説明

加圧容器供給装置およびその方法

【課題】充填体形成の誤検出、所要動力増、及び閉塞を防止する。
【解決手段】上記課題は、固液混合原料を、供給管路32を介して加圧容器4内へ連続供給するとともに、この供給管路32に原料を気密充填してなる充填体Pを形成し、この充填体Pにより供給管路32の上流側圧力と下流側圧力とを遮断しつつ原料の供給を行う、マテリアルシール型フィーダーと、このフィーダーの供給管路32における充填体Pの充填領域32zの下流側に設けられた背圧弁40と、この背圧弁40のシリンダー42と、背圧弁40の弁体41が閉状態と開状態との間の中間状態にあるか否かを検出する中間状態検出手段と、この中間状態検出手段により背圧弁40の弁体41が中間状態にあることが検出されたときにシリンダー42により背圧弁40を開ける制御を行う制御装置と、を備えたことを特徴とする加圧容器供給装置30により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液分及び固形分からなる固液混合原料を加圧容器器内へ連続供給するマテリアルシールタイプのフィーダーを採用した、加圧容器供給技術に関するものであり、特に木質バイオマスの加水分解反応における加圧反応容器への応用に好適な加圧容器供給技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固形物と水との混合物や、高濃度スラリー等、液分及び固形分からなる固液混合原料を反応器に連続的に供給する場合、一般に、一軸ネジ式ポンプやスクリューフィーダー、ピストンフィーダーなどの押し込み型フィーダーが使用される。特に、加圧下の反応器に対するフィーダーは、反応器内圧をシールしつつ原料を押し込むことが要求される。このような要求を満たすフィーダーとして、原料を供給通路内に通過させながら圧縮して原料の充填体を形成し、この充填体(プラグ)によりその上流側と下流側とを遮断しつつ押し込む、いわゆるマテリアルシール型スクリューフィーダーや、ピストンフィーダーがある。以下、これらを総称してマテリアルシール型フィーダーという。
このようなマテリアルシール型フィーダーにおいては、原料供給開始時に上流側圧力と下流側圧力とを遮断しつつ充填体の形成を促すために、充填体の充填領域の下流側に隣接して背圧弁を設け、充填体が形成され次第背圧弁を開け、後は充填体を下流側から順に加圧容器に供給する一方で上流側に原料を補給して充填体を維持する、といった方法が一般的となっている。また、この際、充填体が形成されたか否かは、原料供給の摩擦抵抗の指標(例えば、供給機の電流値やスラスト力)を検出して判断することが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表昭57−500091号公報
【特許文献2】特開2004−89016号公報
【特許文献3】特開2004−337099号公報
【特許文献4】特開平6−109227号公報
【特許文献5】特開平9−183516号公報
【特許文献6】特開2007−211096号公報
【特許文献7】特開2006−068606号公報
【特許文献8】特開2006−281037号公報
【特許文献9】特開2004−121055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の充填検出は、原料の性状が変化した場合や機械の摩耗が進行する等、シール部の形成に関係無く原料供給の摩擦抵抗が変化した場合に誤検出するおそれがあった。
また、従来の充填検出は、原料供給の摩擦抵抗という間接的な指標に基づくものであったため、充填体形成に対する反応が遅くなり、充填体及び背圧弁の両方が原料供給負荷となる状態が不必要に続くため、所要動力が増加し、充填体が供給管路内に閉塞するおそれもあった。
そこで、本発明の主たる課題は、充填体形成の誤検出、所要動力増、及び閉塞を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
固液混合原料を、供給管路を介して加圧容器内へ連続供給するとともに、この供給管路に前記原料を気密充填してなる充填体を形成し、この充填体により供給管路の上流側圧力と下流側圧力とを遮断しつつ前記原料の供給を行う、マテリアルシール型フィーダーと、
このフィーダーの供給管路における前記充填体の充填領域の下流側に設けられた背圧弁と、
この背圧弁の開閉駆動装置と、
を備えた加圧容器供給装置であって、
前記背圧弁の弁体が閉状態と開状態との間の中間状態にあるか否かを検出する中間状態検出手段と、
この中間状態検出手段により前記背圧弁の弁体が前記中間状態にあることが検出されたときに前記開閉駆動装置により前記背圧弁を開ける制御を行う制御装置と、
