説明

制約されたシアノ化合物

ある種の制約されたシアノ化合物は、プロリン/アラニンの後ろで切断するアミノ-ジペプチダーゼについての有用な抑制剤である。従ってこれらの化合物は、単独で、あるいは糖尿病(特にII型糖尿病)、高血糖症、シンドロームX、糖尿病合併症、高インスリン血症、肥満症、アテローマ性動脈硬化症および関連する疾患と同様に、様々な免疫修飾物質性の疾患および慢性の炎症性の腸の疾患を処置するための他の治療的薬剤と共に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制約されたシアノ化合物(constrained cyano compounds)およびプロリン/アラニンの後ろで切断するアミノ-ジペプチダーゼ(post-proline/alanine cleaving amino-dipeptidases)についての選択的な抑制剤としての、制約されたシアノ化合物の使用に関係するものである。本発明はさらにこのような抑制剤の用い方、すなわち単独で用いる方法か、または糖尿病(特にII型糖尿病)、高血糖症、シンドロームX(Syndrome X)、糖尿病性合併症、高インスリン血症(hyperinsulinemia)、肥満症(obesity)、アテローマ性動脈硬化症および関連する疾患と同様に、様々な免疫修飾物質性の疾患(various immunomodulatory diseases)および慢性の炎症性の腸の疾患(chronic inflammatory bowel disease)を処置するための他の治療的薬剤と共に用いる方法に関係するものである。
【背景技術】
【0002】
以下の背景技術についての解説は本発明の理解を助けるためのものである。この解説に記載されている内容は先行技術の性質もしくは内容に関して承認するものではない。
【0003】
ジペプチジルペプチダーゼIV(dipeptidyl peptidase-IV、DPP-IV)は、プロリン/アラニンの後ろで切断するアミノ-ジペプチダーゼ(post-proline/alanine cleaving amino-dipeptidases)のグループに属するセリンプロテアーゼである。DPP-IVはN末端から2番目がプロリンもしくはアラニンであるタンパク質からのN末端ジペプチドの遊離(release)を優先的に触媒する。
【0004】
生理学上のDPP-IVの役割は様々である。DPP-IVはニューロペプチドの代謝、T細胞の活性化、胃潰瘍、機能性消化不良、肥満症、食欲調節(appetite regulation)、空腹時耐糖能障害(impaired fasting glucose、IFG)、および糖尿病において重要な役割を果たしていると考えられる。特にDPP-IVは、N末端の2つのアミノ酸を取り除くことで不活性化されるインスリン分泌ホルモン(insulinotropic hormons)、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)および胃抑制ペプチド(gastric inhibitory peptide、GIP)がその基質に含まれているため、グルコースの代謝の調整にかかわっている。
【0005】
生体内に、合成したDPP-IV抑制剤を投与すると、GLP-1およびGIPのN末端消化が妨げられた結果、これらのホルモンの血漿中の濃度が高くなり、インスリンの分泌が増え、さらにその結果として耐糖能(glucose tolerance)が向上する。従ってこのような抑制剤は、耐糖能とインスリン抵抗性(insulin resistance)の低下という特徴を有するII型糖尿病(type II diabetes)を患っている患者の処置に提案されてきた。
【0006】
DPP-VII、DPP-VIII、DPP-IX、および繊維芽細胞活性化タンパク(fibroblast activation protein、FAP)を含む、DPP-IVの基質特異性および抑制剤特異性を有するプロリン/アラニンの後ろで切断するアミノ-ジペプチダーゼが発見されている。従ってこの種の抑制剤はその酵素群を構成しているもののうちの複数に影響する可能性があることが明らかになってきている。
【0007】
これらのプロリン/アラニンの後ろで切断する酵素のそれぞれについて正確な生理学的役割は良く分かっていない。従って、これらを別々に抑制したとき、これらのサブセット(subset)を抑制したとき、もしくはこれら全てを一度に抑制したときの生理学的な効果は明確にされていない。
【0008】
糖尿病性異常脂肪血症(diabetic dyslipidemia)は、コレステロールおよびトリグリセリドの血漿中の濃度レベルが中程度に高いこと、小粒子LDL(small LDL particle)、さらにHDLコレステロールが低レベルであることを含む、複数のリポプロテイン欠損(multiple lipoprotein defect)を特徴とする。最近の臨床試験の結果、糖尿病および糖尿病でない受療者に、コレステロールを低下させる治療が効果的であることが明らかになり、その結果、糖尿病性異常脂肪血症の処置においてこの療法がさらに重要なものとなった。The National Cholesterol Education Program's Adult Treatment Panel IIIでは、糖尿病性異常脂肪血症の集中的な処置の必要性が唱えられている。
【0009】
肥満症は、アテローマ性動脈硬化症、高血圧、および糖尿病などの非常に一般的な疾病の進行についての良く知られた危険因子(risk factor)である。肥満した人の割合とそれに関連してこれらの病気も先進工業国全体で増加している。運動、食生活(diet)および食事制限を除けば、効果的かつ許容しうる体重を減少させる薬理学的な治療は現在存在しない。しかしながら、致命的かつ一般的な疾病の危険因子として、間接的ではあるが重要な影響があるため、肥満症もしくは食欲調節(appetite regulation)のための処置を発見することが重要である。たとえ軽度の肥満であっても短命(premature death)、糖尿病、高血圧、アテローマ性動脈硬化症、胆嚢の疾病およびある種の癌のリスクを増大させる。工業化された西欧諸国では、過去数十年で肥満症の患者数は著しく増加している。肥満症の患者数が多いことと、肥満症の健康にもたらす影響から、肥満症の予防および処置が大きく優先されるべき公衆衛生上の問題である。
【0010】
現在、初期体重減少(initial weight loss)に効果がある多くの方法が利用できる。不幸なことに、初期体重減少が最善の治療目標ではない。それどころか、問題となるのは、多くの肥満症の受療者が最終的に体重をリバウンドさせてしまうことである。効果的な方法を確立させ、および/または体重の減少を維持することが、現在の肥満症の処置においての大きな課題となっている。
【0011】
従って免疫系を抑制することなく、DPP-IVを抑制するのに有用な化合物の存在が求められている。
【0012】
いくつかの化合物はDPP-IV抑制性を示したが、これらは全て、有効性、安定性、選択性、毒性および/または薬理学的特性に関する制限があった。このような化合物は例えば、WO 98/19998、WO 00/34241、U.S. patent No. 6,124,305 (Novartis AG)、およびWO 99/38501 (Trustees of Tufts University) に開示されている。
【発明の開示】
【0013】
本発明の一つの態様により、DPP-IVの抑制によって調整もしくは正常化されることがある症状の処置に効果的な化合物を提供する。さらに詳しくは、本発明は制約されたシアノ基を含む二環式複素環類およびそれらの誘導体でDPP-IVを選択的に抑制するもの、ならびに、そのような化合物や中間体を調製するために有用な方法に関するものである。本発明に関する他の態様は、本発明に係る化合物を含む薬学的組成物、および1種類以上のタイプの抗糖尿病薬を含む本発明に係る化合物の配合、DPP-IVを抑制するための方法であって、そのような処置を必要とする受療者に薬学的組成物などの治療的有効量を投与するステップを含む方法、ならびに、化合物の薬学的な利用および化合物のDPP-IVの抑制によって調整もしくは正常化されることがある症状の処置に用いる薬剤の調製過程での使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る制約されたシアノ化合物が他の関連するジペプチジルペプチダーゼ酵素と比較して、DPP-IVに対する著しい選択性を示すことが見出された。DPP-IVに対する選択性により、この化合物が、DPP-VII、DPP-VIII、DPP-IXおよびFAPのような密接に関係している酵素よりも強くDPP-IVを抑制することになる。いかなる見解にも捉われるつもりはないが、この予期しなかったDPP-IVへの選択性により結果的には、他の選択性が無いDPP-IV抑制剤(non-selective DPP-FV inhibitors)に比べて副作用が減少し、治療面での改良となったと考えられる。特に従来の抑制剤によるDPP-VIIIの強力な抑制は動物実験で観察された急性毒性(acute toxicity)と関連があると考えられている。発明に係る化合物は著しいDPP-VIIIの抑制を回避し、その結果DPP-VIIIの抑制に関わる副作用を回避すると考えられる。
【0015】
選択性に加えて、制約されたシアノ化合物は従来のDPP-IV抑制剤よりも有利な点がある。制約されていないDPP-IV抑制剤に比べて、本発明に係る化合物は化学的安定性が向上しており、潜在的な安全性の問題点が少なくなっている。例えば、線形のシアノピロリジド(cyanopyrrolidide)は不可逆の環化反応をおこし、不活性なイミドになり(imidate)、溶解させるとジケトピペラジン化合物(diketopiperazine compound)になる(スキーム1参照)。この結果として、線形の化合物がDPP-IVを抑制しないで環を構成するために活性に不可逆的な損失が出る。さらに、元の線形化合物が複数の環を作ることによって、親化合物と異なった薬理学的特性を有する可能性があり、安全性に問題を生じる恐れがある。少なくとも複数の環の形成によって、シアノピロリジドの臨床評価は複雑になる。
【0016】
スキーム1
【0017】
【化12】

一方で、本明細書に記載したDPP-IV抑制剤では二環式の環が制約されている(constrained nature of the bicyclic ring)ために、この環化反応が起こらない。結果として制約されたシアノ抑制剤では、この化学的損失がみられず、親化合物から複数の環を持つ構造に誘導されることにより生ずる潜在的な安全性の問題も軽減される。
【0018】
ある実施例によると本発明は、構造式Iの化合物、および立体異性体、溶媒和化合物(solvate)、水和物、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、ならびにこれらの混合物を提供する。
【0019】
【化13】

(ここで、式中で
XはCRR'、S、もしくはOであるか、またはXはCRであって結合している炭素原子の一つと二重結合を形成しており、
R1およびR4は独立にHあるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基(aralkyl)、複素環基(heterocyclyl)、もしくは複素環アルキル基(heterocyclylalkyl group)であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の(divalent)炭素環基(carbocyclyl)または複素環基を含むか、
R、R'、R2、R3、R5およびR6は独立にH、F、Cl、Br、I、ORa、NRaRb、CN、NO2、C(O)Ra、C(O)ORb、C(O)NRaRb、NHC(O)Ra、NHC(O)ORa、あるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、あるいはR2およびR5がともに一つのオキソ基(oxo group)か、R3およびR6がともに一つのオキソ基か、またはR2およびR5とR3およびR6の両方とも、ひとまとめで一つのオキソ基であり、かつ
前述のRaおよびRbは、個々の場合において独立にHあるいは置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基である)。
【0020】
構造式Iの化合物のある実施例においては、XがCH2、S、もしくはOである。他では、XはS、もしくはOである。
【0021】
構造式Iの化合物のある実施例においては、R1およびR4が独立に以下のものである。
a) H、
b) (C1-12)アルキル基、(C2-12)アルケニル基、(C2-12)アルキニル基、(C3-12)シクロアルキル基、(C3-12)(シクロアルキル)アルキル基、(C3-12)シクロアルケニル基、もしくは(C3-12)(シクロアルケニル)アルキル基であって、それぞれの基がR7で任意に一置換または独立に多置換(plurisubstituted)されていて、前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基もしくは複素環基を含み、ここで
R7は、ハロゲン基、(C1-10)アルキル基、(C1-10)アルコキシ基、(C3-10)シクロアルキル基、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OC(O)NHR8、-OC(O)N(R8)2、-OR8、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、N-ヒドロキシイミノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基(trifluoromethoxy)、スルファモイル基(sulfamoyl)、スルホンアミド基(sulfonamido)、カルバモイル基(carbamoyl)、アジド基、アミジノ基(amidino)、グアニジノ基(guanidino)、アミノ基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であり、ここで前記アミノ基はR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OR8、もしくは-SR8で任意に一置換または独立に多置換され、前記アリール基、前記複素環基、および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されており、
それぞれのR8は、独立に(C1-10)アルキル基、(C2-10)アルケニル基、(C2-10)アルキニル基、(C3-10)シクロアルキル基、(C5-10)シクロアルケニル基、ベンジル基、フェネチル基(phenethyl)、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であって、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記シクロアルキル基、および前記シクロアルケニル基はR10で任意に一置換されもしくは独立に二置換されており、さらに前記アリール基、前記複素環基、および前記ヘテロアリール基はR11で任意に一置換または独立に多置換されており、
R9は、ハロゲン基、(C1-10)アルキル基、(C1-10)アルコキシ基、(C3-10)シクロアルキル基、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OC(O)NHR8、-OC(O)N(R8)2、-OR8、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、N-ヒドロキシイミノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基(trifluoromethylthio)、スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基、フェニル基、フェノキシ基(phenoxy)、ベンジル基、ベンジルオキシ基、アジド基、アミノ基、(C1-10)アルキルアミノ基、もしくは(C1-10)ジアルキルアミノ基であり、ここで前記アミノ基はR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OR8、もしくは-SR8で任意に一置換または独立に多置換され、
R10はアリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であって、それぞれの基はR11で任意に一置換または独立に多置換されており、
R11は、ハロゲン基、(C1-10)アルキル基、(C1-10)アルコキシ基、(C1-10)アルキルアミノ基、(C1-10)ジアルキルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、N-ヒドロキシイミノ基、シアノ基、カルボキシ基、アセトアミド基(acetamido)、ヒドロキシル基、スルホンアミド基、もしくはアミノ基であるか、
c) フェニル基、(C3-10)シクロアルキルに縮合したフェニル基、単環式へテロアリール(monocyclic heteroaryl)、もしくは(C3-10)シクロアルキルに縮合した単環式へテロアリール、ここで前記フェニル基および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されているか、
d) インダニル基(indanyl)、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基、jが0、1、2、もしくは3である-(CH2)j-アダマンチル基(adamantyl)、(4-ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ-1-イル)アミン((4-pentylbicyclo[2.2.2]oct-l-yl)amine)、または[2.2.1]二環式炭素環基もしくは[3.1.1]二環式炭素環基(bicyclic carbocyclyl group)、ここで前記インダニル基、前記1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基、前記-(CH2)j-アダマンチル基、ならびに前記[2.2.1]二環式炭素環基もしくは前記[3.1.1]二環式炭素環基は、ヒドロキシル基、(C1-8)アルキル基、(C1-8)アルコキシ基、(C1-8)アルカノイルオキシ基(alkanoyloxy)、もしくはR12R13N-CO-O-で任意に一置換または独立に多置換されており、ここでR12およびR13は独立して(C1-8)アルキル基もしくはフェニル基であり、ここで前記アルキル基および前記フェニル基は(C1-8)アルキル基、(C1-8)アルコキシ基、ハロゲン基もしくはトリフルオロメチル基で任意に一置換または独立に多置換されているか、またはR12およびR13で一緒に(C3-6)アルキレン基(alkylene)であるか、
e) R14(CH2)p-、ここでR14はピロリル基、ピロリジニル基、2-オキソピロリジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チオフェニル基、チアゾリル基、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピリジニル基、インドリル基(indolyl)、イソインドリル基(isoindolyl)、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、プリニル基(purinyl)、ピリミジニル基(pyrimidinyl)、キノリニル基、(C1-6)アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、(C1-6)シクロアルキル基、ナフチル基、シクロヘキセニル基(cyclohexenyl)、もしくはアダマンチル基であって、個々の基はR15で任意に一置換、または独立に二置換もしくは三置換されており、またR14は[3.3.3]二環式炭素環基であって(C1-8)アルキル基で任意に一置換または独立に多置換されており、pは0、1、2、もしくは3であり、
さらにここで、R15はハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、(C1-6)アルキル基、(C1-6)アルコキシ基、シクロアルキル基、カルボキシ基、-CONHR8、ヒドロキシル基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であり、ここで前記アリール基、前記複素環基、および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されているか、あるいは、
f) (R16)2CH(CH2)q-、ここでR16はフェニル基であって、前記フェニル基はR15で任意に一置換または独立に二置換されており、しかもqが0、1、2、もしくは3である。
【0022】
このような実施例のあるものでは、R1およびR4が独立に以下のものである。
a) H、
b) (C1-12)アルキル基、(C2-12)アルケニル基、(C2-12)アルキニル基、(C3-12)シクロアルキル基、もしくは(C3-12)シクロアルケニル基、ここでそれぞれの基がR7で任意に一置換または独立に多置換されているか、
c) フェニル基、(C3-10)シクロアルキルに縮合したフェニル基、単環式へテロアリール、もしくは(C3-10)シクロアルキルに縮合した単環式へテロアリール、ここで前記フェニル基および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されているか、
d) R14(CH2)p-、あるいは
e) (R16)2CH(CH2)q-。
【0023】
他の構造式Iの化合物の実施例では、R1がH、またはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、シクロペンチル基、シクロペンチル-(CH2)-基、シクロヘキシル基、シクロヘキシル-(CH2)-基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、イミダゾリル-(CH2)-基、もしくはインドリル-(CH2)-基であって、任意にそれぞれ独立にF、Cl、Br、I、ヒドロキシル基、オキソ基、シアノ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アジド基、ニトロ基、(C1-4)アルコシキ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、カルボキサミド基(carboxamido)、SH、S(O)0-2CH3、もしくはグアニジノ基で一置換または二置換されたものである。ある実施例ではR1がHではない。
【0024】
さらに他の実施例では、R4がHである。ある実施例ではR4がHではない。
【0025】
構造式Iの化合物のある実施例では、R2、R3、R5、およびR6の一箇所、二箇所もしくは三箇所がHである。他には、R5がH、R6がH、もしくはR5とR6の両方ともがHである。さらに他には、R2、ならびにR3がH、F、Cl、OH、あるいは置換または非置換のC1-6アルキル基、フェニル基、もしくはベンジル基から独立に選択される。ある実施例では、R5、ならびにRがH、F、Clあるいは置換または非置換のC1-6アルキル基、フェニル基、もしくはベンジル基から独立に選択される。まだ他には、R2、R3、R5、およびR6のそれぞれがHである。
【0026】
本発明の他の態様は構造式IIの化合物、および立体異性体、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、薬学的に許容される塩、ならびにこれらの混合物を提供する。
【0027】
【化14】

(ここで、式中で
XはCH2、S、もしくはOであるか、またはXはCHであって結合している炭素原子の一つと二重結合を形成しており、
R1およびR4は独立にHあるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含む)。
【0028】
構造式IIのある実施例では、XがOもしくはSである。
【0029】
構造式IIのいくつかの実施例では、R1およびR4が独立に以下のものである。
a) H、
b) (C1-12)アルキル基、(C2-12)アルケニル基、(C2-12)アルキニル基、(C3-12)シクロアルキル基、(C3-12)(シクロアルキル)アルキル基、(C3-12)シクロアルケニル基、もしくは(C3-12)(シクロアルケニル)アルキル基であって、それぞれの基がR7で任意に一置換または独立に多置換されていて、前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基もしくは複素環基を含み、ここで
R7は、ハロゲン基、(C1-10)アルキル基、(C1-10)アルコキシ基、(C3-10)シクロアルキル基、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OC(O)NHR8、-OC(O)N(R8)2、-OR8、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、N-ヒドロキシイミノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アジド基、アミジノ基、グアニジノ基、アミノ基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であり、ここで前記アミノ基はR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OR8、もしくは-SR8で任意に一置換または独立に多置換され、前記アリール基、前記複素環基、および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されており、
それぞれのR8は、独立に(C1-10)アルキル基、(C2-10)アルケニル基、(C2-10)アルキニル基、(C3-10)シクロアルキル基、(C5-10)シクロアルケニル基、ベンジル基、フェネチル基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であって、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記シクロアルキル基、および前記シクロアルケニル基はR10で任意に一置換されもしくは独立に二置換されており、さらに前記アリール基、前記複素環基、および前記ヘテロアリール基はR11で任意に一置換または独立に多置換されており、
R9は、ハロゲン基、(C1-10)アルキル基、(C1-10)アルコキシ基、(C3-10)シクロアルキル基、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OC(O)NHR8、-OC(O)N(R8)2、-OR8、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、N-ヒドロキシイミノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンジルオキシ基、アジド基、アミノ基、(C1-10)アルキルアミノ基、もしくは(C1-10)ジアルキルアミノ基であり、ここで前記アミノ基はR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OR8、もしくは-SR8で任意に一置換または独立に多置換され、
R10はアリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であって、それぞれの基はR11で任意に一置換または独立に多置換されており、
R11は、ハロゲン基、(C1-10)アルキル基、(C1-10)アルコキシ基、(C1-10)アルキルアミノ基、(C1-10)ジアルキルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、N-ヒドロキシイミノ基、シアノ基、カルボキシ基、アセトアミド基、ヒドロキシル基、スルホンアミド基、もしくはアミノ基であるか、
c) フェニル基、(C3-10)シクロアルキルに縮合したフェニル基、単環式へテロアリール、もしくは(C3-10)シクロアルキルに縮合した単環式へテロアリール、ここで前記フェニル基および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されているか、
d) インダニル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基、jが0、1、2、もしくは3である-(CH2)j-アダマンチル基、(4-ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ-1-イル)アミン、または[2.2.1]二環式炭素環基もしくは[3.1.1]二環式炭素環基、ここで前記インダニル基、前記1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基、前記-(CH2)j-アダマンチル基、ならびに前記[2.2.1]二環式炭素環基もしくは前記[3.1.1]二環式炭素環基は、ヒドロキシル基、(C1-8)アルキル基、(C1-8)アルコキシ基、(C1-8)アルカノイルオキシ基、もしくはR12R13N-CO-O-で任意に一置換または独立に多置換されており、ここでR12およびR13は独立して(C1-8)アルキル基もしくはフェニル基であり、ここで前記アルキル基および前記フェニル基は(C1-8)アルキル基、(C1-8)アルコキシ基、ハロゲン基もしくはトリフルオロメチル基で任意に一置換または独立に多置換されているか、またはR12およびR13で一緒に(C3-6)アルキレン基であるか、
e) R14(CH2)p-、ここでR14はピロリル基、ピロリジニル基、2-オキソピロリジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チオフェニル基、チアゾリル基、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピリジニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、プリニル基、ピリミジニル基、キノリニル基、(C1-6)アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、(C1-8)シクロアルキル基、ナフチル基、シクロヘキセニル基もしくは、アダマンチル基であって、個々の基はR15で任意に一置換、または独立に二置換もしくは三置換されており、またR14は[3.3.3]二環式炭素環基であって(C1-8)アルキル基で任意に一置換または独立に多置換されており、pは0、1、2、もしくは3であり、
さらにここで、R15はハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、(C1-6)アルキル基、(C1-6)アルコキシ基、シクロアルキル基、カルボキシ基、-CONHR8、ヒドロキシル基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であり、ここで前記アリール基、前記複素環基、および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されているか、あるいは、
f) (R16)2CH(CH2)q-、ここでR16はフェニル基であって、前記フェニル基はR15で任意に一置換または独立に二置換されており、しかもqが0、1、2、もしくは3である。
【0030】
構造式IIの化合物についての他の実施例は、R1およびR4が独立に以下のものである。
a) H、
b) (C1-12)アルキル基、(C2-12)アルケニル基、(C2-12)アルキニル基、(C3-12)シクロアルキル基、もしくは(C3-12)シクロアルケニル基、ここでそれぞれの基がR7で任意に一置換または独立に多置換されているか、
c) フェニル基、(C3-10)シクロアルキルに縮合したフェニル基、単環式へテロアリール、もしくは(C3-10)シクロアルキルに縮合した単環式へテロアリール、ここで前記フェニル基および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されているか、
d) R14(CH2)p-、あるいは
e) (R16)2CH(CH2)q-。
【0031】
構造式IIの化合物についての、まだ他の実施例はR1がH、またはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、シクロペンチル基、シクロペンチル-(CH2)-基、シクロヘキシル基、シクロヘキシル-(CH2)-基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、イミダゾリル-(CH2)-基、もしくはインドリル-(CH2)-基であって、任意にそれぞれ独立にF、Cl、Br、I、ヒドロキシル基、オキソ基、シアノ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アジド基、ニトロ基、(C1-4)アルコシキ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、カルボキサミド基、SH、S(O)0-2CH3、もしくはグアニジノ基で一置換または二置換されたものである。まだ他の実施例では、RがHである。
【0032】
本発明に係る化合物にはジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーの混合物のような、立体異性体の混合物が含まれる。ある実施例において、例えば構造式IもしくはIIの化合物では90重量パーセント(wt%)以上が1種類のジアステレオマーのエナンチオマー(diastereomer of enantiomer)である。ほかの実施例では、化合物は92wt%、94 wt%、96 wt%、98 wt%もしくは99 wt%以上が1種類のジアステレオマーまたはエナンチオマーであることすらある。
【0033】
他の態様では、本発明に係る化合物には、ピロリジノニル環(pyrrolidinonyl ring)を含む8員環の二環式複素環であって、複素環がシアノ基で置換されており、塩基性の官能基のpKaが約6から約10であって、複素環がDPP-IVを10μM以下のKiで抑制する化合物がさらに含まれる。例示的な塩基性の官能基にはアミノアルキル基およびアミノ基が含まれる。ある実施例では、その二環式複素環は構造式IIIの化合物、および立体異性体、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、ならびにこれらの混合物である。
【0034】
【化15】

