部71は摩耗検出モードに切り替える(S20)。摩耗検出モードとなることで、モータ駆動回路54は一時転写モータを目標速度一定で回転させる。操作部51の操作により摩耗検出モードとなってもよい。
【0071】
速度信号生成部72はエンコーダ46が出力するパルス信号から駆動ローラ16の回転速度の信号を生成する(S30)。回転速度の信号を生成する時間は例えば中間転写ベルト14が一回転する程度の時間である。こうすることで中間転写ベルト14の回転位置の影響を少なくして速度変動を検出できる。
【0072】
FFT処理部73は回転速度の信号にFFT処理を施しFFT処理結果を算出する(S40)。変動値記録部76は現在の日付と速度変動の値を記録テーブル77に記録する。
【0073】
そして、予測部78は、過去のZ回のデータから予測日付を算出する(S45)。Z回とは、例えば5〜10回程度の回帰直線を算出する際の十分なデータ数であればよい。また、過去の全てのデータを用いて回帰直線を算出してもよい。
【0074】
摩耗検出部74は、予測日付までの期間が所定期間内か否かを判定する(S51)。
【0075】
予測日付までの期間が所定期間内でない場合(S51No)、摩耗検出実行部71は摩耗検出モードを終了する。これにより、画像形成装置100は印刷実行モードに戻るので、摩耗検出実行部71は次回の所定のタイミングまで待機する(S10)。
予測日付までの期間が所定期間内である場合(S51Yes)、予兆通知部75はメイン制御部52にギヤ43a、43bの摩耗の予兆が予測されたことを通知する(S61)。この通知を受けてメイン制御部52は例えば操作部51にメッセージを表示する(S70)。
したがって、過去の速度変動の値を用いて、一歯周波数における速度変動の値が閾値Aを超える予測日付を算出することで、摩耗の予兆が検出されることを早期に予測できる。
【0076】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置100は、駆動ローラ16の回転速度をフーリエ変換し、一歯周波数における速度変動を監視することで、ギヤ43a、43bの摩耗の予兆を検出できる。
【実施例2】
【0077】
実施例1では、摩耗検出モードにおける一時転写モータの制御について言及しなかった。しかし、一時転写モータを適切に制御することで、摩耗の予兆が検出される程度のわずかなギヤ43a、43bの摩耗でも、速度変動を明確にすることができる。
【0078】
そこで、本実施例の画像形成装置100は、摩耗検出モードにおいて、一歯周波数における速度変動が増幅されるよう一次転写モータ41の回転速度を制御する制御装置200について説明する。本実施例ではかかる制御を「増幅制御」という。増幅制御では、モータ駆動回路54は、一次転写モータ41の電流がゼロになるように、二次転写モータ42の回転速度を制御する。そして、実施例1と同様に速度変動を周波数毎に検出することで、ギヤ43a、43bの摩耗の予兆を検出する。
【0079】
図12は、増幅制御した際の、駆動ローラ16の速度変動を周波数毎に示す図の一例である。一歯周波数は実施例1と同じであるが、一歯周波数における速度変動の値が、摩耗が進行した図1(b)の値よりも大きくなっている。したがって、本実施形態の画像形成装置100は、ギヤ43a、43bがわずかに摩耗した際に検出される速度変動を増幅して検出することができるので、摩耗の予兆の検出が実施例1と比べてより容易になる。
【0080】
〔印刷実行モードの一次転写モータ41の制御〕
比較のため、印刷実行モードにおける一次転写モータ41の制御について説明する。
図13は、一次転写モータ41が制御する中間転写ベルト14の表面速度V1と、二次転写モータ42が制御する二次転写ロータの円周速度V2の速度比に対する、速度変動の関係の一例を示す図である。実施例1では、モータ駆動回路54は、表面速度V1と円周速度V2が互いに同程度になるよう制御すると説明したが、実際には厳密に両者は一致しない。これは、図13に示すように、厳密に両者を一致させると速度変動の値が大きくなるためである。なお、図13のX軸は、表面速度V1に対する円周速度V2の比を示したもので、正側は円周速度V2の方が速いことを、負側は表面速度V1の方が速いことを示す。図13では、表面度速度V1に対し円周速度V2の比を−20%から+30%まで変化させた。また、図13のY軸の速度変動の値は、図7(a)の「変動」を所定時間に渡って平均化した値である(FFT処理して得た速度変動の値ではない)。
