力検出機能をもった駆動装置
【課題】駆動機能と力検出機能を備えた装置の構造単純化を図る。
【解決手段】基板100と基板200を、Z軸が中心軸となるように、XY平面に平行に配置する。4本のリニアアクチュエータP10〜P40を、X軸の正側および負側、Y軸の正側および負側にそれぞれ配置し、その上下両端を、転がり球面軸受Q10〜Q40、R10〜R40を介して各基板に接続する。各基板の中心には、接続部材P50を配置し、上端を転がり球面軸受Q50を介して基板100に接続し、下端を基板200に固着する。P10〜P40を伸縮駆動することにより、上方基板100をX軸/Y軸まわりに回転駆動させる。可撓性導電膜201〜204と、基板300上の固定電極E10〜E40とによって容量素子が構成され、その静電容量値の変化に基づいて、基板100に作用したX軸/Y軸まわりのモーメントMx,Myを検出する。
【解決手段】基板100と基板200を、Z軸が中心軸となるように、XY平面に平行に配置する。4本のリニアアクチュエータP10〜P40を、X軸の正側および負側、Y軸の正側および負側にそれぞれ配置し、その上下両端を、転がり球面軸受Q10〜Q40、R10〜R40を介して各基板に接続する。各基板の中心には、接続部材P50を配置し、上端を転がり球面軸受Q50を介して基板100に接続し、下端を基板200に固着する。P10〜P40を伸縮駆動することにより、上方基板100をX軸/Y軸まわりに回転駆動させる。可撓性導電膜201〜204と、基板300上の固定電極E10〜E40とによって容量素子が構成され、その静電容量値の変化に基づいて、基板100に作用したX軸/Y軸まわりのモーメントMx,Myを検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力検出機能をもった駆動装置に関し、特に、ロボットの関節部分などに利用するのに適し、所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、当該作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットや産業機械では、各部に様々な動作をさせるため、関節部分に駆動装置が取り付けられている。たとえば、ロボットアーム(腕)とグリッパー(手)を接続する手首の関節部分には、グリッパー(手)を任意の方向に駆動する駆動装置が設けられる。ロボットの足首の関節部分についても同様である。たとえば、下記の特許文献1には、サーボ制御が可能な回転モータで3組のリンクを駆動するロボットの手首用駆動装置が開示されており、特許文献2には、6本のリニアアクチュエータを用いて、多自由度マニピュレータとして機能するロボットアーム用駆動装置が開示されている。また、特許文献3には、プーリとベルトを用いて構成したロボット用の手首駆動装置が開示されている。
【0003】
一方、ロボットや産業機械では、その動作制御を行うために、種々のタイプの力検出装置が利用されている。特に、ロボットアームの手首部分に取り付けて、グリッパーに加わる負荷を検出するための力検出装置としては、できるだけ構造が単純であり、三次元空間内での各座標軸に関する力をそれぞれ独立して検出できる装置が望まれている。一般に、力検出装置の検出対象には、所定の座標軸方向を向いた力成分と、所定の座標軸まわりのモーメント成分とがあり、三次元空間内にXYZ三次元座標系を定義した場合、検出対象は、各座標軸方向の力成分Fx,Fy,Fzと、各座標軸まわりのモーメント成分Mx,My,Mzとの6つの成分になる。
【0004】
このような6つの力成分をそれぞれ独立して検出することができる力検出装置として、たとえば、下記の特許文献4には、比較的単純な構造をもった装置が開示されている。この特許文献4に開示された技術は、既に米国特許第6915709号・米国特許第7121147号・欧州特許第1464939号が付与されている技術であり、2枚の基板を複数の柱状体で接続した構造物を用意し、一方の基板を固定した状態において他方の基板に力を加えたときに、各柱状体の変位を個別に測定することにより、加えられた力の各成分を検出するものである。
【0005】
また、下記の特許文献5に開示されている技術も、既に米国特許第7219561号が付与されている技術である。この技術によれば、各柱状体の変位を個別に測定するセンサとして静電容量素子を用い、この静電容量素子を構成する特定の電極間に配線を施すことにより、加えられた力の各成分を検出するための演算を単純化することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−038886号公報
【特許文献2】特開2001−004005号公報
【特許文献3】特開2006−007355号公報
【特許文献4】特開2004−354049号公報
【特許文献5】特開2004−325367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したとおり、ロボットや産業機械の駆動制御を行うためには、関節部分に、駆動装置とともに力検出装置を設ける必要がある。たとえば、アームの先に手首を介してグリッパーが接続されたロボットの場合、手首から先のグリッパーの部分を駆動するための駆動装置を手首の関節に取り付けるとともに、グリッパーの部分に作用した力を検出するための力検出装置を手首の関節に取り付けるのが好ましい。このように、ロボットの手首に取り付けるのに適した駆動装置や力検出装置は、たとえば、前掲の各特許文献に開示されているように、様々なタイプのものが知られている。
【0008】
しかしながら、従来提案されている一般的な駆動装置および力検出装置を、ロボットや産業機械の関節部分に組み込むと、関節部分の構造が複雑になり、また、関節部分が大型化せざるを得ない。構造が複雑になれば、製造コストも嵩むことになる。特に、ロボットアームの手首の構造部は、できるだけ単純な構造で構成するのが好ましいが、前掲の各特許文献に開示されている駆動装置および力検出装置を、それぞれ別個に手首部分に組み込むようにすると、手首の構造部の単純化を図るのは困難である。
【0009】
そこで本発明は、ロボットや産業機械などの関節部分を構成するのに適し、駆動機能とともに力検出機能を備え、かつ、構造の単純化を図ることが可能な力検出機能をもった駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明の第1の態様は、所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する力検出機能をもった駆動装置において、
作用体として機能する上方構造体と、
上方構造体の下方に配置された下方構造体と、
上端が上方構造体の下面側に第1の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第1の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第1の伸縮駆動機構をもった第1の接続部材と、
上端が上方構造体の下面側に第2の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第2の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第2の伸縮駆動機構をもった第2の接続部材と、
上端が上方構造体の下面側に第3の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第3の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第3の伸縮駆動機構をもった第3の接続部材と、
上端が上方構造体の下面側に第4の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第4の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第4の伸縮駆動機構をもった第4の接続部材と、
第1〜第4の接続部材の下端の下方構造体に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出する第1〜第4のセンサと、
第1〜第4の伸縮駆動機構に所定の電気信号を与えて第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さがそれぞれ所望の長さになるように調整する駆動動作と、第1〜第4のセンサの検出結果に基づいて、作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作と、を行う制御ユニットと、
を設け、
第1〜第4の上方接続部は、それぞれ第1〜第4の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、それぞれ第1〜第4の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有するようにし、
第1〜第4の下方接続部は、それぞれ第1〜第4の接続部材の下端付近が下方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、かつ、下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、それぞれ第1〜第4の接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有するようにしたものである。
【0011】
(2) 本発明の第2の態様は、上述した第1の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に固着された第5の接続部材を更に設け、
第5の上方接続部は、第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有するようにしたものである。
【0012】
(3) 本発明の第3の態様は、上述した第2の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致するようにし、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、を行うようにしたものである。
【0013】
(4) 本発明の第4の態様は、上述した第1の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第5の下方接続部を介して接続された第5の接続部材と、
第5の接続部材の下端の下方構造体に対する上下方向に関する変位を検出する第5のセンサと、
を更に設け、
制御ユニットは、第1〜第5のセンサの検出結果に基づいて、作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作を行い、
第5の上方接続部は、第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有するようにし、
第5の下方接続部は、第5の接続部材の下端付近が下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、第5の接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有するようにしたものである。
【0014】
(5) 本発明の第5の態様は、上述した第4の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致するようにし、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、第5のセンサの検出値もしくは第1〜第5のセンサの検出値の総和に基づく電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したZ軸方向の力Fzの検出値として出力するZ軸方向検出動作と、を行うようにしたものである。
【0015】
(6) 本発明の第6の態様は、上述した第1の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第5の下方接続部を介して接続された第5の接続部材を更に設け、
第5の上方接続部は、第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有するようにし、
第5の下方接続部は、第5の接続部材の下端付近が下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、第5の接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有するようにしたものである。
【0016】
(7) 本発明の第7の態様は、上述した第6の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致するようにし、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、第1〜第4のセンサの検出値の総和に基づく電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したZ軸方向の力Fzの検出値として出力するZ軸方向検出動作と、を行うようにしたものである。
【0017】
(8) 本発明の第8の態様は、上述した第1の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に固着され、上下両端間に外力として加えられた伸張力もしくは圧縮力に応じて上下両端間の長さを変える伸縮従動機構をもった第5の接続部材を更に設け、
第5の上方接続部は、第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有するようにしたものである。
【0018】
(9) 本発明の第9の態様は、上述した第8の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致するようにし、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、第1〜第4のセンサの検出値の総和に基づく電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したZ軸方向の力Fzの検出値として出力するZ軸方向検出動作と、を行うようにしたものである。
【0019】
(10) 本発明の第10の態様は、上述した第1〜第9の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
すべての上方接続部および第1〜第4の下方接続部が、転がり球面軸受を含む構造体によって構成されているようにしたものである。
【0020】
(11) 本発明の第11の態様は、上述した第3,第5,第7,第9のいずれかの態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
「標準姿勢」の状態では、第1の接続部材と第2の接続部材とがYZ平面に関して面対称をなし、第3の接続部材と第4の接続部材とがXZ平面に関して面対称をなすようにしたものである。
【0021】
(12) 本発明の第12の態様は、上述した第3,第5,第7,第9のいずれかの態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
上方構造体が平板状の上方基板からなり、下方構造体が平板状の下方基板からなり、「標準姿勢」の状態では、上方基板および下方基板の基板面が、XY平面に平行になるように構成したものである。
【0022】
(13) 本発明の第13の態様は、上述した第12の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
下面の4カ所に溝が形成された中間基板を、下方基板の上面に接合し、これら溝の底部には、それぞれ可撓性をもった膜部が形成されるようにし、
第1〜第4の下方接続部が、中間基板と、各膜部の上面に固定された転がり球面軸受と、によって構成されており、第1〜第4の接続部材の下端が転がり球面軸受、膜部、溝の側壁部を介して、下方基板に接続されるようにしたものである。
【0023】
(14) 本発明の第14の態様は、上述した第13の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
第1〜第4のセンサが、各膜部に形成された変位電極と、これら各変位電極に対向する下方基板の上面位置に固定された固定電極と、からなる容量素子によって構成されているようにしたものである。
【0024】
(15) 本発明の第15の態様は、上述した第14の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
中間基板が導電性材料から構成されており、膜部自身が変位電極として機能するようにしたものである。
【0025】
(16) 本発明の第16の態様は、上述した第1〜第15の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
第1〜第4の接続部材を、
外側筒状部と、その内側に嵌合した内側柱状部と、を同一の軸上に配置してなる構造部と、
与えられた電気信号に基づいて、内側柱状部を外側筒状部に対して、上記軸に沿った方向に摺動させることにより全長を所望の長さに調整し、当該長さを維持させる伸縮駆動機構と、
を有するリニアアクチュエータによって構成したものである。
【0026】
(17) 本発明の第17の態様は、上述した第16の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
リニアアクチュエータが、外側筒状部に対して内側柱状部を機械的に固定するロック機構を有するようにし、
制御ユニットが、検出動作を行う際には、このロック機構により、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さを一定に維持する制御を行うようにしたものである。
【0027】
(18) 本発明の第18の態様は、上述した第16の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
リニアアクチュエータが、外側筒状部内に設けられた圧力室の圧力を制御するポンプと、圧力室の圧力を測定する圧力センサと、を有するようにし、
制御ユニットが、駆動動作を行う際には、ポンプに所定の駆動信号を与えて内側柱状部を摺動させることにより、リニアアクチュエータの全長を所望の長さに調整し、検出動作を行う際には、圧力センサによる測定値が一定となるようにポンプに所定の駆動信号を与えてフィードバック制御を行うようにしたものである。
【0028】
(19) 本発明の第19の態様は、所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する力検出機能をもった駆動装置において、
作用体として機能する上方構造体と、
上方構造体の下方に配置された下方構造体と、
下方構造体の上方位置に上方構造体が、少なくとも所定の1方向に傾斜可能な状態で支持されるように、上方構造体と下方構造体とを接続する中央接続部材と、
上端が上方構造体の下面側に上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える伸縮駆動機構をもち、中央接続部材の周囲に配置された複数N本の周辺接続部材と、
複数N本の周辺接続部材の下端の下方構造体に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出するセンサと、
伸縮駆動機構に所定の電気信号を与えて複数N本の周辺接続部材の上下両端間の長さがそれぞれ所望の長さになるように調整する駆動動作と、センサの検出結果に基づいて、作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作と、を行う制御ユニットと、
を備え、
上方接続部は、周辺接続部材の上端付近が上方構造体に対して少なくとも所定の1方向に傾斜可能となるように、周辺接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有し、
下方接続部は、周辺接続部材の下端付近が下方構造体に対して少なくとも所定の1方向に傾斜可能となるように、かつ、下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、周辺接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有するようにしたものである。
【0029】
(20) 本発明の第20の態様は、上述した第19の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
下方構造体が平板状の下方基板からなり、その基板面に対して平行なXY平面をもったXYZ三次元座標系を定義したときに、中央接続部材の中心軸がZ軸上にくるように、中央接続部材の下端が下方構造体に固着されており、中央接続部材の上端による上方構造体の支持中心点が常にZ軸上に維持されるように構成したものである。
【0030】
(21) 本発明の第21の態様は、上述した第20の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
中央接続部材が、上下両端間に外力として加えられた伸張力もしくは圧縮力に応じて上下両端間の長さを変える伸縮従動機構を有し、中央接続部材の長さの変化に応じて、中央接続部材の上端による上方構造体の支持中心点がZ軸に沿って移動するようにしたものである。
【0031】
(22) 本発明の第22の態様は、上述した第19〜第21の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
中央接続部材の周囲に第1〜第4の周辺接続部材を配置し、これら4本の周辺接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態、かつ、検出対象となる力が作用していない状態では、第1の周辺接続部材の中心軸と第2の周辺接続部材の中心軸とが第1の平面上に位置し、第3の周辺接続部材の中心軸と第4の周辺接続部材の中心軸とが第1の平面に直交する第2の平面上に位置し、第1の平面に関して第3の周辺接続部材と第4の周辺接続部材とが面対称をなし、第2の平面に関して第1の周辺接続部材と第2の周辺接続部材とが面対称をなすようにしたものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る装置では、上方構造体と下方構造体とが、伸縮駆動機能をもった4本の接続部材によって接続されるので、これら接続部材を伸縮駆動することにより、上方構造体を下方構造体に対して駆動することができる。また、個々の接続部材の下端の上下方向に関する変位を検出するセンサが設けられているため、上方構造体に対して作用した特定方向の力を検出することも可能になり、駆動機能とともに力検出機能を備えた装置が実現できる。
【0033】
このように、本発明に係る装置は、1台の装置でありながら、駆動装置と力検出装置との双方を兼ねる働きをするため、駆動装置と力検出装置とをそれぞれ別個に設ける場合に比べて、全体の構造を単純化することができ、小型化を実現することができ、コスト低減を図ることもできる。また、上方構造体と下方構造体とを接続部材で接続した構造をとるため、ロボットや産業機械などの関節部分を構成するのに適した単純な構造をもった装置になる。
【0034】
4本の接続部材の上下両端は、端部が任意の方向に傾斜可能となるような構造をもった接続部材(たとえば、転がり球面軸受を利用した部材)を介して上下の構造体に接続されることになるが、上端のみが任意の方向に傾斜可能となるように接続された第5の接続部材を付加すれば、この第5の接続部材によって、上方構造体を下方構造体に対して安定して支持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る力検出機能をもった駆動装置の縦断面図である(制御ユニット400はブロックで示す)。
【図2】図1に示す装置に用いられている接続部材P10の拡大縦断面図である(ポンプの部分はブロックで示す)。
【図3】図1に示す装置に用いられている転がり球面軸受Q10の拡大縦断面図である。
【図4】図1に示す装置をXY平面で切断し、上方部分を見上げた状態を示す横断面図である。
【図5】図1に示す装置を切断線5−5に沿った面で切断し、下方部分を見下ろした状態を示す横断面図である。
【図6】図1に示す装置を切断線6−6に沿った面で切断し、下方部分を見下ろした状態を示す横断面図である(破線は、中間基板200に設けられた溝および下方基板300に設けられた固定電極を示す)。
【図7】図1に示す装置の中間基板200の下面図である。
【図8】図1に示す装置の下方基板300の上面図である。
【図9】図1に示す装置における上方基板100(作用体)を+Y軸まわりに駆動した状態を示す縦断面図である(制御ユニット400はブロックで示す)。
【図10】図1に示す装置の駆動動作を示すテーブルである。
【図11】図1に示す装置における上方基板100(作用体)に対してY軸まわりのモーメント+Myが作用した状態を示す縦断面図である(制御ユニット400はブロックで示す)。
【図12】図1に示す装置の検出動作を示すテーブルである。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る力検出機能をもった駆動装置の縦断面図である(制御ユニット450はブロックで示す)。
【図14】図13に示す装置の検出動作を示すテーブルである。
【図15】図13に示す装置における上方基板100(作用体)に対して+Z軸方向の力+Fzが作用した状態を示す縦断面図である。
【図16】図13に示す装置における上方基板100(作用体)に対して−Z軸方向の力−Fzが作用した状態を示す縦断面図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る力検出機能をもった駆動装置の縦断面図である(制御ユニット480はブロックで示す)。
【図18】図17に示す装置の駆動動作を示すテーブルである。
【図19】図2に示す接続部材の変形例P10′を示す拡大縦断面図である。
【図20】図1に示す駆動装置を手首の関節部分に用いたロボットアームの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を図示するいくつかの実施形態に基づいて説明する。
【0037】
<<< §1. 第1の実施形態の構造 >>>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る力検出機能をもった駆動装置の縦断面図である(制御ユニット400はブロックで示す)。この装置の主たる構成要素は、上方基板100、中間基板200、下方基板300という3枚の平板状基板と、第1〜第5の接続部材P10〜P50という5本の柱状接続部材である(図1には、3本の接続部材P10,P20,P50のみが現れている)。後述するとおり、第5の接続部材P50は、この装置の中心軸を通る位置に配置され、第1〜第4の接続部材P10〜P40は、その周囲に配置されている。
【0038】
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、第5の接続部材P50の上端付近に原点Oをもち、図の右方向にX軸、図の紙面に垂直な奥へ向かう方向にY軸、図の上方向にZ軸をそれぞれ配したXYZ三次元座標系を定義する。図1は、この装置をXZ平面に沿って切断した縦断面図に相当する。
【0039】
3枚の基板100,200,300は、いずれも同じサイズの円盤状の基板であり、基板面がXY平面に平行になり、その中心位置にZ軸が貫通するように配置されている。もっとも、後述するように、第1〜第4の接続部材P10〜P40は、それぞれ伸縮駆動機構を有しており、その長さを調整することができる。図1に示す状態は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さが互いに等しくなるように伸縮駆動機構を調整した状態(本願では「標準姿勢」と呼ぶ)ということになる。
【0040】
5本の接続部材P10〜P50は、上方基板100の下面と中間基板200の上面とを接続する機能を果たし、図示のような「標準姿勢」では、各接続部材P10〜P50の長手方向軸はZ軸に平行になる。一方、下方基板300の上面は、中間基板200の下面に接合されている。
【0041】
上方基板100および下方基板300は、完全な円盤状の基板であるが、中間基板200は、円盤状の基板の下面の4カ所に円柱状の溝G10〜G40を形成した構造を有する。ここで、4カ所の溝G10〜G40の形成位置は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の配置位置に対応したものとなっている。図1には、第1および第2の接続部材P10,P20の直下の位置に、それぞれ溝G10,G20が形成されている状態が示されている。また、下方基板300の上面の4カ所(溝G10〜G40の形成位置)には、それぞれ円盤状の固定電極E10〜E40が形成されている。図1には、第1および第2の溝G10,G20の内部に、それぞれ固定電極E10,E20が形成されている状態が示されている。
【0042】
上方基板100の材質は任意でよいが、中間基板200は金属などの導電性基板によって構成するのが好ましい。これは、後述するように、中間基板200の溝G10〜G40の底部をなす膜部201〜204を変位電極として利用できるようにするための配慮である。また、下方基板300はガラスや樹脂などの絶縁性基板によって構成するのが好ましい。これは、その上面に形成される固定電極E10〜E40が互いに導通しないようにするための配慮である。
【0043】
第1〜第4の接続部材P10〜P40は、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える伸縮駆動機構をもっている。図1に示すとおり、第1および第2の接続部材P10,P20は、外側筒状部P1と内側柱状部P2とを有し、内側柱状部P2を外側筒状部P1に対して長手方向に駆動することにより、その全長を変化させる機能を有する。
【0044】
図2は、図1に示す装置に用いられている接続部材P10の拡大縦断面図である(ポンプP5の部分はブロックで示す)。このような構造を有する接続部材P10は、一般にリニアアクチュエータとして市販されている。図示のとおり、この接続部材P10は、円筒状の外側筒状部P1と、その内側に嵌合した円柱状の内側柱状部P2と、を同一の軸(摺動軸A)上に配置してなる構造部を有している。内側柱状部P2は外側筒状部P1の内壁に沿って図の摺動軸A方向に摺動する。外側筒状部P1と内側柱状部P2との接触面は十分な密閉性が確保されており、内側柱状部P2の左側には、図示のように密閉状態となった圧力室P3が設けられている。この圧力室P3は、導管P4を介してポンプP5へ繋がっている。また、内側柱状部P2の右方には上方竿状部P6が接続され、外側筒状部P3の左方には下方竿状部P7が接続されている。
【0045】
