説明

制御装置

【課題】 ユーザー側の携帯端末から入力したデータが条件を満たさないために、制御対象に対する正規の制御が実行されなかった場合、その理由や対処法などをユーザーに対して提示可能な制御装置を提供する。
【解決手段】 携帯端末3と近接通信が確立した後、不足条件記憶部8に不足条件が記憶されていないときには、近接通信部5を介して携帯端末3から情報を取得し、その情報が判定条件記憶部6に記憶させた判定条件を満足しているかどうかを判定部7に判定させ、判定部7が、条件を満足していると判定したときには制御対象1を制御し、上記条件を満たしていないと判定したとき不足条件を不足条件記憶部8に記憶させ、不足条件が記憶されている状態で上記近接通信が確立したときには、不足条件記憶部8が記憶している不足条件に応じたコマンドをコマンド記憶部9から抽出して上記携帯端末3に対して送出する処理部4を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部から入力された情報が、所定の条件を満足したときに、制御対象を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ICチップなどに書き込まれた情報を読み取って、その情報が所定の条件を満足しているときにのみ、制御対象を制御するシステムがあった。例えば、ICチップを内蔵した携帯端末を電気錠装置のICリーダーにかざして、ICチップが記憶しているIDを読み込ませると、電気錠装置の制御部が、読み取ったIDが予め登録されているIDか否かを判定し、登録IDであると判定したときに、電気錠装置を制御して開錠するようにしているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−207361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなシステムにおいて、ユーザーが携帯端末をリーダーにかざしても、電気錠が開錠されなかったとき、ユーザーは開錠されない理由がわからないことがある。
開錠されない理由として、例えば、リーダーに対する携帯端末のかざし方が悪くて、上記リーダーがIDを読み取りそこなった場合や、読み取ることはできたが、読み取ったIDが登録されていなかった場合などが考えられる。しかし、開錠されない理由が示されるわけではないので、ユーザーは、すぐに本当の理由を知ることはできない。
【0005】
ユーザーは、開錠されるものと考えて携帯端末をリーダーにかざしているのに、開錠されなかった場合には、IDの読み取らせ方が悪かったと考えて、携帯端末を再度リーダーにかざしてみることが多い。それでも開錠されない場合には、電気錠装置が故障しているのか、携帯端末が故障しているのか、あるいはIDが未登録だったのかもしれないと考える。そして、ユーザーは電気錠装置の管理者に連絡したり、自分の携帯端末を調べたりして原因を確かめる。その上でIDが未登録だった場合には、改めて登録手続き行なう。
上記従来のシステムでは、例えば、電気錠が開錠しないというような不具合の原因がすぐにわからないので、ユーザーはスムーズな対応ができないという問題があった。
【0006】
この発明の目的は、ユーザー側の携帯端末から入力したデータが条件を満たさないために、制御対象に対する正規の制御が実行されなかった場合、その理由や対処法などをユーザーに対して提示可能であって、ユーザーの利便性が高い制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、携帯端末と通信するための近接通信部と、近接通信部を介して携帯端末から入力した情報があらかじめ設定した条件を満たしているか否かを判定する判定条件を記憶した判定条件記憶部と、上記近接通信部に入力した携帯端末からの情報が、上記判定条件記憶部に記憶した条件を満たしているか否かを判定する判定部と、上記条件を満たしていないと上記判定部が判定したとき、満たせなかった条件を記憶する不足条件記憶部と、上記不足条件に対応したコマンドを記憶するコマンド記憶部と、所定の制御対象に連係する処理部とを備え、この処理部は、上記携帯端末と近接通信が確立したとき、上記不足条件記憶部が不足条件を記憶しているかどうかを判定する機能と、不足条件が記憶されていないとき、上記近接通信部を介して携帯端末から情報を取得する機能と、取得した情報が上記判定条件記憶部に記憶させた判定条件を満足しているかどうかを判定部に判定させる機能と、判定部が上記条件を満足していると判定したとき、制御対象を制御する機能と、判定部が上記条件を満たしていないと判定したとき、上記不足条件を不足条件記憶部に記憶させる機能と、不足条件が記憶されている状態で上記近接通信が確立したとき、上記不足条件記憶部が記憶している不足条件に応じたコマンドをコマンド記憶部から抽出して上記携帯端末に対して送出する機能とを備えた点に特徴を有する。
