説明

包装容器の製造方法

【課題】他の容器への内容物の詰め替えを容易に行うことができ、かつ、廃棄が容易に行える包装容器を効率的に製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】まず、筒形状の容器本体510の開放端に、漏斗520及び側壁523を有する漏斗508パーツを嵌め込む。次に、漏斗パーツ508の側壁523と容器本体510の側壁517の重なり部分との間に所定間隔を空けて、コイル554a及び554bを配置する。図示しない電源装置からコイル554a及び554bへと高周波電流を所定時間だけ供給することにより、側壁517を構成する金属層が誘電加熱される。金属層の内面側に設けられた熱可塑性樹脂層が溶融・固化することによって、漏斗パーツ508が容器本体510に溶着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器の製造方法に関し、より特定的には、筒形状の容器本体の開口部に嵌め込まれた漏斗パーツとを備える包装容器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インスタントコーヒー等の粉末状の食品は、保存時の密閉性を保持できるように、一般に、キャップ付き瓶のような密閉性の高い包装容器に充填した状態で販売される。また、内容物を再充填して保存容器を再利用する目的で、内容物を簡易に包装した詰め替え用パッケージも知られている。このような詰め替え用パッケージの包装容器としては、例えばパウチやガゼット袋等が知られているが、近年では、省資源化や廃棄の容易性の面から、紙を主体とする材料で作製したカップ状の包装容器(以下、「カップ容器」という)が好まれる場合がある。
【0003】
また、特許文献1〜3には、軽量で廃棄が容易な紙製のカップ容器を補強するために、カップ容器の開口部に樹脂製の補強リングを取り付けた構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭63−24464号公報
【特許文献2】特開平8−58764号公報
【特許文献3】特開2002−264918号公報
【特許文献4】特許第2895556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
詰め替え用パッケージとしてカップ容器を用いた場合、保存容器への内容物の再充填は、例えば、開封したカップ容器の開口部を保存容器の開口部に宛がい、内容物を徐々に保存容器内へと流し込むことによって行う。しかしながら、この詰め替え作業時には、内容物がこぼれて手や周囲を汚してしまう場合があり、使い勝手が良いとは言えなかった。
【0006】
そこで、詰め替え用パッケージを構成するカップ容器に、内容物の詰め替えをしやすくするための何らかの部品を設けることが考えられる。この場合、カップ容器とこれに取り付ける部品の形状や大きさに応じた最適な取り付け方法が求められる。
【0007】
それ故に、本発明は、他の容器への内容物の詰め替えを容易に行うことができ、かつ、廃棄が容易に行える包装容器を効率的に製造できる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、内容物を他の容器に移し替えるために用いられ、開放端と底部と側壁とを有する筒形状の容器本体と、開放端に向かって径が狭まる漏斗及び漏斗の外面を取り囲む筒形状の側壁を含む漏斗パーツとを備える包装容器の製造方法に関するものである。
【0009】
本発明に係る製造方法では、最内面に設けられた熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂層より外方側に設けられた金属層とを有する容器本体に漏斗パーツを挿入し、漏斗パーツの側壁と包装容器の側壁との重なり部分との間に所定の隙間を空けてコイルを配置し、漏斗パーツの側壁を包装容器の側壁に押圧しながら、コイルに高周波電流を供給して金属層の一部を誘電加熱し、熱可塑性樹脂層と漏斗パーツの側壁とを溶着させる。
【0010】
あるいは、最内面に熱可塑性樹脂層を有する容器本体に漏斗パーツを挿入し、漏斗パーツの側壁と包装容器の側壁との重なり部分に沿って超音波ホーンの端面を当接させ、漏斗パーツの側壁を包装容器の側壁に押圧しながら、超音波ホーンを発振させて、熱可塑性樹脂層と漏斗パーツの側壁とを溶着させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高周波溶着または超音波溶着を利用するため、容器本体内面の熱可塑性樹脂層を介して、容器本体と漏斗パーツとを高速かつ容易に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るパッケージの概略構成を示す斜視図
