説明

加工装置

【課題】可動部が比較的早い速度で移動中であってもチャックテーブルに保持された被加工物の撮像すべき領域を確実に撮像できる加工装置を提供する。
【解決手段】被加工物を撮像するカメラと、該カメラの撮像領域にストロボ光を照射するストロボ光源と、該位置検出部から出力される信号に基づき該ストロボ光源を駆動する制御手段とを含み、該制御手段は、被加工物の撮像すべき領域の座標が記憶された座標記憶部と、該ストロボ光源を駆動する照射指示部とを含み、該照射指示部は、該位置検出部から出力される位置信号と該座標記憶部に記憶された座標とが一致したときからストロボ光が照射されるまでの遅れ時間を(S)とし、該可動部の移動速度を(V)としたとき、該座標記憶部に記憶された座標から(VS)を減じた値と該位置検出部から出力される信号とが一致した際、該ストロボ光源を駆動する駆動信号を出力することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ、パッケージ基板等の被加工物に加工を施す切削装置、レーザ加工装置等の加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されてその表面に形成されたウエーハは、ダイシング装置(切削装置)又はレーザ加工装置によって分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割され、分割されたデバイスは携帯電話、パソコン等の電気機器に広く利用されている。
【0003】
ダイシング装置又はレーザ加工装置等の加工装置は、半導体ウエーハ等の被加工物を保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに保持された被加工物に加工を施す加工手段と、チャックテーブルに保持された被加工物を撮像する撮像手段と、チャックテーブルと加工手段とを相対的に加工送りする加工送り手段とを少なくとも備えている。
【0004】
撮像手段は、一般的に、被加工物を撮像するカメラとカメラで撮像された像を拡大する顕微鏡を含んでおり、加工すべき領域である分割予定ラインを検出して高精度に切削ブレード又はレーザ加工ヘッドを加工すべき分割予定ラインに位置付けることができる。
【0005】
従来の加工装置では、撮像手段で加工すべき分割予定ラインを検出してアライメントを遂行するために、チャックテーブルを停止して撮像手段で切削すべき領域を撮像するようにしていたため、アライメントの遂行に比較的時間がかかり、生産性が悪いという問題がある。
【0006】
そこで、本願の出願人は、光源にストロボ光を採用し、撮像手段のCCDカメラがストロボ光の照射に同期してウエーハの撮像領域を撮像するようにした撮像手段を特開2010−76053号公報で提案した。この撮像手段を具備した切削装置によると、ウエーハが未だ移動中であっても静止画像を取得することができる。
【0007】
一般に、半導体ウエーハに形成された分割予定ラインの間隔は高精度に等間隔で互いに平行に形成されており、基準となる分割予定ラインを検出して所定の間隔で割り出し送りすることにより全ての分割予定ラインを正確に切断できる。
【0008】
しかし、セラミックスチップコンデンサ基板、パッケージ基板等の被加工物では分割予定ラインの間隔は等間隔でないとともに平行でない場合が多く、全ての分割予定ラインを検出して位置情報を取得しなければ個々のデバイスに分割できないという問題がある。
【0009】
このような被加工物の分割予定ラインの検出には、上述した公開公報に開示されたストロボ光源を採用した撮像手段を利用するのが効果的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−76053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、撮像手段がチャックテーブルに保持された被加工物に対して相対的に比較的早い速度で移動中に撮像すべき領域が撮像手段のカメラの直下に至った際にストロボ光を照射して撮像すると、撮像すべき領域を僅かに通り過ぎた領域を撮像してしまい、アライメントができない場合があるという問題がある。