(ここで、式中で
XはCRR'、S、もしくはOであるか、またはXはCRであって結合している炭素原子の一つと二重結合を形成しており、
R1およびR4は独立にHあるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、
R、R'、R2、R3、R5およびR6は独立にH、F、Cl、Br、I、ORa、NRaRb、CN、NO2、C(O)Ra、C(O)ORb、C(O)NRaRb、NHC(O)Ra、NHC(O)ORa、あるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、あるいはR2およびR5がともに一つのオキソ基か、R3およびR6がともに一つのオキソ基か、またはR2およびR5とR3およびR6の両方とも、ひとまとめで一つのオキソ基であり、かつ
前述のRaおよびRbは、個々の場合において独立にHあるいは置換または非置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基である)。
【0035】
構造式IIIの化合物のいくつかのこのような実施例では、R2、R3、R5、およびR6のそれぞれがHである。
【0036】
本明細書に記載した本発明に係る化合物は、中性のタイプの化合物(neutral form of the compound)と、塩酸塩やその他の塩のように薬学的に許容される塩の両者が含まれる。本発明に係る化合物の代表的なものには以下のものが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0037】
6-アミノ-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-メチル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル、
6-アミノ-6-エチル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-イソプロピル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-シクロペンチル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-シクロヘキシル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-イソブチル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-sec-ブチル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-5-オキソ-6-フェネチル-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-ベンジル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-シクロヘキシルメチル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-(4-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、および
6-アミノ-5-オキソ-6-フェニル-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩。
【0038】
本発明のほかの実施例に基づいて、本発明に係る化合物を合成するための中間体も提供されている。そのような中間体には構造式IVの化合物および立体異性体、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0039】
【化16】

(ここで、式中で
XはCRR'、S、もしくはOであるか、またはXはCRであって結合している炭素原子の一つと二重結合を形成しており、
R1はHあるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、
R、R'、R2、R3、R5およびR6は独立にH、F、Cl、Br、I、ORa、NRaRb、CN、NO2、C(O)Ra、C(O)ORb、C(O)NRaRb、NHC(O)Ra、NHC(O)ORa、あるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、あるいはR2およびR5がともに一つのオキソ基か、R3およびR6がともに一つのオキソ基か、またはR2およびR5とR3およびR6の両方とも、ひとまとめで一つのオキソ基であり、かつ
前述のRaおよびRbは、個々の場合において独立にHあるいは置換または非置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、
R4はH、アミノ保護基、あるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含み、かつ
R4aはアミノ保護基であるか、もしくはR4aがR4とともに環状のアミノ保護基を構成する)。
【0040】
構造式IVの化合物についてのいくつかの実施例では、R4はHであって、R4aはアミノ保護基である。他の実施例では、化合物は構造式IVAの構造を有する。
【0041】
【化17】

このような実施例のうちのあるものでは、XがSである。他では、R2、R3、R5、およびR6がHである。
【0042】
構造式IVの化合物についての他の実施例においては、化合物は構造式IVBの構造を有する。
【0043】
【化18】

(ここでR17が置換または非置換の(C1-6)アルキル基もしくは(C6-20)アラルキル基である)典型例では、R17は非置換のt-ブチル基、ベンジル基、もしくはフルオレン-9-イルメチル基である。化合物IVは1種類の立体異性体として、もしくは望ましい立体異性体に周知の技術に従って分割されることがある立体異性体の混合物として存在する可能性がある。
【0044】
スキーム2
【0045】
【化19】

本実験のまだ他の態様では、構造式I、II、III、およびIVを含むがそれらには限定されない、本発明に係る化合物の合成法を提供している。本発明に係る化合物は、例えば「Allen, N.E., et al. Tetrahedron (1989) 45, 1905-28」、「Baldwin, J.E., et al., loc. cit. at 4537-50」および「Khalil, E.M., et al., J. Med. Chern. (1999) 42, 2977」等のいくつかのルートで調製されることがある。スキーム2は適切な保護がされたアルファ-アリル化されたアミノ酸(alpha-allylated amino acid)からの構造式Iの化合物の合成を図解している。化合物Aを生成するために、出発物質はアミノ酸のイミン誘導体のアリル化などの当該技術分野において既知の方法によって調製されることがある。Aのオレフィン基(olefinic group)はオゾン分解等や、もしくはその他の適切な方法によって酸化的に解裂される。適切に保護されたシステイン誘導体もしくはセリン誘導体との反応後に、カルボキシル保護基であり一般にエステルであるPG2の除去を、化合物Bを生成するために行う。二環式化合物の生成が酸触媒下でBを加熱することに影響されることがある。C(構造式IVAの化合物)へのアンモノリシス(ammonolysis)および脱水(例えば無水トリフルオロ酢酸もしくはメチルN-(トリエチルアンモニオスルホニル)カルバメート(バージェス試薬(Burgess' reagent)))により構造式Iの化合物が得られる。例えばL-Cys-OMeもしくはL-Ser-OMeを用いると、構造式IIの化合物になる。水素原子でないR基(Non-hydrogen R4 groups)は、引き続いて例えば還元的なアミノ化(reductive animation)(NaCNBH4、NaOAc、メタノール、モレキュラーシーブなどを用いて)によって加えられるか、もしくは脱水ステップの前に組み込まれることがある。
【0046】
スキーム3
【0047】
【化20】

スキーム3に示し、実施例に記載したように、構造式Iの化合物は適切に保護されたアスパラギン酸誘導体の合成によっても調製できる。後者の化合物は当該技術分野で周知である(例えば「Gerona-Navarro G; Bonache MA; Herranz R; Garcia-Lopez MT; Bonzalez-Muniz R, J Org. Chem. 2001, 66, 3538-3547.」、「Gerona-Navarro G; Garcia-Lopez MT; Gonzalez-Muniz R, J. Org. Chem. 2002 67, 3953-3956.」、「Gerona-Novarro G; Garcia-Lopez MT; Gonzalez-Muniz R, Tetrahedron Lett. 2003, 44, 6145- 6148.」、「Dolbeare K; Pontoriero GF; Gupta SK; Mishra RK; Johnson RL, J. Med. Chem. 2003, 46, 727-733」を参照のこと)。例えば2ステップの還元/酸化プロセス(例えば、(1) 無水塩混合物のアルコールへのNaBH4還元、(2) ピリジニウムクロロクロメート(pyridinium chlorochromate)もしくはその他の適切な試薬で酸化)によって、Aを生成するために、ガンマカルボン酸塩(gamma carboxylate)をアルデヒドに変換する。化合物Aを直接もしくは間接的に(PG2を除去した後)、化合物Bを生成するために適切に保護されたシステインもしくはセリン残基と反応させることがある。塩基(例えばピリジン、4-ジメチルアミノピリジン)かそれとも他の適切な試薬(2-クロロ-N-メチルピリジニウムヨウ化物(2-chloro-N-methylpyridinium iodide))とともに加熱することによって、二環式化合物のピロリジノン環(pyrrolidinone ring)を形成することができる。前述のとおりCへのアンモノリシスおよび脱水をして、構造式Iの化合物が生成する。前述のとおり、例えばL-Cys-OMeもしくはL-Ser-OMeを使用することにより、構造式IIの化合物に誘導できる。水素原子でないR基は、前述のとおり、引き続いて例えば還元的なアミノ化によって加えられるか、もしくは脱水ステップの前に組み込まれることがある。
【0048】
本発明に係る化合物は、様々な部位に適切な立体配置のアミノ酸誘導体を用いることによって望ましい立体配置のものが合成されることがある。例えばスキーム2およびスキーム3に示したように、L-システインメチルエステルおよびその誘導体を、化合物AをBに変換する際に用いると、結果として得られる構造式Iの化合物はXがSで、3番目の位置の炭素(すなわちニトリルに対してアルファ位)はL体(L-configuration)である。D-システイン、D-セリン、あるいはD-システインもしくはセリンおよびL-システインもしくはセリン、またはそれらの誘導体の混合物を用いると構造式IIIの化合物が得られる。アルファ-置換アミノ酸は、立体選択的合成(stereoselective synthesis)によるか、それとも当業者に周知のエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの分割技術によって、ラセミ体でないもの(non-racemic form)として調製されることがある。
【0049】
スキーム4
【0050】
【化21】

本発明に係る化合物でXとしてカルボン基(carbone group)を有するもの(すなわちCRR')は、既知の方法(例えばBaldwin et al., Tetrahedron (1984) 40, 4513)を修正してスキーム4に示したように調製されることがある。適切に置換されたアクリレートエステル(acrylate ester)とピロリン酸化物(pyrroline oxide)の付加環化反応は、二環式中間体Aの部分で記載したとおりである。例えば水素化分解(水素、ラネーニッケル(Raney Ni))によるN-O結合の開裂(fission)は、環化して望ましい二環式化合物Bへとすることができるピロリジン(pyrrolidine)を提供する。Bのヒドロキシル基は活性化(例えばトシル化(tosylateion))、アジド基での置換、還元(例えば、Pd/C上での水素化分解)および任意の適切な基(例えばBoc)による保護によって、化合物Cを得るために、N-保護されたアミンに変換することができる。Dへのアンモノリシスおよび脱水は化合物Eについてすでに述べたとおりである。
【0051】
従って、例えば構造式IIIや、構造式Vの構造を有する化合物、立体異性体、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、もしくはこれらの混合物を構造式IVの化合物を調製するために脱水剤にさらすステップを含む、本発明に係る化合物を調製する方法では
【0052】
【化22】

X、R1、R2、R3、R4、R4a、R5、およびR6が構造式IVで定義されているとおりである。適切な脱水剤には無水トリフルオロ酢酸(TFAA)、バージェス試薬などがある。
【0053】
本発明に係る化合物を調製する方法には、すでに定義したように、さらに構造式IVの化合物を構造式IIIの化合物に変換することを含む。その方法には当業者にとって既知に方法に従ってアミノ保護基を除去することを含む。従ってこのような実施例のうちのあるものでは、R4はHであり、R4aはBoc、Cbz、もしくはFmocのようなアミノ保護基であるがこれらに限定されるわけではない。他にはR4とR4aは両方ともアミノ保護基であって、同じものであるか、または異なっている。さらに他の実施例では、R4とR4aは例えばフタルイミド(phthalimide)のようなともに環状のアミノ保護基を構成している。
【0054】
本発明に係る化合物を調製する方法についての、ある実施例では、構造式Vの化合物は構造式VAの構造を有し、
【0055】
【化23】

構造式IVの化合物は構造式IVAの構造を有する。
【0056】
【化24】

前述のとおり、本方法はアミノ保護基を除去して、構造式IVAの化合物を、本明細書で定義している構造式Iの化合物に変換することを含む。
【0057】
〔方法/使用方法〕
本発明の他の態様は、DPP-IVを選択的に抑制する、制約されたシアノ化合物(constrained cyano compounds)に関する方法と使用方法を提供する。例えば、ジペプチジルペプチダーゼ-IVを本明細書に記載した化合物(例えば構造式I、II、もしくはIIIの化合物)に接触させるステップを含む、ジペプチジルペプチダーゼ-IVを抑制する方法が提供されている。ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)を抑制する方法には、他の関係した酵素に対してDPP-IVを選択的に抑制する方法が含まれる。「選択的なDPP-IVの抑制」の語により、例えばKiで判断したときに、化合物が他の酵素に比べてより強くDPP-IVを抑制したことを意味する。例えば、DPP-IVを抑制する方法についてのある実施例では、1種類以上の他のジペプチジルペプチダーゼ類に比べてDPP-IVは5倍以上大きく抑制された。他の実施例では他のジペプチジルペプチダーゼ類に比べてDPP-IVが10倍、12倍、15倍、20倍、25倍、50倍、もしくは実に100倍以上も強く抑制された。特に、構造式IもしくはIIの化合物で、ジペプチジルペプチダーゼ-VIIか、ジペプチジルペプチダーゼ-VIIIか、ジペプチジルペプチダーゼ-IXか、繊維芽細胞活性化タンパク(FAP)に対してDPP-IVを選択的に抑制することができた。ある実施例では、構造式IもしくはIIの化合物でDPP-VII、DPP-VIII、DPP-IX、FAPの2種類以上に対してDPP-IVを選択的に抑制した。例えば、構造式IもしくはIIの化合物で、DPP-VIIおよびDPP-VIII、またはDPP-VIIIおよびFAP、あるいはDPP-VII、DPP-VIII、およびFAPで選択的に抑制できた。さらに他の実施例では、構造式Iの化合物は、DPP-VII、DPP-VIII、DPP-IXおよびFAPまたは任意のこれらの組み合わせに対して、選択的にDPP-IVを抑制した。
【0058】
選択的なDPP-IVの抑制剤として、本発明に係る化合物は、DPP-IVが介在する疾病および症状の処置に用いるのに、特によく適応している。従ってDPP-IVが介在する症状を、処置、調整、もしくは予防する方法であって、このような処置を必要とする哺乳類に、構造式I、II、もしくはIIIの化合物を含むがそれらに限定されるわけではない、有効量の本発明に係る化合物を投与するステップを含む方法をさらに提供する。ある実施例においてはその化合物はDPP-IVを少なくとも1種類以上の他のジペプチジルペプチダーゼ酵素と比較して5倍以上抑制する。他の実施例では、他のジペプチジルペプチダーゼ類に比べてDPP-IVが10倍、12倍、15倍、20倍、25倍、50倍、もしくは実に100倍以上も強く抑制された。典型例としては、他のジペプチジルペプチダーゼ類には、DPP-VII、DPP-VIII、DPP-IXおよびFAPが含まれる。
【0059】
さらに具体的には、DPP-IVが介在する症状には以下のものの1種類以上が含まれる。(1)高血糖症、(2)耐糖能が低い(low glucose tolerance)、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害(lipid disorders)、(6)アテローマ性動脈硬化症およびその続発症、(7)血管再狭窄、(8)過敏性腸管症候群、(9)炎症症状(inflammatory conditions)、(10)成長ホルモンの欠乏、(11)HIV感染、(12)膵炎、(13)腹部の肥満症、(14)神経変性の疾病、(15)多発性硬化症、(16)網膜症、(17)ネフロパチー、(18)ニューロパチー、(19)シンドロームX、(20)卵巣アンドロゲン過剰症、(21)移植手術における同種移植片拒絶、(22)糖尿病、(23)好中球減少症、(24)貧血、(25)神経疾患、(26)腫瘍の増殖および転移、(27)良性の前立腺肥大症、(28)歯肉炎、(29)高血圧、(30)骨粗しょう症、(31)代謝異常(dysmetabolic syndrome)、(32)糖尿病合併症、(33)グルコースホメオスタシスの異常(impaired glucose homeostasis)、(34)不妊症、(35)多嚢胞性卵巣症候群、(36)成長障害、(37)虚弱体質(frailty)、(38)自己免疫疾患、(39)腸疾患、および(40)神経性食欲不振。
【0060】
ある実施例では、DPP-IV症状(the DPP-IV condition)は、グルコースの代謝に関係している。例えばその症状は、非インスリン依存型糖尿病(2型)もしくはインスリン依存型糖尿病(1型)などの糖尿病である可能性がある。その症状は、高血糖症もしくはインスリン抵抗性である可能性もある。またあるいは、インスリン抵抗性が他のDPP-IVが介在する症状の一部である。その症状は肥満症であることもある。ある実施例では、その症状は、異常脂肪血症(dyslipidemia)、高脂血症、高グリセリド血症、高コレステロール血症、HDLが低いこと、もしくはLDLが高いことのような脂質障害である。まだ他の実施例では、島新生(islet neogenesis)、β-細胞の生存(β-cell survival)、もしくはインスリン生合成が促進される。
【0061】
他の実施例ではDPP-IVが介在する症状は、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、もしくは関節リウマチのような炎症症状である。
【0062】
DPP-IVが介在する症状を、処置、調整、もしくは予防する方法には、以下のものからなる群から選択された1種類以上の適切な化合物を投与することをさらに含む。
【0063】
a) 他のジペプチジルペプチダーゼ-IV抑制剤、
b) PPARアゴニスト、ビグアナイド類、およびプロテインホスファターゼ-1B抑制剤からなる群から選択されたインスリン抵抗性改善薬(insulin sensitizer)、
c) インスリンもしくはインスリン模倣薬、
d) スルホニル尿素類もしくは他のインスリン分泌促進薬、
e) α-グルコシダーゼ抑制剤、
f) グルカゴン受容体アゴニスト、
g) GLP-1、GLP-1模倣薬、およびGLP-1受容体アゴニスト、
h) GLP-2、GLP-2模倣薬、およびGLP-2受容体アゴニスト、
i) GIP、GIP模倣薬、およびGIP受容体アゴニスト、
j) PACAP、PACAP模倣薬、およびPACAP受容体3アゴニスト、
k) HMG-CoAレダクターゼ抑制剤、補足剤、ニコチニルアルコール(nicotinyl alcohol)、ニコチン酸もしくはその塩、PPARαアゴニスト、PPARα/γ二重アゴニスト(PPARα/γ dual agonists)、コレステロール吸着の抑制剤、アシルCoAすなわちコレステロールアシル基転移酵素抑制剤(cholesterol acyltransferase inhibitors)ならびに抗酸化剤、からなる群から選択されたコレステロール低下薬、
l) PPARδアゴニスト、
m) 抗肥満剤(Anti-obesity compounds)、
n) 回腸の胆汁酸輸送抑制剤(ileal bile acid transporter inhibitor)、
o) 抗炎症薬、
p) G-CSF、G-CSF模倣薬、およびG-CSF受容体アゴニスト、ならびに
q) EPO、EPO模倣薬、およびEPO受容体アゴニスト。
【0064】
例えば、1種類以上のDPP-IVが介在する症状が高コレステロール血症、アテローマ性動脈硬化症、HDLレベルが低いこと、LDLレベルが高いこと、高脂血症、高トリグリセリド血症、および異常脂肪血症からなる群から選択された1種類以上の症状である場合の方法には、そのような処置が必要な哺乳類に治療的に有効量の、あるHMG-CoAレダクターゼ抑制剤を投与するステップをさらに含む可能性がある。そのHMG-CoAレダクターゼ抑制剤がロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD-4522およびリバスタチン(rivastatin)のようなスタチンである可能性がある。ある実施例では症状がアテローマ性動脈硬化症であり、HMG-CoAレダクターゼ抑制剤が前述の記載されたスタチンである。
【0065】
DPP-IVが介在する症状が糖尿病(1型および2型を含む)、高血糖症、もしくはインスリン抵抗性などのグルコース代謝に関するものであるとき、この方法はそのような処置が必要な哺乳類に治療的に有効量の、他のジペプチジルペプチダーゼ-IV抑制剤、インスリン抵抗性改善薬、インスリンもしくはインスリン模倣薬、スルホニル尿素類もしくは他のインスリン分泌促進薬、α-グルコシダーゼ抑制剤、グルカゴン受容体アゴニスト、GLP-1、GLP-1模倣薬、およびGLP-1受容体アゴニスト、GLP-2、GLP-2模倣薬、およびGLP-2受容体アゴニスト、GIP、GIP模倣薬、およびGIP受容体アゴニスト、PACAP、PACAP模倣薬、およびPACAP受容体3アゴニスト、PPARδアゴニスト、抗肥満剤、または回腸の胆汁酸輸送抑制剤を投与するステップをさらに含む可能性がある。
【0066】
DPP-IVが介在する症状が肥満症である場合、この方法は、そのような処置を必要とする哺乳類に治療上有効量の抗肥満剤を投与するステップをさらに含む可能性がある。適切な抗肥満剤には、ベータ-3アドレナリンアゴニスト、CB1カンナビノイドアゴニスト(CB1 cannabinoid antagonist)、リパーゼ抑制剤、セロトニン再取り込み抑制剤およびドパミン再取り込み抑制剤、甲状腺受容体ベータ化合物(thyroid receptor beta compound)、食欲抑制剤、脂肪酸酸化促進剤(fatty acid oxidation upregulator)、もしくは、それらの二種類以上の混合物が含まれる。例えば、抗肥満剤はオーリスタット、ATL-962、AJ9677、L750355、CP331648、シブトラミン、トピラメート、アクソキン(axokine)、デキスアンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、ファモクシン(famoxin)、マジンドールもしくはそれらのいずれか2種類以上の混合物である可能性がある。
【0067】
DPP-IVが介在する症状が好中球減少症である場合、この方法はそのような処置を必要とする哺乳類に治療上有効量の好中性の薬剤を投与するステップをさらに含む可能性がある。適切な好中性の薬剤には、G-CSF、G-CSF模倣薬、およびG-CSF受容体アゴニスト、もしくはそれらの任意の2種類以上の混合物が含まれる。例えば、好中性の薬剤がペグフィルグラスチム(pegfilgrastim)、フィルグラスチム、レノグラスチム、ナルドグラスチムもしくはそれらの任意の2種類以上の混合物である可能性がある。
【0068】
DPP-IVが介在する症状が貧血である場合、この方法は、そのような処置を必要とする哺乳類に治療上有効量のエリスロポエチンアゴニストを投与するステップをさらに含む。適切なエリスロポエチンアゴニストには、EPO、EPO模倣薬、およびEPO受容体アゴニスト、もしくはそれらの任意の2種類以上の混合物が含まれる。例えば、エリスロポエチンアゴニストは、エポエチンアルファ、ダーベポエチンアルファ、もしくはそれらの任意の2種類以上の混合物である可能性がある。EPO模倣薬には、天然のEPOの生物学的効果を模倣することができるタンパク質およびその他のコモン(comouns)が含まれる。
【0069】
前述の哺乳類のような個々のものへの様々な処置の方法に従って、本発明にかかる化合物は様々な使用方法が可能である。本発明に係る使用方法の典型的なものは、以下のようである。
【0070】
DPP-IVの抑制によって調整もしくは正常化されることがある症状の処置に用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
代謝異常(metabolic disorders)の処置に用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
血中のグルコース濃度低下(blood glucose lowering)の処置に用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
II型糖尿病の処置に用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
耐糖能の異常(impaired glucose tolerance、IGT)の処置に用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
空腹時耐糖能障害(impaired fasting glucose、IFG)の予防に用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
高血糖症の処置に用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
II型糖尿病での空腹時耐糖能障害(IFG)の進行を遅らせるために用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
哺乳類の被験者の体内のベータ細胞の数、および/または大きさを増大させるために用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
ベータ細胞の変性(beta cell degeneration)、特にベータ細胞のアポトーシスの処置に用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
食物摂取の異常(disorders of food intake)の処置のために用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
肥満症の処置のために用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
食欲調節もしくは満腹感の誘発(induction of satiety)のために用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
異常脂肪血症の処置のために用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、
機能性消化不良(functional dyspepsia)、特に過敏性腸症候群の処置のために用いる薬剤を調製するための本発明に係る化合物の使用、ならびに、
前述の症状の処置をする方法であって、その処置を必要とする被験者に有効量の本発明にかかる化合物を投与することによる方法。
【0071】
〔薬学的組成物および配合処置(Combination Treatments)〕
〈A 組成物〉
本発明のほかの態様では、本発明に係る化合物の薬学的組成物を、単独でもしくはほかのタイプの抗糖尿病薬、および/または、その他のタイプの治療的薬剤と組み合わせて提供する。本発明に係る化合物を含む、本発明に係る薬学的組成物は、例えば「Remington: The Science and Practise of Pharmacy, 19th Ed., 1995」に記載されているような通常の方法で調製されることがある。その組成物は、カプセル、錠剤、エアロゾル、溶液、懸濁液、もしくは局所適用(topical applications)などのような通常の形で出されることがある。
【0072】
典型的な組成物は、DPP-IVの酵素としての活性を抑制する本発明に係る化合物、ならびにキャリアーもしくは希釈剤である可能性がある薬学的に許容される賦形剤を含む。本発明に係る化合物には、構造式I、II、もしくはIIIの化合物を含むがそれらに限定されるわけではない。本明細書に記載しているように、本発明に係る化合物には、立体異性体、互変異性体、溶媒和化合物、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、および、これらの混合物が含まれる。その化合物はキャリアーで希釈されるか、またはカプセル、小さな袋(sachet)、紙状の(paper)もしくはその他の容器(container)の形状をした担体(carrier)の中に封入される可能性がある。組成物を調製するのに、薬学的組成物を調製するための通常の技術が用いられることがある。
【0073】
例えば、活性化合物(active compound)はたいていキャリアーと混合されるか、もしくはキャリアーで希釈されるか、または、アンプル、カプセル、小さな袋、紙状、もしくは他の容器の形状をした担体(carrier)の中に封入される可能性がある。キャリアーが希釈剤として供されるとき、活性化合物の媒体、賦形剤、もしくは媒質となりうる固体、半固形(semi-solid)、もしくは液体であることがある。活性化合物は例えば、小さな袋の中の粒状の固形コンテナ(container)に吸着させることができる。適切なキャリアーについてのいくつかの例は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエトキシ化したヒマシ油(polyhydroxyethoxylated castor oil)、ピーナッツオイル、オリーブオイル、ゼラチン、ラクトース、白土(terra alba)、スクロース、デキストリン、炭酸マグネシウム、砂糖、シクロデキストリン、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸もしくはセルロースの低級アルキルエーテル(stearic acid or lower alkyl ethers of cellulose)、ケイ酸、脂肪酸、脂肪酸アミン類、脂肪酸モノグリセリドおよび脂肪酸ジグリセリド、ペンタエリトリロール脂肪酸エステル類(pentaerythritol fatty acid esters)、ポリオキシエチレン、ヒドロキシメチルセルロース、ならびにポリビニルピロリドンである。同様に、キャリアーもしくは希釈剤には、モノステアリン酸グリセリル(glyceryl monostearate)もしくはジステアリン酸グリセリル(glyceryl distearate)などの当該技術分野において既知の任意の認可された物質が、単独でまたはワックスと混合して含まれる。
【0074】
処方には、活性物質と有害に(deleteriously)反応しない補助剤(auxiliary agent)が混合される可能性がある。このような添加物(additive)には、湿潤剤(wetting agent)、乳化剤および懸濁剤、浸透圧に影響を与えるための塩(salt for influencing osmotic pressure)、バッファーおよび/または着色剤保存料(coloring substances preserving agents)、甘味剤または香料が含まれる可能性がある。薬学的組成物は必要であれば殺菌することもできる。
【0075】
投与の経路は、経口、経鼻、肺、頬側、皮下(subdermal)、皮内、経皮、または、例えば直腸、デポー(depot)、皮下(subcutaneous)、静脈内、尿道内(intraurethral)、筋肉内、鼻腔内、点眼薬もしくは眼軟膏(ophthalmic solution or an ointment)等の非経口な経路のように、DPP-IVの酵素的な活性を抑制する活性な本発明に係る化合物を、適切なもしくは活性が望ましい部位に、効果的に輸送できる任意の経路であり、好ましくは経口の経路である。
【0076】
固形のキャリアーが経口投与に用いられるなら、錠剤、粉末もしくはペレット状のものをハードタイプのゼラチンカプセルに入れたもの、またはトローチ剤もしくは薬用キャンデー(lozenge)の形で調製されることがある。液体のキャリアーが用いられるなら、シロップ、エマルジョン、ソフトゼラチンカプセル、あるいは、水性もしくは非水性の液体の懸濁液または溶液のような殺菌された液体の形で調製されることがある。
【0077】
注射可能な剤形は、一般に、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤(suspending agent)を用いて調製されることがある、水性の懸濁液もしくは油性の懸濁液が含まれる。注射可能な剤形は溶液相(solution phase)または、溶媒もしくは希釈剤で調製された懸濁液である可能性がある。許容されうる溶媒または媒体には、滅菌水(sterilized water)、リンガー溶液(Ringer's solution)もしくは等張の生理食塩水(isotonic aqueous saline solution)が含まれる。またあるいは、無菌のオイル(sterile oil)を溶媒もしくは懸濁剤として用いることもある。好ましくは、そのオイルまたは脂肪酸は不揮発性であり、天然のオイルもしくは合成したオイル、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、もしくはトリグリセリドを含む。
【0078】
注射するには、薬学的処方(pharmaceutical formulation)は、上記のような適切な溶液で再構成(reconstitution)をするのに適している粉末であることもある。これらの例としては、フリーズドライされた粉末、ロータリードライされた(rotary dried)粉末、もしくはスプレードライされた(spray dried)粉末、非晶質の粉末(amorphous powder)、顆粒、沈殿物、または微粒子が含まれるが、それらに限定されるわけではない。注射用には、その処方は任意に安定剤、pH調整剤(pH modifier)、界面活性剤、生物学的利用能調整剤(bioavailability modifier)、およびそれらの混合物を含むことがある。化合物はボーラス注入(bolus injection)もしくは持続注入(continuous infusion)などのような、非経口的投与のために処方されることがある。注射のための剤形単位(unit dosage form)は、アンプルもしくは複数回の投与量入れる容器(multi-dose container)に入れられることがある。
【0079】
本発明にかかる処方は、当該技術分野でよく知られている方法を用いて受療者に投与した後、活性成分(active ingredient)を速く放出、持続放出、もしくは遅らせて放出できるように設計されることもある。従って薬学的処方は放出制御用(for controlled release)もしくは遅い放出用(for slow release)にも処方されることがある。
【0080】
即時組成物(instant compositions)は、例えば、ミセルもしくはリポソームまたは、その他の被包性の剤形を含むことがあり、あるいは長期貯蔵(prolonged storage)および/または長期の導入効果(delivery effect)を得るために、徐放製剤(extended release form)中で投与されることがある。従って、薬学的処方は、ペレットもしくはシリンダーに圧縮されることがあり、また筋肉内もしくは皮下に、蓄積注射(depot injection)としてまたはステント(stent)のような挿入物(implant)として埋め込まれることがある。このような挿入物は、シリコンのような既知の不活性物質、および、例えばポリ乳酸-ポリグリコリド(polylactide-polyglycolide)のような生分解性ポリマーを用いることが有る。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)(poly(orthoesters))およびポリ(無水物)(poly(anhydrides))が含まれる。
【0081】
経鼻投与用には、その製剤がDPP-IVの酵素としての活性を抑制する本発明に係る化合物を、液体キャリアー中に溶解もしくは分散させて含めることができる。ここで、エアロゾル適用(for aerosol application)の場合は、特に水性のキャリアーである。そのキャリアーには、例えばポリエチレングリコール、界面活性剤のような可溶化剤、レシチン(ホスファチジルコリン(phosphatidylcholine))もしくはシクロデキストリンのような吸収促進剤(absorption enhancer)、またはパラベンのような安定化剤などの添加物を含めることもできる。
【0082】
非経口投与用には、特に適しているものは注射可能な溶液もしくは懸濁液であり、好ましくは活性化合物をポリヒドロキシオキシ化したヒマシ油(polyhydroxylated castor oil)に溶かした水溶液である。
【0083】
タルクおよび/または炭水化物のキャリアー、または結合剤または同様のものを有する、錠剤、糖衣錠、あるいはカプセルは、経口投与用に特に適している。錠剤、糖衣錠、もしくはカプセルのための好ましいキャリアーには、ラクトース、コーンスターチ、および/またはジャガイモ澱粉が含まれる。甘い味を付けた媒体を用いることができる場合には、シロップもしくはエリキシル剤を用いることができる。
【0084】
通常の錠剤を作る技術(tabletting techniques)で調製される典型的な錠剤には以下のものが含まれることがある。
【0085】
【化25】