【0081】
図13では+1%付近で速度変動が極大値を示す。この速度変動が図1(a)(b)の一歯周波数における速度変動の値に影響している。印刷実行モードでは、速度変動の値が極大となる速度比を避け、例えばA点付近の速度比となるよう一次転写モータ41と二次転写モータ42が制御されている。
【0082】
図14(a)は負側で一次転写モータ41と二次転写モータ42が制御された際の減速機構43を、図14(b)は正側で一次転写モータ41と二次転写モータ42が制御された際の減速機構43を、それぞれ模式的に説明する図の一例である。表面速度V1の方が円周速度V2よりも速い場合、一次転写モータ41が主となって中間転写ベルト14を駆動するので、ギヤ43aがギヤ43bを連れ回す。この状態では、一次転写ローラ側のギヤ43bは一歯間の噛合間隔でそれほど移動しない。このため、図13の負側になるほど速度変動は安定する。
【0083】
円周速度V2の方が表面速度V1よりも速い場合、二次転写モータ42が主となって中間転写ベルト14を駆動するのでギヤ43bがギヤ43aを連れ回す。しかし、この状態でも一次転写ローラ側のギヤ43bは一歯間の噛合間隔をそれほど移動しない。このため、図13の正側になるほど速度変動は安定する。
【0084】
以上の理由から、印刷実行モードでは、一次転写モータ41の回転速度に対し例えばA点付近の速度比となるよう二次転写モータ42の回転速度が制御されている。
【0085】
〔一次転写モータ41の電流値〕
図15は、表面速度V1と円周速度V2の速度比と一次転写モータ41の電流値の関係を示す図の一例である。図13と同様に速度比を−20%から+30%まで変化させている。両者の速度比が約1%になると一次転写モータ41の駆動電流はほぼゼロとなっている。つまり、図13を参照すると分かるように、駆動電流がほぼゼロとなっている場合に速度変動が極大値を示すことになる。
これについては、以下のように説明できる。中間転写ベルト14等の負荷がある場合(図13の負側)、一次転写モータ41には回転を止める方向に負荷が働くため、回転をさせるためには一方向に力が加わり、ギヤ43aの前方側にギヤ43bが一方向に当たって噛合した状態が継続する(図14(a))。
【0086】
二次転写モータ42の回転速度を徐々に低下させると(速度比が正方向に大きくなると)、二次転写モータ42によって一次転写モータ41がほぼ目標速度(表面速度V1と円周速度V2がほぼ一致する)になる。この場合、一次転写モータ41は二次転写モータ42に連れ回され、一次転写モータ41の電流値はほぼゼロとなる。このため、ギヤ43bは一方向だけに力が加わらずふらついたような状態となる。この結果、ギヤ43bの一歯が噛合間隔で移動しやすくなり速度変動が顕著に現れる。すなわち図13の速度変動の極大値が得られる(図13の速度変動は他に軸のねじれ等の影響も考えられるが、主な要因はギヤ43bのふらつきによる影響が大きい)。なお、速度比がゼロで駆動電流がゼロとならないのは、一次転写モータ自身にもブレード等の負荷があるからである。
【0087】
さらに二次転写モータ42の回転速度を徐々に低下させ、二次転写ローラ18による一次転写モータ41の連れ回りの影響が大きくなると、モータ駆動回路54は一次転写モータ41を目標速度に保つため、通常負荷時(A点側)とは逆側の方向に駆動する。この状態では、ギヤ43aの後方側にギヤ43bが一方向に当たって噛合した状態が継続する(図14(b))。
【0088】
したがって、速度変動を顕著に検出するには、ギヤ43bの一歯がギヤ43aの一歯間でふらつきやすい状態にすること、すなわち、一時転写モータの電流がゼロの状態で、速度変動を検出することが好ましいことになる。
【0089】