【図2】図1に示されるパッケージの分解斜視図
【図3】図1に示されるIII−IIIラインの断面図
【図4】図2に示されるメンブレンの平面図
【図5】図4に示されるV−Vラインの断面図
【図6】本発明に係るパッケージの使用状態を示す斜視図
【図7】図6に示されるVII−VIIラインの断面図
【図8】本発明の第1の実施形態に係る製造方法で使用される高周波溶着装置の概略構成を示す図
【図9】図8に示されるA5−A5’ラインから見た図
【図10】図9に示されるB5−B5’ラインの断面図
【図11】本発明の第1の実施形態に係る製造方法の一工程を説明するための断面図
【図12】図11に示されるC5部分の拡大図
【図13】図11に続く工程を説明するための断面図
【図14】図13に続く工程を説明するための断面図
【図15】図14に続く工程を説明するための断面図
【図16】漏斗パーツと容器本体の溶着箇所を示す断面図
【図17】本発明の第2の実施形態に係る製造方法を説明するための模式図
【図18】図17に示されるD5−D5’ラインの断面図
【図19】本発明の第3の実施形態に係る製造方法を説明するための図
【図20】図19に示されるE5−E5’ラインの断面図
【図21】本発明の第4の実施形態に係る製造方法を説明するための模式図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(基本構成)
まず、図1〜7を参照しながら、本発明に係るパッケージの基本的な構成を説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパッケージの概略構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示されるパッケージの分解斜視図である。また、図3は、図1に示されるIII−IIIラインの断面図である。
【0015】
パッケージ1は、粉粒状または液状の材料を包装し、他の保存容器に内容物を再充填するための詰め替え用パッケージとして使用されるものであり、包装容器2と、包装容器2の内部に充填される内容物5と、包装容器2の開放端11を封止するメンブレン3とを備える。更に、包装容器2には、メンブレン3を保護するために、高密度ポリエチレン(HDPE)やポリプロピレン(PP)等で形成したオーバーキャップ4が取り付けられている。内容物5は、流動性を有するものであれば特に限定されず、本発明に係る包装容器2は粉状、粒状、液状等の様々な材料に適用できる。
【0016】
包装容器2は、一端が開放された筒形状の容器本体10と、容器本体10の内部に収納された漏斗20を含む漏斗パーツ8とを備える。
【0017】
容器本体10は、側壁17と底部16と開放端11とを有する。本実施形態では、容器本体10は、矩形形状のシート材料を丸めて部分的に重ね合わせ、重なり部分を貼り合わせることによって筒状に形成されている。容器本体10の底部18は、円形状の底板19と、底板19の外周部を挟み込んで保持する折り返し部18とによって構成されている。一方、容器本体10の開放端11には、側壁17の一部を外方に折り曲げて環状に巻き込むことによって、カーリング12が形成されている。
【0018】
容器本体10の形成材料は特に限定されないが、容器の軽量化や廃棄の容易さ、省資源化を考慮して、紙を主体とする材料を用いることが好ましい。一例として、食品の包装用途では、容器本体10の内面となる側から順に、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、アルミニウム箔、紙を積層して形成され、高いガスバリア性(特に、酸素、水蒸気、芳香成分等の内容物由来の揮発成分を遮断する性質)を有するシート材料を利用できる。
【0019】
漏斗パーツ8は、一方端に向かって径の狭まる部分を有する漏斗と、これに一体化された部材からなる部品のことをいう。図1〜3に例示した漏斗パーツ8は、漏斗20と、漏斗パーツ8の広口部分に接続される円筒形状の側壁22とを備え、容器本体10の開放端11から内部へと挿入され、収納容器10に嵌め込まれている。後述するように、漏斗20は、他の容器への内容物5の詰め替えを容易にするために設けられているものであり、開放端11に向かって径が狭まるように配置されている。漏斗20のテーパー角αは、内容物の流動性に応じて適宜設定されるが、内容物が粉体の場合には、少なくとも20°〜45°、より好ましくは20°に設定される。
