説明

化学反応用カートリッジ、混合物生成方法及び化学反応用カートリッジの制御装置

【課題】1の化学反応用カートリッジで2以上の混合物を生成する。
【解決手段】カートリッジ10は2以上の混合室M1〜M5と混合室の一室ごとに設けられ、一混合室にそれぞれ流路で繋がれ、混合率に応じた量の成分が分けて容れられる2以上の成分室s1,k1,i1〜s5,k5,i5とを有する。他のカートリッジ20は、成分室に分配される成分が容れられる成分供給室S,K,Iを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学反応用カートリッジを用いて2以上の混合物を生成することに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2では、特に溶液の合成や溶解、検出、分離などを、決められたプロトコルに従って個人差がなく低価格で安全、容易に行うことを目的に、内部に室及び流路が形成され、その室や流路内での流動体の流動・流動阻止を可能にする弾性体と、位置や形状を保持するための剛性体の基板とから構成された化学反応用カートリッジが提案されている。
特許文献1,2記載の発明によれば、ローラ等で弾性体を変形させて室や流路を押し潰し、押し潰した状態でローラ等を移動又は停止することで、流動体の流動・流動阻止を行っている。
【0003】
このような化学反応用カートリッジは、DNA、RNA、蛋白等を検査・分析するためのバイオ用カートリッジ(バイオチップ)としても利用される。
【0004】
ここで、DNA量の測定につき補足説明する。
例えば図12に示すように、ピペット、チップ、マイクロチューブ、測定用チューブ(セル、プレート)等を用いて、試料に含まれるDNA量を定量測定するために、試料DNA溶液と希釈溶液とインターカレーター溶液とを混合して一定量の混合液を得、5分後、蛍光リーダで混合液から発せられる蛍光光量を測定する。5分間静置するとDNAの2重らせん中にインターカレーターが取り込まれ蛍光を発するようになる。時間が経つにつれ蛍光が退色してしまうため蛍光リーダによる測定は迅速に行う。蛍光光量からDNA量を知るには、蛍光リーダを標準DNAで校正しておく必要がある。校正は次のように行う。
【0005】
図13(b)に示すように、標準DNA溶液a(μl)と希釈溶液b(μl)とインターカレーター溶液c(μl)とを混合して同量の混合液を得る。標準DNA溶液のDNA濃度が既知である。図13(a)の表に示すように、a+b+c=(一定)として、a:bの混合比を変更した数種類の混合液(希釈系列)を得、5分後、蛍光リーダで混合液から発せられる蛍光光量を測定する。DNA濃度と測定した蛍光光量との関係より図13(c)に示すように検量線を得る。この検量線を用いて試料DNA溶液を混合した混合液のDNA濃度を知ることができ、全体の量によりDNA量を知ることができる。
【特許文献1】特開2005−037368号公報
【特許文献2】特開2005−313065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の化学反応用カートリッジでは、希釈系列の生成のように、2以上の混合系列液を生成するには、生成する混合液の分だけカートリッジを使用する必要があった。
【0007】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、2以上の混合物を生成することができる化学反応用カートリッジ、化学反応用カートリッジを用いた混合物生成方法及び化学反応用カートリッジの制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、構成材として弾性体を含み、
内部には、流路と、前記流路で繋がれる2以上の室とが形成され、
外部から前記弾性体に外力を加えることにより前記流路若しくは室又はその両者を部分的に塞いでその流路又は室にある流体状の物質を移動又は移動阻止することができるように構成され、
前記室として、流体状の混合物が容れられる2以上の混合室と、
混合室の一室ごとに設けられ、一混合室にそれぞれ流路で繋がれ、混合率に応じた量の前記混合物の成分が分けて容れられる2以上の成分室とを有することを特徴とする化学反応用カートリッジである。
【0009】
請求項2記載の発明は、成分室の容量が成分の混合率に応じた量とされてなることを特徴とする請求項1に記載の化学反応用カートリッジである。
【0010】
請求項3記載の発明は、一混合室に繋がる成分室の合計の容量が混合室によらず一定で成分室単体の容量が混合室によって異なっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化学反応用カートリッジである。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記室として、一の混合室に属する一の成分室及び他の一の混合室に属する他の一の成分室とに繋がり、それらの成分室に分配される成分が容れられる成分供給室を有することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジである。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記成分供給室を2以上と、
流路及び室が形成された面の形状を維持するための剛性体の基板とを備え、
一の成分供給室及びこれに繋がる各成分室とが前記基板の一面側に形成され、
他の一の成分供給室及びこれに繋がる各成分室とが前記基板の他の一面側に形成されてなることを特徴とする請求項4に記載の化学反応用カートリッジである。