本実施例の画像形成装置100は、中間転写ベルト14の表面速度V1を目標速度に保ちつつ、一時転写モータの電流がゼロになるように、二次転写モータ42の回転速度を制御する。こうすることで、ギヤ43a、43bの噛合間隔が影響する速度変動のみを増幅させて、ギヤ43a、43bの磨耗の予兆を検出することができる。
【0090】
〔二次転写モータ42の制御〕
本実施例の摩耗検出モードでは二次転写モータ42を、二次転写ローラ18の円周速度V2が表面速度V1と一致するようには制御しない。したがって、摩耗検出モードでは用紙Pに画像を形成しない。
【0091】
実施例1の図5で説明したように、インバータ56の駆動電流が二次転写モータ制御コントローラ61に出力されている。二次転写モータ制御コントローラ61は、一次転写モータ41の駆動電流と目標値である電流値ゼロを比較して、例えばPID制御に準じた演算を行いモータ駆動信号生成部57に指示する速度を決定する。なお、一次転写モータ41の駆動電流は必ずしもゼロである必要はなく、+数mボルト〜−数mボルトとしても同様の増幅効果が得られる。また、+数10mボルト〜−数10mボルトとしても増幅効果が得られることが期待できる。すなわち、一次転写モータ41の駆動電流の絶対値を所定値内に制限すればよい。
【0092】
また、図13のように速度変動が最大となった際の速度比に基づき、二次転写モータ制御コントローラが目標とする一次転写モータ41の駆動電流を決定してもよい。この場合、制御装置200は、表面速度V1と円周速度V2の速度比を変えながら速度変動を検出し、速度変動が最大となった際の一次転写モータ41の電流値を決定する。また、速度変動が極大値を示す速度比を中心に−数%〜+数%の速度比となる一次転写モータ41の電流値を、二次転写モータ制御コントローラが目標とする一次転写モータ41の駆動電流に決定してもよい。
【0093】
モータ駆動信号生成部57は、速度指示に基づき決定した定電圧と例えば所定の周波数の三角波(キャリア波)と比較して、両者のクロス点からPWM信号のデューティ比を決定する。モータ駆動信号生成部57は、このデューティ比のPWM信号を生成し6つのFETに出力する。これにより、二次転写モータ42の回転速度は、一次転写モータ41の電流値がゼロになるように制御される。
【0094】
〔機能ブロック〕
図16(a)は、本実施例の機能ブロック図の一例を示す。図16(a)において図6(a)と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。本実施例では、摩耗検出実行部71は、二次転写モータ制御コントローラ61に、一次転写モータ41の駆動電流がゼロとなるように、二次転写モータ42を制御するよう要求する。摩耗検出実行部71は、一次転写モータ41の電流がゼロとなると速度信号生成部72に速度信号の生成を要求する。速度信号生成部72は一歯周波数における速度変動の値が増幅された状態で速度信号を生成し、FFT処理部73はFFT処理結果を算出する。そして、摩耗検出部74はFFT処理結果における一歯周波数の速度変動の値と閾値Bを比較して閾値Bを超えると摩耗の予兆を検出する。
【0095】
図17は、一歯周波数の速度変動の値と閾値Bの関係の一例を示す図である。図17は図12と同じFFT処理結果であるが、ギヤ43a、43bの摩耗により一歯周波数における速度変動の値が閾値Bを超えている。このようなFFT処理結果が得られると、摩耗検出部74は摩耗の予兆を検出する。閾値Bは閾値Aよりも大きい値となるが、閾値Bも、予め画像形成装置100に登録しておく方法と、画像形成装置100が設定する方法のいずれで決定してもよい。
【0096】
〔動作手順〕
図18は、本実施例の制御装置200が摩耗の予兆を検出する手順を示すフローチャート図の一例である。図18のフローチャート図は例えば画像形成装置100の電源がオンになりメイン制御部52及びモータ駆動回路54の起動が完了するとスタートする。
【0097】
まず、摩耗検出実行部71は所定のタイミングになったか否かを判定する(S10)。所定のタイミングになると(S10のYes)、例えば、前回の実行時から所定時間が経過すると摩耗検出実行部71は摩耗検出モードに切り替える(S20)。摩耗検出モードとなることで、モータ駆動回路54は、一時転写モータの駆動電流がゼロになるように二次転写モータ42を制御する。