外部から電気信号を与えて、ポンプP5を駆動し、圧力室P3内部に空気を送ったり、逆に吸引したりすることにより、圧力室P3内部の圧力を増減させることができる。この圧力室P3内部の圧力変動によって、内側柱状部P2は図の摺動軸A方向に摺動することになる。このようにポンプP5に所定の駆動信号を与えて駆動し、圧力室P3の内圧を制御すれば、内側柱状部P2の位置を自由に調整することができ、また、定位置に固定することもできる。結局、導管P4およびポンプP5は、内側柱状部P2を外側筒状部P1に対して、摺動軸Aに沿った方向に摺動させることにより、この接続部材P10の全長を所望の長さに調整し、また、当該長さを維持させる伸縮駆動機構として機能する。
【0046】
なお、図2には、空気圧で伸縮制御を行うリニアアクチュエータの例を示すが、圧力室P3および導管P4に油やその他の媒質を充填させた油圧式のリニアアクチュエータを用いることもできる。あるいは、モータでねじを回転させて伸縮を行うようなリニアアクチュエータを用いてもかまわない。もちろん、リンク機構を用いて接続部材を構成し、個々のリンクのなす角を制御することにより、上下両端間の長さを調整することも可能である。要するに、本発明で用いる接続部材は、電気信号に基づいて上下両端間の長さを変えるアクチュエータであれば、どのような部材を用いてもかまわない。
【0047】
図2には、第1の接続部材P10の構造例を示したが、第2〜第4の接続部材P20〜P40の構造も全く同じである。これに対して、第5の接続部材P50は、図1に示されているとおり、単なる円柱状の構造体であり、伸縮機能は有していない。結局、図1に示す第1の実施形態に係る装置の場合、第1〜第4の接続部材P10〜P40は、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える伸縮駆動機構をもったリニアアクチュエータによって構成されているが、第5の接続部材P50は、そのような伸縮駆動機構をもたない柱状の構造体によって構成されていることになる。なお、図1では、図が繁雑になるのを避けるため、第1〜第4の接続部材P10〜P40については、導管P4およびポンプP5の図示は省略している。
【0048】
続いて、各接続部材P10〜P50と各基板との接続部分の構造を説明する。まず、第1〜第5の接続部材P10〜P50の上端部と上方基板100との接続部分には、それぞれ転がり球面軸受Q10〜Q50が設けられている。同様に、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端部と中間基板200との接続部分には、それぞれ転がり球面軸受R10〜R40が設けられている。このように、各接続部材の上下両端には、転がり球面軸受が設けられているが、唯一の例外は、第5の接続部材P50の下端である。図1に示すとおり、第5の接続部材P50の下端は、中間基板200の上面に直接固着されている。結局、この図1に示す実施形態の場合、合計9カ所に転がり球面軸受が用いられていることになる。
【0049】
図3は、図1に示す転がり球面軸受Q10の基本構成を示す拡大縦断面図である。転がり球面軸受は、古くから様々なタイプのものが市販されている公知の軸受である。図示した転がり球面軸受は、ハウジングQ1の内部に球状の空洞を設け、この空洞内に球体部Q2を収容した構造を有する。ハウジングQ1の上面は、上方基板100の下面に接合される。また、球体部Q2の下方には、上方竿状部P6が接合されている。この上方竿状部P6は、図2に示すように、内側柱状部P2へと繋がっている構成要素である。ハウジングQ1と球体部Q2との間の間隙部Q3には、通常、ベアリング(図示省略)が充填されており、球体部Q2はハウジングQ1の内部で滑らかに回転することができる。
【0050】
ハウジングQ1,球体部Q2,上方竿状部P6は、いずれも金属などの剛体から構成されているが、ハウジングQ1の内部に収容された球体部Q2は、任意の方向に回転することができるため、ハウジングQ1の下面に形成された導出口Q4から下方に導出された上方竿状部P6は、この導出口Q4の広がりの範囲において、自由に回動することができる。結局、この転がり球面軸受Q10を介して接続された第1の接続部材P10の上端付近は、上方基板100に対して任意の方向に傾斜可能となるように接続されることになる。
【0051】
図3には、第1の接続部材P10の上端を上方基板100に接続するための転がり球面軸受Q10の構造例を示したが、第2〜第5の接続部材P20〜P50の上端を上方基板100に接続するための転がり球面軸受Q20〜Q50の構造も全く同じである。また、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端を中間基板200に接続するための転がり球面軸受R10〜R40の構造も全く同じである。たとえば、図3に示す転がり球面軸受Q10を上下反転させたものが、転がり球面軸受R10となり、下方竿状部P7を中間基板200に接続する役割を果たす。
【0052】
図1に示されているとおり、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上端は、それぞれ転がり球面軸受Q10〜Q40を介して上方基板100の下面に接続されている。これに対して、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端は、それぞれ転がり球面軸受R10〜R40を介して中間基板200の上面に接続され、更に、この中間基板200が下方基板300の上面に接続されている。
【0053】
このように、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端を中間基板200を介して下方基板300に接続する構造を採るのは、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端付近が下方基板300に対して上下方向(Z軸方向)に変位可能となるように接続するためである。すなわち、中間基板200における転がり球面軸受R10〜R40の取り付け箇所には、溝G10〜G40が形成されており、これら溝G10〜G40の底部には、それぞれ膜部201〜204が形成されている。膜部201〜204の厚みは、力検出に必要な撓みが生じるのに適した厚みに設計される。このように、膜部201〜204は可撓性をもっているため、ダイアフラムとして機能し、Z軸方向を向いた力が作用すると撓みが生じ、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端付近は、下方基板300に対して上下方向(Z軸方向)に変位する。後述するように、本発明に係る装置の力検出機能は、この上下方向の変位に基づいて行われる。
【0054】
図4は、図1に示す装置をXY平面で切断し、上方部分を見上げた状態を示す横断面図である。したがって、図には、上方基板100の下面図が、5組の転がり球面軸受Q10〜Q50とともに示されている。各転がり球面軸受Q10〜Q50の部分には、ハウジングQ1と球体部Q2とが示されている。図示のとおり、中央に配置された転がり球面軸受Q50の球体部Q2の中心位置にXYZ三次元座標系の原点Oが定義され、図の右方向にX軸、図の下方向にY軸がとられている。しかも、軸受Q10はX軸の正の部分に配置され、軸受Q20はX軸の負の部分に配置され、軸受Q30はY軸の正の部分に配置され、軸受Q40はY軸の負の部分に配置されている。また、これら4組の軸受Q10〜Q40は、原点Oから等距離の位置に配置されている。
【0055】
図5は、図1に示す装置を切断線5−5に沿った面で切断し、下方部分を見下ろした状態を示す横断面図である。したがって、図には、中間基板200の上面図が、5組の接続部材P10〜P50とともに示されている。第1〜第4の接続部材P10〜P40の部分には、外側筒状部P1と内側柱状部P2とが示されており(導管P4およびポンプP5の図示は省略)、前述したとおり、リニアアクチュエータとして機能する。これに対して、第5の接続部材P50は、円柱状の構造体であり、リニアアクチュエータとしての機能は有していない。第1〜第4の接続部材P10〜P40は、それぞれ転がり球面軸受R10〜R40(図5には現れていない)を介して中間基板200の上面に接続されている。
【0056】
図5には、便宜上、X軸およびY軸の投影像を示してある。図1に示すような「標準姿勢」では、各接続部材P10〜P50の上下両端を通る直線、すなわち長手方向軸(中心軸)はZ軸に平行になり、第1の接続部材P10の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材P20の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材P30の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材P40の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材P50の上下両端を通る直線はZ軸に一致する。
【0057】
図6は、図1に示す装置を切断線6−6に沿った面で切断し、下方部分を見下ろした状態を示す横断面図である。したがって、図には、中間基板200の上面図が、4組の転がり球面軸受R10〜R40および第5の接続部材P50とともに示されている。各転がり球面軸受R10〜R40の部分には、ハウジングQ1および球体部Q2の上面ならびに下方竿状部P7の横断面が示されている。この図6にも、便宜上、X軸およびY軸の投影像を示してある。このX軸,Y軸の投影像に関して、軸受R10はX軸の正の部分に配置され、軸受R20はX軸の負の部分に配置され、軸受R30はY軸の正の部分に配置され、軸受R40はY軸の負の部分に配置されている。また、これら4組の軸受R10〜R40は、Z軸から等距離の位置に配置されている。
【0058】
なお、図6に破線で示された円は、中間基板200の下面に設けられた溝G10〜G40の側面部および下方基板300の上面に形成された円盤状の固定電極E10〜E40の位置を示している。前述したとおり、中間基板200の溝G10〜G40の底部を構成する膜部201〜204は、可撓性を有しており、第1〜第4の接続部材の下端から受けるZ軸方向の力に基づいて撓み(変位)を生じる。
【0059】
図7は、図1に示す装置の中間基板200の下面図であり、図8は、図1に示す装置の下方基板300の上面図である。図7,図8にも、便宜上、X軸およびY軸の投影像を示してある。図7に示すとおり、このX軸,Y軸の投影像に関して、膜部201(溝G10)はX軸の正の部分に配置され、膜部202(溝G20)はX軸の負の部分に配置され、膜部203(溝G30)はY軸の正の部分に配置され、膜部204(溝G40)はY軸の負の部分に配置されている。同様に、図8に示すとおり、このX軸,Y軸の投影像に関して、固定電極E10はX軸の正の部分に配置され、固定電極E20はX軸の負の部分に配置され、固定電極E30はY軸の正の部分に配置され、固定電極E40はY軸の負の部分に配置されている。
【0060】
ここに示す実施形態の場合、中間基板200は金属などの導電性材料から構成されているため、膜部201〜204はそれ自身が変位電極として機能する(中間基板200を絶縁性材料で構成した場合は、膜部201〜204の下面に導電層を形成し、これを変位電極として用いればよい)。したがって、膜部201(変位電極)と固定電極E10とによって第1の容量素子C10が構成され、膜部202(変位電極)と固定電極E20とによって第2の容量素子C20が構成され、膜部203(変位電極)と固定電極E30とによって第3の容量素子C30が構成され、膜部204(変位電極)と固定電極E40とによって第4の容量素子C40が構成される。
【0061】
これら各容量素子C10〜C40の静電容量値(ここでは、同じ符号C10〜C40で示すことにする)は、それぞれ第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端の下方基板300に対する上下方向に関する変位(Z軸方向に関する変位)に応じて変化する。たとえば、図1において、第1の接続部材P10の下端が図の下方へ変位すると、膜部201は下方へと押圧されて撓み、容量素子C10を構成する一対の電極間距離は減少し、静電容量値C10は増加する。逆に、第1の接続部材P10の下端が図の上方へ変位すると、膜部201は上方へと引っ張られて撓み、容量素子C10を構成する一対の電極間距離は増加し、静電容量値C10は減少する。結局、各容量素子C10〜C40は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端の下方基板300に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出する第1〜第4のセンサとして機能することになる。
【0062】
<<< §2. 第1の実施形態の動作 >>>
続いて、ここでは、§1で述べた第1の実施形態(図1に示す装置)の動作を説明する。本発明に係る装置の特徴は、所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、この作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有している点である。図1に示す装置の場合、上方基板100が作用体としての役割を果たし、下方基板300を固定した状態において、上方基板100に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、下方基板300に対して、上方基板100を所定方向に駆動する駆動機能とを有することになる。
【0063】
本発明に係る装置では、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える伸縮駆動機構をもった4組の接続部材P10〜P40(リニアアクチュエータ)が用いられる。各接続部材の具体的な構成例は、図2に示すとおりである。各接続部材は、上方基板100と下方基板300との間を接続する役割を果たすが、その上端は上方基板100の下面側に上方接続部を介して接続され、下端は下方基板300の上面側に下方接続部を介して接続される。
【0064】
図1に示す第1の実施形態の場合、4組の上方接続部は、転がり球面軸受Q10〜Q40によって構成されている。第1〜第4の接続部材P10〜P40について用いられる上方接続部に必要な要件は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上端付近が上方基板100に対して任意の方向に傾斜可能となるように、それぞれ第1〜第4の接続部材P10〜P40の上端を上方基板100の下面に接続する機能を有している点である。既に述べたとおり、転がり球面軸受Q10〜Q40は、このような要件を満たす最適の部材である。
【0065】
一方、第1〜第4の接続部材P10〜P40について用いられる下方接続部には、2つの要件が課される。第1の要件は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端付近が下方基板300に対して任意の方向に傾斜可能となるように、それぞれ第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端を下方基板100の上面に接続する機能を有している点である。転がり球面軸受R10〜R40は、このような第1の要件を満たすために用いられている部材である。そして、第2の要件は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端付近が下方基板300に対して上下方向に変位可能となるように、それぞれ第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端を下方基板300の上面に接続する構造を有している点である。中間基板200は、このような第2の要件を満たすために用いられている部材である。
【0066】
図1に示す第1の実施形態の場合、下面の4カ所に溝G10〜G40が形成された中間基板200を下方基板300の上面に接合し、各溝G10〜G40の底部に可撓性をもった膜部201〜204を形成し、これら膜部201〜204の上面に、転がり球面軸受R10〜R40を接続する構造を採っている。その結果、第1〜第4の下方接続部は、中間基板200と、各膜部201〜204の上面に固定された転がり球面軸受R10〜R40と、によって構成されることになり、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端は、転がり球面軸受R10〜R40、膜部201〜204、溝G10〜G40の側壁部を介して、下方基板300に接続される。
【0067】
一方、本発明に係る装置には、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端の下方基板300に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出する第1〜第4のセンサが設けられている。§1で述べたとおり、図1に示す第1の実施形態の場合、導電性材料から構成された膜部201〜204(変位電極)と、これに対向する位置に配された固定電極E10〜E40によって構成される容量素子C10〜C40およびその静電容量値を検出する構成要素が、第1〜第4のセンサとして機能する。
【0068】
更に、本発明に係る装置には、図1にブロック図として示されているように、制御ユニット400が設けられている。この制御ユニット400は、第1〜第4の伸縮駆動機構(第1〜第4の接続部材P10〜P40を構成する各ポンプP5)に所定の電気信号を与えて第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さがそれぞれ所望の長さになるように調整する駆動動作と、第1〜第4のセンサの検出結果(容量素子C10〜C40の静電容量値)に基づいて、上方基板100に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作と、を行う。
【0069】
さて、上述した各要件を満たすように、第1〜第4の接続部材P10〜P40によって上方基板100と下方基板300とを接続すると、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さを変化させることにより、上方基板100を下方基板300に対して所定方向に駆動することができ、上方基板100の下方基板300に対する姿勢を変化させることができる。すなわち、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態では、図1に示すように、上方基板100は下方基板300に対して平行な姿勢を保つことになるが、上方基板100の下方基板300に対する姿勢は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さに依存して決定される。したがって、制御ユニット400から第1〜第4の接続部材P10〜P40を構成する各ポンプP5に所定の駆動信号を与えて長さの調整を行うことにより、所定の自由度の範囲内で、上方基板100の下方基板300に対する姿勢を制御することができる。
【0070】
また、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さが固定されるようにした状態において、上方基板100に対して外力が作用すると、作用した外力によって第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端から各膜部201〜204に対して、上下方向の力(Z軸方向の力)が加わり、可撓性をもったダイアフラムとして機能する各膜部201〜204が撓みを生じることになる。その結果、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端は上下方向に変位を生じ、当該変位は、第1〜第4のセンサによって検出される。したがって、制御ユニット400は、第1〜第4のセンサの検出値に基づいて、上方基板100に対して作用した外力の方向および大きさを検出することができる。
【0071】
このように、本発明に係る装置では、第1〜第4の接続部材P10〜P40を設けることが必須である。図1に示す第1の実施形態の場合、更に、第5の接続部材P50が設けられている。この第5の接続部材P50は、上方基板100を下方基板300の上方に安定して支持する機能を果たすものである。本発明に係る装置の動作原理上は、必ずしも第5の接続部材P50を設ける必要はないが、実用上は、上方基板100の位置を安定させるため、第5の接続部材P50を設けるのが好ましい。
【0072】
§1で述べたとおり、第5の接続部材P50は、単なる支柱として機能する構成要素であり、リニアアクチュエータとしての伸縮機能は有していない。第5の接続部材P50の上端は、上方基板100の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端は、下方基板300の上面に固着されている(実際には、中間基板200を介して固着されている)。ここで、第5の上方接続部は、第5の接続部材P50の上端付近が上方基板100に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材P50の上端を上方基板100の下面に接続する構造を有する構成要素であり、具体的には、§1で述べたとおり、転がり球面軸受Q50(図3に示す軸受Q10と同じもの)が第5の上方接続部として用いられている。
【0073】
図1に示す第1の実施形態の場合、第5の接続部材P50によって、上方基板100の下面中心部が支持される。具体的には、転がり球面軸受Q50を構成する球体部Q2の中心点(図1の原点O)は固定点となる。実際には、第5の接続部材P50を完全な剛体で構成することは困難なので、第5の接続部材P50の微小な撓みにより、転がり球面軸受Q50を構成する球体部Q2の中心点は変位を生じるが、そのような変位は極めて微小な変位であるため、以下の説明では無視することにする。結局、この第1の実施形態の場合、上方基板100は、図示する原点Oの位置を回動中心として回動し、下方基板300に対する姿勢を変えることができる。
【0074】
ここでは、まず、この第1の実施形態に係る装置における駆動機能を説明する。この装置において、原点Oの位置を中心点とする上方基板100の回動動作は、Y軸まわりの回動動作と、X軸まわりの回動動作とに分解して考えることができる。図9は、図1に示す装置における上方基板100(作用体)を+Y軸まわりに駆動した状態を示す縦断面図である(制御ユニット400はブロックで示す)。なお、本願では、特定の座標軸まわりの回転方向について、右ねじを当該座標軸の正方向に進めるための回転方向を、当該座標軸の正まわりの回転方向と定義する。したがって、図9において、上方基板100を+Y軸まわりに駆動する回転方向は、図示の紙面上における時計まわりの方向になる。
【0075】
このように、上方基板100を+Y軸まわりに駆動するには、第1の接続部材P10の上下両端間の長さを縮め、第2の接続部材P20の上下両端間の長さを伸ばす制御を行えばよい。具体的には、制御ユニット400から、第1の接続部材P10を構成するリニアアクチュエータのポンプP5に対して、圧力室P3の圧力を減少させる駆動信号を与え、第2の接続部材P20を構成するリニアアクチュエータのポンプP5に対して、圧力室P3の圧力を増加させる駆動信号を与えればよい。各リニアアクチュエータでは、圧力室P3の圧力を一定に維持する方向に力が作用し、第1の接続部材P10については圧力室P3の体積が減少し、第2の接続部材P20については圧力室P3の体積が増加するように、内側柱状部P2が外側筒状部P1の内部を摺動する。その結果、第1の接続部材P10は縮み、第2の接続部材P20は伸び、図示のような状態になる。このとき、第3の接続部材P30および第4の接続部材P40の長さは変わらない。
【0076】
上方基板100を−Y軸まわり(図9における反時計まわり)に駆動するには、上述した動作とは逆に、第1の接続部材P10の上下両端間の長さを伸ばし、第2の接続部材P20の上下両端間の長さを縮める制御を行えばよい。また、上方基板100を+X軸まわりに駆動するには、第3の接続部材P30の上下両端間の長さを伸ばし、第4の接続部材P40の上下両端間の長さを縮める制御を行い、−X軸まわりに駆動するには、第3の接続部材P30の上下両端間の長さを縮め、第4の接続部材P40の上下両端間の長さを伸ばす制御を行えばよい。
【0077】
図10は、このような原理に基づいて、図1に示す装置を駆動するための駆動動作を示すテーブルであり、上方基板100を特定の駆動方向に駆動するために必要な各接続部材P10〜P50の伸縮動作を示している。テーブルの各欄の「縮」は接続部材を縮めることを示し、「伸」は接続部材を伸ばすことを示し、「0」は長さをそのまま維持させることを示している。なお、「P50」の列の「φ」は、第5の接続部材50が伸縮機能を有していないことを示している。
【0078】
制御ユニット400は、この図10のテーブルに示す原理に基づいて、上方基板100をY軸まわりおよびX軸まわりに駆動する機能を有する。たとえば、上方基板100を図9に示すように「+Y軸まわり」に駆動するためには、テーブルの「+Y軸まわり」の欄に示されているように、接続部材P10を「縮め」、接続部材P20を「伸ばし」、接続部材P30,P40,P50は長さをそのまま維持させればよい。伸縮量を増やせば、それだけ回転駆動量(回転角度)も増加することになる。もちろん、Y軸まわりの駆動とX軸まわりの駆動とを同時に行うことができるので、上方基板100を任意の方向に任意の角度だけ傾斜させる制御が可能である。
【0079】
なお、「縮める量」と「伸ばす量」とは、上方基板100や中間基板200に応力が生じないように、互いに見合った量となるように調整する必要がある。近似的には、「縮める量」=「伸ばす量」として問題ないが、厳密に制御するためには、個々の回転角度を得るための「縮める量」と「伸ばす量」とを予め演算しておき、この演算値に基づいた伸縮制御を行うようにすればよい。
【0080】
続いて、この第1の実施形態に係る装置における検出機能を説明する。この検出機能は、下方基板300を固定した状態において、上方基板100に作用した外力を示す電気信号を出力する機能である。この装置の検出動作は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さが、上方基板100に作用した外力によって変化しないことを前提としている。したがって、制御ユニット400は、検出動作を行っている間、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さが変わらないよう、伸縮駆動機構を制御する必要がある。
【0081】
図11は、図1に示す装置が検出動作を行っている際に、上方基板100(作用体)に対してY軸まわりのモーメント+Myが作用した状態を示す縦断面図である(制御ユニット400はブロックで示す)。上述したとおり、検出動作中、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さは一定であるから、図示のとおり、上方基板100に対してY軸まわりのモーメント+Myが作用すると、第1の接続部材P1に対しては、下方への押圧力が加わり、膜部201が下方へと撓み、第1の接続部材P1の下端は下方へ変位する。また、第2の接続部材P2に対しては、上方への引っ張り力が加わり、膜部202が上方へと撓み、第2の接続部材P2の下端は上方へ変位する。
【0082】
その結果、膜部201(変位電極)と固定電極E10とによって構成される容量素子C10(第1のセンサ)の静電容量値C10は増加し、膜部202(変位電極)と固定電極E20とによって構成される容量素子C20(第2のセンサ)の静電容量値C20は減少する。このとき、第3の接続部材P30および第4の接続部材P40には外力は加わらないので、膜部203,204に撓みは生じない。よって、膜部203(変位電極)と固定電極E30とによって構成される容量素子C30(第3のセンサ)の静電容量値C30と、膜部204(変位電極)と固定電極E40とによって構成される容量素子C40(第4のセンサ)の静電容量値C40と、には変化は生じない。
【0083】
一方、Y軸まわりのモーメント−My(図11とは逆まわりのモーメント)が作用した場合は、上述とは逆の現象が生じ、静電容量値C10は減少し、静電容量値C20は増加し、静電容量値C30,C40は変化しない。同様に、X軸まわりのモーメント+Mxが作用した場合は、静電容量値C30は減少し、静電容量値C40は増加し、静電容量値C10,C20は変化しない。また、X軸まわりのモーメント−Mxが作用した場合は、静電容量値C30は増加し、静電容量値C40は減少し、静電容量値C10,C20は変化しない。
【0084】
図12は、このような原理に基づいて、図1に示す装置による外力の検出を行う検出動作を示すテーブルである。テーブルのC10〜C40の各欄の「+」は静電容量値が増加することを示し、「−」は静電容量値が減少することを示し、「0」は静電容量値が変化しないことを示している。たとえば、「モーメント+My」を検出対象とする欄では、C10は「+」,C20は「−」,C30は「0」,C40は「0」と記載されているが、これは、静電容量値C10は増加し、静電容量値C20は減少し、静電容量値C30,C40は変化しないことを示している。
【0085】
また、演算式の欄に記載された式は、各軸まわりのモーメントの値を符号付きの値として求めるための式である。たとえば、モーメントMyについて「My=C10−C20」なる演算式が記載されているが、これは、静電容量値C10から静電容量値C20を減じる演算によって、モーメントMyが得られることを示している。同様に、モーメントMxについて「Mx=C40−C30」なる演算式が記載されているが、これは、静電容量値C40から静電容量値C30を減じる演算によって、モーメントMxが得られることを示している。得られたモーメントMy,Mxの符号は、モーメントの回転方向を示す。このような演算式によって、モーメントMy,Mxが得られる理由は、テーブルのC10〜C40の各欄の記号を考慮すれば、容易に理解できよう。
【0086】
制御ユニット400は、この図12のテーブルに示す演算式に基づく演算を行うことにより、上方基板100に外力として作用したY軸まわりのモーメントMyおよびX軸まわりのモーメントMxを検出する機能を有する。
【0087】
結局、図1に示す第1の実施形態に係る装置は、上方基板100を下方基板300に対して、Y軸まわりに駆動するY軸まわり駆動動作と、X軸まわりに駆動するX軸まわり駆動動作とを行う機能を有しており、また、下方基板300を固定した状態において、上方基板100に対して外力として作用するY軸まわりのモーメントMyを検出するY軸まわり検出動作と、X軸まわりのモーメントMxを検出するX軸まわり検出動作と、を行う機能を有していることになる。
【0088】
この第1の実施形態に係る装置が、上記機能を果たすことができるのは、各接続部材が特有の配置を採っているためである。すなわち、第5の接続部材P50の上端付近に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材P10の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材P20の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材P30の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材P40の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材P50の上下両端を通る直線はZ軸に一致するような配置を採っている。
