説明

化学化合物

【課題】本発明は、CSF−1Rキナーゼ阻害活性を保有して、それ故にその抗癌活性のために、そしてそれによりヒト又は動物の身体の治療の方法に有用である化合物の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、式(I)の化学化合物、又はその医薬的に許容される塩に関する。本発明はまた、前記化学化合物の製造のための方法に、それらを含有する医薬組成物に、そしてヒトのような温血動物における抗癌効果の産生に使用の医薬品の製造におけるそれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロニー刺激因子1受容体(CSF−1R)キナーゼ阻害活性を保有して、それ故にその抗癌活性のために、そしてそれによりヒト又は動物の身体の治療の方法に有用である化学化合物、又はその医薬的に許容される塩に関する。本発明はまた、前記化学化合物の製造のための方法に、それらを含有する医薬組成物に、そしてヒトのような温血動物における抗癌効果の産生に使用の医薬品の製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞のシグナル伝達に必須の役割を担って、細胞の増殖、生存、血管新生、浸潤、及び転移が含まれる様々な癌関連プロセスに関与している、プロテインキナーゼのサブファミリーである。CSF−1Rを含めて、少なくとも96種の異なるRTKが存在していると考えられている。
【0003】
CSF−1R又はc−fmsは、元はネコ肉腫ウイルス由来の癌遺伝子、v−fmsとして同定された。CSF−1Rは、c−Kit、fms関連チロシンキナーゼ3(Flt3)、及び血小板由来増殖因子受容体α及びβ(PDGFRα及びPDGFRβ)とともに、クラスIII RTKのメンバーである。これらのキナーゼは、いずれも腫瘍形成のプロセスに関与するとされてきた。CSF−1Rは、通常、未成熟の130kDa膜貫通タンパク質として発現されて、最終的には、成熟した145〜160kDの細胞表面N連結グリコシル化タンパク質をもたらす。マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF又はCSF−1)、CSF−1Rのリガンドは、この受容体へ結合して、この受容体の二量体化、自己リン酸化と下流のシグナル伝達カスケードの後続の活性化をもたらす(C. J. Sherr, Biochim Biophys Acta, 1988, 948: 225-243)。
【0004】
CSF−1Rは、通常、単核食細胞系の骨髄細胞とその骨髄前駆体、並びに乳汁分泌時の管及び胞の上皮細胞において発現されるが、正常な安定期の乳房組織においては発現されない。CSF−1活性化は、単球/マクロファージ系の細胞の増殖、生存、運動、及び分化を刺激する。成熟したマクロファージは、正常な組織発生と免疫防御において重要な役割を担う(F.L. Pixley and E.R. Stanley, Trends in Cell Biology, 2004, 14(11): 628-638)。例えば、骨芽細胞は、CSF−1を分泌して、破骨細胞前駆体上の受容体を活性化して、成熟破骨細胞への分化をもたらす(S. L. Teitelbaum, Science, 2000, 289: 1504-1508)。このCSF−1R軸は、胎盤発生、胚着床、乳腺管及び小葉胞の発達、並びに乳汁分泌において重要な役割を担う(E. Sapi, Exp Biol Med, 2004, 229: 1-11)。
【0005】
CSF−1を伴うか又は伴わないCSF−1Rのトランスフェクションは、NIH3T3(Rat2)及び卵巣顆粒膜細胞の形質転換と in vivo 腫瘍形成を誘導する。腫瘍上皮及び腫瘍関連マクロファージにおけるCSF−1Rの活性化には、自己分泌及び/又は近傍分泌性のシグナル伝達機序が関与しているとされてきた。ヒト骨髄性白血病、前立腺、乳房、卵巣、子宮内膜の癌や他の多様な癌では、CSF−1R及び/又はそのリガンドの異常な発現及び活性化が見出されている。数多くの研究は、これらの癌のいくつかにおいて、CSF−1Rの過剰発現が不良な予後と関連していることを実証した。さらに、CSF−1/CSF−1R軸は、腫瘍の血管新生、浸潤、及び進行に有意な役割を担うと仮定されてきた、腫瘍関連マクロファージの調節に重要な役割を担うものである(E. Sapi, Exp Biol Med, 2004, 229: 1-11)。
【発明の概要】
【0006】
従って、本発明は、式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
[式中:
とRの一方は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、スルファモイル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルカノイルオキシ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、N−(C1−6アルキル)−N−(C1−6アルコキシ)アミノ、C1−6アルカノイルアミノ、C1−6アルコキシカルボニル、N−(C1−6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−6アルキル)スルファモイル、C1−6アルキルスルホニルアミノ、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;
は、水素又はハロであり;
は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルカノイルオキシ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、N−(C1−6アルキル)−N−(C1−6アルコキシ)アミノ、C1−6アルカノイルアミノ、N−(C1−6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−6アルキル)カルバモイル、C1−6アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、C1−6アルコキシカルボニル、N−(C1−6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−6アルキル)スルファモイル、C1−6アルキルスルホニルアミノ、カルボシクリル、又はヘテロシクリルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R10より選択される基により置換されていてもよく;
又はここで2つのR基が隣接炭素上にあれば、それらは、炭素環式環又は複素環式環を形成してもよく;ここで前記炭素環式環又は複素環式環は、炭素上で1以上のR11により置換されていてもよく;そしてここで前記複素環式環が−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R12より選択される基により置換されていてもよく;
nは、0〜3であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なり;
、R、R及びR11は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルカノイルオキシ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、N−(C1−6アルキル)−N−(C1−6アルコキシ)アミノ、C1−6アルカノイルアミノ、N−(C1−6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−6アルキル)カルバモイル、C1−6アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、N−(C1−6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−6アルキル)スルファモイル、C1−6アルキルスルホニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より独立して選択され;ここでR、R、R、及びR11は、互いに独立して、炭素上で1以上のR15により置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R16より選択される基により置換されていてもよく;
13とR14は、直結合、−O−、−N(R17)−、−C(O)−、−N(R18)C(O)−、−C(O)N(R19)−、−S(O)−、−SON(R20)−、又は−N(R21)SO−より独立して選択され;ここでR17、R18、R19、R20、及びR21は、水素又はC1−6アルキルより独立して選択されて、sは、0〜2であり;
、R、R10、R12、及びR16は、C1−6アルキル、C1−6アルカノイル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−6アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイル、及びフェニルスルホニルより独立して選択され;ここでR、R、R10、R12、及びR16は、互いに独立して、炭素上で1以上のR22により置換されていてもよく;そして
15とR22は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ、アセチルアミノ、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−メチル−N−エチルカルバモイル、フェニル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、又はN−メチル−N−エチルスルファモイルより独立して選択される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩[但し、Rがフェニル又はピリド−4−イルであれば、Rは、水素でない]を提供する。
【0009】
本発明のさらなる特徴により、式(I)(上記に図示されるような)[式中:
とRの一方は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、スルファモイル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルカノイルオキシ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、N−(C1−6アルキル)−N−(C1−6アルコキシ)アミノ、C1−6アルカノイルアミノ、C1−6アルコキシカルボニル、N−(C1−6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−6アルキル)スルファモイル、C1−6アルキルスルホニルアミノ、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;
は、水素又はハロであり;
は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルカノイルオキシ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、N−(C1−6アルキル)−N−(C1−6アルコキシ)アミノ、C1−6アルカノイルアミノ、N−(C1−6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−6アルキル)カルバモイル、C1−6アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、C1−6アルコキシカルボニル、N−(C1−6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−6アルキル)スルファモイル、C1−6アルキルスルホニルアミノ、カルボシクリル、又はヘテロシクリルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R10より選択される基により置換されていてもよく;
又はここで2つのR基が隣接炭素上にあれば、それらは、炭素環式環又は複素環式環を形成してもよく;ここで前記炭素環式環又は複素環式環は、炭素上で1以上のR11により置換されていてもよく;そしてここで前記複素環式環が−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R12より選択される基により置換されていてもよく;
nは、0〜3であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なり;
、R、R及びR11は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルカノイルオキシ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、N−(C1−6アルキル)−N−(C1−6アルコキシ)アミノ、C1−6アルカノイルアミノ、N−(C1−6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−6アルキル)カルバモイル、C1−6アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、N−(C1−6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−6アルキル)スルファモイル、C1−6アルキルスルホニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より独立して選択され;ここでR、R、R、及びR11は、互いに独立して、炭素上で1以上のR15により置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R16より選択される基により置換されていてもよく;
13とR14は、直結合、−O−、−N(R17)−、−C(O)−、−N(R18)C(O)−、−C(O)N(R19)−、−S(O)−、−SON(R20)−、又は−N(R21)SO−より独立して選択され;ここでR17、R18、R19、R20、及びR21は、水素又はC1−6アルキルより独立して選択されて、sは、0〜2であり;
、R、R10、R12、及びR16は、C1−6アルキル、C1−6アルカノイル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−6アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイル、及びフェニルスルホニルより独立して選択され;そして
15は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ、アセチルアミノ、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−メチル−N−エチルカルバモイル、フェニル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、又はN−メチル−N−エチルスルファモイルより選択される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩[但し、Rがフェニル又はピリド−4−イルであれば、Rは、水素でない]を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、用語「アルキル」には、直鎖と分岐鎖の両方のアルキル基が含まれる。「プロピル」のような個別のアルキル基への言及は、直鎖バージョンだけに特定されて、「イソプロピル」のような個別の分岐鎖アルキル基への言及は、分岐鎖バージョンだけに特定される。例えば、「C1−6アルキル」には、C1−4アルキル、C1−3アルキル、プロピル、イソプロピル、及びt−ブチルが含まれる。同様の慣例が他の残基へ適用され、例えば「フェニルC1−6アルキル」には、フェニルC1−4アルキル、ベンジル、1−フェニルエチル、及び2−フェニルエチルが含まれる。用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを意味する。
【0011】
任意選択の置換基が「1以上の」基より選択される場合、この定義には、特定基の1つより選択されるすべての置換基、又は特定基の2以上より選択される置換基が含まれると理解されたい。
【0012】
「ヘテロシクリル」は、その少なくとも1つの原子が窒素、イオウ、又は酸素より選択される4〜12の原子を含有する、飽和、一部飽和、又は不飽和の単環系又は二環系の環であり、それは、他に特定されなければ、炭素又は窒素連結であってよく、ここで−CH−基は、−C(O)−により置き換えられていてもよく、環イオウ原子は、酸化されてS−オキシドを形成してもよい。用語「ヘテロシクリル」の例と好適な意義は、モルホリノ、ピペリジル、ピリジル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、インドリル、キノリル、チエニル、1,3−ベンゾジオキソリル、チアジアゾリル、ピペラジニル、チアゾリジニル、ピロリジニル、チオモルホリノ、ピロリニル、ホモピペラジニル、3,5−ジオキサピペリジニル、テトラヒドロピラニル、イミダゾリル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、イソオキサゾリル、N−メチルピロリル、4−ピリドン、1−イソキノロン、2−ピロリドン、4−チアゾリドン、ピリジン−N−オキシド、及びキノリン−N−オキシドである。用語「ヘテロシクリル」の特別な例は、ピラゾリルである。本発明の1つの側面において、「ヘテロシクリル」は、その少なくとも1つの原子が窒素、イオウ、又は酸素より選択される5若しくは6の原子を含有する、飽和、一部飽和、又は不飽和の単環系の環であり、それは、他に特定されなければ、炭素又は窒素連結であってよく、−CH−基は、−C(O)−により置き換えられていてもよく、環イオウ原子は、酸化されてS−オキシドを形成してもよい。
【0013】
「カルボシクリル」は、3〜12の原子を含有する、飽和、一部飽和、又は不飽和の単環系又は二環系の炭素環であり;ここで−CH−基は、−C(O)−により置き換えられていてもよい。特に、「カルボシクリル」は、5若しくは6の原子を含有する単環系の環、又は9若しくは10の原子を含有する二環系の環である。「カルボシクリル」に適した意義には、シクロプロピル、シクロブチル、1−オキソシクロペンチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、ナフチル、テトラリニル、インダニル、又は1−オキソインダニルが含まれる。「カルボシクリル」の特別な例は、フェニルである。
【0014】
「2つのR基が隣接炭素上にあれば、それらは、炭素環式環又は複素環式環を形成してもよい」。それ故、前記「炭素環式環」又は「複素環式環」は、式(I)のフェニル環へ縮合する。
【0015】
「炭素環式環」は、その2つが式(I)中のフェニル環と共有される3〜8の炭素原子を含有する、一部飽和又は完全不飽和の単環系の環であり;ここで−CH−基は、−C(O)−により置き換えられていてもよい。式(I)中のフェニル環へ縮合した「炭素環式環」の好適な例には、インダニル(炭素環式環は、一部飽和の5員環である)とナフチル(炭素環式環は、完全不飽和の6員環である)が含まれる。
【0016】
「複素環式環」は、その少なくとも1つの原子が窒素、イオウ、又は酸素より選択されて、2つの原子が式(I)中のフェニル環と共有される炭素原子である4〜8の原子を含有する、一部飽和又は完全不飽和の単環系の環であり;ここで−CH−基は、−C(O)−により置き換えられていてもよく、環イオウ原子は、酸化されてS−オキシドを形成してもよい。式(I)中のフェニル環へ縮合した「複素環式環」の好適な例には、インドリニル(複素環式環は、1つの窒素原子を含有する一部飽和の5員環である)とキノキサリニル(複素環式環は、2つの窒素原子を含有する完全不飽和の6員環である)が含まれる。
【0017】
「C1−6アルカノイルオキシ」の例は、アセトキシである。「C1−6アルコキシカルボニル」の例には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n及びt−ブトキシカルボニルが含まれる。「C1−6アルコキシ」の例には、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシが含まれる。「C1−6アルカノイルアミノ」の例には、ホルムアミド、アセトアミド、及びプロピオニルアミノが含まれる。「C1−6アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)」の例には、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、及びエチルスルホニルが含まれる。「C1−6アルカノイル」の例には、プロピオニルとアセチルが含まれる。「N−(C1−6アルキル)アミノ」の例には、メチルアミノとエチルアミノが含まれる。「N,N−(C1−6アルキル)アミノ」の例には、ジN−メチルアミノ、ジ(N−エチル)アミノ、及びN−エチル−N−メチルアミノが含まれる。「C2−6アルケニル」の例は、ビニル、アリル、及び1−プロペニルである。「C2−6アルキニル」の例は、エチニル、1−プロピニル、及び2−プロピニルである。「N−(C1−6アルキル)スルファモイル」の例は、N−(メチル)スルファモイルとN−(エチル)スルファモイルである。「N−(C1−6アルキル)スルファモイル」の例は、N,N−(ジメチル)スルファモイルとN−(メチル)−N−(エチル)スルファモイルである。「N−(C1−6アルキル)カルバモイル」の例は、N−(C1−4アルキル)カルバモイル、メチルアミノカルボニル、及びエチルアミノカルボニルである。「N,N−(C1−6アルキル)カルバモイル」の例は、N,N−(C1−4アルキル)カルバモイル、ジメチルアミノカルボニル、及びメチルエチルアミノカルボニルである。「C1−6アルキルスルホニル」の例は、メシル、エチルスルホニル、及びイソプロピルスルホニルである。「C1−6アルキルスルホニルアミノ」の例は、メシルアミノ、エチルスルホニルアミノ、及びイソプロピルスルホニルアミノである。「C1−6アルコキシカルボニルアミノ」の例は、メトキシカルボニルアミノとt−ブトキシカルボニルアミノである。「C1−6アルコキシカルボニルアミノ」の例には、メトキシカルボニルアミノとt−ブトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0018】
本発明の化合物の好適な医薬的に許容される塩は、例えば、十分に塩基性である本発明の化合物の酸付加塩、例えば、無機又は有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、又はマレイン酸との、例えば、酸付加塩である。さらに、十分に酸性である本発明の化合物の好適な医薬的に許容される塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム又はマグネシウム塩、アンモニウム塩、又は、生理学的に許容されるカチオンを提供する有機塩基との塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリン、又はtris−(2−ヒドロキシエチル)アミンとの塩である。
【0019】
式(I)のある化合物は、キラル中心及び/又は幾何異性中心(E及びZ−異性体)を有する場合があり、本発明には、CSF−1Rキナーゼ阻害活性を保有する、すべてのそのような光学異性体、ジアステレオ異性体、及び幾何異性体が含まれると理解されたい。さらに本発明は、CSF−1Rキナーゼ阻害活性を保有する、式(I)の化合物のあらゆる、そしてすべての互変異性型に関する。
【0020】
また、式(I)のある化合物は、非溶媒和型だけでなく、例えば、水和型のような溶媒和型でも存在し得ると理解されたい。本発明には、CSF−1Rキナーゼ阻害活性を保有する、すべてのそのような溶媒和型が含まれると理解されたい。
【0021】
可変基の特別な意義は、以下の通りである。そのような意義は、上記又は下記に明確化される定義、特許請求項、又は態様のいずれでも適宜使用してよい。
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよい。
【0022】
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC2−6アルキニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよい。
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよい。
【0023】
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、又はC2−6アルキニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよい。
は、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、スルファモイル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルカノイルオキシ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、N−(C1−6アルキル)−N−(C1−6アルコキシ)アミノ、C1−6アルカノイルアミノ、C1−6アルコキシカルボニル、N−(C1−6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−6アルキル)スルファモイル、C1−6アルキルスルホニルアミノ、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよい。
【0024】
は、C1−6アルコキシより選択される。
は、メトキシより選択される。
は、エトキシより選択される。
【0025】
は、カルボシクリル又はC1−6アルコキシである。
は、シクロプロピル、メトキシ、又はエトキシである。Rは、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、スルファモイル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルカノイルオキシ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、N−(C1−6アルキル)−N−(C1−6アルコキシ)アミノ、C1−6アルカノイルアミノ、C1−6アルコキシカルボニル、N−(C1−6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−6アルキル)スルファモイル、C1−6アルキルスルホニルアミノ、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよい。