【0013】
請求項6記載の発明は、前記一面側に形成された成分室及び前記他の一面側に形成された成分室のうちいずれか一方が、前記基板を貫通する孔により逆側に形成された混合室に繋がれ、他方が同混合室と同側に形成された流路で同混合室に繋がれてなることを特徴とする請求項5に記載の化学反応用カートリッジである。
【0014】
請求項7記載の発明は、前記成分供給室を2以上と、
2層以上の層構造に流路及び室を形成する弾性体とを備え、
一の成分供給室及びこれに繋がる各成分室とが一層に形成され、
他の一の成分供給室及びこれに繋がる各成分室とが他の一層に形成されてなることを特徴とする請求項4に記載の化学反応用カートリッジである。
【0015】
請求項8記載の発明は、前記一層に形成された成分室及び前記他の一層に形成された成分室のうちいずれか一方が、両者の層間を隔絶する弾性体を貫通する孔により他方の成分室が形成されている層と同層に形成された混合室に繋がれ、他方が同混合室と同側に形成された流路で同混合室に繋がれてなることを特徴とする請求項7に記載の化学反応用カートリッジである。
【0016】
請求項9記載の発明は、前記一層に形成された成分室及び前記他の一層に形成された成分室が、両者の層間を隔絶する弾性体の欠落部によって同一混合室に導かれてなることを特徴とする請求項7に記載の化学反応用カートリッジである。
【0017】
請求項10記載の発明は、構成材として弾性体を含み、
内部には、流路と、前記流路で繋がれる2以上の室とが形成され、
外部から前記弾性体に外力を加えることにより前記流路若しくは室又はその両者を部分的に塞いでその流路又は室にある流体状の物質を移動又は移動阻止することができるように構成され、
前記室として、混合物が容れられる2以上の混合室と
前記混合室に分配される前記混合物の成分が容れられる2以上の成分供給室と、
前記2以上の混合室と前記2以上の成分供給室との間を繋ぐ、2以上の成分に共用される成分室及び流路とを有し、
前記成分室は混合率に応じた量の前記混合物の成分が分けて容れられることを特徴とする化学反応用カートリッジである。
【0018】
請求項11記載の発明は、前記成分室を3以上有し、それらが互いに交わる2方向の各方向に延在する流路を介して連結されてなることを特徴とする請求項10に記載の化学反応用カートリッジである。
【0019】
請求項12記載の発明は、請求項1から請求項9のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジを用いた混合物生成方法であって、
各成分室に混合率に応じた量の成分を容れ、前記弾性体に外力を加えることにより2以上成分室に容れられた各成分を一混合室に移動させて2以上の成分を混合した混合物を生成することを2以上の混合室について行う混合物生成方法である。
【0020】
請求項13記載の発明は、請求項4から請求項9のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジを用いた混合物生成方法であって、
前記弾性体に外力を加えることにより成分供給室を成分の混合率に応じた量だけ縮小させて当該成分供給室から各成分室に混合率に応じた量の成分を移動させ、
その後、前記弾性体に外力を加えることにより2以上成分室に容れられた各成分を一混合室に移動させて2以上の成分を混合した混合物を生成することを2以上の混合室について行う混合物生成方法である。
【0021】
請求項14記載の発明は、請求項4から請求項9のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジを用いた混合物生成方法であって、
成分室の容量が成分の混合率に応じた量とされた化学反応用カートリッジを用い、
前記弾性体に外力を加えることにより成分供給室から各成分室に混合率に応じた量の成分を一時に充填し、
その後、前記弾性体に外力を加えることにより2以上成分室に容れられた各成分を一混合室に移動させて2以上の成分を混合した混合物を生成することを2以上の混合室について行う混合物生成方法である。
【0022】
請求項15記載の発明は、請求項10又は請求項11に記載の化学反応用カートリッジを用いた混合物生成方法であって、
成分ごとに時分割して、前記弾性体に外力を加えることにより成分供給室から各成分室に混合率に応じた量の成分を移動させ、その後、前記弾性体に外力を加えることにより2以上の成分室に容れられた成分を各混合室に移動させることを行って、2以上の成分を混合した混合物を各混合室に生成する混合物生成方法である。
【0023】
請求項16記載の発明は、各成分室で異なる混合率の混合物を得ることを特徴とする請求項12から請求項15のうちいずれか一に記載の混合物生成方法である。
【0024】
請求項17記載の発明は、各成分を一混合室に導入して生成した混合物を、当該一混合室と流路で繋がれた室との間で反復移動させてその混合を促進することを特徴とする請求項12から請求項16のうちいずれか一に記載の混合物生成方法である。
【0025】
請求項18記載の発明は、室に容れられた混合物に、振動を伝えることにより当該混合物の混合を促進することを特徴とする請求項12から請求項16のうちいずれか一に記載の混合物生成方法である。
【0026】
請求項19記載の発明は、混合を用時調整して行うことを特徴とする請求項12から請求項18のうちいずれか一に記載の混合物生成方法である。
【0027】
請求項20記載の発明は、請求項11に記載の化学反応用カートリッジを保持し、ローラにより前記弾性体に外力を加えて前記移動及び移動阻止を制御する制御装置であって、
