説明

加速器のビーム位置計測装置

【課題】ノイズの影響を排除し、高精度、高再現性があり、大規模加速器における複数のビーム位置計測手段を設置する場合に、それぞれのビーム位置計測信号の同期を確保することができる加速器のビーム位置計測装置を提供する。
【解決手段】アナログ信号処理回路21は、恒温槽401を信号処理回路と温度センサー403を収納した信号処理部恒温槽407と発熱体402を収納した温度調整恒温槽408とに分割し、温度調整恒温槽408を信号処理部恒温槽407と距離を置いて配置し、この両者の恒温槽を管路409Aと409Bで接続し、管路上に送風装置410を配置し、そして電源404と発熱体スイッチ405と温度制御回路406とを恒温槽401の外部に配置した構成となっている。また、温度センサー403からの温度モニタ信号は温度制御回路406に入力し、温度制御回路406から発熱体スイッチ405へ開閉指令を出力する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子等の粒子を加速する粒子加速器のビームモニタ装置において、特に真空ダクト内を通過する粒子群の真空ダクト断面上の通過位置を検出する加速器のビーム位置計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図14は、この種の粒子加速器の全体構成を示すブロック図である。図14において、1は線型加速器であり、所定の運動エネルギーを持つ粒子、例えば電子ビームを出力する。ここで出力された電子ビームは、粒子輸送管14を通り、静電インフレクター2によって静電偏向を受け、加速リング3の真空ダクト15A内の電子走行軌道に対して接線方向から入射する。加速リング3内には、偏向電磁石4Aが図示の斜線位置に複数個配置されており、これによって線型加速器1から入射した電子ビームを偏向させる。よって、電子ビームは、この偏向電磁石4Aが発生する磁場によって、所定の真空ダクト15Aの軌道内に収まるように制御される。
【0003】
一方、5Aは高周波加速空胴であり、この空胴内にはあらかじめ高周波電場が形成されていて、これによって電子ビームが周回軌道を回る時に失われる運動エネルギー(電磁波として失われるエネルギー)以上のエネルギーを電子ビームに与えて、これを徐々に加速する。また、この高周波加速空胴5Aは、空胴内に発生させた電場によって電子ビームを加減速することにより、周回軌道上にバンチと呼ばれる電子ビームの進行方向にいくつかに区切られた粒子集団を生成する。この電子の粒子集団数は、ハーモニック数と呼ばれる。そして、所定の運動エネルギーに到達した電子ビームは、キッカー電磁石6とデフレクター電磁石7の発生する磁場により、加速リング3内の周回軌道から外されて、粒子輸送管8内に取り出される。
【0004】
次に、ここで取り出された電子ビームは、蓄積リング9に到達して、内部にあるインフレクター電磁石10とパータベイター電磁石11の発生する磁場によって、蓄積リング9の真空ダクト15B内の周回軌道に入る。この時、蓄積リング9内には、前述した加速リング3の場合と同様に、偏向電磁石4Sが斜線位置に複数個配置されており、入射した電子ビームの持つ運動エネルギー相当の磁場を事前に発生している。電子ビームは、この磁場により所定の周回軌道内に収まるように制御される。また、蓄積リング9内の高周波加速空胴5Sは、高周波加速空胴5Aと同様な電子ビームの加速装置であり、この高周波加速空胴5S内に発生された電場によって、電子ビームを一定の運動エネルギーに保つように制御する。要するに、シンクロトロン放射現象による電子ビームの運動エネルギーの減衰を補う。
【0005】
さらに、蓄積リング9内の偏向電磁石4Sには、ビームライン12と呼ばれるポートが設けられており、所定の運動エネルギーを持つ電子ビームが偏向する時に発生するシンクロトロン放射光を、計測ポート13まで導くよう配設されている。このシンクロトロン放射光は極端紫外連続光であり、計測ポート13の光学系で分光処理された後、半導体製造装置の光源等に利用される。
【0006】
なお、図14に示した加速リング3、蓄積リング9、粒子輸送管8等には、偏向電磁石4A、4Sの他に、四極磁石や六極磁石等が装置されており、またビームライン12も複数個設けられているが、説明を簡単にする都合上、ここではその図示説明を省略している。
【0007】
次に、前述した真空ダクト15断面上の電子ビームの通過位置を検出するビーム位置計測装置について説明する。
図15は、従来のビーム位置計測装置の構成を示すブロック図であり、4個のポジション電極20を用いた場合の例を示している。
【0008】
図15において、真空ダクト15は前述したように、電子ビームの平衡軌道を収めるダクトであり、高真空に保たれている。そして、図15においてはこの真空ダクト15内に取付けたビーム位置計測装置の断面図を示したものである。ビーム位置検出装置は、加速リング3や蓄積リング9の所定の位置に複数個取付けられている。ビーム位置計測装置は、各々ビームの通過位置を検出する複数のポジション電極20−A、20−B、20−C、20−Dが真空ダクト15内に設けられている。
【0009】
いま、真空ダクト15内のA点を電子ビームが通過したとする。この電子ビームは、前述したように、進行方向にバンチした状態で通過し、この周波数は高周波加速空胴5内の高周波電場と同一であり、周波数は例えば500MHzでバンチした電子ビームが連続して、ほぼ光速でA点を通過する。従って、ポジション電極20−A、20−B、20−C、20−Dにも、この500MHzを基本波とする高周波電圧が発生する。
【0010】
ここで、各ポジション電極20の発生電圧は、電子ビームと各ポジション電極20間の距離に比例するため、図示したA点の通過では、発生電圧は20−A>20−D>20−B>20−Cの関係になる。すなわち、電子ビームの通過点に一番近いポジション電極20−Aが一番発生電圧が大きく、一番遠いポジション電極20−Cの発生電圧が一番小さいことになる。
