説明

加熱制御システム、それを備えた成膜装置、および温度制御方法

【課題】複数のヒータで被加熱物を加熱するにあたり、複数のヒータ電源の特性ばらつきに依存しない加熱制御システムを実現する。
【解決手段】本発明の加熱制御システムは、被加熱物の温度を検出する熱電対6Mと、温度制御手段3Mおよび温度制御手段3S1と、電力値Wmを検出する電流・電圧検出手段5Mおよび現在電力PVs1を検出する電流・電圧検出手段5S1と、目標電力SPs1を算出する目標電力算出手段1S1とを備えている。温度制御手段3Mは、目標温度SPmおよび現在温度PVmを入力し、現在温度PVmが目標温度SPmに合うように電力を制御し、目標電力算出手段1S1は、電力値Wmを入力し、電力値Wmに所定の比率を乗じて目標電力SPs1を算出し、温度制御手段3S1は、目標電力SPs1、および現在電力PVs1を入力し、現在電力PVs1が目標電力SPs1に合うように電力を制御している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物を複数のヒータで温度制御する加熱制御システム、それを備えた成膜装置、および温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に薄膜を成膜させるプロセスの1つとして、化合物半導体結晶を成長させるMOCVD(Metal Organic Chemical Vaper Deposition)法がある。このMOCVD法は、例えば、発光ダイオード、半導体レーザー、宇宙用ソーラーパワーデバイス、及び高速デバイスの製造において、使用される。
【0003】
MOCVD法では、まず、載置台上に基板を載置し、ヒータにより基板を加熱する。そして、その基板上に、成膜に寄与する原料ガスとして、トリメチルガリウム(TMG)等の有機金属ガスとアンモニア(NH)等の水素化合物ガスとを導入することで、気相反応させ、基板上に化合物半導体結晶を成膜させる。この成膜処理において、高い面内均一性を確保するために基板の温度を均一にする、あるいはその装置に見合った適切な温度分布パターンに設定する必要がある。このため、基板の温度制御法として、例えば特許文献1に記載のように、複数のヒータを用いて温度制御を行うゾーン制御が知られている。
【0004】
図7は、上記のように複数のヒータを用いて温度制御を行うゾーン制御システムの構成を示すブロック図である。なお、図7では、メインヒータMと2つのサブヒータS1・S2との3つのヒータを用いたゾーン制御の場合を示す。
【0005】
図7に示されるように、従来の加熱制御システムは、例えばシーケンサ等といった上位の制御機器101と、温度制御手段102と、分配器103と、メインヒータMおよびサブヒータS1・S2それぞれの電源であるヒータ電源104M、104S1および104S2と、熱電対(TC)105とを備えている。
【0006】
従来の加熱制御システムでは、制御機器101より目標温度SPmが、温度制御手段102に設定される。温度制御手段102は、ヒータ近傍に設置された熱電対105の検出温度として現在温度PVmを入力する。そして、目標温度SPmと現在温度PVmとによりPID演算された制御出力MVmを出力する。制御出力MVmは一旦、分配器103に入力される。そして、分配器103から各ヒータのヒータ電源104M、104S1および104S2へ出力される。
【0007】
メインヒータM用のヒータ電源Mへは、分配器103から、温度制御手段102の出力値MVmが入力される。また、サブヒータS1およびS2用のヒータ電源S1およびS2へはそれぞれ、出力値MVs1およびMVs2が入力される。出力値MVs1およびMVs2はそれぞれ、下記式(1)および(2)のように、分配器102内部で温度制御手段102の出力値MVmに一定比率αs1およびαs2を乗じた値である。
MVs1=MVm×αs1 (1)
MVs2=MVm×αs2 (2)
このとき、ヒータ電源104S1および104S2がそれぞれ、電力制御仕様の電源であれば、サブヒータS1およびS2にはそれぞれ、メインヒータMに供給される電力に対し一定比率(αs1、αs2)の電力が供給されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−74148号公報(2009年 4月 9日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ヒータ電源の出力特性(入力信号に対する出力値の関係)に個々のばらつきがある。このため、図7に示される従来の加熱制御システムでは、実際にサブヒータS1およびS2に供給される電力比率(メインヒータMに供給される電力に対する)と設定比率(αs1、αs2)との間にずれが生じる。