前記ローラを前記2方向の双方に交わる1方向に移動する多列の構成で有し、列ごとにローラ間の間隔を保持しつつ他の列と独立に移動可能に構成され、
前記ローラにより、前記2方向の各方向に延在する流路を介して成分を移動させ、混合率に応じた量の各成分を各混合室に移動させることを特徴とする化学反応用カートリッジの制御装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、1の化学反応用カートリッジを用いて迅速、簡便かつ安全、正確に各成分から2以上の混合物を生成することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に本発明の一実施の形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。なお、本発明の化学反応用カートリッジは、一般に「マイクロリアクタ」とも呼ばれる反応器として応用される分野に属している。本発明は特定の用途に限定されない。
【0030】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態につき図1を参照して説明する。
図1(a)(b)(c)はそれぞれ、本発明の第1実施形態に係る化学反応用カートリッジの平面配置図である。
図1に示すように、化学反応用カートリッジ10は、気密状で弾力性のあるゴムなどの弾性体1と、裏面に配置され硬質材料で形成された位置決め及び形状維持のための剛性体の基板(図示せず)とから形成されている。
【0031】
弾性体1の材質としては、シリコンゴム、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、天然ゴムおよびその重合体、アクリルゴム、ウレタンゴムなどである。
基板の材質としては、ガラス、金属、硬質樹脂あるいは曲げることが可能な剛体を用いることができる。
【0032】
弾性体1の内面に凹部が形成されている。弾性体1の凹部が形成された面の凹部を除く部分が、基板の面に接着、溶着等により密着接合されることにより、流路2,3及び室s1〜s5,k1〜k5,i1〜i5,M1〜M5,m1〜m5が形成されている。室は、成分室s1〜s5,k1〜k5,i1〜i5と、混合室M1〜M5,混合補助室m1〜m5とで構成される。流路は室間を繋げ、室間の物質の移送を可能にする。移送される物質は、流動性のある物質、液体その他の流体状の物質である。移送目的の反応物質が、固体等の流動しないもの、流動し難いものである場合は、その反応物質を含んだ溶液が室に入れられる。
【0033】
流路及び室は、弾性体により全体を被うようにして形成しても良いし、一部の壁部を弾性体により構成しても良い。基板と弾性体1との間にもう一層の弾性体を介在させることにより、流路及び室の全体を弾性体により被うように形成することができる。また、基板に代えて弾性体を用い、剛性体の基板なしで構成しても良い。
【0034】
物質の移動は次のように行う。
まず、ローラ、スキージ、シリンジ等の押圧手段を、流路又は室上の弾性体1に押し当て、流路又は室を押し潰す。流路又は室を押し潰すことにより、内部の物質を流動させて移動させることができる。さらには、押圧位置を移動させることにより、内部の物質を流動させ、押圧位置の移動方向に物質を移動させることができる。押圧位置の移動は、押圧位置において流路又は室の対向する内壁同士を接触させることにより内部空間を遮断する状態まで押圧して行うことが好ましい。
【0035】
物質の移動阻止は、押圧手段により流路又は室の対向する内壁同士を接触させて内部空間を遮断することで行われる。押圧手段を複数使用することにより、一方の押圧手段により物質の移動を行わせつつ、その移動方向の前方において他方の押圧手段により流路又は室を押圧して、その位置より先への物質の移動を阻止することもできる。
以上のような移動、移動阻止を基本として、カートリッジ10内の物質の移動が制御される。
【0036】
以上の原理により、カートリッジ10内の物質の移動を制御して、化学反応のための操作を行う。本実施形態は、DNA量の測定への適用例である。また本実施形態では、押圧手段としてローラ4,5を用いる。流路2,3及び室s1〜s5,k1〜k5,i1〜i5,M1〜M5,m1〜m5は、液導入前においては内壁同士が密着していて容積がほぼゼロの状態とされている。
【0037】
成分室s1には、試料DNA溶液が注入される。成分室s2〜s5には、標準DNA溶液が注入される。成分室k1〜k5には、希釈溶液が注入される。成分室i1〜i5にはインターカレーター溶液が注入される。注入は成分室を覆う弾性体1に注射針を穿刺して行う。注入後、注射針を抜けば弾性体1の弾性によって孔は閉じられる。各成分室への充填量の例を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
表1によれば、成分室s4には5μlの標準DNA溶液が充填され、成分室k4には15μlの希釈溶液が充填され、成分室i4には10μlの標準DNA溶液が充填される。表1に示すように、各成分室に各混合率に従った量の成分が容れられる。一混合室Mに繋がる成分室s,k,iの合計の容量は混合室M1〜M5によらず一定であり、本例では30μlである。
【0040】
各成分室単体の容量は決まっており、成分室s4は5μlの容量に形成されている。すなわち、成分室s4に溶液を満充填すると5μlの溶液が充填される。このように、各成分室は計量機能を有しており、各成分の混合量を容量としている。
各混合液で混合率を変化させるため、表1に示したとおり成分室単体の容量は混合室によって異なっている。但し、成分室s1,k1,i1と成分室s2,k2,i2とでは同じである。