【0089】
このため、制御ユニット400は、第1の接続部材P10の上下両端間の長さと、第2の接続部材P20の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方基板300に対する上方基板100の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作を行うことができ、また、第3の接続部材P30の上下両端間の長さと、第4の接続部材P40の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方基板300に対する上方基板100の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作を行うことができる。
【0090】
更に、制御ユニット400は、第1のセンサの検出値(静電容量値C10)と第2のセンサの検出値(静電容量値C20)との差を示す電気信号「C10−C20」を、下方基板300を固定した状態において上方基板100に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作を行うことができ、また、第4のセンサの検出値(静電容量値C40)と第3のセンサの検出値(静電容量値C30)との差を示す電気信号「C40−C30」を、下方基板300を固定した状態において上方基板100に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作を行うことができる。
【0091】
<<< §3. 第2〜第4の実施形態 >>>
これまで、図1に示す第1の実施形態に係る装置の構造を§1で説明し、その動作を§2で説明した。ここでは、この第1の実施形態の変形例として、第2〜第4の実施形態を順に述べる。
【0092】
<3−1: 第2の実施形態>
図13は、本発明の第2の実施形態に係る力検出機能をもった駆動装置の縦断面図である(制御ユニット450はブロックで示す)。この図13に示す第2の実施形態に係る装置と、図1に示す第1の実施形態に係る装置との相違は、第5の接続部材P50の下方部分の構造(溝G50,固定電極E50)と、制御ユニットの検出動作のみである。
【0093】
具体的には、まず、図1に示す装置における中間基板200が、図13に示す装置では中間基板250に置き換えられている。中間基板200には、下面の4カ所に溝G10〜G40が設けられていたが、中間基板250には、これら4カ所の溝G10〜G40に加えて、中心部に第5の溝G50が設けられている。また、下方基板300の上面には、4枚の固定電極E10〜E40に加えて、中心部に第5の固定電極E50が形成されている。
【0094】
図13に示すとおり、第5の溝G50の底部は、可撓性をもった膜部205を構成し、第5の接続部材P50の下端は、この可撓性をもった膜部205の上面に固着されている。その結果、第5の接続部材P50の上端に上下方向の外力(Z軸方向の外力)が加わると、膜部205が上下に撓みを生じ、第5の接続部材P50は上下方向に変位する。ここで、膜部205は導電性を有しており(中間基板250は、全体が金属などの導電性材料によって構成されている)、対向する位置に配置された第5の固定電極E50とによって、第5の容量素子C50を構成する。
【0095】
この第5の容量素子C50は、第5の接続部材P50の下端の下方基板300に対する上下方向に関する変位を検出する第5のセンサとして機能する。すなわち、第5の接続部材P50の下端が下方へ変位すると、第5の容量素子C50の静電容量値C50は増加し、第5の接続部材P50の下端が上方へ変位すると、第5の容量素子C50の静電容量値C50は減少する。
【0096】
このように、図13に示す装置では、第5の接続部材P50の上端は、上方基板100の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端は下方基板300の上面側に第5の下方接続部を介して接続されている。ここで、第5の上方接続部は、第5の接続部材P50の上端付近が上方基板100に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材P50の上端を上方基板100の下面に接続する構造を有している。具体的には、図13に示す装置における第5の上方接続部は、図1に示す装置と同様に、転がり球面軸受Q50によって構成されている。
【0097】
一方、図13に示す装置の場合、第5の接続部材P50の下端は、第5の下方接続部を介して下方基板300に接続されている。この第5の下方接続部は、第5の接続部材P50の下端付近が下方基板300に対して上下方向に変位可能となるように、第5の接続部材P50の下端を下方基板300の上面に接続する構造を有している。具体的には、図13に示す装置における第5の下方接続部は、中間基板250の中心部分、すなわち、膜部205および溝G50の側壁部によって構成されており、第5の接続部材P50の下端は、膜部205および溝G50の側壁部を介して、下方基板300に接続されている。
【0098】
結局、この図13に示す装置の場合、第1〜第5の接続部材P10〜P50の下端は、それぞれ可撓性をもった膜部201〜205の上面に接続されていることになる。したがって、これら第1〜第5の接続部材P10〜P50に対して、作用体として機能する上方基板100から上下方向(Z軸方向)への外力が加わると、これら第1〜第5の接続部材P10〜P50の下端は上下方向(Z軸方向)に変位を生じることになる。当該変位は、第1〜第5のセンサ(第1〜第5の容量素子C10〜C50)によって検出されるので、制御ユニットは、この第1〜第5のセンサの検出結果に基づいて、作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作を行うことができる。
【0099】
図14は、図13に示す装置の検出動作を示すテーブルである。この図14に示すテーブルは、図12に示すテーブル(図1の装置の検出動作を示すテーブル)に、検出対象として+Fz,−Fzを付加するとともに、第5のセンサ(容量素子C50の静電容量値)の検出結果を付加したものである。図13に示す装置の上方基板100(作用体)に、外力としてモーメント+My,−My,+Mx,−Mxが作用したときの検出動作は、図1に示す装置の検出動作と全く同じである。したがって、図1に示す装置と同様に、制御ユニット450は、「My=C10−C20」なる演算によりモーメントMyを求め、「Mx=C40−C30」なる演算によりモーメントMxを求めることができる。この場合、第5の接続部材P50にはZ軸方向の力は作用しないので、第5のセンサの静電容量値C50に変化は生じない(図14のテーブルの対応欄は「0」(変化なし)を示している)。
【0100】
図13に示す装置の特徴は、更に、Z軸方向の力+Fz,−Fzの検出が可能になる点である。図15は、図13に示す装置における上方基板100(作用体)に対して+Z軸方向の力+Fzが作用した状態を示す縦断面図である。上方基板100は上方へ変位し、第5の接続部材P50の上端は、原点Oより上方に変位する。この装置においても、検出動作中は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さが、上方基板100に作用した外力によって変化しないことを前提としているので、制御ユニット450は、検出動作を行っている間、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さが変わらないよう伸縮駆動機構を制御する。このように、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さが変わらなければ、上方基板100に対して作用した+Z軸方向の力+Fzにより、第1〜第5の接続部材P10〜P50に対して上方への引っ張り力が加わると、図示のとおり、その下端はいずれも上方へと変位し、第1〜第5の容量素子C10〜C50の静電容量値は減少する。図14のテーブルにおける「+Fz」の欄の「−」は、このような静電容量値の減少を示している。
【0101】
一方、図16は、図13に示す装置における上方基板100(作用体)に対して−Z軸方向の力−Fzが作用した状態を示す縦断面図である。上方基板100は下方へ変位し、第5の接続部材P50の上端は、原点Oより下方に変位する。このように、上方基板100に対して作用した−Z軸方向の力−Fzにより、第1〜第5の接続部材P10〜P50に対して下方への押圧力が加わると、図示のとおり、その下端はいずれも下方へと変位し、第1〜第5の容量素子C10〜C50の静電容量値は増加する。図14のテーブルにおける「−Fz」の欄の「+」は、このような静電容量値の増加を示している。
【0102】
そこで、第5のセンサ(第5の容量素子C50)を、力Fzの検出に利用することにすれば、図14のテーブルの演算式欄に示されているとおり、「Fz=−C50」なる演算により力Fzを求めることができる。もっとも、この式で得られる値Fzは、作用したZ軸方向の力Fzの絶対値ではない。上方基板100に何ら外力が作用していない状態であっても、静電容量値C50は所定の基準値Crefをとる。そこで、実際には、当該基準値CrefをFz=0に対応する値とし、静電容量値C50の当該基準値Crefに対する増減量を力Fzに対応する絶対値として用いるようにすればよい。なお、「Fz=−C50」なる演算式において、「C50」にマイナス符号が付加されているのは、図示の座標系の定義では、Z軸正方向の力+Fzが作用したときに静電容量値C50は減少し、Z軸負方向の力−Fzが作用したときに静電容量値C50は増加し、力の方向と静電容量値の増減とが逆転しているので、これを調整するための便宜である。
【0103】
ところで、図14のテーブルを見れば明らかなように、力Fzの検出には、必ずしも第5のセンサ(第5の容量素子C50)を利用する必要はない。テーブルの欄外に記載したとおり、力Fzは、「Fz=−(C10+C20+C30+C40)」なる演算によって求めることもできるし、「Fz=−(C10+C20+C30+C40+C50)」なる演算によって求めることもできる。ここで、演算式にマイナス符号が付加されているのは、上述したとおり、図示の座標系の定義では、力の方向と静電容量値の増減とが逆転しているので、これを調整するための便宜である。
【0104】
一方、この図13に示す装置における駆動動作は、図1に示す装置と全く同様である。すなわち、図10のテーブルに示す駆動動作により、上方基板100を下方基板300に対して、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりに駆動することができる。
【0105】
このように、図13に示す第2の実施形態に係る装置は、図1に示す第1の実施形態に係る装置と同様に、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりの駆動動作(Y軸まわり駆動動作とX軸まわり駆動動作)を行う機能と、外力として作用したモーメント+My,−My,+Mx,−Mxを検出する検出動作(Y軸まわり検出動作とX軸まわり検出動作)を行う機能と、を有している。その上、更に、外力として作用した力+Fz,−Fzを検出する検出動作(Z軸方向検出動作)を行う付加機能を有している。
【0106】
このZ軸方向検出動作は、第5のセンサの検出値(静電容量値C50)もしくは第1〜第5のセンサの検出値の総和(静電容量値C10+C20+C30+C40+C50)に基づく電気信号を、Z軸方向の力Fzの検出値として出力することによって行うことができる。具体的には、前述したとおり、上方基板100に何ら外力が作用していない状態での静電容量値「C50」もしくは静電容量値の総和「C10+C20+C30+C40+C50」の値を基準値Crefとして、当該基準値Crefに対する増減量の符号を逆転した値を示す電気信号を、力Fzに対応する電気信号として出力すればよい。
【0107】
<3−2: 第3の実施形態>
第3の実施形態は、前述した第2の実施形態に係る装置から、第5のセンサを取り去ったものである。具体的には、図13に示す構成において、第5の固定電極E50を省略し、第5の容量素子C50の静電容量値C50の検出に係る構成要素を省略したものである。なお、溝G50は設けられており、第5の接続部材P50の下端が、可撓性をもった膜部205の上面に固着される点に変わりはない。すなわち、この第3の実施形態の場合も、第5の接続部材P50の下端は、第5の下方接続部を介して下方基板300に接続されており、第5の下方接続部は、第5の接続部材P50の下端付近が下方基板300に対して上下方向に変位可能となるように、第5の接続部材P50の下端を下方基板300の上面に接続する構造を有している。
【0108】
図14のテーブルの欄外に記載したとおり、力Fzは、「Fz=−(C10+C20+C30+C40)」なる演算によって求めることもできる。この演算式には、第5の容量素子C50の静電容量値C50は利用されていないので、当該演算式に基づいて力Fzを求めるようにすれば、第5のセンサ(第5の容量素子C50)は不要になる。
【0109】
結局、この第3の実施形態に係る装置は、第5のセンサを有していないが、前述した第2の実施形態に係る装置と同様に、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりの駆動動作(Y軸まわり駆動動作とX軸まわり駆動動作)を行う機能と、外力として作用したモーメント+My,−My,+Mx,−Mxおよび力+Fz,−Fzを検出する検出動作(Y軸まわり検出動作,X軸まわり検出動作,Z軸方向検出動作)を行う機能と、を有している。
【0110】
ここで、Z軸方向検出動作は、第1〜第4のセンサの検出値の総和(静電容量値C10+C20+C30+C40)に基づく電気信号を、Z軸方向の力Fzの検出値として出力することによって行うことができる。具体的には、上方基板100に何ら外力が作用していない状態での静電容量値の総和「C10+C20+C30+C40」の値を基準値Crefとして、当該基準値Crefに対する増減量の符号を逆転した値を示す電気信号を、力Fzに対応する電気信号として出力すればよい。
【0111】
<3−3: 第4の実施形態>
図17は、本発明の第4の実施形態に係る力検出機能をもった駆動装置の縦断面図である(制御ユニット480はブロックで示す)。この図17に示す第4の実施形態に係る装置と、図1に示す第1の実施形態に係る装置との相違は、第5の接続部材の構造と、制御ユニットの検出動作のみである。
【0112】
具体的には、まず、図1に示す装置における第5の接続部材P50が、図17に示す装置では第5の接続部材P50′に置き換えられている。この第5の接続部材P50′は、上端が上方基板100の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が中間基板200の上面に固着されている、という点では、図1に示す第5の接続部材P50と同じである。図17に示す装置の場合も、第5の上方接続部は、第5の接続部材P50′の上端付近が上方基板100に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材P50′の上端を上方基板100の下面に接続する構造を有する。具体的には、図17に示す装置の場合も、第5の上方接続部は、転がり球面軸受Q50によって構成されている。
【0113】
ただ、図1に示す第5の接続部材P50は、単なる支柱として機能する円柱状の部材であったが、図17に示す第5の接続部材P50′は、上下両端間に外力として加えられた伸張力もしくは圧縮力に応じて上下両端間の長さを変える伸縮従動機構をもっている。具体的には、図17に示されているとおり、第5の接続部材P50′は、円筒状の外側筒状部P8と、その内部に嵌合する内側柱状部P2と、その上部に連なった上方竿状部P6と、によって構成されている。このような構造は、図2に示す第1の接続部材P10の構造に類似しているが、第5の接続部材P50′には、ポンプP5は設けられていない。このため、第5の接続部材P50′は、リニアアクチュエータとしての機能は有していない。
【0114】
図17に示すとおり、外側筒状部P8の内部に形成される圧力室P3は、通気孔Hによって外部に通じており、圧力室P3の圧力は大気圧に等しくなる。結局、第5の接続部材P50′は、自発的な伸縮駆動機構はもたないが、上下両端間に外力として伸張力もしくは圧縮力が加えられた場合、内側柱状部P2が外側筒状部P8に対して長手方向に摺動し、上下両端間の長さを変える伸縮従動機構をもっている。また、外側筒状部P8の下端は、中間基板200の上面に固着されているので、第5の接続部材P50′の中心軸は常にZ軸上の位置を保つことになる。
【0115】
結局、第5の接続部材P50′の上端(転がり球面軸受Q50の球体部Q2の中心)は、図の上下方向に移動するため、固定点にはならず、原点Oに対して変位することになる(この第4の実施形態では、原点Oは、第5の接続部材P50′の中心軸上の任意の位置に設定すればよい)。ただ、その移動範囲は、Z軸上に限定される。実用上は、第5の接続部材P50′を完全な剛体で構成することはできないので、第5の接続部材P50′の上端は、厳密に言えば、第5の接続部材P50′自身の撓みによってZ軸から外れることになるが、ここでは、そのような撓みによる微小な変位は無視する。
【0116】
このように、図17に示す装置では、伸縮従動機構をもった第5の接続部材P50′を設けるようにしたため、上方基板100の下方基板300に対する変位の自由度が増えることになる。すなわち、図1に示す装置の場合、上方基板100の下方基板300に対する変位の自由度は、X軸まわりの回動およびY軸まわりの回動に限られていたのに対して、図17に示す装置の場合、更に、Z軸方向への移動という自由度が加わり、制御ユニット480は、上方基板100を下方基板300に対してZ軸方向へ駆動する駆動動作を行うことが可能になる。
【0117】
図18は、図17に示す装置の駆動動作を示すテーブルである。この図18に示すテーブルは、図10に示すテーブル(図1の装置の駆動動作を示すテーブル)に、駆動方向として、更に、+Z軸方向および−Z軸方向を付加したものである。なお、第5の接続部材P50′は、外力の作用によって伸縮することは可能であるが、自発的な伸縮駆動機構はもたないため、図18のテーブルにおいて、P50′の列には符号「φ」(伸縮駆動機構をもたない意味)を記してある。
【0118】
図17に示す装置の上方基板100(作用体)を下方基板300に対して、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりに駆動するときの駆動動作は、図1に示す装置の駆動動作と全く同じである。ただ、第5の接続部材P50′の上端(転がり球面軸受Q50の球体部Q2の部分)は、図の上下方向に移動するため、上方基板100の回動中心は必ずしも原点Oにはならない。したがって、回動中心が原点Oから外れた状態での駆動は、厳密に言えば、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりの駆動にはならないが、本願では、このように回動中心が原点Oから外れた場合についても、便宜上、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりの駆動と呼ぶことにする。
【0119】
図17に示す装置の特徴は、更に、+Z軸方向への駆動と、−Z軸方向への駆動とが可能になる点である。すなわち、図18のテーブルに示されているとおり、第1〜第4の接続部材P10〜P40を「伸ばす」駆動動作を行えば、上方基板100を+Z軸方向へ駆動することができ、第1〜第4の接続部材P10〜P40を「縮める」駆動動作を行えば、上方基板100を−Z軸方向へ駆動することができる。このとき、4本の接続部材P10〜P40の伸縮量を同一にすれば、上方基板100は、Z軸方向に平行移動することになる。伸縮量に差をもたせた場合は、Y軸まわりもしくはX軸まわりの回動動作と、Z軸方向への平行移動動作とを合成した駆動動作が行われる。
【0120】
一方、この図17に示す第4の実施形態に係る装置における検出動作は、前述した第3の実施形態に係る装置における検出動作と全く同様である。すなわち、制御ユニット480は、図14のテーブルに示す検出動作により、上方基板100に対して外力として作用したモーメント+My,−My,+Mx,−Mxおよび力+Fz,−Fzを検出することができる(第3の実施形態に係る装置と同様に、第5のセンサを有していないため、Fzの検出には、Fz=−(C10+C20+C30+C40)なる演算式を用いることになる)。
【0121】
なお、上述したとおり、第1〜第4の接続部材P10〜P40を伸縮駆動して、上方基板100を上下方向に変位させると、上方基板100の回動中心が原点Oから外れた状態になるので、そのような状態で検出したモーメント+My,−My,+Mx,−Mxは、厳密には、Y軸まわりやX軸まわりのモーメントにはならないが、一般的な用途で利用する上では、大きな支障は生じない。正確な検出値が必要な場合には、上方基板100の回動中心(転がり球面軸受Q50の球体部Q2の中心)と原点Oとの距離を何らかの方法で認識し(たとえば、ポンプP5に対して与えた駆動信号の大きさに基づいて認識できる)、当該距離に基づく幾何学的な補正を行えばよい。
【0122】
このように、図17に示す第4の実施形態に係る装置は、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりの駆動動作に加えて、更に、+Z軸方向、−Z軸方向への駆動動作を行う機能を有しており、また、外力として作用したモーメント+My,−My,+Mx,−Mxおよび力+Fz,−Fzの検出動作を行う機能を有している。
【0123】
<<< §4. その他の変形例/応用例 >>>
これまで、本発明に係る装置を第1〜第4の実施形態について述べた。ここでは、その他の変形例や応用例を述べることにする。
【0124】
<4−1: 第5の接続部材を省略した変形例>
第1〜第4の実施形態は、いずれも5本の接続部材P10〜P50を用いて、上方基板100と下方基板300(中間基板200)とを接続しているが、本発明に係る装置では、少なくとも第1〜第4の接続部材P10〜P40を設けてあれば、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりの駆動動作と、モーメント+My,−My,+Mx,−Mxおよび力+Fz,−Fzの検出動作とを行うことが可能である。
【0125】
なお、第1〜第4の接続部材P10〜P40のみで上方基板100と下方基板300とを接続した場合、そのままでは両基板の位置関係を安定させることはできない。しかしながら、両基板の直径と等しい内径をもったパイプの内部で利用するようなケースでは、4本の接続部材のみを用いた装置でも両基板の位置関係をパイプ内壁の支持によって安定させることができ、産業上、十分な利用価値がある。また、クレーンなどの物品吊上具の一部に利用した場合も、重力によって両基板の位置関係を安定させることができる。
【0126】
第1〜第4の実施形態において、更に、第5の接続部材P50,P50′を設けているのは、上方基板100を下方基板300の上方に安定して支持するためである。第5の接続部材P50,P50′を用いれば、上方基板100の中心が必ずZ軸上にくるように位置決めすることができ、上方基板100の姿勢を安定させることができる。本発明に係る装置では、上述したように、用途によっては、必ずしも第5の接続部材を設ける必要はないが、一般的な用途に利用する場合は、上方基板100の位置を安定させるため、第5の接続部材を設けるのが好ましい。
【0127】
<4−2: 上方接続部/下方接続部の変形例>
これまで述べた実施形態の場合、第1〜第5の上方接続部および第1〜第4の下方接続部が、転がり球面軸受を含む構造体によって構成されているが、これらの接続部は、必ずしも転がり球面軸受を用いて構成する必要はない。
【0128】
第1〜第5の上方接続部に要求される条件は、それぞれ第1〜第5の接続部材P10〜P50の上端付近が上方基板100に対して任意の方向に傾斜可能となるように(接続部材の中心軸の上端を先端点とし、Z軸に平行な中心軸をもった所定の円錐を定義したときに、接続部材の中心軸がこの円錐内を自由に移動できるように)、それぞれ第1〜第5の接続部材P10〜P50の上端を上方基板100の下面に接続する構造を有していることである。したがって、上方接続部は必ずしも転がり球面軸受を用いて構成する必要はなく、一般的な転がり軸受けを複数組み合わせて上方接続部を構成したり、リンク機構によって上方接続部を構成したりすることも可能である。
【0129】
一方、第1〜第4の下方接続部には、次の2つの条件が要求される。第1の条件は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端付近が下方基板300に対して任意の方向に傾斜可能となるように(接続部材の中心軸の下端を先端点とし、Z軸に平行な中心軸をもった所定の円錐を定義したときに、接続部材の中心軸がこの円錐内を自由に移動できるように)、それぞれ第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端を下方基板300の上面に接続する構造を有していることである。当該構造は、必ずしも転がり球面軸受を用いて構成する必要はなく、一般的な転がり軸受けを複数組み合わせて構成したり、リンク機構によって構成したりすることも可能である。
【0130】
第1〜第4の下方接続部に要求される第2の条件は、下方基板300に対して上下方向に変位可能となるように、それぞれ第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端を下方基板300の上面に接続する構造を有することである(この条件は、第2および第3の実施形態における第5の接続部材の下端を接続する第5の下方接続部にも要求される条件である)。これまで述べた実施形態の場合、下方基板300の上面に中間基板200を配置し、この中間基板200の下面に溝を掘って、その底部に可撓性をもった膜部(ダイアフラム)を形成した構造により、下方接続部を構成しているが、下方接続部は、必ずしもこのような膜部を用いて構成する必要はない。たとえば、膜部の代わりに、ビーム構造体(たとえば、2本のビームを直交させた十文字状の構造体)を用いて下方接続部を構成してもよい。
【0131】
<4−3: 各接続部材の対称性>
これまで述べた実施形態の場合、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、各接続部材が幾何学的対称性を有するように配置されていた。すなわち、「標準姿勢」の状態では、第1の接続部材P10と第2の接続部材P20とがYZ平面に関して面対称をなし、第3の接続部材P30と第4の接続部材P40とがXZ平面に関して面対称をなし、第5の接続部材P50,P50′がZ軸上にくるような配置が採られていた。
【0132】
しかしながら、本発明を実施する上で、上記対称性は必ずしも必要ではなく、対称性をもたない配置を採った場合でも、駆動動作や検出動作は可能である。ただ、上述した対称性をもった配置を採ると、駆動動作における伸縮量や、検出動作におけるセンサの出力値にも対称性が得られるため、制御ユニットにおける制御動作や演算処理が簡素化されることになる。
【0133】
たとえば、図10のテーブルに基づいて、+Y軸まわりの駆動動作を行う場合、第1の接続部材P10と第2の接続部材P20とがYZ平面に関して面対称の関係にあれば、第1の接続部材P10の圧縮量と第2の接続部材P20の伸張量とが同一になるような制御を行えばよい。対称性が確保されていない場合、適切な回動運動が行われるよう圧縮量と伸張量とを調整する処理が必要になる。
【0134】
同様に、図12のテーブルにおいて、「My=C10−C20」や「Mx=C40−C30」なる演算式でモーメントMyやMxの値が得られるのは、上述した対称性が確保されているためである。対称性が確保されていない場合、各静電容量値に所定の係数を乗じる補正が必要になる。
【0135】
したがって、実用上は、各接続部材について、上述した対称性を確保した配置を採るようにするのが好ましい。
【0136】
<4−4: 上方構造体/下方構造体の変形例>
本発明に係る装置は、作用体として機能する上方構造体と、この上方構造体の下方に配置された下方構造体と、両者間を接続する少なくとも4本の接続部材と、を有し、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用した力を検出する検出機能と、下方構造体に対して上方構造体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する力検出機能をもった駆動装置である。
【0137】
これまで述べた実施形態の場合、上方構造体が平板状の上方基板100からなり、下方構造体が平板状の下方基板300からなり、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、上方基板100および下方基板200の基板面が、XY平面に平行になるような構造を採っていた。
【0138】
しかしながら、上方構造体および下方構造体は、必ずしも平板状の基板によって構成する必要はなく、任意形状の構造体によって構成してかまわない。たとえば、上方基板100の代わりに、球形をした構造体を上方構造体として利用することも可能であり、これまで述べた実施形態における上方基板100を任意形状の上方構造体に置き換え、下方基板300を任意形状の下方構造体に置き換えてもかまわない。ただ、工業製品として量産性を確保し、また、薄型化を図る上では、これまで述べた実施形態のように、上方構造体および下方構造体を平板状の基板によって構成するようにし、「標準姿勢」の状態において、上方基板100および下方基板200の基板面が、XY平面に平行になるような構造を採るのが好ましい。
【0139】
<4−5: センサの変形例>
これまで述べた実施形態では、各膜部に形成された変位電極と、これら各変位電極に対向する下方基板の上面位置に固定された固定電極と、からなる容量素子によって、第1〜第5のセンサを構成していたが、本発明に用いるセンサは、各接続部材の下方構造体に対する上下方向に関する変位を検出する機能を有していれば、どのようなセンサを用いてもかまわない。たとえば、膜部に形成した歪みゲージやピエゾ抵抗素子などをセンサとして利用することも可能である。
【0140】
なお、センサの出力値は、必ずしも作用した外力の大きさに比例したものにはならないので、図12や図14に示す演算式に基づいて得られる演算値は、厳密には線形の検出値にはならない可能性がある。したがって、より正確な線形検出値を得るためには、作用した外力の大きさと各接続部材のZ軸方向に関する変位との関係や、当該変位とセンサの出力値との関係を考慮した換算テーブルを設けておき、この換算テーブルを利用して、図12や図14に示す演算式に基づいて得られる演算値に対して補正を行うようにすればよい。
【0141】
<4−6: 接続部材の変形例>