を備えたことを特徴とする加圧容器供給装置。
【0006】
(作用効果)
このようなマテリアルシール型フィーダーに背圧弁を設けた供給装置においては、原料の充填体が形成されると、背圧弁の弁体が原料の充填体により押し開けられる。よって、背圧弁の弁体が閉状態と開状態との間の中間状態にあるか否かを検出する中間状態検出手段を設けることにより、原料供給の摩擦抵抗に関係なく、しかも直接的に反応良く充填体の形成を検出できる。よって、充填体形成の誤検出、所要動力増、及び閉塞を防止できるようになる。
【0007】
<請求項2記載の発明>
前記中間状態検出手段は、前記背圧弁の弁体の移動力により、前記背圧弁の弁体が前記閉状態にあるときと前記中間状態にあるときとでオン/オフが切り替わる閉リミットスイッチである、請求項1記載の加圧容器供給装置。
【0008】
(作用効果)
このようなリミットスイッチを用いた中間状態検出手段は、簡素な装置構成で実施でき、検出も直接且つ確実であるため好ましい。
【0009】
<請求項3記載の発明>
前記フィーダーは、前記充填体の充填領域に向かって次第に内径が減少するように構成された前記供給管路と、この供給管路内に管軸方向に沿って設置されたスクリューと、このスクリューを回転駆動する電動機とを備えたプラグスクリューフィーダーであり、
前記中間状態検出手段に加えて、次の(イ)〜(ハ)の少なくとも一つの補助検出手段を備えており、
(イ)前記スクリュー軸のトルクを検出するトルク検出器、
(ロ)前記スクリュー軸のスラスト力を検出するスラスト力検出器、
(ハ)前記電動機の電流を検出する電流検出器、
前記制御装置は、補助検出手段による検出値が所定値以上であって、なおかつ前記中間状態検出手段により前記背圧弁の弁体が前記中間状態にあることが検出されたときに前記開閉駆動装置により前記背圧弁を開ける制御を行うものである、
請求項1又は2記載の加圧容器供給装置。
【0010】
(作用効果)
マテリアルシール型フィーダーとしては、電動機を駆動源とするスクリューフィーダーが好適である。このようなスクリューフィーダーでは、原料供給の摩擦抵抗と、スクリュー軸のトルク、スラスト力または電動機の電流とは相関関係を有し、原料充填体の形成と原料供給の摩擦抵抗とは相関関係を有する。つまり、スクリュー軸のトルク、スラスト力または電動機の電流と原料充填体の形成とは相関関係を有する。したがって、マテリアルシール型スクリューフィーダーを用いる場合、スクリュー軸のトルク、スラスト力及び電動機の電流の少なくとも一つを補助的に検出し、その結果と弁体の中間状態検出手段の検出結果を組み合わせることにより、より高精度な充填体形成の検出が可能となる。
【0011】
<請求項4記載の発明>
前記充填体がシール漏れしたか否かを検出するシール漏れ検出手段を備えており、
前記制御装置は、前記シール漏れ検出手段により前記充填体がシール漏れしたことが検出されたとき、前記背圧弁を閉じる制御を行うものである、請求項1記載の加圧容器供給装置。
【0012】
(作用効果)
充填体には上流側圧力と下流側圧力との差圧がかかっているため、原料の充填が不十分又は不均質である場合等に、充填体が崩壊等してシール漏れを起こすことがある。よって、上述のようにこのような事態を検出し、再度充填体の形成を促進するべく、背圧弁を閉じるのが好ましい。充填体が形成されると、前述の本発明の制御により自動的に背圧弁が開となり、円滑に定常運転に復帰させることができる。
【0013】
<請求項5記載の発明>
前記シール漏れ検出手段は、前記加圧容器の内圧を計測する内圧計であり、前記制御装置は、この内圧計による計測値が所定時間内に所定値以上減少したとき、前記背圧弁を閉じる制御を行うものである、請求項4記載の連続供給型反応装置。
【0014】
(作用効果)
シール漏れ検出手段は適宜定めることができるが、原料の供給先が加圧容器であり、通常このような加圧容器には内圧計が設けられることが多く、シール漏れは内圧の急激な減少として現れるため、上述のように加圧容器の内圧が急激に減少したときに背圧弁を閉じる制御を行うことが望ましい。
【0015】
<請求項6記載の発明>
前記加圧容器は、内部温度が前記充填体の上流側の温度より高いものであり、
前記シール漏れ検出手段は、前記供給管路における前記充填体の充填領域よりも上流側における排気温度を計測する上流側排気温度計であり、この上流側排気温度計による計測値が所定温度以上に上昇したとき、前記背圧弁を閉じる制御を行うものである、請求項4又は5記載の加圧容器供給装置。
【0016】
(作用効果)
加圧容器が高温で反応を行う容器である場合等においては、加圧容器の内部温度が充填体の上流側の温度より高くなる場合がある。このような場合に充填体のシール漏れが発生すると、充填体の上流側の温度が上昇するため、上述のように充填体の上流側における排気口の温度が上昇したときに背圧弁の閉制御を行うのも好ましい形態である。
