化合物
本発明は、式(I):
[式中、
R1は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基であり、
R2は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、又は置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはアリール基であり、
R3は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基であり、
Lは、単結合、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、NHCO、O、S、NHCONH又はNHCOOであり、
X、Y及びZは、独立して、O、N、NH、S又はCHであり、
Wは、単結合、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。]
の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は前記化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物に関する。
[式中、
R1は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基であり、
R2は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、又は置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはアリール基であり、
R3は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基であり、
Lは、単結合、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、NHCO、O、S、NHCONH又はNHCOOであり、
X、Y及びZは、独立して、O、N、NH、S又はCHであり、
Wは、単結合、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。]
の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は前記化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シヌクレイン病を治療及び/又は予防するための使用に適した化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質のミスフォールディング及び凝集による毒性オリゴマーの形成は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)及びその他の加齢に伴う神経障害における神経変性プロセスと関連する。AD及びPDを合わせると、米国及びヨーロッパだけでも1000万人以上が罹患している。PD及び関連症状(例えば、レビー小体認知症(DLB)、パーキンソン病認知症(PDD)、多系統萎縮症(MSA))において、神経終末のダメージが、生理的条件下でシナプス小胞供給(recruitment)及び可塑性(plasticity)に関連するシナプスタンパク質であるα−シヌクレイン(SYN)の異常蓄積に関連する。PD、PDD及びDLBは合わせてレビー小体病(LBD)と呼ばれる。PD患者において、運動障害がドーパミン作動性ニューロンの変性と関連付けられている。しかしながら、PD患者は、CNSにおけるその他の神経細胞群の変性によって生じる非運動症状(例えば、記憶障害及び嗅覚欠損)も発症する。
【0003】
従前の研究において、SYNは非構造化分子と考えられていたが、長年にわたる生体膜での研究及び分子動力学的研究によって、SYNは、N末端に2つのαヘリックスを有するとともに可動性(movable)C末端テイルを有する複雑な構造をとり得ることが示された。これらの研究に基づいて、最近、SYNが成長性ダイマー(propagating dimer)及び非成長性ダイマー(non-propagating dimer)を形成し得ることが発見された。成長性ダイマーは、tail-to-tail配置(あるSYNのN末端と別のSYNのN末端)で配列し、さらに別のSYN分子を取り込むことができる。非成長性ダイマー(あるSYNのN末端と別のSYNのC末端)は、head-to-tail配置で配列し、さらなる凝集は可能でない。分子動力学シミュレーション及びin vitro研究によって、成長性ダイマーが、PD及び関連症状の発症に主に関連する毒性オリゴマー(ペンタマー,ヘキサマー,ヘプタマー)の形成の基礎(nidus)を構成することが示された。
【0004】
PDに関して現在試験されている大部分の化合物は、ドーパミン作動性神経伝達を改善するようにデザインされている。幾つかの新規試験化合物が、オリゴマーよりもむしろ線維形成の阻止によってSYN凝集を標的化するために開発されている。PDにおける線維形成の役割が注目されており、大部分の最近の研究では、線維形成がより多くの毒性オリゴマーを単離(isolate)する役割を果たすと考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、比較的特異的なSYN阻害剤及び非特異的なSYN阻害剤が多数、開発段階にある。これらの分子(例えば、クルクミン、リファンピシン及びフラボノイド)の大部分が、抗酸化特性を示す。しかしながら、毒性オリゴマーの形成に関連するSYN配置を特異的に標的とする化合物は知られていない。
【0006】
本発明の目的は、成長性ダイマー及び毒性SYNオリゴマーの形成を特異的に阻止する化合物を提供することにある。その結果として、これらの化合物の使用により、シヌクレイン病に罹患する対象の治療、該疾患の進行の遅延及び発症の予防が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式(I):
【化1】
[式中、
R1は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基であり、
R2は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、又は置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはアリール基であり、
R3は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基であり、
Lは、単結合、1〜6個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜4個、さらに一層好ましくは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基、NHCO、O、S、NHCONH又はNHCOOであり、
X、Y及びZは、独立して、O、N、NH、S又はCHであり、
Wは、単結合又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。]
の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は前記化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、DLB及びPD患者の脳におけるα−シヌクレイン蓄積のパターンを示す。(A)は、対照及びADと比較して、LBD症例の膜フラクションにおけるα−synオリゴマー蓄積が増加したことを示すイムノブロット分析である。(B−E)は、シナプス、神経細胞体及び軸索におけるα−syn蓄積に関する免疫細胞化学である。(F)は、膜に結合するα−synを示す分子動力学的研究である。
【図2A】図2Aは、シヌクレインを阻害する複素芳香族有機化合物の化学構造及び合成を示す。
【図2B】図2Bは、シヌクレインを阻害する複素芳香族有機化合物の化学構造及び合成を示す(図2Aの続き)。
【図3A】図3Aは、シヌクレインを阻害する複素芳香族有機化合物の化学組成及び化学式の具体例を示す。
【図3B】図3Bは、シヌクレインを阻害する複素芳香族有機化合物の化学組成及び化学式の具体例を示す(図3Aの続き)。
【図3C】図3Cは、シヌクレインを阻害する複素芳香族有機化合物の化学組成及び化学式の具体例を示す(図3Bの続き)。
【図3D】図3Dは、シヌクレインを阻害する複素芳香族有機化合物の化学組成及び化学式の具体例を示す(図3Cの続き)。
【図4】図4は、シヌクレイン凝集の阻止に関する複素芳香族有機化合物の作用の無細胞系イムノブロット分析を示す。
【図5】図5は、神経細胞系アッセイにおけるα−シヌクレイン凝集の減少に関する複素芳香族有機化合物の作用のイムノブロット分析を示す。
【図6A】図6Aは、神経細胞病変の改善に関する複素芳香族有機化合物の作用の共焦点顕微鏡分析を示す。(A−E)は、神経細胞のα−syn蓄積レベルの分析を示す。(F−J)は、神経突起の長さ及び伸長の分析を示す。
【図6B】図6Bは、神経細胞病変の改善に関する複素芳香族有機化合物の作用の共焦点顕微鏡分析を示す(図6Aの続き)。
【図7】図7は、α−シヌクレインを発現する神経細胞のカルシウムレベルに関する複素芳香族有機化合物の作用の分析を示す。
【図8】図8は、本発明の化合物の化学合成の概要を示す。
【図9】図9は、実施例1で得られた生成物の質量スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
式(I)を有する本発明の有機複素芳香族化合物が、成長性ダイマー及び毒性SYNオリゴマーの形成を特異的に阻止することが見出された。これらの化合物は、ミスフォールドしたSYNに選択的に結合し、毒性種を生じるオリゴマーの凝集を阻害する。これらの化合物は、その結果として、成長性ダイマーの形成を阻止する。
【0010】
上記一般式で示される、3つの異なる種類の基R1、R2及びR3に結合した芳香族複素環中心構造を有する、分子量150〜600、好ましくは200〜500の有機化合物が、SYN凝集を阻止するのに好適であることが見出された。式(I)の化合物の中心構造は、−NH−CO−及び芳香族複素環構造からなる。この構造は、L及びWで表されるリンカー基を介して、R1、R2及びR3に結合する(式I)。R1、R2及びR3は、標的であるSYNに対する化合物のアフィニティーに影響を与える、多様性因子(input)である。R1は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基である。R1は、好ましくは、置換若しくは非置換の芳香族若しくは複素環基、好ましくは、少なくとも1個の塩基性窒素原子を含む縮合芳香族複素環である。R2は、好ましくは、脂環式環構造に結合した、直鎖状脂肪族基又は短鎖脂肪族基のいずれかである。但し、式(I)における置換基R2は疎水性である。R2のこの性質は、本発明の化合物の生物学的活性にとって重要である。R3は、置換若しくは非置換の芳香族複素又は単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基である。R3は、好ましくは、塩基性窒素原子を含む塩基性の脂環式又は直鎖構造からなる。
【0011】
中心構造は、様々な構造の5員複素環(例えば、トリアゾール、イミダゾール、イミド、オキサゾール、チアゾール、環内に窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を独立して有するヘテロ原子の任意の組合せ)からなる。リンカー基Lは、炭化水素鎖、エステル基、チオエーテル、メチレンスルホキシド、メチレンスルホン又は単純な酸素、硫黄又はカルボニル架橋、好ましくはNHCO、O、S、NHCONH又はNHCOOであることができる。リンカーWは、不存在(すなわち、単結合)(この場合、置換基R3を欠く又は置換基R3が式(I)の5員複素環の炭素原子に直接結合する化合物が生じる)、あるいは、1〜6個又は1〜15個、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜8個、さらに一層好ましくは1〜5個の炭素原子を含む又はからなるアルキル基であることができる。
【0012】
本明細書に記載された複素芳香族化合物は、従前の研究に基づくと膜に通常存在する病理的なSYNに結合するようにデザインされている。従前の研究に基づくと、病理的なSYNは、通常、膜に存在する一方、生理的なSYNは、通常、細胞質フラクションで観察される。このことは、天然分子が本発明の化合物による影響を受ける際、本発明の化合物は既に異常SYNにアクセスしていることを示す。
【0013】
置換基R1及びR3は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0014】
本発明の特に好ましい実施形態において、置換基LはNHCONHである。式(I)又は(Ia)の化合物がこの位置に尿素基を有する場合、Lが別の置換基である場合よりも安定であることが判明した。
【0015】