【0026】
は、C1−6アルコキシより選択される。
は、メトキシより選択される。
は、エトキシより選択される。
【0027】
は、C1−6アルキル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;又はRは、C1−6アルコキシより選択され;ここで
は、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より選択され;
13とR14は、直結合、−O−、−N(R17)−より独立して選択され;ここでR17は、水素であり;
は、C1−6アルキル、C1−6アルカノイル、C1−6アルコキシカルボニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のR22により置換されていてもよく;そして
22は、ヒドロキシ又はメトキシより選択される。
【0028】
は、プロピル、プロプ−1−イニル、シクロプロピル、イソオキサゾール−4−イル、ピロール−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピリド−4−イル、ピラゾール−4−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリド−4−イル、ピペリジン−4−イル、又はピリド−3−イルより選択され;ここでこのRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;又はRは、メトキシより選択され;
は、ヒドロキシ、アミノ、メチル、メトキシ、ジメチルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、シクロプロピル−R13−、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル−R14−、又はピペリジン−1−イル−R14−より選択され;
13とR14は、直結合、−O−、−N(R17)−より独立して選択され;ここでR17は、水素であり;
は、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、アセチル、プロピオニル、t−ブトキシカルボニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のR22により置換されていてもよく;そして
22は、ヒドロキシ又はメトキシより選択される。
【0029】
は、1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ピペリジル、1−(3−メトキシプロパノイル)−4−ピペリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル、1−[(2R)−2−ヒドロキシプロパノイル]−4−ピペリジル、1−アセチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、1−アセチル−4−ピペリジル、1H−ピラゾール−4−イル、1H−ピロール−2−イル、1−イソブチルピラゾール−4−イル、1−イソプロピル−4−ピペリジル、1−メチル−4−ピペリジル、1−tert−ブトキシカルボニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、3−(1−ピペリジル)プロピル、3−(シクロプロピルアミノ)プロピル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、3−アミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、3−ヒドロキシプロプ−1−イニル、3−ヒドロキシプロピル、3−ピリジル、4−ピペリジル、4−ピリジル、6−メトキシ−3−ピリジル、6−オキソ−1H−ピリジン−3−イル、シクロプロピル、メトキシ、ピリミジン−5−イル、3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)プロピル、又は3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロピルより選択される。
【0030】
とRの一方は、C1−6アルキル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、C1−6アルコキシより選択され;
は、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より選択され;
13とR14は、直結合、−O−、−N(R17)−より独立して選択され;ここでR17は、水素であり;
は、C1−6アルキル、C1−6アルカノイル、C1−6アルコキシカルボニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のR22により置換されていてもよく;そして
22は、ヒドロキシ又はメトキシより選択される。
【0031】
とRの一方は、C1−6アルキル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、C1−6アルコキシより選択され;ここで
は、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より選択され;
13とR14は、直結合、−O−、−N(R17)−より独立して選択され;ここでR17は、水素であり;
は、C1−6アルキル、C1−6アルカノイル、及びC1−6アルコキシカルボニルより選択される。
【0032】
とRの一方は、C1−6アルキル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、C1−6アルコキシより選択され;ここで
は、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキル、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より選択され;
13とR14は、直結合、−O−、−N(R17)−より独立して選択され;ここでR17は、水素より選択され;そして
は、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシカルボニルより選択される。
【0033】
とRの一方は、プロピル、プロプ−1−イニル、シクロプロピル、イソオキサゾール−4−イル、ピロール−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピリド−4−イル、ピラゾール−4−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリド−4−イル、ピペリジン−4−イル、又はピリド−3−イルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、メトキシ又はエトキシより選択され;
は、ヒドロキシ、アミノ、メチル、メトキシ、ジメチルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、シクロプロピル−R13−、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル−R14−、又はピペリジン−1−イル−R14−より選択され;
13とR14は、直結合、−O−、−N(R17)−より独立して選択され;ここでR17は、水素であり;
は、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、アセチル、プロピオニル、t−ブトキシカルボニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のR22により置換されていてもよく;そして
22は、ヒドロキシ又はメトキシより選択される。
【0034】
とRの一方は、プロピル、プロプ−1−イニル、シクロプロピル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル、イソオキサゾール−4−イル、ピラゾール−4−イル、6−オキソ−1H−ピリジン−3−イル、3−ピリジル、ピロール−2−イル、4−ピペリジル、4−ピリジル、ピリミジン−5−イル、ピラゾリル−4−イル、又は3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、メトキシ又はエトキシより選択され;ここで
は、ヒドロキシ、アミノ、メチル、メトキシ、ジメチルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、シクロプロピル−R13−、テトラヒドロピラン−2−イル−R14−、又はピペリド−1−イル−R14−より選択され;
13とR14は、直結合、−O−、又は−N(R17)−より独立して選択され;ここでR17は、水素であり;
は、メチル、イソプロピル、イソブチル、アセチル、及びt−ブトキシカルボニルより選択される。
【0035】
とRの一方は、プロピル、プロプ−1−イニル、シクロプロピル、イソオキサゾール−4−イル、ピロール−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピリジン−3−イル、ピラゾール−4−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル、又はピリジン−4−イルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、メトキシ又はエトキシより選択され;ここで
は、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキル、ジメチルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、シクロプロピル−R13−、又はピペリジン−1−イル−R14−より選択され;
13とR14は、直結合、−O−、又は−N(R17)−より独立して選択され;ここでR17は、水素より選択され;そして
は、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシカルボニルより選択される。
【0036】
とRの一方は、3−ヒドロキシプロピル、3−ピペリジン−1−イルプロピル、3−(シクロプロピルアミノ)プロピル、3−ジメチルアミノプロピル、3−アミノプロピル、3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)プロピル、3−(3,4,5,6−テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)プロピル、シクロプロピル、3−ヒドロキシプロプ−1−イニル、ピリジン−3−イル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、ピロール−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピリジン−4−イル、ピラゾール−4−イル、1−(t−ブトキシカルボニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル、及び1−イソブチルピラゾール−4−イルより選択され;そして
他のR又はRは、メトキシ又はエトキシより選択される。
【0037】
とRの一方は、1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ピペリジル、1−(3−メトキシプロパノイル)−4−ピペリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル、1−[(2R)−2−ヒドロキシプロパノイル]−4−ピペリジル、1−アセチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、1−アセチル−4−ピペリジル、1H−ピラゾール−4−イル、1H−ピロール−2−イル、1−イソブチルピラゾール−4−イル、1−イソプロピル−4−ピペリジル、1−メチル−4−ピペリジル、1−tert−ブトキシカルボニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、3−(1−ピペリジル)プロピル、3−(シクロプロピルアミノ)プロピル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、3−アミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、3−ヒドロキシプロプ−1−イニル、3−ヒドロキシプロピル、3−ピリジル、4−ピペリジル、4−ピリジル、6−メトキシ−3−ピリジル、6−オキソ−1H−ピリジン−3−イル、シクロプロピル、ピリミジン−5−イル、3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)プロピル、又は3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロピルより選択され;
他のR又はRは、メトキシ又はエトキシより選択される。
【0038】
とRの一方は、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル、1−アセチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、1H−ピラゾール−4−イル、1H−ピロール−2−イル、1−イソブチルピラゾール−4−イル、1−イソプロピル−4−ピペリジル、1−メチル−4−ピペリジル、1−tert−ブトキシカルボニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、3−(1−ピペリジル)プロピル、3−(シクロプロピルアミノ)プロピル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、3−アミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、3−ヒドロキシプロプ−1−イニル、3−ヒドロキシプロピル、3−ピリジル、4−ピペリジル、4−ピリジル、6−メトキシ−3−ピリジル、6−オキソ−1H−ピリジン−3−イル、シクロプロピル、及びピリミジン−5−イルより選択され;
他のR又はRは、メトキシ又はエトキシより選択される。
【0039】
は、メトキシ、エトキシ、又はシクロプロピルである。
は、3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)プロピル、3−(3,4,5,6−テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)プロピル、1−アセチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、1−イソブチルピラゾール−4−イル、1−イソプロピル−4−ピペリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル、1H−ピラゾール−4−イル、1H−ピロール−2−イル、1−メチル−4−ピペリジル、1−tert−ブトキシカルボニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、3−(1−ピペリジル)プロピル、3−(シクロプロピルアミノ)プロピル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、3−アミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、3−ヒドロキシプロプ−1−イニル、3−ヒドロキシプロピル、3−ピリジル、4−ピペリジル、4−ピリジル、6−メトキシ−3−ピリジル、6−オキソ−1H−ピリジン−3−イル、シクロプロピル、メトキシ、又はピリミジン−5−イルである。
【0040】
は、水素である。
は、ハロである。
は、ハロ及びC1−6アルキルより選択される。
【0041】
は、フルオロ、クロロ、メチル、及びエチルより選択される。
は、フルオロ、クロロ、及びエチルより選択される。
nは、0である。
【0042】
nは、1である。
nは、2であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なる。
nは、3であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なる。
【0043】
nは、1又は2であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なる。
、n、及びそれらが付くフェニル環は、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−4−メチル−フェニル、2−フルオロ−5−メチル−フェニル、3,4−ジクロロフェニル、3−クロロ−2−フルオロ−フェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、又は4−エチルフェニルを形成する。
【0044】
故に、本発明のさらなる側面において、式(I)(上記に図示されるような)[式中:
とRの一方は、C1−6アルキル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、C1−6アルコキシより選択され;
は、水素であり;
は、ハロ及びC1−6アルキルより選択され;
nは、1又は2であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なり;
は、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキル、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より選択され;
は、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシカルボニルより選択され;そして
13とR14は、直結合、−O−、又は−N(R17)−より独立して選択され;ここでR17は、水素より選択される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0045】
故に、本発明のさらなる側面において、式(I)(上記に図示されるような)[式中:
とRの一方は、C1−6アルキル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、C1−6アルコキシより選択され;
は、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より選択され;
13とR14は、直結合、−O−、又は−N(R17)−より独立して選択され;ここでR17は、水素であり;
は、C1−6アルキル、C1−6アルカノイル、及びC1−6アルコキシカルボニルより選択され;
は、水素であり;
は、ハロ及びC1−6アルキルより選択され;
nは、1又は2であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なる]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0046】
故に、本発明のさらなる側面において、式(I)(上記に図示されるような)[式中:
とRの一方は、C1−6アルキル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、C1−6アルコキシより選択され;
は、水素であり;
は、ハロ及びC1−6アルキルより選択され;
nは、1又は2であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なり;
は、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より選択され;
13とR14は、直結合、−O−、−N(R17)−より独立して選択され;ここでR17は、水素であり;
は、C1−6アルキル、C1−6アルカノイル、C1−6アルコキシカルボニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のR22により置換されていてもよく;そして
22は、ヒドロキシ又はメトキシより選択される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0047】
故に、本発明のさらなる側面において、式(I)(上記に図示されるような)[式中:
とRの一方は、3−ヒドロキシプロピル、3−ピペリジン−1−イルプロピル、3−(シクロプロピルアミノ)プロピル、3−ジメチルアミノプロピル、3−アミノプロピル、3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)プロピル、3−(3,4,5,6−テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)プロピル、シクロプロピル、3−ヒドロキシプロプ−1−イニル、ピリジン−3−イル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、ピロール−2−イル、ピリミジン−5−イル、ピリジン−4−イル、ピラゾール−4−イル、1−(t−ブトキシカルボニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル、及び1−イソブチルピラゾール−4−イルより選択され;そして
他のR又はRは、メトキシ又はエトキシより選択され;
は、水素であり;
は、フルオロ、クロロ、及びエチルより選択され;そして
nは、1又は2であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なる]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0048】
故に、本発明のさらなる側面において、式(I)(上記に図示されるような)[式中:
とRの一方は、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル、1−アセチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、1H−ピラゾール−4−イル、1H−ピロール−2−イル、1−イソブチルピラゾール−4−イル、1−イソプロピル−4−ピペリジル、1−メチル−4−ピペリジル、1−tert−ブトキシカルボニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、3−(1−ピペリジル)プロピル、3−(シクロプロピルアミノ)プロピル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、3−アミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、3−ヒドロキシプロプ−1−イニル、3−ヒドロキシプロピル、3−ピリジル、4−ピペリジル、4−ピリジル、6−メトキシ−3−ピリジル、6−オキソ−1H−ピリジン−3−イル、シクロプロピル、及びピリミジン−5−イルより選択され;
他のR又はRは、メトキシ及びエトキシより選択され;
は、水素であり;
は、フルオロ、クロロ、メチル、及びエチルより選択され;
nは、1又は2であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なる]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0049】
故に、本発明のさらなる側面において、式(I)(上記に図示されるような)[式中:
とRの一方は、1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ピペリジル、1−(3−メトキシプロパノイル)−4−ピペリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル、1−[(2R)−2−ヒドロキシプロパノイル]−4−ピペリジル、1−アセチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、1−アセチル−4−ピペリジル、1H−ピラゾール−4−イル、1H−ピロール−2−イル、1−イソブチルピラゾール−4−イル、1−イソプロピル−4−ピペリジル、1−メチル−4−ピペリジル、1−tert−ブトキシカルボニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、3−(1−ピペリジル)プロピル、3−(シクロプロピルアミノ)プロピル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、3−アミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、3−ヒドロキシプロプ−1−イニル、3−ヒドロキシプロピル、3−ピリジル、4−ピペリジル、4−ピリジル、6−メトキシ−3−ピリジル、6−オキソ−1H−ピリジン−3−イル、シクロプロピル、ピリミジン−5−イル、3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)プロピル、又は3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロピルより選択され;
他のR又はRは、メトキシ又はエトキシより選択され;
は、水素であり;
は、フルオロ、クロロ、メチル、及びエチルより選択され;
nは、1又は2であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なる]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0050】
本発明の別の側面において、本発明の好ましい化合物は、実施例のいずれか1つ、又はその医薬的に許容される塩である。
本発明の別の側面において、本発明の好ましい化合物は、実施例42、43、46、47、49、50、51、52、53、54のいずれか1つ、又はその医薬的に許容される塩である。
【0051】
本発明の別の側面は、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を製造するための方法を提供し、該方法(ここで可変基は、他に特定されなければ、式(I)に定義される通りである)は:
方法a)式(II):
【0052】
【化2】

