説明

動き検出装置

【課題】動き検出の精度を向上させることが可能な動き検出装置を提供すること。
【解決手段】色分離回路41は、入力された映像のRGBデータを色信号に分離する。分割ウィンドウ積算処理回路42は、画面全体を分割した複数のウィンドウのそれぞれに対して色信号レベル検波を行ない、積算パラメータを算出する。減算処理回路24は、分割ウィンドウ積算処理回路42によって算出されたウィンドウごとの積算パラメータの中から、指定されたウィンドウの積算パラメータについて、最新フレームの積算パラメータと1フレーム前の積算パラメータとの減算を行なう。そして、比較器27は、減算処理回路24による減算結果と予め定められた閾値とを比較し、指定されたウィンドウごとに動きがあるか否かを判定する。したがって、動き検出の精度を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力映像信号に基づいて動きを検出する技術に関し、特に、入力映像信号の輝度成分および色度成分の両方を用いて動きを検出する、監視カメラシステム、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなどに用いられる動き検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野で映像信号を処理する画像処理技術が盛んに開発されている。その1つとして、動きを検出する技術を挙げることができる。従来、動き検出装置は、入力映像信号の平均輝度レベルの変化を検出して動きを判定したり、物体が監視領域内に侵入することによって発生する入力信号の時間的な変動差分をフィールド単位で比較し、その変化量が予め定められた閾値を超えた場合に動きがあると判定したりするものであった。
【0003】
すなわち、設定された検出枠における現フィールドの画像と前フィールドの画像との同一アドレスにおける差分値を求め、絶対値化した後、変動差分に基づいて動きの有無を検出するものが一般的であった。これに関連する技術として、下記の特許文献1〜6に開示された発明がある。
【0004】
特許文献1は、撮像カメラで撮像した監視映像を異常事態の発生時にのみ警備センター側に送信することを目的とする。テレビカメラで監視対象を撮像した監視映像について、映像フレームを所定の映像ブロックに分割し、この映像ブロック毎にヒストグラム化してその特徴を抽出し、そのヒストグラム値について異なる映像フレーム間で差分を求め、差分が所定のしきい値より大きい場合に映像の変化を判定する。この際、ヒストグラム値の分布を正規化して映像フレーム全体の明るさの変化やヒストグラム値の暗部分への局在を補正するなどして、判定精度を向上する。
【0005】
特許文献2は、テレビ受像機によって受信されたビデオ信号において、真の動きから偽の動きを識別する手法を実施及び使用するコンピュータプログラム製品を含む方法及び装置を提供することを目的とする。ビデオ信号は、輝度成分と色度成分とを含む。動き検出処理は、受信ビデオ信号のいくつかの周波数領域において、色度成分及び輝度成分のそれぞれについて実行される。各周波数領域は、真の動きから偽の動きを識別するための固有の調節可能な閾値を有し、閾値は着信ビデオ信号に基づいて動的に調節され、結果として、ビデオ信号により表現されテレビ受像機での表示の対象となる画像において、動き検出の精度が向上し、画像アーチファクトが最小化される。
【0006】
特許文献3は、必要な変化のみを効率よく検出することが出来る画像処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。画像処理装置は、第1の画像データと第2の画像データを同一の分割パターンで複数のエリアに分割し、第1の画像データ及び第2の画像データについて、各エリアに属する画素の色又は輝度に関する画素値を集計してエリア画素値を演算する手段と、分割パターンによって分割される各エリアに関連づけて各エリアのエリア画素値の差分判定に用いるしきい値を記憶するしきい値記憶手段と、第1の画像データと第2の画像データの対応するエリアのエリア画素値の差分を演算し、差分とエリアに関連づけてしきい値記憶手段に記憶されたしきい値とを比較して、差分がしきい値の範囲内に収まっているか否か判断し、収まっていない場合に変化ありと検出する画像変化検出処理を行う手段とを含む。
【0007】