本明細書で使用される「薬学的に許容され得る塩」という用語は、ヒト及び動物への投与に関して毒物学的に安全な塩に関連する。例えば、好適な薬学的に許容され得るとしては、これらに限定されるわけではないが、薬学的に許容され得る無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸及びスルファミン酸)の塩、又は薬学的に許容され得る有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、フェニル酢酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸及び吉草酸)の塩が挙げられる。
【0016】
本発明の別の態様は、式(Ia):
【化2】
[式中、
R1は、親水性芳香族又は複素環基であり、
R2は、脂肪族炭化水素若しくは脂環式疎水基又は不存在であり、
R3は、塩基性を有する脂肪族又は脂環式基であり、
Xは、NH、O、S又はCH2であり、
Yは、C=O、C=S又はC=NHであり、
Zは、独立して、CH、C=O、O、S、−N−又はNHであり、
Lは、CH2、CO2、CH2−S、CH2−SO、CH2−SO2、O、S若しくはC=O又は不存在である。]
の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は該化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物に関する。
【0017】
式(Ia)において、Z1はC又はNであることができ、Z2はC、N、C=O又はNHであることができ、Z3はC=O、N又はCであることができ、Z4はCであることができ、Z5はN、S、NH、O、C=O又はSであることができる。
【0018】
式(Ia)において、R1、R2及びR3は、それぞれ、親水性芳香族若しくは複素環基、脂肪族炭化水素若しくは脂環式疎水基、又は塩基性を有する脂肪族若しくは脂環式基であることが好ましい。
【0019】
本発明の好ましい実施形態において、式(I)のR1は、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾチエニル、インドリル、ピラジニル、イソインドリル、イソキノリル、キナゾリニル、イミダゾリニル、ベンゾフラニル、チエニル、ピロリル及びチアゾリル基からなる群より選択されるか、又は、アルコキシ置換基若しくはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基からなる群より選択されるハロ置換基を含む置換複素環構造である。
【0020】
本発明の好ましい実施形態において、式(I)のR2は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルからなる群より選択される置換若しくは非置換のシクロアルキル基、又はフェニル、アルコキシフェニル及びフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード基を含むハロゲン化置換フェニル基からなる群より選択される置換若しくは非置換のアリール基である。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、式(I)のR3は、ピペリジン、ピペラジン、モルホリノ、チオモルホリン、イミダゾール、ピロリドニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル及びメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキサニル、ヘプチル又はオクチル置換基を含む置換N−置換ピペラジンからなる群より選択される。
【0022】
本発明の特に好ましい実施形態において、R1は、二環式複素芳香族基、好ましくは、
【化3】
からなる群より選択される二環式複素芳香族基である。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、R2は、1〜15個、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜8個、さらに一層好ましくは1〜5個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0024】
本発明の好ましい別の実施形態において、R2は、
【化4】
からなる群より選択される。
【0025】
R3は、好ましくは、複素脂環式基、好ましくは
【化5】
からなる群より選択される複素脂環式基である。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、
【化6】
は、
【化7】
からなる群より選択される。
【0027】
本発明の特に好ましい実施形態において、式(I)の一般構造を有する本発明の化合物は、以下の置換基を有する:
【0028】
【表1−1】
【0029】
【表1−2】
【0030】
【表1−3】
【0031】
【表1−4】
【0032】
【表1−5】
【0033】
【表1−6】
【0034】
【表1−7】
【0035】
【表1−8】
【0036】
【表1−9】
【0037】
本発明の化合物は、好ましくは、
【化8】
からなる群より選択される。
【0038】
式(Ia)に含まれ得る化合物は、さらに、以下の置換基及び構造を有してもよい。
【化9】
は、
【化10】
からなる群より選択することができる。
【0039】
さらに、式(Ia)には、以下の構造が含まれ得る。
【0040】
【化11】
【0041】
本発明の化合物は、シヌクレイン病を治療、改善及び/又は予防するために使用することができる。
【0042】
シヌクレイン病は、好ましくは、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、レビー小体認知症、ピック病、ダウン症候群、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びハレルフォルデン−スパッツ症候群からなる群より選択される。
【0043】
本発明の別の態様は、有効量の本発明の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩又は該化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物と、1種又は2種以上の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む医薬製剤に関する。
【0044】
本発明の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の製剤化には、薬物送達に関する技術分野で公知の数多くの方法を使用することができる。本発明の化合物又はその薬学的に許容され得る塩は、もちろん、数多くの方法により投与することができるが、この際、全ての製剤があらゆる投与経路に適しているわけではないことに留意が必要である。それらは、固形状又は液体状の剤形で投与することができる。投与は、経口、直腸、経鼻、局所(例えば、口腔及び舌下)により、又は吸入により実施することができる。本発明の化合物又はその薬学的に許容され得る塩は、通常の薬学的に許容され得る助剤、担体及び/又は希釈剤とともに投与することができる。固形状の剤形としては、錠剤、カプセル剤、粉末剤、丸剤、トローチ、坐剤、ゲル及び顆粒等の投与剤形が挙げられる。それらは、担体又は添加剤、例えば、香味料、色素、希釈剤、軟化剤、結合剤、保存料、耐久性付与剤(lasting agent)及び/又は被覆材料(enclosing material)を含んでもよい。液体状の投与剤形としては、例えば、溶液、懸濁液及びエマルションが挙げられる。これらは、上記添加剤と組み合わせてもよい。
【0045】
本発明の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の溶液及び懸濁液は(もちろん、これらの溶液及び懸濁液が適当な粘度を有するという条件で)注射することができる。懸濁液が注射にとって高すぎる粘性を有する場合、医薬製剤は、そのような目的のためにデザインされたデバイスを使用して移植することができる。徐放性製剤は、一般的に、非経口投与又は腸内投与される。非経口投与は、本発明の化合物又はその薬学的に許容され得る塩のもう1つの投与経路である。
【0046】
本発明の化合物の投与には、経口投与剤形を利用することができる。経口投与製剤は、好ましくは、例えばカプセル若しくは錠剤の形態で又は水溶液として、1日あたり1回、2回又は3回投与される。本発明の化合物を静脈内投与する場合、投与は、連日、継続的、週1回又は週3回のいずれかで行うことができる。
【0047】
本発明の化合物に加えて、シヌクレイン病及びパーキンソン病様疾患の症状を治療、予防又は改善するのに適する他の物質を含む医薬組成物を提供することもできる。これらの組合せは、固形状又は液体状で、単一の製剤若しくは組成物として又は別個の製剤又は組成物として投与することができる。
【0048】
本発明の好ましい実施形態において、医薬組成物は、本発明の化合物を、約0.01mg〜約5.0g、好ましくは約0.05mg〜2g、さらに好ましくは約0.5mg〜1g、さらに一層好ましくは約1mg〜500mg含む。本発明の化合物は、患者に、体重1kgあたり、約0.01mg〜約5g、好ましくは約0.05mg〜2g、さらに好ましくは約0.5mg〜1g、さらに一層好ましくは約1mg〜約500mgを投与することができる。
【0049】
本発明の化合物はまた、徐放性経口製剤として提供されてもよい。このような製剤は、一般的に、血流への吸収を遅らせるために、溶解性を低下させた本発明の化合物を含む。さらに、このような製剤は、本発明の化合物の吸収遅延に役立つその他の成分、薬剤、担体等を含んでもよい。マイクロカプセル化、ポリマー封入システム及び浸透圧ポンプ(これらは、生体内分解性であってもよいし、そうでなくてもよい)を使用することにより、カプセル又はマトリックスからの本発明の化合物の拡散を遅延化又は制御することもできる。
【0050】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、α−シヌクレイン病又はパーキンソン病様疾患、特にPDの治療又は予防の文脈において、存在するシヌクレイン病又はパーキンソン病様疾患の予防及び/又は治療に有効な量の本発明の化合物の投与又は付与に関連する。有効量は、処置すべき対象の健康及び身体状態、処置すべき対象の分類群、組成物の処方、医学的状況の評価、並びにその他の関連因子に応じて変化する。
【0051】
本発明の別の態様は、シヌクレイン病を治療、改善及び/又は予防する医薬を製造するための、本発明の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩又は該化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物の使用に関する。
【0052】
シヌクレイン病は、好ましくは、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、レビー小体認知症、ピック病、ダウン症候群、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びハレルフォルデン−スパッツ症候群からなる群より選択される。
【0053】
本発明の別の態様は、本発明の化合物を製造する方法に関する。
【0054】
式(I)の化合物及び式(Ia)の化合物は、公知の化学反応及び方法により調製することができ、その出発物質は当業者に周知である。Streitwieser等の「Introduction to organic chemistry」(Macmilan Publishers 4th Edition, 1992)に記載された一般的な調製方法に従って、当業者は、これらの化合物を合成することができるが、さらに詳細な具体例として、下記反応スキーム及び実施例に示される。
【0055】
置換及び非置換のオキサジアゾール、チアゾール、トリアゾール、イミダゾール、チアトリアゾール、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピラゾールは、標準的な方法を使用して調製することができる(例えば、AR Katritzky, Comprehensive Heterocyclic Chemistry II, Vol. 5. MH Palmer. Heterocyclic Compounds, Arnold Ltd, London (1967)参照)。
【0056】
式Iのうち特定の化合物の合成に関する全体的な反応スキームを以下に示す。
【0057】
化合物Aを導く例として示されるオキサゾールの合成は、2つのフラグメント、すなわち、インドール環を含むもの(化合物7)及びオキサゾール骨格を含むもの(化合物13)の縮合反応の後、化合物11において示すようにピペリジン部分を脱保護することにより、達成することができる。
【0058】
化合物7は、他のアナログの調製に使用可能な一般的な中間体である。例えば、トリアゾール化合物Bは、化合物Aにおいて示すように化合物18を脱保護した後、中間体化合物7とアミド化することにより、合成することができる。
【0059】
