説明

化合物

【化11】


DDAHによってその症状が影響を受ける疾患の治療に使用される薬剤の製造における、式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩が、DDAHの阻害剤として有効であることが見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DDAHの阻害剤であり、従って、DDAHによってその症状が影響を受ける疾患の治療に有用である、化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
メチル化タンパク質アルギニン残基のタンパク質加水分解によって放出される内因性メチルアルギニン:NGGジメチル−L−アルギニン(ADMA)およびNGモノメチル−L−アルギニン(L−NMMA)は、全ての酸化窒素シンターゼ(NOS)アイソフォームの阻害物質である。酵素ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ(DDAH)は、その2つのNOS−阻害メチルアルギニンを代謝するが、生理的に不活性な関連NGGジメチルアルギニン(SDMA)は代謝しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、不斉メチル化アルギニン誘導体のレベルを調節するDDAHは、NOSの活性に間接的に影響を与えるその能力によって、治療的潜在力を有しうる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くことに、下記の一般式(I)の化合物が、DDAHの阻害剤として作用することが見出された。従って、本発明は、DDAHの阻害剤として使用される薬剤の製造における、式(I):
【化3】

[式中、
−(a)R1は、C3〜C12アルキル、C3〜C12アルケニル、C3〜C12アルキニル、C6〜C10アリール、C3〜C8カルボシクリル、5〜10員ヘテロシクリル、5〜10員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−Aまたは−L−Y−Aであり、ここで、
Lは、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
L’は、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
Aは、C6〜C10アリール、C3〜C8カルボシクリル、5〜10員ヘテロシクリルまたは5〜10員ヘテロアリールであり;
Hetは、−O−、−S−または−NR’−であり、ここで、R’は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
Yは、−CO−、−SO−、−SO2−、−CO−O−、−CO−NR’−、−O−CO−または−NR’−CO−であり、ここで、R’は前記のように定義され;
−R2は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
−R3は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであるか、または
−(b)R1およびR2は、それらが結合している窒素と一緒に、5〜10員の複素環またはヘテロアリール環を形成し、R3は前記のように定義されるか、または
−(c)R1およびR3は、それらが結合している−N−C=N−部分と一緒に、5〜10員の複素環またはヘテロアリール環を形成し、R2は前記のように定義され;
−R4は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
−Bは、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、−O−L−、−S−L−または−L−Het−L’であり、ここで、L、L’およびHetは前記のように定義され;
−Xは、−O−、−S−または−NR’−であり、ここで、R’は前記のように定義され;
−R5は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、アリール、C3〜C8カルボシクリル、5〜10員ヘテロシクリル、5〜10員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−A、−L−Y−A、−L−A−Het−A、−L−A−L’−Aまたは−L−A−Het−L’−Aであり、ここで、L、L’、HetおよびYは、前記のように定義され、各Aは、同じかまたは異なり、前記のように定義され;
−R6は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
−R7は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであるか、またはR7は、結合、C1〜C4アルキルまたはC2〜C4アルケニル部分であり、それは、Bの炭素原子の1つに結合して、R7およびBが結合している−N−C−部分と一緒に、5〜10員複素環を形成し;
−R8は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
ここで、
−置換基R1〜R7、XおよびBにおける、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基および部分は、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、アミノおよびチオ置換基から選択される同じかまたは異なる1個、2個または3個の置換基によって置換され、;
−置換基R1およびR5における、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基および部分、R1とR2およびR1とR3によって形成される複素環またはヘテロアリール部分、R7とBによって形成される複素環部分は、非置換であるか、または下記から選択される1個、2個または3個の置換基によって置換されている:ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、チオ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アルキルチオ、ニトロ、シアノ、C1〜C6アルキルアミノ、ジ−(C1〜C6アルキル)アミノ、C1〜C6ハロアルキル、C1〜C6ハロアルコキシおよびC1〜C6ハロアルキルチオ置換基]。
の化合物または医薬的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0005】
式(I)の化合物の例は、R5が、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、アリール、C3〜C8カルボシクリル、5〜10員ヘテロシクリル、5〜10員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−Aまたは−L−Y−Aであり、ここで、L、L’、HetおよびYは、前記のように定義される先に定義した化合物である。
【0006】
本発明は、DDAHによってその症状が影響を受ける疾患の治療に使用される薬剤の製造において使用するための、式(I)の化合物にも関する。
【0007】
本発明は、脳または心臓の虚血−再灌流障害、癌、重篤炎症状態における致死的低血圧、局所および全身性炎症疾患、神経変性、喘息、痛みまたは敗血症の治療に使用される薬剤の製造において使用するための、式(I)の化合物にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、DDAHの阻害剤として使用される薬剤の製造における、式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の使用に関する。
【0009】
疑問の余地がないように、部分−L−Y−Aにおける基Yの配向は、示されている基の左側がLに結合している配向である。従って、例えば、Yが−CO−NR’−であるとき、基−L−Y−Aは、−L−CO−NR’−Aである。同様に、疑問の余地がないように、部分−L−Y−L’における基Yの配向は、示されている基の左側がLに結合している配向である。従って、例えば、Yが−CO−NR’−であるとき、基−L−Y−L’は−L−CO−NR’−L’である。
【0010】
疑問の余地がないように、基Bが−O−L−または−S−L−であるとき、示されている基の左側がグアニジン窒素に結合している。従って、例えば、Bが−O−L−であるとき、部分−R4N−B−CR8(NR6NR7)−は、−R4N−O−L−CR8(NR6NR7)−である。
【0011】
本明細書において使用されるC1〜C12アルキル基または部分は、1〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルキル基または部分、例えば、C3〜C12、C1〜C6またはC1〜C4アルキル基または部分である。そのようなアルキル基または部分の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、n−オクチルおよび−CH2CMe3である。C3〜C12アルキル基または部分の例は、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、n−オクチルおよび−CH2CMe3である。1つの実施形態において、C3〜C12アルキル基は、好ましくはC5〜C12アルキル基、より好ましくはC6〜C12アルキル基である。二価アルキル基または部分(または、アルキレン基または部分)は、同じ炭素原子を介して、隣接炭素原子を介して、または非隣接炭素原子を介して、結合させることができる。二価アルキル部分の例は、メチレン、1,2−エチルおよび1,3−プロピル部分である。好ましい二価アルキル部分は、1,2−エチルおよび1,3−プロピル部分である。
【0012】
本明細書において使用されるC2〜C12アルケニル基または部分は、2〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルケニル基または部分、例えば、C3〜C12、C2〜C6またはC2〜C4アルケニル基または部分、例えば、エテニル、n−プロペニルおよびn−ブテニルである。好ましいC2〜C6アルケニル基はエテニルである。好ましいC3〜C12アルケニル基はアリルである。1つの実施形態において、C3〜C12アルケニル基は、好ましくはC4〜C12アルケニル基、より好ましくはC5〜C12アルケニル基である。一般に、アルケニル基は唯1つの二重結合を有する。この二重結合は、一般に、アルケニル基のα−位に存在する。二価アルケニル基(またはアルケニレン基)は、同じ炭素原子を介して、隣接炭素原子を介して、または非隣接炭素原子を介して、結合させることができる。
【0013】
本明細書において使用されるC2〜C12アルキニル基または部分は、2〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルケニル基または部分、例えば、C3〜C12、C2〜C6またはC2〜C4アルキニル基または部分、例えばエチニルである。1つの実施形態において、C3〜C12アルキニル基は、好ましくはC4〜C12アルキニル基、より好ましくはC5〜C12アルキニル基である。一般に、アルキニル基は、唯1つの三重結合を有する。この三重結合は、一般に、アルキニル基のα−位に存在する。二価アルキニル基(またはアルキニレン基)は、同じ炭素原子を介して、隣接炭素原子を介して、または非隣接炭素原子を介して、結合させることができる。
【0014】
本明細書において使用されるハロゲンは、一般に、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素であり、好ましくは塩素またはフッ素である。本明細書において使用されるC1〜C6アルコキシ基は、一般に、酸素原子に結合したC1〜C6アルキル基である。C1〜C6アルキルチオ基は、一般に、チオ基に結合したC1〜C6アルキル基である。
【0015】
本明細書において使用されるC1〜C6ハロアルキル基は、一般に、1個またはそれ以上のハロゲン原子によって置換されたC1〜C6アルキル基、例えばC1〜C4アルキル基である。一般に、それは、1個、2個または3個のハロゲン原子によって置換されている。ハロアルキル基の例は、ペルハロアルキル基、例えば−CX3(ここで、Xはハロゲン原子である)、例えば−CF3である。好ましいハロアルキル基は、モノハロアルキル基、例えば−CH2−CH2F、およびペルハロアルキル基、例えば−CF3を包含する。好ましハロアルキル基の例は、モノハロアルキル基、例えば−CH2−CH2Fである。
【0016】
本明細書において使用されるC1〜C6ハロアルコキシ基は、一般に、1個またはそれ以上のハロゲン原子によって置換されたC1〜C6アルコキシ基、例えばC1〜C4アルコキシ基である。一般に、それは、1個、2個または3個のハロゲン原子によって置換されている。好ましいハロアルコキシ基は、ペルハロアルコキシ基、例えば−OCX3(ここで、Xはハロゲン原子である)を包含する。特に好ましいハロアルコキシ基は、−OCF3および−OCCl3である。
【0017】
本明細書において使用されるC1〜C6ハロアルキルチオ基は、一般に、1個またはそれ以上のハロゲン原子によって置換されたC1〜C6アルキルチオ基、例えばC1〜C4アルキルチオ基である。一般に、それは、1個、2個または3個のハロゲン原子によって置換されている。好ましいハロアルキルチオ基は、ペルハロアルキルチオ基、例えば−SCX3(ここで、Xはハロゲン原子である)を包含する。特に好ましいハロアルキルチオ基は、−SCF3および−SCCl3である。
【0018】
本明細書において使用されるC3〜C6カルボシクリル基または部分は、3〜6個の炭素原子を含有する非芳香族、飽和または不飽和炭化水素環である。好ましくは、それは、飽和基、即ちC3〜C6シクロアルキル基である。その例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。好ましいカルボシクリル基は、シクロプロピルおよびシクロヘキシルである。1つの実施形態において、C3〜C6カルボシクリル基は、好ましくはC4〜C6カルボシクリル基、より好ましくはC5〜C6カルボシクリル基である。
【0019】
本明細書において使用される5〜10員ヘテロシクリル基または部分は、1個またはそれ以上、例えば1個、2個または3個の炭素原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子で置き換えられている非芳香族、飽和または不飽和C5〜C10炭素環、例えば5または6員環である。飽和ヘテロシクリル基が好ましい。好適なヘテロシクリル基の例は、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニルおよびジヒドロイミダゾリルである。好ましいヘテロシクリル基は、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニルおよびジヒドロイミダゾリルである。好ましいヘテロシクリル基の例は、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニルおよびジヒドロイミダゾリルである。特に好ましいヘテロシクリル基は、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニルおよびピロリジニルである。特に好ましいヘテロシクリル基の例は、ピペリジニル、モルホリニルおよびピロリジニルである。
【0020】
本明細書において使用されるC6〜C10アリール基または部分は、一般に、フェニルまたはナフチル基または部分である。好ましくは、それはフェニル部分である。
【0021】
本明細書において使用される5〜10員ヘテロアリール基は、O、SおよびNから選択される少なくとも1個、例えば1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する5〜10員芳香環、例えば5または6員環である。その例は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリジニル、ピロリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、チアゾリルおよびピラゾリル基である。チエニル基が好ましい。
【0022】
一般に、置換基R1〜R7、XおよびBにおけるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基および部分は、非置換であるか、または、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、アミノおよびチオ置換基から選択される同じかまたは異なる1個、2個または3個の置換基によって置換されている。好ましくは、置換基R1〜R7、XおよびBにおけるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基および部分は、非置換であるか、または、1個のヒドロキシ置換基によるか、またはフッ素および塩素置換基から選択される同じかまたは異なる1個、2個または3個の置換基によって置換されている。より好ましくは、置換基R1〜R7、XおよびBにおけるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基および部分は、非置換であるか、または、1個のフルオロ置換基によって置換されている。
【0023】
