説明

加熱調理用容器

【課題】食品を包装する容器との間に生じる隙間を防ぐとともに、食品と発熱体とを密着させて、電子レンジによる加熱によって効果的に加熱できる電子レンジ用調理用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】電子レンジにより加熱調理する内容物を包装した電子レンジ調理用容器において、前記内容物を包装するシート基材の、前記内容物と接する面に、発熱層を設けるとともに、前記シート基材に、熱収縮するシュリンクフィルムを形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い前記シート基材が変形して、前記内容物と前記発熱層とが密着することを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジで加熱調理する食品を収納する電子レンジ調理用容器に関し、さらに詳細には、加熱調理時に、食品が目減り又は変形しても、マイクロ波発熱体を食品に密着させることにより、食品を効果的に加熱して、クリスピー感や焦げを付与できる電子レンジ調理用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍および冷蔵食品を載置して電子レンジ調理によってクリスピー感および焦げを付与するマイクロ波発熱体を用いた電子レンジ調理用容器は広く用いられている。そのような、容器を使って加熱調理する食品には、アメリカンドック、ホットドック、フランクフルト、パイ、ピザ、米飯、焼おにぎりなどが挙げられる。
【0003】
このような食品は、電子レンジによる加熱によって、食品自体が目減りまたは変形するものが少なくない。このため、従来から使われているマイクロ波発熱体を用いた電子レンジ調理用容器ではホットドックのような円柱形の内容物を載置して電子レンジ加熱を行うと、クリスピー感や焦げはマイクロ波発熱体との接地面にしか付与することはできないという欠点があった。
【0004】
よって、ホットドックのような円柱状の内容物を全体的に均一に加熱調理すべく、シート基材に多数のスリットを一定方向に波線状に設けることで、シート基材を内容物に巻き付けやすくした電子レンジ調理用包装シートが開示されている。(例えば、特許文献1)
しかしながら、電子レンジによる加熱に伴う、内容物の収縮および変形より、シート基材と内容物間に隙間が生じてしまう、内容物に接していても底面以外の接触面は、シート基材と内容物の間にかかる圧力が不十分であるため、良好なクリスピー感や焦げを付与することはできないといった問題がある。
【0005】
さらに、マイクロ波発熱体と内容物を密着させる手法として、マイクロ波によって発熱するポリエチレンテレフタレートフィルムに金属を蒸着した層を紙基材に対し、格子状に糊貼りしたシート基材がある。そして、当該手法では、加熱調理時にシート基材の格子内に水蒸気がたまり、格子状の空間が膨らみ内容物との密着性を高める構成である。
【0006】
しかしながら、当該構成は、電子レンジ加熱時に、格子状の空間が膨らみ、内容物に接しやすくはなるが、内容物にかかる圧力は弱く、また、内容物の収縮が大きい食品に対しては良好な密着性が得られない為、十分な効果が期待できないものである。(例えば、特許文献2)
【特許文献1】特開2001−19062号公報
【特許文献2】米国特許番号US7、019、271B2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、従来の問題点を解決して、電子レンジによる加熱により、目減りおよび変形する食品であっても、簡単な構成により、食品を包装する容器との間に隙間が生じることを防ぐとともに、食品とマイクロ波発熱体とを密着させて、効果的に加熱できる電子レンジ用調理用容器を提供することを課題とする。
【0008】
また、電子レンジに限定されず、他の加熱手段によって熱収縮フィルムを収縮させることができれば、近傍に発熱層を配置することで内容物を加熱することができる。内容物が食品である場合には、このような包装材に収納した食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、請求項1記載の発明は、熱収縮フィルムと発熱体とを有し、内容物を加熱する際に熱収縮フィルムの収縮によって発熱体を内容物に押圧することを特徴とする包装材であり、内容物が食品であれば、食品用に使用することができる。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、前記包装材を使用した食品包装体である。