なお、上記近接通信とは、近接通信部同士が、数mm〜数cmの距離に接近したときに確立される通信のことである。
【0008】
第2の発明は、第1の発明を前提とし、上記コマンド記憶部には、制御対象から出力されるエラー情報に対応したコマンドを記憶する機能を備えるとともに、上記処理部は、判定部が上記条件を満足していると判定し、制御対象の制御を開始した後、制御対象から出力されるエラー情報を受信する機能と、この受信したエラー情報を不足条件として上記不足条件記憶部に記憶させる機能と、上記不足条件記憶部にエラー情報を記憶している状態で上記携帯端末との間で近接通信が確立したとき、上記エラー情報に対応したコマンドを上記携帯端末に送信する機能とを備えた点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
第1、第2の発明によれば、携帯端末から入力された情報が条件を満たさなかった場合に、その不足条件に対応するコマンドを携帯端末に対して出力することによって、携帯端末に、上記不足条件に対応した動作を実行させることができる。上記携帯端末の、不足条件に対応した動作として、不足条件に関する情報を表示させたり、条件を満足させるための対応策を提示させたりすることができ、これにより、ユーザーは適切な対応をスムーズにできるようになる。
特に、第2の発明によれば、携帯端末から入力された情報が条件を満たしたとしても、正規の動作が実行されない、制御対象の故障などにも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態のシステム構成図である。
【図2】第1実施形態の制御装置の処理手順を示したフローチャートである。
【図3】第2実施形態の制御装置の処理手順を示したフローチャートである。
【図4】第3実施形態のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1、図2に示す第1実施形態は、制御対象としての電気錠装置1を制御するための制御装置2と、制御装置2に情報を入力するための携帯端末3とを備えたシステムである。
上記携帯端末3はユーザーが利用する端末で、この実施形態では電気錠装置1を開錠させるためのユーザー情報を記憶しているものとする。このユーザー情報とは、ユーザーごとあるいは携帯端末3ごとに設定された情報であって、具体的には、携帯端末固有の端末IDのほか、ユーザーごとに設定したユーザーIDなどであるが、ここでは端末IDとする。そして、このユーザー情報が、この発明の制御装置に携帯端末から入力する情報に当たる。
【0012】
上記制御装置2は、処理部4と、近接通信部5と、判定条件記憶部6と、判定部7と、不足条件記憶部8と、コマンド記憶部9とを備えている。
上記近接通信部5は、携帯端末3との間で近接通信を行なうための機能を備えている。なお、近接通信とは、近接通信部同士を数cmまで近づけたときに確立される通信のことである。そして、この近接通信部5は、後で説明する携帯端末3の近接通信部10が接近したとき、通信可能になる。
【0013】
上記判定条件記憶部6は、携帯端末3から入力された情報と対比する条件を記憶する記憶部であり、判定部7は、携帯端末3から入力された情報を上記判定条件記憶部6が記憶している条件と対比して、上記入力された情報が条件を満足しているか否か判定する機能を有する。
この第1実施形態において上記判定条件記憶部6は、上記電気錠装置1を開錠するための条件を記憶するもので、例えば、開錠を許可するユーザーの携帯端末の端末IDと、その判定基準とを登録しておくところである。