これまで述べた実施形態では、第1〜第4の接続部材P10〜P40として、図2に示すようなリニアアクチュエータを用いた例を述べた。このリニアアクチュエータは、外側筒状部P1と、その内側に嵌合した内側柱状部P2と、を同一の摺動軸A上に配置してなる構造部と、与えられた電気信号に基づいて、内側柱状部P2を外側筒状部P1に対して、摺動軸Aに沿った方向に摺動させることにより全長を所望の長さに調整し、当該長さを維持させる伸縮駆動機構(導管P4およびポンプP5)とを備えている。
【0142】
もちろん、この図2に示すリニアアクチュエータは、本発明に用いる接続部材の一例であり、本発明で用いる接続部材は、たとえば、リンク機構を用いた部材など、電気信号に基づいて上下両端間の長さを変えるアクチュエータであれば、どのような部材を用いてもかまわない。
【0143】
なお、本発明に係る駆動装置は、力検出装置としても機能するという特徴を有しているが、力検出装置としての機能を果たす際には、接続部材の伸縮状態をしっかりと固定しておくのが好ましい。たとえば、接続部材として、図2に示すようなリニアアクチュエータを用いる場合、駆動装置として機能させる際には、ポンプP5を駆動して圧力室P3内部の圧力を増減し、内側柱状部P2を摺動させることになるが、力検出装置として機能させる際には、検出対象となる外力によって内側柱状部P2が摺動してしまうと、正しい検出値を得ることができなくなる。したがって、力検出装置として機能させる際には、測定を開始する前(外力が作用する前)に、内側柱状部P2が摺動しないよう、何らかの方法で固定するのが好ましい。
【0144】
具体的には、たとえば、外側筒状部P1に機械的なロック機構を設け、このロック機構により、内側柱状部P2の位置を固定するようにしておけばよい(一例としては、外側筒状部P1の内径を機械的に絞るような機構を設けておき、内側柱状部P2が摩擦力によって移動しないようにすればよい)。制御ユニットは、検出動作を行う際には、このロック機構により、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さを一定に維持する制御を行うようにすればよい。
【0145】
なお、接続部材の伸縮状態の固定は、必ずしも機械的なロック機構によって行う必要はなく、電気的な制御で行うことも可能である。図19は、図2に示す接続部材の変形例P10′を示す拡大縦断面図である。この図19に示す接続部材P10′も、リニアアクチュエータであるが、導管P4にポンプP5と圧力センサP9とが接続されている。圧力センサP9は、圧力室P3の圧力を検出する機能を有している。圧力センサP9によって検出された圧力の検出信号は、制御ユニット400,450,480へと与えられる。制御ユニットは、圧力センサP9が検出した圧力が一定値に維持されるように、ポンプP5を制御するための駆動信号を出力する。こうして、制御ユニットによるフィードバック制御が行われ、圧力室P3の内部圧力は一定値に維持される。すなわち、内側柱状部P2の伸縮状態は固定されることになる。
【0146】
要するに、外側筒状部P1内に設けられた圧力室P3の圧力を制御するポンプP5と、圧力室P3の圧力を測定する圧力センサP9と、を有するリニアアクチュエータを各接続部材として用いれば、制御ユニット400,450,480は、駆動動作を行う際には、ポンプP5に所定の駆動信号を与えて内側柱状部P2を摺動させることにより、リニアアクチュエータの全長を所望の長さに調整し、検出動作を行う際には、圧力センサP9による測定値が一定となるようにポンプP5に所定の駆動信号を与えてフィードバック制御を行うことができる。
【0147】
なお、図19に示すようなリニアアクチュエータP10′を、各接続部材として用いた装置の場合、力検出装置として機能させる際に、圧力センサP9を容量素子からなるセンサの代わりとして利用することができる。すなわち、リニアアクチュエータ10′の摺動軸A方向に作用する力は、圧力室P3の圧力変動として圧力センサP9によって検出することができるので、圧力センサP9は、これまで述べてきた実施形態で用いられている容量素子からなるセンサと同等の機能を果たす。
【0148】
たとえば、図1に示す駆動装置における第1〜第4の接続部材P10〜P40として、図19に示すリニアアクチュエータP10′を用いるようにすれば、4個の圧力センサP9の出力変化は、図12のテーブルに示す4個の静電容量式センサC10〜C40の出力変化と同様になるので、これら圧力センサの検出信号を利用して、作用した力の検出を行うことができる。
【0149】
また、上述したように、4個の圧力センサによって検出された圧力をそれぞれ一定値に維持するため、制御ユニット400,450,480によるフィードバック制御が行われるので、圧力センサの検出信号の代わりに、このフィードバック制御信号(各ポンプへ与える駆動信号)を利用して、作用した力の検出を行うこともできる。このようにリニアアクチュエータP10′を接続部材として用いた装置では、静電容量式センサを設ける必要はなくなる。
【0150】
<4ー7:中央接続部材と周辺接続部材とによる構成>
§2〜§3で述べた第1〜第4の実施形態は、いずれも中心に配置された第5の接続部材によって、下方基板の上方位置に上方基板を支持する構成を採っている。すなわち、装置の中心に支柱として機能する第5の接続部材を配置し、その周囲に第1〜第4の接続部材を配置した構成を採る。このように、本発明に係る装置の構造を、「支柱として機能する中央接続部材と、その周囲に配置された複数の周辺接続部材とによって、下方構造体の上方に上方構造体を支持する構造」として把握すると、本発明は、次のような特徴を備えた装置に係る発明として捉えることができる。
【0151】
すなわち、本発明に係る装置は、所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、この作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する装置であって、次の各構成要素を有している。
(1)作用体として機能する上方構造体
(2)この上方構造体の下方に配置された下方構造体
(3)下方構造体の上方位置に上方構造体が、少なくとも所定の1方向に傾斜可能な状態で支持されるように、上方構造体と下方構造体とを接続する中央接続部材
(4)上端が上方構造体の下面側に上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える伸縮駆動機構をもち、中央接続部材の周囲に配置された複数N本の周辺接続部材
(5)複数N本の周辺接続部材の下端の下方構造体に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出するセンサ
(6)伸縮駆動機構に所定の電気信号を与えて複数N本の周辺接続部材の上下両端間の長さがそれぞれ所望の長さになるように調整する駆動動作と、センサの検出結果に基づいて、作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作と、を行う制御ユニット
【0152】
ここで、上方接続部は、周辺接続部材の上端付近が上方構造体に対して少なくとも所定の1方向に傾斜可能となるように、周辺接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有しており、下方接続部は、周辺接続部材の下端付近が下方構造体に対して少なくとも所定の1方向に傾斜可能となるように、かつ、下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、周辺接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有している。
【0153】
特に、これまで述べた第1の実施形態(図1)および第4の実施形態(図17)の場合、下方構造体が平板状の下方基板からなり、その基板面に対して平行なXY平面をもったXYZ三次元座標系を定義したときに、中央接続部材(第5の接続部材P50,P50′)の中心軸がZ軸上にくるように、中央接続部材の下端が下方構造体に固着されており、中央接続部材の上端による上方構造体の支持中心点が常にZ軸上に維持されるように構成されている。
【0154】
なお、第2および第3の実施形態(図13)の場合は、膜部205に撓みが生じると、中央接続部材P50の中心軸はZ軸から外れる可能性があるが、「標準姿勢」の状態、かつ、検出対象となる力が作用していない状態では、第1および第4の実施形態と同様に、中央接続部材の中心軸がZ軸上にくるように、中央接続部材の下端が下方構造体に接続されており、中央接続部材の上端による上方構造体の支持中心点が常にZ軸上に維持されるように構成されていることになる。
【0155】
また、第4の実施形態(図17)の場合は、中央接続部材P50′が、上下両端間に外力として加えられた伸張力もしくは圧縮力に応じて上下両端間の長さを変える伸縮従動機構を有している。このため、既に述べたとおり、中央接続部材P50′の長さの変化に応じて、中央接続部材P50′の上端による上方構造体の支持中心点がZ軸に沿って移動することになる。
【0156】
上述したとおり、中央接続部材の周囲に配置する周辺接続部材を複数N本設けるようにし、この複数N本の周辺接続部材の下端の下方構造体に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出するためのセンサを設けるようにすれば、作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、この作用体を所定方向に駆動する駆動機能とをもった装置を構成することが可能である。これまで述べた第1〜第4の実施形態は、いずれもN=4として、4本の周辺接続部材を設けた例であるが、たとえば、N=2として、2本の周辺接続部材のみを設けた場合でも、中央接続部材によって、下方構造体の上方位置に上方構造体が支持されていれば、力検出機能をもった駆動装置として何ら支障は生じない。もちろん、3本の周辺接続部材を設けたり、6本の周辺接続部材を設けたりすることも可能であり、Nは任意に設定することができる。
【0157】
ただ、周辺接続部材の数を減らすと、駆動方向の自由度や検出対象となる力の向きは制限されてしまう。たとえば、図1に示す第1の実施形態において、中央接続部材P50と、X軸上に配置された2本の周辺接続部材P10,P20のみを残し、Y軸上に配置された2本の周辺接続部材P30,P40(図1では、示されていない)を省略した場合、駆動方向はY軸まわりのみに限定され、検出対象となる力もY軸まわりのモーメントMyに限定されることになる。もっとも、この場合、各上方接続部および各下方接続部は、各周辺接続部材の上端および下端付近がX軸方向に傾斜可能となるように接続できればよく、Y軸方向に傾斜させる必要はないので、必ずしも転がり球面軸受のような任意の方向に傾斜可能な軸受を用いる必要はない。
【0158】
駆動方向の自由度や検出対象となる力の向きを増やすには、周辺接続部材の数Nを増やすようにすればよい。たとえば、Y軸まわりおよびX軸まわりの駆動方向を確保し、Y軸まわりのモーメントMyおよびX軸まわりのモーメントMxを検出できるようにするためには、これまで述べた実施形態のように、中央接続部材の周囲に4本の周辺接続部材を配置した構成を採ればよい。この場合、効率的な駆動動作および効率的な検出動作を行う上では、4本の周辺接続部材の配置に幾何学的な対称性が確保されるようにするのが好ましい。
【0159】
具体的には、これまで述べた実施形態のように、4本の周辺接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態、かつ、検出対象となる力が作用していない状態において、第1の周辺接続部材P10の中心軸と第2の周辺接続部材P20の中心軸とが第1の平面(これまでの実施形態の場合XZ平面)上に位置し、第3の周辺接続部材P30の中心軸と第4の周辺接続部材P40の中心軸とが第1の平面に直交する第2の平面(これまでの実施形態の場合YZ平面)上に位置し、第1の平面に関して第3の周辺接続部材P30と第4の周辺接続部材P40とが面対称をなし、第2の平面に関して第1の周辺接続部材P10と第2の周辺接続部材P20とが面対称をなすような配置を採るのが好ましい。
【0160】
<4−8: ロボットアームへの応用例>
図20は、図1に示す駆動装置を手首の関節部分に用いたロボットアーム800の側面図である。このロボットアーム800は、アーム部810、手首関節部820、グリッパ部830によって構成されており、手首関節部820として、図1に示す駆動装置(図には、上方基板100,中間基板200,下方基板300,接続部材Pが示されている)が用いられている。グリッパ部830は、一対の把持部材831,832およびベース部材833を有し、ベース部材833の内部に組み込まれている駆動機構によって、一対の把持部材831,832が駆動され、把持動作が行われる。図には、床面850上に置かれた物体840を把持する動作を行っている状態が示されている。
【0161】
ベース部材833は上方基板100に固着されており、下方基板300はアーム部810に固着されている。手首関節部820として用いられている駆動装置は、上述したとおり、下方基板300を固定した状態において、上方基板100をX軸およびY軸まわりに駆動することができるので、グリッパ部830の姿勢が、物体840を把持するのに適した向きになるように回転駆動させた後、把持部材831,832によって物体840を掴む動作を行うことができる。
【0162】
また、物体840を掴んだ後、この装置の検出機能を利用すれば、物体840からグリッパ部830(上方基板100)に加わる重力を、X軸およびY軸まわりのモーメントに基づいて測定することができるので、物体840の質量を量ることが可能になる。
【符号の説明】
【0163】
5,6:切断線
100:上方基板(上方構造体)
200:中間基板(下方接続部)
201〜205:膜部
300:下方基板(下方構造体)
400:制御ユニット
450:制御ユニット
480:制御ユニット
800:ロボットアーム
810:アーム部
820:手首関節部
830:グリッパ部
831,832:把持部材
833:ベース部材
840:物体
850:床面
A:摺動軸
C10〜C50(容量素子からなるセンサ/静電容量値)
E10〜E50:固定電極
Fz:Z軸方向の力
G10〜G50:溝
H:通気孔
Mx:X軸まわりのモーメント
My:Y軸まわりのモーメント
O:XYZ三次元座標系の原点
P:接続部材
P1:外側筒状部
P2:内側柱状部
P3:圧力室
P4:導管
P5:ポンプ
P6:上方竿状部
P7:下方竿状部
P8:外側筒状部
P9:圧力センサ
P10,P10′:第1の接続部材(リニアアクチュエータ)
P20:第2の接続部材(リニアアクチュエータ)
P30:第3の接続部材(リニアアクチュエータ)
P40:第4の接続部材(リニアアクチュエータ)
P50,P50′:第5の接続部材
Q1:ハウジング
Q2:球体部
Q3:間隙部
Q4:導出口
Q10〜Q50:転がり球面軸受(上方接続部)
R10〜R40:転がり球面軸受(下方接続部)
X:XYZ三次元座標系の座標軸
Y:XYZ三次元座標系の座標軸
Z:XYZ三次元座標系の座標軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、力検出機能をもった駆動装置に関し、特に、ロボットの関節部分などに利用するのに適し、所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、当該作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットや産業機械では、各部に様々な動作をさせるため、関節部分に駆動装置が取り付けられている。たとえば、ロボットアーム(腕)とグリッパー(手)を接続する手首の関節部分には、グリッパー(手)を任意の方向に駆動する駆動装置が設けられる。ロボットの足首の関節部分についても同様である。たとえば、下記の特許文献1には、サーボ制御が可能な回転モータで3組のリンクを駆動するロボットの手首用駆動装置が開示されており、特許文献2には、6本のリニアアクチュエータを用いて、多自由度マニピュレータとして機能するロボットアーム用駆動装置が開示されている。また、特許文献3には、プーリとベルトを用いて構成したロボット用の手首駆動装置が開示されている。
【0003】
一方、ロボットや産業機械では、その動作制御を行うために、種々のタイプの力検出装置が利用されている。特に、ロボットアームの手首部分に取り付けて、グリッパーに加わる負荷を検出するための力検出装置としては、できるだけ構造が単純であり、三次元空間内での各座標軸に関する力をそれぞれ独立して検出できる装置が望まれている。一般に、力検出装置の検出対象には、所定の座標軸方向を向いた力成分と、所定の座標軸まわりのモーメント成分とがあり、三次元空間内にXYZ三次元座標系を定義した場合、検出対象は、各座標軸方向の力成分Fx,Fy,Fzと、各座標軸まわりのモーメント成分Mx,My,Mzとの6つの成分になる。
【0004】
このような6つの力成分をそれぞれ独立して検出することができる力検出装置として、たとえば、下記の特許文献4には、比較的単純な構造をもった装置が開示されている。この特許文献4に開示された技術は、既に米国特許第6915709号・米国特許第7121147号・欧州特許第1464939号が付与されている技術であり、2枚の基板を複数の柱状体で接続した構造物を用意し、一方の基板を固定した状態において他方の基板に力を加えたときに、各柱状体の変位を個別に測定することにより、加えられた力の各成分を検出するものである。
【0005】
また、下記の特許文献5に開示されている技術も、既に米国特許第7219561号が付与されている技術である。この技術によれば、各柱状体の変位を個別に測定するセンサとして静電容量素子を用い、この静電容量素子を構成する特定の電極間に配線を施すことにより、加えられた力の各成分を検出するための演算を単純化することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−038886号公報
【特許文献2】特開2001−004005号公報
【特許文献3】特開2006−007355号公報
【特許文献4】特開2004−354049号公報
【特許文献5】特開2004−325367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したとおり、ロボットや産業機械の駆動制御を行うためには、関節部分に、駆動装置とともに力検出装置を設ける必要がある。たとえば、アームの先に手首を介してグリッパーが接続されたロボットの場合、手首から先のグリッパーの部分を駆動するための駆動装置を手首の関節に取り付けるとともに、グリッパーの部分に作用した力を検出するための力検出装置を手首の関節に取り付けるのが好ましい。このように、ロボットの手首に取り付けるのに適した駆動装置や力検出装置は、たとえば、前掲の各特許文献に開示されているように、様々なタイプのものが知られている。
【0008】
しかしながら、従来提案されている一般的な駆動装置および力検出装置を、ロボットや産業機械の関節部分に組み込むと、関節部分の構造が複雑になり、また、関節部分が大型化せざるを得ない。構造が複雑になれば、製造コストも嵩むことになる。特に、ロボットアームの手首の構造部は、できるだけ単純な構造で構成するのが好ましいが、前掲の各特許文献に開示されている駆動装置および力検出装置を、それぞれ別個に手首部分に組み込むようにすると、手首の構造部の単純化を図るのは困難である。
【0009】
そこで本発明は、ロボットや産業機械などの関節部分を構成するのに適し、駆動機能とともに力検出機能を備え、かつ、構造の単純化を図ることが可能な力検出機能をもった駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明の第1の態様は、所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する力検出機能をもった駆動装置において、
作用体として機能する上方構造体と、
上方構造体の下方に配置された下方構造体と、
上端が上方構造体の下面側に第1の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第1の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第1の伸縮駆動機構をもった第1の接続部材と、
上端が上方構造体の下面側に第2の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第2の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第2の伸縮駆動機構をもった第2の接続部材と、
上端が上方構造体の下面側に第3の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第3の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第3の伸縮駆動機構をもった第3の接続部材と、
上端が上方構造体の下面側に第4の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第4の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第4の伸縮駆動機構をもった第4の接続部材と、
第1〜第4の接続部材の下端の下方構造体に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出する第1〜第4のセンサと、
第1〜第4の伸縮駆動機構に所定の電気信号を与えて第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さがそれぞれ所望の長さになるように調整する駆動動作と、第1〜第4のセンサの検出結果に基づいて、作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作と、を行う制御ユニットと、
を設け、
第1〜第4の上方接続部は、それぞれ第1〜第4の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、それぞれ第1〜第4の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有するようにし、
第1〜第4の下方接続部は、それぞれ第1〜第4の接続部材の下端付近が下方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、かつ、下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、それぞれ第1〜第4の接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有するようにしたものである。
【0011】
(2) 本発明の第2の態様は、上述した第1の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に固着された第5の接続部材を更に設け、
第5の上方接続部は、第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有するようにしたものである。
【0012】
(3) 本発明の第3の態様は、上述した第2の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致するようにし、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、を行うようにしたものである。
【0013】
(4) 本発明の第4の態様は、上述した第1の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第5の下方接続部を介して接続された第5の接続部材と、
第5の接続部材の下端の下方構造体に対する上下方向に関する変位を検出する第5のセンサと、
を更に設け、
制御ユニットは、第1〜第5のセンサの検出結果に基づいて、作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作を行い、
第5の上方接続部は、第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有するようにし、
第5の下方接続部は、第5の接続部材の下端付近が下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、第5の接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有するようにしたものである。
【0014】
(5) 本発明の第5の態様は、上述した第4の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致するようにし、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、第5のセンサの検出値もしくは第1〜第5のセンサの検出値の総和に基づく電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したZ軸方向の力Fzの検出値として出力するZ軸方向検出動作と、を行うようにしたものである。
【0015】
(6) 本発明の第6の態様は、上述した第1の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第5の下方接続部を介して接続された第5の接続部材を更に設け、
第5の上方接続部は、第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有するようにし、
第5の下方接続部は、第5の接続部材の下端付近が下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、第5の接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有するようにしたものである。
【0016】
(7) 本発明の第7の態様は、上述した第6の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致するようにし、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、第1〜第4のセンサの検出値の総和に基づく電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したZ軸方向の力Fzの検出値として出力するZ軸方向検出動作と、を行うようにしたものである。
【0017】
(8) 本発明の第8の態様は、上述した第1の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に固着され、上下両端間に外力として加えられた伸張力もしくは圧縮力に応じて上下両端間の長さを変える伸縮従動機構をもった第5の接続部材を更に設け、
第5の上方接続部は、第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有するようにしたものである。
【0018】
(9) 本発明の第9の態様は、上述した第8の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致するようにし、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、第1〜第4のセンサの検出値の総和に基づく電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したZ軸方向の力Fzの検出値として出力するZ軸方向検出動作と、を行うようにしたものである。
【0019】
(10) 本発明の第10の態様は、上述した第1〜第9の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
すべての上方接続部および第1〜第4の下方接続部が、転がり球面軸受を含む構造体によって構成されているようにしたものである。
【0020】
(11) 本発明の第11の態様は、上述した第3,第5,第7,第9のいずれかの態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
「標準姿勢」の状態では、第1の接続部材と第2の接続部材とがYZ平面に関して面対称をなし、第3の接続部材と第4の接続部材とがXZ平面に関して面対称をなすようにしたものである。
【0021】
(12) 本発明の第12の態様は、上述した第3,第5,第7,第9のいずれかの態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
上方構造体が平板状の上方基板からなり、下方構造体が平板状の下方基板からなり、「標準姿勢」の状態では、上方基板および下方基板の基板面が、XY平面に平行になるように構成したものである。
【0022】
(13) 本発明の第13の態様は、上述した第12の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
下面の4カ所に溝が形成された中間基板を、下方基板の上面に接合し、これら溝の底部には、それぞれ可撓性をもった膜部が形成されるようにし、
第1〜第4の下方接続部が、中間基板と、各膜部の上面に固定された転がり球面軸受と、によって構成されており、第1〜第4の接続部材の下端が転がり球面軸受、膜部、溝の側壁部を介して、下方基板に接続されるようにしたものである。
【0023】
(14) 本発明の第14の態様は、上述した第13の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
第1〜第4のセンサが、各膜部に形成された変位電極と、これら各変位電極に対向する下方基板の上面位置に固定された固定電極と、からなる容量素子によって構成されているようにしたものである。
【0024】
(15) 本発明の第15の態様は、上述した第14の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
中間基板が導電性材料から構成されており、膜部自身が変位電極として機能するようにしたものである。
【0025】
(16) 本発明の第16の態様は、上述した第1〜第15の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
第1〜第4の接続部材を、
外側筒状部と、その内側に嵌合した内側柱状部と、を同一の軸上に配置してなる構造部と、
与えられた電気信号に基づいて、内側柱状部を外側筒状部に対して、上記軸に沿った方向に摺動させることにより全長を所望の長さに調整し、当該長さを維持させる伸縮駆動機構と、
を有するリニアアクチュエータによって構成したものである。
【0026】
(17) 本発明の第17の態様は、上述した第16の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
リニアアクチュエータが、外側筒状部に対して内側柱状部を機械的に固定するロック機構を有するようにし、
制御ユニットが、検出動作を行う際には、このロック機構により、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さを一定に維持する制御を行うようにしたものである。
【0027】