【0053】
[式中、Lは、置換可能な原子又は基である]の化合物を式(III):
【0054】
【化3】

【0055】
の化合物と反応させること:又は
方法b)式(IV):
【0056】
【化4】

【0057】
の化合物、又はその活性化誘導体をアンモニアと反応させること;又は
方法c)式(V):
【0058】
【化5】

【0059】
[式中、Rは、C1−6アルキル、特にメチル及びエチルである]の化合物をホルムアミド及び塩基と反応させること;又は
方法d)式(VI):
【0060】
【化6】

【0061】
の化合物の加水分解;又は
方法e)RとRの一方が、本明細書の上記に述べたように置換されていてもよい、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択される式(I)の化合物について;式(VIIa)又は(VIIb):
【0062】
【化7】

【0063】
[式中、Lは、置換可能基である]の化合物の、式(VIIIa)又は(VIIIb):
−B(R (VIIIa) R−B(R (VIIIb)
[式中、−B(Rは、ボロン酸誘導体又はトリアルキルボランである]の化合物との反応による;そしてその後必要であれば、
i)式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物へ変換すること;
ii)あらゆる保護基を外すこと;
iii)医薬的に許容される塩を生成することを含む。
【0064】
Lは、置換可能基であり、Lに適した意義には、クロロ、ブロモ、トシル、及びトリフルオロメチルスルホニルオキシが含まれる。
−B(Rは、ボロン酸誘導体であり、ボロン酸誘導体の好適な例には、ジヒドロキシボリル、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニルが含まれ;トリアルキルボランの好適な例は、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノニルである。
【0065】
上記の反応の具体的な反応条件は、以下の通りである。
方法a)エタノール又はジメチルホルムアミドのような溶媒において、通常はしばしば70℃〜100℃の範囲の温熱条件の下で、そしてある場合は、酢酸の添加により触媒されて、式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させることができる。
【0066】
あるいは、それぞれPd(dba)及びBINAPのような適正な触媒及びリガンドとナトリウムtert−ブトキシド又は炭酸セシウムのような好適な塩基を利用するカップリング化学を使用して、式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させることができる。この反応は、通常、しばしば80℃〜100℃の範囲の温熱条件を必要とする。
【0067】
式(II)の化合物は、スキーム1(下記参照)の修飾法によって製造してよい。
式(III)の化合物は、市販の化合物であるか、又はそれらは文献の化合物であるか、又はそれらは当業者に知られた方法によって容易に製造される。
【0068】
方法b)式(IV)の酸とアンモニアを好適なカップリング試薬の存在下で一緒にカップリングすることができる。当該技術分野で知られた標準のペプチドカップリング試薬、例えば、カルボニルジイミダゾール及びジシクロヘキシルカルボジイミドを、任意選択的にジメチルアミノピリジン又は4−ピロリジノピリジンのような触媒の存在下、任意選択的に塩基(例えば、トリエチルアミン、ピリジン、又は2,6−ルチジン又は2,6−ジtert−ブチルピリジンのような2,6−ジアルキル−ピリジン)の存在下で、好適なカップリング試薬として利用することができる。好適な溶媒には、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、及びジメチルホルムアミドが含まれる。このカップリング反応は、簡便には、−40〜40℃の範囲の温度で実施してよい。
【0069】
好適な活性化酸誘導体には、酸ハロゲン化物、例えば酸塩化物、及び活性エステル、例えばペンタフルオロフェニルエステルが含まれる。これら種類の化合物のアミンとの反応は当該技術分野でよく知られていて、例えば、それらは、上記に記載のような塩基の存在下で、そして上記に記載のような好適な溶媒において反応させてよい。この反応は、簡便には、−40〜40℃の範囲の温度で実施してよい。
【0070】
式(IV)の化合物は、スキーム1(下記参照)の修飾法によって製造してよい。
方法c)式(V)のエステルをホルムアミド及び塩基と一緒に反応させてよい。好ましくは、この反応は連続的に起こり、初めにホルムアミドを添加して、その後塩基を添加する。好適な塩基は、アルコキシド塩基、例えば、メトキシド及びエトキシド塩基、例えばナトリウムメトキシドである。この反応は、典型的には、DMFのような好適な溶媒において100℃の温度で実施する。
【0071】
式(V)の化合物は、スキーム1に従って製造してよい。
【0072】
【化8】

【0073】
式(Va)及び(Vb)の化合物は、市販の化合物であるか、又はそれらは文献の化合物であるか、又はそれらは当業者に知られた方法によって容易に製造される。
方法d)式(VI)の化合物を標準の酸性又は塩基性条件の下で加水分解することができる。
【0074】
式(VI)の化合物は、スキーム1の修飾法によって製造してよい。
方法e)式(VIIa)及び(VIIb)の化合物を、パラジウム触媒と塩基を使用して、式(VIIIa)及び(VIIIb)のボロン酸誘導体と反応させることができる。好適な触媒はPd(PPhであり、好適な塩基は炭酸カリウムである。この反応は、典型的には、ジオキサン/水のような好適な溶媒系において、100℃の温度で、又はマイクロ波条件の下で実施する。
【0075】
式(VIIa)及び(VIIb)の化合物を、標準 Suzuki 条件[例えば、好適な溶媒(例えば、DMF)中の塩基の存在下に、典型的には50℃でPd触媒を使用する]の下で、式(VIIIa)及び(VIIIb)のトリアルキルボランと反応させることができる。
【0076】
式(VIIa)及び(VIIb)の化合物は、スキーム1の修飾法によって製造してよい。
式(VIIIa)及び(VIIIb)の化合物は、市販の化合物であるか、又はそれらは文献の化合物であるか、又はそれらは当業者に知られた方法によって容易に製造される。
【0077】
本発明の化合物中の様々な環置換基のあるものは、上記の方法に先立つか、又はその直後に標準的な芳香族置換反応によって導入しても、慣用の官能基修飾によって生成してもよく、それ自体も本発明の方法の側面に含まれると理解されよう。こうした反応及び修飾法には、例えば、芳香族置換反応の手段による置換基の導入、置換基の還元、置換基のアルキル化、及び置換基の酸化が含まれる。こうした手順の試薬及び反応条件は、化学の技術分野においてよく知られている。芳香族置換反応の特別な例には、濃硝酸を使用するニトロ基の導入、例えばハロゲン化アシル及びルイス酸(三塩化アルミニウムのような)をフリーデル・クラフツ条件の下で使用するアシル基の導入;ハロゲン化アルキル及びルイス酸(三塩化アルミニウムのような)をフリーデル・クラフツ条件の下で使用するアルキル基の導入;並びに、ハロ基の導入が含まれる。特別な修飾の例には、例えば、ニッケル触媒を用いた接触水素化、又は塩酸の存在下に加熱しながら鉄で処理することによる、ニトロ基のアミノ基への還元;アルキルチオのアルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルへの酸化が含まれる。
【0078】
本明細書に言及される反応のいくつかでは、化合物中の鋭敏な基を保護することが必要である/望ましい場合があることも理解されよう。保護化が必要であるか又は望ましい例と保護化に適した方法は、当業者に知られている。標準的な実践に従って、慣用の保護基を使用してよい(例示として、T. W. Green,「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(1991)を参照のこと)。このように、アミノ、カルボキシ又はヒドロキシのような基が反応体に含まれるならば、本明細書に言及される反応のいくつかでは該基を保護することが望ましい場合がある。
【0079】
アミノ又はアルキルアミノ基に適した保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はt−ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル、又はアロイル基、例えばベンゾイルである。上記保護基の脱保護条件は、必然的に、保護基の選択に応じて変化する。従って、例えば、アルカノイル又はアルコキシカルボニル基のようなアシル基、又はアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような好適な塩基での加水分解によって外してよい。あるいは、t−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば、塩酸、硫酸、又はリン酸、又はトリフルオロ酢酸のような好適な酸での処理により外してよく、ベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えば、パラジウム担持カーボンのような触媒上での水素化により、又はルイス酸、例えばトリス(トリフルオロ酢酸)ホウ素での処理によって外してよい。一級アミノ基に適した代わりの保護基は、例えばフタロイル基であり、これは、アルキルアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミンでの、又はヒドラジンでの処理により外してよい。
【0080】
ヒドロキシ基に適した保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アロイル基、例えばベンゾイル、又はアリールメチル基、例えばベンジルである。上記保護基の脱保護条件は、必然的に、保護基の選択に応じて変化する。従って、例えば、アルカノイルのようなアシル基又はアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような好適な塩基での加水分解によって外してよい。あるいは、ベンジル基のようなアリールメチル基は、例えば、パラジウム担持カーボンのような触媒上での水素化により外してよい。
【0081】
カルボキシ基に適した保護基は、例えばエステル化基(例えばメチル又はエチル基であり、これは、例えば、水酸化ナトリウムのような塩基での加水分解によって外すことができる)、又は例えばt−ブチル基(例えば、酸、例えばトリフルオロ酢酸のような有機酸での処理により外してよい)、又は、例えばベンジル基(例えば、パラジウム担持カーボンのような触媒上での水素化により外してよい)である。
【0082】
保護基は、化学の技術分野でよく知られた慣用技術を使用して、合成中のどの好便な段階でも外してよい。
本明細書に記載されるある種の中間体は新規であり、これは、本発明のさらなる特徴として提供される。
【0083】
上記に述べたように、本発明において定義される化合物は、該化合物のCSF−1Rキナーゼ阻害活性より生じると考えられる抗癌活性を保有する。これらの特性は、例えば、下記に示す手順を使用して評価してよい。
【0084】
生物学的活性
アッセイ1:CSF−1R in vitro AlphaScreenアッセイ
下記に記載のように、CSF−1R基質、ビオチニル化ポリグルタミン−チロシンペプチド(pEY−HTRF CisBio 61GT0BLD)のリン酸化を測定する、化学増幅型ルミネッセンスプロキシミティーホモジニアスアッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay(ALPHA)、パーキンエルマー)を使用して、精製CSF−1Rの活性を in vitro で決定した。CSF−1RのHis−タグ付きキナーゼドメイン(即ち、アミノ酸568〜912、GeneBank ID NM_005211;(配列リスティングについては、WO2006/067445の25頁、13〜19行を参照のこと))を、加圧破壊した(French pressed)バキュロウイルス感染SF+Express昆虫細胞(1.4x10細胞/ml)より精製して、後続のQiagen Ni−NTA,Superflow Mono Q HR10/10、及びSuperdex 200SECカラムによりクロマトグラフ処理した。典型的な収量は、細胞ペレット1Lにつき245μg(純度>95%)であった。
【0085】
CSF−1R基質のリン酸化を、目的の化合物の存在及び非存在下で定量した。簡潔に言えば、0.57nMの精製CSF−1R、5nM pEY基質、及び化合物を1x緩衝液において25℃で30分間プレインキュベートした。1x緩衝液中90μMアデノシン三リン酸(ATP)の添加で反応を開始し、25℃で60分間インキュベートして、136mM NaCl、102mMエチレンジアミン四酢酸、1.65mg/ml BSA、40μg/mlストレプトアビジンドナービーズ(パーキンエルマー6760002)、40μg/ml pTyr100アクセプタービーズ(パーキンエルマー6760620)からなる検出ミックスの5μlの添加によって反応を止めた。プレートを暗所に25℃で18時間インキュベートした。EnVisionプレートリーダー(パーキンエルマー)、680nm励起、520〜620nm光放出によって、リン酸化基質を検出した。データをグラフ化し、Excel Fit(マイクロソフト)を使用してIC50を計算した。
【0086】
アッセイ2:CSF1R in-vitro AlphaScreenアッセイ
下記に記載のように、CSF−1R基質、ビオチニル化ポリグルタミン−チロシンペプチド(pEY−HTRF CisBio 61GT0BLD)のリン酸化を測定する、化学増幅型ルミネッセンスプロキシミティーホモジニアスアッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay(ALPHA)、パーキンエルマー、マサチューセッツ州)を使用して、精製CSF−1Rの活性を in-vitro で定量した。CSF−1RのHis−タグ付きキナーゼドメイン(即ち、アミノ酸568〜912、GeneBank ID NM_005211)を、加圧破壊した(French pressed)バキュロウイルス感染SF+Express昆虫細胞(1.4x10細胞/ml)より精製して、後続のQIAgen Ni−NTA,Superflow Mono Q HR10/10、及びSuperdex 200SECカラムによりクロマトグラフ処理した。典型的な収量は、細胞ペレット1Lにつき322μg(純度>95%)であった。
【0087】
CSF−1R基質のリン酸化を、目的の化合物の存在及び非存在下で定量した。簡潔に言えば、1.2x緩衝液中0.46nMの精製CSF−1R、12nM pEY基質、及び12mM ATPからなる酵素/基質/アデノシン三リン酸(ATP)ミックスの5μlを2μlの化合物とともに25℃で20分間プレインキュベートした。1.2x緩衝液中24mM MgClからなるMetalミックスの5μlで反応を開始し、25℃で90分間インキュベートして、20mM HEPES、102mMエチレンジアミン四酢酸、1.65mg/ml BSA、136mM NaCl、40μg/mlストレプトアビジンドナービーズ(パーキンエルマー、マサチューセッツ州、カタログ番号6760002)、及び40μg/mlのホスホチロシン特異抗体でコートしたアクセプタービーズ(パーキンエルマー、マサチューセッツ州、カタログ番号6760620)からなる検出ミックスの5μlの添加によって反応を止めた。プレートを暗所に25℃で18時間インキュベートした。EnVisionプレートリーダー(パーキンエルマー)、680nm励起、520〜620nm光放出によって、リン酸化基質を検出した。データをグラフ化し、Excel Fit(マイクロソフト)を使用してIC50を計算した。上記の in vitro アッセイのいずれかで試験するとき、本発明の化合物は、全般に、30μM未満で活性を示した。例えば、上記に記載のアッセイのいずれかに実質的に類似したアッセイにおいて、以下の結果を得た:
【0088】
【表1】