また、本発明の請求項3記載の発明は、電子レンジにより加熱調理する内容物を包装した電子レンジ調理用容器において、前記内容物を包装するシート基材の、前記内容物と接する面に、マイクロ波により発熱する発熱層を設けるとともに、前記シート基材に、熱収縮するシュリンクフィルムを形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い前記シート基材が変形して、前記内容物と前記発熱層とが密着することを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、前記シュリンクフィルムは、一軸延伸フィルムであって、前記一軸延伸フィルムが熱収縮する方向と、前記シート基材が前記内容物に密着する方向と、を一致させることにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い前記シート基材が変形して、前記内容物と前記発熱層とが密着することを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、前記シート基材に、該シート基材の変形を補助するための罫線又はハーフカットを形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記内容物の形状に沿って前記シート基材が変形し、前記内容物と前記発熱層との密着性を向上させることを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、前記シート基材は、その断面が内容物を囲むように略コの字状をなし、前記シュリンクフィルムは、前記コの字状の開口部分を塞ぐように形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い、前記シート基材の開口部分が収縮して、前記内容物と前記発熱層との密着性を高めたことを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。
【0014】
また、請求項7記載の発明は、前記シート基材は、略平面状のシート基材であって、前記シュリンクフィルムは、前記シート基材の変形方向に沿って形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い、前記シート基材がロール状に収縮して内容物を包み込み、前記内容物と前記発熱層とが密着することを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、複数の前記シート基材で、前記内容物を挟み込むとともに、前記シュリンクフィルムで、前記複数のシート基材をつなぎ合わせることにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い、内容物を挟み込む複数の前記シート基材が密着して、前記発熱層と前記内容物との密着性を高めたことを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。
【0016】
また、請求項9記載の発明は、前記シュリンクフィルムと、前記発熱層とが、接しないことを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。
また、請求項10記載の発明は、前記発熱層は、前記内容物と接する面にプラスチックフィルムを有し、該プラスチックの外面にアルミニウム、鉄、亜鉛、銅などの金属蒸着層を有し、さらに該金属層の外面に紙基材を有することを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。
【0017】
また、請求項11記載の発明は、前記シート基材は、断熱性を有することを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。
また、請求項12記載の発明は、前記シュリンクフィルムに易開封手段を形成したことを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。
【0018】
また、請求項13記載の発明は、前記易開封手段は、ミシン目等の連続する貫通孔若しくはハーフカットであって、前記シュリンクフィルムの収縮方向に対して、直交する方向に形成することを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1記載の発明は、熱収縮フィルムと発熱体とを有し、内容物を加熱する際に熱収縮フィルムの収縮によって発熱体を内容物に押圧するため、容易、確実かつ迅速に内容物を加熱することができる。
【0020】
また、本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の包装材を使用した食品包装体であるから、内容物の食品を食事の際に簡便かつ短時間に加熱することができる。
本発明の請求項3記載の発明は、電子レンジにより加熱調理する内容物を包装した電子レンジ調理用容器において、前記内容物を包装するシート基材の、前記内容物と接する面に、発熱層を設けるとともに、前記シート基材に、熱収縮するシュリンクフィルムを形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの熱収縮により、前記シート基材を変形せしめ、前記内容物と前記発熱層とを密着させることが可能である。よって、内容物を効果的に加熱することが可能である。
【0021】