【0017】
<請求項7記載の発明>
前記制御装置は、前記充填体のシール漏れ検出により前記背圧弁を閉じるとき、その後所定時間経過するまでは前記中間状態検出手段により前記中間状態にあることが検出されたときでも前記背圧弁を開けない制御を行うものである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の加圧容器供給装置。
【0018】
(作用効果)
シール漏れ検出により背圧弁を閉じるときに一定以上の時間を要すると、その間に背圧弁の中間状態が検出されて背圧弁を開ける制御がなされるおそれがある。この場合、シール漏れが改善されないため、このシール漏れを再度検出することにより再び背圧弁を閉じる制御を行うことになり、その結果として背圧弁の開閉を繰り返すおそれがある。よって、上述のように、充填体のシール漏れ検出により背圧弁を閉じるときには、その後所定時間経過するまで、中間状態検出手段により中間状態にあることが検出されたときでも背圧弁を開けない制御を行うのが好ましい。これにより、背圧弁が開閉を繰り返すといった事態を防止できるようになる。
【0019】
<請求項8記載の発明>
前記原料の固形分が木質バイオマスであり、前記加圧容器が木質バイオマスと希硫酸との加水分解反応を行う加圧反応容器であり、前記原料の液分が水である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の加圧容器供給装置。
【0020】
(作用効果)
このような加圧容器内での木質バイオマス原料の加水分解では、原料固形分が粗く不均質であることが多いため、原供給開始当初の充填体の形成が比較的に困難であり、また充填体の上流側及び下流側の圧力差もある程度あるため、シール漏れを起こし易い。よって、本発明は、このような木質バイオマスを含む原料を希硫酸の存在下で加水分解する加圧反応容器に原料を供給する場合に好適である。
【0021】
<請求項9記載の発明>
固液混合原料を、加圧容器内へ連続供給するとともに、この供給管路に前記原料の充填体を形成し、この充填体により供給管路の上流側圧力と下流側圧力とを遮断しつつ前記原料の供給を行う方法であって、
前記供給管路における前記充填体の充填領域の下流側に背圧弁を設け、
前記背圧弁の弁体が閉状態と開状態との間の中間状態にあるときに前記背圧弁を開ける、
ことを特徴とする加圧容器供給方法。
【0022】
(作用効果)
請求項1記載の発明と同様の作用効果が奏せられる。
【発明の効果】
【0023】
以上のとおり本発明によれば、充填体形成の誤検出、所要動力増、及び閉塞を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】木質バイオマスエタノール設備例のフロー図である。
【図2】糖化反応装置の要部を示す概略図である。
【図3】容器供給装置の要部拡大縦断面図である。
【図4】制御装置のフローチャートである。
【図5】容器供給装置の要部拡大縦断面図である。
【図6】容器供給装置の要部拡大縦断面図である。
【図7】容器供給装置の要部拡大縦断面図である。
【図8】容器供給装置の要部拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
図1は、バガス、籾殻、稲藁、ウッドチップ(廃建材含む)等の木質系バイオマス(固形分)を洗浄機2により洗浄し、次いで脱水機3により水分率80〜85重量%程度まで脱水した後、加圧容器4において希硫酸触媒により加水分解し、グルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース等のC5糖類を生成する糖化反応装置1と、この糖化反応装置1による生成物の液分を水平ベルトフィルター等のろ過装置11により回収し、中和槽12で消石灰を添加して中和した後に発酵槽13でエタノール発酵性大腸菌によりエタノール変換し、濃縮器14、蒸留塔15、脱水装置16を経てエタノールを回収するエタノール変換装置10とを有する木質バイオマスエタノール設備例を示している。この設備例では、ろ過装置11により回収される固形分である加水分解残渣(セルロース、リグニン)は例えばボイラー燃料として、あるいはコンポストとして利用される。
【0026】