【0011】
この各ポジション電極20で発生した高周波信号に対してアナログ信号処理回路21、デジタル信号処理回路22および計算機23で後述する所定の処理を行い、電子ビームの平衡軌道に対する水平方向の偏差量と垂直方向の偏差量を算出する。この偏差量のことを加速器の分野ではCOD(Closed Orbit Distortion)と称し、各測定点(ポジション電極取付点)のCODを算出し、図14では図示していないステアリングマグネットを用いて、水平方向、垂直方向のCODが最小となる補正を行う。この補正をCOD補正と称し、加速器の運転ではもっとも主要な調整の一つである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年のビーム位置計測装置では、複数のポジション電極からの信号を一つのデジタル信号処理回路でデジタルサンプリングし、位置演算を行う方法が一般的である。図16はビーム位置計測装置の一部分であるデジタル信号処理回路に着目した従来の一構成例を示すブロック図である。
【0013】
図16において、ポジション電極20で発生した電圧信号はアナログ信号処理回路21にて所定の処理を行った後、デジタル信号処理回路22へ入力される。デジタル信号処理回路22は、上述した様に複数のポジション電極20からの信号を単一の回路で取り扱うために、その入力段に複数のフィルター101−1〜101−nを設け、さらに複数のフィルター101−1〜101−nの各々に対応した複数のAD変換器102−1〜102−nを設けている。そして、AD変換器によってデジタル化された信号を蓄積するメモリ103と中央演算装置(CPU)104と伝送装置105とを収納している。さらに、デジタル信号処理回路22内の各装置のデジタル信号処理を制御する制御回路106とAD変換時のサンプリングクロックを制御するクロックバッファー107とを有している。
【0014】
このような構成において、制御回路106に外部から計測開始トリガ108が入力されるとクロックバッファー107へサンプル開始指令109を出力し、クロックバッファー107はあらかじめ外部から入力している外部クロック110を各AD変換器102−1〜102−nへサンプリングクロック111Aとして出力する。尚、サンプリングクロックは必ずしも外部クロックとする必要はなく、デジタル信号処理回路22内に水晶発振器等を備えた内部クロック装置を設け、これをサプリングクロックとするようにしても良い。ここでは外部クロックを入力する方式で説明を行う。
【0015】
サンプリングクロック111Aを受けた各AD変換器102−1〜102−nは各々の対応するフィルター101−1〜101−nの出力信号をサンプリングクロック111Aに従ってサンプルホールドし、各AD変換器102−1〜102−nでデジタル信号化する。デジタル化された信号は各AD変換器102−1〜102−nからメモリ103に送られて蓄積される。そして、制御回路106にサンプリングクロック111Bを入力してカウントすることで、メモリ103で必要量の信号蓄積後、クロックバッファー107から各AD変換器102−1〜102−nへ出力しているサンプリングクロック111Aを停止し、メモリ103の内容を演算する演算指令112を中央演算装置104に出力し、位置信号を演算した後、伝送装置105から外部へ出力していた。
【0016】
しかしながら、上述した方式では中央演算装置104で演算中はメモリ103の内容を書き替えられないため、一旦サンプリングクロック111Aを停止し、各AD変換器102−1〜102−nの動作を停止しなければならず、位置計測によって補正電磁石でビーム位置補正をオンラインで行うフィードバック制御システムに採用するには時間がかかりすぎるという問題があった。
【0017】
また、ビーム位置計測装置には、位置分解能の精度向上から、高精度化、高再現化を求められており、そのため温度変化による誤作動を防止する目的で恒温槽を設けて信号処理回路の周回温度をある特定の値で所定範囲内に制御する方法を採用しているものがある。図17はビーム位置計測装置の一部分であるアナログ信号処理回路に着目した従来の構成例を示すブロック図である。
【0018】
図17の真空ダクト15、ポジション電極20−A〜20−Dおよびデジタル信号処理回路22については図16と同様のため説明を省略する。ポジション電極20−A〜20−Dで誘起された高周波信号は時系列にマルチプレクサされ、もしくはそのまま直接アナログ信号処理回路21に入力して所定の処理を行う。図17では時系列にマルチプレクサした後アナログ信号処理回路21に入力する方法を示している。アナログ信号処理回路21は恒温槽401で外部と隔離した構造とし、その内部には発熱体402と温度センサー403を具備している。一方恒温槽401の外部には発熱体402へ電力供給を行う電源404を配置し、発熱体402への電力供給回路上に発熱体スイッチ405を備えている。また、温度センサー403からの温度モニタ信号は温度制御回路406に入力し、同制御回路406から発熱体スイッチ405へ開閉指令を出力する構成である。
【0019】
このような構成で発熱体スイッチ405を閉とすれば、発熱体402に電力供給が行われ、恒温槽401内の温度は上昇する。そして温度センサー403にて温度監視を行い、あらかじめ設定した所定の上限温度との比較を温度制御回路406で行って、所定の上限温度に達したところで発熱体スイッチ405を開とすることで発熱体402への電力供給を断つ。その後恒温槽401内の温度が下降し、あらかじめ設定した所定の下限温度との比較を温度制御回路406で行って、所定の下限温度に達したところで発熱体スイッチ405を再び閉とする。このような作用を繰り返すことで恒温槽401内の温度はある特定の値で所定範囲内に制御することができる。
【0020】