一般に、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはカルボシクリル基または部分が、ニトロまたはシアノ置換基を有する場合、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはカルボシクリル基上の置換基の1つだけがニトロまたはシアノ基である。さらに、置換基R1およびR5におけるアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基および部分、R1とR2およびR1とR3によって形成された複素環またはヘテロアリール部分、およびR7とBによって形成された複素環部分は、一般に、非置換であるかまたは下記から選択される1個、2個または3個の置換基によって置換されている:フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、アミノ、チオ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、C1〜C4アルキルアミノ、ジ−(C1〜C4アルキル)アミノ、C1〜C4ハロアルキル、C1〜C4ハロアルコキシおよびC1〜C4ハロアルキルチオ置換基。
【0024】
好ましくは、置換基R1およびR5におけるアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基および部分、R1とR2およびR1とR3によって形成された複素環またはヘテロアリール部分、およびR7とBによって形成された複素環部分は、一般に、非置換であるかまたは下記から選択される1個、2個または3個の置換基によって置換されている:フッ素、塩素、ヒドロキシ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシおよびC1〜C4ハロアルキル置換基。
【0025】
より好ましくは、置換基R1におけるアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基および部分、R1とR2およびR1とR3によって形成された複素環またはヘテロアリール部分、およびR7とBによって形成された複素環部分は、非置換であり、置換基R5におけるアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基および部分は非置換であるか、または、フッ素、C1〜C2アルキル、C1〜C2アルコキシおよびC1〜C2ハロアルキル置換基から選択される1個または2個の置換基によって置換されている。
【0026】
さらに、置換基R1およびR5におけるアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基および部分、R1とR2およびR1とR3によって形成された複素環またはヘテロアリール部分、およびR7とBによって形成された複素環部分は、非置換であるのも好ましい。
【0027】
一般に、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基および部分における置換基自体は、非置換である。
【0028】
一般に、各HetまたはY部分におけるR’は、水素またはC1〜C6アルキルである。好ましくは、各HetまたはY部分におけるR’は、水素またはC1〜C4アルキルである。より好ましくは、各HetまたはY部分におけるR’は、水素またはメチルである。
【0029】
一般に、各R1、R5またはB部分におけるLは、C1〜C6アルキルである。好ましくは、各R1、R5またはB部分におけるLは、C1〜C4アルキルである。より好ましくは、各R1、R5またはB部分におけるLは、C1〜C2アルキルである。
【0030】
一般に、各R1、R5またはB部分におけるL’は、C1〜C6アルキルである。好ましくは、各R1、R5またはB部分におけるL’は、C1〜C4アルキルである。より好ましくは、各R1、R5またはB部分におけるL’は、C1〜C2アルキルである。
【0031】
一般に、各R1またはR5部分におけるAは、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリルまたは5〜6員ヘテロアリールである。好ましくは、各R1またはR5部分におけるAは、フェニル、5〜6員ヘテロシクリルまたは5〜6員ヘテロアリールである。各R1またはR5部分における好ましいA基の例は、フェニルおよび5〜6員ヘテロアリールである。より好ましくは、各R1またはR5部分におけるAは、フェニル、テトラヒドロフラニルまたはチエニルである。各R1またはR5部分におけるより好ましいA基の例は、フェニルおよびチエニルである。
【0032】
一般に、各R1、R5またはB部分におけるHetは、−O−、−S−または−NR’−であり、ここでR’は前記のように定義される。好ましくは、各R1、R5またはB部分におけるHetは、−O−、−S−または−NMe−である。
【0033】
一般に、各R1またはR5部分におけるYは、−CO−、−SO−、−SO2−、−CO−O−、−CO−NR’−、−O−CO−または−NR’−CO−であり、ここで、R’は前記のように定義される。好ましくは、各R1またはR5部分におけるYは、−CO−、−CO−O−または−CO−NR’−であり、ここで、R’は前記のように定義される。より好ましくは、各R1またはR5部分におけるYは、−CO−、−CO−O−、−CO−NH−または−CO−NMe−である。
【0034】
一般に、各R1またはR5部分における−L−Y−L’は、−(C1〜C6アルキル)−Y−(C1〜C6アルキル)であり、ここで、Yは前記のように定義される。好ましくは、各R1またはR5部分における−L−Y−L’は、−(C1〜C4アルキル)−Y−(C1〜C4アルキル)であり、ここで、Yは前記のように定義される。より好ましくは、各R1またはR5部分における−L−Y−L’は、−(C1〜C2アルキル)−CO−(C1〜C2アルキル)、−(C1〜C2アルキル)−CO−O−(C1〜C2アルキル)、−(C1〜C2アルキル)−CO−NH−(C1〜C2アルキル)または−(C1〜C2アルキル)−CO−NMe−(C1〜C2アルキル)である。
【0035】
一般に、各R1またはR5部分における−L−Het−L’は、−(C1〜C6アルキル)−Het−(C1〜C6アルキル)であり、ここで、Hetは前記のように定義される。好ましくは、各R1またはR5部分における−L−Het−L’は、−(C1〜C4アルキル)−Het−(C1〜C4アルキル)であり、ここで、Hetは前記のように定義される。より好ましくは、各R1またはR5部分における−L−Het−L’は、−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C4アルキル)、−(C1〜C2アルキル)−S−(C1〜C2アルキル)または−(C1〜C2アルキル)−NMe−(C1〜C2アルキル)である。
【0036】
一般に、各R1またはR5部分における−L−Het−Aは、−(C1〜C6アルキル)−Het−Aであり、ここで、HetおよびAは前記のように定義される。好ましくは、各R1またはR5部分における−L−Het−Aは、−(C1〜C4アルキル)−Het−Aであり、ここで、Hetは前記のように定義され、Aはフェニルまたは5〜6員ヘテロアリール基である。より好ましくは、各R1またはR5部分における−L−Het−Aは、−(C1〜C2アルキル)−O−フェニルである。
【0037】
一般に、各R1またはR5部分における−L−Y−Aは、−(C1〜C6アルキル)−Y−Aであり、ここで、YおよびAは前記のように定義される。好ましくは、各R1またはR5部分における−L−Y−Aは、−(C1〜C4アルキル)−Y−Aであり、ここで、Yは前記のように定義され、Aはフェニルまたは5〜6員ヘテロアリール基である。より好ましくは、各R1またはR5部分における−L−Het−Aは、−(C1〜C2アルキル)−CO−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−CO−O−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−CO−NH−フェニルまたは−(C1〜C2アルキル)−CO−NMe−フェニルである。
【0038】
一般に、各R1またはR5部分における−L−Aは、−(C1〜C6アルキル)−Aであり、ここで、Aは前記のように定義される。好ましくは、各R1またはR5部分における−L−Aは、−(C1〜C4アルキル)−Aであり、ここで、Aは、フェニル、5〜6員ヘテロシクリルまたは5〜6員ヘテロアリール基である。各R1またはR5部分における好ましい−L−Aの例は、−(C1〜C4アルキル)−Aであり、ここで、Aはフェニルまたは5〜6員ヘテロアリール基である。より好ましくは、R1部分における−L−Aは、−(C1〜C2アルキル)−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−テトラヒドロフラニルまたは−(C1〜C2アルキル)−チエニルである。R1部分におけるより好ましい−L−Aの例は、−(C1〜C2アルキル)−フェニルまたは−(C1〜C2アルキル)−チエニルである。さらに、より好ましくは、R5部分における−L−Aは、−(C1〜C2アルキル)−フェニルである。
【0039】
一般に、R5部分における−L−A−Het−Aは、−(C1〜C6アルキル)−A−Het−Aであり、ここで、Hetは前記のように定義され、各Aは同じかまたは異なり、前記のように定義される。好ましくは、R5部分における−L−A−Het−Aは、−(C1〜C4アルキル)−A−Het−Aであり、ここで、Hetは前記のように定義され、各Aは同じかまたは異なり、フェニルまたは5〜6員ヘテロアリール基である。より好ましくは、R5部分における−L−A−Het−Aは、−(C1〜C2アルキル)−フェニル−O−フェニルである。
【0040】
一般に、R1は、C3〜C8アルキル、C3〜C8アルケニル、C3〜C8アルキニル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−Aまたは−L−Y−Aであり、ここで、L、L’、A、HetおよびYは、前記のように定義される。
【0041】
好ましくは、R1は、C3〜C8アルキル、C3〜C6アルケニル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’または−L−Het−Aであり、ここで、L、L’、AおよびHetは、前記のように定義される。
【0042】
1つの実施形態において、R1は、好ましくは、フェニル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’または−L−Het−Aであり、ここで、L、L’、AおよびHetは、前記のように定義される。R1が、−L−Het−L’または−L−Het−Aであるのが特に好ましく、ここで、L、L’、AおよびHetは前記のように定義される。R1が−L−Het−L’であるのがより好ましく、ここで、L、L’およびHetは、前記のように定義される。R1が−(C1〜C4アルキル)−Het−(C1〜C4アルキル)であるのがさらに好ましく、ここで、Hetは、−O−、−S−または−NMe−である。
【0043】
より好ましくは、R1は、C3〜C8アルキル、アリル、フェニル、シクロプロピル、シクロヘキシル、−(C1〜C2アルキル)−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−チエニル、−(C1〜C2アルキル)−テトラヒドロフラニル、−(C1〜C2アルキル)−O−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C4アルキル)−、−(C1〜C2アルキル)−S−(C1〜C2アルキル)または−(C1〜C2アルキル)−NMe−(C1〜C2アルキル)である。より好ましいR1基の例は、C3〜C8アルキル、アリル、フェニル、シクロプロピル、シクロヘキシル、−(C1〜C2アルキル)−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−チエニル、−(C1〜C2アルキル)−O−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C4アルキル)、−(C1〜C2アルキル)−S−(C1〜C2アルキル)および−(C1〜C2アルキル)−NMe−(C1〜C2アルキル)である。
【0044】
一般に、R2は、水素またはC1〜C6アルキルである。好ましくは、R2は、水素またはC1〜C4アルキルである。より好ましくは、R2は、水素、メチルまたはエチルである。
【0045】
一般に、R3は、水素またはC1〜C6アルキルである。好ましくは、R3は、水素またはC1〜C2アルキルである。より好ましくは、R3は水素である。
【0046】
1およびR2が、それらが結合している窒素と一緒に5〜10員の複素環またはヘテロアリール環を形成する場合、それらは、一般に、5〜6員の複素環またはヘテロアリール環を形成する。好ましくは、それらは、5〜6員複素環を形成する。そのような環の例は、ピペリジニル、モルホリニルおよびピロリジニルである。一般に、該複素環およびヘテロアリール環は非置換である。
【0047】
一般に、R1およびR3が、それらが結合している−N−C=N−部分と一緒に5〜10員の複素環またはヘテロアリール環を形成する場合、それらは、一般に、5〜6員の複素環またはヘテロアリール環を形成する。好ましくは、それらは、5〜6員複素環を形成する。そのような環の例は、ジヒドロイミダゾールおよびテトラヒドロピリミジン環であり、ジヒドロイミダゾール環が好ましい。一般に、該複素環またはヘテロアリール環は非置換である。
【0048】
一般に、R4は、水素またはC1〜C6アルキルである。好ましくは、R4は、水素またはC1〜C2アルキルである。より好ましくは、R4は水素である。
【0049】
一般に、部分Bにおける−L−Het−L’−は、−(C1〜C4アルキル)−Het−(C1〜C4アルキル)−であり、ここで、Hetは前記のように定義される。好ましくは、部分Bにおける−L−Het−L’−は、−(C1〜C2アルキル)−Het−(C1〜C2アルキル)−であり、ここで、Hetは前記のように定義される。
【0050】
一般に、部分Bにおける−O−L−は、−O−(C1〜C4アルキル)−である。好ましくは、部分Bにおける−O−L−は、−O−(C1〜C2アルキル)−である。
【0051】
一般に、部分Bにおける−S−L−は、−S−(C1〜C4アルキル)−である。好ましくは、部分Bにおける−S−L−は、−S−(C1〜C2アルキル)−である。
【0052】
一般に、BはC2〜C6アルキルである。好ましくは、BはC2〜C4アルキルである。より好ましくは、Bは、1,2−エチルまたは1,3−プロピルである。好ましい実施形態において、Bは非置換である。
【0053】
一般に、Xは、−O−、−S−または−NR’−であり、ここで、R’は前記のように定義される。好ましくは、Xは、−O−または−NH−である。最も好ましくは、Xは−O−である。
【0054】
一般に、R5は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−A、−L−Y−Aまたは−L−A−Het−Aであり、ここで、L、L’、HetおよびYは、前記のように定義され、各Aは同じかまたは異なり、前記のように定義される。一般的なR5基の例は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−Aおよび−L−Y−Aであり、ここで、L、L’、A、HetおよびYは、前記のように定義される。好ましくは、R5は、水素、C1〜C6アルキル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Het−Aまたは−L−A−Het−Aであり、ここで、L、L’およびHetは前記のように定義され、各Aは同じかまたは異なり、前記のように定義される。好ましいR5基の例は、水素、C1〜C6アルキル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’および−L−Het−Aであり、ここで、L、L’、AおよびHetは、前記のように定義される。より好ましくは、R5は、水素、C1〜C4アルキルまたは−(C1〜C2アルキル)−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C2アルキル)または−(C1〜C2アルキル)−フェニル−O−フェニルである。より好ましいR5基の例は、水素、C1〜C4アルキルおよび−(C1〜C2)−フェニルである。
【0055】
一般に、R6は、水素またはC1〜C6アルキルである。好ましくは、R6は、水素またはC1〜C2アルキルである。より好ましくは、R6は水素である。
【0056】
一般に、R7は、水素またはC1〜C6アルキルである。好ましくは、R7は、水素またはC1〜C2アルキルである。より好ましくは、R7は水素である。
【0057】
7が、結合、C1〜C4アルキルまたはC2〜C4アルケニル部分であり、それがBの炭素原子の1つに結合して、R7およびBが結合している−N−C−部分と一緒に、5〜10員複素環を形成する場合、それは、一般に、5〜6員複素環、例えばピロリジンまたはピペリジン環を形成する。ピロリジン環が好ましい。一般に、該複素環は、非置換である。
【0058】
7が、結合、C1〜C4アルキルまたはC2〜C4アルケニル部分であり、それがBの炭素原子の1つに結合して、R7およびBが結合している−N−C−部分と一緒に、5〜10員複素環を形成する場合、R7は、一般に、結合、またはC1〜C4アルキル部分である。好ましくは、R7はC1〜C2アルキル部分である。
【0059】
一般に、R8は、水素またはC1〜C6アルキルである。好ましくは、R8は、水素またはC1〜C2アルキルである。より好ましくは、R8は水素である。
【0060】
本発明の1つの実施形態において、式(I)の化合物における部分:
【化4】