(18) 本発明の第18の態様は、上述した第16の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
リニアアクチュエータが、外側筒状部内に設けられた圧力室の圧力を制御するポンプと、圧力室の圧力を測定する圧力センサと、を有するようにし、
制御ユニットが、駆動動作を行う際には、ポンプに所定の駆動信号を与えて内側柱状部を摺動させることにより、リニアアクチュエータの全長を所望の長さに調整し、検出動作を行う際には、圧力センサによる測定値が一定となるようにポンプに所定の駆動信号を与えてフィードバック制御を行うようにしたものである。
【0028】
(19) 本発明の第19の態様は、所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する力検出機能をもった駆動装置において、
作用体として機能する上方構造体と、
上方構造体の下方に配置された下方構造体と、
下方構造体の上方位置に上方構造体が、少なくとも所定の1方向に傾斜可能な状態で支持されるように、上方構造体と下方構造体とを接続する中央接続部材と、
上端が上方構造体の下面側に上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える伸縮駆動機構をもち、中央接続部材の周囲に配置された複数N本の周辺接続部材と、
複数N本の周辺接続部材の下端の下方構造体に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出するセンサと、
伸縮駆動機構に所定の電気信号を与えて複数N本の周辺接続部材の上下両端間の長さがそれぞれ所望の長さになるように調整する駆動動作と、センサの検出結果に基づいて、作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作と、を行う制御ユニットと、
を備え、
上方接続部は、周辺接続部材の上端付近が上方構造体に対して少なくとも所定の1方向に傾斜可能となるように、周辺接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有し、
下方接続部は、周辺接続部材の下端付近が下方構造体に対して少なくとも所定の1方向に傾斜可能となるように、かつ、下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、周辺接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有するようにしたものである。
【0029】
(20) 本発明の第20の態様は、上述した第19の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
下方構造体が平板状の下方基板からなり、その基板面に対して平行なXY平面をもったXYZ三次元座標系を定義したときに、中央接続部材の中心軸がZ軸上にくるように、中央接続部材の下端が下方構造体に固着されており、中央接続部材の上端による上方構造体の支持中心点が常にZ軸上に維持されるように構成したものである。
【0030】
(21) 本発明の第21の態様は、上述した第20の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
中央接続部材が、上下両端間に外力として加えられた伸張力もしくは圧縮力に応じて上下両端間の長さを変える伸縮従動機構を有し、中央接続部材の長さの変化に応じて、中央接続部材の上端による上方構造体の支持中心点がZ軸に沿って移動するようにしたものである。
【0031】
(22) 本発明の第22の態様は、上述した第19〜第21の態様に係る力検出機能をもった駆動装置において、
中央接続部材の周囲に第1〜第4の周辺接続部材を配置し、これら4本の周辺接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態、かつ、検出対象となる力が作用していない状態では、第1の周辺接続部材の中心軸と第2の周辺接続部材の中心軸とが第1の平面上に位置し、第3の周辺接続部材の中心軸と第4の周辺接続部材の中心軸とが第1の平面に直交する第2の平面上に位置し、第1の平面に関して第3の周辺接続部材と第4の周辺接続部材とが面対称をなし、第2の平面に関して第1の周辺接続部材と第2の周辺接続部材とが面対称をなすようにしたものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る装置では、上方構造体と下方構造体とが、伸縮駆動機能をもった4本の接続部材によって接続されるので、これら接続部材を伸縮駆動することにより、上方構造体を下方構造体に対して駆動することができる。また、個々の接続部材の下端の上下方向に関する変位を検出するセンサが設けられているため、上方構造体に対して作用した特定方向の力を検出することも可能になり、駆動機能とともに力検出機能を備えた装置が実現できる。
【0033】
このように、本発明に係る装置は、1台の装置でありながら、駆動装置と力検出装置との双方を兼ねる働きをするため、駆動装置と力検出装置とをそれぞれ別個に設ける場合に比べて、全体の構造を単純化することができ、小型化を実現することができ、コスト低減を図ることもできる。また、上方構造体と下方構造体とを接続部材で接続した構造をとるため、ロボットや産業機械などの関節部分を構成するのに適した単純な構造をもった装置になる。
【0034】
4本の接続部材の上下両端は、端部が任意の方向に傾斜可能となるような構造をもった接続部材(たとえば、転がり球面軸受を利用した部材)を介して上下の構造体に接続されることになるが、上端のみが任意の方向に傾斜可能となるように接続された第5の接続部材を付加すれば、この第5の接続部材によって、上方構造体を下方構造体に対して安定して支持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る力検出機能をもった駆動装置の縦断面図である(制御ユニット400はブロックで示す)。
【図2】図1に示す装置に用いられている接続部材P10の拡大縦断面図である(ポンプの部分はブロックで示す)。
【図3】図1に示す装置に用いられている転がり球面軸受Q10の拡大縦断面図である。
【図4】図1に示す装置をXY平面で切断し、上方部分を見上げた状態を示す横断面図である。
【図5】図1に示す装置を切断線5−5に沿った面で切断し、下方部分を見下ろした状態を示す横断面図である。
【図6】図1に示す装置を切断線6−6に沿った面で切断し、下方部分を見下ろした状態を示す横断面図である(破線は、中間基板200に設けられた溝および下方基板300に設けられた固定電極を示す)。
【図7】図1に示す装置の中間基板200の下面図である。
【図8】図1に示す装置の下方基板300の上面図である。
【図9】図1に示す装置における上方基板100(作用体)を+Y軸まわりに駆動した状態を示す縦断面図である(制御ユニット400はブロックで示す)。
【図10】図1に示す装置の駆動動作を示すテーブルである。
【図11】図1に示す装置における上方基板100(作用体)に対してY軸まわりのモーメント+Myが作用した状態を示す縦断面図である(制御ユニット400はブロックで示す)。
【図12】図1に示す装置の検出動作を示すテーブルである。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る力検出機能をもった駆動装置の縦断面図である(制御ユニット450はブロックで示す)。
【図14】図13に示す装置の検出動作を示すテーブルである。
【図15】図13に示す装置における上方基板100(作用体)に対して+Z軸方向の力+Fzが作用した状態を示す縦断面図である。
【図16】図13に示す装置における上方基板100(作用体)に対して−Z軸方向の力−Fzが作用した状態を示す縦断面図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る力検出機能をもった駆動装置の縦断面図である(制御ユニット480はブロックで示す)。
【図18】図17に示す装置の駆動動作を示すテーブルである。
【図19】図2に示す接続部材の変形例P10′を示す拡大縦断面図である。
【図20】図1に示す駆動装置を手首の関節部分に用いたロボットアームの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を図示するいくつかの実施形態に基づいて説明する。
【0037】
<<< §1. 第1の実施形態の構造 >>>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る力検出機能をもった駆動装置の縦断面図である(制御ユニット400はブロックで示す)。この装置の主たる構成要素は、上方基板100、中間基板200、下方基板300という3枚の平板状基板と、第1〜第5の接続部材P10〜P50という5本の柱状接続部材である(図1には、3本の接続部材P10,P20,P50のみが現れている)。後述するとおり、第5の接続部材P50は、この装置の中心軸を通る位置に配置され、第1〜第4の接続部材P10〜P40は、その周囲に配置されている。
【0038】
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、第5の接続部材P50の上端付近に原点Oをもち、図の右方向にX軸、図の紙面に垂直な奥へ向かう方向にY軸、図の上方向にZ軸をそれぞれ配したXYZ三次元座標系を定義する。図1は、この装置をXZ平面に沿って切断した縦断面図に相当する。
【0039】
3枚の基板100,200,300は、いずれも同じサイズの円盤状の基板であり、基板面がXY平面に平行になり、その中心位置にZ軸が貫通するように配置されている。もっとも、後述するように、第1〜第4の接続部材P10〜P40は、それぞれ伸縮駆動機構を有しており、その長さを調整することができる。図1に示す状態は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さが互いに等しくなるように伸縮駆動機構を調整した状態(本願では「標準姿勢」と呼ぶ)ということになる。
【0040】
5本の接続部材P10〜P50は、上方基板100の下面と中間基板200の上面とを接続する機能を果たし、図示のような「標準姿勢」では、各接続部材P10〜P50の長手方向軸はZ軸に平行になる。一方、下方基板300の上面は、中間基板200の下面に接合されている。
【0041】
上方基板100および下方基板300は、完全な円盤状の基板であるが、中間基板200は、円盤状の基板の下面の4カ所に円柱状の溝G10〜G40を形成した構造を有する。ここで、4カ所の溝G10〜G40の形成位置は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の配置位置に対応したものとなっている。図1には、第1および第2の接続部材P10,P20の直下の位置に、それぞれ溝G10,G20が形成されている状態が示されている。また、下方基板300の上面の4カ所(溝G10〜G40の形成位置)には、それぞれ円盤状の固定電極E10〜E40が形成されている。図1には、第1および第2の溝G10,G20の内部に、それぞれ固定電極E10,E20が形成されている状態が示されている。
【0042】
上方基板100の材質は任意でよいが、中間基板200は金属などの導電性基板によって構成するのが好ましい。これは、後述するように、中間基板200の溝G10〜G40の底部をなす膜部201〜204を変位電極として利用できるようにするための配慮である。また、下方基板300はガラスや樹脂などの絶縁性基板によって構成するのが好ましい。これは、その上面に形成される固定電極E10〜E40が互いに導通しないようにするための配慮である。
【0043】
第1〜第4の接続部材P10〜P40は、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える伸縮駆動機構をもっている。図1に示すとおり、第1および第2の接続部材P10,P20は、外側筒状部P1と内側柱状部P2とを有し、内側柱状部P2を外側筒状部P1に対して長手方向に駆動することにより、その全長を変化させる機能を有する。
【0044】
図2は、図1に示す装置に用いられている接続部材P10の拡大縦断面図である(ポンプP5の部分はブロックで示す)。このような構造を有する接続部材P10は、一般にリニアアクチュエータとして市販されている。図示のとおり、この接続部材P10は、円筒状の外側筒状部P1と、その内側に嵌合した円柱状の内側柱状部P2と、を同一の軸(摺動軸A)上に配置してなる構造部を有している。内側柱状部P2は外側筒状部P1の内壁に沿って図の摺動軸A方向に摺動する。外側筒状部P1と内側柱状部P2との接触面は十分な密閉性が確保されており、内側柱状部P2の左側には、図示のように密閉状態となった圧力室P3が設けられている。この圧力室P3は、導管P4を介してポンプP5へ繋がっている。また、内側柱状部P2の右方には上方竿状部P6が接続され、外側筒状部P3の左方には下方竿状部P7が接続されている。
【0045】
外部から電気信号を与えて、ポンプP5を駆動し、圧力室P3内部に空気を送ったり、逆に吸引したりすることにより、圧力室P3内部の圧力を増減させることができる。この圧力室P3内部の圧力変動によって、内側柱状部P2は図の摺動軸A方向に摺動することになる。このようにポンプP5に所定の駆動信号を与えて駆動し、圧力室P3の内圧を制御すれば、内側柱状部P2の位置を自由に調整することができ、また、定位置に固定することもできる。結局、導管P4およびポンプP5は、内側柱状部P2を外側筒状部P1に対して、摺動軸Aに沿った方向に摺動させることにより、この接続部材P10の全長を所望の長さに調整し、また、当該長さを維持させる伸縮駆動機構として機能する。
【0046】
なお、図2には、空気圧で伸縮制御を行うリニアアクチュエータの例を示すが、圧力室P3および導管P4に油やその他の媒質を充填させた油圧式のリニアアクチュエータを用いることもできる。あるいは、モータでねじを回転させて伸縮を行うようなリニアアクチュエータを用いてもかまわない。もちろん、リンク機構を用いて接続部材を構成し、個々のリンクのなす角を制御することにより、上下両端間の長さを調整することも可能である。要するに、本発明で用いる接続部材は、電気信号に基づいて上下両端間の長さを変えるアクチュエータであれば、どのような部材を用いてもかまわない。
【0047】
図2には、第1の接続部材P10の構造例を示したが、第2〜第4の接続部材P20〜P40の構造も全く同じである。これに対して、第5の接続部材P50は、図1に示されているとおり、単なる円柱状の構造体であり、伸縮機能は有していない。結局、図1に示す第1の実施形態に係る装置の場合、第1〜第4の接続部材P10〜P40は、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える伸縮駆動機構をもったリニアアクチュエータによって構成されているが、第5の接続部材P50は、そのような伸縮駆動機構をもたない柱状の構造体によって構成されていることになる。なお、図1では、図が繁雑になるのを避けるため、第1〜第4の接続部材P10〜P40については、導管P4およびポンプP5の図示は省略している。
【0048】
続いて、各接続部材P10〜P50と各基板との接続部分の構造を説明する。まず、第1〜第5の接続部材P10〜P50の上端部と上方基板100との接続部分には、それぞれ転がり球面軸受Q10〜Q50が設けられている。同様に、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端部と中間基板200との接続部分には、それぞれ転がり球面軸受R10〜R40が設けられている。このように、各接続部材の上下両端には、転がり球面軸受が設けられているが、唯一の例外は、第5の接続部材P50の下端である。図1に示すとおり、第5の接続部材P50の下端は、中間基板200の上面に直接固着されている。結局、この図1に示す実施形態の場合、合計9カ所に転がり球面軸受が用いられていることになる。
【0049】
図3は、図1に示す転がり球面軸受Q10の基本構成を示す拡大縦断面図である。転がり球面軸受は、古くから様々なタイプのものが市販されている公知の軸受である。図示した転がり球面軸受は、ハウジングQ1の内部に球状の空洞を設け、この空洞内に球体部Q2を収容した構造を有する。ハウジングQ1の上面は、上方基板100の下面に接合される。また、球体部Q2の下方には、上方竿状部P6が接合されている。この上方竿状部P6は、図2に示すように、内側柱状部P2へと繋がっている構成要素である。ハウジングQ1と球体部Q2との間の間隙部Q3には、通常、ベアリング(図示省略)が充填されており、球体部Q2はハウジングQ1の内部で滑らかに回転することができる。
【0050】
ハウジングQ1,球体部Q2,上方竿状部P6は、いずれも金属などの剛体から構成されているが、ハウジングQ1の内部に収容された球体部Q2は、任意の方向に回転することができるため、ハウジングQ1の下面に形成された導出口Q4から下方に導出された上方竿状部P6は、この導出口Q4の広がりの範囲において、自由に回動することができる。結局、この転がり球面軸受Q10を介して接続された第1の接続部材P10の上端付近は、上方基板100に対して任意の方向に傾斜可能となるように接続されることになる。
【0051】
図3には、第1の接続部材P10の上端を上方基板100に接続するための転がり球面軸受Q10の構造例を示したが、第2〜第5の接続部材P20〜P50の上端を上方基板100に接続するための転がり球面軸受Q20〜Q50の構造も全く同じである。また、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端を中間基板200に接続するための転がり球面軸受R10〜R40の構造も全く同じである。たとえば、図3に示す転がり球面軸受Q10を上下反転させたものが、転がり球面軸受R10となり、下方竿状部P7を中間基板200に接続する役割を果たす。
【0052】
図1に示されているとおり、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上端は、それぞれ転がり球面軸受Q10〜Q40を介して上方基板100の下面に接続されている。これに対して、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端は、それぞれ転がり球面軸受R10〜R40を介して中間基板200の上面に接続され、更に、この中間基板200が下方基板300の上面に接続されている。
【0053】
このように、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端を中間基板200を介して下方基板300に接続する構造を採るのは、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端付近が下方基板300に対して上下方向(Z軸方向)に変位可能となるように接続するためである。すなわち、中間基板200における転がり球面軸受R10〜R40の取り付け箇所には、溝G10〜G40が形成されており、これら溝G10〜G40の底部には、それぞれ膜部201〜204が形成されている。膜部201〜204の厚みは、力検出に必要な撓みが生じるのに適した厚みに設計される。このように、膜部201〜204は可撓性をもっているため、ダイアフラムとして機能し、Z軸方向を向いた力が作用すると撓みが生じ、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端付近は、下方基板300に対して上下方向(Z軸方向)に変位する。後述するように、本発明に係る装置の力検出機能は、この上下方向の変位に基づいて行われる。
【0054】
図4は、図1に示す装置をXY平面で切断し、上方部分を見上げた状態を示す横断面図である。したがって、図には、上方基板100の下面図が、5組の転がり球面軸受Q10〜Q50とともに示されている。各転がり球面軸受Q10〜Q50の部分には、ハウジングQ1と球体部Q2とが示されている。図示のとおり、中央に配置された転がり球面軸受Q50の球体部Q2の中心位置にXYZ三次元座標系の原点Oが定義され、図の右方向にX軸、図の下方向にY軸がとられている。しかも、軸受Q10はX軸の正の部分に配置され、軸受Q20はX軸の負の部分に配置され、軸受Q30はY軸の正の部分に配置され、軸受Q40はY軸の負の部分に配置されている。また、これら4組の軸受Q10〜Q40は、原点Oから等距離の位置に配置されている。
【0055】
図5は、図1に示す装置を切断線5−5に沿った面で切断し、下方部分を見下ろした状態を示す横断面図である。したがって、図には、中間基板200の上面図が、5組の接続部材P10〜P50とともに示されている。第1〜第4の接続部材P10〜P40の部分には、外側筒状部P1と内側柱状部P2とが示されており(導管P4およびポンプP5の図示は省略)、前述したとおり、リニアアクチュエータとして機能する。これに対して、第5の接続部材P50は、円柱状の構造体であり、リニアアクチュエータとしての機能は有していない。第1〜第4の接続部材P10〜P40は、それぞれ転がり球面軸受R10〜R40(図5には現れていない)を介して中間基板200の上面に接続されている。
【0056】
図5には、便宜上、X軸およびY軸の投影像を示してある。図1に示すような「標準姿勢」では、各接続部材P10〜P50の上下両端を通る直線、すなわち長手方向軸(中心軸)はZ軸に平行になり、第1の接続部材P10の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材P20の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材P30の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材P40の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材P50の上下両端を通る直線はZ軸に一致する。
【0057】
図6は、図1に示す装置を切断線6−6に沿った面で切断し、下方部分を見下ろした状態を示す横断面図である。したがって、図には、中間基板200の上面図が、4組の転がり球面軸受R10〜R40および第5の接続部材P50とともに示されている。各転がり球面軸受R10〜R40の部分には、ハウジングQ1および球体部Q2の上面ならびに下方竿状部P7の横断面が示されている。この図6にも、便宜上、X軸およびY軸の投影像を示してある。このX軸,Y軸の投影像に関して、軸受R10はX軸の正の部分に配置され、軸受R20はX軸の負の部分に配置され、軸受R30はY軸の正の部分に配置され、軸受R40はY軸の負の部分に配置されている。また、これら4組の軸受R10〜R40は、Z軸から等距離の位置に配置されている。
【0058】
なお、図6に破線で示された円は、中間基板200の下面に設けられた溝G10〜G40の側面部および下方基板300の上面に形成された円盤状の固定電極E10〜E40の位置を示している。前述したとおり、中間基板200の溝G10〜G40の底部を構成する膜部201〜204は、可撓性を有しており、第1〜第4の接続部材の下端から受けるZ軸方向の力に基づいて撓み(変位)を生じる。
【0059】
図7は、図1に示す装置の中間基板200の下面図であり、図8は、図1に示す装置の下方基板300の上面図である。図7,図8にも、便宜上、X軸およびY軸の投影像を示してある。図7に示すとおり、このX軸,Y軸の投影像に関して、膜部201(溝G10)はX軸の正の部分に配置され、膜部202(溝G20)はX軸の負の部分に配置され、膜部203(溝G30)はY軸の正の部分に配置され、膜部204(溝G40)はY軸の負の部分に配置されている。同様に、図8に示すとおり、このX軸,Y軸の投影像に関して、固定電極E10はX軸の正の部分に配置され、固定電極E20はX軸の負の部分に配置され、固定電極E30はY軸の正の部分に配置され、固定電極E40はY軸の負の部分に配置されている。
【0060】
ここに示す実施形態の場合、中間基板200は金属などの導電性材料から構成されているため、膜部201〜204はそれ自身が変位電極として機能する(中間基板200を絶縁性材料で構成した場合は、膜部201〜204の下面に導電層を形成し、これを変位電極として用いればよい)。したがって、膜部201(変位電極)と固定電極E10とによって第1の容量素子C10が構成され、膜部202(変位電極)と固定電極E20とによって第2の容量素子C20が構成され、膜部203(変位電極)と固定電極E30とによって第3の容量素子C30が構成され、膜部204(変位電極)と固定電極E40とによって第4の容量素子C40が構成される。
【0061】
これら各容量素子C10〜C40の静電容量値(ここでは、同じ符号C10〜C40で示すことにする)は、それぞれ第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端の下方基板300に対する上下方向に関する変位(Z軸方向に関する変位)に応じて変化する。たとえば、図1において、第1の接続部材P10の下端が図の下方へ変位すると、膜部201は下方へと押圧されて撓み、容量素子C10を構成する一対の電極間距離は減少し、静電容量値C10は増加する。逆に、第1の接続部材P10の下端が図の上方へ変位すると、膜部201は上方へと引っ張られて撓み、容量素子C10を構成する一対の電極間距離は増加し、静電容量値C10は減少する。結局、各容量素子C10〜C40は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端の下方基板300に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出する第1〜第4のセンサとして機能することになる。
【0062】
<<< §2. 第1の実施形態の動作 >>>
続いて、ここでは、§1で述べた第1の実施形態(図1に示す装置)の動作を説明する。本発明に係る装置の特徴は、所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、この作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有している点である。図1に示す装置の場合、上方基板100が作用体としての役割を果たし、下方基板300を固定した状態において、上方基板100に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、下方基板300に対して、上方基板100を所定方向に駆動する駆動機能とを有することになる。
【0063】
本発明に係る装置では、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える伸縮駆動機構をもった4組の接続部材P10〜P40(リニアアクチュエータ)が用いられる。各接続部材の具体的な構成例は、図2に示すとおりである。各接続部材は、上方基板100と下方基板300との間を接続する役割を果たすが、その上端は上方基板100の下面側に上方接続部を介して接続され、下端は下方基板300の上面側に下方接続部を介して接続される。
【0064】
図1に示す第1の実施形態の場合、4組の上方接続部は、転がり球面軸受Q10〜Q40によって構成されている。第1〜第4の接続部材P10〜P40について用いられる上方接続部に必要な要件は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上端付近が上方基板100に対して任意の方向に傾斜可能となるように、それぞれ第1〜第4の接続部材P10〜P40の上端を上方基板100の下面に接続する機能を有している点である。既に述べたとおり、転がり球面軸受Q10〜Q40は、このような要件を満たす最適の部材である。
【0065】
一方、第1〜第4の接続部材P10〜P40について用いられる下方接続部には、2つの要件が課される。第1の要件は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端付近が下方基板300に対して任意の方向に傾斜可能となるように、それぞれ第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端を下方基板100の上面に接続する機能を有している点である。転がり球面軸受R10〜R40は、このような第1の要件を満たすために用いられている部材である。そして、第2の要件は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端付近が下方基板300に対して上下方向に変位可能となるように、それぞれ第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端を下方基板300の上面に接続する構造を有している点である。中間基板200は、このような第2の要件を満たすために用いられている部材である。
【0066】
図1に示す第1の実施形態の場合、下面の4カ所に溝G10〜G40が形成された中間基板200を下方基板300の上面に接合し、各溝G10〜G40の底部に可撓性をもった膜部201〜204を形成し、これら膜部201〜204の上面に、転がり球面軸受R10〜R40を接続する構造を採っている。その結果、第1〜第4の下方接続部は、中間基板200と、各膜部201〜204の上面に固定された転がり球面軸受R10〜R40と、によって構成されることになり、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端は、転がり球面軸受R10〜R40、膜部201〜204、溝G10〜G40の側壁部を介して、下方基板300に接続される。
【0067】
一方、本発明に係る装置には、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端の下方基板300に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出する第1〜第4のセンサが設けられている。§1で述べたとおり、図1に示す第1の実施形態の場合、導電性材料から構成された膜部201〜204(変位電極)と、これに対向する位置に配された固定電極E10〜E40によって構成される容量素子C10〜C40およびその静電容量値を検出する構成要素が、第1〜第4のセンサとして機能する。
【0068】
更に、本発明に係る装置には、図1にブロック図として示されているように、制御ユニット400が設けられている。この制御ユニット400は、第1〜第4の伸縮駆動機構(第1〜第4の接続部材P10〜P40を構成する各ポンプP5)に所定の電気信号を与えて第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さがそれぞれ所望の長さになるように調整する駆動動作と、第1〜第4のセンサの検出結果(容量素子C10〜C40の静電容量値)に基づいて、上方基板100に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作と、を行う。
【0069】