【0020】
漏斗パーツ8は、例えば、HDPEやPP等の樹脂材料によって一体成型しても良いし、紙や樹脂、紙混合樹脂等を用いて別個に形成した漏斗20及び側壁22を互いに接続して構成しても良い。樹脂や紙混合樹脂を用いる場合、漏斗パーツ8は、例えば射出成形によって成形しても良い。漏斗20や漏斗パーツ8の形状や取り付け方法は、図1〜3の例に限らず、様々なバリエーションがある。
【0021】
図4は、図2に示されるメンブレンの平面図であり、図5は、図4に示されるV−Vラインの断面図である。
【0022】
メンブレン3は、包装容器2に材料を充填した後に、包装容器2の開放端11を封止するために用いられるものであり、包装容器2の用途に応じて、単一の層よりなるシート材料または複数層を積層したシート材料を利用できる。包装容器2の内容物が食品等の場合には、ガスバリア性を有する材料でメンブレン3を形成することが好ましい。
【0023】
具体的には、メンブレン3は、図5に示されるように、包装容器2にシールされるシーラント層31と、シーラント層31上に積層された樹脂層32と、接着剤層33を介して樹脂層32上に張り合わされた金属箔層34とから構成される。一例として、シーラント層31をポリエチレンで形成し、樹脂層32をポリエチレンテレフタラート(PET)で形成し、金属箔層34はアルミニウムで形成しても良い。メンブレン3を構成する層の積層数や積層方法は特に限定されず、任意で良い。
【0024】
メンブレン3には、外部からの押圧によって張力が所定の大きさを超えたときに破断するように、中心から放射状に延びる6本の切断線30が形成されている。切断線30は、図4及び5に示されるように、メンブレン3の厚み方向においては、シーラント層31及び樹脂層32のみを切断し、かつ、メンブレン3の延伸方向においては、破線を描くように形成されている。
【0025】
切断線30は、メンブレン3の破断強度を調整するためのものであり、メンブレン3に加えられる押圧力に応じて、数やライン形状、切断箇所の長さ及び深さを任意に設定することができる。切断線30の理想的な数としては、中心から放射状に3〜10本の範囲で設けるのが望ましい。切断線30は、直線状でも良いし曲線状でも良い。また、メンブレン3の延伸方向において、切断線30は必ずしも破線状のミシン目である必要はなく、実線を描くように形成しても良い。
【0026】
図6は、本発明に係るパッケージの使用状態を示す斜視図であり、図7は、図6に示されるVII−VIIラインの断面図である。より特定的には、図6及び7において、(a)は、メンブレンの破断前の状態を示し、(b)は、メンブレンの破断後の状態を示す。
【0027】
パッケージ1内の内容物5を他の容器7に再充填する際には、まず、図6(a)及び7(a)に示すように、オーバーキャップを取り外した包装容器2を倒立させ、メンブレン3を保存容器7の開口部に当接させる。このとき、漏斗20の狭口側の開口部が保存容器7の開口の範囲内に配置するため、包装容器2の中心を保存容器7の中心とを合わせる。
【0028】
次に、パッケージ1の底部を図の矢印方向に押下する。このとき、メンブレン3は、包装容器2の押圧に伴って、漏斗20及び容器7の開口部から押圧力を受けるが、メンブレン3の張力が所定の破断強度を上回ると、図6(b)及び7(b)に示すように、メンブレン3が破断する。メンブレン3が破断すると、包装容器2に加えられた押圧力に従って、漏斗20は容器7の内部へと挿入され、破断したメンブレン3は、漏斗20と側壁22とで挟まれた空間内に折り込まれる。この結果、漏斗20の外方側の開口部が大きく開いた状態となるので、内容物5は、重力に従って、漏斗20のテーパーに沿って容器7の内部に流入する。
【0029】
以上説明したように、本発明に係る包装容器2及びこれを用いたパッケージ1によれば、メンブレン3と容器7の開口部とを突き合わせて、包装容器2を保存容器7に向かって押圧することにより、メンブレン3の破断とほぼ同時に漏斗20の開口部が保存容器7内に挿入される。包装容器2内の内容物5は漏斗20によって保存容器7の内部に誘導されるため、詰め替え作業時に内容物5が飛散したりこぼれたりするのを防止できる。よって、本実施形態に係る包装容器2及びパッケージ1によれば、内容物の詰め替えを容易に行うことが可能となる。
【0030】
以下、本発明の第1〜第4の実施形態に係る包装容器の製造方法を説明する。尚、以下の説明では、本発明の特徴である漏斗パーツと容器本体との接合方法を中心に説明する。
【0031】
(第1の実施形態)