特許文献4は、フレーム間における動き検出の際、エッジ部分の誤検出、特に、動きのあるエッジ部分の誤検出を防止することを目的とする。予め定められた第1のフレーム信号から、第1のエッジ検出信号を得る第1のエッジ検出回路と、第1のフレーム信号とは異なる時間における第2のフレーム信号から第2のエッジ検出信号を得る第2のエッジ検出回路とを備え、第1及び第2のエッジ検出信号を判定回路で判定することにより、フレーム間で動きのあるエッジ部分を正しく検出できる動き処理回路が得られる。
【0008】
特許文献5は、画像の動きを精度良く検出することを目的とする。画像の動きが、画素の輝度の変化と色相の変化の両方に基づいて検出される。7個の輝度が変化している画素が得られるとともに、6個の色相が変化している画素が得られた場合、輝度または色相のうちの少なくともいずれか一方が変化している9個の画素により構成される領域が、動きのあった領域とされる。
【0009】
特許文献6は、メモリ容量を減らしてコスト削減を図ると共に、1フレーム毎に現れる速い色信号の動きを検出することを目的とする。入力複号映像信号の1フレーム間差分演算を減算器で行い、差分結果に基づき輝度信号低域成分の動きを検出する非線形回路と、入力複号映像信号の1フレーム間加算演算を加算器で行い、加算結果に基づき、色信号成分の動きを検出する非線形回路と、輝度信号の低域成分の1フレーム間差分値レベルを第1の設定値と比較する比較回路とを備える。さらに、減算器で入力複号映像信号の1フレーム間差分演算を行い色信号成分を得、この色信号成分のレベルを第2の設定値と比較する比較回路と、比較回路の比較結果に応じ、非線形回路の色信号動き検出結果が静画となる様に制御するゲート回路と、非線形回路とゲート回路との出力を選択導出する最大値選択回路とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−184359号公報
【特許文献2】特開2005−184849号公報
【特許文献3】特開2004−280697号公報
【特許文献4】特開平10−108039号公報
【特許文献5】特開平9−186988号公報
【特許文献6】特開平5−30529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、入力映像信号の輝度成分のみで動きの有無を検出するため、輝度成分の変化がない状態で色度成分が変化した場合には正確に動きを検出できないといった問題があった。
【0012】
また、特許文献2〜6に開示された発明は、輝度成分および色度成分に基づいて動きを検出するものであるが、輝度成分と色度成分とを別々に処理することによって動きを検出するものである。
【0013】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、動き検出の精度を向上させることが可能な動き検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施例によれば、RGBデータに基づいて動き検出を行なう動き検出装置が提供される。色分離回路は、入力された映像のRGBデータを色信号に分離する。分割ウィンドウ積算処理回路は、画面全体を分割した複数のウィンドウのそれぞれに対して色信号レベル検波を行ない、積算パラメータを算出する。減算処理回路は、分割ウィンドウ積算処理回路によって算出されたウィンドウごとの積算パラメータの中から、指定されたウィンドウの積算パラメータについて、最新フレームの積算パラメータと1フレーム前の積算パラメータとの減算を行なう。そして、比較器は、減算処理回路による減算結果と予め定められた閾値とを比較して、指定されたウィンドウごとに動きがあるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0015】