【0098】
摩耗検出実行部71は、一次転写モータ41の駆動電流がゼロか否かを判定する(S21)。一次転写モータ41の駆動電流がゼロでない場合(S21のNo)、モータ駆動回路54は二次転写モータ42の回転速度を調整する(S22)。
【0099】
一次転写モータ41の駆動電流がゼロになると場合(S21のYes)、摩耗検出実行部71は速度信号の生成を速度信号生成部72に要求するので、速度信号生成部72はエンコーダ46が出力するパルス信号から駆動ローラ16の回転速度の信号を生成する(S30)。回転速度の信号を生成する時間は例えば中間転写ベルト14が一回転する程度の時間である。こうすることで中間転写ベルト14の回転位置の影響を少なくして速度変動を検出できる。
【0100】
FFT処理部73は回転速度の信号にFFT処理を施しFFT処理結果を算出する(S40)。摩耗検出部74は、一歯周波数の速度変動の値が閾値Bより大きいか否かを判定する(S50)。
【0101】
一歯周波数の速度変動の値が閾値Bより大きくない場合(S50No)、摩耗検出実行部71は摩耗検出モードを終了する。これにより、画像形成装置100は印刷実行モードに戻るので、摩耗検出実行部71は次回の所定のタイミングまで待機する(S10)。
一歯周波数の速度変動の値が閾値Bより大きい場合(S50Yes)、予兆通知部75はメイン制御部52にギヤ43a、43bの摩耗の予兆を通知する(S60)。この通知を受けてメイン制御部52は例えば操作部51にメッセージを表示する(S70)。したがって、一歯周波数における速度変動の値と適切な閾値と比較することで、摩耗の予兆を検出できる。
<動作手順の変形例>
図19は、画像形成装置100が摩耗の予兆を検出する手順を示すフローチャート図の変形例の一例である。図19において図18と同一ステップには同一の符号を付しその説明は省略する。
【0102】
図19の摩耗検出実行部71は、所定のタイミングでなく、ユーザ又はメンテナンスサービスのサービスマンが操作部51を操作することで摩耗検出モードに切り替える。すなわち、操作により摩耗検出モードが開始される(S11、S20)。
【0103】
以降の処理は図18と同様であるが、図19では所定のタイミングとなるまで待機する必要がないので、一歯周波数の速度変動の値が閾値Bより大きくない場合(S50No)、摩耗検出実行部71は処理そのものを終了する。
したがって、ユーザやサービスマンの所望のタイミングで、一歯周波数における速度変動の値と適切な閾値と比較することで、摩耗の予兆を検出できる。
【0104】
〔摩耗の予兆の予測〕
本実施例においても、閾値Bと一歯周波数における速度変動の値を直接比較するだけでなく、速度変動の値の推移から摩耗の予兆が検出されることを予測することができる。
【0105】
図16に戻り、図16(b)は摩耗の予兆の予測を検出する際の制御装置200のブロック図の一例を示す。図16(b)において図16(a)と同一部に同一の符号を付しその説明は省略する。予測部78による予測方法は実施例1と同じである。
【0106】
図20は、本実施例の画像形成装置100が摩耗の予兆を検出する手順を示すフローチャート図の一例である。図20のフローチャート図は例えば画像形成装置100の電源がオンになりメイン制御部52及びモータ駆動回路54の起動が完了するとスタートする。
【0107】
まず、摩耗検出実行部71は所定のタイミングになったか否かを判定する(S10)。所定のタイミングになると(S10のYes)、例えば、前回の実行時から所定時間が経過すると摩耗検出実行部71は摩耗検出モードに切り替える(S20)。操作部51の操作により摩耗検出モードとなってもよい。摩耗検出モードとなることで、モータ駆動回路54は、一時転写モータの駆動電流がゼロになるように二次転写モータ42を制御する。
【0108】
摩耗検出実行部71は、一次転写モータ41の駆動電流がゼロか否かを判定する(S21)。一次転写モータ41の駆動電流がゼロでない場合(S21のNo)、モータ駆動回路54は二次転写モータ42の回転速度を調整する(S22)。
【0109】