【0041】
混合室M1〜M5は5つ設けられている。成分室s,k,iは、混合室Mの一室ごとに設けられ、一混合室Mにそれぞれ流路2,2,2で繋がれ、上記したように混合率に応じた量の混合物の成分が分けて容れられる。下流の混合補助室mは、混合室Mに流路3で繋がれ補助的に設けられたものであり、また蛍光検出の対象の室を兼ねる。
【0042】
各成分室s1,k1,i1〜s5,k5,i5に各成分をすべて注入した後、図1(b)に示すようにローラ4で成分室s1,k1,i1〜s5,k5,i5を流路2と逆側の端部から押圧し、流路2側へ移動させ、上記3つの成分を各混合室M1〜M5に移動させ混合する(図で左から右への方向)。蛍光リーダで測定する時刻は、成分を混合室Mに混入した時点より蛍光の発現量の良好な5分後とする。その5分間にローラ4とローラ5とにより混合物を混合室Mと混合補助室mとの間で反復移動させて混合を促進する。
【0043】
混合の促進は、混合室Mに容れられた混合物に、振動を伝えて行っても良い。この場合、流路3と混合補助室mは必ずしも必要なく、混合室Mを蛍光検出の対象の室とすれば足りる。振動の伝達方法は、ローラ4を押し当てて振動させることでも良いし、電磁力等を利用した振動子等の他のアクチュエータを用いても良い。
【0044】
成分を混合室Mに混入した時点より5分後すぐに、図1(c)に示すように蛍光リーダ6で混合補助室m1〜m5に容れられた混合物の蛍光光量を測定する。上述した従来技術と同様に、混合補助室m2〜m5を対象とした測定値は校正情報として用いられ、混合補助室m1を対象とした測定値に基づき試料のDNA量が算出される。
【0045】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態につき図2及び図3を参照して説明する。図2は、本発明の第2実施形態に係る化学反応用カートリッジの平面配置図である。図3は、本発明の第2実施形態に係る化学反応用カートリッジの断面構造図である。
【0046】
上記第1実施形態にあっては、同じ成分を生成する混合液の数分だけ別々に分けて注入しておく必要があった。これを解消するために本実施形態に係る化学反応用カートリッジ20は、一の混合室(例えばM2)に属する一の成分室(例えばs2)及び他の一の混合室(例えばM3)に属する他の一の成分室(例えばs3)とに繋がり、それらの成分室(例えばs2,s3)に分配される成分が容れられる成分供給室(例えばS)を有する。
【0047】
本実施形態は、上記第1実施形態で説明した標準DNAによる校正部s2,k2,i2〜s5,k5,i5及びM2〜M5を構成する例である。対応する室に同一の符号を用いる。
【0048】
本カートリッジに20には、標準DNA溶液が分配される成分室s2〜s5に繋がる成分供給室Sと、希釈溶液が分配される成分室k2〜k5に繋がる成分供給室Kと、インターカレーター溶液が分配される成分室i2〜i5に繋がる成分供給室Kとが形成されている。
【0049】
成分供給室I,K、成分室k2,i2〜k5,i5及び混合室M2〜M5並びにこれらの室間を繋ぐ流路は、カートリッジ20の同一面側に形成されている。成分供給室S及び成分室s2〜s5並びにこれらの室間を繋ぐ流路は、その反対面側に形成されている。図3に断面構造図を示す。成分室i2,i3,i4−混合室M2,M3,M4間の流路と、成分供給室S−成分室s3〜s5間の流路とを互いに基板の逆面側に形成することによって、両流路の立体交差を可能としている。
【0050】
図3に示すように、カートリッジ20は、剛性体の基板21と、基板21の一面に密着接合された弾性体によるベースシート22と、ベースシート22上に部分的に密着接合してベースシート22との間に室及び流路を形成する弾性体によるトップシート23と、基板21の反対面に密着接合された弾性体によるベースシート24と、ベースシート24上に部分的に密着接合してベースシート22との間に室及び流路を形成する弾性体によるトップシート25とから構成される。
【0051】
基板21、ベースシート22及びベースシート24を貫通する孔(流路)26を介して成分室s2と混合室M2とが繋がれている。成分室s3と混合室M3との連結、成分室s4と混合室M4との連結、成分室s5と混合室M5との連結も同様の構造である。
【0052】
上記第1実施形態と同様に、各成分室s2,k2,i2〜s5,k5,i5は計量機能を有しており、各成分の混合量を容量としている。
【0053】
成分供給室S,K,Iにはそれぞれ順に、標準DNA溶液、希釈溶液、インターカレーター溶液が予め充填されている。
校正する際には、まず、成分供給室S上の弾性体をローラにより押圧して、成分供給室Sから各成分室s2〜s5に標準DNA溶液を一時に充填する。各成分室s2〜s5は、それぞれの容量、すなわち、混合率に応じた量の標準DNA溶液を受け入れる。好ましくは同時に、成分供給室K上の弾性体をローラにより押圧して、成分供給室Kから各成分室k2〜k5に希釈溶液を一時に充填する。各成分室k2〜k5は、それぞれの容量、すなわち、混合率に応じた量の希釈溶液を受け入れる。好ましくは同時に、成分供給室I上の弾性体をローラにより押圧して、成分供給室Iから各成分室i2〜i5にインターカレーター溶液を一時に充填する。各成分室i2〜i5は、それぞれの容量、すなわち、混合率に応じた量のインターカレーター溶液を受け入れる。
【0054】
成分室s2,〜s5に計量機能がない場合は、成分供給室S−成分室s2間の流路を連通し、成分供給室S−成分室s3〜s5間の流路を塞いで、成分室s2に容れるべき成分の混合率に応じた量だけ成分供給室Sを縮小させて当該成分供給室Sから成分室s2に混合率に応じた量の成分を移動させる。成分室s3〜s5について順次同様に行う(順不同)。
