説明

動的反応プレゼンロボット、動的反応プレゼンロボットの制御方法及び制御プログラム

【課題】プレゼンターから資料の説明を受けている来場者の反応に合わせて、身体を制御することができる動的反応プレゼンロボット、動的反応プレゼンロボットの制御方法及び制御プログラムを得ることを目的とする。
【解決手段】資料の説明を受けている来場者の反応量を測定する反応量測定部2を設け、身体制御部3が反応量測定部2により測定された反応量に応じて身体を制御する。これにより、プレゼンターから資料の説明を受けている来場者の反応に合わせて、身体を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プレゼンターから資料の説明を受けている来場者の反応に合わせて、身体の向きを変えることができる動的反応プレゼンロボット、動的反応プレゼンロボットの制御方法及び制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1には、例えば、顔や腕などを回転させることにより、訪問者に対して正面を向けるモードと、訪問者に対して背面を向けるモードとを有するサービスロボットが開示されている。
ただし、このサービスロボットは、プレゼンターから資料の説明を受けている来場者の反応を検知する機能を備えていないため、例えば、来場者の反応に合わせて、所定のアクションを行うプレゼンロボットには適用することができない。
【0003】
【特許文献1】特開2006−297531号公報(段落番号[0015]から[0016]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のサービスロボットは以上のように構成されているので、顔や腕などを回転して、訪問者に対して正面を向けたり、訪問者に対して背面を向けたりすることができる。しかし、来場者の反応を検知することができないため、来場者の反応に合わせて、身体を制御することができないなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、プレゼンターから資料の説明を受けている来場者の反応に合わせて、身体を制御することができる動的反応プレゼンロボット、動的反応プレゼンロボットの制御方法及び制御プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る動的反応プレゼンロボットは、資料の説明を受けている来場者の反応量を測定する反応量測定手段と、反応量測定手段により測定された反応量に応じて身体を制御する身体制御手段とを備えるようにしたものである。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、プレゼンターから資料の説明を受けている来場者の反応に合わせて、身体を制御することができるようになり、あたかもロボットが説明を行っているように見せることができる効果が得られる。
【0008】
請求項2記載の発明に係る動的反応プレゼンロボットは、来場者が存在している範囲を検出する存在範囲検出手段を設けるようにしたものである。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、来場者が存在している方向に身体を向けるなどの制御が可能になる効果が得られる。
【0010】
請求項3記載の発明に係る動的反応プレゼンロボットは、存在範囲検出手段により検出された範囲内で、反応量測定手段により測定された反応量が最も大きい来場者の方向を検出する最大反応方向検出手段を設け、身体制御手段が身体を最大反応方向検出手段により検出された方向に向けるようにしたものである。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、ロボットによるプレゼンテーションの臨場感を高めることができる効果が得られる。
【0012】
請求項4記載の発明に係る動的反応プレゼンロボットは、身体制御手段が、存在範囲検出手段により検出された範囲内で身体の向きを変えるようにしたものである。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、ロボットによるプレゼンテーションの臨場感を高めることができる効果が得られる。
【0014】
請求項5記載の発明に係る動的反応プレゼンロボットは、身体制御手段が反応量測定手段により測定された反応量に応じて手又は目の動きを制御するようにしたものである。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、ロボットによるプレゼンテーションの臨場感を高めることができる効果が得られる。
【0016】
請求項6記載の発明に係る動的反応プレゼンロボットの制御方法は、反応量測定手段が資料の説明を受けている来場者の反応量を測定する反応量測定ステップと、身体制御手段が反応量測定手段により測定された反応量に応じて身体を制御する身体制御ステップとを備えるようにしたものである。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、プレゼンターから資料の説明を受けている来場者の反応に合わせて、身体を制御することができるようになり、あたかもロボットが説明を行っているように見せることができる効果が得られる。