また、チアゾール骨格を含むアナログは、中間体化合物7及びチアゾール環を有する中間体化合物23を介して調製することができる。
【0060】
ブチルエステル基に代えてイソブテン側鎖を有するイミド環骨格を導く反応経路は、中間体化合物25〜34を使用する反応スキームに示すように、実施することができる。
【0061】
さらに別の変更を、化合物E及びFの合成に関連するスキームに示す。
【0062】
阻害物質の合成に関する反応スキーム:
【0063】
【化12】
【0064】
【化13】
【0065】
トリプトファンを出発物質とする上記スキームの変更を以下に示す。この変更は、最終産物を得るために必要な工程数を有意に減少させる。
【0066】
等モル量のトリプトファン(化合物1)及びブタノールの反応によって化合物2が得られる。ピペラジンカルボン酸のアミノ基は、TW Greene等(Protective groups in organic synthesis, Third edition, Wiley Interscience (1999))に記載の標準的方法によって保護化することができ、その後、オキサゾール中間体を得るための一般的なスキームで化合物9とさらに反応させることができる。水酸化ナトリウムを使用した化合物12の脱エステル化によってカルボン酸13が得られる。中間体13及び化合物2の反応によって中間体14が得られ、化合物14の脱保護化によって最終産物(化合物A1)が得られる。
【0067】
【化14】
【0068】
上記合成工程の以下のような変更によってトリアゾール中間体化合物18が得られ、これを、化合物A1と同様にして中間体化合物2と反応させることによって、最終産物であるトリアゾールアナログ化合物B1が得られる。
【0069】
【化15】
【0070】
また、上記工程を変更して、以下の反応スキーム例に示すチアゾールアナログを得ることができる。
【0071】
【化16】
【0072】
全ての反応は、アルゴン又は窒素の陽圧下、火力乾燥又はオーブン乾燥したガラス製品中で実施することができる。反応容器をマグネットスターラで撹拌した。反応しやすい(sensitive)液体及び溶液はシリンジを使用して移し、ゴム製セプタを通じて反応溶液に導入した。
【0073】
本発明の別の態様は、シヌクレイン病に罹患している又は罹患するリスクのある対象に、有効量の本発明の化合物又は医薬製剤を投与することにより、シヌクレイン病及び/又はその症状を治療、改善及び/又は予防する方法に関する。
【0074】
本発明の別の態様は、バイオマーカーとしての、本発明の化合物の使用に関する。本発明の化合物は、患者がα−シヌクレイン又は本発明の化合物が結合可能なその他のプラーク(plaque)を含むか否かを決定するために、適宜標識して(例えば、放射性標識して)、ポジトロン放出断層撮影(PET)で使用することができる。これにより、体内におけるプラークの位置を特定することができるとともに、該プラークの量を特定することができる。これにより、医師がシヌクレイン病に関連する症状を治療又は予防することが可能となる。化合物の標識方法は、当業者に周知である。
【0075】
本発明は、図面及び下記実施例によってさらに説明されるが、それらに限定されるわけではない。
【実施例】
【0076】
実施例1:
上記式(I)を有する化合物の化学合成は、下記構造を有する化合物の合成を一例として説明される。
【0077】
【化17】
【0078】
合成スキームは、図8に示される。
1.2−ピペラジニル−チアゾール−5−カルボン酸2の合成
2−ブロモチアゾールカルボン酸1(1g;4.8mmol)及びピペラジン(6.2g;72mmol;24当量)をジオキサンに溶解し、K2CO3(3.32g;24mmol;5当量)を加え、懸濁液を一晩還流した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をエタノールに溶解し、ろ過し、再結晶した。粗生成物を油ポンプで乾燥し、以下の工程で直接使用した。
【0079】
2.Bocによる化合物2の保護
粗生成物1、トリエチルアミン(24mmol;3.4ml)及びジ−tertブチル−ジカーボネート(14.4mmol;3.14g)をメタノールに溶解し、一晩還流した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を短シリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理した。
化合物3の収量:1.18g(2工程で72%)
【0080】
3.トリプトファンブチルエステル5の合成
L−トリプトファン(5g;24.5mmol)及び塩化チオニル(73.5mmol;5.3ml)をn−ブタノール(80ml)に溶解し、100℃で一晩攪拌した。室温まで冷却した後、沈殿した生成物5を濾取し、氷冷ブタノール及び石油エーテルで洗浄した。生成物を油ポンプで乾燥し、化合物5を5.8gの収量(91%)で得た。
【0081】
4.化合物3及び5のカップリング
a)スクシンイミジルエステルの形成
2−(1−Boc−ピペラジン−4−イル)−チアゾール−5−カルボン酸3(250mg;0.8mmol)、N−ヒドロキシスクシンイミド(110mg;0.95mmol)、ジイソプロピルカルボジイミド(0.15ml;0.95mmol)及びDMAP(5mg;0.04mmol)を無水ジクロロメタンに溶解し、室温で一晩攪拌した(薄層クロマトグラフィーで反応をモニタリングした)。1MのKHSO4水溶液を加え、濾過により沈殿物を除去し、有機相を水で抽出した。
【0082】
b)化合物5とのカップリング
粗スクシンイミジルエステル、トリプトファンブチルエステル5(250mg;0.96mmol)及びトリエチルアミン(0.65ml)を無水THF(5ml)に溶解し、50℃で24時間攪拌した。THFを減圧留去した。残渣をジクロロメタンで回収し、1MのKHSO4水溶液で抽出した。粗生成物6を精製することなく以下の工程で使用した。
【0083】
5.n−ブチルアミド7の形成
粗生成物6をn−ブチルアミン10mlに溶解し、一晩還流した(HPLC−MSにより反応をモニタリングした)。溶媒であるn−ブチルアミンをロータリーエバポレーターで除去し、残渣を油ポンプで乾燥し、メタノールから再結晶し、カラムクロマトグラフィーで精製した(DCM−>MeOH)。収量:340mg(0.61mmol;2工程で64%)
【0084】
6.化合物7の脱保護
Bocで保護された化合物6を45%THF、45%トリフルオロ酢酸及び10%水に溶解し、THF及びTFAをロータリーエバポレーターでゆっくりと除去した。残渣を凍結乾燥し、ジエチルエーテル中で沈殿させ、シリカゲルでクロマトグラフィー処理して精製した(DCM−>MeOH)。収量:223mg(0.49mmol;80%)。得られた生成物を質量分析に供した(図9参照)。
【0085】
実施例2:
式Iaの化合物
【化18】
は、公知の化学反応及び方法により調製することができ、その出発物質は当業者に周知である。
【0086】
式Iのうち特定の化合物の合成に関する全体的な反応スキームを以下に示す。
化合物Aを導く実施例で例示されるオキサゾールの合成は、2つのフラグメント、すなわち、インドール環を含むもの(化合物7)及びオキサゾール骨格を含むもの(化合物13)の縮合反応の後、化合物11において示すようにピペリジン部分を脱保護することにより、達成することができる。
【0087】
化合物7は、他のアナログの調製に使用可能な一般的な中間体である。例えば、トリアゾール化合物Bは、化合物Aにおいて示すように化合物18を脱保護した後、中間体化合物7とアミド化することにより、合成することができる。
【0088】
また、チアゾール骨格を含むアナログは、中間体化合物7及びチアゾール環を有する中間体化合物23を介して調製することができる。
【0089】
ブチルエステル基に代えてイソブテン側鎖を有するイミド環骨格を導く反応経路は、中間体化合物25〜34を使用する反応スキームに示すように、実施することができる。
【0090】
さらに別の変更を、化合物E及びFの合成に関連するスキームに示す。
阻害物質の合成に関する反応スキーム:
【0091】
【化19】
【0092】
【化20】
【0093】
【化21】
【0094】
トリプトファンを出発物質とする上記スキームの変更を以下に示す。この変更は、最終産物を得るために必要な工程数を有意に減少させる。
【0095】
等モル量のトリプトファン(化合物1)及びブタノールの反応によって化合物2が得られる。ピペラジンカルボン酸のアミノ基は、TW Greene等(Protective groups in organic synthesis, Third edition, Wiley Interscience (1999))に記載の標準的方法によって保護化することができ、その後、オキサゾール中間体を得るための一般的なスキームで化合物9とさらに反応させることができる。水酸化ナトリウムを使用した化合物12の脱エステル化によってカルボン酸13が得られる。中間体13及び化合物2の反応によって中間体14が得られ、化合物14の脱保護化によって最終産物(化合物A1)が得られる。
【0096】
【化22】
【0097】
上記合成工程の以下のような変更によってトリアゾール中間体化合物18が得られ、これを、化合物A1と同様にして中間体化合物2と反応させることによって、最終産物であるトリアゾールアナログ化合物B1が得られる。
【0098】
【化23】
【0099】
また、上記工程を変更して、以下の反応スキーム例に示すチアゾールアナログを得ることができる。
【0100】
【化24】
【0101】
全ての反応は、アルゴン又は窒素の陽圧下、火力乾燥又はオーブン乾燥したガラス製品中で実施した。反応容器をマグネットスターラで撹拌した。反応しやすい(sensitive)液体及び溶液はシリンジを使用して移し、ゴム製セプタを通じて反応溶液に導入した。
【0102】
薄層クロマトグラフィーを、ホワットマン(Whatman)シリカゲルプレコーテッドガラスプレートを使用して実施した。紫外線照射又はヨウ素蒸気への曝露によってゲルを視覚化した。カラムクロマトグラフィーを、230−400メッシュEMサイエンスシリカゲルを使用して実施した。
【0103】
NMRスペクトルを、Varian500分光光度計を使用して測定した。NMRスペクトルを、重水素化クロロホルム、メタノール又はDMSOを標準として使用して測定した。
【0104】
LC/質量スペクトルを、クォータナリー・ポンプ(quaternary pump)、可変長検出器(variable length detector)及びC−18カラムを備えたAgilent1100シリーズ装置を用いて得た。
【0105】
実施例3:
SYN凝集阻害における本発明のHAOC(複素芳香族有機化合物)の有効性及び理想的投与量を選定するために、2種類のアッセイを利用することができる。第1のアッセイは、無細胞系及び細胞系システムにおけるin vitroアッセイを含み、第2のアッセイは、PDのトランスジェニックマウスモデルにおけるin vivo研究を含む。
本実施例では、NPT200−5と呼ばれる、以下のHAOCを使用した。
【0106】
【化25】
【0107】
目的は、投与量1μMにおいて、3つのアッセイのうち2つが50%効果を示す陽性反応を、in vitroアッセイを用いて特定することにある。
【0108】
1.SYN凝集及び毒性のin vitroアッセイ
in vitro研究は、下記事項:i)SYN凝集の無細胞系イムノブロットアッセイにおけるSYNオリゴマーに対する作用;ii)LV−SYN構築物を感染させた神経細胞培養物におけるSYN蓄積及び神経突起伸長に対する作用;及びiii)LV−SYN構築物を感染させた神経細胞培養物におけるSYNオリゴマーに対する作用を含む。
【0109】
この目的のために、組換えSYN(1μM,Calbiochem,USA)は、37℃、次いで56℃で、16時間、インキュベーションされる。インキュベーションの1時間後、NPT200−5及びアナログが1nM〜100μMの濃度で混合物に加えられる。サンプルは、ウサギポリクローナルSYN抗体(Millipore)及びSYNに対するマウスモノクローナル抗体(SYN211,1:1000,Sigma)を使用したイムノブロットアッセイに供され、Quantity One software(BioRad,Hercules,CA,USA)を使用したVersaDocイメージングシステムで分析される。
【0110】
神経細胞系アッセイのために、神経芽腫細胞株B103が使用される。無血清培地中、細胞にLV−SYNベクターを24時間感染させ、0,0.1,1及び10μMのNPT200−5で24時間処理する。神経細胞にLVベクターを感染させるために、0.1,1又は5(293T細胞に対するTU/mLを基準)の感染多重度(MOI)が使用される。in vitroで4〜5日後、導入遺伝子発現細胞の割合(%)が分析される。B103細胞は、37℃,5%CO2下、10%ウシ胎児血清(Irvine Scientific,Irvine,CA)及び1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシンを添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM,高グルコース)中に維持される。SYN凝集の分析のために、細胞ホモジネートが、SYNに対する抗体を用いたイムノブロット及びカバースリップ中での免疫細胞化学により分析される。神経突起伸長の評価のために、カバースリップは、MAP2に対する抗体を用いて免疫染色され、デジタルオリンパス顕微鏡及びイメージQuantシステムを用いて分析される。