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みなされたものであり、その目的は、複数のヒータ電源の特性ばらつきに依存しない加熱制御システム、それを備えた成膜装置、および温度制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の加熱制御システムは、上記の課題を解決するために、被加熱物を加熱するためのメインヒータおよびサブヒータと、前記メインヒータに電力を供給するメインヒータ電源、および前記サブヒータに電力を供給するサブヒータ電源とを備え、メインヒータは、被加熱物の温度が目標温度になるように温度制御され、サブヒータは、メインヒータに供給される第1電力とサブヒータに供給される第2電力とが所定の比率になるように電力制御される加熱制御システムであって、被加熱物の温度を検出する温度検出手段と、メインヒータ用温度制御手段およびサブヒータ用温度制御手段と、前記第1電力を検出するメインヒータ用電力検出手段、および前記第2電力を検出するサブヒータ用電力検出手段と、前記第2電力の目標値を算出する目標電力算出手段とを備え、前記メインヒータ用温度制御手段は、目標温度の設定値、および前記温度検出手段の温度検出値を入力し、該温度検出値が目標温度の設定値に合うように、前記第1電力を制御し、前記目標電力算出手段は、前記メインヒータ用電力検出手段にて検出される第1電力検出値を入力し、該第1電力検出値に所定の比率を乗じて前記第2電力の目標値を算出し、前記サブヒータ用温度制御手段は、前記第2電力の目標値、およびサブヒータ用電力検出手段にて検出される第2電力検出値を入力し、該第2電力検出値が前記第2電力の目標値に合うように、第2電力を制御することを特徴としている。
【0012】
本発明の加熱制御システムは、被加熱物を加熱するためのメインヒータおよびサブヒータと、前記メインヒータに電力を供給するメインヒータ電源、および前記サブヒータに電力を供給するサブヒータ電源とを備え、メインヒータは、被加熱物の温度が目標温度になるように温度制御され、サブヒータは、メインヒータに供給される第1電力とサブヒータに供給される第2電力とが所定の比率になるように電力制御される加熱制御、すなわちゾーン制御を行うシステムである。
【0013】
上記の構成によれば、前記メインヒータ用温度制御手段は、目標温度の設定値、および前記温度検出手段の温度検出値を入力し、該温度検出値が目標温度の設定値に合うように、前記第1電力を制御している。一方、前記サブヒータ用温度制御手段は、前記第2電力の目標値、およびサブヒータ用電力検出手段にて検出される第2電力検出値を入力し、該第2電力検出値が前記目標電力値に合うように、第2電力を制御している。このとき、サブヒータの第2電力の目標値は、前記目標電力算出手段により算出される。そして、前記目標電力算出手段は、メインヒータ用電力検出手段にて検出される第1電力検出値を入力し、該第1電力検出値に所定の比率を乗じて前記第2電力の目標値を算出する。
【0014】
このようにサブヒータ用温度制御手段がサブヒータ用電力検出手段にて検出される第2電力検出値をフィードバックして電力制御を行うので、サブヒータ電源の出力仕様に左右されず、出力特性のばらつきを無視することができる。さらに、目標電力算出手段は、メインヒータ用電力検出手段にて検出される第1電力検出値、すなわち、実際にメインヒータに供給される第1電力を元に第2電力の目標値を算出するので、実際にメインヒータに供給される第1電力と実際にサブヒータに供給される第2電力との比率と、設定された所定の比率とのずれをなくすことができる。それゆえ、上記の構成によれば、第1電力と第2電力との比率を常に一定な状態にすることができる。
【0015】
以上のように、上記の構成によれば、複数のヒータ電源の特性ばらつきに依存しない加熱制御システムを実現することが可能になる。
【0016】
また、本発明の加熱制御システムにおいて、前記目標電力算出手段は、前記温度検出値と前記所定の比率との関係を示すテーブルを保持しており、入力される温度検出値と前記テーブルとを照合して前記所定の比率を決定することが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、前記目標電力算出手段は、前記温度検出値と前記所定の比率との関係を示すテーブルを保持しており、入力される温度検出値と前記テーブルとを照合して前記所定の比率を決定するので、温度検出値に応じて第1電力と第2電力との比率を変化させることができる。これにより、温度検出手段にて検出される温度検出値における低温域から高温域に至る全温度域にわたって、適切な温度分布の加熱制御を実現することができる。
【0018】
また、本発明の加熱制御システムにおいて、前記目標電力算出手段は、前記サブヒータ用温度制御手段の内部に備えられていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、内部に第2電力の目標値を演算する機能を有するサブヒータ用温度制御手段を用いることにより、サブヒータ用温度制御手段のみで温度制御処理を行うことができる。それゆえ、上記の構成によれば、例えばPLC等の制御機器により第2電力の目標値を算出する場合と比較して、制御機器の処理時間に依存しない温度制御ループを構築することができる。
【0020】
本発明の成膜装置は、上記の課題を解決するために、上述の加熱制御システムを備えたことを特徴としている。
【0021】