図8は、本発明の第1の実施形態に係る製造方法で使用される高周波溶着装置の概略構成を示す図であり、より特定的には、(a)は、正面図であり、(b)は、背面図である。図9は、図8に示されるA5−A5’ラインから見た図であり、図10は、図9に示されるB5−B5’ラインの断面図である。
【0032】
高周波溶着装置551は、繊維強化プラスチック(FRP)によって形成された円弧状の一対の枠部材552a及び552bと、コイル554a及び554bと、コイル554a及び554bに取り付けられる一対の取り付け具555a及び555bとを備える。
【0033】
コイル554a及び554bは、銅管の曲げ加工により形成され、枠部材552a及び552bの底部に形成された溝552a及び553bの内部に収納されている。図8(b)にしめすように、コイル554a及び554bの一端同士は、フレキシブルな導電体557及び導管557によって接続されている。コイル554a及び554bには、図示しない電源装置から高周波電源が供給される。また、コイル554a及び554bは、その中空内部を循環する冷却水によって冷却されている。
【0034】
高周波溶着装置551は、取り付け具555a及び555bを介して図示しない移動機構に取り付けられ、移動機構の動作に従って、上下方向(図8及び10における上下方向)に昇降自在である。また、枠部材552a及び552b(及びこれに収納されたコイル554a及び554b)は、図8及び9の実線及び二点鎖線で示すように、移動機構の動作に従って、互いに近づく方向及び遠ざかる方向に開閉自在である。
【0035】
図11は、本発明の第1の実施形態に係る製造方法の一工程を説明するための断面図であり、図12は、図11に示されるC5部分の拡大図である。図13は、図11に続く工程を説明するための断面図であり、図14は、図13に続く工程を説明するための断面図であり、図15は、図14に続く工程を説明するための断面図である。
【0036】
まず、図11に示すように、カップ成形機等で成型した容器本体510の開放端511に、インジェクション成形等で成型した漏斗パーツ508を挿入する。
【0037】
容器本体510は、紙を主体とするシート材料により形成され、開放端511と側壁517と底部とを有する円筒形状を有している。側壁517の最内面にはポリエチレン等の熱可塑性樹脂層が設けられ、熱可塑性樹脂層の外方側にはアルミニウム箔等の金属層が設けられている。
【0038】
一方、漏斗パーツ508は、一端に向かって径の狭まる漏斗520と、漏斗520の広口側の開口部に接続され、漏斗520の外面を取り囲む円筒形状の側壁523とを有する。更に、図12に示すように、側壁523の外面のうち、漏斗520の狭口側部分に凸条524a〜524cが設けられると共に、漏斗520の広口側部分に凸条525a及び525bが設けられている。凸条524a〜524c、525a及び525bの各々は、側壁523の外面から突出して、側壁523の全周に渡って周方向に延びるように、側壁523と一体成型されている。また、凸条524a〜524c、525a及び525bの最外径は、容器本体510の内径より大きく設定されている。したがって、図11に示した工程では、凸条524a〜524c、525a及び525bの各々によって、容器本体510の側壁517を外方に押し広げながら、容器本体510に漏斗パーツ508を嵌め込む。
【0039】
次に、図13に示すように、漏斗パーツ508を容器本体510に嵌め込んだワークを円筒形状のアンビル556に挿入した後、高周波溶着装置551を容器本体510の開放端に向けて降下させ、図14に示すように、漏斗520の外面と側壁523の内面とで挟まれた空間にコイル554a及び554bを挿入する。コイル554a及び554bの垂直位置が、漏斗パーツ508の側壁523に形成された凸条524a〜524cの垂直位置とほぼ同じとなるまで、高周波溶着装置551を降下させる。
【0040】
次に、枠部材552a及び552bを互いに遠ざかる方向(図14に示す矢印の方向)に水平移動させ、図15に示すように枠部材552a及び552bとアンビル556との間に、漏斗パーツ508の側壁523と容器本体510の側壁517との重なり部分を挟み込む。このとき、コイル554a及び554bは、枠部材552a及び552bを介して、側壁517及び523の重なり部分から所定距離だけ離れた位置に配置される。
【0041】
次に、図示しない電源装置からコイル554a及び554bへと高周波電流を所定時間だけ供給して、容器本体510の側壁517を構成する金属層を誘電加熱する。
【0042】
図16は、漏斗パーツと容器本体の溶着箇所を示す断面図である。