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、撮像手段がチャックテーブルに保持された被加工物に対して相対的に比較的早い速度で移動中であっても被加工物の撮像すべき領域を確実に撮像できる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によると、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物を撮像し加工すべき領域を検出する撮像手段と、該チャックテーブルと該撮像手段とを相対的に移動する移動手段とを備えた加工装置であって、該移動手段は、パルスモータと、該パルスモータによって回転駆動されるボールねじと、該ボールねじに螺合するナットを備えた可動部と、該可動部の位置を検出する位置検出部とを含み、該撮像手段は、被加工物を撮像するカメラと、該カメラの撮像領域にストロボ光を照射するストロボ光源と、該位置検出部から出力される信号に基づき該ストロボ光源を駆動する制御手段とを含み、該チャックテーブルと該撮像手段の何れかが該可動部に配設されており、該制御手段は、該チャックテーブルに保持された被加工物の撮像すべき領域の座標が記憶された座標記憶部と、該ストロボ光源を駆動する照射指示部とを含み、該照射指示部は、該位置検出部から出力される位置信号と該座標記憶部に記憶された座標とが一致したときからストロボ光が照射されるまでの遅れ時間を(S)とし、該可動部の移動速度を(V)としたとき、該座標記憶部に記憶された座標から(VS)を減じた値と該位置検出部から出力される信号とが一致した際、該ストロボ光源を駆動する駆動信号を出力することを特徴とする加工装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、制御手段の照射指示部がストロボ光が照射されるまでの遅れ時間を勘案して撮像すべき座標位置の手前側でストロボ光源に駆動信号を出力するようにしたので、可動部が比較的早い速度で移動中であっても撮像すべき領域を確実に撮像して分割予定ラインを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明実施形態に係る切削装置の概略構成図である。
【図2】ダイシングテープを介して環状フレームに支持されたパッケージ基板の斜視図である。
【図3】分割予定ライン検出時の撮像ユニットの構成及びその作用を説明する模式図である。
【図4】分割予定ライン検出方法を説明するパッケージ基板の平面図である。
【図5】第1アライメントマーク検出時のカメラの撮像領域の模式図である。
【図6】照射指示部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明実施形態に係る切削装置2を図面を参照して詳細に説明する。図1は、切削装置2の概略構成図を示している。切削装置2は、静止基台4上に搭載されたX軸方向に伸長する一対のガイドレール6を含んでいる。
【0017】
X軸移動ブロック8は、ボール螺子10及びパルスモータ12とから構成されるX軸送り機構(X軸送り手段)14により加工送り方向、即ちX軸方向に移動される。ボール螺子10に螺合するネットを有するX軸移動ブロック8上には円筒状支持部材22を介してチャックテーブル20が搭載されている。
【0018】
チャックテーブル20は多孔性セラミックス等から形成された吸着部(吸着チャック)24を有している。チャックテーブル20には図2に示す環状フレームFをクランプする複数(本実施形態では4個)のクランプ26が配設されている。
【0019】
図2に示すように、切削装置2の切削対象となるパッケージ基板11は、矩形状の金属フレーム(金属基板)13を有している。金属フレーム13には互いに直交するように縦横に設けられた第1及び第2分割予定ライン15a,15bによって区画された複数のデバイス形成部17が画成され、個々のデバイス形成部17には図示しない複数の電極が形成されている。
【0020】
更に、各デバイス形成部17の裏面には図示しないデバイスが形成されており、各デバイスに形成された電極と金属基板13に形成された電極とは接続されている。各デバイスの裏面は樹脂で封止されている。
【0021】
パッケージ基板11は粘着テープであるダイシングテープTに貼着され、ダイシングテープTの外周部は環状フレームFに貼着されている。これにより、パッケージ基板11はダイシングテープTを介して環状フレームFに支持された状態となり、図1に示すクランプ26により環状フレームFをクランプすることにより、チャックテーブル20上に支持固定される。
【0022】
X軸送り機構14は、ガイドレール6に沿って静止基台4上に配設されたスケール16と、スケール16のX座標値を読みとるX軸移動ブロック8の下面に配設された読み取りヘッド18とを含んでいる。読み取りヘッド18は切削装置2のコントローラに接続されている。
【0023】