上述の加熱制御システムを成膜装置に使用することにより、ヒータ交換時やヒータ抵抗の経時変化に対しても基板温度分布の再現性が確保される。よって、安定した特性の化合物半導体結晶を成膜させることができる。
【0022】
また、本発明の温度制御方法は、上記の課題を解決するために、メインヒータおよびサブヒータを用いて被加熱物を加熱するときに、メインヒータに供給される第1電力およびサブヒータに供給される第2電力が所定の比率になるように電力制御し、被加熱物の温度が目標温度になるように温度制御を行う温度制御方法であって、被加熱物の温度を検出する温度検出工程と、前記温度検出工程にて検出された被加熱物の温度検出値が目標温度の設定値に合うように、前記第1電力を制御するメインヒータ温度制御工程と、メインヒータに供給される第1電力を検出し、検出された第1電力検出値に所定の比率を乗じて前記第2電力の目標値を算出する目標電力算出工程と、サブヒータに供給される第2電力を検出し、検出された第2電力検出値が前記第2電力の目標値に合うように、前記第2電力を制御するサブヒータ電力制御工程と、を含むことを特徴としている。
【0023】
これにより、複数のヒータ電源の特性ばらつきに依存しない温度制御方法を実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の加熱制御システムは、以上のように、被加熱物を加熱するためのメインヒータおよびサブヒータと、前記メインヒータに電力を供給するメインヒータ電源、および前記サブヒータに電力を供給するサブヒータ電源とを備え、メインヒータは、被加熱物の温度が目標温度になるように温度制御され、サブヒータは、メインヒータに供給される第1電力とサブヒータに供給される第2電力とが所定の比率になるように電力制御される加熱制御システムであって、被加熱物の温度を検出する温度検出手段と、メインヒータ用温度制御手段およびサブヒータ用温度制御手段と、前記第1電力を検出するメインヒータ用電力検出手段、および前記第2電力を検出するサブヒータ用電力検出手段と、前記第2電力の目標値を算出する目標電力算出手段とを備え、前記メインヒータ用温度制御手段は、目標温度の設定値、および前記温度検出手段の温度検出値を入力し、該温度検出値が目標温度の設定値に合うように、前記第1電力を制御し、前記目標電力算出手段は、前記メインヒータ用電力検出手段にて検出される第1電力検出値を入力し、該第1電力検出値に所定の比率を乗じて前記第2電力の目標値を算出し、前記サブヒータ用温度制御手段は、前記第2電力の目標値、およびサブヒータ用電力検出手段にて検出される第2電力検出値を入力し、該第2電力検出値が前記第2電力の目標値に合うように、第2電力を制御する構成である。
【0025】
また、本発明の成膜装置は、以上のように、上記加熱制御システムを備えた構成である。
【0026】
また、本発明の温度制御方法は、以上のように、メインヒータおよびサブヒータを用いて被加熱物を加熱するときに、メインヒータについて、被加熱物の温度が目標温度になるように温度制御し、サブヒータについて、メインヒータに供給される第1電力およびサブヒータに供給される第2電力が所定の比率になるように電力制御する温度制御方法であって、被加熱物の温度を検出する温度検出工程と、前記温度検出工程にて検出された被加熱物の温度検出値が目標温度の設定値に合うように、前記第1電力を制御するメインヒータ温度制御工程と、メインヒータに供給される第1電力を検出し、検出された第1電力検出値に所定の比率を乗じて前記第2電力の目標値を算出する目標電力算出工程と、サブヒータに供給される第2電力を検出し、検出された第2電力検出値が前記第2電力の目標値に合うように、前記第2電力を制御するサブヒータ電力制御工程と、を含む構成である。
【0027】
それゆえ、複数のヒータ電源の特性ばらつきに依存しない加熱制御システムを実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の一形態の加熱制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】メインヒータおよびサブヒータにおける制御信号の関係を示し、(a)はメインヒータの温度制御手段の入出力信号を説明する模式図であり、(b)はサブヒータの温度制御手段の入出力信号を説明する模式図であり、(c)はメインヒータおよびサブヒータについて、温度制御手段に入力される信号および出力信号を示した表である。
【図3】本発明の実施の他の形態の加熱制御システムの構成を示すブロック図である。
【図4】目標電力算出手段が保持するテーブルを示し、(a)は、テーブルに記憶されている現在温度と所定の比率との対応関係を示す表であり、(b)は、現在温度と所定の比率との対応関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施のさらに他の形態の加熱制御システムの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施のさらに他の形態の加熱制御システムの構成を示すブロック図である。
