説明

加熱装置及び加熱装置を組み込んだ携帯食品用容器。

【課題】化学発熱剤を、発熱用トレーに水パックと一緒に収容し、水パックと保護シートを同時に開裂する加熱装置において、水袋が開裂後、水と発熱剤との発熱反応が進行中に発熱剤パックが移動しないような構造にし、蒸気の発生状態を安定にする。
【解決手段】繊維質材料を漉造して製造した板紙で開口部9を有する発熱剤パック固定板3を製造し、不織布製袋に、粉体アルミニウムと粉体生石灰からなる発熱剤を充填した発熱剤パック4の下半分7を、開口部9に嵌入し、ポリエチレン製フィルムに水を充填した水パック5を発熱剤パック4に重合し、発熱剤パック固定板3の端部10に固定したティアーテープ7を水パック5と発熱剤パック4の間を通し、水パック5の下方端部に形成した水パック開裂用突起12と、発熱剤パック固定板3の他方の端部13を、ティアーテープ7を介して接着し、ティアーテープ7の残余の部分を、発熱用トレー2の上端縁部から突出させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱装置及び加熱装置を組み込んだ携帯食品用容器に関し、特に、駅弁等調理済み食品を、場所、時間を選ばず、随時加熱、保温することができる携帯食品用加熱装置及び加熱装置を組み込んだ携帯食品用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非常食若しくは日本酒等、液状食品或いは調理済み食品を加熱機能付き容器に封入し、場所や、時間を選ばず、随時加熱、保温することができる簡便な携帯食品の需要が増えてきている。
【0003】
携帯食品用容器には、各種の形状、容量のものがあるが、小さいものでは、日本酒の燗、大きなものでは駅弁がある。前者は、約200cm3、後者は、約2000cm3である。加温食品の内容にもよるが、たとえば、駅弁の場合、御飯とおかずの両方を適度に加熱するには、90℃近傍、好ましくは、90℃以上、100℃以下に加熱しなければならない。さらに、加熱調理容器自体の材料の熱容量は小さいので、加熱調理容器に保温効果を期待することはできない。従って、加熱装置に使用する発熱剤自体に、発熱反応を起こして最高温度に到達し、少なくとも室温にまで降下するまでの時間、即ち温度保持時間を最大限にする機能を持たせることが必要である。
【0004】
化学物質の発熱反応を利用したものが各種提案されている。代表的なものは、従来から酸化カルシウム(生石灰)と水との水和反応を利用するタイプの発熱剤が使用されている。
【0005】
特許文献1は、酸化カルシウムと水との水和反応を利用する発熱剤を利用した加熱容器を開示している。この加熱容器は、厚紙で製造した台紙の上に、ポリエチレン等合成樹脂製フィルムで製造した非透水性の袋に生石灰を充填した発熱袋と、ポリエチレン等合成樹脂製フィルムで製造した非透水性の袋に水を充填した水袋を、この順序で重ね合わせて配設し、発熱袋と水袋の両方を破断する破断用紐を台紙の一端に係止し、さらに破断用紐を発熱袋と水袋の両端部に固着させ、加熱容器に収容し、破断用紐を加熱容器の側面に設けた引き出し孔から貫通させ、外部から破断用紐を引き抜くことにより発熱袋と水袋を破断するようになっている。
【0006】
酸化カルシウムと水との反応による発熱量は15.2kcalと小さいので、反応後、速やかに90℃以上100℃以下に昇温し、60℃に降下するまでに少なくとも20分間維持させるためには、多量の酸化カルシウムを必要とする。特許文献1に記載された加熱容器で、標準型の携帯食品を加熱するには、83gの酸化カルシウムを必要と、70mLの水を必要とする。
【0007】
ところで、発熱剤を包装するポリエチレンフィルムは、(イ)プラスチックフィルムの中でも最も安価である。(ロ)容易にヒートシールが可能で、完全密閉ができる。(ハ)耐水性、耐湿性がよい。(ニ)軽い等の長所と、引裂強さが大きいという特徴がある。
【0008】
ポリエチレンフィルムは、引裂強さが大きい、即ち、引き裂き難いという特徴が、破断用紐引き抜き型の加熱容器の場合には、欠点になる。その理由は、酸化カルシウムは極めて吸湿性が高く、放置しておくと空気中の湿気と二酸化炭素を吸収して、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムに変化し、その後水と接触しても発熱反応を起こさなくなる。
【0009】
特に、特許文献1に記載された加熱容器に使用する発熱剤が、83gという多量の酸化カルシウムの単品から成る場合、その一部が、空気中の湿気と二酸化炭素を吸収すると、その反応は連鎖的に移行し、全体が失活することになる。従って、ポリエチレンフィルムの厚さをできるだけ厚くして、空気中の湿気と二酸化炭素の吸収を完全に防止しなければならない。
【0010】
ポリエチレンフィルムの厚さを50μした場合、その引裂強さは、エレメンドルフASTMD1922で測定して、低密度ポリエチレンフィルムが200〜800g/50μ、中密度ポリエチレンフィルムが100〜600g/50μ,高密度ポリエチレンフィルムが30〜600g/50μである。この引裂強さは、破断用紐引き抜き型の加熱容器の場合、小児では、引き裂き難い強さで、破断用紐引き抜きが、途中で切れることがある。