静止基台4上には更に、Y軸方向に伸長する一対のガイドレール28が固定されている。Y軸移動ブロック30は、ボール螺子32及びパルスモータ34とから構成されるY軸送り機構(割り出し送り機構)36によりY軸方向に移動される。Y軸移動ブロック30はボール螺子32に螺合するナットを有している。
【0024】
Y軸送り機構36は更に、ガイドレール28に沿って静止基台4上に配設された図示しないスケールと、スケールのY座標値を読み取るY軸移動ブロック30に配設された図示しない読み取りヘッドとを含んでいる。読み取りヘッドは切削装置2のコントローラに接続されている。
【0025】
Y軸移動ブロック30にはZ軸方向に伸長する一対の(一本のみ図示)ガイドレール38が形成されている。Z軸移動ブロック40は、図示しないボール螺子とパルスモータ42から構成されるZ軸送り機構44によりZ軸方向に移動される。
【0026】
46は切削ユニット(切削手段)であり、切削ユニット46のスピンドルハウジング48がZ軸移動ブロック40中に挿入されて支持されている。スピンドルハウジング48中にはスピンドルが収容されて、エアベアリングにより回転可能に支持されている。スピンドルはスピンドルハウジング48中に収容された図示しないモータにより回転駆動され、スピンドルの先端部には切削ブレード50が着脱可能に装着されている。
【0027】
スピンドルハウジング48にはアライメントユニット(アライメント手段)52が搭載されている。アライメントユニット52はチャックテーブル20に保持されたウエーハWを撮像する撮像ユニット(撮像手段)54を有している。切削ブレード50と撮像ユニット54はX軸方向に整列して配置されている。
【0028】
次に、図3を参照して、撮像ユニット54の構成について詳細に説明する。撮像ユニット54は撮像領域に対面する対物レンズ68を収容する枠体56を有しており、枠体56の先端部近傍には光透過窓59を有する隔壁58が取り付けられている。
【0029】
枠体56の先端部と、隔壁58と、チャックテーブル20に保持されたパッケージ基板11により仕切られた空間内に水充填室60が画成される。枠体56の先端56aとチャックテーブル20に保持されたパッケージ基板11との間の間隔は約0.5〜1mm程度であるのが好ましい。パッケージ基板11のカーフチェック時には、水充填室60内には開閉弁66及び水供給口62を介して水源64からの水が供給されて充填される。
【0030】
本実施形態の撮像ユニット54はストロボ光源の一種であるキセノンフラッシュ70を備えている。キセノンフラッシュ70から出射されたストロボ光の一部はビームスプリッタ72により反射されて、対物レンズ68及び光透過窓59を介してチャックテーブル20に保持されたパッケージ基板11に照射される。
【0031】
対物レンズ68の光軸上にはストロボ光で照射されたパッケージ基板11を撮像するCCDカメラ74が配設されている。CCDカメラ74で撮像された画像はモニタ76上に表示される。
【0032】
CCDカメラ74はキセノンフラッシュ70の発光に同期してチャックテーブル20に保持されたパッケージ基板11の撮像領域を撮像し、撮像された画像はモニタ76上に表示される。キセノンフラッシュ70及びCCDカメラ74は制御手段80に接続されており、制御手段80により制御される。
【0033】
以下、図4を参照して、本発明実施形態の分割予定ライン検出方法について説明する。パッケージ基板11は、金属フレーム(金属基板)13上に複数のデバイス搭載部17が形成されて構成されている。
【0034】
各デバイス搭載部17の裏面にはデバイスが搭載され、各デバイスの裏面は樹脂で封止されている。デバイス搭載部17は、第1方向に伸長する複数の第1分割予定ライン15aと、第1方向と直交する第2方向に伸長する複数の第2分割予定ライン15bとによって区画された領域に形成されている。
【0035】
パッケージ基板11は矩形状に形成されており、第一端11aと、第一端11aに対向する第二端11bと、第三端11cと、第三端11cに対向する第四端11dとを有している。
【0036】
複数の第1分割予定ライン15aの第一端11a側には、第1分割予定ライン15aと関連した複数の第1アライメントマークP1〜P5が形成されている。複数の第1分割予定ライン15aの第二端11b側には、第1分割予定ライン15aと関連した複数の第2アライメントマークP6〜P10が形成されている。
【0037】
一方、複数の第2分割予定ライン15bの第三端11c側には複数の第3アライメントマークP11〜P13が形成されている。更に、複数の第2分割予定ライン15bの第四端11d側には、複数の第4アライメントマークP14〜P16が形成されている。