は、一般に、
【化5】

を表し、好ましくは、
【化6】

を表し、より好ましくは、
【化7】

を表し、式中、R6、R7およびR8は、前記のように定義される。
【0061】
1つの実施形態において、式(I)の化合物は、NG−アリル−L−アルギニンまたはNG−シクロプロピル−L−アルギニンでない。第二の実施形態において、式(I)の化合物は、NG−アリル−L−アルギニン、NG−プロピル−L−アルギニンまたはNG−プロパルギル−L−アルギニンでない。他の実施形態において、式(I)の化合物は、NG−プロピル−L−アルギニンまたはNG−ブチル−L−アルギニンでない。好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、NG−プロピル−L−アルギニン、NG−アリル−L−アルギニン、NG−プロパルギル−L−アルギニン、NG−ブチル−L−アルギニンまたはNG−シクロプロピル−L−アルギニンでない。特に、式(I)の化合物を、そう痒の治療に使用される薬剤の製造に使用する場合、式(I)の化合物は、NG−アリル−L−アルギニンまたはNG−シクロプロピル−L−アルギニンでないのが好ましい。式(I)の化合物を、脳卒中、アルツハイマー病および他の神経変性疾患、敗血症性ショック、炎症性関節炎または大腸炎の治療に使用される薬剤の製造に使用する場合、式(I)の化合物は、NG−アリル−L−アルギニン、NG−プロピル−L−アルギニンまたはNG−プロパルギル−L−アルギニンでないのが好ましい。式(I)の化合物を、固形腫瘍の治療に使用される薬剤の製造に使用する場合、式(I)の化合物は、NG−プロピル−L−アルギニンまたはNG−ブチル−L−アルギニンでないのが好ましい。
【0062】
式(I)の好ましい化合物は、下記のように定義される化合物である:
−(a)R1は、C3〜C8アルキル、C3〜C8アルケニル、C3〜C8アルキニル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−Aまたは−L−Y−Aであり、ここで、
Lは、C1〜C6アルキルであり;
L’は、C1〜C6アルキルであり;
Aは、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリルまたは5〜6員ヘテロアリールであり;
Hetは、−O−、−S−または−NR’−であり、ここで、R’は水素またはC1〜C6アルキルであり;
Yは、−CO−、−SO−、−SO2−、−CO−O−、−CO−NR’−、−O−CO−または−NR’−CO−であり、ここで、R’は前記のように定義され;
−R2は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
−R3は、水素またはC1〜C6アルキルであるか、または
−(b)R1およびR2は、それらが結合している窒素と一緒に、5〜6員の複素環またはヘテロアリール環を形成し、R3は前記のように定義されるか、または
−(c)R1およびR3は、それらが結合している−N−C=N−部分と一緒に、5〜6員の複素環またはヘテロアリール環を形成し、R2は前記のように定義され;
−R4は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
−Bは、C2〜C6アルキルであり;
−Xは、−O−、−S−または−NR’−であり、ここで、R’は前記のように定義され;
−R5は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−A、−L−Y−Aまたは−L−A−Het−Aであり、ここで、L、L’、HetおよびYは、前記のように定義され、各Aは、同じかまたは異なり、前記のように定義され;
−R6は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
−R7は、水素またはC1〜C6アルキルであるか、またはR7は、結合、C1〜C4アルキルまたはC2〜C4アルケニル部分であり、それは、Bの炭素原子の1つに結合して、R7およびBが結合している−N−C−部分と一緒に、5〜6員複素環を形成し;
−R8は、水素またはC1〜C6アルキルであり;
ここで、
−置換基R1〜R7、XおよびBにおける、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基および部分は、非置換であるか、またはフッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、アミノおよびチオ置換基から選択される同じかまたは異なる1個、2個または3個の置換基によって置換され;
−置換基R1およびR5における、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基および部分、R1とR2およびR1とR3によって形成される複素環またはヘテロアリール部分、およびR7とBによって形成される複素環部分は、一般に、非置換であるかまたは下記から選択される1個、2個または3個の置換基によって置換されている:フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、アミノ、チオ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオ、C1〜C4アルキルアミノ、ジ−(C1〜C4アルキル)アミノ、C1〜C4ハロアルキル、C1〜C4ハロアルコキシおよびC1〜C4ハロアルキルチオ置換基。
【0063】
そのような化合物の例は、R5が、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−Aまたは−L−Y−A[ここで、L、L’、A、HetおよびYは、前記のように定義される]である、前記のように定義される式(I)の好ましい化合物である。
【0064】
式(I)のより好ましい化合物は、下記のように定義される化合物である:
−(a)R1は、C3〜C8アルキル、C3〜C6アルケニル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’または−L−Het−Aであり、ここで、
Lは、C1〜C4アルキルであり;
L’は、C1〜C4アルキルであり;
Aは、フェニル、5〜6員ヘテロシクリルまたは5〜6員ヘテロアリールであり;
Hetは、−O−、−S−または−NMeであり;
−R2は、水素またはC1〜C4アルキルであり;
−R3は、水素またはC1〜C2アルキルであるか、または
−(b)R1およびR2は、それらが結合している窒素と一緒に、5〜6員の複素環を形成し、R3は前記のように定義されるか、または
−(c)R1およびR3は、それらが結合している−N−C=N−部分と一緒に、5〜6員複素環を形成し、R2は前記のように定義され;
−R4は、水素またはC1〜C2アルキルであり;
−Bは、C2〜C4アルキルであり;
−Xは、−O−または−NH−であり;
−R5は、水素、C1〜C6アルキル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Het−Aまたは−L−A−Het−Aであり、ここで、L、L’およびHetは、前記のように定義され、各Aは、同じかまたは異なり、前記のように定義され;
−R6は、水素またはC1〜C2アルキルであり;
−R7は、水素またはC1〜C2アルキルであるか、またはR7は、C1〜C2アルキル部分であり、それは、Bの炭素原子の1つに結合して、R7およびBが結合している−N−C−部分と一緒に、ピロリジンまたはピペリジン環を形成し;
−R8は、水素またはC1〜C2アルキルであり;
ここで、
−置換基R1〜R7およびBにおける、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基および部分は、非置換であるか、または1個のヒドロキシ置換基によるか、またはフッ素および塩素置換基から選択される同じかまたは異なる1個、2個または3個の置換基によって置換され;
−置換基R1およびR5における、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基および部分、R1とR2およびR1とR3によって形成される複素環またはヘテロアリール部分、R7とBによって形成される複素環部分は、非置換であるか、または下記から選択される1個、2個または3個の置換基によって置換されている:フッ素、塩素、ヒドロキシ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシおよびC1〜C4ハロアルキル基。
【0065】
そのような化合物の例は、
Aが、フェニルまたは5〜6員ヘテロアリールであり;
5が、水素、C1〜C6アルキル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’または−L−Het−A[ここで、L、L’、AおよびHetは、前記のように定義される]である;
前記のように定義される式(I)のより好ましい化合物である。
【0066】
式(I)の特に好ましい化合物は、式(II):
【化8】

[式中、
−(a)R11は、C3〜C8アルキル、アリル、フェニル、シクロプロピル、シクロヘキシル、−(C1〜C2アルキル)−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−チエニル、−(C1〜C2アルキル)−テトラヒドロフラニル、−(C1〜C2アルキル)−O−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C4アルキル)、−(C1〜C2アルキル)−S−(C1〜C2アルキル)または−(C1〜C2アルキル)−NMe−(C1〜C2アルキル)であり;
−R21は、水素、メチルまたはエチルであるか、または
−(b)R11およびR21は、それらが結合している窒素と一緒に、ピペリジニル、モルホリニルまたはピロリジニル環を形成し;
−B1は、1,2−エチルまたは1,3−プロピル部分であり;
−R51は、水素、C1〜C4アルキル、−(C1〜C2アルキル)−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C2アルキル)または−(C1〜C2アルキル)−フェニル−O−フェニルであり;
ここで、
−置換基R11、R21、BおよびR51におけるアルキル基および部分は、非置換であるか、または1個のフルオロ置換基によって置換され;
−R11におけるフェニルおよびカルボシクリル基、およびR11とR21によって形成される複素環部分は、非置換であり、R51におけるフェニル基は、非置換であるか、またはフッ素、C1〜C2アルキル、C1〜C2アルコキシおよびC1〜C2ハロアルキル置換基から選択される1個または2個の置換基によって置換されている]
で示される化合物である。
【0067】
そのような化合物の例は、
−R11が、C3〜C8アルキル、アリル、フェニル、シクロプロピル、シクロヘキシル、−(C1〜C2アルキル)−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−チエニル、−(C1〜C2アルキル)−O−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C4アルキル)、−(C1〜C2アルキル)−S−(C1〜C2アルキル)または−(C1〜C2アルキル)−NMe−(C1〜C2アルキル)であり;
−R51が、水素、C1〜C4アルキルまたは−(C1〜C2アルキル)−フェニルであり;
ここで、
−R11におけるフェニルまたはカルボシクリル基、R51におけるフェニル基、およびR11とR21によって形成される複素環部分が、非置換である;
前記のように定義される式(II)の特に好ましい化合物である。
【0068】
1つの実施形態において、R11は、好ましくは、フェニル、−(C1〜C2アルキル)−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−チエニル、−(C1〜C2アルキル)−テトラヒドロフラニル、−(C1〜C2アルキル)−O−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C4アルキル)、−(C1〜C2アルキル)−S−(C1〜C2アルキル)または−(C1〜C2アルキル)−NMe−(C1〜C2アルキル)である。式(II)の好ましい実施形態において、R11は−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C4アルキル)である。式(II)の特に好ましい実施形態において、R11は−(CH22−O−CH3である。
【0069】
式(II)の他の好ましい実施形態において、R51は、C1〜C4アルキルまたは−(C1〜C2)−フェニルである。式(II)の特に好ましい実施形態において、R51は−CH2−フェニルである。
【0070】
式(II)の好ましい実施形態において、B1は1,3−プロピル部分である。
【0071】
式(II)の他の好ましい実施形態において、R11は−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C4アルキル)であり、R51は−C1〜C4アルキルまたは−(C1〜C2)−フェニルである。式(II)の特に好ましい実施形態において、R11は−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C4アルキル)であり、R51はC1〜C4アルキルである。
【0072】
これらの特に好ましい本発明化合物の例を以下に示す:
(S)−2−アミノ−4−(N’−イソプロピルグアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−プロピルグアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−ベンジルグアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−シクロヘキシルグアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−フェニルグアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−チオフェンメチル)グアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−オクチルグアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−シクロプロピルグアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2’−ジメチルアミノエチル)グアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−2,2−ジメチルプロピル)グアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−フェノキシエチル)グアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メチルチオエチル)グアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−イソプロポキシエチル)グアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−(N’−アリルグアニジノ)ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−[(ピペリジン−1−カルボキシイミドイル)−アミノ]ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−[(ピロリジン−1−カルボキシイミドイル)−アミノ]ブタン酸;
(S)−2−アミノ−4−[(モルホリン−4−カルボキシイミドイル)−アミノ]ブタン酸;
(S)−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ピロリジン−2−カルボン酸;
(S)−4−N’−(2−メトキシエチル)グアニジノブタン酸;
G−(2−メトキシエチル)−L−アルギニン;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸メチルエステル;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸エチルエステル;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸プロピルエステル;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸ブチルエステル;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸ベンジルエステル;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸イソプロピルエステル;
G−(2−メトキシエチル)−L−アルギニンメチルエステル;
G−(2−メトキシエチル)−L−アルギニンベンジルエステル;
(S)−2−アミノ−5−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ペンタン酸メチルアミド;
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸ベンジルアミド;
(S)−NG−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−アルギニン;
(2S)−2−アミノ−4−NG−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)グアニジノブタン酸;
2−メトキシベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート;
4−メトキシベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート;
2−フルオロベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート;
3−トリフルオロメチル−4−フルオロベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート;
3−フェノキシベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート;
3−メチルベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート;
3−トリフルオロメチルベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート;
3−フルオロメチルベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート;および
2−メトキシエチル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート;
ならびに医薬的に許容されるそれらの塩。
【0073】
本明細書において使用される医薬的に許容される塩は、医薬的に許容される酸または塩基との塩である。医薬的に許容される酸は、無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、二リン酸、臭化水素酸または硝酸、および有機酸、例えば、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、酒石酸、安息香酸、酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはp-トルエンスルホン酸の両方を包含する。医薬的に許容される塩基は、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)およびアルカリ土類金属(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)水酸化物、および有機塩基、例えば、アルキルアミン、アラルキルアミンまたは複素環式アミンを包含する。
【0074】
本発明の化合物は、式(I)に示されるキラリティーを有する。しかし、該化合物は、分子中の他の位置にもキラル中心を有しうる。疑問の余地がないように、本明細書に示されている化学構造は、示されている化合物のあらゆる立体異性体を包含し、但し、それらが、式(I)に示されているカルボニル基に対してα位の炭素においてキラリティーを有するものとする。
【0075】
式(I)の化合物は、一般的な経路、例えば、下記の反応式1および2に示す経路によって、製造しうる。
【化9】

【0076】
式(I)の化合物は、反応式1[式中、R1〜R8、BおよびXは、前記のように定義される]に示す2段階反応において、置換グアニジンから調製しうる。第一段階において、ミツノブ条件下における適切なアルコールとの反応によって、置換基をカルボキサミド窒素に導入する。第二段階において、ピラゾール部分を第一級または第二級アミンで置き換えることによって、他の置換基を導入する。必要であれば、R2、R3、R5またはR7が水素である場合、それらを好適な保護基で置き換えることができ、次に、第二段階後にそれを除去することができる。好適な保護基はBocであり、それは酸性条件において、例えば1,4−ドキサン中のHClでの処理によって、除去することができる。当業者は、そのような保護が必要な場合を容易に理解する。式(II)、(III)および(V)の化合物は、既知の化合物であるか、または当業者によって既知の方法を使用して調製できる。例えば、式(I)の化合物は、ビス−tert−ブトキシカルボニルピラゾール−1−カルボキサミジンから調製できる。
【0077】
【化10】