【図7】従来の加熱制御システムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の一形態の加熱制御システムを適用した成膜装置の一例であるMOCVD装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施の形態1)
本発明の実施の一形態について、図1および図2に基づいて、以下に説明する。図1は、本実施形態の加熱制御システム(以下、本加熱制御システムと記す)の構成を示すブロック図である。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分又は相当部分を表わすものとする。
【0030】
本加熱制御システムとして、メインヒータMおよび2つのサブヒータS1およびS2を用いて、3ゾーンの温度制御を行う加熱制御システムを例に挙げて説明する。なお、本実施形態の加熱制御システムに用いられる複数のヒータは、上記の例に限定されず、メインヒータとサブヒータとを含んでいればよい。
【0031】
図1に示されるように、本加熱制御システムは、制御機器1と、メインヒータM用の電源を制御するメインヒータ電源制御系2Mと、サブヒータS1用の電源を制御するサブヒータ電源制御系2S1と、サブヒータS2用の電源を制御するサブヒータ電源制御系2S2とを備えている。
【0032】
制御機器1は、その内部に、サブヒータS1・S2のための目標電力算出手段1S1・1S2を備えている。このような制御機器1としては、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)といった制御装置が挙げられる。
【0033】
メインヒータ電源制御系2Mは、温度制御手段3M(メインヒータ用温度制御手段)と、メインヒータM用の電源であるメインヒータ電源4Mと、メインヒータ電源4Mから出力される電流値および電圧値を検出する電流・電圧検出手段5M(メインヒータ用電力検出手段)と、メインヒータMと、メインヒータM近傍に設置された熱電対(TC)6M(温度検出手段)とを備えている。
【0034】
また、サブヒータ電源制御系2S1は、温度制御手段3S1(サブヒータ用温度制御手段)と、サブヒータS1用の電源であるサブヒータ電源4S1と、サブヒータ電源4S1から出力される電流値および電圧値を検出する電流・電圧検出手段5S1(サブヒータ用電力検出手段)と、サブヒータS1とを備えている。また、サブヒータ電源制御系2S2は、温度制御手段3S2(サブヒータ用温度制御手段)と、サブヒータS2用の電源であるサブヒータ電源4S2と、サブヒータ電源4S2から出力される電流値および電圧値を検出する電流・電圧検出手段5S2(サブヒータ用電力検出手段)と、サブヒータS2とを備えている。
【0035】
次に、加熱制御システムによる本実施形態の温度制御方法(以下、本温度制御方法と記す)について説明する。本温度制御方法は、メインヒータMについて、熱電対6Mの検出温度が目標温度となるように温度制御し、サブヒータS1・S2について、メインヒータMに供給される電力値WmおよびサブヒータS1・S2に供給される現在電力PVs1・PVs2が所定の比率になるように電力制御し、被加熱物の温度が目標温度SPmになるように温度制御を行うための方法である。本温度制御方法は、熱電対6Mにより被加熱物の温度を検出する温度検出工程と、メインヒータ温度制御工程と、目標電力算出工程と、サブヒータ電力制御工程とを含む。
【0036】
メインヒータ温度制御工程では、メインヒータMの電源制御により、熱電対6Mの検出温度が目標温度SPmになるように現在温度PVmを制御する。まず、制御機器1より、メインヒータ電源制御系2Mの温度制御手段3Mに目標温度SPmが設定される。また、温度制御手段3Mは、メインヒータMの近傍に設置された熱電対6Mの検出温度を現在温度PVmとして入力する。温度制御手段3Mは、入力された目標温度SPmおよび現在温度PVmを元に、PID演算により、メインヒータ電源4Mに出力する制御出力MVmを算出する。メインヒータ電源4Mは、制御出力MVmを入力すると、該制御出力MVmに対応する電流・電圧をメインヒータMへ供給する。メインヒータ電源制御系2Mにおいては、メインヒータMへ供給する電流値および電圧値は、電流・電圧検出手段5Mにより検出される。電流・電圧検出手段5Mにより検出された電流値Imおよび電圧値Vm(電力値Wm=Im×Vm)は、制御機器1に入力される。
【0037】
サブヒータ電力制御工程では、サブヒータS1・S2に供給される現在電力PVs1・PVs2を検出し、サブヒータS1・S2の電源制御により、現在電力PVs1・PVs2が目標電力SPs1・SPs2に合うように電力制御する。サブヒータS1の電力制御方法は、サブヒータS2の電力制御方法と基本的に同じである。ここでは、サブヒータS1の電力制御方法について、説明する。
【0038】
