説明

動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法

【課題】内燃機関の失火気筒の特定を精度良く行なう。
【解決手段】複数気筒の内燃機関と、発電機と、内燃機関の出力軸とねじれ要素としてのダンパを介して接続されると共に発電機の回転軸と駆動軸とが接続された遊星歯車機構と、HiギヤとLoギヤとの切替が可能な2段変速の変速機と、変速機を介して駆動軸に接続された電動機とを備えるハイブリッド車において、内燃機関の1気筒が連続失火しているとき(連続失火判定フラグが値1のとき)で且つ駆動軸に要求される要求トルクTr*や車速VがHiギヤを禁止するHiギヤ禁止領域内にないときには(S310,S330)、変速機をHiギヤの状態とする(S340,S360)。これにより、ダンパのねじれに基づく共振が内燃機関の回転変動に及ぼす影響を小さくでき、内燃機関の回転変動に基づいて失火を判定して失火気筒を特定する際に失火していない気筒が失火気筒として特定されるのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法に関し、詳しくは、出力軸がねじれ要素を介して駆動軸に機械的に接続された複数気筒の内燃機関と、動力を入出力可能な電動機と、前記電動機の回転軸と前記駆動軸とに接続され変速比の変更を伴って両軸間の動力の伝達が可能な変速伝達手段とを備える動力出力装置およびこれを搭載し前記駆動軸に車軸が接続されて走行する車両並びに動力出力装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の動力出力装置としては、エンジンと、エンジンのクランク軸にダンパなどのねじれ要素を介して接続されると共に駆動軸に接続された遊星歯車機構と、遊星歯車機構に接続されたモータMG1と、駆動軸に接続されたモータMG2とを備えるハイブリッド自動車に搭載され、エンジンのクランク角位置での回転変動に基づいてエンジンの失火を判定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−170247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エンジンのクランク軸にダンパのようなねじれ要素を介して後段に接続されている車両などに搭載されている装置では、エンジンの爆発燃焼によるクランク軸のトルク変動がねじれ要素やこのねじれ要素を含む後段の共振を誘発し、共振によりクランク軸に回転変動が生じる結果、クランク軸の回転変動が失火している気筒で小さく現われ失火していない気筒で大きく現われる場合があり、この場合、エンジンのいずれかの気筒に失火が生じていると判定することはできても、いずれの気筒に失火が生じているのかを特定するのは困難なものとなる。
【0004】
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法は、内燃機関の複数気筒のいずれかに失火が生じたときに失火気筒の特定を精度良く行なうことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
出力軸がねじれ要素を介して前記駆動軸に機械的に接続された複数気筒の内燃機関と、
動力を入出力可能な電動機と、
前記電動機の回転軸と前記駆動軸とに接続され、変速比の変更を伴って両軸間の動力の伝達が可能な変速伝達手段と、
前記内燃機関の出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段と、
前記検出された回転位置に基づいて前記内燃機関の回転変動を演算する回転変動演算手段と、
前記演算された回転変動に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と、
前記失火判定手段により前記内燃機関の複数気筒のいずれかが連続的に失火と判定されているときには、前記ねじれ要素のねじれに基づく共振により前記内燃機関の回転変動に及ぼす影響が小さくなる方向に変速比が変更されるよう前記変速伝達手段を制御する失火時変速制御手段と、
前記失火判定手段により前記内燃機関の失火が判定されたとき、該失火の判定に用いた前記内燃機関の回転変動に対応する回転位置により失火している気筒を特定する失火気筒特定手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の動力出力装置では、内燃機関の出力軸の回転位置に基づいて内燃機関の回転変動を演算し、演算した回転変動に基づいて内燃機関の失火を判定し、内燃機関の複数気筒のいずれかが連続的に失火と判定されているときにはねじれ要素のねじれに基づく共振により内燃機関の回転変動に及ぼす影響が小さくなる方向に変速比が変更されるよう変速伝達手段を制御し、内燃機関の失火が判定されたときには失火の判定に用いた内燃機関の回転変動に対応する回転位置により失火している気筒を特定する。これにより、ねじれ要素のねじれに基づく共振が内燃機関の回転変動に及ぼす影響により失火気筒が誤って特定されるのを抑制することができ、失火気筒の特定を精度良く行なうことができる。
【0008】
こうした本発明の動力出力装置において、前記失火時変速制御手段は、減速比が小さくなる方向に変速比が変更されるよう前記変速伝達手段を制御する手段であるものとすることもできる。この場合、前記失火時変速制御手段は、最も減速比が小さくなる変速比に変更されるよう該変速伝達手段を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、失火気筒の特定精度をより向上させることができる。
【0009】