また、請求項4記載の発明は、前記シュリンクフィルムは、一軸延伸フィルムであって、前記一軸延伸フィルムが熱収縮する方向と、前記シート基材が前記内容物に密着する方向と、を一致させることにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い前記シート基材が変形して、前記内容物と前記発熱層とが密着することが可能である。よって、調理時にシュリンクフィルムが一定方向に縮み、シート基材と内容物の接触面に対し一定方向から強い圧力をかける効果が得られ、加熱調理によって目減りまたは収縮する食品に対しても密着効果が得られる。
【0022】
また、請求項5記載の発明は、前記シート基材に、該シート基材の変形を補助するための罫線又はハーフカットを形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記内容物の形状に沿って前記シート基材が変形し、前記内容物と前記発熱層との密着性を向上させることが可能である。よって、加熱調理によって目減りまたは収縮する食品に対しても密着効果が得られ、特に、立体形状の複雑な内容物に対しても高い密着効果が得られる。
【0023】
また、請求項6記載の発明は、前記シート基材は、その断面が内容物を囲むように略コの字状をなし、前記シュリンクフィルムは、前記コの字状の開口部分を塞ぐように形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い、前記シート基材の開口部分が収縮して、前記内容物と前記発熱層との密着性を高めることが可能である。よって、内容物の側面部分を効果的に加熱することが可能である。
【0024】
また、請求項7記載の発明は、前記シート基材は、略平面状のシート基材であって、前記シュリンクフィルムは、前記シート基材の変形方向に沿って形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い、前記シート基材がロール状に収縮して内容物を包み込み、前記内容物と前記発熱層とが密着することを特徴とすることが可能である。よって、加熱調理によって目減りまたは収縮する食品に対しても密着効果が得られる。さらには、内容物の側面部分のみならず、内容物の天面部分をも効果的に加熱することが可能である。
【0025】
また、請求項8記載の発明は、複数の前記シート基材で、前記内容物を挟み込むとともに、前記シュリンクフィルムで、前記複数のシート基材をつなぎ合わせることにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い、内容物を挟み込む複数の前記シート基材が密着して、前記発熱層と前記内容物との密着性を高めることが可能である。よって、加熱調理によって目減りまたは収縮する食品に対しても密着効果が得られる。さらには、内容物の側面部分のみならず、内容物の天面部分をも効果的に加熱することが可能である。
【0026】
また、請求項9記載の発明は、前記シュリンクフィルムと、前記発熱層とが、接しないことを特徴とするから、調理時に発熱層が発する熱によりシュリンクフィルムが溶融することを防ぐことが可能である。
【0027】
また、請求項10記載の発明は、前記発熱層は、前記内容物と接する面にプラスチックフィルムを有し、該プラスチックの外面にアルミニウム、鉄、亜鉛、銅などの金属蒸着層を有し、さらに該金属層の外面に紙基材を有することを特徴とするから、簡単な構成により発熱層を構成することが可能である。
【0028】
また、請求項11記載の発明は、前記シート基材は、断熱性を有することを特徴とするから、発熱層により生じる熱が、容器の外方に拡散することを防止することが可能である。さらには、発熱層が発する熱によりシュリンクフィルムが溶融することを防ぐことが可能である。
【0029】
また、請求項12記載の発明は、前記シュリンクフィルムに易開封手段を形成したことを特徴とするから、調理後のシュリンクフィルムを容易に開封することが可能である。よって、使用性の高い電子レンジ調理用容器を提供することが可能である。
【0030】
また、請求項13記載の発明は、前記易開封手段は、ミシン目等の連続する貫通孔若しくはハーフカットであって、前記シュリンクフィルムの収縮方向に対して、直交する方向に形成することを特徴とするから、加熱調理中のシュリンクフィルムの収縮に伴い、ミシン目等からなる易開封手段が開封してしまうことを防ぐことが可能である。
【0031】
このように、本発明の電子レンジ調理用容器は、加熱調理時に発生する熱に伴い、一軸方向へ収縮するシュリンクフィルムの収縮力を利用することによって、外面に罫線またはハーフカット加工を設けたシート基材を、ホットドックのような立体的な内容物の側面等に対しても良好に密着させ、発熱層(サセプター)の効果を十分に発揮させることができる。よって、内容物の食品にクリスピー感や焦げを好適に付与することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の第一は、熱収縮フィルムと発熱体とを有し、内容物を加熱する際に熱収縮フィルムの収縮によって発熱体を内容物に押圧することを特徴とする包装材である。包装材の形態としては、内容物を加熱する際に熱収縮フィルムの収縮によって発熱体を内容物に押圧することができれば、その形状に特に制限はない。また、内容物の種類にも限定はない。内容物の種類や形状などに応じて適宜、選択することができる。