まず、制御機器1より、サブヒータ電源制御系2S1の温度制御手段3S1に目標電力SPs1が設定される。また、温度制御手段3S1は、サブヒータS1へ供給される電力を現在電力PVs1として入力する。なお、現在電力PVs1は、電流・電圧検出手段5S1により検出される。温度制御手段3S1は、入力する目標電力SPs1および現在電力PVs1を元に、PID演算により、サブヒータ電源4S1に出力する制御出力MVs1を算出する。サブヒータ電源4S1は、制御出力MVs1を入力すると、該制御出力MVs1に対応する電流・電圧をサブヒータS1へ供給する。
【0039】
ここで、サブヒータS1・S2の目標電力SPs1・SPs2は、目標電力算出工程にて、制御機器1内部の目標電力算出手段1S1・1S2により算出される。目標電力算出工程では、メインヒータMに供給される電力値Wmを検出し、電力値Wmに所定の比率を乗じて目標電力SPs1・SPs2を算出する。
【0040】
目標電力算出手段1S1は、電流・電圧検出手段5Mにより検出された電力値Wmを入力する。目標電力算出手段1S1は、電力値Wm(メインヒータMの電力値)に対するサブヒータS1の電力値の比率αs1を保持しており、電力値Wmに比率αs1を乗じて目標電力SPs1を算出する。目標電力SPs1は、下記式(3)として表わされる。
SPs1=Wm×αs1 (3)
また、目標電力算出手段1S2は、目標電力算出手段1S1と同様に、電流・電圧検出手段5Mにより検出された電力値Wmを入力する。目標電力算出手段1S2は、電力値Wm(メインヒータMの電力値)に対するサブヒータS2の電力値の比率αs2を保持しており、電力値Wmに比率αs2を乗じて目標電力SPs2を算出する。目標電力SPs2は、下記式(4)として表わされる。
SPs2=Wm×αs2 (4)
図2は、メインヒータMおよびサブヒータS1・S2における制御信号の関係を示し、図2(a)はメインヒータMの制御信号を出力する温度制御手段3Mの入出力信号を説明する模式図であり、図2(b)はサブヒータS1(S2)の制御信号を出力する温度制御手段3S1(3S2)の入出力信号を説明する模式図であり、図2(c)はメインヒータMおよびサブヒータS1について、温度制御手段に入力される信号および出力信号を示した表である。なお、図2(a)〜(c)では、メインヒータMおよびサブヒータS1について、制御器または目標電力算出手段から温度制御手段に入力される入力信号を「SP」、温度制御手段にフィードバックして入力される入力信号を「PV」、温度制御手段の出力信号を「MV」として、標記を統一している。
【0041】
図2(a)および(c)に示されるように、メインヒータ電源制御系2Mの温度制御手段3Mには、信号SPとして目標温度の値が入力され、フィードバック信号PVとしてメインヒータM近傍に設置された熱電対6Mの検出温度の値(現在温度)が入力される。
【0042】
また、図2(b)および(c)に示されるように、サブヒータ電源制御系2S1(2S2)の温度制御手段3S1(3S2)には、信号SPとして目標電力の値が入力され、フィードバック信号PVとして電流・電圧検出手段5S1(5S2)にて検出された電流・電圧の値(現在電力)が入力される。
【0043】
このように、本加熱制御システムにおいては、メインヒータ電源制御系2Mは、メインヒータM近傍に設置された熱電対6Mの検出温度を温度制御手段3Mへフィードバックして温度制御を行う。また、サブヒータ電源制御系2S1・2S2はそれぞれ、電流・電圧検出手段5S1・5S2の検出電力をフィードバックして電力制御を行うので、サブヒータ電源S1・S2の出力仕様に左右されず、出力特性のばらつきを無視することができる。
【0044】
また、本加熱制御システムによれば、メインヒータMの電力値は、電圧・電流検出手段5Mにより検出され、制御器1に入力される構成になっている。そして、制御器1に入力されたメインヒータMの電力値に基づいてサブヒータS1・S2それぞれの目標電力が設定される。サブヒータS1・S2それぞれの目標電力は、メインヒータMの電力値の変動に応じて、設定比率αs1・αs2で設定されることになる。このように各サブヒータの目標電力がメインヒータの電力の一定比率で算出されることより、メインヒータと各サブヒータとの電力比率は、設定比率αs1・αs2とずれが生じず、常に一定に制御される。
【0045】
また、メインヒータMおよびサブヒータS1・S2の各ヒータの抵抗値の劣化は、使用環境や個々のヒータで異なる。このため、従来の加熱制御システムでは、各ゾーンにおけるヒータの抵抗値の径時変化が同じ割合にならず、PID制御におけるP値、I値、D値等の初期設定した制御調整値が合わなくなる。その結果、温度安定性が悪くなるという問題が生じる。
【0046】
本加熱制御システムによれば、メインヒータ電源制御系2M、およびサブヒータ電源制御系2S1・2S2にそれぞれ、PID制御を行う温度制御手段(3M、3S1、3S2)が備えられている。それゆえ、メインヒータMおよびサブヒータS1・S2の各ヒータの抵抗値の経時変化により抵抗値のバランスが変わった場合でも、温度制御手段3M・3S1・3S2について、制御パラメータ(P値、I値、D値)を個別に調整することで、温度制御性を安定に維持して被加熱物の面内温度分布のばらつきを抑えることができる。
【0047】
(実施の形態2)