【0011】
さらに、特許文献1に記載された加熱容器の場合、水袋と発熱袋の両方をほぼ同時に破断しなければならない構造になっているので、どちらか一方の袋が破断しない場合、発熱しない。従って、不良品が発生するリスクが、水袋だけを破断すればよいような構造にした加熱容器の2倍になるという欠点がある。
【0012】
特許文献2は、特許文献1に記載された発明の改良発明である。特許文献1に記載された発明では、約80gという多量の生石灰(酸化カルシウム)を引き裂き強度が大きなポリエチレンフィルム製の袋に包装していたため、容易に引き裂くことができないという欠点があった。特許文献2に記載された発明は、生石灰を包装せずに露出したままバラバラにケースの底部に入れ、その上に破断用紐支持材、水袋、防湿シートと重合した構成になっている。
【0013】
先ず、水袋に関して説明する。吸湿性が高い生石灰を包装せずに露出したままバラバラにケースの底部に入れたので、生石灰が空気中の湿度を吸湿するのを防止するために水袋の材料として、通常ならONY(延伸ナイロン)/PE(ポリエチレン)で十分であるところ、複数の樹脂層の間にアルミニウム等からなる水蒸気(水分)を透過しない防湿層を挟持した積層体で製造している。さらに、生石灰の吸湿を完全に防止するために、複数の樹脂層に間にアルミニウム等からなる防湿層を挟持した積層体を防湿シートとして使用している。即ち、露出している生石灰が空気中の湿度を吸湿しないように、アルミニウムラミナートフィルムで2重に保護するという複雑で、コストがかかる構造となっている。
【0014】
さらに、特許文献2に記載された発明では、生石灰を包装せずに露出したままバラバラにケースの底部に入れ、その上に破断用紐支持材を重合しているので、破断用紐支持材が、その下部に置かれた生石灰を一部完全に覆う状態になっている。従って、生石灰の一部が水と反応する時間にずれが生じ、或いは反応しても破断用紐支持材が障害となって水蒸気が上昇しない場合がある。
【0015】
出願人の一人は、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)乃至200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15乃至30%,及び−330メッシュ(−45μm)が40乃至60%,+330メッシュ(+45μm)が15乃至30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70乃至85%から成り、水と反応させると、短時間で約90℃〜約100℃の水蒸気を発生させ、60℃に降下するまでの持続時間が、少なくとも20分間となる発熱剤を発明し、既に特許を得ている(特許第3467729号)。この発熱剤の構成、性能等は、特許公報に記載されているので、その詳細な説明は割愛する。
【0016】
出願人の一人は、特許第3467729号に係わる発熱剤をさらに発展させて、塩化ナトリム(NaCl)を添加して発生熱量を増加させ、さらに塩化マグネシウム(MgCl2)を添加して発熱時間の延長と水素の発生量の低減化に成功し、それぞれ特許出願した。
【0017】
従って、本発明の請求項3に記載した「発熱剤が、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)乃至200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15乃至30%,及び−330メッシュ(−45μm)が40乃至60%,+330メッシュ(+45μm)が15乃至30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70乃至85%から成る組成物を含む」とは、特許第3467729号に係わる発熱剤にさらに、NaClを添加した発熱剤、及びさらにMgCl2を添加した発熱剤をも包含する。
【0018】
さらに、本出願人の一人は、特許第3467729号に係わる発熱剤を利用した加熱ユニットを開発して特許出願した(特開2004−16395号)( 〔特許文献3〕)。
【0019】
特許文献3は、特許第3467729号に係わる発熱剤を包装した発熱剤パックを、上面開口する発熱用トレー内に水パックと一緒に収容し、発熱用トレーの上面開口縁部を、保護シートで、水パックと保護シートを同時に開裂するティアテープと一緒に、ヒートシールした加熱ユニットを開示している。
【0020】
特許文献1に記載されている加熱容器で使用している発熱剤の包装材と、特許文献3の加熱ユニットで使用している発熱剤の包装材の大きな相違点は、前者が完全非透湿性のポリエチレンフィルムであるが、後者は、透水性の不織布製袋であることである。
【0021】
この理由は、特許文献3の加熱ユニットでは、発熱剤パックと水パックを重合して収容した発熱用トレーを保護シートで密封しているので、発熱用トレー自体が非透湿性になっているからである。また、特許文献3の加熱ユニットで使用する発熱剤の総発熱量の60%以上は粉体アルミニウムが寄与していて、粉体アルミニウムが発熱主剤であり、粉体酸化カルシウムが発熱助剤である。従って、発熱剤の全量が酸化カルシウムの単品から成る特許文献1に記載された加熱容器に使用する発熱剤とは異なり、粉体酸化カルシウムの一部が吸湿しても、吸湿した水と粉体アルミニウムが反応し、十分な量の熱を発生するからである。