【0043】
金属層の内部加熱によって、その内面側(側壁517の最内面)に設けられた熱可塑性樹脂層が溶融する。上述したように、凸条524a〜524cは、容器本体510の側壁517を押し広げるように押圧しているため、溶融した樹脂が凸条524a〜524cの外面にまで広がった状態で固化する。この結果、図16に示すように、凸条524a〜524cが熱可塑性樹脂層に食い込んだ状態で、漏斗パーツ508の側壁523が容器本体510の側壁517に接合される。
【0044】
尚、図16において、凸条525a及び525bは、側壁517に溶着されていないが、これらの最外径と側壁517の内径との差によって、側壁517の内面を押し広げた状態が維持されている。このように凸条525a及び525bと側壁517の内面との密着状態が保たれることによって、漏斗パーツ508の側壁523と容器本体510との間に内容物が入り込むことを防止できる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る製造方法では、高周波溶着によって、漏斗パーツ508と容器本体510とを高速かつ確実に接合することができるので、包装容器を効率的に製造することが可能となる。
【0046】
(第2の実施形態)
図17は、本発明の第2の実施形態に係る製造方法を説明するための模式図であり、図18は、図17に示されるD5−D5’ラインの断面図である。
【0047】
本実施形態では、第1の実施形態で説明したものと同一構成の容器本体510と漏斗パーツ508を、容器本体510の外面に配置されるリング状のコイル559を用いた高周波溶着により接合する。より具体的には、容器本体510に漏斗パーツ508を嵌合させた後、容器本体510をコイル559の内部に挿入して、側壁517及び523の重なり部分を取り囲むようにコイル559の位置を調整する。その後、第1の実施形態と同様に、図示しない電源装置からコイル559へと高周波電流を所定時間だけ供給することによって、漏斗パーツ508の側壁523と容器本体510の側壁517とを溶着する。
【0048】
本実施形態では、立てた容器本体510に対してコイル559を上下させる操作、または、所定位置に保持されるコイル559に対して容器本体を上下させる操作を行うだけで、容器本体510に対するコイル559の位置決めができるので、高周波溶着装置の機構をシンプルに構成することができる。また、本実施形態では、容器本体510のほぼ全周を同時に溶着することができるので、十分な強度での接合を効率的に行うことができる。更に、容器本体510や漏斗パーツ508に、高周波溶着装置やアンビルが接触しないため、包装容器を傷つける虞もない。
【0049】
尚、本実施形態では、説明を簡略化するために、コイル559のみを図示しているが、第1の実施形態と同様にコイル559を内蔵した枠部材と、漏斗パーツ508に挿入されるアンビルとを用いても良い。すなわち、枠部材とアンビルとの間に、漏斗パーツ508の側壁523と容器本体510の側壁517との重なり部分挟み込んだ状態で、コイル559に高周波電流を供給して溶着を行っても良い。
【0050】
(第3の実施形態)
図19は、本発明の第3の実施形態に係る製造方法を説明するための図であり、図20は、図19に示されるE5−E5’ラインの断面図である。
【0051】
本実施形態では、第1の実施形態と同一構成の容器本体510と漏斗パーツ508とを超音波ホーン560を用いた超音波溶着により接合する。
【0052】
超音波ホーン560は、容器本体510の外面と同一曲率の曲面よりなる端面563を有し、容器本体510の周方向に沿って外面の一部に当接することができる。端面563上の最も振動子側の位置T1から端面563の先端の位置T0までの距離dは、位置T0〜T1の範囲内で溶着に有効な超音波振幅が得られるように決定される。例えば、位置T1の端面563上で最大振幅が得られる条件下で、位置T0の端面563上で溶着に最低限必要な振幅が得られるように距離dの値を設定することができる。したがって、超音波ホーン560の端面563と容器本体510外面との接触範囲(容器本体510の中心軸Zを中心とする角度θで表す)は、距離dと容器本体510の半径rとを用いて求めることができる。
【0053】