この実施例によれば、分割ウィンドウ積算処理回路は、画面全体を分割した複数のウィンドウのそれぞれに対して、RGBデータから分離された色信号に対する色信号レベル検波を行ない、積算パラメータを算出する。そして、この積算パラメータに基づいて、指定されたウィンドウごとに動きがあるか否かを判定するので、動き検出の精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態における動き検出装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における動き検出装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態における動き検出装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第3の実施の形態における動き検出装置によって動き検出を行なう指定エリアの一例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態における動き検出装置によって動き検出を行なう指定エリアの他の一例を示す図である。
【図6】分割ウィンドウを細分化した場合を示す図である。
【図7】動き検出があったエリアに対してさらに詳細に動き検出を行なう場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における動き検出装置の構成例を示すブロック図である。この動き検出装置は、CCD(Charge Coupled Device)センサ1と、第1動き検出回路部2と、第2動き検出回路部3と、CPU(Central Processing Unit)4と、動き検出評価部5とを含む。
【0018】
第1動き検出回路部2は、CCDセンサ1から出力されるRAWデータ(RGBデータ)に基づいて色信号レベル検波を行ない、全ての画素の積算値である全画面積算パラメータと、分割ウィンドウの画素の積算値である画素積算パラメータとを算出する。そして、最新フレームの色信号レベル検波結果と、1フレーム前の色信号レベル検波結果との減算結果に基づいて動きを検出する。
【0019】
第2動き検出回路部3は、CCDセンサ1から出力されるRAWデータ(RGBデータ)に基づいて高周波成分検波を行ない、ウィンドウごとの検波パラメータを算出する。そして、最新フレームの高周波成分検波結果と、1フレーム前の高周波成分検波結果との減算結果に基づいて動きを検出する。
【0020】
一般に、監視カメラシステムなどで用いられる撮像装置の画像取込み部(カメラインタフェース部)には、AM(Automatic Measurement)機能およびAF(Automatic Focus)機能が搭載されている。
【0021】
AM機能は、AE(Automatic Exposure:自動露出)およびAWB(Automatic White Balance:オートホワイトバランス)のための信号処理機能であり、RAWデータに対して色信号別積算値算出処理を行ない、被写体の色/明るさ調整を行なうものである。第1動き検出回路部2は、このAM機能を用いることによって色信号レベル検波を行なう。
【0022】
また、AF機能は、オートフォーカスのための信号検波機能であり、RAWデータに基づいてAF用パラメータを算出し、被写体の焦点調整を行なうものである。第2動き検出回路部3は、このAF機能を用いることによって高周波成分検波を行なう。
【0023】
CPU4は、動き検出装置の全体的な制御を行なう。また、動き検出評価部5は、第1動き検出回路部2による動き検出結果および第2動き検出回路部3による動き検出結果を評価し、最終的な動きの有無を判定する。
【0024】
第1動き検出回路部2は、色信号レベル検波回路21と、減算処理回路24と、比較器27とを含む。なお、最新色信号レベル検波結果22、1フレーム前色信号レベル検波結果23、減算結果25、色信号レベル検波用動き検出閾値26および色信号レベル検波動き検出結果28は、図示しないメモリに記憶される。
【0025】
また、色信号レベル検波回路21は、色分離回路41と、分割ウィンドウ積算処理回路42と、積算パラメータレジスタ43と、全画面積算処理回路44と、全画面積算パラメータレジスタ45とを含む。
【0026】
色分離回路41は、CCDセンサ1から出力されるRAWデータを受け、GR信号、GB信号、R信号およびB信号を生成し、分割ウィンドウ積算処理回路42および全画面積算処理回路44に出力する。
【0027】