【0022】
然しながら、特許文献3が記載している加熱ユニットは、発熱用トレーの底部に発熱剤パックを置き、その上に水パックを単に重合させているので、発熱剤パックが発熱用トレーの底部で自由に移動できる構造になっている。従って、加熱ユニットを組み込んだ駅弁等を傾けると、水との発熱反応が進行中に、発熱剤パックが移動し、蒸気の発生状態が不安定になるという欠陥があることが分かった。
【特許文献1】特開平11−2922155号
【特許文献2】特開2002−360439号
【特許文献3】特開2004−16395号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
発明が解決しようとする課題は、粉体酸化カルシウムと粉体アルミニウムを特定の比率で含む化学発熱剤を透水性不織布袋に充填した発熱剤パックを、上面開口する発熱用トレー内に水パックと一緒に収容し、発熱用トレーの上面開口縁部を、保護シートで、水パックと保護シートを同時に開裂するティアテープと一緒に、ヒートシールした加熱装置において、水袋が開裂後、水と発熱剤との発熱反応が進行中に、発熱剤パックが移動しないような構造にし、蒸気の発生状態を安定にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
プラスチック製の発熱用トレーの底部に置いた発熱剤パックが移動しないように固定する手段として、ステープル等締結具による固着は、発熱用トレーの底に穴を開けることになり、漏水するので不可能であり、接着剤、両面テープ等による接着も、水が存在するので不可能である。
【0025】
そこで、任意の材料でできた板に、断面がほぼ長楕円形の発熱剤パックの下半分を嵌入する開口を設けた発熱剤パック固定板に発熱パックの下半分を嵌入して固定することを検討した。
【0026】
さらに、検討した結果、発熱剤パック固定板の材料としては、プラスチック、木、厚紙等任意の材料を選択することができるが、コストが安いこと、軽量であること、加工性がよいこと等を勘案すると厚紙が好ましいことが分かった。
【0027】
さらに、発熱剤パック固定板の材料として、厚紙を使用すると、それ自体が吸水して、質量が増え、発熱剤パックを固定する効果が高くなる。
【0028】
本発明で使用に適した厚紙で基も好ましいのは、繊維質材料を漉造して製造した厚さ0.3mm以上mの板紙(paper board)であるが、数枚の紙を貼合わせるかまたは数層のパルプを漉き合せて製造した板紙(boxboard)でもよい。
【0029】
従って、上記課題は、下記の各項に記載した手段により解決される。
1.化学発熱剤を透水性の袋に充填した発熱剤パックと、発熱剤パックの上に重合された水パックが、上面開口する発熱用トレーに収容され、発熱用トレーの上面開口部が非透湿性の保護シートで密封され、容器外部からティアーテープの引き抜きにより保護シートと水パックをほぼ同時に開裂させるタイプの加熱装置であって、
(1)開口を設けた発熱剤パック固定板が発熱用トレーの底壁に接して配設されていて、開口に発熱剤パックの下半分が嵌入されて発熱剤パックが固定されていること、
(2)発熱剤パック固定板の一方の端部にティアーテープの一方の端部が固定されていること、
(3)水パックの、発熱剤パック固定板の一方の端部とは対向する下方端部に、水パック開裂用突起が形成されていること、
(4)発熱剤パック固定板の一方の端部に固定されたティアーテープが、発熱剤パックと水パックの間を通って、水パック開裂用突起と接着されて、発熱用トレーの上端縁部と保護シートの間から引き出されて保護シートと一緒に発熱用トレーに接合され、残余が反転屈曲されて保護シートの表面と融着されて、延長残部が発熱用トレーから突出されて自由端になっていること、及び
(5)水パック開裂用突起と発熱剤パック固定板の他方の端部が、ティアーテープを介して接合されていることを特徴とする加熱装置。
【0030】
2.前記1項において、発熱剤パック固定板の材料を厚紙とすること。
【0031】
3.発熱剤を、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)乃至200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15乃至30%,及び−330メッシュ(−45μm)が40乃至60%,+330メッシュ(+45μm)が15乃至30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70乃至85%から成る組成物を含むこととすること。
【0032】
4.請求項1〜3のいずれか1項に記載した加熱装置を組み込んだ携帯食品用容器。
【発明の効果】
【0033】
請求項1の発明により、下記に例示する効果を奏功することができる。
1.任意の材料でできた板に、断面がほぼ長楕円形の発熱剤パックの下半分を嵌入させることができる開口を設け、その開口に発熱剤パックの下半分を嵌入したので、発熱剤パックが固定されて安定になる。