さて、上述した各要件を満たすように、第1〜第4の接続部材P10〜P40によって上方基板100と下方基板300とを接続すると、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さを変化させることにより、上方基板100を下方基板300に対して所定方向に駆動することができ、上方基板100の下方基板300に対する姿勢を変化させることができる。すなわち、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態では、図1に示すように、上方基板100は下方基板300に対して平行な姿勢を保つことになるが、上方基板100の下方基板300に対する姿勢は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さに依存して決定される。したがって、制御ユニット400から第1〜第4の接続部材P10〜P40を構成する各ポンプP5に所定の駆動信号を与えて長さの調整を行うことにより、所定の自由度の範囲内で、上方基板100の下方基板300に対する姿勢を制御することができる。
【0070】
また、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さが固定されるようにした状態において、上方基板100に対して外力が作用すると、作用した外力によって第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端から各膜部201〜204に対して、上下方向の力(Z軸方向の力)が加わり、可撓性をもったダイアフラムとして機能する各膜部201〜204が撓みを生じることになる。その結果、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端は上下方向に変位を生じ、当該変位は、第1〜第4のセンサによって検出される。したがって、制御ユニット400は、第1〜第4のセンサの検出値に基づいて、上方基板100に対して作用した外力の方向および大きさを検出することができる。
【0071】
このように、本発明に係る装置では、第1〜第4の接続部材P10〜P40を設けることが必須である。図1に示す第1の実施形態の場合、更に、第5の接続部材P50が設けられている。この第5の接続部材P50は、上方基板100を下方基板300の上方に安定して支持する機能を果たすものである。本発明に係る装置の動作原理上は、必ずしも第5の接続部材P50を設ける必要はないが、実用上は、上方基板100の位置を安定させるため、第5の接続部材P50を設けるのが好ましい。
【0072】
§1で述べたとおり、第5の接続部材P50は、単なる支柱として機能する構成要素であり、リニアアクチュエータとしての伸縮機能は有していない。第5の接続部材P50の上端は、上方基板100の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端は、下方基板300の上面に固着されている(実際には、中間基板200を介して固着されている)。ここで、第5の上方接続部は、第5の接続部材P50の上端付近が上方基板100に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材P50の上端を上方基板100の下面に接続する構造を有する構成要素であり、具体的には、§1で述べたとおり、転がり球面軸受Q50(図3に示す軸受Q10と同じもの)が第5の上方接続部として用いられている。
【0073】
図1に示す第1の実施形態の場合、第5の接続部材P50によって、上方基板100の下面中心部が支持される。具体的には、転がり球面軸受Q50を構成する球体部Q2の中心点(図1の原点O)は固定点となる。実際には、第5の接続部材P50を完全な剛体で構成することは困難なので、第5の接続部材P50の微小な撓みにより、転がり球面軸受Q50を構成する球体部Q2の中心点は変位を生じるが、そのような変位は極めて微小な変位であるため、以下の説明では無視することにする。結局、この第1の実施形態の場合、上方基板100は、図示する原点Oの位置を回動中心として回動し、下方基板300に対する姿勢を変えることができる。
【0074】
ここでは、まず、この第1の実施形態に係る装置における駆動機能を説明する。この装置において、原点Oの位置を中心点とする上方基板100の回動動作は、Y軸まわりの回動動作と、X軸まわりの回動動作とに分解して考えることができる。図9は、図1に示す装置における上方基板100(作用体)を+Y軸まわりに駆動した状態を示す縦断面図である(制御ユニット400はブロックで示す)。なお、本願では、特定の座標軸まわりの回転方向について、右ねじを当該座標軸の正方向に進めるための回転方向を、当該座標軸の正まわりの回転方向と定義する。したがって、図9において、上方基板100を+Y軸まわりに駆動する回転方向は、図示の紙面上における時計まわりの方向になる。
【0075】
このように、上方基板100を+Y軸まわりに駆動するには、第1の接続部材P10の上下両端間の長さを縮め、第2の接続部材P20の上下両端間の長さを伸ばす制御を行えばよい。具体的には、制御ユニット400から、第1の接続部材P10を構成するリニアアクチュエータのポンプP5に対して、圧力室P3の圧力を減少させる駆動信号を与え、第2の接続部材P20を構成するリニアアクチュエータのポンプP5に対して、圧力室P3の圧力を増加させる駆動信号を与えればよい。各リニアアクチュエータでは、圧力室P3の圧力を一定に維持する方向に力が作用し、第1の接続部材P10については圧力室P3の体積が減少し、第2の接続部材P20については圧力室P3の体積が増加するように、内側柱状部P2が外側筒状部P1の内部を摺動する。その結果、第1の接続部材P10は縮み、第2の接続部材P20は伸び、図示のような状態になる。このとき、第3の接続部材P30および第4の接続部材P40の長さは変わらない。
【0076】
上方基板100を−Y軸まわり(図9における反時計まわり)に駆動するには、上述した動作とは逆に、第1の接続部材P10の上下両端間の長さを伸ばし、第2の接続部材P20の上下両端間の長さを縮める制御を行えばよい。また、上方基板100を+X軸まわりに駆動するには、第3の接続部材P30の上下両端間の長さを伸ばし、第4の接続部材P40の上下両端間の長さを縮める制御を行い、−X軸まわりに駆動するには、第3の接続部材P30の上下両端間の長さを縮め、第4の接続部材P40の上下両端間の長さを伸ばす制御を行えばよい。
【0077】
図10は、このような原理に基づいて、図1に示す装置を駆動するための駆動動作を示すテーブルであり、上方基板100を特定の駆動方向に駆動するために必要な各接続部材P10〜P50の伸縮動作を示している。テーブルの各欄の「縮」は接続部材を縮めることを示し、「伸」は接続部材を伸ばすことを示し、「0」は長さをそのまま維持させることを示している。なお、「P50」の列の「φ」は、第5の接続部材50が伸縮機能を有していないことを示している。
【0078】
制御ユニット400は、この図10のテーブルに示す原理に基づいて、上方基板100をY軸まわりおよびX軸まわりに駆動する機能を有する。たとえば、上方基板100を図9に示すように「+Y軸まわり」に駆動するためには、テーブルの「+Y軸まわり」の欄に示されているように、接続部材P10を「縮め」、接続部材P20を「伸ばし」、接続部材P30,P40,P50は長さをそのまま維持させればよい。伸縮量を増やせば、それだけ回転駆動量(回転角度)も増加することになる。もちろん、Y軸まわりの駆動とX軸まわりの駆動とを同時に行うことができるので、上方基板100を任意の方向に任意の角度だけ傾斜させる制御が可能である。
【0079】
なお、「縮める量」と「伸ばす量」とは、上方基板100や中間基板200に応力が生じないように、互いに見合った量となるように調整する必要がある。近似的には、「縮める量」=「伸ばす量」として問題ないが、厳密に制御するためには、個々の回転角度を得るための「縮める量」と「伸ばす量」とを予め演算しておき、この演算値に基づいた伸縮制御を行うようにすればよい。
【0080】
続いて、この第1の実施形態に係る装置における検出機能を説明する。この検出機能は、下方基板300を固定した状態において、上方基板100に作用した外力を示す電気信号を出力する機能である。この装置の検出動作は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さが、上方基板100に作用した外力によって変化しないことを前提としている。したがって、制御ユニット400は、検出動作を行っている間、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さが変わらないよう、伸縮駆動機構を制御する必要がある。
【0081】
図11は、図1に示す装置が検出動作を行っている際に、上方基板100(作用体)に対してY軸まわりのモーメント+Myが作用した状態を示す縦断面図である(制御ユニット400はブロックで示す)。上述したとおり、検出動作中、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さは一定であるから、図示のとおり、上方基板100に対してY軸まわりのモーメント+Myが作用すると、第1の接続部材P1に対しては、下方への押圧力が加わり、膜部201が下方へと撓み、第1の接続部材P1の下端は下方へ変位する。また、第2の接続部材P2に対しては、上方への引っ張り力が加わり、膜部202が上方へと撓み、第2の接続部材P2の下端は上方へ変位する。
【0082】
その結果、膜部201(変位電極)と固定電極E10とによって構成される容量素子C10(第1のセンサ)の静電容量値C10は増加し、膜部202(変位電極)と固定電極E20とによって構成される容量素子C20(第2のセンサ)の静電容量値C20は減少する。このとき、第3の接続部材P30および第4の接続部材P40には外力は加わらないので、膜部203,204に撓みは生じない。よって、膜部203(変位電極)と固定電極E30とによって構成される容量素子C30(第3のセンサ)の静電容量値C30と、膜部204(変位電極)と固定電極E40とによって構成される容量素子C40(第4のセンサ)の静電容量値C40と、には変化は生じない。
【0083】
一方、Y軸まわりのモーメント−My(図11とは逆まわりのモーメント)が作用した場合は、上述とは逆の現象が生じ、静電容量値C10は減少し、静電容量値C20は増加し、静電容量値C30,C40は変化しない。同様に、X軸まわりのモーメント+Mxが作用した場合は、静電容量値C30は減少し、静電容量値C40は増加し、静電容量値C10,C20は変化しない。また、X軸まわりのモーメント−Mxが作用した場合は、静電容量値C30は増加し、静電容量値C40は減少し、静電容量値C10,C20は変化しない。
【0084】
図12は、このような原理に基づいて、図1に示す装置による外力の検出を行う検出動作を示すテーブルである。テーブルのC10〜C40の各欄の「+」は静電容量値が増加することを示し、「−」は静電容量値が減少することを示し、「0」は静電容量値が変化しないことを示している。たとえば、「モーメント+My」を検出対象とする欄では、C10は「+」,C20は「−」,C30は「0」,C40は「0」と記載されているが、これは、静電容量値C10は増加し、静電容量値C20は減少し、静電容量値C30,C40は変化しないことを示している。
【0085】
また、演算式の欄に記載された式は、各軸まわりのモーメントの値を符号付きの値として求めるための式である。たとえば、モーメントMyについて「My=C10−C20」なる演算式が記載されているが、これは、静電容量値C10から静電容量値C20を減じる演算によって、モーメントMyが得られることを示している。同様に、モーメントMxについて「Mx=C40−C30」なる演算式が記載されているが、これは、静電容量値C40から静電容量値C30を減じる演算によって、モーメントMxが得られることを示している。得られたモーメントMy,Mxの符号は、モーメントの回転方向を示す。このような演算式によって、モーメントMy,Mxが得られる理由は、テーブルのC10〜C40の各欄の記号を考慮すれば、容易に理解できよう。
【0086】
制御ユニット400は、この図12のテーブルに示す演算式に基づく演算を行うことにより、上方基板100に外力として作用したY軸まわりのモーメントMyおよびX軸まわりのモーメントMxを検出する機能を有する。
【0087】
結局、図1に示す第1の実施形態に係る装置は、上方基板100を下方基板300に対して、Y軸まわりに駆動するY軸まわり駆動動作と、X軸まわりに駆動するX軸まわり駆動動作とを行う機能を有しており、また、下方基板300を固定した状態において、上方基板100に対して外力として作用するY軸まわりのモーメントMyを検出するY軸まわり検出動作と、X軸まわりのモーメントMxを検出するX軸まわり検出動作と、を行う機能を有していることになる。
【0088】
この第1の実施形態に係る装置が、上記機能を果たすことができるのは、各接続部材が特有の配置を採っているためである。すなわち、第5の接続部材P50の上端付近に原点OをもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材P10の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材P20の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材P30の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材P40の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材P50の上下両端を通る直線はZ軸に一致するような配置を採っている。
【0089】
このため、制御ユニット400は、第1の接続部材P10の上下両端間の長さと、第2の接続部材P20の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方基板300に対する上方基板100の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作を行うことができ、また、第3の接続部材P30の上下両端間の長さと、第4の接続部材P40の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方基板300に対する上方基板100の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作を行うことができる。
【0090】
更に、制御ユニット400は、第1のセンサの検出値(静電容量値C10)と第2のセンサの検出値(静電容量値C20)との差を示す電気信号「C10−C20」を、下方基板300を固定した状態において上方基板100に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作を行うことができ、また、第4のセンサの検出値(静電容量値C40)と第3のセンサの検出値(静電容量値C30)との差を示す電気信号「C40−C30」を、下方基板300を固定した状態において上方基板100に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作を行うことができる。
【0091】
<<< §3. 第2〜第4の実施形態 >>>
これまで、図1に示す第1の実施形態に係る装置の構造を§1で説明し、その動作を§2で説明した。ここでは、この第1の実施形態の変形例として、第2〜第4の実施形態を順に述べる。
【0092】
<3−1: 第2の実施形態>
図13は、本発明の第2の実施形態に係る力検出機能をもった駆動装置の縦断面図である(制御ユニット450はブロックで示す)。この図13に示す第2の実施形態に係る装置と、図1に示す第1の実施形態に係る装置との相違は、第5の接続部材P50の下方部分の構造(溝G50,固定電極E50)と、制御ユニットの検出動作のみである。
【0093】
具体的には、まず、図1に示す装置における中間基板200が、図13に示す装置では中間基板250に置き換えられている。中間基板200には、下面の4カ所に溝G10〜G40が設けられていたが、中間基板250には、これら4カ所の溝G10〜G40に加えて、中心部に第5の溝G50が設けられている。また、下方基板300の上面には、4枚の固定電極E10〜E40に加えて、中心部に第5の固定電極E50が形成されている。
【0094】
図13に示すとおり、第5の溝G50の底部は、可撓性をもった膜部205を構成し、第5の接続部材P50の下端は、この可撓性をもった膜部205の上面に固着されている。その結果、第5の接続部材P50の上端に上下方向の外力(Z軸方向の外力)が加わると、膜部205が上下に撓みを生じ、第5の接続部材P50は上下方向に変位する。ここで、膜部205は導電性を有しており(中間基板250は、全体が金属などの導電性材料によって構成されている)、対向する位置に配置された第5の固定電極E50とによって、第5の容量素子C50を構成する。
【0095】
この第5の容量素子C50は、第5の接続部材P50の下端の下方基板300に対する上下方向に関する変位を検出する第5のセンサとして機能する。すなわち、第5の接続部材P50の下端が下方へ変位すると、第5の容量素子C50の静電容量値C50は増加し、第5の接続部材P50の下端が上方へ変位すると、第5の容量素子C50の静電容量値C50は減少する。
【0096】
このように、図13に示す装置では、第5の接続部材P50の上端は、上方基板100の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端は下方基板300の上面側に第5の下方接続部を介して接続されている。ここで、第5の上方接続部は、第5の接続部材P50の上端付近が上方基板100に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材P50の上端を上方基板100の下面に接続する構造を有している。具体的には、図13に示す装置における第5の上方接続部は、図1に示す装置と同様に、転がり球面軸受Q50によって構成されている。
【0097】
一方、図13に示す装置の場合、第5の接続部材P50の下端は、第5の下方接続部を介して下方基板300に接続されている。この第5の下方接続部は、第5の接続部材P50の下端付近が下方基板300に対して上下方向に変位可能となるように、第5の接続部材P50の下端を下方基板300の上面に接続する構造を有している。具体的には、図13に示す装置における第5の下方接続部は、中間基板250の中心部分、すなわち、膜部205および溝G50の側壁部によって構成されており、第5の接続部材P50の下端は、膜部205および溝G50の側壁部を介して、下方基板300に接続されている。
【0098】
結局、この図13に示す装置の場合、第1〜第5の接続部材P10〜P50の下端は、それぞれ可撓性をもった膜部201〜205の上面に接続されていることになる。したがって、これら第1〜第5の接続部材P10〜P50に対して、作用体として機能する上方基板100から上下方向(Z軸方向)への外力が加わると、これら第1〜第5の接続部材P10〜P50の下端は上下方向(Z軸方向)に変位を生じることになる。当該変位は、第1〜第5のセンサ(第1〜第5の容量素子C10〜C50)によって検出されるので、制御ユニットは、この第1〜第5のセンサの検出結果に基づいて、作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作を行うことができる。
【0099】
図14は、図13に示す装置の検出動作を示すテーブルである。この図14に示すテーブルは、図12に示すテーブル(図1の装置の検出動作を示すテーブル)に、検出対象として+Fz,−Fzを付加するとともに、第5のセンサ(容量素子C50の静電容量値)の検出結果を付加したものである。図13に示す装置の上方基板100(作用体)に、外力としてモーメント+My,−My,+Mx,−Mxが作用したときの検出動作は、図1に示す装置の検出動作と全く同じである。したがって、図1に示す装置と同様に、制御ユニット450は、「My=C10−C20」なる演算によりモーメントMyを求め、「Mx=C40−C30」なる演算によりモーメントMxを求めることができる。この場合、第5の接続部材P50にはZ軸方向の力は作用しないので、第5のセンサの静電容量値C50に変化は生じない(図14のテーブルの対応欄は「0」(変化なし)を示している)。
【0100】
図13に示す装置の特徴は、更に、Z軸方向の力+Fz,−Fzの検出が可能になる点である。図15は、図13に示す装置における上方基板100(作用体)に対して+Z軸方向の力+Fzが作用した状態を示す縦断面図である。上方基板100は上方へ変位し、第5の接続部材P50の上端は、原点Oより上方に変位する。この装置においても、検出動作中は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さが、上方基板100に作用した外力によって変化しないことを前提としているので、制御ユニット450は、検出動作を行っている間、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さが変わらないよう伸縮駆動機構を制御する。このように、第1〜第4の接続部材P10〜P40の長さが変わらなければ、上方基板100に対して作用した+Z軸方向の力+Fzにより、第1〜第5の接続部材P10〜P50に対して上方への引っ張り力が加わると、図示のとおり、その下端はいずれも上方へと変位し、第1〜第5の容量素子C10〜C50の静電容量値は減少する。図14のテーブルにおける「+Fz」の欄の「−」は、このような静電容量値の減少を示している。
【0101】
一方、図16は、図13に示す装置における上方基板100(作用体)に対して−Z軸方向の力−Fzが作用した状態を示す縦断面図である。上方基板100は下方へ変位し、第5の接続部材P50の上端は、原点Oより下方に変位する。このように、上方基板100に対して作用した−Z軸方向の力−Fzにより、第1〜第5の接続部材P10〜P50に対して下方への押圧力が加わると、図示のとおり、その下端はいずれも下方へと変位し、第1〜第5の容量素子C10〜C50の静電容量値は増加する。図14のテーブルにおける「−Fz」の欄の「+」は、このような静電容量値の増加を示している。
【0102】
そこで、第5のセンサ(第5の容量素子C50)を、力Fzの検出に利用することにすれば、図14のテーブルの演算式欄に示されているとおり、「Fz=−C50」なる演算により力Fzを求めることができる。もっとも、この式で得られる値Fzは、作用したZ軸方向の力Fzの絶対値ではない。上方基板100に何ら外力が作用していない状態であっても、静電容量値C50は所定の基準値Crefをとる。そこで、実際には、当該基準値CrefをFz=0に対応する値とし、静電容量値C50の当該基準値Crefに対する増減量を力Fzに対応する絶対値として用いるようにすればよい。なお、「Fz=−C50」なる演算式において、「C50」にマイナス符号が付加されているのは、図示の座標系の定義では、Z軸正方向の力+Fzが作用したときに静電容量値C50は減少し、Z軸負方向の力−Fzが作用したときに静電容量値C50は増加し、力の方向と静電容量値の増減とが逆転しているので、これを調整するための便宜である。
【0103】
ところで、図14のテーブルを見れば明らかなように、力Fzの検出には、必ずしも第5のセンサ(第5の容量素子C50)を利用する必要はない。テーブルの欄外に記載したとおり、力Fzは、「Fz=−(C10+C20+C30+C40)」なる演算によって求めることもできるし、「Fz=−(C10+C20+C30+C40+C50)」なる演算によって求めることもできる。ここで、演算式にマイナス符号が付加されているのは、上述したとおり、図示の座標系の定義では、力の方向と静電容量値の増減とが逆転しているので、これを調整するための便宜である。
【0104】
一方、この図13に示す装置における駆動動作は、図1に示す装置と全く同様である。すなわち、図10のテーブルに示す駆動動作により、上方基板100を下方基板300に対して、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりに駆動することができる。
【0105】
このように、図13に示す第2の実施形態に係る装置は、図1に示す第1の実施形態に係る装置と同様に、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりの駆動動作(Y軸まわり駆動動作とX軸まわり駆動動作)を行う機能と、外力として作用したモーメント+My,−My,+Mx,−Mxを検出する検出動作(Y軸まわり検出動作とX軸まわり検出動作)を行う機能と、を有している。その上、更に、外力として作用した力+Fz,−Fzを検出する検出動作(Z軸方向検出動作)を行う付加機能を有している。
【0106】
このZ軸方向検出動作は、第5のセンサの検出値(静電容量値C50)もしくは第1〜第5のセンサの検出値の総和(静電容量値C10+C20+C30+C40+C50)に基づく電気信号を、Z軸方向の力Fzの検出値として出力することによって行うことができる。具体的には、前述したとおり、上方基板100に何ら外力が作用していない状態での静電容量値「C50」もしくは静電容量値の総和「C10+C20+C30+C40+C50」の値を基準値Crefとして、当該基準値Crefに対する増減量の符号を逆転した値を示す電気信号を、力Fzに対応する電気信号として出力すればよい。
【0107】
<3−2: 第3の実施形態>
第3の実施形態は、前述した第2の実施形態に係る装置から、第5のセンサを取り去ったものである。具体的には、図13に示す構成において、第5の固定電極E50を省略し、第5の容量素子C50の静電容量値C50の検出に係る構成要素を省略したものである。なお、溝G50は設けられており、第5の接続部材P50の下端が、可撓性をもった膜部205の上面に固着される点に変わりはない。すなわち、この第3の実施形態の場合も、第5の接続部材P50の下端は、第5の下方接続部を介して下方基板300に接続されており、第5の下方接続部は、第5の接続部材P50の下端付近が下方基板300に対して上下方向に変位可能となるように、第5の接続部材P50の下端を下方基板300の上面に接続する構造を有している。
【0108】
図14のテーブルの欄外に記載したとおり、力Fzは、「Fz=−(C10+C20+C30+C40)」なる演算によって求めることもできる。この演算式には、第5の容量素子C50の静電容量値C50は利用されていないので、当該演算式に基づいて力Fzを求めるようにすれば、第5のセンサ(第5の容量素子C50)は不要になる。
【0109】
結局、この第3の実施形態に係る装置は、第5のセンサを有していないが、前述した第2の実施形態に係る装置と同様に、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりの駆動動作(Y軸まわり駆動動作とX軸まわり駆動動作)を行う機能と、外力として作用したモーメント+My,−My,+Mx,−Mxおよび力+Fz,−Fzを検出する検出動作(Y軸まわり検出動作,X軸まわり検出動作,Z軸方向検出動作)を行う機能と、を有している。
【0110】
ここで、Z軸方向検出動作は、第1〜第4のセンサの検出値の総和(静電容量値C10+C20+C30+C40)に基づく電気信号を、Z軸方向の力Fzの検出値として出力することによって行うことができる。具体的には、上方基板100に何ら外力が作用していない状態での静電容量値の総和「C10+C20+C30+C40」の値を基準値Crefとして、当該基準値Crefに対する増減量の符号を逆転した値を示す電気信号を、力Fzに対応する電気信号として出力すればよい。
【0111】
<3−3: 第4の実施形態>
図17は、本発明の第4の実施形態に係る力検出機能をもった駆動装置の縦断面図である(制御ユニット480はブロックで示す)。この図17に示す第4の実施形態に係る装置と、図1に示す第1の実施形態に係る装置との相違は、第5の接続部材の構造と、制御ユニットの検出動作のみである。
【0112】
具体的には、まず、図1に示す装置における第5の接続部材P50が、図17に示す装置では第5の接続部材P50′に置き換えられている。この第5の接続部材P50′は、上端が上方基板100の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が中間基板200の上面に固着されている、という点では、図1に示す第5の接続部材P50と同じである。図17に示す装置の場合も、第5の上方接続部は、第5の接続部材P50′の上端付近が上方基板100に対して任意の方向に傾斜可能となるように、第5の接続部材P50′の上端を上方基板100の下面に接続する構造を有する。具体的には、図17に示す装置の場合も、第5の上方接続部は、転がり球面軸受Q50によって構成されている。
【0113】
ただ、図1に示す第5の接続部材P50は、単なる支柱として機能する円柱状の部材であったが、図17に示す第5の接続部材P50′は、上下両端間に外力として加えられた伸張力もしくは圧縮力に応じて上下両端間の長さを変える伸縮従動機構をもっている。具体的には、図17に示されているとおり、第5の接続部材P50′は、円筒状の外側筒状部P8と、その内部に嵌合する内側柱状部P2と、その上部に連なった上方竿状部P6と、によって構成されている。このような構造は、図2に示す第1の接続部材P10の構造に類似しているが、第5の接続部材P50′には、ポンプP5は設けられていない。このため、第5の接続部材P50′は、リニアアクチュエータとしての機能は有していない。
【0114】
図17に示すとおり、外側筒状部P8の内部に形成される圧力室P3は、通気孔Hによって外部に通じており、圧力室P3の圧力は大気圧に等しくなる。結局、第5の接続部材P50′は、自発的な伸縮駆動機構はもたないが、上下両端間に外力として伸張力もしくは圧縮力が加えられた場合、内側柱状部P2が外側筒状部P8に対して長手方向に摺動し、上下両端間の長さを変える伸縮従動機構をもっている。また、外側筒状部P8の下端は、中間基板200の上面に固着されているので、第5の接続部材P50′の中心軸は常にZ軸上の位置を保つことになる。
【0115】
結局、第5の接続部材P50′の上端(転がり球面軸受Q50の球体部Q2の中心)は、図の上下方向に移動するため、固定点にはならず、原点Oに対して変位することになる(この第4の実施形態では、原点Oは、第5の接続部材P50′の中心軸上の任意の位置に設定すればよい)。ただ、その移動範囲は、Z軸上に限定される。実用上は、第5の接続部材P50′を完全な剛体で構成することはできないので、第5の接続部材P50′の上端は、厳密に言えば、第5の接続部材P50′自身の撓みによってZ軸から外れることになるが、ここでは、そのような撓みによる微小な変位は無視する。
【0116】
このように、図17に示す装置では、伸縮従動機構をもった第5の接続部材P50′を設けるようにしたため、上方基板100の下方基板300に対する変位の自由度が増えることになる。すなわち、図1に示す装置の場合、上方基板100の下方基板300に対する変位の自由度は、X軸まわりの回動およびY軸まわりの回動に限られていたのに対して、図17に示す装置の場合、更に、Z軸方向への移動という自由度が加わり、制御ユニット480は、上方基板100を下方基板300に対してZ軸方向へ駆動する駆動動作を行うことが可能になる。
【0117】