【0038】
本発明の分割予定ライン検出方法では、まず、回転可能且つX軸方向に移動可能なチャックテーブル20でダイシングテープTに貼着されたパッケージ基板11を吸引保持し、X軸送り機構14を駆動して撮像ユニット54の直下にパッケージ基板11の第一端11a側を位置付ける。
【0039】
そして、撮像ユニット54を矢印Y1方向に移動しながら、第1アライメントマークP1の位置でキセノンフラッシュ70を作動してストロボ光を第1アライメントマークP1に照射して該第1アライメントマークP1を撮像することにより該第1アライメントマークP1を検出し、第1アライメントマークP1の座標値を制御手段80のメモリに格納する。
【0040】
撮像ユニット54を矢印Y1方向に移動しながら第1アライメントマークP1〜P5の間隔に対応してストロボ光を照射して、第1アライメントマークP2〜P5を順々に撮像し、第1アライメントマークP2〜P5の座標値を検出してその座標値を制御手段80のメモリに格納する。
【0041】
図5を参照すると、第1アライメントマークP2検出時の撮像ユニット54のカメラの撮像領域55の模式図が示されている。撮像領域55はX軸方向に伸長する線分57aとY軸方向に伸長する線分57bとから形成された十字マーク59を有しており、例えば第1アライメントマークP2を撮像すると、カメラの撮像領域55内に十字マーク59の中心59aからX軸方向に+8μm、Y軸方向に−10μm離れた位置に検出されたとする。
【0042】
この場合、第1アライメントマークP2の座標位置は、撮像ユニット54の中心座標位置からX軸方向に+8μm、Y軸方向に−10μm離れた位置にあると検出される。よって、この座標位置を第1アライメントマークP2の座標位置として制御手段80のメモリに格納する。
【0043】
全ての第1分割予定ライン15aについての第一端11a側の第1アライメントマークP1〜P5の検出が終了すると、チャックテーブル20をX軸方向に移動してパッケージ基板11の第二端11b側を撮像ユニット54の直下に位置付ける。
【0044】
次いで、撮像ユニット54を矢印Y1と反対方向のY2の方向に移動しながら、第2アライメントマークP10〜P6の間隔に対応してキセノンフラッシュ70を作動し、キセノンフラッシュ70からストロボ光を照射して第2アライメントマークP10〜P6を順々に撮像し、第2アライメントマークP10〜P6の座標値を検出してその座標値を制御手段80のメモリに格納する。
【0045】
このように第1アライメントマークP1〜P5の座標値をメモリに格納し、第2アライメントマークP10〜P6の座標値をメモリに格納した後、同一の第1分割予定ライン15a上の第1アライメントマークP1と第2アライメントマークP6とを結んだ直線を第1分割予定ライン15aの中心として検出する。
【0046】
Y軸方向に対応する第1アライメントマークP1〜P5と第2アライメントマークP10〜P6とを結んだ直線を第1分割予定ライン15aの中心として検出した後、これらの直線がX軸方向と平行となる様にチャックテーブル20を回転し、その時の回転角度を制御手段80のメモリに格納する。
【0047】
このチャックテーブル20の回転は、第1アライメントマークP1〜P5と第2アライメントマークP10〜P6とを結んだ直線により各第1分割予定ライン15aの中心を検出した後、全ての第1分割予定ライン15aについて実施する。これにより、全ての第1分割予定ライン15aについてのアライメントが終了する。
【0048】
第1分割予定ライン15aの検出及びアライメント終了後、チャックテーブル20を90度回転してから、第2分割予定ライン15bについても同様な操作を実行して、第2分割予定ライン15bを検出する。
【0049】
即ち、パッケージ基板11の第三端11cを撮像ユニット54の直下に位置づけ、撮像ユニット54をY軸方向に移動しながら、撮像ユニット54のストロボ光を第3アライメントマークP11〜P13の間隔に対応して照射して第3アライメントマークP11〜P13を順々に撮像し、第3アライメントマークP11〜P13の座標値を検出してその座標値を制御手段80のメモリに格納する。
【0050】
次いで、チャックテーブル20をX軸方向に移動して撮像ユニット54の直下にパッケージ基板11の第四端11dを位置付ける。そして、撮像ユニット54を第3アライメントマーク検出時と反対方向に移動しながら、第四アライメントマークP16〜P14の間隔に対応して撮像ユニット54からストロボ光を照射して第4アライメントマークP16〜P14を順々に撮像し、第4アライメントマークP16〜P14の座標値を検出してその座標値を制御手段80のメモリに格納する。
