説明

加熱調理器

【課題】加熱中の被加熱物の調理性能に影響することなく安定した換気ができる加熱調理器を提供すること。
【解決手段】加熱庫9と排気口15とを気密的に一体的に加工し、本体1内の冷却風を開口部16付近から浸入させることなく、扉18の一部または開口部16の一部で構成する通気口28から外気を加熱庫9内に安定して供給し、排気口15から本体内の冷却風の浸入を防止しするとともに、断面積が通気口28の約2倍の排気口15から被加熱物17の調理性能に影響を及ぼすことなく煙等を排気口15から排気することで、被加熱物17の調理を安定して行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭等で使用する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器は、加熱庫と排気口とが別体で構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、この種の加熱調理器は、加熱庫内で高温の加熱装置により魚等を焼くものであり、調理性能を維持するには庫内の加熱温度を数百度以上に維持しなければ美味しい調理をすることができなかった。調理中は主に魚類等の被加熱物から発生する煙を排煙するために排気口を設けて、本体後部から排気する必要があった。加熱庫内はできるだけ大きく維持し、一方排気口は冷却装置の排気口確保のためにできる限り小さくする必要があった。
【0004】
また、本体内の制御回路や電磁加熱調理装置を冷却する冷却装置を備え、調理中は冷却装置を駆動するために外気を本体内に吸い込んで制御回路等を冷却するために本体内の内圧が上昇し、加熱庫内に冷却風が加熱庫の構成部品間にできた隙間から流入した。さらに加熱庫と扉との間に構成上本体の一部が介在し、本体内と加熱庫内の気密性を維持時することが困難であった。つまり加熱庫は本体の前面部に対して後方の本体内に収納されるが、一方扉は本体前面から加熱庫の前部からセットされるものであり、本体の前面部を挟んで加熱庫と扉とが前後に配置されているものである。
【特許文献1】特開2003−284648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、加熱装置で被加熱物を加熱中に加熱庫と排気口との間や、扉と加熱庫との間に介在する本体の一部と加熱庫との間から冷却装置で加圧されて本体内に充満した冷却風が加熱庫内に流入することがあり、被加熱物の加熱が乱されることがあった。さらに電磁加熱調理装置や制御回路の冷却時に、その発熱に応じた冷却装置の冷却能力を可変にして調理中の騒音を最小限にする構成としている場合には、加熱庫内への冷却風の侵入は冷却装置の冷却能力の可変状態により変化して被加熱物の加熱が乱されるといった課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、加熱庫内へ冷却装置からの冷却風が侵入しない加熱調理器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、加熱庫と排気口とは気密的に連通し、加熱庫内の加熱状態を安定させ、被加熱物の調理をしている間の外乱をなくすものである。
【0008】
すなわち、加熱庫を気密的に一体構成とすることで、被加熱物の調理を安定的に行うこととしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の加熱調理器は、加熱調理性能を一定に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、天板と、外気を吸い込み本体内を冷却する冷却装置と、本体内に備えられて被加熱物を収容する加熱庫と、前記加熱庫内に連通する排気口と、前記加熱庫に設けた開口部を開閉する扉と、前記被加熱物を加熱する加熱装置とを備え、前記加熱庫と排気口とは気密的に連通した構成とすることで、加熱庫内への本体内からの冷却風の侵入をなくして加熱調理性能を一定に保つことができる加熱調理器を提供することができるものである。
【0011】
第2の発明は、特に第1の発明の扉に気密的シール部を備えて、前記シール部は加熱庫の開口部を直接気密的にシールする構成にすることにより、本体内からの冷却風が開口部から侵入することをなくし、加熱調理性能を一定に保つことができる加熱調理器を提供することができるものである。
【0012】
第3の発明は、特に第1〜第2のいずれか1つの発明の扉下部に加熱庫内との通気口を設ける構成としたことにより、本体内からの冷却風の侵入をなくし、冷却風の冷却性能の変化に関係なく常に庫内に一定の安定した空気を外部より取り入れる構成とし、加熱調理性能を一定に保つことができる加熱調理器を提供することができるものである。