上記判定基準とは、例えば、数桁の端末IDの全桁が登録IDの全桁と一致したときに条件を満足したと判定するとか、あるいは、端末IDの所定の桁数だけが登録IDと一致すれば条件を満足していると判定するというような、条件満足の基準である。
【0014】
また、不足条件記憶部8は、判定部7が上記入力された情報が条件を満足していないと判定したとき、満足していない条件をこの発明の不足条件として記憶するところである。例えば、携帯端末3から入力された端末IDが未登録のIDであるという情報や、端末IDを読み取れなかったという情報などが、上記不足条件である。
なお、この第1実施形態では、上記不足条件記憶部8を揮発性メモリとし、制御装置2の電源が切れるとその記憶情報が消去されるものとする。
【0015】
さらに、上記コマンド記憶部9は、上記不足条件に対応するコマンドを記憶する記憶部であり、携帯端末3に対して送信されるコマンドである。
この第1実施形態において上記不足条件に対応するコマンドは、携帯端末3に対し、不足条件に関連する情報を表示させるためのコマンドとする。
そして、上記処理部4は、この制御装置2の各要素の機能を実行させる機能と、これに接続した制御対象である電気錠装置1を制御する機能とを備えている。具体的には、処理部4は、携帯端末3から入力された情報が条件を満足したときに、電気錠を開錠させる制御を行なう。
【0016】
一方、携帯端末3は、制御装置1の近接通信部5と通信するための近接通信部10と、処理部11と、上記制御装置へ入力する情報、ここでは上記ユーザー情報を記憶するメモリ12と、様々なデータを表示するディスプレイ13と、インターネットNなどに接続するためのネットワーク通信部14とを備えている。
上記近接通信部10は、制御装置1から送信された情報を受信するとともに、その情報を処理部11あるいはメモリ12に振り分ける機能を備えている。
また、インターネットNには、上記不足条件に関連した関連情報を提供する関連情報サーバーC1を設けている。
【0017】
なお、上記メモリ12は、例えば、ICチップなどで構成され、上記処理部11及び近接通信部10の両方からアクセス可能にしたデータ記憶手段である。つまり、メモリ12が記憶している情報には、処理部11からアクセスすることもできるし、上記近接通信部10及び5を介して、制御装置2がアクセスすることもできる。
また、メモリ12は、近接通信部10を介して情報を書き込ませるための所定のコマンドが入力されたき、自身がメモリ12に情報を書き込む機能も備えている。
従って、上記端末IDなどのユーザー情報は、携帯端末3の処理部11がメモリ12に記憶させるようにしてもよいし、専用の登録ID配布装置によって近接通信部10を介して入力し、メモリ12が書き込むようにしてもよい。
【0018】
次に、このシステムの作用を図2のフローチャートに従って説明する。このフローチャートは、制御装置2の処理部4の処理を示したものである。
なお、制御装置2は電気錠装置1を制御するための装置であり、携帯端末3を用いて電気錠装置1を開錠させたいユーザーが、携帯端末3から情報を読み込ませたとき、電気錠が開錠されたかどうかをその場で確認できる程度に、制御装置2と電気錠装置1とは近くに設置されている。
【0019】
まず、ユーザーは、制御装置2の図示しない電源スイッチを操作してオンにするとともに、自分の携帯端末3で制御装置2の近接通信部5にタッチする。
ステップS1で、処理部4は、電源オンになって起動する。
ステップS2で、処理部4は電源がオンになってからの経過時間が設定時間以内かどうか判断する。この設定時間は、予め処理部4に設定しておく時間であり、処理部4は電源がオンになったら時間計測を開始するものとする。
ステップS2で設定時間以内の場合にはステップS3へ進むが、設定時間を超えていた場合には、ステップS11へ進み、処理部4は電源をオフにし、処理を終了する。
ステップS3で、処理部4は近接通信が確立したかどうか判断する。そして、近接通信が確立していない場合には、ステップS2へ戻る。すなわち、電源をオンしてから、設定時間だけ、近接通信が確立するのを待つ。言い換えれば、設定時間内に近接通信が確立しなければ、ステップS11へ進み、処理部4が電源をオフにする。
【0020】