図18は、図17に示す装置の駆動動作を示すテーブルである。この図18に示すテーブルは、図10に示すテーブル(図1の装置の駆動動作を示すテーブル)に、駆動方向として、更に、+Z軸方向および−Z軸方向を付加したものである。なお、第5の接続部材P50′は、外力の作用によって伸縮することは可能であるが、自発的な伸縮駆動機構はもたないため、図18のテーブルにおいて、P50′の列には符号「φ」(伸縮駆動機構をもたない意味)を記してある。
【0118】
図17に示す装置の上方基板100(作用体)を下方基板300に対して、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりに駆動するときの駆動動作は、図1に示す装置の駆動動作と全く同じである。ただ、第5の接続部材P50′の上端(転がり球面軸受Q50の球体部Q2の部分)は、図の上下方向に移動するため、上方基板100の回動中心は必ずしも原点Oにはならない。したがって、回動中心が原点Oから外れた状態での駆動は、厳密に言えば、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりの駆動にはならないが、本願では、このように回動中心が原点Oから外れた場合についても、便宜上、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりの駆動と呼ぶことにする。
【0119】
図17に示す装置の特徴は、更に、+Z軸方向への駆動と、−Z軸方向への駆動とが可能になる点である。すなわち、図18のテーブルに示されているとおり、第1〜第4の接続部材P10〜P40を「伸ばす」駆動動作を行えば、上方基板100を+Z軸方向へ駆動することができ、第1〜第4の接続部材P10〜P40を「縮める」駆動動作を行えば、上方基板100を−Z軸方向へ駆動することができる。このとき、4本の接続部材P10〜P40の伸縮量を同一にすれば、上方基板100は、Z軸方向に平行移動することになる。伸縮量に差をもたせた場合は、Y軸まわりもしくはX軸まわりの回動動作と、Z軸方向への平行移動動作とを合成した駆動動作が行われる。
【0120】
一方、この図17に示す第4の実施形態に係る装置における検出動作は、前述した第3の実施形態に係る装置における検出動作と全く同様である。すなわち、制御ユニット480は、図14のテーブルに示す検出動作により、上方基板100に対して外力として作用したモーメント+My,−My,+Mx,−Mxおよび力+Fz,−Fzを検出することができる(第3の実施形態に係る装置と同様に、第5のセンサを有していないため、Fzの検出には、Fz=−(C10+C20+C30+C40)なる演算式を用いることになる)。
【0121】
なお、上述したとおり、第1〜第4の接続部材P10〜P40を伸縮駆動して、上方基板100を上下方向に変位させると、上方基板100の回動中心が原点Oから外れた状態になるので、そのような状態で検出したモーメント+My,−My,+Mx,−Mxは、厳密には、Y軸まわりやX軸まわりのモーメントにはならないが、一般的な用途で利用する上では、大きな支障は生じない。正確な検出値が必要な場合には、上方基板100の回動中心(転がり球面軸受Q50の球体部Q2の中心)と原点Oとの距離を何らかの方法で認識し(たとえば、ポンプP5に対して与えた駆動信号の大きさに基づいて認識できる)、当該距離に基づく幾何学的な補正を行えばよい。
【0122】
このように、図17に示す第4の実施形態に係る装置は、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりの駆動動作に加えて、更に、+Z軸方向、−Z軸方向への駆動動作を行う機能を有しており、また、外力として作用したモーメント+My,−My,+Mx,−Mxおよび力+Fz,−Fzの検出動作を行う機能を有している。
【0123】
<<< §4. その他の変形例/応用例 >>>
これまで、本発明に係る装置を第1〜第4の実施形態について述べた。ここでは、その他の変形例や応用例を述べることにする。
【0124】
<4−1: 第5の接続部材を省略した変形例>
第1〜第4の実施形態は、いずれも5本の接続部材P10〜P50を用いて、上方基板100と下方基板300(中間基板200)とを接続しているが、本発明に係る装置では、少なくとも第1〜第4の接続部材P10〜P40を設けてあれば、+Y軸まわり、−Y軸まわり、+X軸まわり、−X軸まわりの駆動動作と、モーメント+My,−My,+Mx,−Mxおよび力+Fz,−Fzの検出動作とを行うことが可能である。
【0125】
なお、第1〜第4の接続部材P10〜P40のみで上方基板100と下方基板300とを接続した場合、そのままでは両基板の位置関係を安定させることはできない。しかしながら、両基板の直径と等しい内径をもったパイプの内部で利用するようなケースでは、4本の接続部材のみを用いた装置でも両基板の位置関係をパイプ内壁の支持によって安定させることができ、産業上、十分な利用価値がある。また、クレーンなどの物品吊上具の一部に利用した場合も、重力によって両基板の位置関係を安定させることができる。
【0126】
第1〜第4の実施形態において、更に、第5の接続部材P50,P50′を設けているのは、上方基板100を下方基板300の上方に安定して支持するためである。第5の接続部材P50,P50′を用いれば、上方基板100の中心が必ずZ軸上にくるように位置決めすることができ、上方基板100の姿勢を安定させることができる。本発明に係る装置では、上述したように、用途によっては、必ずしも第5の接続部材を設ける必要はないが、一般的な用途に利用する場合は、上方基板100の位置を安定させるため、第5の接続部材を設けるのが好ましい。
【0127】
<4−2: 上方接続部/下方接続部の変形例>
これまで述べた実施形態の場合、第1〜第5の上方接続部および第1〜第4の下方接続部が、転がり球面軸受を含む構造体によって構成されているが、これらの接続部は、必ずしも転がり球面軸受を用いて構成する必要はない。
【0128】
第1〜第5の上方接続部に要求される条件は、それぞれ第1〜第5の接続部材P10〜P50の上端付近が上方基板100に対して任意の方向に傾斜可能となるように(接続部材の中心軸の上端を先端点とし、Z軸に平行な中心軸をもった所定の円錐を定義したときに、接続部材の中心軸がこの円錐内を自由に移動できるように)、それぞれ第1〜第5の接続部材P10〜P50の上端を上方基板100の下面に接続する構造を有していることである。したがって、上方接続部は必ずしも転がり球面軸受を用いて構成する必要はなく、一般的な転がり軸受けを複数組み合わせて上方接続部を構成したり、リンク機構によって上方接続部を構成したりすることも可能である。
【0129】
一方、第1〜第4の下方接続部には、次の2つの条件が要求される。第1の条件は、第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端付近が下方基板300に対して任意の方向に傾斜可能となるように(接続部材の中心軸の下端を先端点とし、Z軸に平行な中心軸をもった所定の円錐を定義したときに、接続部材の中心軸がこの円錐内を自由に移動できるように)、それぞれ第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端を下方基板300の上面に接続する構造を有していることである。当該構造は、必ずしも転がり球面軸受を用いて構成する必要はなく、一般的な転がり軸受けを複数組み合わせて構成したり、リンク機構によって構成したりすることも可能である。
【0130】
第1〜第4の下方接続部に要求される第2の条件は、下方基板300に対して上下方向に変位可能となるように、それぞれ第1〜第4の接続部材P10〜P40の下端を下方基板300の上面に接続する構造を有することである(この条件は、第2および第3の実施形態における第5の接続部材の下端を接続する第5の下方接続部にも要求される条件である)。これまで述べた実施形態の場合、下方基板300の上面に中間基板200を配置し、この中間基板200の下面に溝を掘って、その底部に可撓性をもった膜部(ダイアフラム)を形成した構造により、下方接続部を構成しているが、下方接続部は、必ずしもこのような膜部を用いて構成する必要はない。たとえば、膜部の代わりに、ビーム構造体(たとえば、2本のビームを直交させた十文字状の構造体)を用いて下方接続部を構成してもよい。
【0131】
<4−3: 各接続部材の対称性>
これまで述べた実施形態の場合、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、各接続部材が幾何学的対称性を有するように配置されていた。すなわち、「標準姿勢」の状態では、第1の接続部材P10と第2の接続部材P20とがYZ平面に関して面対称をなし、第3の接続部材P30と第4の接続部材P40とがXZ平面に関して面対称をなし、第5の接続部材P50,P50′がZ軸上にくるような配置が採られていた。
【0132】
しかしながら、本発明を実施する上で、上記対称性は必ずしも必要ではなく、対称性をもたない配置を採った場合でも、駆動動作や検出動作は可能である。ただ、上述した対称性をもった配置を採ると、駆動動作における伸縮量や、検出動作におけるセンサの出力値にも対称性が得られるため、制御ユニットにおける制御動作や演算処理が簡素化されることになる。
【0133】
たとえば、図10のテーブルに基づいて、+Y軸まわりの駆動動作を行う場合、第1の接続部材P10と第2の接続部材P20とがYZ平面に関して面対称の関係にあれば、第1の接続部材P10の圧縮量と第2の接続部材P20の伸張量とが同一になるような制御を行えばよい。対称性が確保されていない場合、適切な回動運動が行われるよう圧縮量と伸張量とを調整する処理が必要になる。
【0134】
同様に、図12のテーブルにおいて、「My=C10−C20」や「Mx=C40−C30」なる演算式でモーメントMyやMxの値が得られるのは、上述した対称性が確保されているためである。対称性が確保されていない場合、各静電容量値に所定の係数を乗じる補正が必要になる。
【0135】
したがって、実用上は、各接続部材について、上述した対称性を確保した配置を採るようにするのが好ましい。
【0136】
<4−4: 上方構造体/下方構造体の変形例>
本発明に係る装置は、作用体として機能する上方構造体と、この上方構造体の下方に配置された下方構造体と、両者間を接続する少なくとも4本の接続部材と、を有し、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用した力を検出する検出機能と、下方構造体に対して上方構造体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する力検出機能をもった駆動装置である。
【0137】
これまで述べた実施形態の場合、上方構造体が平板状の上方基板100からなり、下方構造体が平板状の下方基板300からなり、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、上方基板100および下方基板200の基板面が、XY平面に平行になるような構造を採っていた。
【0138】
しかしながら、上方構造体および下方構造体は、必ずしも平板状の基板によって構成する必要はなく、任意形状の構造体によって構成してかまわない。たとえば、上方基板100の代わりに、球形をした構造体を上方構造体として利用することも可能であり、これまで述べた実施形態における上方基板100を任意形状の上方構造体に置き換え、下方基板300を任意形状の下方構造体に置き換えてもかまわない。ただ、工業製品として量産性を確保し、また、薄型化を図る上では、これまで述べた実施形態のように、上方構造体および下方構造体を平板状の基板によって構成するようにし、「標準姿勢」の状態において、上方基板100および下方基板200の基板面が、XY平面に平行になるような構造を採るのが好ましい。
【0139】
<4−5: センサの変形例>
これまで述べた実施形態では、各膜部に形成された変位電極と、これら各変位電極に対向する下方基板の上面位置に固定された固定電極と、からなる容量素子によって、第1〜第5のセンサを構成していたが、本発明に用いるセンサは、各接続部材の下方構造体に対する上下方向に関する変位を検出する機能を有していれば、どのようなセンサを用いてもかまわない。たとえば、膜部に形成した歪みゲージやピエゾ抵抗素子などをセンサとして利用することも可能である。
【0140】
なお、センサの出力値は、必ずしも作用した外力の大きさに比例したものにはならないので、図12や図14に示す演算式に基づいて得られる演算値は、厳密には線形の検出値にはならない可能性がある。したがって、より正確な線形検出値を得るためには、作用した外力の大きさと各接続部材のZ軸方向に関する変位との関係や、当該変位とセンサの出力値との関係を考慮した換算テーブルを設けておき、この換算テーブルを利用して、図12や図14に示す演算式に基づいて得られる演算値に対して補正を行うようにすればよい。
【0141】
<4−6: 接続部材の変形例>
これまで述べた実施形態では、第1〜第4の接続部材P10〜P40として、図2に示すようなリニアアクチュエータを用いた例を述べた。このリニアアクチュエータは、外側筒状部P1と、その内側に嵌合した内側柱状部P2と、を同一の摺動軸A上に配置してなる構造部と、与えられた電気信号に基づいて、内側柱状部P2を外側筒状部P1に対して、摺動軸Aに沿った方向に摺動させることにより全長を所望の長さに調整し、当該長さを維持させる伸縮駆動機構(導管P4およびポンプP5)とを備えている。
【0142】
もちろん、この図2に示すリニアアクチュエータは、本発明に用いる接続部材の一例であり、本発明で用いる接続部材は、たとえば、リンク機構を用いた部材など、電気信号に基づいて上下両端間の長さを変えるアクチュエータであれば、どのような部材を用いてもかまわない。
【0143】
なお、本発明に係る駆動装置は、力検出装置としても機能するという特徴を有しているが、力検出装置としての機能を果たす際には、接続部材の伸縮状態をしっかりと固定しておくのが好ましい。たとえば、接続部材として、図2に示すようなリニアアクチュエータを用いる場合、駆動装置として機能させる際には、ポンプP5を駆動して圧力室P3内部の圧力を増減し、内側柱状部P2を摺動させることになるが、力検出装置として機能させる際には、検出対象となる外力によって内側柱状部P2が摺動してしまうと、正しい検出値を得ることができなくなる。したがって、力検出装置として機能させる際には、測定を開始する前(外力が作用する前)に、内側柱状部P2が摺動しないよう、何らかの方法で固定するのが好ましい。
【0144】
具体的には、たとえば、外側筒状部P1に機械的なロック機構を設け、このロック機構により、内側柱状部P2の位置を固定するようにしておけばよい(一例としては、外側筒状部P1の内径を機械的に絞るような機構を設けておき、内側柱状部P2が摩擦力によって移動しないようにすればよい)。制御ユニットは、検出動作を行う際には、このロック機構により、第1〜第4の接続部材P10〜P40の上下両端間の長さを一定に維持する制御を行うようにすればよい。
【0145】
なお、接続部材の伸縮状態の固定は、必ずしも機械的なロック機構によって行う必要はなく、電気的な制御で行うことも可能である。図19は、図2に示す接続部材の変形例P10′を示す拡大縦断面図である。この図19に示す接続部材P10′も、リニアアクチュエータであるが、導管P4にポンプP5と圧力センサP9とが接続されている。圧力センサP9は、圧力室P3の圧力を検出する機能を有している。圧力センサP9によって検出された圧力の検出信号は、制御ユニット400,450,480へと与えられる。制御ユニットは、圧力センサP9が検出した圧力が一定値に維持されるように、ポンプP5を制御するための駆動信号を出力する。こうして、制御ユニットによるフィードバック制御が行われ、圧力室P3の内部圧力は一定値に維持される。すなわち、内側柱状部P2の伸縮状態は固定されることになる。
【0146】
要するに、外側筒状部P1内に設けられた圧力室P3の圧力を制御するポンプP5と、圧力室P3の圧力を測定する圧力センサP9と、を有するリニアアクチュエータを各接続部材として用いれば、制御ユニット400,450,480は、駆動動作を行う際には、ポンプP5に所定の駆動信号を与えて内側柱状部P2を摺動させることにより、リニアアクチュエータの全長を所望の長さに調整し、検出動作を行う際には、圧力センサP9による測定値が一定となるようにポンプP5に所定の駆動信号を与えてフィードバック制御を行うことができる。
【0147】
なお、図19に示すようなリニアアクチュエータP10′を、各接続部材として用いた装置の場合、力検出装置として機能させる際に、圧力センサP9を容量素子からなるセンサの代わりとして利用することができる。すなわち、リニアアクチュエータ10′の摺動軸A方向に作用する力は、圧力室P3の圧力変動として圧力センサP9によって検出することができるので、圧力センサP9は、これまで述べてきた実施形態で用いられている容量素子からなるセンサと同等の機能を果たす。
【0148】
たとえば、図1に示す駆動装置における第1〜第4の接続部材P10〜P40として、図19に示すリニアアクチュエータP10′を用いるようにすれば、4個の圧力センサP9の出力変化は、図12のテーブルに示す4個の静電容量式センサC10〜C40の出力変化と同様になるので、これら圧力センサの検出信号を利用して、作用した力の検出を行うことができる。
【0149】
また、上述したように、4個の圧力センサによって検出された圧力をそれぞれ一定値に維持するため、制御ユニット400,450,480によるフィードバック制御が行われるので、圧力センサの検出信号の代わりに、このフィードバック制御信号(各ポンプへ与える駆動信号)を利用して、作用した力の検出を行うこともできる。このようにリニアアクチュエータP10′を接続部材として用いた装置では、静電容量式センサを設ける必要はなくなる。
【0150】
<4ー7:中央接続部材と周辺接続部材とによる構成>
§2〜§3で述べた第1〜第4の実施形態は、いずれも中心に配置された第5の接続部材によって、下方基板の上方位置に上方基板を支持する構成を採っている。すなわち、装置の中心に支柱として機能する第5の接続部材を配置し、その周囲に第1〜第4の接続部材を配置した構成を採る。このように、本発明に係る装置の構造を、「支柱として機能する中央接続部材と、その周囲に配置された複数の周辺接続部材とによって、下方構造体の上方に上方構造体を支持する構造」として把握すると、本発明は、次のような特徴を備えた装置に係る発明として捉えることができる。
【0151】
すなわち、本発明に係る装置は、所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、この作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する装置であって、次の各構成要素を有している。
(1)作用体として機能する上方構造体
(2)この上方構造体の下方に配置された下方構造体
(3)下方構造体の上方位置に上方構造体が、少なくとも所定の1方向に傾斜可能な状態で支持されるように、上方構造体と下方構造体とを接続する中央接続部材
(4)上端が上方構造体の下面側に上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える伸縮駆動機構をもち、中央接続部材の周囲に配置された複数N本の周辺接続部材
(5)複数N本の周辺接続部材の下端の下方構造体に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出するセンサ
(6)伸縮駆動機構に所定の電気信号を与えて複数N本の周辺接続部材の上下両端間の長さがそれぞれ所望の長さになるように調整する駆動動作と、センサの検出結果に基づいて、作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作と、を行う制御ユニット
【0152】
ここで、上方接続部は、周辺接続部材の上端付近が上方構造体に対して少なくとも所定の1方向に傾斜可能となるように、周辺接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有しており、下方接続部は、周辺接続部材の下端付近が下方構造体に対して少なくとも所定の1方向に傾斜可能となるように、かつ、下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、周辺接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有している。
【0153】
特に、これまで述べた第1の実施形態(図1)および第4の実施形態(図17)の場合、下方構造体が平板状の下方基板からなり、その基板面に対して平行なXY平面をもったXYZ三次元座標系を定義したときに、中央接続部材(第5の接続部材P50,P50′)の中心軸がZ軸上にくるように、中央接続部材の下端が下方構造体に固着されており、中央接続部材の上端による上方構造体の支持中心点が常にZ軸上に維持されるように構成されている。
【0154】
なお、第2および第3の実施形態(図13)の場合は、膜部205に撓みが生じると、中央接続部材P50の中心軸はZ軸から外れる可能性があるが、「標準姿勢」の状態、かつ、検出対象となる力が作用していない状態では、第1および第4の実施形態と同様に、中央接続部材の中心軸がZ軸上にくるように、中央接続部材の下端が下方構造体に接続されており、中央接続部材の上端による上方構造体の支持中心点が常にZ軸上に維持されるように構成されていることになる。
【0155】
また、第4の実施形態(図17)の場合は、中央接続部材P50′が、上下両端間に外力として加えられた伸張力もしくは圧縮力に応じて上下両端間の長さを変える伸縮従動機構を有している。このため、既に述べたとおり、中央接続部材P50′の長さの変化に応じて、中央接続部材P50′の上端による上方構造体の支持中心点がZ軸に沿って移動することになる。
【0156】
上述したとおり、中央接続部材の周囲に配置する周辺接続部材を複数N本設けるようにし、この複数N本の周辺接続部材の下端の下方構造体に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出するためのセンサを設けるようにすれば、作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、この作用体を所定方向に駆動する駆動機能とをもった装置を構成することが可能である。これまで述べた第1〜第4の実施形態は、いずれもN=4として、4本の周辺接続部材を設けた例であるが、たとえば、N=2として、2本の周辺接続部材のみを設けた場合でも、中央接続部材によって、下方構造体の上方位置に上方構造体が支持されていれば、力検出機能をもった駆動装置として何ら支障は生じない。もちろん、3本の周辺接続部材を設けたり、6本の周辺接続部材を設けたりすることも可能であり、Nは任意に設定することができる。
【0157】
ただ、周辺接続部材の数を減らすと、駆動方向の自由度や検出対象となる力の向きは制限されてしまう。たとえば、図1に示す第1の実施形態において、中央接続部材P50と、X軸上に配置された2本の周辺接続部材P10,P20のみを残し、Y軸上に配置された2本の周辺接続部材P30,P40(図1では、示されていない)を省略した場合、駆動方向はY軸まわりのみに限定され、検出対象となる力もY軸まわりのモーメントMyに限定されることになる。もっとも、この場合、各上方接続部および各下方接続部は、各周辺接続部材の上端および下端付近がX軸方向に傾斜可能となるように接続できればよく、Y軸方向に傾斜させる必要はないので、必ずしも転がり球面軸受のような任意の方向に傾斜可能な軸受を用いる必要はない。
【0158】
駆動方向の自由度や検出対象となる力の向きを増やすには、周辺接続部材の数Nを増やすようにすればよい。たとえば、Y軸まわりおよびX軸まわりの駆動方向を確保し、Y軸まわりのモーメントMyおよびX軸まわりのモーメントMxを検出できるようにするためには、これまで述べた実施形態のように、中央接続部材の周囲に4本の周辺接続部材を配置した構成を採ればよい。この場合、効率的な駆動動作および効率的な検出動作を行う上では、4本の周辺接続部材の配置に幾何学的な対称性が確保されるようにするのが好ましい。
【0159】
具体的には、これまで述べた実施形態のように、4本の周辺接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態、かつ、検出対象となる力が作用していない状態において、第1の周辺接続部材P10の中心軸と第2の周辺接続部材P20の中心軸とが第1の平面(これまでの実施形態の場合XZ平面)上に位置し、第3の周辺接続部材P30の中心軸と第4の周辺接続部材P40の中心軸とが第1の平面に直交する第2の平面(これまでの実施形態の場合YZ平面)上に位置し、第1の平面に関して第3の周辺接続部材P30と第4の周辺接続部材P40とが面対称をなし、第2の平面に関して第1の周辺接続部材P10と第2の周辺接続部材P20とが面対称をなすような配置を採るのが好ましい。
【0160】
<4−8: ロボットアームへの応用例>
図20は、図1に示す駆動装置を手首の関節部分に用いたロボットアーム800の側面図である。このロボットアーム800は、アーム部810、手首関節部820、グリッパ部830によって構成されており、手首関節部820として、図1に示す駆動装置(図には、上方基板100,中間基板200,下方基板300,接続部材Pが示されている)が用いられている。グリッパ部830は、一対の把持部材831,832およびベース部材833を有し、ベース部材833の内部に組み込まれている駆動機構によって、一対の把持部材831,832が駆動され、把持動作が行われる。図には、床面850上に置かれた物体840を把持する動作を行っている状態が示されている。
【0161】
ベース部材833は上方基板100に固着されており、下方基板300はアーム部810に固着されている。手首関節部820として用いられている駆動装置は、上述したとおり、下方基板300を固定した状態において、上方基板100をX軸およびY軸まわりに駆動することができるので、グリッパ部830の姿勢が、物体840を把持するのに適した向きになるように回転駆動させた後、把持部材831,832によって物体840を掴む動作を行うことができる。
【0162】
また、物体840を掴んだ後、この装置の検出機能を利用すれば、物体840からグリッパ部830(上方基板100)に加わる重力を、X軸およびY軸まわりのモーメントに基づいて測定することができるので、物体840の質量を量ることが可能になる。
【符号の説明】
【0163】
5,6:切断線
100:上方基板(上方構造体)
200:中間基板(下方接続部)
201〜205:膜部
300:下方基板(下方構造体)
400:制御ユニット
450:制御ユニット
480:制御ユニット
800:ロボットアーム
810:アーム部
820:手首関節部
830:グリッパ部
831,832:把持部材
833:ベース部材
840:物体
850:床面
A:摺動軸
C10〜C50(容量素子からなるセンサ/静電容量値)
E10〜E50:固定電極
Fz:Z軸方向の力
G10〜G50:溝
H:通気孔
Mx:X軸まわりのモーメント
My:Y軸まわりのモーメント
O:XYZ三次元座標系の原点
P:接続部材
P1:外側筒状部
P2:内側柱状部
P3:圧力室
P4:導管
P5:ポンプ
P6:上方竿状部
P7:下方竿状部
P8:外側筒状部
P9:圧力センサ
P10,P10′:第1の接続部材(リニアアクチュエータ)
P20:第2の接続部材(リニアアクチュエータ)
P30:第3の接続部材(リニアアクチュエータ)
P40:第4の接続部材(リニアアクチュエータ)
P50,P50′:第5の接続部材
Q1:ハウジング
Q2:球体部
Q3:間隙部
Q4:導出口
Q10〜Q50:転がり球面軸受(上方接続部)
R10〜R40:転がり球面軸受(下方接続部)
X:XYZ三次元座標系の座標軸
Y:XYZ三次元座標系の座標軸
Z:XYZ三次元座標系の座標軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、前記作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する装置であって、
前記作用体として機能する上方構造体と、
前記上方構造体の下方に配置された下方構造体と、
上端が前記上方構造体の下面側に第1の上方接続部を介して接続され、下端が前記下方構造体の上面側に第1の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第1の伸縮駆動機構をもった第1の接続部材と、
上端が前記上方構造体の下面側に第2の上方接続部を介して接続され、下端が前記下方構造体の上面側に第2の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第2の伸縮駆動機構をもった第2の接続部材と、
上端が前記上方構造体の下面側に第3の上方接続部を介して接続され、下端が前記下方構造体の上面側に第3の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第3の伸縮駆動機構をもった第3の接続部材と、
上端が前記上方構造体の下面側に第4の上方接続部を介して接続され、下端が前記下方構造体の上面側に第4の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第4の伸縮駆動機構をもった第4の接続部材と、
前記第1〜第4の接続部材の下端の前記下方構造体に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出する第1〜第4のセンサと、
前記第1〜第4の伸縮駆動機構に所定の電気信号を与えて前記第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さがそれぞれ所望の長さになるように調整する駆動動作と、前記第1〜第4のセンサの検出結果に基づいて、前記作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作と、を行う制御ユニットと、
を備え、
前記第1〜第4の上方接続部は、それぞれ前記第1〜第4の接続部材の上端付近が前記上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、それぞれ前記第1〜第4の接続部材の上端を前記上方構造体の下面に接続する構造を有し、
前記第1〜第4の下方接続部は、それぞれ前記第1〜第4の接続部材の下端付近が前記下方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、かつ、前記下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、それぞれ前記第1〜第4の接続部材の下端を前記下方構造体の上面に接続する構造を有することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に固着された第5の接続部材を更に有し、