本発明に係る化合物は、例えばII型糖尿病、IGT、IFG、肥満症、食欲調節などの、前述の種々の疾患(特にII型糖尿病)の処置、予防、除去、緩和、または改善を必要とする哺乳類、特にヒトに投与されることがあり、あるいは血糖低下薬(blood glucose lowering agent)として投与されることがある。このような哺乳類には、例えば家庭用ペットのような家畜と、野生動物のような家畜でないものとの両方も含まれる。
【0086】
本発明に係る化合物は広い投与量範囲で効果的である。例えば、成人の処置では一日に、約0.05から約1000mg、好ましくは約1から500mgが用いられることがある。典型的な投与量は、一日に約10mgから約500mgである。受療者への療法を選ぶにあたっては、しばしば高い投与量から始め、症状が制御できるようになった場合に、投与量を減少させる必要がある。正確な投与量は化合物の活性、投与の形態(mode of administration)、治療で望んでいること、投与のタイプ(form in which administered)、処置される被験者および処置される被験者の体重、ならびに時には医師もしくは獣医師の好みおよび経験に依存する。本発明に係る化合物のDPP-IV抑制活性は、DPP-IVの抑制の相乗効果を測定する生体外効力測定系(in vitro assay system)を用いて測定されることがある。本発明に係るDPP-IV抑制剤の抑制定数(KiもしくはIC50値)は実施例で記載したとおりに測定できる。
【0087】
一般に、本発明に係る化合物は、剤形単位ごとに約0.05mgから約1000mgの活性成分と薬学的に許容されるキャリアーとを含む剤形単位として調剤される。
【0088】
普通は、経口、経鼻、肺、もしくは経皮の投与に適した剤形は、薬学的に許容されるキャリアーまたは希釈剤と混合された本化合物を約0.05mgから約1000mg、好ましくは約0.05mgから約500mg含む。
【0089】
本発明は、活性な薬学的物質になる前に投与すると代謝プロセスによって化学的に変換される、本発明に係る化合物のプロドラッグも含む。一般にこのようなプロドラッグは、体内で簡単に本発明に係る化合物に変換される、本発明に係る化合物の官能基的な誘導体(functional derivative)である。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製についての従来の方法は、例えば「"Design of Prodrugs", ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985」に記載されている。
【0090】
その他の態様では、本発明に係る化合物と薬学的に許容されるキャリアーもしくは希釈剤とを混合した処方を含む、本明細書に記載した化合物の薬学的組成物の調製方法が提供されている。ある実施例では薬学的に許容されるキャリアーもしくは希釈剤は経口投与に適したものである。このような実施例のあるものでは、本方法は本組成物を錠剤もしくはカプセルに処方するステップをさらに含むことがある。他の実施例では薬学的に許容されるキャリアーもしくは希釈剤は、非経口投与に適したものである。このような実施例のあるものでは、本方法はさらに凍結乾燥調製(lyophilized preparation)をするために、本組成物を凍結乾燥するステップをさらに含む。
【0091】
〈B 配合〉
本発明に係る化合物は1種類以上のタイプの抗糖尿病薬(糖尿病および関連する疾病を処置するために用いられるもの)、および/または、経口投与用の同一の剤形、分けられた経口の剤形で(例えば経時的にもしくは非経時的に)あるいは、一緒にもしくは分けて注射により投与される(例えば経時的にまたは非経時的に)、1種類以上の治療的薬剤と配合されることがある。
【0092】
従って、本発明にかかる他の態様は以下のものを含む薬学的配合を提供する。
a) 請求項1記載の化合物、
b) 以下のものからなる群から選択された1種類以上の化合物
i) 他のジペプチジルペプチダーゼ-IV抑制剤、
ii) PPARアゴニスト、ビグアナイド類、およびプロテインホスファターゼ-1B抑制剤からなる群から選択されたインスリン抵抗性改善薬、
iii) インスリンもしくはインスリン模倣薬、
iv) スルホニル尿素類もしくは他のインスリン分泌促進薬、
v) α-グルコシダーゼ抑制剤、
vi) グルカゴン受容体アゴニスト、
vii) GLP-1、GLP-1模倣薬、およびGLP-1受容体アゴニスト、
viii) GIP、GIP模倣薬、およびGIP受容体アゴニスト、
ix) PACAP、PACAP模倣薬、およびPACAP受容体3アゴニスト、
x) GLP-2、GLP-2模倣薬、およびGLP-2受容体アゴニスト、
xi) HMG-CoAレダクターゼ抑制剤、補足剤、ニコチニルアルコール、ニコチン酸もしくはその塩、PPARαアゴニスト、PPARα/γ二重アゴニスト、コレステロール吸着の抑制剤、アシルCoAすなわちコレステロールアシル基転移酵素抑制剤ならびに抗酸化剤、からなる群から選択されたコレステロール低下薬、
xii) PPARδアゴニスト、
xiii) 抗肥満剤、
xiv) 回腸の胆汁酸輸送抑制剤、
xv) 抗炎症薬、
xvi) G-CSF、G-CSF模倣薬、およびG-CSF受容体アゴニスト、ならびに
xvii) EPO、EPO模倣薬、およびEPO受容体アゴニスト。
【0093】
本発明に係る配合はさらに薬学的に許容されるキャリアーを含む可能性がある。ある実施例では、本発明に係る化合物は90重量パーセント(wt%)以上が1種類のジアステレオマーもしくはエナンチオマーである。また、あるいは本発明に係る化合物は、91wt%、92wt%、93wt%、94wt%、95wt%、96wt%、97wt%、98 wt%もしくは99 wt%以上が1種類のジアステレオマーまたはエナンチオマーである可能性がある。
【0094】
本発明に係る配合のうちのある実施例においては、その1種類以上の化合物は抗糖尿病薬もしくは抗高血糖症薬(antihyperglycemic agent)である。さらに、その1種類以上の化合物は、糖尿病および関連する疾病の処置のための抗糖尿病薬、ならびに、抗肥満剤、脂質調節剤(lipid-modulating agent)、もしくは抗肥満剤と脂質調節剤の両方である可能性がある。ここで抗糖尿病薬がジペプチジルペプチダーゼ-IV抑制剤ではない。
【0095】
その抗糖尿病薬がビグアナイド、スルホニル尿素、グルコシダーゼ抑制剤、チアゾリジンジオン(thiazolidinedione)のようなPPARγアゴニスト、PPARα/γ二重アゴニスト、SGLT2抑制剤、aP2抑制剤、グリコーゲンホスホリラーゼ抑制剤、後期糖化生成物(AGE)抑制剤、インスリン抵抗性改善薬、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)もしくはその模倣薬、インスリンならびにメグリチナイド(meglitinide)からなる群から選択された1種類、2種類、3種類もしくはそれ以上の化合物である可能性がある。
【0096】
例示的な抗糖尿病薬には、メトホルミン、グリブリド、グリメピリド、グリピリド(glipyride)、グリピジド、クロルプロパミド、グリクラジド、アカルボース、ミグリトール、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、インスリン、Gl-262570、イサグリタゾン(isaglitazone)、JTT-501、NN-2344、L895645、YM-440、R-119702、AJ9677、レパグリニド、ナテグリニド、KAD1129、APR-HO39242、GW-409544、KRP297、AC2993、エクセンディン-4、LY307161、NN2211およびLY315902からなる群から選択された1種類、2種類、3種類もしくはそれ以上の化合物が含まれる。その抗糖尿病薬はビグアナイド類のような経口用抗高血糖症薬、例えばメトホルミン、もしくはフェンホルミン(phenformin)、またはメトホルミンHClのようなそれらの塩などであることがある。本発明における配合では、本発明に係る化合物は典型的には、抗糖尿病薬に対する重量比で約0.01:1から約100:1もしくは、約0.1:1から約5:1である。
【0097】
1種類、2種類、3種類もしくはそれ以上の他の抗糖尿病薬との配合での本発明に係る化合物の使用が、それぞれの医薬品を個々に用いたときよりも大きな抗高血糖症性を提供することがあり、またそれらの医薬品によって生じる影響が添加物として加えた抗高血糖症薬よりも大きなことがある。
【0098】
本抗糖尿病薬は、グリブリド(グリベンクラミド(glibenclamide)としても知られている)、グリメピリド(U.S. patent No. 4,379,785に開示されている)、グリピジド、グリクラジドもしくはクロルプロパミド、その他の既知のスルホニル尿素のようなスルホニル尿素、またはγ細胞のATP-依存チャネル(ATP-dependent channel)として作動する抗高血糖症薬である可能性もある。好ましくは、経口用剤形とともに、もしくは分けて投与することがある、グリブリドおよびグリピジドである可能性がある。本発明に係る化合物は、典型的には、スルホニル尿素に対する重量比で約0.01:1から約100:1の範囲、好ましくは、約0.05:1から約5:1で用いられる。
【0099】
経口投与用の抗糖尿病薬は、アカルボース(U.S. patent No. 4,904,769に開示されている)もしくはミグリトール(U.S. patent No. 4,639,436に開示されている)のような、経口用剤形とともに、もしくは分けて投与することがある、グルコシダーゼ抑制剤(glucosidase inhibitor)であることがある。本発明に係る化合物は、グルコシダーゼ抑制剤に対する重量比で約0.01:1から約100:1の範囲、好ましくは、約0.2:1から約50:1で用いられる。
【0100】
本発明に係る化合物は、チアゾリジンジオン系経口投与用抗糖尿病薬(thiazolidinedione oral anti-diabetic agent)のようなPPARγアゴニスト、もしくは、トログリタゾン(ワーナーランバート社(Warner-Lambert's)のレズリン(Rezulin)(登録商標)、U.S. patent No. 4,572,912に公開)、ロシグリタゾン(en)、ピオグリタゾン(武田薬品)、三菱MCC-555(U.S. patent No. 5,594,016に公開)、グラクソウェルカム社(Glaxo-Wellcome)のGL-262570、エングリタゾン(englitazone)(CP-68722、Pfizer)もしくはダーグリタゾン(darglitazone)(CP-86325、Pfizer)、イサグリタゾン(MIT/J&J)、JTT-501(JPNT/P&U)、L-895645(Merck)、R-119702(Sankyo/WL)、NN-2344(Dr. Reddy/NN)、またはYM-440(山之内)のようなその他のインスリン抵抗性改善薬(NIDDM受療者にインスリン感受性に効果を有するもの)、好ましくはロシグリタゾンおよびピオグリタゾン、と配合して用いることがある。本発明に係る化合物は、チアゾリジンジオンに対する重量比で約0.01:1から約100:1の範囲、好ましくは、約0.1:1から約10:1で用いられる。
【0101】
存在する場合には、チアゾリジンジオン系抗糖尿病薬(thiazolidinedione anti-diabetic agent)は、約0.01mg/dayから約2000mg/dayの範囲内の量で用いることができ、1日につき一度で投与することも、1回から4回に分けて投与することもできる。
【0102】
スルホニル尿素およびチアゾリジンジオンの量が約150mg以下の経口投与用抗糖尿病薬は、本発明に係る化合物と単独の錠剤に含まれることがある。
【0103】
メトホルミン、例えばグリブリド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、クロロプロパンアミド、およびグリクラジドといったスルホニル尿素類、ならびに、グルコシダーゼ抑制剤であるアカルボースもしくはミグリトール、あるいはインスリン(注射可能、肺投与、頬側投与、もしくは経口投与)が存在する場合には、上述したような処方として用いることができ、また、投薬量および投薬については、「the PHYSICIAN'S DESK REFERENCE(PDR)」に記載されたとおりである。例えば、メトホルミン、もしくはその塩が存在する場合には、その量の範囲は、1日あたり約500mgから約2500mgの範囲で、一日につき一度に投与することも、1回から4回に分けて投与することもできる。
【0104】
本発明に係る化合物は、インスリンのような抗高血糖症薬、あるいは、注射、鼻腔内、もしくは経皮的、または頬側デバイスにより投与されることがあるGLP-1(1-36)アミド、GLP-1(7-36)アミド、GLP-1(7-36)(HabenerのU.S. Patent No. 5,614,492に公開されており、参照することにより本明細書に含まれる。)などのグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)または、AC2993もしくはエクセンディン-4(Amylin)およびLY-315902もしくはLY-307167(Lilly)およびNN2211(Novo-Nordisk)などのGLP-1模倣薬と配合して用いることもできる。GLP-1ペプチドは口腔内処方(oral buccal formulation)、経鼻投与(例えば吸入スプレー)もしくは、参照することによって本明細書に含まれるU.S. Patent Nos. 5,346,701 (TheraTech)、5,614,492および5,631,224に記載されているように非経口的に投与されることがある。
【0105】
本抗糖尿病薬は、例えばAR-HO39242(Astra/Zeneca)、GW-409544(Glaxo-Wellcome)、KRP297(Kyorin Merck)と同様に「Murakami et al, "A Novel Insulin Sensitizer Acts As a Coligand for Peroxisome Proliferation- Activated Receptor Alpha (PPAR alpha) and PPAR gamma. Effect on PPAR alpha Activation on Abnormal Lipid Metabolism in Liver of Zucker Fatty Rats," Diabetes 47: 1841-47 (1998)」および「U.S. Application Ser. No. 09/664,598, filed Sep. 18, 2000, (attorney file LA29NP)」によって開示されたもののようなPPARα/γ二重アゴニストであることもある。これらの文献はここで参照することにより本明細書に含まれる。また、投薬量はこれらの文献で示されたものに従い、これらの文献で好ましいものとして示された化合物は、本明細書中に記載された使用方法においても好ましいものである。
【0106】
本抗糖尿病薬は、「U.S. Application Ser. No. 09/679,027, filed Oct. 4, 2000 (attorney file LA49NP)」で開示されたようにSGLT2抑制剤であることもある。この文献はここでの参照により本明細書に含まれ、投薬量はこれらの文献で示されたものに従う。上記の出願書類で好ましいものとして示された化合物は、前述の用途においても好ましいものである。
【0107】
本発明に基づいたDPP-IV抑制剤と配合して用いられることがあるその他の抗糖尿病薬は、「U.S. Application Ser. No.09/519,079, filed Mar. 6, 2000 (attorney file LA27NP)」に開示されているように、aP2抑制剤である。この文献はここでの参照により本明細書に含まれ、投薬量はこれらの文献で示されたものに従う。上記の出願書類で好ましいものとして示された化合物は、前述の用途においても好ましいものである。
【0108】
本発明に係るDPP-IV抑制剤とともに用いられることがある抗糖尿病薬は、例えば「WO 96/39384」、「WO 96/39385」、「WO 99/26659」、「WO 99/43663」、「WO 2000/47206」、「EP 978279」、「EP 1041068」、ならびに「U.S. patents No. 5,952,322およびNo. 5,998,463」に開示されているように、グリコーゲンホスホリラーゼ抑制剤である可能性もある。
【0109】
任意に本発明に係る化合物と配合して用いることがあるメグリチナイド(meglitinide)は、レパグリニド、ナテグリニド(Novartis)、もしくはKAD1129(PF/Kissei)であることがあり、好ましくはレパグリニドである。
【0110】
本発明に係るDPP-IV抑制剤は、メグリチナイド、PPARγアゴニスト、PPARα/γ二重アゴニスト、SGLT2抑制剤、aP2抑制剤、もしくはグリコーゲンホスホリラーゼ抑制剤に対する重量比で、約0.01:1から約100:1の範囲で用いられ、好ましくは約0.1:1から約50:1の範囲である。
【0111】
本発明に係る配合のうちのあるものでは、脂質調節剤もしくは抗高脂血症薬(hypolipidemic agent)には、1種類、2種類、3種類もしくはそれ以上のMTP抑制剤、HMG CoAレダクターゼ抑制剤、スクアレンシンテターゼ抑制剤、フィブリン酸誘導体、ACAT抑制剤、リポキシゲナーゼ抑制剤、コレステロール吸着の抑制剤(cholesterol absorption inhibitor)、回腸Na+/胆汁酸共輸送体抑制剤(ileal Na+/bile acid cotransporter inhibitor)、LDL受容体活性上昇剤(upregulator of LDL receptor activity)、ATPクエン酸リアーゼ抑制剤(ATP citrate lyase inhibitor)、コレステリルエステル輸送タンパク質抑制剤(cholesteryl ester transfer protein inhibitor)、胆汁酸捕捉剤(bile acid sequestrant)、ニコチン酸およびその誘導体、またはそれらの2種類以上の任意の混合物を含む。例えば、脂質調節剤がプラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ニスバスタチン、ビザスタチン(visastatin)、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、インプリタピド、CP-529,414、アバスイミド(avasimibe)、TS-962、MD-700、LY295427、もしくはこれらの任意の2種類以上の混合物である可能性がある。好ましい抗高脂血症薬はプラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アタバスタチン(atavastatin)、およびZD-4522である。このような配合では、本発明に係る化合物は脂質調節剤に対する重量比で、約0.01から約100:1で存在する可能性がある。
【0112】
本明細書中で用いられるMTP抑制剤には「U.S. patents No. 5,595,872、No. 5,739,135、No. 5,712,279、No. 5,760,246、No. 5,827,875、No. 5,885,983、およびNo. 5,962,440」で開示されたMTP抑制剤が含まれる。上記の参照した特許で好ましいものとして特定されたものは、本明細書中においても好ましいものである。本発明に係る、もっとも好ましいMTP抑制剤は、インプリタピド(implitapide)(Bayer)ならびに、それらの「U.S. patents No. 5,739,135、No. 5,712,279、およびNo. 5,760,246」に提示されているものである。これに関して特に好ましいMTP抑制剤は、9- [4-[4-[[2-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-ベンゾイル]アミノ]-1-ピペリジニル]ブチル]-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-9H-フルオレン-9-カルボキサミド(9-[4-[4-[[2-(2,2,2-Trifluoroethoxy)-benzoyl]amino]-1-piρeridinyl]butyl]-N-(2,2,2-trifluoroethyl)-9H-fluorene-9-carboxamide)である。
【0113】
抗高脂血症薬は、「U.S. patent No. 3,983,140」に開示されているようなメバスタチン(mevastatin)およびそれに関連する化合物、「U.S. patent No. 4,231,938」に開示されているようなロバスタチン(メビノリン(mevinolin))およびそれに関連する化合物、「U.S. Patent No. 4,346,227」に開示されているようなプラバスタチンおよびそれに関連する化合物、「U.S. Patent Nos. 4,448,784および4,450,171」に開示されているようなシンバスタチンおよびそれに関連する化合物を含むがそれらに限定されるわけではない、HMG CoAレダクターゼ抑制剤であることがある。本明細書で用いられることがある他のHMG CoAレダクターゼ抑制剤には、「U.S. Patent No. 5,354,772」で開示されたフルバスタチン、「U.S. patents No. 5,006,530およびNo. 5,177,080」で開示されたセリバスタチン、「U.S. patents No. 4,681,893、No. 5,273,995、No. 5,385,929およびNo. 5,686,104」で開示されたアトルバスタチン、「U.S. patent No. 5,011,930」に開示されたアタバスタチン(Nissan/Sankyoニスバスタチン(NK-104))、「U.S. patent No. 5,260,440」に開示されたShionogi-Astra/Zenecaのビザスタチン(visastatin)を含むがそれらに限定されるわけではない。
【0114】
本明細書記載の使用法に適したスクアレンシンテターゼ抑制剤には、「U.S. Patent No. 5,712,396」に開示されたα-ホスホノ-スルホン酸塩類(α-phosphono-sulfonates)、イソプレノイド(ホスフィニル-メチル)ホスホン酸類を含む「Biller et al, J. Med. Chem., 1988, Vol. 11, No. 10, pp 1869-1871」に開示された化合物、その他には、例えば「U.S. Patent Nos. 4,871,721および4,924,024」ならびに「Biller, S. A., Neuenschwander, K., Ponpipom, M. M., and Poulter, C. D., Current Pharmaceutical Design, 2, 1-40 (1996)」に開示されているような既知のスクアレンシンテターゼ抑制剤をが含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0115】
さらに他の本明細書記載の使用法に適したスクアレンシンテターゼ抑制剤には、「P. Ortiz de Montellano et al, J. Med. Chem., 1977, 20, 243-249」に開示されているテルペノイドピロリン酸類(terpenoid pyrophosphates)、「Corey and Volante, J. Am. Chem. Soc, 1976, 98, 1291-1293」に開示されているファルネシル二リン酸アナログA(farnesyl diphosphate analog A)およびプレスクアレンピロリン酸(presqualene pyrophosphate、PSQ-PP)、「McClard, R. W. et al, J.A.C.S., 1987, 10, 5544」で報告されているホスフィニルホスホン酸塩(phosphinylphosphonates)、ならびに「Capson, T. L., PhD dissertation, June, 1987, Dept. Med. Chem. U of Utah, Abstracts Table of Contents, pp 16, 17, 40-43, 48-51, Summary」に報告されているシクロプロパン類が含まれる。
【0116】
本明細書記載の使用法に適した他の抗高脂血症薬には、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)、クロフィブラート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラートなどのようなフィブリン酸誘導体、「U.S. Patent No. 3,674,836」に開示されているようなプロブコールおよび関連した化合物(プロブコールとゲムフィブロジルが好ましい)、コレスチラミン、コレスチポール、およびDEAE-セファデックス(DEAE-Sephadex)(Secholex(登録商標)、Policexide(登録商標))などの胆汁酸捕捉剤、さらにはリポスタビル(lipostabil)(Rhone-Poulenc)、Eisai E-5050(N-置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(imanixil、HOE-402)、テトラヒドロリプスタチン(tetrahydrolipstatin、THL)、イスチグマスタニルホス-フォリルコリン(istigmastanylphos-phorylcholine)(SPC, Roche)、アミノシクロデキストリン(田辺製薬)、Ajinomoto AJ-814(アズレン誘導体)、メリナミド(Sumitomo)、Sandoz 58-035、American Cyanamid CL-277,082およびCL-283,546(二置換尿素誘導体)、ニコチン酸、アシピモックス(acipimox)、アシフラン(acifran)、ネオマイシン、p-アミノサリチル酸、アスピリン、「U.S. Patent No. 4,759,923」に開示されているようなポリ(ジアリルメチルアミン)誘導体、「U.S. Patent No. 4,027,009」に開示されているような四級アミンポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)(quaternary amine poly(diallyldimethylammonium chloride))およびそのイオネン類(ionene)、ならびにその他の既知の血漿コレステロール低下薬(serum cholesterol lowering agent)が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0117】
抗高脂血症薬は、「24 DRUGS OF THE FUTURE 9-15 (Avasimibe 1999)」、「"The ACAT inhibitor, Cl-1011 is effective in the prevention and regression of aortic fatty streak area in hamsters", Nicolosi et al, Atherosclerosis (Shannon, Irel). (1998), 137(1), 77-85」、「"The pharmacological profile of FCE 27677: a novel ACAT inhibitor with potent hypolipidemic activity mediated by selective suppression of the hepatic secretion of ApoB100-containing lipoprotein", Ghiselli, Giancarlo, Cardiovasc. Drug Rev. (1998), 16(1), 16-30」、「"RP 73163: a bioavailable alkylsulfmyl- diphenylimidazole ACAT inhibitor", Smith, C., et al, Bioorg. Med. Chem. Lett. (1996), 6(1), 47-50」、「"ACAT inhibitors: physiologic mechanisms for hypolipidemic and anti-atherosclerotic activities in experimental animals", Krause et al, Editor(s): Ruffolo, Robert R., Jr.; Hollinger, Mannfred A., Inflammation: Mediators Pathways (1995), 173-98, Publisher: CRC, Boca Raton, FIa.」、「"ACAT inhibitors: potential anti-atherosclerotic agents", Sliskovic et al, Curr. Med. Chem. (1994), 1(3), 204-25」、「"Inhibitors of acyl-Co A: cholesterol O-acyl transferase (ACAT) as hypocholesterolemic agents. 6. The first water-soluble ACAT inhibitor with lipid- regulating activity. Inhibitors of acyl-Co A: cholesterol acyltransferase (ACAT). 7. Development of a series of substituted N-phenyl-N'-[(1-phenylcyclopentyl)methyl]ureas with enhanced hypocholesterolemic activity", Stout et al, Chemtracts: Org. Chem. (1995), 8(6), 359-62」に開示されているようなACAT抑制剤、もしくはTS-962(大正製薬)であることもある。
【0118】
抗高脂血症薬はMD-700(大正製薬)およびLY295427(Eli Lilly)のようなLD2受容体活性上昇剤(LD2 receptor activity)であることもある。
【0119】
抗高脂血症薬はコレステロール吸着の抑制剤(cholesterol absorption inhibitor)、好ましくはSchering-Plough'sのSCH48461さらには「Atherosclerosis 115, 45-63 (1995)」および「J. Med. Chem. 41, 973 (1998)」に開示されているコレステロール吸着の抑制剤であることもある。
【0120】
抗高脂血症薬は、「Drugs of the Future, 24, 425-430 (1999)」に開示されているような、回腸Na+/胆汁酸共輸送体抑制剤(ileal Na+/bile acid cotransporter inhibitor)であることもある。
【0121】
脂質調節剤(lipid-modulating agent)はPfizer'sのCP 529,414(WO/0038722およびEP 818448)ならびにPharmacia'sのSC-744およびSC-795のようなコレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)抑制剤であることもある。
【0122】
本発明に係る配合に用いられることがあるATPクエン酸リアーゼ抑制剤には、例えば「U.S. patent No. 5,447,954」に開示されているものが含まれる。
【0123】
本発明に係る化合物は、抗高脂血症薬(存在する場合)に対する重量比で、約500:1から約1:500の範囲で用いられ、好ましくは約100:1から約1:100の範囲である。
【0124】
投与量は受療者の年齢、体重および症状、さらには投与経路、剤形および投与計画(regimen)ならびに希望する治療結果に従って調節できる。抗高脂血症薬についての投与量および処方は前述の様々な特許、出願書類に開示されている。
【0125】
用いようとするその他の抗高脂血症薬についての投与量および処方は「Physicians' Desk Reference」の最新版に記載されているものとする。
【0126】
経口投与については、MTP抑制剤を、約0.01mg/kgから約500 mgの範囲、好ましくは約0.1 mgから約100 mgの範囲で用いて1日に1回から4回投与して良好な結果が得られた。
【0127】
錠剤もしくはカプセルなどの経口投与用の形態では、約1mgから500mg、好ましくは約2mgから約400mg、さらに好ましくは約5mgから約250mgの量のMTP抑制剤を含み、1日に1回から4回の投与とすることになる。
【0128】
経口投与については、約1から2000mgの量の範囲、好ましくは約4から200mgといった、「PHYSICIAN'S DESK REFERENCE」に記載されている量の、例えばプラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、もしくはセリバスタチンなどのHMG CoAレダクターゼ抑制剤を用いて良好な結果が得られた。
【0129】
スクアレンシンテターゼ抑制剤は、約10から約2000mgの量の範囲、好ましくは約25から200mgの範囲内の投与量で用いられることがある。
【0130】
錠剤もしくはカプセルなどの好ましい経口投与の形態では、約0.1mgから100mg、好ましくは約5mgから約80mg、さらに好ましくは約10mgから約40mgの量のHMG CoAレダクターゼ抑制剤を含む。
【0131】
錠剤もしくはカプセルなどの好ましい経口投与の形態では、約10mgから500mg、好ましくは約25mgから約200mgの量のスクアレンシンテターゼ抑制剤を含む。
【0132】
その他の抗高脂血症薬は、「WO 97/12615」に開示されているベンズイミダゾール誘導体などの15-リポキシゲナーゼ(15-LO)抑制剤、「WO 97/12613」に開示されている15-LO抑制剤、「WO 96/38144」に開示されているイソチアゾロン類、ならびに「Sendobry et al "Attenuation of diet-induced atherosclerosis in rabbits with a highly selective 15-lipoxygenase inhibitor lacking significant antioxidant properties", Brit. J. Pharmacology (1997) 120, 1199-1206」および「Cornicelli et al, "15-Lipoxygenase and its Inhibition: A Novel Therapeutic Target for Vascular Disease", Current Pharmaceutical Design, 1999, 5, 11-20」に開示されている15-LO抑制剤を含むリポキシゲナーゼ抑制剤を含むことがある。
【0133】
本発明に係る化合物と抗高脂血症薬とは、一つの経口投与用剤形にともに用いるか、もしくは同時に用いることができる別の経口投与用剤形に用いることもできる。
【0134】
前述の組成物は前述のとおり、1日に一度に投薬しても良いし、1回から4回に分けて投薬しても良い。はじめに受療者には、その配合を少ない投与量で投与しておき、徐々に多量の配合へと増やしていくことを薦める。
【0135】
本発明に係る配合では1種類以上の化合物が、ベータ3アドレナリンアゴニスト、リパーゼ抑制剤、セロトニン再取り込み抑制剤(およびドパミン再取り込み抑制剤)、甲状腺受容体ベータ化合物、食欲抑制剤、脂肪酸酸化促進剤、もしくは、それらの二種類以上の混合物から選択された抗肥満剤である可能性がある。適切な抗肥満剤には、オーリスタット、ATL-962、AJ9677、L750355、CP331648、シブトラミン、トピラメート、アクソキン、デキスアンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、ファモクシン、マジンドールもしくはそれらのいずれか2種類以上の混合物を含む。
【0136】
本発明に係る化合物と組み合わせて任意に用いることができるベータ3アドレナリンアゴニストはAJ9677(Takeda/Dainippon)、L750355(Merck)、もしくはCP331648(Pfizer)または「U.S. patents No. 5,541,204、No. 5,770,615、No. 5,491,134、No. 5,776,983 およびNo. 5,488,064」に開示されているその他の既知のベータ3アドレナリンアゴニストとすることができる。ここで、AJ9677、L750355およびCP331648が好ましい。
【0137】
本発明に係る化合物と組み合わせて任意に用いることができるリパーゼ抑制剤は、オーリスタットもしくはATL-962(Alizyme)であることがあり、好ましくはオーリスタットである。
【0138】
本発明に係る化合物と組み合わせて任意に用いることができるセロトニン再取り込み抑制剤(およびドパミン再取り込み抑制剤)は、シブトラミン、トピラメート(Johnson & Johnson)、もしくはアクソキン(Regeneron)であることがあり、好ましくはシブトラミンおよびトピラメートである。
【0139】
本発明に係る化合物と組み合わせて任意に用いることができる甲状腺受容体ベータ化合物は、「WO97/21993 (U. CaI SF)」、「WO099/00353 (KaroBio)」、および「GB98/284425 (KaroBio)」で開示されている甲状腺受容体ベータ化合物であることがあり、KaroBioの出願書類に係る化合物が好ましい。
【0140】
本発明に係る化合物と組み合わせて任意に用いることができる、食欲抑制剤は、デキスアンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、もしくはマジンドールであることがあり、デキスアンフェタミンが好ましい。
【0141】
本発明に係る化合物と組み合わせて任意に用いることができる、脂肪酸酸化促進剤は、ファモクシン(Genset)である可能性がある。
【0142】
前述の様々な抗肥満剤は、本発明に係る化合物と、一つの経口投与用剤形にともに用いるか、もしくは同時に用いることができる別の経口投与用剤形に用いることもでき、投与量および投薬形態は、一般に当該技術分野で既知のものもしくはPDRの記載のとおりである。
【0143】
他の態様では、本発明に係る薬学的配合には、本発明に係るDPP-IV抑制剤ならびに、
処置のための薬剤、多嚢胞性卵巣症候群の処置のための薬剤、成長障害および/または虚弱体質を処置するための薬剤、抗関節炎薬剤(anti-arthritis agent)、移植手術における同種移植片拒絶を予防もしくは抑制するための薬剤、自己免疫疾患を処置するための薬剤、抗エイズ薬剤、炎症性腸炎/腸の炎症性症候群を処置するための薬剤、神経性食欲不振を処置するための薬剤、抗骨粗しょう症の薬剤、抗肥満剤もしくはこれらの任意の2種類以上の混合物を含む。
【0144】
本発明に係るDPP-IV抑制剤と組み合わせて任意に用いることができる、多嚢胞性卵巣症候群の処置のための薬剤は、ゴナドトロピン放出ホルモン(gonadotropin releasing hormone、GnRH)、ロイプロリド(Lupron(登録商標))、Clomid(登録商標)、Parlodel(登録商標)、経口避妊薬もしくはPPARアゴニストのようなインスリン抵抗性改善薬または、このように用いるための他の従来の薬剤のうちの1種類、2種類もしくはそれ以上であることがある。ここで、これらはPDRに記載された投薬量で用いることができる。
【0145】
本発明に係るDPP-IV抑制剤と組み合わせて任意に用いることができる、成長障害および/または虚弱体質を処置するための薬剤は、成長ホルモン、またはMK-677(Merck)、CP-424,391(Pfizer)、および「U.S. Ser. No. 09/506,749 filed Feb. 18, 2000 (attorney docket LA26)」に開示されている化合物のような成長ホルモン分泌促進剤、さらには選択的アンドロゲン受容体修飾因子(selective androgen receptor modulators、SARMs)のうちの1種類、2種類もしくはそれ以上であることがある。ここでこれらは、参照することによって本明細書に含まれる。また、これらは用いることができる場合には、PDRに記載された投薬量で用いることができる。
【0146】
本発明に係るDPP-IV抑制剤と組み合わせて任意に用いることができる、関節炎の処置に用いる薬剤は、アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム(diclofenac sodium)、ナプロキセン、ナブメトン(Relafen(登録商標)、SmithKline Beecham)、トルメチンナトリウム(tolmetin sodium)(Tolectin(登録商標)、Ortho-McNeil)、ピロキシカム(Feldene(登録商標)、Pfizer)、ケトロラクトロメタミン(Toradol(登録商標)、Roche)、セレコキシブ(Celebrex(登録商標)、Searle)、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標)、Merck)などのうちの1種類、2種類もしくはそれ以上であることがある。ここで、これらはPDRに記載された投薬量で用いることができる。