本発明の実施の他の形態について、図3に基づいて以下に説明する。図3は、本実施形態の加熱制御システム(以下、本加熱制御システムと記す)の構成を示すブロック図である。
【0048】
図3に示されるように、本加熱制御システムは、制御器1にメインヒータM近傍に設置された熱電対6Mの検出温度の値が入力される構成になっている。制御器1は、入力された検出温度の値を、現在温度PVmとして温度制御手段3Mへ出力する。温度制御手段3Mは、入力された目標温度SPmおよび現在温度PVmを元に、PID演算により、メインヒータ電源4Mに出力する制御出力MVmを算出する。
【0049】
また、本加熱制御システムでは、目標電力算出手段1S1・1S2は、熱電対6Mの検出温度の値(現在温度PVm)と比率αs1・αs2との関係を示すテーブルTを保持している。目標電力算出手段1S1は、制御器1に検出温度の値(現在温度)が入力されると、この検出温度の値とテーブルTとを照合し、現在温度に対応する比率αs1を決定する。そして、入力されるメインヒータMの電力値Wmに比率αs1を乗じて、目標電力SPs1を算出する。また、目標電力算出手段1S2は、目標電力算出手段1S1と同様に、制御器1に検出温度の値(現在温度)が入力されると、この検出温度の値とテーブルTとを照合し、現在温度に対応する比率αs2を決定する。そして、入力されるメインヒータMの電力値Wmに比率αs2を乗じて、目標電力SPs2を算出する。
【0050】
次に、目標電力算出手段1S1・1S2が保持するテーブルTについて、具体的に説明する。図4は、目標電力算出手段1S1・1S2が保持するテーブルTを示し、図4(a)は、テーブルTに記憶されている現在温度PVmと比率αs1およびαs2との対応関係を示す表であり、図4(b)は、現在温度PVmと比率αs1およびαs2との対応関係を示すグラフである。
【0051】
図4(a)(b)に示されるテーブルTにおいて、例えば現在温度PVmが300℃である場合、目標電力算出手段1S1は、比率αs1=0.16と決定し、目標電力算出手段1S2は、比率αs2=0.23と決定する。そして、この決定された比率αs1・αs2を電力値Wmに乗じて目標電力SPs1・SPs2が算出される。すなわち、本加熱制御システムにおいては、メインヒータMの電力値Wmに対するサブヒータS1・S2の電力値の比率はそれぞれ、現在温度PVmの関数(αs1(PVm)、αs2(PVm)とする)として表わされる。よって、目標電力SPs1は、下記式(5)のような、PVmの関数として定義される。
SPs1=Wm×αs1(PVm) (5)
また、目標電力SPs2は、目標電力SPs1と同様に、下記式(6)のような、PVmの関数として定義される。
SPs2=Wm×αs2(PVm) (6)
このようにメインヒータMの電力値Wmに対するサブヒータS1・S2の電力値の比率が、現在温度PVmの関数として表わされるので、熱電対6Mの検出温度の温度域に合わせて、サブヒータS1・S2の電力値の比率を調整することが可能になる。それゆえ、本加熱制御システムによれば、熱電対6Mで検出される全温度域において、3ゾーンを同じ温度分布に調整することが可能になる。
【0052】
(実施の形態3)
本発明の実施のさらに他の形態について、図5に基づいて以下に説明する。図5は、本実施形態の加熱制御システム(以下、本加熱制御システムと記す)の構成を示すブロック図である。
【0053】
図5に示されるように、本加熱制御システムは、温度制御手段3S1・3S2内部に目標電力算出手段1S1・1S2を備えた構成になっている。このような温度制御手段3S1・3S2としては、例えば山武(株)製のDMC50等のようなプログラマブルな調温器を使用することができる。
【0054】
本加熱制御システムでは、サブヒータ電源制御系2S1の温度制御手段3S1に、メインヒータの電力値Wm、およびサブヒータS1へ供給されている現在電力PVs1が入力される。目標電力算出手段1S1は、比率αs1を保持している。温度制御手段3S1にメインヒータMの電力値Wmが入力されると、目標電力算出手段1S1は、電力値Wmに比率αs1を乗じてサブヒータS1の目標電力を算出する。温度制御手段3S1は、内部の目標電力算出手段1S1により算出された目標電力、および現在電力PVs1を元に、PID演算により、サブヒータ電源4S1に出力する制御出力MVs1を算出する。
【0055】
このように、本加熱制御システムにおいては、サブヒータS1の目標電力は、制御機器1内部でなく、温度制御手段3S1内部で算出される。それゆえ、サブヒータS1の電源制御は、制御機器1を介さずに行われるので、制御機器1の処理時間に依存することなく、サブヒータS1の温度制御処理を実行することが可能になる。また、加熱するゾーン数を増やす(サブヒータの数を増やす等)場合には、制御機器1のプログラム変更なしに対応することが可能になる。したがって、本加熱制御システムによれば、温度制御処理時間の短縮が可能になる。
【0056】
(実施の形態4)
本発明の実施のさらに他の形態について、図6に基づいて以下に説明する。図6は、本実施形態の加熱制御システム(以下、本加熱制御システムと記す)の構成を示すブロック図である。