【0034】
2.容器の外部から、ティアーテープを引くことにより、発熱用トレー内では水パックだけを開裂すればよいので、水パックと発熱剤パックの両方を開裂する構造の従来技術に比べて、構造が簡単であり、従来技術に比べて、不良品の発生率が1/2に低減する。
【0035】
3.発熱剤パックを、上面開口する発熱用トレー内に水パックと一緒に収容し、発熱用トレーの上面開口縁部を、非透湿性フィルムで、水パックと非透湿性フィルムを同時に開裂するティアーテープと一緒に、ヒートシールした加熱装置とすることによって、それ自体が独立した自己完結型の商品として商取引の対象になり、用途の拡大が可能になる。
【0036】
請求項2の発明により、下記に例示する効果を奏功することができる。
1.発熱剤パック固定板の材料として厚紙を使用することにより、それ自体が吸水して、質量が増え、発熱剤パックを固定する効果が高くなる。
【0037】
2.発熱剤パック固定板の材料として厚紙を使用するので、コストが安く、軽量となり、加工性がよくなり、少量生産なら手作業による加工が可能である。
【0038】
請求項3の発明により、発熱剤を、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)乃至200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15乃至30%,及び−330メッシュ(−45μm)が40乃至60%,+330メッシュ(+45μm)が15乃至30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70乃至85%から成る組成物を含む組成物としたので、NaCl或いはMgCl2を添加してもよく、水と反応させると、短時間で約90℃〜約100℃の水蒸気を発生させ、60℃に降下するまでの持続時間が、少なくとも20分間とすることができる。
【0039】
請求項4の発明により、加熱装置を、あらかじめ携帯食品用容器に収容しておくことにより、携帯食品用容器本来の機能性、利便性、保管性、衛生面等が向上し、加熱機能付き携帯食品用容器の用途が拡大される。
なお、本発明において使用する用語「ティアーテープ」は、凧糸状のストリング、モノフィラメント等いわゆる紐、或いは糸状のものも含むものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面に基づいて発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1は、本発明の加熱装置1の一実施の形態の構成を示す分解断面図である。図1において、2は発熱用トレー、3は発熱剤パック固定板、4は発熱剤パック、5は水パック、6は非透湿性の保護シート、7はティアーテープである。
【0041】
本発明の加熱装置は、ティアーテープ7の端部を引いて、保護シート6と、水パック5をほぼ同時に開裂させるものである。そのためには、発熱用トレー2の周縁端部に、保護シート6が、一緒に接合、たとえばヒートシールでき、かつ容易に剥離できる材料を組み合わせることが重要である。
【0042】
以下、本発明において適切な発熱用トレー2の材料と、保護シート6の材料の好ましい組み合わせを例示する。
【0043】
発熱用トレー2にPP使用した場合は、保護シート6は、PET/DL/VM/PET/PE/CMPS007, PET/DL/VM/PET/DL/CMPS008C, PET/DL/VM/PET/PE/DL/CMPS011C, PET/DL/VM-PET/PE/CMPS017C, ONY/DL/CMPS017C, PET/PE/CMPS006, PET/PE/CMPS006等が好ましい。
【0044】
発熱用トレー2にPVCを使用した場合は、保護シート6は、PET/DL/VM-PET/PE/CMPS006, PETPE/CMPS009, PET/DL/ONY/PE/CMPS009等が好ましい。
【0045】
発熱用トレー2にPP/EVOH/PPを使用した場合は、保護シート6は、ONY/DL/EVOH/DL/CMPS013C, PET/PE/AL/PE/CMPS009等が好ましい。
【0046】
発熱用トレー2にA-PETを使用した場合は、保護シート6は、ONY/DL/ONY/DL/ABF65C, PET/DL/ABF65C等が好ましい。
【0047】
発熱用トレー2にPSを使用した場合は、保護シート6は、PET/DL/VM-PET/PE/CMPS009, PET/PE/CMPS009等が好ましい。
【0048】
ここに、PETは、ポリエチレンテレフタレート、 DLは、ドライラミネーション、VMは、アルミ蒸着、 PEは、ポリエチレン、 CMPSは、カルボキシメチル化ポリスチレン、 ONYは, 延伸ナイロン、EVOHは、エチレンビニルアルコール、 PPは、ポリプロピレン、ABSは、アクリルーブタジエン樹脂、 ALは、アルミ箔、A-PETは、非晶質ポリエステルを表している。
【0049】
発熱剤パック固定板3には、断面がほぼ長楕円形をしている発熱剤パック4のほぼ下半分8を嵌入する大きさの開口9が形成されている。
【0050】