【0013】
第4の発明は、特に第1〜第3のいずれか1つの発明の排気口を天板の一部を介して外方に開口し、天板と排気口とを気密的に構成したとことにより、排気口部から加熱庫内への冷却風の侵入をなくし、加熱庫内の加熱調理性能を一定に保つことができる加熱調理器を提供することができるものである。
【0014】
第5の発明は、特に第1〜第4のいずれか1つの発明に天板下部に配置された電磁加熱調理装置と、前記電磁加熱調理装置を制御する制御回路を備え、加熱装置で加熱庫内の被調理物を加熱する間に、電磁加熱調理装置の出力変化に応じて冷却装置の冷却能力を変化させる構成とすることにより、加熱庫内の内圧が上昇しても冷却空間を介して加熱庫内の熱気や煙が逆流することを防ぐことができる加熱調理器を提供することができるものである。
【0015】
第6の発明は、特に第1〜第5のいずれか1つの発明の電磁加熱調理装置と加熱装置等の合計消費電力が一定値を超えようとすると加熱装置の消費電力を維持し、電磁加熱調理装置等の消費電力を変化させて合計消費電力が一定値を超えない構成にすることにより、被加熱調理物を加熱庫内で調理している間に冷却風の冷却性能が変化しても加熱庫内の加熱調理性能を一定に保つことができる加熱調理器を提供することができるものである。
【0016】
第7の発明は、特に第1〜第6のいずれか1つの発明の加熱庫と排気口とを一体的に溶接して気密的に構成することにより、加熱庫への本体内からの冷却風の侵入をなくして加熱調理性能を一定に保つことができる加熱調理器を提供することができるものである。
【0017】
第8の発明は、特に第1〜第7の発明のいずれか1つの発明の加熱庫と排気口とを一体的に取り付けた後に琺瑯加工し琺瑯加工部を気密的構成にすることにより、加熱庫への本体内からの冷却風の侵入をなくして加熱調理性能を一定に保つことができることができる加熱調理器を提供することができるものである。
【0018】
第9の発明は、特に第1〜第8の発明のいずれか1つの発明の加熱庫と排気口とを一体的にかしめ加工し、かしめ加工部を気密的構成にすることにより、加熱庫への本体内からの冷却風の侵入をなくして加熱調理性能を一定に保つことができる加熱調理器を提供することができるものである。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における加熱調理器の斜視図である。図2は本発明の実施の形態1における加熱調理器の部分断面図である。図3は本発明の実施の形態1における加熱調理器の断面図である。図4は本発明の実施の形態1における加熱庫と排気口の斜視図である。図5は本発明の実施の形態1における加熱調理器の扉と開口部の断面図である。図6は本発明の実施の形態1における加熱調理器のシール部と開口部の斜視図である。図7は本発明の実施の形態1における加熱調理器の排気口の断面図である。図8は本発明の実施の形態1における加熱調理器の排気口の斜視図である。
【0021】
図において、略直方体の本体1の天面には耐熱ガラスで形成された天板2が備えてある。天板2の下には電磁加熱調理装置である加熱コイル3が左右に1組ずつ配置してある。本体1下部右側には操作部4と制御回路5内蔵している。本体1の左下部には魚等を焼くロースター6が備えられている。電動機(図示せず)で駆動されるシロッコファン7は約4.8kWの消費電力を制御する制御回路5と約3kWの電力を電磁誘導する加熱コイル3を冷却する冷却装置であり、外気を取り入れて本体1内を冷却する。このとき本体1内に外気を取り入れるので本体1内の内圧が外気(大気圧)よりも上昇する。具体的には0.1気圧以下の圧力である。シロッコファン7を駆動する電動機(図示せず)は制御回路5により回転速度と回転と停止を制御される。ロースター6は外郭8内に加熱庫9を備え、加熱庫9内には庫内上方に上ヒーター10と下方に下ヒーター11を備えている。上ヒーター10と下ヒーター11とで加熱装置12を形成している。上ヒーター10と下ヒーター11との間で下ヒーター11直上には着脱自在に焼き網13が備えられている。水受け皿14は焼き網13を載置するとともに調理時に水を満たして下ヒーター11の熱が加熱庫9下部を加熱することを防止する構成である。
【0022】
加熱庫9後部上方に一端を連通した略L時状の排気口15が他端を外方と連通して設けてある。加熱庫9と排気口15との接続部は溶接加工またはかしめ加工で固定され琺瑯加工を施してある。この琺瑯加工により加熱庫9と排気口15との接続部が気密性を維持することで、本体1内部と加熱庫9内部とが気密的にシールされて本体1内の内圧で本体1内の空気が加熱庫9内に侵入することを防いでいる。