成分室k2,〜k5に計量機能がない場合は、成分室k5に容れるべき成分の混合率に応じた量だけ成分供給室Kを縮小させて当該成分供給室Kから成分室k5に混合率に応じた量の成分を移動させる。成分室k4、成分室k3、成分室k2の順で同様に成分を充填する。
成分室i2,〜i5に計量機能がない場合は、成分室i2に容れるべき成分の混合率に応じた量だけ成分供給室Iを縮小させて当該成分供給室Iから成分室i2に混合率に応じた量の成分を移動させる。成分室i3、成分室i4、成分室i5の順で同様に成分を充填する。
【0055】
次に、各成分室s2,k2,i2〜s5,k5,i5上の弾性体をローラ(27,28等)により押圧して各成分室s2,k2,i2〜s5,k5,i5に容れられた各成分を各混合室M2〜M5に移動させて上記3成分を混合する。振動子等で混合を促進しつつ5分後すぐに混合室M2〜M5を対象に蛍光リーダで蛍光光量の測定を行う。
【0056】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態につき図4を参照して説明する。図4は、本発明の第3実施形態に係る化学反応用カートリッジの断面構造図である。本実施形態は、上記第2実施形態に対して流路の立体交差を実現するための断面構造を変更したものであり、平面的なレイアウトその他は上記第2実施形態と同様である。
【0057】
図4に示すように、本実施形態のカートリッジ30は、剛性体の基板31と、基板31の一面に密着接合された弾性体によるベースシート32と、ベースシート32上に部分的に密着接合してベースシート32との間に室及び流路を形成する弾性体による中間シート33と、中間シート33上に部分的に密着接合して中間シート33との間に室及び流路を形成する弾性体によるトップシート34とから構成される。
【0058】
成分供給室I,K、成分室k2,i2〜k5,i5及び混合室M2〜M5並びにこれらの室間を繋ぐ流路は、ベースシート32と中間シート33との間に形成されている。成分供給室S及び成分室s2〜s5並びにこれらの室間を繋ぐ流路は、中間シート33とトップシート34との間に形成されている。成分室i2,i3,i4−混合室M2,M3,M4間の流路と、成分供給室S−成分室s3〜s5間の流路とを異なる層に形成することによって、両流路の立体交差を可能としている。
【0059】
中間シート33を貫通する孔(流路)35を介して成分室s2と混合室M2とが繋がれている。成分室s3と混合室M3との連結、成分室s4と混合室M4との連結、成分室s5と混合室M5との連結も同様の構造である。図4に示すように本実施形態では、孔35を混合室Mを覆う中間シート33の一部に設けたが、これに代え、孔を混合室M全体において中間シート33を孔とする、すなわち、混合室Mにおいて中間シート33を欠落させた構造としても良い。後者の場合、混合室Mの上下面はベースシート32とトップシート34で形成される。
【0060】
ローラ36,37等で、各成分室s2,k2,i2〜s5,k5,i5から混合室M2〜M5に各成分を充填し、その他上記第2実施形態と同様に実施する。上記第2実施形態にあっては、両面にローラを押し当てて給送を制御する必要があったが、本実施形態にあっては、片面のみにローラを押し当てて給送を制御することができる。
【0061】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態につき図5〜図11を参照して説明する。図5は、本発明の第4実施形態に係る化学反応用カートリッジ及びローラ群の平面配置図である。本実施形態は、上記第2実施形態に対して流路の立体交差を採用せず、2以上の成分に共用される成分室及び流路を採用し、成分ごとに時分割して成分を移送するものである。
【0062】
図5に示すように本実施形態の化学反応用カートリッジ40には、11の成分室a〜k及びその間を繋ぐ流路、3つの成分供給室S,K,I及び4つの混合室M2〜M5が形成されている。本カートリッジ40は上記第2の実施形態と同様に標準DNAによる校正部として使用される。
【0063】
図5中に平面座標X−Yを示した。4つの成分室a〜d及び4つの成分室e〜hがY方向に等間隔で平行に配置されている。成分室a〜hのX方向の間隔とY方向の間隔とが等しくされている。等間隔に配置された4つの成分室a,b,e,fの対角線の交点の位置に1つの成分室iが配置され、この成分室iと4つの成分室a,b,e,fとのそれぞれの間が対角線状に延在する流路によって繋がっている。成分室j,kも同様に配置され周囲4つの成分室に流路で繋がれている。
【0064】
このような成分室a〜kを含む網目状の共用路の最小単位は、3つの成分室によって構成される。例えば、3つの成分室e,i,f及びこれらを繋ぐ2つの流路である。X−Y座標中に互いに交わる2方向P,Qを示した。成分室eと成分室iとの間がP方向に延在する流路によって連結されており、成分室iと成分室fとの間がQ方向に延在する流路によって連結されている。これを最小単位とし、成分室を共有する形で結合させて必要数並べられることにより全体が構成されている。
【0065】
3つの成分供給室S,K,I及び4つの混合室M2〜M5は共用路の周囲に配置される。図5に示すように成分供給室S,K,Iは、共用路のY方向両側に分配配置され、それぞれ成分室a,e,dに流路で繋がれている。混合室M2〜M5は共用路のX方向片側に配置され、それぞれ成分室e,f,g,hにP方向(Q方向としても良い)の流路で繋がれている。
【0066】