【0147】
シクロスポリン、サンディミュン(Sandimmune)(Novartis)、アザチオプリン、イムラン(Immuran)(Faro)、もしくはメトトレキセートのような、従来技術における移植手術における同種移植片拒絶を予防もしくは抑制するための薬剤は、本発明に係るDPP-IV抑制剤と組み合わせて任意に用いることができる可能性がある。ここで、これらはPDRに記載された投薬量で用いることができる。
【0148】
多発性硬化症およびエリテマトーデス(lupus erythematosis)、乾癬などの免疫調節性の疾病などの自己免疫疾患を処置するための薬剤で従来技術におけるもの、例えばアザチオプリン、イムラン、シクロホスファミド、イブプロフェンのようなNSAIDS、VioxxおよびCelebrexのようなcox-2抑制剤、グルココルチコイド類およびヒドロキシクロロキンなどは、本発明に係るDPP-IV抑制剤と組み合わせて任意に用いることができる可能性がある。ここで、これらはPDRに記載された投薬量で用いることができる。
【0149】
本発明に係るDPP-IV抑制剤と組み合わせて任意に用いることができる、エイズ薬剤は、非ヌクレオシド系逆転写酵素抑制剤(non-nucleoside reverse transcriptase inhibitor)、ヌクレオシド系逆転写酵素抑制剤、プロテアーゼ抑制剤および/またはAIDS感染予防補助剤(AIDS adjunct anti-infective)であることがあり、ドロナビノール(Marinol(登録商標)、Roxane Labs)、ジダノシン(Videx(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)、メゲストロール酢酸塩(Megace(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)、スタブジン(Zerit(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)、デラビルジンメシレート(Rescriptor(登録商標)、Pharmacia)、ラミブジン/ジドブジン(Combivir.TM., Glaxo)、ラミブジン(Epivir.TM., Glaxo)、ザルシタビン(Hivid(登録商標), Roche)、ジドブジン(Retrovir(登録商標), Glaxo)、インジナビル硫酸塩(Crixivan(登録商標), Merck)、サキナビル(Fortovase.TM., Roche)、サキノビルメシレート(saquinovir mesylate)(Invirase(登録商標), Roche)、リトナビル(Norvir(登録商標), Abbott)、ネルフィナビル(Viracept(登録商標), Agouron)などのうちの1種類、2種類もしくはそれ以上であることがある。
【0150】
前述の抗エイズ薬剤は、PDRに記載された投薬量で用いることができる。
【0151】
本発明に係るDPP-IV抑制剤と組み合わせて任意に用いることができる、炎症性腸炎もしくは腸の炎症性症候群を処置するための薬剤はスルファサラジン、サリチル酸塩、メサラミン(Asacol(登録商標), P&G)もしくはZelmac(登録商標)(Bristol-Myers Squibb)
などのうちの1種類、2種類もしくはそれ以上であることがある。ここで、これらはPDRに記載された投薬量もしくは当該技術分野で既知の他の投与量で用いることができる。
【0152】
本発明に係るDPP-IV抑制剤と組み合わせて任意に用いることができる、抗骨粗しょう症の薬剤は、アレンドロネートナトリウム(Fosamax(登録商標), Merck)、チルドロネート(Skelid(登録商標), Sanofi)、エチドロネート二ナトリウム(Didronel(登録商標), P&G)、 ラロキシフェンHCl (Evista(登録商標), Lilly)などのうちの1種類、2種類もしくはそれ以上であることがある。ここで、これらはPDRに記載された投薬量で用いることができる。
【0153】
本発明に係る方法を実施するには、本発明に係る化合物を含んでいて、別の抗糖尿病薬および/もしくは他のタイプの治療薬を含むかまたは含まない薬学的組成物を、薬学的媒体もしくは希釈剤と組み合わせて用いることができる。薬学的組成物は従来の固体もしくは液体の媒体または希釈剤、ならびに望ましい投与形態に適したタイプの薬学的添加物を用いて処方される可能性がある。本化合物は、ヒト、サル、イヌなどを含む哺乳類種へ、例えば錠剤、カプセル、顆粒、もしくは粉末の形態として経口的経路で投与することも、あるいは、注射可能な形に調製して非経口的経路で投与することもできる。成体への投薬量は、好ましくは1日に10mgから1000mgの間で、この量を1日に一度に投薬しても良いし、1回から4回に分けて投薬しても良い。
【0154】
経口投与のための典型的なカプセルには、本発明に係る化合物(250mg)、ラクトース(75mg)、およびステアリン酸マグネシウム(15mg)が含まれる。この混合物は、60メッシュの篩にかけてから、No.1ゼラチンカプセル(No.1 gelatin capsule)に詰められる。典型的な注射可能な製剤は、バイアル内に250mgの本発明に係る化合物を無菌状態で入れて、無菌状態で凍結乾燥して密封することにより製造される。使用するには、バイアルの内容物を生理食塩水2mLと混合して、注射可能な製剤とする。
【0155】
〔定義〕
「DPP-IV」の語はジペプチジルペプチダーゼIV(EC 3.4.14.5 ; DPP-IV)のことを指し、これは「CD-26」としてもまた知られている。DPP-IVはN末端から2番目の位置がプロリン残基もしくはアラニン残基であるポリペプチド鎖N末端からジペプチドを優先的に切断する。
【0156】
「糖尿病および関連する疾病」("diabetes and related diseases")の語は、II型糖尿病、I型糖尿病、耐糖能障害(impaired glucose tolerance)、肥満症、高血糖症、シンドロームX、代謝異常症候群(dysmetabolic syndrome)、糖尿病合併症、糖尿病性異常脂肪血症(diabetic dyslipidemia)、高インスリン血症などを意味する。
【0157】
「糖尿病合併症」("diabetic complications")と総称される症状、疾病および病弊には、網膜症、ネフロパチー、およびニューロパチーならびに他の既知の糖尿病の合併症が含まれる。
【0158】
「他のタイプの治療的薬剤」("other type(s) of therapeutic agents")の語は、本明細書中では、1種類以上の抗糖尿病薬(本発明に係るDPP-IV抑制剤以外のもの)、1種類以上の抗肥満剤、あるいは/ならびに1種類以上の脂質調節剤(抗アテローマ性動脈硬化症薬を含む)、あるいは/ならびに多嚢胞性卵巣症候群を処置するための薬剤のうち1種類以上、1種類以上の成長障害を処置するための薬剤、1種類以上の虚弱体質を処置するための薬剤、1種類以上の関節炎を処置するための薬剤、1種類以上の移植手術における同種移植片拒絶を予防するための薬剤、1種類以上の自己免疫疾患を処置するための薬剤、1種類以上の抗エイズ薬剤、1種類以上の抗骨粗しょう症の薬剤、免疫調節性の疾病(immunomodulatory diseases)を処置するための薬剤のうち1種類以上、1種類以上の慢性の炎症性腸炎、もしくは、慢性の腸の炎症性症候群を処置するための薬剤、あるいは/ならびに1種類以上の神経性食欲不振を処置するための薬剤として用いる。
【0159】
本明細書中では「脂質調節」("lipid-modulating")剤は、LDLレベルの低下、および/またはHDLレベルの上昇、および/またはトリグリセリドの低下、および/または総コレステロールの低下、および/または、脂質障害(lipid disorder)の治療的処置のためのその他の既知のメカニズムのための薬剤を指す。
【0160】
「処置」("treatment")の語は、疾病、症状もしくは疾患に対抗する目的で、受療者の管理およびケアをすることを指し、症候(symptoms)もしくは合併症が発現するのを予防するために本発明に係る化合物を投与すること、または症候もしくは合併症を緩和すること、あるいはその疾病、症状もしくは疾患を除去することを含む。
【0161】
本発明においては、「処置すること」("Treating")の語は疾病もしくは疾患に伴う徴候を緩和すること、またはこれらの症候がさらに進行もしくは悪化することを防ぐこと、あるいは疾患もしくは疾病の予防(prevention)もしくは予防法(prophylaxis)の意味である。同様に、本明細書中では、本発明に係る化合物の「有効量」("effective amount")もしくは「治療的有効量」("therapeutically effective amount")の語は、全体的もしくは部分的に疾病もしくは症状に伴われる症候を緩和する、あるいは、それらの症候の進行もしくは悪化を中断する、あるいは疾病もしくは症状を予防するか、または予防法を提供する、本化合物の量の事を指す。「治療的有効量」("therapeutically effective amount")の語は、DPP-IVの抑制によって望ましい治療的な結果が得られるために効果的な量を、投与量について、必要であれば一定期間の時間について意味する。治療的有効量は、治療的な有益な効果が、本発明に係る化合物の任意の毒性もしくは有害な効果を上回っている量のことでもある。例えば、糖尿病および関連する疾病の処置をする場合には、本発明に係るDPP-IV抑制剤の治療的有効量は血中グルコースレベルを調整するのに十分な量である。
【0162】
ベータ細胞の変性("beta cell degeneration")という語は、ベータ細胞の機能の喪失、ベータ細胞の機能障害、ならびに、ベータ細胞のネクローシスもしくはアポトーシスなどのベータ細胞死を意味する。
【0163】
具体的な立体化学もしくは異性体(isomeric form)について特に言及しない限りは、全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ体の構造が意図されている。本発明に用いられた化合物は、本明細書の記載(depiction)から理解できる、任意もしくは全ての不斉中心を持つ原子(asymmetric atom)についての、濃縮されたもしくは分割された光学異性体が含まれる。ラセミ体とジアステレオマーの混合物の両者、さらには個々の光学異性体は、単離、または他のエナンチオマーもしくはジアステレオマー(their enantiomeric or diastereomeric partner)を実質的に含まない状態で合成することができ、これらは全て、本発明の範囲に含まれる。
【0164】
本明細書では、「N-保護基」("N-protecting group")もしくは「N-保護された」("N-protected")という語は、合成手順の間に、望ましくない反応からアミノ基を保護することを意図した基であって、後から、アミンにするために除去することができる基のことを指す。一般的に用いられるN-保護基は、「Protective Groups in Organic Synthesis, Greene, T. W.; Wuts, P. G. M., John Wiley & Sons, New York, NY, (3rd Edition, 1999)」に開示されている。N-保護基には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、t-ブチルアセチル基、2-クロロアセチル基、2-ブロモアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、o-ニトロフェノキシアセチル基、α-クロロブチリル基、ベンゾイル基、4-クロロベンゾイル基、4-ブロモベンゾイル基、4-ニトロベンゾイル基などのアシル基、ベンゼンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基などのスルホニル基、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、p-クロロベンジルオキシカルボニル基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル基、p-ニトロベンジルオキシカルボニル基、2-ニトロベンジルオキシカルボニル基、p-ブロモベンジルオキシカルボニル基、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、2,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、4-メトキシベンジルオキシカルボニル基、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル基、1-(p-ビフェニルイル)-1-メチルエトキシカルボニル基、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、ベンズヒドリルオキシカルボニル基、t-ブチルオキシカルボニル基(Boc)、ジイソプロピルメトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基(Alloc)、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、2-トリメチルシリルエチルオキシカルボニル基(Teoc)、フェノキシカルボニル基、4-ニトロフェノキシカルボニル基、フルオレニル-9-メトキシカルボニル基(Fmoc)、シクロペンチルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などのアシルオキシ基(acyloxy groups)(ウレタン類(urethanes)を形成してアミンを保護する)、ベンジル基、トリフェニルメチル基、ベンジルオキシメチル基などのアラルキル基、ならびにトリメチルシリル基などのシリル基が含まれる。アミン保護基には、フタロイル基(phthaloyl)、ジチオスクシンイミジル基(dithiosuccinimidyl)などのような、アミノ基の窒素原子を複素環の中に組み込む環状のアミノ保護基も含まれる。典型的にはアミノ保護基にはホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、ピバロイル基、t-ブチルアセチル基、フェニルスルホニル基、Alloc、Teoc、benzyl、Fmoc、Boc、およびCbzが含まれる。合成をするにあたっては、当業者の技術により、適切なアミノ保護基を十分に選択し用いられる。
【0165】
一般に「置換された」("substituted")の語は、以下に示すような有機基(organic group)がそれらに含まれている水素原子との結合の1以上が、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、およびI)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などの基の酸素原子、チオール基、硫化アルキル基およびアリールスルフィド基(alkyl and aryl sulfide group)、スルホキシド基、スルホン基、スルホニル基、ならびにスルホンアミド基などの基の硫黄原子、アミン類、ヒドロキシルアミン類、N-オキシド類(N-oxides)、ヒドラジン類、アジド類、およびエナミン類などの基の窒素原子、ならびに他の様々な基のその他のヘテロ原子などであるがそれらに限定されるわけではない、水素でないかもしくは炭素でない原子(non-hydrogen or non-carbon atom)との結合に置き換わっていることを示す。置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、およびシクロアルケニル基さらには、他の置換された基も、炭素原子もしくは水素原子への結合が1箇所以上、1つ以上のカルボニル基(オキソカルボニル基)、カルボキシル基、エステル基、アミド基、イミド基、ウレタン基、および尿素基(urea group)の酸素、イミン類、ヒドロキシイミン類、オキシム類、ヒドラゾン類(hydrazone)、アミジン類(amidine)、グアニジン類およびニトリル類の窒素などであるがそれらに限定されない、ヘテロ原子への二重結合もしくは三重結合を含む結合に置き換わっている基を含む。
【0166】
置換されたアリール基、複素環基、およびへテロアリール基などの置換された環状基(substituted ring group)も、水素原子が炭素原子への結合に置き換わっている環系もしくは縮合環系を含む。従って、置換されたアリール基、複素環基、およびへテロアリール基は、以下に定義しているアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基で置換されることもある。
【0167】
アルキル基は、1原子から20原子の炭素原子を有する、直鎖および分鎖のアルキル基ならびにシクロアルキル基を含み、典型的には1原子から12原子の炭素原子、あるいは実施例のうちのいくつかでは1原子から8原子の炭素原子を有する。直鎖のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、およびn-オクチル基などの、1原子から8原子の炭素原子を有するものが含まれる。分鎖のアルキル基の例としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基および2,2-ジメチルプロピル基などがあるがこれらに限定されるわけではない。置換されたアルキル基の典型例は、前述の基のいずれかが1箇所以上、例えばアミノ基、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基、チオ基、アルコキシ基、およびハロゲン基に置換されたものであることがある。
【0168】
シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、およびシクロオクチル基などであるが、これらに限定されない環状のアルキル基である。いくつかの実施例においては、シクロアルキル基は3員から8員の環であり、他の実施例では環に含まれる炭素原子数の範囲は3から5、6もしくは7である。シクロアルキル基は、ノルボルニル基(norbornyl)、アダマンチル基(adamantyl)、ボルニル基(bornyl)、カンフェニル基(camphenyl)、イソカンフェニル基(isocamphenyl)、およびカレニル基(carenyl)などであるがこれらに限定されない、多環式シクロアルキル基(polycyclic cycloalkyl group)、ならびにデカリニル基(decalinyl)などであるがこれに限定されない縮合環などをさらに含むことがある。シクロアルキル基は、先に定義したような直鎖もしくは分鎖のアルキル基で置換された環も含む。典型的な置換シクロアルキル基は、一置換もしくは多置換されたものであって、2,2-二置換シクロヘキシル基、2,3-二置換シクロヘキシル基、2,4-二置換シクロヘキシル基、2,5-二置換シクロヘキシル基、もしくは2,6-二置換シクロヘキシル基、あるいは一置換、二置換もしくは三置換ノルボルニル基またはシクロヘプチル基などで、例えばアミノ基、ヒドロキシル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基、チオ基、アルコキシ基、およびハロゲン基で置換されたものであることがあるが、これらに限定されるわけではない。
【0169】
(シクロアルキル)アルキル基は、水素もしくはアルキル基の炭素結合が、すでに定義したシクロアルキル基への結合に置き換わっている、先に定義したようなアルキル基である。
【0170】
アルケニル基は、2原子の炭素原子の間に少なくとも1箇所の二重結合を有するということ以外は、直鎖および分鎖ならびに環状の、先に定義したとおりのアルキル基である。従って、アルケニル基は、2原子から20原子の炭素原子、典型的には2原子から12原子の炭素原子、あるいは実施例のうちのいくつかでは2原子から8原子の炭素原子を有する。例としては、ビニル基、-CH=CH(CH3)、-CH=C(CH3)2、-C(CH3)=CH2、-C(CH3)=CH(CH3)、-C(CH2CH3)=CH2、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキサジエニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、および特に、ヘキサジエニル基が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0171】
シクロアルケニル基は少なくとも2原子の炭素原子間の1箇所の二重結合を有しているシクロアルキル基を含む。従って、例えばシクロアルケニル基には、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキサジエニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、および、ヘキサジエニル基などが含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0172】
(シクロアルケニル)アルキル基は、水素もしくはアルキル基の炭素結合が、すでに定義したシクロアルケニル基への結合に置き換わっている、先に定義したようなアルキル基である。
【0173】
アルキニル基は、2原子の炭素原子の間に少なくとも1箇所の三重結合を有するということ以外は、直鎖および分鎖の、先に定義したとおりのアルキル基である。従って、アルキニル基は、2原子から20原子の炭素原子、典型的には2原子から12原子の炭素原子、あるいは実施例のうちのいくつかでは2原子から8原子の炭素原子を有する。例としては、-C≡CH、-C≡C(CH3)、-C≡C(CH2CH3)、-CH2C≡CH、-CH2C≡C(CH3)、および、特に-CH2C≡C(CH2CH3)が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0174】
アリール基は、ヘテロ原子を含まない環状の芳香族性炭化水素である。従って、アリール基には、フェニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基(heptalenyl)、ビフェニル基、インダセニル基(indacenyl)、フルオレニル基、フェナントレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、ナフタセニル基、クリセニル基、ビフェニレニル基、アントラセニル基、およびナフチル基などが含まれるがこれらに限定されるわけではない。ある実施例では、アリール基には6原子から14原子の炭素原子が基の環状部分(ring portion)に含まれている。「アリール基」("aryl groups")の語は、縮合芳香族性-脂肪族性環系(fused aromatic-aliphatic ring system)(例えばインダニル基、テトラヒドロナフチル基など)などの縮合環を有する基も含むが、アルキル基およびハロゲン基などのほかの官能基が環を構成する原子と結合しているものは、アリール基に含まれない。正確には、トシル基などの基は、置換されたアリール基と称される。典型的な置換されたアリール基は、前述の置換基で置換された2-、3-、4-、5-、もしくは6-置換フェニル基または置換ナフチル基などであるが、これらに限定されない、一置換もしくは多置換のアリール基であることがある。
【0175】
アラルキル基は、アルキル基の水素原子もしくは炭素結合が、先に定義したようなアリール基との結合に置き換わっている、先に定義したアルキル基である。アラルキル基の典型的な例には、ベンジル基およびフェニルエチル基、ならびに、4-エチル-インダニル基のような縮合した(シクロアルキルアリール)アルキル基が含まれる。
【0176】
複素環基には、芳香族性および非芳香族性(non-aromatic)の環状化合物で、1原子以上がN、OおよびSなどであるがそれらに限定されないヘテロ原子である3員環以上のものが含まれる。ある実施例では3員から20員環を含み、一方、他の実施例では3員から15員環であった。「複素環基」("heterocyclyl group")の語は、縮合した芳香族性および非芳香族性の基を含む化合物である縮合環の化学種を含む。この語はまた、キヌクリジル基(quinuclidyl)等でこれに限定されない、ヘテロ原子を含む多環式系化合物(polycyclic ring systems)も含む。しかしながら、この語は、アルキル基およびハロゲン基などの他の官能基が環を構成する原子と結合しているものは含まない。正確には、これらの基は、「置換された複素環基」("substituted heterocyclyl groups")と称される。複素環基には、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾフラニル基、インドリル基、ジヒドロインドリル基、アザインドリル基、インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、アザベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、イミダゾピリジニル基、イソオキサゾロピリジニル基、チアナフタレニル基、プリニル基、キサンチニル基、アデニニル基、グアニニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、テトラヒドロキノリニル基、キノキサリニル基、およびキナゾリニル基が含まれるが、これらに限定されるわけではない。典型的な置換された複素環基は、前述の置換基で2-、3-、4-、5-、もしくは6-置換または二置換されたピペリジニル基またはキノリニル基などであるが、これらに限定されない、一置換もしくは多置換の複素環基であることがある。
【0177】
ヘテロアリール基は、環の芳香族環化合物で5員もしくはそれ以上の数の原子数を含み、そのうち1原子以上がN、OおよびSなどであるがそれらに限定されないヘテロ原子であるものである。ヘテロアリール基には、ピロリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、インドリル基、アザインドリル基、インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、アザベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、イミダゾピリジニル基、イソオキサゾロピリジニル基、チアナフタレニル基、プリニル基、キサンチニル基、アデニニル基、グアニニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、テトラヒドロキノリニル基、キノキサリニル基、およびキナゾリニル基などの基が含まれるがそれらに限定されるわけではない。「ヘテロアリール基」("heteroaryl groups")の語は、インドリル基および2,3-ジヒドロインドリル基のような縮合環化合物を含むが、この語はアルキル基のような他の置換基と環を構成する原子の一つとが結合したヘテロアリール基を含まない。正確にはこのような置換をした複素環基は「置換されたヘテロアリール基」("substituted heteroaryl groups")と称される。典型的な置換されたヘテロアリール基は、1箇所以上が前述の置換基で置換されたものである場合がある。
【0178】
アリール基およびヘテロアリール基の付加的な例には、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、ナフチル基(1-ナフチル基、2-ナフチル基)、N-ヒドロキシテトラゾリル基、N-ヒドロキシトリアゾリル基、N-ヒドロキシイミダゾリル基、アントラセニル基(1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、3-アントラセニル基)、チオフェニル基(2-チエニル基、3-チエニル基)、フリル基(2-フリル基、3-フリル基)、インドリル基、オキサジアゾリル基、イソオキサゾリル基、キナゾリニル基、フルオレニル基、キサンテニル基(xanthenyl)、イソインダニル基、ベンズヒドリル基、アクリジニル基、チアゾリル基、ピロリル基(2-ピロリル基)、ピラゾリル基(3-ピラゾリル基)、イミダゾリル基(1-イミダゾリル基、2-イミダゾリル基、4-イミダゾリル基、5-イミダゾリル基)、トリアゾリル基(1,2,3-トリアゾール-1-イル基、1,2,3-トリアゾール-2-イル基、1,2,3-トリアゾール-4-イル基、1,2,4-トリアゾール-3-イル基)、オキサゾリル基(2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基)、チアゾリル基(2-チアゾリル基、4-チアゾリル基、5-チアゾリル基)、ピリジル基(2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基)、ピリミジニル基(2-ピリミジニル基、4-ピリミジニル基、5-ピリミジニル基、6-ピリミジニル基)、ピラジニル基、ピリダジニル基(3-ピリダジニル基、4-ピリダジニル基、5-ピリダジニル基)、キノリル基(2-キノリル基、3-キノリル基、4-キノリル基、5-キノリル基、6-キノリル基、7-キノリル基、8-キノリル基)、イソキノリル基(1-イソキノリル基、3-イソキノリル基、4-イソキノリル基、5-イソキノリル基、6-イソキノリル基、7-イソキノリル基、8-イソキノリル基)、ベンゾ[b]フラニル基(2-ベンゾ[b]フラニル基、3-ベンゾ[b]フラニル基、4-ベンゾ[b]フラニル基、5-ベンゾ[b]フラニル基、6-ベンゾ[b]フラニル基、7-ベンゾ[b]フラニル基)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル基(2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)基、3-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)基、4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)基、5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)基、6-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)基、7-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)基)、ベンゾ[b]チオフェニル基(2-ベンゾ[b]チオフェニル基、3-ベンゾ[b]チオフェニル基、4-ベンゾ[b]チオフェニル基、5-ベンゾ[b]チオフェニル基、6-ベンゾ[b]チオフェニル基、7-ベンゾ[b]チオフェニル基)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル基(2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)基、3-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)基、4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)基、5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)基、6-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)基、7-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)基)、インドリル基(1-インドリル基、2-インドリル基、3-インドリル基、4-インドリル基、5-インドリル基、6-インドリル基、7-インドリル基)、インダゾール(1-インダゾリル基、3-インダゾリル基、4-インダゾリル基、5-インダゾリル基、6-インダゾリル基、7-インダゾリル基)、ベンズイミダゾリル基(1-ベンズイミダゾリル基、2-ベンズイミダゾリル基、4-ベンズイミダゾリル基、5-ベンズイミダゾリル基、6-ベンズイミダゾリル基、7-ベンズイミダゾリル基、8-ベンズイミダゾリル基)、ベンゾオキサゾリル基(1-ベンゾオキサゾリル基、2-ベンゾオキサゾリル基)、ベンゾチアゾリル基(1-ベンゾチアゾリル基、2-ベンゾチアゾリル基、4-ベンゾチアゾリル基、5-ベンゾチアゾリル基、6-ベンゾチアゾリル基、7-ベンゾチアゾリル基)、カルバゾリル基(1-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基)、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン(5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-1-イル基、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-2-イル基、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-3-イル基、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-4-イル基、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-5-イル基)、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン(10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-1-イル基、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-2-イル基、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-3-イル基、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-4-イル基、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-5-イル基)、などが含まれるが、これらに限定はされない。
【0179】
複素環アルキル基(heterocyclylalkyl group)は、アルキル基の水素原子もしくは炭素結合が、先に定義したような複素環基との結合に置き換わっている、先に定義したとおりのアルキル基である。複素環アルキル基の典型的な例には、フラン-2-イルメチル(furan-2-yl methyl)、フラン-3-イルメチル(furan-3-yl methyl)、ピリジン-3-イルメチル(pyridine-3-yl methyl)、テトラヒドロフラン-2-イルメチル(tetxahydrofuran-2-yl ethyl)、およびインドール-2-イルプロピル(indol-2-yl propyl)などが含まれるが、これらに限定はされない。
【0180】
ヘテロアラルキル基(heteroaralkyl groups)は、アルキル基の水素原子もしくは炭素結合が、先に定義したようなヘテロアリール基との結合に置き換わっている、先に定義したとおりのアルキル基である。
【0181】
「アルコキシ」("alkoxy")の語は、酸素原子が先に定義したようなアルキル基に結合したものを指す。直鎖アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基(pentyloxy)、およびヘキシルオキシ基(hexyloxy)などが含まれるが、これらに限定はされない。分鎖アルコキシ基の例としては、イソプロポキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、イソペンチルオキシ基(isopentyloxy)、およびイソヘキシルオキシ基(isohexyloxy)などが含まれるが、これらに限定はされない。環式アルコキシ基の例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、およびシクロヘキシルオキシ基、などといったものが含まれるが、これらに限定はされない。
【0182】
「アリールオキシ」("aryloxy")および「アリールアルコシキ」("arylalkoxy")の語はそれぞれ、酸素原子に結合したアリール基、およびアルキル基で酸素原子に結合したアラルキル基を指す。例にはフェノキシ基(phenoxy)、ナフチルオキシ基(naphthyloxy)およびベンジルオキシ基(benzyloxy)が含まれるが、これらに限定はされない。
【0183】
「アルカノイル」("alkanoyl")の語は、単独で、もしくは他の基の一部としてカルボニル基に結合したアルキル基を指す。
【0184】
「アミン」("amine")(もしくは「アミノ」("amino"))の語は、例えば、-NR30R31のような構造を持つ、第一級、第二級、および第三級アミンを含む。R30およびR31は、それぞれにおいて(at each occurrence)独立に、水素、あるいは、置換もしくは非置換の、本明細書に定義したような、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基(arlkyl)、複素環基、または複素環アルキル基である。従って、アミンには、-NH2、アルキルアミン類、ジアルキルアミン類、アリールアミン類、アルキルアリールアミン類、ジアリールアミン類、アラルキルアミン類、複素環アミン類などが含まれるが、これらに限定はされない。
【0185】
「アミド」("amide")(もしくは「アミド」("amido"))の語は、C-アミドとN-アミド、すなわち、それぞれ-C(O)NR32R33基、および-NR32C(O)R33基、を含む。R32およびR33は、独立に、水素、あるいは、置換もしくは非置換の、本明細書に定義したような、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基(arlkyl)、複素環基、または複素環アルキル基である。従って、アミド基には、カルバモイル基(-C(O)NH2)およびホルムアミド基(-NHC(O)H)が含まれるが、これらに限定はされない。
【0186】
「ウレタン」("urethane")(もしくは「カルバミル」("carbamyl"))の語は、N-ウレタン基およびO-ウレタン基、すなわち、それぞれ、-NR34C(O)OR35基および、-OC(O)NR34R35基、を含む。R34およびR35は、独立に水素、あるいは、置換もしくは非置換の、本明細書に定義したような、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基(arlkyl)または複素環基である。
【0187】
「スルホンアミド」("sulfonamide")(もしくは「スルホンアミド」("sulfonamido"))の語は、S-スルホンアミド基もしくはO-スルホンアミド基、すなわち、それぞれ、-SO2NR36R37基および-NR36SO2R37基、を含む。R36およびR37は、独立に水素、あるいは、置換もしくは非置換の、本明細書に定義したような、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基(arlkyl)または複素環基である。従って、スルホンアミド基には、スルファモイル基(-SO2NH2)が含まれるが、これに限定はされない。
【0188】
「アミジン」("amidine")もしくは「アミジノ」("amidino")の語は、-C(NR38)NR39R40の構造の基を含む。R38、R39およびR40は、独立にH、アミノ保護基、あるいは、置換もしくは非置換の、本明細書に定義したような、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、または複素環基である。典型的には、アミジノ基は-C(NH)NH2である。
【0189】
「グアニジン」("guanidine")もしくは「グアニジノ」("guanidino")の語は、-NR41C(NR42)NR43R44の構造の基を含む。R41、R42、R43、およびR44は、独立にH、アミノ保護基、あるいは、置換もしくは非置換の、本明細書に定義したような、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、または複素環基である。典型的にはグアジニノ基は、-NHC(NH)NH2である。
【0190】
本明細書中で参照した、全ての出版物、特許出願書類、特許およびその他の文書は、参照することによって、個々の全ての出版物、特許出願書類、特許およびその他の文書が、その全体が参照することによって含まれていると、明確かつ個々に示されているのと同じように、本明細書に組み込まれる。参照することによって組み込まれるとされた文中に含まれている定義のうち、本開示と矛盾する範囲については排除されるものとする。
【0191】
一般論として記載されてきた本発明は、以下の実施例を参照することによって容易に理解される。これらの実施例は、本発明を説明するために提供されるものであって、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0192】
〔実施例〕
後述する限定をするものではない実施例に基づいて、本発明をさらに詳述する。
【0193】
[実施例1]
6-アミノ-5-オキソ-ヘキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリルの合成
【0194】
【化26】