上記ステップS3で近接通信の確立を確認したら、処理部4は不足条件記憶部8に不足条件が記憶されているか否かを確認する。不足条件が記憶されていた場合にはステップS9へ進み、記憶されていない場合にはステップS5へ進む。
ステップS5へ進んだ場合、処理部4は、近接通信部5及び近接通信部10を介して携帯端末3のメモリ12に予め記憶されているユーザー情報である端末IDを取得し、これを判定部7に判定させる。
判定部7は、入力されたユーザー情報が条件を満足しているか否かを判定する。具体的には、処理部4から入力された端末IDと判定条件記憶部6が記憶している登録済みの端末IDとを対比して条件が満足されているか否かを判定し、その判定結果を処理部4へ入力する。
【0021】
ステップS6で、条件を満足していると判定された場合、処理部4はステップS7へ進み、制御対象を制御する。この第1実施形態では、電気錠装置1を開錠してステップS2へ戻る。その後、設定時間が経過すれば、ステップS2からステップS11へ進んで電源をオフにして処理を終了する。
【0022】
ステップS6で、上記判定部7の判定結果が、条件を満足していないというものだった場合、処理部4は不足条件を不足条件記憶部8に記憶させる。例えば、「入力された端末IDが未登録である」という内容の情報である。
このように携帯端末3から入力された端末IDが条件を満足していない場合には、処理部4は制御対象である電気錠は開錠しない。そこで、携帯端末3のユーザーは、再度、制御装置2に携帯端末3をタッチさせて端末IDを読み取らせようとする。これにより、上記設定時間内に近接通信が確立すれば、上記ステップS4以降に進むことになる。
但し、設定時間が経過した場合には、ステップS11に進み、制御装置2の電源がオフになるので、処理部4は処理を終了し、先に記憶させた不足条件は消去される。
【0023】
つまり、携帯端末3から入力された情報が条件を満足せずに、設定時間を経過しない範囲内に、携帯端末3を、制御装置2に再度タッチさせ場合に、不足条件記憶部8に不足条件が記憶された状態で近接通信が確立し、ステップS4で不足条件が記憶されていると判断する。
処理部4は、ステップS4で不足条件が記憶されていると判断したら、ステップS9へ進み、不足条件記憶部8が記憶している不足条件に対応するコマンドを上記コマンド記憶部9から抽出し、それを携帯端末3に対して出力する。
【0024】
上記不足条件記憶部8が記憶している不足条件が、例えば、「端末IDが未登録」というものであったら、それに対応するコマンドをコマンド記憶部9から抽出し、近接通信部5から出力する。この不足条件に対応するコマンドは、例えば、「端末IDが未登録」の関連情報を表示させる、というもので、携帯端末3の処理部11に対するものである。
処理部4は、上記コマンドを出力したら、ステップS10に進み、不足条件記憶部8が記憶している不足条件を消去してから、電源をオフにする(ステップS11)。
【0025】
このように、不足条件に対応するコマンドを出力した後や、電源オンから設定時間を超えた場合に、不足条件を消去するようにしているので、新たなユーザーの携帯端末3との通信が確立したときに、以前に情報を入力したユーザーに対応した不足条件が不足条件記憶部8に残っていることがない。もしも、上記条件を満足しなかったユーザーが2度目の近接通信をさせずにその場を離れたような場合に、不足条件記憶部8に不足条件が記憶されたままになっていると、ステップS4からステップS5へ進まないため、新たなユーザー情報を取り込むことができなくなってしまう。しかし、上記のように、上記ステップS10、S11で不足条件を消去すれば、そのような不都合は生じない。
但し、この第1実施形態では、電源がオフになったとき、自動的に不足条件記憶部8が記憶している情報が消去されるようにしているので、上記ステップS10を省略することもできる。
【0026】
また、この制御装置2の電源は常時オンにしておくようにしてもかまわないが、その場合には、処理部4が不足条件を積極的に消去するステップS10は必須であり、不足条件に対応するコマンドを出力しなくても、不足条件を記憶させてから設定時間が経過したら不足条件を消去するようにする必要がある。例えば、図2に示すフローチャートにおいて、ステップS2で設定時間を超えたと判断した場合には、ステップS10に進むようにする。