本カートリッジ40中の流動物の移動及び移動阻止を制御する制御装置は、X方向のローラ列を有している。
図5に示すように、第1ローラ列の8つのローラをR11〜R18とし、第2ローラ列の2つのローラをR21,R22とする。また、第3ローラ列の8つのローラをR31〜R38とし、第4ローラ列の2つのローラをR41,R42とする。さらに、第5ローラ列の8つのローラをR51〜R58とし、第6ローラ列の2つのローラをR61,R62とする。第7ローラ列の8つのローラをR71〜R78とする。
【0067】
各ローラ列のローラは、X方向を転動方向とし、X方向に間隔を保持して1列に並んでいる。本制御装置は、第1ローラ列から第7ローラ列の7つのローラ列を有し、それぞれのX方向の独立した移動を制御する。
【0068】
本制御装置は、カートリッジ40の保持機構を有している。本制御装置は、カートリッジ40をローラに対して図5に示すように保持する。このとき、第1ローラ列R11〜R18はY方向について成分室a,eと同じ位置に、第2ローラ列R21,R22はY方向について成分室iと同じ位置に、第3ローラ列R31〜R38はY方向について成分室b,f同じ位置に、第4ローラ列R41,R42はY方向について成分室jと同じ位置に、第5ローラ列R51〜R58はY方向について成分室c,gと同じ位置に、第6ローラ列R61,R62はY方向について成分室kと同じ位置に、第7ローラ列R71〜R78はY方向について成分室d,hと同じ位置に配置される。
【0069】
また、本制御装置は成分供給室S,K,Iをそれぞれ押圧するローラRS,RK,RIを有する。ローラRS,RK,RIはY方向に転動する。本制御装置は、ローラRS,RK,RIの独立したY方向の移動を制御する。
【0070】
本制御装置は、以上のローラにより本カートリッジ40上面の弾性体を押圧して外力を加え、ローラを移動させることにより、カートリッジ40中の流動物の移動又は移動阻止を制御し、成分供給室に容れられた各成分を混合率に応じた量だけ各混合室に移動させて異なる混合率の混合液を生成する。
【0071】
図6〜図11は、成分供給室から各混合室に成分が分配されるまでの全過程を描いた工程図であり、各部は図5と同一構成である。
【0072】
成分供給室Sに標準DNA溶液、成分供給室Kに希釈溶液、成分供給室Iにインターカレーター溶液がそれぞれ充填される(図6(2))。
まず、ローラRSによって成分供給室Sが所定量つぶされ、混合率に応じた量の標準DNA溶液が成分室aに充填される(図6(3))。
【0073】
次に第1ローラ列R11〜R18がX軸の正の方向に移動し、ローラR12によって成分室aの標準DNA溶液が押出され成分室iに移送される(図6(4))。この時、成分室iに繋がる他の流路は、他のローラR21、R33によってつぶされて塞がれている(図6(4))。
【0074】
次に第2ローラ列R21,R22がX軸の正の方向に移動し、ローラR22によって成分室iの標準DNA溶液が押出され成分室fに移送される(図6(5))。この時、成分室fに繋がる他の流路は、他のローラR31、R41によってつぶされて塞がれている(図6(4))。
一方、ローラRSによって成分供給室Sが所定量つぶされ、混合率に応じた量の標準DNA溶液が成分室aに充填される(図6(5))。
【0075】
次に第3ローラ列R31〜R38がX軸の負の方向に移動し、ローラR31によって成分室fの標準DNA溶液が押出され成分室jに移送され、第1ローラ列R11〜R18がX軸の正の方向に移動し、ローラR13によって成分室aの標準DNA溶液が押出され成分室iに移送される(図6(6))。適宜、他の流路は、他のローラによってつぶされて塞がれる。
【0076】
以上の要領で標準DNA溶液が各成分室f,g,hに分配され(図7(7)〜(9))、ローラR32,R52,R72によって各混合室M3,M4,M5に充填される(図7(10))。遅れて標準DNA溶液が成分室eに移送され(図7(9)〜(11))、ローラR14によって各混合室M2に充填される(図7(12))。
【0077】
同様の要領で希釈溶液が成分供給室Kから成分室eに混合率に応じた量だけ充填され、さらにP方向の流路とQ方向の流路とを介してY軸の負の方向に送られ、各混合室M3,M4,M5に充填される(図8(13)〜図9(20))。また、希釈溶液が成分供給室Kから成分室eに混合率に応じた量だけ充填され、直に混合室M2に充填される(図8(18)〜図9(19))。
【0078】
同様の要領でインターカレーター溶液が成分供給室Iから成分室dに混合率に応じた量だけ充填され、さらにP方向の流路とQ方向の流路とを介してY軸の正の方向とX軸の正の方向とに送られ、各混合室M2,M3,M4に充填され、また、成分室dに充填されたインターカレーター溶液が、P方向の流路とQ方向の流路とを介してX軸の正の方向に送られ、混合室M5に充填される(図9(22)〜図11(31))。
【0079】