しかしながら、発熱体402がアナログ信号処理回路21の直近にあるため、発熱体スイッチ405の開閉による逆起電力がアナログ信号処理回路21のノイズ源となり、S/Nを低減させることによって信号計測精度の悪化をまねいていた。
【0021】
更に図15において、従来のアナログ信号処理回路21(以降、位置信号処理回路と同じ意味)の出力はそのままデジタル信号処理回路22(以降、アナログ入力手段とプロセッサと同じ意味)に入力される。このように構成された場合は、信号の絶対値が小さくなる範囲でも相対的な精度を確保するためにディジタル信号処理回路における量子化ビット数を増やす必要がある。しかしながら、量子化ビット数を増やすと変換処理スピードが遅くなるという課題があった。
【0022】
また、図15において、従来のアナログ信号処理回路21の出力信号はデジタル信号処理回路22に入力される際に、図示していないが、アナログ信号処理回路21からのトリガ信号をデジタル信号処理回路22に入力することにより相互に同期をとっている。
【0023】
このように構成された場合は、アナログ信号処理回路21の出力信号はデジタル信号処理回路22が近接して設置される場合は良いが、複数のアナログ信号処理回路21が分散して設置され、かつデジタル信号処理回路22を遠隔に設置しなければならない場合には複数の信号間の同期を確保できなくなるという問題がある。特に、大規模な加速器システムでこの問題は顕著となる。
【0024】
更にまた、図15において、従来のアナログ信号処理回路21の出力信号はデジタル信号処理回路22に入力し、デジタル信号処理回路22において、ビーム位置を適正値とするよう電磁石を励磁する電流値を演算して電磁石電源に対して電流基準値を出力している。これは、ビーム位置のフィードバック制御を行うことを意味している。このようなビーム位置のフィードバック制御は、位置信号が所定の範囲外では適切な制御を行うことが困難で、通常はフィードバック制御が可能な範囲となったか否かを人が判断して、可能となった場合にフィードバック制御を有効とするといった複雑な操作を行っている。
【0025】
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであり、ノイズ源のない恒温槽を備え、高精度、高再現性があり、大規模加速器における複数のビーム位置計測手段を設置する場合に、それぞれのビーム位置計測信号の同期を確保することができ、更に、人の判断と操作を不要とするビーム位置フィードバック制御装置を可能とした加速器のビーム位置計測装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発明は、電子ビームの平衡軌道を収める真空ダクト内に設けられた複数のポジション電極と、このポジション電極で発生した電圧信号をアナログ処理するアナログ信号処理回路と、このアナログ信号処理回路のアナログ信号の帯域を制限するフィルターと、サンプリングクロックに従ってデジタルサンプリングを行うAD変換器と、デジタルサンプリングしたデータを蓄積するメモリと、このメモリに蓄積されたデータを演算処理する中央演算装置と、中央演算装置で演算処理した信号を伝送する伝送回路と、これらのデジタル信号処理を制御する制御回路とを備えた加速器のビーム位置計測装置において、アナログ信号処理回路を収納する恒温槽と、この恒温槽内部に収納された発熱体と、前記恒温槽内部に収納された温度センサーと、発熱体に電力を供給する電源と、この電力供給回路を開閉する発熱体スイッチと、温度センサーからの監視信号で恒温槽内の温度制御を行う温度制御回路とを備え、前記恒温槽を発熱体を収納する温度調整恒温槽と温度センサーおよびアナログ信号処理回路を収納する信号処理部恒温槽に分割し、温度調整恒温槽と信号処理部恒温槽とを管路で接続することを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、発熱体を収納した温度調整恒温槽がアナログ信号処理回路を収納した信号処理部恒温槽から距離を置いているため、発熱体スイッチの開閉に伴う逆起電力によるノイズがアナログ信号処理回路のノイズ源となることを防ぐ。
【0028】
上記目的を達成するため、本発明の請求項2に記載の発明は、温度調整恒温槽内部に冷却器を収納し、恒温槽外部に前記冷却器の熱を放熱する放熱器を備えることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、温度調整恒温槽と信号処理部恒温槽の温度を冷却器の能力内で周囲温度より低減することが可能であり、温度で決定される熱雑音を低減する。
【0030】
上記目的を達成するため、本発明の請求項3に記載の発明は、信号処理部恒温槽を信号処理毎に複数に分割し、各信号処理部恒温槽に温度センサーと送風装置とを収納することを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、複数の信号処理回路毎に恒温槽と温度センサーと送風装置を具備しているため、各々の恒温槽の体積が少なく、従って温度分布のバラツキが少ない温度制御を各恒温槽で実現することができる。
【0032】
上記目的を達成するため、本発明の請求項4に記載の発明は、電子ビームの平衡軌道を内蔵する真空ダクト内に設けられたポジション電極と、このポジション電極で発生した電圧信号をアナログ処理するアナログ信号処理回路と、このアナログ処理回路のアナログ信号の帯域を制限するフィルターと、サンプリングクロックに従ってデジタルサンプリングを行うAD変換器と、デジタルサンプリングしたデータを蓄積するメモリと、このメモリに蓄積されたデータを演算処理する中央演算装置と、中央演算装置で演算処理した信号を伝送する伝送回路と、これらのデジタル信号処理を制御する制御回路とを備えた加速器のビーム位置計測装置において、電子ビームの位置信号処理回路と、この位置信号処理回路の出力によりゲインを判定するゲイン判定手段と、このゲイン判定手段により前記の位置信号処理回路の出力の減衰量を切換える減衰量切換え手段と、この減衰量切換え手段の出力をデジタルデータに変換してプロセッサに入力するアナログ信号入力手段と、前記のゲイン判定手段の選択信号をデジタルデータとしてプロセッサに入力するデジタル入力手段とを備え、前記のアナログデータに対して、減衰量の補正をプロセッサで行うことを特徴とする。