さらに、不足条件記憶部8を不揮発性メモリとしたりした場合にも、不足条件記憶部8の不足条件を消去する処理が必要である。
【0027】
そして、上記設定時間は、条件を満足しないユーザーが、1回目に携帯端末3を制御装置2にタッチさせてから、所望の制御が行われなかったことを知ってから、再度携帯端末3をタッチさせることができる程度の時間である。
上記のように、制御装置2の処理部4は、電源がオン(ステップS1)になってから、設定時間内に、制御対象機器を制御、すなわち電気錠装置1を開錠させる(ステップS7)か、不足条件を記憶させる(ステップS8)か、不足条件に対応するコマンドを出力(ステップS9)して不足条件を消去する(ステップS10)かのいずれかを実行して処理を終了する。
【0028】
上記ステップS9で、不足条件に対応するコマンドが出力された場合、携帯端末3では、近接通信部10が、受信した上記コマンド1を処理部11に入力する。処理部11には、例えば、上記した「端末IDが未登録(不足条件)、の関連情報を表示」というコマンドが入力される。処理部11は、上記コマンドに従って制御装置2から入力された不足条件である、「端末IDが未登録」という事項に関連する情報を、ディスプレイ13に表示させるが、処理部4は、上記表示すべき関連情報を、ネットワーク通信部14を介して上記関連情報サーバーC1から取得するようにしている。
例えば、この関連情報サーバーC1で、「端末IDが未登録」という不足条件に、IDの登録画面を関連情報として対応付けておけば、処理部11はIDの登録画面を関連情報サーバーC1から取得してディスプレイ13に表示させる。そして、ユーザーが、この登録画面から端末IDを登録できるようにすることも可能である。
上記制御装置1から出力されるコマンドは、携帯端末3の制御部11に、上記のようなID登録画面を不足条件の関連情報として関連情報サーバーC1から取得し、それをディスプレイ13に表示させるものである。
【0029】
このようにすれば、端末IDが未登録のために、電気錠装置1を開錠できなかったユーザーは、その理由や問題の対処法がすぐにわかり、便利である。
但し、上記「端末IDが未登録」という不足条件の関連情報としては、IDの登録画面ではなく、登録手順を説明するような画面でもよいし、単に、未登録であることを表示するだけでもよい。また、上記関連情報は、外部の関連情報サーバーC1から取得するものに限らず、携帯端末3内に予め記憶させておくデータベースから抽出するようにしてもよい。
さらに、制御装置2から出力された不足条件をそのまま表示するようにしてもかまわない。
なお、上記第1実施形態では、制御装置2の制御対象が電気錠装置1であるが、制御対象は電気錠装置に限らず、どのようなものでもかまわない。上記制御装置2は、ユーザー側の情報入力が必要などのような装置にも適用できる。
【0030】
図3は、この発明の制御対象である上記電気錠装置1が自己診断機能を備えていて、自身の故障に対応するエラー情報を出力する機能を備えている第2実施形態の処理手順を示したフローチャートである。
この第2実施形態の制御装置2及び、これを用いた電気錠装置1の制御システムの全体構成は、図1に示す第1実施形態と同じなので、以下の説明にも図1を用いる。
この第2実施形態の、制御装置2の構成要素及は、第1実施形態と同じであるが、コマンド記憶部9は、上記不足条件に対応するコマンドとともに、上記エラー情報に対応するコマンドを記憶している点と、処理部4が制御対象である電気錠装置1から出力されるエラー情報を受信し、それを不足条件として不足条件記憶部8に記憶させる点が異なる。
【0031】
また、上記携帯端末3は、第1実施形態の携帯端末3と同様に機能する。
一方、上記電気錠装置1は、上記制御装置2から入力された制御信号に基づいて動作するが、電気錠装置1側の何らかの不都合により、上記制御信号に基づいた動作ができない場合に、その故障箇所や原因などを特定してエラー情報を出力する自己診断機能を備えている。
【0032】
次に、この第2実施形態のシステムの作用を図3のフローチャートに従って説明する。なお、図3は、制御装置2の処理部4の処理を示したものであるが、上記第1実施形態と相違する点を中心に説明する。
まず、ユーザーが制御装置1の電源をオン(ステップS1)にして処理部4の処理が開始する。