発熱剤パック固定板3の端部10には、ティアーテープ7の一方の端部11が固定されている。
【0051】
発熱剤パック固定板3の材料としては、プラスチック、木、厚紙等任意の材料を選択することができるが、コストが安いこと、軽量であること、加工性がよいこと等を勘案すると厚紙が好ましい。発熱剤パック固定板3の材料として、厚紙を使用すると、それ自体が吸水して、質量が増え、発熱剤パックを固定する効果が高くなる。
【0052】
発熱剤パック固定板3材料としての厚紙で好ましいのは、繊維質材料を漉造して製造した厚さ0.3mm以上mの板紙(paper board)であるが、数枚の紙を貼合わせるかまたは数層のパルプを漉き合せて製造した板紙(boxboard)でもよい。
【0053】
本発明の加熱装置1に使用する発熱剤パック4は、粉体酸化カルシウムと粉体アルミニウムを、所定の配合量で均一に混合した発熱剤を、透水性の紙または布の袋に充填した断面がほぼ長楕円形の扁平状である。
【0054】
本発明の加熱装置1に使用する発熱剤パック4は、粉体酸化カルシウムと粉体アルミニウムを、所定の配合量で均一に混合した発熱剤を、透水性の紙または布の袋に充填したものであるが、無論、発熱用トレー2にセットする前は、アルミ箔或いはアルミ蒸着フィルム製の非透湿性の袋に完全密封されている。発熱用トレー2にセットする直前に、アルミ箔或いはアルミ蒸着フィルム製の非透湿性の袋から出して、発熱用トレー2にセットするが、最終的には非透湿性の保護シート6で密封されるので、保護シート6が開裂されるまで発熱剤パック4が吸湿することはない。
【0055】
水パック5は、加熱装置1の外部から適当な力を加えることにより、開裂して、中の水が速やかに流出するような構成、いわゆるイージーオープン性或いはイージーピール性である。
【0056】
発熱剤パック4に充填されている粉体酸化カルシウムは空気中の湿度を吸収しただけで直ちに反応する性質を有しているので、水パック5の材料は非透湿性でなければならない。
【0057】
以下、本発明の水パック5に適した材料に関して説明する。
厚さL、表面積Aのフィルムの両側の水蒸気(湿度)の分圧がそれぞれP1,P2の場合、定常状態で時間tに透過する湿度の量をQとすると、
Q={P・(P1−P2)・A・t}/L (1)
Q={P・ΔP・A・t}/L (2)
(2)式を変形して、
Q/{A・t}={P・ΔP}/L=q (3)
ある特定条件下におけるフィルムの単位面積、単位時間における、この水蒸気の透過量qを透湿度(WVTR)といい、その単位は、g・m-2・24h-1である。即ち、表面積1m2のフィルムを24時間で透過する水蒸気の量をグラムで表したものである。
【0058】
本発明の水パック5に適した材料の透湿度は、15以下、好ましくは0.3〜15の範囲より好ましくは0.3〜7の範囲、最も好ましくは0.3〜3の範囲である。
【0059】
本発明の水パック5に適したフィルムは、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン(高密度=0.960)、ポリエチレン(中密度=0.93)、ポリプロピレン(密度=0.907)、ポリエチレン(低密度=0.922)、ポリビニルクロライド、ポリ(ビニルクロライドービニルアセテト)、ポリ(スチレンーブタジエン)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリ(ブタジエンーアクリロニトリル)等が例示される。
【0060】
本発明の水パック5に適したラミネートフィルムは、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/低密度ポリエチレンン/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/エチレンービニルアセテート、 2軸延伸ナイロン/アルミ箔/ポリエチレン、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/ポリプロピレン、ポリプロピレン/エバール/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリプロピレン、ナイロン/ポリプロピレン、ポリカーボネート/ポリプロピレン、延伸ナイロン/ポリエチレン、スチール箔/ポリプロピレン等が例示される。
【0061】
また開裂メカニズムの面からは、界面剥離タイプを利用したもの、層間剥離タイプを利用したもの、凝集剥離タイプを利用したもの等任意に選択できる。ただし、シールの安定性の点からは、凝集剥離タイプが、線シール性の点からは、界面剥離タイプが、剥離面の状態からは、界面剥離タイプが優れている。また、V−ノッチなどの切り込みを入れて、ある一定方向に開封させるようにしたもの等、任意に選択できる。
【0062】
水パック5の下方端部には、水パック開裂用突起12が、水パック5と一体に形成されている。水パック開裂用突起12は、ティアーテープ7と接着されて、水パック5開裂を容易にするためのものである。水パック開裂用突起12を形成する箇所は、ティアーテープ7の一方の端部11が固定される発熱剤パック固定板3の端部10とは、対向する側でなければならない。
【0063】