【0033】
本発明の包装材は、内容物を加熱する際に熱収縮フィルムが収縮する必要があるが、このような加熱として電子レンジ加熱、スチーム加熱などがある。例えば、吸湿によって発熱する金属粉などを発熱層とし、スチーム加熱によって熱収縮フィルムを収縮させて発熱層を内容物に押圧し、内容物を加熱することができる。
【0034】
本発明の包装材は、熱収縮フィルムの収縮によって発熱層を内容物に押圧できる点に特徴があり、これにより迅速に内容物を加熱することができる。したがって、内容物としては、食品、治療器具、医薬その他を適宜選択することができる。なお、発熱体としては、後記する発熱層を同様に使用することができる。
【0035】
本発明の第二は、請求項1記載の包装材を使用した食品包装体である。上記した包装材は、熱収縮フィルムが収縮しない条件では、内容物は発熱体によって押圧されることはない。このため、柔軟で変形し易い内容物を被覆する容器とすることができる。食品としては、ホットドックなどの調理パンや、ピザその他を例示することができる。
【0036】
したがって、包装材の形状や発熱層の数や形状その他配置場所などは、内容物や求める加熱条件などに応じて適宜選択することができる。
本発明の第三は、電子レンジにより加熱調理する内容物を包装した電子レンジ調理用容器において、前記内容物を包装するシート基材の、前記内容物と接する面に、発熱層を設けるとともに、前記シート基材に、熱収縮するシュリンクフィルムを形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い前記シート基材が変形して、前記内容物と前記発熱層とが密着することを特徴とする、電子レンジ調理用容器である。請求項2記載の食品を電子レンジで加熱調理する際に、シュリンクフィルムの収縮に伴い包装材を構成するシート基材が変形して、前記内容物と前記発熱層とが密着し、内容物を加熱することができる。以下、本発明の電子レンジ調理用容器について、詳細に説明する。
【0037】
本発明の電子レンジ調理用容器10(容器10)は、図1に示すように、内容物11として、電子レンジによる加熱に伴い収縮あるいは変形する冷蔵および冷凍食品(例えば、ホットドック11)を包装した電子レンジ調理用容器10であって、シート基材1の、前記内容物11と接する面(内面)に形成された発熱層5が、後述する、電子レンジによる加熱に伴い、シート基材1の外周に形成したハーフカットとシュリンクフィルム8の収縮によって内容物11の表面に密着若しくは近接し、内容物11を効果的に加熱調理することが可能であり、さらには、内容物11の表面にクリスピー感や焦げ目を付与することが可能である。なお、図1の電子レンジ調理用容器10には、易開封手段9が形成されている。
【0038】
特に、電子レンジの加熱により熱収縮するシュリンクフィルム8を、前記シート基材1の外面若しくは内面に形成することで、後述する、電子レンジ調理時に、シュリンクフィルム8が収縮して、容器10の形状を自由に変形させることが可能である。よって、加熱調理によって目減りまたは収縮する食品11に対しても密着効果が得られ、内容物11を効果的に加熱調理することが可能である。
【0039】
以下、本発明の容器10に係る、前記シート基材1の構成について説明する。前記シート基材1は、図2(a)の斜視図および図2(b)の横断面図に示すように、内容物と接する面に、発熱層5を有し、該発熱層5は、内容物と接する面から順に外方へと、プラスチックフィルム2と、金属蒸着層3と、紙基材層4と、からなる。そして、該紙基材層4が、板紙からなる前記シート基材1へと貼り合わされている。
【0040】
特に、前記板紙1は、断熱性を有することが望ましく、前記発熱層5が、前記板紙からなるシート基材1へと貼り合わされることで、前記シート基材1が断熱効果を発揮し、前記発熱層5により生じる熱が、容器10の外方へと過剰拡散することを防止することが可能である。よって、電子レンジ調理時に発熱層5が発する熱により、シート基材1に形成されたシュリンクフィルム8が溶融することを好適に防ぐことが可能である。
【0041】
また、前記シート基材1の外面には、該シート基材1の変形を補助するための罫線7又はハーフカット7が形成されており、後述する、電子レンジによる加熱調理時において、内容物11の形状に沿って前記シート基材1が容易に変形することが可能であり、立体形状の複雑な内容物11に対して、シート基材1と内容物11とを密着させることが可能である。
【0042】
以下に、本発明の電子レンジ調理用容器10の一例を示す。前記容器10の一例としては、図3に示すように、前記シート基材1により、内容物11を略コ字状に包み込み、シート基材1の開口部分をシュリンクフィルム8で塞ぐ構成である。
【0043】