【0111】
LDH放出アッセイ(CytoTox 96 assay,Promega)が実施され、(もしあれば)毒性のレベルが測定される。細胞の生存に関する追加確認が、ヘキスト染色及びカルセインAM/エチジウムホモダイマー染色(Live/Dead assay,Molecular Probes)を用いて行われる。全てのアッセイは、製造業者の説明書に従って96ウェルプレートを用いて3回実施される。
【0112】
2.SYN蓄積のトランスジェニックモデルにおけるin vivo試験
活性の高い化合物群が特定されると、次のステップとして、NPT200−5及び対照物質がSYNトランスジェニック(tg)マウスに注射され、そのin vivo作用が試験される。第1の試験群では、2週間、毎日、1,10及び100nMの化合物が注射される。SYN及び化合物のレベルについて、血液,CSF,脳及び肝臓が分析される。予備データが得られた後、20匹のマウス群を用いたさらに詳細な研究が実施され、そこでは、3及び6ヶ月の処置の間、毎日、3及び6月齢マウスに注射される。マウスは、SYN凝集及び神経変性に関して、行動学的、神経病理学的及び生化学的に分析される。SYN及びNPT200−5のレベルについて、血液及びCSFが質量分析及びNMRにより分析される。化合物は、透過性、脳へのアクセス及びバイオアベイラビリティが増加するように、さらに精製及び修飾される。選択された化合物は、最初に、非tgマウスにおいて、毒性に関して試験される。SYNノックアウトマウスは生存能力があり、神経学的に正常である。これは、SYNをブロックする化合物の使用は、SYNtgマウス試験において、低毒性又は無毒性であることを示唆する。
【0113】
これらin vivo試験でスクリーニングされたリード化合物は、次いで、毒性試験及び第一相臨床試験に供される。長期目標は、PD患者における第二相臨床試験のために、この化合物を提供及び開発することにある。
【0114】
本発明の化合物は、細胞膜における神経毒性SYNオリゴマー形成の阻止に基づく、PD,LBD,AD及びMSAの新規治療をもたらす。
【0115】
SYN凝集を阻止する可能性が高い化合物について、コンピュータシミュレーション及び計算によるプレスクリーニングを実施した。この複素芳香族有機化合物の1つ(図4)を適当な対照とともに、無細胞系で試験した。この目的のために、組換えSYN(10μM)を、37℃で0,8,16及び24時間、0,0.1,1及び10μMのペプチドとともにインキュベーションした。対照試験を、凝集SYN分子(対照−1)を認識しない化合物、β及びγ−シヌクレイン、並びに該ペプチドに結合できない変異SYN分子を用いて実施した。混合物をゲル泳動した後、SYN抗体を用いてイムノブロット試験を実施した。この試験により、NPT200−5(図2)が、オリゴマー形成プロセス(図4)の初期及び後期の時点において、SYN凝集を完全に阻止できることが示された。このアッセイのために、SYNを5μMで使用した。NPT200−5は、0.1μMの濃度で、SYN凝集を50%減少させた。
【0116】
NPT200−5のin vivo活性を試験するために、B103神経細胞株に、SYN(野生型)を発現するレンチウイルス又は空ベクター(対照)を感染させ、SYNを発現する細胞に、NPT200−5を、0,0.1,1及び10μMの濃度で、24時間曝露した。SYN凝集について、細胞をイムノブロット、共焦点顕微鏡、神経突起伸長及び生存アッセイにより分析した。イムノブロットにより、対照と比較して、LV−SYN感染した神経細胞は、可溶性及び不溶性フラクションにおいて、SYNモノマー(14kDa)並びにダイマー、トリマー及びテトラマーと一致するオリゴマー(図5)の高レベル発現の存在を示した。NPT200−5での処理後、様々なフラクションにおいて、凝集体のレベルが50−60%減少した(モノマーも同様)(図5)。ビヒクルでの処理又は対照不活性化合物での処理は、SYNレベルに作用を示さなかった。NPT200−5は、0.1μMの濃度で、SYNレベルを50%減少させた。
【0117】
同様に、神経細胞をカバースリップに固定し、LV−SYNベクターを24時間感染させ、無血清培地中、0,0.1,1及び10μMのNPT200−5で24時間処理し、免疫細胞化学、共焦点顕微鏡及びイメージ分析により分析した。LV−空ベクター対照と比較して、LV−SYN感染した神経細胞は、高レベルのSYN蓄積を示した(SYNtgマウス及びPD患者の脳で観察され得るものと同様)(図6)。NPT200−5での処理後、神経細胞体及び神経突起において、凝集体のレベルが60−65%減少した(図6)。ビヒクルでの処理又は対照不活性化合物での処理は、SYNレベルに作用を示さなかった。NPT200−5は、0.1μMの濃度で、SYNレベルを50%減少させた。細胞骨格タンパク質MAP2に対する抗体を用いて分析したところ、高レベルのSYNを発現する神経細胞は、神経突起伸長の減少を示した。NPT200−5での処理(0.1μM)は、神経突起伸長に対する有害作用を軽減し、細胞形態を改善した(図6)。ビヒクルでの処理又は対照不活性化合物での処理は、保護作用を示さなかった。
【0118】
次に、神経細胞活性に対する作用を確認するために、細胞に、LV−SYNベクターを24時間感染させ、無血清培地中、0,0.1,1及び10μMのNPT200−5で24時間処理し、Flou−4にかけ、FLIPRアッセイにより分析し、Ca++レベルを測定した。LV−空ベクター対照と比較して、LV−SYN感染した神経細胞は、25−30%高いレベルのCa++フローを示した(図7)。NPT200−5での処理後、Ca++レベルは、ベースラインに回復した(図7)。ビヒクルでの処理又は対照不活性化合物での処理は、Ca++レベルを回復させることができなかった。NPT200−5は、0.1μMの濃度で、Ca++レベルを50%改善した。最後に、神経細胞の生存に対する作用を調べるために、MTT,LDH及びBrDuアッセイを実施した。この研究により、0.1−10μMの投与量のNPT200−5化合物が、毒性を示さないことが示された(図7)。全てのin vitro及び細胞系アッセイは少なくとも4回繰り返し、試験は盲検法で実施した。
【0119】
次のステップでは、NPT200−5及び対照物質をSYNトランスジェニック(tg)マウスに注射し、in vivo作用を試験した。第1の試験群では、2週間、毎日、1,10及び100nMの化合物を注射した。SYN及び化合物のレベルについて、血液,CSF,脳及び肝臓を分析した。予備データを得た後、20匹のマウス群を用いたさらに詳細な試験を実施し、そこでは、3及び6ヶ月の処置の間、毎日、3及び6月齢のマウスに注射した。マウスを、SYN凝集及び神経変性に関して、行動学的、神経病理学的及び生化学的に分析した。SYN及びNPT200−5のレベルについて、血液及びCSFを質量分析及びNMRにより分析した。化合物を、透過性、脳へのアクセス及びバイオアベイラビリティが増加するように、さらに精製及び修飾した。選択された化合物を、非tgマウスにおいて、毒性に関して試験した。SYNノックアウトマウスは生存能力があり、神経学的に正常である。これは、SYNをブロックする化合物の使用は、SYNtgマウス試験において、低毒性又は無毒性であることを示唆する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シヌクレイン病を治療及び/又は予防するための使用に適した化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質のミスフォールディング及び凝集による毒性オリゴマーの形成は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)及びその他の加齢に伴う神経障害における神経変性プロセスと関連する。AD及びPDを合わせると、米国及びヨーロッパだけでも1000万人以上が罹患している。PD及び関連症状(例えば、レビー小体認知症(DLB)、パーキンソン病認知症(PDD)、多系統萎縮症(MSA))において、神経終末のダメージが、生理的条件下でシナプス小胞供給(recruitment)及び可塑性(plasticity)に関連するシナプスタンパク質であるα−シヌクレイン(SYN)の異常蓄積に関連する。PD、PDD及びDLBは合わせてレビー小体病(LBD)と呼ばれる。PD患者において、運動障害がドーパミン作動性ニューロンの変性と関連付けられている。しかしながら、PD患者は、CNSにおけるその他の神経細胞群の変性によって生じる非運動症状(例えば、記憶障害及び嗅覚欠損)も発症する。
【0003】
従前の研究において、SYNは非構造化分子と考えられていたが、長年にわたる生体膜での研究及び分子動力学的研究によって、SYNは、N末端に2つのαヘリックスを有するとともに可動性(movable)C末端テイルを有する複雑な構造をとり得ることが示された。これらの研究に基づいて、最近、SYNが成長性ダイマー(propagating dimer)及び非成長性ダイマー(non-propagating dimer)を形成し得ることが発見された。成長性ダイマーは、tail-to-tail配置(あるSYNのN末端と別のSYNのN末端)で配列し、さらに別のSYN分子を取り込むことができる。非成長性ダイマー(あるSYNのN末端と別のSYNのC末端)は、head-to-tail配置で配列し、さらなる凝集は可能でない。分子動力学シミュレーション及びin vitro研究によって、成長性ダイマーが、PD及び関連症状の発症に主に関連する毒性オリゴマー(ペンタマー,ヘキサマー,ヘプタマー)の形成の基礎(nidus)を構成することが示された。
【0004】
PDに関して現在試験されている大部分の化合物は、ドーパミン作動性神経伝達を改善するようにデザインされている。幾つかの新規試験化合物が、オリゴマーよりもむしろ線維形成の阻止によってSYN凝集を標的化するために開発されている。PDにおける線維形成の役割が注目されており、大部分の最近の研究では、線維形成がより多くの毒性オリゴマーを単離(isolate)する役割を果たすと考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、比較的特異的なSYN阻害剤及び非特異的なSYN阻害剤が多数、開発段階にある。これらの分子(例えば、クルクミン、リファンピシン及びフラボノイド)の大部分が、抗酸化特性を示す。しかしながら、毒性オリゴマーの形成に関連するSYN配置を特異的に標的とする化合物は知られていない。
【0006】
本発明の目的は、成長性ダイマー及び毒性SYNオリゴマーの形成を特異的に阻止する化合物を提供することにある。その結果として、これらの化合物の使用により、シヌクレイン病に罹患する対象の治療、該疾患の進行の遅延及び発症の予防が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式(I):
【化1】
[式中、
R1は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基であり、
R2は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、又は置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはアリール基であり、
R3は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基であり、
Lは、単結合、1〜6個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜4個、さらに一層好ましくは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基、NHCO、O、S、NHCONH又はNHCOOであり、
X、Y及びZは、独立して、O、N、NH、S又はCHであり、
Wは、単結合又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。]
の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は前記化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、DLB及びPD患者の脳におけるα−シヌクレイン蓄積のパターンを示す。(A)は、対照及びADと比較して、LBD症例の膜フラクションにおけるα−synオリゴマー蓄積が増加したことを示すイムノブロット分析である。(B−E)は、シナプス、神経細胞体及び軸索におけるα−syn蓄積に関する免疫細胞化学である。(F)は、膜に結合するα−synを示す分子動力学的研究である。
【図2A】図2Aは、シヌクレインを阻害する複素芳香族有機化合物の化学構造及び合成を示す。
【図2B】図2Bは、シヌクレインを阻害する複素芳香族有機化合物の化学構造及び合成を示す(図2Aの続き)。