この発明によれば、プロセッサは、減衰器データをもとに、位置データを減衰させる前の数値に復元させる。
【0033】
上記目的を達成するため、本発明の請求項5に記載の発明は、複数の位置信号処理回路のそれぞれに閉軌道信号を与え、位置信号処理回路はこの閉軌道信号からのずれ量を位置信号として出力することを特徴とする。
この発明によれば、COD値からの変化分が微小であっても精度良く計測することが可能で有る。
【0034】
上記目的を達成するため、本発明の請求項6に記載の発明は、複数の位置信号処理回路のそれぞれに位置信号処理トリガ信号を与え、かつ、複数のアナログ信号入力手段のそれぞれにディジタル変換トリガ信号を与える同期信号発生手段を備え、この同期信号発生手段が複数の位置信号処理トリガ信号および複数のディジタル変換トリガ信号のそれぞれに対してディレー時間を与えることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、ディレー設定手段は、ディレーラインを用いて、個々にディレー値を設定できるため、大規模システムにおける信号ケーブル長の相違によるタイミング動作のずれをなくし、複数の位置計測信号の同期を確保することが可能となる。
【0036】
上記目的を達成するため、本発明の請求項7に記載の発明は、位置入力手段による位置データを用いてフィードバック制御の可否を判定するフィードバック判定手段と、このフィードバック判定手段によりフィードバック制御が可能と判断したときにフィードバック制御を有効としこのフィードバック基準値に対して基準値設定手段による基準値を加算する基準値加算手段を備えることを特徴とする。
この発明によれば、位置フィードバック制御を人手を煩わす必要無く自動で動作させることが可能となる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、加速器のビーム位置計測装置において、恒温槽を備え、この恒温槽を発熱体を収納する温度調整恒温槽と温度センサーおよびアナログ信号処理回路を収納する信号処理部恒温槽に分割するようにし、更には、電子ビームの位置信号処理回路の出力によりゲインを判定し、このゲイン判定手段により位置信号処理回路の出力の減衰量の補正をプロセッサで行うようにしたので、高速入出力が行え、高精度、高再現性があり、大規模加速器における複数のビーム位置計測手段を設置する場合に、それぞれのビーム位置計測信号の同期を確保することが出来、更にまた、人の判断と操作を不要とするビーム位置フィードバック制御装置を備えた加速器のビーム位置計測装置を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(第1の実施の形態)
以下本発明第1の実施の形態について図1を参照して説明する。図1において、本実施の形態における加速器のビーム位置計測装置は、デジタル信号処理回路22に2台のメモリ103Aと103Bとを設け、各々のメモリ103A、103Bを切換回路150と151とに接続する。そして従来と同様に複数のフィルター101−1〜101−nと、各々のフィルターに対応した複数のAD変換器102−1〜102−nを配置し、中央演算装置104と伝送装置105とを備え、さらに制御回路106とクロックバッファー107とを有した構成となっている。
【0039】
このような構成において、制御回路106に外部からの計測トリガ108が入力されるとクロックバッファー107へサンプル開始指令109を出力し、あらかじめ外部から入力している外部クロック110を各AD変換器102−1〜102−nへサンプリングクロック111Aとして出力する。サンプリングクロック111Aを受けた各AD変換器102−1〜102−nは各々の対応するフィルター101−1〜101−nの出力信号をサンプリングクロック111Aに従ってサンプルホールドしデジタル信号化する。デジタル化された信号は各AD変換器102−1〜102−nから切換回路150によって接続されているメモリ103Aに送られて蓄積する。そして制御回路106にサンプリングクロック111Bを入力してカウントすることでメモリ103Aで必要量の信号蓄積後、制御回路106は切換回路150と151に対し切換指令160と161を同時に出力することにより接続ラインを各々切り換える。切換指令160により切換回路150はメモリ103Bに接続され、各AD変換器102−1〜102−nからのデータ蓄積を継続して行うと同時に、切換指令161により切換回路151はメモリ103Aと接続される。制御回路106より演算指令112を中央演算装置104に出力する。メモリ103Bで必要量の信号蓄積後は、制御回路106により、切換回路150と151に対し切換指令160と同161を出力し、互いの処理を切換えながら処理を継続させる。中央演算装置104は従来同様にメモリ103Aと103Bから出力された位置信号を演算した後、伝送装置105から外部へ出力する。
【0040】
このような構成によれば、2台のメモリ103Aと103Bを配置し制御回路106により切換制御することで、片方のメモリでAD変換器102−1〜102−nからのデータ入力処理行いながら同時にもう一方のメモリの内容を中央演算装置104で演算を行うことが可能となり、AD変換器102−1〜102−nでのサンプルホールドを停止することのない、フィードバック制御を可能とする高速入出力が行える。