{ステップ1}〈2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-ヒドロキシ-酪酸ベンジルエステル(1)〉
D-Boc-Asp-OBzl(2 g、6.18 mmol)およびNMM(0.62 g、6.18 mmol)を無水DME(10 mL)中に溶かした溶液に-15℃で、i-BuO2CCl(0.84 g、6.18 mmol)をゆっくりと加えた。10分後に沈殿したN-メチルモルホリン塩酸塩(N-methyl morpholine hydrochloride)をろ過し、DMEで洗浄した。そのろ液(filtrate)を大きなフラスコの中で洗液と混合した。水素化ホウ素ナトリウム(0.35 g, 9.27 mmol)の水溶液(5mL)を直ちに加えると、ガスが強く発生し、その直後に水を加えた。その溶液を酢酸エチルで抽出した。有機相を混合して、Na2SO4で乾燥した。混合された有機相は、30℃以下で蒸発乾固して、粗生成物(1.65 g、86 %)が得られ、直接、次のステップに用いた。1HNMRのデータは (400 MHz, CDCl3)、δ1.43 (s, 9 H)、1.63 (m, 1 H)、2.15 (m, 1H)、3.62-3.69 (m, 2 H)、4.53 (m, 1 H)、5.18 (m, 2 H)、5.41 (d, 1 H)、7.35 (m, 5 H)であった。
【0195】
{ステップ2}〈2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-オキソ-酪酸ベンジルエステル(2)〉
(1) (1.65 g、5.50 mmol)をCH2Cl2(40 mL)中に溶かした溶液に、4Åのモレキュラーシーブ(4.5 g)およびPCC(2.36 g、11 mmol)を加えた。そして、混合物を2時間撹拌し、ろ液にほとんど色が無くなるまでシリカゲルカラムに通した。ろ液を蒸発乾固して、粗生成物(1.4 g、82 %)が得られ、直接、次のステップに用いた。1H NMRのデータは(400 MHz, CDCl3)、δ1.43 (s, 9 H)、2.97-3.16 (m, 2 H)、4.63 (s, 1H)、5.17 (s, 2 H)、5.40 (d, 1 H)、7.33 (m, 5 H)、9.71 (s, 1 H)であった。
【0196】
{ステップ3}〈2-(2-ベンジルオキシカルボニル-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-エチル)-チアゾリジン-4-カルボン酸メチルエステル(3)〉
(2) (0.7 g、2.25 mmol)、AcOH(0.14 g、2.25 mmol)、AcONa(0.38 g、4.50 mmol)をエタノールと水(10:1、11 mL)中に溶かした溶液に、L-Cys-OMe.HCl(0.39 g、2.25 mmol)を加えた。一晩撹拌した後、混合物を100mLの水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥させてから、油状の粗生成物(0.8 g, 82 %)を得るために濃縮した。この粗生成物を、直接、次のステップに用いた。1H NMRのデータは (400 MHz, CDCl3)、δ1.43 (s, 9 H)、1.95-2.15 (m, 2 H)、2.29-2.41 (m, 1H)、2.87 (m, 1 H)、3.68 (m, 1 H)、3.77 (s, 3 H)、3.96 (m, 0.6 H)、4.50 (m, 1 H)、4.70 (m, 0.4 H)、5.12-5.23 (m, 2 H)、5.35 (d, 0.4 H)、5.75 (d, 0.6 H)、7.36 (m, 5H)であった。
【0197】
{ステップ4}〈6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-5-オキソ-ヘキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボン酸メチルエステル(4)〉
(3) (1.4 g, 3.3 mmol)を20mLのピリジン中に溶かした溶液に0.1 gのDMAPを加えて、混合物を一晩還流した。ピリジンを除去した後、残留物を水と酢酸エチルの間で分配した。有機相を乾燥させて、濃縮し、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製して純粋な生成物(0.5 g, 48 %)を得た。1H NMRのデータは(400 MHz, CDCl3)、δ1.44 (s, 9 H)、2.01 (m, 1 H)、3.19 (m, 1H)、3.77 (d, 3 H)、4.12 (m, 1 H)、5.08-5.16 (m, 3 H)であった。
【0198】
{ステップ5}〈(3-カルバモイル-5-オキソ-ヘキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-6-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(5)〉
化合物 (4) (0.5 g, 1.58 mmol)をNH3/MeOH(20 mL)で室温において処理し、一晩撹拌した。粗生成物が蒸発によって(by evaporation)得られ、直接、次のステップに用いた。
【0199】
{ステップ6}〈(3-シアノ-5-オキソ-ヘキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-6-イル) -カルバミン酸tert-ブチルエステル(6)〉
バージェス試薬(Burgess reagent)(0.8g, 3.3 mmol)を (5) (0.5 g, 1.58 mmol)を乾燥したTHF(20 mL)中に溶かした溶液に少しずつ室温で加え、一晩撹拌した。混合物を水(20mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥、濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物 (6) を得た(0.2 g, 50 %)。1H NMRのデータは(400 MHz, CDCl3)、δ1.44 (s, 9 H)、2.08-2.11 (m, 1 H)、3.17-3.21 (m, 1H)、3.68 (d, 2 H)、4.50-4.60 (m, 1 H)、5.07 (s, 1 H)、5.14 (t, 1 H)、5.37 (t, 1 H)であった。
【0200】
{ステップ7}〈6-アミノ-5-オキソ-ヘキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル(7)〉
化合物 (6) (0.6 g, 2.12 mmol)を15mLの2N HCl/ジオキサンに撹拌しながら溶かした。2時間後、たくさんの白い固体が生成した。上澄みの溶液を除去して、さらに20mLの乾燥したエチルエーテルを加え、撹拌してから廃棄した。化合物 (7) が得られ(0.12 g, 26 %)、減圧乾燥を行った。1H NMRのデータは (400 MHz, CDCl3)、δ1.17 (m, 1 H)、2.05-2.15 (m, 1.5 H)、3.10-3.20 (m, 1.5H)、3.40-3.50 (m, 3.5 H)、4.40-4.55 (m, 1.5 H)、4.95 (m, 1 H)、5.22 (m, 1 H)、5.31 (m, 2 H)、5.54 (m, 1 H)であった。
【0201】
[実施例2]
以下のスキームは、6位でアルキル化されたヘキサヒドロピロロチアゾール類の合成を説明している。
【0202】
【化27】