保護シート6の材料及び発熱用トレー2の材料との好ましい例に関しては、すでに説明した。
【0064】
ティアーテープ7は、その一方の端部11が、発熱剤パック固定板3の端部10に固定されていて、発熱剤パック4と水パック5の間を通って、水パック5の下方端部に形成された水パック開裂用突起12と接着されて、発熱用トレー2と保護シート6の間から引き出されて保護シート6と一緒に発熱用トレー2に接合され、反転屈曲して保護シート6の表面に融着されて、他方の先端11が加熱装置1から突出されて自由端になっていて、全体で加熱装置を形成している。
【0065】
水パック開裂用突起12と発熱剤パック固定板3の端部13は、ティアーテープ7を介して、所定の手段で接合されている。従って、本発明の加熱装置1は、発熱剤パック4の下半分8が、発熱剤パック固定板3の開口9に嵌入されて固定され、発熱剤パック4の上に、ティアーテープ7を介して水パック5が重合されて一体化されて、発熱用トレー2に収容されている。
【0066】
図2は、本発明の加熱装置1を組み込んだ携帯食品用容器15の断面図である。図2において、図1におけるのと同様の要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
容器本体15には、下方から、加熱装置1と、食品トレー16が収容されている。容器本体15の断面形状は、食品の種類によって異なる。たとえば、赤飯、白飯、五目飯、ちらし寿司等のご飯類、各種調理済み食品、総菜類、カレー、ビーフシチュー、グラタン、ピラフ等、ご飯及び各種総菜類が詰め合わされた駅弁、仕出し弁当などの場合は、トレー型が好ましい。うどん、ラーメン、おでん、スープ類、酒等液状食品には、カップ型が適している。
【0068】
容器本体15を、透明単層タイプにしたい場合には、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂、ポリプロピレンで、透明多層タイプにしたい場合には、ポリプロピレン/エバール/ポリプロピレンで、アルミ箔タイプにしたい場合には、外面保護塗料/アルミ箔/ヒートシールラッカー、外面保護塗料/アルミ箔/ポリプロピレンで製造することが好ましい。
【0069】
蓋18は、容器本体15の開口部全体を覆って、内容物を保護するとともに、発生する熱水蒸気が外部に漏出するのを防止するためのものである。駅弁或いは仕出し弁当のような形態食品の場合には、容器本体15と蓋17を、包装した上で、紐或いは輪ゴムで縛るだけでも十分である。
【0070】
一方、カレー、シチュー、液状食品、ラーメン、うどん等麺類は、加熱が完了するまでは完全密閉が要求され、加熱終了後は、簡単に蓋がはずせる、いわゆるイージーオープン(イージーピール性)が要求される。このような場合には、EVAをベースとし、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレンなどのスチレン系樹脂或いはジペンテン重合体、或いはアルミ箔などの基材に押し出しコーティングしたものが好ましい。
【0071】
加熱装置1は、容器本体15の底壁18上に載置されている。
【0072】
食品トレー16は、加熱装置1の上面に密着させて重合されている。そのことにより、加熱装置1から発生する熱が伝導及び対流の両方で食品トレー16に伝達されるので熱効率がよくなる。
【0073】
容器本体15の側壁19には小孔20が形成されていて、加熱装置1のティアーテープ7の先端14が引き出されている。このティアーテープ7の先端14を引き抜くと、加熱装置1の保護シート6と水袋5がほぼ同時に開裂されて、発熱反応が開始され、水蒸気が発生して、食品トレー16の調理済み御飯21と惣菜22を加熱する。
【0074】
本発明で使用するプラスチックスの全部或いは一部を、加水分解性基を主鎖中に有する易加水分解性プラスチックス、高光感受性基を主鎖中に有する易光分解性プラスチックス等を使用すると、使用廃棄後、自然環境中で生分解、光分解、加水分解するので、省資源化、環境汚染の防止に資する。
【0075】
本発明での使用に適した易分解性プラスチックスを例示すると、脂肪族ポリエステル、ポリオキシ酸、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリアンハイドライド、ポリ(アミドーエナミン)、ポリホスファゼン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアジピン酸エステル、ポリエチレンデカメチレン、ポリアジピン酸テトラメチレン、ポリプロラクトン、ポリオルトエステルポ、ポリシアノアクリル酸エステル、ポリカプロラクタン等である。
【実施例】
【0076】
次に、図に示した容器の各部の実際の製造要領について、例をあげて具体的に説明する。
〔携帯食品容器本体15の製造〕
ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリプロピレンの3層ラミネートフィルムを使用して、深さ12cm、開口部の直径が15cm、底部の直径が10cmのカップ状容器本体15を、深絞り真空成形機で成形した。
【0077】
〔携帯食品容器の蓋17の製造〕