一次転写モータ41の駆動電流がゼロになると場合(S21のYes)、摩耗検出実行部71は速度信号の生成を速度信号生成部72に要求するので、速度信号生成部72はエンコーダ46が出力するパルス信号から駆動ローラ16の回転速度の信号を生成する(S30)。回転速度の信号を生成する時間は例えば中間転写ベルト14が一回転する程度の時間である。こうすることで中間転写ベルト14の回転位置の影響を少なくして速度変動を検出できる。
【0110】
FFT処理部73は回転速度の信号にFFT処理を施しFFT処理結果を算出する(S40)。変動値記録部76は現在の日付と速度変動の値を記録テーブル77に記録する。
【0111】
そして、予測部78は、過去のZ回のデータから予測日付を算出する(S45)。Z回とは、例えば5〜10回程度の回帰直線を算出する際の十分なデータ数であればよい。また、過去の全てのデータを用いて回帰直線を算出してもよい。
【0112】
摩耗検出部74は、予測日付までの期間が所定期間内か否かを判定する(S51)。
【0113】
予測日付までの期間が所定期間内でない場合(S51No)、摩耗検出実行部71は摩耗検出モードを終了する。これにより、画像形成装置100は印刷実行モードに戻るので、摩耗検出実行部71は次回の所定のタイミングまで待機する(S10)。
予測日付までの期間が所定期間内である場合(S51Yes)、予兆通知部75はメイン制御部52にギヤ43a、43bの摩耗の予兆が予測されたことを通知する(S61)。この通知を受けてメイン制御部52は例えば操作部51にメッセージを表示する(S70)。
したがって、過去の速度変動の値を用いて、一歯周波数における速度変動の値を増幅し、閾値Bを超える予測日付を算出することで、摩耗の予兆が検出されることを早期に予測できる。
【0114】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置100は、一次転写モータ41の駆動電流がゼロとなるように二次転写モータ42を制御することで、一歯周波数のみにおける速度変動を増幅でき、ギヤ43a、43bの摩耗の予兆を検出できる。
【0115】
なお、本実施例では、中間転写ベルト14を備えた画像形成装置100を例に説明したが、中間転写ベルト14でなく中間転写ドラム79を備えた画像形成装置100においても同様にギヤ43a、43bの摩耗の予兆を検出できる。
【0116】
図21は、中間転写ドラム79を模式的に示す図の一例である。図示するように作像ユニット13k〜13yは中間転写ドラム79にトナー画像を形成する。このような画像形成装置100でも、ギヤ43a、43bは摩耗する。また、二次転写ローラ18と中間転写ドラム79が干渉するので、一次転写モータ41の駆動電流をゼロとすることで、ギヤ43aと43bの一方を連れ回さずギヤ43bが噛合間隔をふらつく状況を作り出せる。
【0117】
したがって、本実施例の摩耗の予兆の検出方法は、2つのモータの駆動力が互いに干渉する画像形成装置100に好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】駆動ローラの速度変動を周波数毎に示す図の一例である。
【図2】画像形成装置の概略構成図の一例である。
【図3】図2の中間転写ベルト、駆動ローラ及び二次転写ローラを模式的に説明する図の一例である。
【図4】ギヤの噛合を模式的に説明する図の一例である。
【図5】制御装置のブロック図の一例である。
【図6】制御装置に特徴的な機能ブロック図の一例である。
【図7】回転速度の信号の一例を模式的に説明する図である。
【図8】制御装置が摩耗の予兆を検出する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図9】制御装置が摩耗の予兆を検出する手順を示すフローチャート図の一例である(変形例)。
【図10】散布図と予測日付を模式的に説明する図の一例である。
【図11】本実施例の制御装置が摩耗の予兆を検出する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図12】増幅制御した際の、駆動ローラの速度変動を周波数毎に示す図の一例である。