【0051】
そして、同一の第2分割予定ライン15b上の第3アライメントマークP11〜P13と第4アライメントマークP16〜P14とを結んだ直線を第2分割予定ライン15bの中心として検出する。
【0052】
第2分割予定ライン15bの中心を検出後、各第2分割予定ライン15bについて第3アライメントマークP11〜P13と第4アライメントマークP16〜P14とを結んだ直線がX軸方向と平行となる様にチャックテーブル20を回転し、この回転角を制御手段80のメモリに格納するアライメントを実施する。このアライメントは全ての第2分割予定ライン15bについて実施する。
【0053】
上述した分割予定ラインの検出方法では、撮像ユニット54を比較的早い速度で移動させながらアライメントマークP1〜P16がCCDカメラ74の直下に至った際にキセノンフラッシュ70からストロボ光を照射してアライメントマークP1〜P16を撮像している。
【0054】
即ち、Y軸送り機構14の位置検出部(読み取りヘッド)から出力される信号と予め記憶されているアライメントマークのY座標値とが一致した際にストロボ光を照射してCCDカメラ74で撮像している。
【0055】
しかし、この撮像方法であると、撮像ユニット54が比較的早い速度で移動しながらストロボ光を照射し、ストロボ光の照射に同期してCCDカメラ74で撮像しているため、撮像すべき領域を僅かに通り過ぎた領域を撮像することになり、アライメントマークが検出できない場合があるという問題がある。
【0056】
本実施形態の撮像ユニット54はこの問題を解決せんとするものであり、撮像ユニット54が比較的早い速度で移動中であっても撮像すべき領域を確実に撮像して分割予定ラインを検出できるようにしたものである。
【0057】
即ち、撮像ユニット54の制御手段80は、チャックテーブル20に保持されたパッケージ基板11の撮像すべき領域の座標、即ち第1アライメントマークP1〜P5の座標を記憶した座標記憶部82と、最適なタイミングでキセノンフラッシュ70に対して照射指示信号(駆動信号)を出力する照射指示部84を有している。
【0058】
図6のフローチャートを参照して、照射指示部84での制御方法について説明する。パッケージ基板11の第一端11a側に形成された第1アライメントマークP1〜P5を検出する場合について説明する。
【0059】
まずステップS10で、アライメントマークP1〜P5のY座標、Y1〜Y5を読み込む。次いで、ステップS11で撮像ユニット54の移動速度Vを読み込む。更に、ステップS12では、照射指示部84がキセノンフラッシュ70に対して照射指示を出してからキセノンフラッシュ70が実際に発光するまでの遅れ時間Sを読み込む。
【0060】
ステップS13では、Y軸方向に移動中の撮像ユニット54のY座標位置をY軸送り機構36の位置検出部(読み取りヘッド)により検出する。そして、ステップS14では、Y1〜Y5−VS=Yか否かを判定し、肯定判定の場合にはステップS15へ進んでキセノンフラッシュ70に対して照射指示信号(駆動信号)を出力する。
【0061】
ステップS14の判定が否定判定の場合には、ステップS13で撮像ユニット54のY座標位置の検出を続行し、ステップS14の判定が肯定判定になる度に、ステップS15でキセノンフラッシュ70に対して照射指示信号を出力する。
【0062】
このように本実施形態の撮像方法では、撮像ユニット54の移動速度V及びキセノンフラッシュ70が照射指示を受け取ってから発光するまでの遅れ時間Sを勘案して、実際の撮像領域の座標位置の手前側で照射指示部84が照射指示信号を出力するようにしたので、撮像ユニット54が比較的早い速度で移動中であっても撮像すべき領域を確実に撮像することができ、アライメントマークP1〜P5を確実に検出することができる。
【0063】
上述した撮像方法は、第2アライメントマークP10〜P6の検出、第3アライメントマークP11〜P13の検出、第4アライメントマークP16〜P14の検出時にも同様に適用される。
【0064】
更に、本実施形態の撮像方法は、撮像ユニット54を停止して、被加工物を保持したチャックテーブル20をX軸方向に移動させながら被加工物の撮像領域を撮像する場合に藻同様に適用可能である。
【0065】
この場合には、チャックテーブル20の移動速度をVとし、撮像すべき領域のX座標をX1とした場合、図6のフローチャートの判定ステップS14でX1−VS=Xかの判定が実施される。
【0066】