【0018】
請求項7記載の発明に係る動的反応プレゼンロボットの制御プログラムは、資料の説明を受けている来場者の反応量を測定する反応量測定処理手順と、反応量測定処理手順により測定された反応量に応じて身体を制御する身体制御処理手順とを備えるようにしたものである。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、プレゼンターから資料の説明を受けている来場者の反応に合わせて、身体を制御することができるようになり、あたかもロボットが説明を行っているように見せることができる効果が得られる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、資料の説明を受けている来場者の反応量を測定する反応量測定手段を設け、身体制御手段が反応量測定手段により測定された反応量に応じて身体を制御するように構成したので、プレゼンターから資料の説明を受けている来場者の反応に合わせて、身体を制御することができるようになり、あたかもロボットが説明を行っているように見せることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による動的反応プレゼンロボットを示す構成図であり、図1において、集音マイク1は資料の説明を受けている来場者の声を集音して、その音声信号を反応量測定部2に出力する。
反応量測定部2は例えば音声センサなどから構成されており、集音マイク1から出力された音声信号の信号レベルを観測して、来場者の反応量を測定する処理を実施する。
なお、集音マイク1及び反応量測定部2から反応量測定手段が構成されている。
【0022】
身体制御部3は例えばCPUなどを実装している半導体集積回路基板から構成されており、反応量測定部2により測定された反応量に応じて身体を制御する処理を実施する。なお、身体制御部3は身体制御手段を構成している。
【0023】
図1の例では、動的反応プレゼンロボットの構成要素である集音マイク1、反応量測定部2及び身体制御部3がそれぞれ専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、動的反応プレゼンロボットがコンピュータで構成されている場合、集音マイク1、反応量測定部2及び身体制御部3の処理内容(音声集音処理手順、反応量測定処理手順、身体制御処理手順)を示す制御プログラムをコンピュータのメモリに格納し、コンピュータのCPUが当該メモリに格納されている制御プログラムを実行するようにしてもよい。
図2はこの発明の実施の形態1による動的反応プレゼンロボットの制御方法を示すフローチャートである。
【0024】
次に動作について説明する。
集音マイク1は、プレゼンターが資料の説明を開始すると、資料の説明を受けている来場者の声を集音して、その音声信号を反応量測定部2に出力する(ステップST1)。
反応量測定部2は、集音マイク1から音声信号を受けると、その音声信号の信号レベルを観測して、来場者の反応量を測定する(ステップST2)。
【0025】
身体制御部3は、反応量測定部2が来場者の反応量を測定すると、その反応量に応じて身体を制御する(ステップST3)。
例えば、次のような身体の制御を実施する。
身体制御部3は、反応量測定部2により測定された反応量が基準反応量より低い状況下では、例えば、プレゼン会場の雰囲気を盛り上げるために、ロボットの手を振る制御信号をロボットのアクチュエータに出力する処理を実施する。
一方、反応量測定部2により測定された反応量が基準反応量より高い状況下では、例えば、来場者の歓声を抑えるために、ロボットの手のひらを下に向ける制御信号をロボットのアクチュエータに出力する処理を実施する。
ここでは、身体制御部3がロボットの手を制御するものについて示したが、例えば、ロボットの目や耳や足などの身体を制御するようにしてもよい。
【0026】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、資料の説明を受けている来場者の反応量を測定する反応量測定部2を設け、身体制御部3が反応量測定部2により測定された反応量に応じて身体を制御するように構成したので、プレゼンターから資料の説明を受けている来場者の反応に合わせて、身体を制御することができるようになり、あたかもロボットが説明を行っているように見せることができる効果を奏する。
【0027】
なお、この実施の形態1では、反応量測定部2が集音マイク1から出力された音声信号の信号レベルを観測して、来場者の反応量を測定するものについて示したが、これに限るものではなく、例えば、来場者の動きを撮影するカメラの映像を収集し、その映像から来場者の動きの大きさを観測して来場者の反応量を測定するようにしてもよい。
【0028】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による動的反応プレゼンロボットを示す構成図であり、図3において、存在範囲検出部10は例えばカメラや画像処理装置から構成されており、来場者が存在している範囲を検出する処理を実施する。なお、存在範囲検出部10は存在範囲検出手段を構成している。