特に、前記シュリンクフィルム8は、一軸延伸フィルム8であって、該一軸延伸フィルム8が延伸する(熱収縮する)方向と、前記シート基材1が前記内容物11に密着する方向と、を一致させることにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルム8の収縮に伴い前記シート基材1を変形せしめ、内容物11とシート基材1とを密着させることが可能である。
【0044】
また、前記シュリンクフィルム8には、連続するミシン目9からなる易開封手段9が形成されており、調理後のシュリンクフィルム8を容易に開封することが可能である。特に、前記易開封手段9は、前記シュリンクフィルム8の収縮方向に対して、直交する方向に形成されており、加熱調理中のシュリンクフィルム8の収縮に伴い、ミシン目等からなる易開封手段9が開封してしまうことを防ぐことが可能である。
【0045】
そして、このような容器10を、電子レンジで加熱することにより、図4に示すように、前記シュリンクフィルム8が(矢印の方向へと)収縮するとともに、前記シート基材1の変形を補助するための罫線7又はハーフカット7により、前記シート基材1がシュリンクフィルム8の収縮方向へと変形し、前記容器10のコの字状の開口部分が塞がれる(変形する)こととなる。
【0046】
よって、容器内部において、内容物11と発熱層5とが密着することとなり、内容物11を効果的に加熱することが可能である。特に、内容物11の表面に焦がし目を必要とする、ホットドックや焼きいも、焼きとうもろこし等を内容物11とすることで、電子レンジ調理によって、好適に焦げ目を付与することが可能である。さらには、加熱調理によって目減りまたは収縮する食品11に対しても密着効果が得られ、内容物11を効果的に加熱調理することが可能である。
(実験例)
以下、断面が略コの字状の前記容器10を用いて、内容物を加熱した場合の実験例を示す。まず、比較対象の容器として、坪量310g/m2の白ボール板紙(シート基材1)の内面に発熱層5を形成し、前記シート基材1をコの字状に折り込んだ従来容器と、上記構成における、コの字状のシート基材1の開口部分に、一軸延伸のポリエチレンテレフタレートからなるシュリンクフィルム8を形成し、かつ、前記シート基材1の外面にハーフカット加工7を施した本発明の容器10とを用いて、冷蔵ホットドックの加熱調理試験を行った。
【0047】
従来容器と本発明の容器とに内容物を収容し、出力700Wの電子レンジ(HITACHI 型式MRO−30A)で、2分間の加熱調理を行った。そして、電子レンジによる加熱調理後のホットドックについて、クリスピー感を評価した。表1はクリスピー感の官能評価結果を示す。官能評価は5点満点で、点数が高いほど、内容物のクリスピー感が良好である。
【0048】
なお、上記実験は、n=10であり、下記数値は、その平均を示す。
【0049】
【表1】

表1に示すように、従来容器を用いた場合、内容物の底面のみが加熱され、内容物の側面は、加熱されにくいことがわかる。他方、本発明の容器を用いた場合、内容物の底面のみならず、側面部分も好適に加熱されクリスピー感が付与されていることがわかる。
【0050】
これは、本発明の容器10が、電子レンジ加熱中に、シュリンクフィルム8の収縮により変形することで、内容物11に密着するために、内容物11の側面部分を効果的に加熱するためである。よって、本発明の上記容器10を使用すると内容物11の側面部分のクリスピー感が大幅に改善されることとなる。
【0051】
このように、本発明の電子レンジ調理用容器10は、電子レンジにより加熱調理する内容物11を包装した電子レンジ調理用容器10において、前記内容物11を包装するシート基材1の、前記内容物11と接する面に、発熱層5を設けるとともに、前記シート基材1に、熱収縮するシュリンクフィルム8を形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルム8の熱収縮により、前記シート基材1を変形せしめ、前記内容物11と前記発熱層5とを密着させることが可能である。
【0052】
また、前記シュリンクフィルム8は、一軸延伸フィルム8であって、前記一軸延伸フィルム8が熱収縮する方向と、前記シート基材1が前記内容物11に密着する方向と、を一致させることにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルム8の収縮に伴い前記シート基材1が変形して、前記内容物11と前記発熱層5とが密着する構成である。よって、調理時にシュリンクフィルム8が一定方向に収縮して、シート基材1と内容物11の接触面に対し一定方向から強い圧力をかけることが可能であり、加熱調理によって目減りまたは収縮する食品11に対しても良好な密着効果が得られる。
【0053】
また、前記シート基材1に、該シート基材1の変形を補助するための罫線7又はハーフカット7を形成することにより、電子レンジによる加熱時、内容物11の形状に沿って前記シート基材1が変形し、前記内容物11と前記発熱層4との密着性を向上させることが可能である。よって、加熱調理によって目減りまたは収縮する食品11に対しても良好な密着効果が得られ、特に、立体形状の複雑な内容物11に対して高い密着効果が得られる。