糖化反応装置1の要部は図2に詳細に示されている。すなわち、脱水機3により脱水された固液混合原料は、先ずスクリューフィーダーからなる原料供給装置20により連続定量的に切り出されて、マテリアルシール型フィーダー及び背圧弁40を備えた容器供給装置30に供給され、この容器供給装置30より反応器としての加圧容器4に供給される。加圧容器4においては、その供給口4iから、容器供給装置30の排出管路31の上部に設けたノズル31nから噴射される蒸気及び希硫酸の混合物が原料とともに供給される。蒸気は反応温度を維持する役割を担う。この加圧容器4に対する希硫酸供給とともに又はこれに代えて、容器供給装置30よりも上流側において予め原料に希硫酸を混合し、原料固形分内への硫酸の浸透を促進することもできる。加圧容器4内には、スクリュータイプの撹拌搬送装置4wが供給口4i側から排出口4x側へ向かう方向に沿って架設されており、加圧容器4内に供給された原料はこの撹拌搬送装置4wにより撹拌搬送される過程において所定時間加圧容器4内に保持され、加水分解が進行し糖類が生成された後、反応物として排出される。
【0027】
容器供給装置30の詳細は図3に示されている。この容器供給装置30は、加圧容4器の供給口4iに連通する縦方向に沿う排出管路31と、この排出管路31の側壁に連通する供給管路32を備えたマテリアルシール型フィーダーと、その供給管路32における先端部排出口32xを弁座としてこれを開閉する背圧弁40と、この背圧弁40の開閉駆動装置としてのシリンダー42とを備えるものである。
【0028】
より詳細には、図示例のマテリアルシール型フィーダーはいわゆるプラグスクリューフィーダーである。このフィーダーの供給管路32は横方向に沿って延在する形状をなし、基端側上部に供給口32i及び先端面に排出口32xをそれぞれ有し、また、供給口32iから排出口に32x向かうにつれて内径が縮小する縮径領域32yと、この縮径領域32yの先端側に隣接する縮径領域32y以下の内径を有する充填領域32zとを有している。縮径領域32yは二重管状をなしており、内管32iの周壁には略その全体にわたり多数の図示しない貫通口が形成されるとともに、外管32cの上部に排気口32e及び下部に排液口32dがそれぞれ設けられている。供給管路32内には、スクリュー軸33が同心状に軸装されており、電動機からなる回転駆動源34により回転駆動されるように構成されている。もちろん、本発明のマテリアルシール型フィーダーは、この例に限定されるものではなく、例えば、図示しないが、上述のスクリューによる原料押し込みに代えてピストンによる原料押し込みを採用したマテリアルシール型ピストンフィーダーを用いることもできる。
【0029】
背圧弁40は供給管路32の先端排出口32xを開閉する円錐状の弁体41と、この弁体41を供給管路32の先端排出口32xに対して対向方向に進退させるシリンダー42とを備えているものである。弁体41は後方に突出する支持軸43を有しており、この支持軸43が排出管路31の側壁を貫通して排出管路31外部に突出し、排出管路31の外面に取り付けられたシリンダー42の伸縮軸に対して直列的に連結されている。したがって、弁体41が閉位置にあるときには弁体41はシリンダー42の内圧により閉方向に付勢される。
【0030】
特徴的には、弁体支持軸43における排出管路31の外部に突出する部分にカラーが取り付けられて当接部44が形成されており、弁体41が閉状態にあるときにこの当接部44が接触してオンとなり、且つ弁体41が閉状態と開状態との間の中間状態にあるときにこの当接部44が接触せずにオフとなる位置に閉リミットスイッチ50を取り付けている。また、本例では、弁体41が開状態にあるときにこの当接部44が接触してオンとなり、且つ弁体41が閉状態と開状態との間の中間状態にあるときにこの当接部44が接触せずにオフとなる位置に開リミットスイッチ51も取り付けている。なお、弁体41の位置を検出できるものであれば、本例のリミットスイッチ50,51に代えて非接触タイプのセンサ等、他の公知の検出器を用いることも可能である。
【0031】
また、特徴的には、容器供給装置30は、図4に示すフローチャートにしたがって背圧弁開閉制御を行う制御装置(図示略)を備えている。すなわち、この容器供給装置30において原料供給を開始する際には、先ずシリンダー42により背圧弁40を閉じた後、スクリュー軸33を始動させて固液混合原料Mを先端側に移送する。図5に示すように、供給管路32の排出口32xは背圧弁40により閉じられており、圧力だけでなく原料Mの移動も弁体41により遮断されているため、次第に供給管路32内に固液混合原料Mが充満し、後続原料Mによる押し込み力と、縮径領域32yにおける内径減少とによって、供給管路32の先端側から順に原料Mが強く圧縮されるようになる。この圧縮がある程度まで進行すると、図6に示すように充填領域32zに原料が気密充填されて充填体Pが形成された後、図7に示すようにこの充填体Pが背圧弁40の弁体41の押し付け力に抗して弁体41を押し開く。このとき、弁体支持軸43の当接部44が閉リミットスイッチ50から離間することにより閉リミットスイッチ50がオフとなり弁体41が中間状態にあることが検出される。制御装置は中間状態が検出されると、充填体Pが形成されたものと判断して図8に示すように背圧弁40を開ける制御を行う。この中間状態の検出は、原料供給Mの摩擦抵抗に関係なく、しかも充填体Pの形成と直接に関係するため、充填体Pの形成が的確に検出される。よって、充填体形成の誤検出、所要動力増、及び閉塞を防止できるようになる。