【0089】
本発明のさらなる側面により、上記に定義されるような式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される希釈剤又は担体とともに含む医薬組成物を提供する。
【0090】
組成物は、経口投与に(例えば、錠剤又はカプセル剤として)、無菌の溶液剤、懸濁液剤、又は乳剤として非経口注射に(静脈内、皮下、筋肉内、血管内、又は注入が含まれる)、軟膏剤又はクリーム剤として局所使用に、又は坐剤として直腸投与に適した形態であってよい。
【0091】
一般に、上記の組成物は、慣用の賦形剤を使用して、慣用のやり方で調製してよい。
式(I)の化合物は、通常、1〜1000mg/kgの範囲内の単位用量で温血動物へ投与して、これが通常は治療有効量を提供する。好ましくは、10〜100mg/kgの範囲の1日用量を利用する。しかしながら、1日用量は、治療される宿主、具体的な投与経路、及び治療される病気の重症度に依存して必然的に変動するものである。従って、最適投与量は、特定の患者を治療している医師によって決定され得る。
【0092】
本発明のさらなる側面により、上記に定義されるような式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩をヒト又は動物の身体の療法による治療の方法における使用に提供する。
【0093】
我々は、本発明に定義される化合物、又はその医薬的に許容される塩が、その特性がそのCSF−1Rキナーゼ阻害特性より生じると考えられる有効な抗癌剤であることを見出した。従って、本発明の化合物は、CSF−1Rキナーゼにより単独で、又はそれに一部媒介される疾患又は医学的状態の治療に有用であると期待され、即ち、該化合物は、CSF−1Rキナーゼ阻害効果をそのような治療の必要な温血動物においてもたらすために使用してよい。
【0094】
このように、本発明の化合物は、CSF−1Rキナーゼの阻害を特徴とする癌を治療するための方法を提供し、即ち、該化合物は、CSF−1Rキナーゼの阻害により単独で、又はそれに一部媒介される抗癌効果をもたらすために使用してよい。
【0095】
限定されないが、乳房、卵巣、子宮内膜、前立腺、肺、腎臓、及び膵臓の腫瘍が含まれる、多数のヒト癌と関連の細胞系、並びに、限定されないが、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、及び慢性リンパ球性白血病が含まれる悪性血液疾患では、CSF1R及び/又はCSF1の異常な発現が観察されてきたので、本発明のそのような化合物は、広範囲の抗癌特性を保有すると期待される。造血系及びリンパ系の組織と肺癌でも、活性化突然変異が報告されている。さらに、腫瘍関連マクロファージは、限定されないが、乳癌、子宮内膜癌、腎癌、肺癌、膀胱癌、及び頚部癌、神経膠腫、食道の扁平細胞癌、悪性ブドウ膜メラノーマ、及び濾胞性リンパ腫が含まれる、多数の癌種の不良な予後と関連付けられてきた。本発明の化合物は、腫瘍に対する直接効果を介して、及び/又は腫瘍関連マクロファージに対する効果を介して間接的に、上記の癌に対する抗癌活性を保有することが期待される。特に、癌は、乳癌である。本発明の別の側面において、特に、癌は、卵巣癌である。
【0096】
本発明のさらなる側面において、式(I)の化合物は、ある種の追加の適応症の治療にも有用であり得る。これらの適応症には、限定されないが、腫瘍に関連した骨溶解、卵巣摘出誘発性の骨損失が含まれる骨粗鬆症、整形外科移植の失敗、全身性紅斑性狼瘡が含まれる自己免疫障害、関節リウマチ、骨関節炎が含まれる関節炎、腎臓の炎症、及び糸球体腎炎;炎症性腸疾患;腎臓及び骨髄の同種移植片及び皮膚異種移植片が含まれる移植拒絶、アテローム性動脈硬化症、肥満、アルツハイマー病、及びランゲルハンス細胞組織球症が含まれる。故に、本発明のさらなる側面には、上記疾患、特に、関節リウマチ及び骨関節炎が含まれる関節炎の1以上の治療が含まれる。これらの適応症には、限定されないが、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、及び乾癬が含まれる慢性皮膚障害も含まれる。特に、この適応症は、骨関節炎である。本発明の別の側面において、特にこの適応症は、関節リウマチである。
【0097】
このように、本発明のこの側面により、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を医薬品としての使用に提供する。
本発明のさらなる側面により、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、ヒトのような温血動物におけるCSF−1Rキナーゼ阻害効果の産生に使用の医薬品の製造における使用を提供する。
【0098】
本発明のこの側面により、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、ヒトのような温血動物における抗癌効果の産生に使用の医薬品の製造における使用を提供する。
【0099】
本発明のさらなる特徴により、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、乳房、卵巣、膀胱、子宮頸部(cervical)、子宮内膜、前立腺、肺、腎臓、及び膵臓の腫瘍;骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、及び慢性リンパ球性白血病が含まれる悪性血液疾患;及び、神経膠腫、食道の扁平細胞癌、悪性ブドウ膜メラノーマ、及び濾胞性リンパ腫の治療に使用の医薬品の製造における使用を提供する。
【0100】
本発明のさらなる特徴により、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、腫瘍に関連した骨溶解、卵巣摘出誘発性の骨損失が含まれる骨粗鬆症、整形外科移植の失敗、全身性紅斑性狼瘡が含まれる自己免疫障害、関節リウマチ、骨関節炎が含まれる関節炎、腎臓の炎症、及び糸球体腎炎;炎症性腸疾患;腎臓及び骨髄の同種移植片及び皮膚異種移植片が含まれる移植拒絶、アテローム性動脈硬化症、肥満、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、乾癬及びランゲルハンス細胞組織球症が含まれる慢性皮膚障害の治療に使用の医薬品の製造における使用を提供する。
【0101】
本発明のこの側面のさらなる特徴により、CSF−1Rキナーゼ阻害効果をそのような治療の必要なヒトのような温血動物において産生するための方法を提供し、該方法は、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む。
【0102】
本発明のこの側面のさらなる特徴により、抗癌効果をそのような治療の必要なヒトのような温血動物において産生するための方法を提供し、該方法は、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む。
【0103】
本発明のこの側面の追加の特徴により、乳房、卵巣、膀胱、子宮頸部、子宮内膜、前立腺、肺、腎臓、及び膵臓の腫瘍;骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、及び慢性リンパ球性白血病が含まれる悪性血液疾患;及び、神経膠腫、食道の扁平細胞癌、悪性ブドウ膜メラノーマ、及び濾胞性リンパ腫をそのような治療の必要なヒトのような温血動物において治療する方法を提供し、該方法は、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む。
【0104】
本発明のこの側面の追加の特徴により、腫瘍に関連した骨溶解、卵巣摘出誘発性の骨損失が含まれる骨粗鬆症、整形外科移植の失敗、全身性紅斑性狼瘡が含まれる自己免疫障害、関節リウマチ、骨関節炎が含まれる関節炎、腎臓の炎症、及び糸球体腎炎;炎症性腸疾患;腎臓及び骨髄の同種移植片及び皮膚異種移植片が含まれる移植拒絶、アテローム性動脈硬化症、肥満、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、乾癬及びランゲルハンス細胞組織球症が含まれる慢性皮膚障害をそのような治療の必要なヒトのような温血動物において治療する方法を提供し、該方法は、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む。
【0105】
本発明のさらなる側面において、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される希釈剤又は担体とともに含む医薬組成物を、ヒトのような温血動物におけるCSF−1Rキナーゼ阻害効果の産生における使用に提供する。
【0106】
本発明のさらなる側面において、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される希釈剤又は担体とともに含む医薬組成物を、ヒトのような温血動物における抗癌効果の産生における使用に提供する。
【0107】
本発明のさらなる側面において、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される希釈剤又は担体とともに含む医薬組成物を、ヒトのような温血動物における、乳房、卵巣、膀胱、子宮頸部、子宮内膜、前立腺、肺、腎臓、及び膵臓の腫瘍;骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、及び慢性リンパ球性白血病が含まれる悪性血液疾患;及び、神経膠腫、食道の扁平細胞癌、悪性ブドウ膜メラノーマ、及び濾胞性リンパ腫の治療における使用に提供する。
【0108】
本発明のさらなる側面において、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される希釈剤又は担体とともに含む医薬組成物を、ヒトのような温血動物における、腫瘍に関連した骨溶解、卵巣摘出誘発性の骨損失が含まれる骨粗鬆症、整形外科移植の失敗、全身性紅斑性狼瘡が含まれる自己免疫障害、関節リウマチ、骨関節炎が含まれる関節炎、腎臓の炎症、及び糸球体腎炎;炎症性腸疾患;腎臓及び骨髄の同種移植片及び皮膚異種移植片が含まれる移植拒絶、アテローム性動脈硬化症、肥満、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、乾癬及びランゲルハンス細胞組織球症が含まれる慢性皮膚障害の治療における使用に提供する。
【0109】
本発明のさらなる側面により、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、ヒトのような温血動物におけるCSF−1Rキナーゼ阻害効果の産生における使用を提供する。
【0110】
本発明のこの側面により、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、ヒトのような温血動物における抗癌効果の産生における使用を提供する。
【0111】
本発明のさらなる特徴により、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、乳房、卵巣、膀胱、子宮頸部、子宮内膜、前立腺、肺、腎臓、及び膵臓の腫瘍;骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、及び慢性リンパ球性白血病が含まれる悪性血液疾患;及び、神経膠腫、食道の扁平細胞癌、悪性ブドウ膜メラノーマ、及び濾胞性リンパ腫の治療における使用を提供する。
【0112】
本発明のさらなる特徴により、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、腫瘍に関連した骨溶解、卵巣摘出誘発性の骨損失が含まれる骨粗鬆症、整形外科移植の失敗、全身性紅斑性狼瘡が含まれる自己免疫障害、関節リウマチ、骨関節炎が含まれる関節炎、腎臓の炎症、及び糸球体腎炎;炎症性腸疾患;腎臓及び骨髄の同種移植片及び皮膚異種移植片が含まれる移植拒絶、アテローム性動脈硬化症、肥満、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、乾癬及びランゲルハンス細胞組織球症が含まれる慢性皮膚障害の治療における使用を提供する。
【0113】
ヒトのような温血動物におけるCSF−1Rキナーゼ阻害効果の産生のための、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
ヒトのような温血動物における抗癌効果の産生のための、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【0114】
メラノーマ、乳頭甲状腺腫瘍、胆管癌、結腸癌、卵巣癌、肺癌、白血病、リンパ性悪性疾患、肝臓、腎臓、膀胱、前立腺、乳房、及び膵臓における癌腫及び肉腫、並びに皮膚、結腸、甲状腺、肺、及び卵巣の原発性及び再発性の固形腫瘍の治療のための、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【0115】
乳房、卵巣、膀胱、子宮頸部、子宮内膜、前立腺、肺、腎臓、及び膵臓の腫瘍;骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、及び慢性リンパ球性白血病が含まれる悪性血液疾患;及び、神経膠腫、食道の扁平細胞癌、悪性ブドウ膜メラノーマ、及び濾胞性リンパ腫の治療のための、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【0116】
腫瘍に関連した骨溶解、卵巣摘出誘発性の骨損失が含まれる骨粗鬆症、整形外科移植の失敗、全身性紅斑性狼瘡が含まれる自己免疫障害、関節リウマチ、骨関節炎が含まれる関節炎、腎臓の炎症、及び糸球体腎炎;炎症性腸疾患;腎臓及び骨髄の同種移植片及び皮膚異種移植片が含まれる移植拒絶、アテローム性動脈硬化症、肥満、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、乾癬及びランゲルハンス細胞組織球症が含まれる慢性皮膚障害の治療のための、上記に定義されるような式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【0117】
上記に定義されるCSF−1Rキナーゼ阻害の治療は、単独療法として適用しても、本発明の化合物に加えて、慣用的な外科又は放射線療法、又は化学療法を伴ってもよい。そのような化学療法には、以下の抗腫瘍剤のカテゴリーの1以上を含めてよい:
(i)アルキル化剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、及びニトロソ尿素);代謝拮抗剤(例えば、5−フルオロウラシル及びテガフールといったフルオロピリミジン類、ラルチトレキセド、メトトレキセート、シトシンアラビノシド、及びヒドロキシ尿素のような抗葉酸剤);抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、及びミトラマイシンのようなアントラサイクリン類);有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビンのようなビンカアルカロイドとタキソール及びタキソテールのようなタキソイド類);及びトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド及びテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン、及びカンプトテシン)のような、医科腫瘍学において使用されるような抗増殖/抗新生物薬とその組合せ;
(ii)抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、及びヨードキシフェン)、エストロゲン受容体ダウンレギュレータ(例えば、フルベストラント)、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、及び酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニスト又はLHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、リュープロレリン、及びブセレリン)、プロゲストゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール、及びエキセメスタン)、並びにフィナステリドのような5α−レダクターゼの阻害剤といった、細胞増殖抑止剤;
(iii)癌細胞浸潤を阻害する薬剤(例えば、マリマスタトのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤と、ウロキナーゼプラスミノゲンアクチベータ受容体機能の阻害剤);
(iv)増殖因子機能の阻害剤:例えば、そのような阻害剤には、増殖因子抗体、増殖因子受容体抗体(例えば、抗erbb2抗体のトラスツズマブ[HerceptinTM]と抗erbb1抗体のセツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、MEK阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤及びセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、例えば、表皮増殖因子ファミリーの阻害剤(例えば、N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ,AZD1839)、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)、及び6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI 1033)のようなEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤)、例えば、血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤、及び、例えば、肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤が含まれる;
(v)血管内皮増殖因子の効果を阻害するような抗血管新生剤(例えば、抗血管内皮細胞増殖因子抗体のベバシズマブ[AvastinTM]、国際特許出願WO97/22596、WO97/30035、WO97/32856、及びWO98/13354に開示されるような化合物)、並びに他の機序により作用する化合物(例えば、リノマイド、インテグリンαvβ3機能の阻害剤、及びアンジオスタチン);
(vi)コンブレタスタチンA4のような血管傷害剤と、国際特許出願WO99/02166、WO00/40529、WO00/41669、WO01/92224、WO02/04434、及びWO02/08213に開示される化合物;
(vii)アンチセンス療法、例えば、ISIS2503、抗rasアンチセンスのような、上記に列挙される標的へ指向されるもの;
(viii)例えば、異常p53又は異常BRCA1若しくはBRCA2のような異常遺伝子を置換するアプローチ、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼ、又は細菌の窒素レダクターゼ酵素を使用するようなGDEPT(遺伝子指向型酵素プロドラッグ療法)アプローチ、及び、多剤耐性遺伝子治療のような、化学療法又は放射線療法への患者耐性を高めるアプローチが含まれる、遺伝子治療アプローチ;
(ix)例えば、インターロイキン2、インターロイキン4、又は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のようなサイトカインでのトランスフェクションのような、患者腫瘍細胞の免疫原性を高めるための ex-vivo 及び in-vivo アプローチ、T細胞アネルギーを減少させるアプローチ、サイトカインにトランスフェクトされた樹状細胞のようなトランスフェクトされた免疫細胞を使用するアプローチ、サイトカインにトランスフェクトされた腫瘍細胞系を使用するアプローチ、及び抗イディオタイプ抗体を使用するアプローチが含まれる、免疫療法アプローチ;
(x)例えば、CDK阻害剤(例、フラボピリドール)と細胞周期チェックポイント(例、チェックポイントキナーゼ)の他の阻害剤が含まれる細胞周期阻害剤;auroraキナーゼや有糸分裂及び細胞質分裂の調節に関与する他のキナーゼ(例、有糸分裂キネシン)の阻害剤;及び、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;並びに
(xi)エンドセリンAアンタゴニスト、エンドセリンBアンタゴニスト、及びエンドセリンA及びBアンタゴニストが含まれる、エンドセリンアンタゴニスト;例えば、ZD4054及びZD1611(WO96/40681)、アトラセンタン、及びYM598。
【0118】
故に、本発明のさらなる側面において、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩と:
(i)1以上の抗増殖/抗新生物薬;及び/又は
(ii)1以上の細胞増殖抑制剤;及び/又は
(iii)癌細胞浸潤を阻害する1以上の薬剤;及び/又は
(iv)増殖因子機能の1以上の阻害剤;及び/又は
(v)1以上の抗血管新生剤;及び/又は
(vi)1以上の血管傷害剤;及び/又は
(vii)1以上のアンチセンス療法;及び/又は
(viii)1以上の遺伝子治療アプローチ;及び/又は
(ix)1以上の免疫療法アプローチ;及び/又は
(x)1以上の細胞周期阻害剤;及び/又は
(xi)1以上のエンドセリンアンタゴニストより選択される化学療法剤を提供する。
【0119】
このような併用治療は、治療の個別成分の同時、連続、又は分離投薬により達成してよい。そのような組合せ品は、本発明の化合物を上記に記載の投与量範囲内で、そして他の医薬活性剤をその承認された投与量範囲内で利用する。
【0120】
治療用医薬品におけるその使用に加えて、式(I)の化合物とその医薬的に許容される塩は、新たな治療薬剤の探索の一部として、CSF−1Rキナーゼの阻害剤の効果をネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラット、及びマウスのような実験動物において評価するための in vitro 及び in vivo 試験系の開発及び標準化における薬理学的ツールとしても有用である。
【0121】
上記の他の医薬組成物、製造法、方法、使用、及び医薬品製造の特徴では、本明細書に記載の本発明の化合物の代替的で好ましい態様も適用される。
【実施例】
【0122】
これから本発明を以下の非限定的な実施例により例示するが、ここでは、他に述べなければ:
(i)温度は、摂氏(℃)で示し;各種操作は、他に述べなければ、室温又は周囲温度で、即ち18〜25℃の範囲の温度で行った;
(ii)有機溶液は、無水硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウムで乾燥させた;溶媒の蒸発は、ロータリーエバポレーターを減圧(600〜4000パスカル;4.5〜30mmHg)下に60℃までの浴温で使用して行った;
(iii)一般に、反応の経過はTLCにより追跡して、反応時間は例示用にのみ示す;
(iv)最終生成物は、満足できるプロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトル及び/又は質量スペクトルデータを示した;
(v)収率は例示用にのみ示し、必ずしも、入念なプロセス開発により入手し得るものではない;より多くの材料が必要とされる場合、製造を繰り返した;
(vi)示す場合、NMRデータは、主要な診断プロトンのデルタ値の形式であり、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で示し、他に示さなければ、過重水素ジメチルスルホキシド(DMSO−d)を溶媒として使用して400MHzで決定した;
(vii)化学記号は、その通常の意味を有する;SI単位及び記号を使用する;
(viii)溶媒比は、容積/容積(v/v)用語で示す;そして
(ix)質量スペクトルは、直接曝露プローブを使用する化学イオン化(CI)モードにおいて70電子ボルトの電子エネルギーで操作した;明示した場合にはイオン化は、電子衝撃(EI)、高速原子衝突(FAB)、又はエレクトロスプレー(ESP)により実施した;m/zの数値を示す;一般に、元の質量を示すイオンだけを報告する;そして、他に述べなければ、引用する質量イオンは、(M+H)である;
(x)合成について、先の実施例の記載に類似していると記載する場合、使用する量は、先の実施例で使用したものに対してミリモル濃度比の同等量である;
(xi)以下の略語を使用した;
DMF N,N−ジメチルホルムアミド;
EtOAc 酢酸エチル;
MeOH メタノール;
THF テトラヒドロフラン;
TBAF フッ化テトラブチルアンモニウム;
TFA トリフルオロ酢酸;
DMSO ジメチルスルホキシド
(xii)「ISCO」は、12g及び40gの前充填シリカゲルカートリッジを使用する順相フラッシュカラムクロマトグラフィーを意味して、ISCO社(4700 superior street ネブラスカ州リンカーン、アメリカ)より得られる製造業者手引きに従って使用する;
(xiii)「Gilson」は、0.1% TFAを含む水/MeCNを移動相とする、寸法20mm/100及び50mm/250のYMC−AQC18逆相HPLCカラムを意味する;及び
(xiv)「Berger SFC」は、Diol SFCカラム(21.2x250mm)を修飾剤としての40%メタノール、流速60ml/分、40℃、圧力100バールで使用する超臨界流体クロマトグラフィーを意味する。
【0123】
実施例1
6−(3−アミノプロピル)−4−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド
(3−{3−(アミノカルボニル)−4−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−6−イル}プロピル)カルバミン酸tert−ブチル(実施例2;500mg,0.96ミリモル)のTFA:DCM(1:1,10mL)溶液を1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去して、得られたオイルをジエチルエーテルで16時間摩砕して、204mgの固形物を得た。1H NMR: 10.94 (s, 1H), 8.89 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.77 (s, 2H), 7.71 (s, 1H), 7.58 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 4.01 (s, 3H), 2.81 (m, 2H), 2.71 (m, 2H), 1.80 (m, 2H); m/z: 420。
【0124】
実施例2
(3−{3−(アミノカルボニル)−4−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−6−イル}プロピル)カルバミン酸tert−ブチル
6−{3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]プロピル}−4−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル(中間体1;600mg,1.10ミリモル)及びホルムアミド(350μL,8.8ミリモル)のDMF(5mL)溶液へ窒素下に100℃でNaOMeの溶液(MeOH中0.5M,6.5mL,3.28ミリモル)を10分にわたり滴下した。100℃で16時間後、反応混合物を冷やし、塩水(200mL)へ注いで、EtOAc(3x200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)させ、減圧下で濃縮して、残渣をEtOAcで溶出させるISCOでの順相クロマトグラフィーへ処して、500mgのオイルを得た。m/z: 548。
【0125】
実施例3〜7
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、実施例2に類似した方法によって製造した。
【0126】
【表2】