そして、ステップS6で、携帯端末3から入力されたユーザー情報が条件を満足していると判断して、ステップS7へ進んだ場合のみ、図2示す第1実施形態と異なる処理ステップを実行する。そこで、以下には、ステップS7以降の処理について説明する。
【0033】
処理部4は、ステップS7で電気錠装置1を制御する。厳密には、処理部4が開錠のための制御信号を出力する。このとき、上記電気装置1に故障箇所などがあると、開錠されずに、電気錠装置1は自己診断機能によって上記処理部4に対しエラー情報を出力する。
ステップS12で、制御装置2の処理部4は、上記エラー情報を受信した場合には、ステップS8へ進み、それを不足条件として不足条件記憶部8に記憶させる。ステップS12で、エラー情報を受信しなかった場合には、電気錠装置1が所定の動作をし、処理部4はステップS2へ戻る。
このように、制御対象を制御した後、エラー情報を受信した場合には、エラー情報を不足条件として記憶させる処理ステップS12ステップS8が追加されているが、その他は、上記第1実施形態と同じである。
【0034】
つまり、この第2実施形態では、ステップS9では、ユーザー情報が条件を満足しなかったことによって不足条件記憶部8に記憶させた不足条件に対応するコマンドを出力する場合と、ユーザー情報は条件を満足したが、制御対象からエラー情報が出力されたことによって記憶させた不足条件であるエラー情報に対応するコマンドを出力する場合の二つのケースがある。
いずれにしても、ステップS9では、制御装置2の処理部4は不足条件記憶部8が記憶している不足条件に対応したコマンドをコマンド記憶部9から抽出して出力するだけである。
【0035】
そして、不足条件としてのエラー情報に対応するコマンドも、エラー情報に関連する情報を表示させるものなどで、携帯端末3のディスプレイ13に制御対象である電気錠装置1の不具合を表示することができる。この場合も、電気錠装置1から出力されるエラー情報をそのまま表示させるようにしてもよいが、関連情報としてユーザーにわかりやすい表現や、解説を付加した情報を、携帯端末3の処理部11が上記関連情報サーバーC1などから取得してディスプレイ13に表示させるようにすることもできる。
【0036】
このように、制御対象からのエラー情報を受信して、その関連情報を携帯端末3に表示させるようにすると、例えば、端末IDが認証されたのにもかかわらず、電気錠が開錠されない場合にもその理由がわかるので、何回も携帯端末3から情報を読み取らせようとしたり、登録されているかどうかを確認したりという無駄なことをしなくても済むようになる。例えば、上記エラー情報の関連情報として、電気錠装置1の管理者への連絡電話番号や、メールアドレスなどを表示させるようにすると、電気錠装置1の故障にも簡単に対応できる。特に、携帯端末3として携帯電話機を利用すれば、管理者への連絡がより速やかにできる。
なお、この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、不足条件記憶部8が記憶している不足条件は、電源のオフによって消去されるものとするだけでなく、処理部4によって所定のタイミングで消去するようにしてもよい。
【0037】
図4に示す第3実施形態は、携帯端末3が制御装置2の制御対象を兼ねるシステムである。携帯端末3は、情報表示装置として制御装置2に制御されるものとする。
この第3実施形態の制御装置2及び携帯端末3は、図1に示す第1実施形態と同様の構成要素を備えているが、処理部4は制御対象に直接接続せず、近接通信部5及び10を介して、制御対象である携帯端末3と接続するようにしている。
このシステムでは、携帯端末3から制御装置2へ入力される情報が所定の条件を満たした場合にのみ、特定の情報を取得して表示するように、制御装置2が制御対象である携帯端末3を制御する。
【0038】
そして、上記携帯端末3から制御装置2へ入力されるユーザー情報は、上記第1実施形態と同様にメモリ12に記憶させておくものとする。
また、上記ユーザー情報が所定の条件を満足した場合に制御装置2が制御対象である携帯端末3を制御して特定の情報を表示させるが、この情報はインターネットNに接続した情報提供サーバーC2から携帯端末3が取得するものとする。つまり、制御装置2は、条件を満足した携帯端末3に対して、情報提供サーバーC2のアクセス先を指定して、そこから取得した情報をディスプレイ13に表示させるためのコマンドを出力する。