【0041】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について図2を参照して説明する。図2(A)に示すように本実施の形態のデジタル信号処理回路22は図1に示した構成において、ポジション電極20を時系列に切換える信号に同期した電極切換トリガ信号201を制御回路106に入力する構成としている。
【0042】
この構成の作用を、図2(B)を参照して説明する。図2(B)は図2(A)の各要素の動作について時間の経過にそって図示した動作タイムチャートである。
【0043】
制御回路106に外部からの計測開始トリガ信号108が入力されると(T1)、AD変換器102−1〜102−nでデータのサンプリングが行われメモリ103A又は103Bにデータが蓄積される。ここで、複数のポジション電極20−A〜20−Dからの信号は時系列に切換えられて処理されるために、対応するAD変換器の出力信号も時系列に変化する。
【0044】
今、一つのAD変換器、例えば102−2のサンプリング後の出力に注目するとその内容は図2(B)のサンプルデータに示す状況となる。サンプルデータのAがポジション電極20−Aに対応し、順次サンプルデータBがポジション電極20−Bに……、そしてサンプルデータDがポジション電極20−Dに対応する。
【0045】
そして、制御回路106に計測開始トリガ信号108が入力された(T1)後、ポジション電極20−Aの接続に同期した電極切換トリガ信号201−1の入力があると(T2)、制御回路106は接続されているメモリ103A又は103Bに対し電極識別信号211−1を出力し(T3)、電極識別信号211−1を書きこんだ後にポジション電極20-Aに対応したサンプルデータAを蓄積する(T4)。
【0046】
次に、電極20−Bの接続切換に同期した電極切換トリガ信号201−2の入力があると(T5)、制御回路106は前記と同様にしてメモリ103A又は103Bに対し電極識別信号211−2を出力し(T6)、電極識別信号211−2を書きこんだ後にポジション電極20−Bに対応したサンプルデータBを蓄積する(T7)。以降発生する電極切換トリガ信号201−3、201−4(T8、T9)に対し同様に、電極識別信号211−3、211−4を出力し(T10、T11)、メモリ103A又は103Bに書き込み制御を繰り返すことで、メモリ103A又は103Bのアドレスに蓄積されるデータは図2(B)で示す内容で保持される。
【0047】
このような構成によれば、各々のポジション電極20の信号をメモリ103A又は103Bでデータ蓄積された時点で電極識別信号211−1から211−4で識別できることになり、中央演算装置104で電極信号識別処理を必要としなくなるため、高速入出力が行える。
【0048】
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態について図3を参照して説明する。図3に示すように、本実施の形態のデジタル信号処理回路22は図2(A)に示した構成において、過渡部設定手段301を設け、この過渡部設定手段301から制御回路106へ過渡部設定信号311を出力するようにしている。
【0049】
このような構成における各要素の動作については前述した図2に示したものと同一である。従って、メモリ103A又は103Bには図2(B)で示す内容のデータが保持される。そして、このデータは中央演算装置104にて演算されるのであるが、この時にサンプルデータA〜D各々において、あらかじめ制御回路106に過渡部設定手段301からの過渡部設定信号311にて設定された個数を、各々の先頭アドレスから使用しないで演算するようにする。よって、中央演算装置104で演算される位置信号はサンプルデータA〜Dの各々に含まれている、電極切換からの特定時間にサンプリングされた過渡データを除いて演算することができる。
【0050】
このような構成によれば、外部からの過渡部設定手段301から設定される過渡部設定信号311によって、蓄積されたデータのうち不安定データを排除し処理を行うことにより、位置信号計測精度が向上し、高速入出力が行える。
【0051】
(第4の実施の形態)
次に本発明の第4の実施の形態について図4を参照して説明する。図4に示すように、本実施の形態のアナログ信号処理回路21は、恒温槽401を信号処理回路と温度センサー403を収納した信号処理部恒温槽407と発熱体402を収納した温度調整恒温槽408とに分割し、温度調整恒温槽408を信号処理部恒温槽407と距離を置いて配置し、この両者の恒温槽を管路409Aと409Bで接続し、管路上に送風装置410を配置し、そして電源404と発熱体スイッチ405と温度制御回路406とを恒温槽401の外部に配置した構成となっている。また、温度センサー403からの温度モニタ信号は温度制御回路406に入力し、温度制御回路406から発熱体スイッチ405へ開閉指令を出力する構成は従来と同様である。
【0052】
このような構成において、発熱体スイッチ405を閉とすれば発熱体402に電力供給が行われ温度調整恒温槽408内の温度は上昇する。温度調整恒温槽408内の温度上昇した空気は送風装置410により管路409Aを通って信号処理部恒温槽407へ送られるので、信号処理部恒温槽407内の温度も上昇する。そして温度センサー403にて温度監視を行い、あらかじめ設定した所定の上限温度との比較を温度制御回路406で行って、所定の上限温度に達したところで発熱体スイッチ405を開とすることで発熱体402への電力供給を断つ。その後信号処理部恒温槽407内の温度が下降し、あらかじめ設定した所定の下限温度との比較を温度制御回路406で行って、所定の下限温度に達したところで発熱体スイッチ405を再び閉とする。このような作用を繰り返すことで信号処理部恒温槽407内の温度はある特定の値で所定範囲内に制御される。
【0053】