指向性マイク111,112,・・・,116は相互に指向方向が異なるマイクであり、指向方向に存在する来場者の音声を入力して、その音声信号を反応量測定部12に出力する。
図3では、6台の指向性マイク11が設置されているものについて示しているが、指向性マイク11の台数は6台に限るものではなく、7台以上の指向性マイク11を設置するようにしてもよい。
【0029】
反応量測定部12は例えば複数の音声センサなどから構成されており、指向性マイク111,112,・・・,116から出力された音声信号の信号レベルを観測して、各指向方向の来場者の反応量を測定する処理を実施する。
なお、指向性マイク111,112,・・・,116及び反応量測定部12から反応量測定手段が構成されている。
【0030】
最大反応方向検出部13は例えばCPUなどを実装している半導体集積回路基板から構成されており、存在範囲検出部10により検出された範囲内で、反応量測定部12により測定された各指向方向の来場者の反応量を比較して、反応量が最も大きい来場者の方向を検出する処理を実施する。なお、最大反応方向検出部13は最大反応方向検出手段を構成している。
身体制御部14は例えばCPUなどを実装している半導体集積回路基板から構成されており、ロボットの身体を最大反応方向検出部13により検出された反応量が最も大きい来場者の方向に向ける制御信号をロボットのアクチュエータに出力する処理を実施する。なお、身体制御部14は身体制御手段を構成している。
【0031】
図3の例では、動的反応プレゼンロボットの構成要素である存在範囲検出部10、指向性マイク111,112,・・・,116、反応量測定部12、最大反応方向検出部13及び身体制御部14がそれぞれ専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、動的反応プレゼンロボットがコンピュータで構成されている場合、存在範囲検出部10、指向性マイク111,112,・・・,116、反応量測定部12、最大反応方向検出部13及び身体制御部14の処理内容(存在範囲検出処理手順、音声集音処理手順、反応量測定処理手順、最大反応方向検出処理手順、身体制御処理手順)を示す制御プログラムをコンピュータのメモリに格納し、コンピュータのCPUが当該メモリに格納されている制御プログラムを実行するようにしてもよい。
図4はこの発明の実施の形態2による動的反応プレゼンロボットの制御方法を示すフローチャートである。
【0032】
次に動作について説明する。
この実施の形態2では、全ての来場者の中で、最も反応量が大きい来場者の方向に、ロボットの身体を向けるものについて説明する。
【0033】
存在範囲検出部10は、例えば、図5に示すように、プレゼン会場内の来場者を撮影するカメラ(図示せず)の映像を解析して、プレゼン会場内で来場者が存在している範囲を検出する。
図5では、プレゼン会場の左側領域(左側、約4分の3の領域)に来場者が存在している例を示している。
【0034】
指向性マイク111,112,・・・,116は、相互に指向方向が異なるマイクであり、指向方向に存在する来場者の音声を入力して、その音声信号を反応量測定部12に出力する(ステップST11)。
反応量測定部12は、指向性マイク111,112,・・・,116から音声信号を受けると、各音声信号の信号レベルを観測して、各指向方向の来場者の反応量を測定する(ステップST12)。
【0035】
最大反応方向検出部13は、反応量測定部12が各指向方向の来場者の反応量を測定すると、存在範囲検出部10により検出された範囲内で、各指向方向の来場者の反応量を比較して、反応量が最も大きい来場者の方向を検出する(ステップST13)。
例えば、存在範囲検出部10により検出された範囲内の指向性マイクが、指向性マイク113〜116であれば、指向性マイク113〜116から出力された音声信号の信号レベルに基づいて測定された来場者の反応量を比較して、反応量が最も大きい来場者の方向を検出する。
この実施の形態2では、説明の便宜上、来場者A〜Cの中で、来場者Cの反応量が最も大きく(指向性マイク116から出力される音声信号の信号レベルが最も大きい)、反応量が最も大きい来場者の方向が、指向性マイク116の指向方向であるとする。
【0036】
身体制御部14は、最大反応方向検出部13が、反応量が最も大きい来場者の方向を検出すると、ロボットの身体を反応量が最も大きい来場者の方向に向ける制御信号をロボットの移動機構に出力する(ステップST14)。
上記の例では、反応量が最も大きい来場者の方向が、指向性マイク116の指向方向であるため、ロボットの身体が来場者C側に向けられる。
【0037】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、存在範囲検出部10により検出された範囲内で、反応量測定部12により測定された反応量が最も大きい来場者Cの方向を検出する最大反応方向検出部13を設け、身体制御部14がロボットの身体を最大反応方向検出部13により検出された来場者Cの方向に向けるように構成したので、ロボットによるプレゼンテーションの臨場感を高めることができる効果を奏する。