【図13】一次転写モータが制御する中間転写ベルトの表面速度V1と、二次転写モータが制御する二次転写ロータの円周速度V2の速度比と、速度変動の関係の一例を示す図である。
【図14】ギヤの連れ回しを模式的に示す図の一例である。
【図15】表面速度V1と円周速度V2の速度比と一次転写モータの電流値の関係を示す図の一例である。
【図16】制御装置に特徴的な機能ブロック図の一例である(実施例2)。
【図17】一歯周波数の速度変動の値と閾値Bの関係の一例を示す図である。
【図18】制御装置が摩耗の予兆を検出する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図19】制御装置が摩耗の予兆を検出する手順を示すフローチャート図の一例である(実施例2の変形例)。
【図20】制御装置が摩耗の予兆を検出する手順を示すフローチャート図の一例である(実施例2)。
【図21】中間転写ドラムを模式的に示す図の一例である。
【符号の説明】
【0119】
14 中間転写ベルト
15、17 ローラ
16 駆動ローラ
18 二次転写ローラ
41 一次転写モータ
42 二次転写モータ
43、44 減速機構
43a、43b、44a、44b ギヤ
46、47 エンコーダ
51 操作部
52 メイン制御部
53 メモリ装着部
54 モータ駆動回路
55 制御CPU
56、63 インバータ
57、62 モータ駆動信号生成部
58 一次転写モータ制御コントローラ
59、64 A/Dコンバータ
60 摩耗検出プログラム
61 二次転写モータ制御コントローラ
65 記憶媒体
100 画像形成装置
110 プリンタ部
120 給紙部
130 スキャナ部
140 ADF
200 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被回転体の回転速度を制御する制御装置において、
モータと一体に回転するギヤAと、前記被回転体を駆動する回転ローラと一体に回転するギヤBとが噛合して、前記モータの回転を前記被回転体に伝達する伝達手段と、
前記被回転体又は前記回転ローラの回転速度を時間に対応づけて検出する速度検出手段と、
前記回転速度に基づき前記モータを一定速度に制御するモータ制御手段と、
時間に対応づけて検出した回転速度を、時間に対する回転速度の変動に含まれる周波数と前記回転速度の変動の大きさを示す変動値の関係に変換する変換手段と、
前記ギアAの歯数と該モータのモータ回転速度に基づき決定された特定周波数における前記変動値が閾値を超えている場合に、前記ギアAの歯又は前記ギアBの歯の少なくとも一方の摩耗の予兆を検出する摩耗検出手段と、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
被回転体の第1の回転速度を制御する制御装置において、
第1のモータと一体に回転するギヤAと、前記被回転体を駆動する第1の回転ローラと一体に回転するギヤBが噛合して、前記第1のモータの回転を前記被回転体に伝達する伝達手段と、
前記被回転体又は前記第1の回転ローラの第1の回転速度を時間に対応づけて検出する速度検出手段と、
前記第1の回転速度に基づき前記第1のモータを一定速度に制御する第1のモータ制御手段と、
前記被回転体と円周部で接触して、前記被回転体の回転に干渉可能な第2の回転ローラと、
前記第2の回転ローラを回転駆動する第2のモータと、
前記第1のモータの負荷が所定値以下に低減されるよう、前記第2のモータの第2の回転速度を制御する第2のモータ制御手段と、
時間に対応づけて検出した前記第1の回転速度を、時間に対する前記第1の回転速度の変動に含まれる周波数と前記第1の回転速度の変動の大きさを示す変動値の関係に変換する変換手段と、
ギヤAの歯数と前記第1のモータのモータ回転速度に基づき決定された特定周波数における前記変動値が閾値を超えている場合に、前記ギアAの歯又は前記ギアBの歯の少なくとも一方の摩耗の予兆を検出する摩耗検出手段と、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