このような構成によれば、信号処理部恒温槽407から距離を置いた温度調整恒温槽408に発熱体402を収納しているため、発熱体スイッチ405を開閉することで発生する逆起電力によるノイズがアナログ信号処理回路21のノイズ源となることを防止でき、かつ、アナログ信号処理回路21は信号処理部恒温槽407である特定の温度で所定範囲に保たれる。よって、信号処理回路にノイズ源のない恒温槽を備え、高精度、高再現性が実現できる。
【0054】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態について図5を参照して説明する。図5に示すように本実施の形態のアナログ信号処理回路21は図4に示した構成において、温度調整恒温槽408内に冷却器501を併設収納し、恒温槽401の外部に冷却器501の発生する熱を放出する放熱器502と冷却器スイッチ503を併設配置し、電源404から発熱体スイッチ405と発熱体402に電力供給するように、冷却器スイッチ503と放熱器502へも並列に電力供給する構成となっている。また、温度制御回路406から冷却器スイッチへも開閉指令を出力する構成となっている。
【0055】
このような構成において、発熱体スイッチ405を開閉することで信号処理部恒温槽407の温度制御ができることは前述した通りである。しかし図5においては発熱体スイッチ405の他に冷却器スイッチ503を具備しており、この冷却器スイッチ503を開閉することで、冷却器501に接続された放熱器502に電力を供給したり断ったりすることができる。即ち、冷却器501で温度調整恒温槽408内の温度を恒温槽401の周囲温度より低減することが可能であり、従って信号処理部恒温槽407の温度も周囲温度より低減された温度で所定範囲に制御できる。
【0056】
このような構成によれば、信号処理部恒温槽407から距離を置いた温度調整恒温槽408に発熱体402や冷却器501を収納しているため、発熱体スイッチ405を開閉することで発生する逆起電力によるノイズがアナログ信号処理回路21のノイズ源となることを防止でき、かつ、信号処理回路は信号処理部恒温槽407である任意の温度で所定範囲に保たれる。そして、その任意の温度は恒温槽401の周囲温度より低減させることが可能であり、熱雑音を低減することが可能となる。よって、信号処理回路にノイズ源のない恒温槽を備え、より高精度、高再現性が実現できる。
【0057】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態について図6を参照して説明する。図6に示すように、本実施の形態は図5に示した構成において、信号処理部恒温槽407を処理回路毎恒温槽601−1〜601−nに分割し、同恒温槽601−1〜601−nには各々処理回路毎温度センサー602−1〜602−nを収納し、さらに、処理回路毎送風装置603−1〜603−nを配置した構成となっている。また、処理回路毎温度センサー602−1〜602−nの出力は温度制御回路406に接続され、処理回路毎送風装置603−1〜603−nも温度制御回路406から制御される構成となっている。
【0058】
このような構成において、発熱体スイッチ405を開閉することと冷却器スイッチ503を開閉することで温度調整恒温槽408内の温度を任意の温度で制御できる。そして処理回路毎に分割された処理回路恒温槽601−1〜601−n内の温度は各々の処理回路毎温度センサー602−1〜602−nで温度監視され、あらかじめ設定した所定の上限温度との比較を温度制御回路406で行って、各々が所定の上限温度に達したところで対応する処理回路毎送風装置603−1〜603−nを停止する。その後処理回路毎恒温槽601−1〜601−n内の温度が下降し、あらかじめ設定した所定の下限温度との比較を温度制御回路406で行って、各々が所定の下限温度に達したところで処理回路毎送風装置603−1〜603−nを再度運転する。このような作用を繰り返すことで処理回路毎恒温槽601−1〜601−n内の温度はある任意の値で所定範囲内に制御できる。従って、信号処理部の恒温槽の体積が小さいので、処理回路毎恒温槽601−1〜601−n内はより均一な温度制御を行うことが可能である。
【0059】
このような構成によれば、信号処理毎恒温槽601−1〜601−nから距離を置いた温度調整恒温槽408に発熱体402や冷却器501を収納しているため、発熱体スイッチ405を開閉することで発生する逆起電力によるノイズがアナログ信号処理回路のノイズ源となることを防止でき、かつ、アナログ信号処理回路21は処理回路毎恒温槽601−1〜601−nで任意でより均一な温度で所定範囲に保たれる。そして均一な温度に制御されることでより誤差の増減のない安定的な処理回路となる。
【0060】
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態について図7を参照して説明する。図7に示すように、本実施の形態は位置センサ700に接続した位置信号処理回路701と、この位置信号処理回路701の出力によりゲインを判定するゲイン判定手段702と、このゲイン判定手段702により前記の位置信号処理回路701の出力の減衰量を切換える減衰量切換え手段703と、この減衰量切換え手段703の出力を位置データに変換してプロセッサ706に入力にするアナログ信号入力手段704と、前記のゲイン判定手段702の選択信号を減衰量データとしてプロセッサ706に入力するデジタル入力手段705を備えている。
【0061】
この減衰量データは、減衰しない選択のときは1、アッテネータが挿入される選択のときは、その減衰量(例えば、0.3)を示す数値となる。プロセッサ706は、位置データに対して、減衰量データの逆数を乗じる補正を行う。図8は、このようなプロセッサ706の作用を説明するものであり、位置信号が所定のレベルLより大きい範囲においてはアッテネータにより信号は減衰させてアナログ信号入力手段704の入力可能な範囲としている。このとき、プロセッサ706は減衰量の逆数を位置データに乗ずるため、位置データは減衰前の数値に復元される。Lより信号レベルが低下すると、アッテネータの挿入なしに切り替わり、減衰量なしの数値となる。