【0054】
また、前記シート基材1は、その断面が内容物11を囲むように略コの字状をなし、前記シュリンクフィルム8は、前記コの字状の開口部分を塞ぐように形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルム8の収縮に伴い、前記シート基材1の開口部分が収縮して、前記内容物11と前記発熱層5との密着性を高めることが可能である。よって、加熱調理によって目減りまたは収縮する食品11に対して良好な密着効果が得られる。
【0055】
また、前記シュリンクフィルム8に易開封手段9を形成することにより、調理後のシュリンクフィルム8を容易に開封切除することが可能であり、使用性の高い電子レンジ調理用容器10を提供することが可能である。
【0056】
特に、前記易開封手段9は、ミシン目等の連続する貫通孔若しくはハーフカットであって、前記シュリンクフィルム8の収縮方向に対して、直交する方向に形成することにより、加熱調理中のシュリンクフィルム8の収縮に伴い、ミシン目等からなる易開封手段9が開封してしまうことを防止することが可能である。
【0057】
本発明の電子レンジ調理用容器10は、上記例に限らず、本発明の容器10の別の例としては、前記シート基材1は略平面状のシート基材1であって、前記シュリンクフィルム8は、前記シート基材1の変形方向に沿って形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルム8の収縮に伴い、前記シート基材1がロール状に収縮して内容物11を包み込み、前記内容物11と前記発熱層5とを密着させる構成であってもよく、内容物11の側面のみならず、内容物11の天面をも効果的に加熱することが可能である。
【0058】
この場合の一例としては、図5(a)に示すように、前記シート基材1の、内容物11と接する面に発熱層5を形成し、該発熱層5と接しない、前記シート基材1の端部に沿って、シュリンクフィルム8を形成する。
【0059】
特に、前記シュリンクフィルム8は、前記シート基材1の変形方向に沿って形成され、かつ、前記シュリンクフィルム8が熱収縮する方向と、前記シート基材1が前記内容物11に密着する方向と、が一致しており、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルム8の収縮に伴い前記シート基材1が変形して、前記内容物11と前記発熱層5とが密着する構成である。このとき、前記シュリンクフィルム8は、発熱層5を避け、シュリンクフィルム8の収縮を阻害しないように、例えば点状に固定されることが好ましい。
【0060】
また、図5(b)に示すように、シート基材1の外面には、前記シート基材1の変形を補助するための罫線7又はハーフカット7が形成されており、これら罫線7又はハーフカット7は、前記シート基材1の変形方向に対して直交して複数形成されている。これにより、後述する、電子レンジによる加熱調理時に、前記シート基材1をロール状に変形させることが可能である。
【0061】
そして、図6(a)に示すように、前記シート基材1の中央かつ前記発熱層5の上に前記内容物11を置き、電子レンジで加熱調理する。これにより、シュリンクフィルム8が矢印の方向へと収縮するとともに、図6(b)に示すように、シート基材1がロール状に変形することとなる。
【0062】
よって、さらなる電子レンジの加熱調理に伴い、前記シート基材1がロール状に収縮して内容物11を包み込み、図7に示すように、前記内容物11と前記発熱層5とを密着させることが可能である。よって、内容物11の底面のみならず、側面部分や上面部分をも効果的に加熱することが可能である。
【0063】
このように、前記シート基材1は、略平面状のシート基材1であって、前記シュリンクフィルム8は、前記シート基材1の変形方向に沿って形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルム8の収縮に伴い、前記シート基材1がロール状に収縮して内容物11を包み込み、前記内容物11と前記発熱層5とを密着させて、内容物11を全体的に加熱することが可能である。
【0064】
例えば、内容物11をあらかじめシート基材1でロール状に包み込み、さらには、図示しない外装フィルム等で包装した状態で販売してもよく、電子レンジ調理時に、外装フィルムを取り外して、内容物11を電子レンジのターンテーブルに配置した際に、シート基材1が略平面状に広がるが、電子レンジの加熱調理に伴い、略平面状(湾曲面状)のシート基材1が、シュリンクフィルム8の収縮効果により、ロール状に再収縮して、内容物11と密着する構成であってもよい。
【0065】