{ステップ1}〈アミノ-フェニル-酢酸メチルエステル塩酸塩(8)〉
(S)-フェニルグリシン(50 g, 0.3 mol)のメタノール(500mL)溶液に、撹拌しながら、0℃で塩化チオニル(42.84 g, 0.36 mol)を1滴ずつ加えた。2時間撹拌したあと、その溶媒(solvent)を濃縮し、沈殿した固体をジエチルエーテルで洗浄して生成物 (8) を得た。1H NMRのデータは(400 MHz, D2O)、δ3.70 (s, 3 H)、5.17 (s, 1 H)、7.35-7.41 (m, 5 H)であった。
【0203】
{ステップ2}〈(ベンジリデン-アミノ)-フェニル-酢酸メチルエステル(9)〉
(8) (40.3 g, 0.2 mol)をジクロロメタン中(600mL)に溶かした溶液に、トリエチルアミン(24.24 g, 0.24 mol)を一滴ずつ加えた。30分撹拌した後、ベンズアルデヒド(21.2 g, 0.2 mol)を一滴ずつ加え、続いてMgSO4(240 g, 2 mol)を加えた。混合物を一晩撹拌した。ろ過した後、ろ液を蒸発させて、化合物 (9) を得た(49 g, 96.8 %)。1H NMRのデータは(400 MHz, CDCl3)、δ3.72 (s, 3 H)、5.22 (s, 1 H)、7.30-7.39 (m, 6 H)、7.53-7.56 (m, 2 H)、7.82-7.85 (m, 2 H)、8.34 (s, 1 H)であった。
【0204】
{ステップ3}〈2-アミノ-2-フェニル-ペント-4-エン酸メチルエステル(11)〉
t-BuOK(25.76 g, 0.23 mol)をTHF(400 mL)に溶かした溶液に、室温で、(9) (49 g, 0.19 mol)をTHF(200 mL)に溶かした溶液を、ゆっくりと加えた。1時間撹拌した後、得られた溶液に、THF(100 mL)に溶かした臭化アリル(allyl bromide)(27.9 g, 0.23 mol)を一滴ずつ加えた。一晩撹拌した後、溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチルを加えてろ過した。そして、ろ液を濃縮し、1H NMRで同定した化合物 (10) を50.5g得た。化合物 (10) を100mLの酢酸エチルに溶かした溶液に、6Nの塩酸(200mL)を加えて、混合物を1時間撹拌した。分離した後、水相のpHを9から10に調整して酢酸エチル中へ3回抽出した。有機相を混ぜて、乾燥させ、蒸発させて、化合物 (11) が得られた(30 g, 63.6 %)。1H NMRのデータは (400 MHz, CDCl3)、δ2.62-2.69 (dd, J - 10.4, 18.0 Hz, 1 H)、2.99-3.16 (dd, J = 10.4, 13.6 Hz, 1 H)、3.71 (s, 3 H)、5.15-5.27 (m, 2 H)、5.62-5.78 (m, 1 H)、7.28-7.39 (m, 4 H)、7.48-7.53 (m, 1 H)であった。
【0205】
{ステップ4}〈2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-フェニル-ペント-4-エン酸メチルエステル (12) 〉
(11) (30 g, 0.15mol)およびBoc2O(32 g, 0.165 mol)をTHF(300 mL)に溶かした溶液を加熱し、一晩還流した。濃縮した後、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル:酢酸エチル、10:1)、化合物 (12) を得た(40 g, 87.4 %)。1HNMRのデータは (400 MHz, CDCl3)、δ1.50 (s, 9 H)、3.15-3.28 (m, 1 H)、3.39-3.52 (m, 1 H)、3.71 (s, 3 H)、5.13-5.19 (m, 2 H)、5.60-5.75 (m, 1 H)、6.05 (bs, 1 H)、7.33-7.48 (m, 5 H)であった。
【0206】
{ステップ5}〈2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-オキソ-2-フェニル-酪酸メチルエステル (13) 〉
(12) (30.5 g, 0.1 mol)をCH2C12 (300 mL)に溶かした溶液に-78℃でO3を、溶液が灰青色に変わるまで通気した。それから、PPh3(40 g, 0.15 mol)をゆっくりと加えて反応を止めた。濃縮した後、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製し(PE:EA = 10:1)化合物 (13) を得た(11 g, 35.8 %)。1HNMRのデータは (400 MHz, CDCl3)、δ1.37 (s, 9 H)、3.57-3.61 (d, 1 H, J =18 Hz)、3.71 (s, 3H)、3.98-4.12 (m, 1 H)、6.16 (bs, 1 H)、7.31-7.43 (m, 5 H)、9.74 (s, 1H)であった。
【0207】
{ステップ6}〈(5-ヒドロキシ-2-オキソ-3-フェニル-テトラヒドロ-フラン-3-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(14)〉
化合物 (13) (6.14 g, 20 mmol)をTHF(50 mL)に溶かした溶液に、3N LiOH 溶液(20 mL, 60 mmol)を加えた。1時間撹拌した後、結果として得られた混合物のpHを1N HClを用いて、5から6に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機相を混合して、濃縮し、化合物 (14) を得た(5.6 g, 95.6 %)。1H NMRのデータは (400 MHz, CDCl3)、δ1.43 (s, 9 H)、2.85-2.87 (m, 1 H)、3.17-3.19 (m, 1 H)、5.74-6.11 (bs, 2 H)、7.34-7.46 (m, 5 H)であった。
【0208】
{ステップ7}〈2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-2-カルボキシ-2-フェニル-エチル)-チアソリジン-4-カルボン酸メチルエステル (15)〉
化合物 (14)(5.6 g, 19.1 mmol)をEtOH(80 mL)に溶かした溶液に1 M NaHCO3水溶液(19.1 mL, 19.1 mmol)を加え、続いてL- Cys-OMe.HCl(3.3 g 19.1 mmol)を加えた。結果として得られた混合物のpH値を1 M NaHCO3溶液で6.5に調整した。一晩撹拌した後、その混合物を水の中に注いで、酢酸エチルで抽出した。有機相を混合してNa2SO4で乾燥させ、濃縮して生成物 (15) を得た(7 g, 51.1 %)。MS (M+1) は 411であった。この生成物をこれ以上精製しないで、次のステップで用いた。
【0209】
{ステップ8}〈6-tert-ブトキシカルボニルアミノ-5-オキソ-6-フェニル-ヘキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボン酸メチルエステル(16)〉
化合物 (15) (3 g, 7.3 mmol)およびp-TsOH.H2O(0.3 g, 1.6 mmol)をトルエン(150mL)に溶かした溶液を加熱して、1時間還流した。その溶液をNaHCO3と食塩水(brine)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濃縮した後、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製し(PE:EA = 10:1)化合物 (16) を得た(660 mg, 23.1%)。1H NMRのデータは (400 MHz, CDCl3)、δ1.41 (s, 9 H)、3.04-3.07 (m, 1 H)、3.24-3.37 (m, 1 H)、3.39-3.41 (m, 1 H)、3.48-3.50 (m, 1 H)、3.74 (s, 3 H)、5.04 (bs, 1 H)、5.25 (bs, 1 H)、5.42 (bs, 1 H)、7.31-7.40 (m, 3H)、7.53-7.54 (m, 2H)であった。MS (M+)の結果は393であった。立体配置はNOEによって同定した。
【0210】
{ステップ9}〈(3-カルバモイル-5-オキソ-6-フェニル-ヘキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-6-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(17)〉
化合物 (16) (500 mg, 1.28 mmol)をメタノール(10 mL)に溶かした溶液に、室温でNH3-MeOH(10 mL)を加え、2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、化合物 (17) を得た(470 mg, 97.4%)。1HNMRのデータは (400 MHz, CDCl3)、δ1.42 (s, 9 H)、3.05-3.08 (m, 1 H)、3.35-3.37 (m, 1 H)、3.37-3.49 (m, 1 H)、3.75-3.80 (m, 1 H)、4.89 (bs, 1 H)、4.98 (bs, 1 H)、5.43 (bs, 2 H)、6.57 (bs, 1 H)、7.37-7.50 (m, 5 H)であった。MS (M+1)は378であった。
【0211】
{ステップ10}〈(3-シアノ-5-オキソ-6-フェニル-ヘキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-6-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル(18)〉
化合物 (17) (380 mg, 1.0 mmol)をCH2Cl2(50 mL)に溶かした溶液にTFAA(252 uL, 1.2 mmol)を一滴ずつ室温で加え、続いてEt3N(404 mg, 4 mmol)を加えた。1時間攪拌した後、その混合物を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濃縮した後、残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製し(PE:EA = 15:1)化合物 (18) を得た(300 mg, 83.6 %)。1H NMRのデータは (400 MHz, CDCl3)、δ1.40 (s, 9 H)、3.26-3.27 (m, 1 H)、3.30-3.31 (m, 1 H)、3.31-3.34 (m, 1 H)、3.43-3.47 (m, 1 H)、5.06 (bs, 1 H)、5.22 (bs, 1H)、5.50 (bs, 1H)、7.37-7.49 (m, 5H)。MS (M+1) は 360であった。
【0212】
{ステップ11}〈6-アミノ-5-オキソ-6-フェニル-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩(20)〉
化合物 (18) (300 mg, 0.84 mmol)をCH2Cl2(3 mL)に溶かした溶液に、TFA(0.9 mL)をCH2Cl2(3 mL)に溶かした溶液を一滴ずつ室温で加えた。その結果得られた混合物を1時間攪拌した後、pH=9に調整するために、K2CO3飽和水溶液を用いた。ジクロロメタンを用いて3回抽出を行い、混合した有機相を食塩水で洗浄し、乾燥させ、それから濃縮した。残留物をP-HPLCにより精製し、生成物 (19) を得た(遊離塩基)(30 mg, 13.9 %)。1H NMRのデータは (400 MHz, CDCl3)、δ2.88-2.95 (m, 1 H)、3.24-3.36 (m, 2 H)、3.52-3.59 (m, 1 H)、5.02-5.09 (m, 1 H)、5.40-5.45 (m, 1H)、7.35-7.60 (m, 5H)。MS (M+1) は260であった。
【0213】
{ステップ12}
化合物 (19) (30 mg, 0.12 mmol)をCH2Cl2(1 mL)および5mLのEt2Oに溶かした溶液に、白い固体が沈殿するまでHClガスを通気した。2時間放置した後、溶媒を捨てて、化合物 (20)が得られた(18 mg, 52.9%)。1HNMRのデータは (400 MHz, CDCl3)、δ2.48- 2.55 (m, 1 H)、3.34-3.36 (m, 1 H)、3.45-3.46 (m, 2 H)、5.09-5.14 (m, 1 H)、5.42-5.46 (m, 1H)、7.40-7.49 (m 5H)であった。MS (M+) は260であった。
【0214】
[実施例3]
以下のスキームは、6位でアルキル化されたヘキサヒドロピロロチアゾール類の別の合成方法を説明している。
【0215】
【化28】