【0078】
反応式2は、反応式1の変化形であり、R1が第一級または第二級アリル基であり、R2〜R8、BおよびXが前記のように定義される式(I)の化合物の調製に使用することができる。式(VI)、(VII)および(IX)の化合物は既知の化合物であり、当業者によって既知の方法を使用して調製できる。例えば、式(VI)の化合物は、ビス−tert−ブトキシカルボニルピラゾール−1−カルボキサミジンから調製できる。
【0079】
このようにして得た式(I)の化合物を、適切な酸または塩基での処理によって、塩化しうる。前記のいずれかの方法によって得たラセミ混合物を、標準的な方法、例えば、キラルクロマトグラフィーカラムでの溶離によって、分離することができる。
【0080】
DDAHの阻害剤は、存在する場合に、DDAH活性の測定可能な減少を生じる物質である。
【0081】
好ましい阻害剤は、阻害剤濃度1μg mL-1、10μg mL-1、100μg mL-1、500μg mL-1、1mg mL-1、10mg mL-1または100mg mL-1、において、DDAH活性を、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%減少させる阻害剤である。
【0082】
パーセント阻害は、試験物質の存在および不存在下のアッセイの比較における、活性のパーセント減少を表す。前記の程度のパーセント阻害または活性化と、阻害剤または活性剤濃度との任意組合せを使用して、本発明の阻害剤または活性剤を規定してもよく、より低い濃度でのより高い阻害が好ましい。
【0083】
阻害は、例えば、阻害剤が基質に類似し、DDAHの活性部位に結合する場合に、生じうる。このようにして、基質は同じ活性部位に結合するのを妨げられ、基質に結合した酵素分子の比率を減少させることによって触媒反応速度が減少する(競合阻害)。阻害剤および基質がDDAHに同時に結合することができ、従って、異なる非オーバーラップ部位に結合する場合に、阻害剤は、非競合阻害によって、その作用を発揮する場合もある。DDAHの代謝回転数が減少すると共に、阻害が生じる。
【0084】
一般に、本発明の化合物は、NOS発現または活性の阻害を実質的に生じない。
【0085】
NOS活性の阻害の好適なアッセイは、[14C]アルギニン−[14C]シトルリン法であり、該方法はD.S. Bredt and S.H. Snyder, Nitric oxide mediates glutamate-linked enhancement of cGMP levels in the cerebellum, Proc Natl Acad Sci USA, 1989 Nov, 86(22), 9030-3に記載されている。
【0086】
一般に、本発明の化合物は、NOSの50%未満阻害、好ましくは20%未満阻害、より好ましくは10%未満阻害、特に好ましくは5%未満阻害を生じる。好ましい実施形態において、本発明の化合物は、NOS発現または活性の検出可能な阻害を生じない。一般に、そのような結果は、0.01〜10μm、例えば0.1〜5μm、または1〜2μmの化合物濃度において得られる。
【0087】
1つの実施形態において、本発明に使用される阻害剤は、同濃度でのNOSのパーセント阻害より、少なくとも100倍、1000倍または少なくとも106倍大きい、所与の阻害剤濃度でのDDAHメチアルアルギナーゼ活性および/または発現のパーセント阻害を示すのが好ましい。
【0088】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、NOS活性における作用、活性性または阻害性を実質的に有さず、および/またはNOS発現における作用を実質的に有さない。
【0089】
本発明の化合物は、DDAHの阻害剤であることが分かる。従って、本発明の化合物は、DDAH阻害剤によって治療可能な疾患を治療するために使用することができる。従って、本発明の化合物は、治療的に有用である。従って、本発明は、ヒトまたは動物の体の治療における、特に、NOの異常代謝が関係している疾患の治療における使用のための、前記のように定義される式(I)の化合物、または医薬的に許容されるその塩を提供する。本発明は、DDAH阻害剤によって治療可能な疾患の治療に使用される薬剤の製造における、前記のように定義される式(I)の化合物、または医薬的に許容されるその塩の使用に関する。1つの実施形態において、本発明は、式(I)の化合物NG−プロピル−L−アルギニン、NG−アリル−L−アルギニン、NG−プロパルギル−L−アルギニン、NG−ブチル−L−アルギニンまたはNG−シクロプロピル−L−アルギニンを条件として、ヒトまたは動物の体の治療に使用するための、前記のように定義される式(I)の化合物、または医薬的に許容されるその塩を提供する。本発明の化合物は新規であると考えられ、従って、本発明は、前記のように定義される式(I)の化合物、または医薬的に許容されるその塩を提供する。1つの実施形態において、本発明は、式(I)の化合物がNG−プロピル−L−アルギニン、NG−アリル−L−アルギニン、NG−プロパルギル−L−アルギニン、NG−ブチル−L−アルギニンまたはNG−シクロプロピル−L−アルギニンでないことを条件として、前記のように定義される式(I)の化合物、または医薬的に許容されるその塩を提供する。さらに、前記のように定義される式(I)の化合物、または医薬的に許容されるその塩、および医薬的に許容される担体または希釈剤を含有する医薬組成物も提供する。1つの実施形態において、本発明は、式(I)の化合物がNG−プロピル−L−アルギニン、NG−アリル−L−アルギニン、NG−プロパルギル−L−アルギニン、NG−ブチル−L−アルギニンまたはNG−シクロプロピル−L−アルギニンでないことを条件して、前記のように定義される式(I)の化合物、または医薬的に許容されるその塩、および医薬的に許容される担体または希釈剤を含有する医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、一般に、85wt%までの本発明化合物を含有する。より一般的には、それは50wt%までの本発明化合物を含有する。好ましい医薬組成物は、無菌であり、発熱物質不含である。さらに、本発明によって提供される医薬組成物は、実質的に純粋な光学異性体である本発明化合物を一般に含有する。
【0090】
本明細書において使用される「DDAHによってその症状が影響を受ける疾患」という用語は、DDAHのレベルおよび/または活性が疾患の症状の逆転を生じるのに必要とされる量でない任意の疾患を意味する。1つの実施形態において、そのような疾患は、DDAHの発現の増加に関連している。そのような疾患は、特定の疾患を有する患者におけるDDAHの発現を測定し、その結果を対照と比較することによって特定できる。他の実施形態において、DDAHによってその症状が影響を受ける疾患は、DDAHのレベルおよび/または活性の変化が、疾患に関連した他の化学種のレベルおよび/または活性の変化を生じる疾患である。そのような化学種の例はNOである。そのような疾患は、本発明化合物の投与前および投与後に患者におけるこの化学種の量を測定し、該化学種のレベルおよび/または活性に変化があったかを測定することによって特定できる。
【0091】
本発明の化合物は、種々の投与形態で投与しうる。従って、それらは、経口的に、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性または油性懸濁剤、分散性散剤または顆粒剤として投与することができる。好ましい本発明の医薬組成物は、経口投与に好適な組成物、例えば錠剤およびカプセル剤である。
【0092】
経口投与に好適な組成物は、必要であれば、着色剤または香味剤を含有してよい。一般に、カプセル剤または錠剤は、5〜500mg、好ましくは10〜500mg、より好ましくは15〜100mgの式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩を含有する。
【0093】
本発明化合物は、非経口的に、皮下的、静脈内的、筋肉内的、胸骨内的(intrasternally)、経皮的に、または輸液法によって、投与してもよい。該化合物を坐剤として投与してもよい。
【0094】
1つの好ましい投与経路は吸入である。吸入薬の主要な利点は、経口経路によって摂取される多くの医薬と比較して、豊富血液供給の領域への直接的送達である。即ち、肺胞が巨大表面積および豊富血液供給を有し、初回通過代謝がバイパスされるので、吸収が極めて速い。
【0095】
従って、好ましい本発明医薬組成物は、吸入に好適な医薬組成物を包含する。本発明は、そのような医薬組成物を含有する吸入装置も提供する。一般に、該装置は、計量吸入器(MDI)であり、それは、吸入器から薬剤を押し出すための医薬的に許容される化学噴霧剤を含有する。一般に、該噴霧剤はフルオロカーボンである。
【0096】
他の好ましい吸入装置はネブライザである。ネブライザは、加圧下の空気または酸素を使用して、鼻および口に適合した「マスク」から、薬剤の微細液体ミストを送達することができる装置である。それらは、乳児、幼児を含む吸入器を使用できない喘息患者、およびあらゆる年齢の急性疾患患者を治療するために使用される場合が多い。
【0097】
吸入装置は、例えば、噴霧剤なしに本発明化合物を送達することができる回転吸入器または乾燥粉末吸入器であってもよい。
【0098】
一般に、吸入装置はスペーサを含有する。スペーサは、患者が、より多くの薬剤を、喉ではなく、それが送達されるよう意図されている下気道に直接的に吸入できるようにする装置である。多くのスペーサは、吸入器の端に取り付けられ;薬剤のキャニスターが装置内に取り付けられているものもある。保留室(withholding chambers)および逆止め弁を有するスペーサは、薬剤が空気中に漏れるのを防止する。多くの人、特に小児および高齢者は、計量吸入器から一吹きを引き起こすのに必要な動作と吸入とを組み合わせるのが困難な場合がある。このような患者については、スペーサの使用が特に薦められる。
【0099】
他の好ましい投与経路は、鼻腔内投与である。鼻腔の高浸透性組織は、薬剤に極めて受容性であり、錠剤形態の薬剤の場合より、薬剤を素早く有効に吸収する。経鼻薬剤送達は、注射より有痛性および侵襲性が低く、患者にあまり不安を感じさせない。錠剤形態で送達される薬剤より少ない用量で、薬剤を経鼻的に送達することができる。この方法によって、吸収は極めて速く、初回通過代謝がバイパスされ、従って、患者間変動が減少する。経鼻送達装置は、薬剤を正確な計量用量で投与することも可能にする。従って、本発明の医薬組成物は、一般に、鼻腔内投与に好適である。さらに、本発明は、そのような医薬組成物を含有する鼻腔内装置も提供する。
【0100】
他の好ましい投与経路は、経皮投与である。従って、本発明は、本発明の化合物または医薬的に許容されるその塩を含有する経皮貼付剤も提供する。舌下投与も好ましい。従って、本発明は、本発明の化合物または医薬的に許容されるその塩を含有する舌下錠剤も提供する。
【0101】
本発明の化合物は、一般に、医薬的に許容される担体または希釈剤と共に投与するために配合される。例えば、固体経口形態は、活性化合物と共に、以下の物質を含有してよい:希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、コーンスターチまたはバレイショデンプン;潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム、および/またはポリエチレングリコール;結合剤、例えば、スターチ、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン;離解剤、例えば、スターチ、アルギン酸、アルギネートまたはデンプングリコール酸エステルナトリウム;飽和剤;染料;甘味料;湿潤剤、例えば、レシチン、ポリソルベート、ラウリルスルフェート;および、一般に、医薬配合物に使用される非毒性の薬理学的に不活性の物質。そのような医薬調製物は、既知の方法、例えば、混合、粒状化、錠剤化、シュガーコーティングまたはフィルムコーティング法によって調製しうる。
【0102】
経口投与用の液体分散系は、シロップ剤、乳剤および懸濁剤であってよい。シロップ剤は、例えば、サッカロース、またはサッカロースとグリセリンおよび/またはマンニトールおよび/またはソルビトールを担体として含有してよい。
【0103】
懸濁剤および乳剤は、例えば、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコールを、担体として含有してよい。筋肉内注射用の懸濁剤または液剤は、活性化合物と共に、医薬的に許容される担体、例えば、滅菌水、オリーブ油、エチルオレエート、グリコール、例えばプロピレングリコール、所望であれば適量のリドカインヒドロクロリドを含有してよい。
【0104】
他の好ましい投与経路は、静脈内投与である。注射または輸液用の液剤は、例えば滅菌水を、担体として含有してよく、または、好ましくは、それらは、滅菌水性等張食塩水の形態であってもよい。本発明の化合物は、DDAHの阻害剤であり、増加したNO産生が関係している疾患の治療に使用しうる。特に、下記のような疾患を治療しうる:脳または心臓の虚血−再灌流障害、癌、敗血症性ショックまたは多臓器不全のような重篤炎症状態における致死的低血圧、または局所および全身性炎症疾患(関節炎、皮膚疾患、炎症性心疾患または偏頭痛を含む)。さらに、NOの阻害が治療選択肢として推奨されている神経変性および喘息のような疾患も治療できる。本発明の化合物は、脳または心臓の虚血−再灌流障害、癌、重篤炎症状態における致死的低血圧、局所および全身性炎症疾患、神経変性、喘息、痛みまたは敗血症の治療にも使用できる。本発明の化合物は、腹膜炎症の治療にも使用できる。好ましくは、本発明の化合物は、脳または心臓の虚血−再灌流障害、癌、重篤炎症状態における致死的低血圧、局所および全身性炎症疾患、痛みまたは敗血症の治療に使用される。
【0105】
増加したDDAH発現は、腫瘍成長および新脈管形成の増加にも関連付けられており(V. Kostourou, S.P. Robinson, J.E. Cartwright and G.St.J. Whitley, British Journal of Cancer 2002, 87, 673-680)、さらに、増強された腫瘍の低酸素症(enhanced tumour hypoxia)にも関連付けられている(S.P. Robinson, V. Kostourou, H. Troy, J.F. Murray, G. Whitley and J.R. Griffiths, Clinical Cancer Research, 2003, 9, 6209s)。DDAH過剰発現は、VEGF発現および細胞の管形成能力(tube-forming capacity)を増強させることも示されている。従って、本発明の化合物は、腫瘍増殖、新脈管形成および低酸素症ならびに増強VEGF発現に関連した疾患の治療に使用できる。従って、本発明の化合物は、抗脈管形成および抗癌治療に使用できる。特に、本発明の化合物によって治療できる癌の種類は、性質上、新脈管形成性の癌である。本発明の化合物は、さらに、DDAHを過剰発現する腫瘍、例えばDDAH1過剰発現グリオーム(脳腫瘍)または膵臓癌の治療にも使用できる。
【0106】
本発明の化合物は、固形腫瘍の治療に特に有用であると考えられる。そのような固形腫瘍の例は、卵巣癌、結腸直腸癌、乳癌、脳癌、肝癌、腎癌、胃癌、前立腺癌、肺癌、甲状腺癌、膵臓癌、カポジ肉腫および皮膚癌である。本発明の化合物は、頭部、頸部および食道固形腫瘍の治療にも有用であると考えられる。皮膚癌は、本発明の化合物によって治療される固形腫瘍の好ましい例であり、皮膚癌の好ましい種類はメラノーマである。本発明の化合物によって治療される他の好ましい固形腫瘍は、膵癌である。
【0107】
DDAHの阻害は、L−NMMA濃度の増加を生じる。L−NMMAは、炎症性疾患状態、痛みおよび敗血症のような疾患の治療に有効であることが示されている。従って、本発明の化合物は、そのような疾患の治療に使用することができる。
【0108】
または、本発明の化合物は、NOS活性の阻害剤(例えば、メチルアルギニン)との併用療法として使用することもできる。例えば、DDAHアイソフォームの特定阻害剤を、メチルアルギニンL−NMMAと共に使用することができる。この方法は、L−NMMAの活性プロフィールを根本的に変えることができ、特定のNOSアイソフォームに対して増加した阻害作用を有するL−NMMAを生じうる。従って、本発明は、脳または心臓の虚血−再灌流障害、癌、敗血症性ショックまたは多臓器不全のような重篤炎症状態における致死的低血圧、または局所および全身性炎症疾患(関節炎、皮膚疾患、炎症性心疾患または偏頭痛を含む)の治療において、同時、分離または逐次使用するための組合せ調製物として、DDAH活性および/または発現の阻害剤およびメチルアルギニンを含有する製剤を提供する。
【0109】
本発明の化合物は、急性臨床使用に特に好適であると考えられる。
【0110】
本発明の化合物は、抗微生物剤、例えば抗細菌剤としても使用しうる。従って、本発明は、細菌感染の治療に使用するための化学成分も提供する。
【0111】
DDAH活性および/または発現の阻害は、炎症性痛みの治療にも関連している。従って、本発明の化合物は、ヒトまたは動物において痛みを抑制するのに有用である。薬剤は、個体において存在する痛みを緩和する作用をしうるか、または痛みの症状を予期して投与しうる。即ち、処置は、治療的または予防的であってよい。好ましくは、化合物は、哺乳動物における使用に好適である。特に、治療対象がヒトであるのが好ましい。しかし、本発明は、家畜を治療するために獣医学的に使用しうる。例えば、本発明は、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコまたはウサギを治療するために使用しうる。
【0112】
一般に、治療される痛みは、痛み信号が少なくとも部分的に視床によって処置される痛みである。例えば、痛みは、「速い痛み」、例えば、鋭痛、穿刺痛、電気痛(electric pain)、または「遅延痛」、例えば、灼熱痛、疼痛、拍動痛、催吐痛(nauseous pain)であってよい。
【0113】
種々の痛みを分類する努力がなされている。広く特定されているが、それにもかかわらず幾分共通している種類は、急性および慢性痛である。
【0114】
限定するものではないが、急性痛の定義(Halpern (1984) Advances in Pain Research and Therapy Vol.7, Ed. C. Bendetti et al, p.147)は、特定の付随する自律神経(反射)応答や、傷害または疾患によって引き起こされた心理的および行動的反応の、不快な感覚、知覚および感情経験の群である。組織傷害は、一連の有害刺激を引き起こし、該有害刺激は、侵害受容器によって、脊髄、次に神経系の上部に伝達されるインパルスに変換される。急性痛の例は、歯痛、術後痛、分娩痛(obstetric pain)、頭痛、神経痛および筋肉痛である。
【0115】
これも限定するものではないが、慢性痛の定義(Halpern(1984)同上)は、急性疾患の通常の期間を超えて、または傷害の治癒のための妥当な期間を超えて、持続する痛みである。慢性痛は、一般に、侵害受容疼痛系(nociceptive pain system)の持続的機能不全の結果である。慢性痛の例は、以下のものである:三叉神経痛、ヘルペス感染後神経痛(急性帯状ヘルペス疾患による損傷後の皮膚分布における皮膚変化を伴う慢性痛の形態)、糖尿病性ニューロパシー、カウザルギー、「幻影肢」痛、ならびに変形性関節炎、慢性関節リウマチおよび癌に関連した痛み。これらのいくつか、例えば、三叉神経痛、糖尿病性ニューロパシー痛、カウザルギー、幻影肢痛および中枢性卒中後痛は、神経因性痛みとしても分類されている。神経因性痛みの1つの非限定的定義は、外傷または疾患による侵害受容器刺激の不存在下の、末梢または中枢神経系の機能不全によって生じる痛みである。
【0116】
生理学的および病理学的痛みは、神経系の可塑性におけるそれらの起源によって、定義されている。次に、後者は、発達、経験または損傷によって生じる神経系の構造または機能の変化として定義され、適応性または不適応性でありうる(Cervero, F. (1991) Eur. J. Neurosci Suppl 4, 162)。適応的可塑性は、損傷を補うためか、または環境変化に適した機能変化を生じるための、神経系の能力の基礎となる。特定の末梢神経刺激を反映する感覚であると考えられる生理学的痛みは、適応的可塑性に基づく。
【0117】
不適応的可塑性は、機能の破壊を生じ、従って、疾患状態を実質的に構成する、神経系における変化である。病理学的痛みは、神経系における変化から生じる感覚であると考えられ、該変化は、末梢からの情報(そのいくらかは極めて正常である)を処理する方法における変化をもたらす。従って、病理学的痛みは、不適応的可塑性に基づく(Woolf, C.J. (1989) Br. J. Anaesth. 63, 139-146)
【0118】