ポリエチレンテレフタレート/ポリ塩化ビニリデンの2層ラミネートフィルムを使用して、図2に示す形状の蓋17を、真空成形機で成形した。
【0078】
〔食品トレー16の製造〕
未延伸ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデンの2層ラミネートフィルムを使用して、図2に示すように、容器本体15の内壁に密着する形状の食品トレー16を真空成形機で成形した。この食品トレー16の底面には、加熱装置1から上昇してくる水蒸気が入る小孔を複数個形成し、御飯21と調理済み魚、野菜、コンブ、卵焼き、ハンバーグ22をれた。
【0079】
〔加熱装置1の製造〕
〔発熱用トレー2の製造〕
耐熱用ポリプロピレン(PP)を使用して、深さ18mm、縦140mm、横140mm、質量7.7gの発熱用トレー2を真空成形法で製造した。
【0080】
〔発熱剤パック固定板3の製造〕
繊維質材料を漉造して製造した厚さ2mm、質量4.4gの板紙(paper board)で、長さ10m、幅8mの開口部9を有する発熱剤パック固定板3を製造した。この固定板3の一方の端部10に小孔を空け、ティアーテープ6の一方の端部11を貫通させて、ティアーテープ6の引き抜き作業によっても抜けないように固定した。
【0081】
〔発熱剤パック4の製造〕
使用した粉体アルミニウム:山石金属株式会社製、商品名「アトマイズアルミ VA-200」)
使用した粉体生石灰:秩父石灰工業株式会社製(200メッシュ、JIS 特号品)
使用した不織布:目付量 60g/m2, 厚さ 0.14mm、通気量 20cc/cm2,sec、ヒートシール強度 6.0kg
粉体アルミニウム15グラム、粉体生石灰10グラムを秤量して均一に混合し、長さ8cm、幅6cm、厚さ4mm、質量0.9gの不織布製の袋に充填して、発熱剤パック4を製造した。
【0082】
〔水パック5の製造〕
ONY/PEで、幅9cm、長さ14cm、厚さ4mmで、下方端部に水パック開裂用突起12を有する袋を製造し、水40mlを充填した。
【0083】
〔保護シート6の製造〕
発熱用トレー2にPPを使用したので、ONY/AL/CPPで保護シート6を真空成形により製造した。
【0084】
〔加熱装置1の製造〕
このようにして製造した発熱用トレー2の中に、順番に、発熱剤パック固定板3を入れ、次いで発熱剤パック固定板3の開口部9に発熱剤パック4の下半分の2mmを嵌入し、その上に長さ320mmのティアーテープ7を介して、水パック5を重合した。次いで、水パック5の下方端部に形成した水パック開裂用突起12と、発熱剤パック固定板3の他方の端部13を、ティアーテープ7を介して接着した。ティアーテープ7の延長部分を、発熱用トレー2の上端縁部から突出させて、保護シート6と一緒に発熱用トレー2の上端縁部に熱融着させ、さらにティアーテープ7を反転屈曲させて保護シート6の表面に接合させ、その先端部の約15cmをフリー状態にした。このようにして製造した加熱装置の全質量は79.1gであった。
【0085】
〔加熱装置付き携帯食品の製造〕
このようにして製造した加熱装置1を、携帯食品容器本体15の底部に収容し、ティアーテープ7の先端14を、携帯食品容器本体15の側壁19に形成した小孔21から貫通させた。次いで、加熱装置1の保護シート6に接して食品トレー16を乗せ、蓋17で携帯食品容器本体15を密閉した。
【0086】
このようにして製造した本発明の加熱装置を組み込んだ駅弁を、駅弁を利用する低年齢者である10才〜6才までのそれぞれの年代でランダムに選んだ10名、計50名をモニターに選定し、水袋の開裂テストを行った。その結果、全幼児が、水袋を簡単に破断して、駅弁の加熱に成功した。
【0087】
[比較例1]
比較のため、生石灰(CaO)の単品を利用する従来の代表的な化学発熱剤を使用した。生石灰(CaO)の単品を利用する化学発熱剤で、本発明で使用するアルミニウムと生石灰の混合物を主剤とする発熱剤と同じ熱量を発生させるには、83gの生石灰と73gの水を必要とする。数回の実験を繰り返した結果、83gの生石灰をトレーに充填して、生石灰が絶対に吸湿しないようにするには、約2.4gのAlラミネートで発熱用トレーを密封する必要があることが分かった。
【0088】
そこで、生石灰(83g)、生石灰包装袋(ポレチレン、50μ)、水(7.7g)、水袋(3g)、発熱用トレー(7.7g)、台紙(3g)、密閉フィルム(Alラミネート+不織布、2.4g)、引っ張り紐(長さ320mm、0.2g)で、生石灰(CaO)の単品を主剤とする従来の化学発熱剤による発熱装置を組み立てたところ、全質量は169.3gであった。即ち、本発明の実施例の約2倍であった。
【0089】
このようにして製造した加熱装置を駅弁容器にセットして、駅弁を利用する低年齢者である10才〜6才に対して、引っ張り紐を引いて生石灰包装袋と水袋の破断テストを行った。その結果、生石灰包装袋と水袋の両方を破断できなかった幼児、どちらか一方を破断できなかった幼児が多数いた。
【0090】
〔比較例2〕
次に、83gの生石灰をむき出しのまま、発熱用トレー(7.7g)の底部にバラバラに入れ、その上に破断用紐支持材(3g)を置き、さらにAlラミネートフィルム(2g)に水70g充填した水袋(72g)をおき、その上にAlラミネートフィルム(2g)から成る防湿シートをおいて、発熱用トレー(7.7g)の縁部を熱融着した。