容器本体510と漏斗パーツ508とを接合する際には、まず、容器本体510の開放端516に漏斗パーツ508を嵌め込んだワークをアンビル562に取り付ける。次に、図19及び20に示すように、漏斗パーツ508の側壁523と容器本体510の側壁517との重なり部分に沿って超音波ホーン560の端面563を当接させる。そして、超音波ホーン560とアンビル562との間で、漏斗パーツ508の側壁523を容器本体510の側壁517に押圧しながら、超音波ホーン560を所定時間だけ発振させる。超音波振動によって、側壁517及び523の界面にある熱可塑性樹脂層(側壁517の最内面)が溶融し、漏斗パーツ508の一部と容器本体510の一部とが接合される。その後、超音波ホーン560を例えば二点鎖線で示した位置に移動させて、再度超音波ホーン560を発振させることによって、漏斗パーツ508の一部と容器本体510の一部とを接合することができる。このように、超音波ホーン560の端面563と容器本体510の外面との接触位置を変えながら、超音波ホーン560を間欠的に複数回発振させることで、漏斗パーツ508と容器本体510とを必要な強度で接合することができる。
【0054】
尚、漏斗パーツ508と容器本体510とを複数回に渡って超音波溶着する場合、超音波ホーン560を移動させる代わりに、ワークを容器本体510の中心軸Z軸周りに回転させることによって、超音波ホーン560と容器本体510との接触箇所を変更しても良い。
【0055】
また、複数の超音波ホーンを容器本体510の周方向に並べて配置し、これらの超音波ホーンを所定の順序で発振させることで、複数箇所を連続して超音波溶着しても良い。例えば、図19及び20に超音波ホーン560(実線)に加えて、二点鎖線で示した位置に2台目の超音波ホーンを配置し、これらの間で振動干渉が生じないように逐次発振を行えば、漏斗パーツ508を容器本体510に効率的に接合することができる。
【0056】
本実施形態のように超音波振動によって内部加熱する場合には、容器本体や漏斗に発熱体となる金属層が不要となるので、省資源化や廃棄が容易な包装容器を効率的に製造できる。
【0057】
(第4の実施形態)
図21は、本発明の第4の実施形態に係る製造方法を説明するための模式図である。
【0058】
本実施形態では、直列に配置した2台の超音波ホーン564及び565を用いて、容器本体510の全周に渡って超音波溶着を行う。
【0059】
より具体的には、容器本体510の開放端516に漏斗パーツ508を嵌め込んだワークを図示しないアンビルに取り付ける。次に、漏斗パーツ508及び容器本体510の側壁同士の重なり部分を超音波ホーン564の端面に当接させたまま、ワークを容器本体510の中心軸Zの周りに回転させながら、超音波ホーン564及び565の整列方向(図のブロック矢印で示す方向)に移動させる。超音波ホーン564及び565は、ワークが当接している間連続して発振し、容器本体510との接触箇所を超音波溶着する。
【0060】
本実施形態によれば、容器本体510の全周に渡って連続して漏斗パーツ508の溶着を行うことができるので、高速かつ十分な接合強度を有する包装容器を製造することができる。
【0061】
(その他の変形例)
上記の第1〜第4の各実施形態では、漏斗パーツ(凸条)の外径と容器本体の内径との寸法差によって、漏斗パーツが容器本体を押し広げるように押圧する例を示したが、アンビル等を用いて漏斗パーツと容器本体の側壁同士を圧着できる場合は、凸条や両者の寸法差をなくしても良い。
【0062】
また、上記の第1〜第4の各実施形態では、漏斗パーツの側壁に設けられた凸条が側壁の全周に渡って形成されている例を説明したが、複数の凸条が間欠的に形成されていても良い。
【0063】
更に、上記の第1〜第4の各実施形態では、樹脂製の漏斗パーツを紙製の容器本体に溶着する例を説明したが、漏斗パーツも紙を主体とする材料で構成した場合でも、本発明に係る接合方法を同様に適用できる。
【0064】
更に、上記の第1〜第4の各実施形態において、アンビルを用いずに容器本体と漏斗パーツとを溶着しても良い。また、アンビルの形状は特に限定されず、複数のパーツから構成されるアンビルを使用しても良い。
【0065】
更に、上記の第1〜第4の各実施形態において、漏斗パーツの側壁にフランジを更に設け、漏斗パーツのフランジを容器本体のフランジ上に重ね合わせた状態で両者を溶着しても良い。この場合、漏斗パーツのフランジ部の下面に凸条を設けておけば、溶着しやすくなるので好ましい。
【0066】
更に、上記の第3及び第4の実施形態では、容器本体の外側に超音波ホーンを当接させる接合方法を説明したが、漏斗パーツの側壁の内面側に超音波ホーンを当接させても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、インスタントコーヒーや粉ミルク等の食品や、複写機やレーザープリンター用のトナーなど、粉状・顆粒状・液状の流動性を有する材料を他の容器に移し替えるための包装容器として利用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 パッケージ