侵害受容系の不適応的可塑性は、実験モデルにおいて、慢性痛の状態に存在することも示されている。例えば、痛覚過敏物質、例えばPGE2の、ラットの足への多重注射は、軽度圧力(mild pressure)までの持続痛覚過敏を誘発することが示されている(例えば、Nakamura-Craig and Smith (1989) Pain 38, 91-98; Ferreira et al (1990) Pain 42, 365-371; Nakamura-Craig and Gill (1991) Neurosci. Lett. 124, 49-51)。
【0119】
神経障害性痛み、特に末梢神経障害性痛みについて、多くの動物モデルが開発されており、これは、この痛みが部分的な神経除去に関連している場合が多いことを示唆している(Decosterd I and Woolf C J (2000) Pain 00:1-10)。そのようなモデルは、特に、例えば、糖尿病性ニューロパシー、ヘルペス感染後神経痛、中毒性ニューロパシー、圧迫性ニューロパシーおよび外傷に関連し、かつ、自発性(spontaneous)の激しい灼熱痛およびショック様痛み(shock like pain)、ならび痛み過敏症(接触性アロディニア、ピンプリック(pinprick)痛覚過敏症および痛覚異常鋭敏症を包含する)を特徴とする、痛みを模倣している。
【0120】
本発明の化合物は、ヒトまたは動物における痛みを治療する(予防を含む)方法に使用でき、該方法は、治療的または予防的に有効な量の薬剤をそれに投与することを含む。該化合物は、痛みが生じる病理学的状態の治療的または予防的処置に使用できる。該化合物を投与されたヒトまたは動物の症状を、それによって改善することができる。
【0121】
本発明の化合物は、慢性痛および急性痛を包含する種々のタイプの痛みを治療または予防するのに有効である。本発明の阻害剤を使用して処置しうる慢性痛の例は、三叉神経痛、ヘルペス感染後神経痛、有痛性糖尿病性ニューロパシー、カウザルギー、中枢性卒中後痛、「幻影肢」痛、異型顔面痛、背痛、頭痛、神経痛、ならびに変形性関節炎、慢性関節リウマチおよび癌に関連した痛みである。
【0122】
本発明の化合物を使用して治療できる急性痛の例は、歯痛、術後痛、分娩痛、頭痛、神経痛および筋肉痛である。特に、該化合物を術前に投与して、歯科手術および分娩痛を含む外科手術に関連した急性痛を抑制することができる。好ましい実施形態において、本発明は、歯科手術、例えば抜歯前に、治療有効量の化合物を患者に投与する方法を含む。実際に、現在使用されている鎮痛薬は、このように術前に投与した場合、痛みを抑制するのに有効でない。
【0123】
本発明は、1つまたはそれ以上の他の薬剤と共に本発明の化合物を投与する痛みの治療法も提供する。例えば、化合物を、既知の抗疼痛剤(anti-pain agent)と共に投与してよい。1つの実施形態において、本発明の化合物を、NOS活性の阻害剤、例えばメチルアルギニンと共に投与する。例えば、本発明の化合物を、L−NMMAおよび/またはADMAと共に使用してよい。この方法は、L−NMMAおよび/またはADMAの活性プロフィールを根本的に変化させることができ、増加したNOS阻害作用を有するL−NMMAおよび/またはADMAを生じうる。
【0124】
本発明の化合物は、他の薬剤(例えばメチルアルギニン)と同時に投与してもよく、または薬剤を1つずつ逐次的に投与してもよい。または、本発明の化合物および他の薬剤(例えばメチルアルギニン)を、同じ目的のために共に作用させながら、別々に投与してもよい。従って、本発明は、本発明の化合物、およびDDAHメチルアルギナーゼ活性および/または発現の調節剤、および他の薬剤(例えばメチルアルギニン)を、ヒトまたは動物における痛みの治療において同時、分離または逐次使用するための組合せ調製物として含有する製剤を提供する。
【0125】
前記のように、本発明の化合物は、痛みを経験している患者の症状を改善するか、または将来の痛みを予防または軽減するために使用しうる。痛みの予防または緩和のために投与される本発明の化合物の配合は、化合物の性質に大きく依存する。配合は、例えば、薬学的使用または獣医学的使用のいずれを意図するか、血液脳関門を通過する必要があるかによっても影響を受ける。化合物を、他の物質、例えばメチルアルギニンとの、同時、分離または逐次使用のために配合してもよい。一般に、化合物を、神経細胞、特にCNSの神経細胞に向けるかまたは投与するのが好ましい。
【0126】
1つの実施形態において、本発明の化合物の活性は、特定の細胞型だけに限定される。例えば、活性を、神経細胞、特にCNSの神経細胞、特に視床細胞に限定しうる。化合物を、特にそのような細胞による取込みのために配合しうる。または、本発明の化合物を、そのような細胞に直接的に投与してもよい。例えば、薬剤を、視床に注入してもよい。
【0127】
この文脈における治療という用語は、前記症状の治癒から、いずれかのまたは全ての症状の軽減にわたる、任意の作用を含むものとする。本発明の化合物は、適切であれば、前記症状の発生または重症度を減少させるために予防的に使用してもよい。
【0128】
本発明の化合物の治療有効量を患者に投与する。一般的な投与量は、特定化合物の活性、治療される患者の年齢、体重および症状、疾患の種類および重症度、および投与の回数および経路によって、約0.001〜50mg/kg体重、例えば0.01〜10mgである。好ましくは、一日用量レベルは、5mg〜2gである。1日用量を、1回またはそれ以上、例えば2、3または4回投与で与えてもよい。
【0129】
下記の実施例は、本発明を例示するものである。しかし、それらは、本発明を決して限定するものではない。これに関して、実施例部分に使用されている特定のアッセイは、DDAH阻害における活性の指標を与えるためだけに設計されていることを理解することが重要である。任意の1つの特定アッセイにおける否定的結果は、確定的ではない。
【0130】
(実施例)
一般:全ての出発物質は、他に記載がない限り、商業的に入手可能であるか、または以前に文献において報告されている。溶媒および試薬は、さらに精製せずに使用した。反応は、プレコートシリカゲルプレート(Kieselgel 60 F254,Merck)上でTLCによって監視した。精製は、シリカゲル(粒度40〜63μM、Merck)を使用してフラッシュクロマトグラフィーによって行った。1Hおよび13C NMRスペクトルは、Bruker AMX−300またはBruker AMX−400スペクトロメータで記録した。化学シフトは、内標準としてのTMSに対するppm(δ)として報告する。質量スペクトルは、VG ZAB SEスペクトロメータ(電子衝撃およびFAB)またはMicromass QuattroエレクトロスプレーLC−マススペクトロメータで記録した。融点は、Gallenkamp融点装置で測定し、補正していない。微量分析は、Analytical Services Section, University College Londonによって行われた。実験部分に示されている全ての収率は、非最適化分離収率である。
【0131】
方法A:NG−一置換グアニジンアミノ酸の合成の一般法
ジエチルアゾジカルボキシレート(3mmol)を、N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニルピラゾール−1−カルボキサミジン(2mmol)、トリフェニルホスフィン(3mmol)および適切なアルコール(2mmol)の溶液に、0℃で、撹拌しながら滴下した。次に、混合物を室温で3〜16時間撹拌し、回転蒸発器で濃縮し、次に、フラッシュカラムクロマトグラフィー(10%エチルアセテート/シクロヘキサン)に供して、生成物を無色油状物として得た。
【0132】
N−アルキル置換ピラゾールカルボキサミジン(1.5mmol)、Boc−ジアミノアルカン酸tert−ブチルエステル(1.5mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(2.0mmol)を、アセトニトリル(10mL)中で24時間撹拌した。混合物を回転蒸発器で濃縮し、次に、フラッシュカラムクロマトグラフィー(20〜30%エチルアセテート/シクロヘキサン)に供して、保護グアニジノ−アミノ酸を無色ゴム状物として得た。保護アミノ酸を過剰の4M 塩化水素/ジオキサン中で24〜72時間撹拌した。溶媒および副生成物を真空除去して、アミノ酸を白色吸湿性固形物として得た。
【0133】
方法B:NG−二置換2−アミノ−4−グアニジノブタン酸およびNG−アリール2−アミノ−4−グアニジノブタン酸の合成の一般法
ジエチルアゾジカルボキシレート(3mmol)を、N,N’−ビス−tert−ブトキシカルボニルピラゾール−1−カルボキサミジン(2mmol)、トリフェニルホスフィン(3mmol)およびN−Boc−ホモセリン−tert−ブチルエステル(2mmol)(Mathias, L. J. Synthesis 1979, 561-576に記載されている方法によって酸から調製)の溶液に、0℃で、撹拌しながら滴下した。次に、混合物を室温で3〜16時間撹拌し、回転蒸発器で濃縮し、次に、フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%エチルアセテート/シクロヘキサン)に供して、生成物を無色油状物として得た。
【0134】
N−置換ピラゾールカルボキサミジン(1.5mmol)を、アセトニトリル(10mL)中の適切な第二級またはアリールアミン(1.5mmol)と共に24時間撹拌した。混合物を回転蒸発器で濃縮し、次に、フラッシュカラムクロマトグラフィー(20〜30%エチルアセテート/シクロヘキサン)に供して、保護グアニジノ−アミノ酸を無色ゴム状物として得た。
【0135】
保護アミノ酸を、過剰の4M 塩化水素/ジオキサン中で24〜72時間撹拌した。溶媒を真空除去して、アミノ酸を白色吸湿性固形物として得た。
【実施例1】
【0136】
(S)−2−アミノ−4−(N’−イソプロピルグアニジノ)ブタン酸
収率31%(方法A)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.00(1H,t,J6.5Hz,CH)、3.67(1H,七重項,J6.4Hz,NC(Me)2)、3.43(2H,t,J6.9Hz,CH2)、2.21−2.03(2H,m,CH2)、1.16(6H,d,J6.4Hz,(CH32);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.6(C)、157.1(C)、51.9(CH)、46.7(CH)、39.4(CH2)、31.5(CH2)、23.1(2xCH3);MS(FAB+)実測値 m/z 203.15101(M+H)、C81842 M+H 計算値 203.15709。
【実施例2】
【0137】
(S)−2−アミノ−4−(N’−プロピルグアニジノ)ブタン酸
収率35%(方法A)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.07(1H,t,J6.8Hz,CH)、3.50(2H,t,J7.0Hz,CH2)、3.18(2H,t,J7.1Hz,CH2)、2.26−2.13(2H,m,CH2)、1.62(2H,td,J7.3,7.1Hz,CH2)、0.98(3H,t,J7.3Hz,CH3);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.6(C)、158.0(C)、51.8(CH)、44.8(CH2)、39.4(CH2)、31.4(CH2)、23.6(CH2)、11.8(CH3);MS(FAB+)実測値 m/z 202.14300(M+H)、C81842 M+H 計算値 202.14297。
【実施例3】
【0138】
(S)−2−アミノ−4−(N’−ベンジルグアニジノ)ブタン酸
収率55%(方法A)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ7.53−7.22(5H,m,ArH)、4.59(2H,s,PhCH2)、4.15(1H,t,J6.7Hz,CH)、3.66(2H,t,J7.2Hz,CH2)、2.41−2.24(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.5(C)、158.0(C)、137.9(C)、130.3(CH)、129.4(CH)、128.8(CH)、51.7(CH)、46.5(CH2)、39.5(CH2)、31.4(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 251.15045(MH+)、C121842 M+H 計算値 251.15079。
【実施例4】
【0139】
(S)−2−アミノ−4−(N’−シクロヘキシルグアニジノ)ブタン酸
収率12%(方法A)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ3.99(1H,t,J6.2Hz,CH)、3.43(2H,t,J6.8Hz,CH2)、2.21−2.06(2H,m,CH2)、1.87(2H,br d,2xシクロヘキシル H)、1.72(2H,br d,2xシクロヘキシル H)、1.55(1H,m,NCH シクロヘキシル)、1.41−1.14(6H,m,6xシクロヘキシル H);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ52.5(CH)、52.0(CH)、39.4(CH2)、34.2(CH2)、31.5(CH2)、26.6(CH2)、26.1(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 243.18175(M+H)、C112242 M+H 計算値 243.18209。
【実施例5】
【0140】
(S)−2−アミノ−4−(N’−フェニルグアニジノ)ブタン酸
収率17%(方法B)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ7.47(2H,t,J7.3Hz,Ar C2H,C5H)、7.37(1H,t,J7.3Hz,Ar C4H)、7.31(2H,m,Ar C3H,C5H)、4.10(1H,t,J6.3Hz,CH)、3.59(2H,t,J7.0Hz,CH2)、2.33−2.14(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.5(C)、131.5(CH)、129.2(CH)、127.1(CH)、51.9(CH)、39.8(CH2)、31.4(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 237.13543(M+H)、C111642 M+H 計算値 237.13514。
【実施例6】
【0141】
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸
収率41%(方法A)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.29(1H,t,J6.7Hz,CH)、3.78−3.68(4H,m,2xCH2)、3.63(2H,m,OCH2)、3.61(3H,s,OCH3)、2.51−2.33(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.6(C)、158.0(C)、72.6(CH2)、59.6(CH3)、51.8(CH)、43.5(CH2)、39.5(CH2)、31.4(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 219.14585(M+H)、C81843 M+H 計算値 219.14585。
【実施例7】
【0142】
(S)−2−アミノ−4−(N’−オクチルグアニジノ)ブタン酸
収率18%(方法A)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.13(1H,t,J6.5Hz,CH)、3.56(2H,t,J6.7Hz,NCH2)、3.28(2H,t,J7.1Hz,NCH2)、2.37−2.17(2H,m,CH2)、1.42−1.38(10H,m,5xCH2)、0.97(3H,m,CH3);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ;MS(FAB+)実測値 m/z 273.22849(M+H)、C132842 M+H 計算値 273.22903。
【実施例8】
【0143】
(S)−2−アミノ−4−(N’−シクロプロピルグアニジノ)ブタン酸
収率41%(方法B)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.07(1H,t,J6.5Hz,CH)、3.50(2H,t,J6.9Hz,CH2)、2.52(1H,m,NCH シクロプロピル)、2.27−2.11(2H,br m,CH2)、0.89(2H,m,2xCH シクロプロピル)、0.66(2H,m,2xCH シクロプロピル);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.6(C)、159.3(C)、51.9(CH)、39.4(CH2)、31.4(CH2)、23.9(CH)、8.2(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 201.13519(M+H)、C81642 M+H 計算値 201.13514。
【実施例9】
【0144】
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2’−ジメチルアミノエチル)グアニジノ)ブタン酸
収率29%(方法B)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.15(1H,t,J6.7Hz,CH)、3.73(2H,t,J6.2Hz,NCH2)、3.56(2H,t,J7.1Hz,NCH2)、3.43(2H,t,J6.2Hz,NCH2)、2.96(6H,s,N(CH32)、2.32−2.19(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.2(C)、158.0(C)、56.9(CH2)、51.4(CH)、43.9(CH3)、39.2(CH2)、37.9(CH2)、30.8(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 232.17283(M+H)、C92152 M+H 計算値 232.17734。
【実施例10】
【0145】
(S)−2−アミノ−4−(N’−2,2−ジメチルプロピル)グアニジノ)ブタン酸
収率18%(方法A)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.18(1H,t,J6.7Hz,CH)、3.62(2H,t,J7.3Hz,CH2)、3.14(2H,s,NC2(Me)3)、2.40−2.21(2H,m,CH2)、1.09(9H,s,(CH33);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.5(C)、158.0(C)、54.2(CH2)、51.8(CH2)、39.5(CH2)、33.5(C)、31.5(CH2)、27.7(3xCH3);MS(FAB+)実測値 m/z 231.18222(M+H)、C102242 M+H 計算値 231.18209。
【実施例11】
【0146】
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−フェノキシエチル)グアニジノ)ブタン酸
収率56%(方法A)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ7.31−7.24(2H,m,2xArH)、6.97−6.92(3H,m,3xArH)、4.14(2H,t,J5.1Hz,CH2)、4.09(1H,t,J6.9Hz,CH)、3.66(2H,t,J5.1Hz,CH2)、3.52(2H,t,J7.1Hz,CH2)、2.30−2.12(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.2(C)、159.8(C)、158.0(C)、130.6(CH)、122.4(CH)、115.6(CH)、67.4(CH2)、51.4(CH)、42.5(CH2)、39.1(CH2)、30.9(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 281.16180(M+H)、C132043 M+H 計算値 281.16136。
【実施例12】
【0147】
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メチルチオエチル)グアニジノ)ブタン酸