【図3A】図3Aは、シヌクレインを阻害する複素芳香族有機化合物の化学組成及び化学式の具体例を示す。
【図3B】図3Bは、シヌクレインを阻害する複素芳香族有機化合物の化学組成及び化学式の具体例を示す(図3Aの続き)。
【図3C】図3Cは、シヌクレインを阻害する複素芳香族有機化合物の化学組成及び化学式の具体例を示す(図3Bの続き)。
【図3D】図3Dは、シヌクレインを阻害する複素芳香族有機化合物の化学組成及び化学式の具体例を示す(図3Cの続き)。
【図4】図4は、シヌクレイン凝集の阻止に関する複素芳香族有機化合物の作用の無細胞系イムノブロット分析を示す。
【図5】図5は、神経細胞系アッセイにおけるα−シヌクレイン凝集の減少に関する複素芳香族有機化合物の作用のイムノブロット分析を示す。
【図6A】図6Aは、神経細胞病変の改善に関する複素芳香族有機化合物の作用の共焦点顕微鏡分析を示す。(A−E)は、神経細胞のα−syn蓄積レベルの分析を示す。(F−J)は、神経突起の長さ及び伸長の分析を示す。
【図6B】図6Bは、神経細胞病変の改善に関する複素芳香族有機化合物の作用の共焦点顕微鏡分析を示す(図6Aの続き)。
【図7】図7は、α−シヌクレインを発現する神経細胞のカルシウムレベルに関する複素芳香族有機化合物の作用の分析を示す。
【図8】図8は、本発明の化合物の化学合成の概要を示す。
【図9】図9は、実施例1で得られた生成物の質量スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
式(I)を有する本発明の有機複素芳香族化合物が、成長性ダイマー及び毒性SYNオリゴマーの形成を特異的に阻止することが見出された。これらの化合物は、ミスフォールドしたSYNに選択的に結合し、毒性種を生じるオリゴマーの凝集を阻害する。これらの化合物は、その結果として、成長性ダイマーの形成を阻止する。
【0010】
上記一般式で示される、3つの異なる種類の基R1、R2及びR3に結合した芳香族複素環中心構造を有する、分子量150〜600、好ましくは200〜500の有機化合物が、SYN凝集を阻止するのに好適であることが見出された。式(I)の化合物の中心構造は、−NH−CO−及び芳香族複素環構造からなる。この構造は、L及びWで表されるリンカー基を介して、R1、R2及びR3に結合する(式I)。R1、R2及びR3は、標的であるSYNに対する化合物のアフィニティーに影響を与える、多様性因子(input)である。R1は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基である。R1は、好ましくは、置換若しくは非置換の芳香族若しくは複素環基、好ましくは、少なくとも1個の塩基性窒素原子を含む縮合芳香族複素環である。R2は、好ましくは、脂環式環構造に結合した、直鎖状脂肪族基又は短鎖脂肪族基のいずれかである。但し、式(I)における置換基R2は疎水性である。R2のこの性質は、本発明の化合物の生物学的活性にとって重要である。R3は、置換若しくは非置換の芳香族複素又は単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基である。R3は、好ましくは、塩基性窒素原子を含む塩基性の脂環式又は直鎖構造からなる。
【0011】
中心構造は、様々な構造の5員複素環(例えば、トリアゾール、イミダゾール、イミド、オキサゾール、チアゾール、環内に窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を独立して有するヘテロ原子の任意の組合せ)からなる。リンカー基Lは、炭化水素鎖、エステル基、チオエーテル、メチレンスルホキシド、メチレンスルホン又は単純な酸素、硫黄又はカルボニル架橋、好ましくはNHCO、O、S、NHCONH又はNHCOOであることができる。リンカーWは、不存在(すなわち、単結合)(この場合、置換基R3を欠く又は置換基R3が式(I)の5員複素環の炭素原子に直接結合する化合物が生じる)、あるいは、1〜6個又は1〜15個、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜8個、さらに一層好ましくは1〜5個の炭素原子を含む又はからなるアルキル基であることができる。
【0012】
本明細書に記載された複素芳香族化合物は、従前の研究に基づくと膜に通常存在する病理的なSYNに結合するようにデザインされている。従前の研究に基づくと、病理的なSYNは、通常、膜に存在する一方、生理的なSYNは、通常、細胞質フラクションで観察される。このことは、天然分子が本発明の化合物による影響を受ける際、本発明の化合物は既に異常SYNにアクセスしていることを示す。
【0013】
置換基R1及びR3は、同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0014】
本発明の特に好ましい実施形態において、置換基LはNHCONHである。式(I)又は(Ia)の化合物がこの位置に尿素基を有する場合、Lが別の置換基である場合よりも安定であることが判明した。
【0015】
本明細書で使用される「薬学的に許容され得る塩」という用語は、ヒト及び動物への投与に関して毒物学的に安全な塩に関連する。例えば、好適な薬学的に許容され得るとしては、これらに限定されるわけではないが、薬学的に許容され得る無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸及びスルファミン酸)の塩、又は薬学的に許容され得る有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、フェニル酢酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸及び吉草酸)の塩が挙げられる。
【0016】
本発明の別の態様は、式(Ia):
【化2】
[式中、
R1は、親水性芳香族又は複素環基であり、
R2は、脂肪族炭化水素若しくは脂環式疎水基又は不存在であり、
R3は、塩基性を有する脂肪族又は脂環式基であり、
Xは、NH、O、S又はCH2であり、
Yは、C=O、C=S又はC=NHであり、
Zは、独立して、CH、C=O、O、S、−N−又はNHであり、
Lは、CH2、CO2、CH2−S、CH2−SO、CH2−SO2、O、S若しくはC=O又は不存在である。]
の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は該化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物に関する。
【0017】
式(Ia)において、Z1はC又はNであることができ、Z2はC、N、C=O又はNHであることができ、Z3はC=O、N又はCであることができ、Z4はCであることができ、Z5はN、S、NH、O、C=O又はSであることができる。
【0018】
式(Ia)において、R1、R2及びR3は、それぞれ、親水性芳香族若しくは複素環基、脂肪族炭化水素若しくは脂環式疎水基、又は塩基性を有する脂肪族若しくは脂環式基であることが好ましい。
【0019】
本発明の好ましい実施形態において、式(I)のR1は、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾチエニル、インドリル、ピラジニル、イソインドリル、イソキノリル、キナゾリニル、イミダゾリニル、ベンゾフラニル、チエニル、ピロリル及びチアゾリル基からなる群より選択されるか、又は、アルコキシ置換基若しくはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基からなる群より選択されるハロ置換基を含む置換複素環構造である。
【0020】
本発明の好ましい実施形態において、式(I)のR2は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルからなる群より選択される置換若しくは非置換のシクロアルキル基、又はフェニル、アルコキシフェニル及びフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード基を含むハロゲン化置換フェニル基からなる群より選択される置換若しくは非置換のアリール基である。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、式(I)のR3は、ピペリジン、ピペラジン、モルホリノ、チオモルホリン、イミダゾール、ピロリドニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル及びメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキサニル、ヘプチル又はオクチル置換基を含む置換N−置換ピペラジンからなる群より選択される。
【0022】
本発明の特に好ましい実施形態において、R1は、二環式複素芳香族基、好ましくは、
【化3】
からなる群より選択される二環式複素芳香族基である。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、R2は、1〜15個、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜8個、さらに一層好ましくは1〜5個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0024】
本発明の好ましい別の実施形態において、R2は、
【化4】
からなる群より選択される。
【0025】
R3は、好ましくは、複素脂環式基、好ましくは
【化5】
からなる群より選択される複素脂環式基である。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、
【化6】
は、
【化7】
からなる群より選択される。
【0027】
本発明の特に好ましい実施形態において、式(I)の一般構造を有する本発明の化合物は、以下の置換基を有する:
【0028】
【表1−1】
【0029】
【表1−2】
【0030】
【表1−3】
【0031】
【表1−4】
【0032】
【表1−5】
【0033】
【表1−6】
【0034】
【表1−7】
【0035】
【表1−8】
【0036】
【表1−9】
【0037】
本発明の化合物は、好ましくは、
【化8】
からなる群より選択される。
【0038】
式(Ia)に含まれ得る化合物は、さらに、以下の置換基及び構造を有してもよい。
【化9】
は、
【化10】
からなる群より選択することができる。
【0039】
さらに、式(Ia)には、以下の構造が含まれ得る。
【0040】
【化11】
【0041】
本発明の化合物は、シヌクレイン病を治療、改善及び/又は予防するために使用することができる。
【0042】
シヌクレイン病は、好ましくは、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、レビー小体認知症、ピック病、ダウン症候群、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びハレルフォルデン−スパッツ症候群からなる群より選択される。
【0043】
本発明の別の態様は、有効量の本発明の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩又は該化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物と、1種又は2種以上の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む医薬製剤に関する。
【0044】
本発明の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の製剤化には、薬物送達に関する技術分野で公知の数多くの方法を使用することができる。本発明の化合物又はその薬学的に許容され得る塩は、もちろん、数多くの方法により投与することができるが、この際、全ての製剤があらゆる投与経路に適しているわけではないことに留意が必要である。それらは、固形状又は液体状の剤形で投与することができる。投与は、経口、直腸、経鼻、局所(例えば、口腔及び舌下)により、又は吸入により実施することができる。本発明の化合物又はその薬学的に許容され得る塩は、通常の薬学的に許容され得る助剤、担体及び/又は希釈剤とともに投与することができる。固形状の剤形としては、錠剤、カプセル剤、粉末剤、丸剤、トローチ、坐剤、ゲル及び顆粒等の投与剤形が挙げられる。それらは、担体又は添加剤、例えば、香味料、色素、希釈剤、軟化剤、結合剤、保存料、耐久性付与剤(lasting agent)及び/又は被覆材料(enclosing material)を含んでもよい。液体状の投与剤形としては、例えば、溶液、懸濁液及びエマルションが挙げられる。これらは、上記添加剤と組み合わせてもよい。
【0045】
本発明の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の溶液及び懸濁液は(もちろん、これらの溶液及び懸濁液が適当な粘度を有するという条件で)注射することができる。懸濁液が注射にとって高すぎる粘性を有する場合、医薬製剤は、そのような目的のためにデザインされたデバイスを使用して移植することができる。徐放性製剤は、一般的に、非経口投与又は腸内投与される。非経口投与は、本発明の化合物又はその薬学的に許容され得る塩のもう1つの投与経路である。