【0023】
加熱庫9前面には開口部16が設けてあり、魚等の被加熱物17を出し入れする。この開口部16は扉18によって概略閉塞されている。扉18には前記水受け皿14が爪19により係止されていて着脱時には連動して加熱庫9内を摺動する。扉18には把手20が設けてあり、扉18の着脱時にここを持って使用する構成になっている。
【0024】
開口部16には加熱庫9の鋼板を延長して各4辺を外方に直角に約8mm折り曲げて形成されたフランジ21が伸設してある。扉18には加熱庫9内での加熱調理を見るためのガラス製の窓22が設けてある。フランジ21は加熱庫9と一体的に形成されているとともに気密的に加熱庫9に接続された構造である。フランジ21は加熱庫9の開口部16に対して開口部16と同一の平面上に位置する。フランジ21は本体1の一部である本体前枠23に対して本体1内側つまり加熱庫9側に位置する。
【0025】
扉18の内側つまり加熱庫9側には加熱庫9のフランジ21に当接して気密性を得るフッ素ゴムや水素ニトリルゴム等で形成されたシール部を形成するシールパッキン24が備えてある。シールパッキン24は上部と両側部は気密性を維持するために弾性を有するリップ25が形成されている。シールパッキン24の下側は切り欠いて略下向きに開いたコ字形をしている。この切り欠き部27を含むシールパッキン24は当然扉18が着脱時に水受け皿14とともに摺動して移動するときに扉18とともに移動する。
【0026】
扉18で開口部16を閉塞すると前述のとおりフランジ21をシールパッキン24のリップ25が開口部16の上側と両側を気密的にシールする。開口部16の下部にはフランジ21とシールパッキン24のきり欠き部27と扉18とに囲まれた通気口28が形成される。通気口28は扉18が開口部16を閉塞するときにのみ形成される。扉18を開口部16から約4mm程度引き抜くと、フランジ21からシールパッキン24のリップ25が離れて、加熱庫9内と外方とが連通する空間が発生し、開口部16全周に加熱庫9内と外方とが連通する空間が発生する。この時点で通気口28は開口部16全周に拡大するとともに、部分的に加熱庫9内と外方とを連通する機能をなくすことになる。つまり扉18を加熱庫9から引き抜くと同時に通気口28は機能をなくすこととなる。
【0027】
ここでフランジ21と本体前枠23とシールパッキン24について詳細な位置関係を説明する。フランジ21は本体1前面から見ると略長方形の外周をに各フランジ21が同一平面上に位置している。本体前枠23は本体前面から見るとフランジ21より一回り大きい略長方形の外周に同一平面上に位置した面である。また本体前枠23は長方形のフランジ21を本体前面から見て外側の約半分に重なるように通過部26を形成している。一方シールパッキン24は本体前枠23のフランジ21とは反対側から略長方形のリップ25のみが通過部26を通ってフランジ21に当接する。シールパッキン24のリップ25以外の部分は本体前枠23を通過せずに本体前枠23を挟んでフランジ21と反対側に位置する。
【0028】
以上の構成により、扉18のシールパッキン24が通気口28を残して加熱庫9のフランジ21を気密的に閉塞することがわかる。また、本体前枠23の内側と外側に位置するフランジ21とシールパッキン24とが本体前枠23の通過部26を介して気密構成を形成することがわかる。
【0029】
扉18が開口部16を閉塞したときにシールパッキン24の上部と両側部に設けてあるリップ25は加熱庫9のフランジ21に当接することになるが、このとき、加熱庫9のフランジ21とリップ25との寸法関係において加熱庫9と扉18との各部品の寸法バラツキや組立てバラツキが存在して、リップ25がフランジ21に当接するシール代にバラツキが発生する。リップ25は弾性があるのでこのバラツキを吸収する。具体的にはリップ25のたわみ代を2mm以上に設計する。加熱庫9と本体1との組立てばらつきと各部品の加工バラツキの合計は約1mm以内であり、リップ25のシール代のほうが大きいこととなる。従って、リップ25は開口部16の上部と両側部のフランジ21を気密的にシールすることができる。
【0030】
扉18が開口部16を閉塞したときに加熱庫9の上部と両側部のフランジ21をシールパッキン24が気密的にシールすると同時に、加熱庫9の下側のフランジ21と切り欠き部27とで通気口28を形成することとなる。通気口28の寸法は通常入り口に平行に細長い。具体的には長さ80mmでフランジ21とリップ25の隙間寸法は約4mmである。加熱庫9での加熱調理中に外部から冷気が浸入するのはこの通気口28のみであり、調理性能の開発中に冷気の浸入量を調整する必要が発生したら、この通気口28の開口面積を調整することで調理性能を最適条件に設定することができる。