【0127】
実施例8
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−メトキシ−6−(3−ピペリジン−1−イルプロピル)キノリン−3−カルボキサミド
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−(3−ヒドロキシプロピル)−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド(実施例14;21mg,0.54ミリモル)及びトリエチルアミン(735μL,5.4ミリモル)のTHF(15mL)溶液へ塩化メシル(42μL,0.52ミリモル)のTHF(1mL)溶液を0℃で5分にわたり滴下した。1時間にわたり室温へ温めた後で、反応混合物を後続の反応に使用した。
【0128】
上記の反応混合物のほぼ1/3へピペリジン(532μL,5.4ミリモル)を加えた。16時間後、溶媒を減圧下で除去して、残渣を飽和炭酸カリウム溶液(20mL)とEtOAc(20mL)の間で分画した。水相をEtOAc(3x30mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮して、17mgのオイルを得た。1H NMR (CD3OD): 8.76 (s, 1H), 7.37 (s, 1H), 7.18 (s, 1H), 6.99 (m, 2H), 6.82 (m, 1H), 3.90 (s, 3H), 2.55 (m, 4H), 2.48 (t, 2H), 2.41 (t, 2H), 1.59 (m, 6H), 1.45 (m, 2H); m/z: 455。
【0129】
実施例9〜13
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、実施例8に類似した方法によって製造した。
【0130】
【表3】

【0131】
実施例14
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−(3−ヒドロキシプロピル)−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド
6−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロピル)−4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド(中間体75,350mg,0.7ミリモル)のTBAF(THF中1.0M,3.6mL)溶液を16時間撹拌し、水(300mL)へ注いで、EtOAc(3x200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮して、250mgのオイルを得た。1H NMR: 10.70 (s, 1H), 8.92 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.33 (m, 2H), 7.28 (s, 1H), 6.98 (m, 2H), 4.37 (t, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.29 (m, 2H), 2.51 (t, 2H), 1.46 (m, 2H)。
【0132】
実施例15〜16
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、実施例14に類似した方法によって製造した。
【0133】
【表4】

【0134】
実施例17〜19
以下の化合物は、脱保護工程に先立ってTBDMSエーテルアミドを単離しないこと以外は、実施例2と実施例14に類似した方法によって製造した。
【0135】
【表5】

【0136】
実施例20
4−[(4−エチルフェニル)アミノ]−6−(3−ヒドロキシプロピル)−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド
6−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロプ−1−イン−1−イル)−4−[(4−エチルフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド(中間体78,0.30g,0.61ミリモル)及びTBAF(THF中1.0M,5mL,5ミリモル)の溶液を16時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(10mL)とNaHCO溶液(25mL)の間で分画し、有機層を抽出して、10%パラジウム担持カーボン(30mg)とともに圧力ボトルへ移した。これを50psiのHガスで満たして、25℃で1時間振り混ぜた。得られた黒い混合物を珪藻土に通して濾過し、シリカ上へ濃縮し、カラムクロマトグラフィー(9:1 EtOAc:MeOH)により精製して、78mg(33%)の淡黄色の固形物を得た。1H NMR: 10.76 (s, 1H), 8.90 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.24 (s, 1H), 7.09 (d, 2H), 6.89 (d, 2H), 4.35 (t, 1H), 3.91 (s, 3H), 3.26 (m, 2H), 2.59 (m, 4H), 1.39 (m, 2H), 1.15 (t, 3H); m/z: 380。
【0137】
実施例21
4−[(4−エチルフェニル)アミノ]−6−(3−ヒドロキシプロプ−1−イン−1−イル)−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド
6−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロプ−1−イン−1−イル)−4−[(4−エチルフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド(中間体78,200mg,0.41ミリモル)及びTBAF(THF中1.0M,5mL,5ミリモル)の溶液を16時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(25mL)とNaHCO溶液(25mL)の間で分画し、有機層を抽出し、減圧下で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、33mg(21%)の黄色い固形物を得た。1H NMR: 10.62 (s, 1H), 8.91 (s, 1H), 8.20 (s, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.13 (d, 2H), 6.91 (d, 2H), 5.29 (t, 1H), 4.23 (d, 2H), 3.93 (s, 3H), 2.55 (m, 2H), 1.15 (t, 3H); m/z: 376。
【0138】
実施例22
7−エトキシ−4−[(4−エチルフェニル)アミノ]−6−(3−ヒドロキシプロピル)キノリン−3−カルボキサミド
7−エトキシ−4−[(4−エチルフェニル)アミノ]−6−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロピル]キノリン−3−カルボキサミド(実施例4;122mg,0.31ミリモル)、ジオキサン中4N HCl(2mL)、及びMeOH(10mL)の溶液をそのまま3日間静置させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を1N NaOH(15mL)とEtOAc(15mL)の間で分画した。水層をEtOAc(3x20mL)でさらに抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)させ、濾過して、減圧下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH)により精製して、25mgのゴムを得た。1H NMR (CD3OD): 8.69 (s, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.06 (d, 2H), 7.04 (s, 1H), 6.85 (d, 2H), 4.08 (q, 2H), 3.31 (t, 2H), 2.53 (m, 2H), 2.42 (t, 2H), 1.46 (m, 2H), 1.37 (t, 3H), 1.13 (t, 3H); m/z: 394。
【0139】
実施例23〜25
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、実施例22に類似した方法によって製造した。
【0140】
【表6】