【0046】
本発明の化合物の投与には、経口投与剤形を利用することができる。経口投与製剤は、好ましくは、例えばカプセル若しくは錠剤の形態で又は水溶液として、1日あたり1回、2回又は3回投与される。本発明の化合物を静脈内投与する場合、投与は、連日、継続的、週1回又は週3回のいずれかで行うことができる。
【0047】
本発明の化合物に加えて、シヌクレイン病及びパーキンソン病様疾患の症状を治療、予防又は改善するのに適する他の物質を含む医薬組成物を提供することもできる。これらの組合せは、固形状又は液体状で、単一の製剤若しくは組成物として又は別個の製剤又は組成物として投与することができる。
【0048】
本発明の好ましい実施形態において、医薬組成物は、本発明の化合物を、約0.01mg〜約5.0g、好ましくは約0.05mg〜2g、さらに好ましくは約0.5mg〜1g、さらに一層好ましくは約1mg〜500mg含む。本発明の化合物は、患者に、体重1kgあたり、約0.01mg〜約5g、好ましくは約0.05mg〜2g、さらに好ましくは約0.5mg〜1g、さらに一層好ましくは約1mg〜約500mgを投与することができる。
【0049】
本発明の化合物はまた、徐放性経口製剤として提供されてもよい。このような製剤は、一般的に、血流への吸収を遅らせるために、溶解性を低下させた本発明の化合物を含む。さらに、このような製剤は、本発明の化合物の吸収遅延に役立つその他の成分、薬剤、担体等を含んでもよい。マイクロカプセル化、ポリマー封入システム及び浸透圧ポンプ(これらは、生体内分解性であってもよいし、そうでなくてもよい)を使用することにより、カプセル又はマトリックスからの本発明の化合物の拡散を遅延化又は制御することもできる。
【0050】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、α−シヌクレイン病又はパーキンソン病様疾患、特にPDの治療又は予防の文脈において、存在するシヌクレイン病又はパーキンソン病様疾患の予防及び/又は治療に有効な量の本発明の化合物の投与又は付与に関連する。有効量は、処置すべき対象の健康及び身体状態、処置すべき対象の分類群、組成物の処方、医学的状況の評価、並びにその他の関連因子に応じて変化する。
【0051】
本発明の別の態様は、シヌクレイン病を治療、改善及び/又は予防する医薬を製造するための、本発明の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩又は該化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物の使用に関する。
【0052】
シヌクレイン病は、好ましくは、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、レビー小体認知症、ピック病、ダウン症候群、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びハレルフォルデン−スパッツ症候群からなる群より選択される。
【0053】
本発明の別の態様は、本発明の化合物を製造する方法に関する。
【0054】
式(I)の化合物及び式(Ia)の化合物は、公知の化学反応及び方法により調製することができ、その出発物質は当業者に周知である。Streitwieser等の「Introduction to organic chemistry」(Macmilan Publishers 4th Edition, 1992)に記載された一般的な調製方法に従って、当業者は、これらの化合物を合成することができるが、さらに詳細な具体例として、下記反応スキーム及び実施例に示される。
【0055】
置換及び非置換のオキサジアゾール、チアゾール、トリアゾール、イミダゾール、チアトリアゾール、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピラゾールは、標準的な方法を使用して調製することができる(例えば、AR Katritzky, Comprehensive Heterocyclic Chemistry II, Vol. 5. MH Palmer. Heterocyclic Compounds, Arnold Ltd, London (1967)参照)。
【0056】
式Iのうち特定の化合物の合成に関する全体的な反応スキームを以下に示す。
【0057】
化合物Aを導く例として示されるオキサゾールの合成は、2つのフラグメント、すなわち、インドール環を含むもの(化合物7)及びオキサゾール骨格を含むもの(化合物13)の縮合反応の後、化合物11において示すようにピペリジン部分を脱保護することにより、達成することができる。
【0058】
化合物7は、他のアナログの調製に使用可能な一般的な中間体である。例えば、トリアゾール化合物Bは、化合物Aにおいて示すように化合物18を脱保護した後、中間体化合物7とアミド化することにより、合成することができる。
【0059】
また、チアゾール骨格を含むアナログは、中間体化合物7及びチアゾール環を有する中間体化合物23を介して調製することができる。
【0060】
ブチルエステル基に代えてイソブテン側鎖を有するイミド環骨格を導く反応経路は、中間体化合物25〜34を使用する反応スキームに示すように、実施することができる。
【0061】
さらに別の変更を、化合物E及びFの合成に関連するスキームに示す。
【0062】
阻害物質の合成に関する反応スキーム:
【0063】
【化12】
【0064】
【化13】
【0065】
トリプトファンを出発物質とする上記スキームの変更を以下に示す。この変更は、最終産物を得るために必要な工程数を有意に減少させる。
【0066】
等モル量のトリプトファン(化合物1)及びブタノールの反応によって化合物2が得られる。ピペラジンカルボン酸のアミノ基は、TW Greene等(Protective groups in organic synthesis, Third edition, Wiley Interscience (1999))に記載の標準的方法によって保護化することができ、その後、オキサゾール中間体を得るための一般的なスキームで化合物9とさらに反応させることができる。水酸化ナトリウムを使用した化合物12の脱エステル化によってカルボン酸13が得られる。中間体13及び化合物2の反応によって中間体14が得られ、化合物14の脱保護化によって最終産物(化合物A1)が得られる。
【0067】
【化14】
【0068】
上記合成工程の以下のような変更によってトリアゾール中間体化合物18が得られ、これを、化合物A1と同様にして中間体化合物2と反応させることによって、最終産物であるトリアゾールアナログ化合物B1が得られる。
【0069】
【化15】
【0070】
また、上記工程を変更して、以下の反応スキーム例に示すチアゾールアナログを得ることができる。
【0071】
【化16】
【0072】
全ての反応は、アルゴン又は窒素の陽圧下、火力乾燥又はオーブン乾燥したガラス製品中で実施することができる。反応容器をマグネットスターラで撹拌した。反応しやすい(sensitive)液体及び溶液はシリンジを使用して移し、ゴム製セプタを通じて反応溶液に導入した。
【0073】
本発明の別の態様は、シヌクレイン病に罹患している又は罹患するリスクのある対象に、有効量の本発明の化合物又は医薬製剤を投与することにより、シヌクレイン病及び/又はその症状を治療、改善及び/又は予防する方法に関する。
【0074】
本発明の別の態様は、バイオマーカーとしての、本発明の化合物の使用に関する。本発明の化合物は、患者がα−シヌクレイン又は本発明の化合物が結合可能なその他のプラーク(plaque)を含むか否かを決定するために、適宜標識して(例えば、放射性標識して)、ポジトロン放出断層撮影(PET)で使用することができる。これにより、体内におけるプラークの位置を特定することができるとともに、該プラークの量を特定することができる。これにより、医師がシヌクレイン病に関連する症状を治療又は予防することが可能となる。化合物の標識方法は、当業者に周知である。
【0075】
本発明は、図面及び下記実施例によってさらに説明されるが、それらに限定されるわけではない。
【実施例】
【0076】
実施例1:
上記式(I)を有する化合物の化学合成は、下記構造を有する化合物の合成を一例として説明される。
【0077】
【化17】
【0078】
合成スキームは、図8に示される。
1.2−ピペラジニル−チアゾール−5−カルボン酸2の合成
2−ブロモチアゾールカルボン酸1(1g;4.8mmol)及びピペラジン(6.2g;72mmol;24当量)をジオキサンに溶解し、K2CO3(3.32g;24mmol;5当量)を加え、懸濁液を一晩還流した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をエタノールに溶解し、ろ過し、再結晶した。粗生成物を油ポンプで乾燥し、以下の工程で直接使用した。
【0079】
2.Bocによる化合物2の保護
粗生成物1、トリエチルアミン(24mmol;3.4ml)及びジ−tertブチル−ジカーボネート(14.4mmol;3.14g)をメタノールに溶解し、一晩還流した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を短シリカゲルカラムでクロマトグラフィー処理した。
化合物3の収量:1.18g(2工程で72%)
【0080】
3.トリプトファンブチルエステル5の合成
L−トリプトファン(5g;24.5mmol)及び塩化チオニル(73.5mmol;5.3ml)をn−ブタノール(80ml)に溶解し、100℃で一晩攪拌した。室温まで冷却した後、沈殿した生成物5を濾取し、氷冷ブタノール及び石油エーテルで洗浄した。生成物を油ポンプで乾燥し、化合物5を5.8gの収量(91%)で得た。
【0081】
4.化合物3及び5のカップリング
a)スクシンイミジルエステルの形成
2−(1−Boc−ピペラジン−4−イル)−チアゾール−5−カルボン酸3(250mg;0.8mmol)、N−ヒドロキシスクシンイミド(110mg;0.95mmol)、ジイソプロピルカルボジイミド(0.15ml;0.95mmol)及びDMAP(5mg;0.04mmol)を無水ジクロロメタンに溶解し、室温で一晩攪拌した(薄層クロマトグラフィーで反応をモニタリングした)。1MのKHSO4水溶液を加え、濾過により沈殿物を除去し、有機相を水で抽出した。
【0082】
b)化合物5とのカップリング
粗スクシンイミジルエステル、トリプトファンブチルエステル5(250mg;0.96mmol)及びトリエチルアミン(0.65ml)を無水THF(5ml)に溶解し、50℃で24時間攪拌した。THFを減圧留去した。残渣をジクロロメタンで回収し、1MのKHSO4水溶液で抽出した。粗生成物6を精製することなく以下の工程で使用した。
【0083】
5.n−ブチルアミド7の形成
粗生成物6をn−ブチルアミン10mlに溶解し、一晩還流した(HPLC−MSにより反応をモニタリングした)。溶媒であるn−ブチルアミンをロータリーエバポレーターで除去し、残渣を油ポンプで乾燥し、メタノールから再結晶し、カラムクロマトグラフィーで精製した(DCM−>MeOH)。収量:340mg(0.61mmol;2工程で64%)
【0084】
6.化合物7の脱保護
Bocで保護された化合物6を45%THF、45%トリフルオロ酢酸及び10%水に溶解し、THF及びTFAをロータリーエバポレーターでゆっくりと除去した。残渣を凍結乾燥し、ジエチルエーテル中で沈殿させ、シリカゲルでクロマトグラフィー処理して精製した(DCM−>MeOH)。収量:223mg(0.49mmol;80%)。得られた生成物を質量分析に供した(図9参照)。
【0085】
実施例2:
式Iaの化合物
【化18】
は、公知の化学反応及び方法により調製することができ、その出発物質は当業者に周知である。
【0086】
式Iのうち特定の化合物の合成に関する全体的な反応スキームを以下に示す。
化合物Aを導く実施例で例示されるオキサゾールの合成は、2つのフラグメント、すなわち、インドール環を含むもの(化合物7)及びオキサゾール骨格を含むもの(化合物13)の縮合反応の後、化合物11において示すようにピペリジン部分を脱保護することにより、達成することができる。
【0087】
化合物7は、他のアナログの調製に使用可能な一般的な中間体である。例えば、トリアゾール化合物Bは、化合物Aにおいて示すように化合物18を脱保護した後、中間体化合物7とアミド化することにより、合成することができる。
【0088】
また、チアゾール骨格を含むアナログは、中間体化合物7及びチアゾール環を有する中間体化合物23を介して調製することができる。
【0089】
ブチルエステル基に代えてイソブテン側鎖を有するイミド環骨格を導く反応経路は、中間体化合物25〜34を使用する反応スキームに示すように、実施することができる。
【0090】
さらに別の変更を、化合物E及びFの合成に関連するスキームに示す。
阻害物質の合成に関する反応スキーム:
【0091】
【化19】
【0092】
【化20】
【0093】
【化21】
【0094】