分割ウィンドウ積算処理回路42は、分割ウィンドウ(ブロック)ごとに、GR信号の積算値、GB信号の積算値、R信号の積算値およびB信号の積算値を算出し、積算パラメータとして積算パラメータレジスタ43に格納する。積算パラメータレジスタ43に格納された積算パラメータは、最新色信号レベル検波結果22としてブロックごとにメモリに書き込まれる。また、1フレーム前の積算パラメータも、1フレーム前色信号レベル検波結果23としてブロックごとにメモリに書き込まれている。なお、本実施の形態においては、画面が256(16×16)分割される場合について説明するが、画面の分割数はこれに限られるものではない。また、1フレーム前色信号レベル検波結果23についても、1フレーム前に限られるものではなく、最新色信号レベル検波結果22以前の特定フレームについての色信号レベル検波結果が格納されるものとする。
【0028】
全画面積算処理回路44は、全画面の画素のGR信号の積算値、GB信号の積算値、R信号の積算値およびB信号の積算値を算出し、全画面積算パラメータとして全画面積算パラメータレジスタ45に格納する。全画面積算パラメータレジスタ45に格納された全画面積算パラメータは、最新色信号レベル検波結果22としてメモリに書き込まれる。また、1フレーム前の全画面積算パラメータも、1フレーム前色信号レベル検波結果23としてメモリに書き込まれている。
【0029】
減算処理回路24は、メモリに記憶されるブロックごとの最新色信号レベル検波結果22と、1フレーム前色信号レベル検波結果23との減算処理を行ない、減算結果25をメモリに格納する。減算処理は、ブロックごとに、GR信号の積算値、GB信号の積算値、R信号の積算値、B信号の積算値のそれぞれについて行なわれる。
【0030】
また、減算処理回路24は、メモリに記憶される全画面の最新色信号レベル検波結果22と、1フレーム前色信号レベル検波結果23との減算処理を行ない、減算結果25をメモリに格納する。減算処理は、GR信号の全画面積算値、GB信号の全画面積算値、R信号の全画面積算値、B信号の全画面積算値のそれぞれについて行なわれる。
【0031】
比較器27は、メモリに記憶される減算結果25と、色信号レベル検波用動き検出閾値26とを比較することによって、色信号レベル検波動き検出結果28を動き検出評価部5に出力する。この比較処理は、ブロックごとの減算結果および全画面の減算結果のそれぞれについて行なわれる。なお、色信号レベル検出用動き検出閾値26は、CPU4によって色信号ごとにメモリに格納される。
【0032】
第2動き検出回路部3は、高周波成分検波回路31と、減算処理回路34と、比較器37とを含む。なお、最新高周波成分検波結果32、1フレーム前高周波成分検波結果33、減算結果35、高周波成分検波用動き検出閾値36および高周波成分検波動き検出結果38は、図示しないメモリに記憶される。1フレーム前高周波成分検波結果33については1フレーム前に限られるものではなく、最新高周波成分検波結果32以前の特定フレームについての高周波成分検波結果が格納されるものとする。
【0033】
また、高周波成分検波回路31は、デジタルフィルタ51と、積算ウィンドウ処理回路52と、検波パラメータレジスタ53とを含む。
【0034】
デジタルフィルタ51は、CCDセンサ1から出力されるRAWデータを受け、設定されたフィルタ係数を用いてデジタルフィルタ処理を行ない、高周波成分を抽出して積算ウィンドウ処理回路52に出力する。
【0035】
積算ウィンドウ処理回路52は、デジタルフィルタ処理された後のRAWデータをウィンドウ(ブロック)ごとに積算し、検波パラメータとして検波パラメータレジスタ53に格納する。なお、積算ウィンドウ処理回路52においては、画面が8ウィンドウに分割され、それぞれのウィンドウに対して2種類のフィルタ係数でフィルタ処理することにより、16ウィンドウ(8ウィンドウ×2帯域)分の検波パラメータを算出するものとするが、画面の分割数はこれに限定されるものではない。
【0036】
減算処理回路34は、メモリに記憶されるブロックごとの最新高周波成分検波結果32と、1フレーム前高周波成分検波結果33との減算処理を行ない、減算結果35をメモリに格納する。減算処理は、ブロックごとに行なわれる。
【0037】
比較器37は、メモリに記憶される減算結果35と、高周波成分検波用動き検出閾値36とを比較することによって、高周波成分検波動き検出結果38を動き検出評価部5に出力する。この比較処理は、ブロックごとに行なわれる。なお、高周波成分検出用動き検出閾値36は、CPU4によってメモリに格納される。
【0038】