【0141】
実施例26
6−シクロプロピル−4−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド
6−ブロモ−4−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド(中間体70;297mg,0.62ミリモル)、シクロプロピルボロン酸(127mg,1.5ミリモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(180mg,0.155ミリモル)、リン酸カリウム(829mg,4ミリモル)、及びトルエン/水混合物(10mL,20:1)の混合物を100℃で16時間撹拌した。反応混合物を珪藻土に通して濾過して、EtOAcで洗浄した。有機層を水と塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させて、減圧下で濃縮した。残渣をはじめにBerger超臨界流体クロマトグラフィーで、次いでGilsonでの逆相クロマトグラフィーにより精製して、12mgの生成物を得た。1H NMR (CD3OD): 8.82 (s, 1H), 7.62 (d, 1H), 7.49 (d, 1H), 7.37 (s, 1H), 7.26 (d, 1H), 7.24 (s, 1H), 4.08 (s, 3H), 2.18 (m, 1H), 0.94 (m, 2H), 0.38 (m, 2H); m/z: 402。
【0142】
実施例27〜30
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、実施例26に類似した方法によって製造した。
【0143】
【表7】

【0144】
実施例31
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシ−6−ピリジン−3−イルキノリン−3−カルボキサミド
ジオキサン/水(4ml,4:1)中の6−ブロモ−4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシキノリン−3−カルボキサミド(中間体74;100mg,0.237ミリモル)、3−ピリジンボロン酸(35mg,0.28ミリモル)、炭酸セシウム(154mg,0.47ミリモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(27mg,10%モル)の混合物をマイクロ波条件下に165℃で30分間加熱した。反応混合物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc,EtOAc:MeOH 70:30)により精製し、MeOHより再結晶させて、63mg(63%)の白い固形物を得た。1H NMR: 10.80 (s, 1H), 9.00 (s, 1H), 8.57 (s, 1H), 8.45 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.80 (m, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.45 (m, 3H), 7.25 (m, 1H), 7.10 (m, 1H), 4.29 (q, 2H), 1.39 (t, 3H); m/z: 421。
【0145】
実施例32〜37
以下の化合物は、中間体74と適正なボロン酸より、実施例31に類似した方法によって製造した。
【0146】
【表8】

【0147】
実施例38
4−{3−(アミノカルボニル)−4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシキノリン−6−イル}−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸tert−ブチル
ジオキサン(15mL)及び水(1mL)中の6−ブロモ−4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシキノリン−3−カルボキサミド(中間体74;0.63g,1.50ミリモル)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸tert−ブチル(0.69g,2.25ミリモル)、Pd(PPh(0.35g,0.30ミリモル)、及び炭酸カリウム(0.52g,3.75ミリモル)の混合物をアルゴン下に100℃まで6時間加熱した。冷却後、反応混合物を水(約100mL)で希釈して、EtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥(MgSO)させ、濾過し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:MeOH,4:1)により精製して、622mg(79%)のオフホワイトの固形物を得た。1H NMR: 10.76 (s, 1H), 8.90 (s, 1H), 8.25 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.37 (m, 2H), 7.27 (s, 1H), 7.06 (m, 2H), 5.52 (s, 1H), 4.16 (q, 2H), 3.85 (s, 2H), 3.39 (s, 2H), 2.27 (s, 2H), 1.38 (m, 12H); m/z 525。
【0148】
実施例39
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシ−6−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)キノリン−3−カルボキサミド
4−{3−(アミノカルボニル)−4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシキノリン−6−イル}−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸tert−ブチル(実施例38,0.21g,0.40ミリモル)のCHCl(4mL)及びTFA(4mL)溶液を2時間撹拌してから、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(50mL)に溶かして、飽和NaHCO水溶液(50mL)で洗浄した。有機抽出物を乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮し、残渣を逆相HPLC(アセトニトリル/水)により精製して、161mg(95%)の表題化合物を得た。1H NMR 11.41 (s, 1H), 8.89 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 7.77 (s, 2H), 7.46 (m, 1H), 7.38 (m, 2H), 7.14 (m, 1H), 5.76 (s, 1H), 4.25 (q, 2H), 3.70 (s, 2H), 3.22 (s, 2H), 2.53 (s, 2H), 1.42 (t, 3H); m/z 427。
【0149】
実施例40
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシ−6−ピペリジン−4−イルキノリン−3−カルボキサミド
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシ−6−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)キノリン−3−カルボキサミド(実施例39,0.201g,0.473ミリモル)、TFA(2mL)、及びトリエチルシラン(1mL)の溶液を50℃まで24時間温めた後で、減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(アセトニトリル/水)より精製して、15mg(7.5%)の表題化合物を得た。m/z 427。
【0150】
実施例41
6−(1−アセチル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)−4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシキノリン−3−カルボキサミド
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシ−6−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)キノリン−3−カルボキサミド(実施例39,0.15g,0.353ミリモル)及びトリエチルアミン(0.15mL,1.06ミリモル)のCHCl溶液を0℃へ冷やして、無水酢酸(0.054g,0.529ミリモル)を滴下した。この反応物を室温まで温めて12時間撹拌してから、NaHCO水溶液(25mL)へ加えて、EtOAc(2x25ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥(MgSO)させ、濾過し、減圧下で濃縮し、残渣を逆相HPLC(アセトニトリル/水)より精製して、100mg(61%)の表題化合物を得た。1H NMR 10.75 (s, 1H), 8.90 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.38 (m, 2H), 7.28 (s, 1H), 7.04 (m, 2H), 5.50 (d, 1H), 4.18 (q, 2H), 3.92 (d, 2H), 3.50 (m, 2H), 2.35 (s, 1H), 2.25 (s, 1H), 2.02 (s, 3H), 1.38 (t, 3H); m/z 467。
【0151】
実施例42
7−エトキシ−4−[(2−フルオロ−4−メチルフェニル)アミノ]−6−(1−メチルピペリジン−4−イル)キノリン−3−カルボキサミド
7−エトキシ−4−[(2−フルオロ−4−メチルフェニル)アミノ]−6−(1−メチルピペリジン−4−イル)キノリン−3−カルボン酸エチル(中間体15,100mg,0.20ミリモル)及びホルムアミド(0.100mL)のTHF(5mL)溶液へNaOMeの溶液(0.40mL,MeOH中0.5M)を加えた。この反応物を加熱して3時間還流させ、冷やして、減圧下で濃縮した。残渣を逆相HPLC(アセトニトリル/水)により精製して、70mg(74%)の表題化合物を得た。1H NMR 12.06 (s, 1H), 8.94 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.34 (m, 1H), 7.22 (d, 1H), 7.12 (d, 1H), 4.25 (q, 2H), 3.41 (d, 2H), 3.06 (m, 3H), 2.78 (s, 3H), 2.38 (s, 3H), 1.78 (d, 2H), 1.44 (t, 5 H); m/z437。
【0152】
実施例43〜58
以下の化合物は、実施例42に類似した方法によって製造した。
【0153】
【表9−1】

【0154】
【表9−2】

【0155】
【表9−3】

【0156】
【表9−4】

【0157】
実施例59
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシ−6−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)キノリン−3−カルボキサミド
4−(2,4−ジフルオロフェニルアミノ)−7−エトキシ−6−(6−メトキシピリジン−3−イル)キノリン−3−カルボキサミド(実施例30,260mg,0.58ミリモル)のアセトニトリル(25mL)懸濁液へ0℃でヨウ化ナトリウム(0.094mL,2.31ミリモル)と塩化tert−ブチルジメチルシリル(261mg,1.73ミリモル)を加えた。冷却浴を外し、室温で2時間撹拌後に反応が得られなかったので、反応物を50℃まで40時間加熱した。水(10mL)を加えて、混合物をEtOAc(100mL)で洗浄した。水層を濾過して黄色い沈殿を得て、これを水とEtOAcで洗浄して、123mg(49%)の黄色い固形物を得た。1H NMR 11.94 (s, 1H), 11.19 (s, 1H), 8.82 (s, 1H), 8.15 (s, 2H), 7.60 (s, 1H), 7.57 (m, 2H), 7.41 (m, 3H), 7.15 (m, 1H), 6.39 (d, 1H), 4.25 (q, 2H), 1.41 (t, 3H); m/z 437。
【0158】
実施例60
4−[(2−フルオロ−4−メチルフェニル)アミノ]−6−[1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−4−イル]−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド塩酸塩
DMF(10mL)中の6−(1−(2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル)ピペリジン−4−イル)−4−(2−フルオロ−4−メチルフェニルアミノ)−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル(中間体86,0.216g,0.36ミリモル)、ホルムアミド(0.144mL,3.62ミリモル)の混合物を100℃で3時間撹拌した。NaOMeの溶液(1.09mL,MeOH中0.5M,0.54ミリモル)を加えて、6時間の加熱後、追加分量のNaOMe(1.09mL,MeOH中0.5M,0.54ミリモル)を加えた。反応混合物を一晩撹拌し、冷やして、フッ化テトラブチルアンモニウム(0.362ml,THF中1.0M,0.36ミリモル)を加えた。反応が一晩撹拌後に不完全であったので、出発材料が残らなくなるまで、追加分量のフッ化テトラブチルアンモニウムを加えた。溶媒を減圧下で除去して、残渣をカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH中20% 2N NH)により精製した。粗生成物をMeOHに溶かして、HClの溶液(ジオキサン中4N)でHCl塩へ変換した。溶媒を除去し、残渣をCHCNで摩砕して濾過して、70mgの固形物を得た。1H NMR 10.72 (s, 1H), 8.84 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.36 (m, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.01 (m, 2H), 6.80 (s, 1H), 4.15 (m, 2H), 3.52 (t, 2H), 3.25 (s, 3H), 3.16 (d, 1H), 2.72 (m, 4H), 2.36 (m, 2H), 2.17 (s, 3H), 2.02 (m, 2H), 溶媒に隠れた1つのプロトン; m/z 453。
【0159】
出発材料の製造
中間体1
6−{3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]プロピル}−4−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル
{3−[(1s,5s)−9−ボラビシクロ[3.3.1]ノン−9−イル]プロピル}カルバミン酸tert−ブチル(1.9ミリモル)のTHF(5mL)溶液を9−BBNとアリルカルバミン酸tert−ブチルより Suzuki et al (JACS, 1989, 111, 314-321) の方法によって製造した。この溶液へN下にKCO(248mg,1.8ミリモル)、DMF(5mL)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)(117mg,0.14ミリモル)、及び6−ブロモ−4−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル(中間体2;400mg,0.9ミリモル)を加えた。50℃で16時間後、反応混合物を冷やし、塩水(200mL)へ注いで、EtOAc(3x200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)させ、濾過して、減圧下で濃縮した。EtOAc/10% MeOH:EtOAcで溶出させるISCOでの順相クロマトグラフィーへこの粗製オイルを処して、500mgのオイルを得た。m/z: 519。
【0160】
中間体2
6−ブロモ−4−[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル
エタノール(50mL)中の6−ブロモ−4−クロロ−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル(中間体28;750mg,2.18ミリモル)、3,4−ジクロロアニリン(389mg,2.4ミリモル)、及び酢酸(1mL)の混合物を加熱して、1.5時間還流させた。冷却後、この混合物を2Nアンモニア水で中和した。生じた固形物を採取し、水に続いて冷エタノールで洗浄し、乾燥させて、700mgの固形物を得た。1H NMR: 8.89 (s, 1H), 8.46 (s, 1H), 7.50 (m, 2H), 7.24 (d, 1H), 6.96 (dd, 1H), 4.03 (s, 3H), 3.98 (q, 2H), 1.12 (t, 3H); m/z: 470。
【0161】
中間体3〜27
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、中間体2に類似した方法によって製造した。いくつかの事例では、冷却とアンモニア水の添加の後で、得られた溶液を濃縮して、シリカクロマトグラフィーで精製した。
【0162】
【表10−1】