収率38%(方法A)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.09(1H,t,J6.6Hz,CH)、3.51(2H,t,J7.1Hz,CH2)、3.46(2H,t,J6.7Hz,CH2)、2.72(2H,t,J6.7Hz、SCH2)、2.30−2.12(2H,m,CH2)、2.13(3H,s,SCH3);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.2(C)、157.6(C)、51.4(CH)、41.8(CH2)、39.0(CH2)、33.9(CH2)、30.9(CH2)、15.2(CH3);MS(FAB+)実測値 m/z 235.12235(M+H)、C81842S M+H 計算値 235.12287。
【実施例13】
【0148】
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−イソプロポキシエチル)グアニジノ)ブタン酸
収率41%(方法A)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.08(1H,t,J6.5Hz,CH)、3.65(1H,七重項,J6.1Hz,OCH)、3.59(2H,t,J5.1Hz,CH2)、3.50(2H,t,J7.1Hz,CH2)、3.39(2H,t,J5.1Hz,CH2)、2.30−2.11(2H,m,CH2)、1.17(5H,d,J6.1Hz,2xCH3);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.2(C)、158.4(C)、73.7(CH)、51.4(CH)、43.6(CH2)、39.1(CH2)、31.0(CH2)、22.3(CH3);MS(FAB+)実測値 m/z 247.17699(M+H)、C102243 M+H 計算値 247.17701。
【実施例14】
【0149】
(S)−2−アミノ−4−(N’−アリルグアニジノ)ブタン酸
収率50%(方法A)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ5.99−5.87(1H,m,ビニル CH)、5.34(1H,d,J17.1Hz,シス ビニル CH)、5.27(1H,d,J10.4Hz,トランス ビニル CH)、4.13(1H,t,J6.6Hz,NCH)、3.93(2H,d,J4.9Hz,NCH2)、3.57(2H,t,J6.0Hz,CH2)、2.37−2.15(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.5(C)、158.0(C)、134.1(CH)、117.9(CH2)、51.8(CH)、45.0(CH2)、39.4(CH2)、35.2(CH2)、31.4(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 201.13558(M+H)、C81642 M+H 計算値 201.13514。
【実施例15】
【0150】
(S)−2−アミノ−4−[(ピペリジン−1−カルボキシイミドイル)−アミノ]ブタン酸
収率32%(方法B)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.08(1H,t,J6.5Hz,NCH)、3.54(2H,t,J7.1Hz,CH2)、3.48−3.44(4H,m,2xCH2)、2.31−2.13(2H,m,CH2)、1.68−1.59(6H,m,3xCH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.7(C)、157.5(C)、51.9(CH)、40.3(CH2)、31.3(CH2)、26.9(CH2)、25.2(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 229.16582(M+H)、C102042 M+H 計算値 229.16644。
【実施例16】
【0151】
(S)−2−アミノ−4−[(ピロリジン−1−カルボキシイミドイル)−アミノ]ブタン酸
収率23%(方法B)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.11(1H,t,J6.2Hz,CH)、3.54(2H,t,J6.8Hz,CH2)、3.44(4H,t,J6.4Hz,2xNCH2 pyrr)、2.32−2.05(2H,m,CH2)、2.03(4H,t,J6.4Hz,2xCH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.4(C)、155.0(C)、51.5(CH)、48.5(CH2)、39.4(CH2)、30.9(CH2)、26.2(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 215.15070(M+H)、C91842 M+H 計算値 215.15079。
【実施例17】
【0152】
(S)−2−アミノ−4−[(モルホリン−4−カルボキシイミドイル)−アミノ]ブタン酸
収率30%(方法B)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.09(1H,t,J6.2Hz,CH)、3.74(4H,t,J4.9Hz,2xCH2 morph)、3.55(2H,t,J6.8Hz,CH2)、3.48(4H,t,J4.9Hz,2xCH2 morph)、2.30−2.19(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ66.9(CH2)、51.5(CH)、47.6(CH2)、39.9(CH2)、30.8(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 231.14593(M+H)、C91843 M+H 計算値 231.14571。
【実施例18】
【0153】
(S)−4−(N’−メチルグアニジノ)ピロリジン−2−カルボン酸
収率38%(方法B、N−Boc−ヒドロキシプロリン−OButより)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.55−4.43(2H,m,CH2)、3.77−3.68(1H,m,CH)、3.44−3.31(1H,m,CH)、2.94−2.84(1H,m,CH)、2.87(3H,s,CH3)、2.27−2.17(1H,m,CH);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃);δ170.4(C)、158(C)、59.6(CH2)、51.6(CH)、50.6(CH2)、35.2(CH2)、28.6(CH3);MS(FAB+)実測値 m/z 187.10587(M+H)、C71442 M+H 計算値 187.11950。
【実施例19】
【0154】
(S)−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ピロリジン−2−カルボン酸
収率26%(方法B、N−Boc−ヒドロキシプロリン−OButより)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.55−4.45(2H,m,CH2)、3.75−3.71(1H,m,CH)、3.54(2H,t,J4.8Hz,CH2)、3.44−3.40(3H,m,CH2+CH)、3.38(3H,s,OCH3)、2.89−2.85(1H,m,CH)、2.28−2.21(1H,m,CH);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ170.4(C)、159.0(C)、72.1(CH2)、59.6(CH)、59.2(CH3)、51.7(CH)、50.7(CH2)、43.2(CH2)、35.2(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 231.14592(M+H)、C91843 M+H 計算値 231.14571。
【実施例20】
【0155】
(S)−4−N’−(2−メトキシエチル)グアニジノブタン酸
収率59%(方法A、4−アミノ−tert−ブチルブタノエートより)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ3.53(2H,t,J4.7Hz,CH2)、3.39−3.34(2H,m,CH2)、3.36(3H,s,OCH3)、3.24(2H,t,J7.1Hz,CH2)、2.39(2H,t,J7.1Hz,CH2)、1.86(2H,五重項,J7.1Hz,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ176.7(C)、158.0(C)、72.7(CH2)、59.2(CH3)、42.9(CH2)、41.9(CH2)、31.5(CH2)、25.2(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 204.13477(M+H)、C81733 M+H 計算値 204.13481。
【実施例21】
【0156】
G−(2−メトキシエチル)−L−アルギニン
収率44%(方法A、Boc−Orn−OButより)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.03(1H,t,J6.0Hz,CH)、3.53(2H,t,J5.0Hz,CH2)、3.39(2H,t,J5.0Hz,CH2)、3.37(3H,s,OCH3)、3.30(2H,m,CH2)、2.03−1.94(2H,m,CH2)、1.83−1.72(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ171.5(C)、158.2(C)、72.2(CH2)、59.2(CH3)、53.5(CH)、42.9(CH2)、41.9(CH2)、28.7(CH2)、25.8(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 233.16097(M+H)、C92043 M+H 計算値 233.16136。
【0157】
エステル生成の一般法
適切なアルコール(2mL)中の酸(一般に0.5mmol)の溶液に、0℃で、チオニルクロライド(1.1当量)を撹拌しながら添加した。その溶液を0℃で30分間撹拌し、次に、1時間にわたって加熱還流し、室温で一晩撹拌した。次に、溶媒を真空除去して、エステルを白色または黄色固形物として得た。
【実施例22】
【0158】
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸メチルエステル
収率83%。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.15(1H,t,J6.5Hz,CH)、3.86(3H,s,OCH3)、3.54(2H,t,J4.9Hz,CH2)、3.47(2H,t,J7.1Hz,CH2)、3.42(2H,t,J6.0Hz,CH2)、3.38(3H,s,OCH3)、2.29−2.11(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ170.3(C)、157.5(C)、72.1(CH2)、59.2(CH3)、54.0(CH3)、51.5(CH)、43.0(CH2)、38.8(CH2)、30.9(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 233.16097(M+H)、C92043 M+H 計算値 233.16136。
【実施例23】
【0159】
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸エチルエステル
収率84%。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.33(2H,q,J7.1Hz,CH2)、4.13(1H,t,J6.2Hz,CH)、3.55−3.39(6H,m,3xCH2)、3.38(3H,s,OCH3)、2.28−2.20(2H,m,CH2)、1.34(3H,t,J7.1Hz,CH3);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ169.9(C)、158.3(C)、72.1(CH2)、64.1(CH2)、59.2(CH3)、51.5(CH)、43.1(CH2)、38.9(CH2)、30.9(CH2)、14.4(CH3);MS(FAB+)実測値 m/z 247.17723(M+H)、C102243 M+H 計算値 247.17701。
【実施例24】
【0160】
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸プロピルエステル
収率80%。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.25−4.15(3H,m,CH,CH2)、3.56−3.39(6H,m,3xCH2)、3.38(3H,s,OCH3)、2.27−2.15(2H,m,CH2)、1.73(2H,m,CH2)、0.98(3H,t,J7.1Hz,CH3);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ170.0(C)、158.1(C)、72.1(CH2)、69.5(CH2)、59.3(CH3)、51.6(CH)、43.1(CH2)、38.9(CH2)、30.9(CH2)、22.9(CH2)、10.7(CH3);MS(FAB+)実測値 m/z 261.19258(M+H)、C112443 M+H 計算値 261.19266。
【実施例25】
【0161】
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸ブチルエステル
収率60%。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ;13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ;MS(FAB+)実測値 m/z 275.20818(M+H)、C122643 M+H 計算値 275.20831。
【実施例26】
【0162】
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸ベンジルエステル
収率79%。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ7.45−7.27(5H,m,ArH)、5.23(2H,s,PhCH2O)、4.20(1H,t,J6.2Hz,CH)、3.59−3.42(6H,m,3xCH2)、3.30(3H,s,OCH3)、2.27−2.11(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ169.9(C)、158.0(C)、136.3(C)、129.9(CH)、129.4(CH)、129.0(CH)、72.1(CH2)、69.5(CH2)、59.2(CH3)、51.6(CH)、43.0(CH2)、38.9(CH2)、30.9(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 309.19466(M+H)、C152443 M+H 計算値 309.19266。
【実施例27】
【0163】
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸イソプロピルエステル
収率72%。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ5.11(1H,七重項,J6.2Hz、(Me)2CH)、4.12(1H,t,J6.7Hz,CH)、3.56−3.42(6H,m,3xCH2)、3.38(3H,s,OCH3)、2.29−2.04(2H,m,CH2)、1.33(6H,d,J6.2Hz,(CH32);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ169.5(C)、158.1(C)、72.5(CH2)、72.1(CH)、59.3(CH3)、51.6(CH)、43.1(CH2)、39.0(CH2)、31.0(CH2)、21.9(CH3);MS(FAB+)実測値 m/z 261.19378(M+H)、C112443 M+H 計算値 261.19266。
【実施例28】
【0164】
G−(2−メトキシエチル)−L−アルギニンメチルエステル
収率80%。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ4.12(1H,t,J6.0Hz,CH)、3.85(3H,s,OCH3)、3.53(2H,t,J4.7Hz,CH2)、3.40(2H,t,J4.7Hz,CH2)、3.38(3H,s,OCH3)、3.31−3.27(2H,m,CH2)、2.10−1.92(2H,m,CH2)、1.84−1.69(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ170.7(C)、158.1(C)、72.2(CH2)、59.3(CH3)、53.9(CH3)、53.6(CH)、43.0(CH2)、41.9(CH2)、28.7(CH2)、25.8(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 247.17725(M+H)、C102243 M+H 計算値 247.17701。
【0165】
アミド生成の一般法
グアニジンアミノ酸のアミン誘導体は、方法Aの改変法を使用して合成することができる。例えば、3−N’−(2−メトキシエチル)グアニジノプロピルアミンは、Boc−1,3−ジアミノプロパンを使用して方法Aによって合成することができる。
【0166】
生成例1 3−N’−(2−メトキシエチル)グアニジノプロピルアミン
収率63%(方法A、Boc−1,3−ジアミノプロパンより)。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ3.53(2H,t,J5.0Hz,CH2)、3.40(2H,t,J5.0Hz,CH2)、3.38(3H,s,OCH3)、3.34(2H,t,J7.0Hz,CH2)、3.02(2H,t,J7.6Hz,CH2)、1.96(2H,tt,J7.0,7.6Hz,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ158.2(C)、72.2(CH2)、59.2(CH3)、43.0(CH2)、39.7(CH2)、38.2(CH2)、28.0(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 175.15591(M+H)、C7184O M+H 計算値 175.15588
【0167】
イソブチルクロロホルメート(1mmol)およびN−メチルモルホリン(1mmol)を、クロロホルム(5mL)中のL−Boc−オルニチン(Fmoc)(1mmol)に、−10℃で、撹拌しながら添加した。混合物を−10℃で15分間撹拌し、次に、必要とされるアミン(1mmol)を添加し、混合物を、室温に徐々に温めながら、さらに3時間撹拌した。溶媒を真空除去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1 シクロヘキサン:エチルアセテート)に供して、アミドを白色粉末として得た。
【0168】
出発物質が消費されるまでtlcによって監視しながら、アミド(0.5mmol)を、クロロホルム(3mL)中のピペリジン(5当量)と共に撹拌した。溶媒および過剰のピペリジンを真空除去し、全粗生成物を次の段階に使用した。
【0169】
N−アルキル置換ピラゾールカルボキサミジン(0.5mmol)、および粗Boc−保護アミド(約0.5mmol)を、アセトニトリル(5mL)中で48時間撹拌した。溶媒を除去した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーに供して、Boc−保護グアニジノ−アミノアミドを得た。
【0170】
Boc−保護アミドを、過剰のHCl/ジオキサン中で72時間撹拌し、次に、溶媒を真空除去して、生成物を白色固形物として得た。
【実施例29】
【0171】
(S)−2−アミノ−5−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ペンタン酸メチルアミド