図2は、本発明の第1の実施の形態における動き検出装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。このフローチャートは、分割ウィンドウ内の画素積算パラメータを用いた場合の処理を示しており、予め動きを検出するウィンドウ(ブロック)が指定されているものとする。この動き検出を行なうブロックの指定については、ユーザによって指定されたブロックがCPU4によって設定されるようにしてもよいし、予め定められたブロックがCPU4によって設定されるようにしてもよい。
【0039】
まず、分割ウィンドウ積算処理回路42は、分割ウィンドウ内の画素積算パラメータ(GR信号の積算値、GB信号の積算値、R信号の積算値、B信号の積算値)を算出し、積算パラメータレジスタ43に格納する(S11)。この積算パラメータは、最新色信号レベル検波結果22としてメモリに書き込まれる。また、1フレーム前色信号レベル検波結果23が既にメモリに書き込まれているものとする。
【0040】
次に、対象のウィンドウが指定エリア(動き検出が指定されたウィンドウ)か否かが判定される(S12)。指定エリアでなければ(S12,No)、ステップS19に処理が進む。
【0041】
また、指定エリアであれば(S12,Yes)、比較器27は、減算処理回路24によって減算処理された後のGR信号の積算値の減算結果25と、メモリに格納される色信号レベル検波用動き検出閾値26とを比較する(S13)。減算結果25(差分結果)が閾値以上であれば(S13,No)、そのブロックにおいて動きがあると判定され(S16)、ステップS19に処理が進む。たとえば、GR信号に対応する設定閾値が0x1000であれば、減算結果25がこの0x1000以上のときに、そのブロックにおいて動きがあると判定される。
【0042】
また、減算結果25(差分結果)が閾値より小さければ(S13,Yes)、比較器27は、減算処理回路24によって減算処理された後のR信号の積算値の減算結果25と、メモリに格納される色信号レベル検波用動き検出閾値26とを比較する(S14)。減算結果25(差分結果)が閾値以上であれば(S14,No)、そのブロックにおいて動きがあると判定され(S17)、ステップS19に処理が進む。たとえば、R信号に対応する設定閾値が0x1000であれば、減算結果25がこの0x1000以上のときに、そのブロックにおいて動きがあると判定される。
【0043】
また、減算結果25(差分結果)が閾値より小さければ(S14,Yes)、比較器27は、減算処理回路24によって減算処理された後のB信号の積算値の減算結果25と、メモリに格納される色信号レベル検波用動き検出閾値26とを比較する。減算結果25(差分結果)が閾値以上であれば(S15,No)、そのブロックにおいて動きがあると判定され(S18)、ステップS19に処理が進む。たとえば、B信号に対応する設定閾値が0x1000であれば、減算結果25がこの0x1000以上のときに、そのブロックにおいて動きがあると判定される。
【0044】
また、減算結果25(差分結果)が閾値より小さければ(S15,Yes)、全てのブロックの処理が終了したか否かが判定される(S19)。処理が終了していないブロックがあれば(S19,No)、ステップS12に戻って以降の処理を繰り返す。また、全てのブロックの処理が終了していれば(S19,Yes)、処理を終了する。
【0045】
なお、図2に示すフローチャートは、分割ウィンドウ内の画素積算パラメータを用いた場合の処理であったが、全画面の積算パラメータを用いて動き検出を行なう場合には、ステップS12およびS19の判定を行なわず、ステップS11において、全画面積算パラメータ(GR信号の積算値、GB信号の積算値、R信号の積算値、B信号の積算値)を算出するようにすればよい。
【0046】
また、GR信号、R信号およびB信号を用いて動き検出を行なう場合について説明したが、これに限られるものではない。すなわち、どの色信号を用いて動き検出を行なうかは任意である。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態における動き検出装置によれば、色分離回路41によって生成された色信号ごとにウィンドウ内の画素積算パラメータ(全画面積算パラメータ)を算出し、ブロック単位(全画面)で積算パラメータに基づいて動き検出を行なうようにしたので、輝度信号および色度信号を含めた動き検出を行なうことができ、検出精度を向上させることが可能となった。
【0048】