【0216】
[実施例4]
以下のスキームは、N-置換されたヘキサヒドロピロロチアゾール類の合成方法を説明している。
【0217】
【化29】

【0218】
[実施例5]
以下の表1中の化合物は、前述の方法で調製された化合物であり、液体クロマトグラフィー-質量分析計(LC-MS)を使って確認した。
【0219】
【表1】



[実施例6]
〈DPP-IV活性の測定方法〉
以下に示す方法は、DPP-IVの酵素活性を抑制する本発明に係る化合物の活性を測定するために用いることができる。本発明に係る化合物について、精製した DPP-IV の酵素活性を抑制する能力をテストした。つまり、DPP-IV の活性を、DPP-IVが合成基質 Gly-Pro-AMCを生体外で切断する能力から測定する。DPP-IV による Gly-Pro-AMC の切断によって、生成物として AMC( 7-アミノ-4-メチルクマリン)が遊離し、この発現率が直接的に酵素活性に比例する。特定の酵素抑制剤による酵素活性の抑制によって、 AMC の産生が減速することになる。抑制剤と酵素との間のさらに強い相互作用により、 AMC の生成速度がさらに減速する結果になる。したがって、 AMC の蓄積速度の抑制度は、酵素抑制の強度の直接的な尺度となる。AMC の蓄積は、蛍光定量的に測定した。各化合物の抑制定数 Ki もしくはIC50値(50%の酵素活性が抑制される試料化合物の濃度)は、一定量の酵素を、種々の濃度の抑制剤および基質とともに、温置することによって定量する。
【0220】
したがって、DPP-IV によって切断され、蛍光 AMC 脱離基を放出するような、基質 Gly-Pro-AMC を用いる蛍光定量アッセイで、DPP-IVの酵素活性が測定された。遊離AMC( 7-アミノ-4-メチルクマリン)を、 Victor-II fluorescent reader を用い、励起波長 380nm 、発光波長 460nm で測定した。DPP-IV(1ng/μl, pH 8.0)およびGly-Pro-AMC基質 (400μM) とについて、別々に、 25mM Trisバッファ (pH 8.0) に溶かしたストック溶液をそれぞれ調製した。試料化合物は、 DMSO もしくは 50mM グリシンバッファ (pH 3.0) に溶かした。DPP-IVストック (10μl) を 25mM Trisバッファ (77.5μl) で希釈した後、26℃で試料化合物 (2.5μl) を加えて、アッセイを行った。10分後に、基質を加えて (10μl) 、26℃で二十分間反応させてから、遊離AMCを測定した。IC50値は、最小で六通りの異なる抑制剤濃度を用い、三重に測定した。 IC50値は、 Nonlinear Regression Analysis(GraphPad, Prism, San Diego, CA)を用いて算出した。
【0221】
ブタDPP-IV の精製、および、一定の条件下での酵素アッセイについては、それぞれ、(1)「Rahfeld, J. Schutkowski, M., Faust, J., Neubert., Barth, A., and Heins, J. (1991) Biol. Chem. Hoppe-Seyler, 372, 313-318」、および (2)「Nagatsu, T., Hino, M., Fuyamada, H., Hayakawa, T., Sakakibara, S., Nakagawa, Y., and Takemoto, T. (1976) Anal. Biochem., 74, 466-476」に記載されている。
【0222】
実施例1から3の最終化合物を、本明細書に記載したDPP-IV抑制剤として、生体外においてテストし、いずれの化合物でもIC50および/またはKiは100μM以下であった。
【0223】
[実施例7]
〈DPP-VII、DPP-VIII、DPP-IXおよびFAPの活性の測定方法〉
{試料}
S9昆虫細胞(S9 insect cell)およびSf-900 II SFM培地(Sf-900 II SFM media)はInvitrogenから入手した。抗-FLAG M2イムノアフィニティーゲル(Anti- FLAG M2 immunoaffmity gel)は、Sigmaから入手した。Gly-Pro-AMC、Lys-Pro AMC、およびAla-Pro AMCは、Enzyme Systemsから入手した。IC50値の計算は、Nonlinear Regression Analysisにより、プリズムソフトウェア(Prism software)(GraphPad)を用いて算出した。
【0224】
{DPP-VII、DPP-VIII、DPP-IXの調製およびFAPバキュロウイルスコンストラクト(FAP baculovirus constructs)}
ヒトDPP-VII、DPP-VIII、DPP-IXおよびFAPのための省略されていないcDNAはOpen Biosystemsから入手した。そのcDNAをpFastBacベクター中で、DPP-VII 上のN-末端FLAGタグ(N-terminal FLAG tag)、DPP-VIIIおよびDPP-IX上のC-末端6xHisタグ(C-terminal 6xHis tags)、FAP上のN-末端6xHisタグ(N-terminal 6xHis tag)を加えて複製した(Sun 2002, Qi 2003, and Chen 2004)。バキュロウイルスは、Bac-to-Bac Baculovirus Expression System(Invitrogen)を用いて調製した。最終的なバキュロウイルスコンストラクト中のcDNAが配列決定された。
【0225】
{バキュロウイルスの発現}
S9細胞は、対数期中(mid log phase)に27Cにおいて125RPMで振とうして増殖させてから、バキュロウイルスに感染させる前に2 x 10E6/mlに調整した。DPP-VII、DPP-VIII、DPP-IXおよびFAPバキュロウイルスコンストラクトへの感染はすべてMOIを4にして行った。感染した細胞は48時間培養して、細胞ペレットを集め、精製するまで冷凍した。DPP-VIIは抗-FLAG M2イムノアフィニティーゲルを用いて、製造業者の使用説明書にしたがって精製した。DPP-VIII、DPP-IXおよびFAPは、Pierce社のB-PER 6xHis Fusion Protein Column Purification Kitを使って精製した。
【0226】
{IC50アッセイ}
27℃で基質を加えた後、組み換え型のDPPは反応バッファー(reaction buffer)で、「酵素のみのウェル」("enzyme only wells")中で5000から20000カウントの蛍光値になる程度まで希釈した。反応バッファーは、DPP-VII用には25mM(2-(4-モルホリノ)-エタンスルホン酸)でpH5.5、DPP-VIII用には25 mM TrisでpH 8、1% トリトンX-100、100 mM NaClで、DPP-IXおよびFAP用には25 mM TrisでpH 8であった。96穴マイクロタイタープレート(96-well microtiter plate)のテスト用ウェルには、88μLの希釈したDPPおよびpH2.6の50mMグリシン中の滴下する化合物2.5μlが含まれている。「酵素のみ」のウェル("Enzyme only" wells)には、88μLの希釈したDPPおよび2.5μlのグリシンバッファーが入っている。「酵素なし」のウェル("No enzyme" wells)にはDPPを含まない88μLの反応バッファーと2.5μlのグリシンバッファーが入っている。全てのアッセイは3回行われた。このプレートは27℃で10分間培養した後、10分間氷冷した。10マイクロリットルの基質をトリトンもNaClも含まずに反応バッファーで希釈して(最終的な濃度は40μM)から、全てのウェルに加えてから27℃で20分間培養した。基質は、DPP-VIIにはLys-Pro AMCで、DPP-VIII、DPP-IXおよびFAPにはAla-Pro AMC、であった。全てのウェルについて、380/460 nmのセッテイングで蛍光測定を行った。
【0227】
DPP-IVの抑制について、本発明に係る化合物の実施例4に従って、DPP-VIII、DPP-IXおよびFAPは本方法に従ってテストを行った。結果を表2に示す。
【0228】
【表2】

表2に示したように、本発明に係る化合物は、DPP-IVに対する効力を維持しながら、他のジペプチジルペプチダーゼに対して予期しなかった選択性を示した。特にそれぞれの化合物はDPP-VIIIに対してDPP-IVについての優れた選択性を示した。すでに報告されているように、(Webber AE, et. al. 64th American Diabetes Association Conference 2004, Poster #1415)、DPP-VIII(およびDPP-IXである可能性もある)は、動物実験では衰弱させる副作用(debilitating side-effects)に関連していた。従って、本発明に係る化合物は、生体内でDPP-VIIIが介在する副作用の発生率を大幅に下げることが期待される。
【0229】
本発明は当業者が本発明を理解し、使用できるように十分に詳しく記載し、例示したものであるが、様々な代替物、修飾物、改良は、当業者にとっては本発明の範囲から逸脱することなく理解することができるものである。
【0230】
さらに、本発明の特性や態様がマーカッシュ形式を用いて記載されている部分については、当業者は本発明がマーカッシュグループ(Markush group)の中の任意の個々の構成要素、もしくはサブグループの構成要素でも記載されているものであることを認識できる。例えば、もしXが臭素、塩素、およびヨウ素からなる群から選択されると記載されているときには、Xが臭素である請求項ならびにXが臭素および塩素である請求項が省略せずに記載されていることになる。さらに、本発明に係る特性や態様がマーカッシュ形式を用いて記載されている場合においても、当業者は本発明がマーカッシュグループの個々の構成要素もしくはサブグループの構成要素の任意の組み合わせでも記載されていることが理解できる。従って、例えばもしXが臭素、塩素、およびヨウ素からなる群から選択されると記載され、Yがメチル基、エチル基、およびプロピル基からなる群から選択されると記載されていれば、Xが臭素でYがメチル基である場合が省略せずに記載されている。
【0231】
その他の実施例は添付の特許請求の範囲において説明されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iの化合物および立体異性体、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、ならびにこれらの混合物。
【化1】

(ここで、式中で
XはCRR'、S、もしくはOであるか、またはXはCRであって結合している炭素原子の一つと二重結合を形成しており、
R1およびR4は独立にHあるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、
R、R'、R2、R3、R5およびR6は独立にH、F、Cl、Br、I、ORa、NRaRb、CN、NO2、C(O)Ra、C(O)ORb、C(O)NRaRb、NHC(O)Ra、NHC(O)ORa、あるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、あるいはR2およびR5がともに一つのオキソ基か、R3およびR6がともに一つのオキソ基か、またはR2およびR5とR3およびR6の両方とも、ひとまとめで一つのオキソ基であり、かつ
前述のRaおよびRbは、個々の場合において独立にHあるいは置換または非置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基である)
【請求項2】
XがCH2、S、もしくはOであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
XがS、もしくはOであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1およびR4が独立に以下のものであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
a) H、
b) (C1-12)アルキル基、(C2-12)アルケニル基、(C2-12)アルキニル基、(C3-12)シクロアルキル基、(C3-12)(シクロアルキル)アルキル基、(C3-12)シクロアルケニル基、もしくは(C3-12)(シクロアルケニル)アルキル基であって、それぞれの基がR7で任意に一置換または独立に多置換されていて、前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基もしくは複素環基を含み、ここで
R7は、ハロゲン基、(C1-10)アルキル基、(C1-10)アルコキシ基、(C3-10)シクロアルキル基、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OC(O)NHR8、-OC(O)N(R8)2、-OR8、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、N-ヒドロキシイミノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アジド基、アミジノ基、グアニジノ基、アミノ基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であり、ここで前記アミノ基はR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OR8、もしくは-SR8で任意に一置換または独立に多置換され、前記アリール基、前記複素環基、および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されており、
それぞれのR8は、独立に(C1-10)アルキル基、(C2-10)アルケニル基、(C2-10)アルキニル基、(C3-10)シクロアルキル基、(C5-10)シクロアルケニル基、ベンジル基、フェネチル基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であって、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記シクロアルキル基、および前記シクロアルケニル基はR10で任意に一置換されもしくは独立に二置換されており、さらに前記アリール基、前記複素環基、および前記ヘテロアリール基はR11で任意に一置換または独立に多置換されており、
R9は、ハロゲン基、(C1-10)アルキル基、(C1-10)アルコキシ基、(C3-10)シクロアルキル基、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OC(O)NHR8、-OC(O)N(R8)2、-OR8、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、N-ヒドロキシイミノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンジルオキシ基、アジド基、アミノ基、(C1-10)アルキルアミノ基、もしくは(C1-10)ジアルキルアミノ基であり、ここで前記アミノ基はR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OR8、もしくは-SR8で任意に一置換または独立に多置換され、
R10はアリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であって、それぞれの基はR11で任意に一置換または独立に多置換されており、
R11は、ハロゲン基、(C1-10)アルキル基、(C1-10)アルコキシ基、(C1-10)アルキルアミノ基、(C1-10)ジアルキルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、N-ヒドロキシイミノ基、シアノ基、カルボキシ基、アセトアミド基、ヒドロキシル基、スルホンアミド基、もしくはアミノ基であるか、
c) フェニル基、(C3-10)シクロアルキルに縮合したフェニル基、単環式へテロアリール、もしくは(C3-10)シクロアルキルに縮合した単環式へテロアリール、ここで前記フェニル基および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されているか、
d) インダニル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基、jが0、1、2、もしくは3である-(CH2)j-アダマンチル基、(4-ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ-1-イル)アミン、または[2.2.1]二環式炭素環基もしくは[3.1.1]二環式炭素環基、ここで前記インダニル基、前記1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基、前記-(CH2)j-アダマンチル基、ならびに前記[2.2.1]二環式炭素環基もしくは前記[3.1.1]二環式炭素環基は、ヒドロキシル基、(C1-8)アルキル基、(C1-8)アルコキシ基、(C1-8)アルカノイルオキシ基、もしくはR12R13N-CO-O-で任意に一置換または独立に多置換されており、ここでR12およびR13は独立して(C1-8)アルキル基もしくはフェニル基であり、ここで前記アルキル基および前記フェニル基は(C1-8)アルキル基、(C1-8)アルコキシ基、ハロゲン基もしくはトリフルオロメチル基で任意に一置換または独立に多置換されているか、またはR12およびR13で一緒に(C3-6)アルキレン基であるか、
e) R14(CH2)p-、ここでR14はピロリル基、ピロリジニル基、2-オキソピロリジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チオフェニル基、チアゾリル基、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピリジニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、プリニル基、ピリミジニル基、キノリニル基、(C1-6)アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、(C1-6)シクロアルキル基、ナフチル基、シクロヘキセニル基、もしくはアダマンチル基であって、個々の基はR15で任意に一置換、または独立に二置換もしくは三置換されており、またR14は[3.3.3]二環式炭素環基であって(C1-8)アルキル基で任意に一置換または独立に多置換されており、pは0、1、2、もしくは3であり、
さらにここで、R15はハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、(C1-6)アルキル基、(C1-6)アルコキシ基、シクロアルキル基、カルボキシ基、-CONHR8、ヒドロキシル基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であり、ここで前記アリール基、前記複素環基、および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されているか、あるいは、
f) (R16)2CH(CH2)q-、ここでR16はフェニル基であって、前記フェニル基はR15で任意に一置換または独立に二置換されており、しかもqが0、1、2、もしくは3である。
【請求項5】
R1およびR4が独立に以下のものであることを特徴とする、請求項4記載の化合物。
a) H、
b) (C1-12)アルキル基、(C2-12)アルケニル基、(C2-12)アルキニル基、(C3-12)シクロアルキル基、もしくは(C3-12)シクロアルケニル基、ここでそれぞれの基がR7で任意に一置換または独立に多置換されているか、
c) フェニル基、(C3-10)シクロアルキルに縮合したフェニル基、単環式へテロアリール、もしくは(C3-10)シクロアルキルに縮合した単環式へテロアリール、ここで前記フェニル基および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されているか、
d) R14(CH2)p-、あるいは
e) (R16)2CH(CH2)q-。
【請求項6】
R1がHあるいは、R1がH、またはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、シクロペンチル基、シクロペンチル-(CH2)-基、シクロヘキシル基、シクロヘキシル-(CH2)-基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、イミダゾリル-(CH2)-基、もしくはインドリル-(CH2)-基であって、任意にそれぞれ独立にF、Cl、Br、I、ヒドロキシル基、オキソ基、シアノ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アジド基、ニトロ基、(C1-4)アルコシキ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、カルボキサミド基、SH、S(O)0-2CH3、もしくはグアニジノ基で一置換または二置換されたものであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R4がHであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R2、R3、R5、およびR6の一箇所、二箇所もしくは三箇所がHであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
R5がH、R6がH、もしくはR5とR6の両方ともがHであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R2、ならびにR3がH、F、Cl、OH、あるいは置換または非置換のC1-6アルキル基、フェニル基、もしくはベンジル基から独立に選択されることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
R5、ならびにR6がH、F、Clあるいは置換または非置換のC1-6アルキル基、フェニル基、もしくはベンジル基から独立に選択されることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
R2、R3、R5、およびR6のそれぞれがHであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物の90重量%以上が一種類のジアステレオマーであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物の90重量%以上が一種類のエナンチオマーであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
構造式IIの構造である請求項1記載の化合物および立体異性体、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、薬学的に許容される塩、ならびにこれらの混合物。
【化2】

(ここで、式中で
XはCH2、S、もしくはOであるか、またはXはCHであって結合している炭素原子の一つと二重結合を形成しており、
R1およびR4は独立にHあるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含む)
【請求項16】
R4がHであることを特徴とする、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
XがOもしくはSであることを特徴とする、請求項15記載の化合物。
【請求項18】
R1およびR4が独立に以下のものであることを特徴とする、請求項15記載の化合物。
a) H、
b) (C1-12)アルキル基、(C2-12)アルケニル基、(C2-12)アルキニル基、(C3-12)シクロアルキル基、(C3-12)(シクロアルキル)アルキル基、(C3-12)シクロアルケニル基、もしくは(C3-12)(シクロアルケニル)アルキル基であって、それぞれの基がR7で任意に一置換または独立に多置換されていて、前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基もしくは複素環基を含み、ここで
R7は、ハロゲン基、(C1-10)アルキル基、(C1-10)アルコキシ基、(C3-10)シクロアルキル基、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OC(O)NHR8、-OC(O)N(R8)2、-OR8、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、N-ヒドロキシイミノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アジド基、アミジノ基、グアニジノ基、アミノ基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であり、ここで前記アミノ基はR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OR8、もしくは-SR8で任意に一置換または独立に多置換され、前記アリール基、前記複素環基、および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されており、
それぞれのR8は、独立に(C1-10)アルキル基、(C2-10)アルケニル基、(C2-10)アルキニル基、(C3-10)シクロアルキル基、(C5-10)シクロアルケニル基、ベンジル基、フェネチル基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であって、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記シクロアルキル基、および前記シクロアルケニル基はR10で任意に一置換されもしくは独立に二置換されており、さらに前記アリール基、前記複素環基、および前記ヘテロアリール基はR11で任意に一置換または独立に多置換されており、
R9は、ハロゲン基、(C1-10)アルキル基、(C1-10)アルコキシ基、(C3-10)シクロアルキル基、-SR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OC(O)NHR8、-OC(O)N(R8)2、-OR8、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、N-ヒドロキシイミノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンジルオキシ基、アジド基、アミノ基、(C1-10)アルキルアミノ基、もしくは(C1-10)ジアルキルアミノ基であり、ここで前記アミノ基はR8、-SOR8、-SO2R8、-COR8、-CO2R8、-CONHR8、-CON(R8)2、-OR8、もしくは-SR8で任意に一置換または独立に多置換され、
R10はアリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であって、それぞれの基はR11で任意に一置換または独立に多置換されており、
R11は、ハロゲン基、(C1-10)アルキル基、(C1-10)アルコキシ基、(C1-10)アルキルアミノ基、(C1-10)ジアルキルアミノ基、フェニル基、フェノキシ基、ベンジル基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメチルチオ基、N-ヒドロキシイミノ基、シアノ基、カルボキシ基、アセトアミド基、ヒドロキシル基、スルホンアミド基、もしくはアミノ基であるか、
c) フェニル基、(C3-10)シクロアルキルに縮合したフェニル基、単環式へテロアリール、もしくは(C3-10)シクロアルキルに縮合した単環式へテロアリール、ここで前記フェニル基および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されているか、
d) インダニル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基、jが0、1、2、もしくは3である-(CH2)j-アダマンチル基、(4-ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタ-1-イル)アミン、または[2.2.1]二環式炭素環基もしくは[3.1.1]二環式炭素環基、ここで前記インダニル基、前記1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基、前記-(CH2)j-アダマンチル基、ならびに前記[2.2.1]二環式炭素環基もしくは前記[3.1.1]二環式炭素環基は、ヒドロキシル基、(C1-8)アルキル基、(C1-8)アルコキシ基、(C1-8)アルカノイルオキシ基、もしくはR12R13N-CO-O-で任意に一置換または独立に多置換されており、ここでR12およびR13は独立して(C1-8)アルキル基もしくはフェニル基であり、ここで前記アルキル基および前記フェニル基は(C1-8)アルキル基、(C1-8)アルコキシ基、ハロゲン基もしくはトリフルオロメチル基で任意に一置換または独立に多置換されているか、またはR12およびR13で一緒に(C3-6)アルキレン基であるか、
e) R14(CH2)p-、ここでR14はピロリル基、ピロリジニル基、2-オキソピロリジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チオフェニル基、チアゾリル基、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピリジニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、プリニル基、ピリミジニル基、キノリニル基、(C1-6)アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、(C1-8)シクロアルキル基、ナフチル基、シクロヘキセニル基もしくは、アダマンチル基であって、個々の基はR15で任意に一置換、または独立に二置換もしくは三置換されており、またR14は[3.3.3]二環式炭素環基であって(C1-8)アルキル基で任意に一置換または独立に多置換されており、pは0、1、2、もしくは3であり、
さらにここで、R15はハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、(C1-6)アルキル基、(C1-6)アルコキシ基、シクロアルキル基、カルボキシ基、-CONHR8、ヒドロキシル基、ヒドロキシ(C1-6)アルキル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基であり、ここで前記アリール基、前記複素環基、および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されているか、あるいは、
f) (R16)2CH(CH2)q-、ここでR16はフェニル基であって、前記フェニル基はR15で任意に一置換または独立に二置換されており、しかもqが0、1、2、もしくは3である。
【請求項19】
R1およびR4が独立に以下のものであることを特徴とする、請求項18記載の化合物。
a) H、
b) (C1-12)アルキル基、(C2-12)アルケニル基、(C2-12)アルキニル基、(C3-12)シクロアルキル基、もしくは(C3-12)シクロアルケニル基、ここでそれぞれの基がR7で任意に一置換または独立に多置換されているか、
c) フェニル基、(C3-10)シクロアルキルに縮合したフェニル基、単環式へテロアリール、もしくは(C3-10)シクロアルキルに縮合した単環式へテロアリール、ここで前記フェニル基および前記ヘテロアリール基はR9で任意に一置換または独立に多置換されているか、
d) R14(CH2)p-、あるいは
e) (R16)2CH(CH2)q-。
【請求項20】
R1がH、またはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、シクロペンチル基、シクロペンチル-(CH2)-基、シクロヘキシル基、シクロヘキシル-(CH2)-基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、イミダゾリル-(CH2)-基、もしくはインドリル-(CH2)-基であって、任意にそれぞれ独立にF、Cl、Br、I、ヒドロキシル基、オキソ基、シアノ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アジド基、ニトロ基、(C1-4)アルコシキ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、カルボキシル基、カルボキサミド基、SH、S(O)0-2CH3、もしくはグアニジノ基で一置換または二置換されたものであることを特徴とする、請求項15記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物の90重量%以上が一種類のジアステレオマーであることを特徴とする、請求項15記載の化合物。
【請求項22】
前期化合物の90重量%以上が一種類のエナンチオマーであることを特徴とする、請求項15記載の化合物。
【請求項23】
ピロリジノニル環を含む八員の二環式複素環化合物であって、複素環はシアノ基で置換されており、塩基性の官能基のpKaが約6から約10であって、複素環がDPP-IVを抑制するときのKiが10μM以下である化合物。
【請求項24】
塩基性の官能基がアミノアルキル基もしくはアミノ基であることを特徴とする、請求項23記載の化合物。
【請求項25】
構造式IIIの構造を有する請求項23記載の化合物、および立体異性体、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、ならびにこれらの混合物。
【化3】