以上により、同量で混合率の異なる混合液が混合室M2〜M5に生成される(図11(32))。ローラ、振動子等で混合を促進しつつ5分後すぐに混合室M2〜M5を対象に蛍光リーダで蛍光光量の測定を行う。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る化学反応用カートリッジの平面配置図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る化学反応用カートリッジの平面配置図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る化学反応用カートリッジの断面構造図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る化学反応用カートリッジの断面構造図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る化学反応用カートリッジ及びローラ群の平面配置図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る工程図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る図6に続く工程図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る図7に続く工程図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る図8に続く工程図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る図9に続く工程図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る図10に続く工程図である。
【図12】未知試料のDNA量を測定する従来の方法を図解した説明図である。
【図13】標準DNAによる従来の校正方法を図解した説明図である。
【符号の説明】
【0081】
1 弾性体
2,3 流路
4,5 ローラ
6 蛍光リーダ
10 化学反応用カートリッジ(第1実施形態)
20 化学反応用カートリッジ(第2実施形態)
30 化学反応用カートリッジ(第3実施形態)
40 化学反応用カートリッジ(第4実施形態)
M1-M5 混合室
m1-m5 混合補助室
S,K,I 成分供給室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成材として弾性体を含み、
内部には、流路と、前記流路で繋がれる2以上の室とが形成され、
外部から前記弾性体に外力を加えることにより前記流路若しくは室又はその両者を部分的に塞いでその流路又は室にある流体状の物質を移動又は移動阻止することができるように構成され、
前記室として、流体状の混合物が容れられる2以上の混合室と、
混合室の一室ごとに設けられ、一混合室にそれぞれ流路で繋がれ、混合率に応じた量の前記混合物の成分が分けて容れられる2以上の成分室とを有することを特徴とする化学反応用カートリッジ。
【請求項2】
成分室の容量が成分の混合率に応じた量とされてなることを特徴とする請求項1に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項3】
一混合室に繋がる成分室の合計の容量が混合室によらず一定で成分室単体の容量が混合室によって異なっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項4】
前記室として、一の混合室に属する一の成分室及び他の一の混合室に属する他の一の成分室とに繋がり、それらの成分室に分配される成分が容れられる成分供給室を有することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項5】
前記成分供給室を2以上と、
流路及び室が形成された面の形状を維持するための剛性体の基板とを備え、
一の成分供給室及びこれに繋がる各成分室とが前記基板の一面側に形成され、
他の一の成分供給室及びこれに繋がる各成分室とが前記基板の他の一面側に形成されてなることを特徴とする請求項4に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項6】
前記一面側に形成された成分室及び前記他の一面側に形成された成分室のうちいずれか一方が、前記基板を貫通する孔により逆側に形成された混合室に繋がれ、他方が同混合室と同側に形成された流路で同混合室に繋がれてなることを特徴とする請求項5に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項7】
前記成分供給室を2以上と、
2層以上の層構造に流路及び室を形成する弾性体とを備え、
一の成分供給室及びこれに繋がる各成分室とが一層に形成され、
他の一の成分供給室及びこれに繋がる各成分室とが他の一層に形成されてなることを特徴とする請求項4に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項8】
前記一層に形成された成分室及び前記他の一層に形成された成分室のうちいずれか一方が、両者の層間を隔絶する弾性体を貫通する孔により他方の成分室が形成されている層と同層に形成された混合室に繋がれ、他方が同混合室と同側に形成された流路で同混合室に繋がれてなることを特徴とする請求項7に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項9】
前記一層に形成された成分室及び前記他の一層に形成された成分室が、両者の層間を隔絶する弾性体の欠落部によって同一混合室に導かれてなることを特徴とする請求項7に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項10】
構成材として弾性体を含み、
内部には、流路と、前記流路で繋がれる2以上の室とが形成され、
外部から前記弾性体に外力を加えることにより前記流路若しくは室又はその両者を部分的に塞いでその流路又は室にある流体状の物質を移動又は移動阻止することができるように構成され、
前記室として、混合物が容れられる2以上の混合室と
前記混合室に分配される前記混合物の成分が容れられる2以上の成分供給室と、
前記2以上の混合室と前記2以上の成分供給室との間を繋ぐ、2以上の成分に共用される成分室及び流路とを有し、