たとえば、暗闇のような輝度信号の変化が少ない状況においては、赤や青の色変化が発生しても動きを検出できない場合が多いが、色度成分の変化に応じて動きを検出するようにしたので、検出精度を向上させることが可能となる。
【0049】
また、一般的なカメラインタフェース部に搭載されるAM機能およびAF機能を用いて動き検出を行なうようにしたので、動き検出用にデジタル動画像圧縮回路、人感センサのような外付け部品などの新たなモジュールを追加する必要がなく、システム全体のコストを削減することが可能となった。
【0050】
(第2の実施の形態)
図2に示す第1の実施の形態における動き検出装置の処理手順においては、第2動き検出回路部3による動き検出を行なわない場合のものであった。本発明の第2の実施の形態における動き検出装置は、第2動き検出回路部3によるエッジ検出を含めて、さらに動き検出の精度を高めるものである。なお、本実施の形態における動き検出装置の構成は、図1に示す第1の実施の形態における動き検出装置の構成と同様である。したがって、重複する構成および機能の詳細な説明は繰り返さない。
【0051】
図3は、本発明の第2の実施の形態における動き検出装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。このフローチャートは、図2に示すフローチャートと同様に、分割ウィンドウ内の画素積算パラメータを用いた場合の処理を示しており、予め動きを検出するウィンドウ(ブロック)が指定されているものとする。
【0052】
まず、分割ウィンドウ積算処理回路42は、分割ウィンドウ内の画素積算パラメータ(GR信号の積算値、GB信号の積算値、R信号の積算値、B信号の積算値)を算出し、積算パラメータレジスタ43に格納する(S21)。この積算パラメータは、最新色信号レベル検波結果22としてメモリに書き込まれる。また、1フレーム前色信号レベル検波結果23が既にメモリに書き込まれているものとする。
【0053】
次に、高周波成分検波回路31内の積算ウィンドウ処理回路52は、デジタルフィルタ処理された後のRAWデータをウィンドウごとに積算し、検波パラメータとして検波パラメータレジスタ53に格納する(S22)。この検波パラメータは、最新高周波成分検波結果32としてメモリに書き込まれる。また、1フレーム前高周波成分検波結果33が既にメモリに書き込まれているものとする。
【0054】
次に、対象のウィンドウが指定エリア(動き検出が指定されたウィンドウ)か否かが判定される(S23)。指定エリアでなければ(S23,No)、ステップS32に処理が進む。
【0055】
また、指定エリアであれば(S23,Yes)、比較器27は、減算処理回路24によって減算処理された後のGR信号の積算値の減算結果25と、メモリに格納される色信号レベル検波用動き検出閾値26とを比較する(S24)。減算結果25(差分結果)が閾値以上であれば(S24,No)、そのブロックにおいて動きがあると判定され(S27)、ステップS30に処理が進む。
【0056】
また、減算結果25(差分結果)が閾値より小さければ(S24,Yes)、比較器27は、減算処理回路24によって減算処理された後のR信号の積算値の減算結果25と、メモリに格納される色信号レベル検波用動き検出閾値26とを比較する(S25)。減算結果25(差分結果)が閾値以上であれば(S25,No)、そのブロックにおいて動きがあると判定され(S28)、ステップS30に処理が進む。
【0057】
また、減算結果25(差分結果)が閾値より小さければ(S25,Yes)、比較器27は、減算処理回路24によって減算処理された後のB信号の積算値の減算結果25と、メモリに格納される色信号レベル検波用動き検出閾値26とを比較する(S26)。減算結果25(差分結果)が閾値以上であれば(S26,No)、そのブロックにおいて動きがあると判定され(S29)、ステップS30に処理が進む。
【0058】
また、減算結果25(差分結果)が閾値より小さければ(S26,Yes)、全てのブロックの処理が終了したか否かが判定される(S32)。処理が終了していないブロックがあれば(S32,No)、ステップS23に戻って以降の処理を繰り返す。また、全てのブロックの処理が終了していれば(S32,Yes)、処理を終了する。
【0059】