【0032】
このようにして、供給管路32の排出口32xからは順次原料充填体Pの下流側部分が排出され、排出管路31を介して加圧容器4に投入される定常運転状態となる。定常運転状態では、図8に示すように充填体Pは下流側から順に排出されるが、上流側では新たに押し込まれる原料により成長するため、その長さ及びシール性能は維持される。
【0033】
他方、このような定常運転状態にあるとき、充填体Pには上流側圧力と下流側圧力との差圧がかかっているため、原料の充填が不十分又は不均質である場合等に、充填体Pが崩壊等してシール漏れを起こすことがある。よって、充填体Pがシール漏れしたか否かを検出するシール漏れ検出手段を設け、図4に示すように、このような事態が検出されたときには制御装置が背圧弁40を閉じて、再度充填体の形成を促進するのが好ましい。このシール漏れ検出手段は適宜定めることができるが、原料の供給先が加圧容器4であり、通常このような加圧容器4には内圧計4p(図2参照)が設けられることが多く、シール漏れは内圧の急激な減少として現れるため、加圧容器4の内圧が急激に減少したとき、つまり内圧計4pによる計測値が所定時間内に所定値以上減少したときに背圧弁40を閉じる制御を行うことが望ましい。
【0034】
また、本例のように加圧容器4が高温で反応を行う容器である場合、加圧容器4の内部温度が充填体Pの上流側の温度より高く、このような場合に充填体Pのシール漏れが発生すると、充填体Pの上流側の温度が上昇する。よって、シール漏れ検出手段として、充填領域32zよりも上流側における排気温度を計測する上流側排気温度計30tを設け、この計測温度が上昇したときに背圧弁40の閉制御を行うのも好ましい形態である。
【0035】
このような制御により充填体Pが形成されると、前述の充填体形成時の制御により自動的に背圧弁40が開となり、円滑に定常運転に復帰させることができる。ただし、シール漏れ検出により背圧弁40を閉じるときに一定以上の時間を要すると、この間に背圧弁40の中間状態が検出されると背圧弁40を開ける制御と、シール漏れによる背圧弁40の閉制御とが繰り返されるおそれがある。よって、図4に示すように、充填体Pのシール漏れ検出により背圧弁40を閉じるときには、その後遅延タイマーを作動させ、所定時間経過するまでは、中間状態検出手段により中間状態にあることが検出されたときでも背圧弁40を開けない制御を行うのは好ましい。これにより、背圧弁40が開閉を繰り返すといった事態を防止できるようになる。
【0036】
<その他>
上記例のようなスクリューフィーダーでは、原料供給の摩擦抵抗と、スクリュー軸33のトルク、スラスト力または電動機34の電流とは相関関係を有し、原料充填体Pの形成と原料供給の摩擦抵抗とは相関関係を有する。つまり、スクリュー軸33のトルク、スラスト力または電動機34の電流と原料充填体Pの形成とは相関関係を有する。したがって、上記例のように、プラグスクリューフィーダーを用いる場合、スクリュー軸33のトルクを検出するトルク検出器(図示略)、スクリュー軸33のスラスト力を検出するスラスト力検出器(図示略)及び電動機34の電流を検出する電流検出器34mのうち少なくとも一つの補助検出手段を設け、この補助検出手段の測定結果と弁体41の中間状態検出手段の検出結果を組み合わせて、補助検出手段による検出値が所定値以上であって、なおかつ中間状態検出手段により背圧弁40の弁体41が中間状態にあることが検出されたときにシリンダー42により背圧弁40を開ける制御を行うことにより、より高精度な充填体形成の検出が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、木質系バイオマスの糖化における加圧反応容器への原料供給に好適であるが、これに限られず他の加圧容器への原料供給の用途にも適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0038】