【0091】
そして、比較例1と同じように、引っ張りテストを行った結果、Alラミネートフィルム製水袋と、Alラミネートフィルム(2g)から成る防湿シートの両方、或いはいずれか一方を破断できなかった幼児が多数いた。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の加熱装置は、任意の材料でできた板に、断面がほぼ長楕円形の発熱剤パックの下半分を嵌入させることができる開口を設け、その開口に発熱剤パックの下半分を嵌入して、発熱剤パックを固定した構造であるので、容器の外部から、ティアーテープを引いて、水パックを開裂して、発熱反応を開始しても、発熱剤パック移動しないので、従来技術に比べて、不良品の発生率が少なく、それ自体が独立した自己完結型の商品として商取引の対象になり、用途の拡大が可能になる。また、本発明の加熱装置は、約170gであった従来品に比べて、約80gとなり軽量化され、且つ発熱反応が確実に起こる構造になっているので、それを組み込んだ携帯食品用容器は、携帯食品用容器本来の軽量性、機能性、利便性、保管性、衛生面等が向上し、加熱機能付き携帯食品用容器の用途が拡大される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の加熱装置の一実施の形態の構成を示す分解断面図である。
【図2】本発明の加熱装置を組み込んだ携帯食品用容器の断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1:加熱装置
2:発熱用トレー
3:発熱剤パック固定板
4:発熱剤パック
5:水パック
6:非透湿性の保護シート
7:ティアーテープ
8:発熱剤パック下方半部
9:開口部
10:発熱剤パック固定板3の一方の端部
11:ティアーテープの端部
12:水パック開裂用突起
13:発熱剤パック固定板3の他方の端部
14:ティアーテープの先端
15:携帯食品用容器本体
16:食品トレー
17:蓋
18:容器本体15の底壁
19:容器本体15の側壁
20:小孔
21:調理済み御飯
22:惣菜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学発熱剤を透水性の袋に充填した発熱剤パックと、発熱剤パックの上に重合された水パックが、上面開口する発熱用トレーに収容され、発熱用トレーの上面開口部が非透湿性の保護シートで密封され、容器外部からティアーテープの引き抜きにより保護シートと水パックをほぼ同時に開裂させるタイプの加熱装置であって、
(1)開口を設けた発熱剤パック固定板が発熱用トレーの底壁に接して配設されていて、開口に発熱剤パックの下半分が嵌入されて発熱剤パックが固定されていること、
(2)発熱剤パック固定板の一方の端部にティアーテープの一方の端部が固定されていること、
(3)水パックの、発熱剤パック固定板の一方の端部とは対向する下方端部に、水パック開裂用突起が形成されていること、
(4)発熱剤パック固定板の一方の端部に固定されたティアーテープが、発熱剤パックと水パックの間を通って、水パック開裂用突起と接着されて、発熱用トレーの上端縁部と保護シートの間から引き出されて保護シートと一緒に発熱用トレーに接合され、残余が反転屈曲されて保護シートの表面と融着されて、延長残部が発熱用トレーから突出されて自由端になっていること、及び
(5)水パック開裂用突起と発熱剤パック固定板の他方の端部が、ティアーテープを介して接合されていることを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
発熱剤パック固定板の材料が厚紙である請求項1の加熱装置。
【請求項3】
発熱剤が、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)乃至200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15乃至30%,及び−330メッシュ(−45μm)が40乃至60%,+330メッシュ(+45μm)が15乃至30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70乃至85%から成る組成物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載した加熱装置を組み込んだ携帯食品用容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−346329(P2006−346329A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179098(P2005−179098)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(391040733)株式会社小池風流軒 (4)
【出願人】(500067606)株式会社協同 (12)
【出願人】(598105570)
【Fターム(参考)】