また、本発明の動力出力装置において、前記駆動軸の駆動状態に基づいて前記変速伝達手段が変更可能な変速比の範囲内で変速比が変更されるよう該変速伝達手段を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、駆動軸の駆動に影響を与えない範囲内でねじれ要素のねじれに基づく共振が内燃機関の回転変動に及ぼす影響を小さくすることができる。ここで、「駆動軸の駆動状態」には、駆動軸に要求される要求トルクや駆動軸の回転数などが含まれる。
【0010】
さらに、本発明の動力出力装置において、動力を入出力可能な発電機と、前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸と前記駆動軸の3軸に接続され該3軸のうちの2つの軸に入出力される動力に基づいて残余の1軸に動力が入出力される3軸式動力入出力手段と、を備えるものとすることもできる。ここで、「3軸式動力入出力手段」には、遊星歯車機構やデファレンシャルギヤなどが含まれる。
【0011】
本発明の車両は、
上述した各態様のいずれかの本発明の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、出力軸がねじれ要素を介して前記駆動軸に機械的に接続された複数気筒の内燃機関と、動力を入出力可能な電動機と、前記電動機の回転軸と前記駆動軸とに接続され、変速比の変更を伴って両軸間の動力の伝達が可能な変速伝達手段と、前記内燃機関の出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段と、前記検出された回転位置に基づいて前記内燃機関の回転変動を演算する回転変動演算手段と、前記演算された回転変動に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と、前記失火判定手段により前記内燃機関の複数気筒のいずれかが連続的に失火と判定されているときには、前記ねじれ要素のねじれに基づく共振により前記内燃機関の回転変動に及ぼす影響が小さくなる方向に変速比が変更されるよう前記変速伝達手段を制御する失火時変速制御手段と、前記失火判定手段により前記内燃機関の失火が判定されたとき、該失火の判定に用いた前記内燃機関の回転変動に対応する回転位置により失火している気筒を特定する失火気筒特定手段と、を備える動力出力装置を搭載し、前記駆動軸に車軸が接続されて走行する
ことを要旨とする。
【0012】
この本発明の車両では、上述した各態様のいずれかの本発明の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、ねじれ要素のねじれに基づく共振が内燃機関の回転変動に及ぼす影響により失火気筒が誤って特定されるのを抑制することができる効果などと同様の効果を奏することができる。
【0013】
本発明の動力出力装置の制御方法は、
出力軸がねじれ要素を介して駆動軸に機械的に接続された複数気筒の内燃機関と、動力を入出力可能な電動機と、前記電動機の回転軸と前記駆動軸とに接続され変速比の変更を伴って両軸間の動力の伝達が可能な変速伝達手段とを備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記内燃機関の出力軸の回転位置に基づいて前記内燃機関の回転変動を演算し
(b)前記演算された回転変動に基づいて前記内燃機関の失火を判定し、
(c)前記ステップ(b)により前記内燃機関の複数気筒のいずれかが連続的に失火と判定されているときには、前記ねじれ要素のねじれに基づく共振により前記内燃機関の回転変動に及ぼす影響が小さくなる方向に変速比が変更されるよう前記変速伝達手段を制御し、
(d)前記ステップ(b)により前記内燃機関の失火が判定されたとき、該失火の判定に用いた回転変動に対応する回転位置により失火している気筒を特定する
ことを要旨とする。
【0014】
この本発明の動力出力装置の制御方法によれば、内燃機関の出力軸の回転位置に基づいて内燃機関の回転変動を演算し、演算した回転変動に基づいて内燃機関の失火を判定し、内燃機関の複数気筒のいずれかが連続的に失火と判定されているときにはねじれ要素のねじれに基づく共振により内燃機関の回転変動に及ぼす影響が小さくなる方向に変速比が変更されるよう変速伝達手段を制御し、内燃機関の失火が判定されたときには失火の判定に用いた内燃機関の回転変動に対応する回転位置により失火している気筒を特定する。これにより、ねじれ要素のねじれに基づく共振が内燃機関の回転変動に及ぼす影響により失火気筒が誤って特定されるのを抑制することができ、失火気筒の特定を精度良く行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた2段変速の変速機35と、この変速機35に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0017】
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な8気筒の内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に気筒毎に設けられた燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃料室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。
【0018】