トリプトファンを出発物質とする上記スキームの変更を以下に示す。この変更は、最終産物を得るために必要な工程数を有意に減少させる。
【0095】
等モル量のトリプトファン(化合物1)及びブタノールの反応によって化合物2が得られる。ピペラジンカルボン酸のアミノ基は、TW Greene等(Protective groups in organic synthesis, Third edition, Wiley Interscience (1999))に記載の標準的方法によって保護化することができ、その後、オキサゾール中間体を得るための一般的なスキームで化合物9とさらに反応させることができる。水酸化ナトリウムを使用した化合物12の脱エステル化によってカルボン酸13が得られる。中間体13及び化合物2の反応によって中間体14が得られ、化合物14の脱保護化によって最終産物(化合物A1)が得られる。
【0096】
【化22】
【0097】
上記合成工程の以下のような変更によってトリアゾール中間体化合物18が得られ、これを、化合物A1と同様にして中間体化合物2と反応させることによって、最終産物であるトリアゾールアナログ化合物B1が得られる。
【0098】
【化23】
【0099】
また、上記工程を変更して、以下の反応スキーム例に示すチアゾールアナログを得ることができる。
【0100】
【化24】
【0101】
全ての反応は、アルゴン又は窒素の陽圧下、火力乾燥又はオーブン乾燥したガラス製品中で実施した。反応容器をマグネットスターラで撹拌した。反応しやすい(sensitive)液体及び溶液はシリンジを使用して移し、ゴム製セプタを通じて反応溶液に導入した。
【0102】
薄層クロマトグラフィーを、ホワットマン(Whatman)シリカゲルプレコーテッドガラスプレートを使用して実施した。紫外線照射又はヨウ素蒸気への曝露によってゲルを視覚化した。カラムクロマトグラフィーを、230−400メッシュEMサイエンスシリカゲルを使用して実施した。
【0103】
NMRスペクトルを、Varian500分光光度計を使用して測定した。NMRスペクトルを、重水素化クロロホルム、メタノール又はDMSOを標準として使用して測定した。
【0104】
LC/質量スペクトルを、クォータナリー・ポンプ(quaternary pump)、可変長検出器(variable length detector)及びC−18カラムを備えたAgilent1100シリーズ装置を用いて得た。
【0105】
実施例3:
SYN凝集阻害における本発明のHAOC(複素芳香族有機化合物)の有効性及び理想的投与量を選定するために、2種類のアッセイを利用することができる。第1のアッセイは、無細胞系及び細胞系システムにおけるin vitroアッセイを含み、第2のアッセイは、PDのトランスジェニックマウスモデルにおけるin vivo研究を含む。
本実施例では、NPT200−5と呼ばれる、以下のHAOCを使用した。
【0106】
【化25】
【0107】
目的は、投与量1μMにおいて、3つのアッセイのうち2つが50%効果を示す陽性反応を、in vitroアッセイを用いて特定することにある。
【0108】
1.SYN凝集及び毒性のin vitroアッセイ
in vitro研究は、下記事項:i)SYN凝集の無細胞系イムノブロットアッセイにおけるSYNオリゴマーに対する作用;ii)LV−SYN構築物を感染させた神経細胞培養物におけるSYN蓄積及び神経突起伸長に対する作用;及びiii)LV−SYN構築物を感染させた神経細胞培養物におけるSYNオリゴマーに対する作用を含む。
【0109】
この目的のために、組換えSYN(1μM,Calbiochem,USA)は、37℃、次いで56℃で、16時間、インキュベーションされる。インキュベーションの1時間後、NPT200−5及びアナログが1nM〜100μMの濃度で混合物に加えられる。サンプルは、ウサギポリクローナルSYN抗体(Millipore)及びSYNに対するマウスモノクローナル抗体(SYN211,1:1000,Sigma)を使用したイムノブロットアッセイに供され、Quantity One software(BioRad,Hercules,CA,USA)を使用したVersaDocイメージングシステムで分析される。
【0110】
神経細胞系アッセイのために、神経芽腫細胞株B103が使用される。無血清培地中、細胞にLV−SYNベクターを24時間感染させ、0,0.1,1及び10μMのNPT200−5で24時間処理する。神経細胞にLVベクターを感染させるために、0.1,1又は5(293T細胞に対するTU/mLを基準)の感染多重度(MOI)が使用される。in vitroで4〜5日後、導入遺伝子発現細胞の割合(%)が分析される。B103細胞は、37℃,5%CO2下、10%ウシ胎児血清(Irvine Scientific,Irvine,CA)及び1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシンを添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM,高グルコース)中に維持される。SYN凝集の分析のために、細胞ホモジネートが、SYNに対する抗体を用いたイムノブロット及びカバースリップ中での免疫細胞化学により分析される。神経突起伸長の評価のために、カバースリップは、MAP2に対する抗体を用いて免疫染色され、デジタルオリンパス顕微鏡及びイメージQuantシステムを用いて分析される。
【0111】
LDH放出アッセイ(CytoTox 96 assay,Promega)が実施され、(もしあれば)毒性のレベルが測定される。細胞の生存に関する追加確認が、ヘキスト染色及びカルセインAM/エチジウムホモダイマー染色(Live/Dead assay,Molecular Probes)を用いて行われる。全てのアッセイは、製造業者の説明書に従って96ウェルプレートを用いて3回実施される。
【0112】
2.SYN蓄積のトランスジェニックモデルにおけるin vivo試験
活性の高い化合物群が特定されると、次のステップとして、NPT200−5及び対照物質がSYNトランスジェニック(tg)マウスに注射され、そのin vivo作用が試験される。第1の試験群では、2週間、毎日、1,10及び100nMの化合物が注射される。SYN及び化合物のレベルについて、血液,CSF,脳及び肝臓が分析される。予備データが得られた後、20匹のマウス群を用いたさらに詳細な研究が実施され、そこでは、3及び6ヶ月の処置の間、毎日、3及び6月齢マウスに注射される。マウスは、SYN凝集及び神経変性に関して、行動学的、神経病理学的及び生化学的に分析される。SYN及びNPT200−5のレベルについて、血液及びCSFが質量分析及びNMRにより分析される。化合物は、透過性、脳へのアクセス及びバイオアベイラビリティが増加するように、さらに精製及び修飾される。選択された化合物は、最初に、非tgマウスにおいて、毒性に関して試験される。SYNノックアウトマウスは生存能力があり、神経学的に正常である。これは、SYNをブロックする化合物の使用は、SYNtgマウス試験において、低毒性又は無毒性であることを示唆する。
【0113】
これらin vivo試験でスクリーニングされたリード化合物は、次いで、毒性試験及び第一相臨床試験に供される。長期目標は、PD患者における第二相臨床試験のために、この化合物を提供及び開発することにある。
【0114】
本発明の化合物は、細胞膜における神経毒性SYNオリゴマー形成の阻止に基づく、PD,LBD,AD及びMSAの新規治療をもたらす。
【0115】
SYN凝集を阻止する可能性が高い化合物について、コンピュータシミュレーション及び計算によるプレスクリーニングを実施した。この複素芳香族有機化合物の1つ(図4)を適当な対照とともに、無細胞系で試験した。この目的のために、組換えSYN(10μM)を、37℃で0,8,16及び24時間、0,0.1,1及び10μMのペプチドとともにインキュベーションした。対照試験を、凝集SYN分子(対照−1)を認識しない化合物、β及びγ−シヌクレイン、並びに該ペプチドに結合できない変異SYN分子を用いて実施した。混合物をゲル泳動した後、SYN抗体を用いてイムノブロット試験を実施した。この試験により、NPT200−5(図2)が、オリゴマー形成プロセス(図4)の初期及び後期の時点において、SYN凝集を完全に阻止できることが示された。このアッセイのために、SYNを5μMで使用した。NPT200−5は、0.1μMの濃度で、SYN凝集を50%減少させた。
【0116】
NPT200−5のin vivo活性を試験するために、B103神経細胞株に、SYN(野生型)を発現するレンチウイルス又は空ベクター(対照)を感染させ、SYNを発現する細胞に、NPT200−5を、0,0.1,1及び10μMの濃度で、24時間曝露した。SYN凝集について、細胞をイムノブロット、共焦点顕微鏡、神経突起伸長及び生存アッセイにより分析した。イムノブロットにより、対照と比較して、LV−SYN感染した神経細胞は、可溶性及び不溶性フラクションにおいて、SYNモノマー(14kDa)並びにダイマー、トリマー及びテトラマーと一致するオリゴマー(図5)の高レベル発現の存在を示した。NPT200−5での処理後、様々なフラクションにおいて、凝集体のレベルが50−60%減少した(モノマーも同様)(図5)。ビヒクルでの処理又は対照不活性化合物での処理は、SYNレベルに作用を示さなかった。NPT200−5は、0.1μMの濃度で、SYNレベルを50%減少させた。
【0117】
同様に、神経細胞をカバースリップに固定し、LV−SYNベクターを24時間感染させ、無血清培地中、0,0.1,1及び10μMのNPT200−5で24時間処理し、免疫細胞化学、共焦点顕微鏡及びイメージ分析により分析した。LV−空ベクター対照と比較して、LV−SYN感染した神経細胞は、高レベルのSYN蓄積を示した(SYNtgマウス及びPD患者の脳で観察され得るものと同様)(図6)。NPT200−5での処理後、神経細胞体及び神経突起において、凝集体のレベルが60−65%減少した(図6)。ビヒクルでの処理又は対照不活性化合物での処理は、SYNレベルに作用を示さなかった。NPT200−5は、0.1μMの濃度で、SYNレベルを50%減少させた。細胞骨格タンパク質MAP2に対する抗体を用いて分析したところ、高レベルのSYNを発現する神経細胞は、神経突起伸長の減少を示した。NPT200−5での処理(0.1μM)は、神経突起伸長に対する有害作用を軽減し、細胞形態を改善した(図6)。ビヒクルでの処理又は対照不活性化合物での処理は、保護作用を示さなかった。
【0118】
次に、神経細胞活性に対する作用を確認するために、細胞に、LV−SYNベクターを24時間感染させ、無血清培地中、0,0.1,1及び10μMのNPT200−5で24時間処理し、Flou−4にかけ、FLIPRアッセイにより分析し、Ca++レベルを測定した。LV−空ベクター対照と比較して、LV−SYN感染した神経細胞は、25−30%高いレベルのCa++フローを示した(図7)。NPT200−5での処理後、Ca++レベルは、ベースラインに回復した(図7)。ビヒクルでの処理又は対照不活性化合物での処理は、Ca++レベルを回復させることができなかった。NPT200−5は、0.1μMの濃度で、Ca++レベルを50%改善した。最後に、神経細胞の生存に対する作用を調べるために、MTT,LDH及びBrDuアッセイを実施した。この研究により、0.1−10μMの投与量のNPT200−5化合物が、毒性を示さないことが示された(図7)。全てのin vitro及び細胞系アッセイは少なくとも4回繰り返し、試験は盲検法で実施した。
【0119】
次のステップでは、NPT200−5及び対照物質をSYNトランスジェニック(tg)マウスに注射し、in vivo作用を試験した。第1の試験群では、2週間、毎日、1,10及び100nMの化合物を注射した。SYN及び化合物のレベルについて、血液,CSF,脳及び肝臓を分析した。予備データを得た後、20匹のマウス群を用いたさらに詳細な試験を実施し、そこでは、3及び6ヶ月の処置の間、毎日、3及び6月齢のマウスに注射した。マウスを、SYN凝集及び神経変性に関して、行動学的、神経病理学的及び生化学的に分析した。SYN及びNPT200−5のレベルについて、血液及びCSFを質量分析及びNMRにより分析した。化合物を、透過性、脳へのアクセス及びバイオアベイラビリティが増加するように、さらに精製及び修飾した。選択された化合物を、非tgマウスにおいて、毒性に関して試験した。SYNノックアウトマウスは生存能力があり、神経学的に正常である。これは、SYNをブロックする化合物の使用は、SYNtgマウス試験において、低毒性又は無毒性であることを示唆する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
R1は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基であり、
R2は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、又は置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはアリール基であり、