【0039】
このように、制御装置2の制御対象が携帯端末3であり、その制御の種類が異なるが、その他の機能は上記第1実施形態と同じである。
この第3実施形態のシステムにおいても、制御装置2の処理部4の処理手順は、図2に示す第1実施形態のフローチャートに示す通りである。
すなわち、ステップS1で電源がオンになって、ステップS2〜S3で、設定時間内に近接通信が確立し、ステップS4で不足条件記憶部8に不足条件が記憶されていなければ、ステップS5へ進む。
ステップS5で、処理部4は、携帯端末3のメモリ12からユーザー情報を取得し、そのユーザー情報が、判定条件記憶部6が記憶している条件を満足しているか否か判定部7に判定させる。
【0040】
ステップS6で、上記ユーザー情報が条件を満足していると判断したら、ステップS7で処理部4が制御対象である携帯端末3を制御する。具体的には、上記近接通信部5及び10を介して、携帯端末3の処理部11に対し、情報提供サーバーC2にアクセスして特定の情報を取得し、それをディスプレイ13に表示させるコマンドを出力する。この制御コマンドは、上記コマンド記憶部9に記憶させてもよいが、この発明の不足条件に対応したコマンドとは別のものである。
そして、上記のようにステップS7で制御装置2に制御された携帯端末3は上記情報提供サーバーC2から取得した情報をディスプレイ13に表示させる。
【0041】
一方、ステップS6で、上記携帯端末3から取得したユーザー情報が条件を満足していないと判断した場合には、上記第1実施形態と同様に、不足条件記憶部8に不足条件を記憶させる。その後、設定時間内に、近接通信の確立を確認(ステップS2〜S3)したら、処理部4は、ステップS4からステップS9へ進み、不足条件に対応するコマンドを出力する。
【0042】
上記不足条件に対応するコマンドは、ユーザーの携帯端末3から入力されたユーザー情報が条件を満足しなかったことに関連する情報を表示させるコマンドであり、上記情報提供サーバーC2からの提供情報が表示できない等を表示させるものでもよいが、上記情報提供サーバーC2とは別の関連情報サーバーC1から取得した別の情報を表示させるようにしてもよい。
【0043】
例えば、上記情報提供サーバーC2は女性向けの情報を提供するサーバーとし、不足条件に関連した関連情報サーバーC1は男性向けの情報を提供するサーバーとする。そして、携帯端末3のメモリ12から取得したユーザー情報が女性の条件を満足した場合には、情報提供サーバーC2の女性向け情報がディスプレイ13に表示されるが、女性としての条件を満足しなかった場合には、不足条件に対応するコマンドとして、関連情報サーバーC1の情報を表示させるコマンドが出力され、携帯端末3のディスプレイ13には男性向け情報が表示されるようにする。
なお、上記判定条件には複数の基準を設け、条件の満足度、あるいは不満足度に応じて異なるコマンドを対応付けるようにすれば、上記制御装置2によって、携帯端末3のユーザーの資格に応じた様々な情報を提供することもできる。
【0044】
また、上記携帯端末3を制御対象とするシステムにおいて、上記制御装置2が、条件に応じて割引クーポンなどの特典を携帯端末3に与えるようにすることもできる。
例えば、特定の店舗における商品の購入金額に応じてクーポンを与えるようにする場合、携帯端末3のメモリ12にはクーポンの取得資格を判断するための情報として、購入金額情報を記憶させておく。この購入金額情報は、店舗での支払い時に近接通信部10を介して入力されるようにしてもよいし、図示しない購買履歴管理システムからネットワーク通信部14を介して、ユーザーが取得するようにしてもよい。
【0045】
また、制御装置2の判定条件記憶部には、クーポンを付与する条件を記憶させ、コマンド記憶部9には、条件を満足しなかった場合の不足条件に対応するコマンドを記憶させておく。
そして、制御装置2が近接通信部5及び10を介して、携帯端末3のメモリ12から取得した購入金額情報が、上記判定条件を満足した場合には、処理部4は、近接通信部5及び10を介して、メモリ12にクーポン情報を書き込ませる制御を実行する。
【0046】