【0057】
図6に示されるように、本加熱制御システムは、温度制御手段3S1・3S2内部に目標電力算出手段1S1・1S2を備え、かつ、メインヒータM近傍に設置された熱電対6Mの検出温度の値(現在温度PVm)が温度制御手段3S1・3S2に入力される構成になっている。
【0058】
温度制御手段3S1・3S2内部の目標電力算出手段1S1・1S2は、熱電対6Mの検出温度の値(現在温度PVm)と比率αs1・αs2との関係を示すテーブルTを保持している。目標電力算出手段1S1は、温度制御手段3S1に検出温度の値(現在温度)が入力されると、この検出温度の値とテーブルTとを照合し、現在温度に対応する比率αs1を決定する。そして、入力されるメインヒータMの電力値Wmに比率αs1を乗じて、サブヒータS1の目標電力を算出する。また、目標電力算出手段1S2は、目標電力算出手段1S1と同様に、温度制御手段3S2に検出温度の値(現在温度)が入力されると、この検出温度の値とテーブルTとを照合し、現在温度に対応する比率αs2を決定する。そして、入力されるメインヒータMの電力値Wmに比率αs2を乗じて、サブヒータS2の目標電力を算出する。
【0059】
温度制御手段3S1は、内部の目標電力算出手段1S1により算出された目標電力、および現在電力PVs1を元に、PID演算により、サブヒータ電源4S1に出力する制御出力MVs1を算出する。また、温度制御手段3S2は、内部の目標電力算出手段1S2により算出された目標電力、および現在電力PVs2を元に、PID演算により、サブヒータ電源4S2に出力する制御出力MVs1を算出する。
【0060】
本加熱制御システムによれば、サブヒータS1・S2の目標電力は、制御機器1内部でなく、温度制御手段3S1・3S2内部で算出される。それゆえ、サブヒータS1・S2の電源制御は、制御機器1を介さずに行われるので、制御機器1の処理時間に依存することなく、サブヒータS1・S2の温度制御処理を実行することが可能になる。また、加熱するゾーン数を増やす(サブヒータの数を増やす等)場合には、制御機器1のプログラム変更なしに対応することが可能になる。
【0061】
さらには、目標電力算出手段1S1・1S2は、熱電対6Mの検出温度の値(現在温度PVm)と比率αs1・αs2との関係を示すテーブルTを保持しているので、熱電対6Mで検出される全温度域において、3ゾーンを同じ温度分布に調整することが可能になる。
【0062】
(成膜装置)
上述した本加熱制御システムは、基板に薄膜を成膜させる成膜装置に適用することができる。本加熱制御システムを適用し得る成膜装置は、MOCVD法により化合物半導体結晶を成長させるMOCVD装置が好適である。本加熱制御システムを適用し得るMOCVD装置は、基板をゾーン加熱する従来公知の装置であればよい。
【0063】
図8は、本加熱制御システムを適用した成膜装置の一例であるMOCVD装置の概略構成を示す断面図である。
【0064】
MOCVD装置100は、図8に示されるように、内部を大気側と隔離して気密状態を保持する成長室としての反応室11を有する反応炉10と、反応室11内に設けられ複数の被処理基板12を載置する基板保持部材13と、基板保持部材13と対向する位置に設けられ、被処理基板12に向けて複数の原料ガスを供給するガス供給部20とを備えている。
【0065】
基板保持部材13は、回転伝達部材14の一端に備え付けられており、回転伝達部材14は、図示しない回転機構によって、自転可能となっている。また、基板保持部材13の下側には、基板加熱ヒータ15が設けられている。
【0066】
MOCVD装置100にて被処理基板12の主表面に薄膜を形成するときは、原料ガスをガス供給部20から反応室11へ導入する。このとき基板加熱ヒータ15により、基板保持部材13を介して被処理基板12が加熱され、被処理基板12上での成膜化学反応が促進されることにより、被処理基板12上に薄膜が形成される。被処理基板12上を通過したガスは、ガス排出口11aより排出される。また、反応炉11の上側に設けられたガス供給部20は、略円筒形状になっている。
【0067】
また、基板加熱ヒータ15は、メインヒータM、サブヒータS1、およびサブヒータS2を備えている。メインヒータM、サブヒータS1、およびサブヒータS2はともに、回転伝達部材14を軸とした同心円形状になっており、回転伝達部材14から外側へこの順に設けられている。
【0068】
MOCVD装置100においては、被処理基板12の温度を均一にするためにメインヒータM、サブヒータS1、およびサブヒータS2によりゾーン制御が行われる。このゾーン制御のために、本実施形態の加熱制御システムが適用される。
【0069】
本発明の加熱制御システムは、以下の構成を特徴としていると換言することができる。