また、本発明の電子レンジ調理用容器10の、さらに別の例としては、複数の前記シート基材1により、前記内容物11を挟み込み、前記シュリンクフィルム8により、前記複数のシート基材1をつなぎ合わせてもよく、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルム8の熱収縮に伴い、前記内容物11を挟み込む複数の前記シート基材1が密着して、前記発熱層5と前記内容物11との密着性を高める構成であってもよい。
【0066】
この場合の一例としては、図8(a)に示すように、内容物11と接する内面に発熱層5を有するシート基材1を、図8(b)に示すように、例えば、焼きおにぎり11等の内容物11を挟み込むように、それぞれ向かい合わせて配置するとともに、2枚の前記シート基材1を、それぞれシュリンクフィルム8で繋いだ構成となっている。このとき、前記シュリンクフィルム8は、収縮方向がシート基材1と垂直になるように固定する。
【0067】
そして、このような容器10を電子レンジで加熱調理することにより、図9に示すように、内容物11の上下面を効果的に加熱することが可能であり、内容物の上下面に焦げ目を付与することが可能である。
【0068】
このように、発熱層5を付設する複数の前記シート基材1で前記内容物11を挟み込み、前記シュリンクフィルム8によって前記複数のシート基材1をつなぎ合わせることにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルム8の収縮に伴い、内容物11を挟み込む複数の前記シート基材1が密着して、前記発熱層5と前記内容物11との密着性を高めることが可能であり、内容物11の天面と底面に、焦げ目を付与することが可能である。
【0069】
さらに、別の例としては、前記発熱層5を、所望の箇所に形成して、内容物に部分的な焦げ目やクリスピー感を付与する構成であってもよく、例えば、内容物がピザであって、ピザ周囲のクリスピーの部分のみ、発熱層5を形成してもよく、前記発熱層5の形成箇所は、特に限定されるものではない。この態様を図10に示す。天面を構成するシート基材1に発熱層5が形成され、シート基材1と発熱層5との中央部が円形にくり抜かれた形状をしているため、天面からピザ周辺のクリスピー部分のみを加熱しうる。
【0070】
以上のように、本発明の電子レンジ調理用容器10は、内容物11を包装するシート基材1の、前記内容物11と接する面に発熱層5を設けるとともに、前記シート基材1に、熱収縮するシュリンクフィルム8を形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルム8の熱収縮により、前記シート基材1を変形せしめ、前記内容物11と前記発熱層5とを密着させることが可能である。よって、加熱調理によって目減りまたは収縮する食品11に対しても良好な密着効果が得られる。
【0071】
本発明で用いられる前記シュリンクフィルム8は、一軸延伸フィルム8を用いることが好ましく、また、基材シート1を内容物11に対して密着させたい方向と前記一軸延伸フィルム8の延伸方向とを一致させることが好ましい。このように、基材シート1の変形方向とシュリンクフィルム8の延伸方向とを揃えて使用することにより、収縮時の見栄えが良く、一定の方向性を持って内容物11を加圧することが可能である。前記シュリンクフィルム8の材質は、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0072】
また、前記シュリンクフィルム8を前記シート基材1に形成する際には、前記シュリンクフィルム8が加熱調理時に発する熱により溶融破断を生じない為に、前記シュリンクフィルム8と前記発熱層5とが接しないことが好ましい。
【0073】
前記シート基材1の前記発熱層5の金属蒸着層3には、サセプター用途として一般的に用いられる、アルミニウム、鉄、亜鉛、銅などの金属を用いることが可能である。
前記シート基材1としての前記板紙1の材質は、特に限定されず、公知のマニラボール、白ボールなどの板紙5が使用される。また、シート基材1の断熱層として、片面段ボールあるいはライナー紙を用いて、容器10に断熱性を付与してもよい。前記板紙1の片面または両面は、耐水性付与等の観点から熱可塑性樹脂層を設けてもよい。また、板紙1の厚みに関しては、特に限定しないが、強度を考慮し200g/m2以上であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の電子レンジ調理用容器の一例を示す一部切断説明図である。
【図2】本発明の電子レンジ調理用容器に係るシート基材を示す説明図である。 (a)シート基材の一部切断説明図である。(b)シート基材の一部断面図である。
【図3】本発明の電子レンジ調理用容器を示す説明図である。
【図4】本発明の電子レンジ調理用容器の変形時を示す説明図である。
【図5】本発明の電子レンジ調理用容器の別の例を示す説明図である。(a)シート基材の内面を示す説明図である。(b)シート基材の外面を示す説明図である。
【図6】電子レンジ調理時の容器を示す説明図である。(a)加熱前の状態を示す説明図である。(b)加熱時の状態を示す説明図である。
【図7】本発明の電子レンジ調理用容器の加熱後を示す説明図である。