また、ステップS30において、比較器37は、減算処理回路34によって減算処理された後の高周波成分検波結果の減算結果35と、メモリに格納される高周波成分検波用動き検出閾値36とを比較する。減算結果35(差分結果)が閾値以上であれば(S30,No)、そのブロックにおいてエッジ判定による動きがあると判定され(S31)、ステップS32に処理が進む。
【0060】
また、減算結果35(差分結果)が閾値より小さければ(S30,Yes)、そのウィンドウにおいてエッジ判定による動きがなかったと判定され、ステップS32に処理が進む。なお、指定エリアを含んだウィンドウに対応する高周波成分検波結果を用いて、指定エリアのエッジ検出が行なわれる。
【0061】
動き検出評価部5は、第1動き検出回路部2から出力される色信号レベル検波動き検出結果28および第2動き検出回路部3から出力される高周波成分検波動き検出結果38に基づいて、最終的な動きの有無を判定する。たとえば、第1動き検出回路部2によって動きがあると判定されたブロックであっても、第2動き検出回路部3によって動きがないと判定された場合には、そのブロックにおいて動きがなかったものと判定する。
【0062】
また、例えば被写体の動きが激しく常に動き検出が行なわれるような場合においては、動き検出評価部5において第1動き検出回路部2および第2動き検出回路部3によって動きがあると判定された状態が数フレームにまたがって発生した場合には、動き検出ありと判定してもよい。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態における動き検出装置によれば、さらに第2動き検出回路3によって高周波成分検波によるエッジ検出を行なうようにしたので、第1の実施の形態において説明した効果に加えて、さらに動き検出の精度を向上させることが可能となった。
【0064】
たとえば、色信号レベル検波のみの動き検出の場合、蛍光灯のフリッカ、天候の変化などにより全体的に明るさが変化したときや、暗闇で一瞬明るくなったときに不必要に動きを検出してしまう。本実施の形態においては、高周波成分検波によるエッジ検出を加えることによって、このような誤検出を防止することが可能となる。
【0065】
また、画像内の特定のエリアのみ高周波成分検波によるエッジ判定を行なうことができるため、色信号レベル検波による動き検出を行なった後、さらに特定のエリアのみエッジ判定による動き検出を行なうようなことができるため、検出の精度を向上させることが可能となる。
【0066】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態における動き検出装置は、画面全体の中から動き検出を行なうエリアを指定して、特定のエリアの動き検出のみを行なうものである。本実施の形態における動き検出装置の構成は、図1に示す第1の実施の形態における動き検出装置の構成と同様である。また、本実施の形態における動き検出装置の処理手順は、図2および図3に示す第1および第2の実施の形態における動き検出装置の処理手順と同様である。したがって、重複する構成および機能の詳細な説明は繰り返さない。
【0067】
図4は、本発明の第3の実施の形態における動き検出装置によって動き検出を行なう指定エリアの一例を示す図である。図4においては、画面を横方向に16分割、縦方向にn分割する場合を示しており、斜線を施したエリアが動き検出の対象となる指定エリアである。
【0068】
第1および第2の実施の形態において説明したように、分割ウィンドウ内の画素積算パラメータの中から指定エリアに対応する分割ウィンドウ内の画素積算パラメータのみを抽出することによって、指定エリアの動き検出を行なうことができる。
【0069】
図5は、本発明の第3の実施の形態における動き検出装置によって動き検出を行なう指定エリアの他の一例を示す図である。図5に示すように、指定エリアとして矩形領域だけではなく、画面の外側のエリアのみを指定することも可能である。
【0070】
図6は、分割ウィンドウを細分化した場合を示す図である。図1に示す色信号レベル検波回路21は、検波エリアを小さくすることにより指定エリアの分割ウィンドウを細かくする機能を有している。本実施の形態においては、この機能を用いて指定エリア内の検波領域をさらに細分化するものである。図6に示すように、画面全体の画像の中から特定の領域を分割ウィンドウで分割することができ、指定エリア内の検波領域を細分化することができる。
【0071】