(ここで、式中で
XはCRR'、S、もしくはOであるか、またはXはCRであって結合している炭素原子の一つと二重結合を形成しており、
R1およびR4は独立にHあるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、
R、R'、R2、R3、R5およびR6は独立にH、F、Cl、Br、I、ORa、NRaRb、CN、NO2、C(O)Ra、C(O)ORb、C(O)NRaRb、NHC(O)Ra、NHC(O)ORa、あるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、あるいはR2およびR5がともに一つのオキソ基か、R3およびR6がともに一つのオキソ基か、またはR2およびR5とR3およびR6の両方とも、ひとまとめで一つのオキソ基であり、かつ
前述のRaおよびRbは、個々の場合において独立にHあるいは置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基である)
【請求項26】
R2、R3、R5、およびR6のそれぞれがHであることを特徴とする、請求項25記載の化合物。
【請求項27】
請求項25記載の化合物において、化合物が
6-アミノ-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-メチル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル、
6-アミノ-6-エチル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-イソプロピル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-シクロペンチル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-シクロヘキシル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-イソブチル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-sec-ブチル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-5-オキソ-6-フェネチル-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-ベンジル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-シクロヘキシルメチル-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
6-アミノ-6-(4-フルオロ-フェニル)-5-オキソ-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、もしくは
6-アミノ-5-オキソ-6-フェニル-へキサヒドロ-ピロロ[2,1-b]チアゾール-3-カルボニトリル塩酸塩、
であることを特徴とする化合物。
【請求項28】
構造式IVの構造を有する化合物および立体異性体、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、ならびにこれらの混合物。
【化4】

(ここで、式中で
XはCRR'、S、もしくはOであるか、またはXはCRであって結合している炭素原子の一つと二重結合を形成しており、
R1はHあるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、
R、R'、R2、R3、R5およびR6は独立にH、F、Cl、Br、I、ORa、NRaRb、CN、NO2、C(O)Ra、C(O)ORb、C(O)NRaRb、NHC(O)Ra、NHC(O)ORa、あるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、あるいはR2およびR5がともに一つのオキソ基か、R3およびR6がともに一つのオキソ基か、またはR2およびR5とR3およびR6の両方とも、ひとまとめで一つのオキソ基であり、かつ
前述のRaおよびRbは、個々の場合において独立にHあるいは置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、
R4はH、アミノ保護基、あるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含み、かつ
R4aはアミノ保護基であるか、もしくはR4aがR4とともに環状のアミノ保護基を構成する)
【請求項29】
R4はHであって、R4aはアミノ保護基であることを特徴とする請求項28記載の化合物。
【請求項30】
構造式IVAの構造を有する請求項28記載の化合物。
【化5】

【請求項31】
構造式IVBの構造を有する請求項30記載の化合物であって
【化6】

R17が置換または非置換の(C1-6)アルキル基もしくは(C6-20)アラルキル基であることを特徴とする化合物。
【請求項32】
R17が非置換のt-ブチル基、ベンジル基、もしくはフルオレン-9-イルメチル基であることを特徴とする、請求項31記載の化合物。
【請求項33】
XがSであることを特徴とする、請求項30記載の化合物。
【請求項34】
請求項28記載の化合物を生産する方法において、
構造式Vの構造を有する化合物、立体異性体、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、もしくはこれらの混合物を構造式IVの化合物を調製するために脱水剤にさらすステップをふくみ、
【化7】

X、R1、R2、R3、R4、R4a、R5、およびR6が構造式IVで定義されているとおりであることを特徴とする方法。
【請求項35】
脱水剤が無水トリフルオロ酢酸もしくはメチルN-(トリエチルアンモニオスルホニル)カルバメートであることを特徴とする、請求項34記載の方法。
【請求項36】
請求項34記載の方法において、
さらに前記アミノ保護基もしくは前記構造式IVの化合物の官能基を除去するステップを含む、
構造式IIIの化合物および立体異性体、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、ならびにこれらの混合物を調製するための方法。
【化8】

(ここで、式中で
XはCRR'、S、もしくはOであるか、またはXはCRであって結合している炭素原子の一つと二重結合を形成しており、
R1およびR4は独立にHあるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、
R、R'、R2、R3、R5およびR6は独立にH、F、Cl、Br、I、ORa、NRaRb、CN、NO2、C(O)Ra、C(O)ORb、C(O)NRaRb、NHC(O)Ra、NHC(O)ORa、あるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、あるいはR2およびR5がともに一つのオキソ基か、R3およびR6がともに一つのオキソ基か、またはR2およびR5とR3およびR6の両方とも、ひとまとめで一つのオキソ基であり、かつ
前述のRaおよびRbは、個々の場合において独立にHあるいは置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基である)
【請求項37】
請求項34記載の方法において、構造式Vが以下の構造式VAの構造を有すること
【化9】

および構造式IVの化合物が以下の構造式IVAの構造を有することを特徴とする方法。
【化10】

【請求項38】
請求項37記載の方法において、
さらに前記アミノ保護基もしくは前記構造式VAの化合物の官能基を除去するステップを含む、
構造式Iの化合物および立体異性体、溶媒和化合物、水和物、互変異性体、プロドラッグ、薬学的に許容される塩、ならびにこれらの混合物を調製するための方法。
【化11】

(ここで、式中で
XはCRR'、S、もしくはOであるか、またはXはCRであって結合している炭素原子の一つと二重結合を形成しており、
R1およびR4は独立にHあるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、
R、R'、R2、R3、R5およびR6は独立にH、F、Cl、Br、I、ORa、NRaRb、CN、NO2、C(O)Ra、C(O)ORb、C(O)NRaRb、NHC(O)Ra、NHC(O)ORa、あるいは、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基であり、ここで前記アルキル基、前記アルケニル基、および前記アルキニル基、ならびに前記(シクロアルキル)アルキル基、前記(シクロアルケニル)アルキル基、前記アラルキル基、および前記複素環アルキル基のアルキル基部分は、任意かつ独立に、O、NH、S、SO、SO2から選択された1、2もしくは3の基、あるいは3員、4員、5員、もしくは6員環である二価の炭素環基または複素環基を含むか、あるいはR2およびR5がともに一つのオキソ基か、R3およびR6がともに一つのオキソ基か、またはR2およびR5とR3およびR6の両方とも、ひとまとめで一つのオキソ基であり、かつ
前述のRaおよびRbは、個々の場合において独立にHあるいは置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基、シクロアルケニル基、(シクロアルケニル)アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、もしくは複素環アルキル基である)
【請求項39】
ジペプチジルペプチダーゼ-IVを請求項1記載の化合物に接触させるステップを含むことを特徴とする、ジペプチジルペプチダーゼ-IVを抑制する方法。
【請求項40】
請求項39記載の方法において、
ジペプチジルペプチダーゼ-IVが他の1種類以上のジペプチジルペプチダーゼ類と比較して5倍以上抑制されていることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項39記載の方法において、
構造式Iの化合物が、ジペプチジルペプチダーゼ-VIIよりジペプチジルペプチダーゼ-IVを選択的に抑制することを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項39記載の方法において、
構造式Iの化合物が、ジペプチジルペプチダーゼ-VIIIよりジペプチジルペプチダーゼ-IVを選択的に抑制することを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項39記載の方法において、
構造式Iの化合物が、ジペプチジルペプチダーゼ-IXよりジペプチジルペプチダーゼ-IVを選択的に抑制することを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項39記載の方法において、
構造式Iの化合物が、繊維芽細胞活性化タンパクよりジペプチジルペプチダーゼ-IVを選択的に抑制することを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項39記載の方法において、
構造式Iの化合物が、ジペプチジルペプチダーゼ-VIIIおよび繊維芽細胞活性化タンパクより、ジペプチジルペプチダーゼ-IVを選択的に抑制することを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項39記載の方法において、
構造式Iの化合物が、ジペプチジルペプチダーゼ-VII、ジペプチジルペプチダーゼ-VIII、および繊維芽細胞活性化タンパクより、ジペプチジルペプチダーゼ-IVを選択的に抑制することを特徴とする方法。
【請求項47】
ジペプチジルペプチダーゼ-IVが介在する症状を、処置、調整、もしくは予防する方法において、
このような処置を必要とする哺乳類に有効量の請求項1記載の化合物を投与するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項47記載の方法において、
前記化合物がジペプチジルペプチダーゼ-IVを少なくとも1種類以上の他のジペプチジルペプチダーゼ酵素と比較して5倍以上抑制することを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項47記載の方法において、インスリン抵抗性が前記症状に含まれることを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項47記載の方法において、
島新生、β-細胞の生存、もしくはインスリン生合成がそれによって促進されることを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項47記載の方法において、
(1)高血糖症、(2)耐糖能が低いこと、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)アテローマ性動脈硬化症およびその続発症、(7)血管再狭窄、(8)過敏性腸管症候群、(9)炎症症状、(10)成長ホルモンの欠乏、(11)HIV感染、(12)膵炎、(13)腹部の肥満症、(14)神経変性の疾病、(15)多発性硬化症、(16)網膜症、(17)ネフロパチー、(18)ニューロパチー、(19)シンドロームX、(20)卵巣アンドロゲン過剰症、(21)移植手術における同種移植片拒絶、(22)糖尿病、(23)好中球減少症、(24)貧血、(25)神経疾患、(26)腫瘍の増殖および転移、(27)良性の前立腺肥大症、(28)歯肉炎、(29)高血圧、(30)骨粗しょう症、(31)代謝異常、(32)糖尿病合併症、(33)グルコースホメオスタシスの異常、(34)不妊症、(35)多嚢胞性卵巣症候群、(36)成長障害、(37)虚弱体質、(38)自己免疫疾患、(39)腸疾患、または(40)神経性食欲不振、のうちの1種類以上が前記症状であることを特徴とする方法。
【請求項52】
前記症状が糖尿病であることを特徴とした、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記糖尿病が非インスリン依存性糖尿病であることを特徴とした、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記糖尿病がインスリン依存性糖尿病であることを特徴とした、請求項52記載の方法。
【請求項55】
前記症状が高血糖症であることを特徴とした、請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記症状が肥満症であることを特徴とした、請求項51記載の方法。
【請求項57】
前記症状がインスリン抵抗性であることを特徴とした、請求項51記載の方法。
【請求項58】
請求項51記載の方法について、
前記脂質障害が異常脂肪血症、高脂血症、高グリセリド血症、高コレステロール血症、HDLが低いこと、もしくはLDLが高いことから選択されたことを特徴とした方法。
【請求項59】
請求項51記載の方法について、
前記炎症症状が炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、もしくは関節リウマチであることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項51記載の方法について、
以下のものからなる群から選択された1種類以上の適切な化合物を投与するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
a) 他のジペプチジルペプチダーゼ-IV抑制剤、
b) (i) PPARアゴニスト、(ii) ビグアナイド類、および(iii) プロテインホスファターゼ-1B抑制剤からなる群から選択されたインスリン抵抗性改善薬、
c) インスリンもしくはインスリン模倣薬、
d) スルホニル尿素類もしくは他のインスリン分泌促進薬、
e) α-グルコシダーゼ抑制剤、
f) グルカゴン受容体アゴニスト、
g) GLP-1、GLP-1模倣薬、およびGLP-1受容体アゴニスト、
h) GLP-2、GLP-2模倣薬、およびGLP-2受容体アゴニスト、
i) GIP、GIP模倣薬、およびGIP受容体アゴニスト、
j) PACAP、PACAP模倣薬、およびPACAP受容体3アゴニスト、
k) HMG-CoAレダクターゼ抑制剤、補足剤、ニコチニルアルコール、ニコチン酸もしくはその塩、PPARαアゴニスト、PPARα/γ二重アゴニスト、コレステロール吸着の抑制剤、アシルCoAすなわちコレステロールアシル基転移酵素抑制剤、ならびに抗酸化剤、からなる群から選択されたコレステロール低下薬、
l) PPARδアゴニスト、
m) 抗肥満剤、
n) 回腸の胆汁酸輸送抑制剤、
o) 抗炎症薬、
p) G-CSF、G-CSF模倣薬、およびG-CSF受容体アゴニスト、ならびに
q) EPO、EPO模倣薬、およびEPO受容体アゴニスト。
【請求項61】
請求項51記載の方法において、前記症状が糖尿病であって、
そのような処置が必要な哺乳類に治療的に有効量の、他のジペプチジルペプチダーゼ-IV抑制剤、インスリン抵抗性改善薬、インスリンもしくはインスリン模倣薬、スルホニル尿素類もしくは他のインスリン分泌促進薬、α-グルコシダーゼ抑制剤、グルカゴン受容体アゴニスト、GLP-1、GLP-1模倣薬、およびGLP-1受容体アゴニスト、GLP-2、GLP-2模倣薬、およびGLP-2受容体アゴニスト、GIP、GIP模倣薬、およびGIP受容体アゴニスト、PACAP、PACAP模倣薬、およびPACAP受容体3アゴニスト、PPARδアゴニスト、抗肥満剤、または回腸の胆汁酸輸送抑制剤を投与するステップをさらに含むことを特徴とする前記方法。
【請求項62】
請求項51記載の方法において、前記1種類以上の症状が高コレステロール血症、アテローマ性動脈硬化症、HDLレベルが低いこと、LDLレベルが高いこと、高脂血症、高トリグリセリド血症、および異常脂肪血症からなる群から選択された症状であって、
そのような処置が必要な哺乳類に治療的に有効量の、あるHMG-CoAレダクターゼ抑制剤を投与するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項63】
HMC-CoAレダクターゼ抑制剤がスタチンであることを特徴とする、請求項62記載の方法。
【請求項64】
前記スタチンがロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD-4522およびリバスタチンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記症状がアテローマ性動脈硬化症であることを特徴とする、請求項62記載の方法。
【請求項66】
HMC-CoAレダクターゼ抑制剤がスタチンであることを特徴とする、請求項65記載の方法。
【請求項67】
前記スタチンがロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD-4522およびリバスタチンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項66記載の方法。
【請求項68】
肥満症の処置、調整、もしくは予防のための請求項51記載の方法において、
このような処置を必要とする哺乳類に治療上有効量の抗肥満剤を投与するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項69】
前記抗肥満剤が、ベータ-3アドレナリンアゴニスト、リパーゼ抑制剤、セロトニン再取り込み抑制剤およびドパミン再取り込み抑制剤、甲状腺受容体ベータ化合物、食欲抑制剤、脂肪酸酸化促進剤、もしくは、それらの任意の二種類以上の混合物であることを特徴とする、請求項68記載の方法。
【請求項70】
前記抗肥満剤が、オーリスタット、ATL-962、AJ9677、L750355、CP331648、シブトラミン、トピラメート、アクソキン、デキスアンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、ファモクシン、マジンドールもしくはそれらの任意の2種類以上の混合物であることを特徴とする、請求項68記載の方法。
【請求項71】
請求項51記載の方法において、前記症状が好中球減少症であって、
このような処置を必要とする哺乳類に治療上有効量の好中性の薬剤を投与するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項72】
前記好中性の薬剤がG-CSF、G-CSF模倣薬、およびG-CSF受容体アゴニスト、もしくはそれらの任意の2種類以上の混合物であることを特徴とする、請求項71記載の方法。
【請求項73】
前記好中性の薬剤がペグフィルグラスチム、フィルグラスチム、レノグラスチム、ナルドグラスチムもしくはそれらの任意の2種類以上の混合物であることを特徴とする、請求項71の方法。
【請求項74】
請求項51記載の方法において、前記症状が貧血であって、
このような処置を必要とする哺乳類に、治療上有効量のエリスロポエチンアゴニストを投与するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項75】
前記エリスロポエチンアゴニストが、EPO、EPO模倣薬、およびEPO受容体アゴニスト、もしくはそれらの任意の2種類以上の混合物であることを特徴とする、請求項74記載の方法。
【請求項76】
前記エリスロポエチンアゴニストが、エポエチンアルファ、ダーベポエチンアルファ、もしくはそれらの任意の2種類以上の混合物であることを特徴とする、請求項74記載の方法。
【請求項77】
請求項1記載の化合物と、少なくとも1種類以上の薬学的に許容されるキャリアーもしくは希釈剤を含むことを特徴とする、薬学的組成物。
【請求項78】
以下のものを含むことを特徴とする、薬学的配合。
a) 請求項1記載の化合物、
b) 以下のものからなる群から選択された1種類以上の化合物
i) 他のジペプチジルペプチダーゼ-IV抑制剤、
ii) PPARアゴニスト、ビグアナイド類、およびプロテインホスファターゼ-1B抑制剤からなる群から選択されたインスリン抵抗性改善薬、
iii) インスリンもしくはインスリン模倣薬、
iv) スルホニル尿素類もしくは他のインスリン分泌促進薬、
v) α-グルコシダーゼ抑制剤、
vi) グルカゴン受容体アゴニスト、
vii) GLP-1、GLP-1模倣薬、およびGLP-1受容体アゴニスト、
viii) GIP、GIP模倣薬、およびGIP受容体アゴニスト、
ix) PACAP、PACAP模倣薬、およびPACAP受容体3アゴニスト、
x) GLP-2、GLP-2模倣薬、およびGLP-2受容体アゴニスト、
xi) HMG-CoAレダクターゼ抑制剤、補足剤、ニコチニルアルコール、ニコチン酸もしくはその塩、PPARαアゴニスト、PPARα/γ二重アゴニスト、コレステロール吸着の抑制剤、アシルCoAすなわちコレステロールアシル基転移酵素抑制剤、ならびに抗酸化剤、からなる群から選択されたコレステロール低下薬、
xii) PPARδアゴニスト、
xiii) 抗肥満剤、
xiv) 回腸の胆汁酸輸送抑制剤、
xv) 抗炎症薬、
xvi) G-CSF、G-CSF模倣薬、およびG-CSF受容体アゴニスト、ならびに
xvii) EPO、EPO模倣薬、およびEPO受容体アゴニスト。
【請求項79】
請求項78記載の薬学的配合において、さらにc)薬学的に許容されるキャリアーを含むことを特徴とする薬学的配合。
【請求項80】
1種類以上のHMG-CoAレダクターゼ抑制剤を含むことを特徴とする、請求項78記載の薬学的配合。
【請求項81】
1種類以上の抗糖尿病薬を含むことを特徴とする、請求項78記載の薬学的配合。
【請求項82】
請求項81記載の薬学的配合であって、
抗肥満剤、脂質調節剤、もしくは抗肥満剤と脂質調節剤の両方をさらに含み、
抗糖尿病薬がジペプチジルペプチダーゼ-IV抑制剤でないことを特徴とする、薬学的配合。
【請求項83】
請求項82記載の薬学的配合であって、
抗糖尿病薬がビグアナイド、スルホニル尿素、グルコシダーゼ抑制剤、PPARγアゴニスト、PPARα/γ二重アゴニスト、SGLT2抑制剤、aP2抑制剤、グリコーゲンホスホリラーゼ抑制剤、AGE抑制剤、インスリン抵抗性改善薬、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)もしくはその模倣薬、インスリンならびにメグリチナイドからなる群から選択された1種類、2種類、3種類もしくはそれ以上の化合物であることを特徴とした、薬学的配合。
【請求項84】
請求項82記載の薬学的配合であって、
抗糖尿病薬がメトホルミン、グリブリド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、クロルプロパミド、グリクラジド、アカルボース、ミグリトール、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、インスリン、Gl-262570、イサグリタゾン、JTT-501、NN-2344、L895645、YM-440、R-119702、AJ9677、レパグリニド、ナテグリニド、KAD1129、APR-HO39242、GW-409544、KRP297、AC2993、エクセンディン-4、LY307161、NN2211およびLY315902からなる群から選択された1種類、2種類、3種類もしくはそれ以上の化合物であることを特徴とした、薬学的配合。
【請求項85】
前記構造式Iの化合物が抗糖尿病薬に対して約0.01から約100:1の重量比で存在することを特徴とする、請求項82記載の薬学的配合。
【請求項86】
前記抗肥満剤が、ベータ-3アドレナリンアゴニスト、リパーゼ抑制剤、セロトニン再取り込み抑制剤(およびドパミン再取り込み抑制剤)、甲状腺受容体ベータ化合物、食欲抑制剤、脂肪酸酸化促進剤、もしくは、それらの任意の二種類以上の混合物であることを特徴とする、請求項82記載の薬学的配合。
【請求項87】
前記抗肥満剤が、オーリスタット、ATL-962、AJ9677、L750355、CP331648、シブトラミン、トピラメート、アクソキン、デキスアンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、ファモクシン、マジンドールもしくはそれらの任意の2種類以上の混合物であることを特徴とする、請求項86記載の薬学的配合。
【請求項88】
請求項82記載の薬学的配合であって、
前記脂質調節剤がMTP抑制剤、HMG CoAレダクターゼ抑制剤、スクアレンシンテターゼ抑制剤、フィブリン酸誘導体、LDL受容体活性上昇剤、リポキシゲナーゼ抑制剤、ACAT抑制剤、コレステリルエステル輸送タンパク質抑制剤、ATPクエン酸リアーゼ抑制剤、もしくはこれらの任意の2種類以上の混合物であることを特徴とする薬学的配合。
【請求項89】
請求項88記載の薬学的配合であって、
前記脂質調節剤がプラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ニスバスタチン、ビザスタチン、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、インプリタピド、CP-529,414、アバスイミド(avasimibe)、TS-962、MD-700、LY295427、もしくはこれらの任意の2種類以上の混合物であることを特徴とする薬学的配合。
【請求項90】
前記構造式Iの化合物が前記脂質調節剤に対して約0.01から約100:1の重量比で存在することを特徴とする、請求項82記載の薬学的配合。
【請求項91】
請求項1記載のDPP-IV抑制性の化合物、ならびに、処置のための薬剤、多嚢胞性卵巣症候群の処置のための薬剤、成長障害および/または虚弱体質を処置するための薬剤、抗関節炎薬剤、移植手術における同種移植片拒絶を予防もしくは抑制するための薬剤、自己免疫疾患を処置するための薬剤、抗エイズ薬剤、炎症性腸炎/腸の炎症性症候群を処置するための薬剤、神経性食欲不振を処置するための薬剤、抗骨粗しょう症の薬剤、抗肥満剤もしくはこれらの任意の2種類以上の混合物を含むことを特徴とする、薬学的配合。

【公表番号】特表2008−505975(P2008−505975A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521571(P2007−521571)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/024695
【国際公開番号】WO2006/017292
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(506159943)フェノミックス コーポレーション (8)
【氏名又は名称原語表記】PHENOMIX CORPORATION
【Fターム(参考)】