【0038】
この実施の形態2では、反応量測定部12が指向性マイク111,112,・・・,116から出力された音声信号の信号レベルを観測して、各指向方向の来場者の反応量を測定するものについて示したが、これに限るものではなく、例えば、各指向方向の来場者の動きを撮影するカメラの映像を収集し、その映像から各指向方向の来場者の動きの大きさを観測して、各指向方向の来場者の反応量を測定するようにしてもよい。
【0039】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、身体制御部3が反応量測定部2により測定された反応量に応じてロボットの身体を制御するものについて示したが、身体制御部3が、来場者が存在している範囲内でロボットの身体(例えば、顔)の向きを変えるようにしてもよい。
【0040】
即ち、身体制御部3は、ロボットの身体を来場者側に向ける場合、存在範囲検出部10がプレゼン会場内で来場者が存在している範囲を検出すると(図5の例では、プレゼン会場の左側領域(左側、約4分の3の領域)に来場者が存在している)、ロボットが当該範囲を順繰りに見渡すように、例えば、ロボットの首を振らせる制御信号をロボットの首の回転機構に出力する。
これにより、この実施の形態3によれば、ロボットによるプレゼンテーションの臨場感を高めることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施の形態1による動的反応プレゼンロボットを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による動的反応プレゼンロボットの制御方法を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2による動的反応プレゼンロボットを示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態2による動的反応プレゼンロボットの制御方法を示すフローチャートである。
【図5】ロボットが顔を向ける範囲を示す説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 集音マイク(反応量測定手段)
2 反応量測定部(反応量測定手段)
3 身体制御部(身体制御手段)
10 存在範囲検出部(存在範囲検出手段)
111,112,・・・,116 指向性マイク(反応量測定手段)
12 反応量測定部(反応量測定手段)
13 最大反応方向検出部(最大反応方向検出手段)
14 身体制御部(身体制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資料の説明を受けている来場者の反応量を測定する反応量測定手段と、
上記反応量測定手段により測定された反応量に応じて身体を制御する身体制御手段と
を備えた動的反応プレゼンロボット。
【請求項2】
来場者が存在している範囲を検出する存在範囲検出手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の動的反応プレゼンロボット。
【請求項3】
存在範囲検出手段により検出された範囲内で、反応量測定手段により測定された反応量が最も大きい来場者の方向を検出する最大反応方向検出手段を設け、身体制御手段が身体を上記最大反応方向検出手段により検出された方向に向けることを特徴とする請求項2記載の動的反応プレゼンロボット。
【請求項4】
身体制御手段は、存在範囲検出手段により検出された範囲内で身体の向きを変えることを特徴とする請求項2または請求項3記載の動的反応プレゼンロボット。
【請求項5】
身体制御手段は、反応量測定手段により測定された反応量に応じて手又は目の動きを制御することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の動的反応プレゼンロボット。
【請求項6】
反応量測定手段が資料の説明を受けている来場者の反応量を測定する反応量測定ステップと、
身体制御手段が上記反応量測定手段により測定された反応量に応じて身体を制御する身体制御ステップと
を備えた動的反応プレゼンロボットの制御方法。
【請求項7】
資料の説明を受けている来場者の反応量を測定する反応量測定処理手順と、
上記反応量測定処理手順により測定された反応量に応じて身体を制御する身体制御処理手順と
をコンピュータに実行させるための動的反応プレゼンロボットの制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−213081(P2008−213081A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52938(P2007−52938)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(599108242)Sky株式会社 (257)
【Fターム(参考)】