前記特定周波数は、ギヤAとギヤBの噛合間隔が前記変動値に影響する周波数である、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の制御装置。
【請求項4】
前記変動値を取得した日付情報に対応づけて、前記特定周波数における過去の前記変動値をメモリに記録する変動値記録手段と、
前記メモリに記憶された過去の複数の前記変動値から、前記変動値が前記閾値を超える日付を予測する予測手段と、を有し、
前記摩耗検出手段は、前記変動値が前記閾値を超える日付までの残日数が所定値未満となった場合に摩耗の予兆を検出する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の制御装置。
【請求項5】
前記変動値が前記閾値を超える日付又は超える日付までの日数、をユーザに通知する予兆通知手段、
を有することを特徴とする請求項4記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1のモータの駆動電流を検出する電流検出手段を有し、
前記第2のモータ制御手段は、前記駆動電流が略ゼロの状態を保つように、前記第2のモータの前記第2の回転速度を制御する、
ことを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1のモータの駆動電流を検出する電流検出手段を有し、
前記第2のモータ制御手段は、前記駆動電流の絶対値がゼロを含む所定範囲に入る状態を保つように、前記第2のモータの前記第2の回転速度を制御する、
ことを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【請求項8】
前記第2のモータ制御手段は、
前記第1の回転速度に対する前記第2の回転ローラの円周速度の速度比に対し、前記変動値をプロットした場合、前記変動値が極大値を示す前記速度比となるよう、前記第2のモータの前記第2の回転速度を制御する、
ことを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【請求項9】
摩耗の予兆が検出されたことをユーザに通知する予兆通知手段、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の制御装置。
【請求項10】
前記予兆通知手段は、摩耗の予兆が検出された旨のメッセージを表示手段に表示する、
ことを特徴とする請求項9記載の制御装置。
【請求項11】
前記特定周波数は、
前記ギヤAの歯数に該モータのモータ回転速度を乗じて決定される、
ことを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【請求項12】
一定期間毎に摩耗の予兆を検出する摩耗検出モードを開始する摩耗検出実行手段、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の制御装置。
【請求項13】
前記摩耗検出手段は、操作部から摩耗検出モードを実行する操作が入力された場合に、摩耗の予兆を検出する、
ことを特徴とする請求項12記載の制御装置。
【請求項14】
請求項1〜13いずれか1項記載の制御装置と、
原稿を光学的に読み取り画像データを生成する読み取り手段と、
前記画像データに基づき感光体を露光して形成された静電潜像にトナーを吸着させる作像手段と、
トレイに積載された用紙を前記被回転体との二次転写部まで給送する給紙手段と、
給送された前記用紙に、前記感光体から前記被回転体に転写されたトナー画像を二次転写して定着させる画像形成手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
モータと一体に回転するギヤAと、被回転体を駆動する回転ローラと一体に回転するギヤBとが噛合して前記モータの回転を前記被回転体に伝達する伝達手段の摩耗検出方法において、
速度検出手段が、前記被回転体又は前記回転ローラの回転速度を時間に対応づけて検出するステップと、
モータ制御手段が、前記回転速度に基づき前記モータを一定速度に制御するステップと、
変換手段が、時間に対応づけて検出した回転速度を、時間に対する回転速度の変動に含まれる周波数と前記回転速度の変動の大きさを示す変動値の関係に変換するステップと、