一方、上記条件を満足しなかった場合には、不足条件を不足条件記憶部8に記憶させ、その状態で近接通信が確立した場合に、不足条件に対応したコマンドを出力するようにする。この不足条件に対応したコマンドは、購入金額が条件を満たさないのでクーポンは発行できない旨の表示や、上記店舗での取扱商品の情報などを表示させるものなどである。そして、携帯端末3の処理部11は、制御装置2から出力されたコマンドに応じて、上記関連情報サーバーC1などから取得した不足条件に関連した情報をディスプレイ13に表示させる。
また、上記不足条件は、基準金額に達していないということだけでなく、不足金額の大小まで含むものであってもよく、不足金額に応じたコマンドを出力することもできる。
【0047】
上記第1〜第3実施形態の制御装置2によれば、携帯端末3から入力される情報が、所定の条件を満足している場合に制御対象を制御し、条件を満足してない場合には制御対象を制御しないだけでなく、携帯端末3に対し、不足条件に対応したコマンドを出力して、携帯端末側で条件を満足していないことがわかるようにできる。そのため、ユーザーは、制御対象が期待通りに制御されない場合にも、その理由や対処法を知ることができる。
また、上記制御装置2は、携帯端末3からの情報が、条件を満足しているか否かに応じて別の情報を取得させることができ、ユーザーの資格に応じた情報を提供する情報提供システムに利用することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 (制御対象である)電気錠装置
2 制御装置
3 携帯端末
4 処理部
5 近接通信部
6 判定条件記憶部
7 判定部
8 不足条件記憶部
9 コマンド記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と通信するための近接通信部と、近接通信部を介して携帯端末から入力した情報があらかじめ設定した条件を満たしているか否かを判定する判定条件を記憶した判定条件記憶部と、上記近接通信部に入力した携帯端末からの情報が、上記判定条件記憶部に記憶した条件を満たしているか否かを判定する判定部と、上記条件を満たしていないと上記判定部が判定したとき、満たせなかった条件を記憶する不足条件記憶部と、上記不足条件に対応したコマンドを記憶するコマンド記憶部と、所定の制御対象に連係する処理部とを備え、この処理部は、上記携帯端末と近接通信が確立したとき、上記不足条件記憶部が不足条件を記憶しているかどうかを判定する機能と、不足条件が記憶されていないとき、上記近接通信部を介して携帯端末から情報を取得する機能と、取得した情報が上記判定条件記憶部に記憶させた判定条件を満足しているかどうかを判定部に判定させる機能と、判定部が上記条件を満足していると判定したとき、制御対象を制御する機能と、判定部が上記条件を満たしていないと判定したとき、上記不足条件を不足条件記憶部に記憶させる機能と、不足条件が記憶されている状態で上記近接通信が確立したとき、上記不足条件記憶部が記憶している不足条件に応じたコマンドをコマンド記憶部から抽出して上記携帯端末に対して送出する機能とを備えた制御装置。
【請求項2】
上記コマンド記憶部には、制御対象から出力されるエラー情報に対応したコマンドを記憶する機能を備えるとともに、上記処理部は、判定部が上記条件を満足していると判定し、制御対象の制御を開始した後、制御対象から出力されるエラー情報を受信する機能と、この受信したエラー情報を不足条件として上記不足条件記憶部に記憶させる機能と、上記不足条件記憶部にエラー情報を記憶している状態で上記携帯端末との間で近接通信が確立したとき、上記エラー情報に対応したコマンドを上記携帯端末に送信する機能とを備えた請求項1記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−58246(P2011−58246A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208339(P2009−208339)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(500567265)株式会社コネクトテクノロジーズ (25)
【Fターム(参考)】