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、クランクシャフト26の回転位置(クランク角CA)を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジション(クランク角CA)やエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からのエアフローメータ信号AF,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,空燃比センサ135aからの空燃比AF,酸素センサ135bからの酸素信号などが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。なお、上述したクランクポジションセンサ140は、クランクシャフト26と回転同期して回転するように取り付けられて10度毎に歯が形成されると共に基準位置検出用に2つ分の欠歯を形成したタイミングローターを有する電磁ピックアップセンサとして構成されており、クランクシャフト26が10度回転する毎に整形波を生じさせる。
【0019】
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して変速機35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
【0020】
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0021】
変速機35は、図示しないが、二つのプラネタリギヤと、二つのプラネタリギヤのリングギヤを回転不能にケースに固定する二つのブレーキと、二つのブレーキをオンオフする油圧回路とにより構成されており、二つのブレーキの一方をオンとすると共に他方をオフとすることによりモータMG2の回転数を減速してリングギヤ軸32aに伝達するLoギヤと、二つのブレーキの一方をオフとすると共に他方をオンとすることによりモータMG2の回転数を減速せずにリングギヤ軸32aに伝達するHiギヤと、二つのブレーキの双方をオフとすることによりモータMG2をリングギヤ軸32aから切り離すニュートラルと、の3つの状態を切り替えることができるニュートラル付きの2段変速機として構成されている。
【0022】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
【0023】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、変速機35の二つのブレーキをオンオフする油圧回路に駆動信号が出力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0024】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を計算し、この要求トルクTr*に対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0025】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、エンジン22の失火を判定する失火判定処理とこれに伴う変速機35の駆動制御について説明する。まず、エンジン22の失火判定処理について説明し、その後、変速機35の駆動制御について説明する。図3は、エンジンECU24により実行される失火判定処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0026】
失火判定処理が実行されると、エンジンECU24のCPU24aは、まず、クランクポジションセンサ140により検出されるクランク角CAや図4に例示するT30演算処理により演算されるクランクシャフト26が30度回転するのに要する時間である30度回転所要時間T30(CA)を入力する処理を実行する(ステップS100)。30度回転所要時間T30(CA)は、図4のT30演算処理に示すように、基準となるクランク角から30度毎のクランク角CAとそのクランク角CAを検出した検出時刻tを入力し(ステップS200)、入力した検出時刻tと30度前のクランク角CAの検出時刻(前回時刻)との差分を計算する(ステップS210)、ことにより求めることができる。ここで、30度回転所要時間T30(CA)は、その逆数をとるとクランクシャフト26が30度回転する毎のエンジン22の回転数(以下、30度回転数N30(CA))となるから、30度回転数N30(CA)の変化の程度、即ち回転変動を時間の単位を用いて表わしたものとなる。
【0027】
続いて、入力した30度回転所要時間T30と閾値Trefとを比較する(ステップS110)。ここで、閾値Trefは、30度回転所要時間T30の基準となるクランク角CAで燃焼行程となる気筒が失火していないときの30度回転所要時間T30より大きく、その気筒が失火しているときの30度回転所要時間T30より小さな値として設定されており、実験などにより求めることができる。30度回転所要時間T30が閾値Tref以下のときには、エンジン22は失火していないと判定して失火判定処理を終了し、30度回転所要時間T30が閾値Trefよりも大きいときには、エンジン22のいずれかの気筒に失火が生じていると判断して、クランク角CAにより失火気筒を特定し(ステップS120)、エンジン22の各気筒のうち失火気筒が1つで且つその1気筒が連続して失火している連続失火か否かを判定し(ステップS130)、連続失火のときには連続失火判定フラグFに値1を設定して(ステップS140)、失火判定処理を終了する。
【0028】
図5に、エンジン22に1気筒の連続失火が生じているときのクランク角CAと30度回転所要時間T30の時間変化の様子を示す。図5(a)はダンパ28にねじれに基づく共振が生じていないときの時間変化の様子を示し、図5(b)は共振が生じているときの時間変化の様子を示す。図示するように、エンジン22に1気筒の連続失火が生じているときには30度回転所要時間T30はクランク角CAが720度毎に閾値Trefを超えるが、ダンパ28にねじれに基づく共振が生じているときと共振が生じていないときとで閾値Trefを超えるクランク角CAが異なり、クランク角CAに基づく失火の特定が困難となる。