2 包装容器
3 メンブレン
5 粉体
7 容器
8 漏斗パーツ
10 容器本体
11 開放端
17 側壁
20 漏斗
508 漏斗パーツ
510 容器本体
511 開放端
517 側壁
520 漏斗
523 側壁
524 凸条
554、559 コイル
560、564、565 超音波ホーン
563 端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を他の容器に移し替えるために用いられ、開放端と底部と側壁とを有する筒形状の容器本体と、前記開放端に向かって径が狭まる漏斗及び前記漏斗の外面を取り囲む筒形状の側壁を含む漏斗パーツとを備える包装容器の製造方法であって、
最内面に設けられた熱可塑性樹脂層と、熱可塑性樹脂層より外方側に設けられた金属層とを有する前記容器本体に前記漏斗パーツを挿入し、
前記漏斗パーツの側壁と前記包装容器の側壁との重なり部分との間に所定の隙間を空けてコイルを配置し、
前記漏斗パーツの側壁を前記包装容器の側壁に押圧しながら、前記コイルに高周波電流を供給して前記金属層の一部を誘電加熱し、前記熱可塑性樹脂層と前記漏斗パーツの側壁とを溶着させる、包装容器の製造方法。
【請求項2】
前記コイルを前記漏斗の外面と前記側壁の内面とで挟まれる空間に挿入する、請求項1に記載の包装容器の製造方法。
【請求項3】
前記コイルを前記容器本体の外面を取り囲むように配置する、請求項1に記載の包装容器の製造方法。
【請求項4】
前記漏斗パーツは、その側壁の外面から突出して全周に渡って周方向に延び、前記重なり部分に配置される凸条を更に含み、
前記凸条の外径は、前記重なり部分における前記容器本体の内径より大きく設定されており、
前記凸条で前記容器本体の側壁を外方に押し広げた状態で前記漏斗パーツを前記容器本体に挿入する、請求項1〜3のいずれかに記載の包装容器の製造方法。
【請求項5】
内容物を他の容器に移し替えるために、開放端と底部と側壁とを有する筒形状の容器本体と、前記開放端に向かって径が狭まる漏斗及び前記漏斗の外面を取り囲む筒形状の側壁を含む漏斗パーツとを備える包装容器の製造方法であって、
最内面に熱可塑性樹脂層を有する容器本体に前記漏斗パーツを挿入し、
前記漏斗パーツの側壁と前記包装容器の側壁との重なり部分に沿って超音波ホーンの端面を当接させ、
前記漏斗パーツの側壁を前記包装容器の側壁に押圧しながら、前記超音波ホーンを発振させて、前記熱可塑性樹脂層と前記漏斗パーツの側壁とを溶着させる、包装容器の製造方法。
【請求項6】
前記超音波ホーンは、前記容器本体の周方向において、前記容器本体の外面の一部のみに接する端面を有し、
前記超音波ホーンの端面と前記容器本体の外面との接触位置を変えながら、前記超音波ホーンを間欠的に複数回発振させることによって、前記熱可塑性樹脂層と前記漏斗パーツの側壁とを溶着させる、請求項5に記載の包装容器の製造方法。
【請求項7】
前記超音波ホーンは、前記容器本体の周方向において、前記容器本体の外面の一部にのみ沿う端面を有し、
複数の前記超音波ホーンを前記容器本体の周方向に並べて配置し、所定の順序で前記超音波ホーンを発振させることによって、前記熱可塑性樹脂層と前記漏斗パーツの側壁とを溶着させる、請求項5に記載の包装容器の製造方法。
【請求項8】
複数の前記超音波ホーンを所定方向に並べて配置し、前記超音波ホーンの端面に当接した状態で前記容器本体を中心軸周りに回転させながら前記所定方向に移動させることによって、前記熱可塑性樹脂層と前記漏斗パーツの側壁とを溶着させる、請求項5に記載の包装容器の製造方法。
【請求項9】
前記漏斗パーツは、その側壁の外面から突出して全周に渡って周方向に延び、前記重なり部分に配置される凸条を更に含み、
前記凸条の外径は、前記重なり部分における前記容器本体の内径より大きく設定されており、
前記凸条で前記容器本体の側壁を外方に押し広げた状態で前記漏斗パーツを前記容器本体に挿入する、請求項5〜8のいずれかに記載の包装容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−279931(P2009−279931A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104376(P2009−104376)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】