【0031】
通気口28は扉18下部に位置して扉18に対して平行に細長い位置関係にある。これは通気口28から流入する空気が細長い通気口28から膜状に加熱庫9内に侵入し、扉18の内面を上昇して扉18内面を冷却しながら加熱庫9内の上昇気流に巻き込まれてやがて被加熱物17からの煙とともに排気口15から外方に放散されるためである。
【0032】
通気口28は一端を加熱庫9内に開口し、他端を扉18の把手20下部に開口することで外方に開口することとなり、内圧に影響されない加熱庫9内と内圧の影響のない外方との連絡通路であり、本体前枠23とフランジ21とのわずかな隙間は存在するが、実質的には通気口28も加熱庫9内も内圧には影響されない。
【0033】
トップフレーム29は本体1上面を概略覆う平面部材であり、略外周を琺瑯鋼板かステンレス鋼板等で形成されたフレーム30と熱膨張係数の小さな平面ガラスを水密的に張り合わせて形成されている。
【0034】
排気口15は略L字形をし、水平端31を加熱庫9の最奥部上部中央に開口し、略水平方向に伸設されてから垂直方向に伸設され、垂直方向上部先端の垂直端32をトップフレーム29後方の絞り部33に連通して外方に開口する。絞り部33は天板2後方の排気部34の一部に開口している。絞り部33は長方形の口部35と口部35から下方に伸設した遮断部36とで形成されている。遮断部36は口部35を深さ5mmに絞り加工して形成されている。
【0035】
口部35の開口面積は前記通気口28の開口面積の2倍以上とする。これは、通気口28から浸入した空気を口部35から排気するが、室温の冷気が通気口28から加熱庫9内に供給されて約300℃に加熱されるので体積が約2倍になる。これを排気口15から通気口28と同等の速度以下で排気することで空気の流れが円滑で安定する。また、排気口15の任意断面の断面積が通気口28の断面積の約2倍以上にすることで排気口15での流路抵抗が通気口28よりも小さいこととなる。これは自然排気においては、流路抵抗の小さい排気口15側に加熱庫9内の空気が自然に流れることとなり、加熱庫9内から通気口28側への排気がないことであり、通常の調理において排気は必ず排気口15から行われることとなる。
【0036】
前記排気口15の垂直端32は断面が長方形の外周壁37と内周全周に内周壁38とを設けてあり、内周壁38の下部は水平な係止部39で外周壁37に気密的に接続されている。内周壁38の上端は外周壁37の上端よりも下に位置する。これにより係止部39に液体が滞留しても内周壁38の上端を乗り越えて排気口15内部に落下するので最後には加熱庫9内に滴下し、本体1を分解することなくこの液体を取り除くことができる。
【0037】
本体1にトップフレーム29を固定する場合に前記口部35の遮断部36が外周壁37と内周壁38との間に位置して嵌合する関係にある。
【0038】
排気口15側面には温度センサー40が備えられている。温度センサー40は本体1内で加熱された空気や発生した煙が排気口15から排気されるときにその温度を検出し、制御回路5に接続されて排気の温度を制御回路5で検知しながら上ヒーター10と下ヒーター11とを制御する。
【0039】
以上のように構成された加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0040】
まず、加熱庫9内の焼き網13上に被加熱物17である魚を載置する。水受け皿14内に水を満たして上ヒーター10と下ヒーター11に通電して加熱調理を行う。加熱調理は温度センサー40により温度を検知しながら制御回路5で上ヒーター10と下ヒーター11との通電制御を行い自動で完了させる。
【0041】
加熱中加熱庫9内は約300度に上昇する。排気口15の垂直端32は加熱庫9より上方に位置するので、加熱庫9内の熱気の煙突効果により排気口15から熱気が排出される。このとき加熱庫9内の空気を補充するために外気が扉18の通気口28を通って加熱庫9内に流入する。加熱庫9内に流入した空気は扉18に沿って加熱庫9内を上昇し、上ヒーター10近くを扉18側から排気口15側へ流れる。被加熱物17から放出された煙等を巻き込みながら、冷気はこの間に加熱されて熱気となり加熱庫9後部上方の排気口15を上昇して垂直端32から外方へ排気される。
【0042】
通気口28から流入した空気は加熱庫9内では被加熱物17を冷却することなく、扉18の内面を冷却し従って扉18外面の温度上昇を低減して加熱庫9内を通過して排気口15から排出されることとなる。被加熱物17は調理中に煙を発生させるが、この煙は排気しないと被調理物17に付着して本来の味を損ねることになる。一方では加熱調理中の被加熱物17に外気の冷気を触れさせると被加熱物17の温度が低下して本来の調理ができない。この相反することを扉18の下部からの空気の供給と上ヒーター10近傍を通過して排気口15から排出される構成にすることで被加熱物17の本来の調理を実現することとなる。