【0029】
次に、変速機35の駆動制御について説明する。図6は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される変速制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0030】
変速制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて設定される要求トルクTr*や車速センサ88からの車速V,連続失火判定フラグFなどの制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS300)。連続失火判定フラグFは、前述した失火判定処理により設定されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。
【0031】
こうしてデータを入力すると、入力した連続失火判定フラグFが値1であるか否かを判定し(ステップS310)、連続失火判定フラグFが値0、即ちエンジン22に1気筒の連続失火は生じていないと判定されたときには、入力した要求トルクTr*と車速Vとに基づいて変速マップを用いて目標変速段G*を設定し(ステップS320)、設定した目標変速段G*に応じた変速段となるよう変速機35の油圧回路を駆動制御して(ステップS360)、本ルーチンを終了する。図7は、変速マップの一例を示す説明図である。図中のLo−Hiのラインは、変速機35をLoギヤからHiギヤにアップシフト変速するためのLo−Hi変速線を示し、Hi−Loのラインは、変速機35をHiギヤからLoギヤにダウンシフト変速するためのHi−Lo変速線を示す。また、図中の斜線で囲まれた領域は、Hiギヤを禁止するHiギヤ禁止領域である。このHiギヤ禁止領域は、変速機35をHiギヤの状態で走行すると、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクが要求トルクTr*に対して不足する可能性のある高トルク領域として定められている。
【0032】
ステップS310で連続失火判定フラグFが値1、即ちエンジン22に1気筒の連続失火が生じていると判定されたときには、入力した要求トルクTr*と車速Vとが前述したHiギヤ禁止領域内にあるか否かを判定し(ステップS330)、Hiギヤ禁止領域内にないと判定されたときにはHiギヤGhiを目標変速段G*に設定し(ステップS340)、設定した目標変速段G*に応じた変速段となるよう変速機35を駆動制御して(ステップS360)、本ルーチンを終了する。これは、変速機35の減速比が大きいほどリングギヤ軸32a側から見たモータMG2のイナーシャが大きくなるため、ねじれ要素としてのダンパ28のねじれに基づく共振の周期が失火の周期(エンジン22の2回転に相当する周期)に近くなると共に共振ゲインも大きくなる傾向があることに基づく。従って、変速機35を減速比が小さいHiギヤの状態とすることにより、ダンパ28のねじれに基づく共振がエンジン22の回転変動としての30度回転所要時間T30に及ぼす影響を小さくすることができるから、失火していない気筒が失火気筒として特定されるのを抑制することができる。
【0033】
ステップS310で連続失火判定フラグFが値1と判定され且つステップS330でHiギヤ禁止領域内にあるときには、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクが要求トルクTr*に対して不足する可能性があると判断して、LoギヤGloを目標変速段G*に設定し(ステップS350)、設定した目標変速段G*に応じた変速段となるよう変速機35の油圧回路を駆動制御して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。
【0034】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22に1気筒の連続失火が生じているときには、変速機35をHiギヤの状態とするから、ダンパ28のねじれに基づく共振がエンジン22の回転変動としての30度回転所要時間T30に及ぼす影響を小さくすることができ、30度回転所要時間T30を用いてエンジン22の失火を判定すると共にクランク角CAにより失火気筒を特定する際に失火していない気筒が失火気筒として特定されるのを抑制することができる。この結果、失火気筒の特定を精度良く行なうことができる。しかも、エンジン22の1気筒が連続失火しているときであっても、要求トルクTr*と車速VとがHiギヤ禁止領域内にあるときには、Loギヤの状態を維持するから、要求トルクTr*に対して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるトルクに不足が生じるのをより確実に抑制することができる。
【0035】
実施例のハイブリッド自動車20では、クランクシャフト26が30度回転するのに要する時間としての30度回転所要時間T30をベースとしてエンジン22の失火を判定するものとしたが、クランクシャフト26が5度回転するのに要する時間として5度回転所要時間T5や10度回転するのに要する時間として10度回転所要時間T10など種々の所要時間を用いてエンジン22の失火を判定するものとしてもかまわない。また、5度毎のクランクシャフト26の回転数である5度回転数N5や10度毎のクランクシャフト26の回転数である10度回転数N10など種々の回転数を用いてエンジン22の失火を判定するものとしても構わない。