R3は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基であり、
Lは、単結合、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、NHCO、O、S、NHCONH又はNHCOOであり、
X、Y及びZは、独立して、O、N、NH、S又はCHであり、
Wは、単結合、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。]
の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は前記化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物。
【請求項2】
R1が、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾチエニル、インドリル、ピラジニル、イソインドリル、イソキノリル、キナゾリニル、イミダゾリニル、ベンゾフラニル、チエニル、ピロリル及びチアゾリル基からなる群より選択されるか、又は、アルコキシ置換基、若しくはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基からなる群より選択されるハロ置換基を含む置換複素環構造であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R2が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルからなる群より選択される置換若しくは非置換のシクロアルキル基であるか、又は、フェニル、アルコキシフェニル、及びフルオロ、クロロ、ブロモ若しくはヨード基を含むハロゲン化置換フェニル基からなる群より選択される置換若しくは非置換のアリール基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R3が、ピペリジン、ピペラジン、モルホリノ、チオモルホリン、イミダゾール、ピロリドニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、及びメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキサニル、ヘプチル又はオクチル置換基を含む置換N−置換ピペラジンからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R1が、二環式複素芳香族化合物、好ましくは、
【化2】
からなる群より選択される二環式複素芳香族化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R2が、
【化3】
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
R3が、
【化4】
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
【化5】
が、
【化6】
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
【化7】
及び表Aからなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、
【化8】
であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
シヌクレイン病及び/又はその症状の治療、改善及び/又は予防において使用するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
シヌクレイン病が、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、レビー小体認知症、ピック病、ダウン症候群、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びハレルフォルデン−スパッツ症候群からなる群より選択されることを特徴とする、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
有効量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩又は前記化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物と、1種又は2種以上の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む医薬製剤。
【請求項14】
シヌクレイン病を治療、改善及び/又は予防する医薬を製造するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩又は前記化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物の使用。
【請求項15】
シヌクレイン病が、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、レビー小体認知症、ピック病、ダウン症候群、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びハレルフォルデン−スパッツ症候群からなる群より選択されることを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
シヌクレイン病に罹患している又は罹患するリスクのある対象に、有効量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物又は請求項12に記載の医薬製剤を投与することにより、シヌクレイン病及び/又はその症状を治療、改善及び/又は予防する方法。
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
R1は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基であり、
R2は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、又は置換若しくは非置換のシクロアルキル若しくはアリール基であり、
R3は、置換若しくは非置換の芳香族複素若しくは単素環基、又は置換若しくは非置換の脂環式複素若しくは単素環基であり、
Lは、単結合、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、NHCO、O、S、NHCONH又はNHCOOであり、
X、Y及びZは、独立して、O、N、NH、S又はCHであり、
Wは、単結合、又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。]
の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は前記化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物。
【請求項2】
R1が、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、ベンゾチエニル、インドリル、ピラジニル、イソインドリル、イソキノリル、キナゾリニル、イミダゾリニル、ベンゾフラニル、チエニル、ピロリル及びチアゾリル基からなる群より選択されるか、又は、アルコキシ置換基、若しくはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基からなる群より選択されるハロ置換基を含む置換複素環構造であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R2が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルからなる群より選択される置換若しくは非置換のシクロアルキル基であるか、又は、フェニル、アルコキシフェニル、及びフルオロ、クロロ、ブロモ若しくはヨード基を含むハロゲン化置換フェニル基からなる群より選択される置換若しくは非置換のアリール基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R3が、ピペリジン、ピペラジン、モルホリノ、チオモルホリン、イミダゾール、ピロリドニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、及びメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキサニル、ヘプチル又はオクチル置換基を含む置換N−置換ピペラジンからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R1が、二環式複素芳香族化合物、好ましくは、
【化2】
からなる群より選択される二環式複素芳香族化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R2が、
【化3】
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
R3が、
【化4】
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
【化5】
が、
【化6】
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
【化7】
及び表Aからなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、
【化8】
であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
シヌクレイン病及び/又はその症状の治療、改善及び/又は予防において使用するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
シヌクレイン病が、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、レビー小体認知症、ピック病、ダウン症候群、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びハレルフォルデン−スパッツ症候群からなる群より選択されることを特徴とする、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
有効量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩又は前記化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物と、1種又は2種以上の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む医薬製剤。
【請求項14】
シヌクレイン病を治療、改善及び/又は予防する医薬を製造するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩又は前記化合物若しくは塩の薬学的に許容され得る溶媒和物の使用。
【請求項15】
シヌクレイン病が、パーキンソン病、パーキンソン病認知症、レビー小体認知症、ピック病、ダウン症候群、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びハレルフォルデン−スパッツ症候群からなる群より選択されることを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
シヌクレイン病に罹患している又は罹患するリスクのある対象に、有効量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物又は請求項12に記載の医薬製剤を投与することにより、シヌクレイン病及び/又はその症状を治療、改善及び/又は予防する方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2013−514980(P2013−514980A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544854(P2012−544854)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060862
【国際公開番号】WO2011/084642
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512158239)ニューロポア セラピーズ,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060862
【国際公開番号】WO2011/084642
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512158239)ニューロポア セラピーズ,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】
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