前記第5の上方接続部は、前記第5の接続部材の上端付近が前記上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、前記第5の接続部材の上端を前記上方構造体の下面に接続する構造を有することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致し、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、を行うことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第5の下方接続部を介して接続された第5の接続部材と、
前記第5の接続部材の下端の下方構造体に対する上下方向に関する変位を検出する第5のセンサと、
を更に有し、
制御ユニットは、第1〜第5のセンサの検出結果に基づいて、作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作を行い、
前記第5の上方接続部は、前記第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、前記第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有し、
前記第5の下方接続部は、前記第5の接続部材の下端付近が下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、前記第5の接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致し、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、第5のセンサの検出値もしくは第1〜第5のセンサの検出値の総和に基づく電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したZ軸方向の力Fzの検出値として出力するZ軸方向検出動作と、を行うことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項6】
請求項1に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第5の下方接続部を介して接続された第5の接続部材を更に有し、
前記第5の上方接続部は、前記第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、前記第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有し、
前記第5の下方接続部は、前記第5の接続部材の下端付近が下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、前記第5の接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致し、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、第1〜第4のセンサの検出値の総和に基づく電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したZ軸方向の力Fzの検出値として出力するZ軸方向検出動作と、を行うことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項8】
請求項1に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に固着され、上下両端間に外力として加えられた伸張力もしくは圧縮力に応じて上下両端間の長さを変える伸縮従動機構をもった第5の接続部材を更に有し、
前記第5の上方接続部は、前記第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、前記第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項9】
請求項8に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致し、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、第1〜第4のセンサの検出値の総和に基づく電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したZ軸方向の力Fzの検出値として出力するZ軸方向検出動作と、を行うことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の力検出機能をもった駆動装置において、
すべての上方接続部および第1〜第4の下方接続部が、転がり球面軸受を含む構造体によって構成されていることを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項11】
請求項3,5,7,9のいずれかに記載の力検出機能をもった駆動装置において、
「標準姿勢」の状態では、第1の接続部材と第2の接続部材とがYZ平面に関して面対称をなし、第3の接続部材と第4の接続部材とがXZ平面に関して面対称をなすことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項12】
請求項3,5,7,9のいずれかに記載の力検出機能をもった駆動装置において、
上方構造体が平板状の上方基板からなり、下方構造体が平板状の下方基板からなり、「標準姿勢」の状態では、前記上方基板および前記下方基板の基板面が、XY平面に平行になるように構成されていることを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項13】
請求項12に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
下面の4カ所に溝が形成された中間基板が、下方基板の上面に接合されており、これら溝の底部にはそれぞれ可撓性をもった膜部が形成され、
第1〜第4の下方接続部が、前記中間基板と、前記各膜部の上面に固定された転がり球面軸受と、によって構成されており、第1〜第4の接続部材の下端が前記転がり球面軸受、前記膜部、前記溝の側壁部を介して、下方基板に接続されていることを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項14】
請求項13に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
第1〜第4のセンサが、各膜部に形成された変位電極と、これら各変位電極に対向する下方基板の上面位置に固定された固定電極と、からなる容量素子によって構成されていることを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項15】
請求項14に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
中間基板が導電性材料から構成されており、膜部自身が変位電極として機能することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の力検出機能をもった駆動装置において、
第1〜第4の接続部材が、
外側筒状部と、その内側に嵌合した内側柱状部と、を同一の軸上に配置してなる構造部と、
与えられた電気信号に基づいて、前記内側柱状部を前記外側筒状部に対して、前記軸に沿った方向に摺動させることにより全長を所望の長さに調整し、当該長さを維持させる伸縮駆動機構と、
を有するリニアアクチュエータによって構成されていることを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項17】
請求項16に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
リニアアクチュエータが、外側筒状部に対して内側柱状部を機械的に固定するロック機構を有し、
制御ユニットが、検出動作を行う際には、前記ロック機構により、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さを一定に維持する制御を行うことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項18】
請求項16に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
リニアアクチュエータが、外側筒状部内に設けられた圧力室の圧力を制御するポンプと、前記圧力室の圧力を測定する圧力センサと、を有し、
制御ユニットが、駆動動作を行う際には、前記ポンプに所定の駆動信号を与えて内側柱状部を摺動させることにより、リニアアクチュエータの全長を所望の長さに調整し、検出動作を行う際には、前記圧力センサによる測定値が一定となるように前記ポンプに所定の駆動信号を与えてフィードバック制御を行うことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項19】
所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、前記作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する装置であって、
前記作用体として機能する上方構造体と、
前記上方構造体の下方に配置された下方構造体と、
前記下方構造体の上方位置に前記上方構造体が、少なくとも所定の1方向に傾斜可能な状態で支持されるように、前記上方構造体と前記下方構造体とを接続する中央接続部材と、
上端が前記上方構造体の下面側に上方接続部を介して接続され、下端が前記下方構造体の上面側に下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える伸縮駆動機構をもち、前記中央接続部材の周囲に配置された複数N本の周辺接続部材と、
前記複数N本の周辺接続部材の下端の前記下方構造体に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出するセンサと、
前記伸縮駆動機構に所定の電気信号を与えて前記複数N本の周辺接続部材の上下両端間の長さがそれぞれ所望の長さになるように調整する駆動動作と、前記センサの検出結果に基づいて、前記作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作と、を行う制御ユニットと、
を備え、
前記上方接続部は、前記周辺接続部材の上端付近が前記上方構造体に対して少なくとも所定の1方向に傾斜可能となるように、前記周辺接続部材の上端を前記上方構造体の下面に接続する構造を有し、
前記下方接続部は、前記周辺接続部材の下端付近が前記下方構造体に対して少なくとも所定の1方向に傾斜可能となるように、かつ、前記下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、前記周辺接続部材の下端を前記下方構造体の上面に接続する構造を有することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項20】
請求項19に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
下方構造体が平板状の下方基板からなり、その基板面に対して平行なXY平面をもったXYZ三次元座標系を定義したときに、中央接続部材の中心軸がZ軸上にくるように、中央接続部材の下端が下方構造体に固着されており、中央接続部材の上端による上方構造体の支持中心点が常にZ軸上に維持されるように構成されていることを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項21】
請求項20に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
中央接続部材が、上下両端間に外力として加えられた伸張力もしくは圧縮力に応じて上下両端間の長さを変える伸縮従動機構を有し、中央接続部材の長さの変化に応じて、中央接続部材の上端による上方構造体の支持中心点がZ軸に沿って移動することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項22】
請求項19〜21のいずれかに記載の力検出機能をもった駆動装置において、
中央接続部材の周囲に第1〜第4の周辺接続部材が配置されており、これら4本の周辺接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態、かつ、検出対象となる力が作用していない状態では、第1の周辺接続部材の中心軸と第2の周辺接続部材の中心軸とが第1の平面上に位置し、第3の周辺接続部材の中心軸と第4の周辺接続部材の中心軸とが前記第1の平面に直交する第2の平面上に位置し、前記第1の平面に関して第3の周辺接続部材と第4の周辺接続部材とが面対称をなし、前記第2の平面に関して第1の周辺接続部材と第2の周辺接続部材とが面対称をなすことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項1】
所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、前記作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する装置であって、
前記作用体として機能する上方構造体と、
前記上方構造体の下方に配置された下方構造体と、
上端が前記上方構造体の下面側に第1の上方接続部を介して接続され、下端が前記下方構造体の上面側に第1の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第1の伸縮駆動機構をもった第1の接続部材と、
上端が前記上方構造体の下面側に第2の上方接続部を介して接続され、下端が前記下方構造体の上面側に第2の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第2の伸縮駆動機構をもった第2の接続部材と、
上端が前記上方構造体の下面側に第3の上方接続部を介して接続され、下端が前記下方構造体の上面側に第3の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第3の伸縮駆動機構をもった第3の接続部材と、
上端が前記上方構造体の下面側に第4の上方接続部を介して接続され、下端が前記下方構造体の上面側に第4の下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える第4の伸縮駆動機構をもった第4の接続部材と、
前記第1〜第4の接続部材の下端の前記下方構造体に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出する第1〜第4のセンサと、
前記第1〜第4の伸縮駆動機構に所定の電気信号を与えて前記第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さがそれぞれ所望の長さになるように調整する駆動動作と、前記第1〜第4のセンサの検出結果に基づいて、前記作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作と、を行う制御ユニットと、
を備え、
前記第1〜第4の上方接続部は、それぞれ前記第1〜第4の接続部材の上端付近が前記上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、それぞれ前記第1〜第4の接続部材の上端を前記上方構造体の下面に接続する構造を有し、
前記第1〜第4の下方接続部は、それぞれ前記第1〜第4の接続部材の下端付近が前記下方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、かつ、前記下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、それぞれ前記第1〜第4の接続部材の下端を前記下方構造体の上面に接続する構造を有することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に固着された第5の接続部材を更に有し、
前記第5の上方接続部は、前記第5の接続部材の上端付近が前記上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、前記第5の接続部材の上端を前記上方構造体の下面に接続する構造を有することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致し、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、を行うことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第5の下方接続部を介して接続された第5の接続部材と、
前記第5の接続部材の下端の下方構造体に対する上下方向に関する変位を検出する第5のセンサと、
を更に有し、
制御ユニットは、第1〜第5のセンサの検出結果に基づいて、作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作を行い、
前記第5の上方接続部は、前記第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、前記第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有し、
前記第5の下方接続部は、前記第5の接続部材の下端付近が下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、前記第5の接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致し、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、第5のセンサの検出値もしくは第1〜第5のセンサの検出値の総和に基づく電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したZ軸方向の力Fzの検出値として出力するZ軸方向検出動作と、を行うことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項6】
請求項1に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に第5の下方接続部を介して接続された第5の接続部材を更に有し、
前記第5の上方接続部は、前記第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、前記第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有し、
前記第5の下方接続部は、前記第5の接続部材の下端付近が下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、前記第5の接続部材の下端を下方構造体の上面に接続する構造を有することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致し、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、第1〜第4のセンサの検出値の総和に基づく電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したZ軸方向の力Fzの検出値として出力するZ軸方向検出動作と、を行うことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項8】
請求項1に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
上端が上方構造体の下面側に第5の上方接続部を介して接続され、下端が下方構造体の上面側に固着され、上下両端間に外力として加えられた伸張力もしくは圧縮力に応じて上下両端間の長さを変える伸縮従動機構をもった第5の接続部材を更に有し、
前記第5の上方接続部は、前記第5の接続部材の上端付近が上方構造体に対して任意の方向に傾斜可能となるように、前記第5の接続部材の上端を上方構造体の下面に接続する構造を有することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項9】
請求項8に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
第5の接続部材の上端付近に原点をもつXYZ三次元座標系を定義したときに、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように第1〜第4の伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態において、第1の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と正領域で交差し、第2の接続部材の上下両端を通る直線はX軸と負領域で交差し、第3の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と正領域で交差し、第4の接続部材の上下両端を通る直線はY軸と負領域で交差し、第5の接続部材の上下両端を通る直線はZ軸に一致し、
制御ユニットは、第1の接続部材の上下両端間の長さと、第2の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をY軸まわりに変化させるY軸まわり駆動動作と、第3の接続部材の上下両端間の長さと、第4の接続部材の上下両端間の長さと、の差を変化させることにより、下方構造体に対する上方構造体の姿勢をX軸まわりに変化させるX軸まわり駆動動作と、第1のセンサの検出値と第2のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したY軸まわりのモーメントMyの検出値として出力するY軸まわり検出動作と、第4のセンサの検出値と第3のセンサの検出値との差を示す電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したX軸まわりのモーメントMxの検出値として出力するX軸まわり検出動作と、第1〜第4のセンサの検出値の総和に基づく電気信号を、下方構造体を固定した状態において上方構造体に作用したZ軸方向の力Fzの検出値として出力するZ軸方向検出動作と、を行うことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の力検出機能をもった駆動装置において、
すべての上方接続部および第1〜第4の下方接続部が、転がり球面軸受を含む構造体によって構成されていることを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項11】
請求項3,5,7,9のいずれかに記載の力検出機能をもった駆動装置において、
「標準姿勢」の状態では、第1の接続部材と第2の接続部材とがYZ平面に関して面対称をなし、第3の接続部材と第4の接続部材とがXZ平面に関して面対称をなすことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項12】
請求項3,5,7,9のいずれかに記載の力検出機能をもった駆動装置において、
上方構造体が平板状の上方基板からなり、下方構造体が平板状の下方基板からなり、「標準姿勢」の状態では、前記上方基板および前記下方基板の基板面が、XY平面に平行になるように構成されていることを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項13】
請求項12に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
下面の4カ所に溝が形成された中間基板が、下方基板の上面に接合されており、これら溝の底部にはそれぞれ可撓性をもった膜部が形成され、
第1〜第4の下方接続部が、前記中間基板と、前記各膜部の上面に固定された転がり球面軸受と、によって構成されており、第1〜第4の接続部材の下端が前記転がり球面軸受、前記膜部、前記溝の側壁部を介して、下方基板に接続されていることを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項14】
請求項13に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
第1〜第4のセンサが、各膜部に形成された変位電極と、これら各変位電極に対向する下方基板の上面位置に固定された固定電極と、からなる容量素子によって構成されていることを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項15】
請求項14に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
中間基板が導電性材料から構成されており、膜部自身が変位電極として機能することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の力検出機能をもった駆動装置において、
第1〜第4の接続部材が、
外側筒状部と、その内側に嵌合した内側柱状部と、を同一の軸上に配置してなる構造部と、
与えられた電気信号に基づいて、前記内側柱状部を前記外側筒状部に対して、前記軸に沿った方向に摺動させることにより全長を所望の長さに調整し、当該長さを維持させる伸縮駆動機構と、
を有するリニアアクチュエータによって構成されていることを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項17】
請求項16に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
リニアアクチュエータが、外側筒状部に対して内側柱状部を機械的に固定するロック機構を有し、
制御ユニットが、検出動作を行う際には、前記ロック機構により、第1〜第4の接続部材の上下両端間の長さを一定に維持する制御を行うことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項18】
請求項16に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
リニアアクチュエータが、外側筒状部内に設けられた圧力室の圧力を制御するポンプと、前記圧力室の圧力を測定する圧力センサと、を有し、
制御ユニットが、駆動動作を行う際には、前記ポンプに所定の駆動信号を与えて内側柱状部を摺動させることにより、リニアアクチュエータの全長を所望の長さに調整し、検出動作を行う際には、前記圧力センサによる測定値が一定となるように前記ポンプに所定の駆動信号を与えてフィードバック制御を行うことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項19】
所定の作用体に対して所定方向に作用した力を検出する検出機能と、前記作用体を所定方向に駆動する駆動機能と、を有する装置であって、
前記作用体として機能する上方構造体と、
前記上方構造体の下方に配置された下方構造体と、
前記下方構造体の上方位置に前記上方構造体が、少なくとも所定の1方向に傾斜可能な状態で支持されるように、前記上方構造体と前記下方構造体とを接続する中央接続部材と、
上端が前記上方構造体の下面側に上方接続部を介して接続され、下端が前記下方構造体の上面側に下方接続部を介して接続され、与えられた電気信号に基づいて上下両端間の長さを変える伸縮駆動機構をもち、前記中央接続部材の周囲に配置された複数N本の周辺接続部材と、
前記複数N本の周辺接続部材の下端の前記下方構造体に対する上下方向に関する変位をそれぞれ検出するセンサと、
前記伸縮駆動機構に所定の電気信号を与えて前記複数N本の周辺接続部材の上下両端間の長さがそれぞれ所望の長さになるように調整する駆動動作と、前記センサの検出結果に基づいて、前記作用体に作用した力を示す電気信号を出力する検出動作と、を行う制御ユニットと、
を備え、
前記上方接続部は、前記周辺接続部材の上端付近が前記上方構造体に対して少なくとも所定の1方向に傾斜可能となるように、前記周辺接続部材の上端を前記上方構造体の下面に接続する構造を有し、
前記下方接続部は、前記周辺接続部材の下端付近が前記下方構造体に対して少なくとも所定の1方向に傾斜可能となるように、かつ、前記下方構造体に対して上下方向に変位可能となるように、前記周辺接続部材の下端を前記下方構造体の上面に接続する構造を有することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項20】
請求項19に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
下方構造体が平板状の下方基板からなり、その基板面に対して平行なXY平面をもったXYZ三次元座標系を定義したときに、中央接続部材の中心軸がZ軸上にくるように、中央接続部材の下端が下方構造体に固着されており、中央接続部材の上端による上方構造体の支持中心点が常にZ軸上に維持されるように構成されていることを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項21】
請求項20に記載の力検出機能をもった駆動装置において、
中央接続部材が、上下両端間に外力として加えられた伸張力もしくは圧縮力に応じて上下両端間の長さを変える伸縮従動機構を有し、中央接続部材の長さの変化に応じて、中央接続部材の上端による上方構造体の支持中心点がZ軸に沿って移動することを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【請求項22】
請求項19〜21のいずれかに記載の力検出機能をもった駆動装置において、
中央接続部材の周囲に第1〜第4の周辺接続部材が配置されており、これら4本の周辺接続部材の上下両端間の長さが互いに等しくなるように伸縮駆動機構を調整した「標準姿勢」の状態、かつ、検出対象となる力が作用していない状態では、第1の周辺接続部材の中心軸と第2の周辺接続部材の中心軸とが第1の平面上に位置し、第3の周辺接続部材の中心軸と第4の周辺接続部材の中心軸とが前記第1の平面に直交する第2の平面上に位置し、前記第1の平面に関して第3の周辺接続部材と第4の周辺接続部材とが面対称をなし、前記第2の平面に関して第1の周辺接続部材と第2の周辺接続部材とが面対称をなすことを特徴とする力検出機能をもった駆動装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図3】
【公開番号】特開2011−218485(P2011−218485A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90096(P2010−90096)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(511071234)株式会社トライフォース・マネジメント (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(511071234)株式会社トライフォース・マネジメント (3)
【Fターム(参考)】
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