【図8】本発明の電子レンジ調理用容器のさらに別の例を示す説明図である。(a)シート基材を示す説明図である。(b)電子レンジ調理用容器を示す説明図である。
【図9】本発明の電子レンジ調理用容器を示す一部切断説明図である。
【図10】本発明の電子レンジ調理用容器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1 シート基材(板紙)
2 プラスチックフィルム
3 金属蒸着層
4 紙基材
5 発熱層
7 ハーフカット加工若しくは罫線
8 シュリンクフィルム
9 易開封手段(ミシン目)
10 電子レンジ調理用容器(容器)
11 内容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮フィルムと発熱体とを有し、内容物を加熱する際に熱収縮フィルムの収縮によって発熱体を内容物に押圧することを特徴とする包装材。
【請求項2】
請求項1記載の包装材を使用した食品包装体。
【請求項3】
電子レンジにより加熱調理する内容物を包装した電子レンジ調理用容器において、
前記内容物を包装するシート基材の、前記内容物と接する面に、発熱層を設けるとともに、
前記シート基材に、熱収縮するシュリンクフィルムを形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い前記シート基材が変形して、前記内容物と前記発熱層とが密着することを特徴とする、電子レンジ調理用容器。
【請求項4】
前記シュリンクフィルムは、一軸延伸フィルムであって、前記一軸延伸フィルムが熱収縮する方向と、前記シート基材が前記内容物に密着する方向と、を一致させることにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い前記シート基材が変形して、前記内容物と前記発熱層とが密着することを特徴とする、請求項3記載の電子レンジ調理用容器。
【請求項5】
前記シート基材に、該シート基材の変形を補助するための罫線又はハーフカットを形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記内容物の形状に沿って前記シート基材が変形し、前記内容物と前記発熱層との密着性を向上させることを特徴とする、請求項3乃至4記載の電子レンジ調理用容器。
【請求項6】
前記シート基材は、その断面が内容物を囲むように略コの字状をなし、
前記シュリンクフィルムは、前記コの字状の開口部分を塞ぐように形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い、前記シート基材の開口部分が収縮して、前記内容物と前記発熱層との密着性を高めたことを特徴とする、請求項3乃至5記載の電子レンジ調理用容器。
【請求項7】
前記シート基材は、略平面状のシート基材であって、
前記シュリンクフィルムは、前記シート基材の変形方向に沿って形成することにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い、前記シート基材がロール状に収縮して内容物を包み込み、前記内容物と前記発熱層とが密着することを特徴とする、請求項3乃至5記載の電子レンジ調理用容器。
【請求項8】
複数の前記シート基材で、前記内容物を挟み込むとともに、前記シュリンクフィルムで、前記複数のシート基材をつなぎ合わせることにより、電子レンジによる加熱時、前記シュリンクフィルムの収縮に伴い、内容物を挟み込む複数の前記シート基材が密着して、前記発熱層と前記内容物との密着性を高めたことを特徴とする、請求項3乃至5記載の電子レンジ調理用容器。
【請求項9】
前記シュリンクフィルムと前記発熱層とが接しないことを特徴とする、請求項3乃至8記載の電子レンジ調理用容器。
【請求項10】
前記発熱層は、前記内容物と接する面にプラスチックフィルムを有し、
該プラスチックの外面にアルミニウム、鉄、亜鉛、銅などの金属蒸着層を有し、
さらに該金属層の外面に紙基材を有することを特徴とする、請求項3乃至9記載の電子レンジ調理用容器。
【請求項11】
前記シート基材は断熱性を有することを特徴とする、請求項3乃至10記載の電子レンジ調理用容器。
【請求項12】
前記シュリンクフィルムに易開封手段を形成したことを特徴とする、請求項3乃至11記載の電子レンジ調理用容器。
【請求項13】
前記易開封手段は、ミシン目等の連続する貫通孔若しくはハーフカットであって、前記シュリンクフィルムの収縮方向に対して直交する方向に形成することを特徴とする、請求項12記載の電子レンジ調理用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−1041(P2010−1041A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160246(P2008−160246)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000006699)雪印乳業株式会社 (155)
【Fターム(参考)】