前記成分室は混合率に応じた量の前記混合物の成分が分けて容れられることを特徴とする化学反応用カートリッジ。
【請求項11】
前記成分室を3以上有し、それらが互いに交わる2方向の各方向に延在する流路を介して連結されてなることを特徴とする請求項10に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項12】
請求項1から請求項9のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジを用いた混合物生成方法であって、
各成分室に混合率に応じた量の成分を容れ、前記弾性体に外力を加えることにより2以上成分室に容れられた各成分を一混合室に移動させて2以上の成分を混合した混合物を生成することを2以上の混合室について行う混合物生成方法。
【請求項13】
請求項4から請求項9のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジを用いた混合物生成方法であって、
前記弾性体に外力を加えることにより成分供給室を成分の混合率に応じた量だけ縮小させて当該成分供給室から各成分室に混合率に応じた量の成分を移動させ、
その後、前記弾性体に外力を加えることにより2以上成分室に容れられた各成分を一混合室に移動させて2以上の成分を混合した混合物を生成することを2以上の混合室について行う混合物生成方法。
【請求項14】
請求項4から請求項9のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジを用いた混合物生成方法であって、
成分室の容量が成分の混合率に応じた量とされた化学反応用カートリッジを用い、
前記弾性体に外力を加えることにより成分供給室から各成分室に混合率に応じた量の成分を一時に充填し、
その後、前記弾性体に外力を加えることにより2以上成分室に容れられた各成分を一混合室に移動させて2以上の成分を混合した混合物を生成することを2以上の混合室について行う混合物生成方法。
【請求項15】
請求項10又は請求項11に記載の化学反応用カートリッジを用いた混合物生成方法であって、
成分ごとに時分割して、前記弾性体に外力を加えることにより成分供給室から各成分室に混合率に応じた量の成分を移動させ、その後、前記弾性体に外力を加えることにより2以上の成分室に容れられた成分を各混合室に移動させることを行って、2以上の成分を混合した混合物を各混合室に生成する混合物生成方法。
【請求項16】
各成分室で異なる混合率の混合物を得ることを特徴とする請求項12から請求項15のうちいずれか一に記載の混合物生成方法。
【請求項17】
各成分を一混合室に導入して生成した混合物を、当該一混合室と流路で繋がれた室との間で反復移動させてその混合を促進することを特徴とする請求項12から請求項16のうちいずれか一に記載の混合物生成方法。
【請求項18】
室に容れられた混合物に、振動を伝えることにより当該混合物の混合を促進することを特徴とする請求項12から請求項16のうちいずれか一に記載の混合物生成方法。
【請求項19】
混合を用時調整して行うことを特徴とする請求項12から請求項18のうちいずれか一に記載の混合物生成方法。
【請求項20】
請求項11に記載の化学反応用カートリッジを保持し、押圧部材により前記弾性体に外力を加えて前記移動及び移動阻止を制御する制御装置であって、
前記押圧部材を前記2方向の双方に交わる1方向に移動する多列の構成で有し、列ごとに押圧部材間の間隔を保持しつつ他の列と独立に移動可能に構成され、
前記押圧部材により、前記2方向の各方向に延在する流路を介して成分を移動させ、混合率に応じた量の各成分を各混合室に移動させることを特徴とする化学反応用カートリッジの制御装置。
【請求項21】
前記押圧部材がスキージ、シャッタ又はローラであることを特徴とする請求項20に記載の化学反応用カートリッジの制御装置。
【請求項22】
前記2方向に沿った4方向に前記流路を介して周囲の成分室が連結される一成分室を前記押圧部材で加圧することにより、当該一成分室内の成分を前記周囲の成分室のうち任意の一へ送給することを特徴とする請求項20に記載の化学反応用カートリッジの制御装置。
【請求項23】
一度成分が通った流路及び成分室を洗浄する構造を備えることを特徴とする請求項1から請求項11のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項24】
室又は流路内の生成物の光量を検出する光学的透過性を有する窓を備えることを特徴とする請求項1から請求項11のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項25】
核酸溶液の希釈系列作成を行うことを特徴とする請求項1から請求項11のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項26】
核酸溶液の希釈系列作成を行うことを特徴とする請求項12から請求項19のうちいずれか一に記載の混合物生成方法。
【請求項27】
核酸溶液の希釈系列作成を行うことを特徴とする請求項20から請求項22のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−210327(P2009−210327A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52097(P2008−52097)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】