【0043】
以上のように、本実施の形態では、加熱庫9と排気口15とを気密的に一体的に加工し、本体1内の冷却風を開口部16付近から浸入させることなく、扉18の一部または開口部16の一部で構成する通気口28から外気を加熱庫9内に安定して供給し、排気口15から本体内の冷却風の浸入を防止しするとともに、断面積が通気口28の約2倍の排気口15から被加熱物17の調理性能に影響を及ぼすことなく煙等を排気口15から排気することで、被加熱物17の調理を安定して行うことができる。
【0044】
なお、本実施の形態では上ヒーター10と下ヒーター11は電気的に加熱したが、ガス等の熱源を使用しても通気口28等の扉の形状による効果は同じである。
【0045】
(実施の形態2)
図9は本発明の実施の形態2における加熱調理器の断面図である。図10は本発明の実施の形態2における加熱調理器の扉と開口部の断面図である。図11は本発明の実施の形態2における加熱調理器のシール部と開口部の斜視図である。
【0046】
実施の形態1と同一名称で同一符号は形状や機能等は全く同一のものである。
【0047】
扉41には外面42の略中央には加熱庫9内の様子を見るためのガラス製の窓43が設けてあり、窓43の下部で扉41の中央より下に位置する部分に把手44が外方に伸設されている。把手44は通常手を逆手の状態にして指を把手44を引っ掛けて引き出す。扉41内面つまり加熱庫9側から外面42に向かって連通する通気口45が設けられている。通気口45の一端は把手44の指を掛ける側の内側に流入口46を開口し、他端は加熱庫9側に流出口47を開口するとともに流入口46は流出口47よりも下に位置する。高さ関係においては流入口46は流出口47のどの開口部分よりも下方に位置する。また、流入口46は把手44の下にし伸ばして設けた係止部48の内側に開口して、直接本体1正面からは見えないように設けられている。
【0048】
シール部を形成するシールパッキン49は途切れることなく略長方形の輪を形成している。シールパッキン49の長方形に応じてリップ50も全周に設けられている。したがって扉41が加熱庫9の開口部16を閉塞するときは、フランジ21をリップ50が略長方形の全周にわたり気密的にシールすることとなる。扉41が開口部16を閉塞した状態ではフランジ21とシールパッキン49との間は気密的にシールされていて、唯一空気が通過できるのは通気口45である。少なくとも流出口47の開口形状は扉41の下部に水平方向に細長い形状をしている。これは流出口47から加熱庫9内に流入する空気が水平方向に細長い形状の流出口47から流出すると加熱庫9内を扉41の内面を冷却しながら加熱庫9内で発生する上昇気流に巻き込まれて扉41内面を上昇する。このとき流出口47が水平方向に細長いことは内面の冷却を効率的に行うのに都合が良いこととなる。
【0049】
以上のように構成された加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0050】
まず、加熱庫9内の焼き網13上に被加熱物17を置き、上ヒーター10と下ヒーター11で形成された加熱装置12に通電して調理を開始する。調理中に加熱装置12に加熱された加熱庫9内の空気は膨張して軽くなり、被加熱物17から発生した煙等といっしょに排気口15から上昇気流となって排出される。この上昇気流で排出された空気に相当する体積の外気が排出と同時に通気口45から加熱庫9内に流入する。このとき流入口46は流出口47よりも下方に位置しているために加熱庫9内で空気が膨張しても排気口15側に流れて、加熱された空気が窓43の下に位置する流出口47からさらに位置の低い流入口46側に流れることはない。
【0051】
流入口46を通って通気口45内を通過した冷気は流出口47から加熱庫9内に流入する。流出口47は窓43の下方位置に開口しているので、加熱庫9内では比較的下部位置に開口していることになる。加熱庫9内に流入した冷気は加熱庫9内の上昇気流に巻き込まれて加熱庫9内を上昇し、やがて加熱装置12に加熱されて膨張して上昇気流になり排気口15から排出される。そして排出と同時にまた通気口45からは外気(冷気)が加熱庫9内に流入することとなる。
【0052】