【0163】
【表10−2】

【0164】
【表10−3】

【0165】
中間体28
6−ブロモ−4−クロロ−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル
この化合物は、WO2002092571に記載されて、Burke T. R. et al., J. Med. Chem., 36 (1993) 425-432 に記載の手順に従って製造した。
【0166】
6−ブロモ−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸エチル(中間体29;8.0g,0.025)のオキシ塩化リン(100mL)溶液を還流で一晩加熱した。冷却後、この溶液を約400mLの氷水へ撹拌しながら慎重に注いだ。得られた混合物を2N NaOHでやや塩基性にして、EtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、減圧下で濃縮して、8.0g(93%)の白い固形物を得た。1H NMR: δ 9.14 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 4.42 (d, 2H), 4.09 (s, 3H), 1.38 (t, 3H); m/z: 344。
【0167】
中間体29
6−ブロモ−7−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸エチル
{[(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)アミノ]メチレン}マロン酸ジエチル(中間体30;11g,0.029モル)の温ジフェニルエーテル(20mL)溶液を還流ジフェニルエーテル(180mL)へ15分にわたり滴下した。3時間後、この溶液を冷やし、ヘキサン(200mL)で希釈し、生じた沈殿を採取して、8.9g(93%)の白い固形物を得た。
【0168】
中間体30
{[(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)アミノ]メチレン}マロン酸ジエチル
4−ブロモ−3−メトキシアニリン(25g,0.12モル)のCHCN(150mL)溶液へエトキシメチレンマロン酸ジエチル(27mL,0.13モル)を加えた。20時間後、溶媒を減圧下で除去して、残渣をEtOAcに溶かした。ヘキサンを加え、生じた沈殿を採取して、37g(80%)のオフホワイトの固形物を得た。1H NMR: δ 10.68 (d, 1H), 8.38 (d, 1H), 7.52 (d, 1H), 7.20 (d, 1H), 6.91 (dd, 1H), 4.20 (q, 2H), 4.11 (q, 2H), 3.86 (s, 3H), 1.23 (m, 6H); m/z: 372。
【0169】
中間体31
7−ブロモ−4−クロロ−6−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル
7−ブロモ−6−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸エチル(中間体32;4.0g,11.6ミリモル)及びオキシ塩化リン(80mL)の混合物を還流で2.5時間加熱した。この溶液を冷やして、氷(800g)上へ撹拌しながら慎重に注いだ。この混合物を2N NaOHで慎重に中和し、生じた沈殿を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、3.8gの白い固形物を得た。1H NMR (CDCl3): 9.00 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 7.54 (s, 1H), 4.43 (q, 2H), 4.02 (s, 3H), 1.39 (t, 3H)。
【0170】
中間体32
7−ブロモ−6−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸エチル
{[(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)アミノ]メチレン}マロン酸ジエチル(中間体33;10g,0.027モル)の温ジフェニルエーテル(100mL)溶液を還流ジフェニルエーテル(100mL)へ15分にわたり滴下した。3時間後、反応混合物を冷やし、固体の材料へ石油エーテル(120mL)を加え、これを濾過し、ヘキサンで洗浄して、8gの白い固形物を得た。1H NMR: δ 8.54 (s, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.65 (s, 1H), 4.22 (q, 2H), 3.95 (s, 3H), 1.28 (t, 3H)。
【0171】
中間体33
{[(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)アミノ]メチレン}マロン酸ジエチル
3−ブロモ−4−メトキシアニリン(中間体34;8.3g,40.9ミリモル)及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(8.85mL,44.2ミリモル)のCHCN(60mL)溶液を2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣のヘキサンからの再結晶によって、11gの白い固形物を得た。1H NMR (CDCl3): 10.98 (d, 1H), 8.40 (d, 1H), 7.40 (d, 1H), 7.08 (dd, 1H), 6.91 (d, 1H), 4.29 (m, 4H), 3.91 (s, 3H), 1.37 (m, 6H)。
【0172】
中間体34
3−ブロモ−4−メトキシアニリン
表題化合物は、Liu Y.-Y. and Munich, M., J. Label Compd Radiopharm., 18 (1981), 791-797 の手順に従って製造した。
【0173】
中間体35
6−ブロモ−4−クロロ−7−エトキシキノリン−3−カルボン酸エチル
{[(4−ブロモ−3−エトキシフェニル)アミノ]メチル}マロン酸ジエチル(中間体36;52.9g,0.137モル)のトルエン(125ml)溶液へPOCl(209.9g,125mL,1.37モル)を加えた。反応混合物を110℃で48時間撹拌し、冷やして、減圧下で濃縮した。残渣を、ガスが発生しなくなるまで、飽和NaHCO溶液で慎重に処理し、生じた固形物を濾過し、飽和NaHCOと水で洗浄してから、熱いMeOH(約200mL)中でスラリー化させ、冷やして濾過して、42gの橙色の固形物を得た。
【0174】
中間体36
{[(4−ブロモ−3−エトキシフェニル)アミノ]メチル}マロン酸ジエチル
4−ブロモ−3−エトキシアニリン(21g,0.1モル)及びエトキシメチレンマロン酸ジエチル(19mL,0.1モル)のCHCN(150mL)溶液を2時間撹拌してから、75℃まで16時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をヘキサンより再結晶させて25gの白い固形物を得て、これをさらに精製せずに使用した。
【0175】
中間体37
4−クロロ−7−エトキシ−6−(1−メチルピペリジン−4−イル)キノリン−3−カルボン酸エチル
POCl(15mL)中の({[3−エトキシ−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル]アミノ}メチレン)マロン酸ジエチル(中間体41,1.1g,2.71ミリモル)を加熱して、48時間還流させた。冷却後、POClを減圧下で除去し、残渣を重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)へ加えて、EtOAc(2x200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、0.81g(80%)の表題化合物を得て、さらに精製せずに使用した。m/z 378。
【0176】
中間体38〜40
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、中間体37に類似した方法によって製造した。
【0177】
【表11】

【0178】
中間体41
({[3−エトキシ−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル]アミノ}メチレン)マロン酸ジエチル
[3−エトキシ−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル]アミンヨウ化水素酸塩(中間体45,1.2g,3.31ミリモル)のアセトニトリル(15mL)溶液へトリエチルアミン(0.92mL,6.62ミリモル)と(エトキシメチレン)マロン酸ジエチル(0.695mL,3.47ミリモル)を加えた。この反応物を16時間撹拌し、重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)へ加えて、EtOAc(2x200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過して、減圧下で濃縮した。EtOAc/ヘキサン(1:1)で溶出させるシリカクロマトグラフィーで残渣を精製して、1.1g(82%)のオフホワイトの固形物を得た。m/z 406。
【0179】
中間体42〜44
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、中間体41に類似した方法によって製造した。
【0180】
【表12】

【0181】
中間体45
[3−エトキシ−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル]アミンヨウ化水素酸塩
ヨウ化4−(2−エトキシ−4−ニトロフェニル)−1−メチルピリジニウム(中間体51,1.5g,3.88ミリモル)とMeOH(100mL)で満たした500mLのParrボトルへPtO(375mg)を加えた。この容器をParrシェーカー上に置き、Hで3回パージし、50psi Hで満たした。この反応物を24時間振り混ぜてから、窒素でパージし、Celiteのベッドに通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮して1.3g(97%)の表題化合物を得て、さらに精製せずに使用した。m/z 235。
【0182】
中間体46〜48
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、中間体45に類似した方法によって製造した。
【0183】
【表13】

【0184】
中間体49
4−(2−エトキシ−4−ニトロフェニル)−1−イソプロピル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン
ヨウ化4−(2−エトキシ−4−ニトロフェニル)−1−イソプロピルピリジニウム(中間体52,1.0g,2.41ミリモル)のMeOH(20mL)溶液へ水素化ホウ素ナトリウム(0.32g,8.44ミリモル)を少量ずつ加えた。この反応物を1時間撹拌し、アセトン(5mL)を加えて、過剰の水素化ホウ素ナトリウムを分解させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をEtOAc(50mL)に溶かし、重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)へ加えて、EtOAc(2x200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(0.64g,91%)の表題化合物を得て、さらに精製せずに使用した。m/z 291。
【0185】
中間体50
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、中間体49に類似した方法によって製造した。
【0186】
【表14】

【0187】
中間体51
ヨウ化4−(2−エトキシ−4−ニトロフェニル)−1−メチルピリジニウム
4−(2−エトキシ−4−ニトロフェニル)ピリジン(中間体55,1.0g,4.09ミリモル)のアセトニトリル(20mL)溶液へヨウ化メチル(1.16g,8.18ミリモル)を加えた。この反応物を40℃で12時間撹拌してから、冷やして、ジエチルエーテル(200mL)で希釈した。生じた沈殿を濾過し、追加のジエチルエーテル(100mL)で洗浄し、乾燥させて、1.65g(99%)の表題化合物を得て、さらに精製せずに使用した。m/z 260。
【0188】
中間体52〜54
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、中間体51に類似した方法によって製造した。
【0189】
【表15】

【0190】
中間体55
4−(2−エトキシ−4−ニトロフェニル)ピリジン
ジオキサン(60mL)及び水(6mL)中の1−ブロモ−2−エトキシ−4−ニトロベンゼン(5.0g,20.32ミリモル)、ピリジン−4−イルボロン酸(2.50g,20.32ミリモル)、炭酸カリウム(8.4g,60.96ミリモル)、及びPd(Ph(4.0g,5.08ミリモル)の混合物をアルゴンの雰囲気下に90℃まで24時間加熱した。この反応物を冷やし、水(100mL)で希釈して、EtOAc(2x200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過して、減圧下で濃縮した。EtOAc/ヘキサン(1:1)で溶出させるシリカクロマトグラフィーで残渣を精製して、3.2g(65%)のオフホワイトの固形物を得た。m/z 245。
【0191】
中間体56
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、中間体55に類似した方法によって製造した。
【0192】
【表16】

【0193】
中間体57
6−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロピル)−4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル
{3−[(1s,5s)−9−ボラビシクロ[3.3.1]ノン−9−イル]プロポキシ}(tert−ブチル)ジメチルシラン(0.55ミリモル)のTHF(約5mL)溶液を Suzuki et al (JACS, 1989, 111, 314-321) の手順に従って製造した。この溶液へN下にKCO(69mg,0.5ミリモル)、DMF(3mL)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)(28mg,0.34ミリモル)、及び6−ブロモ−4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル(中間体3;110mg,0.25ミリモル)を加えた。50℃で4時間後、別のアリコートのPd触媒(14mg)とKCO(69mg)を加えて、さらに16時間後に反応混合物を冷やし、塩水(200mL)へ注いで、EtOAc(3x40mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)させ、濾過して、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)により精製して、100mgのオイルを得た。m/z: 531。
【0194】
中間体58〜67
以下の化合物は、中間体57に類似した方法によって製造した。
【0195】
【表17】

【0196】
中間体68
6−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロプ−1−イン−1−イル)−4−[(4−エチルフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル
6−ブロモ−4−[(4−エチルフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル(中間体5;1.0g,2.33ミリモル)、トリエチルアミン(11.6mL)、パラジウム−テトラキス(トリフェニルホスフィン)(0.269g,0.233ミリモル)、及びtert−ブチルジメチル(2−プロピニルオキシ)シラン(0.94mL,4.65ミリモル)の溶液を60℃で24時間加熱した。さらなる分量のtert−ブチルジメチル(2−プロピニルオキシ)シラン(1mL)を加えて、加熱を48時間続けた。冷却後、EtOAc(20mL)と水(60mL)を加え、水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物をシリカ上へ濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、0.72g(60%)の黄色いの固形物を得た。1H NMR: 9.88 (s, 1H), 8.90 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.16 (d, 2H), 7.00 (d, 2H), 4.49 (s, 2H), 4.10 (q, 2H), 3.94 (s, 3H), 2.60 (m, 2H), 1.15 (t, 6H), 0.85 (s, 9H), -0.05 (s, 6H)。
【0197】
中間体69
4−[(3−クロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシ−6−(3−ヒドロキシプロピル)キノリン−3−カルボン酸エチル
EtOH(30mL)中の4−クロロ−7−エトキシ−6−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロピル]キノリン−3−カルボン酸エチル(中間体60;600mg,1.42ミリモル)と3−クロロ−2−フルオロアニリン(156μL,1.42ミリモル)の混合物を還流で2時間加熱した。溶媒を減圧下で除去して、残渣を0.5N NaOH(100mL)とEtOAc(100mL)の間で分画した。水相をEtOAc(2x100mL)で再抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)させ、濾過して減圧下で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製して、134mgのオフホワイトの固形物を得た。1H NMR: 9.56 (s, 1H), 8.91 (s, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.26 (t, 1H), 7.09 (t, 1H), 6.94 (t, 1H), 4.43 (t, 1H), 4.23 (q, 2H), 4.11 (q, 2H), 3.37 (m, 2H), 2.61 (m, 2H), 1.61 (m, 2H), 1.42 (t, 3H), 1.21 (t, 3H); m/z: 447。
【0198】
中間体70〜78
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、実施例2に類似した方法によって製造した。
【0199】
【表18−1】

【0200】
【表18−2】

【0201】
中間体79
6−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル
4−(2,4−ジフルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−(ピペリジン−4−イル)キノリン−3−カルボン酸エチル(中間体83,0.298g,0.67ミリモル)及び無水酢酸(0.127mL,1.35ミリモル)のジクロロメタン(5mL)溶液を20時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/EtOAc)により精製して、0.100gの固形物を得た。m/z: 484。
【0202】
中間体80〜82
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、中間体79に類似した方法によって製造した。
【0203】
【表19】

【0204】
中間体83
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−メトキシ−6−ピペリジン−4−イルキノリン−3−カルボン酸エチル
4−(2,4−ジフルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−(1−メチルピペリジン−4−イル)キノリン−3−カルボン酸エチル(中間体24,0.301g,0.66ミリモル)の1,2−ジクロロエタン(5mL)溶液へ1−クロロエチルクロロホルメート(0.214mL,1.98ミリモル)とトリエチルアミン(0.092mL,0.66ミリモル)を加えた。反応混合物を75℃で2時間撹拌して、減圧下で濃縮した。MeOH(10ml)を加え、この反応物を55℃で72時間にわたり撹拌して、減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタンと飽和NaHCO溶液の間で分画した。水相をジクロロメタンで再抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥(NaSO)させ、濾過して減圧下で濃縮して、0.298gの茶褐色の固形物を得て、さらに精製せずに使用した。
【0205】
中間体84〜85
以下の化合物は、適正な出発材料を使用して、中間体83に類似した方法によって製造した。
【0206】
【表20】