このような構成によれば、信号レベルの低くなる範囲でも、相対的な精度を確保することがきる。
【0062】
(第8の実施の形態)
次に、第8の実施の形態について図9を参照して説明する。図9に示すように、本実施の形態は、減衰量切換え手段703に対する切換え信号が、デジタル信号出力手段708より出力される。位置信号処理回路701は、アナログ信号出力手段709よりCOD相当の位置信号が与えられる。デジタル信号出力手段708とアナログ信号出力手段709は、プロセッサ706とバスでつながり、プロセッサ706より出力値を指定できる。
【0063】
このような構成における作用を図10のタイムチャートにより説明する。この図で、アナログ信号入力手段704に入力される信号はBのように変化する。このとき、減衰量切換え手段703は、減衰を挿入する側に切り替えられている
(この状態をCODモードと称する)。また、アナログ信号出力手段709はBで示すように0を出力する。信号Bは、プロセッサ706の演算動作により平均化されて、その平均値をCOD値とする。この平均化時間は、必要十分な時間を予め定めておくことができる。COD値が定まったところで、Cのタイミングにおいて、アナログ信号出力手段709は、出力値をCOD値(D)に切換え、かつ、デジタル信号出力手段708により、減衰量切換え手段703を減衰無しの側に切換える。この動作により、位置信号処理回路701は、COD値からの変化分を出力し、かつ減衰が挿入されなくなるので、アナログ信号入力手段704の入力信号は、Eのように、COD値からの変化分となる。
このような構成によれば、COD値からの変化分が微小であっても、精度良く計測することが可能となる。
【0064】
(第9の実施の形態)
次に、第9の実施の形態について図11を参照して説明する。図11に示すように、本実施の形態は、複数の位置信号処理回路701のそれぞれに位置信号処理トリガ信号711を与え、かつ、複数のアナログ信号入力手段704のそれぞれにデジタル変換トリガ信号712を与える同期信号発生手段710を備え、この同期信号発生手段710が複数の位置信号処理トリガ信号711および複数のデジタル変換トリガ信号712のそれぞれに対してディレー時間を与える構成となっている。
【0065】
図12は、同期信号発生手段710の一例を示す。周期信号発生回路720の出力は、ディレー設定手段721−1〜721−iに分岐して入力し、これらディレー設定手段721−1〜721−iの出力が複数の位置信号処理回路701のそれぞれに与えられる。また、周期信号発生回路720の出力は、ディレー設定手段722を介して、ディレー設定手段723−1〜723−jに分岐して入力し、これらディレー設定手段723−1〜723−jの出力が複数のアナログ信号入力手段704のそれぞれに与えられる。
【0066】
このような構成によれば、ディレー設定手段は、ディレーラインを用いて、個々にディレー値を設定できるため、大規模システムにおける信号ケーブル長の相違によるタイミング動作のずれをなくし、複数の位置計測信号の同期を確保することが可能となる。
【0067】
(第10の実施の形態)
次に、第10の実施の形態について図13を参照して説明する。図13に示すように、本実施の形態は、位置信号入力手段730による位置データを用いてフィードバック制御の可否を判定するフィードバック判定手段731と、このフィードバック判定手段731によりフィードバック制御が可能と判断したときにフィードバック制御手段732を有効としてこのフィードバック制御手段732の出力のフィードバック基準値に対して基準値設定手段733において基準値を加算する基準値加算手段734を備えている。
【0068】
ここで、基準値設定手段733は、フィードバック制御なしの場合の各電磁石の電流基準値を与えるものであり、この基準値が適正に与えられることにより、ビーム位置はフィードバック制御の可能な範囲とすることができる。通常は、この基準値は理論計算値を基にするが、動作させてから電磁石電流値の微調整を行った結果を反映させる場合が多い。
【0069】
表1は、位置信号入力手段730により得られる位置信号に対して、それぞれに上限値と下限値を記録する表であり、フィードバック判定手段731はすべての信号が、この表で与えられる上限値と下限値の範囲となったときにフィードバック制御が有効と判断する。
【表1】

【0070】
このような構成によれば、位置フィードバック制御を人手を煩わす必要無く自動で動作させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1の実施の形態に係るデジタル信号処理回路を示すブロック図。
【図2】第2の実施の形態に係るデジタル信号処理回路を示すブロック図。
【図3】第3の実施の形態に係るデジタル信号処理回路を示すブロック図。
【図4】第4の実施の形態に係るアナログ信号処理回路を示すブロック図。
【図5】第5の実施の形態に係るアナログ信号処理回路を示すブロック図。
【図6】第6の実施の形態に係るアナログ信号処理回路を示すブロック図。
【図7】第7の実施の形態に係るビーム位置計測装置の構成を示すブロック図。
【図8】第7の実施の形態に係る作用を説明する波形図。
【図9】第8の実施の形態に係るビーム位置計測装置の構成を示すブロック図。
【図10】第8の実施の形態に係る作用を説明する波形図。
【図11】第9の実施の形態に係るビーム位置計測装置の構成を示すブロック図。
【図12】第9の実施の形態に係る同期信号発生手段の構成を示すブロック図。
【図13】第10の実施の形態に係るビーム位置制御装置の構成を示すブロック図。
【図14】加速器全体の構成を示す概要図。
【図15】加速器のビーム位置計測装置を示す概略ブロック図。
【図16】従来の加速器のビーム位置計測装置におけるデジタル信号処理回路を示すブロック図。