【0036】
実施例のハイブリッド自動車20では、30度回転所要時間T30(CA)と閾値Trefとを比較することにより失火を判定するものとしたが、これに限定されるものではなく、エンジン22の回転変動に基づいてエンジン22の失火を判定することができれば如何なる手法を用いるものとしてもよい。
【0037】
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、8気筒のエンジン22のいずれかの気筒の失火を判定するものとしたが、6気筒のエンジンのいずれかの気筒の失火を判定するものとしたり、4気筒のエンジンのいずれかの気筒の失火を判定するものとするなど、複数気筒のエンジンのいずれかの気筒の失火を判定するものであれば、気筒数はいくつでも構わない。
【0038】
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、2段変速の変速機35を介してモータMG2をリングギヤ軸32aに接続する構成におけるエンジン22の失火の判定を行なうものとしたが、3段以上の変速機や無段変速機を介してモータMG2をリングギヤ軸32aに接続する構成におけるエンジン22の失火の判定を行なうものとしてもよい。この場合、3段以上の変速機や無段変速機のギヤ比の設定は、要求トルクTr*や車速Vに基づいて変速機に許容されるギヤ比の許容範囲を設定し、設定した許容範囲内で、最も減速比が小さいギヤ比を設定するものとしたり、所定量だけ増速側のギヤ比を設定するものとしたりすることにより行なうことができる。
【0039】
実施例のハイブリッド自動車20が搭載する内燃機関の失火判定装置では、エンジン22のクランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して接続されると共にモータMG1の回転軸や駆動軸としてのリングギヤ軸32aに接続される動力分配統合機構30とリングギヤ軸32aに変速機35を介して接続されるモータMG2とを備える車両におけるエンジン22の失火を判定するものとしたが、エンジンのクランクシャフトがねじれ要素としてのダンパを介して後段に接続されているものであればよいから、図8の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図8における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するもののエンジン22の失火を判定するものとしてもよいし、図9の変形例のハイブリッド自動車220に例示するよ
うに、エンジン22のクランクシャフト26にダンパ28を介して接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるもののエンジン22の失火を判定するものとしてもよい。
【0040】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、クランクシャフト26にねじれ要素としてのダンパ28を介して後段に接続された8気筒のエンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、モータMG2の回転軸と駆動軸としてのリングギヤ軸32aとに接続された2段変速の変速機35が「変速伝達手段」に相当し、クランクシャフト26の回転位置(クランク角CA)を検出するクランクポジションセンサ140が「回転位置検出手段」に相当し、クランクポジションセンサ140からの整形波に基づいてクランクシャフト26が30度回転するのに要する時間である30度回転所要時間T30を演算するT30演算処理を実行するエンジンECU24が「回転変動演算手段」に相当し、30度回転所要時間T30に基づいてエンジン22の各気筒のいずれかが失火しているかを判定するエンジンECU24が「失火判定手段」に相当し、エンジン22の1気筒に連続失火が判定されたときには、変速機35がHiギヤとなるよう変速機35の油圧回路を駆動制御する変速制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「失火時変速制御手段」に相当し、エンジン22に失火が判定されたときにはクランク角CAにより失火気筒を特定する失火判定処理のステップS120の処理を実行するエンジンECU24が「失火気筒特定手段」に相当する。また、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当する。ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど、如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機としても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機としても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、駆動軸と出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0041】
実施例では、動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20として説明したが、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される動力出力装置に適用してもよいし、移動しない設備に組み込まれた動力出力装置に適用するものとしても構わない。また、動力出力装置やこれを搭載する車両の形態ではなく、動力出力装置の制御方法の形態としてもよい。