収率36%。 1H NMR(CD3OD,300MHz):δ3.92(1H,t,J6.5Hz,CH)、3.53(2H,t,J4.7Hz,CH2)、3.40(2H,t,J5.0Hz,CH2)、3.37(3H,s,NCH3)、3.32−3.26(2H,m,CH2)、2.79(3H,s,CH3)、1.96−1.89(2H,m,CH2)、1.74−1.66(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ170.3(C)、158.1(C)、72.2(CH2)、59.3(CH3)、54.1(CH)、43.0(CH2)、42.0(CH2)、29.7(CH2)、26.4(CH3)、25.6(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 246.19305(M+H)、C102352 M+H 計算値 246.19299。
【実施例30】
【0172】
(S)−2−アミノ−4−(N’−(2−メトキシエチル)グアニジノ)ブタン酸ベンジルアミド
収率33%。 1H NMR(CD3OD,300MHz):7.33−7.22(5H,m,ArH)、4.43(2H,d,J5.5Hz,CH2)、4.09(1H,t,J6.7Hz,CH)、3.53−3.40(4H,m,2xCH2)、3.36(3H,s,OMe)、2.24−2.09(2H,m,CH2);13C NMR(75MHz,CD3OD,27℃)δ169.9(C)、158.1(C)、139.3(C)、129.6(Ar CH)、128.9(Ar CH)、128.5(Ar CH)、72.1(CH2)、59.3(CH3)、52.3(CH)、44.4(CH2)、43.0(CH2)、38.8(CH2)、32.1(CH2);MS(FAB+)実測値 m/z 308.21039(M+H)、C152552 M+H 計算値 308.20864。
【実施例31】
【0173】
(S)−NG−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)−アルギニン
tert−ブチル(2S)−2−Boc−アミノ−5−(N,N’−ビス−Boc−NG−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)グアニジノ)ペンタノエート(0.30g、0.5mmol、1当量)を、ジオキサン(3mL)に溶解させた。4M HCl/ジオキサン(5mL、20mmol、40当量)を添加し、その溶液を48時間撹拌した。全ての過剰の試薬および溶媒を真空除去した。化合物を凍結乾燥によって精製して、粘着性、吸湿性固形物(74.2mg、67.3%)を得た。 1H NMR(d3−MeOD):δ1.64(m,2H)、1.79(m,2H)、1.93(m,2H)、1.98(m,2H)、3.44(m,2H)、3.58(m,1H)、3.88(m,2H)、3.93(m,1H)、4.00(m,2H)。13C NMR(d3−MeOD):δ25.8(CH2)、26.7(CH2)、28.8(CH2)、29.4(CH2)、41.9(CH2)、48.2(CH2)、54.1(CH)、69.4(CH);注:C=NおよびC=Oに関する数値は、弱すぎて測定できない。
【実施例32】
【0174】
(2S)−2−アミノ−4−NG−((テトラヒドロフラン−2−イル)メチル)グアニジノブタン酸
実施例31の手順を改変して、合成した。収率56.3%。 1H NMR(d3−MeOD):δ1.63(m,2H)、1.91(m,2H)、2.21(m,2H)、3.51(t,J=6Hz,2H)、3.60(t,J=6.3Hz,1H)、3.75(m,2H)、3.88(m,1H)、4.80(t,J=7.5Hz,2H)。13C NMR(d3−MeOD):δ26.7(CH2)、29.9(CH2)、31.0(CH2)、39.0(CH2)、46.8(CH2)、51.4(CH)、69.4(CH2)、70.7(CH)、158.3(C)、171.2(C)。
【実施例33】
【0175】
2−メトキシベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート
(2S)−2−アミノ−4−NG−(2−メトキシエチル)グアニジノブタン酸(100mg、0.34mmol、1当量)を、過剰の2−メトキシベンジルアルコール(2mL)に溶解させた。その溶液を0℃に冷却し、チオニルクロライド(0.2mL、2.75mmol、8当量)をゆっくり添加した。一旦鎮静化したら、その溶液を70℃に48時間加熱した。生成物をトリチュレーション(tritulation)(EtOAc)によって精製し、凍結乾燥して、粘着性、吸湿性固形物(56.1mg、48%)を得た。 1H NMR(d3−MeOD):δ2.20(m,2H)、3.30(m,2H)、3.41(m,3H)、3.54(m,5H)、3.81(m,2H)、4.05(t,J=6.3Hz,2H)、4.58(m,1H)、6.67(m,2H)、7.32(m,1H)、7.36(m,1H)。13C NMR(d3−MeOD):δ31.0(CH2)、39.1(CH2)、43.0(CH2)、51.8(CH)、55.7(CH3)、59.2(CH3)、60.4(CH2)、72.1(CH2)、111.2、112.3、121.4、129.0、129.6、132.1(芳香族ピーク)、158.2(C)、171.4(C);LCMS:339.4(M+H)。
【実施例34】
【0176】
4−メトキシベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート
実施例33の手順を改変して、合成した。収率80%。 1H NMR(d3−MeOD):δ2.22(m,2H)、3.30(m,2H)、3.41(m,2H)、3.52(m,5H)、3.77(m,5H)、4.43(m,1H)、6.96(m,2H)、7.25(m,2H)。13C NMR(d3−MeOD):δ31.0(CH2)、39.0(CH2)、43.0(CH2)、43.8(CH2)、51.4(CH)、55.7(CH3)、59.3(CH3)、72.2(CH2)、114.8、115.3、115.6、129.9、130.6、133.0(芳香族ピーク)、158.3(C)、171.2(C);LCMS:339.3(M+H)。
【実施例35】
【0177】
2−フルオロベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート
実施例33の手順を改変して、合成した。収率42.7%。 1H NMR(d3−MeOD):δ2.20(m,2H)、3.30(m,2H)、3.39(m,5H)、3.52(m,2H)、4.06(t,J=7.4Hz,1H)、4.20(t,J=7.0Hz,1H)、4.66(s,1H)、7.19(m,2H)、7.47(m,2H)。13C NMR(d3−MeOD):δ31.0(CH2)、39.0(CH2)、43.0(CH2)、51.5(CH)、58.7、59.2(CH3)、63.2(CH2)、72.1(CH2)、116.7、117.1、125.7、130.5、131.0、133.2(芳香族ピーク)、158.3(C)、171.9(C);LCMS:327.3(M+H)。
【実施例36】
【0178】
3−トリフルオロメチル−4−フルオロベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート
実施例33の手順を改変して、合成した。収率28.3%。 1H NMR(d3−MeOD):δ2.05(m,2H)、3.31(m,2H)、3.40(m,5H)、3.53(m,2H)、3.61(m,2H)、3.63(m,1H)、7.32(m,1H)、7.67(m,2H)。13C NMR(d3−MeOD):δ22.8、32.2(CH2)、39.8(CH2)、42.3(CH2)、53.1(CH)、59.2(CH3)、72.1(CH2)、158.1(C)。注:NMRの積分値(integration values)は、50%の出発物質の存在を表し、反応が終了していないことを示した。LCMS:395.4(M+H)。
【実施例37】
【0179】
3−フェノキシベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート
実施例33の手順を改変して、合成した。
収率52.8%。 1H NMR(d3−MeOD):δ2.20(m,2H)、3.30(m,1H)、3.35(m,1H)、3.42(m,2H)、3.52(m,5H)、4.03(t,J=7Hz、1H)、4.21(t,J=7Hz、1H)、4.57(s,1H)、6.99(m,3H)、7.13(m,3H)、7.37(m,3H)。13C NMR(d3−MeOD):δ31.1(CH2)、39.1(CH2)、43.0(CH2)、51.6(CH)、59.2(CH3)、69.0(CH2)、72.1(CH2)、118.1、118.5、119.8、120.1、122.7、124.5、124.8、130.8、131.0、131.3、138.3、145.1(芳香族ピーク)、158.7(C)、169.8(C);LCMS:401.3(M+H)。
【実施例38】
【0180】
3−メチルベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート
実施例33の手順を改変して、合成した。収率64.1%。 1H NMR(d3−MeOD):δ2.22(m,2H)、2.32(d,J=6.4Hz,3H)、3.30(b,2H)、3.35(s,2H)、3.38(b,2H)、3.45(b,2H)、3.51(b,3H)、4.55(s,1H)、7.13(m,4H)。13C NMR(d3−MeOD):δ21.5(CH3)、31.0(CH2)、38.9(CH2)、43.0(CH2)、51.6(CH)、59.2(CH3)、69.6(CH2)、72.1(CH2)、125.1、126.9、128.9、130.5、136.2、139.0(芳香族ピーク)、142.6(C)、170.0(C);LCMS:323.3(M+H)。
【実施例39】
【0181】
3−トリフルオロメチルベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート
実施例33の手順を改変して、合成した。収率11.0%。 1H NMR(d3−MeOD):δ2.20(m,2H)、3.38(m,7H)、3.53(t,J=4.7,2H)、3.60(t,J=7.1Hz,2H)、4.67(s,1H)、7.70(m,4H);NMR積分は、50%の出発物質の存在を示し、従って、反応が終了していなかったと結論付けられる。LCMS:377.4(M+H)。
【実施例40】
【0182】
3−フルオロメチルベンジル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート
実施例33の手順を改変して、合成した。収率60.7%。 1H NMR(d3−MeOD):δ2.20(m,2H)、3.30(m,2H)、3.42(m,2H)、3.54(m,5H)、4.06(t,J=6.5Hz,1H)、4.24(t,J=6.9Hz,1H)、6.96(m,1H)、7.12(m,1H)、7.31(m,2H)。13C NMR(d3−MeOD):δ30.9(CH2)、38.9(CH2)、43.0(CH2)、51.6(CH)、59.2(CH)、64.4(CH2)、72.1(CH2)、114.5、116.5、123.4、125.5、131.0、138.2(芳香族ピーク)、169.8(C)、171.3(C);LCMS:327.3(M+H)。
【実施例41】
【0183】
2−メトキシエチル(S)−2−アミノ−4−[(N’−(2−メトキシエチル))グアニジノ]ブタノエート
実施例33の手順を改変して、合成した。収率66.7%。 1H NMR(d3−MeOD):δ2.20(m,2H)、3.38(s,6H)、3.41(t,J=5.1Hz,2H)、3.47(t,J=5.1Hz,2H)、3.52(t,J=5.1Hz,2H)、3.67(t,J=5.1Hz,2H)、4.18(t,J=7.5Hz,1H)、4.41(m,2H)。13C NMR(d3−MeOD):δ31.0(CH2)、43.0(CH2)、51.5(CH)、59.1(CH3)、59.2(CH3)、64.3(CH2)、66.4(CH2)、71.0(CH2)、72.1(CH2)、158.1(C)、169.9(C);LCMS:277.4(M+H)。
【0184】
結果
生物学的スクリーニング
DDAH活性アッセイ
PMSF 1mM、ロイペプチン5μg/mL、ペプスタチン5μg/mL、キモスタチン5μg/mを含有するPBS中で、ラット腎臓をホモジナイズし、溶解産物を遠心分離した(4000rpm、20分間、次に、上澄みをさらに遠心分離した:40000rpm、30分間、4℃)。上澄みをDDAH活性について分析した;[14C]L−NMMA(1μmol/L)を細胞溶解産物に添加し(最終量100μL)、37℃で1時間インキュベートした。中性pHのダウエックス(Dowex)樹脂(0.5mL)を、試料に速やかに添加して、反応を終了させ、非代謝L−NMMAを結合した。[14C]シトルリン生成を、シンチレーション計数(ヒユーレット・パッカード)によって測定した。結果を表1および1Aに示す。
【0185】
細胞アッセイ
RAW細胞を、T150フラスコ中で70%コンフルエントまで増殖させ、次に、LPS(5μg/mL)、TNFα(10ng/mL)およびIFNγ(100U/mL)で24時間刺激し、細胞を、冷たい100mM Tris(pH7.6)、1mM DTT、PMSF 1mM、ロイペプチン5μg/mL、ペプスタチン5μg/mL、キモスタチン5μg/mLおよびCaCl2 200μM中で掻取った。細胞を凍結/解凍の3サイクルによって溶解させ、微量遠心分離(microcentrifugation)によって清澄化した。NOSアッセイに使用する前に、上澄みにおけるタンパク質濃度を、バイオラドタンパク質アッセイによって測定した。
【0186】
細胞生存度アッセイ
RAW細胞を、完全培地において24時間、DDAH阻害化合物(0.5mM)で処置した:次に、細胞を、MTTアッセイによって生存度について評価した。細胞培地を細胞から除去し、3−[4,5−ジメチルチアゾル−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT 0.2mg/mL)を含有する200μL完全培地(37℃、30分間)と取り替えた。MTT含有培地を除去し、細胞を可溶化するために100μL DMSOを添加した;振とうした後、シャーレをOD500nmで読み取った。非処置細胞とDDAH阻害剤に暴露した細胞とに有意な差異はなかった。アッセイの結果を表2に示す。
【0187】
iNOS活性グリースアッセイ
RAW細胞を、DDAH阻害化合物(0.5mM)の存在下に、LPS/IFNおよびTNFで24時間刺激した。細胞によって培地に分泌されたNOxのレベルをグリースアッセイによって測定した:グリース試薬[1:1 オルトリン酸(50%)中のスルファニルアミド(10%)およびN−(1−ナフチル)エチレンジアミンジヒドロクロリド(1%)]を、100μL容量/100μ細胞培地として添加して、シャーレを550nmで読み取り、亜硝酸および硝酸ナトリウム標準に関して分析した。非処置細胞とDDAH阻害剤に暴露した細胞(n=10)とに有意な差異はなかった。アッセイの結果を表3に示す。
【0188】
eNOSアッセイ
被験化合物を、NOSアッセイ緩衝液(HEPES 50mM pH7.2、FAD 5μM、FMN 5μM、BH4 10μM、NADPH 1mM、DTT 0.5mM、CaCl2 1mM、MgCl2 1mM、カルモジュリン 50nM、[14C]アルギニン 100μM)に、最終量100μLで添加し、eNOS(eNOS 3.3.U/反応、アレクシス・バイオケミカルズ)の添加によって反応を開始させた。反応を37℃で1時間インキュベートし、各試験管へのダウエックス(Dowex) pH5.5(0.85mL)の添加によって反応を終了させた。試験管を振り、<12000gで5分間にわたって微量遠心分離した(microfuged)。100μLのダウエックス上澄みを、5mLのシンチレーションカクテルに添加し、シンチレーションカウンター(ヒユーレット・パッカード)で計数した。化合物を、1mMおよび0.1mMの濃度で試験した。活性を、対照に対する%として表し、該対照は阻害剤を含有していなかった(n=4)。試験された本発明のDDAH阻害剤は、eNOS活性における有意な作用を有していなかった。結果を表4に示す。
【0189】
生体内試験
雄ウィスターラット(250〜300g;Charles River, Margate, Kent, UK)にイソフルランで麻酔をかけた。頸静脈にカニューレを挿入した。動物に、ボーラス用量の阻害剤(60mg/kg)または塩水を静脈注射した。麻酔を4時間維持し、その終了時に、血清ジメチルアルギニンレベルの測定のために、心臓穿刺によって採血した。[全ての動物は、The British Home Office Regulations and Principles of Laboratory Animal Careに従って取り扱われた(プロジェクトライセンスPPL/5344、PPL/4824、PPL 70/5580)]。
【0190】
試験の結果を表5に示す。
【0191】
表5から分かるように、ADMAレベルは処置動物においてより高く、DDAHの阻害と一致している。SDMAはDDAHの基質ではなく、SDMAのレベルは、処置動物と対照動物とで同じであると予想され、実際にそうであった。「正常な」ADMAおよびSDMAレベルにかなりの変動があるので、各動物についてADMAおよびSDMAの比率を測定して、物質に対するこれらの相対変化の信頼できる指標を与えることが有用である。
【0192】
DDAHの阻害が腹膜炎症を減少させる
ザイモサン誘発腹膜炎におけるDDAH阻害剤の作用を、2種類の系統のマウスで試験した。C57/Blk6またはTOマウス(雄、8〜10週齢)を、ヒートボックス(heat box)に38℃で10分間入れ、60mg/kgのSR291[NG−(2−メトキシエチル)−L−アルギニンメチルエステル]を静脈内投与した。30分後、それらに1mgのザイモサンを腹腔内投与した。第二用量のSR291(60mg/kg)を2時間後に投与し、4時間後、マウスにイソフルオランで麻酔をかけ、心臓穿刺によって採血した。マウスを犠牲にし、2mLの氷冷PBSをそれらの腹腔に注射し、次に、腹腔を軽くマッサージし、切開し、腹膜ウォッシュアウト(washout)を採取し、氷の上に置いた。血液を、400gにおいて4℃で10分間にわたって遠心沈殿させた。細胞を、4000rpmにおいて4℃で5分間回転させた。血漿を血液から除去し、−80℃で凍結させた。ウォッシュアウトからの滲出液を除去し、−80℃で凍結し、細胞ペレットを1mLの氷冷PBSに再懸濁し、血球計で計数した。細胞を先のように回転させ、上澄みを捨て、細胞を−80℃で凍結させた。腹腔への多形核(PMN)細胞浸潤物を使用して、炎症を測定した。8〜12匹のマウス(半数を食塩水で処理、半数を活性薬剤で処理した)をそれぞれ含む3つの別々の実験において、SR291はPMN浸潤物を有意に減少させた。試験の結果を表5〜10に示す。表6は、ザイモサン腹膜炎(C57、雄、8〜10週齢)、60mg/kgのSR291静脈内投与−30分、4時間後に採取、に関して得た結果を示す。表7は、表6に示されているデータセットの累積結果を示す。表8は、C57マウスに関する2つのデータセットの組合せを示す。表9は、ザイモサン腹膜炎(TOマウス、雄、8〜10週齢)、60mg/kgのSR291静脈内投与−30分、+2時間、4時間後に採取、に関して得た結果を示す。表10は、表9に示されているデータセットの累積結果を示す。表11は、ザイモサン腹膜炎(TOマウス、雄、8〜10週齢)、60mg/kgのSR291静脈内投与−30分、+2時間、4時間後に採取、に関して得た第二試験の結果を示す。表12は、表11に示されているデータセットの累積結果を示す。表13は、表9および表11に示されている2つのデータセットの累積結果を示す。
【0193】
内毒素血症において、DDAH阻害が、血管反応性を回復させ、BPを維持する
2つの化合物SR291[NG−(2−メトキシエチル)−L−アルギニンメチルエステル]およびSR257[NG−(2−メトキシエチル)−L−アルギニン]の作用を、一系列の内毒素誘発血管機能不全モデルにおいて試験した。静置培養における、ラット大動脈血管輪のエンドトキシン(10μg/mL)での処置は、一酸化窒素の生成の増加を生じた(亜硝酸塩および硝酸塩によって測定)。このNO増加を、500μM SR257またはSR291での処置によって阻止した。この試験の結果を図1に示す。
【0194】
ラット大動脈輪をエンドトキシン(0.3μg/mL)と共にインキュベーションすることによって、血管収縮薬(vasoconstrictors)への反応低下が生じた。この作用は、100μMおよび200μM SR291またはSR257を使用したDDAHの阻害によって、用量依存的に逆転したが、各化合物の不活性D−異性体は作用を示さなかった。これは、図2aおよび2bに示されている。
【0195】
ラットへのエンドトキシン(40mg/kg)の注射は、全身BPの漸進的低下を生じた。この低下は、30mg/kg/時のSR291の注入によって停止した。これは、図3に示されている。
【0196】
これらのデータは、DDAHの阻害を使用して、敗血症における血管虚脱を阻止しうることを示す。
【0197】
【表1】