【図17】従来の加速器のビーム位置計測装置におけるアナログ信号処理回路を示すブロック図。
【符号の説明】
【0072】
1…線型加速器、3…加速リング、9…蓄積リング、15A,15B…真空ダクト、20A,20B,20C,20D…ポジション電極、21…アナログ信号処理回路、22…デジタル信号処理回路、101−1〜101−n…フィルター、102−1〜102−n…AD変換器、103A,103B…メモリ、104…中央演算装置、105…伝送装置、106…制御回路、150,151…切換回路、301…過渡部設定手段、402…発熱体、403…温度センサ、407…信号処理部恒温層、408…温度調整恒温槽、410…送風装置、501…冷却器、502…放熱器、601−1〜601−n…処理回路毎恒温槽、700…位置センサ、701…位置信号処理回路、702…ゲイン判定手段、703…減衰量切換え手段、704…アナログ信号入力手段、705…デジタル信号入力手段、706…プロセッサ、708…デジタル信号出力手段、709…アナログ信号出力手段、720…同期信号発生回路、721…ディレー設定手段、731…フィードバック判定手段、732…フィードバック制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームの平衡軌道を収める真空ダクト内に設けられた複数のポジション電極と、このポジション電極で発生した電圧信号をアナログ処理するアナログ信号処理回路と、このアナログ信号処理回路のアナログ信号の帯域を制限するフィルターと、サンプリングクロックに従ってデジタルサンプリングを行うAD変換器と、デジタルサンプリングしたデータを蓄積するメモリと、このメモリに蓄積されたデータを演算処理する中央演算装置と、中央演算装置で演算処理した信号を伝送する伝送回路と、これらのデジタル信号処理を制御する制御回路とを備えた加速器のビーム位置計測装置において、アナログ信号処理回路を収納する恒温槽と、この恒温槽内部に収納された発熱体と、前記恒温槽内部に収納された温度センサーと、発熱体に電力を供給する電源と、この電力供給回路を開閉する発熱体スイッチと、温度センサーからの監視信号で恒温槽内の温度制御を行う温度制御回路とを備え、前記恒温槽を発熱体を収納する温度調整恒温槽と温度センサーおよびアナログ信号処理回路を収納する信号処理部恒温槽に分割し、温度調整恒温槽と信号処理部恒温槽とを管路で接続することを特徴とする加速器のビーム位置計測装置。
【請求項2】
温度調整恒温槽内部に冷却器を収納し、恒温槽外部に前記冷却器の熱を放熱する放熱器を備えることを特徴とする請求項1記載の加速器のビーム位置計測装置。
【請求項3】
信号処理部恒温槽を信号処理毎に複数に分割し、各信号処理部恒温槽に温度センサーと送風装置を収納することを特徴とする請求項2記載の加速器のビーム位置計測装置。
【請求項4】
電子ビームの平衡軌道を収める真空ダクト内に設けられた複数のポジション電極と、このポジション電極で発生した電圧信号をアナログ処理するアナログ信号処理回路と、このアナログ信号処理回路のアナログ信号の帯域を制限するフィルターと、サンプリングクロックに従ってデジタルサンプリングを行うAD変換器と、デジタルサンプリングしたデータを蓄積するメモリと、このメモリに蓄積されたデータを演算処理する中央演算装置と、中央演算装置で演算処理した信号を伝送する伝送回路と、これらのデジタル信号処理を制御する制御回路とを備えた加速器のビーム位置計測装置において、電子ビームの位置信号処理回路と、この位置信号処理回路の出力によりゲインを判定するゲイン判定手段と、このゲイン判定手段により前記の位置信号処理回路の出力の減衰量を切換える減衰量切換え手段と、この減衰量切換え手段の出力をデジタルデータに変換してプロセッサに入力するアナログ信号入力手段と、前記のゲイン判定手段の選択信号をデジタルデータとしてプロセッサに入力するデジタル入力手段とを備え、前記のアナログデータに対して、減衰量の補正をプロセッサで行うことを特徴とする加速器のビーム位置計測装置。
【請求項5】
複数の位置信号処理回路のそれぞれに閉軌道信号を与え、位置信号処理回路はこの閉軌道信号からのずれ量を位置信号として出力することを特徴とする請求項4記載の加速器のビーム位置計測装置。
【請求項6】
複数の位置信号処理回路のそれぞれに位置信号処理トリガ信号を与え、かつ、複数のアナログ信号入力手段のそれぞれにディジタル変換トリガ信号を与える同期信号発生手段を備え、この同期信号発生手段が複数の位置信号処理トリガ信号および複数のディジタル変換トリガ信号のそれぞれに対してディレー時間を与えることを特徴とする請求項4記載の加速器のビーム位置計測装置。
【請求項7】
位置入力手段による位置データを用いてフィードバック制御の可否を判定するフィードバック判定手段と、このフィードバック判定手段によりフィードバック制御が可能と判断したときにフィードバック制御を有効としこのフィードバック基準値に対して基準値設定手段による基準値を加算する基準値加算手段を備えることを特徴とする請求項4記載の加速器のビーム位置制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−227387(P2007−227387A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57236(P2007−57236)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【分割の表示】特願2002−100790(P2002−100790)の分割
【原出願日】平成14年4月3日(2002.4.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221096)東芝システムテクノロジー株式会社 (117)
【Fターム(参考)】