図7は、動き検出があったエリアに対してさらに詳細に動き検出を行なう場合を説明するための図である。図7(a)に示すように、画面全体の中の右側の領域で動きが検出された場合、図7(b)に示すように、画面の右側の領域を分割ウィンドウによってさらに細分化し、動き検出を行なう。これによって、動き検出をさらに詳細に行なうことができるようになる。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態における動き検出装置によれば、画面全体の中の任意の領域を指定エリアとすることができるので、動き検出の必要がないエリアを検出対象から除外することができ、動きの誤検出を防止することが可能となった。
【0073】
また、動き検出の対象となるエリアを細分化することができるため、さらに詳細な動き検出が行なえると共に、画面全体の動き検出を行なう場合と比較して演算処理量を少なくすることができ、処理速度を高速にすることが可能となった。
【0074】
さらに、動き検出エリアの指定の変更をおよび分割ウィンドウの細分化を1フィールド単位で行なえるため、動き検出エリアの絞込みや、物体の移動に沿った検出エリアの座標変更などを高速で行なうことが可能となった。
【0075】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 CCDセンサ、2 第1動き検出回路部、3 第2動き検出回路部、4 CPU、5 動き検出評価部、21 色信号レベル検波回路、24 減算処理回路、27 比較器、31 高周波成分検波回路、34 減算処理回路、37 比較器、41 色分離回路、42 分割ウィンドウ積算処理回路、43 積算パラメータレジスタ、44 全画面積算処理回路、45 全画面積算パラメータレジスタ、51 デジタルフィルタ、52 積算ウィンドウ処理回路、53 検波パラメータレジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像のRGBデータを色信号に分離する色分離手段と、
前記色分離手段によって分離された色信号ごとに色信号レベル検波を行ない、積算パラメータを算出する積算手段と、
前記積算手段によって算出された最新フレームの積算パラメータから最新フレームより前のフレームの積算パラメータを減算する減算手段と、
前記減算手段による減算結果と予め定められた閾値とを比較して、動きがあるか否かを判定する比較手段とを含む、動き検出装置。
【請求項2】
前記積算手段は、画面全体を分割した複数のウィンドウのそれぞれに対して色信号レベル検波を行ない、
前記減算手段は、前記積算手段によって算出されたウィンドウごとの積算パラメータの中から、指定されたウィンドウの積算パラメータについて、最新フレームの積算パラメータと最新フレームより前のフレームの積算パラメータとの減算を行ない、
前記比較手段は、前記減算手段による減算結果と予め定められた閾値とを比較して、指定されたウィンドウごとに動きがあるか否かを判定する、請求項1記載の動き検出装置。
【請求項3】
前記動き検出装置はさらに、前記RGBデータに対してフィルタ処理を行ない、高周波成分を抽出するフィルタ手段と、
前記フィルタ手段によってフィルタ処理された後のRGBデータに対して積算処理を行ない、検波パラメータを算出する第2の積算手段と、
前記第2の積算手段によって算出された最新フレームの検波パラメータから最新フレームより前のフレームの検波パラメータを減算する第2の減算手段と、
前記第2の減算手段による減算結果と予め定められた第2の閾値とを比較して、エッジ検出による動きがあるか否かを判定する第2の比較手段とを含む、請求項2記載の動き検出装置。
【請求項4】
前記動き検出装置はさらに、前記比較手段によって動きがあると判定されたウィンドウであっても、前記第2の比較手段によって対応するウィンドウにおいてエッジ検出による動きがないと判定された場合には、当該ウィンドウにおいて動きがないと評価する動き検出評価手段を含む、請求項3記載の動き検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−128695(P2011−128695A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284070(P2009−284070)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】