【0042】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、動力出力装置の製造産業や車両の製造産業に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】エンジン22の構成の概略を示す構成図である。
【図3】失火判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】T30演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】エンジン22に1気筒の連続失火が生じているときのクランク角CAと30度回転所要時間T30の時間変化の様子を示す説明図である。
【図6】変速制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図7】変速マップの一例を示す説明図である。
【図8】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図9】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
【0045】
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、24a CPU、24b ROM、24c RAM、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 変速機、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、135a 空燃比センサ、135b 酸素センサ、136,スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
出力軸がねじれ要素を介して前記駆動軸に機械的に接続された複数気筒の内燃機関と、
動力を入出力可能な電動機と、
前記電動機の回転軸と前記駆動軸とに接続され、変速比の変更を伴って両軸間の動力の伝達が可能な変速伝達手段と、
前記内燃機関の出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段と、
前記検出された回転位置に基づいて前記内燃機関の回転変動を演算する回転変動演算手段と、
前記演算された回転変動に基づいて前記内燃機関の失火を判定する失火判定手段と、
前記失火判定手段により前記内燃機関の複数気筒のいずれかが連続的に失火と判定されているときには、前記ねじれ要素のねじれに基づく共振により前記内燃機関の回転変動に及ぼす影響が小さくなる方向に変速比が変更されるよう前記変速伝達手段を制御する失火時変速制御手段と、
前記失火判定手段により前記内燃機関の失火が判定されたとき、該失火の判定に用いた前記内燃機関の回転変動に対応する回転位置により失火している気筒を特定する失火気筒特定手段と、
を備える動力出力装置。
【請求項2】
前記失火時変速制御手段は、減速比が小さくなる方向に変速比が変更されるよう前記変速伝達手段を制御する手段である請求項1記載の動力出力装置。
【請求項3】
前記失火時変速制御手段は、前記変速伝達手段が変更可能な変速比のうち最も減速比が小さくなる変速比に変更されるよう該変速伝達手段を制御する手段である請求項2記載の動力出力装置。
【請求項4】
前記駆動軸の駆動状態に対して前記変速伝達手段で許容される許容変速比の範囲内で変速比が変更されるよう該変速伝達手段を制御する手段である請求項1ないし3いずれか1項に記載の動力出力装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載の動力出力装置であって、
動力を入出力可能な発電機と、
前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸と前記駆動軸の3軸に接続され、該3軸のうちの2つの軸に入出力される動力に基づいて残余の1軸に動力が入出力される3軸式動力入出力手段と、
を備える動力出力装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1項に記載の動力出力装置を搭載し、前記駆動軸に車軸が接続されて走行する車両。
【請求項7】
出力軸がねじれ要素を介して駆動軸に機械的に接続された複数気筒の内燃機関と、動力を入出力可能な電動機と、前記電動機の回転軸と前記駆動軸とに接続され変速比の変更を伴って両軸間の動力の伝達が可能な変速伝達手段とを備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記内燃機関の出力軸の回転位置に基づいて前記内燃機関の回転変動を演算し
(b)前記演算された回転変動に基づいて前記内燃機関の失火を判定し、
(c)前記ステップ(b)により前記内燃機関の複数気筒のいずれかが連続的に失火と判定されているときには、前記ねじれ要素のねじれに基づく共振により前記内燃機関の回転変動に及ぼす影響が小さくなる方向に変速比が変更されるよう前記変速伝達手段を制御し、
(d)前記ステップ(b)により前記内燃機関の失火が判定されたとき、該失火の判定に用いた回転変動に対応する回転位置により失火している気筒を特定する
動力出力装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−298365(P2009−298365A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157638(P2008−157638)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】