アライメントが終了すると、チャックテーブル20をX軸送り機構14でX軸方向に加工送りしながら高速回転する切削ブレード50を、パッケージ基板11を通してダイシングテープTまで所定量切り込ませることにより第1分割予定ライン15aを切削する。
【0067】
Y軸送り機構36をメモリに格納されたアライメントデータに基づいて駆動して、切削ブレード50で全ての第1分割予定ライン15aを切削する。次いで、チャックテーブル20を90度回転させてから、Y軸送り機構36をメモリに格納されたアライメントデータに基づいて駆動し、全ての第2分割予定ライン15bを切削して、パッケージ基板11をCSPに分割する。
【0068】
パッケージ基板11の切削途中で切削溝の状態を確認した場合、即ちカーフチェックを行いたい場合には、X軸送り機構14を駆動してチャックテーブル20に保持されたパッケージ基板11を撮像ユニット54の直下に位置付ける。
【0069】
そして、開閉弁66を開いて水充填室60内に水を供給して、パッケージ基板11に付着している切削屑及び/又は切削水を綺麗な水で洗い流す。水充填室60内に常に水を供給しながらキセノンフラッシュ70を発光してパッケージ基板11の撮像領域をストロボ光で照明する。
【0070】
キセノンフラッシュ70の発光に同期してCCDカメラ74で撮像されるため、チャックテーブル20が未だ移動中であってもCCDカメラ74で綺麗な静止画像を撮像することができる。
【0071】
CCDカメラ74の出力はモニタ76に入力され、モニタ76上には撮像した切削溝が表示される。オペレータはモニタ76上の画像を見ながら切削溝に発生するチッピング等を観察することができ、切削溝の状態を確認可能である。
【0072】
上述した実施形態では、本発明を切削装置2の撮像ユニット54に適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、レーザ加工装置等の他の加工装置の撮像ユニットにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
2 切削装置
11 パッケージ基板
14 X軸送り機構
15a 第1分割予定ライン
15b 第2分割予定ライン
17 デバイス形成部
P1〜P5 第1アライメントマーク
P6〜P10 第2アライメントマーク
P11〜P13 第3アライメントマーク
P14〜P16 第4アライメントマーク
36 Y軸送り機構
44 Z軸送り機構
46 切削ユニット
50 切削ブレード
52 アライメントユニット
54 撮像ユニット
68 対物レンズ
70 キセノンフラッシュ
74 CCDカメラ
76 モニタ
82 座標記憶部
84 照射指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物に加工を施す加工手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物を撮像し加工すべき領域を検出する撮像手段と、該チャックテーブルと該撮像手段とを相対的に移動する移動手段とを備えた加工装置であって、
該移動手段は、パルスモータと、該パルスモータによって回転駆動されるボールねじと、該ボールねじに螺合するナットを備えた可動部と、該可動部の位置を検出する位置検出部とを含み、
該撮像手段は、被加工物を撮像するカメラと、該カメラの撮像領域にストロボ光を照射するストロボ光源と、該位置検出部から出力される信号に基づき該ストロボ光源を駆動する制御手段とを含み、
該チャックテーブルと該撮像手段の何れかが該可動部に配設されており、
該制御手段は、該チャックテーブルに保持された被加工物の撮像すべき領域の座標が記憶された座標記憶部と、該ストロボ光源を駆動する照射指示部とを含み、
該照射指示部は、該位置検出部から出力される位置信号と該座標記憶部に記憶された座標とが一致したときからストロボ光が照射されるまでの遅れ時間を(S)とし、該可動部の移動速度を(V)としたとき、該座標記憶部に記憶された座標から(VS)を減じた値と該位置検出部から出力される信号とが一致した際、該ストロボ光源を駆動する駆動信号を出力することを特徴とする加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−254512(P2012−254512A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130211(P2011−130211)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】