【0198】
【表1A】

【0199】
【表2】

【0200】
【表3】

【0201】
【表4】

【0202】
【表5】

【0203】
【表6】

【0204】
【表7】

【0205】
【表8】

【0206】
【表9】

【0207】
【表10】

【0208】
【表11】

【0209】
【表12】

【0210】
【表13】

【図面の簡単な説明】
【0211】
【図1】図1は培地のみ(非処置)、培地と10μg/mL LPS(LPS)、培地と10μg/mL LPSと500μM SR257またはSR291の存在下の静置培養における、単離ラット大動脈輪からの硝酸塩および亜硝酸塩(NOx)産生を示すグラフである(n>6;*p<0.0001 一元配置分散分析(One Way ANOVA)およびボンフェローニ・ポスト・ホック補正(post hoc correction))。
【図2】図2aおよび2bは、フェニレフリンEC80に応答した収縮、次に、LPS処置に応答した4時間の時間経過におけるiNOS媒介拡張を示す単離大動脈輪における張力を示すトレース(図2a)、及びD−SR257、L−SR257およびL−アルギニンへの血管の応答を示す単離大動脈輪における張力を示すトレース(図2b、図2aの拡大トレース)である。
【図3】図3は、血圧における40mg/kgエンドトキシン(EXT)投与の初期作用、次に、時間の経過に伴う血圧の回復および漸進的低下、および2〜3時間後(その際、血圧が、基線LPS前血圧の80%に低下していた)の30mg/kg/時間のSR291注入での処置の作用を示す麻酔ラットにおける血圧を示すトレースである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DDAHによってその症状が影響を受ける疾患の治療に使用される薬剤の製造における、式(I):
【化1】

[式中、
−(a)R1は、C3〜C12アルキル、C3〜C12アルケニル、C3〜C12アルキニル、C6〜C10アリール、C3〜C8カルボシクリル、5〜10員ヘテロシクリル、5〜10員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−Aまたは−L−Y−Aであり、ここで、
Lは、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
L’は、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
Aは、C6〜C10アリール、C3〜C8カルボシクリル、5〜10員ヘテロシクリルまたは5〜10員ヘテロアリールであり;
Hetは、−O−、−S−または−NR’−であり、ここで、R’は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
Yは、−CO−、−SO−、−SO2−、−CO−O−、−CO−NR’−、−O−CO−または−NR’−CO−であり、ここで、R’は前記のように定義され;
−R2は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
−R3は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであるか、または
−(b)R1およびR2は、それらが結合している窒素と一緒に、5〜10員の複素環またはヘテロアリール環を形成し、R3は前記のように定義されるか、または
−(c)R1およびR3は、それらが結合している−N−C=N−部分と一緒に、5〜10員の複素環またはヘテロアリール環を形成し、R2は前記のように定義され;
−R4は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
−Bは、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、−O−L−、−S−L−または−L−Het−L’であり、ここで、L、L’およびHetは前記のように定義され;
−Xは、−O−、−S−または−NR’−であり、ここで、R’は前記のように定義され;
−R5は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、アリール、C3〜C8カルボシクリル、5〜10員ヘテロシクリル、5〜10員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−A、−L−Y−A、−L−A−Het−A、−L−A−L’−Aまたは−L−A−Het−L’−Aであり、ここで、L、L’、HetおよびYは、前記のように定義され、各Aは、同じかまたは異なり、前記のように定義され;
−R6は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
−R7は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであるか、またはR7は、結合、C1〜C4アルキルまたはC2〜C4アルケニル部分であり、それは、Bの炭素原子の1つに結合して、R7およびBが結合している−N−C−部分と一緒に、5〜10員複素環を形成し;
−R8は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたはC2〜C6アルキニルであり;
ここで、
−置換基R1〜R7、XおよびBにおける、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基および部分は、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、アミノおよびチオ置換基から選択される同じかまたは異なる1個、2個または3個の置換基によって置換され、;
−置換基R1およびR5における、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基および部分、R1とR2およびR1とR3によって形成される複素環またはヘテロアリール部分、R7とBによって形成される複素環部分は、非置換であるか、または下記から選択される1個、2個または3個の置換基によって置換されている:ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、チオ、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アルキルチオ、ニトロ、シアノ、C1〜C6アルキルアミノ、ジ−(C1〜C6アルキル)アミノ、C1〜C6ハロアルキル、C1〜C6ハロアルコキシおよびC1〜C6ハロアルキルチオ置換基]
の化合物または医薬的に許容されるその塩の使用。
【請求項2】
式(I)の化合物がNOSの阻害剤でない、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
疾患が、脳または心臓の虚血−再灌流障害、癌、重篤炎症状態における致死的低血圧、局所および全身性炎症疾患、神経変性、喘息、痛みまたは敗血症である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
疾患が、腹膜炎または敗血症である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
式(I)の化合物が式(II):
【化2】

[式中、
−(a)R11は、C3〜C8アルキル、アリル、フェニル、シクロプロピル、シクロヘキシル、−(C1〜C2アルキル)−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−チエニル、−(C1〜C2アルキル)−テトラヒドロフラニル、−(C1〜C2アルキル)−O−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C4アルキル)、−(C1〜C2アルキル)−S−(C1〜C2アルキル)または−(C1〜C2アルキル)−NMe−(C1〜C2アルキル)であり;
−R21は、水素、メチルまたはエチルであるか、または
−(b)R11およびR21は、それらが結合している窒素と一緒に、ピペリジニル、モルホリニルまたはピロリジニル環を形成し;
−B1は、1,2−エチルまたは1,3−プロピル部分であり;
−R51は、水素、C1〜C4アルキル、−(C1〜C2アルキル)−フェニル、−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C2アルキル)または−(C1〜C2アルキル)−フェニル−O−フェニルであり;
ここで、
−置換基R11、R21、BおよびR51におけるアルキル基および部分は、非置換であるか、または1個のフルオロ置換基によって置換され;
−R11におけるフェニルおよびカルボシクリル基、およびR11とR21によって形成される複素環部分は、非置換であり、R51におけるフェニル基は、非置換であるか、またはフッ素、C1〜C2アルキル、C1〜C2アルコキシおよびC1〜C2ハロアルキル置換基から選択される1個または2個の置換基によって置換されている]
で示される化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
11が、−(C1〜C2アルキル)−O−(C1〜C4アルキル)である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
51が、C1〜C4アルキルまたは−(C1〜C2)−フェニルである、請求項5または6に記載の使用。
【請求項8】
51が、−CH2−フェニルである、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
R’が、水素またはC1〜C6アルキルである、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
Hetが、−O−、−S−または−NMe−である、請求項1または9に記載の使用。
【請求項11】
Aが、フェニルC3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリルまたは5〜6員ヘテロアリールである、請求項1、9または10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
LおよびL’が、同じかまたは異なり、C1〜C6アルキルである、請求項1および9〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
Yが、−CO−、−CO−O−または−CO−NR’−である、請求項1および9〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
1が、C3〜C8アルキル、C3〜C8アルケニル、C3〜C8アルキニル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−Aまたは−L−Y−Aである、請求項1および9〜13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
2が、水素またはC1〜C6アルキルである、請求項1および9〜14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
3が、水素またはC1〜C6アルキルである、請求項1および9〜15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
1およびR2が、それらが結合している窒素と一緒に、5〜6員の複素環またはヘテロアリール環を形成する、請求項1および9〜16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
4が、水素またはC1〜C6アルキルである、請求項1および9〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
BがC2〜C6アルキルである、請求項1および9〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
5が、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、フェニル、C3〜C6カルボシクリル、5〜6員ヘテロシクリル、5〜6員ヘテロアリール、−L−A、−L−Het−L’、−L−Y−L’、−L−Het−A、−L−Y−Aまたは−L−A−Het−Aである、請求項1および9〜19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
6が、水素またはC1〜C6アルキルである、請求項1および9〜20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
7が、水素またはC1〜C6アルキルであるか、またはR7が、結合、C1〜C4アルキルまたはC2〜C4アルケニル部分であり、それは、Bの炭素原子の1つに結合して、R7およびBが結合している−N−C−部分と一緒に、5〜6員複素環を形成する、請求項1および9〜21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
8が、水素またはC1〜C6アルキルである、請求項1および9〜21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
DDAHの阻害剤として使用される薬剤の製造における、請求項1〜23のいずれか一項に定義される化合物の使用。
【請求項25】
ヒトまたは動物の体の治療法に使用するための、請求項1〜23のいずれか一項に定義される式(I)の化合物、または医薬的に許容されるその塩であって、式(I)の化合物が、NG−プロピル−L−アルギニン、NG−アリル−L−アルギニン、NG−プロパルギル−L−アルギニン、NG−ブチル−L−アルギニンまたはNG−シクロプロピル−L−アルギニンでないことを条件とする化合物。
【請求項26】
式(I)の化合物が、NG−プロピル−L−アルギニン、NG−アリル−L−アルギニン、NG−プロパルギル−L−アルギニン、NG−ブチル−L−アルギニンまたはNG−シクロプロピル−L−アルギニンでないことを条件とする、請求項1〜23のいずか一項に定義される式(I)の化合物。
【請求項27】
請求項1〜23のいずれか一項に定義される式(I)の化合物、または医薬的に許容されるその塩、および医薬的に許容される担体または希釈剤を含有する医薬組成物であって、該式(I)の化合物が、NG−プロピル−L−アルギニン、NG−アリル−L−アルギニン、NG−プロパルギル−L−アルギニン、NG−ブチル−L−アルギニンまたはNG−シクロプロピル−L−アルギニンでないことを条件する医薬組成物。
【請求項28】
DDAH活性および/または発現に関与している疾患に罹患しているかまたは罹患しやすい患者の治療法であって、請求項1〜23のいずれか一項に定義される式(I)の化合物または医薬的に許容されるその塩の有効量を、該患者に投与することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−519815(P2008−519815A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540716(P2007−540716)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004361
【国際公開番号】WO2006/051314
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(507153999)ユーシーエル ビジネス ピーエルシー (6)
【Fターム(参考)】