【0207】
中間体86
6−[1−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)ピペリジン−4−イル]−4−[(2−フルオロ−4−メチルフェニル)アミノ]−7−メトキシキノリン−3−カルボン酸エチル
4−[(2−フルオロ−4−メチルフェニル)アミノ]−7−メトキシ−6−ピペリジン−4−イルキノリン−3−カルボン酸エチル(中間体85,0.10g,0.23ミリモル)及び(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)アセトアルデヒド(0.174mL,0.91ミリモル)のメタノール(5mL)溶液へトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.194g,0.91ミリモル)を加えた。この反応物を24時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH)により精製して、0.133gの黄色い固形物を得た。m/z: 596。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
とRの一方は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、スルファモイル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルカノイルオキシ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、N−(C1−6アルキル)−N−(C1−6アルコキシ)アミノ、C1−6アルカノイルアミノ、C1−6アルコキシカルボニル、N−(C1−6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−6アルキル)スルファモイル、C1−6アルキルスルホニルアミノ、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;
は、水素又はハロであり;
は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルカノイルオキシ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、N−(C1−6アルキル)−N−(C1−6アルコキシ)アミノ、C1−6アルカノイルアミノ、N−(C1−6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−6アルキル)カルバモイル、C1−6アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、C1−6アルコキシカルボニル、N−(C1−6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−6アルキル)スルファモイル、C1−6アルキルスルホニルアミノ、カルボシクリル、又はヘテロシクリルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R10より選択される基により置換されていてもよく;
又はここで2つのR基が隣接炭素上にあれば、それらは、炭素環式環又は複素環式環を形成してもよく;ここで前記炭素環式環又は複素環式環は、炭素上で1以上のR11により置換されていてもよく;そしてここで前記複素環式環が−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R12より選択される基により置換されていてもよく;
nは、0〜3であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なり;
、R、R及びR11は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイル、C1−6アルカノイルオキシ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、N−(C1−6アルキル)−N−(C1−6アルコキシ)アミノ、C1−6アルカノイルアミノ、N−(C1−6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−6アルキル)カルバモイル、C1−6アルキルS(O)(ここでaは、0〜2である)、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、N−(C1−6アルキル)スルファモイル、N,N−(C1−6アルキル)スルファモイル、C1−6アルキルスルホニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より独立して選択され;ここでR、R、R、及びR11は、互いに独立して、炭素上で1以上のR15により置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、R16より選択される基により置換されていてもよく;
13とR14は、直結合、−O−、−N(R17)−、−C(O)−、−N(R18)C(O)−、−C(O)N(R19)−、−S(O)−、−SON(R20)−、又は−N(R21)SO−より独立して選択され;ここでR17、R18、R19、R20、及びR21は、水素又はC1−6アルキルより独立して選択されて、sは、0〜2であり;
、R、R10、R12、及びR16は、C1−6アルキル、C1−6アルカノイル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C1−6アルキル)カルバモイル、N,N−(C1−6アルキル)カルバモイル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイル、及びフェニルスルホニルより独立して選択され;ここでR、R、R10、R12、及びR16は、互いに独立して、炭素上で1以上のR22により置換されていてもよく;そして
15とR22は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシ、カルバモイル、メルカプト、スルファモイル、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、アセチル、アセトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ、アセチルアミノ、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−メチル−N−エチルカルバモイル、フェニル、メチルチオ、エチルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メシル、エチルスルホニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、又はN−メチル−N−エチルスルファモイルより独立して選択される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩[但し、Rがフェニル又はピリド−4−イルであれば、Rは、水素でない]。
【請求項2】
とRの一方がC1−6アルキル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択され;ここでこのR又はRは、炭素上で1以上のRにより置換されていてもよく;そしてここで前記ヘテロシクリルが−NH−部分を含有するならば、その窒素は、Rより選択される基により置換されていてもよく;そして
他のR又はRは、C1−6アルコキシより選択され;
は、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、N,N−(C1−6アルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニルアミノ、カルボシクリル−R13−、又はヘテロシクリル−R14−より選択され;
13とR14は、直結合、−O−、−N(R17)−より独立して選択され;ここでR17は、水素であり;
は、C1−6アルキル、C1−6アルカノイル、C1−6アルコキシカルボニルより選択され;ここでRは、炭素上で1以上のR22により置換されていてもよく;そして
22は、ヒドロキシ又はメトキシより選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
が水素である、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
がハロ及びC1−6アルキルより選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
nが1又は2であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
式(I):
【化2】

[式中:
とRの一方は、1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ピペリジル、1−(3−メトキシプロパノイル)−4−ピペリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル、1−[(2R)−2−ヒドロキシプロパノイル]−4−ピペリジル、1−アセチル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、1−アセチル−4−ピペリジル、1H−ピラゾール−4−イル、1H−ピロール−2−イル、1−イソブチルピラゾール−4−イル、1−イソプロピル−4−ピペリジル、1−メチル−4−ピペリジル、1−tert−ブトキシカルボニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル、3−(1−ピペリジル)プロピル、3−(シクロプロピルアミノ)プロピル、3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル、3−アミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、3−ヒドロキシプロプ−1−イニル、3−ヒドロキシプロピル、3−ピリジル、4−ピペリジル、4−ピリジル、6−メトキシ−3−ピリジル、6−オキソ−1H−ピリジン−3−イル、シクロプロピル、ピリミジン−5−イル、3−(t−ブトキシカルボニルアミノ)プロピル、又は3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)プロピルより選択され;
他のR又はRは、メトキシ又はエトキシより選択され;
は、水素であり;
は、フルオロ、クロロ、メチル、及びエチルより選択され;
nは、1又は2であり;ここでRの意義は、同じであるか又は異なる]の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
7−エトキシ−4−[(2−フルオロ−4−メチルフェニル)アミノ]−6−(1−メチルピペリジン−4−イル)キノリン−3−カルボキサミド;
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシ−6−(1−メチルピペリジン−4−イル)キノリン−3−カルボキサミド;
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−エトキシ−6−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)キノリン−3−カルボキサミド;
7−エトキシ−4−[(2−フルオロ−4−メチルフェニル)アミノ]−6−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)キノリン−3−カルボキサミド;
4−[(2−フルオロ−4−メチルフェニル)アミノ]−7−メトキシ−6−(1−メチルピペリジン−4−イル)キノリン−3−カルボキサミド;
4−[(3−クロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]−7−メトキシ−6−(1−メチルピペリジン−4−イル)キノリン−3−カルボキサミド;
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−7−メトキシ−6−(1−メチルピペリジン−4−イル)キノリン−3−カルボキサミド;
4−[(2−フルオロ−4−メチルフェニル)アミノ]−6−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド;
4−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−6−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミド;及び
4−[(3−クロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]−6−(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)−7−メトキシキノリン−3−カルボキサミドより選択される、式(I):
【化3】

の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を製造するための方法であって:
方法a)式(II):
【化4】

[式中、Lは、置換可能な原子又は基である]の化合物を式(III):
【化5】

の化合物と反応させること:又は
方法b)式(IV):
【化6】

の化合物、又はその活性化誘導体をアンモニアと反応させること;又は
方法c)式(V):
【化7】

[式中、Rは、C1−6アルキル、特にメチル及びエチルである]の化合物をホルムアミド及び塩基と反応させること;又は
方法d)式(VI):
【化8】

の化合物の加水分解;又は
方法e)RとRの一方が、本明細書の上記に述べたように置換されていてもよい、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、カルボシクリル、又は炭素連結ヘテロシクリルより選択される式(I)の化合物では;式(VIIa)又は(VIIb):
【化9】

[式中、Lは、置換可能基である]の化合物の、式(VIIIa)又は(VIIIb):
−B(R (VIIIa) R−B(R (VIIIb)
[式中、−B(Rは、ボロン酸誘導体又はトリアルキルボランである]の化合物との反応による;そしてその後必要であれば、
i)式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物へ変換すること;
ii)あらゆる保護基を外すこと;
iii)医薬的に許容される塩を生成することを含む、前記方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される希釈剤又は担体とともに含む医薬組成物。
【請求項10】
医薬品としての使用のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、ヒトのような温血動物におけるCSF−1Rキナーゼ阻害効果の産生のための医薬品の製造における使用。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、ヒトのような温血動物における抗癌効果の産生のための医薬品の製造における使用。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、メラノーマ、乳頭甲状腺腫瘍、胆管癌、結腸癌、卵巣癌、肺癌、白血病、リンパ性悪性疾患、肝臓、腎臓、膀胱、前立腺、乳房、及び膵臓における癌腫及び肉腫、並びに皮膚、結腸、甲状腺、肺、及び卵巣の原発性及び再発性の固形腫瘍の治療用医薬品の製造における使用。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、乳房、卵巣、膀胱、子宮頸部、子宮内膜、前立腺、肺、腎臓、及び膵臓の腫瘍;骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、及び慢性リンパ球性白血病が含まれる悪性血液疾患;及び、神経膠腫、食道の扁平細胞癌、悪性ブドウ膜メラノーマ、及び濾胞性リンパ腫の治療用医薬品の製造における使用。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の、腫瘍に関連した骨溶解、卵巣摘出誘発性の骨損失が含まれる骨粗鬆症、整形外科移植の失敗、全身性紅斑性狼瘡が含まれる自己免疫障害、関節リウマチ、骨関節炎が含まれる関節炎、腎臓の炎症、及び糸球体腎炎;炎症性腸疾患;腎臓及び骨髄の同種移植片及び皮膚異種移植片が含まれる移植拒絶、アテローム性動脈硬化症、肥満、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、乾癬及びランゲルハンス細胞組織球症が含まれる慢性皮膚障害の治療用医薬品の製造における使用。
【請求項16】
ヒトのような温血動物におけるCSF−1Rキナーゼ阻害効果の産生における使用のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される希釈剤又は担体とともに含む医薬組成物。
【請求項17】
ヒトのような温血動物における抗癌効果の産生における使用のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される希釈剤又は担体とともに含む医薬組成物。
【請求項18】
ヒトのような温血動物における、メラノーマ、乳頭甲状腺腫瘍、胆管癌、結腸癌、卵巣癌、肺癌、白血病、リンパ性悪性疾患、肝臓、腎臓、膀胱、前立腺、乳房、及び膵臓における癌腫及び肉腫、並びに皮膚、結腸、甲状腺、肺、及び卵巣の原発性及び再発性の固形腫瘍の治療における使用のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される希釈剤又は担体とともに含む医薬組成物。
【請求項19】
ヒトのような温血動物における、乳房、卵巣、膀胱、子宮頸部、子宮内膜、前立腺、肺、腎臓、及び膵臓の腫瘍;骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、及び慢性リンパ球性白血病が含まれる悪性血液疾患;及び、神経膠腫、食道の扁平細胞癌、悪性ブドウ膜メラノーマ、及び濾胞性リンパ腫の治療における使用のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される希釈剤又は担体とともに含む医薬組成物。
【請求項20】
ヒトのような温血動物における、腫瘍に関連した骨溶解、卵巣摘出誘発性の骨損失が含まれる骨粗鬆症、整形外科移植の失敗、全身性紅斑性狼瘡が含まれる自己免疫障害、関節リウマチ、骨関節炎が含まれる関節炎、腎臓の炎症、及び糸球体腎炎;炎症性腸疾患;腎臓及び骨髄の同種移植片及び皮膚異種移植片が含まれる移植拒絶、アテローム性動脈硬化症、肥満、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、乾癬及びランゲルハンス細胞組織球症が含まれる慢性皮膚障害の治療における使用のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される希釈剤又は担体とともに含む医薬組成物。
【請求項21】
ヒトのような温血動物におけるCSF−1Rキナーゼ阻害効果の産生のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項22】
ヒトのような温血動物における抗癌効果の産生のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項23】
メラノーマ、乳頭甲状腺腫瘍、胆管癌、結腸癌、卵巣癌、肺癌、白血病、リンパ性悪性疾患、肝臓、腎臓、膀胱、前立腺、乳房、及び膵臓における癌腫及び肉腫、並びに皮膚、結腸、甲状腺、肺、及び卵巣の原発性及び再発性の固形腫瘍の治療のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項24】
乳房、卵巣、膀胱、子宮頸部、子宮内膜、前立腺、肺、腎臓、及び膵臓の腫瘍;骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、及び慢性リンパ球性白血病が含まれる悪性血液疾患;及び、神経膠腫、食道の扁平細胞癌、悪性ブドウ膜メラノーマ、及び濾胞性リンパ腫の治療のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項25】
腫瘍に関連した骨溶解、卵巣摘出誘発性の骨損失が含まれる骨粗鬆症、整形外科移植の失敗、全身性紅斑性狼瘡が含まれる自己免疫障害、関節リウマチ、骨関節炎が含まれる関節炎、腎臓の炎症、及び糸球体腎炎;炎症性腸疾患;腎臓及び骨髄の同種移植片及び皮膚異種移植片が含まれる移植拒絶、アテローム性動脈硬化症、肥満、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、乾癬及びランゲルハンス細胞組織球症が含まれる慢性皮膚障害の治療のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項26】
式(IV):
【化10】

[式中、R〜Rとnは、請求項1〜7のいずれか1項に定義される通りである]の化合物。
【請求項27】
式(V):
【化11】

[式中、Rは、C1−6アルキルであり、R〜Rは、請求項1〜7のいずれか1項に定義される通りである]の化合物。
【請求項28】
式(VI):
【化12】

[式中、R〜Rとnは、請求項1〜7のいずれか1項に定義される通りである]の化合物。
【請求項29】
CSF−1Rキナーゼ阻害効果をそのような治療の必要なヒトのような温血動物において産生するための方法であって、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む、前記方法。
【請求項30】
抗癌効果をそのような治療の必要なヒトのような温血動物において産生するための方法であって、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む、前記方法。
【請求項31】
メラノーマ、乳頭甲状腺腫瘍、胆管癌、結腸癌、卵巣癌、肺癌、白血病、リンパ性悪性疾患、肝臓、腎臓、膀胱、前立腺、乳房、及び膵臓における癌腫及び肉腫、並びに皮膚、結腸、甲状腺、肺、及び卵巣の原発性及び再発性の固形腫瘍をそのような治療の必要なヒトのような温血動物において治療する方法であって、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む、前記方法。
【請求項32】
乳房、卵巣、膀胱、子宮頸部、子宮内膜、前立腺、肺、腎臓、及び膵臓の腫瘍;骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、及び慢性リンパ球性白血病が含まれる悪性血液疾患;及び、神経膠腫、食道の扁平細胞癌、悪性ブドウ膜メラノーマ、及び濾胞性リンパ腫をそのような治療の必要なヒトのような温血動物において治療する方法であって、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
腫瘍に関連した骨溶解、卵巣摘出誘発性の骨損失が含まれる骨粗鬆症、整形外科移植の失敗、全身性紅斑性狼瘡が含まれる自己免疫障害、関節リウマチ、骨関節炎が含まれる関節炎、腎臓の炎症、及び糸球体腎炎;炎症性腸疾患;腎臓及び骨髄の同種移植片及び皮膚異種移植片が含まれる移植拒絶、アテローム性動脈硬化症、肥満、アルツハイマー病、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、乾癬及びランゲルハンス細胞組織球症が含まれる慢性皮膚障害をそのような治療の必要なヒトのような温血動物において治療する方法であって、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容される塩の有効量を前記動物へ投与することを含む、前記方法。

【公表番号】特表2010−509300(P2010−509300A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535798(P2009−535798)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004263
【国際公開番号】WO2008/056148
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】