摩耗検出手段が、前記ギヤAの歯数と該モータのモータ回転速度に基づき決定された特定周波数における、前記変動値が閾値を超えている場合に、前記ギアAの歯又は前記ギアBの歯の少なくとも一方の摩耗の予兆を検出するステップと、
を有することを特徴とする摩耗検出方法。
【請求項16】
第1のモータ側のギヤAと被回転体を駆動する第1の回転ローラと一体に回転するギヤBが噛合して、前記第1のモータの回転を前記被回転体に伝達する伝達手段の摩耗検出方法において、
速度検出手段が、前記被回転体又は前記第1の回転ローラの第1の回転速度を時間に対応づけて検出するステップと、
第1のモータ制御手段が、前記第1の回転速度に基づき前記第1のモータを一定速度に制御するステップと、
前記第1のモータの負荷が所定値以下に低減されるよう、前記被回転体と円周部で接触して、前記被回転体の回転に干渉可能な第2の回転ローラを回転駆動する第2のモータの第2の回転速度を、第2のモータ制御手段が制御するステップと、
変換手段が、時間に対応づけて検出した前記第1の回転速度を、時間に対する前記第1の回転速度の変動に含まれる周波数と前記回転速度の変動の大きさを示す変動値の関係に変換するステップと、
摩耗検出手段が、前記モータ側のギヤAの歯数と該モータのモータ回転速度に基づき決定された特定周波数における、前記ギアAの歯又は前記ギアBの歯の少なくとも一方の前記変動値が閾値を超えている場合に摩耗の予兆を検出するステップと、
を有することを特徴とする摩耗検出方法。
【請求項17】
モータと一体に回転するギヤAと、被回転体を駆動する回転ローラと一体に回転するギヤBとが噛合して前記モータの回転を前記被回転体に伝達する伝達手段の摩耗を検出するプログラムであって、
コンピュータに、
前記被回転体又は前記回転ローラの回転速度を時間に対応づけて検出するステップと、
前記回転速度に基づき前記モータを一定速度に制御するステップと、
時間に対応づけて検出した回転速度を、時間に対する回転速度の変動に含まれる周波数と前記回転速度の変動の大きさを示す変動値の関係に変換するステップと、
前記ギヤAの歯数と該モータのモータ回転速度に基づき決定された特定周波数における前記変動値が閾値を超えている場合に、前記ギアAの歯又は前記ギアBの歯の少なくとも一方の摩耗の予兆を検出するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項18】
第1のモータ側のギヤAと被回転体を駆動する第1の回転ローラと一体に回転するギヤBが噛合して、前記第1のモータの回転を前記被回転体に伝達する伝達手段の摩耗を検出するプログラムであって、
コンピュータに、
前記被回転体又は前記第1の回転ローラの第1の回転速度を時間に対応づけて検出するステップと、
第1のモータ制御手段が、前記第1の回転速度に基づき前記第1のモータを一定速度に制御するステップと、
前記第1のモータの負荷が所定値以下に低減されるよう、前記被回転体と円周部で接触して、前記被回転体の回転に干渉可能な第2の回転ローラを回転駆動する第2のモータの第2の回転速度を、第2のモータ制御手段が制御するステップと、
変換手段が、時間に対応づけて検出した前記第1の回転速度を、時間に対する前記第1の回転速度の変動に含まれる周波数と前記回転速度の変動の大きさを示す変動値の関係に変換するステップと、
摩耗検出手段が、前記モータ側のギヤAの歯数と該モータのモータ回転速度に基づき決定された特定周波数における、前記ギアAの歯又は前記ギアBの歯の少なくとも一方の前記変動値が閾値を超えている場合に摩耗の予兆を検出するステップと、
を有することを特徴とするプログラム。
【請求項19】
請求項17又は18記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−159848(P2010−159848A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3476(P2009−3476)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】