このようにして加熱庫9内の上昇気流を利用して扉41に設けた通気口45からのみ加熱庫9内へ外気が流入する構成にすることで、本体1内で冷却装置であるシロッコファン7により発生した内圧により加熱庫9内へ空気が流入して被加熱物17の調理性能に影響を与えないで外気を取り込み、被加熱物17の加熱性能に影響を与えずに被加熱物17から発生した煙等を排出することができるものである。また、通気口45の開口面積は設計で調整することができ、加工上のばらつきがなく精度の良い通気口45を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、加熱庫内と本体内部とを気密的に遮断することで冷気を安定的に加熱庫内に供給して煙等を排出し、かつ調理性能に影響しないように一定の通気を行うとともに風の流れが安定した構成にすることが可能となるので、ガスグリルや電子レンジ等の用途、また、電気オーブン等の冷却等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における加熱調理器の部分断面図
【図3】本発明の実施の形態1における加熱調理器の断面図
【図4】本発明の実施の形態1における加熱庫と排気口の斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における加熱調理器の扉と開口部の断面図
【図6】本発明の実施の形態1における加熱調理器のシール部と開口部の斜視図
【図7】本発明の実施の形態1における加熱調理器の排気口の断面図
【図8】本発明の実施の形態1における加熱調理器の排気口の斜視図
【図9】本発明の実施の形態2における加熱調理器の断面図
【図10】本発明の実施の形態2における加熱調理器の扉と開口部の断面図
【図11】本発明の実施の形態2における加熱調理器のシール部と開口部の斜視図
【符号の説明】
【0055】
1 本体
2 天板
3 加熱コイル(電磁加熱調理装置)
5 制御回路
7 シロッコファン(冷却装置)
9 加熱庫
12 加熱装置
15 排気口
16 開口部
17 被加熱物
18 扉
24 シールパッキン(シール部)
28 通気口
41 扉
45 通気口
49 シールパッキン(シール部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、外気を吸い込み本体内を冷却する冷却装置と、本体内に備えられて被加熱物を収容する加熱庫と、前記加熱庫内に連通する排気口と、前記加熱庫に設けた開口部を開閉する扉と、被加熱物を加熱する加熱装置とを備え、前記加熱庫と排気口とは気密的に連通した加熱調理器。
【請求項2】
前記扉にシール部を備えて、前記シール部は前記加熱庫の前記開口部を直接気密的にシールする構成とした請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記扉の下部に前記加熱庫内との通気口を設ける構成とした請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記排気口を前記天板の一部を介して外方に開口し、前記天板と前記排気口とを気密的に構成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記天板の下部に配置された電磁加熱調理装置と、前記電磁加熱調理装置を制御する制御回路とをさらに備え、前記加熱装置で加熱庫内の被調理物を加熱する間に、前記電磁加熱調理装置の出力変化に応じて前記冷却装置の冷却能力を変化させる構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記電磁加熱調理装置と前記加熱装置の合計消費電力が一定値を超えようとすると前記加熱装置の消費電力を維持し、前記電磁加熱調理装置の消費電力を変化させて合計消費電力が一定値を超えない構成とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記加熱庫と前記排気口とを一体的に溶接して気密的に構成した請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記加熱庫と前記排気口とを一体的に取り付けた後に琺瑯加工し琺瑯加工部を気密的構成とした請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記加熱庫と前記排気口とを一体的にかしめ加工し、かしめ加工部を気密的構成とした請求項1〜8のいずれか1項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−107807(P2006−107807A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289758(P2004−289758)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】