1…糖化反応装置、2…洗浄機、3…脱水機、4…加圧容器、10…エタノール変換装置、20…原料供給装置、30…加圧容器供給装置、40…背圧弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液分及び固形分からなる固液混合原料を、供給管路を介して加圧容器内へ連続供給するとともに、この供給管路に前記原料を気密充填してなる充填体を形成し、この充填体により供給管路の上流側圧力と下流側圧力とを遮断しつつ前記原料の供給を行う、マテリアルシール型のフィーダーと、
このフィーダーの供給管路における前記充填体の充填領域の下流側に設けられた背圧弁と、
この背圧弁の開閉駆動装置と、
を備えた加圧容器供給装置であって、
前記背圧弁の弁体が閉状態と開状態との間の中間状態にあるか否かを検出する中間状態検出手段と、
この中間状態検出手段により前記背圧弁の弁体が前記中間状態にあることが検出されたときに前記開閉駆動装置により前記背圧弁を開ける制御を行う制御装置と、
を備えたことを特徴とする加圧容器供給装置。
【請求項2】
前記中間状態検出手段は、前記背圧弁の弁体の移動力により、前記背圧弁の弁体が前記閉状態にあるときと前記中間状態にあるときとでオン/オフが切り替わる閉リミットスイッチである、請求項1記載の加圧容器供給装置。
【請求項3】
前記フィーダーは、前記充填体の充填領域に向かって次第に内径が減少するように構成された前記供給管路と、この供給管路内に管軸方向に沿って設置されたスクリューと、このスクリューを回転駆動する電動機とを備えたプラグスクリューフィーダーであり、
前記中間状態検出手段に加えて、次の(イ)〜(ハ)の少なくとも一つの補助検出手段を備えており、
(イ)前記スクリュー軸のトルクを検出するトルク検出器、
(ロ)前記スクリュー軸のスラスト力を検出するスラスト力検出器、
(ハ)前記電動機の電流を検出する電流検出器、
前記制御装置は、補助検出手段による検出値が所定値以上であって、なおかつ前記中間状態検出手段により前記背圧弁の弁体が前記中間状態にあることが検出されたときに前記開閉駆動装置により前記背圧弁を開ける制御を行うものである、
請求項1又は2記載の加圧容器供給装置。
【請求項4】
前記充填体がシール漏れしたか否かを検出するシール漏れ検出手段を備えており、
前記制御装置は、前記シール漏れ検出手段により前記充填体がシール漏れしたことが検出されたとき、前記背圧弁を閉じる制御を行うものである、請求項1記載の加圧容器供給装置。
【請求項5】
前記シール漏れ検出手段は、前記加圧容器の内圧を計測する内圧計であり、前記制御装置は、この内圧計による計測値が所定時間内に所定値以上減少したとき、前記背圧弁を閉じる制御を行うものである、請求項4記載の連続供給型反応装置。
【請求項6】
前記加圧容器は、内部温度が前記充填体の上流側の温度より高いものであり、
前記シール漏れ検出手段は、前記供給管路における前記充填体の充填領域よりも上流側に設けられた排気口の排気温度を計測する上流側排気温度計であり、この上流側排気温度計による計測値が所定温度以上に上昇したとき、前記背圧弁を閉じる制御を行うものである、請求項4又は5記載の加圧容器供給装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記充填体のシール漏れ検出により前記背圧弁を閉じたとき、その後所定時間経過するまでは前記中間状態検出手段により前記中間状態にあることが検出されたときでも前記背圧弁を閉じない制御を行うものである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の加圧容器供給装置。
【請求項8】
前記原料の固形分が木質バイオマスであり、前記加圧容器が木質バイオマスと希硫酸との加水分解反応を行う加圧反応容器であり、前記原料の液分が水である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の加圧容器供給装置。
【請求項9】
固液混合原料を、加圧容器内へ連続供給するとともに、この供給管路に前記原料の充填体を形成し、この充填体により供給管路の上流側圧力と下流側圧力とを遮断しつつ前記原料の供給を行う方法であって、
前記供給管路における前記充填体の充填領域の下流側に背圧弁を設け、
前記背圧弁の弁体が閉状態と開状態との間の中間状態にあるときに前記背圧弁を開ける、
ことを特徴とする加圧容器供給方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−245410(P2011−245410A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120299(P2010−120299)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000165273)月島機械株式会社 (253)
【Fターム(参考)】