すなわち、被加熱物を加熱するメインヒータと複数のサブヒータ、各ヒータに電力を供給するヒータ電源、各ヒータ電源を制御する温度制御手段、複数のヒータへ供給される電流、電圧を検出する電流・電圧検出手段、被加熱物の近傍に位置する温度検出手段、及び、各サブヒータの目標電力を算出する目標電力算出手段を備え、前記メインヒータを前記温度検出手段の温度検出値に基づいて、目標温度に制御するとともに、各サブヒータは、メインヒータへ供給される電流・電圧の検出値と予め定められた比率から目標電力算出手段により算出される目標電力値に、各サブヒータへ供給される電流・電圧値(電力値)を制御することを特徴としていると換言することができる。また、上記の構成において、各サブヒータの目標電力値を算出する比率は、現在温度により可変できることが好ましい。また、上記の構成において、前記温度制御手段は、内部に目標電力算出手段を含むが好ましい。
【0070】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、成膜装置などといった、被加熱物を複数のヒータで加熱する装置において、温度制御する場合に利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 制御機器
1S1,1S2 目標電力算出手段
2M メインヒータ電源制御系
3M 温度制御手段(メインヒータ用温度制御手段)
4M メインヒータ電源
5M 電流・電圧検出手段(メインヒータ用電力検出手段)
6M 熱電対(温度検出手段)
2S1,2S2 サブヒータ電源制御系
3S1,3S2 温度制御手段(サブヒータ用温度制御手段)
4S1,4S2 サブヒータ電源
5S1,5S2 電流・電圧検出手段(サブヒータ用電力検出手段)
SPm 目標温度(目標温度の設定値)
PVm 現在温度(温度検出値)
Wm 電力値(第1電力検出値)
SPs1,SPs2 目標電力(第2電力の目標値)
PVs1,PVs2 現在電力(第2電力検出値)
T テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱するためのメインヒータおよびサブヒータと、
前記メインヒータに電力を供給するメインヒータ電源、および前記サブヒータに電力を供給するサブヒータ電源とを備え、メインヒータは、被加熱物の温度が目標温度になるように温度制御され、サブヒータは、メインヒータに供給される第1電力とサブヒータに供給される第2電力とが所定の比率になるように電力制御される加熱制御システムであって、
被加熱物の温度を検出する温度検出手段と、
メインヒータ用温度制御手段およびサブヒータ用温度制御手段と、
前記第1電力を検出するメインヒータ用電力検出手段、および前記第2電力を検出するサブヒータ用電力検出手段と、
前記第2電力の目標値を算出する目標電力算出手段とを備え、
前記メインヒータ用温度制御手段は、目標温度の設定値、および前記温度検出手段の温度検出値を入力し、該温度検出値が目標温度の設定値に合うように、前記第1電力を制御し、
前記目標電力算出手段は、前記メインヒータ用電力検出手段にて検出される第1電力検出値を入力し、該第1電力検出値に所定の比率を乗じて前記第2電力の目標値を算出し、
前記サブヒータ用温度制御手段は、前記第2電力の目標値、およびサブヒータ用電力検出手段にて検出される第2電力検出値を入力し、該第2電力検出値が前記第2電力の目標値に合うように、第2電力を制御することを特徴とする加熱制御システム。
【請求項2】
前記目標電力算出手段は、前記温度検出値と前記所定の比率との関係を示すテーブルを保持しており、入力される温度検出値と前記テーブルとを照合して前記所定の比率を決定することを特徴とする請求項1に記載の加熱制御システム。
【請求項3】
前記目標電力算出手段は、前記サブヒータ用温度制御手段の内部に備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱制御システム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の加熱制御システムを備えたことを特徴とする成膜装置。
【請求項5】
メインヒータおよびサブヒータを用いて被加熱物を加熱するときに、メインヒータについて、被加熱物の温度が目標温度になるように温度制御し、サブヒータについて、メインヒータに供給される第1電力およびサブヒータに供給される第2電力が所定の比率になるように電力制御する温度制御方法であって、
被加熱物の温度を検出する温度検出工程と、
前記温度検出工程にて検出された被加熱物の温度検出値が目標温度の設定値に合うように、前記第1電力を制御するメインヒータ温度制御工程と、
メインヒータに供給される第1電力を検出し、検出された第1電力検出値に所定の比率を乗じて前記第2電力の目標値を算出する目標電力算出工程と、
サブヒータに供給される第2電力を検出し、検出された第2電力検出値が前記第2電力の目標値に合うように、前記第2電力を制御するサブヒータ電力制御工程と、を含むことを特徴とする温度制御方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−222703(P2011−222703A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89545(P2010−89545)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】